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特許7611667半導体装置、電力変換装置および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】半導体装置、電力変換装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20241227BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20241227BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20241227BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/28 J
H01L23/36 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020176626
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067815
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 智行
(72)【発明者】
【氏名】川島 裕史
(72)【発明者】
【氏名】寺田 隼人
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-135741(JP,A)
【文献】特開2014-022444(JP,A)
【文献】特開2020-047658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28-23/31
H01L 23/34-23/473
H01L 25/00-25/18
H10B 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子が搭載された搭載部と、前記搭載部の面内方向の端部に接続されかつ前記面内方向に対して屈曲した少なくとも1つの側面端子とを含むリードフレームと、
前記半導体素子から間隔を空けて前記リードフレームに重ねられ、かつ前記リードフレームに電気的に接続された基板と、
前記半導体素子と、前記リードフレームと、前記基板の一部とを封止する封止樹脂と、
前記基板に接続されかつ前記封止樹脂から露出した天面端子とを備え、
前記少なくとも1つの側面端子は、前記封止樹脂から露出しており、
前記基板は、前記封止樹脂から露出した第1領域と、前記封止樹脂から露出しかつ前記第1領域に囲まれた第2領域と、前記封止樹脂に上面および側面が覆われかつ前記第1領域を取り囲む第3領域とを含み、
前記天面端子は、前記基板の前記第2領域に接続されている、半導体装置。
【請求項2】
金属ベースと、
前記リードフレームに対して前記半導体素子とは反対側で前記リードフレームに接続された絶縁材とをさらに備え、
前記金属ベースは、前記封止樹脂から露出した状態で、前記絶縁材を介して前記リードフレームに接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2領域は、前記搭載部の前記面内方向に沿って間隔を空けて配置された複数の第2部分を含み、
前記封止樹脂は、隣り合う前記複数の第2部分同士の間において前記基板上に配置されたリブ部と、前記基板に対して前記リブ部とは反対側に配置された本体部とを含み、
前記封止樹脂の前記本体部および前記リブ部は、前記基板を挟み込んでいる、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体装置を有し、入力される電力を変換して出力する主変換回路と、
前記主変換回路を制御する制御信号を前記主変換回路に出力する制御回路と、
を備えた電力変換装置。
【請求項5】
搭載部に半導体素子が搭載されたリードフレームが第1金型に配置され、かつ前記リードフレームに電気的に接続された基板の第1領域に取り囲まれた第2領域に天面端子が接続されてから前記天面端子が第2金型の接触部から凹むように設けられた凹部に収容される工程と、
前記第2金型の前記接触部が前記第1領域の全周にわたって接触した状態で、前記半導体素子、前記リードフレームおよび前記基板の一部が封止樹脂に封止される工程と、
前記リードフレーム、前記半導体素子、前記基板、前記天面端子および前記封止樹脂が前記第1金型および前記第2金型から取り外されてから、前記搭載部の面内方向の端部において前記リードフレームが屈曲されることで少なくとも1つの側面端子が形成される工程とを備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記基板の前記第1領域とは反対側の裏面を支持可能な前記第1金型の突起部によって前記第1領域が前記接触部に押し付けられた状態で、前記半導体素子、前記リードフレームおよび前記基板の前記一部が前記封止樹脂によって封止される、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記基板の前記第1領域とは反対側の裏面を支持可能でありかつ前記第2金型に向かって移動可能な前記第1金型の可動ピンによって前記第1領域が前記接触部に押し付けられた状態で、前記半導体素子、前記リードフレームおよび前記基板の前記一部が前記封止樹脂によって封止される、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記接触部の根元部が前記第1領域に押し付けられかつ前記根元部から前記基板に向かって突出した前記接触部の凸部が前記第1領域に食い込んだ状態で、前記半導体素子、前記リードフレームおよび前記基板の前記一部が前記封止樹脂によって封止される、請求項5~7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記凹部の底部から前記基板に向かって突出した前記第2金型の支持部が前記第2領域に接触した状態で、前記半導体素子、前記リードフレームおよび前記基板の前記一部が前記封止樹脂によって封止される、請求項5~8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体素子、前記リードフレームおよび前記基板の前記一部が前記封止樹脂によって封止される際に、前記第1領域と接触する前記支持部の平坦部から前記基板とは反対方向に向かって凹んだ流路に前記封止樹脂が流れ込むことで、前記基板上に前記封止樹脂のリブ部が形成され、かつ前記半導体素子を封止する前記封止樹脂の本体部が形成され、
前記基板は、前記半導体素子を封止する前記本体部と前記リブ部とによって挟み込まれる、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、電力変換装置および半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には、パワーモジュールと呼ばれる電力用の半導体装置がある。パワーモジュールには、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)およびFWD(Free Wheeling Diode)等のパワー半導体素子が搭載されている。パワー半導体素子は、電力用の半導体素子である。パワーモジュールのリードフレームには、パワー半導体素子の駆動を制御する回路、電流および抵抗値等を測定するための回路等が搭載されている。パワー半導体素子は、発熱部品である。パワー半導体素子から生じた熱は、リードフレームを通って放熱される。
