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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】手術衣、およびそれを調節する方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/12 20060101AFI20241227BHJP
【FI】
A41D13/12 109
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020565458
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 US2019033584
(87)【国際公開番号】W WO2019226810
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】62/674,876
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリース,ライアン・エイ
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0318693(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0217440(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心線を定め、着用者の胸部および腹部のエリアを覆う前部と、
前記着用者の後側および後尾を覆う後部と、
前記前部および前記後部を接続する2つの側部と、
第1の端部を含む第1のセグメント、第2の端部を含む第2のセグメント、および結合部を有し、前記第1のセグメントの前記第1の端部によって前記後部に取り付けられているストラップと
を備える自己調節式手術衣であって、
前記結合部は、前記第1のセグメントの前記第1の端部および前記第2のセグメントの第2の端部の間で前記ストラップに設けられ、前記着用者の冠状面および矢状面によって定められ前記着用者の前側にある無菌ゾーンに対応する領域内に前記第2の端部があるように、前記結合部は、最初の状態では、前記自己調節式手術衣の一部に取り外し可能に連結されるように構成されることで、前記着用者が、前記無菌ゾーンに対応する前記領域から両手を取り除くことなく、前記ストラップの前記第2のセグメントを掴んで、前記ストラップを前記最初の状態から締付け状態へ移すことが可能になり、
前記着用者の無菌ゾーンに対応する前記領域は、前記冠状面の前方にありかつ前記冠状面と矢状面の交線からどちらかの方向に90度以内にある領域として少なくとも一部定められる、自己調節式手術衣。
【請求項2】
前記ストラップは、前記結合部が、前記後部に、または、前記2つの側部の一方に、取り外し可能に連結されている前記最初の状態と前記結合部が前記前部に取り外し可能に連結されている締付け状態との間で移されるように構成されている、請求項1に記載の自己調節式手術衣。
【請求項3】
無菌包装内の無菌自己調節式手術衣であって、
前部と、
背面正中線を定める後部と、
前記前部および前記後部を接続する2つの側部と、
第1の端部、前記第1の端部の反対側の第2の端部、および結合部をそれぞれ有し、前記それぞれの第1の端部で前記後部にそれぞれ取り付けられている第1および第2のストラップと、
前記第1のストラップおよび前記第2のストラップの各々の前記第2の端部に取り外し可能に連結されている第3のストラップと
を備え、
前記第1および第2のストラップは、最初の状態では、着用者の無菌ゾーンに対応する領域の外側に少なくとも一部配設され、前記第3のストラップは、前記最初の状態では、前記着用者の前記無菌ゾーンに対応する前記領域内に少なくとも一部配設され、前記着用者が、前記無菌ゾーンに対応する前記領域から両手を取り除くことなく、前記無菌ゾーンに対応する前記領域内に位置する前記第3のストラップの一部に係合し、前記無菌ゾーンに対応する前記領域内で前記第1ストラップ、前記第2ストラップ、および前記第3のストラップを前方へ引っ張ることを可能にし、
前記第1および第2のストラップは、前記結合部が前記無菌自己調節式手術衣の前記2つの側部のうちの一方、または、前記後部に、取り外し可能に連結されている前記最初の状態と、前記第1のストラップ及び前記第2のストラップのそれぞれの前記結合部が前記前部に取り外し可能に連結されている締付け状態との間で移されるように構成されている、無菌自己調節式手術衣。
【請求項4】
前記第3のストラップは、前記第1および第2のストラップの前記第2の端部と連結するための固定部を備える、請求項3に記載の無菌自己調節式手術衣。
【請求項5】
前記第1および第2のストラップは、前記背面正中線の両側に取り付けられる、請求項3または4に記載の無菌自己調節式手術衣。
【請求項6】
前部と、後部と、前記前部および前記後部を接続する2つの側部と、第1の端部、前記第1の端部の反対側の第2の端部、および結合部をそれぞれ有し、前記第1の端部で前記後部にそれぞれ取り付けられている第1および第2のストラップと、前記第1のストラップおよび前記第2のストラップに取り外し可能に連結されている第3のストラップとを備える自己調節式手術衣を固定する方法であって、
前記第1および第2のストラップが着用者の無菌ゾーンに対応する領域の外側に少なくとも一部配設されているとともに、前記第3のストラップが前記着用者の前記無菌ゾーンに対応する前記領域内に少なくとも一部配設されているように前記自己調節式手術衣を前記着用者に着用させるステップと、
前記第1および第2のストラップを、前記着用者の前記無菌ゾーンに対応する前記領域から前記着用者の両手が外に出ることなく、前記結合部が前記自己調節式手術衣の前記後部または前記側部に結合されている最初の状態から前記結合部が前記自己調節式手術衣の前記前部に結合されている締付け状態へ移すステップと
を含む方法。
【請求項7】
前記第3のストラップが前記自己調節式手術衣から取り除かれるように前記第1および第2のストラップから前記第3のストラップを分離するステップをさらに備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および第2のストラップを前記最初の状態から前記締付け状態へ移す前記ステップは、前記第3のストラップを係合して前記第1および第2のストラップの前記結合部を前記自己調節式手術衣の前記後部または側部から連結解除するステップ、ならびに前記第1および第2のストラップの前記結合部が前記前部と結合されるように移されるよう前記着用者の前記無菌ゾーンに対応する前記領域内で前記第3のストラップを移すステップとしてさらに定められる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記ストラップの前記結合部は、取り外し可能な連結装置を備える、請求項1に記載の自己調節式手術衣。
