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特許7611662遠隔操作システム、遠隔操作装置、及び遠隔操作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】遠隔操作システム、遠隔操作装置、及び遠隔操作方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20241227BHJP
   E02B 7/20 20060101ALN20241227BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
E02B7/20 104
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020164158
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056244
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-01-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507036050
【氏名又は名称】住友重機械エンバイロメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 俊康
(72)【発明者】
【氏名】行谷 宗大
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102099(JP,A)
【文献】特開2017-069963(JP,A)
【文献】特開昭62-288904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
E02B 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象を操作する操作盤の遠隔操作システムであって、
既設の前記操作盤に後付けて設置され、前記操作盤の入力部へ入力を行う動作部と、
前記動作部に動作指令を送る指令部と、を備え、
前記指令部は、操作対象又は/及び操作盤の映像を表示する表示部と、作業者が遠隔で操作盤を操作するための入力受付部と、を有し、
前記指令部は、前記操作対象又は/及び操作盤の映像と、前記入力受付部と、を画面上に表示することを特徴とする、遠隔操作システム。
【請求項2】
操作対象を操作する操作盤の遠隔操作システムであって、
既設の前記操作盤に後付けて設置され、前記操作盤の入力部へ入力を行う動作部と、
前記動作部に動作指令を送る指令部と、を備え、
前記指令部は、操作対象又は/及び操作盤の映像を表示する表示部と、作業者が遠隔で操作盤を操作するための入力受付部と、を有し、
前記入力受付部は、動作指令の選択と前記動作指令を確定させる確認のステップがあることを特徴とする、遠隔操作システム。
【請求項3】
操作対象を操作する操作盤の遠隔操作方法であって、
既設の前記操作盤に後付けて設置され、前記操作盤の入力部へ入力を行う動作手段と、
前記動作手段に動作指令を送る指令手段と、を備え、
前記指令手段は、操作対象又は/及び操作盤の映像と、作業者が遠隔で操作盤を操作するための入力受付部と、を画面上に表示し、
前記動作手段は、前記指令手段の動作指令に基づき、前記操作盤を介して前記操作対象を操作することを特徴とする、遠隔操作方法。
【請求項4】
操作対象を操作する操作盤の遠隔操作方法であって、
既設の前記操作盤に後付けて設置され、前記操作盤の入力部へ入力を行う動作手段と、
前記動作手段に動作指令を送る指令手段と、を備え、
前記指令手段は、操作対象又は/及び操作盤の映像と、作業者が遠隔で操作盤を操作するための入力受付部と、を表示し、
前記入力受付部は、動作指令の選択と前記動作指令を確定させる確認のステップがあり、
前記動作手段は、前記指令手段の動作指令に基づき、前記操作盤を介して前記操作対象を操作することを特徴とする、遠隔操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作システム、遠隔操作装置、及び遠隔操作方法に関するものである。特に、プラント設備等の遠隔操作システム、遠隔操作装置、及び遠隔操作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上下水道、水源や河川に設けられた水門、工場設備、発電所等のプラント設備は、その正常な稼働のために、これら設備を監視する制御システムが設置されている。この制御システムは、雨量や流量等を測定する計測機器からの情報を収集し、プラント設備を構成する機器の監視を行うと共に、ゲートや各ポンプ、流水弁等のプラント設備を構成するプラント機器を制御する。
【0003】
これらのプラント機器の制御方法には、プラント設備が備えている操作盤を直接操作する手動制御と、無線通信を用いてプラント機器を制御する遠隔操作がある。遠隔操作機能を有していない、押しボタン式(手動)制御装置は、作業者が制御装置の設置してある場所に行って、状況を判断して、押す(操作する)作業が発生する。特に、災害発生時には、現場でのこれら作業は危険を伴うことが予想される。その労力削減のため、また、安全の確保のために、遠隔操作、及び遠方監視可能な制御装置の設置が望まれている。
【0004】
