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特許7611645ターボチャージャーのタービンハウジング
<図1>
  • 特許-ターボチャージャーのタービンハウジング 図1
  • 特許-ターボチャージャーのタービンハウジング 図2
  • 特許-ターボチャージャーのタービンハウジング 図3
  • 特許-ターボチャージャーのタービンハウジング 図4
  • 特許-ターボチャージャーのタービンハウジング 図5
  • 特許-ターボチャージャーのタービンハウジング 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】ターボチャージャーのタービンハウジング
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20241227BHJP
   F02B 37/18 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
F02B39/00 D
F02B39/00 B
F02B37/18 E
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019227883
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2020101178
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】62/782,784
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ブライアン・クーリー
(72)【発明者】
【氏名】カイ・タナカ
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-006026(JP,U)
【文献】米国特許第08191368(US,B2)
【文献】特開2018-091275(JP,A)
【文献】特表2000-504803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 33/00-41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内燃機関から排気ガスを受け取り、かつ圧縮空気を前記内燃機関に送出するためのターボチャージャーのタービンハウジングであって、前記タービンハウジングは、
前記内燃機関と流体連通するように構成されて前記内燃機関から排気ガスを受け取るための入口通路を画成するタービン入口壁と、
前記入口通路の下流に配置されると共にそれと流体連通して前記入口通路から排気ガスを受け取るためのエクスデューサインテリアを画成するエクスデューサシュラウド壁と、
前記エクスデューサインテリアの下流に配置されると共にそれと流体連通して前記エクスデューサインテリアから排気ガスを受け取るための出口通路を画成するタービン出口壁と、
前記入口通路の下流に配置されると共にそれと流体連通して前記エクスデューサインテリアを迂回することによって前記入口通路から前記出口通路に排気ガスを排出するためのウェイストゲートチャネルを画成するウェイストゲートポート壁であって、前記ウェイストゲートチャネルの下流に配置されて排気ガスを前記出口通路内へ排出するためのウェイストゲートチャネル出口を画成するウェイストゲートポート壁と、
前記ウェイストゲートポート壁に連結されかつブッシング軸に沿って延長するブッシングボスを画成するブッシング壁であって、前記ウェイストゲートポート壁が前記ブッシング壁と前記タービン入口壁との間に配置されるように前記タービン入口壁から離間されるブッシング壁と、
前記ウェイストゲートチャネルの前記ウェイストゲートチャネル出口において前記ウェイストゲートチャネルの周りに配置されたバルブシートと、を備え、
前記ウェイストゲートポート壁及び前記ブッシング壁を前記タービン入口壁から熱的に分離する構成となるように、かつ前記バルブシートと前記ブッシング軸との間の相対変位を前記ターボチャージャーの作動中に低減するように、前記ウェイストゲートポート壁が前記エクスデューサインテリアの外側に配置されており、
前記バルブシートと係合可能なバルブエレメントを備え、
当該バルブエレメントは、バルブ本体及び前記バルブ本体から離れて延長するウェイストゲートアームとしてさらに画成され、前記ウェイストゲートアームが前記ブッシングボスを通じて延長し、前記バルブエレメントが前記エクスデューサインテリアを迂回することにより前記入口通路から前記出口通路への排気ガスの流れを防止する第1の位置にあるときに前記バルブ本体が前記バルブシートと係合するように構成され、前記バルブエレメントが前記エクスデューサインテリアを迂回することにより前記入口通路から前記出口通路への排気ガスの流れを許容する第2の位置にあるときに前記バルブ本体が前記バルブシートから離脱するように構成され、かつ
