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特許7611437非燃焼系エアロゾル供給システムで使用される粒子の集団
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-25
(45)【発行日】2025-01-09
(54)【発明の名称】非燃焼系エアロゾル供給システムで使用される粒子の集団
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/16 20200101AFI20241226BHJP
   A24B 15/42 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A24B15/16
A24B15/42
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024018363
(22)【出願日】2024-02-09
(62)【分割の表示】P 2022538092の分割
【原出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2024050877
(43)【公開日】2024-04-10
【審査請求日】2024-03-06
(31)【優先権主張番号】1918973.7
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー、チェルシー エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィーズ、アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】カビラット、ジュニア
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-509730(JP,A)
【文献】特開昭60-252699(JP,A)
【文献】特表2018-515119(JP,A)
【文献】特表2019-501667(JP,A)
【文献】特表2019-512219(JP,A)
【文献】特表2005-523715(JP,A)
【文献】特表2020-533003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/16
A24B 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非燃焼系エアロゾル供給システムで使用される粒子の集団であって、各粒子は、(i)結合剤と、(ii)シリカ、ケイ酸塩、珪藻土およびゼオライトから選択される1種以上の成分を含む吸収剤と、(iii)エアロゾル発生材とを含み、
該粒子の集団は、約0.5g・cm-3~約1.1g・cm-3の嵩密度を有するまたは中央粒径D50は、約1mm~約2mmの間にある粒子の集団。
【請求項2】
吸収剤の比表面積は、少なくとも400m /g、少なくとも450m /gまたは500m /gであることを特徴とする請求項1記載の粒子の集団。
【請求項3】
前記エアロゾル発生材はエアロゾル形成材を含むことを特徴とする請求項1または2記載の粒子の集団。
【請求項4】
エアロゾル発生材は吸収性材料に吸収されている液体であることを特徴とする請求項3記載の粒子の集団
【請求項5】
前記エアロゾル発生材は活性物質および/または風味料を含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の記載の粒子の集団。
【請求項6】
前記結合剤は、セルロースまたはセルロース誘導体、好適には微結晶セルロースを含むことを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の粒子の集団。
【請求項7】
吸収剤の結合剤に対する重量比が約1:1~2:1の間にあることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の粒子の集団。
【請求項8】
前記エアロゾル発生材は、前記粒子の総重量に対して、約50重量%~90重量%の量で存在することを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の粒子の集団。
【請求項9】
中央粒径D50が約1mm~約2mmの間にあることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の粒子の集団。
【請求項10】
該粒子の集団は、約1.25未満のハウスナー比値を有することを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の粒子の集団。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか1項記載の粒子の集団を含む非燃焼系エアロゾル供給システムで使用されるカートリッジ。
