(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】出力ギヤ及びウインドレギュレータシステム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/689 20150101AFI20241227BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
E05F15/689
B60J1/17 A
(21)【出願番号】P 2021053160
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000146434
【氏名又は名称】株式会社城南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅弥
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕規
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-248831(JP,A)
【文献】特開平11-101060(JP,A)
【文献】米国特許第06051901(US,A)
【文献】国際公開第2017/026067(WO,A1)
【文献】特開2008-208707(JP,A)
【文献】実開昭61-003876(JP,U)
【文献】特開2015-148092(JP,A)
【文献】特開平07-197741(JP,A)
【文献】国際公開第2014/077036(WO,A1)
【文献】特開2020-117013(JP,A)
【文献】特開2017-036797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 - 15/79
B60J 1/17
F16H 1/00 - 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セレーション形成部及び前記セレーション形成部に連なる軸状部を有する出力軸を備えた減速機付きモータの前記出力軸に軸着されると共に、ウインドレギュレータの入力ギヤに噛合する出力ギヤであって、
前記セレーション形成部のセレーションに圧入される第1圧入部と、
前記第1圧入部に連なり、外周面に前記入力ギヤに噛合するギヤ部が形成されると共に、内部に前記軸状部が入り込むギヤ形成部と、を備え、
前記ギヤ形成部は、軸方向先側から前記軸状部に圧入される第2圧入部を有することを特徴とする出力ギヤ。
【請求項2】
前記軸状部の軸方向先端面には、凹状又は孔状を成す被圧入部が形成され、
前記第2圧入部は、凸状を成し、前記被圧入部に圧入されることを特徴とする請求項1に記載の出力ギヤ。
【請求項3】
前記第2圧入部は、穴状を成し、前記軸状部の外周面に圧入されることを特徴とする請求項1に記載の出力ギヤ。
【請求項4】
前記ギヤ形成部は、前記セレーション形成部の軸方向先端面に面接触する接触面を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の出力ギヤ。
【請求項5】
前記ギヤ形成部及び前記軸状部を軸方向側方に貫通する貫通ピンを、更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の出力ギヤ。
【請求項6】
軸方向側方から前記ギヤ形成部に締結され、前記軸状部に接触する止めネジを、更に備えたことを特徴する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の出力ギヤ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の出力ギヤと、
前記減速機付きモータと、
