(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】電子アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/38 20060101AFI20241226BHJP
H01L 23/34 20060101ALI20241226BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
H01L23/38
H01L23/34 A
H05K7/20 B
(21)【出願番号】P 2023537048
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(86)【国際出願番号】 EP2021080453
(87)【国際公開番号】W WO2022128239
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-08-02
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516000549
【氏名又は名称】ヴァレオ、コンフォート、アンド、ドライビング、アシスタンス
【氏名又は名称原語表記】VALEO COMFORT AND DRIVING ASSISTANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】マチアス、ウェレンズ
(72)【発明者】
【氏名】フーベルト、グライヒ
(72)【発明者】
【氏名】ディルク、ウィッシュニュスキー
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、グレーベル
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-006791(JP,A)
【文献】特開平09-055459(JP,A)
【文献】独国実用新案第202014000544(DE,U1)
【文献】特開2007-110115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0093270(US,A1)
【文献】特開2006-278359(JP,A)
【文献】特開2009-182922(JP,A)
【文献】特開2008-218934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/38
H01L 23/34
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子アセンブリ(1)であって、
印刷回路基板(4)と、
前記印刷回路基板(4)の第1の側(5)に固定された電子モジュール(2)と、
熱伝導性壁(9)を有するケーシング(3)と、
前記印刷回路基板(4)を前記ケーシング(3)内において前記熱伝導性壁(9)から距離を置いて保持するように構成された締結手段(18)と、
前記熱伝導性壁(9)の内側の面(19)から延びるハウジング(7)と、
前記ハウジング(7)に配置されて前記熱伝導性壁(9)および前記電子モジュール(2)の両方に熱的に結合する冷却モジュール(8)と、を備え、
前記ハウジング(7)は、前記熱伝導性壁(9)に対して平行な任意の方向における前記冷却モジュール(8)の移動を抑制するように構成され
、
前記ハウジング(7)は、前記熱伝導性壁(9)の前記内側の面(19)における突出部により形成されたベースプレート(11)と、前記ベースプレートの縁部から延びる複数のフィンガ(12)と、を備え、
複数の前記フィンガ(12)は、前記冷却モジュール(8)の前記移動を抑制するように構成され、
複数の前記フィンガ(12)は、前記冷却モジュール(8)の側面に物理的に接触している、
電子アセンブリ。
【請求項2】
複数の前記フィンガ(12)は、前記熱伝導性壁(9)から前記印刷回路基板(4)まで延び
、
複数の前記フィンガ(12)は、前記印刷回路基板(4)に物理的に接触している、又は、前記印刷回路基板(4)に接触しないよう前記印刷回路基板(4)に向かって延びている、
請求項
1に記載の電子アセンブリ。
【請求項3】
前記印刷回路基板(4)は、前記第1の側(5)と反対の第2の側(10)を備え、
前記第2の側(10)は、金属グランド面(17)を備え、
前記冷却モジュール(8)は、前記金属グランド面(17)と
前記冷却モジュール(8)との間に位置する熱ペースト、熱パッド又は熱伝導性発泡体を介して前記電子モジュール(2)に熱的に結合する、
請求項1~
2のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項4】
前記印刷回路基板(4)は、前記電子モジュール(2)の外形に対応する領域(A1)に配置された貫通孔(22)を備え、
前記冷却モジュール(8)は、前記貫通孔
に位置する熱ペースト層、熱パッド又は熱伝導性発泡体を介して前記電子モジュール(2)に接触する、
請求項1~
2のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項5】
前記冷却モジュール(8)は、熱パッド、熱ペースト、または熱発泡体を介して、前記熱伝導性壁(9)および前記電子モジュール(2)に熱的に結合する、
請求項1~
2のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項6】
