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  • 特許-キックスケーター 図1
  • 特許-キックスケーター 図2
  • 特許-キックスケーター 図3
  • 特許-キックスケーター 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】キックスケーター
(51)【国際特許分類】
   B62K 17/00 20060101AFI20241227BHJP
   A63C 17/12 20060101ALI20241227BHJP
   A63C 17/14 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
B62K17/00
A63C17/12
A63C17/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023119737
(22)【出願日】2023-07-24
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】593145630
【氏名又は名称】株式会社バインドテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】柴田 晴弘
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-011168(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105501350(CN,A)
【文献】国際公開第2019/216170(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 17/00
A63C 17/01
A63C 17/12
A63C 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が乗るデッキと、このデッキの後ろ側に回転可能に支持された後輪と、前記デッキと回転可能に連結されたメインフレームバーと、このメインフレームバーの下端に回転可能に支持された前輪と、前記メインフレームバーの上端にメインフレームバーと略直交する方向に延びた棒状のハンドルバーとを備えたキックスケーターにおいて、前記デッキは前側デッキと、後側デッキと、前側デッキと後側デッキとを連結するバネ板とを具備しており、前記バネ板は所定以上の重量が加えられると折れ曲がり、バネ板には折れ曲がると地面に接するブレーキシューが設けられていることを特徴とするキックスケーター。
【請求項2】
使用者が乗るデッキと、このデッキの後ろ側に回転可能に支持された後輪と、前記デッキと回転可能に連結されたメインフレームバーと、このメインフレームバーの下端に回転可能に支持された前輪と、前記メインフレームバーの上端にメインフレームバーと略直交する方向に延びた棒状のハンドルバーとを備えたキックスケーターにおいて、前記デッキは前側デッキと、後側デッキと、前側デッキと後側デッキとを連結するバネ板とを具備しており、前記前側デッキと前記後側デッキの少なくとも一方には、所定以上の重量が加えられて折れ曲がると地面に接するブレーキシューが設けられていることを特徴とするキックスケーター。
【請求項3】
前記後輪は伝導モータまたは内燃機関によって回転駆動されることを特徴とする請求項1又は2記載のキックスケーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が立った状態でデッキに乗って走行するキックスケーターに関する。
【背景技術】
【0002】
使用者が立って乗るデッキと、このデッキの後ろ側に回転可能に支持された後輪と、フレームによって前記デッキと連結されたメインフレームバーと、このメインフレームバーの下端に回転可能に支持された前輪と、前記メインフレームバーの上端にメインフレームバーと略直交する方向に延びた棒状のハンドルバーとを備えたキックスケーターがある。
このキックスケーターには、使用者が地面を足で蹴って走行する自走タイプと、後輪を電動モータ又は内燃機関で駆動して走行する駆動タイプとがある。
【0003】
令和5年の道路交通法の改定によって電動式のキックスケーターは、特定小型原動機付自転車として一定の基準(保安基準への適合、ナンバープレートの取得、自賠責保険への加入)を満たしている限り、16歳以上は公道を走行することができるようになった。
なお、特定小型原動機付自転車とは、最高速度20km/h以下、定格出力0.6kW以下、長さ1.9m以下、幅0.6m以下の条件が付されている。
この種の条件は、危険性を考慮して定められたものである。
【0004】
この種のキックスケーターとしては、特開2022-074183号公報記載のものがある。
【0005】