前記ウインドレギュレータと、を備えたことを特徴とするウインドレギュレータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力ギヤ及びウインドレギュレータシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、出力ギヤとして、例えば、駆動モータの出力軸に軸着されると共に、アーム式ウインドレギュレータのセクタギヤに噛合するピニオンギヤがある(特許文献1参照)。このピニオンギヤは、出力軸にセレーション結合されており、出力軸との結合位置に対し、セクタギヤとの噛合位置が、軸方向先側に位置ズレした構成となっている。このピニオンギヤによって、セレーション方式の出力軸を備えた駆動モータを、アーム式ウインドレギュレータのセクタギヤに接続でき、セレーション方式の出力軸を備えた駆動モータを、アーム式ウインドレギュレータに利用できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のピニオンギヤでは、セクタギヤからの反力によって、ピニオンギヤに対しセクタギヤから離れる方向に強い力がかかるため、ピニオンギヤの先側が芯振れ(軸ブレ)してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、芯振れを抑制することができる出力ギヤ及びウインドレギュレータシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、セレーション形成部及び前記セレーション形成部に連なる軸状部を有する出力軸を備えた減速機付きモータの前記出力軸に軸着されると共に、ウインドレギュレータの入力ギヤに噛合する出力ギヤであって、前記セレーション形成部のセレーションに圧入される第1圧入部と、前記第1圧入部に連なり、外周面に前記入力ギヤに噛合するギヤ部が形成されると共に、内部に前記軸状部が入り込むギヤ形成部と、を備え、前記ギヤ形成部は、軸方向先側から前記軸状部に圧入される第2圧入部を有することを特徴とする出力ギヤを提供する。なお、ここにいう「圧入」とは、内嵌圧入に加え、外嵌圧入を含む概念である。
【0007】
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記の出力ギヤと、前記減速機付きモータと、前記ウインドレギュレータと、を備えたことを特徴とするウインドレギュレータシステムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る出力ギヤ及びウインドレギュレータシステムは、芯振れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るウインドレギュレータ、及びウインドレギュレータが設けられる自動車のドアを示す全体概略図である。
【
図2】ウインドレギュレータを示した正面図である。
【
図3】(a)は、ガラスホルダを省略したウインドレギュレータを示した斜視図であり、(b)は、ガラスホルダ、支持ベース及びギヤカバーを省略したウインドレギュレータを示した斜視図である。
【
図4】(a)は、出力軸及び出力ギヤ周りを示したA‐A´線断面図であり、(b)は、出力軸を示したA‐A´線断面図であり、(c)は、出力ギヤを示したA‐A´線断面図である。
【
図5】減速機付きモータを示した正面図(a)及び側面図(b)である。
【
図6】出力ギヤを示した正面図(a)、側面図(b)及び裏面図(c)である。
【
図7】(a)は、第1変形例の出力軸及び出力ギヤを示した、出力ギヤの裏面図、出力軸及び出力ギヤの断面図及び出力軸の正面図であり、(b)は、第2変形例の出力軸及び出力ギヤを示した、出力ギヤの裏面図、出力軸及び出力ギヤの断面図及び出力軸の正面図であり、(c)は、第3変形例の出力軸及び出力ギヤを示した、出力ギヤの裏面図、出力軸及び出力ギヤの断面図及び出力軸の正面図である。
【
図8】(a)は、第4変形例の出力軸及び出力ギヤを示した断面図であり、(b)は、第5変形例の出力軸及び出力ギヤを示した断面図であり、(c)は、第6変形例の出力軸及び出力ギヤを示した断面図である。
【
図9】(a)は、第7変形例の出力軸及び出力ギヤを示した断面図であり、(b)は、第8変形例の出力軸及び出力ギヤを示した断面図であり、(c)は、第9変形例の出力軸及び出力ギヤを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るウインドレギュレータシステムについて説明する。このウインドレギュレータシステムは、自動車(車両)に設けられたドアの内部に取り付けられ、ドアの窓ガラスを昇降する昇降装置である。特に、本ウインドレギュレータシステムは、減速機付きモータの出力軸に軸着される出力ギヤを改良することで、出力ギヤの芯振れを抑制し、当該芯振れに伴うギヤ部の摩耗や異音の発生を抑制したものである。なお、以下、窓ガラスの昇降方向を、単に昇降方向と呼称する。また、以下、各図に示す通り、左右、前後及び上下を規定して説明する。さらに、各図に示すウインドレギュレータシステムの上下方向は、窓ガラスの昇降方向と一致している。
