(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にするコンピュータシステムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/03 20230101AFI20241226BHJP
【FI】
G06Q40/03
(21)【出願番号】P 2024004584
(22)【出願日】2024-01-16
【審査請求日】2024-01-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523475206
【氏名又は名称】株式会社テミクス・データ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】森田 弘昭
(72)【発明者】
【氏名】阿部 笑奈
(72)【発明者】
【氏名】山岸 純二
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016257(JP,A)
【文献】特開2023-061330(JP,A)
【文献】特開2022-025947(JP,A)
【文献】特許第7044931(JP,B1)
【文献】特開2001-306803(JP,A)
【文献】特開2021-068019(JP,A)
【文献】特開2017-054448(JP,A)
【文献】城田 真琴,エンベデッド・ファイナンスの衝撃 すべての企業は金融サービス企業になる ,東洋経済新報社,2022年02月23日,p.30~34
【文献】住宅ローンを組み合わせたマーケティングサービスの実現に向け 株式会社 LIFULL と基本合意契約を締結,株式会社テミクス・データ,2023年06月15日,[online],[令和6年8月9日検索],インターネット<URL:https://www.sbigroup.co.jp/news/pdf/group/2023/0615_b.pdf>
【文献】住宅ローンの必要書類,三井住友銀行,2022年10月01日,[online],[令和6年8月9日検索],インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20221001235610/https://www.smbc.co.jp/kojin/jutaku_loan/shorui/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にするコンピュータシステムであって、前記コンピュータシステムは、
前記ユーザに関する情報を取得する手段であって、前記ユーザに関する情報は、前記ユーザの個人信用情報を少なくとも含み、前記ユーザに関する情報は、前記ユーザの住所を示す情報、前記ユーザの勤務地を示す情報、および前記ユーザの家族構成を示す情報のうちの少なくとも1つをさらに含む、手段と、
前記ユーザの前記資金の借入に関する事前審査の段階において、
物件に関する情報を使用することなく、前記ユーザの前記個人信用情報と、前記ユーザの住所、勤務地、および家族構成のうちの少なくとも1つを示す情報とに少なくとも基づいて、前記ユーザの借入可能額を特定する手段と、
前記事前審査の段階の後、かつ、前記ユーザの前記資金の借入に関する本審査の段階の前の段階において、
前記ユーザの前記借入可能額に少なくとも基づいて、前記ユーザに提示すべき1つ以上の物件を特定する手段と、
前記ユーザの前記借入可能額および前記1つ以上の物件を前記ユーザに提示する手段と
を備えている、コンピュータシステム。
【請求項2】
前記借入可能額は、借入可能上限額を含み、
前記ユーザの前記個人信用情報と、前記ユーザの住所、勤務地、および家族構成のうちの少なくとも1つを示す情報とに少なくとも基づいて、前記ユーザの前記借入可能額を特定することは、前記ユーザの前記個人信用情報と、前記ユーザの住所、勤務地、および家族構成のうちの少なくとも1つを示す情報とに基づいて、前記ユーザの前記借入可能上限額を特定することを含む、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記借入可能額に少なくとも基づいて、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件を特定することは、前記借入可能上限額と、前記ユーザの住所、勤務地、および家族構成のうちの少なくとも1つを示す情報とに基づいて、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件を特定することを含む、請求項2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記借入可能額に少なくとも基づいて、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件を特定することは、前記ユーザの家族構成に対応する間取りまたは専有面積を有する物件、かつ、前記借入可能上限額以下の物件を、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件として、特定することを含む、請求項3に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
前記借入可能額に少なくとも基づいて、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件を特定することは、複数の所定の物件エリアのうちの前記ユーザの住所が属する所定の物件エリア内に位置する物件、かつ、前記借入可能上限額以下の物件を、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件として、特定することを含む、請求項3に記載のコンピュータシステム。
【請求項6】
前記借入可能額に少なくとも基づいて、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件を特定することは、複数の所定の物件エリアのうちの前記ユーザの勤務地が属する所定の物件エリア内に位置する物件、かつ、前記借入可能上限額以下の物件を、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件として、特定することを含む、請求項3に記載のコンピュータシステム。
【請求項7】
前記コンピュータシステムは、前記1つ以上の物件を管理している不動産会社のための管理システムと通信可能なように構成されており、
前記コンピュータシステムは、
前記事前審査の段階の後、かつ、前記本審査の段階の前の段階において、前記1つ以上の物件のうち、前記ユーザによって選択された物件を特定する手段と、
前記事前審査の段階の後、かつ、前記本審査の段階の前の段階において、前記選択された物件を示す情報を前記管理システムに送信する手段と
をさらに備えている、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項8】
前記選択された物件を示す情報を前記管理システムに送信することは、前記選択された物件を示す情報と、前記借入可能額の融資の実行を内定したことを示す審査結果通知とを前記管理システムに送信することを含む、請求項7に記載のコンピュータシステム。
【請求項9】
前記コンピュータシステムは、前記本審査の段階において、
前記選択された物件に関連する前記ユーザの成約を示す情報を受信する手段と、
前記選択された物件に関連する前記ユーザの成約を示す情報を受信したことに応答して、前記選択された物件に関連する前記ユーザの前記資金の借入に関する本審査のための処理を実行する手段と
をさらに備える、請求項7に記載のコンピュータシステム。
【請求項10】
前記コンピュータシステムは、金融機関のためのシステムと通信することが可能なように構成されており、
