(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】障害年金関連書類作成支援装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20241227BHJP
G06F 40/56 20200101ALI20241227BHJP
G06F 40/216 20200101ALI20241227BHJP
G06F 40/166 20200101ALI20241227BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06F40/56
G06F40/216
G06F40/166
(21)【出願番号】P 2023137674
(22)【出願日】2023-08-28
【審査請求日】2023-09-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523326757
【氏名又は名称】わくわく社会保険労務士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】松岡 由将
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-204926(JP,A)
【文献】特許第7325152(JP,B2)
【文献】田中 浩之,敵か、味方か… 「生成AI」による働き方改革に備えよ,企業実務 第62巻 第11号 ,株式会社日本実業出版社,2023年08月25日,第62巻,16-23ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 40/56
G06F 40/216
G06F 40/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害年金に関連する障害年金関連情報が自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶された障害年金データベースと、
前記障害年金データベースの前記障害年金関連情報に基づいて、前記自然言語処理における形態素解析や構文解析、意味解析、文脈解析、意図解析の処理の1種以上を組み合わせることにより、プロンプトで与えられた単語や文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測し、障害年金の関連書類を作成する際における年金事務所の審査に適した内容で各種の書類を作成するための提案を含む支援情報を前記プロンプトにより生成するように学習及び調整が行われることで、前記障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルを有し、前記障害年金の関連書類の作成を指示する内容の前記プロンプトを前記言語モデルにより解析し、解析した前記プロンプトの内容に基づいて前記支援情報を、前記言語モデルにより予測及び生成する支援情報生成部と、
前記障害年金の基礎情報として利用者に記入させるフォームの目次となるフォーム項目と、前記フォーム項目の詳細を説明する説明情報と、前記フォーム項目の役割を説明する役割情報とが対応付けて記憶されたフォームデータベースと、
前記利用者とプロンプトを通じて対話する対話用支援情報生成部と、を有し、
前記対話用支援情報生成部は、
前記障害年金データベースの前記障害年金関連情報に基づいて、前記自然言語処理における形態素解析や構文解析、意味解析、文脈解析、意図解
析の処理の1種以上を組み合わせることにより、プロンプトで与えられた単語や文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測し、障害年金の関連書類を作成する際における年金事務所の審査に適した内容で各種の書類を作成するための提案を含む支援情報を前記プロンプトにより生成するように学習及び調整が行われることで、前記障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルを有し、前記障害年金の関連書類の作成を指示する内容の前記プロンプトを前記言語モデルにより解析し、解析した前記プロンプトの内容に基づいて前記支援情報を、前記言語モデルにより予測及び生成するものであり、
前記フォーム項目及び前記役割情報を前記利用者との対話に用いたときの対話内容に基づいて、
前記フォーム項目及び前記役割情報を用いて前記説明情報を作成する指示内容を、前記支援情報生成部に入力される前記プロンプトとして作成し、前記支援情報生成部に説明情報用の支援情報を生成させ
る
障害年金関連書類作成支援装置。
【請求項2】
障害年金に関連する障害年金関連情報が自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶された障害年金データベースと、
前記障害年金データベースの前記障害年金関連情報に基づいて、前記自然言語処理における形態素解析や構文解析、意味解析、文脈解析、意図解析の処理の1種以上を組み合わせることにより、プロンプトで与えられた単語や文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測し、障害年金の関連書類を作成する際における年金事務所の審査に適した内容で各種の書類を作成するための提案を含む支援情報を前記プロンプトにより生成するように学習及び調整が行われることで、前記障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルを有し、前記障害年金の関連書類の作成を指示する内容の前記プロンプトを前記言語モデルにより解析し、解析した前記プロンプトの内容に基づいて前記支援情報を、前記言語モデルにより予測及び生成する支援情報生成部と、
前記障害年金の基礎情報として利用者に記入させるフォームの目次となるフォーム項目と、前記フォーム項目の詳細を説明する説明情報と、前記フォーム項目の役割を説明する役割情報とが対応付けて記憶されたフォームデータベースと、
前記利用者とプロンプトを通じて対話する資料用支援情報生成部及び対話用支援情報生成部と、を有し、
前記資料用支援情報生成部及び前記対話用支援情報生成部は、
前記障害年金データベースの前記障害年金関連情報に基づいて、前記自然言語処理における形態素解析や構文解析、意味解析、文脈解析、意図解
析の処理の1種以上を組み合わせることにより、プロンプトで与えられた単語や文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測し、障害年金の関連書類を作成する際における年金事務所の審査に適した内容で各種の書類を作成するための提案を含む支援情報を前記プロンプトにより生成するように学習及び調整が行われることで、前記障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルを有し、前記障害年金の関連書類の作成を指示する内容の前記プロンプトを前記言語モデルにより解析し、解析した前記プロンプトの内容に基づいて前記支援情報を、前記言語モデルにより予測及び生成するものであり、
前記資料用支援情報生成部は、
前記利用者が事前に準備した資料情報に基づいて、前記フォームデータベースの前記フォーム項目に対応する前記説明情報を作成する指示内容を、前記支援情報生成部に入力される前記プロンプトとして作成し、前記支援情報生成部に事前説明用の支援情報を生成させるものであり、
前記対話用支援情報生成部は、