【0011】
図1は、窓ガラスGの全閉状態におけるウインドレギュレータシステム1、及びウインドレギュレータシステム1が設けられる自動車のドアDを示す全体概略図であり、
図2は、ウインドレギュレータシステム1を示した正面図であり、
図3は、ウインドレギュレータシステム1を示した斜視図である。
図1乃至
図3に示すように、ウインドレギュレータシステム1は、ドアDのインナーパネルP(車内側のドアパネル)に取り付けられており、窓ガラスGの昇降動作を行うウインドレギュレータ11(稼動部)と、ウインドレギュレータ11を駆動する駆動部12と、を備えている。
【0012】
ウインドレギュレータ11は、窓ガラスGの下端に固定された左右2つのガラスホルダ21、21と、昇降自在に支持されると共に、2つのガラスホルダ21、21を介して窓ガラスGが取り付けられた第1チャンネル22と、先端部23a、24aがそれぞれ第1チャンネル22に連結され、第1チャンネル22を昇降方向に昇降させるリフトアーム23及びサブアーム24と、リフトアーム23の基端部23bに固定され、駆動部12からの動力が入力されるセクタギヤ25(入力ギヤ)と、を備えている。また、ウインドレギュレータ11は、インナーパネルPに固定されると共に、支軸26aを介してリフトアーム23を回動自在に支持する支持ベース26と、インナーパネルPに固定されると共に、サブアーム24の基端部24bが連結された第2チャンネル27と、を備えている。すなわち、本ウインドレギュレータ11は、Xアーム式のウインドレギュレータである。
【0013】
リフトアーム23は、先端部23aが、第1スライダ(不図示)を介して第1チャンネル22に対し左右方向にスライド自在に連結されている。リフトアーム23が支軸26aを中心に回動すると、リフトアーム23の先端部23aが、左右方向にスライドしつつ昇降方向に移動し、先端部23aによって第1チャンネル22を昇降方向に押上げ又は引き下げる。
【0014】
サブアーム24は、2つのアーム状部材24dを接合して構成されており、先端部24aが、第2スライダ(不図示)を介して第1チャンネル22に対し左右方向にスライド自在に連結され、基端部24bが、第3スライダ(不図示)を介して第2チャンネル27に対し左右方向にスライド自在に連結されている。また、サブアーム24は、長手方向中間位置において、リフトアーム23の長手方向中間位置と連結される回転連結部24cを有し、リフトアーム23と交差するように配設されている。リフトアーム23が支軸26aを中心に回動すると、これを受けて、サブアーム24全体が、回転連結部24cを中心に回転しつつ、サブアーム24の基端部24bが左右方向にスライドする。これによって、サブアーム24の先端部24aが左右方向にスライドしつつ昇降方向に移動し、先端部24aによって第1チャンネル22を昇降方向に押上げ又は引き下げる。
【0015】
これらように、リフトアーム23及びサブアーム24によって、第1チャンネル22を昇降方向に押上げ又は引き下げることで、ガラスホルダ21、21を介して第1チャンネル22に取り付けられた窓ガラスGが昇降される。
【0016】
セクタギヤ25は、円弧状に形成され、リフトアーム23の基端部23bに溶接等で固定されている。また、セクタギヤ25の円弧状の外周面には、駆動部12の出力ギヤ32(後述する)に噛合するギヤ部25aが形成されている。セクタギヤ25のギヤ部25aは、いわゆるインボリュートギヤである。
【0017】
駆動部12は、ウインドレギュレータ11の駆動源となる減速機付きモータ31と、減速機付きモータ31に軸着されると共にセクタギヤ25に噛合する出力ギヤ32と、出力ギヤ32を覆うギヤカバー33と、を備えている。ギヤカバー33は、インナーパネルPに取り付けられると共に、ウインドレギュレータ11の支持ベース26と一体として形成されている。また、
図3(a)及び
図4(a)に示すように、ギヤカバー33は、出力ギヤ32のギヤ形成部62(後述する)の頭部72を摺動回転自在に押えている。
【0018】
減速機付きモータ31は、モータ本体である電動モータ41と、電動モータ41の回転力を出力する出力軸42と、電動モータ41の回転を出力軸42に伝達すると共に、電動モータ41の回転を減速する減速機(図示省略)と、減速機を収容するモータケース43と、を備えている。
