(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】薬物送達システムの状態表示器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20241227BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20241227BHJP
A61M 5/145 20060101ALI20241227BHJP
A61M 5/148 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
A61M5/168 516
A61M5/142 500
A61M5/145 502
A61M5/148
(21)【出願番号】P 2020543070
(86)(22)【出願日】2019-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2019051237
(87)【国際公開番号】W WO2019159121
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-01-20
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-17
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511280951
【氏名又は名称】デバイオテック・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】チャペル, エリック
(72)【発明者】
【氏名】デュモン-フィヨン-, デミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ベラドン, アルノー
【合議体】
【審判長】井上 哲男
【審判官】佐々木 正章
【審判官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/011814(WO,A1)
【文献】特開平10-57487(JP,A)
【文献】特開2012-470(JP,A)
【文献】特表2009-531111(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0069382(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168 5/142 5/148
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達されるべき溶液を溜める内部区画を有するリザーバと経皮装置とを備える医療システムを介した患者への急速投与送達の状態を表示するための表示装置であって、前記表示装置が、
前記リザーバおよび前記経皮装置の少なくとも一方に結合されるように適合された流体ポートと、第1の端部と、第2の端部とを有する内部空洞を含む本体であって、前記第1の端部および前記第2の端部が主軸を画定する、本体と、
前記内部空洞内に配置され、前記内部空洞を通って前記主軸に平行な方向に前記本体に対して相対的に移動するように構成された第1の可動要素および第2の可動要素であって、前記第1の可動要素が、前記内部区画および前記経皮装置の少なくとも一方と圧力連通する、前記第1の可動要素および前記第2の可動要素と、
を備え、
前記表示装置が、前記内部空洞内の前記第1の可動要素および前記第2の可動要素の異なる位置によって、以下のリスト、すなわち、注入前、注入中、および前記注入の終了時、のうちの少なくとも2つの状態を表示し、
前記第1の可動要素は、
送達されるべき前記溶液の圧力の増加に起因して第1の方向
に移動すると共に、送達されるべき前記溶液の圧力の減少に起因して前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動するように構成され、前記第2の可動要素は、
前記第1の可動要素の前記第1の方向への移動に伴って移動すると共に、前記第1の可動要素が前記第2の方向に移動するとき、実質的にその位置にとどまるように構成される、表示装置。
【請求項2】
前記表示装置の外面に配置され、前記第1の可動要素および前記第2の可動要素の少なくとも一方の前記位置の外部視覚表示を提供するように構成された位置表示窓をさらに備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記流体ポートが、前記リザーバの前記内部区画および前記経皮装置の少なくとも一方と流体連通する、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記内部空洞が、前記内部空洞の内壁と、前記第1の可動要素および前記第2の可動要素の少なくともとによって画定される第1の可変容積、第2の可変容積、および第3の可変容積を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1の可変容積が前記流体ポートと流体連通する、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1の可動要素が、前記第1の可変容積と前記第2の可変容積とを厳密に分離する、請求項4または5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2の可動要素が、前記第2の可変容積と前記第3の可変容積との間の流体連通を実現するように構成された貫通孔を備える、請求項4~6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1の可動要素が、前記第2の可動要素を第1の位置から第2の位置に押すように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1の可動要素が、前進後退運動を行うように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1の可動要素が、前進後退運動を行うように構成され、前記第2の可動要素が、前記第1の可動要素の前記前進運動によって引き起こされる単純な運動を行う、請求項1~8のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1の可動要素の前記後退運動を誘発するように構成された付勢手段をさらに備える、請求項9または10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第3の可変容積と外部環境との圧力平衡を実現するように構成されたベントをさらに備える、請求項
4~7のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
患者に溶液を送達するように適合された医療システムであって、前記医療システムが、
請求項1~12のいずれか一項に記載の表示装置であって、前記リザーバが可動壁をさらに備え、前記経皮装置が前記患者と流体連通する、表示装置と、
前記リザーバの前記内部区画から前記経皮装置まで延在する流体経路と、
中で前記可動壁が移動し得る前記医療システムの空洞を取り囲むハウジングと、
前記
医療システム
の前記空洞と外部環境との圧力平衡を実現するように構成されたベント装置と、
を備える、医療システム。
【請求項14】
前記表示装置が、前記流体経路の一部を塞ぐように構成されたバルブ装置をさらに備える、請求項13に記載の医療システム。
【請求項15】
前記第1の可動要素が初期位置にあるときに前記第1の可動要素が前記流体経路の一部を塞ぐように構成される、請求項13に記載の医療システム。
【請求項16】
少なくとも前記リザーバの充填プロセスまたは貯留期間の間に前記ベント装置を塞ぐように構成された取り外し可能閉塞装置をさらに備える、請求項13~15のいずれか一項に記載の医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、ユーザに情報、例えば、単回急速投与を注入するように構成され得る薬物送達システムなどの送達システムの状態を提供するように構成された表示装置を開示する。本明細書では、表示装置と併用され得る送達システムの例、ならびにその他の可能な特徴および装置をさらに開示する。
【背景技術】
【0002】
製薬会社によって開発された新しい治療法は、新世代の送達システムを必要とする。前記新世代の送達システムは、ある期間にわたる患者への所定の量の流体の注入を可能にしなければならない。治療法の中には、リザーバの全内容物の単回急速投与への注入を必要とするものもある。
【0003】
優先的には、送達システムは一回しか使用できず、よって使用後に送達システムは廃棄され得る。そのようなシステムは、安価で、使い勝手がよく、電子部品を含まないものであり得る。
【0004】
本明細書では、送達システム用のスマートで安価な表示装置や、送達システムや、その他の実施形態または特徴、例えば、バルブ装置、充填表示装置、障害表示装置などの様々な実施形態を説明する。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、注入の状態、充填レベルおよび障害のうちの少なくとも1つを表示するように構成された1つまたは複数の可動要素(例えば、単一のプランジャ、2つのプランジャ他)を備える表示装置を開示する。本明細書では、流体経路および送達システムの閉塞を可能にするバルブをさらに開示する。
【0006】
開示の実施形態の目標のうちの1つは、ユーザに対して、送達システムの現在の状態に関連した少なくとも1つの情報(優先的には少なくとも2つ、より優先的には3つ)を直接または間接的に提示することである。優先的には、装置は、以下の状態または情報のうちの少なくとも1つを表示する信号(例えば、視覚信号、離散信号など)を提供するように構成される:注入前、注入中、注入の終了時、リザーバ充填前、リザーバ充填中、リザーバ充填の終了時、充填レベル、流体流動条件、リザーバ充填準備完了、注入準備完了、注入進行中、充填進行中、障害、漏出など。表示装置は、送達システムの状態に応じて所定の位置に到達するように構成された少なくとも1つの可動要素(例えばプランジャ)を備える。
【0007】
本開示の第1の態様は、医療システムを介した患者への急速投与送達の状態を表示するための表示装置に関する。医療システム(送達システムなど)は、送達されるべき溶液を溜める内部区画を有するリザーバと、経皮装置とを優先的に備える。本表示装置は、
リザーバおよび経皮装置の少なくとも一方に結合されるように適合された流体ポートと、
第1の端部と、
第2の端部と、
を有する内部空洞であって、第1の端部および第2の端部が主軸を画定する、内部空洞を含む又は取り囲む本体と、
内部空洞内に配置され、主軸に平行な方向に内部空洞を通って本体に対して相対的に移動するように構成された第1の可動要素および第2の可動要素と
を備え得る。
【0008】
第1の可動要素は、内部区画および経皮装置の少なくとも一方と優先的に圧力連通する。本表示装置は、内部空洞内の第1の可動要素および第2の可動要素の異なる位置によって、以下のリスト、すなわち、注入前、注入中、および注入の終了時、のうちの少なくとも2つの状態に関する表示を提供するように優先的に構成される。
【0009】
本表示装置は、本表示装置の外面に配置され、第1の可動要素および第2の可動要素の少なくとも一方の位置の外部視覚表示を提供するように構成された位置表示窓をさらに備え得る。
【0010】
流体ポートは、リザーバの内部区画および経皮装置の少なくとも一方と流体連通し得る。
【0011】
内部空洞は、内部空洞の内壁と、第1の可動要素および第2の可動要素の少なくともとによって画定される第1の可変容積、第2の可変容積、および第3の可変容積を備え得る。第1の可変容積は、流体ポートと流体連通し得る。第1の可動要素は、第1の可変容積と第2の可変容積とを厳密に分離し得る。第2の可動要素は、第2の可変容積と第3の可変容積との間の流体連通を実現するように構成された流体経路(例えば貫通孔)を備え得る。
【0012】
第1の可動要素は、第2の可動要素を第1の位置から第2の位置に押すように構成され得る。
【0013】
第1の可動要素は、前進後退運動を行うように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1の可動要素は前進後退運動を行うように構成され得るが、第2の可動要素は、第1の可動要素の前進運動によって引き起こされる単純な運動を行う。本表示装置は、第1の可動要素および第2の可動要素の少なくともの後退運動を誘発するように構成された付勢手段をさらに備え得る。
【0014】
本表示装置は、第3の可変容積と外部環境との圧力平衡を実現するように構成されたベントをさらに備え得る。いくつかの実施形態では、リザーバが流体(例えば加圧ガス)によって加圧され、第3の可変容積は、加圧流体と流体連通または圧力連通し、第1の可動要素の後退運動を誘発し得る。
【0015】
本開示の第2の態様は、患者に溶液を送達するように適合された医療システムに関し、本医療システムは、
本明細書に記載される表示装置と、
可動壁を備え得るリザーバと、
患者と流体連通する経皮装置と、
リザーバの内部区画から経皮装置まで延在する流体経路と、
内部で可動壁が移動し得る医療システムの空洞を取り囲むハウジングと、
システム空洞と外部環境との圧力平衡を実現するように構成された(少なくとも1つの)ベント装置と
を備え得る。
【0016】
本表示装置および/または本医療システムは、流体経路の一部を塞ぐように構成されたバルブ装置をさらに備え得る。本表示装置の第1の可動要素は、第1の可動要素が所定の位置(例えば初期位置)にあるときに流体経路の一部を塞ぐように構成され得る。
【0017】
本医療システムは、少なくともリザーバの充填プロセスまたは貯留期間の間に(少なくとも1つまたはすべての)ベント装置を塞ぐように構成された取り外し可能閉塞装置をさらに備え得る。
【0018】
本医療システムは、リザーバの可動壁と圧力連通する加圧リザーバをさらに備え得る。本表示装置は、加圧リザーバと流体連通および/または圧力連通する別途の空洞を備え得る。本表示装置は、例えば本表示装置の主軸に平行な方向に沿った、別途の空洞内に移動するように構成された別途の可動要素を備え得る。本表示装置の別途の部品は、別途の空洞内の別途の可動要素の異なる位置によって、障害や漏出などの、加圧リザーバの状態に関連した表示を提供し得る。
【0019】
空洞と別途の空洞とは互いに厳密に分離され得る。いくつかの実施形態では、両方の空洞間で流体連通が開かれ、加圧リザーバの加圧された流体は、少なくとも1つの可動要素(例えば上述の第1の可動要素)の後退運動を誘発し得る。
【0020】
本開示の第3の態様は、送達システムの状態を表示するための表示装置に関する。送達システムは、第1の流体を溜めるための第1の内部区画を有する第1のリザーバを優先的に備える。本表示装置は、
第1の内部区画と圧力連通する流体ポートを有する内部空洞を含む本体であって、内部空洞が主軸を画定する第1の端部および第2の端部をさらに備え得る、本体と、
空洞内に配置され、主軸に平行な方向に内部空洞に対して相対的に移動するように構成された少なくとも1つの可動要素であって、少なくとも1つの可動要素が、第1の内部区画に溜められた第1の流体の圧力に応じて移動するように構成されてもよく、少なくとも1つの可動要素が、少なくとも2つの異なる位置、すなわち、第1の位置および第2の位置を備え得る、少なくとも1つの可動要素と、
第1の位置および第2の位置の少なくとも一方の近傍に配置された位置表示窓であって、位置表示窓が少なくとも1つの可動要素の位置の視覚表示を提供するように、位置表示窓が本表示装置の(または送達システムの)外面(または側面)に配置され得る、位置表示窓と
を備え得る。
【0021】
本表示装置は、少なくとも1つの可動要素の異なる位置によって、送達システムの少なくとも1つの状態を表示し得る。
【0022】
本表示装置は、以下の状態のうちの少なくとも1つに関する表示を提供し得る:
注入前、
注入中、
注入の終了時、
リザーバ充填前、
リザーバ充填中、
リザーバ充填の終了時、
注入準備完了、
充填準備完了、
注入進行中、
充填進行中、
障害、および
漏出。
【0023】
少なくとも1つの可動要素は、第1の内部区画に溜められた第1の流体と圧力連通し得る。
【0024】
少なくとも1つの可動要素は、第1のプランジャおよび第2のプランジャの少なくとも一方を備え得る。
【0025】
流体ポートは、第1の内部区画に溜められた第1の流体と流体連通し得る。
【0026】
第1の内部区画に溜められた第1の流体は、患者に送達されることを意図され得る。別の実施形態では、第1の内部区画に溜められた第1の流体は、患者に送達されることを意図された第2の流体を溜める第2の内部区画を有する第2のリザーバを加圧することを意図される。
【0027】