【0003】
上記の半導体装置は、回路が搭載されたリードフレームが樹脂成型金型内に配置されてから、熱硬化性の封止樹脂が注入されることで製造される。回路が封止樹脂によって封止されることで、回路の絶縁性が確保される。また、半導体装置のパッケージの形状が樹脂によって成型される。例えば、特開2015-76488号公報(特許文献1)に記載の半導体装置では、上記の回路が搭載されたリード(リードフレーム)は、回路基板(基板)から間隔を空けて配置された状態で封止樹脂によって封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-76488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載の半導体装置では、半導体装置が図示されない外部機器に接続される場合には、さらに端子が設けられる必要がある。リードフレーム(リード)が外部機器に接続されるための端子を含みかつ端子が封止樹脂の内部から外に向かって突き出している場合には、半導体素子が搭載されたリードフレームの搭載部の面内方向に沿った半導体装置の寸法が大きくなる。
【0006】
また、半導体素子(半導体チップ)等が封止樹脂によって封止される際に、封止樹脂がリードフレームの表面に漏れる可能性がある。
【0007】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、搭載部の面内方向に沿った半導体装置の寸法を小さくすることができ、かつ封止樹脂によって封止される際に封止樹脂が漏れることを抑制することができる半導体装置、電力変換装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の半導体装置は、半導体素子と、リードフレームと、基板と、封止樹脂と、天面端子とを備えている。リードフレームは、搭載部と、少なくとも1つの側面端子とを含んでいる。搭載部には、半導体素子が搭載されている。少なくとも1つの側面端子は、搭載部の面内方向の端部に接続されている。少なくとも1つの側面端子は、搭載部の面内方向に対して屈曲している。基板は、半導体素子から間隔を空けてリードフレームに重ねられている。基板は、リードフレームに電気的に接続されている。封止樹脂は、半導体素子と、リードフレームと、基板の一部とを封止している。天面端子は、基板に接続されている。天面端子は、封止樹脂から露出している。少なくとも1つの側面端子は、封止樹脂から露出している。基板は、第1領域と、第2領域とを含んでいる。第1領域は、封止樹脂から露出している。第2領域は、封止樹脂から露出している。第2領域は、第1領域に囲まれている。天面端子は、基板の第2領域に接続されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の半導体装置によれば、天面端子は、基板の第2領域に接続されている。このため、半導体装置が天面端子を含まない場合よりも複数の側面端子の数を減らすことができる。したがって、搭載部の面内方向に沿った半導体装置の寸法を小さくすることができる。また、基板の第2領域は、第1領域に囲まれている。このため、第2領域を取り囲む部分を有する金型が第1領域の全周にわたって接触した状態で、封止樹脂による封止を行うことができる。よって、封止樹脂が漏れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2】実施の形態1に係る半導体装置の構成を概略的に示す上面図である。
図3】実施の形態1に係る半導体装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図4】実施の形態1の第1の変形例に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
図5】実施の形態1の第2の変形例に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
図6】実施の形態1の第3の変形例に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
図7】実施の形態1の第4の変形例に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
図8】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を概略的に示すフローチャートである。
図9】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法に用いられる第1金型および第2金型の構成を概略的に示す断面図である。
図10】実施の形態1に係る半導体装置のリードフレームが第1金型に配置され、かつ天面端子が凹部に収容された状態の半導体装置を概略的に示す断面図である。
図11】実施の形態1に係る半導体装置の半導体素子、リードフレームおよび基板の一部が封止樹脂に封止された状態の半導体装置を概略的に示す断面図である。
図12】比較例に係るリードフレームの構成を概略的に示す斜視図である。
図13】実施の形態1に係るリードフレームの構成を概略的に示す斜視図である。
図14】実施の形態2に係る半導体装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図15】実施の形態2に係る半導体装置のリードフレームが第1金型に配置され、かつ天面端子が凹部に収容された状態の半導体装置を概略的に示す断面図である。
図16】実施の形態2に係る半導体装置の半導体素子、リードフレームおよび基板の一部が封止樹脂に封止された状態の半導体装置を概略的に示す断面図である。
図17】実施の形態3に係る半導体装置の半導体素子、リードフレームおよび基板の一部が封止樹脂に封止された状態の半導体装置を概略的に示す断面図である。
図18】実施の形態3に係る半導体装置の製造に用いられる第1金型の構成を概略的に示す断面図である。
図19】実施の形態4に係る半導体装置の構成を概略的に示す上面図である。
図20】実施の形態4に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
図21】実施の形態4に係る半導体装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図22】実施の形態4に係る半導体装置の半導体素子、リードフレームおよび基板の一部が封止樹脂に封止された状態の半導体装置を概略的に示す断面図である。
図23】実施の形態5に係る電力変換装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下では、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
【0012】
実施の形態1.