前記バルブエレメントが前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動すると、前記バルブ本体と前記ウェイストゲートアームが互いに対して同時に移動する構成となるように前記バルブ本体及び前記ウェイストゲートアームが互いに対して堅固に連結されている、タービンハウジング。
【請求項2】
前記ブッシング壁及び前記ウェイストゲートポート壁を互いに熱的に結合する構成となるように前記ブッシング壁が前記エクスデューサインテリアの外側に配置されている、請求項1に記載のタービンハウジング。
【請求項3】
前記ブッシング壁が、前記ウェイストゲートポート壁に直接連結されている、請求項1及び2のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
【請求項4】
前記バルブシートが、バルブシート平面に沿って延長し、前記ブッシング軸及び前記バルブシート平面がそれらの間の距離を規定し、かつ前記距離が30ミリメートル以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
【請求項5】
前記ブッシング壁が、前記ウェイストゲートポート壁に直接連結されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
【請求項6】
前記バルブシートが、前記出口通路に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
【請求項7】
前記タービンハウジングが、前記バルブシートに平行に延長するプラットフォーム表面を有し、前記プラットフォーム表面が、
前記バルブシートと同一平面上にあるか、または
凹部を画成し、前記バルブシートが前記凹部内に配置された、請求項1~6のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の前記タービンハウジングを含むターボチャージャーであって、
前記ウェイストゲートチャネルを通じて排気ガスの流れを制御するためのウェイストゲート組立体であって、
前記バルブシートと係合可能なバルブエレメントであって、前記エクスデューサインテリアを迂回することにより前記入口通路から前記出口通路への排気ガスの流れを防止する第1の位置と、前記エクスデューサインテリアを迂回することにより前記入口通路から前記出口通路へ排気ガスの流れを許容する第2の位置との間で移動可能であるバルブエレメントとを備えるウェイストゲート組立体を備えるターボチャージャー。
【請求項9】
前記エクスデューサインテリアに配置されたタービンホイールと、前記タービンハウジングに連結されかつベアリングハウジングインテリアを画成するベアリングハウジングと、前記ベアリングハウジングに連結されかつコンプレッサハウジングインテリアを画成するコンプレッサハウジングと、前記タービンホイールに回転可能に連結されかつ前記ベアリングハウジングインテリアに配置されたシャフトと、前記シャフトに回転可能に連結されかつ前記コンプレッサハウジングインテリアに配置されたコンプレッサホイールと、をさらに備える、請求項8に記載のターボチャージャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にタービンハウジングに関するものとして、より具体的にはウエィストゲート組立体及びタービンハウジングを含むターボチャージャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ターボチャージャーは、内燃機関から排気ガスを受け取り、圧縮空気を内燃機関に送出する。ターボチャージャーは、内燃機関の出力を増加させ、内燃機関の燃料消費量を減少させ、内燃機関によって生成される排出物を減少させるために使用される。ターボチャージャーによる内燃機関への圧縮空気の送出により、内燃機関をより小さくすることができるが、より大きな自然に吸引された内燃機関と同量またはほぼ同量の馬力を発生させることができる。車両でより小さい内燃機関を使用することは、車両の質量と空気力学的前面面積を減少させ、これは内燃機関の燃料消費量を低減させ、かつ車両の燃料経済性をを向上させるのに助けとなる。
【0003】
従来のターボチャージャーはタービンハウジングを含む。タービンハウジングは、内燃機関から排気ガスを受け取るために内燃機関と流体連通する入口通路を画成するタービン入口壁と、入口通路の下流に配置されると共にそれと流体連通して入口通路から排気ガスを受け取るためのエクスデューサ(ガス排気口)インテリアを画成するエクスデューサシュラウド壁と、エクスデューサインテリアの下流に配置されると共にそれと流体連通してエクスデューサインテリアから排出ガスを受け取るための出口通路を画成するタービン出口壁と、を備える。
【0004】