本開示の第4の態様は、システム空洞(例えば、少なくともハウジングによって画定され得る送達システムの内部空洞)を取り囲むハウジングと、ベント装置と、(本明細書に記載される)表示装置とを備える送達システムに関する。第1のリザーバは、第1のリザーバの第1の内部区画を変動させるように構成された可動壁を優先的に備える。可動膜は、システム空洞内に少なくとも部分的に移動するように構成され得る。ベント装置は、システム空洞とシステムの外部環境との平衡圧力を優先的に実現する。
【0028】
本システムは、第1のリザーバの充填および使用前の貯留期間の少なくとも一方の間にベント装置を塞ぐように構成された(取り外され得る)閉塞装置をさらに備え得る。
【0029】
本開示の第5の態様は、患者に溶液を送達するように適合された医療装置の注入状態を表示するための表示装置に関する。本表示装置は、本体と、本体内に配置された、(主軸を画定する)第1の端部および第2の端部を有する細長い空洞と、(例えば主軸の平行方向に沿って)細長い空洞に対して移動するように構成された少なくとも2つのプランジャ(第1のプランジャおよび第2のプランジャ、任意選択で別途のプランジャ)とを含み得る。優先的には、第1のプランジャおよび第2のプランジャは、細長い空洞内に、少なくとも1つの可変容積、例えば以下の3つの可変容積を画定するように配置される:
細長い空洞の第1の端部と第1のプランジャとの間に形成された第1の可変容積、
第1のプランジャと第2のプランジャとの間に形成された第2の可変容積、および
第2のプランジャと細長い空洞の第2の端部との間に形成された第3の可変容積。第1のプランジャは、送達されることを意図された溶液の圧力に応じて移動するように構成され得る。
【0030】
第1のプランジャは、第1の可変容積と第2の可変容積との間に流体密な壁を形成し得る。
【0031】
第1の可変容積、第2の可変容積および第3の可変容積は、液体や気体、例えば空気や圧縮性流体などの流体を含み得る。第1の可変容積は、注入の終了時に第1の可変容積から排出され得る溶液の体積分率を受け取るように構成され得る。
【0032】
第1のプランジャは、前進後退運動を行い得る。
【0033】
第1のプランジャ(または第1の可変容積)は、患者に注入されることを意図された溶液と圧力連通し、この溶液の圧力勾配または圧力変動により、第1のプランジャの運動が引き起こされ、または可能になり得る。
【0034】
例えば、第1のプランジャ(または第1の可変容積)は、注入されることを意図された溶液を溜めるリザーバと圧力連通し得る。リザーバは、加圧リザーバであり得る。医療装置は、リザーバと、内部にリザーバが配置されるハウジングとを備え得る。
【0035】
空洞の第1の端部は、送達されることを意図された溶液と流体連通する流体ポートを備え得る。例えば、流体ポートは、溶液を溜めるリザーバと、またはリザーバの内部区画と医療装置の出口との間の流体経路と流体連通し得る。
【0036】
第2のプランジャは、第1のプランジャに依存して移動し得る。例えば、第1のプランジャは第2のプランジャを、ある位置から、ユーザから見えるかまたはユーザから隠され得る所定の位置まで押し得る。この目的で、本表示装置は、(1つまたは複数の)所定の位置で第1のプランジャおよび第2のプランジャの少なくとも一方が見えるようにするために1つまたは複数の窓を備え得る。
【0037】
第2のプランジャは、第2の可変容積と第3の可変容積との間の流体連通を実現するように構成された貫通孔を備え得る。
【0038】
本表示装置は、第1のプランジャおよび第2のプランジャの少なくとも一方の位置に応じた流体流動条件を表示する離散視覚信号を可能にし得る。プランジャの位置に応じて、プランジャは、注入準備完了、注入進行中、注入の終了などの医療装置の状態を表示するために、ユーザから見えるかまたはユーザから隠され得る。
【0039】
細長い空洞は、第1のプランジャおよび第2のプランジャの少なくとも一方を所定の位置に維持するために、第1の端部と第2の端部との間に配置された機械的止め具(停止部材とも呼ばれる)をさらに備え得る。
【0040】
第2の端部は、第3の可変容積と外部環境との圧力平衡を実現するためにベントを備え得る。
【0041】
本表示装置は、第1のプランジャと第2のプランジャとの間に配置された付勢装置をさらに備え得る。
【0042】
本開示の第6の態様は、患者に溶液を送達するように適合された医療装置の注入状態を表示するための表示装置に関する。本表示装置は、本体と、本体内に配置された、第1の端部および第2の端部を有する細長い空洞と、細長い空洞に対して移動するように構成された第1のプランジャとを含み得る。優先的には、第1のプランジャは、細長い空洞内に配置され、少なくとも1つの(安定した)位置を有するように構成され得る。より優先的には、第1のプランジャは、少なくとも2つの異なる位置、例えば3つの異なる位置、すなわち、第1の初期位置、第2の位置、および第3の位置を有するように構成され得る。
【0043】
第1のプランジャは、送達されることを意図された溶液の圧力に応じて移動するように構成され得る。
【0044】
第1のプランジャは、前進後退運動を行い得る。
【0045】
第1のプランジャは、第1の可変容積と第2の可変容積との間に流体密な壁を形成し得る。第1の可変容積は、空洞の第1の端部と第1のプランジャとの間に画定され、第2の可変容積は、第1のプランジャと、第2の端部であり得る、空洞の別の端部、例えば第1の端部の反対端との間に画定され得る。
【0046】
第1のプランジャ(または第1の可変容積)は、患者に注入されることを意図された溶液と圧力連通し、この溶液の圧力勾配または圧力変動により、第1のプランジャの運動が引き起こされ、または可能になり得る。
【0047】
例えば、第1のプランジャ(または第1の可変容積)は、注入されることを意図された溶液を溜めるリザーバと圧力連通し得る。リザーバは、加圧リザーバであり得る。医療装置は、リザーバと、内部にリザーバが配置されるハウジングとを備え得る。
【0048】
空洞の第1の端部は、送達されることを意図された溶液と流体連通する流体ポートを備え得る。例えば、流体ポートは、溶液を溜めるリザーバと、またはリザーバの内部区画と医療装置の出口との間の流体経路と流体連通し得る。
【0049】
本表示装置は、第1のプランジャの位置に応じた流体流動条件を表示する離散視覚信号を可能にし得る。第1のプランジャの位置に応じて、プランジャは、注入準備完了、注入進行中、注入の終了などの医療装置の状態を表示するために、ユーザから見えるかまたはユーザから隠され得る。この目的で、本表示装置は、第1の初期位置、第2の位置および第3の位置の少なくとも1つにおいて第1のプランジャが見えるようにするために1つまたは複数の窓を備え得る。
【0050】
細長い空洞は、第1のプランジャを所定の位置(第1の初期位置、第2の位置、または第3の位置)に維持するために、第1の端部と第2の端部との間に配置された機械的止め具(停止部材とも呼ばれる)をさらに備え得る。
【0051】
第2の端部は、第2の可変容積と外部環境との圧力平衡を実現するためにベントを備え得る。
【0052】
本表示装置は、第1のプランジャと空洞の第2の端部との間に配置された付勢装置をさらに備え得る。
【0053】
表示器は、第1のプランジャと空洞の第2の端部との間で空洞内に配置され得る第2のプランジャを備え得る。第2のプランジャは、第1のプランジャに応じて(例えば所定の経路/方向に従ったプランジャの運動に応じて)運動し得る。例えば、第1のプランジャは第2のプランジャを、ある位置から、ユーザから見えるかまたはユーザから隠され得る所定の位置まで押し得る。この目的で、本表示装置は、(1つまたは複数の)所定の位置で第1のプランジャおよび第2のプランジャの少なくとも一方が見えるようにするために1つまたは複数の窓を備え得る。
【0054】
第2のプランジャは、第1のプランジャと第2のプランジャとの間に画定された容積と、第2のプランジャと第2の端部との間に画定された他方の容積との間の流体連通を実現するように構成された貫通孔を備え得る。
【0055】
本開示の第7の態様は、患者に溶液を送達するように適合された医療装置の注入状態を表示する表示装置に関する。本表示装置は、
窓と、本体内に配置された、第1の端部および第2の端部を有する細長い空洞とを有する本体と、
窓を通して視覚信号を提供し、細長い空洞に対して移動するように構成された第1のプランジャと、
窓を通して視覚信号を提供するように構成された圧縮性の視覚要素と
を含み得る。
【0056】
優先的には、第1のプランジャおよび圧縮性の視覚要素は、細長い空洞内に配置される。圧縮性の視覚要素は、プランジャが空洞の第2の端部の方に移動すると、空洞の第2の端部と第1のプランジャとの間で空洞内に圧縮されるように構成され得る。
【0057】
第1のプランジャは、送達されることを意図された溶液の圧力に応じて移動するように構成され得る。
【0058】
第1のプランジャは、前進後退運動を行い、圧縮性の視覚要素は、第1のプランジャに対して溶液圧力と相反する力を加える付勢手段として使用され得る。
【0059】
第1のプランジャ(または第1の可変容積)は、患者に注入されることを意図された溶液と圧力連通し、この溶液の圧力勾配または圧力変動により、第1のプランジャの運動が引き起こされ、または可能になり得る。
【0060】
例えば、第1のプランジャ(または第1の可変容積)は、注入されることを意図された溶液を溜めるリザーバと圧力連通し得る。リザーバは、加圧リザーバであり得る。医療装置は、リザーバと、内部にリザーバが配置されるハウジングとを備え得る。
【0061】
空洞の第1の端部は、送達されることを意図された溶液と流体連通する流体ポートを備え得る。例えば、流体ポートは、溶液を溜めるリザーバと、またはリザーバの内部区画と医療装置の出口との間の流体経路と流体連通し得る。
【0062】
本表示装置は、第1のプランジャおよび圧縮性の視覚要素の少なくとも一方の位置に応じた流体流動条件を表示する離散視覚信号を可能にし得る。プランジャおよび圧縮性の視覚要素の位置に応じて、プランジャおよび/または圧縮性の視覚要素は、注入準備完了、注入進行中、注入の終了などの医療装置の状態を表示するために、ユーザから見えるかまたはユーザから隠され得る。医療装置が第1の状態にあるとき、窓には圧縮性の視覚要素が見え、例えばユーザには、医療装置が注入準備完了であることを表示するオレンジ色が見える。医療装置が第2の状態にあるとき、窓には空洞の壁が見え、例えばユーザには、溶液が患者に流れていることを表示する緑色が見える。医療装置が第3の状態にあるとき、窓にはプランジャが見え、例えばユーザには、注入が終了したことを表示する青色が見える。
【0063】
細長い空洞は、第1のプランジャおよび圧縮性の視覚要素の少なくとも一方を所定の位置に維持するために、第1の端部と第2の端部との間に配置された機械的止め具をさらに備え得る。
【0064】
第2の端部は、(第2の端部と、圧縮性の視覚要素の端部または第1のプランジャの端部との間の容積と)外部環境との圧力平衡を実現するために、ベントを備え得る。
【0065】
本表示装置は、付勢装置をさらに備え得る。付勢手段は、第1のプランジャと第2の端部または圧縮性の視覚要素との間の閉じ込められた気体であり得る。
【0066】
圧縮性の視覚要素は、圧縮されると折り畳めるように構成された細長い本体を有するプランジャであり得る。
【0067】
本開示の第8の態様は、患者に溶液を送達するように適合された医療装置に関する。本医療装置は、表示装置と、溶液を溜めるための加圧リザーバと、患者と流体連通する出口ポートと、加圧リザーバの内部から出口ポートまでの流体経路とを含み得る。
【0068】
本表示装置は、開示の表示装置のうちの1つであり得る。例えば、本表示装置は、医療装置内に配置された、第1の端部および第2の端部を有する細長い空洞と、細長い空洞に対して移動するように構成された第1のプランジャとを備え得る。
【0069】
優先的には、本表示装置は、流体経路と圧力連通する。
【0070】
第1のプランジャは、加圧リザーバ内に溜められた溶液または流体経路の一部に存在する流体の圧力に応じて移動するように構成され得る。
【0071】
第1のプランジャは、前進後退運動を行い得る。
【0072】
第1のプランジャは、第1の可変容積と第2の可変容積との間に流体密な壁を形成し得る。第1の可変容積は、空洞の第1の端部と第1のプランジャとの間に画定され、第2の可変容積は、第1のプランジャと、第2の端部であり得る、空洞の別の端部、例えば第1の端部の反対端との間に画定され得る。本表示装置は、例えば第1のプランジャと第2の端部との間で空洞に配置された別途のプランジャを備えていてもよく、第2の可変容積を、第2の可変容積と第3の可変容積とに分割し得る。
【0073】
第1のプランジャ(または第1の可変容積)は、加圧リザーバに最初に溜められた、または流体経路の一部に存在する溶液と圧力連通し得る。この溶液の圧力勾配または圧力変動により、第1のプランジャの運動が引き起こされ、または可能になり得る。
【0074】
優先的には、本医療装置は、内部に本表示装置の一部と、リザーバの一部と、流体経路の一部とが配置され得るハウジングを備える。
【0075】
本表示装置は、(1つまたは複数の)プランジャの位置に応じた流体流動条件を表示する離散視覚信号を可能にし得る。(1つまたは複数の)プランジャの位置に応じて、(1つまたは複数の)プランジャは、注入準備完了、注入進行中、注入の終了などの医療装置の状態を表示するために、ユーザから見えるかまたはユーザから隠され得る。この目的で、本表示装置および/または本医療装置は、少なくとも1つの位置において(1つまたは複数の)プランジャが見えるようにするために1つまたは複数の窓を備え得る。
【0076】
開示の実施形態の目標のうちの1つは、送達システムの作動前の、例えばユーザがリザーバを充填するときの自由流れを防止することである。
【0077】
本開示の第9の態様は、上述のような流体経路内に配置されたバルブ装置を提供する。本バルブ装置は、加圧リザーバまたは溶液圧力が所定の閾値に到達したときに溶液を出口に流すように構成され得る。
【0078】
本開示の第10の態様は、薬物リザーバの充填および薬物送達の状態の少なくとも一方に関する表示を提供するように構成された表示装置に関する。本表示装置は、空洞を有する本体を優先的に備える。空洞は、主軸を画定する第1の端部および第2の端部を含む。本表示装置は、薬物リザーバの内部区画と圧力連通する入口ポートを備える。本表示装置は、少なくとも1つの可動要素(優先的には第1の可動要素および第2の可動要素)と、可動要素の可能な位置の近傍に配置された少なくとも1つの視覚表示器とをさらに備える。本表示装置は、視覚表示器と空洞内の可動要素の異なる位置とによって表示を提供する。
【0079】
本開示の第11の態様は、加圧リザーバの状態の表示を提供するように構成された表示装置に関する。加圧リザーバは、薬物リザーバに対して(例えば薬物リザーバの可動壁に対して)圧力を加えるように構成され得る。本表示装置は、主軸を画定する第1の端部および第2の端部を有する第1の空洞を有する本体を備え得る。本表示装置は、主軸の平行な方向に沿って空洞内を移動するように構成された可動要素(例えばプランジャ)を優先的に備える。本表示装置は、加圧リザーバと流体連通し得る流体ポートをさらに備えていてもよく、可動要素は、加圧リザーバに溜められた加圧流体と圧力連通し得る。本表示装置は、第1の空洞内の可動要素の位置によって加圧リザーバの障害(例えば漏出)を表示するように優先的に構成される。
【0080】
いくつかの実施形態では、本表示装置は、本明細書に記載されるように薬物リザーバの充填および送達の状態の少なくとも一方に関する表示を提供するように内部に1つまたは複数の別途の可動要素が構成される第2の空洞をさらに備え得る。
【0081】
優先的には、装置は、本表示装置またはバルブ装置に接続されたバッテリーや電子装置などのいかなる電源も必要としない。(直線)移動は、薬物リザーバ内および/または(リザーバと出口装置との間の)流体経路内の溶液の圧力によるものである。
【0082】
本開示は、以下の図によって例示される非限定的な例を含む以下の詳細な説明に照らせばより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】推進剤リザーバ(ここでは液化ガス)と、ガスリザーバから厳密に分離された薬物リザーバと、2つのプランジャを有する表示装置とを備える、注入前の薬物送達システムの一実施形態を示す図である。
【
図2】2つのプランジャが、シリンダの左部分の空気圧が薬物リザーバ圧力と略同等になるまでシリンダの左部分に平行移動される、推進剤リザーバと薬物リザーバとの間の膜が薬物にガス圧を伝達する、作動後の(
図1の)同じ装置を示す図である。
【
図3】連通ポートの圧力がゼロまで降下し、固体プランジャのその初期位置に向かう移動を誘発する、注入の終了時の(
図1の)同じ装置を示す図である。
【
図4】45°のシーリングリップを有するプランジャの一例を示す側面図である。
【
図5a】本表示装置が3つの異なるプランジャ位置の画定を可能にするように構成され得る機械的止め具(例えば円錐状の狭まり)を有する単一のプランジャを備える一実施形態による、状態「注入準備完了」に関連した第1の位置を示す図である。