【文献】特開2022-074183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特定小型原動機付自転車には制限重量が設定されていない。すなわち、使用者が100kg以上の体重であっても、重たい荷物を持った状態であっても合法的に走行することができるのである。また、二人乗りの場合も走行できてしまう。
運動エネルギーは、移動する物体の質量と速度の二乗に比例するので、使用者の体重が大きな場合、重たい荷物を持っている場合には、低速であっても危険性がより大きくなる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、予め設定された所定の重量以上が加えられると走行ができなくなることで安全性を確保することができるキックスケーターを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るキックスケーターは、所定以上の重量が加わると走行が不可能になるので、キックスケーターの安全性をより高めることができる。
しかも、センサー等によって加わる重量を検知して電動モーターを駆動させないようにするのではなく、機械的に走行できないようにするので安価かつ確実に作動させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るキックスケーターは、使用者が乗るデッキと、このデッキの後ろ側に回転可能に支持された後輪と、前記デッキと回転可能に連結されたメインフレームバーと、このメインフレームバーの下端に回転可能に支持された前輪と、前記メインフレームバーの上端にメインフレームバーと略直交する方向に延びた棒状のハンドルバーとを備えたキックスケーターにおいて、前記デッキは前側デッキと、後側デッキと、前側デッキと後側デッキとを連結するバネ板とを備えており、前記バネ板は所定以上の重量が加えられると折れ曲がり、バネ板には折れ曲がると地面に接するブレーキシューが設けられている。
【0011】
また、前記前側デッキと前記後側デッキの少なくとも一方には、所定以上の重量が加えられて折れ曲がると地面に接するブレーキシューが設けられていてもよい。
【0012】
さらに、本発明に係るキックスケーターは、使用者が乗るデッキと、このデッキの後ろ側に回転可能に支持された後輪と、前記デッキと回転可能に連結されたメインフレームバーと、このメインフレームバーの下端に回転可能に支持された前輪と、前記メインフレームバーの上端にメインフレームバーと略直交する方向に延びた棒状のハンドルバーと、前記後輪の上側に設けられたカバーとを備えたキックスケーターであって、前記後輪はデッキの後端に連結されたバネ板に回転可能に支持され、前記バネ板は所定以上の重量が加えられると変形し、後輪が前記カバーの内部に設けられたブレーキシューと接するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るキックスケーターの概略的斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るキックスケーターのデッキを構成する前側デッキ、後側デッキ、バネ板を示す概略的側面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るキックスケーターが走行できなくなる状態を示す概略的側面図である。
図4】本発明の第2の実施の形態に係るキックスケーターの要部を示す概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態に係るキックスケーター1000は、使用者が乗るデッキ100と、このデッキ100の後ろ側に回転可能に支持された後輪200と、フレーム300によって前記デッキ100と回転可能に連結されたメインフレームバー400と、このメインフレームバー400の下端に回転可能に支持された前輪500と、前記メインフレームバー400の上端にメインフレームバー400と略直交する方向に延びた棒状のハンドルバー600とを備えたキックスケーターであって、前記デッキ100は前側デッキ110と、後側デッキ120と、前側デッキ110と後側デッキ120とを連結するバネ板130とを備えており、前記バネ板130は所定以上の重量が加えられると折れ曲がるように構成されている。
【0015】
この種のキックスケーターには、前輪が2つで後輪が2つの四輪タイプ、前輪が2つで後輪が1つ、前輪が1つで後輪が2つの三輪タイプ、前輪が1つで後輪が1つの二輪タイプとがあるが、以下の説明では二輪タイプを例として挙げる。
ただし、本発明がこの二輪タイプに限定されるものではなく、四輪タイプにも三輪タイプにも適用可能であることはいうまでもない。
【0016】