従来のタービンハウジングは、入口通路の下流に配置されると共にそれと流体連通してエクスデューサインテリアを迂回することにより入口通路から出口通路に排気ガスを排出するためのウェイストゲートチャネルを画成するウェイストゲートポート壁をさらに含む。ウェイストゲートポート壁は、ウェイストゲートチャネルの下流に配置され、排気ガスを出口通路に排出するためのウェイストゲートチャネル出口を画成する。典型的なタービンハウジングはまた、ウェイストゲートポート壁に連結されたブッシング壁であって、ブッシング軸に沿って延長するブッシングボスを画成するブッシング壁を含む。ブッシング壁は、ウェイストゲートポート壁がブッシング壁とタービン入口壁との間に配置されるようにタービン入口壁から離間される。従来のタービンハウジングは、ウェイストゲートチャネルのウェイストゲートチャネル出口においてウェイストゲートチャネルの周りに配置されたバルブシートをさらに含む。
【0005】
典型的なターボチャージャーは、ウェイストゲートチャネルを通じて排気ガスの流れを制御するためのウェイストゲート組立体を付加的に含む。従来のウェイストゲート組立体は、バルブシートと係合可能なバルブエレメントであって、エクスデューサインテリアを迂回することにより入口通路から出口通路への排気ガスの流れを防止するための第1位置と、エクスデューサインテリアを迂回することにより入口通路から出口通路への排気ガス流れを許容するための第2の位置との間で移動可能である、バルブエレメントを含む。
【0006】
典型的なタービンハウジングにおいて、タービンハウジングの熱変形は、ターボチャージャーの様々な特徴部同士間の相対的な移動を引き起こす可能性があり、その結果、性能の低下及び、時にはターボチャージャーの故障をもたらす可能性がある。例えば、タービンハウジングの熱変形速度の違いによるバルブシートに対するバルブエレメントの移動は、ウェイストゲート組立体及びターボチャージャー全体の性能低下につながる可能性がある。具体的には、ブッシング壁及びウェイストゲートポート壁が互いに対して異なる熱変形速度で熱変形するにつれて、バルブエレメントがバルブシートに適切に係合してウェイストゲートチャネルをもはやシールできなくなり、その結果、ターボチャージャーの性能が低下して、ターボチャージャーが内燃機関の全動作範囲にわたって動作できなくなる。特に、バルブシートと係合することによってバルブエレメントが第1の位置に正確に移動してウェイストゲートチャネルをシールすることができなくなり、エクスデューサインテリア内でのタービンホイールの回転速度はウェイストゲートチャネルのシール不良の結果として回転目標に到達できなくなり、かつ内燃機関はターボチャージャー全体の性能不良により性能目標を達成できないことになる。これらの問題は、一部には、ウェイストゲートポート壁が従来のタービンハウジング内のエクスデューサシュラウド壁に配置されていることにより引き起こされる。言い換えれば、エクスデューサシュラウド壁がブッシング壁とタービン入口壁との間に配置されるように、エクスデューサシュラウド壁はブッシング壁をタービン入口壁に連結させる。そのような構成では、ウェイストゲートポート壁は、エクスデューサインテリア内に配置される結果として排気ガスの最も高温の流れにさらされる。ウェイストゲートポート壁を最も高温の排気ガスの流れにさらすことは、結果としてウェイストゲートポートがブッシングの壁よりも大きな熱変形を有することになり、結果としてバルブエレメントとバルブシートとの間に相対移動が生じ、ウェイストゲートチャネルのシール不良につながる。
【0007】
したがって、ターボチャージャーの改良されたタービンハウジングを提供する必要性が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
車両の内燃機関から排気ガスを受け取り、かつ圧縮空気を内燃機関に送出するためのターボチャージャーはタービンハウジングを含む。タービンハウジングは、内燃機関と流体連通するように構成され内燃機関からの排気ガスを受け取るための入口通路を画成するタービン入口壁と、入口通路の下流に配置されると共にそれと流体連通して入口通路から排気ガスを受け取るためのエクスデューサインテリアを画成するエクスデューサシュラウド壁と、エクスデューサインテリアの下流に配置されると共にそれと流体連通してエクスデューサインテリアから排気ガスを受け取るための出口通路を画成するタービン出口壁と、を含む。タービンハウジングはまた、入口通路の下流に配置されると共にそれと流体連通してエクスデューサインテリアを迂回することにより排気ガスを入口通路から出口通路に排出するためのウェイストゲートチャネルを画成するウェイストゲートポート壁を含む。ウェイストゲートポート壁は、ウェイストゲートチャネルの下流に配置されて排気ガスを出口通路に排出するためのウェイストゲートチャネル出口を画成する。タービンハウジングは、ウェイストゲートポート壁に連結されかつブッシング軸に沿って延長するブッシングボスを画成するブッシング壁をさらに含む。ブッシング壁は、ウェイストゲートポート壁がブッシング壁とタービン入口壁との間に配置されるようにタービン入口壁から離間されている。タービンハウジングはまた、ウェイストゲートチャネルのウェイストゲートチャネル出口においてウェイストゲートチャネルの周りに配置されたバルブシートを含む。ターボチャージャーはまた、ウェイストゲートチャネルを通じて排気ガスの流れを制御するためのウェイストゲート組立体を含む。ウェイストゲート組立体は、バルブシートと係合可能なバルブエレメントを含む。バルブエレメントは、エクスデューサインテリアを迂回することにより入口通路から出口通路への排気ガスの流れを防止するための第1の位置と、エクスデューサインテリアを迂回することにより入口通路から出口通路への排気ガスの流れを許容するための第2の位置との間で移動可能である。ウェイストゲートポート壁及びブッシング壁をタービン入口壁から熱的に分離する構成となるように、かつバルブシートとブッシング軸との間の相対変位がターボチャージャーの作動中に低減されるようにウェイストゲートポート壁がエクスデューサインテリアの外側に配置される。