【
図5b】本表示装置が3つの異なるプランジャ位置の画定を可能にするように構成され得る機械的止め具(例えば円錐状の狭まり)を有する単一のプランジャを備える一実施形態による、状態「注入進行中」に関連した第2の位置を示す図である。
【
図5c】本表示装置が3つの異なるプランジャ位置の画定を可能にするように構成され得る機械的止め具(例えば円錐状の狭まり)を有する単一のプランジャを備える一実施形態による、状態「注入の終了」に関連した第3の位置を示す図である。
【
図5d】本表示装置が3つの異なるプランジャ位置の画定を可能にするように構成され得る機械的止め具(例えば円錐状の狭まり)を有する単一のプランジャを備える一実施形態による、注入状態表示器の前に配置された3つの窓(または少なくとも1つ)が、プランジャの可視化を可能にするように構成され得ることを示す図(下の図)である。
【
図6a】本表示装置が第1の機械的止め具(シリンダの左部分)と第2の機械的止め具(シリンダの右部分の円錐状の狭まり)とを備える一実施形態による、注入前の2つのプランジャの明確に画定された位置を示す図である。
【
図6b】本表示装置が第1の機械的止め具(シリンダの左部分)と第2の機械的止め具(シリンダの右部分の円錐状の狭まり)とを備える一実施形態による、注入中の2つのプランジャの明確に画定された位置を示す図である。
【
図6c】本表示装置が第1の機械的止め具(シリンダの左部分)と第2の機械的止め具(シリンダの右部分の円錐状の狭まり)とを備える一実施形態による、注入後の2つのプランジャの明確に画定された位置を示す図である。
【
図6d】1つまたは複数の窓がプランジャの視覚化を可能にするように注入状態表示器の前に配置され得る、本表示装置が第1の機械的止め具(シリンダの左部分)と第2の機械的止め具(シリンダの右部分の円錐状の狭まり)とを備える一実施形態を示す図である。
【
図7a】本表示装置が、2つのプランジャと、2つの異なる窓とを備え、第2のプランジャが赤であり、第1のプランジャが緑であり得る一実施形態による、注入前にプランジャが見えていない状態を示す図である。
【
図7b】本表示装置が、2つのプランジャと、2つの異なる窓とを備え、第2のプランジャが赤であり、第1のプランジャが緑であり得る一実施形態による、注入中に第2のプランジャがシリンダの左部分に位置する窓を通して見えている状態を示す図である。
【
図7c】本表示装置が、2つのプランジャと、2つの異なる窓とを備え、第2のプランジャが赤であり、第1のプランジャが緑であり得る一実施形態による、注入の終了時に第1のプランジャがシリンダの右部分に位置する窓を通して見えるようになる状態を示す図である。
【
図8】デュアルプランジャ注入状態表示器が2つの垂直窓と水平窓とを備える一実施形態による、プランジャが作動直後の中間位置にあり、明確にするために第2のプランジャの孔が表されておらず、プランジャがもはやそれらの初期位置にはなく、垂直窓の少なくとも一方を通して見えていないので、注入が作動されていると判断するのに水平窓が有用であることを示す図である。
【
図9a】本表示装置がベント装置を備え、例えば空洞(第3の可変容積)が大気に開放されている一実施形態による、注入前に第2のプランジャのみが見えている状態を示す図である。
【
図9b】本表示装置がベント装置を備え、例えば空洞(第3の可変容積)が大気に開放されている一実施形態による、注入中に第2のプランジャが空洞の端部の方へ移動し、第1のプランジャが左窓に見えるようになる状態を示す図である。
【
図9c】本表示装置がベント装置を備え、例えば空洞(第3の可変容積)が大気に開放されている一実施形態による、注入の終了時に第1のプランジャがシリンダの右部分に位置する窓を通して見えるようになる状態を示す図である。
【
図10a】圧縮性の視覚要素とプランジャとを備える表示装置の一例を示す図である。
【
図10b】圧縮性の視覚要素とプランジャとを備える表示装置の一例を示す図である。
【
図10c】圧縮性の視覚要素とプランジャとを備える表示装置の一例を示す図である。
【
図11a】本表示装置が、2つの窓と、少なくとも2つのプランジャとを備え、任意選択でシリンダが大気に開放されている一実施形態による、注入前に第2のプランジャのみが見えている状態を示す図である。
【
図11b】本表示装置が、2つの窓と、少なくとも2つのプランジャとを備え、任意選択でシリンダが大気に開放されている一実施形態による、注入中に第2のプランジャがシリンダの端部の方へ移動し、第1のプランジャの第1の部分が左窓に見えるようになる状態を示す図である。
【
図11c】本表示装置が、2つの窓と、少なくとも2つのプランジャとを備え、任意選択でシリンダが大気に開放されている一実施形態による、注入の終了時に第1のプランジャの第2の部分(または別途のプランジャ、例えば第3のプランジャ)のみが、シリンダの右部分に位置する窓を通して見えている状態を示す図である。
【
図12a】本表示装置が、第1のプランジャと第2のプランジャとの間に配置された付勢装置(例えばばね)を備える一実施形態による、注入前の2つのプランジャの明確に画定された位置を示す図である。
【
図12b】本表示装置が、第1のプランジャと第2のプランジャとの間に配置された付勢装置(例えばばね)を備える一実施形態による、注入中の2つのプランジャの明確に画定された位置を示す図である。
【
図12c】本表示装置が、第1のプランジャと第2のプランジャとの間に配置された付勢装置(例えばばね)を備える一実施形態による、注入後の2つのプランジャの明確に画定された位置を示す図である。
【
図12d】注入状態表示器の前に配置された窓がプランジャの可視化を可能にするように構成され得る、本表示装置が、第1のプランジャと第2のプランジャとの間に配置された付勢装置(例えばばね)を備える一実施形態を示す図である。
【
図13a】本表示装置が、付勢装置(例えばばね)と単一のプランジャとを備える一実施形態による、注入前のプランジャの明確に画定された位置を示す図である。
【
図13b】本表示装置が、付勢装置(例えばばね)と単一のプランジャとを備える一実施形態による、注入中のプランジャの明確に画定された位置を示す図である。
【
図13c】本表示装置が、付勢装置(例えばばね)と単一のプランジャとを備える一実施形態による、注入後のプランジャの明確に画定された位置を示す図である。
【
図13d】注入状態表示器の前に配置された窓がプランジャの可視化を可能にするように構成され得る、本表示装置が、付勢装置(例えばばね)と単一のプランジャとを備える一実施形態を示す図である。
【
図14】推進剤リザーバ(ここでは液化ガス)と、ガスリザーバから厳密に分離された薬物リザーバと、第2のプランジャおよび突出部を有する第1のプランジャを有する表示装置とを備え得る薬物送達システムであって、第1のプランジャの突出部が、リザーバ内の圧力が既定値を超えない限り流れを遮断するように構成されていてもよく、突出部が、流体経路のバルブ装置と見なされ得る、注入前の薬物送達システムの一例を示す図である。
【
図15】推進剤リザーバ(ここでは液化ガス)と、ガスリザーバから厳密に分離された薬物リザーバと、リザーバ内の圧力が既定値を超えない限り流れを遮断するバルブ装置として使用される少なくとも1つのプランジャを有する表示装置と、シリンダと軸がずれている針とを備え、第1の可変容積が、流体経路の一部であるか、または流体経路を2つの異なる部分に分割し、第1の部分がリザーバの内部区画と流体連通し、第2の部分が出口装置(例えば針)と流体連通する、注入前の薬物送達システムの一例を示す図である。
【
図16】推進剤リザーバ(ここでは液化ガス)と、ガスリザーバから厳密に分離された薬物リザーバと、針と、バルブ装置と、表示装置とを備え、表示装置が、第1のプランジャと第2のプランジャとを備え、バルブ装置が、空洞内部で移動するように適合されたプランジャと栓とを備え、プランジャストッパの存在によりこのプランジャの上面に薬物の圧力が加わり、バルブ装置のプランジャに流体経路を開放させるためにユーザが栓を取り外さなければならない可能性があり、表示装置が任意選択である、注入前の薬物送達システムの一例を示す図である。
【
図17】推進剤リザーバ(ここでは液化ガス)と、ガスリザーバから厳密に分離された薬物リザーバと、針と、表示装置と、バルブ装置とを備え、バルブ装置が、出口装置と直接連通する空洞内部のプランジャと栓とを備えていてもよく、前記空洞が、ばねと、通気式ねじ式の調整可能な栓とを備え、プランジャ構造化の存在により薬物の圧力がプランジャの上面に加わり、表示装置が任意選択である、注入前の薬物送達システムの一例を示す図である。
【
図18】推進剤リザーバ(ここでは液化ガス)と、ガスリザーバから厳密に分離された薬物リザーバと、表示装置と、バルブ装置とを備え、バルブ装置が、クラックバルブ(crack valve)として使用されるエラストマー膜と、ダブルベベル針(出口装置)とを備え、表示装置が任意選択である、注入前の薬物送達システムの一例を示す図である。
【
図19】推進剤リザーバ(ここでは液化ガス)と、ガスリザーバから厳密に分離された薬物リザーバと、表示装置と、クラックバルブとして使用されるエラストマー膜と、針とを備え、表示装置が任意選択である、注入前の薬物送達システムの一例を示す図である。
【
図20】推進剤リザーバ(ここでは液化ガス)と、ガスリザーバから厳密に分離された薬物リザーバと、ダブルベベル針と、表示装置と、シリンダおよびクラックバルブとして使用されるプランジャを有するバルブ装置とを備え、表示装置が任意選択であり、バルブ装置のプランジャがシリンダを通って移動するように構成される、注入前の薬物送達システムの一例を示す図である。
【
図21】推進剤リザーバ(ここでは例えば20℃のブタン)と、ガスリザーバから厳密に分離された薬物リザーバと、ダブルベベル針と、表示装置と、シリンダおよび装置の作動後に針が突き刺さっているプランジャを有するバルブ装置とを備え、表示装置が任意選択である、注入中の薬物送達システムの一例を示す図である。
【
図22a】本開示の表示装置の一般概念を示す図である。
【
図22b】本開示の表示装置の一般概念を示す図である。
【
図22c】本開示の表示装置の一般概念を示す図である。
【
図23a】本開示の別の可能な実施形態を示す図である。
【
図23b】本開示の別の可能な実施形態を示す図である。
【
図23c】本開示の別の可能な実施形態を示す図である。
【
図23d】本開示の別の可能な実施形態を示す図である。
【
図23e】本開示の別の可能な実施形態を示す図である。
【
図24】可能な注入状態表示器を示す複数の図である。
【
図25】送達システムの一実施形態による可能な結合を示す概略図である。
【
図26】送達システムの一実施形態による一般構造を示す概略図である。
【
図27a】送達システムの一状態を示す概略図である。
【
図27b】送達システムの別の状態を示す概略図である。
【
図27c】送達システムのさらに別の状態を示す概略図である。
【
図27d】送達システムのさらに別の状態を示す概略図である。
【
図27e】送達システムのさらに別の状態を示す概略図である。
【
図28a】送達システムの1つの可能な実施形態を示す図である。
【
図28b】送達システムの別の可能な実施形態を示す図である。
【
図28c】送達システムのさらに別の可能な実施形態を示す図である。
【
図29a】送達システムの1つの可能な実施形態を示す図である。
【
図29b】送達システムの別の可能な実施形態を示す図である。
【
図30a】第1の可動要素と第2の可動要素とを有する充填表示装置を備える送達システムを示す図である。
【
図30b】第1の可動要素と第2の可動要素とを有する充填表示装置を備える送達システムを示す図である。
【
図30c】第1の可動要素と第2の可動要素とを有する充填表示装置を備える送達システムを示す図である。
【
図32a】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図32a’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図32b】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図32b’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図32c】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図32c’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図32d】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図32d’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図32e】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図32e’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図32f】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図32f’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図33a】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図33a’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図33b】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図33b’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図33c】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図33c’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図33d】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図33d’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図33e】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図33e’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図33f】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図33f’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図34a】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図34a’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図34b】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図34b’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図34c】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図34c’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図34d】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図34d’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図34e】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図34e’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図34f】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図34f’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図35a】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図35a’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図35b】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図35b’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図35c】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図35c’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図35d】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図35d’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図35e】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図35e’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図35f】可能な表示装置の第1の側面を示す図であり、