前記資料用支援情報生成部で前記事前説明用の支援情報が生成された後、前記事前説明用の支援情報と前記フォーム項目及び前記役割情報とを前記利用者との対話に用いたときの対話内容に基づいて、前記説明情報を作成する指示内容を、前記支援情報生成部に入力される前記プロンプトとして作成し、前記支援情報生成部に説明用の支援情報を生成させるものであ
る
障害年金関連書類作成支援装置。
【請求項3】
障害年金に関連する障害年金関連情報が自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶された障害年金データベースと、
前記障害年金データベースの前記障害年金関連情報に基づいて、前記自然言語処理における形態素解析や構文解析、意味解析、文脈解析、意図解析の処理の1種以上を組み合わせることにより、プロンプトで与えられた単語や文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測し、障害年金の関連書類を作成する際における年金事務所の審査に適した内容で各種の書類を作成するための提案を含む支援情報を前記プロンプトにより生成するように学習及び調整が行われることで、前記障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルを有し、前記障害年金の関連書類の作成を指示する内容の前記プロンプトを前記言語モデルにより解析し、解析した前記プロンプトの内容に基づいて前記支援情報を、前記言語モデルにより予測及び生成する支援情報生成部と、
前記障害年金の基礎情報として利用者に記入させるフォームの目次となるフォーム項目と、前記フォーム項目の詳細を説明する説明情報と、前記フォーム項目の役割を説明する役割情報とが対応付けて記憶されたフォームデータベースと、
前記障害年金の申請に用いられた申請書の記載内容を示す申請書情報と、年金事務所の審査結果である審査結果情報とが対応付けて記憶された申請書データベースと、
前記利用者とプロンプトを通じて対話する申請書支援情報生成部と、を有し、
前記申請書支援情報生成部は、
前記障害年金データベースの前記障害年金関連情報に基づいて、前記自然言語処理における形態素解析や構文解析、意味解析、文脈解析、意図解
析の処理の1種以上を組み合わせることにより、プロンプトで与えられた単語や文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測し、障害年金の関連書類を作成する際における年金事務所の審査に適した内容で各種の書類を作成するための提案を含む支援情報を前記プロンプトにより生成するように学習及び調整が行われることで、前記障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルを有し、前記障害年金の関連書類の作成を指示する内容の前記プロンプトを前記言語モデルにより解析し、解析した前記プロンプトの内容に基づいて前記支援情報を、前記言語モデルにより予測及び生成するものであり、
前記フォームデータベースにおける前記フォーム項目、前記説明情報、及び前記役割情報と、前記申請書データベースにおける前記申請書情報及び前記審査結果情報とを前記利用者との対話に用いたときの対話内容に基づいて、
前記フォームデータベースにおける前記フォーム項目、前記説明情報、及び前記役割情報と、前記申請書データベースにおける前記申請書情報及び前記審査結果情報とを用いて前記年金事務所の審査に適した前記申請書の記載内容にする指示内容を、前記支援情報生成部に入力される前記プロンプトとして作成し、前記支援情報生成部に申請書用の支援情報を生成させ
る
障害年金関連書類作成支援装置。
【請求項4】
障害年金に関連する障害年金関連情報が自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶された障害年金データベースと、
前記障害年金データベースの前記障害年金関連情報に基づいて、前記自然言語処理における形態素解析や構文解析、意味解析、文脈解析、意図解析の処理の1種以上を組み合わせることにより、プロンプトで与えられた単語や文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測し、障害年金の関連書類を作成する際における年金事務所の審査に適した内容で各種の書類を作成するための提案を含む支援情報を前記プロンプトにより生成するように学習及び調整が行われることで、前記障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルを有し、前記障害年金の関連書類の作成を指示する内容の前記プロンプトを前記言語モデルにより解析し、解析した前記プロンプトの内容に基づいて前記支援情報を、前記言語モデルにより予測及び生成する支援情報生成部と、
前記障害年金の基礎情報として利用者に記入させるフォームの目次となるフォーム項目と、前記フォーム項目の詳細を説明する説明情報と、前記フォーム項目の役割を説明する役割情報とが対応付けて記憶されたフォームデータベースと、
前記障害年金の申請に用いられた診断書の記載内容を示す診断書情報と、年金事務所の審査結果である審査結果情報とが対応付けて記憶された診断書データベースと、
前記利用者とプロンプトを通じて対話する診断書支援情報生成部と、を有し、
前記診断書支援情報生成部は、
前記障害年金データベースの前記障害年金関連情報に基づいて、前記自然言語処理における形態素解析や構文解析、意味解析、文脈解析、意図解
析の処理の1種以上を組み合わせることにより、プロンプトで与えられた単語や文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測し、障害年金の関連書類を作成する際における年金事務所の審査に適した内容で各種の書類を作成するための提案を含む支援情報を前記プロンプトにより生成するように学習及び調整が行われることで、前記障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルを有し、前記障害年金の関連書類の作成を指示する内容の前記プロンプトを前記言語モデルにより解析し、解析した前記プロンプトの内容に基づいて前記支援情報を、前記言語モデルにより予測及び生成するものであり、
前記フォームデータベースにおける前記フォーム項目、前記説明情報、及び前記役割情報と、前記診断書データベースにおける前記診断書情報及び前記審査結果情報とを、前記利用者との対話に用いたときの対話内容に基づいて、
前記フォームデータベースにおける前記フォーム項目、前記説明情報、及び前記役割情報と、前記診断書データベースにおける前記診断書情報及び前記審査結果情報とを用いて前記年金事務所の審査に適した前記診断書の記載内容にする指示内容を、前記支援情報生成部に入力される前記プロンプトとして作成し、前記支援情報生成部に診断書用の支援情報を生成させ
る
障害年金関連書類作成支援装置。
【請求項5】
医師により作成された診断書の記載内容がテキスト化された診断書情報を受け付ける診断書受付部を有し、前記診断書支援情報生成部は、
前記診断書受付部で受け付けた前記診断書の前記診断書情報を前記利用者との対話に用いたときの対話内容に基づいて、前記年金事務所の審査に適した前記診断書の記載内容にする指示内容を、前記支援情報生成部に入力される前記プロンプトとして作成し、前記支援情報生成部に診断書用の支援情報を生成させる
請求項
4に記載の障害年金関連書類作成支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害年金関連書類作成支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
