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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】伸縮継手及びその設置方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/12 20060101AFI20241227BHJP
【FI】
F16L27/12 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022199750
(22)【出願日】2022-12-14
(65)【公開番号】P2024041694
(43)【公開日】2024-03-27
【審査請求日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2022146597
(32)【優先日】2022-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000126609
【氏名又は名称】株式会社エーアンドエーマテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩
(72)【発明者】
【氏名】那川 盛雄
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-060736(JP,A)
【文献】特開2006-329289(JP,A)
【文献】再公表特許第01/065164(JP,A1)
【文献】特開2001-227690(JP,A)
【文献】実開昭60-064386(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動篩とダクトとの接合部に設置される伸縮継手であって、
内筒と、
該内筒の外側に配置され、単層又は複数層の層構造を有する、筒状の配管部材とを備え、
前記配管部材の、最も外側に位置する層が、硬さ30Hs~55Hsの範囲に含まれ、引張強度5MPa~20MPaの範囲に含まれ、伸び率400%~1000%の範囲に含まれ、引裂強さ10kN/m~100kN/mの範囲に含まれる材質で形成されていることを特徴とする伸縮継手。
【請求項2】
請求項1に記載の伸縮継手において、
前記配管部材は、内皮層と、弾力層と、最外層シール層とが、内側から順に積層されて構成されており、
前記最外層シール層が、硬さ30Hs~55Hsの範囲に含まれ、引張強度5MPa~20MPaの範囲に含まれ、伸び率400%~1000%の範囲に含まれ、引裂強さ10kN/m~100kN/mの範囲に含まれる材質で形成されている伸縮継手。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の伸縮継手において、
前記配管部材の中心軸線方向についての両端部のそれぞれに設置され、前記振動篩および前記ダクトのそれぞれに対して固定される一対のフランジを更に備えており、
前記内筒が、前記一対のフランジのそれぞれに対して固定され、相対的に変位可能な第1内筒部および第2内筒部により構成され、前記第1内筒部および前記第2内筒部が、前記伸縮継手の中心軸線方向に垂直な方向について部分的に対向するように配置されている伸縮継手。
【請求項4】
請求項2に記載の伸縮継手において、
前記最外層シール層が、硬さ30Hs~45Hsの範囲に含まれ、引張強度10MPa~20MPaの範囲に含まれ、伸び率600%~800%の範囲に含まれ、引裂強さ45kN/m~65kN/mの範囲に含まれる材質で形成されている伸縮継手。
【請求項5】
請求項3記載の伸縮継手において、
前記第1内筒部が、前記配管部材の中心軸線方向について一端部から途中まで徐々に縮径した後、途中から他端部にかけて径が一定であるような形状を有し、
前記第2内筒部が、前記配管部材の中心軸線について径が一定であるような形状を有している伸縮継手。
【請求項6】
請求項1記載の伸縮継手において、
前記配管部材の中心軸線方向についての両端部を、前記振動篩および前記ダクトのそれぞれに対して固定するための、一対の固定部材を有しており、
各固定部材は、
前記配管部材の前記端部を固定する固定部と、
該固定部から、相手側の前記固定部材に近接する方向に屈曲又は湾曲しつつ、前記配管部材の径方向外方に向けて張り出す張り出し部とを有している伸縮継手。
【請求項7】
請求項1記載の伸縮継手において、
前記配管部材の中心軸線方向についての他端部を、前記ダクトに固定するための、固定フレームを有しており、
該固定フレームは、前記内筒と前記配管部材との間隙に連通する連通穴が形成されている伸縮継手。
【請求項8】
請求項1に記載の伸縮継手を振動篩とダクトとの接合部に設置する方法であって、
中心軸線方向について第1指定長さを有するように作製された前記伸縮継手を、前記振動篩および前記ダクトのそれぞれに対して固定する工程と、
前記伸縮継手が、前記第1指定長さより長い第2指定長さに引き伸ばされた状態に維持されるように、前記伸縮継手に力を作用させる工程と、
前記伸縮継手から前記力を解除する工程とを、含み、
前記力を解除する工程の後、前記伸縮継手の状態が、前記第2指定長さから、少なくとも前記第1指定長さよりも長い、第3指定長さになる状態を含んでいることを特徴とする伸縮継手の設置方法。
【請求項9】
請求項に記載の伸縮継手を振動篩とダクトとの接合部に設置する方法であって、
中心軸線方向について第1指定長さを有するように作製された前記伸縮継手を、前記一対のフランジのそれぞれにより前記振動篩および前記ダクトのそれぞれに対して固定する工程と、
前記伸縮継手が、前記第1指定長さより長い第2指定長さに引き伸ばされた状態に維持されるように、前記一対のフランジの間に力を作用させる工程と、
前記一対のフランジから前記力を解除する工程とを、含み、
前記力を解除する工程の後、前記伸縮継手の状態が、前記第2指定長さから、少なくとも前記第1指定長さよりも長い、第3指定長さになる状態を含んでいることを特徴とする伸縮継手の設置方法。
【請求項10】
請求項8又は9記載の伸縮継手の設置方法において、
前記第1指定長さが、前記第2指定長さから前記振動篩の振動幅を引いた算出長さの50%~100%である伸縮継手の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電所及び/又はゴミ処理場などで使用される振動篩とダクトとの接合部に設置される伸縮継手及びその設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火力発電所、製鉄所、ゴミ焼却場等の燃焼装置から排出された排気等の流体を移送するダクトの連結部には、ダクトの熱膨張及び振動等を吸収するために伸縮継手が設けられている。特許文献1に開示されている伸縮継手は、伸縮継手の両側のダクトにそれぞれ接続されている一対のフランジ、及び積層されている複数の断熱部材を備えている。断熱部材はフランジの周方向長さに相当する長さに形成されており、伸縮継手の一対のフランジ間において、フランジの周方向に沿って筒状に取付けられて流路の全周を囲っている。
【0003】
また、特許文献2に開示されている可撓性管継手は可撓性を有する配管部材、及びこの配管部材の外皮層を被覆し、内部に強靱性繊維を埋設した弾性部を有する管本体と管本体の両端に設けた一対のフランジと、を備えている。配管部材は、配管部材の軸線方向と直交する方向に突出する凸部と、前記凸部と反対方向に凹む凹部とを有し、前記凹部には、前記弾性部よりも軟性の高い弾性材料を充填している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-150561号公報
【文献】特許第5236936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
振動篩とダクトとの接合部に設置される振動篩用伸縮継手は、振動篩による振動及び大きな変位に長時間晒されるため、頻繁に損傷し、寿命が極端に短いことが課題とされている。例えば、特許文献2に記載されているようなベローズ管の軸線方向と直交する方向に突出する凸部と、凸部と反対方向に凹む凹部とを有するベローズ管を振動篩用伸縮継手に使用すると、凹部より断裂する場合がある。また、配管部材の最外層シール層の素材が脆弱であったり、柔軟性に乏しかったりする場合、ベローズ管に余長を設けて製作する為、長時間振動を受けると、ベローズ管の表面に皺が発生して、皺部の屈曲・摩耗により損傷する傾向がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、耐久性の向上を図りうる、伸縮継手及びその設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つは、振動篩とダクトとの接合部に設置される伸縮継手であって、内筒と、該内筒の外側に配置され、単層又は複数層の層構造を有する、筒状の配管部材とを備え、前記配管部材の、最も外側に位置する層が、硬さ30Hs~55Hsの範囲に含まれ、引張強度5MPa~20MPaの範囲に含まれ、伸び率400%~1000%の範囲に含まれ、引裂強さ10kN/m~100kN/mの範囲に含まれる材質で形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の伸縮継手においては、前記配管部材は、内皮層と、弾力層と、最外層シール層とが、内側から順に積層されて構成されており、前記最外層シール層が、硬さ30Hs~55Hsの範囲に含まれ、引張強度5MPa~20MPaの範囲に含まれ、伸び率400%~1000%の範囲に含まれ、引裂強さ10kN/m~100kN/mの範囲に含まれる材質で形成されていてもよい。
【0009】
本発明の伸縮継手においては、前記配管部材の中心軸線方向についての両端部のそれぞれに設置され、前記振動篩および前記ダクトのそれぞれに対して固定される一対のフランジを更に備えており、前記内筒が、前記一対のフランジのそれぞれに対して固定され、相対的に変位可能な第1内筒部および第2内筒部により構成され、前記第1内筒部および前記第2内筒部が、前記伸縮継手の中心軸線方向に垂直な方向について部分的に対向するように配置されていてもよい。
【0010】
本発明の伸縮継手においては、前記最外層シール層が、硬さ30Hs~45Hsの範囲に含まれ、引張強度10MPa~20MPaの範囲に含まれ、伸び率600%~800%の範囲に含まれ、引裂強さ45kN/m~65kN/mの範囲に含まれる材質で形成されていてもよい。
【0011】
本発明の伸縮継手においては、前記第1内筒部が、前記配管部材の中心軸線方向について一端部から途中まで徐々に縮径した後、途中から他端部にかけて径が一定であるような形状を有し、前記第2内筒部が、前記配管部材の中心軸線について径が一定であるような形状を有していてもよい。
【0012】
本発明の伸縮継手においては、前記配管部材の中心軸線方向についての両端部を、前記振動篩および前記ダクトのそれぞれに対して固定するための、一対の固定部材を有しており、各固定部材は、前記配管部材の前記端部を固定する固定部と、該固定部から、相手側の前記固定部材に近接する方向に屈曲又は湾曲しつつ、前記配管部材の径方向外方に向けて張り出す張り出し部とを有していてもよい。
【0013】
本発明の伸縮継手においては、前記配管部材の中心軸線方向についての他端部を、前記ダクトに固定するための、固定フレームを有しており、該固定フレームは、前記内筒と前記配管部材との間隙に連通する連通穴が形成されていてもよい。
【0014】