前記ユーザの前記個人信用情報と、前記ユーザの住所、勤務地、および家族構成のうちの少なくとも1つを示す情報とに少なくとも基づいて、前記ユーザの借入可能額を特定する手段は、
少なくとも前記ユーザの前記個人信用情報と、前記ユーザの住所、勤務地、および家族構成のうちの少なくとも1つを示す情報とを前記金融機関のためのシステムに送信する手段と、
前記金融機関のためのシステムから、前記ユーザの前記個人信用情報と、前記ユーザの住所、勤務地、および家族構成のうちの少なくとも1つを示す情報とに少なくとも基づいて前記金融機関のためのシステムによって算出された前記ユーザの借入可能額を受信する手段と
を含む、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項11】
ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にするコンピュータシステムにおいて実行されるプログラムであって、前記コンピュータシステムは、前記コンピュータシステムの動作を制御するプロセッサ部を備え、
前記プログラムは、前記プロセッサ部によって実行されると、
前記ユーザに関する情報を取得することであって、前記ユーザに関する情報は、前記ユーザの個人信用情報を少なくとも含み、前記ユーザに関する情報は、前記ユーザの住所を示す情報、前記ユーザの勤務地を示す情報、および前記ユーザの家族構成を示す情報のうちの少なくとも1つをさらに含む、ことと、
前記ユーザの前記資金の借入に関する事前審査の段階において、
物件に関する情報を使用することなく、前記ユーザの前記個人信用情報と、前記ユーザの住所、勤務地、および家族構成のうちの少なくとも1つを示す情報とに少なくとも基づいて、前記ユーザの借入可能額を特定することと、
前記事前審査の段階の後、かつ、前記ユーザの前記資金の借入に関する本審査の段階の前の段階において、
前記ユーザの前記借入可能額に少なくとも基づいて、前記ユーザに提示すべき1つ以上の物件を特定することと、
前記ユーザの前記借入可能額および前記1つ以上の物件を前記ユーザに提示することと
を前記プロセッサ部に少なくとも行わせる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にするコンピュータシステムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ローン(例えば、住宅ローン)が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】一般社団法人全国銀行協会、“住宅ローン”、[online]、[令和5年11月21日検索]、インターネット<https://www.zenginkyo.or.jp/article/keywords/5206/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが物件の購入を検討する場合、ユーザが希望する物件の条件や土地探しには長い期間をかけることができる一方で、購入する物件を決定した後の住宅ローンの検討期間(すなわち、どの金融機関から借入するかを検討するための期間、いくら借入するかを検討するための期間)は、比較検討の時間的猶予がないままに物件を決定せざるを得ない状況が多いため、極めて短い。「物件の購入・ローン」という一生に一度の大きな契約にもかかわらず、住宅ローンの検討期間が短いことは、決して良いユーザ体験になっているとはいえない。また、ユーザがどの程度の価格帯の物件を購入することができるのか分からないまま漠然と物件探しをしなければならない実情も存在する。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にするコンピュータシステムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの局面において、本発明のコンピュータシステムは、ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にするコンピュータシステムであり、前記コンピュータシステムは、前記ユーザに関する情報を取得する手段と、前記ユーザに関する情報に少なくとも基づいて、前記ユーザの借入可能額を特定する手段と、前記ユーザの前記借入可能額に少なくとも基づいて、前記ユーザに提示すべき1つ以上の物件を特定する手段と、前記ユーザの前記借入可能額および前記1つ以上の物件を前記ユーザに提示する手段とを備えている。
【0007】
本発明の一実施形態では、前記借入可能額は、借入可能上限額を含み、前記ユーザに関する情報は、前記ユーザの個人信用情報と、前記ユーザの住所を示す情報、前記ユーザの勤務地を示す情報、および前記ユーザの家族構成を示す情報のうちの少なくとも1つとを含み、前記ユーザに関する情報に少なくとも基づいて、前記ユーザの前記借入可能額を特定することは、前記ユーザの前記個人信用情報と、前記ユーザの住所を示す情報、前記ユーザの勤務地を示す情報、および前記ユーザの家族構成を示す情報のうちの少なくとも1つとに基づいて、前記ユーザの前記借入可能上限額を特定することを含んでいてもよい。
【0008】
本発明の一実施形態では、前記借入可能額に少なくとも基づいて、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件を特定することは、前記借入可能上限額と、前記ユーザの住所を示す情報、前記ユーザの勤務地を示す情報、および前記ユーザの家族構成を示す情報のうちの少なくとも1つとに基づいて、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件を特定することを含んでいてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態では、前記借入可能額に少なくとも基づいて、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件を特定することは、前記ユーザの家族構成に対応する間取りまたは専有面積を有する物件、かつ、前記借入可能上限額以下の物件を、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件として、特定することを含んでいてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態では、前記借入可能額に少なくとも基づいて、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件を特定することは、複数の所定の物件エリアのうちの前記ユーザの住所が属する所定の物件エリア内に位置する物件、かつ、前記借入可能上限額以下の物件を、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件として、特定することを含んでいてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態では、前記借入可能額に少なくとも基づいて、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件を特定することは、複数の所定の物件エリアのうちの前記ユーザの勤務地が属する所定の物件エリア内に位置する物件、かつ、前記借入可能上限額以下の物件を、前記ユーザに提示すべき前記1つ以上の物件として、特定することを含んでいてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記1つ以上の物件を管理している不動産会社のための管理システムと通信可能なように構成されており、前記コンピュータシステムは、前記1つ以上の物件のうち、前記ユーザによって