【請求項10】
前記取り外し可能な連結装置は、前記手術衣の一部に取り外し可能に連結するように構成されているホックを備える、請求項9に記載の自己調節式手術衣。
【請求項11】
前記ストラップは、弾性材料を含む、請求項9に記載の自己調節式手術衣。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月22日に出願された米国仮特許出願第62/674,876号の優先権および利益を主張するものであり、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示された例は、一般に、着用可能な手術衣に関し、より詳細には、自己調節式(self-adjustable)手術衣、およびそれを調節する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
外科手術では、手術室内の全ての人は無菌のために手術衣を着るのが常識である。そのような手術衣には、オーバーヘッドガウン、タイクローズガウン(tie-close gown)、ファスナ付きガウンなどが含まれる。
【0004】
典型的な外科手術では、手術室に入る第1の人は、手術衣を着用して調節し、次いで、手術衣を調節している他の者を手伝う。これは、無菌ゾーンに対応する領域から両手が出ることなく行われなければならない。手術衣および着用者の無菌を損なうのを防ぐために、タイカード(tie card)および/またはパートナーの手法の使用など、様々な手法が使用されている。一例では、手術室に入る第1の人は、第2の人を待って、手術衣を調節するのを助ける。典型的には、第2の人は、第1の着用者の背後に立ち、第1の着用者の手術衣を固定するためにタイカードを使用して、または使用せずにストラップを調節する。次いで、第1の着用者は、第2の着用者が手術衣を調節するのを助ける。この手法は、手術室内の全員が手術衣を着用して調節するまで繰り返される。
【発明の概要】
【0005】
これらおよび他の懸念に対処するために、本開示の例は、無菌ゾーンに対応する領域から着用者の両手が外に出ることなく手術衣の自己調節を可能にする手術衣および方法を提供する。
【0006】
さらに、別の例では、手術衣は、ジッパーを備えることができる。しかしながら、ジッパーを備えると、ジッパーは流体の通過を可能にし得るので、手術衣は微生物バリアテストに不合格になり得る。このおよび他の懸念に対処するために、本開示の例は、ジッパーまたは他の閉鎖機構を有するとともに手術衣が微生物バリアテストに通るのに必要な防水バリアをさらに与える手術衣を提供する。
【0007】
自己調節式手術衣は、中心線を定める前部と、後部と、前部および後部を接続する2つの側部とを備える。自己調節式手術衣は、第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部、および結合部を有するストラップも備える。ストラップは、第1の端部で後部に取り付けられている。さらに、結合部は、第2の端部が着用者の無菌ゾーンに対応する領域内にあるように衣の一部に取り外し可能に連結されている。着用者の無菌ゾーンに対応する領域は、中心線のどちらかの方向に90度以内の領域として少なくとも一部定められる。
【0008】
自己調節式手術衣を固定する方法が、本明細書に開示されている。自己調節式手術衣は、前部と、後部と、前部および後部を接続する2つの側部と、第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部、および結合部をそれぞれ有する第1および第2のストラップとを備える。第1および第2のストラップは、第1の端部で後部にそれぞれ取り付けられている。手術衣は、第1のストラップおよび第2のストラップに取り外し可能に連結されている第3のストラップも備える。方法は、第1および第2のストラップが着用者の無菌ゾーンに対応する領域の外側に少なくとも一部配設されているとともに、第3のストラップが着用者の無菌ゾーンに対応する領域内に少なくとも一部配設されているように自己調節式手術衣を着用者に着用させるステップを含む。この方法は、着用者の無菌ゾーンに対応する領域から着用者の両手が外に出ることなく、第1および第2のストラップを、結合部が衣の後部または側部に結合されている最初の状態から結合部が衣の前部に結合されている締付け状態へ移すステップも含む。
【0009】
本明細書に開示された手術衣および方法は、着用者の無菌ゾーンに対応する領域から両手を取り除くことなく、着用者が手術衣上のストラップを自己調節および固定することを可能にする。この構成は、着用者の無菌ゾーンに対応する領域の外側の領域からの汚染が手術室内の他の場所に広がるのを防止するのに役立つ。
【0010】
手術衣は、前部と、背面正中線(rear mid-line)を定める後部と、前部および後部を接続する2つの側部とを備える。前部、後部、および2つの側部は、着用者に対する微生物バリアを形成する。さらに、手術衣は、背面正中線に沿って配設された閉鎖機構と、閉鎖機構の上を延びるフラップとを備える。また、手術衣は、背面正中線に隣接した少なくとも1つの磁気要素であって、閉鎖機構に微生物バリアを与えるためにフラップを閉鎖機構の上に固定するように構成されている少なくとも1つの磁気要素を備える。
【0011】
前部と、背面正中線を定める後部と、前部および後部を接続する2つの側部と、背面正中線に沿って配設された閉鎖機構と、閉鎖機構の上を延びるフラップと、背面正中線に隣接した少なくとも1つの磁気要素とを備える手術衣を固定する方法も本明細書に開示されている。方法は、手術衣を着用者に着用するステップと、閉鎖機構が閉じた位置にあるように閉鎖機構を動かすステップと、少なくとも1つの磁気要素を用いて閉鎖機構に微生物バリアを与えるように閉鎖機構の上にフラップを固定するステップとを含む。
【0012】
本発明の利点は、添付図面に関連して検討されるときに以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるので容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】着用者によって着用され、ストラップを締付け状態にした手術衣の正面斜視図である。
図2】着用者の両腕が広げられている図1の手術衣の平面図である。
図3A】最初の状態における第1のセグメントおよび第2のセグメントを備えるストラップを有する図1の手術衣の正面斜視図である。