【請求項12】
該カートリッジが約80個~120個の粒子を含むことを特徴とする請求項11記載のカートリッジ。
【請求項13】
請求項1乃至10いずれか1項記載の粒子の集団と、エアロゾル発生器とを含む非燃焼系エアロゾル供給システムであって、該エアロゾル発生器は、使用時に前記エアロゾル発生材の1種以上の成分をエアロゾル化するように構成されている非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項14】
前記エアロゾル発生器は、使用時に前記粒子を最高温度約250℃未満に加熱するように構成されたヒーターを含むことを特徴とする請求項13記載の非燃焼系エアロゾル供給システム。
【請求項15】
請求項1乃至10いずれか1項記載の粒子の集団の製造方法であって、
i)結合剤、(ii)シリカ、ケイ酸塩、珪藻土およびゼオライトから選択される1種以上の成分を含む吸収剤、および(iii)エアロゾル発生材を組み合わせてスラリーを形成する工程と、
このスラリーを押出して押出物を形成する工程と、
この押出物を球形化して粒子の集団を形成する工程と
を含む粒子の集団の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非燃焼系エアロゾル供給システムで使用される粒子の集団、非燃焼系エアロゾル供給システムで使用されるカートリッジ、および非燃焼系エアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タバコ、葉巻などの喫煙用品は、使用中にタバコを燃やしてタバコの煙を発生させる。これらの可燃性製品の代替品として、エアロゾル発生物質から化合物を放出し、典型的には燃焼させずに加熱することで吸入可能なエアロゾルまたは蒸気を発生させる非燃焼系エアロゾル供給システムが提供されている。
【0003】
非燃焼系エアロゾル供給システムの一例は、電子タバコまたはe-シガレットとしても知られる電子蒸気供給システムである。これらは一般に、気化されて吸入可能なエアロゾルを生成する液体の容器を含む。この液体は典型的にはニコチンを含む。ユーザーがデバイスで吸入すると、ヒーターが作動して少量の液体を気化させ、ユーザーはそれを吸入する。
【0004】
現在のベイピング製品は、エアロゾルを発生させるヒーターに吸わせた液体を使用し、このエアロゾルは例えばニコチンや風味料を供給する。現在e-シガレットの処方は典型的には、液体中のエアロゾル形成剤としてグリセロールおよび/またはプロピレングリコールを使用する。これらのシステムでは、保管および取り扱い中に、デバイスおよびボトルの両方で液体が漏れる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様では本発明は、非燃焼系エアロゾル供給システムで使用される粒子の集団を提供し、各粒子は、(i)結合剤と、(ii)シリカまたはケイ酸塩を含む吸収剤と、(iii)エアロゾル発生材とを含み、該粒子の集団は、約0.5g・cm-3~約1.1g・cm-3の嵩密度を有する。
【0006】
本発明の第2の態様は、非燃焼系エアロゾル供給システムで使用される粒子の集団を提供し、各粒子は、(i)結合剤と、(ii)シリカまたはケイ酸塩を含む吸収剤と、(iii)エアロゾル発生材とを含み、中央粒径D50は、約1mm~約2mmの間にある。
【0007】
本発明の第3の態様は非燃焼系エアロゾル供給システムで使用されるカートリッジを提供し、該カートリッジは第1または第2の態様による粒子の集団を含む。
【0008】
本発明の第4の態様は、第1または第2の態様による粒子の集団と、エアロゾル発生器とを含む非燃焼系エアロゾル供給システムを提供し、該エアロゾル発生器は、使用時にエアロゾル発生材の1種以上の成分をエアロゾル化するように構成されている。場合によっては該システムは、粒子の集団を含む第3の態様のカートリッジを含んでもよい。
【0009】
本発明の第5の態様は第1の態様の粒子の集団の製造方法を提供し、この方法は(i)結合剤、(ii)シリカまたはケイ酸塩を含む吸収剤、および(iii)エアロゾル発生材を組み合わせてスラリーを形成することと、スラリーを押し出して押出物を形成することと、押出物を球形化して粒子の集団を形成することとを含む。
【0010】
一態様に関連して本明細書に記載された構成は、それらが互換可能な範囲において、他の各態様と組み合わせて本明細書に明示的に開示される。特に、第1または第2の態様に関連して述べた粒子または粒子の構成は、それらが組み合わせ可能である範囲において、第1および第2の態様のうちの他と組み合わせて、本明細書に明示的に開示される。
【0011】