前記内側の面(19)と反対の前記熱伝導性壁(9)の外側の面(20)は、前記冷却モジュール(8)の外形に対応する領域(A2)に少なくとも部分的に配置された領域であって、複数のフィン(21)を備えた領域を備える、
請求項1~
5のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項7】
前記締結手段(18)は、前記熱伝導性壁(9)に固定されるとともに、熱伝導性を有する、
請求項1~
6のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項8】
前記締結手段(18)は、少なくとも1つの金属ネジを備える、
請求項
7に記載の電子アセンブリ。
【請求項9】
前記ハウジング(7)は、熱伝導性を有する、
請求項1~
7のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項10】
前記熱伝導性壁(9)および前記ハウジング(7)は、同一材料から作製される、
請求項1~
9のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項11】
前記熱伝導性壁(9)および前記ハウジング(7)は、単一の材料片を形成する、
請求項
10に記載の電子アセンブリ。
【請求項12】
前記冷却モジュール(8)は、ペルチェ冷却器である、
請求項1~
11のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【請求項13】
前記電子モジュール(2)は、電気通信回路である、
請求項1~
12のいずれか一項に記載の電子アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の技術分野に関し、具体的には自動車で使用される電子装置、例えば、車でのテレマティクス操作に使用される電気通信装置に関し、さらに電子装置を冷却するための手段に関する。特に、本発明は、電子アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
テレマティクス制御ユニットは、電気通信操作、例えば車両の追跡操作を実施する組み込まれた電子システムである。電気通信性能を最適化するように、テレマティクス制御ユニットは、車両のルーフに設置される。
【0003】
車両のルーフの温度は、大きく変動する。例えば、直射日光を長時間受けた黒い車のルーフの温度は、90℃を超え得る。テレマティクス制御ユニットの良好な機能に対する最適な温度は、多くの場合この限界値よりも低い。このような温度上昇は、制御ユニットの適切な機能を妨げ得るため、ドライバーの安全や他の道路ユーザの安全が脅かされ得る。
【0004】
テレマティクス制御ユニットを冷却するための解決策はいくつか存在している。これらの解決策は、構造が高度に複雑であり、体積が大きすぎ、効率が悪いという欠点を有している。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、電子装置を冷却するための電子アセンブリにより、従来技術の上述の技術的欠点を解決することを提案するものであり、前記アセンブリは、シンプルな構造を有するとともにコンパクトかつ効率的である。
【0006】
本発明の一態様によれば、本発明は、印刷回路基板と、前記印刷回路基板の第1の側に固定された電子モジュールと、熱伝導性壁を有するケーシングと、前記印刷回路基板を前記ケーシング内において前記熱伝導性壁から距離を置いて保持するように構成された締結手段と、前記熱伝導性壁の内側の面から延びるハウジングと、前記ハウジングに配置されて前記熱伝導性壁および前記電子モジュールの両方に熱的に結合する冷却モジュールと、を備える電子アセンブリであって、前記ハウジングは、前記熱伝導性壁に対して平行な任意の方向における前記冷却モジュールの移動を抑制するように構成される、電子アセンブリに関する。
【0007】
本発明によれば、冷却モジュールは、熱伝導性壁に対して平行な方向におけるあらゆる機械的応力から保護される。さらに、ケーシングの壁を熱伝達に使用することにより、放熱量が増加することで、アセンブリの冷却効率が促進される。
【0008】
本発明の意味において、ある材料がその環境との間で十分な熱の交換ができる場合、すなわち、ここではある材料が50W.M-1.K-1を超える熱伝達係数を有する場合、その材料は熱伝導性を有するとみなされる。
【0009】
本発明の意味において、「熱的な結合」という表現は、物理的接触を伴う熱伝達、または物理的接触を伴わない熱伝達を含む。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングは、前記熱伝導性壁の前記内側の面から延びる複数のフィンガを備え、複数の前記フィンガは、前記冷却モジュールの前記移動を抑制するように構成される。
【0011】
フィンガを備えるハウジングは、アセンブリを軽量化し、冷却モジュールと周囲空気との間での熱伝達を可能にするのに有利である。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングは、前記熱伝導性壁から前記印刷回路基板まで延びる。
【0013】