申請書類をコンピュータプログラムにより生成する技術に関し、特許文献1は、労務データベースに労務データを入力・更新し、抽出条件に基づいて届書ファイルを作成する場合において、基本情報ボタンが基本情報入力ページが表示された状態で押下された場合には、事業所データや社労士データなどの基本的な電子申請用の労務データが基本情報入力ページの入力ボックスに自動的に貼り付けられる。また、申請書情報入力ページが表示された状態で、申請入力ボタンが押下された場合には、社会保険や雇用保険の実際の届出内容を記録した添付ファイル名などが申請書情報入力ページの入力ボックスに貼り付けられる技術を開示している。
【0003】
これにより、特許文献1の技術によれば、社会保険・雇用保険に関する電子申請手続を正確、かつ、効率的に行うことを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、既存のデータそのものを用いて書類を作成する技術であるため、定型的な書類を作成する場合は正確且つ効率的に処理できるが、例えば、医師の診断書のように個人の状態を年金事務所の審査に適合する程度に説明した書類を作成する場合は、特許文献1の技術では適応することができないという点においてさらなる改良の余地がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、障害年金の関連書類の作成のための様々な支援情報を提供することによって、高品質な障害年金の関連書類を容易に作成することができることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、障害年金の関連書類の作成に特化するように学習及び調整が行われた言語モデルを、プロンプトの内容に応じて利用することにより、関連書類の作成を支援するための支援情報を生成することによって、上記の目的を達成できることを見いだした。そして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
本発明は、障害年金に関連する障害年金関連情報が自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶された障害年金データベースと、
前記障害年金データベースに基づいて、前記自然言語処理の1種以上を組み合わせることにより、障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルの学習及び調整が行われ、前記言語モデルをプロンプトの内容に応じて利用することにより、前記障害年金の関連書類の作成を支援する支援情報を生成する支援情報生成部と
を有することを特徴とする障害年金関連書類作成支援装置である。
【0009】
本発明の特徴によれば、障害年金の関連書類の作成に特化された自然言語処理のための言語モデルを利用し、プロンプトの内容に応じた支援情報が生成されることによって、障害年金の関連書類に適合した様々な支援情報が提供されるため、高品質な障害年金の関連書類を容易に作成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、障害年金の関連書類に適合した様々な支援情報を提供することによって、高品質な障害年金の関連書類を容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態の障害年金関連書類作成支援装置の情報の流れを示す説明図である。
【
図2】
図2は、フォームデータベース122の一例である。
【
図3】
図3は、本実施形態の障害年金関連書類作成支援装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、ユーザーインターフェースを示す表示画面の説明図である。
【
図5】
図5は、ユーザーインターフェースを示す表示画面の説明図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の障害年金関連書類作成支援装置の情報の流れを示す説明図である。
【
図7】
図7は、ユーザーインターフェースを示す表示画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明するものである。
(障害年金関連書類作成支援装置1)
図1に示すように、障害年金関連書類作成支援装置1は、障害年金の関連書類の作成に特化された自然言語処理のための言語モデルを利用することにより、障害年金の関連書類の作成を支援するための支援情報を生成するように構成されている。
【0013】
具体的な一例を示すと、障害年金関連書類作成支援装置1は、障害年金関連情報が自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶された障害年金データベース121と、障害年金データベース121に基づいて、自然言語処理の1種以上を組み合わせることにより、障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルの学習及び調整が行われ、言語モデルをプロンプトの内容に応じて利用することにより、障害年金の関連書類の作成を支援する支援情報を生成する支援情報生成部115とを有している。
【0014】
ここで、「障害年金関連情報」は、障害を持つ人々が経済的な支援を受けるための障害年金に関連する様々な情報のことである。具体的には、障害年金の受給者となる個人の氏名、住所、生年月日、性別などの基本的な個人情報、障害年金の受給資格を判断するために、障害の種類(視覚障害、身体障害など)やその程度(軽度、中度、重度など)を示す情報、障害の診断や治療に関する医療情報、医師の診断書や治療の経過記録などの情報、障害が労働能力に与える影響や制限に関する情報、障害年金の支給額を決定するために必要な受給者の収入情報が例示される。また、障害年金関連情報は、厚生労働省や国民年金機構などの関連機関が公式にウェブサイトに掲示している各種書類や説明書きの他、民間のウェブサイトに掲載された障害年金の説明も含んでいる。さらに、障害年金関連情報は、地域によっては申請手続きにおいて若干の差異が存在するため、各自治体における申請に必要な書類の提出方法や手続きの情報も含んでいる。
【0015】
上記の「障害年金関連情報」を機械学習の情報として適用した場合において、「障害年金の支給額」が目的変数、即ち、支給額の予測値であるとすると、障害の種類(視覚障害、身体障害など)障害の程度(軽度、中度、重度など)、障害の診断や治療に関する医療情報、障害が労働能力に与える影響や制限に関する情報、受給者の収入情報が説明変数の情報となる。そして、上記のように分類された説明変数の情報と目的変数の情報とを教師データとして学習することによって、目的変数である障害年金の支給額を予測する年金予測モデルが生成されると、この年金予測モデルが新たに入力された説明変数の情報に基づいて目的変数となる障害年金の支給額を予測することが可能になる。即ち、障害年金関連書類作成支援装置1における支援情報生成部115が機械学習より年金予測モデルを有することによって、説明変数の情報が入力されたときに、予測される支給額を利用者4などに提示することが可能になる。
【0016】
尚、上記の説明は、障害年金の支給額を目的変数とした年金予測モデルの場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、障害年金の受給資格の有無を目的変数として予測する受給資格予測モデルや、障害の程度を目的変数として予測する障害予測モデル、障害が労働能力に与える影響を目的変数として予測する労働能力予測モデルを生成するものであってもよい。