本発明のもう一つは、伸縮継手を振動篩とダクトとの接合部に設置する方法であって、中心軸線方向について第1指定長さを有するように作製された前記伸縮継手を、前記一対のフランジのそれぞれにより前記振動篩および前記ダクトのそれぞれに対して固定する工程と、前記伸縮継手が、前記第1指定長さより長い第2指定長さに引き伸ばされた状態に維持されるように、前記一対のフランジの間に力を作用させる工程と、前記一対のフランジから前記力を解除する工程とを、含み、前記力を解除する工程の後、前記伸縮継手の状態が、前記第2指定長さから、少なくとも前記第1指定長さよりも長い、第3指定長さになる状態を含んでいることを特徴とする。
【0015】
本発明の伸縮継手の設置方法においては、中心軸線方向について第1指定長さを有するように作製された前記伸縮継手を、前記一対のフランジのそれぞれにより前記振動篩および前記ダクトのそれぞれに対して固定する工程と、前記伸縮継手が、前記第1指定長さより長い第2指定長さに引き伸ばされた状態に維持されるように、前記一対のフランジの間に力を作用させる工程と、前記一対のフランジから前記力を解除する工程とを、含み、前記力を解除する工程の後、前記伸縮継手の状態が、前記第2指定長さから、少なくとも前記第1指定長さよりも長い、第3指定長さになる状態を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の伸縮継手の設置方法においては、前記第1指定長さが、前記第2指定長さから前記振動篩の振動幅を引いた算出長さの50%~100%であるとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の伸縮継手によれば、配管部材の、最も外側に位置する層において、皺ができにくいので、振動篩とダクトとの接合部に設置された際の長時間の振動に対する当該伸縮継手の耐久性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る伸縮継手を示しており、その第1実施形態の構成説明図である。
図2】同伸縮継手を設置した振動篩の一例を示す概略説明図である。
図3A】同伸縮継手の製作時における構成説明図である。
図3B】同伸縮継手の据付時における構成説明図である。
図4】比較例の伸縮継手の据付時における構成説明図である。
図5】比較例の伸縮継手の据付時における構成説明図である。
図6】比較例の伸縮継手の据付時における構成説明図である。
図7】比較例の伸縮継手の据付時における構成説明図である。
図8】比較例の伸縮継手の据付時における構成説明図である。
図9】本発明に係る伸縮継手を示しており、その第2実施形態の構成説明図である。
図10】同実施形態の伸縮継手の、第1変形例を示す構成説明図である。
図11】同実施形態の伸縮継手の、第2変形例を示す構成説明図である。
図12】同実施形態の伸縮継手の、第3変形例を示す構成説明図である。
図13】本発明に係る伸縮継手を示しており、その第3実施形態の構成説明図である。
図14】同実施形態の伸縮継手の、第1変形例を示す構成説明図である。
図15】同実施形態の伸縮継手の、第2変形例を示す構成説明図である。
図16】同実施形態の伸縮継手の、第3変形例を示す構成説明図である。
図17】本発明に係る伸縮継手を示しており、その第4実施形態の構成説明図である。
図18】本発明に係る伸縮継手を示しており、その第5実施形態の構成説明図である。
図19】本発明に係る伸縮継手を示しており、その第6実施形態の構成説明図である。
図20】本発明に係る伸縮継手を示しており、その第7実施形態の構成説明図である。
図21】本発明に係る伸縮継手を示しており、その第8実施形態の構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(伸縮継手の第1実施形態)
以下、本発明の伸縮継手の第1実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は下記に示す実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図2に示すように、振動篩20には、燃焼装置から排出される排気等の流体や流体物を振動篩20に供給するための、ダクト1が接合されていると共に、振動篩20により処理された流体を振動篩20から排出するための、ダクト3が接合されている。この実施形態の場合、振動篩20とダクト1との接合部に、伸縮継手10が設置されると共に、振動篩20とダクト3との接合部に、伸縮継手11が設置されるようになっている。以下、図1を併せて参照して、伸縮継手10,11の具体的な構造について説明する。
【0021】
なお、図1において、上部から下部に向かって流体は流れており、右側が外側、左側が配管部材及び伸縮継手の内側、すなわち、流体側を示している。
【0022】
図1に示すように、この実施形態の伸縮継手10,11は、内筒100と、該内筒100の外側に配置され、単層又は複数層の層構造を有する、筒状の配管部材101とを備え、配管部材101の、最も外側に位置する層が、硬さ30Hs~55Hsの範囲に含まれ、引張強度5MPa~20MPaの範囲に含まれ、伸び率400%~1000%の範囲に含まれ、引裂強さ10kN/m~100kN/mの範囲に含まれる材質で形成されている。
【0023】
なお、図1において、内筒100や配管部材101は、図面の便宜上、中心軸心Cに対して右側部分のみを記載しており、中心軸心Cに対して線対称となる左側部分は省略している(後述する図9~21に示す態様の場合も同様)。
【0024】
また、図1に示すように、本実施形態の伸縮継手10,11は、内筒100及び配管部材101のほか、配管部材101の中心軸線方向(中心軸線Cに沿った方向)についての、両端部のそれぞれに設置され、振動篩20およびダクト1,3のそれぞれに対して固定される、一対のフランジ103,104を更に備えている。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の伸縮継手10,11は、前記一対のフランジとして、第1フランジ103及び第2フランジ104を備えている。なお、第1フランジ103は、配管部材101の軸方向(長手方向とも言える)の一端部側(図1中、上側)に設置され、第2フランジ104は、配管部材101の軸方向の他端部側(図1中、下側)に設置されている。
【0026】
また、第1フランジ103及び第2フランジ104のそれぞれは、周方向に分散配置された複数対のホルダ(下記シッピングボルト110の支持ホルダ)としての、第1ホルダ108及び第2ホルダ109をそれぞれ備えている。
【0027】
更に、第1ホルダ108及び第2ホルダ109のそれぞれには、挿通穴が貫通して形成されており、該挿通穴に、シッピングボルト110の軸方向両端部がそれぞれ挿通されると共に、該シッピングボルト110に螺着されるボルトによって、第1フランジ103及び第2フランジ104の間隔、ひいては伸縮継手10,11の中心軸線方向の長さが調節可能とされている。
【0028】
また、この実施形態の配管部材101は、内皮層115と、弾力層114と、最外層シール層113とが、内側から順に積層されて構成された、複数層の多層構造をなしている。言い換えると、配管部材101は、ガスケット102と、外気側から耐振動用シリコンゴム製の最外層シール層113と、グラスフェルト製の弾力層114と、ガラスクロスと柔軟な金網製の内皮層115と、内面の粉塵から保護する第1内筒部105及び第2内筒部106を備えている。
【0029】
そして、この実施形態の場合、上記の最外層シール層113が、上記物性からなる材質で形成されている。
【0030】
なお、最外層シール層113は、タイプAデュロメータゴム硬度計を使用してJIS K6253に準拠して測定した、硬さ30Hs~55Hs、引張強度5MPa~20MPa、伸び率400%~1000%、引裂強さ10kN/m~100kN/mの材質であればいかなるものでも使用することができる。
【0031】
具体的には、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ウレタンゴム、エチレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコン変性エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、天然ゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられるが、特に、高伸長処理をした耐振動用のシリコンゴムが好ましい。
【0032】
また、より好適な範囲は、硬さは30~45Hsであり、引張強度10~20MPaであり、伸び率600~800%であり、引裂強さ45kN/m~65kNmである。
【0033】
このような材質を用いることで、振動による変位が生じる場合でも、最外層シール層113は振動に応じて材料の弾性域内で伸縮するので、最外層シール層113に皺が生じにくく、伸縮継手10,11の、振動による損傷を抑制することができる。
【0034】
なお、最外層シール層113の伸び率が400%未満の場合、伸縮継手10の伸縮性が不足しているので、本発明の十分な効果を得ることができない。また、最外層シール層113の伸び率が1000%以上の場合、伸縮継手10,11の硬度不足になる傾向がある。更に、引裂強さが10kN/m未満の場合、取付作業工程などで伸縮継手10の最外層シール層113の一部を傷付けてしまった場合に、傷部分が拡大し易くなる傾向であり、引裂強さが100kN/mより大きい場合では柔軟性に悪影響が生じる。
【0035】
また、最外層シール層113の厚さは、0.3~3mmの範囲で適宜選定することができる。
【0036】
ガスケット102は、ガラスクロスにシリコンゴムを塗布又は含侵したシート材料、ガラスクロスと天然ゴム及びフッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ウレタンゴム、エチレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムなどの各種ゴムを組み合わせたガスケット用材料を用いることができる。特に、ガラスクロスにシリコンゴムを塗布又は含侵したシリコンガラスクロス、及び、ガラスクロスの両面に天然ゴムを加工したゴム引きテープ材料を好適に用いることができる。
【0037】
なお、ガスケット102の厚さは0.2~7mmのものを用いることができ、好適には厚さが0.3mm~3mmである。
【0038】
また、ガスケット102は、第1フランジ103及び第2フランジ104の双方に対して個々に、配置することが好適である。更にガスケット102は、第1フランジ103及び第2フランジ104に挟まれた部分から、最外層シール層113に沿って延長されて、フランジ103及びフランジ104の複数の角部と最外層シール層113とが直接接触しないように組み付けることが好ましい。
【0039】
ガスケット102は、内皮層115の両端部の屈曲部分115a,115a及び最外層シール層113の両端部の屈曲部分113a,113aを、包み込むように覆う形状をなしていると共に、最外層シール層113の、屈曲部分113a,113aの近傍部分113b,113bの外周を覆う、立ち上がり部分を有している。
【0040】
また、最外層シール層113に沿って延長されたガスケット102の端部は、ガスケット102の端部と最外層シール層113が直接接触しないように空隙を設けてもよい。ガスケット102の端部と最外層シール層113の間の空隙は、伸縮継手10を取り付ける前又は取り付ける際に手及び手工具などで曲げて設けてもよいし、振動篩20の振動によってガスケット102のフランジからはみ出した最外層シール層113側の部分を外側に向かって変形させることで、最外層シール層113との間に隙間を形成してもよい。