印刷回路基板まで延びるハウジングは、冷却モジュールを熱伝導性壁と印刷回路基板との間における圧縮から保護するため有利である。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記印刷回路基板は、前記第1の側と反対の第2の側を備え、前記第2の側は、金属グランド面を備え、前記冷却モジュールは、前記金属グランド面との接触を介して前記電子モジュールに熱的に結合する。
【0015】
金属グランド面は、冷却モジュールと電子モジュールとの間での熱伝導性を有利に向上させる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記印刷回路基板は、前記電子モジュールの前記外形に対応する領域に配置された貫通孔を備え、前記冷却モジュールは、前記貫通孔を介して前記電子モジュールに接触する。
【0017】
貫通孔により、電子モジュールと冷却モジュールとが直接的に接触することが可能となるため、これらの要素間での熱伝達が向上する。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記冷却モジュールは、熱パッド、熱ペースト、または熱発泡体を介して、前記熱伝導性壁および前記電子モジュールに熱的に結合する。
【0019】
熱パッド、熱発泡体、または熱ペーストは、冷却モジュールと熱伝導性壁と電子モジュールとの間での熱伝達を向上させる。さらに、熱パッド、熱発泡体、または熱ペーストは、機械的応力の吸収材としても機能する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、前記内側の面と反対の前記熱伝導性壁の外側の面は、前記冷却モジュールの前記外形に対応する領域に少なくとも部分的に配置された領域であって、複数のフィンを備えた領域を備える。
【0021】
複数のフィンは、熱伝導性壁の外側の面の表面を増加させることで、ケーシングの外部に対する熱伝達が向上する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、前記締結手段は、前記熱伝導性壁に固定されるとともに、熱伝導性を有する。
【0023】
このような締結手段により、印刷回路基板と熱伝導性壁との間の熱経路が有利に可能とされる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、前記締結手段は、少なくとも1つの金属ネジを備える。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記ハウジングは、熱伝導性を有する。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、前記熱伝導性壁および前記ハウジングは、同一材料から作製される。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、前記熱伝導性壁および前記ハウジングは、単一の材料片を形成する。
【0028】
こうして、ハウジングと熱伝導性壁との間での熱伝達が促進される。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、前記冷却モジュールは、ペルチェ冷却器である。
【0030】
ペルチェ冷却器または熱電冷却器を使用することにより、アセンブリの冷却能力が促進される。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、前記電子モジュールは、電気通信回路である。
【0032】
本発明の様々な特徴、変形例、および実施形態は、互いに両立しないか排他的でない限り、種々の組み合わせにおいて互いに組み合わせられ得る。
【0033】
本発明の他の多くの特徴は、本発明の実施形態を示すがまったく限定的ではない図面を参照してなされる以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明による電子アセンブリが車に組み込まれた電気通信システムを示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による電子アセンブリを示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態によるハウジングの断面を示す。
【
図4】
図4は、本発明の他の実施形態による電子アセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
これらの図面において、異なる実施形態に共通する構造的および/または機能的要素には、同じ参照が付され得ることに留意されたい。
【0036】
説明の理解および図面の見やすさを向上させるため、3つの方向x、y、zを定義する直交系が説明において使用されており、これは
図2、
図3、および
図4で見ることができる。
【0037】
図1は、自動車AVと、自動車が無線通信リンクWLを確立することができる遠隔ネットワークDNと、遠隔ネットワークDNにリンクすることにより自動車AVと機器メーカーバックエンドシステムEMとの間に通信チャネルが確立され得る機器メーカーバックエンドシステムEMと、を備える電気通信システムCSを示す。
【0038】
本実施形態において、自動車AV(ここでは車)は、ここでは自動車AVのルーフに配置された、本発明による電子アセンブリ1を備えている。本例の電子アセンブリ1は、電子モジュール2を備えている。電子モジュール2は、ここでは電気通信回路、例えばネットワークアクセス装置である。電子モジュール2は、ここでは、遠隔ネットワークDNに対して無線通信リンクWLを確立するように構成されている。本実施形態において、遠隔ネットワークは、インターネットネットワークおよび/またはセルラーネットワークを備えている。