キックスケーター1000を構成するデッキ100は、使用者が立った状態で乗る部分であって、使用者が両足を揃えて載せることができる程度の長さ寸法、幅寸法を有する略長方形状の部材である。このデッキ100は、前側デッキ110と、後側デッキ120と、前側デッキ110と後側デッキ120とを連結するバネ板130とを有している。
【0017】
デッキ100を構成する前側デッキ110と後側デッキ120とは、使用者が一方の足を前側デッキ110に、他方の足を後側デッキ120にそれぞれ載せることができる程度の割合で分割されるものとする。
【0018】
前記後側デッキ120の後ろ側には、後輪200が回転転可能に支持されている。この後側デッキ120の最後端部は二股状の後輪支持部121として形成されている。この後輪支持部121に後輪200が回転可能に支持されるのである。
しかも、この後輪200は、図示しない電動モーターによって回転駆動されるようになっている。
【0019】
一方、前記前側デッキ110の前側には、斜め前方向を向いたフレーム300が連結されている。このフレーム300は、前輪500を操作するメインフレームバー400を回動可能に支持している。
【0020】
上述した前側デッキ110と後側デッキ120は、図2に示すように、バネ板130によって連結されている。具体的には、前側デッキ110の裏面と後側デッキ120の裏面にバネ板130を図示しないねじ等の締結部品で締結しているのである。
このバネ板130は、所定以上の重量が加えられると折れ曲がるが、所定未満の重量が加えられても折れ曲がらないように設定されている。
しかも、このバネ板130には、所定以上の重量が加えられて折れ曲がると地面Gに接するブレーキシュー140が設けられている。
すなわち、デッキ100に所定以上の重量が加えられると、バネ板130が折れ曲がってブレーキシュー140が地面に接するのでキックスケーター1000は走行できない状態になる。
【0021】
なお、バネ板130が折れ曲がる所定以上の重量は、任意に設定することができるが、通常は安全に走行することができるように100kg程度とすることが望ましい。ただし、本発明に係るキックスケーター1000の走行可能重量をを100kgに限定するものでないことはいうまでもない。
【0022】
なお、前記デッキ100には、駐車時にキックスケーター1000を自立させるための図示しない折り畳み式のスタンドが設けられている。
【0023】
また、メインフレームバー400の上端には、メインフレームバー400と略直交する方向に延びた棒状のハンドルバー600が備えられている。
このハンドルバー600には、図示しないブレーキレバー、アクセルレバー、サイドミラーや速度計やバッテリーの残量を示すバッテリーインジケーター等がセットされている。その他には保安基準を満たすための警音器、方向指示器とその操作スイッチもハンドルバー600にセットされている。
なお、前記メインフレームバー400は、使用者の体格に合わせて伸縮可能とすることが望ましい。
【0024】
前記メインフレームバー400の下端には、前輪500が回転可能に支持されている。この前輪500や前記後輪200には、走行中に制動を加えるためブレーキシュー(図示省略)がセットされている。このブレーキシューは、ハンドルバー600にセットされたブレーキレバーによって操作される。
【0025】
このように構成されたキックスケーター1000は、使用者が両手でハンドルバー600を握ってデッキ100に立った状態で乗って使用する。
アクセルレバーを操作して電動モーターを駆動させ走行し、ブレーキレバーを操作して停止する。また、ハンドルバーを左右に動かすことで走行方向を定める。
【0026】
使用者の体重と使用者が身に着けている被服、持っている荷物の総合計重量が所定以上であると、図3に示すように、バネ板130が折れ曲がってしまいバネ板130に設けられたブレーキシュー140が地面Gに接してしまうので、走行できなくなる。
【0027】
なお、上述した第1の実施の形態では、バネ板130にブレーキシュー140を設けるとしたが、デッキ100を構成する前側デッキ110と前記後側デッキ120の少なくとも一方にブレーキシュー140を設けるようにしてもよい。もちろん、前側デッキ110、後側デッキ120、バネ板130のすべてにブレーキシュー140を設けるようにしてもよい。いずれにせよ、バネ板130が折れ曲がった際にブレーキシュー140が地面Gに接することでキックスケーター1000が走行できないようになればよいのである。
【0028】
上述した第1の実施の形態に係るキックスケーター1000では、デッキ100を構成する前側デッキ110と後側デッキ120がバネ板130で連結され、デッキ100に所定以上の重量が加えられるとバネ板130が折れ曲がってブレーキシュー140が地面Gに接することで走行ができなくなる構成であるが、第2の実施の形態に係るようなキックスケーター2000も考えれらる。
【0029】