【0009】
したがって、ウェイストゲートポート壁及びブッシング壁をタービン入口壁から熱的に分離するように構成して、かつバルブシートとブッシング軸との間の相対的な変位をターボチャージャーの作動中に低減するようにウェイストゲートポート壁をエクスデューサインテリアの外側に配置することは、ウェイストゲート組立体とターボチャージャーの性能が向上させる。ウェイストゲートポート壁をエクスデューサインテリアの外側に配置することは、ウェイストゲートポート壁を外部環境にさらすことを許容して、その結果、ウェイストゲートポート壁が冷却され、ウェイストゲートポート壁の熱変形が減少する。ブッシング壁及びウェイストゲートポート壁の熱変形を低減することは、ウェイストゲート組立体及びターボチャージャー全体の性能を向上させる。具体的には、ブッシング壁及びウェイストゲートポート壁の熱変形が減少するにつれて、バルブエレメントはバルブシートと係合することによってウェイストゲートチャネルのシールを改善でき、その結果、ターボチャージャーの性能が向上しかつターボチャージャーが内燃機関の全動作範囲にわたって動作することが可能である。特に、バルブエレメントはウェイストゲートチャネルをシールするために正確に第1の位置に移動することができ、エクスデューサインテリアのタービンホイールの回転速度は回転目標に到達でき、かつ内燃機関はターボチャージャーの性能により性能目標を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付の図面に関連して考慮されるとき、以下の詳細な説明を参照することによって同じことがより良く理解されるようになるため、本発明の他の利点は容易に評価されるであろう。
【0011】
図1図1は、ターボチャージャーのタービンハウジング及びウェイストゲート組立体の斜視図である。
図2図2は、タービンハウジングであって、エクスデューサインテリアを画成するエクスデューサシュラウド壁及びウェイストゲートチャネルを画成するウェイストゲートポート壁を含むタービンハウジングの断面図である。
図3図3は、タービンハウジングであって、出口通路を画成する出口壁、ブッシングボスを画成するブッシング壁、及びバルブシートを含むタービンハウジングの断面図である。
図4図4は、ウェイストゲートポート壁がエクスデューサインテリアの外側に配置されている、タービンハウジングの部分仮想図である。
図5図5は、バルブシートがバルブシート平面に沿って延長しかつブッシング軸及びバルブシート平面がそれらの間の距離を規定している、タービンハウジングの断面図である。
図6図6は、タービンハウジングに連結されかつベアリングハウジングインテリアを画成するベアリングハウジング、ベアリングハウジングに連結されかつコンプレッサハウジングインテリアを画成するコンプレッサハウジング、タービンホイールに回転可能に連結されかつベアリングハウジングインテリアに配置されたシャフト、及びシャフトに回転可能に連結されかつコンプレッサハウジングインテリアに配置されたコンプレッサホイールを含むターボチャージャーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
いくつかの図全体を通して同様の数字が同様の部品を示している、図面を参照すると、車両の内燃機関から排気ガスを受け取り、かつ圧縮空気を内燃機関に送出するための、図6に概略的に示されている、ターボチャージャー20は、図1図5に示されている、タービンハウジング22を含む。特に図3を参照すると、タービンハウジング22は、内燃機関と流体連通するように構成されて内燃機関から排気ガスを受け取るための入口通路26を画成するタービン入口壁24を含む。入口通路26は、単一の渦巻入口通路であってもよい、あるいは図5に示されるように、ツインスクロール構成などの複数の渦巻通路であってもよい。図1図4を参照すると、タービンハウジング22はまた、入口通路26の下流に配置されると共にそれと流体連通して入口通路26から排気ガスを受け取るためのエクスデューサ(Exducer)インテリア30を画成するエクスデューサシュラウド壁28を含む。タービンハウジング22は、エクスデューサインテリア30の下流に配置されると共にそれと流体連通してエクスデューサインテリア30から排気ガスを受け取るための出口通路34を画成するタービン出口壁32をさらに含む。
【0013】