【0017】
「障害年金の関連書類」は、障害年金の受給を申請するために申請者の個人情報や障害の内容、医療機関の情報などが記入された障害年金申請書、主治医や専門医によって発行され、障害の種類や程度、治療経過、労働能力への影響などを証明する診断書、労働能力や収入に関する情報が記載された就労証明書、収入状況を証明するための所得証明書、障害年金の受給に必要な銀行口座情報の書類、障害の原因や事故の経緯に関する説明書類などが例示される。
【0018】
「自然言語処理」は、コンピュータが自然言語で書かれた文章や音声データを理解して目的に応じた処理を実行できるようにするものである。具体的には、自然言語を構成する最小の単位である「形態素」に分解することにより品詞などの情報を付与する形態素解析、自然言語の文法的構造を解析することにより文の構造や意味を明らかにする構文解析、自然言語の意味を解析することにより単語や文の意味を理解し、論理的な判断や推論を行う意味解析、文の前後の文脈を考慮しながら自然言語を理解する文脈解析、自然言語を用いた会話や文章の中から話者や書き手の意図を抽出する意図解析などが例示される。これにより、「自然言語処理」は、形態素解析や構文解析、意味解析、文脈解析、意図解析などの処理を組み合わせて自然言語を処理し、本実施形態の障害年金の関連書類の作成を支援する支援情報の生成や機械翻訳、自動要約、質問応答システム、音声認識などを可能にしている。
【0019】
「言語モデル」は、自然言語処理において用いられる確率モデルの一種であり、与えられた単語や文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測するためのモデルである。具体的には、言語モデルは、与えられた単語列や文章の出現確率を計算したり、複数の単語列や文章の出現確率を比較することによって、次の単語や文を予測するときに、その文脈に基づいて最もありそうな単語や文を自動的に生成することを可能にしている。
【0020】
「統一的なデータ形式に正規化された状態」は、障害年金関連情報の膨大なテキストデータを扱う際に、そのテキストデータを共通の形式に変換し、統一的に整理することを意味する。障害年金関連情報を機械学習する際に、正規化された障害年金関連情報を入力として用いることにより処理の効率性や正確性を向上させることが可能になっている。尚、「正規化」とは、データベースのテーブルにあるテキストデータを、一定の規則に従って整理・構造化することで、データの冗長性を排除し、データの整合性や一貫性を保つための処理手法である。
【0021】
「言語モデル」は、自然言語処理の分野において、言語のパターンや文法のルールなどを学習し、自然言語の生成や理解を行うための数学的モデルを意味する。例えば、障害年金の関連書類の作成において使用される言語モデルは、障害年金の関連書類の作成に特化して学習されたものであり、プロンプトの内容に応じて障害年金の関連書類を作成する際の支援情報を生成するために使用される。
【0022】
「言語モデルの学習及び調整」における「学習」には、教師あり学習(例えば、次の単語を予測するタスク)や教師なし学習(例えば、単語のベクトル表現を学習するタスク)などがある。また、「調整」は、学習された言語モデルを評価し、必要に応じてモデルが持つ重みなどのパラメータを調整したり、ニューラルネットワークの隠れ層の数やユニットの数、学習率、正則化の強さなどのハイパーパラメータの値を適切に調整することで、モデルの性能を向上させることを意味する。
【0023】
「プロンプト」は、利用者4に対して入力すべき内容や操作方法などを表示し、利用者4が操作を行うための指示を与えるための情報のことである。「関連書類の作成を支援する支援情報」としては、年金事務所の審査に適した内容で各種の書類を作成するための提案が例示される。例えば、診断書を作成する場合は、障害の種類や程度、原因を明確にするための記載例や提案、障害が労働能力に与えた影響を表現する記載例や提案、障害が長期にわたって継続する可能性がある旨の記載例や提案などが支援情報となる。
【0024】
上記の構成によれば、障害年金の関連書類の作成に特化された自然言語処理のための言語モデルを利用し、プロンプトの内容に応じた支援情報が生成され、プロンプトの内容を入力した利用者4の意向に適合した様々な支援情報が提供されるため、高品質な障害年金の関連書類を障害年金関連書類作成支援装置1との対話を通じて容易に作成することができる。尚、本実施形態において、障害年金関連書類作成支援装置1の対話や支援情報の提供、プロンプトの入力は、利用者4に限定されるものでなく、障害年金関連書類作成支援装置1にアクセス可能な全ての者において行われる。
【0025】
また、障害年金関連書類作成支援装置1は、障害年金の基礎情報として利用者4に記入させるフォームの目次となるフォーム項目と、フォーム項目の詳細を説明する説明情報と、フォーム項目の役割を説明する役割情報とが対応付けて記憶されたフォームデータベース122と、フォーム項目及び役割情報を用いて、利用者4との対話により説明情報を作成する指示内容のプロンプトを作成し、支援情報生成部115に説明情報用の支援情報を生成させる対話用支援情報生成部117とを有している。
【0026】
ここで、「障害年金の基礎情報」は、障害年金関連書類作成支援装置1の利用開始時に登録される利用者4自身の情報である。例えば、障害年金の申請者に関する個人情報や身元情報(氏名、生年月日、住所、電話番号など)、障害の種類(身体障害、精神障害など)やその程度(軽度、中度、重度など)に関する情報、障害が発生した時期や状況に関する情報、障害年金申請時点での就労状況や収入情報(雇用形態、勤務先、給与など)、障害年金の申請者が扶養している家族の情報(配偶者や子供の人数、扶養義務の有無など)が例示される。
【0027】
具体的には、
図2に示すように、フォーム項目としては、識別情報やパスワード、氏名、生年月日、住所、障害の種別、障害の程度、障害の発生時期、就労状況、扶養家族、医療機関などが例示される。説明情報は、フォーム項目の説明を示す欄であり、役割情報は、フォーム項目の役割を示す欄である。例えば、「障害の種別」に対しては、「障害の種別を選択してください(例:身体障害、精神障害など)。」が説明情報となり、「利用者の障害の種別に応じて、年金の種類や支給条件が異なる場合があります。正確な障害の種別を把握するために必要です。」が役割情報となる。また、「障害の程度」に対しては、「障害の程度を選択してください(例:軽度、中度、重度など)。」が説明情報となり、「利用者の障害の程度によって、年金の支給額や条件が変わることがあります。障害の程度を正確に把握するために必要です。」が役割情報となる。
【0028】
上記の構成によれば、対話用支援情報生成部117が、フォーム項目及び役割情報を用いて、利用者4との対話により説明情報を作成する指示内容のプロンプトを作成し、支援情報生成部115に説明情報用の支援情報を生成させることによって、利用者4と障害年金関連書類作成支援装置1との対話を通じて、フォームデータベース122のフォームの内容が適宜に修正及び利用者4に提案されるため、フォームへの記入内容、即ち、利用者4の基礎情報が完成度の高いものとなり、結果として、障害年金の関連書類の品質が高められることになる。また、このような利用者4の基礎情報の作成は、利用者4と社労士との対話を必要とせずに、障害者や障害者の親族などの関係者が障害年金関連書類作成支援装置1にアクセスするだけで自由な時間に満足いくまで繰り返して行うことができる。尚、障害年金関連書類作成支援装置1は、利用者4だけで基礎情報が作成されると、続いて、最寄りの社労士を複数選択可能に紹介する機能を有することが好ましく、さらに、社労士を選択したときに、その社労士への連絡を障害年金関連書類作成支援装置1が行い、利用者4と社労士とが障害年金関連書類作成支援装置1の支援を受けながら共同で書類を作成するように、利用者端末2と社労士端末3とに支援情報を表示する機能を有することが好ましい。