選択された物件を特定する手段と、前記選択された物件を示す情報を前記管理システムに送信する手段とをさらに備えていてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態では、前記選択された物件を示す情報を前記管理システムに送信することは、前記選択された物件を示す情報と、前記借入可能額の融資の実行を内定したことを示す審査結果通知とを前記管理システムに送信することを含んでいてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態では、前記ユーザの前記借入可能額は、前記ユーザの借入に関する事前審査において、特定され、前記コンピュータシステムは、前記選択された物件に関連する前記ユーザの成約を示す情報を受信する手段と、前記選択された物件に関連する前記ユーザの成約を示す情報を受信したことに応答して、前記選択された物件に関連する前記ユーザの前記資金の借入に関する本審査のための処理を実行する手段とをさらに備えていてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態では、前記ユーザの前記借入可能額は、物件に関する情報を使用することなく、特定されてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態では、前記コンピュータシステムは、金融機関のためのシステムと通信することが可能なように構成されており、前記ユーザに関する情報に少なくとも基づいて、前記ユーザの借入可能額を特定する手段は、少なくとも前記ユーザに関する情報を前記金融機関のためのシステムに送信する手段と、前記金融機関のためのシステムから、前記ユーザに関する情報に少なくとも基づいて前記金融機関のためのシステムによって算出された前記ユーザの借入可能額を受信する手段とを含んでいてもよい。
【0017】
本発明の1つの局面において、本発明のプログラムは、ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にするコンピュータシステムにおいて実行されるプログラムであり、前記コンピュータシステムは、前記コンピュータシステムの動作を制御するプロセッサ部を備え、前記プログラムは、前記プロセッサ部によって実行されると、前記ユーザに関する情報を取得することと、前記ユーザに関する情報に少なくとも基づいて、前記ユーザの借入可能額を特定することと、前記ユーザの前記借入可能額に少なくとも基づいて、前記ユーザに提示すべき1つ以上の物件を特定することと、前記ユーザの前記借入可能額および前記1つ以上の物件を前記ユーザに提示することとを前記プロセッサ部に少なくとも行わせる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にするコンピュータシステムおよびプログラムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にする新しいビジネスモデルのフローの一例を示す図
【
図2】ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にする新しいビジネスモデルを実現するためのシステム200の構成の一例を示す図
【
図3A】不動産会社データベース部261に格納されている情報の構成の一例を示す図
【
図3B】エリアデータベース部262に格納されている情報の構成の一例を示す図
【
図3C】家族構成データベース部263に格納されている情報の構成の一例を示す図
【
図3D】物件データベース部264に格納されている情報の構成の一例を示す図
【
図4】コンピュータシステム210において実行される処理の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本明細書において用いられる用語を定義する。
【0021】
「個人信用情報」とは、客観的な過去の取引事実の履歴を示す情報をいう。
【0022】
1.ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にする新しいビジネスモデル
出願人は、ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にする新しいビジネスモデルを提案する。この新しいビジネスモデルは、物件の購入に必要なフロー(すなわち、審査、物件探し、借入、物件契約)をワンストップかつシームレスにつなぐことによって、ユーザにとってストレスも歪みもない公平・公正なシステムを提供し、真に満足できる物件の購入計画・購入体験を実現することを企図したものである。この新しいビジネスモデルによれば、ユーザが、物件の購入のために資金の借入をすることが可能な額(以下、「借入可能額」という)の算出を所望の金融機関(例えば、普段利用している金融機関)に事前審査として直接またはこの新しいビジネスモデルを運営する運営会社(例えば、銀行代理業者)を通して依頼し、金融機関が、その依頼に応答して、ユーザが購入することを希望する物件が特定される前に、ユーザの借入可能額を算出し、その借入可能額に見合った物件をユーザに直接または運営会社を通して提示することによって、ユーザは、算出された借入可能額から、借入可能額を含めた手持ちの金額を具体的に把握する(すなわち、購入することができる価格帯または検討すべき価格帯を明確に把握する)ことが可能であり、金融機関および/または運営会社は、ユーザの物件購入を支援することが可能である。これにより、ユーザは、どの物件であれば購入することができるかを正確に知ることが可能である。
【0023】
また、ユーザは、借入可能額だけでなく、その借入可能額に見合った物件も提示されるため、物件探しにスムーズに移行することが可能である。金融機関は、事前審査としてユーザの借入可能額を算出するため、ユーザの借入可能額の融資の実行を内定したことを示す審査結果通知を発行する。ユーザが、提示された物件の中から1つ以上の物件を選択すると、金融機関は、ユーザによって選択された1つ以上の物件を管理している不動産会社に、ユーザに関する情報および審査結果通知を送信し、ユーザは、その不動産会社にアクセスする。これにより、金融機関によって借入が実質的に確約された購入意欲が比較的高いユーザが不動産会社に送客されるため、不動産会社は、物件の成約率を向上させることおよび無駄な広告費を削減することが可能である。
【0024】
金融機関は、不動産会社(または不動産会社およびユーザの両方)からシステム利用料として手数料を受け取ることが可能である。
【0025】
このように、この新しいビジネスモデルによれば、ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能であり、不動産会社は物件の成約率を向上させることおよび無駄な広告費を削減することが可能であり、金融機関は手数料で収益を上げることが可能であることから、三者にとって有益なものである。
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1は、ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にする新しいビジネスモデルのフローの一例を示す。ただし、運営会社(例えば、銀行代理業者)は、ユーザを不動産会社に送客するために必要な情報(例えば、不動産会社が送客を希望する物件・土地・相談営業所に関する情報)を不動産会社から事前に取得しているものとする。また、ユーザを不動産会社に送客するために必要な情報は、運営会社および/または不動産会社によって最新の状態に更新され得る。以下、
図1に示される各ステップを詳しく説明する。
【0028】