図1に示されるように、半導体装置100は、半導体素子1と、リードフレーム2と、基板4と、接続部材5と、封止樹脂6と、天面端子7とを含んでいる。半導体装置100のパッケージは、封止樹脂6による樹脂成型によって形成されている。本実施の形態において、半導体装置100は、電力用の半導体装置である。電力用の半導体装置は、パワーモジュールと呼ばれる。
【0013】
半導体素子1は、リードフレーム2に搭載されている。本実施の形態において、半導体素子1は、電力用の半導体素子である。半導体素子1は、第1接続部品16によってリードフレーム2に電気的に接続されている。半導体素子1は、複数の第1半導体素子部11を含んでいてもよい。複数の第1半導体素子部11の各々は、リードフレーム2に搭載されている。
【0014】
リードフレーム2は、搭載部21と、対向面22と、少なくとも1つの側面端子3とを含んでいる。搭載部21には、半導体素子1が搭載されている。搭載部21は、基板4に向かい合っている。搭載部21は、平面形状を有している。搭載部21は、部分的に封止樹脂6に封止されている。搭載部21の面内方向の端部2Eは、封止樹脂6から露出している。対向面22は、搭載部21に対して基板4とは反対側に設けられている。本実施の形態において、対向面22は、封止樹脂6から露出している。
【0015】
少なくとも1つの側面端子3は、搭載部21の面内方向の端部2Eに接続されている。少なくとも1つの側面端子3は、封止樹脂6から露出している。このため、少なくとも1つの側面端子3と搭載部21の面内方向の端部2Eとは、封止樹脂6の外で接続されている。なお、図1では、説明の便宜上、搭載部21の面内方向の端部2Eと側面端子3との境界が破線によって図示されている。本実施の形態において、搭載部21と少なくとも1つの側面端子3とは、同一の部材から構成されている。
【0016】
少なくとも1つの側面端子3は、搭載部21の面内方向に対して屈曲している。少なくとも1つの側面端子3は、天面端子7に沿うように伸びている。少なくとも1つの側面端子3は、搭載部21の面内方向に対して交差するように伸びている。少なくとも1つの側面端子3は、搭載部21の面内方向に対して直交するように伸びていることが望ましい。
【0017】
基板4は、半導体素子1から間隔を空けてリードフレーム2に重ねられている。基板4は、リードフレーム2に電気的に接続されている。基板4は、接続部材5によってリードフレーム2に電気的に接続されている。
【0018】
基板4は、第1領域401と、第2領域402とを含んでいる。基板4は、第3領域403をさらに含んでいてもよい。第1領域401は、封止樹脂6から露出している。第2領域402は、封止樹脂6から露出している。第3領域403は、封止樹脂6に覆われている。
【0019】
基板4は、表面41と、裏面42とを含んでいる。表面41には、第1領域401、第2領域402および第3領域403が設けられている。表面41は、裏面42に対して搭載部21とは反対側に設けられている。表面41は、少なくとも部分的に封止樹脂6から露出している。裏面42は、搭載部21と向かい合っている。裏面42は、封止樹脂6に封止されている。
【0020】
基板4は、例えば、半導体素子1の駆動を制御するための制御基板として構成されている。基板4は、例えば、ガラスエポキシ基板である。基板4は、例えば、セラミック基板または金属基板であってもよい。これにより、基板4の放熱性が向上する。
【0021】
接続部材5は、リードフレーム2と基板4とを電気的に接続している。接続部材5は、導電性を有する弾性材料である。接続部材5は、例えば、アルミニウム(Al)製の金属ワイヤである。接続部材5がアルミニウム(Al)製の金属ワイヤである場合、接続部材5の線径は、例えば、300μmまたは400μmである。接続部材5は、例えば、リボン状の金属材であってもよい。これにより、リードフレーム2から基板4に熱が伝わりやすくなる。
【0022】
封止樹脂6は、半導体素子1と、リードフレーム2と、基板4の一部と、接続部材5とを封止している。より詳細には、封止樹脂6に封止される基板4の一部は、基板4の裏面42および第3領域403である。
【0023】
封止樹脂6は、本体部61と、囲繞部62とを含んでいる。本体部61は、半導体素子1、搭載部21の少なくとも一部、基板4の裏面42および接続部材5を封止している。囲繞部62は、本体部61に接続されている。囲繞部62は、表面41上に配置されている。囲繞部62は、本体部61から盛り上がるように形成されている。囲繞部62の高さ方向の寸法は、一定である。接続部材5は、本体部61および囲繞部62にまたがって配置されている。
【0024】
封止樹脂6は、熱硬化性樹脂である。封止樹脂6は、加熱によって硬化する。
【0025】
天面端子7は、基板4に接続されている。より詳細には、天面端子7は、基板4の第2領域402に接続されている。天面端子7は、封止樹脂6から露出している。天面端子7は、基板4に直接接触していてもよい。天面端子7は、例えば、はんだによって基板4に接合されていてもよい。天面端子7は、図示されない外部機器と半導体素子1、リードフレーム2および基板4等とを接続するための端子である。
【0026】
天面端子7は、搭載部21の面内方向に対して交差するように伸びている。天面端子7は、搭載部21の面内方向に対して直交するように伸びていることが好ましい。天面端子7は、側面端子3に沿うように伸びている。本実施の形態において、半導体装置100は、複数の天面端子7を含んでいる。
【0027】
図2に示されるように、本実施の形態において、リードフレーム2は、複数の側面端子3を含んでいる。複数の側面端子3の各々は、搭載部21の面内方向の端部2Eに接続されている。なお、図2では、説明の便宜上、第1領域401と第2領域402との境界は二点鎖線によって図示されている。また、基板4の外形は一点鎖線によって図示されている。また、接続部材5の外形は破線によって図示されている。
【0028】
第1領域401の形状は、環状である。第2領域402は、第1領域401に囲まれている。第3領域403は、第1領域401を取り囲んでいる。第3領域403の形状は、環状である。第3領域403は、封止樹脂6の囲繞部62に覆われている。囲繞部62は、第1領域401および第2領域402を囲んでいる。
【0029】
図2および図3に示されるように、本実施の形態において、複数の側面端子3の各々は、封止樹脂6の1つの辺から突き出している。複数の側面端子3の各々は、封止樹脂6の1つの辺のみに接続されている。図1は、図3のI-I線に沿った断面図である。
【0030】
次に、図4を用いて、実施の形態1の第1の変形例に係る半導体装置100の構成を説明する。
【0031】