図35f’は、可能な表示装置の第2の側面を示す図である。
【
図36d】さらに別の可能な表示装置を示す図である。
【
図36e】さらに別の可能な表示装置を示す図である。
【
図36f】さらに別の可能な表示装置を示す図である。
【
図38】送達システムの一実施形態による可能な結合を示す概略図である。
【
図39】送達システムの一実施形態による可能な結合を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、例示として、装置、システムおよび方法のいくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照する。他の実施形態も企図されており、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなくなされ得ることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではない。本明細書に記載される特徴は様々な実施形態に含まれ得る。
【0085】
本明細書で使用されるすべての科学技術用途は、特に指定しない限り、当技術分野で一般に使用される意味を有する。本明細書で提供される定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定するためのものではない。
【0086】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、内容上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、複数形の言及を有する実施形態を包含する。
【0087】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、本明細書で言及される任意の方向、例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、「上側」、「下側」、およびその他の方向または向きは、本明細書において図に関して明確にするために記載され、実際の装置またはシステムを限定することを意図されたものではない。本明細書に記載される装置およびシステムは、いくつかの方向および向きで使用され得る。
【0088】
本明細書で使用される場合、「have」、「having」、「include」、「including」、「comprise」、「comprising」などは、それらの非限定的な意味において使用され、一般に、「~を含むが、これに限定されない」を意味する。
【0089】
本明細書で使用される場合、「substantially」という用語は、広義の語であり、必ずしも完全にではないが大きくは、その指定されるものであることを含むが、これに限定されない、その通常の意味において使用される。
【0090】
本明細書で使用される場合、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、またはCの少なくとも1つ」、「A、B、C、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される」などは、内容上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、「Aのみ、またはBのみ、またはCのみ、またはAとBとCとの任意の組み合わせ」を含む、それらの非限定的な意味において使用される。
【0091】
本明細書で使用される場合、「プランジャ」などは、その非限定的な意味において使用され、一般に、空洞内に配置され、前記空洞を2つの異なる部分に(任意選択で厳密に)分離するように構成された可動部品を意味する。
【0092】
本明細書で使用される場合、「シリンダ」などは、その非限定的な意味において使用され、一般に、平坦曲線上で傾くことによってそれ自体に対して平行に移動する線で形成された立体を意味する。
【0093】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または(or)」という用語は、一般に、内容上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、その「および/または(and/or)」を含む意味において用いられる。
【0094】
本出願は、Debiotech SAの名義で2018年2月16日出願された欧州特許出願公開第18157250.4号明細書の優先権の利益を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本出願は、Debiotech SAの名義の、2018年7月11日に出願された欧州特許出願公開第18182850.0号明細書の優先権、2018年12月21日に出願された欧州特許出願公開第18215745.3号明細書の優先権、2019年1月11日に出願された欧州特許出願公開第19151323.3号明細書の優先権、2019年1月11日に出願された欧州特許出願公開第19151324.1号明細書の優先権、2019年1月11日に出願された欧州特許出願公開第19151325.8号明細書の優先権、および2019年2月6日に出願された欧州特許出願公開第19155800.6号明細書の優先権の利益を主張し、それらの全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0095】
動作原理の例
図22a、
図22bおよび
図22cに、本明細書に記載されるような表示装置の一般概念の一例を示す。形状およびサイズは代表的なものではない。これらの図には、ただ1つの可動要素が描かれているが、その基本概念は2つの可動要素でも同じであり、よって、この可動要素(11、12)に両方の参照符号が使用される。これらの図では、表示装置は、注入の状態に関する情報を表示するが、その基本概念は、本明細書に記載される他の実施形態でも同じである。
【0096】
送達システム(1)は、医療用流体(例えば、薬物や、患者に注入され得る他の溶液、優先的には液体などの非圧縮性流体)を溜めるように適合されたリザーバ(5)と、リザーバに溜められた医療用流体を移動させるように適合されたポンプ装置(22)と、患者と流体連通するように適合された出口装置(10)(例えば、出口ポートや経皮装置)と、リザーバ(5)と出口装置(10)との間で流体連通を実現する流体経路(18)とを備える。
【0097】
説明を簡潔にするために、リザーバ(5)は薬物リザーバとも呼ばれるが、この呼び方はリザーバに溜められ得る流体のタイプを限定するものではない。例えば、薬物リザーバは、溶液、例えば液体溶液、優先的には、医薬品、栄養剤、生物由来剤または生物活性剤、ホルモン物質または遺伝子に基づく物質、ならびにその他の物質などの医療用流体を貯留し得る。
【0098】
薬物リザーバ(5)は、可動壁(例えば、プランジャ、柔軟膜など)を備え得る。薬物リザーバは、剛性部分をさらに備え得る。可動壁および剛性部分の少なくとも一方が、患者に注入されるべき医療用流体を受け取ることを意図された内部区画を画定する。薬物リザーバは、1つまたは複数の出口をさらに備え得る。リザーバの出口は、患者、出口装置(10)、および表示装置(2)のうちの少なくとも1つと流体連通する。優先的には、薬物リザーバ内の流体圧力は、流体経路の少なくとも一部および/または表示装置に実質的に伝達される。
【0099】
優先的には、ポンプ装置は、医療用流体を薬物リザーバの内部区画から(例えばその出口を介して)外部に移動させるために薬物リザーバに(例えば、薬物リザーバ(5)の可動壁に)圧力を加えるように適合された圧力装置を備える。圧力装置は、ばね、例えば液化ガスを含有する推進剤室、拡張可能なバッテリー、ガス発生セル、ニチノールワイヤー、皿ばね座金、皿ばね、エクスパンセル(Expancel)ビーズ、形状記憶合金、形状記憶ポリマー、プランジャなどを備え得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、ポンプ装置は、リザーバの全内容物を単回急速投与として注入するように構成される。
【0101】
出口装置(10)は、連結ポート、出口ポート、針、カニューレ、チューブ、コネクタまたは経皮装置などを備え得る。
【0102】
優先的には、表示装置(2)は、空洞(13)(たとえその形状が必須ではなくてもシリンダとも呼ばれる)が配置された本体を備える。空洞(13)は、両方で主軸を画定し得る、第1の端部(14)および第2の端部(15)を備え得る。空洞には少なくとも1つの可動要素(11、12)が配置され、例えば、主軸に沿って、または主軸に平行な方向に、空洞に対して移動するように構成される。少なくとも1つの可動要素は、溶液の圧力(例えば、薬物リザーバ内に存在する圧力)に応じて移動するように構成される。少なくとも1つの可動要素は、プランジャを備え得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、表示装置は、単一のプランジャにより(例えば、前進後退運動により)注入状態を表示する。別の実施形態では、表示装置は、2つ以上の異なるプランジャ(例えば、第1のプランジャおよび第2のプランジャの少なくとも一方)を使用して送達システムの状態を表示する。
【0104】
優先的には、表示装置は、薬物リザーバおよび出口装置の少なくとも一方と圧力連通する。例えば、薬物リザーバの内部区画に存在する圧力は、空洞を通して少なくとも1つの可動要素を移動させるように、表示装置に伝達され得る。
【0105】
表示装置は、表示装置に流体圧力を伝達するために、薬物リザーバの内部区画と(かつ/または出口装置と)流体連通し得る。より具体的には、薬物リザーバ(5)の出口は、表示装置(2)と流体連通および/または圧力連通し得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、リザーバの出口は、患者および表示装置と流体連通する。この場合、薬物送達中に、(患者に注入されることを意図された)医療用流体の一部が、空洞を少なくとも部分的に(例えば、本明細書に記載される第1の可変容積)を充填し、注入の終了時に、付勢手段が、空洞を空にし、患者に(表示装置の空洞に一時的に溜められた)残りの医療用流体を注入する可動要素の少なくとも1つの後退運動を誘発する。
【0107】
流体経路は、薬物リザーバ内の流体圧力と略同等の圧力で溶液を受け取るように適合されたT字形流路を備え得る。T字形流路は、リザーバの出口と流体連通する第1の流体ポートと、表示装置と圧力連通および/または流体連通する第2の流体ポートと、出口装置と流体連通する(かつ/またはバルブ装置と流体連通および/もしくは圧力連通する)第3の流体ポートとを備え得る。T字形流路は、第1の流体ポート、第2の流体ポート、および第3の流体ポートのうちの少なくとも1つからそれ以外の前記流体ポートのうちの1つへの流体連通を実現するように構成される。T字形流路は、本明細書では、原理を説明するために記載されており、他のタイプの流路も同じ技術的特徴を実現し得る。
【0108】
バルブ装置は、第1の流体ポート、第2の流体ポート、および第3の流体ポートのうちの少なくとも1つを塞ぐように構成され得る。第1の流体ポートは、リザーバの内部区画から(リザーバの出口から)T字形流路へ溶液を流すように構成され、第2の流体ポートは、表示装置と動作可能に結合されるように構成され、第3の流体ポートは、T字形流路から出口装置へ溶液を流すように構成され得る。
【0109】
T字形流路は、送達システムの入口ポートと流体連通し得る。T字形流路は、送達システムの入口ポートと流体連通する別途のポートをさらに備え得る。送達システムの前記入口ポートは、薬物リザーバの内部区画の流体連通するように構成され得る。
【0110】
図14および
図22によれば、プランジャが所定の位置(例えば、第1の位置および/または第3の位置)にあるとき、プランジャの一部がT字形流路の一部を通って延在し得る。
【0111】
薬物リザーバは、(例えば、薬物リザーバが最初に、または空で販売される場合)薬物リザーバを送達されるべき溶液で充填するように適合された入口を備え得る。入口は、送達システムの入口ポートと流体連通し得る。入口は、リザーバの出口と異なり得る。別の実施形態では、入口は、リザーバの出口でもあり得る。この場合、リザーバの出口は、入口と流体連通する。さらに、薬物リザーバの入口は、表示装置と流体連通または圧力連通し得る。この場合、表示装置は、薬物リザーバの充填に関連した情報を提供するためにも使用され得る。
【0112】
送達システムは、内部に薬物リザーバ(5)、ポンプ装置(22)、バルブ装置(3)、流体経路(18)および/または表示装置(2)が少なくとも部分的に配置され得るハウジングを備え得る。
【0113】
図22aによれば、プランジャ装置(11、12)は、送達システムが注入準備完了状態または使用準備完了状態であることを表示し得る初期位置にある。この状態は、送達システムの初期状態であり得る。
【0114】
プランジャ装置がバルブ装置(3)を備える場合、プランジャが初期位置にあるときに、バルブ装置は、リザーバと出口装置との間の流体経路を塞ぎ得る。このバルブ装置は、送達システムの作動前に、例えばユーザが薬物リザーバを充填するときに溶液が出口装置に到達するのを防止し得る。バルブ装置は、流体経路の一部に挿入され、後述するように可動要素(例えば第1のプランジャ)またはプランジャの一部に機械的に結合されたロッドであり得る。
【0115】
次に
図22bに注目すると、送達システムの作動後、薬物リザーバ(5)は圧力装置によって加圧され、医療用流体が、流体経路を通って流れ、可動要素(11、12)を空洞に対して(例えば、空洞の両端によって画定された軸線に従って直線的に(22))移動させる。第1の可動要素と空洞の第1の端部との間に画定された容積は増加し、医療用流体の体積分率を受け取り得る。可動要素は、所定の位置の方へ移動し、表示装置は、注入が進行中であることを表示する。この位置は、薬物リザーバが空になるまで維持され得る。
【0116】
可動要素が医療用流体と流体連通する場合には、空洞は流体ポートを備え、医療用流体の体積分率が(流体ポートを備える端部とプランジャ装置との間の)空洞の一部を充填する。
【0117】
表示装置(2)がただ1つの可動要素を備える場合には、可動要素は移動される。表示装置が2つの異なる可動要素を備える場合には、両方の可動要素が移動され、例えば、流体圧力により第1の可動要素が移動され、第1の可動要素により(例えば、第1の可動要素により、または第1の可動要素と第2の可動要素との間の圧縮ガス溜まりが原因で押されて)第2の可動要素が移動され得る。この段階の間、第2の可動要素と空洞の第2の端部との間の容積は減少する。第2の端部がベントを備えない場合には、この容積中のガスは圧縮される。
【0118】
表示装置がバルブ装置(3)を備える場合、圧力装置が作動されると、薬物リザーバ内の流体圧力が増加し、バルブ装置を開放するのに必要な所定の閾値に到達する。
【0119】
次に
図22cに注目すると、薬物リザーバが空のとき、医療用流体の流体圧力は大気圧(または、出口装置が経皮装置を備える場合には間質圧)に到達するまで減少する。表示装置は、注入が終了したことを表示するために、第1の可動要素および第2の可動要素の少なくとも一方を第1の端部の方へ移動させるように構成され得る。第1の可動要素と第1の端部との間の容積は減少する。この容積が医療用流体の体積分率を受け取っている場合、可動要素の移動により溶液が経路を通して出口装置に排出される。
【0120】
空洞は、円筒形または四角柱形状を呈し得る。
【0121】
図1に、いくつかの実施形態で必要とされ得る任意選択のベント(40)を示す。
【0122】
送達システムの例
表示装置を備えるように適合された送達システムの一例が、その後、Debiotech SAの名義の、2018年7月11日に出願された欧州特許出願公開第18182850.0号明細書および1月11日に出願された欧州特許出願公開第19151324.1号明細書で開示されており、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