【0029】
また、障害年金関連書類作成支援装置1は、利用者4が事前に準備した資料情報に基づいて、フォームデータベース122のフォーム項目に対応する説明情報を作成する指示内容のプロンプトを作成し、支援情報生成部115に事前説明用の支援情報を生成させる資料用支援情報生成部118を有してもよい。この構成によれば、資料用支援情報生成部118で事前説明用の支援情報が生成された後、対話用支援情報生成部117が事前説明用の支援情報とフォーム項目及び役割情報とを用いて、利用者4との対話により説明情報を作成する指示内容のプロンプトを作成し、支援情報生成部115に説明用の支援情報を生成させる機能を有することになる。ここで、「利用者4が事前に準備した資料情報」は、利用者の診断結果、治療履歴、医師の診断書、検査結果などが含まれる医療関連の記録、利用者の雇用状況や職務内容、労働契約書、給与明細、雇用主からの証明書などの雇用関連情報、利用者が扶養している家族の情報、家族の生年月日や関係、扶養状況の証明書などの扶養家族情報、利用者が既に提出した障害年金の申請書や関連書類、診断書、障害認定書などの障害関連資料が例示される。
【0030】
上記の構成によれば、利用者4が事前に準備した資料情報に基づいてフォームに対応する事前説明用の支援情報が生成された後、フォームへの記入が障害年金関連書類作成支援装置1と利用者4との対話を通じて行われるため、記入内容が完成度の高いものとなり、結果として、障害年金の関連書類の品質を高めることができる。
【0031】
また、
図3に示すように、障害年金関連書類作成支援装置1は、支援情報生成部115に加えて、アクティベート部111、データ収集部112、モデル学習部113、入力処理部114、端末制御部116、及び通信部13を有している。支援情報生成部115、アクティベート部111、データ収集部112、モデル学習部113、入力処理部114、及び端末制御部116の一部又は全部は、ハードウェア及びソフトウェアの何れで構成されていても良く、コンピュータである制御部11に含まれている。
【0032】
通信部13は、利用者4が操作する利用者端末2にインターネット5を介してデータ通信可能に接続されている。尚、通信部13と利用者端末2とのデータ通信は、インターネット5に限定されるものではなく、専用線やLAN(Local Area Network)などの情報通信網が用いられてもよいし、近距離通信用の無線通信規格であるBluetooth(登録商標)が用いられてもよい。また、通信部13と利用者端末2とのデータ通信は、情報漏洩を防止するため、専用線であってもよい。さらに、通信部13及び利用者端末2は、インターネット5を介してデータ通信する場合、VPN(Virtual Private Network)機能を有していることが好ましい。通信部13及び利用者端末2にVPN機能を組み込んだ場合は、利用者端末2からのデータ通信がVPN接続を経由するため、外部の不正アクセスから保護され、安全な通信が確保される。尚、利用者端末2は、一般的なパーソナルコンピュータやラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などの情報処理装置である。
【0033】
アクティベート部111は、認証された利用者端末2及び管理者端末7とだけデータ通信を可能にする機能を有している。具体的には、アクティベート部111は、特定の利用者端末2などから送信されたアクティベート信号が、事前に設定された認証情報に合致しているかどうかを検証する機能を有している。認証方法としては、パスワード認証や生体認証、ワンタイムパスワード認証、ICチップが埋め込まれたカードを利用したスマートカード認証などの1以上の認証要素を組み合わせた認証態様が例示される。これにより、障害年金関連書類作成支援装置1は、認証された利用者端末2や社労士端末3、医療機関端末6、管理者端末7とだけデータ通信が可能になるため、情報の流出を困難にしている。尚、アクティベート部111は、記憶部12の各データベース121~125に接続され、認証された制御部11とデータベース121~125との間だけのデータ通信を可能にされていてもよい。この場合は、外部からデータベース121~125への不正アクセスを防御することができる。
【0034】
データ収集部112は、障害年金の各種のウェブサイトなどから障害年金関連情報を収集し、収集した情報を統一的なテキストのデータ形式に正規化して障害年金データベース121に記憶させる機能を有している。これにより、データ収集部112は、言語モデルの学習や調整に必要なデータを集め、整理し、障害年金データベース121に格納することによって、支援情報生成部115が効率的かつ正確に障害年金の関連書類の作成を支援することを可能にしている。尚、障害年金関連情報の収集は、障害年金関連書類作成支援装置1の管理者が管理者端末7を操作することにより各種ウェブサイトにアクセスすることで行われてもよいし、利用者4や管理者が蓄積した過去の障害年金関連情報を記憶したサーバにアクセスことで行われてもよい。
【0035】
モデル学習部113は、障害年金関連情報の障害年金データベース121を基に、自然言語処理のための言語モデルの学習及び調整を行う機能を有している。これにより、モデル学習部113は、障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルとなるように学習及び調整することによって、より高度な自然言語処理を行い、関連書類の作成を支援するための支援情報生成部115における高品質な支援情報の生成を可能にしている。
【0036】
入力処理部114は、利用者端末2などから送信されたプロンプトの内容を示すプロンプト情報を、自然言語処理の言語モデルにとって扱い易い情報に変換する機能を有している。端末制御部116は、UIデータベース124(ユーザーインターフェースデータベース124)のデータに基づいて、利用者端末2や社労士端末3、医療機関端末6、管理者端末7の表示画面を関連書類の作成に適した画面に設定する機能を有している。詳細は後述する。尚、利用者端末2を操作する利用者4は、障害年金の受給者や受給希望者であり、社労士端末3の操作者は、利用者4に成り代わって障害年金の手続きを行う社労士である。また、医療機関端末6の操作者は、診断書を作成する医療関係者であり、管理者端末7の操作者は、障害年金関連書類作成支援装置1を管理する管理者である。
【0037】
さらに、障害年金関連書類作成支援装置1は、入力受付部1192に接続された入力装置15と、表示制御部1191に接続された表示装置14とを有している。入力装置15は、キーボードやマウス、タッチパネル、音声入力装置などが例示される。表示装置14は、液晶表示装置などが例示される。これにより、障害年金関連書類作成支援装置1は、一般的なパーソナルコンピュータやラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などの情報処理装置により構成することが可能になっている。尚、障害年金関連書類作成支援装置1は、入力装置15及び表示装置14の少なくとも一つが欠如されていてもよい。この場合は、入力装置15及び表示装置14が図示しない外部端末に備えられるため、障害年金関連書類作成支援装置1を障害年金関連書類作成支援サーバとして使用することができる。さらに、障害年金関連書類作成支援装置1が利用者端末2として用いられ、利用者4が支援情報の支援を受けながら、障害年金関連書類作成支援装置1において関連書類の作成が行われてもよい。