例えば、特許文献1には、インターフェース装置を介して汎用されているパーソナルコンピュータによって、水門の動作を制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-178947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、汎用されているパーソナルコンピュータを用いて水門の動作を制御するために、インターフェース装置を介して、水門の操作盤から設備全体の状態情報を、パーソナルコンピュータから、操作盤へ開閉動作を指令する制御信号が送信されることが記載されている。このように、従来の遠隔操作機能を有する遠隔監視システムは、各センサ信号と制御信号を制御回路に集約し、通信装置を経由して遠隔操作可能な端末と連携させる構成となっている。このような場合、水門の各設備には、状態情報を送信する信号ケーブルを新たに設置し、また、遠隔操作端末には、グラフィック画面やトレンド表示画面を作成し、各センター信号値の表示等をさせる必要が生じることから、遠隔操作システムの導入に際しては、期間と費用が大きくかかるという問題がある。
したがって、長い期間と大きな設備投資を必要とせず、既存の設備の機能を最大限利用した遠隔操作を可能とする技術が求められている。
【0007】
そこで、本発明の課題は、上下水道、水門、工場、発電所等のプラント設備において、容易かつ低コストである遠隔操作システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、操作盤の遠隔操作システムにおいて、既設の操作盤の押しボタンスイッチ等を直接、物理的に操作する構成とすることで、既設の制御システムに大きな変更を施すことなく、改変に必要とする期間と費用を軽減しながら、容易に遠隔操作及び監視可能な後付けの遠隔操作システムを構築することができることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の遠隔操作システム、遠隔操作装置、及び遠隔操作方法である。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の遠隔操作システムは、操作対象を操作する操作盤の遠隔操作システムであって、既設の前記操作盤に後付けて設置され、前記操作盤の入力部へ入力を行う動作部と、前記動作部に動作指令を送る指令部と、を備えることを特徴とする。
この遠隔操作システムによれば、既設の操作盤への物理的な入力により操作対象を操作することができ、既設の設備の電動化や情報管理等に関する大きな変更を施すことなく設備の遠隔操作を行うことが可能となる。
【0010】
また、本発明の遠隔操作システムの一実施態様としては、指令部は、作業者に情報を表示する表示部と、作業者が遠隔で操作盤を操作するための入力受付部と、を備えるという特徴を有する。
この特徴によれば、作業者は、遠隔地において設備の情報を正確に把握することができ、災害発生時にも安全に、遠隔操作端末から現場の操作盤への入力操作を行うことが可能となる。
【0011】
また、本発明の遠隔操作システムの一実施態様としては、表示部は、操作対象又は/及び操作盤の映像を表示するという特徴を有する。
この特徴によれば、操作者は、遠隔地から設備の状況、操作盤の作動状況を正確に把握することが可能となり、遠隔制御の実効性を高めることができる。
【0012】
また、本発明の遠隔操作システムの一実施態様としては、入力受付部は、選択と確認のステップがあるという特徴を有する。
この特徴によれば、入力操作に際して、複数のステップを設けることで、作業者の誤操作を防止し、遠隔操作の正確性を高めることができる。
【0013】
上記課題を解決するための本発明の遠隔操作装置は、操作対象を操作する既設の操作盤に後付けされる遠隔操作装置であって、前記操作盤の入力部へ入力を行う動作部と、前記動作部への動作指令を受け取る受信部と、を備えることを特徴とする。
この遠隔操作装置によれば、既設の操作盤に物理的な入力により操作対象を操作することができ、既設の設備の電動化や情報管理等に関する変更を施すことなく設備の遠隔操作を実施可能な遠隔操作装置を提供することができる。
【0014】
また、本発明の遠隔操作装置の一実施態様としては、操作盤の映像を送信する送信部を更に備えるという特徴を有する。
この特徴によれば、作業者は、遠隔地から設備の状況、操作盤の作動状況を正確に把握することが可能となり、遠隔制御の実効性を高めることができる。
【0015】
上記課題を解決するための本発明の遠隔操作方法は、操作対象を操作する操作盤の遠隔操作方法であって、既設の前記操作盤に後付けて設置され、前記操作盤の入力部へ入力を行う動作手段と、前記動作部に動作指令を送る指令手段と、を備え、前記指令手段の動作指令に基づき、前記操作盤を介して前記操作対象を操作するステップを備えることを特徴とする。
この遠隔操作方法によれば、既設の操作盤に物理的な入力により操作対象を操作することができ、既設の設備の電動化や情報管理等に関する大きな変更を施すことなく設備の遠隔操作を実施可能な遠隔操作を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上下水道、水門、工場、発電所等の大規模設備において、容易かつ低コストである遠隔操作システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施態様に係る遠隔操作システムの一例を示す構成図である。