【0039】
自動車AVは、車両AVの種々の電子機器ユニット(例えば、コマンドユニット、ディスプレイ、センサ…)であって、電子アセンブリ1をホストとする電子モジュール2が含まれる電子機器ユニットを備えるとともにこれらを互いにリンクする内部ネットワークINを搭載している。したがって、電子モジュール2は、自動車の内部ネットワークINと通信し得るとともに、遠隔ネットワークDNを介して機器メーカーバックエンドシステムBSとデータ交換し得る。
【0040】
交換されるデータは、車の位置および速度に関する情報、機器の故障に関するアラート等の車両のメンテナンスに関する情報、さらに一般的には車両AVのセンサからの種々の信号に関する情報を含み得る。
【0041】
図2は、電子アセンブリ1の実施形態の断面図である。電子アセンブリ1は、印刷回路基板4を包囲するケーシング3と、印刷回路基板4の第1の側5に固定された電子モジュール2と、印刷回路基板4の第1の側5に固定された複数の電子部品6と、ハウジング7と、ハウジング7に収容された冷却モジュール8と、を備えている。例えば、複数の電子部品6は、アンテナを備えている。
【0042】
ケーシング3は、熱伝導性壁9を備えている。熱伝導性壁9は、ここでは金属製壁、例えばアルミニウム製壁である。ケーシング3の他の壁は、無線周波数波と干渉しない材料から構成されているため、無線通信リンクWLを確立することが可能となっている。例えば、ここではケーシング3の他の壁は、プラスチック材料から作製されている。
図2において、熱伝導性壁9は、x‐y平面において延びている。
【0043】
印刷回路基板4は、ケーシング3内において、第1の側5と反対の印刷回路基板4の第2の側10が熱伝導性壁9に対面する状態で、熱伝導性壁9から距離を置いて配置されている。印刷回路基板4は、交互となっている電気伝導性層と電気絶縁層とを備えるとともに、貫通孔ビアを備えている。貫通孔ビアは、印刷回路基板4の第1の側5から第2の側10まで延びるとともに、例えばここでは銅である電気伝導性材料で充填されている。したがって、印刷回路基板4は、本発明の意味において熱伝導性を有している。
図2において、印刷回路基板4はx‐y平面において延び、貫通孔ビアはz方向において延びている。
【0044】
印刷回路基板4は、締結手段18により、本例においてネジにより、ケーシング3に、本例において熱伝導性壁9に固定されている。本実施形態において、ネジ18は、熱伝導性を有し、より正確には金属から作製されている。
【0045】
ハウジング7は、熱伝導性壁9の内側の面19に固定されたベースプレート11を備えている。ベースプレート11は、本実施形態において、熱伝導性壁における突出部により形成されている。ハウジング7は、ベースプレート11から離れるように延びる、すなわちここでは印刷回路基板4に向かって延びる複数のフィンガ12を備えている。本実施形態において、フィンガは、印刷回路基板4に物理的に接触するように延びている。ベースプレートは、ハウジング7の底部を形成し、複数のフィンガ12は、ベースプレート11の縁部から延びているため、ハウジング7の測部境界を規定している。
【0046】
フィンガ12のx‐y平面における断面図である
図3に示すように、ベースプレート11は、矩形、例えば本例において正方形である。そして、ハウジング7は、8本のフィンガ12を備えている。4本のフィンガ12aは、ベースプレート11の側面から延び、4本の他のフィンガ12bは、ベースプレートの隅部から延びている。
図3のフィンガ12aおよび12bは、角のある断面を有しているが、他の実施形態において、フィンガは任意の形状の断面を有し得る。
【0047】
本実施形態において、熱伝導性壁9、ベースプレート11、およびフィンガ12は、同一の材料片、ここではアルミニウム片から作製されている。換言すれば、熱伝導性壁9とハウジング7とは、モノリシック構造を形成している。
【0048】
冷却モジュール8は、複数のフィンガ12が冷却モジュール8の移動を、熱伝導性壁に対して平行な任意の方向において、ここではx方向およびy方向において抑制するように、ハウジング7に収容されている。したがって、複数のフィンガのフィンガ12は、冷却モジュール8に物理的に接触している。
【0049】
冷却モジュール8は、ベースプレート11と、ひいては熱伝導性壁9とに熱的に結合するように、そして、電子モジュール2と熱的に結合するように、ハウジング7に収容されている。本実施形態において、冷却モジュール8は、第1面13と、第1面13と反対の第2面14と、を備えている。第1面13は、第1熱ペースト層15を介して印刷回路基板4と接触しており、第2面14は、第2熱ペースト層16を介してベースプレート11と接触している。本発明は、熱ペーストに代えて、熱パッドや熱伝導性発泡体にも適合可能である。
【0050】
印刷回路基板4の第2の側10は、電子モジュールの外形に対応する第1領域A1に配置されたグランド面17、すなわち金属面、例えばここでは銅面を備えている。換言すれば、
図2の電子アセンブリ1の配向を考慮すれば、グランド面17は、電子モジュールの下方に配置されている。第1熱ペースト層15は、グランド面17と物理的に接触している。