図3B】最初の状態における第1のセグメントおよび第2のセグメントを備えるストラップを有する図1の手術衣の背面斜視図である。
図4】無菌ゾーンに対応する領域から着用者の両手が外に出ることなく着用者によって把持されているストラップを有する図1の手術衣の正面斜視図である。
図5】締付け状態へ移ったストラップを有する図1の手術衣の正面斜視図である。
図6】ストラップの第2のセグメントを取り除く前の、締付け状態でストラップを有する図1の手術衣の正面斜視図である。
図7】ストラップの第2のセグメントを取り除いた後の、締付け状態でストラップを有する図1の手術衣の正面斜視図である。
図8】第1のセグメントが第2のセグメントから離間している、図1の手術衣の背面部分分解組立斜視図である。
図9】明確にするために手術衣を破断した、図1の手術衣の手術衣およびストラップの背面部分分解組立斜視図である。
図10】明確にするために手術衣を破断した、図1の手術衣の手術衣およびストラップの分解組立上側平面図である。
図11】明確にするために手術衣を破断した、図1の手術衣の手術衣およびストラップの分解組立部分側面図である。
図12】明確にするために手術衣を破断した、図1の手術衣の手術衣およびストラップの分解組立部分平面図である。
図13】明確にするために手術衣が仮想線で部分的に示されている、図1の手術衣の手術衣およびストラップの部分分解組立平面図である。
図14A】最初の状態における第1および第2のストラップ、ならびに第1および第2のストラップに連結された第3のストラップを有する別の例による手術衣の正面斜視図である。
図14B】最初の状態における第1および第2のストラップ、ならびに第1および第2のストラップに連結された第3のストラップを有する図14Aの手術衣の背面斜視図である。
図15】無菌ゾーンに対応する領域から着用者の両手が外に出ることなく着用者によって把持されている第3のストラップを有する図14の手術衣の正面斜視図である。
図16】締付け状態へ移った第1および第2のストラップを有する図14の手術衣の正面斜視図である。
図17】第3のストラップを取り除く前の、締付け状態で第1および第2のストラップを有する図14の手術衣の正面斜視図である。
図18】第3のストラップを取り除いた後の、締付け状態で第1および第2のストラップを有する図14の手術衣の正面斜視図である。
図19】第3のストラップが第1および第2のストラップから離間している、図14の手術衣の背面部分分解組立斜視図である。
図20】明確にするために手術衣を破断した、図14の手術衣の手術衣およびストラップの背面部分分解組立斜視図である。
図21】明確にするために手術衣を破断した、図14の手術衣の手術衣およびストラップの上面分解組立平面図である。
図22】明確にするために手術衣を破断した、図14の手術衣の手術衣およびストラップの分解組立部分側面図である。
図23】明確にするために手術衣を破断した、図14の手術衣の手術衣およびストラップの分解組立部分平面図である。
図24】明確にするために手術衣が仮想線で部分的に示されている、図14の手術衣の手術衣およびストラップの部分分解組立平面図である。
図25】無菌の包装内の手術衣の正面斜視図である。
図26】閉鎖機構および開いた位置のフラップを有する手術衣の背面斜視図である。
図27】閉じた位置のフラップを有する図26の手術衣の背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照すると、いくつかの図を通じて同じ番号が同じ構造を示すために使用されており、手術衣は、図1図8において20で全体的に示されている。手術衣20は、着用者と外部環境の間にバリアを与えるように構成された自己調節式である。一例では、手術衣20は、着用者の肩から下がって着用者のひざを通り越して覆うように構成されたトーガである。トーガは、トーガを着用するためにトーガを着用者の頭に被せなければならないようなオーバーヘッドトーガであり得る。さらに、トーガは、使用中にトーガを閉めるためにトーガがジッパーまたは1セットのタイを含むようにオーバーヘッド着用を必要としなくてもよいと考えられる。また、トーガは、頭および首エリアを覆うように外科フード22とペアにされてもよい。外科フードまたは22は、米国特許出願第2016/066633号に説明されたものなどの別個のフード22であってもよく、この出願は、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、外科フード22は、トーガと一体であってもよく、または他の方法でトーガに取り付けられてもよいと考えられる。フードまたはヘルメット22を含む例では、手術衣20という用語は、トーガ自体、またはトーガと共に外科フードもしくはヘルメット22を指し得る。
【0015】
一態様によれば、手術衣20は、目の詰まった織布を含み得る。目の詰まった織布は、ポリエステル、木綿、またはポリエステル・木綿のブレンドであってもよい。さらに、手術衣20は、紙、木綿、ポリエステルなどの繊維または単繊維等の不織布材料を含み得ると考えられる。または、手術衣20は、追加のバリアを与えおよび/または流体を通さないコーティングまたは他の強化を有してもよい。典型的には、手術衣20は、衣がたった1回の使用後に廃棄物として処分されるように使い捨てである。しかしながら、手術衣20は、複数回の使用のために衣が殺菌され、再利用されるように使用可能な手術衣20であってもよいと考えられる。
【0016】
図1図8をさらに参照すると、手術衣20は、中心線26を定める前部24と、後部28と、前部24および後部28を接続する2つの側部30、32とを備える。図2に示される例では、着用者によって着用されるとき、手術衣20の前部24は、着用者の胸部および腹部のエリアを覆い、一方、手術衣20の後部28は、着用者の後部および後尾を覆う。第1の側部30および第2の側部32は、360度のバリアを着用者に与えるために手術衣20の前部24を手術衣20の後部28にそれぞれ連結する。
【0017】
図8に示された例などのいくつかの例では、後部28は、手術衣20の背面正中線34を定める。また、第1の側部30および第2の側部32の1つまたは複数が継ぎ目を含むことができるとも考えられる。一例では、手術衣20の前部24および後部28は、手術衣20を形成するように一緒に縫い合わされる前に2つの別個の部品で製造することができる。この例では、第1および第2の側部30、32は、手術衣20の側部を長手方向下に延びる継ぎ目をそれぞれ備えることができる。別の例では、手術衣20は、手術衣20を形成するためにそれ自体に固定される単一の平らな部品で製造され得る。この例では、第1および第2の側部30、32のたった1つは、手術衣20の側部を長手方向に下に延びる継ぎ目を含む。さらに、継ぎ目が必要でないように手術衣20は単一部品で製造することができると考えられる。