図2】本発明の第1の実施態様に係る設備構成の一例を示す概略説明図である。
図3】本発明の第1の実施態様に係る既設の操作盤の一例を示す概略説明図である。
図4】本発明の第1の実施態様に係る遠隔操作装置の一例を示す概略右側断面図である。
図5】本発明の第1の実施態様に係る遠隔操作装置の配置の一例を示す概略正断面図である。
図6】本発明の第1の実施態様に係る遠隔操作端末の一例を示す概略説明図である。
図7】本発明の第2の実施態様に係る携帯遠隔操作端末の概略説明図である。
図8】本発明の第3の実施態様に係る入力アタッチメントの概略右断面図である。
図9】本発明の第3の実施態様に係る入力アタッチメントのタッチパネル上の動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る遠隔操作システムの実施態様を詳細に説明する。また、本発明に係る遠隔操作システムの操作方法の説明については、本発明に係る遠隔操作システムの操作方法に係る説明に置き換えるものとする。
なお、実施態様に記載する遠隔操作システムについては、本発明に係る遠隔操作システムを説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0019】
本発明の遠隔操作システムは、作業者の安全を確保しながら操作対象となる大型設備を監視及び制御するために使用される。対象物としては、例えば、上下水道、水門、工場、発電所等のプラント設備等が挙げられる。
【0020】
〔第1の実施態様〕
以下、第1の実施態様に係る、遠隔操作システムの詳細な構成について説明する。
【0021】
図1は、本実施態様における遠隔操作システム100の一例を示す構成説明図である。図1に示すように、本発明の遠隔操作システム100は、物理的操作(動作指令に係る信号の入力ではなく、動作部32の物理的負荷により入力部17を動作させる操作)により、操作盤8の入力部17(例えば、押しボタンスイッチ、セレクトスイッチ、バルブ、キースイッチ、ブレーカー等)に、指令部40(遠隔操作端末40a)からの動作指令を伝達する構成となっている。
【0022】
以下、図1を参照しながら、遠隔操作システム100を構成する各装置等について詳細に説明する。本発明の遠隔操作システム100は、新たに導入される設備(図1中の破線の長方形で示される設備)である、汎用のパーソナルコンピュータやワークステーション等の指令部40(遠隔操作端末40a)、監視装置6、及び遠隔操作装置10と、既存の設備(実線の角丸長方形で示される設備)である、操作盤8、モニター装置11、及び操作対象1を構成要素としている。
【0023】
まず、指令部40は、更にその画面上に監視装置6からの映像等を表示する表示部42と、遠隔操作装置10への動作指令を入力可能な入力受付部46を表示している。次に、監視装置6は、撮影した映像をリアルタイムで送信可能な通信装置60a、Webカメラ7、バッテリー70a等を構成要素としており、前記指令部40は、無線通信回線等を介して、屋外の設備の状況及び動作態様、操作盤8に表示される計器の指示値、並びに遠隔操作装置10の動作状況等を監視することができ、遠隔操作装置10への動作指令を判断する根拠とすることができる。なお、これら通信装置60a、Webカメラ7、バッテリー70aは市場に流通する汎用のものを使用することができる。また、バッテリー70aは、施設内の電源にケーブルで接続する他、携帯バッテリー、ソーラーバッテリー、近接する設備の自家発電を利用したものであってもよい。また、監視装置6の設置台数、設置場所については特に限定されるものではなく、設備の広さ、形態、構成される機器等の状況に応じて配置することができる。さらに、ドローン(無人航空機)を用いて、空中から設備の状況を監視してもよい。
ここで、動作指令を送る指令部40は指令手段に相当し、当該指令手段の動作指令に基づき、入力部17に入力を行う動作部32は動作手段に相当する。
【0024】
次に、遠隔操作装置10は、指令部40から動作部32への動作指令や、監視装置6からの映像情報を受信する通信装置60b、動作部32、バッテリー70bを構成要素とする。更に、動作部32は、入力部材34と駆動部36から構成されている。この遠隔操作装置10により、動作指令を既存の操作盤8に配置された入力部17に対して、物理的操作にて入力を実行することが可能となる。この入力とは、駆動部36の動力供給により、入力部材34が物理的負荷を入力部17に付加することで入力部17の状態を変更することである。
【0025】
続いて、この状態の変更により、操作信号が操作対象1に送信されることで、指令部40からの動作指令が操作対象1を構成する設備、機器等に対して実行されることとなる。
なお、通信装置60b、動作部32、バッテリー70bは市場に流通する汎用のものを使用することができる。また、バッテリー70bは、施設内の電源にケーブルで接続する他、携帯バッテリー、ソーラーバッテリー、近接する設備の自家発電を利用したものであってもよい。遠隔操作装置10は、その設置個数、場所、設置態様等については特に限定はされない。操作対象1を制御する際に必要となる操作盤8又は入力部17が、異なる場所に複数存在する場合であっても、それぞれに遠隔操作装置10を設置することで、指令部40において、制御情報を集約して処理することができるため、確実な遠隔操作の実行が可能である。
【0026】