図25に示されるように、送達システム(101)は、医療用流体(薬物や医薬流体やその他の流体など)を溜めるように適合された第1のリザーバ(111)を備え得る。医療用流体は、液体または気体、例えば非圧縮性流体であってもよく、例えば経皮装置(107)を介して患者(102)に送達されることを意図される。経皮装置(107)は、第1のリザーバ(111)と流体連通してもよく、例えば、針、カニューレ、1つもしくは複数のマイクロニードル、または医療用流体を患者の体内もしくは体表に届けるように適合もしくは構成された他の手段を備え得る。
【0124】
送達システム(101)は、第1のリザーバ(111)に動作可能に結合され得る(106)加圧手段(114)をさらに備え得る。例えば、加圧手段(114)は、第1のリザーバ(111)から患者(102)への医療用流体の流れを引き起こすために第1のリザーバを加圧するように適合または構成され得る。例えば、第1のリザーバ(111)が可動壁(例えば柔軟膜)を備える場合、加圧手段(114)は、第1のリザーバに加圧するために可動壁に作用するように構成され得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、加圧手段は、例えば、範囲[+0.1バール;+10バール]に含まれる20℃での蒸気圧を有する液化ガスを含有する推進剤室を備え得る。装置は、システム作動中に開放され、例えば、第1のリザーバ(111)の可動壁に加わる圧力を伝達することによって第1のリザーバ(111)の加圧を可能にするバルブを含み得る。
【0126】
送達システム(101)は、加圧手段(114)に動作可能に結合され得る作用手段(115)をさらに備え得る。例えば、作用手段(115)は、第1のリザーバの加圧を可能にするように適合または構成され得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、加圧手段は第2のリザーバを備えていてもよく、作用手段は、加圧手段と流体連通または圧力連通する第3のリザーバを備え得る。作用手段は、バルブ装置と、例えば、バルブ装置が開放位置にあるときに、(加圧手段の)第2のリザーバと(作用手段の)第3のリザーバとの間の流体連通を可能にする流体経路とをさらに備え得る。
【0128】
作用手段の第3のリザーバは、推進剤などの圧縮流体を溜めるように構成または適合され得る。推進剤は、周囲温度で大きな値の蒸気圧を呈する液化ガスであり得る。したがって、圧力範囲は、既定の範囲の動作温度内、通常は5℃~40℃でこの蒸気圧の発生によって決定される。推進剤としてイソブテンを考えると、この圧力(絶対)は、例えば、5℃で1.86バール、20℃で3バール、40℃で5.25バールである。
【0129】
別の実施形態によれば、加圧手段(114)は、ばねと、弾性装置と、第1のリザーバに(例えば、可動壁、柔軟壁、プランジャなどに)作用するアクチュエータとを備え得る。また、作用手段(115)は、バッテリーやその他の化学的要素などのガスを放出もしくは発生するか、または加圧手段(114)に作用するように適合された要素を備え得る。
【0130】
送達システムは、単回使用を意図され得る。よって、単回使用/送達の後、送達システムは廃棄され、例えば完全に廃棄され得る。
【0131】
送達システムは、第1の貯留区画に溜められた溶液の全量を単回急速投与で送達するように構成され得る。よって、一度トリガ装置が作動されると、送達システムは、第1の貯留区画が実質的に空になるまで溶液を患者に注入することになる。
【0132】
送達システムは、本明細書で開示される表示装置を介して、患者に送達の終了を知らせるように適合され得る。
【0133】
優先的には、送達システムは、溶液を送り、かつ/または第1のリザーバに加圧し、かつ/または加圧手段(114)および/もしくは作用手段(115)を制御するように構成されたいかなる電子要素も備えない。とはいえ、いくつかの実施形態では、送達システムは、送達を制御および/または監視するように構成された電子装置を備え得る。例えば、表示装置は、圧力センサ、プロセッサおよび/または光表示器(LEDなど)といったいくつかの電子要素を備え得る。ただし、優先的には、送達システムおよび表示装置は、電子要素および/またはバッテリーなしで動作するように構成される。
【0134】
図26で開示される送達システム(101)は、
第1のリザーバ(111)、
第2のリザーバ(112)、および
第3のリザーバ(113)
のうちの少なくとも1つを備える。
【0135】
いくつかの実施形態では、第1のリザーバ(111)は、第1の貯留区画と、第1のリザーバ(111)の容量(例えば、貯留区画の容積)を変更するように構成された第1の可動壁(例えば柔軟壁/膜)と、溶液が貯留区画から出ることを可能にする出口ポートとを備える。出口ポートは、例えば送達システムが溶液を患者に送達するときに、経皮装置(107)と流体連通するように構成される。
【0136】
第1のリザーバは、貯留区画を、患者に送達されることを意図された溶液(例えば医療用流体)で充填するための入口ポートを備え得る。入口ポートおよび出口ポートは同じポートであり得るか、または入口ポートは出口ポートと異なるポートであり得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、第2のリザーバ(112)は、第2の貯留区画と、第2のリザーバ(112)の容量(例えば、第2の貯留区画の容積)を変更するように構成された第2の可動壁(例えば柔軟壁/膜)とを備える。より具体的には、第2の貯留区画の容積の変化により、第2の可動壁の移動(例えば、柔軟膜の移動/変形/伸び)が誘発される。第2のリザーバは、入口ポートを備え得る。第2のリザーバ(112)は、例えば送達の終了時に推進剤を第2のリザーバから排出するように構成された出口ポートを備え得る。
【0138】
優先的には、第1のリザーバ(111)および第2のリザーバ(112)は、第1の可動壁と第2の可動壁とが少なくとも部分的に接触するときに第1のリザーバと第2のリザーバとが圧力連通するように構成されたリザーバの界面(106)を備える。
【0139】
いくつかの実施形態では、第3のリザーバ(113)は、推進剤などの(圧縮状態の)圧縮流体を溜めるように構成された第3の貯留区画(113a)を備える。第3のリザーバは、第3の貯留区画の容積が一定であるように剛性壁を備え得る。第3のリザーバは、圧縮流体が第3の貯留区画から第2の貯留区画に流れるように、送達状態で第2の貯留区画と流体連通するように構成された出口ポートを備える。
【0140】
送達システムは、表示装置(109)をさらに備え得る。表示装置は、第1のリザーバ、第2のリザーバ、第3のリザーバおよび経皮装置のうちの少なくとも1つに動作可能に結合され得る(例えば、圧力連通する、流体連通するなど)。表示装置(109)は、ユーザに、送達システムもしくは充填プロセスの状態または記載の要素、例えば:閉塞、準備完了、作動準備完了、充填準備完了、注入準備完了、送達進行中、エラー、貯留区画満杯、貯留区画空、送達終了など、のうちの1つに関する情報を提供するように構成され得る。
【0141】
送達システムは、送達システムを患者の皮膚に固定するように構成された皮膚接着可能ユニット(103)を備え得る。皮膚接着可能ユニットは、接着のための患者の皮膚面に面する接着面を有する第1の側面と、皮膚接着可能ユニットを覆うための取り外し可能なカバーとを備え得る。皮膚接着可能ユニットは、フレームと、送達システムを(任意選択で取り外し可能に)固定するように構成された結合装置とをさらに備え得る。
【0142】
送達システムは、トリガ装置(108)、ベント装置(116)、1つまたは複数のバルブ装置(104、126)、および流体経路(105)などのうちの少なくとも1つをさらに備え得る。
【0143】
図27a、
図27b、
図27c、
図27d、および
図27eで開示されるように、リザーバの界面(106)は、少なくとも、第1の可動壁の第1の面(106a)と第2の可動壁の第2の面(106b)とによって画定された空洞を備え得る。優先的には、第1の面(106a)は、第2の面(106b)と対向して配置される。リザーバの界面(106)は、第1の面(106a)が、
送達システムが第1の状態(例えば、送達システムの初期状態)にあるときに、第2の面(106b)から間隔を置いて配置され、かつ/または
送達システムが第2の状態(例えば、送達システムの送達状態)にあるときに、第2の面(106b)と接触し得る
ように構成され得る。
【0144】
リザーバの界面の空洞は、送達状態および/または充填状態に応じた可変容積を有し得る。この空洞は、後述するようにベント装置(116)によって優先的に通気される。
【0145】
ベント装置(116)(例えば開口部)は、少なくとも送達システムの内部と送達システムの外部環境との間の流体連通を可能にすることを意図される。ベント装置は、リザーバの界面(106)の空洞を通気状態に保持するように構成され得る。特に、ベント装置は、第1の貯留区画の容積および第2の貯留区画の容積の少なくとも一方が変動するときに、リザーバの界面空洞の圧力平衡を実現するように構成され得る。とはいえ、システムは、少なくとも充填プロセスまたは貯留期間の間にベント装置(116)を塞ぐように構成された閉塞装置を備え得る。
【0146】
ベント装置は、筐体への水の流入を防止するように構成された疎水性膜、フィルタ、またはコーティングを備え得る。ベント装置は、真っ直ぐな剛性の先端の挿入を防止するように構成されたバッフルを備え得る。
【0147】
送達システムに含まれ得るベント装置の一例が、米国特許第9,872,955号明細書に記載されており、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0148】
図27a、
図27b、
図27c、
図27d、および
図27eには、特に第1のリザーバおよび第2のリザーバにおける、送達システムの異なる可能な状態が示されている。
【0149】
初期状態:
いくつかの実施形態では、
図27aおよび
図27bで開示されるように、第1の貯留区画が最初に(例えば、送達の前、送達システムがパッケージ状態にあるときには)医療用流体を貯留せず、第1の貯留区画の容積は、最初は最小であり得る。この場合、第1の貯留区画は、最初は実質的に空である。可動壁は、例えば、第1のリザーバ(111)の剛性部分の内壁を背にして、(例えば、第1の貯留区画の実質的な長さで)第1のリザーバの反対側の内壁と接触し得る(かまたは非常に接近し得るかまたは最も近い状態であり得る)。
【0150】
(例えば、
図27dで示されるシステムの状態のような)別の実施形態では、第1の貯留区画は、最初に医療用流体を貯留し得る。この場合、第1の貯留区画の容積は最大であり得る。
【0151】
どちらの場合も、優先的には、第1のリザーバおよび第2のリザーバの可動壁は、第1のリザーバに対してどんな意図しない圧力も加えないように、接触しない。さらに、リザーバの界面は、ベント装置によって通気され得る。または、取り外し可能閉塞装置がベント装置を一時的に塞ぎ得る。
【0152】
送達システムの初期状態では、第1の可動壁の第1の面(106a)と第2の可動壁の第2の面(106b)との間のギャップ(117)が最大であり、かつ/またはリザーバの界面空洞(144)の容積が最大であり得る。
【0153】
優先的には、第2の貯留区画の容積は、最初は最小である。とはいえ、第2の貯留区画は空でなくてもよく、最初は気体(例えば、製造工程で閉じ込められた空気)などの流体を貯留し得る。
【0154】
(
図27には示されていない)第3のリザーバは剛性壁のみを優先的に備え、第3の貯留区画の容積は一定である。また、第3の貯留区画は、圧縮流体を最初に貯留する場合もそうでない場合もある。
【0155】
充填工程:
第1の貯留区画が最初に医療用流体を貯留しない場合、ユーザは、使用前に第1の貯留区画を充填しなければならず、第1のリザーバは、第1の貯留区画を医療用流体で充填するように構成された入口ポートを備え得る。
【0156】
図27cには、シリンジ(121)を介した第1のリザーバの充填が示されており、第1の貯留区画の容積は増加し、リザーバの界面空洞(144)の容積は減少する。第1の可動壁の第1の面(106a)は第2のリザーバの方へ、例えば第2の可動壁の第2の面(106d)の方へ移動する。流体(例えば、リザーバの界面空洞に閉じ込められた気体)は、ベント装置(116)を通して送達システムの外部に放出/排出され得る。ベント装置が取り外し可能閉塞装置によって詰まるかまたは塞がれている場合には、第1のリザーバが充填されるにつれて、第1の貯留区画(111a)内の圧力および/またはリザーバの界面空洞(144)内の圧力が増加することになる。本明細書で記載されるように、表示装置は、この圧力増加を検出し、ユーザに充填表示を提供し得る。
【0157】
第3の貯留区画が最初に圧縮流体を貯留しない場合、ユーザは、使用前に第3の貯留区画を充填しなければならず、第3のリザーバは、第3の貯留区画を圧縮流体で充填するように構成された入口ポートを備え得る。
【0158】
薬物満杯状態:
充填工程の終了時に、第1の可動壁の第1の面(106a)と第2の可動壁の第2の面(106b)との間のギャップが実質的に低減される。第1の可動壁の第1の面(106a)と第2の可動壁の第2の面(106b)とは、接触する場合も接触しない場合もある。第1の可動壁に加わる圧力がもしあれば、制限されなければならず、患者への溶液の流れを誘発してはならない。
【0159】
この状態で、表示装置は、送達システムが注入準備完了状態であるか、または薬物リザーバが満杯であることを表示し得る。
【0160】
作動/送達状態
トリガ装置が作動された後(例えば、所定の期間の直後または後)、トリガ装置は送達システムの状態の変更を開始する。バルブ装置(
図26で開示される104)は、第1の状態/位置(閉鎖位置)から第2の状態/位置(開放位置)に切り替わる。バルブ装置の第2の状態/位置は、第3の貯留区画から第2の貯留区画への圧縮流体の流れを誘発する。第2の可動壁は、圧縮流体の流体圧力により第1のリザーバの方へ移動する。第2のリザーバに入る圧縮流体の流体圧力は、第1の可動壁に圧力を加える第2の可動壁の変位(屈曲)を誘発する。
【0161】
少なくとも送達中には、第2の可動壁は、第1の可動壁の表面の少なくとも50%、優先的には少なくとも80%、より優先的には少なくとも90%で、例えば(実質的に)100%で第1の可動壁と接触するように構成される。
【0162】
第2のリザーバの流体圧力は、第1のリザーバに、特に、第1の貯留区画に溜められた溶液に(少なくとも部分的に、または実質的に)伝達される。さらに、圧力は、経皮装置への溶液の流れを引き起こす。
【0163】
第2の貯留リザーバの容積および/または圧縮流体の量は、送達の所定の期間中に略一定の流体圧力を有するように適合される。例えば、この所定の期間は、第1の貯留区画を実質的に空にするのに必要な期間の少なくとも50%、優先的には少なくとも80%、より優先的には少なくとも90%、例えば第1の貯留区画を実質的に空にするのに必要な期間と少なくとも同等であり得る。後者の場合、流体圧力は、送達の全期間にわたって一定である。
【0164】
表示装置の本体
表示装置は、流体ポートを介して、または空洞内に配置されたプランジャに圧力を伝達するように構成された要素を介して流体経路と流体連通または圧力連通する空洞を有する本体を備え得る。
【0165】
表示装置の少なくとも一部は、透明なプラスチック、例えば、例えばポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリオレフィン、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)でできていてもよい。シリンダの内面は、例えば、PEGやシリコーンやパリレンによってコーティングされ得る。プランジャの動きを改善するために潤滑油(シリコーン油など)も使用され得る。(1つまたは複数の)プランジャは、ゴムまたはシリコーンまたは任意の他の硬質エラストマー材料でできている。とはいえ、空洞壁に対するプランジャの摩擦により、リザーバ充填の処理中のプランジャの望ましくない移動が防止され得る。
【0166】
第1の可変容積は、患者に注入されることを意図された溶液の体積分率を受け取るように構成されていてもよく、よって、この容積の壁材は、溶液との適合材料を含み得る。
【0167】
可動要素
いくつかの実施形態では、可動要素は、プランジャ、または表示装置の空洞を通って/空洞内に移動するように構成され得る他の要素であり得る。説明を簡潔にするために、本明細書では、可動要素をプランジャとして示す。
【0168】
プランジャは、空洞壁に対してスライドし、緊密な界面を実現するように構成されたリップを備え得る。例えば、プランジャは、緊密さを改善し、かつ/または摩擦を移動の方向に依存させる構造化またはシーリングリップを呈し得る。別の実施形態では、1つのプランジャが(
図4で示されるように)一方向にのみ移動することができる。リップの向きは、+90°~-90°に含まれ得る。
【0169】