【0018】
手術衣20は、袖を通じた手術衣20の中への汚染を防止するために袖の端に袖口36も備えることができる。袖口36は、無菌と考えることができるが、袖口36は、腕エリアから手術衣20の中へのアクセスを完全に封鎖するために手術用手袋で覆われてもよい。
【0019】
外科手術または他の侵襲的手技を行うときに無菌の場を確立および維持することで、患者に感染の危険をもたらし得る微生物汚染を防止する。無菌手法は、手術チームのメンバーが手術室に入ると、手術着を着用する前に始まる。したがって、手術衣20を着用および調節する手術チームのメンバーは、無菌の場を維持するために無菌ゾーンを維持するように気を付けるべきである。
【0020】
この趣旨で、図25に示されるように、典型的には、各手術衣20は、手術室内で着用者が包装を開けるまで封止されたままである無菌のプラスチック包装に収容され得る。手術衣20は、手術衣20の外側の無菌を損なうことなく着用者が手術衣20を着用することができるようにひっくり返しの向きに包装内に保管され得る。包装内で、手術衣は、無菌保証レベル(SAL)10-3を有することができ、または無菌保証レベル(SAL)10-6を有することができる。本開示の内容では、「SAL」は、手術衣が殺菌プロセスを受けた(そして、包装内でさらなる外部汚染がないままである)後の手術衣20が非無菌状態にある確率を意味する。
【0021】
本明細書に使用されるとき、図2に最もよく示されるように、用語「無菌ゾーンに対応する領域」40は、無菌手法に関する米国周術期看護協会(AORN:Association of periOperative Registered Nurses)のガイドラインによる手術室内の無菌ゾーンに該当する。AORNガイドラインによれば、手術衣20が着用者に着用されると、手術衣20は、着用者の胸部から無菌の場のレベルまで手術衣20の前部24で無菌とみなされる。典型的には、無菌の場のレベルは、ウエストレベルが良好な視野の限界であるのでウエストレベルである。しかしながら、無菌の場のレベルは、手術台の高さなどの患者が置かれるレベルであってもよいとも考えられる。また、AORNガイドラインによれば、肩、ネックライン、および手術衣20の腋窩領域は、無菌でないとみなされる。さらに、手術衣20の後部28は、無菌でないとみなされる。最後に、手術衣20の袖は、肘の上方約2インチから手術衣20の袖口まで腕周りの周囲で無菌であるとみなされる。
【0022】
無菌ゾーンに対応する領域40は、中心線26のどちらかの方向に90度以内の領域として少なくとも一部定められる。さらに、3次元直交座標系に関して図2に最もよく示されるように、無菌ゾーンに対応する領域40は、着用者の身体に隣接した着用者の冠状面と矢状面の交線からどちらかの方向に、x方向に90度として定められる。図2では、この交線は、着用者の長手方向軸(LA)と名付けられる。より詳細には、無菌ゾーンに対応する領域40は、角度αによって表すことができる。角度αは、衣上の頂点が前部中心線26に隣接した状態で着用者の矢状面によって2分される。角度αは、120から180度まで、130から170度まで、または140から160度までの範囲であり得る。
【0023】
無菌ゾーンに対応する領域40は、着用者の冠状面の前方で着用者の胸部から着用者のウエストまでy方向に定めることもでき、無菌ゾーンに対応する領域40は、着用者の腕が無菌ゾーンに対応する領域40内でx方向に着用者の横断面に平行であるときに、手術衣20の前部24から着用者の広げられた腕の長さまでz方向に定められる。
【0024】
次に、図3図13に示された例を参照すると、手術衣20は、第1の端部44、第2の端部46、および結合部48を有するストラップ42も備える。図3Aおよび図8に最もよく示されるように、ストラップ42の第1の端部44は、手術衣20の後部28に取り付けられ、より具体的には、手術衣20の後部28の背面正中線34からずれて取り付けられる。典型的には、ストラップ42の第1の端部44は、手術衣20の後部28に縫い合わされるまたは他の方法で縫合されるが、第1の端部44は、他の方法で永久に取り付けられてもよい。縫合または他の取り付け機構は、切り裂きまたは切り離しなしで、ストラップの締付けを可能にするのに十分な強度を与えなければならない。しかしながら、ストラップ42の第1の端部44が、これに限定されるものではないが手術衣20の後部28の他の部分または衣20の側部を含む衣の別の位置に取り付けられ得ることも考えられる。第2の端部46は、ストラップ42の第1の端部44の反対側にある。
【0025】
図3図13をさらに参照すると、ストラップ42の結合部48は、手術衣20の一部に取り外し可能に連結されているように構成される。一例では、結合部48は、ストラップ42の結合部48がホックおよびループの構成、スナップ留め構成、ボタン留め構成等の取り外し可能な連結装置を備えることができるようにストラップ42の内側面50に配設される。一例によれば、ストラップ42の結合部48は、手術衣20の任意の部分に取り外し可能に連結するように構成されているホックを備えてもよい。さらに、結合部48は、衣から取り外され、別の位置に再連結されるように構成されている。また、一例では、手術衣20が無菌包装内にあり、かつ手術衣20の着用後の調節前であるとき、結合部48は、第2の端部46が着用者の無菌ゾーン40内にあるように衣の一部に取り外し可能に連結されていてもよい。
【0026】
図3図13に示される例では、ストラップ42は、ストラップ42を形成するように一緒に接合される内側面50の反対側の外側面52を備える。図9図13に最もよく示されるように、外側面52は、ストラップ42が結合部48で衣に連結されるときに外に向いている側面であり、内側面50は、結合部48を備えるとともに、手術衣20に結合される側部である。しかしながら、この構成は切り換えできることも考えられ、または一例では、手術衣20は、複数のストラップ42を備え、各ストラップ42は、異なる構成であってもよい。ストラップ42は、強度または快適さのために外側面52と内側面50の間に追加の織物または緩衝材を備えることもできると考えられる。一例では、ストラップ42は、ナイロン帯紐材料(nylon webbing material)を含み得る。しかしながら、ストラップ42は、本開示の趣旨から逸脱することなく、木綿、プラスチックポリマー、ポリエステル、それらの組合せなどを含み得ることも考えられる。ストラップ42は、結合中に着用者の周りでいくらか伸びることを可能にするために可撓性材料または弾性材料でさらに構成されてもよいことも考えられる。