【0019】
電動モータ41を正転駆動すると、出力軸42に軸着された出力ギヤ32が正転し、出力ギヤ32に噛合したセクタギヤ25を介して、リフトアーム23が反時計回りに回動する。これによって、リフトアーム23の先端部23aが、左右方向にスライドしつつ上方向に移動する。一方で、リフトアーム23の回動を受けて、サブアーム24が時計回りに回転しつつ、サブアーム24の基端部24bが左右方向にスライドする。これによって、サブアーム24の先端部24aが、左右方向にスライドしつつ上方向に移動する。これらにより、リフトアーム23及びサブアーム24の先端部23a、24aに連結された第1チャンネル22が昇降方向上方に押し上げられ、ガラスホルダ21、21を介して窓ガラスGが上昇する。
【0020】
一方、電動モータ41を逆転駆動すると、出力軸42に軸着された出力ギヤ32が逆転し、出力ギヤ32に噛合したセクタギヤ25を介して、リフトアーム23が時計回りに回動する。これによって、リフトアーム23の先端部23aが、左右方向にスライドしつつ下方向に移動する。一方で、リフトアーム23の回動を受けて、サブアーム24が反時計回りに回転しつつ、サブアーム24の基端部24bが左右方向にスライドする。これによって、サブアーム24の先端部24aが、左右方向にスライドしつつ下方向に移動する。これらにより、リフトアーム23及びサブアーム24の先端部23a、24aに連結された第1チャンネル22が昇降方向下方に引き下げられ、ガラスホルダ21、21を介して窓ガラスGが下降する。
【0021】
次に
図4乃至
図6を参照して、減速機付きモータ31の出力軸42、及び出力ギヤ32について説明する。
図4(b)及び
図5に示すように、出力軸42は、樹脂材料で形成されており、セレーション51aが形成されたセレーション形成部51と、セレーション形成部51に対し軸方向先側に連なる軸状部52と、を有している。
【0022】
セレーション形成部51は、その外周面にセレーション51aが形成されている。セレーション51aは、凸部及び凹部が周方向に交互に連続した波状の形状を有している。また、セレーション51aは、軸方向元側から先側に向かって縮径した先細り状に形成されている。
【0023】
軸状部52は、セレーション形成部51の軸方向先端面51bから突出するように且つセレーション形成部51と同軸上に形成され、円柱軸状を有している。また、軸状部52の先端面には、被圧入部52aが形成されている。被圧入部52aは、円柱穴状(凹状)に形成されており、被圧入部52aには、出力ギヤ32の圧入凸部72a(後述する)が圧入される。
【0024】
図4(c)及び
図6に示すように、出力ギヤ32は、金属材料で形成されており、セレーション形成部51のセレーション51aに圧入されるセレーション圧入部61(第1圧入部)と、セレーション圧入部61に対し軸方向先側に連なり、セクタギヤ25に噛合するギヤ部71aが形成されたギヤ形成部62と、を有している。出力ギヤ32は、セレーション方式の出力軸42(いわゆるセレーション軸)を備えた減速機付きモータ31を、ウインドレギュレータ11のセクタギヤ25に連結するピニオン変換アダプターである。
【0025】
セレーション圧入部61は、円筒状に形成されており、その内周面に、セレーション形成部51のセレーション51aと係合するセレーション係合部61aが形成されている。セレーション係合部61aは、凸部及び凹部が周方向に交互に連続した波状の形状を有しており、セレーション51aと相補的な形状を成している。また、セレーション係合部61aは、セレーション51aに倣うように、軸方向元側から先側に向かって縮径した形状に形成されている。セレーション圧入部61をセレーション51aに圧入するときには、このセレーション係合部61aがセレーション51aに外嵌圧入される。すなわち、セレーション係合部61aの外径は、セレーション51aの外径より若干小さく形成されており、セレーション51aが径方向に圧縮されるように変形する形で、セレーション係合部61aがセレーション51aに圧入される。
【0026】