図1では、リードフレーム2の搭載部21にのみ半導体素子1が搭載されているが、図4に示されるように、基板4の裏面42に発熱部品HPが実装されてもよい。発熱部品HPは、発熱する電子部品である。発熱部品HPは、第2接続部品17によって基板4に電気的に接続されている。これにより、基板4に回路が搭載されていてもよい。基板4に搭載された回路は、例えば、制御用の回路である。また、図示されないが、基板4の表面41および裏面42の各々に発熱部品HPが実装されてもよい。
【0032】
次に、図5を用いて、実施の形態1の第2の変形例に係る半導体装置100の構成を説明する。
【0033】
図5に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100は、絶縁材91と、金属ベース92とをさらに含んでいる。絶縁材91は、リードフレーム2に対して半導体素子1とは反対側でリードフレーム2に接続されている。絶縁材91は、リードフレーム2の対向面22上に配置されている。
【0034】
金属ベース92は、封止樹脂6から露出した状態で、絶縁材91を介してリードフレーム2に接続されている。絶縁材91および金属ベース92は、ヒートシンクとして構成されている。
【0035】
次に、図6を用いて、実施の形態1の第3の変形例に係る半導体装置100の構成を説明する。
【0036】
図6に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100は、コーティング樹脂60をさらに含んでいる。コーティング樹脂60は、基板4の第1領域401および第2領域402を覆っている。コーティング樹脂60は、囲繞部62に囲まれている。
【0037】
次に、図7を用いて、実施の形態1の第4の変形例に係る半導体装置100の構成を説明する。
【0038】
図7に示されるように、天面端子7は、外部端子70が接続可能に構成されている。すなわち、天面端子7は、端子台として構成されている。外部端子70は、半導体装置100が図示されない外部機器と接続されるための端子である。外部端子70は、例えば、コネクタピン75、ねじ止め用端子76およびプレスフィット端子77である。天面端子は、例えば、コネクタピン受け部71、ねじ止め用端子受け部72およびプレスフィット端子受け部73を含んでいる。コネクタピン受け部71は、コネクタピン75と接続可能である。ねじ止め用端子受け部72は、ねじ止め用端子76と接続可能である。プレスフィット端子受け部73は、プレスフィット端子77と接続可能である。
【0039】
次に、図8図11を用いて、実施の形態1に係る半導体装置100の製造方法を説明する。なお、図9図11では、絶縁材91および金属ベース92を含んだ半導体装置100が図示されているが、半導体装置100は、絶縁材91および金属ベース92を含んでいなくてもよい。
【0040】
図8に示されるように、半導体装置100の製造方法は、収容される工程S101と、封止される工程S102と、形成される工程S103とを含んでいる。図9に示されるように、半導体装置100の製造方法では、樹脂成型金型である第1金型M1および第2金型M2が用いられる。本実施の形態において、第1金型M1は、下金型として構成されている。第2金型M2は、上金型として構成されている。
【0041】
図10に示されるように、リードフレーム2が第1金型M1に配置される。リードフレーム2の搭載部21は、第1金型M1の第1キャビティ部M11内に配置される。また、半導体装置100が絶縁材91および金属ベース92を含んでいる場合には、リードフレーム2が第1金型M1に配置される前に、絶縁材91および金属ベース92が第1キャビティ部M11内に配置される。リードフレーム2は、絶縁材91に接するように第1キャビティ部M11内に配置される。リードフレーム2の側面端子3(図1参照)となる部分は、搭載部21の面内方向に沿って延在している。また、封止樹脂6は、タブレットと呼ばれる円筒形の状態で第1金型M1の供給部M12に配置される。
【0042】
また、第2領域402に天面端子7が接続されてから天面端子7が第2金型M2の凹部M22に収容される。天面端子7は、基板4がリードフレーム2に対して間隔を空けて配置された状態で、凹部M22に収容される。
【0043】
第2金型M2は、接触部M21を含んでいる。接触部M21は、基板4の第1領域401に接触するように構成された平面である。接触部M21は、環状である。接触部M21の内側に第2領域402が配置される。第2金型M2には、凹部M22、第2キャビティ部M23およびランナー部M24が設けられている。凹部M22および第2キャビティ部M23は、接触部M21から凹むように設けられている。凹部M22は、接触部M21に囲まれている。凹部M22の高さ方向の寸法は、天面端子7の高さ方向の寸法よりも大きい。接触部M21は、第2キャビティ部M23に囲まれている。ランナー部M24は、軟化した封止樹脂6が流通可能に構成されている。
【0044】
基板4は、接続部材5の弾性力によってリードフレーム2に対して間隔を空けて配置される。すなわち、基板4は、接続部材5によって空中に保持される。例えば、接続部材5がアルミニウム(Al)製の直径300μmまたは400μmの複数の金属ワイヤである場合、接続部材5の弾性力によって基板4はリードフレーム2に対して間隔を空けて配置される。また、リードフレーム2、基板4および接続部材5が搬送される際に振動が加わった場合でも、基板4がリードフレーム2に対して大きく移動することが抑制される。
【0045】
第1金型M1上に第2金型M2が配置される(金型が閉じられる)際には、基板4の第1領域401が接触部M21に接触した状態で第1金型M1上に第2金型M2が配置される。
【0046】
続いて、図11に示されるように、第2金型M2の接触部M21が第1領域401の全周にわたって接触した状態で、半導体素子1、リードフレーム2および基板4の一部が封止樹脂6に封止される。
【0047】
具体的には、密閉された状態の第1金型M1および第2金型M2がヒーターによって封止樹脂6の成形温度に加熱される。供給部M12に配置された封止樹脂6が加熱によって軟化する。軟化した封止樹脂6は、プランジャ部M13が押し上げられることで、ランナー部M24を通って、第1キャビティ部M11内および第2キャビティ部23内に移動する。
【0048】
封止樹脂6の熱硬化が進むにつれて、封止樹脂6の粘度が増大し、封止樹脂6が硬化する。封止樹脂6が軟化している状態においてさらにプランジャ部M13が押し込まれることで、封止樹脂6に成型圧力が加えられる。これにより、封止樹脂6および絶縁材91に圧力が静水圧的に加えられるため、封止樹脂6とリードフレーム2との密着性および絶縁材91とリードフレーム2との密着性が向上する。プランジャ部M13によって加えられる圧力は、半導体装置100がIC(Integrated Circuit)パッケージである場合には、例えば、10MPaである。
【0049】