【0027】
さらに、ストラップ42の厚さは、約5~15ミリメートル(mm)とすることができ、一例は、約7~10mmの厚さ、およびより具体的には約8mmを有する。しかしながら、ストラップ42の厚さは、例えば、使用者に所望のレベルの強度および/または快適さを与えるための任意の厚さとすることができると考えられる。また、ストラップ42は、任意のサイズの着用者の周りにストラップ42をしっかりと結合するのに十分な長さを有することができる。例えば、一例では、ストラップ42の長さは、約25~150センチメートル(cm)とすることができ、ある実施は、長さが約50~100cm、より具体的には、約80cmである。さらに、ストラップ42は、ストラップ42をしっかりと締め付け、所望の強度を与えるのに十分な幅を有することができる。一例では、ストラップ42の幅は、約20~80mmであり、ある実施は、幅が約40~60mm、より具体的には、約50mmである。
【0028】
図3図7に示されるように、ストラップ42は、結合部48が側部30、32の一方または手術衣20の後ろに取り外し可能に連結されている最初の状態(図3参照)と結合部48が手術衣20の前部24に取り外し可能に連結されている締付け状態(図7参照)との間で移されるように構成されている。より具体的には、最初の状態(図3)において、結合部48は、ストラップ42の第2の端部46が着用者の無菌ゾーンに対応する領域40内であるように衣20の一部に取り外し可能に連結されている。第2の端部4は、着用者の無菌ゾーンに対応する領域40内に一部または完全に配設することができると考えられる。例えば、ストラップ42の第2の端部46は、無菌ゾーンに対応する領域40から両手を移すことなく、着用者がストラップ42の第2の端部46を係合することができるように、着用者の無菌ゾーンに対応する領域40内に少なくとも一部配設することができる。さらに、ストラップ42が締付け状態(図7)へ移されるとき、第2の端部46は、第2の端部46が着用者の無菌ゾーンに対応する領域40内に少なくとも一部、典型的には完全に配設されるように手術衣20の中心線26の方へ移される。
【0029】
締付け状態(図7)は、最初の状態(図3)よりも中心線26のより近くの任意の状態とすることができる。締付け状態(図7)は、着用者の身体のサイズおよび形状に応じて着用者ごとにわずかに異なり得る。例えば、平均サイズよりも小さい着用者についての締付け状態(図7)は、平均サイズよりも大きい着用者についての締付け状態(図7)よりも最初の状態(図3)と締付け状態(図7)の間により大きい距離を必要とする。言い換えると、締付け状態(図7)は、任意のサイズの着用者のガウン20を固定するために着用者の無菌ゾーンに対応する領域40内で調節することができる。ストラップ42は、必要であれば、締め付けるために、手術衣20の中心線26を横切ってもよいと考えられる。言い換えると、締付け状態(図7)では、ストラップ42の第2の端部46は、手術衣20を完全に締め付けるために、着用者が無菌ゾーンに対応する領域40から外に出る必要がないように、着用者の無菌ゾーンに対応する領域40内の任意の位置にあり得る。
【0030】
図3図13に示されるように、ストラップ42は、第1のセグメント70、および第2のセグメント72を含むことができる。一例では、第2のセグメント72は、第2の端部46を定め、第2のセグメント72は第1のセグメント70から分離可能であり得る。また、最初の状態(図3)では、ストラップ42の第1のセグメント70は、着用者の無菌ゾーンに対応する領域40の外側に少なくとも一部配設されてもよく、ストラップ42の第2のセグメント72は、着用者の無菌ゾーンに対応する領域40内に少なくとも一部配設されてもよい。図9図13に最もよく示されるように、第1のセグメント70および第2のセグメント72は、第1のセグメント70および第2のセグメント72を取り外し可能に連結する対応する固定部74を備えてもよい。また、第1のセグメント70は、ストラップ42が最初の状態(図3)にあるとき、固定部74が手術衣20から離れるように向いているようにストラップ42の外側面52上に配設される固定部74を備えることができる。対応する固定部74は、ストラップ42が最初の状態(図3)にあるとき、第2のセグメント72の固定部74Bが手術衣20の方を向いているようにストラップ42の第2のセグメント72の内側面50上に配設される。
【0031】
図3図13をさらに参照すると、上述したように、ストラップ42の第1のセグメント70は、手術衣20に固定連結されているストラップ42の部分を含むことができる。ストラップ42の第2のセグメント72は、第1のセグメント70に取り外し可能に連結されている第1の端セクション76を有するとともに、ストラップ42の第2の端部46を定める反対側の端セクション78を有する。さらに、いくつかの構成では、第1のセグメント70および第2のセグメント72は、少なくとも対応する固定部74で重なり合う。第1および第2のセグメント70、72は、対応する固定部74を含まない長さにわたって重なり合ってもよいとも考えられる。言い換えると、ストラップ42上の固定部74は、第2のセグメント72が第1のセグメント70の長さのいくらかまたは全部に沿って第1のセグメント70と重なり合うことができるように第1のセグメント70のどこかに配設されてもよいと考えられる。さらに、第1のセグメント70は、複数の固定部74を備えてもよく、第2のセグメント72は、複数の対応する固定部74も備えてもよいと考えられる。一例では、対応する固定部74は、対応するホックおよびループファスナである。しかしながら、対応する固定部74は、本開示の趣旨から逸脱することなく、スナップファスナ、ボタンファスナなどであってもよいと考えられる。加えて、第1および第2のセグメント70、72は、別個のファスナを使用するのではなく、穴あきジョイントによって互いから分離することもできると考えられる。
【0032】
一例では、対応する固定部74は、ストラップ42を最初の状態(図3)から締付け状態(図7)へ移すために着用者が第2のセグメント72を引き寄せているときに固定したままであるタイプであるが、反対方向に引っ張られるとき、第1のセグメント70から容易に取り外すことができる。したがって、第2のセグメント72は、手術衣20のストラップ42を締め付けている最中は第1のセグメント70に連結されたままであるが、必要に応じて、着用者によって容易に解除することができる。例示的な一例では、指向性マイクロホックおよびループファスナ(directional micro hook and loop fasteners)が使用されるが、様々な他の結合構成も考えられる。
【0033】