ステップS101:ユーザは、運営会社(例えば、銀行代理業者)にアクセスし、ユーザの借入可能額の提示を金融機関に要求する。借入可能額の提示要求は、例えば、ユーザに関する情報を含む。ユーザに関する情報は、例えば、ユーザの職業、年収、家族構成、住所、勤務地などを含むが、これらに限定されない。借入可能額の提示要求は、例えば、ユーザが希望する借入金額(すなわち、ユーザの所望の借入金額)をさらに含み得る。なお、金融機関へのアクセスは、例えば、ユーザが運営会社の窓口を訪問することによって達成されてもよいし、ユーザがネットワークおよび/またはアプリケーションを介してオンラインで達成されてもよい。
【0029】
なお、ステップS101において、ユーザは、本人確認および年収確認のための疎明資料を運営会社に提供する必要があってもよい。これにより、運営会社は、ユーザから提供されたユーザに関する情報が正しいものであるか否かを確認することが可能である。疎明資料は、例えば、健康保険証と源泉徴収票との組み合わせであるが、これに限定されない。
【0030】
ステップS102:運営会社は、ユーザの借入可能額の算出を金融機関に依頼する。このとき、運営会社は、ステップS101において取得されたユーザに関する情報を金融機関に提供する。
【0031】
ステップS103:金融機関は、借入可能額の算出要求を運営会社から受けたことに応答して、ユーザの借入可能額を算出し、算出された借入可能額を運営会社に提供する。ユーザの借入可能額は、ユーザに関する情報に基づいて特定される。ユーザの借入可能額は、例えば、事前審査において算出される。
【0032】
例えば、借入可能額の提示要求が、ユーザが希望する借入金額(すなわち、ユーザの所望の借入金額)をさらに含む場合、ユーザの借入可能額は、ユーザの所望の借入金額であり得、借入可能額の提示要求が、ユーザの所望の借入金額を含まない場合、ユーザの借入可能額は、ユーザが借入することが可能な金額の上限値を示す借入可能上限額であり得る。
【0033】
例えば、金融機関は、初めに、ユーザに関する情報(例えば、ユーザの職業、年収、家族構成、住所、勤務地など)に基づいて、ユーザの借入可能上限額を算出する。ユーザからの借入可能額の提示要求がユーザの所望の借入金額を含む場合には、金融機関は、ユーザの所望の借入金額がユーザの借入可能上限額を下回るか否かを判定し、ユーザの所望の借入金額がユーザの借入可能上限額を下回ると判定された場合には、ユーザの所望の借入金額をユーザの借入可能額をとして特定する。ユーザからの借入可能額の提示要求がユーザの所望の借入金額を含まない場合には、金融機関は、ユーザの算出された借入可能上限額をユーザの借入可能額をとして特定する。
【0034】
ステップS104:運営会社は、算出された借入可能額をユーザに提示する。算出された借入可能額に加えて、運営会社は、算出された借入可能額に基づいて、1つ以上の物件(例えば、特定された借入可能額以下の価格を有する1つ以上の物件)をユーザに提示する。これにより、ユーザは、自身の借入可能額を知るとともに、その借入可能額で購入することが可能な物件の一覧を閲覧することが可能である。なお、ユーザは、物件を提示するための条件を追加および/または変更することによって、提示された物件の一覧を変更することが可能であってもよい。また、ユーザに提示される物件の一覧は、物件の重複がないように(すなわち、同じ物件が複数回登場しないように)表示されてもよい。
【0035】
ステップS105:ユーザは、ユーザが購入することを希望する物件を選択する。ユーザが購入することを希望する物件は、例えば、ユーザの借入可能額に基づいて提示された1つ以上の物件の中から、選択される。ユーザが購入することを希望する物件が選択されると、選択された物件を示す情報が、ユーザから運営会社に提供される。
【0036】
ステップS106:ユーザが購入することを希望する物件がユーザによって選択されたことに応答して、運営会社は、選択された物件を示す情報を、選択された物件を管理している不動産会社に送信する。これにより、不動産会社は、購入意欲が比較的高いユーザが購入を希望している物件を特定することが可能である。このとき、運営会社は、選択された物件を管理している不動産会社を示す情報をユーザに提供し、その不動産会社にアクセスするようにユーザを誘導する。これにより、運営会社は、購入意欲が比較的高いユーザを不動産会社に送客することを実現することが可能である。また、不動産会社は、購入意欲が比較的高いユーザを金融機関から紹介されるため、購入意欲が低いユーザを接客する機会が減り、接客の効率化および広告費の削減を実現することが可能である。
【0037】
また、金融機関は、金融機関がユーザの借入可能額の融資の実行を内定したことを示す審査結果通知を発行してその審査結果通知を運営会社に提供し、運営会社は、その審査結果通知を不動産会社に送信する。これにより、不動産会社は、金融機関による融資のお墨付きを獲得することが可能であり、借入可能額以下の価格の物件をユーザに積極的に提案することが可能である。なお、審査結果通知には、有効期限が設定されていてもよい。
【0038】
ステップS107:ユーザは、ユーザによって選択された物件を管理している不動産会社にアクセスする。これにより、例えば、ユーザは、ユーザによって選択された物件の内見を実施することが可能である。ユーザは、ユーザによって選択された物件を購入することを決断すると、ユーザによって選択された物件の購入について不動産会社と成約し、ユーザによって選択された物件を購入するための手続きを実施する。
【0039】
ステップS106:ユーザによって選択された物件の成約に応答して、不動産会社は、ユーザによって選択された物件に関連するユーザの成約を示す情報を運営会社に送信する。このとき、不動産会社は、運営会社からの送客によって成約に至ったため、手数料を運営会社に支払う。手数料は、例えば、運営会社からの送客があった時点で不動産会社から運営会社に一括で支払われてもよいし、物件の購入の成約に至った時点で初めて不動産会社から運営会社に一括で支払われてもよいし、運営会社からの送客があった時点でその一部が不動産会社から運営会社に支払われ、かつ、物件の購入の成約に至った時点でその残りが不動産会社から運営会社に支払われてもよい。
【0040】
運営会社は、ユーザによって選択された物件に関連するユーザの成約を示す情報を受信したことに応答して、ユーザによって選択された物件に関連するユーザの成約を示す情報を金融機関に送信し、金融機関は、ユーザの物件の購入のための資金の借入に関する本審査を実施する。金融機関は、本審査の結果としてユーザの借入可能額の融資を実行することが正式に決定した場合、ユーザの借入可能額の融資を実行する。
【0041】
ユーザによって選択された物件に関連するユーザの成約が実現した後、運営会社は、成約のインセンティブ(例えば、優遇金利、ポイント、クーポン、キャッシュバックなど)をユーザに提供してもよい。成約のインセンティブの存在は、例えば、ユーザが借入可能額の提示を要求するときに、または、ユーザが購入することを希望する物件を選択するときに、ユーザに通知され得る。これにより、この新しいビジネスモデルを利用した物件購入の成約を後押しすることが可能である。
【0042】
なお、
図1に示される実施形態では、運営会社(例えば、銀行代理業者)と金融機関とが別の組織として説明されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、金融機関が上記の運営会社の業務を担う(すなわち、金融機関と運営会社とが一体化して同一の組織である)ことによってユーザと金融機関とが直接やり取りする実施形態もまた、本発明の範囲内である。
【0043】
2.ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にする新しいビジネスモデルを実現するためのシステムの構成