続いて、図1および図11に示されるように、リードフレーム2、半導体素子1、基板4、天面端子7および封止樹脂6が第1金型M1および第2金型M2から取り外されてから、搭載部21の面内方向の端部2Eにおいてリードフレーム2が屈曲されることで少なくとも1つの側面端子3が形成される。
【0050】
なお、図6に示されるように半導体装置100がコーティング樹脂60を含んでいる場合には、コーティング樹脂60は、常温もしくは、熱硬化しない程度の高温の状態で表面41上に流し込まれる。表面41上のコーティング樹脂60は、高温の硬化炉に入れられることで熱硬化する。
【0051】
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
【0052】
実施の形態1に係る半導体装置100によれば、図1に示されるように、天面端子7は、基板4の第2領域402に接続されている。少なくとも1つの側面端子3および天面端子7の各々は、図示されない外部機器に接続される。このため、半導体装置100が複数の側面端子3のみによって図示されない外部機器に接続される場合よりも、外部機器に接続される複数の側面端子3の数を減らすことができる。すなわち、半導体装置100が天面端子7を含まない場合よりも複数の側面端子3の数を減らすことができる。複数の側面端子3は、搭載部21の面内方向の封止樹脂6から露出した複数の端部2Eにそれぞれ接続されている。よって、複数の側面端子3の数が減ることで、搭載部21の面内方向の封止樹脂6から露出した複数の端部2Eの数も減る。これにより、搭載部21の面内方向に沿った寸法を小さくすることができる。したがって、搭載部21の面内方向に沿った半導体装置100の寸法を小さくすることができる。
【0053】
図12および図13を用いて、半導体装置100の寸法が小さくなることをより詳細に説明する。図12および図13は、枠部29の内部に接続された複数のリードフレーム2を示す斜視図である。封止樹脂6(図1参照)に封止される前の複数のリードフレーム2は、枠部29の内部に接続部28によって接続されている。なお、接続部28および枠部29は、封止樹脂6が成型されてから、プレス機等によって切り落とされる。図12に示されるように、比較例では、側面端子3となる部分は、第1方向DR1(短手方向)および第1方向DR1に交差する第2方向DR2(長手方向)の各々に沿って延びている。図13に示されるように、本実施の形態では、側面端子3となる部分は、第1方向DR1にのみ沿って延びている。このため、リードフレーム2の第2方向DR2の寸法を小さくすることができる。よって、半導体装置100の第2方向DR2の寸法を小さくすることができる。また、枠部29の内部に第2方向DR2に沿って多くのリードフレーム2を配置することができる。これにより、1つの枠部29内に多くのリードフレーム2を配置することができるため、取り数を大きくすることができる。また、リードフレーム2が配置される第1金型M1の寸法を小さくすることができる。以上より、天面端子7によって半導体装置100の生産の効率を向上させることができる。
【0054】
図2に示されるように、基板4の第2領域402は、第1領域401に囲まれている。このため、図11に示されるように、第2領域402を取り囲む部分(接触部M21)を有する金型(第2金型M2)が第1領域401の全周にわたって接触した状態で、封止樹脂6による封止を行うことができる。よって、封止樹脂6が漏れることを抑制することができる。具体的には、封止樹脂6が基板4の第1領域401および第2領域402の外側から第2領域402内に漏れることを抑制することができる。
【0055】
図1に示されるように、基板4の第2領域402は、封止樹脂6から露出している。このため、半導体素子1および回路等で生じた熱は、第2領域402から放熱される。すなわち、第2領域402を放熱面として用いることができる。
【0056】
図1に示されるように、基板4は、囲繞部62に覆われている。このため、基板4は、本体部61および囲繞部62に挟み込まれている。よって、基板4が封止樹脂6から剥離することを抑制することができる。
【0057】
図1に示されるように、囲繞部62の高さ方向の寸法は、一定である。このため、囲繞部62上に本実施の形態の半導体装置100の図示されない接続先の外部機器を配置することで、外部機器の高さ位置を一定にすることができる。また、囲繞部62の高さ方向および幅方向の寸法を適宜に設定することによって、基板4を含む半導体装置100の反りを抑制することができる。
【0058】
図1に示されるように、接続部材5は、封止樹脂6に覆われている。このため、接続部材5を保護することができる。また、接続部材5と封止樹脂6の外部との絶縁性を保つことができる。
【0059】
実施の形態1の第1の変形例に係る半導体装置100によれば、図4に示されるように、発熱部品HPは、基板4に搭載されている。このため、発熱部品HPから生じた熱を基板4から放熱することができる。
【0060】
実施の形態1の第2の変形例に係る半導体装置100によれば、図5に示されるように、金属ベース92は、封止樹脂6から露出した状態で、絶縁材91を介してリードフレーム2に接続されている。このため、半導体素子1等から生じた熱は、金属ベース92によって封止樹脂6の外に放熱される。このため、半導体装置100の放熱性を向上させることができる。また、リードフレーム2の絶縁性を向上させることができる。
【0061】
実施の形態1の第3の変形例に係る半導体装置100によれば、図6に示されるように、コーティング樹脂60は、表面41の第1領域401および第2領域402を覆っている。このため、表面41に異物が付着することを抑制することができる。また、表面41に異物が接触することで表面41が損傷することを抑制することができる。また、表面41の絶縁性を向上させることができる。
【0062】
図6に示されるように、コーティング樹脂60は、囲繞部62に囲まれている。このため、コーティング樹脂60が表面41上に流し込まれる際に、コーティング樹脂60が囲繞部62の内部から外部に流れ出すことを抑制することができる。
【0063】
実施の形態1の半導体装置100の製造方法によれば、図11に示されるように、第2金型M2の接触部M21が第1領域401の全周にわたって接触した状態で、半導体素子1、リードフレーム2および基板4の一部が封止樹脂6に封止される。このため、封止樹脂6が基板4の第1領域401および第2領域402の外側から第2領域402内に漏れることを抑制することができる。すなわち、封止樹脂6が漏れることを抑制することができる。また、第1キャビティ部M11および第2キャビティ部M23の外に伸びるリードフレーム2の部分が第1金型M1および第2金型M2によって直接挟み込まれているため、例えば、10MPa程度の圧力では、封止樹脂6は当該部分から漏れることが抑制されている。
【0064】
実施の形態2.