タービンハウジング22は、入口通路26の下流に配置されると共にそれと流体連通してエクスデューサインテリア30を迂回することにより排気ガスを入口通路26から出口通路34に排出するためのウェイストゲートチャネル38を画成するウェイストゲートポート壁36を付加的に含む。ウェイストゲートポート壁36は、図3に示すように、ウェイストゲートチャネル38の下流に配置されて排気ガスを出口通路34内に排出するためのウェイストゲートチャネル出口40を画成する。タービンハウジング22は、ウェイストゲートポート壁36に連結されかつブッシング軸BAに沿って延長するブッシングボス44を画成するブッシング壁42をさらに含む。ブッシング壁42は、ウェイストゲートポート壁36がブッシング壁42とタービン入口壁24との間に配置されるようにタービン入口壁24から離間している。タービンハウジング22はまた、ウェイストゲートチャネル38のウェイストゲートチャネル出口40においてウェイストゲートチャネル38の周りに配置されたバルブシート46を含む。典型的には、バルブシート46は出口通路34に配置される。
【0014】
ターボチャージャー20はまた、ウェイストゲートチャネル38を通じる排気ガスの流れを制御するためのウェイストゲート組立体48を含む。ウェイストゲート組立体48は、バルブシート46と係合可能なバルブエレメント50を含む。バルブエレメント50は、第1の位置と第2の位置との間を移動可能である。バルブエレメント50が第1の位置にあるとき、バルブエレメント50は、エクスデューサインテリア30を迂回することにより排気ガスが入口通路26から出口通路34に流れるのを防止する。バルブエレメント50が第2の位置にあるとき、バルブエレメント50は、エクスデューサインテリア30を迂回することにより排気ガスが入口通路26から出口通路34に流れることを許容する。ターボチャージャー20は、典型的にバルブエレメント50に連結されてバルブエレメント50を第1の位置と第2の位置との間で移動させるためのアクチュエータ52を含む。
【0015】
ウェイストゲートポート壁36は、エクスデューサインテリア30の外部に配置され、すなわち、エクスデューサインテリア30の外側に配置され、それによりウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42がタービン入口壁24から熱的に分離されるように構成され、かつそれによりバルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対変位がターボチャージャー20の作動中に減少する。ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42をタービン入口壁24から熱的に分離させることは、典型的にはウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42がターボチャージャー20の作動中にタービン入口壁24よりも低い速度で熱膨張することを許容し、これはバルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対変位を減少させる。さらに、タービン入口壁24は、典型的にウェイストゲートポート壁36がエクスデューサインテリア30の外側に配置されている結果としてウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42よりも高い速度で膨張及び収縮する。図4に示すように、タービンハウジング全体が仮想的に示されており、ウェイストゲートチャネル38及びウェイストゲートポート壁36は実線で示されており、かつエクスデューサインテリア30の外側に配置されている。
【0016】
ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42をタービン入口壁24から熱的に分離するように構成しかつバルブシート46とブッシング軸BA間の相対変位をターボチャージャー20の作動中に減少するようにウェイストゲートポート壁36をエクスデューサインテリア30の外側に配置させることは、ウェイストゲート組立体48及びターボチャージャー20の性能を向上させる。具体的には、ブッシング壁42ひいてはブッシング軸BAなどのターボチャージャー20の様々な特徴部とバルブシート46との間の熱変形は減少する。ウェイストゲートポート壁36をエクスデューサインテリア30の外側に配置することは、ウェイストゲートポート壁36を外部環境にさらすことを許容し、その結果、ウェイストゲートポート壁36が冷却され、ウェイストゲートポート壁36の熱変形が減少する。ブッシング壁42ひいてはブッシング軸BAとウェイストゲートポート壁36との間の相対変位を低減することは、ウェイストゲート組立体48及びターボチャージャー20全体の性能を向上させる。具体的には、ブッシング軸BAとバルブシート46との間の相対変位が減少するにつれて、バルブエレメント50はバルブシート46と係合することによりウェイストゲートチャネル38のシールを改善することができ、その結果としてターボチャージャー20の性能が向上しかつターボチャージャー20が内燃機関の全範囲にわたって作動することが可能となる。特に、バルブエレメント50は、適切なタイミングでウェイストゲートチャネル38に完全に係合してシールするために第1の位置に移動することができ、エクスデューサインテリア30内のタービンホイール68の速度は回転目標に到達することができ、そして内燃機関はターボチャージャー20の性能向上により性能目標を達成できる。