【0041】
ガスケット102の端部と最外層シール層113の間に空隙を設けた場合、振動篩20の振動によって当該空隙の間隔が振動篩20の動作中に変化すると、当該空隙内に風の流れができるため当該空隙に侵入した異物が排出されて、異物による最外層シール層113の劣化を低減することができる。
【0042】
また、ガスケット102が最外層シール層113に沿うように、第1フランジ104の厚みよりも長く略鉛直方向に立ち上げてあるため、フランジ104の錆止め塗装などのメンテナンスを行う場合にも、塗料などが最外層シール層113まで流れ込むことを防止でき、溶剤や樹脂による最外層シール層113の劣化を防止することができる。
【0043】
更に、ガスケット102が振動篩20の振動によって最外層シール層113を叩かないように折り返したガスケット102の余剰部分を第1フランジ103及び第2フランジ104などに固定することもできる。
【0044】
ガスケット102は、最外層シール層113が、第1フランジ103及び第2フランジ104の角部分に直接擦れて損傷することを防ぐ。さらに、ガスケット102により、伸縮継手10,11が振動篩20及びダクトに取り付けられる際に、ラチェット工具、エアツール、インパクトソケットレンチ及びモンキーレンチなどにより最外層シール層113が傷つくことが防止される。
【0045】
また、ガスケット102は、最外層シール層113と接触した状態で、第1フランジ103及び第2フランジ104により締結される(図1参照)。これにより、第1フランジ103及び第2フランジ104の面の不陸(凹凸)、傷及び金属加工痕跡と最外層シール層113とが直接接触して損傷することを防止できる。また、これにより、最外層シール層113が振動篩20によって伸縮する際に、最外層シール層113とガスケット102の摩擦によって第1フランジ103及び第2フランジ104の表面から最外層シール層113が引き抜かれて破損することを防ぐ効果が得られる。
【0046】
なお、接着剤及び粘着剤を併用し、ガスケット102と最外層シール層113とが、第1フランジ103及び第2フランジ104に固定されてもよい。
【0047】
弾力層114は、無機系及び有機系のフェルトまたはバルク体が用いられ、セラミックス繊維、ロックウール繊維、ガラス(グラス)繊維、金属繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アラミド繊維、ポリアクリレート繊維、ポリアミド繊維、ポリアミドイミド繊維、メラミン繊維、フェノール繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維などによるフェルト及びバルク体が好適である。
【0048】
内皮層115は、金網、金属繊維クロス、無機繊維クロス、有機系シート材から選択される1種又は2種以上が用いられ、中でもセラミッククロスおよびガラスクロスなどの無機繊維クロスが好適である。特にガラスクロスは種々の厚さ、品種のものがあり、汎用のガラスクロスの他、耐熱性ガラスクロス、SUS線入りガラスクロス、アルミ箔付ガラスクロス、SUS箔付ガラスクロスが好ましい。有機系シート材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート等の耐熱性のあるシート材などを適宜選定することができる。
【0049】
弾力層114の役割は、最外層シール層113の断熱及び防塵を目的としたものであり、最外層シール層113の柔軟性を阻害しないようなものが好適に用いられる。弾力層114の厚さは、伸縮継手10,11の内面側を流れる流体から受ける熱に対して、最外層シール層113の耐熱温度まで下がる厚さに設定する。
【0050】
また、内皮層115の無機繊維クロス等の厚さは、0.2mm~5mmの範囲で適宜選定することができる。0. 2mm未満では強度不足で十分な補強効果が得られず、5mmより厚いと柔軟性が不足となりベローズとしての加工性、伸縮性に悪影響がある。
【0051】
更に図1に示すように、弾力層114及び内皮層115は、配管部材101の中央部において流体側に凸部を有するように形成することが好ましい。
【0052】
次に、内筒100の構造について具体的に説明する。
【0053】
図1に示すように、この実施形態の内筒100は、一対のフランジ103,104のそれぞれに対して固定され、相対的に変位可能な第1内筒部105および第2内筒部106により構成され、第1内筒部105および第2内筒部106が、伸縮継手10,11の中心軸線方向に垂直な方向について部分的に対向するように配置されている。すなわち、第1内筒部105及び第2内筒部106は、軸方向において所定長さ重なる部分(ラップする部分)を有している。
【0054】
また、第1内筒部105が、配管部材101の中心軸線方向について一端部から途中まで徐々に縮径した後、途中から他端部にかけて径が一定であるような形状を有し、第2内筒部106が、配管部材101の中心軸線について径が一定であるような形状を有している。
【0055】
第1フランジ103及び第2フランジ104は、一端が伸縮継手10の内側に延在しており、これらのフランジ103,104の延在部分に亘って、第1内筒部105及び第2内筒部106が設けられている。
【0056】
第1内筒部105及び第2内筒部106の部材は、伸縮継手10の内部の流体の性質に応じて適宜材質及び構造を選択することができる。本実施形態では、流体物の硬度が高く、流体物が伸縮継手10,11の流体暴露面の損傷することを防ぐこと、及び、錆による劣化を防ぐことを目的としてステンレス鋼製である。
【0057】
図1に示すように、第1内筒部105は、線分のなす角が鈍角である2個の角を有する略折れ線状である。また、第1内筒部105の両端のなす角が略直角になるように構成されている。更に、第1内筒部105は、軸方向の一端部(図1中の上端部)が拡径し、軸方向の他端部(図1中の下端部)に向けて次第に縮径したテーパ状をなしたテーパ状部分105aと、該テーパ状部分105aの終端から軸方向他端部に向けて、一定径で延びる一定径部分105bとを有する形状となっている。
【0058】
一方、第2内筒部106は、略逆T字状の辺と、内筒の左端部から中央部にかけて、なす角が略45°になるように当接された辺と、を有する形状である。また、第2内筒部106は、一定径で延びる略円筒状をなしており、第1内筒部105の一定径部分105bよりも拡径し、且つ、一定径部分105bの外側に配置されている。
【0059】
更に、第1内筒部105及び第2内筒部106は、流体方向に対して変位可能であるように、第1内筒部105の下部と第2内筒部106の上部とは、流体の流れ方向(または伸縮継手10,11の中心軸線方向)に対して垂直方向に所定距離をおいて互いに対向するように(当該方向に重なるように)設置されている。すなわち、第1内筒部105の一定径部分105bと、第2内筒部106とが、軸方向において所定長さ重なっている(ラップしている)。
【0060】
第1フランジ103及び第2フランジ104は、伸縮継手10,11と、相手側配管(図示せず)を連結させるための連結ボルト孔が設けられており、連結孔は対応する相手側配管フランジの連通ボルト孔と同じ数だけ形成されている。伸縮継手10と相手側配管の連結孔とにボルトを挿通させ、このボルトにナットを螺合することにより連結される。
【0061】
このような構成を取ることにより、伸縮継手10,11の最外層シール層113は、第1内筒部105及び第2内筒部106において粉塵から保護され、グラスフェルト製の弾力層114と、ガラスクロスと柔軟な金網製の内皮層115により、粉塵の流入を防ぐことができる。
【0062】
ホルダ108及びホルダ109は、略鉛直方向において、互いに対向するように設置されており、配管部材101の外側方向(径方向外方)に延在している。また、ホルダ108及びホルダ109の延出方向一端部には、シッピングボルト110の軸方向両端部を挿通するための挿通穴がそれぞれ設けられている。
【0063】
そして、シッピングボルト110は、その軸方向両端部が、各ホルダ108,109の前記挿通穴に挿通されて設置され、ホルダ108及びホルダ109に固定するように、複数のナット111を螺合することにより連結される。その結果、シッピングボルト110の軸方向所定位置に、一対のホルダ108,109が位置決め固定されて、両ホルダ108,109の間隔が保持される。
【0064】
それによって、ホルダ108,109を介して、一対のフランジ103,104の間隔が保持されるので、両フランジ103,104に保持固定された配管部材101の軸方向両端部が所定長さに引き延ばされて、所定の張力が付与された状態で、振動篩20とダクト1,3との接合部に伸縮継手10,11が設置されることになる。なお、振動篩20が起動される前に、シッピングボルト110はホルダ108及びホルダ109から外される。その結果、引き延ばされて所定張力が付与された配管部材101が、所定長さに維持されることになる(保持されることになる)。
【0065】
以上説明した伸縮継手10,11の形状は、全体として筒状をなしているが、この形状には特に限定されない。例えば、伸縮継手としては、適用対象となる物件のダクト配管の形状等に合わせて、円筒形又は角筒形等に構成されていてもよい。
【0066】
(伸縮継手の設置方法)
次に、本発明に係る伸縮継手の設置方法について、振動篩20の詳細な構造と併せて具体的に説明する。
【0067】
すなわち、この伸縮継手の設置方法は、中心軸線方向について第1指定長さを有するように作製された伸縮継手10,11を、振動篩20およびダクト1,3のそれぞれに対して固定する工程と、伸縮継手10,11が、第1指定長さより長い第2指定長さに引き伸ばされた状態に維持されるように、伸縮継手10,11に力(張力)を作用させる工程と、伸縮継手10,11から張力を解除する工程とを含み、張力を解除する工程の後、伸縮継手10,11の状態が、第2指定長さから、少なくとも第1指定長さよりも長い、第3指定長さになる状態を含んでいる。
【0068】
更に、フランジ103,104を含む場合における伸縮継手の設置方法は、中心軸線方向について第1指定長さを有するように作製された伸縮継手10,11を、一対のフランジ103,104のそれぞれにより振動篩20およびダクト1,3のそれぞれに対して固定する工程と、伸縮継手10,11が、第1指定長さより長い第2指定長さに引き伸ばされた状態に維持されるように、一対のフランジ103,104の間に張力を作用させる工程と、一対のフランジ103,104から張力を解除する工程とを含み、張力を解除する工程の後、伸縮継手10,11の状態が、第2指定長さから、少なくとも第1指定長さよりも長い、第3指定長さになる状態を含んでいる。
【0069】
また、この実施形態の設置方法の場合、第1指定長さが、第2指定長さから振動篩20の振動幅を引いた算出長さの50%~100%としてもよい。
【0070】
そして、図2に示すように、この実施形態の振動篩20は、上方が開口した略樋状をなし所定長さで延びて流体物の通路となるトラフ201と、該トラフ201の上方開口部を覆うカバー202と、前記トラフ201に伝達ベルト等を介して振動を付与するモータ206と、前記トラフ201の上流側に位置する投入口に連通する第1開口部を有する、振動篩投入口側フランジ214(以下、単に「フランジ214」ともいう)と、前記トラフ201の延出方向途中に配置された開口に連通する第2開口部を有する、振動篩排出口側フランジ211(以下、単に「フランジ211」ともいう)と、前記トラフ201の下流側に位置する排出口に連通する第3開口部を有するトラフ下流側フランジ(以下、単に「フランジ212」ともいう)とを備えている。