図3Aに最もよく示されるように、第2のセグメント72は、ストラップ42の第2の端部46上に配設される追加の結合部49を備えることもできる。追加の結合部49は、ストラップ42が最初の状態(図3)であるときにストラップ42の第2の端部46が無菌ゾーンに対応する領域40内のままであることを確実にするために、ストラップ42の第2の端部46を手術衣20に固定するように構成されてもよい。言い換えると、追加の結合部49は、ストラップ42が、最初の状態(図3)にあるときに、手術衣20の前部24に取り外し可能に連結されており、これは、着用者が、無菌ゾーンに対応する領域40から両手を取り除くことなく、ストラップ42の第2の端部46を掴んでストラップ42を締付け状態(図7)へ移すことを可能にする。
【0034】
一例では、手術衣20は、上述したストラップ42から背面正中線36の両側で手術衣20に取り付けられる同一のストラップ(図示せず)を備えてもよい。典型的には、追加のストラップは、第1のセグメント70、第2のセグメント72、端部46、および結合部48を含む元のストラップ42と同じ特徴を備える。また、同一のストラップ42は、上述したように、無菌ゾーンに対応する領域40から着用者の両手を取り除くことなく、着用者によって最初の状態から締付け状態へ移されるように構成されていることもできる。
【0035】
図3図13をさらに参照すると、上でより詳細に説明されたように、手術時、手術衣20は、無菌包装内でひっくり返しの向きで、および最初の状態(図3)でストラップ42を有して、すなわち、第2の端部46が着用者の無菌ゾーンに対応する領域40内に配置された状態で始まる。次いで、着用者は、無菌包装を開いて、衣20の外側に触れることなく手術衣20を着用することができる。手術衣20が着用者によって着用されると、着用者は、手術衣20のストラップ42を自身の周りに締め付けることができる。そのために、着用者は、着用者の無菌ゾーンに対応する領域40内に位置するストラップ42の第2の端部46を係合し、結合部48および49を手術衣から連結解除することができる。次いで、着用者は、ストラップ42を締付け状態(図7)へ移し、結合部48を手術衣20に再連結することができる。ストラップ42が締付け状態(図7)へ移されると、ストラップ42の第2のセグメント72は、含まれる場合、ストラップ42の第1のセグメント70から連結解除され、次いで、処分することができる。手術衣20を調節する開示された方法と共に手術衣20のこの構成を用いることによって、着用者は、手助けが必要とされる従来の手法と比較して、追加の人の助けなしで、および無菌ゾーンに対応する領域40から着用者の両手が出ることなく、手術衣20を調節することができる。
【0036】
図14図24に示された別の例では、ストラップ79は、第1のストラップ80および第2のストラップ82を備え、これは、それぞれの第1の端部44と、第1の端部44の反対に配設された第2の端部46と、結合部48とを備える。さらに、ストラップ79は、第1および第2のストラップ80、82の両方に取り外し可能に連結されている第3のストラップ84を0備えることができる。いくつかの態様では、第3のストラップ84は、図4図13を参照して上述された第2のセグメント72にほぼ同様であり得る。より具体的には、第3のストラップ84は、第1のストラップ80および第2のストラップ82の第2の端部46の固定部74に取り外し可能に連結するための固定部74を備える。図19に最もよく示されるように、第1および第2のストラップ80、82は、第1の端部44で後部28にそれぞれ取り付けられている。より具体的には、第1および第2のストラップ80、82は、手術衣20の後部28の背面正中線34の両側に配設される。第1および第2のストラップ80、82は、手術衣20の後部28の他の場所に取り付けられてもよいとも考えられる。
【0037】
図14図24をさらに参照すると、前述したように、手術衣20が無菌包装内にあるとき、第1および第2のストラップ80、82は、着用者の無菌ゾーン40に対応する領域の外側に少なくとも一部配設されてもよく、第3のストラップ84は、着用者の無菌ゾーンに対応する領域40内に少なくとも一部配設されてもよい。言い換えると、第1および第2のストラップ80、82の最初の状態(図14)では、第1および第2のストラップ80、82の少なくとも一部は、着用者の無菌ゾーンに対応する領域40の外側に配設され、第3のストラップ84は、着用者の無菌ゾーンに対応する領域40内に少なくとも一部配設されている。一例では、図14に示されるように、第1および第2のストラップ80、82の第2の端部46は、第1および第2のストラップ80、82全体が無菌ゾーンに対応する領域40の外側に配設されるように手術衣20の側部30、32または後部28上に配設することができる。また、第1および第2のストラップ80、82は、最初の状態(図14)と結合部48が手術衣20の前部24に取り外し可能に連結されている締付け状態(図18)との間で移されるように構成されている。さらに、手術衣20が無菌包装内にあるとき、典型的には、手術衣20の構成は、上述したようにひっくり返されている。
【0038】
図14図24に示された例に示されるように、第3のストラップ84は、第3のストラップ84が第1のストラップ80と第2のストラップ82の間に配設されるように第1および第2のストラップ80、82の第2の端部46を連結することができる。また、第3のストラップ84は、任意の長さであってもよく、好ましくは任意のサイズの着用者の身体を取り囲むのに十分な長さであってもよいが、最初の状態(図14)における無菌ゾーンに対応する領域40から第3のストラップ84が外へ出るように長すぎないと考えられる。より具体的には、上述したように、最初の状態(図14)では、図14に示されるように、第1および第2のストラップ80、82は、着用者の無菌ゾーンに対応する領域40の外側に少なくとも一部配設され、第1および第2のストラップ80、82間で連結されている第3のストラップ84は、無菌ゾーン40に対応する領域内に少なくとも一部配設される。
【0039】
第3のストラップ84は、使用者が無菌ゾーンに対応する領域40内に位置する第3のストラップ84の一部に係合し、手術衣20の所望の締まりに到達するまで無菌ゾーンに対応する領域40内で第1、第2、および第3のストラップ80、82、84を前方へ引っ張ることを可能にする。第3のストラップ84を引き寄せる動作によって、最初の状態(図14参照)から第1および第2のストラップ80、82の結合部48を連結解除して、ストラップが締付け状態(図18)へ移ることを可能にする。所望の締まりに到達したら、使用者は、第1および第2のストラップ80、82の結合部48が締付け状態(図18)で無菌ゾーンに対応する領域40内で手術衣20と再連結することを可能にする。第1および第2のストラップ80、82が締付け状態(図18)になると、第3のストラップ84は、第1および第2のストラップ80、82から取り外されてもよい。