既設の操作盤8に配置される入力部17(物理的操作による状態の変化に応じて操作対象1に操作信号を送信する装置)については、操作対象1に操作信号を送る機能を有するものであれば、限定されるものではなく、既存の入力部17に変更を加えることは必要としない。動作部32の態様に変更を加えることで、物理的操作の負荷による入力部17への入力が可能とすることができる。このような入力部17としては、例えば、押しボタンスイッチ、セレクトスイッチ、バルブ、キースイッチ、ブレーカー等が挙げられる。操作対象1への操作信号の送信の態様についても特に限定はされず、既存の設備を利用することができる。
【0027】
操作対象1となる設備としては、本発明の効果を奏する限り限定はされない。例えば、上下水道、水門、工場、発電所等のプラント設備等が挙げられる。例えば、発電所の災害時等、作業員による長時間の作業が困難であり、また、緊急時で遠隔操作化の施工に時間がかけられない場合に、既存の設備に変更を加えることなく、遠隔操作への移行が容易にできるという本発明の効果をより顕著に発揮できる。
【0028】
また、モニター装置11は、操作対象1の各設備の情報や環境情報等を受信し、表示する、既存の設備である。これら既存のモニター装置11も変更を加えることなく利用ができ、利用できるモニター装置11の態様も特に限定はされない。モニター装置11としては、例えば、計器類として気圧計、雨量計、水量計、水位計、熱量計、温度計、圧力計、表示灯として、異常発生や、運転継続、又は休止を表示する表示灯、その他映像モニター等が挙げられる。当該モニター装置11に表示された情報を監視装置6により映像として取り込み、作業者は、これらに表示された計器の指示値等を基準として、操作判断の決定を行うことができる。なお、映像として取り込まれた計器等の情報にプログラム処理を施して、数値として指令部40の入力受付部46等に表示、又は得られた数値を制御指令の判断に利用することもできる。
【0029】
以上のように構成することで、既設の設備の制御(遠隔操作)の実行に際し、操作信号等の送受信に係る新たな設備投資を必要とすることなく、既存の設備の遠隔操作を実行することができる。本発明の遠隔操作システムの導入は、既存の設備の正常な稼働に何ら支障がなく、かつ、遠隔操作システムの導入に期間や大きな予算がかけられない場合に特に有効である。
【0030】
(操作対象の設備構成)
次に、本実施態様の具体的な構成について、操作対象1の具体例として水門設備1aについて、図2図6を参照しながら詳細に説明する。図2に示すように、本実施態様の遠隔操作システム100に係る操作対象1は、水門設備1aであり、既存の設備として、ゲート2の開閉操作を行う操作盤8と、水門設備1aの前後の水路3等の周囲を監視する監視窓4を備えている。また、遠隔操作システム100を構成する新たな設備として、Webカメラ7a、7b、7c、及び後述する遠隔操作端末40aの動作指令に基づき操作盤8を操作する遠隔操作装置10を備えている。
【0031】
Webカメラ7a、7bは、水門設備1aの前後の水路3の流量、状況、及び周囲の異常等を監視するためのものであり、Webカメラ7cは、ゲート2の作動状況を監視するためのものである。撮影された映像は、通信装置60a(不図示)を介して、遠隔操作端末40aにリアルタイムで送信されるよう構成されている。なお、Webカメラ7の設置台数、設置位置、撮影態様は特に限定はされず、水門設備1aの規模、目的、設置場所に応じて適宜設定が可能である。また、水路3の流水量に影響を与える設備、例えば、近接する取水口、流入河川、桶門等を監視する目的でWebカメラ7を更に設置することもできる。また、通信装置60aは、Webカメラ7からの映像を指令部40に送信する。
【0032】
遠隔操作装置10は、既設の操作盤8に後付けで取り付けられ、操作盤8の入力部17に物理的操作である入力を行うためのものである。遠隔操作装置10の形状は、特に限定されず、対象物となる操作盤8の形態、形状等に応じ、適宜選択することが可能である。後述のように操作盤8を覆うような箱型の筐体13を有するものであってもよいし、別個に露出した状態で、後述する動作部32が操作盤8の操作装置(入力部17)に取り付けられるものであってもよい。また、その材質も限定されないが、操作盤8の操作状況が視認しやすいように、透明なアクリル板等を材料としてもよい。
【0033】
次に図3は、第1の実施態様に係る既設の操作盤8の一例を示す概略説明図である。操作盤8は、水路3の状況等に基づき、操作対象1である水門設備1aへの制御に係る操作信号の送信を行うためのものである。通常、操作盤8は、水門設備1aの設置状況、目的等に応じてオーダーメードで作製されるものであり、その機能やレイアウトは、非常に多様である。ここでは、想定される機能や入力部の態様について例示して説明するが、本発明は以下の機能やレイアウト、その他の態様には限定されない。
【0034】
操作盤8は、水門上部に設けられた操作室5の側面壁側に設けられている(図2参照)。図3に示すように、操作盤8は、既設の映像モニターである、操作盤モニター12、表示灯14、計器16、非常停止ボタンスイッチ18、押しボタンスイッチ20、キースイッチ22、セレクトスイッチ24、ブレーカー26を備えている。操作盤モニター12に表示する映像としては、特に限定はされないが、例えば、監視窓4からは視認できない水門周囲の状態情報として、水路に流入する支流の水位状況や近接する桶門に設けられた水位調節用門扉周辺の映像等を表示してもよい。