【0071】
また、図2に示すように、フランジ214に対して、所定距離を空けて、振動篩投入口側フランジ210(以下、単に「フランジ210」ともいう)が対向して配置されている(この実施形態では、フランジ214の上方に、フランジ210が対向配置されている)。なお、フランジ210とフランジ214との間に、伸縮継手10が設置される。
【0072】
同じく図2に示すように、フランジ211に対して、所定距離を空けて、振動篩排出口側フランジ213(以下、単に「フランジ213」ともいう)が対向して配置されている(この実施形態では、フランジ211の下方に、フランジ213が対向配置されている)。なお、フランジ211とフランジ213との間に、伸縮継手11が設置される。
【0073】
なお、特に図示はしないが、この実施形態においては、上記フランジ212に対して、所定距離を空けて、振動篩排出口側フランジが対向して配置されており、この振動篩排出口側フランジとフランジ212との間に、更に伸縮継手を設置してもよい。
【0074】
そして、据付時において、フランジ210とフランジ214、及び、フランジ211とフランジ213は、鉛直方向に100~500mmの間隔を維持するように構成されており、上述したように両フランジ間に伸縮継手10,11がそれぞれ設置されている。
【0075】
当該間隔に応じた伸縮継手10,11の長さを「第2指定長さ」とする(張力が付与されて引き延ばされた長さ)。第2指定長さは図1においてL2で表わされている。なお、この実施形態では、フランジ210,214及びフランジ211,213の間隔に応じた伸縮継手10,11の長さとは、各伸縮継手10,11を構成する配管部材101の、軸方向の最長長さ(ここでは内皮層115の上下両端部における外面どうしの長さ)を意味する。
【0076】
この際、第1ホルダ108及び第2ホルダ109のそれぞれに形成された貫通孔を貫通するシッピングボルト110およびナット111により、両ホルダ108,109を介して、第1フランジ103及び第2フランジ104の間隔、ひいては伸縮継手10,11の中心軸線方向の長さが調節可能とされている(図1参照)。すなわち、伸縮継手10,11が、第1指定長さL1(図3A参照)より長い第2指定長さL2に引き伸ばされた状態に維持されるように、シッピングボルト110およびナット111により、第1フランジ103及び第2フランジ104の間に力(張力)を作用させている。
【0077】
また、モータ206を起動させると鉛直方向に振動が生じ、フランジ210とフランジ214の鉛直方向の間隔が変動する。モータ206の動作時における、振動幅を考慮したフランジ210とフランジ214の鉛直方向の最小間隔に応じた伸縮継手10の長さを「第3指定長さ」とする。
【0078】
本実施形態では、略鉛直方向に5mm~40mmの変位が確認されたので、60~460mmを第3指定長さとする。なお、第3指定長さは任意に変更できる。また、使用される振動篩やモータの、位置及び種類等によって、モータの起動時における振動幅が変化することは自明である。
【0079】
そして、シッピングボルト110及びナット111により位置決め固定されたホルダ108,109を介して、一対のフランジ103,104によって、伸縮継手10,11が第2指定長さL2に維持された状態から(図1参照)、ホルダ108,109からシッピングボルト110およびナット111が外されることにより、第1フランジ103及び第2フランジ104の間に作用していた力が解除され、伸縮継手10,11が、第2指定長さL2から、第3指定長さになる状態になり得る。
【0080】
また、伸縮継手10と伸縮継手11の最外層シール層113は長さが算出長さの50%~100%の長さ(第1指定長さ)になるように作製される。第1指定長さは図3AにおいてL1で表されている。算出長さは、第1指定長さL1よりも長いため、伸縮継手10及び伸縮継手11は、据付時には算出長さより長くなるように(第2指定長さ)伸ばして据付される。なお、第2指定長さは図3BにおいてもL2で表されている。
【0081】
また、上記算出長さは、第1指定長さL1よりも長く、第2指定長さL2よりは短くなるように設定される。更に上記の第3指定長さは、第1指定長さよりも長くなるように設定される。すなわち、この設置方法においては、第2指定長さL2>第3指定長さ>第1指定長さL1となる。
【0082】
上記のような構成を取ることで、据付時に、最外層シール層113の弾性域内で伸縮継手10及び伸縮継手11を伸ばしているので、伸縮継手10及び伸縮継手11において皺が発生することが抑制される。また、据付時においての弾性域にはまだ余裕があるので、振動篩20の起動時又は停止時に発生する、定常運転状態よりも変位量の大きい振動による変位が生じた場合も、伸縮継手10及び伸縮継手11において皺が発生したり、過伸長によって損傷したりすることが抑制される。
【0083】
振動篩20にかける対象物(流体や流体物等)は、ダクト1からフランジ210内側の開口部を介して内筒100に流入し、且つ、内筒100を通過した後、フランジ214の第1開口部を経て、受板203に投入される。トラフ201の底部とモータ206とは、伝達ベルト等を介して連結されており、モータ206が駆動すると、振動篩20にかけられた対象物は、受板203から、トラフ201の右端方向に進行する。
【0084】
また、トラフ201の底部にはライナ204とルーバースクリーン205が備えられており、振動篩20にかけられる対象物は、当該対象物の粒径に応じて、フランジ211又は第3開口部を有するフランジ212まで揺動される。
【0085】
更に、フランジ211の上部とトラフ201の下部とは連通されており、また、トラフ201の、ルーバースクリーン205の下方には、下方に向けて次第に窄まるように傾斜した傾斜面201aが設けられ、該傾斜面201aの最下部にフランジ211が配置されている関係上、ルーバースクリーン205を通過した対象物は、フランジ211へ進行する。
【0086】
更に、第3開口部の上部とトラフ201の下部とは連通されており、第3開口部は略鉛直方向に延在しているので、ルーバースクリーン205を通過しなかった対象物は、第3開口部に進行する。
【0087】
また、受板203に防振バネ207aが連設されており、ルーバースクリーン205を設置したトラフ201に防振バネ207bが連設されている。防振バネ207a及び防振バネ207bはそれぞれ、据置架台208a及び据置架台208bに連設しており、振動篩20による振動が床面に伝達することを抑制する。
【0088】
(作用効果)
次に、上記構成をなす伸縮継手10,11及びその設置方法の作用効果について説明する。
【0089】
すなわち、この伸縮継手10,11においては、配管部材101の、最も外側に位置する層(ここでは最外層シール層113)が、硬さ30Hs~55Hsの範囲に含まれ、引張強度5MPa~20MPaの範囲に含まれ、伸び率400%~1000%の範囲に含まれ、引裂強さ10kN/m~100kN/mの範囲に含まれる材質で形成されているので、配管部材101の最も外側に位置する層に、皺を発生させにくくすることができる。その結果、振動篩20とダクト1,3との接合部に設置された伸縮継手10,11に、振動篩からの振動等が長時間付与されても、伸縮継手の耐久性の向上を図ることができる。
【0090】
また、この実施形態において、内筒100は、一対のフランジ103,1040のそれぞれに対して固定され、相対的に変位可能な第1内筒部105および第2内筒部106により構成され、第1内筒部105および第2内筒部106が、伸縮継手10,11の中心軸線方向に垂直な方向について部分的に対向するように配置されている。
【0091】
上記態様によれば、内筒100が、上記のような構成となっているので、内筒100の軸方向長さを変化させることができ、伸縮継手10,11の伸縮に、柔軟に対応することができる。そのため、伸縮継手10,11を引き伸ばして、配管部材101の最も外側に位置する層(最外層シール層113)に張力を付与した状態で、振動篩20とダクト1,3との接合部に伸縮継手10,11を設置した場合に、伸縮継手10,11に張力を付与した状態に維持しやすくなる。
【0092】
更に、この実施形態においては、図1に示すように、第1内筒部105が、配管部材101の中心軸線方向について一端部から途中まで徐々に縮径した後、途中から他端部にかけて径が一定であるような形状を有し、第2内筒部106が、配管部材101の中心軸線について径が一定であるような形状を有している。
【0093】
上記態様によれば、第1内筒部105が上記のような形状をなしているので、第1内筒部105内において、その一端部から他端部にかけて、流体や流体物等を流通させやすくすることができる。また、第1内筒部105の上記形状に加えて、第2内筒部106が上記のような形状となっているので、第1内筒部105および第2内筒部106の、対向配置された部分(軸方向に重なった部分)において、一定隙間を確保しやすくなる。その結果、第1内筒部105および第2内筒部106の干渉を抑制することができ、伸縮継手を引き伸ばしやすくなる。
【0094】
また、伸縮継手の設置方法においては、上述した3つの工程を含むと共に、力を解除する工程の後、伸縮継手10,11の状態が、第2指定長さL2から、少なくとも第1指定長さL1よりも長い、第3指定長さになる状態を含んでいる。
【0095】
そのため、振動篩20とダクト1,3との接合部に伸縮継手10,11を据付けて設置する際に、第2指定長さL3に引き延ばされた伸縮継手10,11が、少なくとも第1指定長さL1(作製時の初期長さ)よりも長い、第3指定長さに維持されるので、伸縮継手10,11に皺が発生することが抑制される。
【0096】
(伸縮継手の第2実施形態)
図9~12には、本発明に係る伸縮継手の第2実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0097】
図9に示す実施形態の伸縮継手10Aは、配管部材101の中心軸線方向についての両端部を、振動篩およびダクトのそれぞれに対して固定するための、一対の固定部材50,51を有している。また、各固定部材50,51は、配管部材101の端部を固定する固定部53と、該固定部53から、相手側の固定部材に近接する方向に屈曲又は湾曲しつつ、配管部材101の径方向外方に向けて張り出す張り出し部55とを有している。
【0098】
この第2実施形態における配管部材101は、単層(一層のみ)となっており、また、その軸方向の両端部が外方に向けて屈曲されて、屈曲部分101a,101bをなしている。更に、内筒100は、軸方向の一端部から他端部に向けて次第に縮径する形状となっている。
【0099】
そして、固定部材50は、配管部材101の軸方向の一端部(屈曲部分101a)を、ダクト又は振動篩の一方に固定するためのものであって、内筒100を流通する流体の上流側に配置される。また、固定部材51は、固定部材50に対向して配置され、配管部材101の軸方向の他端部(屈曲部分101b)を、ダクト又は振動篩の他方に固定するためのものであって、内筒100を流通する流体の下流側に配置される。
【0100】
そして、固定部材50,51は、内筒100の中心軸線Cに対して直交して所定長さで延びる固定部53と、該固定部53の延出方向先端部から、配管部材101の径方向外方にやや張り出すと共に、対向配置された相手側の固定部材に向けて(固定部材50の場合は固定部材51に向けて、固定部材51の場合は固定部材50に向けて)直交するように屈曲しつつ所定長さで延びる屈曲部分57と、該屈曲部分57の延出方向先端部から、内筒100の中心軸線Cに対して直交するように配管部材101の径方向外方に向けて所定長さで張り出す張り出し部分59とを有しており、固定部材50,51全体は略クランク形状をなしている。