【0017】
典型的に、ウェイストゲートポート壁36は、タービン入口壁24とタービン出口壁32との間に延在する。そのような実施形態では、ウェイストゲートポート壁36は、典型的にエクスデューサシュラウド壁28から離間されている。言い換えると、ウェイストゲートポート壁36がタービン入口壁24及びエクスデューサシュラウド壁28から突き出てもよい。ウェイストゲートポート壁36をタービン入口壁24及びエクスデューサシュラウド壁28から突き出させることは、ウェイストゲートポート壁36を外部冷却空気にさらすことを許容する。付加的に、ウェイストゲートポート壁36をタービン入口壁24及びエクスデューサシュラウド壁28から突き出させることは、ウェイストゲートポート壁36をブッシング壁42とタービン入口壁24との間に配置しかつそれらを連結することを許容する。
【0018】
ブッシング壁42は、ウェイストゲートポート壁36に直接連結してもよい。言い換えると、ウェイストゲートポート壁36がブッシング壁42とタービン口壁24との間に配置されるため、ブッシング壁42はタービン入口壁24から分離される。ブッシング壁42がウェイストゲートポート壁36に直接連結される場合、ウェイストゲートポート壁36は、典型的にタービン入口壁24に直接連結される。そのような実施形態では、エクスデューサシュラウド壁28はブッシング壁42をタービン入口壁24に連結させない。言い換えると、エクスデューサシュラウド壁28は、ブッシング壁42とタービン入口壁24との間に配置されない。むしろ、ウェイストゲートポート壁36は、ブッシング壁42とタービン入口壁24との間に配置される。ブッシング壁42及びウェイストゲートポート壁36を互いに対して直接連結することは、ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42がターボチャージャー20の作動中に同じ速度で熱膨張することを許容する。付加的に、ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42が互いに対して直接連結されている場合、ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42は、互いに一体化されてよい、すなわち、ワンピースであってもよい。ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42がターボチャージャー20の作動中に同じ速度で熱膨張するようにウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42が互いに対して直接連結される場合、ターボチャージャー20の性能が、具体的にはバルブエレメント50によるウェイストゲートチャネル38のシールにより改善される。具体的には、ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42は、ターボチャージャー20の動作中に同じ速度で熱膨張することができるため、バルブエレメント50がウェイストゲートチャネル38のシールを改善することができる。これはバルブシート46及びブッシング軸BA、ひいてはバルブエレメント50の互いに対する相対移動が大幅に低減されるからである。ウェイストゲートチャネル38の改善されたシールは、バルブエレメント50が第1の位置にあるときにウェイストゲートチャネル38を通過する排気ガスが除去されないとしても大幅に減少するにつれて、ターボチャージャー20の性能を向上させる。
【0019】
図1を参照すると、バルブエレメント50は、バルブ本体54及びバルブ本体54から離れて延長するウェイストゲートアーム56としてさらに画成され得る。存在する場合、ウェイストゲートアーム56は、ブッシングボス44を通じて延長しかつスピンドル軸SAに沿って延長するスピンドル(図示せず)によって典型的に回転される。ウェイストゲートアーム56がブッシングボス44を通じて延長する場合、ウェイストゲートアームがスピンドル軸SAに沿って延長する。ウェイストゲート組立体48は、ブッシングボス44に配置されてウェイストゲートアーム56を支持するためのブッシング58を含むことができる。バルブ本体54が存在する場合、バルブ本体54はバルブエレメント50がウェイストゲートチャネル38を通じて排気ガスが流れるのを防止するために第1の位置にあるときバルブシート46と係合するように構成され、またバルブ本体54は、バルブエレメント50がウェイストゲートを通じて排気ガスの流れを許容するために第2の位置にあるときにバルブシート46から離脱するように構成される。典型的には、アクチュエータ52は、バルブシート46との係合と離脱との間でバルブ本体54を移動させるためにウェイストゲートアーム56に連結されている。
【0020】