【0035】
次に、表示灯14は、点灯、消灯、又は点滅等することで、水門設備1aに関連する設備や機器の状態の変化を表示するものである。この表示灯14が表示する情報としては特に限定はされない。例えば、水門設備1aに付属する設備である、ゲート2、電動機(不図示)、減速装置(不図示)、油圧モータ(不図示)、取水ポンプ(不図示)等について、異常事態、及び作動の継続の有無等を表示してもよい。次に、計器16は、計測した値を針等によって表示するものである。計器16によって表示される計測値としては、特に限定はされない。例えば、ゲート2の操作の決定に必要な情報として、水路3の水位、ゲート2の開度、水路の流量及び外気圧等を表示することができる。なお、表示方法については、針の他、数値、ゲージ等で表示するものであってもよい。次に、非常停止ボタンスイッチ18は非常事態の場合に水門設備1aに関連する設備や機器等の機能を停止するためのものである。これら機能としては特に限定はされないが、例えば、災害発生時等の緊急時にゲート2、その他の付随する設備の動作を緊急停止させるスイッチとすることができる。
【0036】
次に、押しボタンスイッチ20の機能としては、特に限定はされないが、例えば、ゲート2、電動機(不図示)、減速装置(不図示)、油圧モータ(不図示)、取水ポンプ(不図示)等の機器の電源のオン、オフを切り替えるものであってもよい。次に、キースイッチ22の機能としては特に限定はされないが、それぞれのキーの点灯若しくは消灯により状態の切り替えを表示したり、又は、それぞれのキーと番号等とを紐づけし、キーボードとして使用したりすることができる。例えば、水門設備1aに関連する機器や設備である、操作盤モニター12の表示や計器16の表示の対象を切り替えるものであってもよく、また、キーボードとして、作業者を認識する暗証番号を入力するものとしてもよい。
【0037】
次に、セレクトスイッチ24は、強弱や態様を段階的に調整できるスイッチである。セレクトスイッチ24が調整できる機能としては特に限定はされないが、例えば、ゲート2の開閉速度を段階的に調節したり、計器16の感度を調節したりするものであってもよい。なお、段階的に調整できるものに限定はされず、バルブ等のように連続的に強弱や態様を変更するものであってもよい。次に、ブレーカー26は、操作対象1の異常発生時に設備や機器への電源の供給を中止したり、異常停止した後に当該設備や機器への電源供給を復旧したりするためのものである。ブレーカー26が対象とする設備や機器、その機能の態様としては特に限定はされない。
【0038】
次に、図4図5は、第1の実施態様に係る遠隔操作装置10の操作盤8への取り付け時の各機器の配置の一例を示す概略説明図である。なお、図4は、図5におけるB-B’断面からの概略右側断面図を示しており、また、図5は、図4におけるA-A’断面からの概略正断面図を示している。
【0039】
まず、図4に示されるように、遠隔操作装置10の筐体13の背面側に上から、操作盤8の動作状態をリアルタイムに監視する操作盤監視Webカメラ30、操作盤8の入力部17(図4における非常停止ボタンスイッチ18、セレクトスイッチ24)に物理的な操作により入力を実行する入力アタッチメント32a、32cが配置されている。なお、図4において、入力アタッチメント32b、32c、32d、32eは、図面の理解のため省略している。また、入力アタッチメント32a、32b、32c、32d、32eは、操作盤8の入力部17へ入力動作を行う動作部32である。
【0040】
ここで、遠隔操作装置10は、操作盤8に容易に着脱可能に取り付けられていることが好ましい。これにより、操作盤8に対する、遠隔操作から直接操作への切り替えが容易となるからである。即ち、遠隔操作端末40aによる遠隔操作が実行不能となった場合等に、遠隔操作から作業員による現場での直接の操作へと、即座に切り替えることが可能となる。
【0041】
なお、このような着脱容易な遠隔操作装置10の取り付け方法については特に限定はされず、公知の方法を用いることができる。ネジ等により筐体13と操作盤8とを係合することもできるが、緊急時の着脱を想定した場合、工具等を必要としない取り付け方法として、例えば、筐体13と操作盤8の双方に固定された永久磁石による磁力、面ファスナーや着脱可能な接着テープを用いて、操作盤8上に遠隔操作装置10を保持する構成が好ましい。また、別個に露出した状態で、動作部32が操作盤8の入力部17に取り付けられる場合も、同様な方法により動作部32を操作盤8に取り付けることができる。
【0042】
他方、図5に示されるように、操作盤監視Webカメラ30は、遠隔操作装置10の筐体13の正面側の内部、上方部中央に設置されており、操作盤モニター12、表示灯14、計器16、及び入力アタッチメント32a、32b、32c、32d、32eの入力部(非常停止ボタンスイッチ18、押しボタンスイッチ20、キースイッチ22、セレクトスイッチ24、ブレーカー26)への入力状況について、できるだけ広範囲が監視(撮影)できるように配置されている。また、入力アタッチメント32a、32b、32c、32d、32eは、非常停止ボタンスイッチ18、押しボタンスイッチ20、キースイッチ22、セレクトスイッチ24、ブレーカー26の各入力部17に対応する位置に、各入力部17を覆うように設置されている。操作盤監視Webカメラ30、各入力アタッチメント32a、32b、32c、32d、32eは、いずれも遠隔操作装置10の筐体13の背面内側に固定されている。