【0038】
尚、本実施形態においては、障害年金関連書類作成支援装置1の機能が情報処理装置に搭載された場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、クラウドコンピューティングに障害年金関連書類作成支援装置1の機能が搭載されてもよい。この場合は、クラウドコンピューティングにより、必要に応じてコンピュータリソースが追加されることによって、大量の障害年金関連情報を処理することができ、より高速かつ効率的な処理が可能になると共に、利用者4が大幅に増えた場合でも、処理能力を容易に拡張して対応することができる。
【0039】
(記憶部12など)
図1に示すように、障害年金データベース121、関連書類に関係する情報が記憶されたフォームデータベース122、障害情報や医療情報、収入情報、扶養家族情報、障害年金の算定額が記憶された申請書データベース123、及びUIデータベース124は、記憶部12に保存されている。記憶部12は、制御部11に対してデータ通信可能に接続されている。記憶部12は、ハードディスクで構成されていてもよいし、ハードディスクとメモリとの組み合わせで構成されていてもよい。ハードディスクとメモリとを組み合わせた構成の場合は、データベースが使用するデータや索引などの一部が必要に応じてメモリにキャッシュされることによって、データベースへのアクセスを高速化することが可能になる。また、記憶部12には、利用者4を特定する識別情報や利用者4を認証する認証情報を含む各種の情報が記憶される利用者データベースが保存されていてもよい。この場合は、アクティベート部111が利用者データベースのデータに基づいて認証処理などの処理を実行することが可能になる。
【0040】
尚、記憶部12は、障害年金関連書類作成支援装置1とは別に、インターネット5などの情報通信網に接続されたデータサーバであってもよい。また、記憶部12は、データベース毎に設けられた複数のデータサーバで構成されていてもよい。
【0041】
(ユーザーインターフェース)
端末制御部116は、UIデータベース124に基づいて、利用者端末2の表示画面21を関連書類の作成に適した画面に設定する機能を有している。尚、端末制御部116は、利用者端末2の他、社労士端末3や医療機関端末6、管理者端末7の表示画面を制御する機能を有している。
【0042】
図4を用いて具体例を説明すると、端末制御部116は、利用者4と障害年金関連書類作成支援装置1とがプロンプトを通じて対話する表示領域である対話部212と、関連書類の基礎情報となるフォームの作成領域であるフォーム作成部211とを利用者端末2の表示画面21に表示させるように制御する機能を有している。対話部212は、フォームを作成するための質問や提案、進行内容などの支援情報を表示する支援情報表示部2121と、利用者4により書き込まれる利用者対話部2122とを有している。一方、フォーム作成部211は、「障害の種類」や「障害の程度」などの目次であるフォーム項目の内容を説明する項目説明欄2111を有している。尚、フォーム作成部211及び対話部212は、マウス操作やタッチ操作により上下方向にスクロール可能にされている。
【0043】
これにより、利用者端末2を使用する利用者4は、対話部212において、障害年金関連書類作成支援装置1(対話用支援情報生成部117)と対話しながら、この対話に基づいて障害年金関連書類作成支援装置1が作成したフォーム作成部211の項目説明欄2111の説明情報をリアルタイムで確認することができる。即ち、利用者4と障害年金関連書類作成支援装置1との対話内容に基づいて項目説明欄2111の説明情報が自動的に作成されるため、関連書類の基礎情報となるフォームの作成を容易に進めることができる。また、利用者4が満足するまで、項目説明欄2111の内容が対話部212における対話の継続により更新され続けられる。そして、項目説明欄2111の内容を確定させる場合は、項目説明欄2111が利用者4にタッチされたり、利用者対話部2122に「内容確定」や「更新終了」と入力して障害年金関連書類作成支援装置1(支援情報生成部115)に指示することで、次のフォーム項目に移行させることができる。
【0044】
また、画面内に配置された戻るボタン2131や進むボタン2132をタッチやマウス操作することによっても、項目説明欄2111の内容を確定させることができる。戻るボタン2131は、現在の項目に対して前段の項目の項目説明欄2111に移行する指示を利用者対話部2122に記載する機能を有している。進むボタン2132は、現在の項目に対して後段の項目の項目説明欄2111に移行する指示を利用者対話部2122に記載する機能を有している。そして、支援情報生成部115が項目説明欄2111の指示内容を理解することによって、フォーム作成部211における現在の項目説明欄2111の内容が確定され、前段又は後段の項目説明欄2111に移行されることになる。尚、現在の項目説明欄2111以外の項目説明欄2111には、今までの対話内容に基づいて、支援情報生成部115により説明情報が書き加えられていることが好ましい。
【0045】
具体的な例を用いて、利用者4との対話によりフォーム作成部211の説明情報が作成される進行過程を説明すると、以下の通りである。尚、利用者4と障害年金関連書類作成支援装置1の対話は、利用者4が利用者端末2を操作し、障害年金関連書類作成支援装置1にアクセス可能になった時点からのものであり、音声及びキーボードにより行われているものとする。
【0046】
進行過程1:支援情報表示部2121 「こんにちは、障害年金の申請をサポートするために、必要な情報をお聞きしたいです。まず、障害の種類について教えてください。」
進行過程2:利用者対話部2122 「はい。私は視覚障害を持っています。」
進行過程3:支援情報表示部2121 「分かりました。視覚障害の程度について、具体的な情報を教えていただけますか?」
進行過程4:利用者対話部2122 「私の視力は非常に低く、日常生活で困難を感じています。近距離では一部の物体や文字を認識できますが、遠くのものや細かい詳細は見えません。」
進行過程5:支援情報表示部2121 「ありがとうございます。視覚障害の原因について教えていただけますか?」
進行過程6:利用者対話部2122 「私の視力低下は、視神経の障害が原因です。」
進行過程7:支援情報表示部2121 「了解しました。障害が労働能力に与えた影響について教えてください。」
進行過程6:利用者対話部2122 「視覚障害のため、文字や図表の確認や作業の詳細な視認が難しく、業務効率や作業速度が低下しています。」
進行過程7:支援情報表示部2121 「それでは収入の状況について教えてください。視覚障害の影響で収入に制約がある場合、具体的な情報が必要です。」
進行過程6:利用者対話部2122 「私は現在、視覚障害に適した職種で働いていますが、一般的な労働者に比べて収入は低いです。」
進行過程7:支援情報表示部2121 「ありがとうございます。以上の情報をもとに、障害年金申請書のベースとなる基礎情報を作成します。作成された基礎情報をご確認いただいて、修正や追加があれば柔軟に対応します。」
【0047】