【0101】
また、固定部53の延出方向基端部には、ボルト61が挿通される図示しないボルト挿通穴が形成されていると共に、張り出し部分59の延出方向先端部には、シッピングボルト110が挿通される図示しないボルト挿通穴が形成されている。更に、固定部53,53どうしの間隔に対して、張り出し部分59,59どうしの間隔が狭くなるように、一対の固定部材50,51が配置されるようになっている(図9参照)
【0102】
また、固定部材50,51の固定部53,53の延出方向基端部が、環状をなした継手側フランジ112,112に対して、溶着等によってそれぞれ固着されている。
【0103】
なお、屈曲部分57と張り出し部分59とが、本発明における「張り出し部」をなしている。
【0104】
また、フランジ210,214は、筒状のダクト210a,214aの端部外面に溶着等によって固着されて、水平方向に張り出している。
【0105】
更に、配管部材101の端末部分が、ガスケット102,102で覆われるようになっている。すなわち、配管部材101の屈曲部分101a,101bの外周が、ガスケット102,102で包み込まれるように覆われると共に、配管部材101の、屈曲部分101a,101bの近傍部分101c,101dの外周も、ガスケット102,102で被覆される。
【0106】
そして、配管部材101の、軸方向一端部の屈曲部分101aは、ガスケット102で覆われた状態で、フランジ210と継手側フランジ112とで挟持されたうえで、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。
【0107】
同様に、配管部材101の、軸方向他端部の屈曲部分101bは、ガスケット102で覆われた状態で、フランジ214と継手側フランジ112とで挟持されたうえで、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。
【0108】
なお、ボルト61は、継手側フランジ112と別体でもよいが、継手側フランジ112に予め溶着されたスタッドボルトとしてもよい。この場合、ボルトナットの締め付け作業性向上の観点から、スタッドボルトの軸部は、フランジ210,214に向くように立設しておくことが好ましい(スタッドボルトの軸部を、継手の軸方向外側に向けて配置する)。
【0109】
更に、張り出し部分59,59の図示しないボルト挿通穴に、シッピングボルト110の軸方向両端部を挿通し、複数のナット111で締め付け固定することで、配管部材101が、所定の第2指定長さL2となるように引き延ばされて、張力が付与された状態で配置される。
【0110】
そして、この実施形態の伸縮継手10Aにおいては、一対の固定部材50,51は、上記構成をなした張り出し部55,55を有しているので、配管部材101が径方向外方に変形したとしても、その変形を許容することができる。すなわち、配管部材101の径方向外方に変形しても、その変形部分が、固定部と張り出し部55との間の空間、より具体的には、固定部53と屈曲部分57との間に設けられた空間Rに入り込むことになる。
【0111】
その結果、配管部材101が、固定部材50,51に干渉しにくくなるので、配管部材101の最も外側に位置する層(ここでは配管部材101は単層のため、配管部材101の外表層)に、皺が発生したり損傷したりすることを抑制することができる。なお、図9の二点鎖線で示す湾曲部分58のように(これについては段落0141にて説明する)、固定部材50,51において、配管部材101と干渉する可能性のある部分の形状を緩やかな曲線形状としておくと、配管経路の閉塞や圧力異常などで配管部材101に著しい変形などが生じた場合にも、皺が発生したり損傷を抑制したりすることができるため、好ましい。
【0112】
また、一対の固定部材50,51を構成する張り出し部55,55の、固定部53,53に対して間隔が狭い張り出し部分59,59を利用して、シッピングボルト110を複数のナット111で締め付け固定する構成となっているので、シッピングボルト110の軸方向長さを短くすることができる。
【0113】
なお、ガスケット102によって、配管部材101の屈曲部分101a,101bとフランジ210,214との隙間がシールされる。また、ガスケット102は、配管部材101の近傍部分101c,101dをも覆う構成となっているので、配管部材101と、フランジ継手側フランジ112との隙間もシールされる。そのため、配管部材101のシール性(密閉性能)を高めることができる。
【0114】
図10には、第2実施形態の伸縮継手の、第1変形例が示されている。
【0115】
この第1変形例の伸縮継手10Bは、内筒100の構造が図9と異なっている。すなわち、この第1変形例における内筒100は、その軸方向の一端部に、外方に向けて屈曲した屈曲部分100aが設けられている。
【0116】
そして、配管部材101の、ガスケット102で覆われた屈曲部分101aと、当該屈曲部分101a上に載置された内筒100の屈曲部分100aと、当該屈曲部分100a上に載置され、且つ、前記ガスケット102とは別のガスケット102aとが、フランジ210と、継手側フランジ112とで挟持された状態で、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。
【0117】
なお、この第1変形例の伸縮継手10Bにおいても、図9に示す伸縮継手10Aと同様の作用効果を得ることができる(段落0111~0113参照)。
【0118】
また、内筒100の軸方向一端部に屈曲部分100aが設けられており、この屈曲部分100aを利用して、内筒100がフランジ210等に固定された構造となっているので、配管部材101と内筒100とを離間させることができ、例えば、内筒100内を流通する流体による熱の影響を、配管部材101が受けにくくなる。
【0119】
図11には、第2実施形態の伸縮継手の、第2変形例が示されている。
【0120】
この第1変形例の伸縮継手10Cは、内筒100の構造が図10と異なっている。すなわち、この第2変形例における内筒100は、図10の内筒100と同様の構造をなした第1内筒部105を有していると共に、第2内筒部106を有する二重筒構造をなしている。
【0121】
第1内筒部105は、その軸方向一端部に、外方に屈曲されてなる屈曲部分105cが設けられている。また、第2内筒部106は、配管部材101の軸方向他端部の屈曲部分101bと、フランジ214とで挟持されて固定される、固定部106aと、該固定部106aの径方向内方から垂直に立ち上がった立設部106bとを有しており、この立設部106bが、第1内筒部105の延出方向先端部に対して所定長さ重なっている。
【0122】
また、立設部106bの先端部には、保護部材140が取付けられている。この実施形態の場合、断面円形状の環状部材となっており、立設部106bの先端部に、溶着や接着等によって固着されている。なお、保護部材140としては、例えば、断面が楕円形状等であってもよく、外面が曲面状をなしていればよい。
【0123】
上記のような外面が曲面状をなした保護部材140を、所定部材の端末部に設けることで、所定部材の端末部近傍に配置される他部材に、所定部材の端末部が直接接触することを防止して(角部や、エッジ、バリ等を有する端末部が他部材に接触しない)、外面が曲面状の保護部材140が他部材に接触することになるので、他部材の損傷を抑制することができる(角部等の接触による破損等が緩和される)。
【0124】
この実施形態の場合、配管部材101が径方向内方に変形したとしても、立設部106bの先端部が、配管部材101に直接接触せず、保護部材140が配管部材101に接触することになるので、配管部材101の損傷を抑制することができる。
【0125】
なお、図1図12図16~18、図20に示す態様においても、同様の効果を得ることができる。
【0126】
図1の態様の場合は、内皮層115の損傷を抑制でき、図12,16の態様の場合は、防塵部材107の損傷を抑制できる。また、図17,18の態様の場合は、ダクト5の先端部に保護部材140が固着されており、これによってガスケット102や内筒100の損傷を抑制できる。更に図20の態様の場合は、ダクト6,7の先端部に保護部材140がそれぞれ固着されており、これによってガスケット102や配管部材101の損傷を抑制できる。
【0127】
そして、配管部材101の、ガスケット102で覆われた屈曲部分101aと、当該屈曲部分101a上に載置された第1内筒部105の屈曲部分105cと、当該屈曲部分105c上に載置されたガスケット102aとが、フランジ210と、継手側フランジ112とで挟持された状態で、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。
【0128】
また、第2内筒部106の固定部106aと、当該固定部106a上に載置され、且つ、配管部材101の、ガスケット102で覆われた屈曲部分101bと、固定部106aの下面に配置されたガスケット102aとが、フランジ214と継手側フランジ112とで挟持された状態で、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。
【0129】
その結果、配管部材101が、所定の第2指定長さL2となるように引き延ばされて、張力が付与された状態で配置される。
【0130】
そして、この第2変形例の伸縮継手10Cにおいては、図9に示す伸縮継手10Aや図10に示す伸縮継手10Bと同様の作用効果を得ることができる(段落0111~0113,0118参照)。
【0131】
また、第2内筒部106に、立設部106bを設けたことによって、第1内筒部105と第2内筒部106との隙間(下方開口)から、内筒100と配管部材101との間隙Kに、例えば、砂や、ゴミ、塵等の異物が侵入しようとしても、当該間隙Kへの侵入を抑制することができ、配管部材101に、ヒビや亀裂等を発生させにくくすることができる。
【0132】
図12には、第2実施形態の伸縮継手の、第3変形例が示されている。
【0133】
この第3変形例の伸縮継手10Dは、基本的には図11の構造と同様であるが、第1内筒部105と第2内筒部106との間に、防塵部材107が挿入配置された構造となっており、第1内筒部105と第2内筒部106の立設部106bとの隙間(下方開口)が閉塞されている。
【0134】
この防塵部材107は、カバーと、該カバーの内部に充填された充填部材と、カバーの外周に配置された補強部材とから構成されている。
【0135】
上記カバーとしては、段落0047に記載の弾力層114と同様のものを用いることができ、例えば、ガラスクロスやセラミッククロス等が好適である。
【0136】
また、充填部材としては、段落0048に記載の内皮層115と同様のものを用いることができ、例えば、グラスフェルトやセラミックフェルト等が好適である。
【0137】
更に、補強部材としては、例えば、ステンレスやニッケル系合金等からなる金網を用いることができ、伸縮屈曲性を有するメリヤス編みにした金網を好適に用いることができる。
【0138】
上記のカバーや、充填部材、金属メッシュ部材は、その厚さ等を適宜設定することができ、また、カバーや補強部材は、多層構造としてもよい。
【0139】
なお、防塵部材には、補強部材はなくともよいが、補強部材を有する場合は、カバーや充填部材の保護や維持が図ることが可能となる。
【0140】