【0043】
なお、操作盤監視Webカメラ30は汎用のWebカメラを使用することができ、設置される台数、配置、形状、性能等は特に限定はされない。例えば、個別の入力アタッチメント32a、32b、32c、32d、32eの内部に小型のccdカメラを別途複数設置するよう構成してもよい。また、筐体13を外部から内部が視認可能な光透過材料を用いる場合や、別個に複数の入力アタッチメント32a、32b、32c、32d、32eを操作盤8の正面側に、露出したまま固定する構成とした場合には、操作盤監視Webカメラ30を遠隔操作装置10の外部にアーム等で固定するよう構成してもよい。さらに、遠隔操作装置10のできるだけ広い範囲を撮影可能とするため、操作盤監視Webカメラ30は、広角レンズを備えていることが好ましい。
また、操作盤監視Webカメラ30は、操作盤8の映像を遠隔操作端末40aに送信する送信部に相当する。
【0044】
次に、図4に示されるように、入力アタッチメント32aは、非常停止ボタンスイッチ18に入力をするためのものである。この入力は、非常停止ボタンスイッチ18を操作盤8側に押し込む操作をするものである。まず、指令部40からの入力アタッチメント32aへの動作指令を通信装置60bが受信する。次に、当該動作指令に基づき、駆動部36aがバッテリー(不図示)からの電力供給を得て、入力アタッチメント32aの先端に取り付けられた、入力部材34aを操作盤8側に移動させることで、非常停止ボタンスイッチ18を押し込み、入力を完了させる構成となっている。この非常停止ボタンスイッチ18への入力の完了により、指令部40からの動作指令に対応した操作信号が水門設備1aの設備や機器へと送信される。なお、入力動作に係る移動距離は、非常停止ボタンスイッチ18のオン、オフが切り替わるストロークに応じて決定される。
また、通信装置60bは、指令部40からの動作指令を受信する受信部である。
【0045】
また、入力アタッチメント32cは、セレクトスイッチ24に入力をさせるためのものである。この入力は、セレクトスイッチ24を回転させ、セレクトスイッチ24が選択する不連続な選択状態を変化させる操作である。入力アタッチメント32cの先端に取り付けられた、入力部材34cがセレクトスイッチ24のつまみ部35を両側から挟み込むように固定されている。まず、指令部40からの入力アタッチメント32cへの動作指令を通信装置60bが受信する。次に、当該動作指令に基づき、バッテリー70b(不図示)からの電力供給を得た駆動部36cが、つまみ部35を、つまみ部35の中央であり、操作盤8の盤面から鉛直方向である軸を中心として回転させることで、セレクトスイッチ24の選択する状態(本実施態様では7段階)を変更することができる。このセレクトスイッチ24への入力の完了により、指令部40からの動作指令に対応した操作信号が水門設備1aの設備や機器へと送信される。
【0046】
このように、入力部17の形状や動作態様に応じて、入力アタッチメント32a、32b、32c、32d、32eの先端部の入力部材34の形状、大きさ、及び固定方法、並びに、駆動部36a、36b、36c、36d、36eの駆動態様等を変更することで、入力部17への物理的操作による入力を実行可能とすることができる。例えば、押しボタンスイッチ20の場合であれば、入力アタッチメント32aと同様の構成で入力アタッチメント32b(不図示)を用いて入力が実行できる。また、キースイッチ22の場合であれば、入力アタッチメント32aと同様の構成の入力アタッチメント32d(不図示)をスイッチの個数と同数の9個を用いることで、入力が実行できる。更に、ブレーカー26の場合であれば、例えば、2枚の板状又は棒状の入力部材34e(不図示)を上下に盤面9に固定し、上下に水平に移動することで、入力が実行可能である。
【0047】
このような入力部17の様々な入力の態様として、例えば、以下の表1に示すような操作が挙げられる。
【0048】
【表1】
【0049】
表1に示すように、押しボタンスイッチの入力部への動作態様としては、前述のように、単発の押下により、ON⇔OFF等の動作指令が切り替え、又は選択の有無が切り替わる態様や、連続して一定時間押下することにより操作態様が切り替わる、又は押下が継続される間だけ操作が継続する、等が挙げられる。その態様の変化の例としては、ストロークの幅や、押し時間の変化によって、切り替え、選択の有無を決定することができる。次に、回転する入力部の動作態様として、連続的な値を調節可能なバルブ、前述のように、少数の不連続な値を取る得るセレクトスイッチが挙げられる。連続的な回転動作である場合、回転角によって、対象とする機器の強度、角度、温度、速度、又はタイマーとしての停止時間等を変更させる態様が挙げられる。他方、不連続な回転動作である場合には、ON⇔OFF等の動作指令が切り替え、若しくは選択、強度、角度、温度、速度、又はタイマーとしての停止時間を変更させる態様が挙げられる。また、引き回しすることにより回転する態様とすることもできる。非常停止等の誤操作防止のための引き操作によるボタンでは、単発の引き操作により、ON⇔OFF等の動作指令が切り替え、又は選択の有無が切り替わる態様や、連続して一定時間押下することにより操作態様が切り替わる、又は押下が継続される間だけ操作が継続する、等が挙げられる。その態様の変化の例としては、ストロークの幅や、押し時間の変化によって、切り替え、選択の有無を決定することができる。