本発明のさらなる構成および利点は、例としてのみ与えられる、添付図面を参照してなされる本発明の好ましい実施態様は以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による粒子のSEM像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述のように、場合によっては本発明は非燃焼系エアロゾル供給システムに使用される粒子の集団を提供する。各粒子は、(i)結合剤と、(ii)シリカまたはケイ酸塩を含む吸収剤と、(iii)エアロゾル発生材とを含み、前記粒子は、約0.5g・cm-3~約1.1g・cm-3の嵩密度を有する。
【0014】
粒子はエアロゾル発生物質を捕捉し、保管中(使用前)および/または非燃焼系エアロゾル供給システム内でのその物質の漏出を最小限に抑える。
【0015】
嵩密度とは、自由に流動させ、落ち着かせたときの集団の密度である(即ち、任意の粒子の密度ではなく、集団全体としての密度である)。
【0016】
特定された嵩密度および材料は、粒子剛性、流動性、吸収能力(特に親水性物質に対する)、表面積およびエアロゾル放出特性、粒子が使用中に晒される可能性のある温度に対する耐性、および毒性のうちの1つ以上(ただしこれらに限定されない)を含む様々な特性の良好なバランスを確保する。これらの構成の好適な例は、後述するが、これらの特性のバランスをさらに最適化する。
【0017】
場合によっては嵩密度は、約0.6g・cm-3~0.9g・cm-3の間であってもよく、好適には約0.7g・cm-3~0.8g・cm-3の間であってもよい。
【0018】
場合によっては平均粒子重量は、約0.2mg~6mgの間であってもよく、好適には約1mg~約4mg、最も好適には約1.5mg~約3mgの間であってもよい。場合によっては平均粒子重量は、約2mg~約2.5mgの間であってもよい。
【0019】
場合によっては結合剤は、セルロースまたはセルロース誘導体、好適にはカルボキシメチルセルロースおよび/または微結晶セルロースを含む。場合によっては結合剤は微結晶セルロースを含むか微結晶セルロースからなる。
【0020】
場合によっては吸収剤は、シリカ、珪藻土およびゼオライトから選択される1種以上の成分を含む。場合によっては吸収剤は、シリカを含むかシリカからなる。場合によっては粒子の吸収剤成分の比表面積は、少なくとも約400m/g、好適には少なくとも約450m/gまたは500m/gである。
【0021】
場合によっては吸収剤の結合剤に対する重量比は、約1:1~2:1の間である。場合によっては吸収剤の結合剤に対する重量比は、約1.3:1、1.4:1または約1.5:1~約1.9:1または1.8:1である。場合によっては吸収剤の結合剤に対する重量比は、約1.7:1である。
【0022】
場合によっては粒子の最大寸法は、約1mm~2mmである。場合によっては粒子は実質的に球状であってもよい。(「最大寸法」なる用語は、粒子表面の任意の点から、同じ粒子の任意の他の表面点までの最長直線距離を意味する)。
【0023】
場合によっては粒子は、粒子の総重量基準で、約10重量%未満の水、好適には約6重量%未満、5重量%未満または4重量%未満の水を含んでもよい。
【0024】
エアロゾル発生材は、例えば、加熱、照射、または他の方法でエネルギーを与えられるとエアロゾルを発生させることが可能な材料である。エアロゾル発生材は、例えば、活性物質および/または風味剤を含んでも含まなくてもよい固体、液体またはゲルの形態であってよい。好適な場合には、エアロゾル発生材は液体であり、これは吸収性材料に吸収されている。
【0025】
エアロゾル発生材は、1種以上の活性物質および/または風味料、1種以上のエアロゾル形成材、および必要なら1種以上の他の機能性材料を含んでもよい。1種以上の他の機能性材料は、例えば、pH調整剤、着色剤、保存料、結合剤、充填剤、安定剤、および/または酸化防止剤のうちの1種以上を含んでもよい。
【0026】
場合によってはエアロゾル発生材は、エアロゾル形成材を含む。場合によってはエアロゾル形成材は、グリセロール、プロピレングリコール、水およびそれらの混合物を含むか、それらからなる。
【0027】
場合によってはエアロゾル発生材は、活性物質および/または風味料を含む。場合によってはエアロゾル発生材は、活性物質を含み、活性物質は、ニコチンを含むか、ニコチンからなる。
【0028】
場合によってはエアロゾル発生材は、粒子の総重量基準で、約50重量%~90重量%、好適には約50重量%、60重量%または65重量%~約90重量%、80重量%または75重量%までの量で存在する。場合によってはエアロゾル発生材は、粒子の総重量を基準にして、約70重量%の量で存在する。
【0029】
場合によっては中央粒径(D50)は、約1mm~約2mmの間にある。D50値は、分級により決定される場合があり、したがって、各粒子の最大寸法に関連する。この粒径は、良好な取り扱い性を提供し、このサイズの粒子は、形成されたエアロゾルによって容易に搬送されることはない。さらにエアロゾルで搬送されたとしても、ユーザーの口を通過することはなく、したがって肺に入ることはない。場合によっては粒子は、実質的に球状であるかも知れない。
【0030】