【0051】
本実施形態の冷却モジュール8は、ペルチェ冷却器または熱電冷却器である。したがって、冷却モジュール8は、電力を供給されることで第1面13から第2面14に熱を伝達する。外部エネルギー源に依存する熱伝達は、「能動的」とみなされる。したがって、電気を消費するペルチェ冷却器は、能動的な冷却装置である。逆に、外部エネルギー源に依存しない熱伝達は受動的とみなされる。
【0052】
熱伝導性壁の外側の面20は、冷却モジュール8の外形に対応する第2領域A2であって、複数のフィン21を備える第2領域A2を備えている。したがって、外側の面20の表面は増加している。
【0053】
上述の電子アセンブリ1は、電子モジュール2から熱伝導性壁への少なくとも4つの熱経路を備えている。第1熱経路は、印刷回路基板4と(熱ペースト層15および16を介して)冷却モジュール8とベースプレート11とを通る。第2熱経路は、印刷回路基板4とネジ18とを通る、第3熱経路は、印刷回路基板4と周囲空気とを通る。第4熱経路は、印刷回路基板4とフィンガ12とベースプレート11とを通る。
【0054】
第1熱経路は、熱を消費するペルチェ冷却器8を含むため、能動的な熱経路である。第2熱経路、第3熱経路、および第4熱経路は、エネルギーを消費しないため、受動的な熱経路である。
【0055】
図4に示す本発明の一実施形態によれば、印刷回路基板4は、第1領域A1に配置された貫通孔22であって、印刷回路基板4の第1の側5から印刷回路基板4の第2の側10まで延びる貫通孔22を備えている。貫通孔22の寸法は、第1領域A1のものよりも小さいため、電子モジュール2は、印刷回路基板の第1の側5に固定されたままである。
【0056】
冷却モジュール8は、貫通孔22を通過して電子モジュール2まで延び、第1熱ペースト層15を介して電子モジュール2に物理的に接触している。
【0057】
先に説明した実施形態において、印刷回路基板4の(z方向において測定される)厚さが冷却モジュール8の厚さよりも小さいため、冷却モジュール8は貫通孔22から突出している。他の実施形態において、印刷回路基板4の厚さは冷却モジュール8よりも大きいため、冷却モジュール8は貫通孔22から突出しない。
【0058】
このような実施形態において、ハウジング7のxおよびy寸法は、貫通孔22のxおよびy寸法よりも小さいため、フィンガ12は貫通孔22内に延び得る。この目的は、冷却モジュール8の移動を抑制すること、および冷却モジュール8に接触してこれらの要素間での熱伝達を可能とすることである。
【0059】
さらに、このような実施形態において、ハウジング7は、ベースプレート11から冷却モジュール8まで延びて、第2熱ペースト層16を介して冷却モジュール8と接触する少なくとも1つの中央フィンガまたは中央突出部を備え得る。したがって、このような中央フィンガまたは中央突出部は、フィンガ12よりも(z方向において)短い。
【0060】
図1に示すように電子アセンブリが自動車に組み込まれている本発明の実施形態において、熱伝導性壁は、有利には車両の車体に物理的に接触している。したがって、車両の車体がヒートシンクとして機能し、冷却効率が促進される。
【0061】
本発明は、
図1~
図4に関して上述した実施形態に限定されない。
【0062】
例えば、ハウジング7は、ベースプレート11を有し、そこからフィンガ12が延びると説明した。他の実施形態において、ハウジングは、ベースプレート11を備えなくてもよい。この場合、フィンガ12は、熱伝導性壁9の内側の面19から直接的に延びる。
【0063】
さらに、上述のフィンガ12は、ベースプレート11または熱伝導性壁9から印刷回路基板4まで延びて、印刷回路基板4に物理的に接触している。この解決策は、冷却モジュール8にz方向において加わる機械的応力を低減するのに有利である。しかしながら、本発明の他の実施形態は、印刷回路基板4に向かって延びるが印刷回路基板4に接触しないフィンガ12のうちの少なくともいくつかを備える。したがって、これらのフィンガの先端部は、印刷回路基板4から距離を置いている。
【0064】
上述の電子アセンブリ1は、冷却モジュール8がペルチェ冷却器であることにより、能動的な冷却を実施する。本発明は、受動的な冷却にも適合可能であり、本発明の実施形態は、ハウジング7に配置された受動冷却モジュールを備える。
【0065】
上述のグランド面17の寸法および位置は、第1領域A1に対応している。他の実施形態において、グランド面17の寸法は、第1領域A1のもの(すなわち電子モジュールのもの)と異なっていてもよく、例えば小さくても大きくてもよい。例えば、グランド面は、印刷回路基板4の第2の側10全体を覆ってもよい。また、いくつかの実施形態において、グランド面17は、第1領域A1の一部においてのみ延び得る。
【0066】
同様に、複数のフィン21は、熱伝導性壁9の外側の面20全体に亘って、または第2領域A2よりも小さい表面において延び得る。フィンについて説明したが、熱伝導性壁9の外側の面20の表面を増加させるための他の形状も可能である。例えば、外側の面20は、波状部、円錐部、フィンガ、パッド等を備え得る。
【0067】
最後に、熱伝導性壁およびハウジングが同一材料からなり、モノリシック構造を形成していることについて説明した。本発明の他の実施形態において、ハウジング7および熱伝導性壁9は、別個の材料片から作製され得るとともに、異なる材料から作製され得る。