そして、この第3変形例の伸縮継手10Dにおいては、図9に示す伸縮継手10Aや図10に示す伸縮継手10Bと同様の作用効果を得ることができると共に(段落0111~0113,0118参照)、第1内筒部105と第2内筒部106との間に配置された防塵部材107によって、内筒100と配管部材101との間に、異物が侵入することを防止することができる。
【0141】
また、図9~12に示す第2実施形態の伸縮継手10A,10B,10C,10Dは、固定部53から、相手側の固定部材に近接する方向に屈曲しつつ径方向外方に広がる形状となっているが、例えば、図9に示すように、固定部53の延出方向先端部から、対向配置された相手側の固定部材に対して、湾曲する形状をなしつつ径方向外方に張り出す形状としてもよい(図9の二点鎖線で示す湾曲部分58参照)。
【0142】
(伸縮継手の第3実施形態)
図13~16には、本発明に係る伸縮継手の第3実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0143】
図13に示す実施形態の伸縮継手10Eは、配管部材101の中心軸線方向についての他端部を、ダクト等に固定するための、固定フレーム70を有しており、該固定フレーム70は、内筒100と配管部材101との間隙Kに連通する連通穴74が形成されている。なお、この連通穴74は、内筒100と配管部材101との間隙Kに入り込んだ異物を排出可能となっている。
【0144】
より具体的には、固定フレーム70は、配管部材101の中心軸線Cに対して直交して所定長さで延びる基部71と、該基部71の延出方向一端部(内筒100から離間した端部)から垂下した固定部73とを有しており、略L字アングル状をなしている。なお、この固定フレーム70は、配管部材101の軸方向他端部側に配置されている。
【0145】
また、筒状体80aの下端部内面に、第1内筒部105の軸方向一端部が、溶着等により固着されている。
【0146】
更に、基部71には、複数の連通穴74が形成されている。また、固定フレーム70の基部71の延出方向他端部が、第2内筒部106の外面に溶接等によって固着されている。
【0147】
なお、連通穴74は、異物の堆積しやすい箇所に設けることが好ましい。また、内筒100と配管部材101との間隙Kを、内視鏡や、目視、マイクロスコープ等で、異物の堆積状態や、配管部材101の状態等を点検しやすいように、連通穴74の内径や、位置、形状等を、適宜設定することが好ましい。更に、連通穴74の内径や、位置、形状等は、連通穴74から固定フレーム70,80や内筒100等の状態を点検できるように設定すると、より好ましい。
【0148】
なお、連通穴74を2個以上設けておけば、照明用や検査用に、各連通穴74を利用することができ、例えば、所定の連通穴74から、間隙Kの吸引清掃やエアブロー等を行いながら、他の連通穴74から、間隙Kや配管部材101の状況等を確認したり集塵したりすることが可能となる。
【0149】
一方、配管部材101の軸方向一端部側にも、上記固定フレーム70と同様の形状をなした、固定フレーム80が対向配置されている。
【0150】
すなわち、この固定フレーム80も、配管部材101の中心軸線Cに対して直交して所定長さで延びる基部81と、該基部81の延出方向一端部から垂設した固定部83とを有しており、略L字アングル状をなしている。また、固定フレーム80の基部81の延出方向他端部が、筒状体80aの下端部外面に溶接等によって固着されている。
【0151】
更に、各固定フレーム70,80の、固定部73,83には、図示しないボルト挿通穴が形成されている。
【0152】
この実施形態においても、配管部材101の端末部分が、ガスケット102,102で覆われるようになっている。すなわち、配管部材101の軸方向両端部の外周が、ガスケット102,102で包み込まれるように覆われている。
【0153】
そして、配管部材101の、ガスケット102で覆われた軸方向他端部が、その内面側に当接配置された固定フレーム70の固定部73と、外面側に配置された押え板112aとで挟持された状態で、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。
【0154】
同様に、配管部材101の、ガスケット102で覆われた軸方向一端部が、その内面側に当接配置された固定フレーム80の固定部83と、外面側に配置された押え板112aとで挟持された状態で、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。
【0155】
その結果、配管部材101が、所定の第2指定長さL2となるように引き延ばされて、張力が付与された状態で配置される。
【0156】
そして、この実施形態の伸縮継手10Eにおいては、固定フレーム70に、内筒100と配管部材101との間隙Kに連通する連通穴74を形成したので、内筒100と配管部材101との間隙Kに、砂や、ゴミ、塵等の異物が入り込んだとしても、当該異物を連通穴74からスムーズに排出することができ、配管部材101に、ヒビや亀裂等を発生させにくくすることができる。
【0157】
また、連通穴74から、例えば、エアブローチューブや吸引チューブ等を挿入することで、間隙Kに堆積した異物の掃除や吸引、配管部材101の清掃等を行うことができる。更に、連通穴74を利用して、マイクロスコープ等を挿入することで、間隙Kや配管部材101の状態を確認することもできる。
【0158】
更に、例えば、固定フレームを構成する基部の一部を、すり鉢のような形状、すなわち、上方が拡径し下方に向けて次第に縮径するような円錐状をなした凹部とし、該凹部の底部に、排出穴を形成してもよい。この場合、固定フレームの基部上に載置された異物を、排出穴に集めやすくなり、スムーズに排出することができる。
【0159】
図14には、第3実施形態の伸縮継手の、第1変形例が示されている。
【0160】
この第1変形例の伸縮継手10Fは、固定フレーム70,80の形状や構造が、図13と異なっている。
【0161】
すなわち、この第1変形例における固定フレーム70は、基部71の延出方向他端部(内筒100に近接した端部)が、第2内筒部106の上部外面に、溶接によって固着されている。この溶接された部分を「溶接部分P」とする。また、継手側フランジ112が、第2内筒部106の下端部外面に、溶接によって固着されている。
【0162】
そして、固定フレーム70の基部71及び固定部73と、継手側フランジ112とが、薄肉板状をなしたリブ77で連結されている。また、リブ77と第2内筒部106との間には、隙間75が形成されている。
【0163】
また、第1内筒部105の軸方向一端部の外面が、筒状体80aに、溶接により固着されている。
【0164】
一方、固定フレーム80は、基部81の延出方向他端部が、筒状体80aの下端部外面に、溶接によって固着されている。また、継手側フランジ112が、筒状体80aの上端部外面に、溶接によって固着されている。
【0165】
そして、固定フレーム80の基部81及び固定部83と、継手側フランジ112とが、薄肉板状をなしたリブ87で連結されている。また、リブ87と筒状体80aとの間には、隙間85が形成されている。
【0166】
そして、配管部材101の、ガスケット102で覆われた軸方向他端部が、その内面側に当接配置された固定フレーム70の固定部73と、外面側に配置された押え板112a及びその外側に配置された略L字状をなしたボルトホルダ90とで挟持された状態で、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。
【0167】
また、配管部材101の、ガスケット102で覆われた軸方向一端部が、その内面側に当接配置された固定フレーム80の固定部83と、外面側に当接した押え板112a及びその外側に配置されたボルトホルダ90とで挟持された状態で、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。
【0168】
更に、一対のボルトホルダ90,90の図示しないボルト挿通穴に、シッピングボルト110を挿通して、複数のナット111で締め付け固定することで、配管部材101が、所定の第2指定長さL2となるように引き延ばされて、張力が付与された状態で配置される。
【0169】
そして、この第1変形例の伸縮継手10Fにおいては、図13に示す伸縮継手10Eと同様の作用効果を得ることができる(段落0157,0158参照)。また、リブ77と第2内筒部106の立設部106bとの間に形成された隙間75、及び、リブ87と筒状体80aとの間に形成された隙間85によって、固定フレーム70,80の基部71,81上に、雨水等の流体や、粉塵等の粉体などが溜まっても、これらの流体や粉体などを、隙間75,85から排出することができ、配管部材101等の劣化を抑制することができる。
【0170】
図15には、第3実施形態の伸縮継手の、第2変形例が示されている。
【0171】
この第2変形例の伸縮継手10Gは、基本的には図14に示す形状と同様の構造となっているが、第2内筒部106の構造が若干異なっている。
【0172】
すなわち、この第2変形例における第2内筒部106の立設部106bが、図14における立設部106bよりも長く延びており、第1内筒部105に対する第2内筒部106の重なり量(ラップ量)が図13よりも多い構造となっている。なお、この構造は、図11に示される第2実施形態における第2変形例の伸縮継手10Cと同様である。
【0173】
そして、この第2変形例の伸縮継手10Gにおいては、図13に示す伸縮継手10Eと同様の作用効果を得ることができると共に(段落0157,0158参照)、第2内筒部106に長い立設部106bを設けたことによって、内筒100と配管部材101との間隙Kへの、異物の侵入を抑制することができ、配管部材101に、ヒビや亀裂等を発生させにくくすることができる。
【0174】
図16には、第3実施形態の伸縮継手の、第3変形例が示されている。
【0175】
この第3変形例の伸縮継手10Hは、基本的には図15の構造と同様であるが、第1内筒部105と第2内筒部106との間に、防塵部材107が挿入配置された構造となっており、第1内筒部105と第2内筒部106の立設部106bとの隙間(下方開口)が閉塞された構造となっている。なお、この構造は、図12に示される第2実施形態における第3変形例の伸縮継手10Dと同様である。
【0176】
そして、この第3変形例の伸縮継手10Hにおいては、第1内筒部105と第2内筒部106との間に配置された防塵部材107によって、内筒100と配管部材101との間に、異物が侵入することを防止することができる。
【0177】
また、固定フレーム70に、内筒100と配管部材101との間隙Kに連通する連通穴74を形成したので、内筒100と配管部材101との間隙Kに、例えば、防塵部材107の材料等に起因して塵等の異物が存在するようになっても(例えば、充填部材の材質によっては、防塵部材外周からはみ出ることがある)、当該異物を連通穴74から排出することができるので、配管部材101に、ヒビや亀裂等を発生させにくくすることができる。
【0178】
(伸縮継手の第4実施形態)
図17には、本発明に係る伸縮継手の第4実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0179】
この第4実施形態の伸縮継手10Iは、対向配置された一対のダクト4,5間に、配管部材101が直接張設された構造となっている。なお、一対のダクト4,5は同一外径となっている。
【0180】