図2は、ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にする新しいビジネスモデルを実現するためのシステム200の構成の一例を示す。
【0044】
図2に示される実施形態では、システム200は、ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にするコンピュータシステム210と、ユーザによって操作されるユーザ装置220
1~220
Nと、1つ以上の物件を管理している不動産会社のための管理システム230
1~230
Mと、ユーザの借入可能額を特定して融資を実行する金融機関のための金融システム240を備える。コンピュータシステム210は、インターネット250を介して、ユーザ装置220
1~220
Nのそれぞれおよび管理システム230
1~230
Mのそれぞれおよび金融システム240と通信することが可能なように構成されている。なお、金融システム240は、ユーザの個人信用情報を管理している信用情報機関のためのシステム(図示せず)と通信することが可能なようにさらに構成されていてもよい。ここで、N、Mは、1以上の整数である。
【0045】
コンピュータシステム210は、ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にする新しいビジネスモデルを運営する運営会社(例えば、銀行代理業者)のための処理を実行する情報処理システムである。
図2に示される実施形態では、コンピュータシステム210は、インターフェース部211と、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサ部212と、メモリ部213とを備えている。コンピュータシステム210は、情報の入力を受け付けるための入力部(図示せず)をさらに備えていてもよい。コンピュータシステム210のハードウェア構成は、その機能を実現できる限りにおいて特に限定されず、単一のマシンで構成されていてもよく、複数台のマシンを組み合わせて構成されたものであってもよい。
【0046】
インターフェース部211は、ユーザ装置2201~220Nのそれぞれとの通信を制御し、管理システム2301~230Mのそれぞれとの通信を制御し、金融システム240との通信を制御する。
【0047】
メモリ部213には、処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムを実行するために必要とされるデータ等が格納されている。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ部213に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ部213にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、インターネット250などのネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ部213にインストールされるようにしてもよいし、光ディスクやUSBなどの記憶媒体を介してメモリ部213にインストールされるようにしてもよい。
【0048】
プロセッサ部212は、コンピュータシステム210全体の動作を制御する。プロセッサ部212は、メモリ部213に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、コンピュータシステム210は、所望のステップを実行する装置として機能することが可能であり、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、所望の機能を達成する手段として動作することが可能である。
【0049】
図2に示される実施形態では、コンピュータシステム210は、データベース部260に接続されている。データベース部260は、不動産会社データベース部261と、エリアデータベース部262と、家族構成データベース部263と、物件データベース部264とを含む。
【0050】
ユーザ装置2201は、インターネット250を介して、コンピュータシステム210と通信することが可能なように構成されている。ユーザ装置2201は、インターフェース部、プロセッサ部、メモリ部、表示部、および入力部を備え得る。例えば、ユーザ装置2201は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の携帯無線端末であってもよいし、ラップトップPC、ノートPC等のパーソナルコンピュータであってもよい。ユーザ装置2202~220Nについても同様である。
【0051】
管理システム2301は、インターネット250を介して、コンピュータシステム210と通信することが可能なように構成されている。管理システム2301は、不動産会社のための処理を実行するように構成される。管理システム2301は、例えば、コンピュータシステム210と同様の構成を有し得る。管理システム2302~230Mについても同様である。
【0052】
金融システム240は、インターネット250を介して、コンピュータシステム210と通信することが可能なように構成されている。金融システム240は、金融機関のための処理を実行するように構成されている。金融システム240は、例えば、コンピュータシステム210と同様の構成を有し得る。
【0053】
なお、
図2に示される実施形態では、ユーザ装置220
1~220
Nのそれぞれおよび管理システム230
1~230
Mのそれぞれがインターネット250を介してコンピュータシステム210と通信可能であると説明したが、本発明はこれに限定されない。インターネット250の代わりに任意のタイプのネットワークを用いることも可能である。
【0054】
また、
図2に示される実施形態では、データベース部260は、コンピュータシステム210の外部に設けられているが、本発明はこれに限定されない。データベース部260をコンピュータシステム210の内部に設けることも可能である。データベース部260の構成は、特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、データベース部260は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。例えば、データベース部260は、コンピュータシステム210の単一の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよい。さらに、データベース部260に含まれる各データベース部の構成もまた特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、データベース部260に含まれる各データベース部もまた、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。
【0055】
また、
図2に示される実施形態では、コンピュータシステム210が金融機関のためのシステム(図示せず)と通信する例が説明されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、運営会社(例えば、銀行代理業者)のためのシステムおよび金融機関のためのシステムをまとめてコンピュータシステム210とする実施形態もまた、本発明の範囲内であり、コンピュータシステム210が運営会社(例えば、銀行代理業者)のための処理と金融機関のための処理との両方を実行するように構成されている実施形態もまた、本発明の範囲内である。
【0056】
図3Aは、不動産会社データベース部261に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0057】