表示装置の第1の実施形態は、単一のプランジャを備える。単一のプランジャ(第1のプランジャとも呼ばれる)は、空洞を通る少なくとも1つの運動、より優先的には空洞を通る2つの運動、例えば前進後退運動を行うように構成され得る。第1のプランジャは、送達されることを意図された溶液の圧力に応じて(薬物リザーバ内の流体圧力に応じて)移動するように構成され得る。
【0170】
単一のプランジャは、空洞内に配置され、空洞の第1の端部と単一のプランジャとの間の第1の可変容積と、空洞の第2の端部と単一のプランジャとの間の第2の可変容積とを画定し得る。
【0171】
最初に、プランジャは、第1の初期位置にあり得る。溶液圧力が増加する(送達の作動によって引き起こされる)と、溶液圧力は、第1の経路に従った第1のプランジャの運動を誘発して、第1のプランジャが第2の位置に到達する。優先的には、この段階では、第1の可変容積は増加し、第2の可変容積は減少する。第2の位置は、溶液圧力が所定の範囲内または(患者への溶液の流れに必要とされ得る)所定の値より大きい間は維持され得る。溶液圧力が減少すると、付勢手段(圧縮ガス、ばねなど)が第1のプランジャを、第3の位置または第1の位置に到達するまで、第2の方向に従って(例えば、第1の経路とは反対に、例えば第1の位置の方へ)移動させ得る。優先的には、この段階では、第1の可変容積は減少し、第2の可変容積は増加する。
【0172】
表示装置の第2の実施形態は、2つの(またはより多く、例えば3つの)プランジャを備える。第1のプランジャは、空洞を通る少なくとも1つの運動、より優先的には空洞を通る2つの運動、例えば前進後退運動を行うように構成され得る。第1のプランジャは、送達されることを意図された溶液の圧力に応じて移動され得る。
【0173】
第1のプランジャおよび第2のプランジャ(およびさらに多くのプランジャ)は、空洞内に配置され、空洞の第1の端部と第1のプランジャとの間の第1の可変容積、第1のプランジャと第2のプランジャとの間の第2の可変容積、および第2のプランジャと空洞の第2の端部との間の第3の可変容積を画定し得る。
【0174】
最初に、第1のプランジャは第1の初期位置にあり得る。溶液圧力が増加する(送達の作動によって引き起こされる)と、溶液圧力は、第2の位置までの、第1の経路に従った第1のプランジャの移動を誘発する。優先的には、この段階では、第1の可変容積は増加し、第2の可変容積は一定であるかまたは減少し、第3の可変容積は一定であるかまたは減少する。第2の位置は、溶液圧力が所定の範囲内または(患者への溶液の流れに必要とされ得る)所定の値より大きい間は維持され得る。溶液圧力が減少すると、付勢手段(圧縮ガス、ばねなど)が第1のプランジャを、第2の方向に従って(例えば、第1の経路とは反対に、例えば第1の位置の方へ)第3の位置または第1の位置まで移動させ得る。優先的には、この段階では、第1の可変容積は減少し、第2の可変容積は増加し、第3の可変容積は一定である。第2のプランジャは、空洞を通る少なくとも1つの運動、または空洞を通る2つの運動、例えば前進後退運動を行うように構成され得る。第2のプランジャの1つの運動は、送達されることを意図された溶液の圧力によって、かつ/または第1のプランジャの運動によって引き起こされ得る。例えば、溶液圧力は、同じ経路に沿って第2のプランジャを押す第1のプランジャの運動を引き起こし得る。最初に、第2のプランジャは、第1の初期位置にあり得る。溶液圧力が増加する(送達の作動によって引き起こされる)と、溶液圧力および/または第1のプランジャは、第2の位置までの第1の方向に従った第2のプランジャの運動を誘発する。第2の位置は、溶液圧力が所定の範囲内または(患者への溶液の流れに必要とされ得る)所定の値より大きい間は維持され得る。溶液圧力が減少すると、付勢手段(圧縮ガス、ばねなど)が第2のプランジャを、第2の方向に従って(例えば第1の方向とは反対に、例えば第1の位置の方へ)第3の位置または第1の位置まで移動させ得る。別の実施形態では、第2のプランジャは、たとえ送達の終了時に溶液圧力が減少しても、その第2の位置にとどまる。
【0175】
少なくとも1つのプランジャが、流体圧力が加えられる表面を備える。第1のプランジャの表面は、送達されるべき溶液と接触するように構成され得る。この場合、溶液は、プランジャの運動を引き起こすこの表面に対して(薬物リザーバ内の流体圧力に起因する)力を加える。
【0176】
第2のプランジャ(12)は、例えば、細長い空洞の軸線(すなわち、円筒形の細長い空洞の回転軸)に平行な軸線に従って第2のプランジャの一端から第2のプランジャの反対端まで延在する(貫通孔やなどの多孔質要素などの)流体経路を備え得る。
【0177】
プランジャは、空洞の細長い壁に対してスライドするように構成され得る。さらに、シーリング材(例えば、プランジャがシーリング材を含み得る)が、プランジャの下流側で画定された容積とプランジャの上流側で画定された別の容積との間にシーリング界面を実現するために、プランジャと空洞の細長い壁との間に配置され得る。
【0178】
表示装置の空洞
上述のように、表示装置は、少なくとも1つのリザーバおよび/または経皮装置に結合されるように適合された流体ポートを有し得る(内部)空洞を含む本体を備える。空洞は、主軸を画定する第1の端部および第2の端部をさらに備える。第1の端部は、流体ポートを備え得る。
【0179】
空洞の第2の端部は、装置の外部環境と流体連通する連通ポートに連結され得る。連通ポートは、閉鎖され得る(栓または熱溶接、UV溶接、オーバー溶接、US溶接、オーバーモールドなどを使用して得られる終端部)。したがって、初期の空気量は、例えば、大気圧、1013ミリバール絶対(1気圧)などで、空洞の内部に閉じ込められる。
【0180】
いくつかの実施形態では、表示装置は、医療用流体リザーバと流体連通または圧力連通する第1の流体ポートおよび加圧リザーバと流体連通または圧力連通する第2の流体ポートの少なくとも一方を備える。
【0181】
空洞内には1つまたは複数の可動要素が移動可能に配置される。空洞の内壁と可動要素(壁または表面)は、少なくとも1つの可変容積を画定する。
【0182】
いくつかの実施形態では、表示装置は、2つの異なる空洞、すなわち、医療用流体リザーバと流体連通または圧力連通する第1の空洞および加圧リザーバと流体連通または圧力連通する第2の空洞を備える。第1の空洞は、第2の空洞から厳密に分離され得る。
【0183】
可動要素の位置
第1の可動要素は、少なくとも2つの異なる位置、すなわち、第1の初期位置および第2の位置を有するように構成される。優先的には、第1の可動要素は、第1の初期位置から第2の位置まで移動し、次いで第2の位置から第1の初期位置または第3の位置まで移動するように構成される。
【0184】
第1の可動要素は、溶液が患者に流れているときに第2の位置に到達するように構成され得る。第1の可動要素は、溶液送達の期間の実質的な部分にわたって第2の位置にとどまるように構成され得る。
【0185】
表示装置が2つの異なる可動要素を備える場合には、第2の可動要素は、2つの異なる位置、すなわち、第4の初期位置および第5の位置を有するように構成される。第2の可動要素は、第4の初期位置から第5の位置まで移動し、次いで第5の位置にとどまるように構成され得る。第2の可動要素は、溶液が患者に流れているときに第5の位置に到達するように構成され得る。第2の可動要素は、溶液送達の終了後に第5の位置にとどまるように構成され得る。
【0186】
停止部材
表示装置は、注入中のプランジャの位置を画定するために使用される(停止部材とも呼ばれる)第1の機械的止め具(23)を含み得る(
図6参照)。装置の作動後、プランジャは、最悪の指定圧力条件を考慮して、空洞の終端部側に位置し得る第1の機械的止め具に到達することになっている。例えば、装置が液化ガス(ブタンなど)で動く場合、最悪の条件は最低指定温度において満たされ、これは推進剤蒸気圧の最小値、したがって注入圧力
【数1】
の最小値の原因となる作動後、シリンダ内に最初に存在する気体は、マリオットの法則に従って圧縮される。(注入中に)第1の機械的止め具とシリンダの終端部との間に備わる空洞の容積内部の圧力
【数2】
は、容積変化と温度との比の関数である。本体およびプランジャの組立て時の温度および圧力は十分に制御されるものとする(22℃で1気圧など)。また、装置開梱時の環境条件は初期プランジャ位置を変更しないものとする。温度動作範囲[+5℃;+40℃]では、
【数3】
の変動性は、注入中にプランジャが第1の機械的止め具に到達する場合には、
【数4】
に制限される。この特徴は、
【数5】
が駆動圧力になるときに、注入の終了時に第2の機械的止め具に対して固体プランジャの移動を固定するために重要である。シリンダの円錐状の狭まり(または内側リング)によって形成されたこの第2の機械的止め具は
図5および
図6に示されている。
【0187】
停止部材は、空洞の第1の端部または空洞の第2の端部であってもよく、空洞内に、例えば空洞の内壁に対して配置され得るか、または(磁石要素もしくは強磁性要素を備える)可動要素と磁気的な方法で協働する磁石要素(もしくは強磁性要素)であり得る。停止部材は、1つまたは複数の可動要素に専用であり得る。
【0188】
図5、
図6、
図12、および
図13に開示されるように、停止部材(23)は、少なくとも1つの可動要素を停止させ、単一の方向に従った少なくとも1つの可動要素の運動を許容するように構成され得る。よって、少なくとも1つの可動要素の運動は、停止部材によって一方向のみに制限され得る。
【0189】
図の中には(
図7などを参照)、空洞本体の一部によって隠され得るために停止部材を示していないものもある。
【0190】
停止部材は、以下で、例えば「閾値効果を有する表示器」の項で説明されるように、圧力閾値に到達しない限り可動要素の変位を防止するように構成され得る。
【0191】
ゼロ調整磁石
可動要素位置の初期設定/ゼロ調整は、シリンダ内に配置された磁石を使用して行われ得る。この磁石を機械的止め具として使用することができる。主な欠点は、磁石が可動要素の位置決め後に製造時に機械的に固定されない限り、MRI適合性が失われることである。
【0192】
閾値効果を有する表示器
表示装置は、プランジャがその変位を開始するために最小限の圧力を必要とし得るように構成され得る。よって、例えば、薬物リザーバの充填中には、たとえ(例えば充填が原因で)圧力が発生しても、この圧力はプランジャの運動を開始させるのに十分ではない。この段階の間にプランジャ位置を変更しないことは興味深い。初期変位は、装置作動中に発生する大きな圧力によって固定され、プランジャに加わる圧力は、設計により摩擦力よりはるかに大きい。
【0193】
プランジャは、作動後の位置(空洞の右部分)に到達することができる。最後の圧力解放中に、連通ポート内の液体がもはや加圧されないときに、プランジャはその初期位置の方へ、この閾値効果によりそこまで到達せずに移動し得る。
【0194】
この閾値効果は以下によって得られ得る:
シリンダとプランジャとの間の摩擦:
シリンダとプランジャ直径との間の許容差によって制御される摩擦
シリンダおよび/またはプランジャの構造化によって制御される摩擦
シーリングリップの存在によって制御される摩擦(
図4などを参照)
シリンダの内部形状またはプランジャの外部形状に起因する摩擦(
図5などを参照)
図5に、ただ1つのプランジャを備える注入状態表示器の一実施形態を示す。空洞の内部にある円錐状の狭まりの存在により、プランジャの以下の3つの異なる位置の画定が可能になる:
初期位置=空洞の右部分にあるプランジャ
注入位置=空洞の左部分にあるプランジャ
注入の終了位置=中間の既定の位置(円錐状の狭まり)にあるプランジャ
図5dに、注入状態の視覚化、したがって明白な方法での決定を可能にする表示装置の本体上に配置された窓の一例を示す。
【0195】
充填段階
表示装置は、ユーザに充填段階に関する表示を表示するように構成され得る。薬物リザーバ内に十分な量の溶液が充填されると、可動要素の位置に到達し得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、
図23a~
図23fで示されるように、表示装置(2)は、充填終了の表示を備え得る。この例では、表示装置(2)は、(1つまたは複数の可動要素の)4つの異なる状態/位置をさらに備える。第1のプランジャ(11)(例えば固体の第1のプランジャ)および第2のプランジャ(12)(例えば穿孔されたプランジャ)が、空洞の内部に位置する。優先的には、送達システム(図示されていない)は、(後述する)既定の開放閾値を有する自由流れ防止バルブなどのバルブ装置(図示されていない)をさらに備え、前記既定の開放閾値は、リザーバ充填中に発生する最大リザーバ圧力よりも実質的に大きい。
【0197】
以下の3つの容積が画定される:第1のプランジャ(11)と空洞の第1の端部(14)との間の第1の可変容積、付勢手段(29)(圧縮性ばねなど)が配置され得る(両方のプランジャに作用する)、2つのプランジャ(11、12)の間の第2の可変容積、および第2のプランジャ(12)と空洞)の(15)第2の端部との間の第3の可変容積。任意選択で、第3の可変容積は、ベント装置(28)を介して通気され得る。2つのプランジャは、最初は停止部材(23)の右側に配置される。
【0198】
送達システム(1)が最初に空である場合、ユーザは薬物リザーバ(5)を充填しなければならない。このために、薬物リザーバは、(
図1で開示されるように)薬物リザーバの内部区画と流体連通する入口ポート(38)を備え得る。ユーザは、シリンジを使用して薬物リザーバ(5)を溶液で充填し得る。
【0199】
位置1(
図23a):充填前、付勢要素(29)は停止部材(23)および空洞の第1の端部(14)に対して2つのプランジャを維持する。表示装置が
図23eの窓配置を備える場合、第2のプランジャ(12)のみが窓1を通して見える。表示装置が
図23fの窓配置を備える場合、第1のプランジャ(11)のみが窓1を通して見える。別の実施形態では、リザーバの充填前にはどの窓を通しても第1のプランジャと第2のプランジャのどちらも見えない場合がある。
【0200】
ユーザが薬物リザーバを充填すると、シリンジに最初に溜められた溶液は薬物リザーバの内部に移動される。膜(7)は薬物リザーバ内の注入容積に応じて移動する。
【0201】
位置2(
図23b):充填後、第1のプランジャ(11)は窓2を通して見えるようになる。リザーバは、充填後にわずかな圧力P
fillを発生するように設計される。この圧力は、固体プランジャを左に移動させることになり、ばねを圧縮する。ばねの剛性は、第1のプランジャを第2のプランジャの突出部に到達させるように調整される。
【0202】
充填中に(または充填の終了時に)薬物リザーバ内に十分な圧力を発生させるために、溶液の注入容積は、薬物リザーバの内部区画の容積より大きくてもよい。この場合、薬物リザーバの内部区画の容量は、充填終了が、第1のプランジャを所定の位置に到達させる薬物リザーバ内の圧力のピークによって特徴付けられるように構成され得る。
【0203】
任意選択で、圧力は、膜の弾性が原因でさらに発生し得る。この場合、膜の弾性は、充填終了が、第1のプランジャを所定の位置に到達させる薬物リザーバ内の圧力のピークによって特徴付けられるように構成され得る。
【0204】
位置3(
図23c):(送達の作動後の)注入中に、停止部材の妨害に打ち勝つことができる大きな注入圧力P
injにより両方のプランジャが左に移動する。送達システムがバルブ装置を備える場合、バルブ装置は流体経路を開放して溶液を出口装置に流す。
【0205】
表示装置が
図23eの窓配置を備える場合、第2のプランジャ(12)のみが窓3を通して見える。表示装置が
図23fの窓配置を備える場合、第1のプランジャ(11)のみが窓3を通して見える。
【0206】
任意選択で、第2のプランジャ(第2のプランジャの突出部)は、この段階中に第1のプランジャを所定の位置に維持するように、かつ/またはばねの過圧縮を防止するように構成され得る。第2のプランジャは、第2の可変容積と第3の可変容積との間の圧力平衡または流体連通を実現する貫通孔を備え得る。
【0207】
位置4(
図23d):注入後、第1のプランジャ(11)は、今度は窓4を通して見える。薬物を含有する空洞内の圧力は注入の終了時にゼロまで降下する。ばねの作用により、第1のプランジャは停止部材(23)に到達するまで右に移動する。
【0208】
この例では、
図23eおよび
図23fに、2つの異なる窓配置が示されている。
図23eの窓配置は、第1のプランジャおよび第2のプランジャが送達システムの状態を表示することを可能にする窓のセットを実現する。
図23fの窓配置は、1つのプランジャ(例えば第1のプランジャ)のみが送達システムの状態を表示することを可能にする窓のセットを実現する。
【0209】
図28a、
図28b、
図28c、
図29a、および
図29bで示されるような別の実施形態では、送達システム(201)は、ハウジング(202)と、空洞(203)などの内部区画と、リザーバモジュール(204)と、流体経路(205)とを備える。モジュールリザーバは、本明細書に記載されるような第1のリザーバ、第2のリザーバおよび第3のリザーバのうちの少なくとも1つを備え得る。