場合によっては粒子の集団は、少なくとも約0.7g・cm-3のタップ密度を有する。場合によっては粒子は、約1.25未満、好適には約1.2未満、1.15未満、1.10未満または1.05未満のハウスナー比値を有する。このように、粒子の集団は流動性がよく、取り扱いが容易である。(タップ密度および嵩密度は、TD1タップ密度試験機(SOTAX社製)を用いて測定できる。すべての測定にUSP 2法を用いることができ
る。)。ある特定の場合、粒子の集団は、嵩密度が0.78g・cm-3で、タップ密度が0.8g・cm-3であり、1.026のハウスナー比を供する。
【0031】
場合によっては本発明は非燃焼系エアロゾル供給システムで使用される粒子の集団を提供し、該粒子は、(i)結合剤と、(ii)シリカまたはケイ酸塩を含む吸収剤と、(iii)エアロゾル発生材とを含み、中央粒径D50は、約1mm~約2mmの間にある。
【0032】
粒子は、当技術分野で知られている任意の適切な方法で製造することができる。一例として
i) 粒子の成分、例えばプロピレングリコールおよび/またはグリセリン、シリカ、および微結晶性セルロースを、任意に水および/または活性物質および/または風味料と一緒に、低せん断下で混合してスラリーを形成させる、
ii) スラリーを、1mmのダイを備えた低圧押出システムで押し出す、
iii) 押出物を球形化(100~120RPM)し、直径約1~2mmのビーズを
形成する。
【0033】
消耗品またはカートリッジ
場合によっては本発明は非燃焼系エアロゾル供給システムで使用されるカートリッジを提供する。該カートリッジはそのような粒子の集団を含む。これは、本明細書において消耗品と呼ばれることがある。
【0034】
場合によってはカートリッジは、そこに含まれるエアロゾル発生材が消費された後に捨てられる使い捨て品であってもよい。他の場合、カートリッジは、消費後でその後の使用の前に、新しい粒子の集団で再充填可能であってもよい。
【0035】
場合によってはカートリッジは、約80個~120個の粒子を含む。好適にはカートリッジは約90個~110個の粒子を含み、最も好適には約100個の粒子を含む。
【0036】
場合によってはカートリッジ内の粒子は、約20mg~600mg、好適には約100mg~約400mg、最も好適には約150mg~約300mgの総質量を有していてもよい。場合によっては粒子は、約200mg~約250mgの総重量を有していてもよい。
【0037】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給デバイスと共に使用されるカートリッジは、エアロゾル発生材、エアロゾル発生材貯蔵部、エアロゾル発生材移送部材、エアロゾル発生器、エアロゾル発生領域、ハウジング、フィルター、マウスピースおよび/またはエアロゾル変性剤のうちの1つ以上を含んでいてもよい。
【0038】
カートリッジは、その中に画定されたチェンバー内に粒子の集団を保持する任意の適切な材料から形成することができる。カートリッジは、気流がカートリッジを通ることができるように構成される。場合によってはカートリッジは、金属、セラミック、プラスチック、または紙から形成されてもよい。場合によってはカートリッジは、気流がカートリッジを通るようにするためにその中に開口部を有する端壁と、端壁を接続する実質的に不透過性の側壁で構成されてもよい。場合によってはカートリッジは、空気がカートリッジを通って流れ込むようにする多孔質材料で形成されてもよい。そのような場合、エアロゾルが多孔質材料の孔を通過することなくカートリッジから出るようにする(それにより、多孔質材料によるいかなるろ過も回避する)ために、一方の壁に開口部があってもよい。他の態様では、カートリッジは、メッシュなどで形成されてもよい。このような材料は軽量のため有利であり、エアロゾル発生器と粒子との間に部分的な物理的障壁しかない場合、粒子を揮発させることがより容易となる可能性がある。
【0039】
非燃焼系エアロゾル供給システム
場合によっては本発明は非燃焼系エアロゾル供給システムを提供する。本開示によれば、「非燃焼系」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの少なくとも1つの物質の送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル発生材を燃焼させないまたは燃やさないシステムである。
【0040】
本発明の非燃焼系エアロゾル供給システムは、粒子の集団と、エアロゾル発生器とを含み、エアロゾル発生器は、使用中にエアロゾル発生材の1種以上の成分をエアロゾルにするように構成される。場合によっては粒子の集団は、本明細書で説明したようなカートリッジに提供されてもよい。
【0041】