【0040】
上述したように、第3のストラップ84は、第3のストラップ84を第1および第2のストラップ80、82に取り外し可能に連結するためにその各端に隣接した固定部74を備える。第1および第2のストラップ80、82が締付け状態(図18)になると、着用者は、第3のストラップ84の各固定部74を第1および第2のストラップ80、82から連結解除することができる。一例では、第3のストラップ84の固定部74は、着用者が第1および第2のストラップ80、82を最初の状態(図14)から締付け状態(図18)へ移すために第3のストラップ84を引き寄せるときに固定のままであるタイプであるが、反対方向に引っ張られるとき第1および第2のストラップ80、82から容易に取り除くことができる。したがって、第3のストラップ84は、手術衣20の締付け中に第1および第2のストラップ80、82に連結されたままであるが、必要なときに、着用者によって容易に解除することができる。一例では、指向性マイクロホックおよびループファスナが使用されるが、様々な他の結合構成も考えられる。
【0041】
第1および第2のストラップ80、82は、限定するものではないが、第1の端部44、第2の端部46、内側面50、外側面52、厚さ、長さ、幅、結合部48、固定部74を含むトラップ42と同じまたは類似する特徴および向きを含むことができると考えられる。また、第1および第2のストラップ80、82は、互いに同一または類似であり得ると考えられる。しかしながら、第1および第2のストラップ80、82は、ストラップ42に関して上述したような代替の特徴および/または構成のいずれかを有してもよいとも考えられる。また、第1および第2のストラップ80、82の各々は、本開示の趣旨から逸脱することなく、互いから異なっていてもよいと考えられる。
【0042】
図14図24に示された例をさらに参照すると、手術時、手術衣20は、第1および第2のストラップ80、82が最初の状態(図14)にあるひっくり返しの向きの無菌包装で始まる。次いで、着用者は、無菌包装を開き、衣20の外側に触れることなく手術衣20を着用することができる。手術衣20が着用者によって着用されると、着用者は、手術衣20を自身の周りで締め付けることができる。そのために、着用者は、無菌ゾーンに対応する領域40内に位置する第3のストラップ84に係合し、第3のストラップ84を前方に引っ張って、無菌ゾーンに対応する領域から両手を外へ出させることなく第1および第2のストラップ80、82を締め付けることができる。第1および第2のストラップ80、82が締付け状態(図18)へ移されるとき、着用者は、第3のストラップ84を引っ張るのをやめることができ、これによって、第1および第2のストラップ80、82が締付け状態(図18)で手術衣20と再係合することを可能にする。次いで、着用者は、第3のストラップ84を第1および第2のストラップ80、82から連結解除し、第3のストラップ84を処分することができる。締付け状態(図18)では、第1および第2のストラップ80、82の第2の端部46は、無菌ゾーンに対応する領域40から着用者の両手が取り除かれることなく、着用者が第3のストラップ84を連結解除することができるように、着用者の無菌ゾーンに対応する領域40内に配設される。また、手術衣20を調節する開示された方法と共に手術衣20のこの構成を使用することによって、着用者は、追加の人の助けなしで、および無菌ゾーンに対応する領域40から着用者の両手が出ることなく、手術用ガウン20を調節することができる。
【0043】
次いで、図26および図27に示された例を参照すると、手術衣190が開示されている。図26および図27に示された手術衣190は、限定するものではないが、ストラップ42および/または結合部48を含む図1図25に示されているとともに本明細書に説明される手術衣190を参照して上述した特徴のいずれかまたは全部を備えることができる。図26および図27に示される例では、手術衣190は、前部124と、背面正中線134を定める後部128と、前部124および後部128を接続する2つの側部130、132とを備える。前部124、後部128、および2つの側部130、132は、着用者に対する微生物バリアを形成する。また、手術衣190は、着用を容易にするために手術衣190が開いていることができるようにそれを通じて配設される閉鎖機構192を備える。より具体的には、閉鎖機構192は、手術衣190の後部128が開いている開いた位置と手術衣190の後部128が閉じている閉じた位置との間で移されるように構成されている。閉鎖機構192は、背面正中線134に沿って配設されてもよく、または閉鎖機構192が手術衣190の後部128の他の場所に配設され得るように背面正中線134の中央からずらして配設されてもよい。必要に応じて、閉鎖機構192は、手術衣190の前部124に配設されることも考えられる。図26に示された一例では、閉鎖機構192は、ジッパーである。より具体的には、図6に示される例では、ジッパーは、リバースコイルジッパーなどの防水ジッパーである。しかしながら、閉鎖機構192は、任意のタイプのジッパー、留め金、ボタン、ホック、およびループ、ならびに他のファスナを含むが、これに限定されない衣を閉めるように構成された任意の他の機構を備えてもよいことも考えられる。
【0044】
図26および図27をさらに参照すると、手術衣190は、閉鎖機構192の上を延びるフラップ194も備える。フラップ194は、上述したように目の詰まった織布などの手術衣190の残りと同じ材料で構成することができる。フラップ194は、追加の防水バリアまたはコーティングを含むことができ、および/または着用者に微生物バリアを与えるように構成される異なる材料で作製することができることも考えられる。また、フラップ194は、手術衣190の残りの厚さと類似する厚さを有してもよいと考えられる。しかしながら、フラップ194は、追加の液体バリアを与えるより大きいまたはより小さい厚さを有してもよいことも考えられる。
【0045】