不動産会社データベース部261には、不動産会社に関する情報が格納されている。不動産会社に関する情報は、不動産会社を識別するための情報(不動産会社ID)によって識別されることが可能である。不動産会社に関する情報は、例えば、不動産会社の名称、所在地、電話番号、Eメールアドレスなどを含む。
【0058】
図3Bは、エリアデータベース部262に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0059】
エリアデータベース部262には、複数の所定のエリアのうちの各エリアに関する情報が格納されている。エリアに関する情報は、エリアを識別するための情報(エリアID)によって識別されることが可能である。エリアに関する情報は、例えば、エリアを画定するための情報、エリアの特徴を示す情報などを含む。エリアを画定するための情報は、例えば、各地方の境界を示す情報であってもよいし、都道府県の境界を示す情報であってもよいし、市区町村の境界を示す情報であってもよい。
【0060】
図3Cは、家族構成データベース部263に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0061】
家族構成データベース部263には、家族構成と間取りおよび専有面積との対応関係を示す情報が格納されている。
図3Cに示される例では、家族構成「大人1人」が、間取り「1R,1K,1DK,1LDK」に対応しており、かつ、専有面積「20m
2以上」に対応している。また、家族構成「大人2人」が、間取り「1DK,1LDK,2DK,2LDK」に対応しており、かつ、専有面積「30m
2以上」に対応している。また、家族構成「大人2人,子供1人」が、間取り「2DK,2LDK,3DK,3LDK」に対応しており、かつ、専有面積「40m
2以上」に対応している。また、家族構成「大人2人,子供2人」が、間取り「3DK,3LDK,4DK,4LDK」に対応しており、かつ、専有面積「50m
2以上」に対応している。
【0062】
図3Dは、物件データベース部264に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0063】
物件データベース部264には、物件に関する情報が格納されている。物件に関する情報は、物件を識別するための情報(物件ID)によって識別されることが可能である。物件に関する情報は、物件IDによって識別される物件を管理している不動産会社を識別するための情報(不動産会社ID)に関連付けられている。また、物件に関する情報は、物件IDによって識別される物件が位置しているエリアを識別するための情報(エリアID)に関連付けられている。物件に関する情報は、例えば、物件の所在地、アクセス方法、構造、価格、間取り、専有面積、設備に関する情報などを含む。
【0064】
3.コンピュータシステムにおいて実行される処理
図4は、コンピュータシステム210において実行される処理の一例を示す。
図4に示される各ステップは、例えば、コンピュータシステム210のプロセッサ部212によって実行される。以下、
図4に示される各ステップを説明する。
【0065】
ステップS401:ユーザに関する情報が、取得される。この処理は、例えば、コンピュータシステム210のプロセッサ部212が、コンピュータシステム210のインターフェース部211を通して、ユーザ装置2201から、ユーザに関する情報を受信することによって、達成され得る。あるいは、この処理は、例えば、コンピュータシステム210のプロセッサ部212が、コンピュータシステム210の入力部を通して、ユーザに関する情報を示す入力を受信することによって、達成され得る。
【0066】
ユーザに関する情報は、例えば、ユーザの氏名、職業、年収、家族構成、住所、勤務地、個人信用情報などを含むが、これらに限定されない。ユーザの氏名、職業、年収、家族構成、住所、および勤務地を示す情報は、ユーザ装置2201から受信され得る。ユーザの個人信用情報は、ユーザの個人信用情報を管理している信用情報機関のための処理を実行するシステムから受信され得る。
【0067】
ユーザが希望する借入額が存在する場合、ユーザに関する情報は、ユーザが希望する借入額(すなわち、希望借入額)をさらに含み得る。ユーザの希望借入額を示す情報は、ユーザ装置2201から受信され得る。
【0068】
ステップS402:ユーザの借入可能額が、特定される。ユーザの借入可能額は、ステップS401において取得されたユーザに関する情報に少なくとも基づいて、特定される。ユーザの借入可能額は、物件に関する情報を使用することなく、特定される。ユーザの借入可能額は、ユーザの借入に関する事前審査において、特定される。ユーザの借入可能額は、ユーザの借入可能上限額またはユーザの希望借入額であり得る。
【0069】
例えば、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ステップS401において取得されたユーザに関する情報を金融機関のためのシステムに送信し、金融機関のためのシステムから、ユーザの借入可能額を示す情報を受信することによって、ユーザの借入可能額を特定することが可能である。
【0070】
なお、上述した実施形態では、コンピュータシステム210が金融機関のための処理を実行するように構成されていない例を説明したが、本発明はこれに限定されない。コンピュータシステム210が運営会社(例えば、銀行代理業者)のための処理と金融機関のための処理との両方を実行するように構成されている場合、例えば、ステップS402において、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ステップS401において取得されたユーザに関する情報に少なくとも基づいてユーザの借入可能上限額を算出することによって、ユーザの借入可能上限額に基づいてユーザの借入可能額を特定することが可能である。
【0071】
例えば、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ステップS401において取得されたユーザに関する情報がユーザの希望借入額を含むか否かを判定し、ステップS401において取得されたユーザに関する情報がユーザの希望借入額を含まないと判定された場合には、ユーザの借入可能上限額をユーザの借入可能額として特定する。
【0072】
また、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ステップS401において取得されたユーザに関する情報がユーザの希望借入額を含むと判定される場合には、ユーザの希望借入額がユーザの借入可能上限額以下であるか否かを判定し、ユーザの希望借入額がユーザの借入可能上限額以下であると判定される場合には、ユーザの希望借入額をユーザの借入可能額として特定し、ユーザの希望借入額がユーザの借入可能上限額以下ではないと判定された場合には、ユーザの借入可能上限額をユーザの借入可能額として特定する。
【0073】
ユーザの借入可能上限額は、ユーザに関する情報(例えば、ユーザの職業、年収、家族構成、住所、勤務地など)に基づいて、算出され得る。例えば、ユーザの借入可能上限額は、ユーザの個人信用情報と、ユーザの住所を示す情報、ユーザの勤務地を示す情報、およびユーザの家族構成を示す情報のうちの少なくとも1つとに基づいて、(ユーザの年収)×(定数)×(個人信用情報に起因する重み付け)、または、(ユーザの年収)×(定数)×(個人信用情報に起因する重み付け)×(職業および/または家族構成に起因する重み付け)によって算出され得るが、これに限定されない。ここで、定数は、例えば、1/3、1/4、1/5などであるが、これらに限定されない。
【0074】