エアロゾル発生器は、エアロゾル発生材からエアロゾルを発生させるように構成された装置である。一部の実施態様ではエアロゾル発生器は、エアロゾル発生材を熱エネルギーに晒し、エアロゾルを形成するためにエアロゾル発生材から1つ以上の揮発性物質を放出するように構成されたヒーターである。一部の実施態様ではエアロゾル発生器は、熱することなくエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させるように構成されている。例えば、エアロゾル発生器は、振動、高圧力または静電エネルギーのうちの1つ以上にエアロゾル発生材を晒すように構成してもよい。
【0042】
場合によってはエアロゾル発生器はヒーターを含み、このヒーターは、使用時に粒子を最高温度約250℃未満、好適には約230℃未満または220℃未満に加熱するように構成されている。好適にはヒーターは、使用時に粒子を少なくとも約180℃、190℃、または200℃に加熱するように構成される。このような使用温度では、粒子は分解、燃焼、溶融、その他の劣化を起こさない。
【0043】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、電子タバコ、ベイピングデバイスまたは電子ニコチン送出システム(END)としても知られているが、エアロゾル発生材中のニコチンの存在は要件ではない。
【0044】
典型的には、非燃焼系エアロゾル供給システムは、非燃焼系エアロゾル供給デバイスと、非燃焼系エアロゾル供給デバイスと共に使用される消耗品とを含んでいてもよい。粒子は、消耗品に提供される。
【0045】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システム、例えばその非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、動力源と、コントローラとを含んでもよい。動力源は、例えば電源または発熱動力源であってもよい。一部の実施態様では発熱動力源は、炭素基材を含み、これは動力を熱の形体で発熱動力源に近接したエアロゾル発生材または熱伝導材に分配するように励起される。
【0046】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、消耗品を受け入れる領域、エアロゾル発生器、エアロゾル発生領域、ハウジング、マウスピース、フィルターおよび/またはエアロゾル変性剤の1つ以上を含んでいてもよい。
【実施例
【0047】
一例では、5.0グラムのシリカ(500m/gの比表面積を有する)、3.0グラムの微結晶セルロースおよび12.0グラムの電子液体製剤を組み合わせ、低せん断混合機で混合してもよい。電子液体製剤は、プロピレングリコール、グリセロールニコチン、風味料(メンソールなど)、および有機酸を含んでもよい。混合時の条件は、約20~24℃、相対湿度20~40%であってもよい。
【0048】
得られたスラリーは、1mmのダイから低圧で押し出すことができる。
【0049】
その後、押出物を100~120RPMで球形化し、直径約1mmのビーズを形成することができる。
【0050】
ビーズは、約1.03のハウスナー比を有していてもよい。粒子は、0.80g・cm-3の嵩密度を有してもよい。粒子集団は、約1.1mmのD50値、約0.85mmのD10値、および約1.35mmのD90値を有していてもよい。
【0051】
ビーズを約180~220℃に加熱してエアロゾルを発生させてもよい。約100個のビーズを加熱して、使用者が約10~12回パフするのに十分なエアロゾルを発生させてもよい。
【0052】
加熱後のビーズを評価してもよい。ビーズの形状は実質的に変形しておらず、圧縮性は加熱前と本質的に変化していない。測定された質量損失は、エアロゾル発生材のエアロゾルへの移行が良好なことを示す。
【0053】
発生物質を含まない比較ビーズも、同じ加熱手順にかけることができ、ビーズの質量低下は観察されない。
【0054】
定義
明細書で使用される用語「エアロゾル形成材」はエアロゾルを形成することができる材料を意味する。一部の実施態様ではエアロゾル形成剤は、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなどの1つ以上の多価アルコール、グリセロールモノ、ジまたはトリアセテートなどの多価アルコールのエステルおよび/またはドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなどのモノ、ジまたはポリカルボン酸の脂肪族エステルを含む。一部の実施態様ではエアロゾル形成材は、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジルフェニル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、および炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含む。
【0055】