【0050】
次に、図6は、本発明の第1の実施態様に係る遠隔操作端末40aの一例を示す概略説明図である。本実施態様の遠隔操作端末40aはデスクトップ型のパーソナルコンピュータであり、動作部32に動作指令を送る指令部40である。遠隔操作端末40aは、表示部42を表示するデスクトップ画面41と、キーボード48を構成要素としている。表示部42は作業者に各種の情報を表示し、Webカメラモニター42aと操作盤Webカメラモニター42bを構成要素とする。デスクトップ画面41の上部には、Webカメラモニター42aが表示され、Webカメラ7a、7b、7cから無線通信回線等を介して送信されるライブ映像が表示されている。また、デスクトップ画面41の下部左側には、操作盤Webカメラモニター42bが表示され、操作盤監視Webカメラ30から無線通信回線等を介して送信されるライブ映像が表示されている。さらに、デスクトップ画面41の下部右側には、入力受付部46が表示されている。作業者(不図示)は、Webカメラ7a、7b、7cの映像、操作盤監視Webカメラ30の映像から得られる操作盤モニター12の映像、計器16の指示値、表示灯14の態様及び遠隔操作装置10の作動状況等の情報から、操作対象への操作を決定し、作業者が入力受付部46の該当するアイコン等をクリックすることにより、操作指令が送信される。
遠隔操作端末40aは、指令部40に該当し、デスクトップ画面41は、指令部40の表示部42に該当する。
また、Webカメラモニター42aは、監視対象を表示しており、操作盤Webカメラモニター42bは、操作盤8の映像を表示している。
【0051】
ここで、入力受付部46に表示される表示内容や態様は、操作対象1の正常な運転を維持するものであれば特に限定はされない。例えば、ゲート操作として、ゲート2を開く動作指令に対応する「開」ボタンのアイコン、ゲート2を閉じる動作指令に対応する「閉」ボタンのアイコン、ゲート2の動作を停止する動作指令に対応する「停止」ボタンのアイコン等を表示してもよい。また、災害時や緊急時に水門設備1aや関連する機器等の動作を全て停止する必要がある場合に、ゲート2の動作を緊急停止する動作指令に対応する「非常停止」ボタンのアイコン等を表示してもよい。これらのアイコンを選択することにより、動作指令が遠隔操作装置10に送信されるよう構成してもよい。
【0052】
(第一誤操作防止機構)
ここで、動作指令が誤って送信される場合を防止するため、本発明の遠隔操作システムは誤操作防止機構を有していてもよい。このような誤操作防止の態様としては、動作指令の選択と動作指令を確定させる確認のステップとを有することで、作業者の注意を喚起し、正確な入力操作を実行可能とするものであれば特に限定はされない。例えば、誤操作防止機構としては、入力受付部46における、動作指令の選択の後に、入力操作が正しいかどうかを確認するメッセージが表示され、正しいことを確認するアイコン(例えば、「YES」)を選択することにより動作指令の入力が確定される等、二段階のステップを踏むように構成してもよい。また、動作指令の入力の際に、暗証番号の入力を求められ、キースイッチ22への暗証番号の入力により入力が確定されるようにしてもよい。さらに、入力操作に変更を加えるように構成することもできる。例えば、アイコンへの操作を一定時間維持することにより、入力が実行されるようにしてもよい。
【0053】
〔第2の実施態様〕
図7は、本発明の第2の実施態様の遠隔操作装置システムの携帯遠隔操作端末を示す概略説明図である。
【0054】
第2の実施態様に係る携帯遠隔操作端末40bは、第1の実施態様のデスクトップ式の遠隔操作端末40aと同様の機能を携帯小型端末が有することで機動性を備えるものである。なお、本実施態様における遠隔操作システム100の構成のうち、第1の実施態様の遠隔操作システム100の構成と同じものについては、説明を省略する。
【0055】
図7に示すように、本実施態様の携帯遠隔操作端末40bは、スマートフォン、又は、タブレット型の携帯端末であり、表示画面として、タッチパネル52を有している。表示画面は小さく、デスクトップ型のパソコンのように多くの情報を表示できないため、左側の表示画面に表示されているように、Webカメラモニター42aには、水門設備1aの周辺画像のみが、表示されている。この表示状態において、携帯端末のタッチパネル52を左へスワイプするか、又は、携帯端末操作ボタン54を押下することで、右側の表示画面に切り替わるようになっている。
【0056】
右側の表示画面には、上方に入力受付部46、下方に操作盤Webカメラモニター42bが表示されている。このように、タッチパネル52及び携帯端末操作ボタン54による操作で、必要な情報に切り替わるよう構成されている。なお、表示画面の態様、表示画面の切り替えの方法はこれらに限定されない。
【0057】
機動性を有する携帯遠隔操作端末40bにより、水門設備1aの遠隔操作が可能となることにより、例えば、水門設備1aの現場の安全が確保された場所から、周辺の設備、施設の状況を含め、実際の状況を確認しながら、水門設備1aの遠隔操作ができることとなり、より操作の確実性、実効性が高まるという利点がある。また、現場での他の作業員への指示、連携も可能となり、特に災害発生時等、非常事態時の場合に、より迅速で確実な復旧対策を取ることが可能となる。