【0210】
優先的には、送達システム(201)は、1つまたは複数のベント装置(207)を備える。ベント装置(207)は、開口、ベント、またはベントポートとも呼ばれ、ハウジング内に空気を誘導して、装置の内部の圧力平衡を可能にするために設けられ得る。ベント装置は、圧力平衡化を行い、かつ/または動作のために、少なくとも一部、周囲の空気との連通を必要とする装置の1つまたは複数の要素への(酸素を含む)空気移動を可能にするために、(例えば圧力変化に従った)空気の流れの調節をさらに可能にし得る。そのような1つまたは複数の要素には、電源(空気亜鉛電池など)、表示装置(209)が含まれ得る(
図30a参照)。
【0211】
いくつかの実施形態では、送達システムまたは空洞内に水が入るのを防止するために(疎水性膜層などの)選択膜がベント装置(207)を覆い得る。いくつかの実施形態では、リザーバモジュール(204)、表示装置(209)および電源(212)のうちの少なくとも1つに近接して少なくとも1つのベント装置が設けられる。
【0212】
流体経路(205)は、ポンプ装置、針(206)、圧力トランスデューサ、およびその他の要素(センサ、フィルタなど)のうちの少なくとも1つを備え得る。説明を簡潔にするために、「針」という用語を使用して、送達システムの出口装置が言及されている。出口装置は、針、経皮装置、または経皮装置に連結されることを意図されたポートであり得る。
【0213】
リザーバモジュールは、(上述のように)充填され、かつ/または溶液を溜めることを意図された(本明細書に記載の薬物リザーバとも呼ばれる)第1のリザーバを備え得る。第1のリザーバは、第1のリザーバの内部区画を少なくとも一部画定する(柔軟膜、プランジャなどの)可動壁を備え得る。第1のリザーバは、第1のリザーバの内部区画を少なくとも一部画定する一緒にシールされた2つの可動壁(例えば2つの柔軟膜)を備え得る。第1のリザーバは、一緒にシールされ、第1のリザーバの内部区画を少なくとも一部画定する可動壁(例えば柔軟膜)および剛性壁を備え得る。第1のリザーバは、(入口ポートとして使用される)内部区画の充填プロセスを可能にすることおよび/または(出口ポートとして使用される)流体経路との流体連通を可能にすることを意図された1つまたは複数の流体ポート(例えば、入口ポートおよび/または出口ポート)をさらに備え得る。フィルタが、例えば内部区画内に配置された、第1のリザーバの出口ポートを覆い得る。
【0214】
リザーバモジュールは、例えば、第1のリザーバに正圧を加えることによって(加圧ガス、液化ガス、リザーバの壁に力を加えるばねなど)第1のリザーバの内部区画内に溜められた溶液を移動させるように構成されたポンプ装置をさらに備え得る。ポンプ装置は、第1のリザーバの可動に力を加える可動壁を有する(本明細書に記載されるような)第2のリザーバを備え得る。
【0215】
図28a、
図28b、
図29a、および
図29bには、ベント装置(207)および針(206)の少なくとも一方を塞ぐことを意図された取り外し可能閉塞装置(208)を備える送達システムが示されている。
図28cには、閉塞装置(208)を取り外した後の同じ送達システムが示されている。取り外し可能閉塞装置(208)は、針を無菌状態に維持するように構成された第1の部分と、ベント装置を閉鎖するように構成された第2の部分とを備え得る。例えば、第1の部分は、針が無菌に保たれる空洞を備えるか、または形成するか、または閉鎖し得る。また、第2の部分は、ハウジング(例えば空洞)の内部区画を密閉するためにシール面を備え得る。
【0216】
図30a、
図30b、および
図30cによれば、表示装置は、少なくとも1つの可動要素(例えば1つまたは複数のプランジャ(221、222))と、内部で少なくとも1つの可動要素が移動し得る空洞とを備える。少なくとも1つの可動要素(221、222)は、表示装置の空洞を2つの異なる容積(第1の容積(224)および第2の容積(225))に分割し得る。少なくとも1つの可動要素(221、222)は、第1の容積(224)と第2の容積(225)との間の密閉分離を実現し得る。第1の容積(224)および/または第2の容積(225)は、空洞および可動要素(例えば第1のプランジャ)の少なくとも一方の壁の少なくとも1つによって画定され得る。第1の容積(224)および/または第2の容積(225)は、可動要素が圧力トランスデューサの空洞内に移動するにつれて増加および/または減少するように構成され得る。
【0217】
優先的には、第1の容積(224)は、第1の空洞(217)、流体経路(205)、およびリザーバモジュール(204)の少なくとも1つのリザーバのうちの少なくとも1つと圧力連通する。例えば、表示装置は、第1の空洞(217)と表示装置の空洞の第1の容積(224)との間の流体連通を実現する(第1の開口(226)などの)流体ポートをさらに有し得る。第1のプランジャ(221)は、第1の空洞(217)内に存在する圧力を受ける第1の面を有する壁を備え得る。第2のプランジャ(222)は、表示装置(209)の空洞内、例えば第2の容積(225)内に配置され得る。第2のプランジャ(222)は、例えば第1のプランジャによって押されて空洞内に移動するように構成され得る。第2のプランジャは、第2の容積が2つの別途の容積に密閉分離されるのを防止するように構成された(貫通孔などの)流体連通手段を備え得る。
図30a、
図30b、および
図30cで開示される表示装置(209)は、可能な実施形態であり、本明細書に記載される別の表示装置で置き換えられてもよく、逆もまた同様である。
【0218】
表示装置は、表示装置(209)の空洞内の少なくとも1つのプランジャの位置を示すように構成された少なくとも1つの窓(223)を備え得る。(少なくとも1つのプランジャの)第1の開口および/または位置が、送達システムまたはリザーバの第1の状態に関連した情報を提供し得る。
【0219】
図30aによれば、充填プロセスの前に、リザーバの内部区画の容積は最小であり、少なくとも1つのプランジャは、圧力トランスデューサ内の第1の位置にある。第1の窓は、少なくとも1つのプランジャの位置を示し得る。充填プロセス中に、第1の空洞(217)内の圧力は増加し、リザーバが充填されるにつれてこの圧力を第1の容積に伝達する。少なくとも1つのプランジャは、圧力が増加し、かつ/またはリザーバが充填されるにつれて移動する。
図30bによれば、充填プロセスの終了時に、リザーバの内部区画の容積は最大であり、少なくとも1つのプランジャは、圧力トランスデューサ内の第2の所定の位置にある。第2の窓が、少なくとも1つのプランジャの位置を示し得る。
図30cによれば、充填プロセスが終了すると、充填装置(219)が取り外されてもよく、取り外し可能閉塞装置(208)が取り外される。
【0220】
取り外し可能閉塞装置(208)が取り外されると、第1の空洞内に存在する過度の圧力がベント装置(207)を通って抜け出し得る。いくつかの実施形態では、第2の容積(225)は、密閉され、かつ/または付勢手段を備えていてもよく、過度の圧力がベント装置(207)を通って抜け出すにつれて少なくとも1つのプランジャ(例えば第1のプランジャ(221))の後退運動を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプランジャは(上述のように)第2のプランジャ(222)を備えていてもよく、第2のプランジャが流体連通手段を備える場合、第1のプランジャ(221)のみが第1の位置に、または第1の位置の方向に後退し得る。この場合、第2のプランジャは、第2の位置に実質的にとどまり得る。
【0221】
同様の実施形態が、本明細書に記載のシステムと併用され得る可能な表示装置(または充填ゲージ)の複数の図を示す
図31で開示されている。別の可能なシステムの一例が、参照により本出願に組み込まれる、欧州特許出願公開第18182850.0号明細書に記載されている。この実施形態では、表示装置(209)または表示装置(209)の可視部分は、装置の下部に位置し、よって充填プロセス中にのみ見える。
図31a、
図31bおよび
図31cに示されるように、充填容積は、プランジャの位置によって表示され得る。
図31aに、充填前の、表示器の左の2つのプランジャ(221、222)を示す。
図31bに、充填直後の、ベント装置から閉塞装置を取り外す前の、表示器の右の2つのプランジャ(221、222)を示す。
図31cに、閉塞装置の取り外し後の、表示器の左の第1のプランジャ(221)と、右の第2のプランジャ(222)とを示す。テキスト表示または目盛り表示により第2のプランジャによる充填容積を表示し得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、表示装置は、(第1のリザーバの)充填と送達とに関する表示を提供し得る。いくつかの実施形態では、表示装置は、第1の側面と第2の側面とを備え、第1の側面は、充填に関する表示を提供するように構成され、第2の側面は、送達に関する表示を提供するように構成され得る。
図32~
図35に、そのような特徴を備えるいくつかの実施形態を示す。
【0223】
例えば、
図32a、
図32b、
図32c、
図32dおよび、
図32eに、第1のリザーバの充填に関する表示を提供し得る表示装置(300)の第1の側面(301)を示し、
図32a’、
図32b’、
図32c’、
図32d’および、
図32e’に、送達に関する表示を提供し得る表示装置(300)の第2の側面(302)を示す。各側面は、視覚要素(305)および表示窓(306)の少なくとも一方を備える。
図32a、
図32b、および
図32cには、第1のリザーバの充填中の(プランジャとも呼ばれる)第1の可動要素および第2の可動要素(303、304)の運動が示されている。表示装置は、主軸(310)を画定する第1の端部(308)および第2の端部(309)を備え得る。表示装置(300)は、第1のリザーバおよび経皮装置(または本明細書のいくつかの実施形態に記載されるその他)のうちの少なくとも1つに結合された流体ポート(307)をさらに備え得る。送達システム(図示されていない)は、ベント装置と、(上述のような)専用の取り外し可能閉塞装置とを備え得る。
【0224】
送達システムは、薬物充填中にユーザを促して表示装置の第1の側面を露出させるように構成され得る。例えば、送達システムは、上面と下面とを備え得る。下面は、第1のリザーバの入口ポートを備え、表示装置(300)の第1の側面(301)(例えば、第1の可視面または表面)を露出させ、上面は、第2の側面(302)(例えば、第2の可視面または表面)を露出させ得る。そのような送達システムの一例が
図37で示されている。この実施形態によれば、送達システム(400)は、(上述のような)リザーバモジュール(407)、入口ポート(403)を備え得る。送達システムは、第1の面(401)(例えば下面)と、第2の面(402)(例えば上面)とを備え得る。この例では、第1の面は第2の面の反対側であるが、他の配置も可能であり得る。第1の面(401)は、表示装置(404)の第1の側面(405)を露出させ、第2の面(402)は表示装置(404)の第2の側面(406)を露出させ得る。第1の面は、入口ポート(403)へのアクセスをさらに備え得る。よって、充填プロセス中に、ユーザは送達システムをひっくり返さなければならない場合がある。この位置では、入口ポートおよび第1の側面がユーザから見えるが、第2の側面は見えない。言い換えると、ユーザに第1の側面が見えるとき、第2の側面は隠され得るか、もしくは見えず、かつ/またはユーザに第2の側面が見えるとき、第1の側面は隠され得るか、または見えない。
【0225】
図32aおよび
図32a’には、充填プロセスの前の第1のプランジャおよび第2のプランジャの位置が示されている。充填プロセス中には(
図32bおよび
図32b’参照)、第1のリザーバの容量は増加するが、送達システムの内部を(上述のような取り外し可能閉塞装置のために)ベント装置によって通気することができないので、第1のリザーバ内および/または送達システムの内部の圧力が増加する。この圧力増加により、第1のプランジャおよび第2のプランジャの運動が誘発される。視覚要素(テキスト、アイコン、記号、目盛りなど)に対する第1のプランジャおよび第2のプランジャの相対的な位置は、充填容積(例えばここでは3ミリリットル)に対する表示を提供し得る。充填プロセスの終了時に(
図32cおよび
図32c’参照)、取り外し可能閉塞装置は取り外されてもよく、第1のプランジャ(303)および第2のプランジャ(304)の少なくとも一方が、(例えば、初期位置まで、または所定の位置まで)後退運動を行う。後退運動は、付勢手段、例えば、加圧ガス、ばね、付勢要素などによって引き起こされ得る。
【0226】
例えば、第2の端部(309)と、第1のプランジャ(303)および第2のプランジャ(304)の少なくとも一方との間に画定された容積がシールされている場合、この空間に閉じ込められた空気または気体は、少なくとも第1の運動が原因で加圧される可能性があり、反体力として作用する(本明細書に記載されるようにこの表示装置の他の実施形態も可能である)。よって、取り外し可能閉塞装置がベント装置から取り外されると、第1のリザーバ内および/または送達システムの内部の圧力が、送達システムの外部環境と釣り合う。閉じ込められた空気/気体の圧力により、第1のプランジャ(303)および第2のプランジャ(404)の少なくとも一方の後退運動が誘発される。第2のプランジャが(
図32で示されるように)貫通孔を備える場合、第1のプランジャのみが後退運動を行う。
【0227】
図32cおよび
図32c’には、「(第1の)リザーバは充填されており、送達システムは使用準備ができている」、という情報を提供する表示装置(300)が示されている。
【0228】
誤解を防止するために、充填プロセスの終了時のプランジャの位置は、送達システムが注入するときのプランジャの位置と異なり得る。送達システムは、例えば、送達中により多くの圧力を発生するように構成されてもよく、よって、第1のプランジャおよび第2のプランジャの少なくとも一方に別の位置を提供し得る。
【0229】
図32d’には、送達システムが患者に溶液を送達しているときの表示器が示されている。
図32e’には、送達の終了時の表示装置が示されている。
【0230】
図33~
図35に、同様の特徴を示す。主な違いは、表示装置が、第2のプランジャによって分離された2つの容積間の流体連通を可能にする流体経路(311)を備え得ることである。
図33には、針(310)で突き刺され得るプランジャが示されている。
図34および
図35には、第2のプランジャを迂回するために、表示装置の本体に、例えば第2の端部に配置された流体経路(311)が示されている。
【0231】
視覚要素および表示窓
表示装置(および/または送達システムのハウジング)は、第1のプランジャおよび第2のプランジャの少なくとも一方が送達システムの本体またはハウジングの外側から見えることを可能にするように構成された窓を備え得る。窓は、第1のプランジャおよび第2のプランジャの少なくとも一方が所定の位置で見えるように配置される。
【0232】
(1つまたは複数の)窓を有する二重の視覚要素(例えば、少なくとも2つの異なるプランジャまたは圧縮性の視覚要素を有する)は、注入の終了時に両方のプランジャが視覚化されることにより、薬物の完全な注入が保証されるため、ロバストな解決策であり得る。
【0233】
(1つまたは複数の)窓、視覚表示器および/または空洞(空洞の内壁)は、注入状態の監視を改善するために着色され得る。
図7に、第1のプランジャ(11)と関連付けられた第2のプランジャ(12)を備える表示器の一例を示す。ここでは2つの窓(24)のみが使用される。注入前は、プランジャ(11、12)は見えない。作動後、第2のプランジャ(12)が見える。第1のプランジャ(11)は、注入完了後に最終的に見えるようになる(
図7には機械的止め具は示されていない)。
【0234】
表示装置は、注入状態を識別するマーカを備え得る。マーカは、テキスト、アイコン、色、その他の視覚手段などであり得る。これらのマーカは、パッド印刷、インクジェット印刷、またはレーザマーキング、ステッカなどによって作成され得る。
【0235】
表示装置は、プランジャの位置をいつでも検証し、したがって最終的な障害を確認するために、シリンダに沿った長手方向の窓(24)を備え得る。この特徴は、プランジャ(11、12)の正しい初期位置決めを検証するために製造時に特に有用である。この特徴は、初期状態(プランジャが見えない)と、2つの垂直な観察窓の間に位置する2つのプランジャ(11、12)に対応する中間状態または障害状態とを区別するために使用され得る。プランジャの移動は(特に粘性のある薬物の注入の場合には)ゆっくりの場合があり、したがって、第1の機械的止め具(停止部材とも呼ばれ得る)(23)に到達するのに要する時間は実質的に長い場合がある。
【0236】
代替の解決策は、注入状態を識別するマーカを有する単一の窓(24)を含み得る。
【0237】