一実施形態では、バルブエレメント50が第1の位置と第2の位置との間で移動するとバルブ本体54及びウェイストゲートアーム56が互いに同時に移動するように構成されるようにバルブ本体54及びウェイストゲートアーム56が互いに対して堅固に連結されている。ウェイストゲートアーム56がバルブ本体54に堅固に連結されている実施形態では、ウェイストゲートアーム56はバルブ本体54に溶接されてもよい。バルブ本体54及びウェイストゲートアーム56が互いに対して堅固に連結されている場合に、ウェイストゲートポート壁36をエクスデューサインテリア30の外側に配置させること、及びウェイストゲートポート壁36とブッシング壁42をタービン入口壁24から熱的に分離するように構成してバルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対変位を低減することはいくつかの利点を提供する。
【0021】
第1に、ウェイストゲートアーム56及びバルブ本体54は互いに対して堅固に連結されているため、ウェイストゲートアーム56とバルブ本体54との間の部品公差の必要がなくなる。この目的のために、ウェイストゲートアーム56及びバルブ本体54の設計及び製造コストが大幅に削減される。そのような実施形態では、タービン入口壁24、ウェイストゲートポート壁36、及びブッシング壁42などのタービンハウジング22の様々な部分の熱変形は、ウェイストゲートアーム56及びバルブ本体54が互いに対して堅固に連結されている場合に、ウェイストゲートチャネル38を適切にシールするバルブエレメント50の能力に悪影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42をタービン入口壁24から熱的に分離するように構成して、かつターボチャージャー20の作動中にバルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対変位を低減するように、ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42をエクスデューサインテリア30の外側に配置させることは、結果的にウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42の熱変形にもかかわらず、堅固に連結されたウェイストゲートアーム56及びバルブ本体54がウェイストゲートチャンネル38を適切にシールすることになる。第2に、ブッシング壁42及びウェイストゲートポート壁36が互いに対して直接連結され、かつウェイストゲートアーム56及びバルブ本体54が互いに対して堅固に連結されている実施形態では、ブッシング壁42及びウェイストゲートポート壁36は同じ速度で膨張及び収縮する。ブッシング壁42及びウェイストゲートポート壁36が同じ速度で膨張及び収縮する場合、ブッシング軸BA及びバルブシート46には互いに対する最小の相対移動が生じて、その結果、後述するようにウェイストゲートチャネル38のより良好なシールが得られる。
【0022】
図5を参照すると、ウェイストゲートアーム56は、ブッシング軸BAに沿って延長してもよく、バルブシート46は、バルブシート平面VSPに沿って延長してもよい。一実施形態では、ブッシング軸BA及びバルブシート平面VSPは、それらの間の距離Dを規定する。上述のように、ウェイストゲートポート壁36をエクスデューサインテリア30の外側に配置させた結果として、バルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対移動が低減される。バルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対移動が低減される場合、ウェイストゲートアーム56とバルブシート46との間の相対移動も低減される。図5に示すように、ウェイストゲートポート壁36はブッシング壁42に直接連結されてもよい。ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42が互いに対して直接連結される場合、バルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対変位が低減される。特に、ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42が互いに対して直接連結される場合、バルブシート46はブッシングボア44を画成するブッシング壁42に隣接していて、これにより後述するようにバルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対的変形を低減させる。
【0023】