次に、図14図16を用いて、実施の形態2に係る半導体装置100の構成を説明する。実施の形態2は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成、製造方法および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0065】
図14に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100では、基板4は、少なくとも1つの基板延長部48を含んでいる。少なくとも1つの基板延長部48は、搭載部21(図1参照)の面内方向に沿って封止樹脂6から突出している。少なくとも1つの基板延長部48は、封止樹脂6から露出している。本実施の形態において、基板4は、複数の基板延長部48を含んでいる。図15は、基板延長部48を通る断面の断面図である。図15では、説明の便宜上、接続部材5が図示されているが、接続部材5は、断面線よりも紙面の手前側または奥側に配置されている。基板延長部48とリードフレーム2の側面端子3(図1参照)となる部分との干渉の抑制のため、基板延長部48を通る断面ではリードフレームがパッケージ(封止樹脂6)内に配置されている。
【0066】
次に、図15を用いて、実施の形態2に係る半導体装置100の製造に用いられる第1金型M1および第2金型M2の構成を説明する。
【0067】
図15に示されるように、第1金型M1は、突起部M14を含んでいる。突起部M14は、基板4の裏面42を支持可能である。突起部M14は、少なくとも1つの基板延長部48を支持可能である。少なくとも1つの基板延長部48は、第1金型M1の突起部M14と第2金型M2とによって直接挟み込まれている。基板4は、突起部M14によって支持されている。突起部M14は、第1金型M1と第2金型M2とが密封された状態において基板4の裏面42を支持することで、基板4の第1領域401を第2金型M2の接触部M21に押し当てるように構成されている。
【0068】
第2金型M2の接触部M21は、根元部M251および凸部M252を含んでいる。根元部M251は、平坦である。凸部M252は、根元部M251から基板4に向かって突出している。凸部M252は、基板4の第1領域401に食い込んでいる。図15では、基板4に食い込んだ状態の凸部M252の外形は、破線によって示されている。凸部M252は、根元部M251から例えば、1mm突出している。なお、図15では、ランナー部M24は、断面線よりも紙面の手前または奥側に設けられている。また、ランナー部M24の外形は、破線によって示されている。
【0069】
次に、図15および図16を用いて、実施の形態2に係る半導体装置100の製造方法を説明する。
【0070】
図15および図16に示されるように、第1金型M1の突起部M14によって第1領域401が接触部M21に押し付けられた状態で、半導体素子1、リードフレーム2および基板4の一部が封止樹脂6によって封止される。また、接触部M21の根元部M251が第1領域401に押し付けられかつ接触部M21の凸部M252が第1領域401に食い込んだ状態で、半導体素子1、リードフレーム2および基板4の一部が封止樹脂6によって封止される。少なくとも1つの基板延長部48が第1金型M1の突起部M14と第2金型M2とによって直接挟み込まれた状態で、半導体素子1、リードフレーム2および基板4の一部が封止樹脂6によって封止される。
【0071】
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
【0072】
実施の形態2に係る半導体装置100の製造方法によれば、図16に示されるように、第1金型M1の突起部M14によって第1領域401が接触部M21に押し付けられた状態で、半導体素子1、リードフレーム2および基板4の一部が封止樹脂6によって封止される。このため、第1領域401が接触部M21に押し付けられていない状態で半導体素子1等が封止される場合よりも、封止樹脂6が第1領域401および第2領域402に漏れることを抑制することができる。また、接続部材5の弾性力のみによって第1領域401が接触部M21に押し付けられる場合よりも、封止樹脂6が第1領域401および第2領域402に漏れることを抑制することができる。
【0073】
実施の形態3.