上記のような一連の対話を通じて、利用者4から得られた回答や情報をもとに、支援情報生成部115が説明情報用の支援情報を生成する。そして、このようにして作成された支援情報が項目説明欄2111に表示される。項目説明欄2111の内容が利用者4により確認され、利用者4が満足した場合は、進むボタン2132がタッチされたり、項目説明欄2111がタッチされて、内容が確定される。そして、次のフォーム項目や指定したフォーム項目の項目説明欄2111における説明情報が、以後の対話を通じて作成される結果、利用者4の基礎情報が完成される。
【0048】
尚、同一の項目説明欄2111でタッチ操作が繰り返して行われた場合は、項目説明欄2111の内容の更新が継続される。即ち、タッチ操作が1回以上の奇数回の場合は、項目説明欄2111の内容が確定し、タッチ操作が2回以上の偶数回の場合は、項目説明欄2111の内容の確定がキャンセルされ、更新が継続される。また、項目説明欄2111間の移動は、マウス操作やタッチ操作によりフォーム作成部211を上下方向にスクロールし、画面表示されたフォーム項目に対応する項目説明欄2111をマウス操作やタッチ操作によりクリックすることによっても行うことができるし、対話部212の利用者対話部2122に音声やキーボードで移動先のフォーム項目に対応した内容を書き込むことで行うこともできる。
【0049】
図5に示すように、上記の一連の対話の前や対話中において、利用者4が事前に準備した資料情報が対話部212の利用者対話部2122に入力されてもよい。この場合は、資料用支援情報生成部118が、資料情報に基づいて、フォームデータベース122のフォーム項目に対応する説明情報を作成する指示内容のプロンプトを作成し、支援情報生成部115に事前説明用の支援情報を生成させる。例えば、資料情報として、「私は、視神経の障害により、視力が低下しているため、日常生活や仕事で困難を感じています。視力障害により、文字や図表の確認や作業の詳細な視認が難しく、業務効率や作業速度が低下しています。また、一般的な労働者に比べて収入も低いため、生活に困窮しています。」が例示される。そして、このような資料情報に基づいて、資料用支援情報生成部118で事前説明用の支援情報がフォーム項目に対応付けて生成される。その後、事前説明用の支援情報とフォーム項目及び役割情報とを用いて、利用者4との対話により説明情報を作成する指示内容のプロンプトが上述のように作成され、支援情報生成部115により説明用の支援情報がフォーム項目ごとに作成される。
【0050】
尚、「利用者4が事前に準備した資料情報」は、文章や説明を含むテキストデータの他、画像や図表を含む写真データ、実際の映像などが含まれてもよい。これらの情報は、利用者4個人の基礎情報としてフォームデータベース122に記憶される。また、資料情報の入力は、テキストデータが利用者対話部2122に書き込まれてもよいし、フォルダのデータをドラッグ操作により利用者対話部2122に移動させることで行われてもよい。
【0051】
以上のようにして、フォームデータベース122に利用者4の基礎情報が格納されると、障害年金関連書類作成支援装置1が、障害年金データベース121から年金事務所で発行されている申請書類の書面データを読み出す。そして、障害年金関連書類作成支援装置1は、フォームデータベース122の基礎情報に基づいて、申請書類の各記入欄に情報を書き込んだ後、フォーム作成部211に表示する。利用者4や社労士などが申請書類を確認し、必要であれば、障害年金関連書類作成支援装置1との対話により修正や加筆などを行うことによって、適正な申請書を完成させる。
【0052】
図6に示すように、障害年金関連書類作成支援装置1は、さらに、下記の構成1・2・3を有してもよい。
【0053】
(構成1)
図6に示すように、障害年金関連書類作成支援装置1は、障害年金の申請に用いられた申請書の記載内容を示す申請書情報と、年金事務所の審査結果である審査結果情報とが対応付けて記憶された申請書データベース123と、フォームデータベース122におけるフォーム項目、説明情報、及び役割情報と、申請書データベース123における申請書情報及び審査結果情報とに基づいて、年金事務所の審査に適した申請書の記載内容となるようにプロンプトの内容を作成し、支援情報生成部115に申請書用の支援情報を生成させる申請書支援情報生成部1101とを有してもよい。
【0054】
上記の構成によれば、年金事務所の審査に適した記載内容の申請書となるように支援されるため、障害年金に必要な書類を早期に作成することができる。
【0055】
(構成2)
また、障害年金関連書類作成支援装置1は、障害年金の申請に用いられた診断書の記載内容を示す診断書情報と、年金事務所の審査結果である審査結果情報とが対応付けて記憶された診断書データベース125と、フォームデータベース122におけるフォーム項目、説明情報、及び役割情報と、診断書データベース125における診断書情報及び審査結果情報とに基づいて、年金事務所の審査に適した診断書の記載内容となるようにプロンプトの内容を作成し、支援情報生成部115に診断書用の支援情報を生成させる診断書支援情報生成部1102とを有してもよい。
【0056】
上記の構成によれば、診断書の記載内容が、年金事務所の審査に適した記載内容の診断書が作成されるように支援されるため、障害年金に必要な書類を早期に作成することができる。例えば、
図7に示すように、未だ医療機関が決まっていない状況において、利用者4や社労士が診断書案を作成する場合は、利用者端末2や社労士端末3から障害年金関連書類作成支援装置1に「診断書を作成する」との指示を行う。この結果、障害年金関連書類作成支援装置1が障害年金データベース121から診断書の書面データを読み出し、フォームデータベース122の情報に基づいて、利用者4の障害に対応した診断書案を作成し、利用者端末2や社労士端末3の申請書類表示部213に表示する。利用者4や社労士により診断書案が適切であると判断されれば、障害年金関連書類作成支援装置1に対して診断書案を持っていく最寄りの医療機関と手数料とが尋ねられる。そして、医療機関の距離と手数料とが降順や昇順に並び替えられた一覧表に基づいて、適切な医療機関が探し出されることになる。
【0057】
尚、上記の説明では、診断書案を作成しているが、これに限定されるものではなく、問診表を作成するものであってもよい。そして、問診表を入手した医療機関の医師が医療機関端末6を操作し、障害年金関連書類作成支援装置1との対話を通じて診断書を作成してもよい。この場合は、年金事務所の審査に適した記載内容の診断書を早期に作成することができる。
【0058】
(構成3)
さらに、障害年金関連書類作成支援装置1は、医師により作成された診断書の記載内容がテキスト化された診断書情報を受け付ける診断書受付部1103を有し、診断書支援情報生成部1102は、診断書受付部1103で受け付けた診断書の診断書情報についても、プロンプトの内容の作成に用いてもよい。尚、診断書受付部1103は、診断書の画像データが入力された場合は、記載内容をテキスト化する機能を有していることが好ましい。
【0059】
上記の構成によれば、医師の作成した診断書の記載内容に不備があった場合でも、年金事務所の審査に適した記載内容の診断書となるように修正案や追加案などが支援情報として提供されるため、障害年金に必要な書類を早期に作成することができる。
【0060】
(障害年金関連書類作成支援プログラム)