図26および図27に示される例では、フラップ194は、概して矩形であり、フラップ194が閉鎖機構192の全長にわたって延びるように構成されるように手術用ガウンの長さに等しい長さを有する。フラップ194は、必要に応じて、閉鎖機構192の一部が無菌ゾーンの下方で手術衣190の外側に曝され得るようにより短い長さを有してもよいとも考えられる。また、フラップ194は、閉鎖機構192と少なくとも同じ広さである幅を有する。図26および図27に示される例では、フラップ194は、第1の縁部196および第2の縁部198を備える。第1の縁部196は、閉鎖機構192に隣接したガウンの後部128に固定される。第1の縁部196は、限定するものではない縫合または接着を含む任意の方法によって手術用ガウンに固定されてもよい。第2の縁部198は、フラップ194が閉鎖機構192にわたって延びるように閉鎖機構192の反対側へ延びるように構成されている。さらに、フラップ194は、一貫した厚さ、長さ、および/または幅を有してもよく、あるいは、必要に応じ、フラップ194の厚さ、長さ、または幅のうちの1つまたは複数は、変えられてもよいと考えられる。
【0046】
図26および図27に示された例をさらに参照すると、手術衣190は、背面正中線134に隣接した少なくとも1つの磁気要素200であって、閉鎖機構192に微生物バリアを与えるためにフラップ194を閉鎖機構192の上に固定するように構成されている少なくとも1つの磁気要素200も備える。一例では、磁気要素200は、磁場を生成するように構成された永久磁石である。また、図26に最もよく示されるように、少なくとも1つの磁気要素200は、フラップ194内に密閉されている第1の磁気要素であってもよい。図26に示された例では、5つの磁気要素200が、フラップ194内に密閉されている。しかしながら、6つ以上または4つ以下の磁気要素200が、フラップ194内に密閉されてもよい。磁気要素200は、フラップ194の幅に対してフラップ194内の中央に密閉されてもよく、あるいは第1の縁部196または第2の縁部198のより近くに配設されてもよい。また、磁気要素200は、フラップ194の長さに沿って等しく分散されてもよく、またはフラップ194に沿って1つまたは複数の部分に集められてもよい。磁気要素200は、フラップ194内に密閉されないが、他の方法で、例えば、接着によってフラップ194に取り付けられ、閉鎖機構192にわたってフラップ194を固定するようにさらに構成されることも考えられる。
【0047】
さらに、少なくとも1つの磁気要素200は、手術衣190の後部128内に密閉されている第2の磁気要素であってもよい。第2の磁気要素201は、フラップ194の第1の縁部196から閉鎖機構192の両側で閉鎖機構192に隣接して配設される。図26に示された例では、5つの第2の磁気要素201が、後部128内に密閉されている。しかしながら、6つ以上または4つ以下の第2の磁気要素201が、後部128内に密閉されてもよい。第2の磁気要素201は、後部128内に密閉されず、他の方法で、例えば、接着によって後部128に取り付けてもよいということも考えられる。また、手術衣190の後部128に連結された第2の磁気要素201は、手術衣190のフラップ194に結合された第1の磁気要素200、および手術衣190の後部128に結合された第2の磁気要素201が反対の極性を有するように、手術衣190のフラップ194に連結された第1の磁気要素200と連結されるように構成されている。さらに、フラップ194内の磁気要素200の1つは、後部128およびフラップ194が同じ個数の磁気要素200をそれぞれ収めるように、後部128内の第2の磁気要素201の1つに連結されるように構成されている。
【0048】
別の例では、手術衣190は、閉鎖機構192に微生物バリアを与えるためにフラップ194を閉鎖機構192の上に固定するように少なくとも1つの磁気要素200に連結されるように構成されている鉄要素202を備える。一例では、鉄要素202は、鉄要素202が手術衣190の後部128内に密閉されるように、または他の方法で取り付けられるように手術衣190の後部128内の磁気要素200に取って代わる。この例では、手術衣190の後部128内の鉄要素202は、閉鎖機構192に微生物バリアを与えるためにフラップ194を閉鎖機構192の上に固定するようにフラップ194内の磁気要素200に連結されるように構成されている。さらに別の例では、鉄要素202は、鉄要素202が、手術衣190のフラップ194内に密閉される、または他の方法で、例えば、接着によって手術衣190のフラップ194に取り付けられるように手術衣190のフラップ194内の磁気要素200に取って代わる。この例では、手術衣190のフラップ194内の鉄要素202は、閉鎖機構192に微生物バリアを与えるためにフラップ194を閉鎖機構192の上に固定するように手術衣190の後部128内の磁気要素200に連結されるように構成されている。鉄要素202は、フラップ194または後部128内の配置および総計に関して、上述したように磁気要素200と同様であり得る。例えば、磁気要素200の1つは、後部128およびフラップ194が同じ個数の磁気要素200および鉄要素202を含むように鉄要素202の1つに連結されるように構成されている。
【0049】
図26および図27に示された例をさらに参照すると、手術時、まず、着用者は手術衣190を着用する。次いで、閉鎖機構192が、閉鎖機構192が閉じた位置(図26)にあるように動かされる。最後に、図27に示されるように、フラップ194は、閉鎖機構192に微生物バリアを与えるために磁気要素200を用いて閉鎖機構192の上に固定される。より具体的には、フラップ194は、フラップ194内に位置する磁気要素200または鉄要素202を手術衣190の後部128内に位置する磁気要素200または鉄要素202と連結することによって閉鎖機構192の上に固定される。フラップ194が閉鎖機構192の上に固定されるとき、フラップ194は、液体が閉鎖機構192を通じて手術衣190に入ることを防止する微生物バリアを閉鎖機構192にもたらす。
【0050】
また、防護服システムは、一般に、医療処置または外科手術中に医師と患者の間にバリアをもたらすことが意図されているが、その使用は、それに限定されない。個人と周囲環境の間にバリアをもたらすことが望ましい他の試みにこの衣が使用できることは、本開示の範囲内である。衣を使用することがまさに望ましいものであり得る代替の試みの1つは、個人が働いている環境内で個人と危険性物質の間にバリアをもたらすことが望ましいというものである。
【0051】
前述の説明においていくつかの例を説明してきた。しかしながら、本明細書に説明される例は、網羅的であることは意図されておらず、または本発明をいずれかの特定の形態に限定することも意図されていない。使用された専門用語は、限定ではなく説明に係る単語の性質を持っていることが意図される。上記の教示に鑑みて多くの変更および変形が可能であり、本発明は、具体的に説明されたもの以外の方法で実施されてもよい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27