図9で開示されるように、システムは、2つの「固体」プランジャ(11、12)と、両端が開いたシリンダとを含み得る。2つのプランジャは、
図9aに示されるように、最初は接触していない。注入されるべき液体と接触していないプランジャ(12)は機械的止め具(空洞の第2の端部であり得る)と逆方向に移動し、液体と接触しているプランジャは中間位置まで移動する。プランジャ間の空気の圧縮により、液体と接触しているプランジャ(11)の後退運動が可能になり、
図9に示されるように装置の死容積が制限される。この後者の構成は、製造時のプランジャの配置に特に有用である。
【0238】
異なる色の3つの固体プランジャが使用されてもよく、各プランジャは、注入の1つの既定の段階の間にのみ見える。典型的な例が
図11に示されている。別の実施形態では、2つのプランジャが使用されるが、それらの少なくとも一方が2つの異なる色を含む。
【0239】
すべての実施形態において、(1つまたは複数の)窓は、異なる注入状態間の区別を改善するために着色され得る。
【0240】
第2のプランジャ(12)は、
図10で示されるように、圧縮性の視覚要素(31)で代用され得る。この実施形態では、表示装置は、単一の窓を備え得る。
【0241】
異なる提案の実施形態は、注入状態表示器の代替の解決策を形成するように組み合わされ得る。
【0242】
窓は、プランジャの色の知覚を変更するために、カラーフィルタを備え得る。例えば、プランジャは黄色であり、第1の窓は青フィルタを備え、第2の窓はマゼンタ(または赤)フィルタを備え得る。プランジャが第1の窓の下方に位置する場合、ユーザには緑色が見え、プランジャが第2の窓の下方に位置する場合、ユーザには赤(またはオレンジ)色が見える。
【0243】
図24に、本明細書に記載されるシステムと併用され得る可能な注入状態表示器(2)のいくつかの外観図を示す。可能なシステムの一例が、欧州特許出願公開第18182850.0号明細書または欧州特許出願公開第19151324.1号明細書に記載されている。
図24a、
図24b、および
図24cには、装置の上部ケース(top shell)上に見えるこの表示器の例示が示されている。この純粋に機械的な注入状態表示器は、以下の3つの異なる状態のうちの少なくとも1つを有し得る:
1点:注入準備完了(
図24a)
2点:注入進行中(
図24b)
3点:注入の終了(
図24c)。
【0244】
「注入の終了」表示は、リザーバ膜がリザーバのケースの下部に対して完全につぶれたときに初めて見える。この表示はカニューレ閉塞の場合には見えない。特定の投薬量および粘性について、最大注入期間がユーザマニュアルに指示されることになり、したがって、この最大期間後に注入状態表示器が依然として「注入進行中」を示している場合、ユーザは(例えば完全閉塞の場合には)まだ全量が投与されていないと推測することができる。推進剤蒸気によって発生する高圧は、カニューレ内の閉塞の発生を制限することになる。
【0245】
付勢手段
付勢手段は、ばね、圧縮性ガスまたは弾性要素であり得る。付勢手段は、第1のプランジャをその最終位置まで、例えば第2の位置から第3の位置または第1の位置まで後退させるために使用される。
【0246】
(本明細書に記載される)いくつかの実施形態では、付勢手段として空気(閉じ込められた、ガス、加圧ガス)を使用して、注入の終了時に液体と接触するプランジャを後退させる。代替の実施形態では、その目的でシリンダの内部に位置する圧縮ばね(25)を使用する。
図12に典型的な例が示されている。注入状態表示器は、ここでは、第2のプランジャ(12)と、緑のプランジャ(11)と、間に圧縮ばね(25)とを備える。第2のプランジャ(12)は、組立て時のプランジャ間の圧力の発生を防止するように、初期配置のために穿孔され得る。注入前には、第2のプランジャ(12)のみが第1の窓(24)1に見える。作動後に、液体の圧力によって第1のプランジャ(11)が押され、ばねの圧縮によって第2のプランジャ(12)も押される。第2のプランジャ(12)が第2の窓(24)に見えるときには、注入は進行中である。最後に、注入の終了時の薬物圧力解放により、第1のプランジャ(11)の後退移動が誘発され、第1のプランジャ(11)が第3の窓(24)に見えるようになる。機械的止め具(23)(シリンダの円錐状の狭まり)が、注入後の第1のプランジャの最終位置を固定するために使用され得る。
【0247】
代替の実施形態は、
図13に示されるように、1つの停止リミッタ(23)を有するシリンダの内部に単一のばね(25)とプランジャ(11)とを備え得る。この機構は
図5で説明した機構と同様であるが、注入後のプランジャの後退移動に使用される復元力は圧縮空気ではなくなり、圧縮ばねである。プランジャを、注入状態(注入準備完了、注入進行中および注入の終了)に応じて、
図13dに示される3つの窓の各々で繰り返し見ることができる。
【0248】
図36a、
図36bおよび
図36cに、付勢手段(312)が、第1の端部に対して第1のプランジャを押すばね装置であり得る、第1のプランジャおよび第2のプランジャの異なる位置を示す。
図36d、
図36eおよび
図36fに、付勢手段が、第1の端部に対して第1のプランジャを引くばね装置であり得る、第1のプランジャおよび第2のプランジャの異なる位置を示す。
【0249】
図38に、流体経路(503)を介して患者(504)と流体連通する(可動壁を有する)第1のリザーバ(501)を備える送達システムを示す。送達システムは、加圧流体を溜める、第1のリザーバ(501)の可動壁に圧力を加えるように構成されている第2のリザーバ(502)と、表示装置(500)とをさらに備える。表示装置は、専用の流体ポートを介して第1のリザーバおよび第2のリザーバの少なくとも一方と流体連通または圧力連通する。上述のように、表示装置は、空洞と、第1の可動要素(507)と、第2の可動要素(508)とを備え得る。この場合、加圧された流体は、第1の可動要素(507)の後退運動を行うために使用され得る。とはいえ、加圧流体が(送達がトリガされるやいなや)可動壁と表示装置の空洞内とに同時に圧力を加える場合には、運動が発生しない可能性がある。よって、加圧流体は、第1の可動要素の第1の運動を可能にするために制御されなければならない。
【0250】
いくつかの実施形態では、表示装置または送達システムは、加圧流体が表示装置に圧力を加えるのが早過ぎるのを防止するために、バルブ制御(506、506’)を備え得る。第1の実施形態では、バルブ制御は、第2のリザーバを表示装置(500)に連結する流体経路(505)を通る加圧流体の流れを制御するバルブ(506)を備え得る。第2の実施形態では、バルブ制御は、針と貫通可能な壁とを有する組立て部品(506)を備え得る。針は、第2の可動要素(508)と共に、第2の可動要素が貫通可能な壁に押し付けられると流体連通を可能にするように配置され得る。どちらの実施形態も
図38で示されているが、バルブ(506)と組立て部品(506’)とは、バルブ制御の2つの異なる実施形態であり得る。
【0251】
自由流れ防止バルブ
リザーバ充填は、リザーバ自体の性質が何であれ、薬物を加圧し、自由流れを発生させ得る。この薬物の望ましくない流れ(自由流れ)(充填が患者への装置の配置および患者の皮膚へのカニューレまたは針の導入の前に行われる場合には問題となり得る)を防止するために、液体と接触するプランジャ(11)をバルブ装置として使用することがまず提案される。
図14に、突出部、または薬物の圧力が既定値(シリンダの内壁に対するプランジャ摩擦と作動後に薬物リザーバの圧力を受けるプランジャの表面とに依存し得る)を超えない限り、流れを遮断することを可能にする形状(円筒形状)を有するプランジャの一例を示す。注入の終了時に、機械的止め具(例えば、プランジャの後退移動での機械的止め具の典型的な例については
図5参照)が使用されない場合、バルブは再度閉鎖位置にあり得る。
【0252】
図14に注目すると、上述のようなT字形流路は、出口装置と(例えば針に)流体連通する第3の流体ポートを備える。第3の流体ポートは、低圧でのこのバルブの緊密性を改善するために円筒形状を呈し得る。
【0253】
そのようなバルブは、リザーバと針との間での疎水性多孔質媒体、僧帽弁などの使用を含む、低圧での流れを遮断する従来の解決策の代替方法である。
【0254】
一代替実施形態は、
図15に示されるようにシリンダの軸のずれた針を示す。明確にするために完全に表されている軸のずれた針を除く装置の概略的断面図が示されている。液体と接触することを意図された固体プランジャ(11)は、薬物の圧力が既定の閾値を超えるまで、リザーバから針への流れを遮断する。
【0255】
図15には、T字形流路なしの流体経路が示されている。空洞の第1の端部は、
リザーバの出口と空洞との間の流体連通を実現し、入口として働く第1の流体ポートと、
空洞と出口装置との間の流体連通を実現し、出口として働く第2の流体ポートと
を備える。流体経路は、2つの部分、すなわち、空洞の上流側の第1の部分と空洞の下流側の第2の部分とに分割される。
【0256】
表示装置は、流体圧力が所定の閾値より低いときに流体経路を閉鎖するバルブ装置としてさらに使用される。バルブは、第1のプランジャの前進後退運動により、送達の作動前と注入の終了後とに閉鎖され得る。
【0257】
制御された開放閾値を有する自由流れ防止バルブ
図16に、本開示の別の実施形態を示す。この装置は、針入口の前のバルブ装置(3)(バルブとも呼ばれる)の存在を除いて、
図1に開示される装置と同様である。このバルブは、別途の(可動)プランジャ(32)、最初に圧縮性ガス(例えば空気)で充填されたバルブ空洞(37)、および/または栓(27)を備え得る。静止時(装置の作動前)に、プランジャ(32)の上面は、そのために機械的止め具(26)(プランジャストッパとも呼ばれる)が使用されるので、連通室内部の圧力を一部受ける。このプランジャ自体は、やはり同じ効果につながる構造化またはテクスチャライジングを呈し得る。組立て中に、栓の導入により空洞内部に含まれる空気が圧縮される。設計により製造時に空洞内部の圧力を制御することによって、例えば、空洞内部に常に同じ初期圧力を発生させるなどのために十分に制御された容積を有する栓を導入することなどによって、バルブのプレテンション(または開放閾値)を調整することが可能になる。装置の作動により、リザーバ内に大きな圧力が発生する。この圧力は、第2の固体プランジャの上面を押し、第2の固体プランジャを針の方向に対して垂直に移動させることになり、針を通る流体経路を解放する。注入の終了時に、第2のプランジャは、針の入口を再度閉鎖することになる。
【0258】
開放閾値は、通常、正常な状況で充填中に発生し得る最大圧力より大きい。開放閾値は、バルブプレテンションの目標値に従って多かれ少なかれ調整されるねじ式の栓を使用して調整可能であり得る。
【0259】
一代替実施形態は、空洞内部に圧縮ばねを備え、前記空洞は通気される。プレテンションは、栓も通気される
図17に示されるように、例えば、圧縮ばねの初期長さを制御するために使用されるねじ式の栓を使用して初期ばね圧縮を制御することによって再度調整され得る。
【0260】
クラックバルブ
別の実施形態では、連通室は、
図18に示されるように両端にベベルを有する針の入口の前に柔軟膜を備える。柔軟膜は、リザーバ圧力が既定値を超えた場合、針で突き刺され、薬物に流体経路を解放する。膜は、大きなたわみを可能にし、針で突き刺す前の割れを防止するためにエラストマー材料でできている。
【0261】
別の実施形態では、膜は、圧力が加わっただけで割れ(作動後の大きな加圧によって誘発された過度のひずみに起因する機械的障害)、針は出口に単一のベベルを有する(
図19参照)。
【0262】
別の実施形態では、バルブはプランジャ(32)である。
図20に示されるように、固体プランジャ(32)が、針の入口および連通ポートと直接連通する第2のシリンダに配置される。装置の作動により、
図21に示されるように針がプランジャに突き刺さる。プランジャは、(バルブの)プランジャと針)との間の容積のサイズを縮小することによって装置の死容積を制限するために、製造時に針に部分的に導入され得る。さらに、これにより注入の開始時に患者に大量の空気が注入されることも防止される。注入の終了時にバルブ空洞(37)内に圧縮性ガスが閉じ込められる可能性があるので、プランジャはその初期位置の方へ移動し、流れを遮断し得る。圧縮性ガスは、ばねなどの付勢要素で代用され得る。
【0263】
漏出/障害検出
いくつかの実施形態では、表示装置は、送達システムが加圧手段を備える場合には、そのような加圧手段の障害または漏出イベントを表示するように構成され得る。
【0264】
図39に、第1の表示装置(510)および第2の表示装置(520)の少なくとも一方を備え得る送達システムを示す。第1の表示(510)装置は、第1のリザーバ(501)の状態、例えば、第1のリザーバ(501)に溜められた流体の送達状態に関する表示を提供するように構成され、第2の表示装置(520)は、第2のリザーバ(502)の状態、例えば、第2のリザーバ(502)の障害または漏出イベントに関する表示を提供するように構成され得る。第1の表示装置は、本明細書に記載の表示装置と同じ特徴を備え得る。第2の表示装置は、内部空洞を有する(第1の表示装置の本体の拡張であり得る)本体を備え得る。内部空洞は、空洞の主軸を画定する第1の端部および第2の端部を備え得る。可動要素(521)は、送達システムのトリガ後に、第2のリザーバ(502)の加圧流体の圧力に応じて内部空洞を通って移動するように構成され得る。
【0265】
送達システムがトリガされると、加圧流体は、所定の位置への可動要素(521)の第1の運動を誘発する。障害または漏出イベントが発生しない場合、可動要素は(送達の終了までかつ/またはその後まで)この位置でとどまらなければならない。障害または漏出イベント(例えば、加圧流体の漏出)が発生した場合、例えば、加圧流体の圧力が反体力(付勢手段)(523)の力より小さい場合には、可動要素は後退運動を行うことになる。付勢手段は、ばねまたは本明細書で開示される他の要素(閉じ込められた空気、ガスなど)であり得る。表示装置(530)は、同じ本体に、第1の表示装置および第2の表示装置(510、520)を備える実施形態である。
【符号の説明】
【0266】
1 送達装置
2 表示装置
3 バルブ装置
4 圧力装置
5 薬物リザーバ
6 推進剤リザーバ
7 柔軟膜または可動膜
8 ハウジング
9 連通ポートまたは流体ポート
10 出口装置
11 第1のプランジャ
12 第2のプランジャ
13 空洞
14 空洞の第1の端部
15 空洞の第2の端部
16 貫通孔
17 ベント装置
18 流体経路
19 本体
20(1つまたは複数の)プランジャの直線移動変位
21 薬名分量表示
22 ポンプ装置
23 停止部材/機械的止め具
24(1つまたは複数の)窓
25 ばね/付勢要素
26 プランジャストッパ
27 栓
28 ベント
29 ばね/付勢要素
30 エラストマー膜
31 圧縮性の視覚要素
32 可動隔壁またはプランジャ
33 T字形流路
34 第1の流体ポート
35 第2の流体ポート
36 第3の流体ポート
37 バルブ空洞
101 送達システム
102 患者
103 皮膚接着可能ユニット
104 バルブ装置
105 流体経路
106 リザーバの界面
106a 第1の柔軟膜/可動壁
106b 第2の柔軟膜/可動壁
106c 第3の柔軟膜/可動壁
107 注入装置
108 トリガ装置
109 表示器
110 ハウジング
111 第1のリザーバ
111a 第1の容器の貯留区画
112 第2のリザーバ
112a 第2の容器の貯留区画
113 第3のリザーバ
114 加圧装置/手段
115 作動装置/手段
116 ベント装置
117 ギャップ
121 シリンジ
122 入口ポート
126 バルブ装置
201 送達システム
202 ハウジング
203 ハウジングの空洞または内部区画
204 リザーバモジュール
204a リザーバの内部区画
205 流体経路
206 針
207 ベント装置
208 取り外し可能閉塞装置
209 表示装置または充填感知または圧力トランスデューサまたは圧力センサ
210 表示器
212 電源
213 入口
214 隔壁(貫通可能)
215 可動壁
216 ポンプ装置
217 第1の空洞
219 充填装置
221 第1のプランジャ
222 第2のプランジャ
223 窓
224 第1の容積
225 第2の容積
226 開口
300 表示装置
301 第1の側面
302 第2の側面
303 第1の可動要素(プランジャなど)
304 第2の可動要素(プランジャなど)
305 視覚要素
306 表示窓
307 流体ポート
308 第1の端部
309 第2の端部
310 針
311 流体経路
312 付勢手段
400 送達システム
401 第1の面
402 第2の面
403 入口ポート
404 表示装置
405 第1の側面
406 第2の側面
407 リザーバモジュール
500 表示装置
501 第1のリザーバ
502 第2のリザーバ
503 流体経路
507 可動要素
508 可動要素
510 第1の表示装置
520 第2の表示装置
530 表示装置