次に、図17および図18を用いて、実施の形態3に係る半導体装置100の製造方法を説明する。実施の形態3は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一製造方法および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0074】
図17に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100の製造方法では、第1金型M1は、可動ピンM15およびプレート部M16を含んでいる。可動ピンM15は、基板4の裏面42を支持可能である。可動ピンM15は、プレート部M16に接続されている。可動ピンM15は、リードフレーム2に設けられた挿入口INSを貫通可能である。挿入口INSは、例えば、貫通穴または切り欠き等である。可動ピンM15が挿入口INSに挿入された状態で絶縁材91および金属ベース92がリードフレーム2に配置されることで、絶縁材91および金属ベース92とリードフレーム2との接触によるリードフレーム2の移動が抑制される。すなわち、可動ピンM15が位置決めピンとして用いられる。
【0075】
可動ピンM15は、第2金型M2に向かって移動可能である。可動ピンM15は、第1金型M1と第2金型M2とが重ねられた方向に沿って移動可能である。可動ピンM15は、第1金型M1と第2金型M2とが重ねられた方向に沿ってプレート部M16が移動することによって、移動する。
【0076】
本実施の形態において、第1金型M1は、複数の可動ピンM15を含んでいる。複数の可動ピンM15は、例えば、基板4の四隅またはその間に接触するように配置される。
【0077】
図17に示されるように、第1金型M1の可動ピンM15によって第1領域401が接触部M21に押し付けられた状態で、半導体素子1、リードフレーム2および基板4の一部が封止樹脂6によって封止される。
【0078】
具体的には、まず、図18に示されるように、可動ピンM15が部材に干渉しないように降下する。また、図17および図18に示されるように、絶縁材91、金属ベース92、基板4が接続されたリードフレーム2、タブレットの状態の封止樹脂6が配置される。続いて、プレート部M16が上昇することで、可動ピンM15と基板4とが接触する高さ位置まで可動ピンM15が移動する。第1金型M1と第2金型M2とが密閉される。続いて、封止樹脂6が注入される。封止樹脂6の注入の後かつプランジャ部M13によって封止樹脂6が加圧される前に、可動ピンM15が第1キャビティ部M11の底部まで降下する。これにより、可動ピンM15が位置していた場所の封止樹脂6の空洞は、成型圧力によって軟化した封止樹脂6で塞がれる。これにより、封止樹脂6の内部に空洞が設けられていない半導体装置100が提供される。
【0079】
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
【0080】
実施の形態3に係る半導体装置100の製造方法によれば、図17に示されるように、第1金型M1の可動ピンM15によって第1領域401が接触部M21に押し付けられた状態で、半導体素子1、リードフレーム2および基板4の一部が封止樹脂6によって封止される。このため、第1領域401が接触部M21に押し付けられていない状態で半導体素子1等が封止される場合よりも、封止樹脂6が第1領域401および第2領域402に漏れることを抑制することができる。また、接続部材5の弾性力のみによって第1領域401が接触部M21に押し付けられる場合よりも、封止樹脂6が第1領域401および第2領域402に漏れることを抑制することができる。
【0081】
実施の形態4.
次に、図19図21を用いて、実施の形態4に係る半導体装置100の構成を説明する。実施の形態4は、特に説明しない限り、上記の実施の形態3と同一の構成、製造方法および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態3と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0082】
図19に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100では、第2領域402は、複数の第2部分402Aを含んでいる。複数の第2部分402Aの各々は、第1領域401にそれぞれ囲まれている。図19および図20に示されるように、第2部分402Aは、搭載部21の面内方向に沿って間隔を空けて配置されている。
【0083】
図20に示されるように、封止樹脂6は、本体部61と、囲繞部62と、リブ部63とを含んでいる。リブ部63は、隣り合う複数の第2部分402A同士の間において基板4上に配置されている。本体部61は、囲繞部62によってリブ部63と接続されている。本体部61は、基板4に対してリブ部63とは反対側に配置されている。封止樹脂6の本体部61およびリブ部63は、基板4を挟み込んでいる。本体部61およびリブ部63は、基板4に直接接触している。
【0084】
図21ではリブ部63が直線状に設けられているが、リブ部63は格子状に設けられていてもよい。また、封止樹脂6は、複数のリブ部63を含んでいてもよい。
【0085】
次に、図22を用いて、実施の形態4に係る半導体装置100の製造方法を説明する。
【0086】
図22に示されるように、本実施の形態に係る第2金型M2は、支持部M27を含んでいる。支持部M27は、凹部M22の底部から基板4に向かって突出している。支持部M27は、平坦部M28を含んでいる。支持部M27には、平坦部M28から基板4とは反対方向に向かって凹んだ流路M29が設けられている。
【0087】
支持部M27が第2領域402に接触した状態で、半導体素子1、リードフレーム2および基板4の一部が封止樹脂6によって封止される。また、半導体素子1、リードフレーム2および基板4の一部が封止樹脂6によって封止される際に、流路M29に封止樹脂6が流れ込むことで、基板4上に封止樹脂6のリブ部63が形成され、かつ封止樹脂6の本体部61が形成される。基板4は、本体部61とリブ部63とによって挟み込まれる。本体部61およびリブ部63は、基板4に直接接触する。
【0088】
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
【0089】
本実施の形態に係る半導体装置100によれば、図20に示されるように、封止樹脂6の本体部61およびリブ部63は、基板4を挟み込んでいる。よって、基板4と封止樹脂6との密着性を向上させることができる。また、リブ部63が格子状に設けられている場合および封止樹脂6が複数のリブ部63を含んでいる場合には、基板4と封止樹脂6との密着性は、さらに向上する。
【0090】
本実施の形態に係る半導体装置100の製造方法によれば、図22に示されるように、支持部M27が第2領域402に接触した状態で、半導体素子1、リードフレーム2および基板4の一部が封止樹脂6によって封止される。このため、基板4が凹部M22の底面側に変形することを抑制することができる。より詳細には、支持部M27が設けられておらずかつ基板4の面内方向の寸法が大きい場合には、樹脂成型の際の封止樹脂6の成型圧力によって、基板4が凹部M22の底面側に変形する可能性がある。また、基板4がセラミック基板である場合には、変形によって基板4が割れる可能性がある。本実施の形態では、基板4が支持部M27に支持されることで基板4の底面側への変形が抑制されるため、基板4の割れを抑制することができる。
【0091】
図22に示されるように、半導体素子1、リードフレーム2および基板4の一部が封止樹脂6によって封止される際に、流路M29に封止樹脂6が流れ込むことで、基板4上に封止樹脂6のリブ部63が形成され、かつ半導体素子1を封止する封止樹脂6の本体部61が形成される。基板4は、半導体素子1を封止する本体部61とリブ部63とによって挟み込まれる。これにより、基板4と封止樹脂6との密着性が向上する。
【0092】
実施の形態5.