本発明の第2の実施の形態に係るキックスケーター2000は、使用者が乗るデッキ100と、このデッキ100の後ろ側に回転可能に支持された後輪200と、フレーム300によって前記デッキ100と連結されたメインフレームバー400と、このメインフレームバー400の下端に回転可能に支持された前輪500と、前記メインフレームバー400の上端にメインフレームバー400と略直交する方向に延びた棒状のハンドルバー600と、前記後輪200の上側に設けられたカバー700とを備えたキックスケーターであって、前記後輪200はデッキ100の後端に連結されたバネ板800に回転可能に支持され、前記バネ板800は所定以上の重量が加えられると変形し、後輪200が前記カバー700の内部に設けられたブレーキシュー720と接するように構成されている。
【0030】
なお、図1において、後輪200はむき出しとなっているが、後輪200を覆うような泥カバーを設けることも可能である。
【0031】
以下の説明では、第1の実施の形態に係るキックスケーター1000と同等部品、すなわち、後輪200、フレーム300、メインフレームバー400、前輪500、ハンドルバー600はその説明を省略し、第1の実施の形態にかかる係るキックスケーター1000とは異なる部品について図4を参照しつつ説明する。
【0032】
この第2の実施の形態に係るキックスケーター2000では、デッキ100は一枚ものであり、途中で折れ曲がったりすることはない。
また、後輪200は、デッキ100とは別体のバネ板800に回転可能に支持されている。
【0033】
さらに、後輪200の上側にはカバー700が後輪200を覆うように設けられている。すなわち、このカバー700はデッキ100の後端の上面側に取り付けられており、後輪200のサイズに対応した湾曲部710が後輪200の上に位置するようになっている。かかるカバー700の内側にはブレーキシュー720が設けられている。
【0034】
第2の実施の形態に係るキックスケーター2000におけるバネ板800は、二股状の後輪支持部810が形成されており、この後輪支持部810に後輪200が回転可能に支持されている。
このバネ板800は、デッキ100の下面側に後輪支持部810がデッキ100の後端から突出するように取り付けられる。従って、このバネ板800に支持される後輪200はデッキ100には干渉しないようになっている。
【0035】
前記バネ板800は、所定以上の重量が加えられると変形し、後輪200が前記カバー700の内部に設けられたブレーキシュー720と接するように設定されている。
従って、使用者の体重と使用者が身に着けている被服、持っている荷物の総合計重量が所定以上であると、バネ板800が上側方向に曲がってしまい、その結果カバー700に設けられたブレーキシュー720に後輪200が接してしまうので走行できなくなる。
【0036】
なお、この第2の実施の形態に係るキックスケーター2000であると、デッキ100は一枚板ですむのでより構成が簡単になるというメリットがある。
また、カバー700を泥カバーとして兼用することも可能である。もちろん、カバー700の上側にさらに泥カバーを設けることも可能である。
【0037】
上記の本発明の第2の実施の形態に係るキックスケーター2000では、デッキ100の後端にデッキ100とは別体のバネ板800を設けているが、デッキ100の後端を二股状に形成してバネ板800と同等の機能を持たせる構成とすることも可能である。
【0038】
また、上述したいずれのキックスケーター1000、2000も電動モーターで駆動するとしたが、ガソリン等を燃料とする内燃機関で駆動するように構成することも可能である。
また、電動モーターや内燃機関等を用いずに使用者が片足で地面を蹴って走行させるキックスケーターとしても適用可能であることはいうまでもない。
【0039】
100 デッキ
110 前側デッキ
120 後側デッキ
130 バネ板
200 後輪
300 フレーム
400 メインフレームバー
500 前輪
600 ハンドルバー
1000 キックスケーター
【要約】
【課題】予め設定された所定の重量以上が加えられると走行ができなくなることで安全性を確保する。
【解決手段】使用者が乗るデッキ100と、このデッキ100の後ろ側に回転可能に支持された後輪200と、フレーム300によって前記デッキ100と連結されたメインフレームバー400と、このメインフレームバー400の下端に回転可能に支持された前輪500と、前記メインフレームバー400の上端にメインフレームバー400と略直交する方向に延びた棒状のハンドルバー600とを備えたキックスケーターであって、前記デッキ100は前側デッキ110と、後側デッキ120と、前側デッキ110と後側デッキ120とを連結するバネ板130とを備えており、前記バネ板130は所定以上の重量が加えられると折れ曲がるように構成されている。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4