ステップS403:ユーザに提示すべき1つ以上の物件が特定される。ユーザに提示すべき1つ以上の物件は、ステップS402において特定されたユーザの借入可能額に基づいて、特定される。例えば、ステップS402において特定されたユーザの借入可能額以下の価格を有する物件が、ユーザに提示すべき1つ以上の物件として特定されてもよい。あるいは、ステップS402において特定されたユーザの借入可能額から所定の範囲内の価格(例えば、ユーザの借入可能額×110%以下の価格)を有する物件が、ユーザに提示すべき1つ以上の物件として特定されてもよい。
【0075】
例えば、ユーザに提示すべき1つ以上の物件は、ステップS402において特定されたユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)と、ユーザの住所を示す情報、ユーザの勤務地を示す情報、およびユーザの家族構成を示す情報のうちの少なくとも1つとに基づいて、特定されてもよい。
【0076】
具体的には、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)とユーザの家族構成を示す情報とに基づいて、ユーザの家族構成に対応する間取りまたは専有面積を有する物件、かつ、ユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)以下の価格を有する物件を、ユーザに提示すべき1つ以上の物件として、特定してもよい。この処理は、家族構成データベース部263および物件データベース部264を参照して実行され得る。
【0077】
あるいは、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)とユーザの住所を示す情報とに基づいて、複数の所定の物件エリアのうちのユーザの住所が属する所定の物件エリア内に位置する物件、かつ、ユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)以下の価格を有する物件を、ユーザに提示すべき1つ以上の物件として、特定してもよい。この処理は、エリアデータベース部262および物件データベース部264を参照して実行され得る。あるいは、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)とユーザの住所を示す情報とに基づいて、ユーザの住所から半径○○キロメートル以内に位置する物件、かつ、ユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)以下の価格を有する物件を、ユーザに提示すべき1つ以上の物件として、特定してもよい。この処理は、物件データベース部264を参照して実行され得る。なお、○は、数値を表し得る。
【0078】
あるいは、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)とユーザの勤務地を示す情報とに基づいて、複数の所定の物件エリアのうちのユーザの勤務地が属する所定の物件エリア内に位置する物件、かつ、ユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)以下の価格を有する物件を、ユーザに提示すべき1つ以上の物件として、特定してもよい。この処理は、エリアデータベース部262および物件データベース部264を参照して実行され得る。あるいは、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)とユーザの勤務地を示す情報とに基づいて、ユーザの勤務先住所から半径○○キロメートル以内に位置する物件、かつ、ユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)以下の価格を有する物件を、ユーザに提示すべき1つ以上の物件として、特定してもよい。この処理は、物件データベース部264を参照して実行され得る。あるいは、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)とユーザの勤務地を示す情報とに基づいて、ユーザの勤務先住所までの通勤時間が○○分以内である物件、かつ、ユーザの借入可能額(例えば、ユーザの借入可能上限額)以下の価格を有する物件を、ユーザに提示すべき1つ以上の物件として、特定してもよい。この処理は、物件データベース部264を参照して実行され得る。なお、○は、数値を表し得る。
【0079】
ステップS404:ステップS402において特定されたユーザの借入可能額、および、ステップS403において特定された1つ以上の物件が、ユーザに提示される。この処理は、例えば、ユーザの借入可能額を示す情報および1つ以上の物件を示す情報をユーザ装置2201に送信することによって、達成され得る。
【0080】
ステップS401において取得されたユーザに関する情報がユーザの希望借入額を含み、かつ、ユーザの希望借入額がユーザの借入可能上限額以下である場合には、ユーザの希望借入額およびユーザの借入可能上限額の両方が、ユーザの借入可能額としてユーザに提示されてもよい。これにより、ユーザは、ユーザの希望借入額を上回る借入可能上限額を知ることが可能であり、結果として物件探しの幅・選択肢を広げることが可能である。
【0081】
ユーザは、条件を追加または変更することによって、提示される1つ以上の物件の情報を変更してもよい。例えば、ユーザは、条件を追加することによって、提示された1つ以上の物件の中から物件がさらに絞り込んで表示されるようにしてもよい。
【0082】
ステップS405:ユーザによって選択された物件が、特定される。この処理は、例えば、ユーザ装置2201から、ユーザによって選択された物件を示す情報を受信することによって、達成され得る。ユーザによって選択された物件は、例えば、ステップS404において提示された1つ以上の物件の中から選択されたものであり得る。
【0083】
ステップS406:ユーザによって選択された物件を示す情報が、ユーザによって選択された物件を管理している不動産会社の管理システムに送信される。この処理は、物件データベース部264を参照して実行され得る。また、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザに関する情報(例えば、ユーザの氏名、住所、Eメールアドレス、職業、年収、家族構成、住所、勤務地)およびユーザの借入可能額をその不動産会社の管理システム2301にさらに送信する。これにより、ユーザによって選択された物件を管理している不動産会社は、ユーザが送客されて来る事実と、そのユーザが関心を寄せている物件とを把握することが可能である。
【0084】
例えば、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザの借入可能額の融資の実行を内定したことを示す審査結果通知の発行を金融機関のためのシステムに依頼し、金融機関のためのシステムから、ユーザの借入可能額の融資の実行を内定したことを示す審査結果通知を受信し、その審査結果通知をその不動産会社の管理システムにさらに送信してもよい。
【0085】
なお、上述した実施形態では、コンピュータシステム210が金融機関のための処理を実行するように構成されていない例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、コンピュータシステム210が運営会社(例えば、銀行代理業者)のための処理と金融機関のための処理との両方を実行するように構成されている場合、ステップS406において、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザの借入可能額の融資の実行を内定したことを示す審査結果通知を発行し、その審査結果通知をその不動産会社の管理システムにさらに送信してもよい。ユーザの借入可能額の融資の実行を内定したことを示す審査結果通知には、有効期限が設定されており、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、審査結果通知の有効期限をその不動産会社の管理システムにさらに通知してもよい。