本実施の形態は、上述した実施の形態1~4にかかる半導体装置を電力変換装置に適用したものである。本開示は特定の電力変換装置に限定されるものではないが、以下、実施の形態5として、三相のインバータに本開示を適用した場合について説明する。
【0093】
図23は、本実施の形態にかかる電力変換装置を適用した電力変換システムの構成を示すブロック図である。
【0094】
図23に示す電力変換システムは、電源150、電力変換装置200、負荷300から構成される。電源150は、直流電源であり、電力変換装置200に直流電力を供給する。電源150は種々のもので構成することが可能であり、例えば、直流系統、太陽電池、蓄電池で構成することができるし、交流系統に接続された整流回路やAC/DCコンバータで構成することとしてもよい。また、電源150を、直流系統から出力される直流電力を所定の電力に変換するDC/DCコンバータによって構成することとしてもよい。
【0095】
電力変換装置200は、電源150と負荷300の間に接続された三相のインバータであり、電源150から供給された直流電力を交流電力に変換し、負荷300に交流電力を供給する。電力変換装置200は、図23に示すように、直流電力を交流電力に変換して出力する主変換回路201と、主変換回路201を制御する制御信号を主変換回路201に出力する制御回路203とを備えている。
【0096】
負荷300は、電力変換装置200から供給された交流電力によって駆動される三相の電動機である。なお、負荷300は特定の用途に限られるものではなく、各種電気機器に搭載された電動機であり、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車、鉄道車両、エレベーター、もしくは、空調機器向けの電動機として用いられる。
【0097】
以下、電力変換装置200の詳細を説明する。主変換回路201は、スイッチング素子と還流ダイオードを備えており(図示せず)、スイッチング素子がスイッチングすることによって、電源150から供給される直流電力を交流電力に変換し、負荷300に供給する。主変換回路201の具体的な回路構成は種々のものがあるが、本実施の形態にかかる主変換回路201は2レベルの三相フルブリッジ回路であり、6つのスイッチング素子とそれぞれのスイッチング素子に逆並列された6つの還流ダイオードから構成することができる。主変換回路201の各スイッチング素子および各還流ダイオードの少なくともいずれかは、上述した実施の形態1~4のいずれかの半導体装置に相当する半導体装置100が有するスイッチング素子又は還流ダイオードである。6つのスイッチング素子は2つのスイッチング素子ごとに直列接続され上下アームを構成し、各上下アームはフルブリッジ回路の各相(U相、V相、W相)を構成する。そして、各上下アームの出力端子、すなわち主変換回路201の3つの出力端子は、負荷300に接続される。
【0098】
また、主変換回路201は、各スイッチング素子を駆動する駆動回路(図示なし)を備えているが、駆動回路は半導体装置100に内蔵されていてもよいし、半導体装置100とは別に駆動回路を備える構成であってもよい。駆動回路は、主変換回路201のスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成し、主変換回路201のスイッチング素子の制御電極に供給する。具体的には、後述する制御回路203からの制御信号に従い、スイッチング素子をオン状態にする駆動信号とスイッチング素子をオフ状態にする駆動信号とを各スイッチング素子の制御電極に出力する。スイッチング素子をオン状態に維持する場合、駆動信号はスイッチング素子の閾値電圧以上の電圧信号(オン信号)であり、スイッチング素子をオフ状態に維持する場合、駆動信号はスイッチング素子の閾値電圧以下の電圧信号(オフ信号)となる。
【0099】
制御回路203は、負荷300に所望の電力が供給されるよう主変換回路201のスイッチング素子を制御する。具体的には、負荷300に供給すべき電力に基づいて主変換回路201の各スイッチング素子がオン状態となるべき時間(オン時間)を算出する。例えば、出力すべき電圧に応じてスイッチング素子のオン時間を変調するPWM制御によって主変換回路201を制御することができる。そして、各時点においてオン状態となるべきスイッチング素子にはオン信号を、オフ状態となるべきスイッチング素子にはオフ信号が出力されるよう、主変換回路201が備える駆動回路に制御指令(制御信号)を出力する。駆動回路は、この制御信号に従い、各スイッチング素子の制御電極にオン信号又はオフ信号を駆動信号として出力する。
【0100】
本実施の形態に係る電力変換装置では、主変換回路201を構成する半導体装置100として実施の形態1~4にかかる半導体装置100を適用するため、搭載部21の面内方向に沿った半導体装置100の寸法を小さくでき、かつ封止樹脂6によって封止される際に封止樹脂6が漏れることを抑制することができる。
【0101】
本実施の形態では、2レベルの三相インバータに本開示を適用する例を説明したが、本開示は、これに限られるものではなく、種々の電力変換装置に適用することができる。本実施の形態では、2レベルの電力変換装置としたが3レベルやマルチレベルの電力変換装置であっても構わないし、単相負荷に電力を供給する場合には単相のインバータに本開示を適用しても構わない。また、直流負荷等に電力を供給する場合にはDC/DCコンバータやAC/DCコンバータに本開示を適用することも可能である。
【0102】
また、本開示を適用した電力変換装置は、上述した負荷が電動機の場合に限定されるものではなく、例えば、放電加工機やレーザー加工機、又は誘導加熱調理器や非接触給電システムの電源装置として用いることもでき、さらには太陽光発電システムや蓄電システム等のパワーコンディショナーとして用いることも可能である。
【0103】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
1 半導体素子、2 リードフレーム、2E 端部、3 側面端子、4 基板、6 封止樹脂、7 天面端子、21 搭載面、42 裏面、61 本体部、63 リブ部、100 半導体装置、150 電源、200 電力変換装置、201 主変換回路、202 半導体装置、203 制御回路、300 負荷、401 第1領域、402 第2領域、402A 第2部分、M1 第1金型、M14 突起部、M15 可動ピン、M2 第2金型、M21 接触部、M22 凹部、M251 根元部、M252 凸部、M27 支持部、M28 平坦部、M29 流路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23