そして、配管部材101の、ガスケット102で覆われた軸方向一端部の内面側を、ダクト4に当接させた状態で、外面側に配置された固定バンド95によって、挟持されて固定されると共に、配管部材101の、ガスケット102で覆われた軸方向他端部の内面側を、ダクト5を当接させた状態で、外面側に配置された固定バンド95によって、挟持されて固定される。その結果、配管部材101が、所定の第2指定長さL2となるように引き延ばされて、張力が付与された状態で配置される。
【0181】
上記のように配管部材101を設置する際には、配管部材101を、作業者の力や、所定の治具、器具、装置等で、予め引き延ばして張力を付与した状態とした後に、固定バンド95で固定することができる。
【0182】
なお、スタッドボルトや引き掛け部材等が存在する場合には(後述する図18に示す態様で、ボルト61をスタッドボルトとしたような場合)、これを利用して配管部材101の一端部や他端部を引き掛けることにより、配管部材101の引き延ばし作業の効率化を図ることができる。
【0183】
この第4実施形態の伸縮継手10Iにおいては、振動篩やダクト側に、伸縮継手固定用のフランジを設ける必要がないので、構造の簡素化を図ることができる。
【0184】
(伸縮継手の第5実施形態)
図18には、本発明に係る伸縮継手の第5実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0185】
この第5実施形態の伸縮継手10Jは、基本的には第4実施形態の伸縮継手10Iと同様に、一対のダクト4,5間に配管部材101が張設された構造をなしているが、配管部材101の軸方向両端部が、押え板112aを介して、ボルト61及びナット62で締め付け固定された構造となっている点が、第4実施形態と異なっている。
【0186】
そして、この第5実施形態の伸縮継手10Jにおいても、第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0187】
(伸縮継手の第6実施形態)
図19には、本発明に係る伸縮継手の第6実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0188】
この第6実施形態の伸縮継手10Kは、シッピングボルト110を保持するホルダ98や固定部材99を介して、内筒100及び配管部材101が配置された構造となっている。
【0189】
各固定部材99は、基部99aと、該基部99aの一端部から直交方向に屈曲してなる屈曲部99bとからなる、略L字アングル状をなしている。なお、一対の固定部材99,99のうち、図面上方に位置する固定部材99の基部99aの一端部内面が、内筒100の端部外面に溶接等によって固着されている。
【0190】
また、シッピングボルト110を保持する各ホルダ98は、一対の固定部材99,99の屈曲部99b,99b等に、溶接によって固着されている。
【0191】
そして、配管部材101の、ガスケット102で覆われた軸方向一端部が、図面上方に位置する固定部材99の基部99aと、押え板112aとで挟持された状態で、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。また、固定部材99の屈曲部99bと、フランジ210との間に、ガスケット102とは別のガスケット102aが配置され、同ガスケット102aが屈曲部99b及びフランジ210で挟持固定される。
【0192】
同様に、配管部材101の、ガスケット102で覆われた軸方向他端部が、図面下方に位置する固定部材99の基部99aと、押え板112aとで挟持された状態で、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。また、固定部材99の屈曲部99bと、フランジ214との間に、ガスケット102aが配置され、同ガスケット102aが屈曲部99b及びフランジ214で挟持固定される。
【0193】
更に、上下一対のホルダ98,98に形成された図示しないボルト挿通穴に、シッピングボルト110の軸方向両端部がそれぞれ挿通されて、複数のナット111で締め付け固定されることで、配管部材101が、所定の第2指定長さL2となるように引き延ばされて、張力が付与された状態で配置される。
【0194】
(伸縮継手の第7実施形態)
図20には、本発明に係る伸縮継手の第7実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0195】
この第7実施形態における伸縮継手10Lは、配管部材120やダクト6,7の構造が前記実施形態と異なっている。
【0196】
具体的に説明すると、この第7実施形態では、所定内径のダクト6と、このダクト6よりも小径で、且つ、当該ダクト6の径方向中央部に、ダクト6よりも小径の内径のダクト7が挿入配置された、二重筒状のダクト構造となっている。なお、ダクト7は、その軸方向他端部が、ダクト6内に挿入されて、所定長さ重なった状態となっている。
【0197】
また、配管部材120は、ダクト6,7の上方開口部をカバー可能とし、ダクト6,7の軸心に対して直交する方向に広がる、環状基部121と、該環状基部121の径方向内周縁部から垂設した筒状固定部122と、前記環状基部121の径方向外周縁部から垂下した筒状固定部123とを有している。
【0198】
更に、配管部材120の筒状固定部122,123の外周が、ガスケット102,102で包み込まれるように覆われている。
【0199】
そして、配管部材101の、ガスケット102で覆われた筒状固定部122が、その内面側に当接配置されたダクト7と、外面側に配置された押え板130とで挟持された状態で、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。
【0200】
同様に、配管部材101の、ガスケット102で覆われた筒状固定部123が、その内面側に当接配置されたダクト6と、外面側に配置された押え板130とで挟持された状態で、ボルト61及びナット62で締め付け固定される。
【0201】
その結果、配管部材120が、所定の第2指定長さL2となるように引き延ばされて、張力が付与された状態で配置される。
【0202】
この第7実施形態の伸縮継手10Lにおいては、二重筒状をなしたダクト6,7にも対応して設置することができる。
【0203】
なお、配管部材120の環状基部121は、ダクト6,7の軸心に対して直交する方向に広がる形状をなしているが、ダクト6,7の軸心に対して傾斜して広がる形状であってもよい。
【0204】
(伸縮継手の第8実施形態)
図21には、本発明に係る伸縮継手の第8実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0205】
この第8実施形態における伸縮継手10Mは、基本的には、図14に示す伸縮継手10Fと同様の構造となっているが、固定フレーム80Aの形状が、図14の場合と異なっている。
【0206】
すなわち、この第8実施形態における固定フレーム80Aは、筒状体80aの下端部外面から、内筒100の径方向外方に向けて斜め下方に傾斜する基部81aと、該基部81aの延出方向一端部から垂下した固定部83aとからなる、アングル形状をなしている。
【0207】
また、固定フレーム80Aの基部81aと、継手側フランジ112とを連結する、薄肉板状をなしたリブ87aの、外側の上縁部87bが、内筒100の径方向外方に向けて斜め下方に傾斜するテーパ状をなしている。なお、リブ87aと筒状体80aとの間には、隙間85が形成されている。
【0208】
そして、この伸縮継手10Mにおいては、図14に示す伸縮継手10Fと同様の作用効果を得ることができる(段落0169参照)。
【0209】
また、固定フレーム80Aの基部81a上に、雨水等の流体や粉塵等の粉体などが溜まろうとしても、基部81aが、内筒100の径方向外方に向けて斜め下方に傾斜する形状をなしているので、流体や粉体などが、基部81a上を流れて、内筒100から離れる方向に排出することができると共に、隙間85からも流体や粉体などを排出することができるため、内筒100や配管部材101等の劣化を抑制することができる。
【0210】
また、図21において二点鎖線で示すように、固定フレーム70の基部71を、内筒100の径方向外方に向けて斜め上方に傾斜する形状としてもよい。
【0211】
この態様では、固定フレーム70の基部71上に、流体等に含まれる粉塵等の粉体などが溜まると、自重や振動篩の振動等によって、流体や粉体などが基部71上を流れると共に、第1内筒部105と第2内筒部106との隙間75から排出することができ、配管部材101等の劣化を抑制することができる。
【0212】
(耐久性試験)
以下、本実施形態の伸縮継手の耐久性に関する試験について示す。
【0213】
(形状のタイプ)
下記に示すような最外層シール層113の据付方法及び最外層シール層113の形状をタイプ1~タイプ6とした。
【0214】
(タイプ1 本実施形態)
タイプ1の伸縮継手10は、図3Aに示されているように、高さが第1指定長さL1である略円筒状に形成されている。第1指定長さL1は、第2指定長さL2から振動幅を引いた算出長さの50~100%である。図3Bに示されているように、伸縮継手10の長さまたは最外層シール層113が第2指定長さL2まで引き伸ばされた状態で振動篩およびダクトに接続されるように設置されている。
【0215】
(タイプ2 振動の伸縮幅を考慮して余長を設けたタイプ)
タイプ2の伸縮継手は、図4に示すように略トーラス状に形成されており、最外層シール層113の長さが据付面間より長く(例えば据付面間100mm~500mmに対して、最外層シール層113の長さを据付面間よりも20%長いものとする)製作され、当該据付面間まで縮められて据付されている。
【0216】
(タイプ3 中央部を膨らませて太鼓状にしたタイプ)
タイプ3の伸縮継手は図5に示すように、最外層シール層113が、略円錐台側面状の上部と、略トーラス体状の中部と略円錐台側面状の下部からなる形状に形成されており、最外層シール層113の長さが据付面間より長く(例えば据付面間100mm~500mmに対して、最外層シール層113の長さを据付面間よりも20~40%長いものとする)製作され、当該据付面間まで縮められて据付されている。
【0217】
(タイプ4 中央部を外側に出して提灯形状にしたタイプ)
タイプ4の伸縮継手は図6に示すように、最外層シール層113が略双円錐側面状からなる形状であり、当該略双円錐台側面状の内径の平均変化率の微分係数が正の値を取るような形状に形成されており、最外層シール層113の長さが据付面間より長く(例えば据付面間100mm~500mmに対して、最外層シール層113の長さを据付面間よりも20~40%長いものとする)製作され、当該据付面間まで縮められて据付されている。
【0218】
(タイプ5 ジャバラ形状にしたタイプ)
タイプ5の伸縮継手は図7に示すように、最外層シール層113が、略円錐台側面状の凹部と、略トーラス体状の凸部と、からなる複数のユニットからなる形状であり、当該ユニットが略鉛直方向に略等間隔になるように配設された略ジャバラ形状になるように形成されており、最外層シール層113の長さが据付面間より長く(例えば据付面間100mm~500mmに対して、最外層シール層113の長さを据付面間よりも20~40%長いものとする)製作され、当該据付面間まで縮められて据付されている。
【0219】
(タイプ6 余長を設けないタイプ)
タイプ6の伸縮継手は図8に示すように、最外層シール層113の長さが据付面間の長さになるように製作され、据付されたものをタイプ6とした。
【0220】