アクティベート部111、データ収集部112、モデル学習部113、入力処理部114、支援情報生成部115、端末制御部116、対話用支援情報生成部117、資料用支援情報生成部118、申請書支援情報生成部1101、診断書支援情報生成部1102、診断書受付部1103、表示制御部1191、及び入力受付部1192は、ハードウェア及びソフトウェアの何れで構成されていてもよい。これらの各部111~118・1101~1103・1191・1192は、少なくとも制御部11の一部を構成している。各部111~118・1101~1103・1191・1192がソフトウェアにより構成されている場合は、制御部11であるコンピュータに、障害年金関連情報の関連書類の作成に特化された自然言語処理のための言語モデルを利用することにより、障害年金の関連書類の作成を支援するための支援情報を生成する関連書類作成支援プログラムを実行させるようになっている。
【0061】
具体的な一例を示すと、関連書類作成支援プログラムは、障害年金関連情報が自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶された障害年金データベース121と、障害年金の基礎情報として利用者4に記入させるフォームの目次となるフォーム項目と、フォーム項目の詳細を説明する説明情報と、フォーム項目の役割を説明する役割情報とが対応付けて記憶されたフォームデータベース122と、を有した障害年金関連書類作成支援装置1のコンピュータ(制御部11)に、障害年金データベース121に基づいて、自然言語処理の1種以上を組み合わせることにより、障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルの学習及び調整が行われ、言語モデルをプロンプトの内容に応じて利用することにより、障害年金の関連書類の作成を支援する支援情報を生成する支援情報生成処理ステップ(S1)と、フォーム項目及び役割情報を用いて、利用者4との対話により説明情報を作成する指示内容のプロンプトを作成し、支援情報生成部115に説明情報用の支援情報を生成させる対話用支援情報生成処理ステップ(S2)とを実行させるためのプログラムである。
【0062】
上記の構成によれば、障害年金の事前情報のためのフォームへの記入が障害年金関連書類作成支援装置1と利用者4との対話を通じて行われるため、記入内容が完成度の高いものとなり、結果として、障害年金の関連書類の品質を高めることができる。
【0063】
さらに、関連書類作成支援プログラムは、利用者4が事前に準備した資料情報に基づいて、フォームデータベース122のフォーム項目に対応する説明情報を作成する指示内容のプロンプトを作成し、支援情報生成部115に事前説明用の支援情報を生成させる資料用支援情報生成処理ステップ(S3)を、コンピュータに実行させるプログラムとして有してもよい。この場合において、対話用支援情報生成処理ステップ(S2)が、資料用支援情報生成処理ステップ(S3)で事前説明用の支援情報が生成された後、事前説明用の支援情報とフォーム項目及び役割情報とを用いて、利用者4との対話により説明情報を作成する指示内容のプロンプトを作成し、支援情報生成部115に説明用の支援情報を生成させることになる。これにより、事前に準備した資料情報に基づいてフォームに対応する事前説明用の支援情報が生成された後、フォームへの記入が障害年金関連書類作成支援装置1と利用者4との対話を通じて行われるため、記入内容が完成度の高いものとなり、結果として、障害年金の関連書類の品質を高めることができる。尚、関連書類作成支援プログラムは、制御部11における各部111~118・1101~1103・1191・1192の機能を処理ステップとしてコンピュータに実行させるようになっていてもよい。
【0064】
以上のように構成された関連書類作成支援プログラムによれば、利用者4の関連書類の作成を様々な形態で高精度に支援することができるため、障害年金の関連書類を迅速且つ高品質に作成することができる。さらに、プログラムをパーソナルコンピュータやタブレット端末などの情報処理装置にインストールするだけの作業で、情報処理装置を障害年金関連書類作成支援装置1として機能させることができる。尚、プログラムは、CDROMやUSBメモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で配布されてもよいし、インターネットなどの双方向やテレビ放送などの一方向の通信網や通信回線を介して配付されてもよい。
【0065】
(障害年金関連書類作成支援方法)
障害年金関連書類作成支援プログラムにおける一部や全部のステップがハードウェアにより構成されていてもよい。即ち、障害年金関連書類作成支援装置1は、障害年金関連書類作成支援方法を実行可能に構成されていればよい。具体的に説明すると、障害年金関連書類作成支援方法は、障害年金関連情報が自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶された障害年金データベース121と、障害年金の基礎情報として利用者4に記入させるフォームの目次となるフォーム項目と、フォーム項目の詳細を説明する説明情報と、フォーム項目の役割を説明する役割情報とが対応付けて記憶されたフォームデータベース122と、を有した障害年金関連書類作成支援装置1における支援方法であって、障害年金データベース121に基づいて、自然言語処理の1種以上を組み合わせることにより、障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルの学習及び調整が行われ、言語モデルをプロンプトの内容に応じて利用することにより、障害年金の関連書類の作成を支援する支援情報を生成する支援情報生成処理ステップ(S1)と、フォーム項目及び役割情報を用いて、利用者4との対話により説明情報を作成する指示内容のプロンプトを作成し、支援情報生成部115に説明情報用の支援情報を生成させる対話用支援情報生成処理ステップ(S2)とを有している。さらに、関連書類作成支援方法は、障害年金関連書類作成支援装置1の各部111~118・1101~1103・1191・1192の機能を実現する処理ステップを有してもよい。
【0066】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 障害年金関連書類作成支援装置
11 制御部
1101 申請書支援情報生成部
1102 診断書支援情報生成部
1103 診断書受付部
111 アクティベート部
112 データ収集部
113 モデル学習部
114 入力処理部
115 支援情報生成部
116 端末制御部
117 対話用支援情報生成部
118 資料用支援情報生成部
121 障害年金データベース
122 フォームデータベース
123 申請書データベース
124 UIデータベース
125 診断書データベース
13 通信部
14 表示装置
15 入力装置
2 利用者端末
211 フォーム作成部
212 対話部
213 申請書類表示部
3 社労士端末
4 利用者
5 インターネット
6 医療機関端末
7 管理者端末
【要約】
【課題】障害年金の関連書類に適合した様々な支援情報を提供することによって、高品質な障害年金の関連書類を容易に作成する。
【解決手段】本発明の障害年金関連書類作成支援装置1は、障害年金関連情報が自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶された障害年金データベース121と、障害年金データベース121に基づいて、自然言語処理の1種以上を組み合わせることにより、障害年金の関連書類の作成に特化された言語モデルの学習及び調整が行われ、言語モデルをプロンプトの内容に応じて利用することにより、障害年金の関連書類の作成を支援する支援情報を生成する支援情報生成部115とを有している。
【選択図】
図1