【0058】
(第二誤操作防止機構)
また、操作対象1を操作できる端末として、現場からは遠隔地に配置されるデスクトップ型の遠隔操作端末40aと、携帯遠隔操作端末40bを併用する場合も想定される。この場合には、複数の遠隔操作端末が水門設備1aを同時に操作することとなる。このため、操作が重複、又は相反することにより、水門設備1aの状況の把握と、正確な操作の実行に支障をきたす場合が想定される。このような誤操作防止機構として、一の遠隔操作端末が、操作対象1の操作を実行している間は、他の遠隔操作端末が操作を実行できないよう構成してもよい。
【0059】
〔第3の実施態様〕
第3の実施態様に係る遠隔操作装置10は、操作盤8がタッチパネルであった場合に、タッチパネルの操作が可能な入力アタッチメント32fを備えるものである。なお、本実施態様における遠隔操作システム100の構成のうち、第1の実施態様の遠隔操作システム100の構成と同じものについては、説明を省略する。
【0060】
図8図9を参照しながら、本実施態様の具体的構成について詳細に説明する。まず、図8は、本発明の第3の実施態様に係る入力アタッチメントの概略右断面図である。図8に示すように、操作盤8は、盤面9上に操作盤タッチパネル53を備えている。この操作盤タッチパネル53の機能や態様については限定されないが、例えば、ゲートの操作、電源操作、水位表示や周囲の状況への場面の切り替え等が可能な構成とすることができる。
【0061】
遠隔操作装置10の背面側に入力アタッチメント32fが固定されている。なお、この固定方法については限定されず、例えば、別個に操作盤8に固定することもできる。入力アタッチメント32fは、駆動部36fと、入力部材34fを構成要素としており、入力部材34fの先端部はタッチペン型の形状を有し、タッチパネルが入力を認識可能となっている。遠隔操作端末40aの動作指令に基づき、駆動部36fの動力供給により、入力部材34fの先端部が操作盤タッチパネル53の選択部位を押下することで、入力(動作)が実行される。
【0062】
他方、図9は、本発明の第3の実施態様に係る入力アタッチメントのタッチパネル上の動作を示す模式図であり、図8におけるC-C’断面からの模式正断面図である。図9に示されるように操作盤タッチパネル53上には、ゲート2の操作や画面表示の切り替えが可能な選択部位、水路3の水位等の情報を示す数値が表示されている。駆動部36fの内部には、盤面9と水平な面上を盤面9の長手(図における左右)方向に移動可能な横スライド固定部材37、及び盤面9の短手(図における上下)方向に移動可能な縦スライド固定部材38を備えている。横スライド固定部材37、縦スライド固定部材38には、それぞれ長手方向のほぼ全域に穴が貫設されている。
【0063】
横スライド固定部材37、縦スライド固定部材38の貫設された穴が交差する位置に、入力部材34fが、滑動可能に挟持されている。このように構成することで、指令部40の動作指令に基づき、横スライド固定部材37、縦スライド固定部材38の位置を決定し、所定の位置にスライドさせることで、入力部材34fが、操作盤タッチパネル53の所望の表示上に固定される。続いて、前述した入力部材34fの先端部の押下により、所望の入力が実行される。なお、入力部材34fの操作の態様については、本態様に限定されない。例えば、入力部材34fをアーム状の部材の先端に固定し、当該アームの操作により、入力部材34fを所望の位置に移動させる等の構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の遠隔操作システムは、上下水道、水門、プラント施設、病院、工場、発電所等のプラント施設等の遠隔操作に適用することができる。具体的には、災害発生時等の作業者の安全の確保の観点から遠隔操作システムの導入が必要ではあるが、既存の設備の機能には問題がなく、新システムの導入に関して、長い期間や大きな予算をかけられない場合に、容易に低コストで導入できる遠隔操作システムとして好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 操作対象、1a 水門設備、2 ゲート、3 水路、4 監視窓、5 操作室、6 監視装置、7,7a,7b,7c Webカメラ、8 操作盤、9 盤面、10 遠隔操作装置、11 モニター装置、12 操作盤モニター、13 筐体、14 表示灯、16 計器、17 入力部、18 非常停止ボタンスイッチ、20 押しボタンスイッチ、22 キースイッチ、24 セレクトスイッチ、26 ブレーカー、30 操作盤監視Webカメラ、32 動作部、32a,32b,32c,32d,32e,32f 入力アタッチメント、34,34a,34b,34c,34d,34e,34f 入力部材、35 つまみ部、36,36a,36b,36c,36d,36e,36f 駆動部、37 横スライド固定部材、38 縦スライド固定部材、40 指令部、40a 遠隔操作端末、40b 携帯遠隔操作端末、41 デスクトップ画面、42 表示部、42a Webカメラモニター、42b 操作盤Webカメラモニター、46 入力受付部、48 キーボード、52 タッチパネル、53 操作盤タッチパネル、54 携帯端末操作ボタン、60a,60b 通信装置、70a,70b バッテリー、100 遠隔操作システム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9