本明細書で使用される「活性物質」なる用語は、生理反応を達成するまたは高めることを意図した材料である生理的に活性な材料である。活性物質は、例えば栄養補助食品、向知性薬、向精神薬から選択されてもよい。活性物質は、天然に存在するものでも、合成的に得られたものでもよい。活性物質は、例えばニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、BまたはB12またはCなどのビタミン、メラトニン、カンナビノイド、またはこれらの成分、派生物または混合物を含んでもよい。活性物質はタバコ、大麻または他の植物の成分、派生物または抽出物の1つ以上を含んでもよい。
【0056】
一部の実施態様では活性物質はニコチンを含む。一部の実施態様では活性物質はカフェイン、メラトニンまたはビタミンB12を含む。
【0057】
本明細書で述べたように、活性物質は、1つ以上のカンナビノイドまたはテルペンなどの大麻の成分、派生物または抽出物の1つ以上を含んでもよい。
【0058】
一部の実施態様では活性物質は、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビエルソイン(CBE)およびカンナビシトラン(CBT)からなる群から選択される1つ以上のカンナビノイド化合物から選択される。
【0059】
活性物質は、カンナビジオール(CBD)およびTHC(テトラヒドロカンナビノール)からなる群から選ばれた1種以上のカンナビノイド化合物を含んでもよい。
【0060】
活性物質は、カンナビジオール(CBD)を含んでもよい。
【0061】
活性物質は、ニコチンおよびカンナビジオール(CBD)を含んでいてもよい。
【0062】
活性物質は、ニコチン、カンナビジオール(CBD)、およびTHC(テトラヒドロカンナビノール)を含んでもよい。
【0063】
本明細書で述べたように、活性物質は、1種以上の植物性物質またはその構成要素、誘導体もしくは抽出物を含むか、またはそれらから誘導され得る。本明細書で使用される、用語「植物性」は、抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種、花、果実、花粉、殻、さやなどの植物から派生したあらゆる材料を含むがこれらに限定されない。あるいは、材料は、植物に天然に存在する活性化合物、合成的に得られた活性化合物を含んでもよい。材料は、液体、気体、固体、粉末、塵埃、粉砕粒子、顆粒、ペレット、細片、短冊、シート等の形態であってもよい。例示される植物は、タバコ、ユーカリ、トウシミキ、オオアサ、ココア、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カミツレ、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、リコリス(甘草)、抹茶、マテ茶、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、緑茶または紅茶などの茶、タイム、チョウジ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、月桂樹の葉、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモン果皮、ミント、ビャクシン、ニワトコの花、バニラ、ヒメコウジ、シオガマギク、クルクマ、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、橙花、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、桑、朝鮮人参、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブまたはこれらのあらゆる組み合わせがある。ミントは、コーンミント、モロッコミント、エジプトミント、ペパーミント、オーデコロンミント、キャンディミント、カーリーミント、ケンタッキーカーネルミント、ホースミント、パイナップルミント、ペニーロイヤルミント、イングリッシュスペアミントおよびマルバハッカ次のミントなどのミント異種から選択されてもよい。
【0064】
一部の実施態様では活性物質は1種以上の植物性物質またはその構成要素、誘導体もしくは抽出物を含むかそれらに由来し、植物性物質はタバコである。
【0065】
一部の実施態様では活性物質は、植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はユーカリ、トウシミキ、ココアおよびオオアサから選択される。
【0066】
一部の実施態様では植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はルイボスおよびウイキョウから選択される。
【0067】