(実施例1)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)40、引裂強さ52(kN/m)、伸び率700(%)、引張強度11.3(MPa)の耐震用シリコンゴム、弾力層の材質としてグラスフェルト、内皮層の材質としてガラスクロスを用いた伸縮継手が作製された。形状1はタイプ1とした。
【0221】
(実施例2)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)52、引裂強さ15(kN/m)、伸び率550(%)、引張強度10(MPa)のシリコンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって伸縮継手が作製された。
【0222】
(実施例3)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)32、引裂強さ18(kN/m)、伸び率650(%)、引張強度6.5MPaのシリコンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって伸縮継手が作製された。
【0223】
(実施例4)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)45、引裂強さ40(kN/m)、伸び率600(%)、引張強度10MPaの高引裂シリコンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって伸縮継手が作製された。
【0224】
(実施例5)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)36、引裂強さ32(kN/m)、伸び率940(%)、引張強度10.9MPaの高伸長シリコンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって伸縮継手が作製された。
【0225】
(実施例6)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)32、引裂強さ13(kN/m)、伸び率610(%)、引張強度11.4MPaのウレタンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって伸縮継手が作製された。
【0226】
(実施例7)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)45、引裂強さ15(kN/m)、伸び率400(%)、引張強度5.5MPaのクロロプレンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって伸縮継手が作製された。
【0227】
(実施例8)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)41、引裂強さ12(kN/m)、伸び率930(%)、引張強度6.2MPaのシリコン変性EPDMゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって伸縮継手が作製された。
【0228】
(比較例1)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)23、引裂強さ10(kN/m)、伸び率770(%)、引張強度5MPaの低硬度高伸長シリコンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例1の伸縮継手が作製された。
【0229】
(比較例2)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)58、引裂強さ35(kN/m)、伸び率680(%)、引張強度9.2MPaのシリコンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例2の伸縮継手が作製された。
【0230】
(比較例3)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)51、引裂強さ7(kN/m)、伸び率400(%)、引張強度8.7MPaのシリコンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例3の伸縮継手が作製された。
【0231】
(比較例4)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)90、引裂強さ109(kN/m)、伸び率510(%)、引張強度59MPaのウレタンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例4の伸縮継手が作製された。
【0232】
(比較例5)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)43、引裂強さ15(kN/m)、伸び率370(%)、引張強度6.5MPaのシリコンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例5の伸縮継手が作製された。
【0233】
(比較例6)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)20、引裂強さ17(kN/m)、伸び率1030(%)、引張強度5.7MPaのシリコンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例6の伸縮継手が作製された。
【0234】
(比較例7)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)31、引裂強さ15(kN/m)、伸び率480(%)、引張強度4.7MPaのシリコンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例7の伸縮継手が作製された。
【0235】
(比較例8)
最外層シール層113の材質として硬度(Hs)50、引裂強さ29(kN/m)、伸び率610(%)、引張強度26.6MPaのウレタンゴムを用いて、実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例8の伸縮継手が作製された。
【0236】
(比較例9)
最外層シール層113はメタ型アラミド繊維シートにシリコンゴムを塗布した材料を用い、形状1はタイプ2とした以外は実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例9の伸縮継手が作製された。
【0237】
(比較例10)
最外層シール層113はメタ型アラミド繊維シートにシリコンゴムを塗布した材料を用い、形状1はタイプ3とした以外は実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例10の伸縮継手が作製された。
【0238】
(比較例11)
最外層シール層113はメタ型アラミド繊維シートにシリコンゴムを塗布した材料を用い、形状1はタイプ4とした以外は実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例11の伸縮継手が作製された。
【0239】
(比較例12)
最外層シール層113はメタ型アラミド繊維シートにシリコンゴムを塗布した材料を用い、形状1はタイプ5とした以外は実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例12の伸縮継手が作製された。
【0240】
(比較例13)
最外層シール層113は、厚さ0.3mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを用い、形状1はタイプ6とした以外は実施例1と同様の作製条件にしたがって比較例13の伸縮継手が作製された。
【0241】
今回使用した実施例1の耐振動用シリコンゴムは、(製品名:ST‐シリコン 株式会社柴田工業所製)であり、実施例2のシリコンゴムは(製品名:KE-552-U 信越化学工業株式会社製)であり、実施例3のシリコンゴムは(製品名:KE-503-U 信越化学工業株式会社製)であり、実施例4の高引裂シリコンゴムは(製品名:SFGシリコン サンシンエンタープライズ株式会社製)であり、実施例5の高伸長シリコンゴムは(製品名:高伸長性シリコンゴム 共和工業株式会社製)であり、実施例6のウレタンゴムは(製品名:RC-3030 株式会社立成化学工業所製)であり、実施例7のクロロプレンゴムは(製品名:45A 株式会社ミスミ製)であり、実施例8のシリコン変性EPDMゴムは(製品名:SEP-1421-U 信越化学工業株式会社製)である。
【0242】
また、比較例1の低硬度高伸長シリコンゴムは(製品名:KE-520-U 信越化学工業株式会社製)であり、比較例2のシリコンゴムは(製品名:KE-7212-U 信越化学工業株式会社製)であり、比較例3のシリコンゴムは(製品名一般シリコンゴム 共和ゴム工業株式会社製)であり、比較例4のウレタンゴムは(製品名ウレタンゴム90°株式会社ミスミ製)であり、比較例5のシリコンゴムは(製品名:KE-941-U 信越化学工業株式会社製)であり、比較例6のシリコンゴムは(製品名:低硬度シリコンゴム 共和工業株式会社社製)であり、比較例7のシリコンゴムは(製品名:KE-931-U 信越化学工業株式会社製)であり、比較例8のウレタンゴムは(製品名:タイプレン タイガースポリマー株式会社製)である。
【0243】
更に、グラスフェルトは耐熱グラスフィルトB No.7740(製品名:(株)エーアンドエーマテリアル社製)であり、ガラスクロスはサンテックスNo.1910(製品名:(株)エーアンドエーマテリアル社製)であり、ガスケットはゴム引テープNo.4100(製品名:(株)エーアンドエーマテリアル社製)である。
【0244】
タイプAデュロメータ硬度計を使用したJIS K6253:2012テスト法に準拠して各実施例及び各比較例の最外層シール層113の硬度を測定した。引裂強さはJIS K6252:2015テスト法に準拠してクレセント型試験片を用いて測定した。伸び、引張強度はJIS K6251:2017テスト法に準拠してダンベル型試験片を用いて測定した。各試験とも気温を23℃に保ちながら測定した。
【0245】
(評価方法)
図1及び図2に示すような配置で、各々の伸縮継手10を設置し、振動篩20を1日あたり8時間連続で駆動させたところ、比較例1~13では断裂が生じ、損傷したが、実施例1~9では180日経過後も損傷が発生しなかった。表1には、各実施例及び各比較例の最外層シール層113の構成及び、断裂までの日数がまとめて示されている。
【表1】
【0246】
以上、本発明の好ましい実施形態を参照して、本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の技術特定思想及び教示に基づいて、当業者が改変形態を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0247】
1,3 ダクト
10,11,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10J,10K,10L,10M 伸縮継手
20 振動篩
50,51 固定部材
53 固定部
55 張り出し部
70 固定フレーム
74 連通穴
100 内筒
101 配管部材
103 第1フランジ
104 第2フランジ
105 第1内筒部
106 第2内筒部
113 最外層シール層
114 弾力層
115 内皮層
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21