ブッシング壁42及びウェイストゲートポート壁36などのタービンハウジング22の様々な構成部品の熱成長は、式:熱成長=熱膨張係数*温度*長さに基づいている。この式では、長さは上記の式で実際に変更できる唯一のパラメータである。言い換えると、タービンハウジングは典型的には、熱膨張係数の高い金属で作られているため、熱膨張係数が変化するのは実際的ではなく、タービンハウジング22は高温排気ガスにさらされるため、温度が変化するのは実際的ではない。この目的のために、図5に示すように、ブッシング軸BAとバルブシート46平面との間の距離Dが示されている。付加的に、図5において、距離Dは、スピンドル軸SAとバルブシート平面VSP間の距離と定義される。スピンドル軸SAとバルブシート平面VSP間の距離Dは、それに応じて調整することができる。特に、ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42が互いに対して直接連結されている場合、バルブシート46がブッシングボアを画定するブッシング壁42に隣接しているため、バルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対変位が減少する。これにより、バルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対的な変形が減少する。非限定的な例として、距離Dは0~30ミリメートルの範囲であってよい。別の非限定的な例として、距離Dは30ミリメートル以下であってもよい。距離Dを30ミリメートル未満にすることによって、バルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対的な変形が減少して、ひいては、その結果、バルブエレメント50が第1の位置にあるときにウェイストゲートチャネル38のより良好なシールが得られる。別の非限定的な例として、距離Dは20ミリメートル以下であってもよい。距離Dを20ミリメートル以下にすることによって、バルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対的な変形が減少して、その結果、バルブエレメント50が第1の位置にあるときにウェイストゲートチャネル38のより良好なシールが得られる。別の非限定的な例として、距離Dは15ミリメートル以下であってもよい。距離Dを15ミリメートル未満にすることによって、バルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対的な変形が減少し、ひいては、その結果に基づいて、バルブエレメント50が第1の位置にあるときにウェイストゲートチャネル38のより良好なシールが得られる。別の非限定的な例として、距離Dは12.5ミリメートルであってもよい。距離Dを12.5ミリメートルにすることによって、バルブシート46とブッシング軸BAとの間の相対的な変形が減少し、ひいては、その結果に基づいて、バルブエレメント50が第1の位置にあるときのウェイストゲートチャネル38のより良好なシールが得られる。
【0024】
図3及び図5に示すように、タービンハウジング22はバルブシート46に平行に延長するプラットフォーム表面60を有してもよい。一実施形態では、バルブシート46はプラットフォーム表面60と同一平面であってもよい。バルブシート46をプラットフォーム表面60と同一平面にすることによって、ウェイストゲートポート壁36はプラットフォーム表面60を通り過ぎて出口通路34内に延長しないためブッシング軸BAとバルブシート平面VSPとの間の距離Dを短縮するのに助けとなる。他の実施形態では、プラットフォーム表面60は、凹部62を画成する。凹部62が存在する場合、バルブシート46は凹部62内に配置されてもよい。バルブシート46をプラットフォーム表面60と同一平面にするか、またはバルブシート46を凹部62内に配置することにより、距離Dを短縮するのに助けとなり、したがって、ウェイストゲートポート壁36及びブッシング壁42の熱変形を低減させる。
【0025】
図3に示すように、ウェイストゲートチャネル38は、第1のウェイストゲートチャネル64としてさらに画成されてよい、またウェイストゲートポート壁36は、エクスデューサインテリア30を迂回することによって入口通路26から排気ガスを排出するために入口通路26と流体連通する第2のウェイストゲートチャネル66をさらに画成してもよい。
【0026】
図6に示すように、ターボチャージャー20は、エクスデューサインテリア30内に配置されたタービンホイール68を含むことができる。ターボチャージャー20はまた、タービンハウジング22に連結されかつベアリングハウジングインテリア72を画成するベアリングハウジング70と、ベアリングハウジング70と連結されかつコンプレッサハウジングインテリア76を画成するコンプレッサハウジング74と、タービンホイール68に回転可能に連結されてベアリングハウジングインテリア72に配置されたシャフト78と、シャフト78に回転可能に連結されかつコンプレッサハウジングインテリア76に配置されたコンプレッサホイール80と、を含むことができる。
【0027】
本発明を例示的に説明してきた、そして使用された専門用語は限定するための単語というよりもむしろ記述するための単語の性質を帯びていることを意図したことを理解されたい。 上記の教示に照らして、本発明の多くの修正及び変形が可能であり、本発明は、具体的に記載された以外の方法で実施されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6