本明細書中で使用する「風味料」および「風味剤」なる用語は、各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味、匂いまたは他の体性感覚刺激を生じさせるために使用される。それらは自然発生の風味材料、植物、植物の抽出物、合成によって得られた材料またはそれを組み合わせたもの(例えば、タバコ、大麻、リコリス(甘草)、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、チョウジ、メイプル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インドスパイス、アジアスパイス、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、レッドベリー、クランベリー、モモ、リンゴ、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ダイオウ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、桑、柑橘類、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、チャット、ナスワール、キンマ、シーシャ、マツ、ハチミツエキス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、橙花、サクランボ花、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピメント、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、オオアサ、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油、ユーカリ、トウシミキ、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、マテ茶、オレンジの皮、バラ、緑茶または紅茶などの茶、タイム、ビャクシン、ニワトコの花、バジル、ローリエの葉、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモン果皮、ミント、シオガマギク、クルクマ、シラントロ、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物または息消臭剤などのその他の添加剤を含む。それらは、模倣物、合成または天然の成分またはそれらのブレンドであってもよい。それらは、例えば油などの液体、粉などの固体または気体などのあらゆる好適な形体であってもよい。
【0068】
一部の実施態様では風味料はメンソール、スペアミントおよび/またはペパーミントを含む。一部の実施態様では風味料はキュウリ、ブルーベリー、柑橘類および/またはレッドベリーの風味成分を含む。一部の実施態様では風味料はオイゲノールを含む。一部の実施態様では風味料はタバコから抽出された風味成分を含む。一部の実施態様では風味料
は大麻から抽出された風味成分を含む。
【0069】
一部の実施態様では風味料は、感覚惹起剤を含んでもよく、これはアロマまたは味覚神経に加えてまたは代わりに通常第5脳神経(三叉神経)の刺激によって化学的に誘発そして認識され、それらは加熱、冷却、ヒリヒリ感、しびれ感を供する薬剤を含んでもよい。好適な熱作用剤は、バニリルエチルエーテルであるが、これに限定されず、好適な冷却剤はオイカリプトール、WS-3であるが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書で使用される用語「エアロゾル変性剤」は典型的にはエアロゾル発生領域の下流に位置し、例えば、エアロゾルの味、風味、酸味、または他の特性を変えることで、生成されたエアロゾルを変性するように構成された物質を意味する。エアロゾル変性剤は、エアロゾル変性剤を選択的に放出するように動作可能なエアロゾル変性剤放出部材に提供されてもよい。
【0071】
エアロゾル変性剤は、例えば、添加剤または吸着剤でもよい。エアロゾル変性剤は、例えば、風味剤、着色料、水、および炭素吸着剤のうちの1種以上を含んでもよい。エアロゾル改質剤は、例えば、固体、液体、またはゲルでもよい。エアロゾル変性剤は、粉末、糸、または顆粒の形態であってもよい。エアロゾル改質剤は、濾過材を含まないものでもよい。
【0072】
本明細書に記載された様々な実施態様は、請求された構成の理解および教示の支援目的のみで提示される。これらの実施態様は、実施態様の代表的なサンプルとしてのみ提供され、網羅的でも排他的でもない。本明細書に記載された利点、実施態様、実施例、機能、構成、構造、および/または他の態様は、請求の範囲によって定義される本発明の範囲に対する制限または請求の範囲に対する均等物に対する制限と見なされないことは当然である。さらに、請求された発明の範囲から逸脱することなく、他の実施態様を利用し、修正を加えることができる。本発明の様々な実施態様は、好適には、本明細書に具体的に記載されたもの以外の開示された要素、構成要素、構成、部品、工程、手段などの適切な組み合わせを含み、それらからなり、またはそれらから本質的になってもよい。さらに、本開示は、現在特許請求されていないが、将来特許請求される可能性のある他の発明を含む可能性がある。
図1