【0086】
ステップS407:ユーザが、ユーザによって選択された物件の購入を決断し、その物件の購入の成約に至ると、ユーザによって選択された物件に関連するユーザの成約を示す情報が、受信される。ユーザによって選択された物件に関連するユーザの成約を示す情報は、例えば、ユーザによって選択された物件を管理している不動産会社の管理システムから受信される。
【0087】
ステップS408:ユーザによって選択された物件に関連するユーザの成約を示す情報を受信したことに応答して、ユーザの物件の購入のための資金の借入に関する本審査のための処理が、実行される。
【0088】
例えば、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザの物件の購入のための資金の借入に関する本審査のための処理として、ユーザによって選択された物件に関連するユーザの成約を示す情報と、ユーザの個人信用情報および/またはユーザによって選択された物件に関する情報とを金融システム240に送信する。これにより、金融システム240は、ユーザによって選択された物件に関連するユーザの成約を示す情報と、ユーザの個人信用情報および/またはユーザによって選択された物件に関する情報とに基づいて、ユーザの物件の購入のための資金の借入に関する本審査を実施することが可能である。
【0089】
なお、上述した実施形態では、コンピュータシステム210が金融機関のための処理を実行するように構成されていない例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、コンピュータシステム210が運営会社(例えば、銀行代理業者)のための処理と金融機関のための処理との両方を実行するように構成されている場合、ステップS408において、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザの物件の購入のための資金の借入に関する本審査を実施する。この処理は、例えば、ユーザの個人信用情報、および/または、ユーザによって選択された物件に関する情報に基づいて、実行され得る。例えば、ユーザの物件の購入のための資金の借入に関する本審査を実施することは、ユーザの個人信用情報に基づいて、ユーザの借入可能額の継続的な返済が可能であるか否かを判定することを含み得る。ユーザの借入可能額の継続的な返済が可能であるか否かを判定することは、例えば、ユーザの過去の返済滞納回数が所定の回数未満であるか否かを判定し、ユーザの過去の返済滞納回数が所定の回数未満である場合には、ユーザの借入可能額の継続的な返済が可能であると判定することを含む。また、例えば、ユーザの物件の購入のための資金の借入に関する本審査を実施することは、ユーザによって選択された物件に関する情報に基づいて、ユーザによって選択された物件の担保価値が十分であるか否かを判定することを含み得る。
【0090】
また、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザの物件の購入のための資金の借入に関する本審査の結果に基づいて、ユーザの借入可能額の融資を実行するか否かを判定する。コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、本審査の結果としてユーザの借入可能額の融資を実行すると判定された場合、ユーザの借入可能額の融資を実行するための処理を実行する。
【0091】
なお、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ユーザの物件の購入のための資金の借入に関する本審査のための処理を実行するとともに、または、ユーザの物件の購入のための資金の借入に関する本審査のための処理を実行した後に、物件購入の成約のインセンティブ(例えば、優遇金利、ポイント、クーポン、キャッシュバックなど)をユーザに提供するための処理を実行してもよい。
【0092】
なお、ステップS401において取得されたユーザに関する情報は、ユーザが希望する物件種別(例えば、注文住宅、新築マンション、新築戸建て、中古マンション、中古戸建て)をさらに含んでいてもよい。ステップS401において取得されたユーザに関する情報が、「注文住宅」を示す物件種別を含む場合、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ステップS402において特定された借入可能額に基づいて、ユーザに提示すべきハウスメーカーまたは不動産会社を特定してもよい。例えば、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ステップS402において特定された借入可能額を下回る閾値と関連付けられるハウスメーカーまたは不動産会社を、ユーザに提示すべきハウスメーカーまたは不動産会社として特定し得る。なお、ハウスメーカーまたは不動産会社と閾値との間の対応関係は、データベース部260内に格納されていてもよい。この場合、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、特定されたユーザに提示すべきハウスメーカーまたは不動産会社をユーザに提示し、ユーザによって選択されたハウスメーカーまたは不動産会社を示す情報をユーザ装置2201から受信し、ユーザによって選択されたハウスメーカーまたは不動産会社にユーザに関する情報を提供することによって、ユーザによって選択されたハウスメーカーまたは不動産会社にユーザを送客することを実現してもよい。また、ステップS401において取得されたユーザに関する情報が、希望のテイストおよび工法に関する情報を含む場合、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、ステップS402において特定された借入可能額と、希望のテイストおよび工法に関する情報とに基づいて、ユーザに提示すべきハウスメーカーまたは不動産会社を特定してもよい。なお、ハウスメーカーまたは不動産会社と希望のテイストおよび工法との間の対応関係は、データベース部260内に格納されていてもよい。
【0093】
なお、
図4に示される実施形態では、メモリ部に格納されたプログラムをプロセッサ部が実行することによって、
図4に示される各ステップの処理が実現される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
図4に示される各ステップのうちの少なくとも一部の処理が制御回路などのハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0094】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にするコンピュータシステムおよびプログラム等を提供するものとして有用である。
【符号の説明】
【0096】
200 システム
210 コンピュータシステム
2201~220N ユーザ装置
2301~230M 管理システム
250 インターネット
260 データベース部
【要約】
【課題】ユーザが物件の購入のための資金計画から物件の購入までスムーズに進めることを可能にするコンピュータシステムを提供すること。
【解決手段】本発明のコンピュータシステムは、ユーザに関する情報を取得する手段と、ユーザに関する情報に少なくとも基づいて、ユーザの借入可能額を特定する手段と、借入可能額に少なくとも基づいて、ユーザに提示すべき1つ以上の物件を特定する手段と、ユーザの借入可能額および1つ以上の物件をユーザに提示する手段とを備えている。
【選択図】
図1