ギヤ形成部62は、セレーション圧入部61と同軸上に形成されており、内部空間を有する円筒状の本体部71と、本体部71に対し軸方向先端側に連なり、本体部71の内部空間の軸方向先側を閉塞する頭部72と、を有している。本体部71は、その外周面に、セクタギヤ25のギヤ部25aが噛合するギヤ部71aが形成されている。本体部71のギヤ部71aは、セクタギヤ25のギヤ部25aに合わせたインボリュートギヤである。また、本体部71は、その内部空間に出力軸42の軸状部52が入り込むように構成されている。すなわち、本体部71の内周面は、軸状部52の外周面と嵌合している。
【0027】
頭部72は、本体部71と同軸上に形成された円柱状を有している。頭部72の、軸状部52の軸方向先端面に対向する対向面(下面)には、圧入凸部72a(第2圧入部)が形成されている。圧入凸部72aは、当該対向面から軸状部52の軸方向先端面に向かって突出した凸状を成し、円柱状に形成されている。すなわち、圧入凸部72aは、軸状部52の被圧入部52aに対し相補的な形状を成している。この圧入凸部72aが、軸方向先側から被圧入部52aに圧入される。すなわち、圧入凸部72aの外径は、被圧入部52aの外径より若干大きく形成されており、被圧入部52aが押し広げられるように変形する形で、圧入凸部72aが被圧入部52aに圧入される。これによって、圧入凸部72aの外周面が被圧入部52aの内周面に圧入され、圧入凸部72aの外周面と被圧入部52aの内周面とが径方向で係合した状態となる。
【0028】
図4(a)に示すように、出力軸42に出力ギヤ32が軸着されるとき、軸方向先側から、セレーション圧入部61がセレーション形成部51のセレーション51aに、圧入凸部72aが被圧入部52aに圧入される。これによって、出力軸42に対し出力ギヤ32が、軸方向の2か所で圧入接合され、出力軸42と出力ギヤ32とが一体化される。
【0029】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態によれば、出力軸42に対し出力ギヤ32が、軸方向の2か所で圧入接合される構成であるため、出力軸42と出力ギヤ32とを強固に一体化させることができる。これによって、出力ギヤ32の剛性(特に出力ギヤ32の先側の剛性)を向上させることができ、出力ギヤ32の芯振れを抑制することができる。これにより、芯振れによるギヤ部25a、71aの摩耗や異音の発生を抑制することができる。
【0030】
また、出力ギヤ32が、セレーション圧入部61に加え、軸状部52に、軸方向先側から圧入される圧入凸部72aを備えたことで、出力軸42から出力ギヤ32が浮き上がるのを抑制することができ、出力軸42からの出力ギヤ32の抜けを抑制することができる。
【0031】
(その他の実施形態について)
なお、上記実施形態においては、被圧入部52a及び圧入凸部72aが、軸方向から見て円形状を有する構成であったが、
図7(a)に示すように、被圧入部52a及び圧入凸部72aが、軸方向から見て円環状(ドーナツ状)を有する構成であっても良い。また、
図7(b)に示すように、軸状部52が、被圧入部52aを複数有し、ギヤ形成部62が、圧入凸部72aを複数有する構成であっても良い。さらに、被圧入部52aを、孔状、すなわち貫通孔状にする構成であっても良い。
【0032】
また、
図7(c)に示すように、ギヤ形成部62が、圧入凸部72aに代えて、軸状部52の外周面に軸方向先側から外嵌圧入される穴状の圧入穴62a(第2圧入部)を有する構成であっても良い。かかる場合、
図7(c)に示すように、軸状部52の外周面を、軸方向元側から先側に向かって縮径した先細り状に形成し、圧入穴62aを、軸状部52の外周面に倣う先細り状に形成することが好ましい。
【0033】
また、上記実施形態及び上記各変形例において、
図8(a)に示すように、出力ギヤ32のギヤ形成部62が、セレーション形成部51の軸方向先端面51bに面接触する接触面61bを有する構成であっても良い。かかる構成によれば、出力軸42に対し出力ギヤ32が傾く形で浮き上がるのを抑制することができ、出力軸42からの出力ギヤ32の抜けをより抑制することができる。
【0034】
また、上記実施形態及び上記各変形例において、
図8(b)及び(c)に示すように、出力ギヤ32が、軸状部52及びギヤ形成部62を軸方向側方に貫通する貫通ピン101を、更に有する構成であっても良い。具体的には、
図8(b)に示すように、貫通ピン101が、軸状部52及びギヤ形成部62の本体部71を貫通する構成であっても良いし、
図8(c)に示すように、軸状部52を、ギヤ形成部62の頭部72の内部まで延ばし、貫通ピン101が、軸状部52及び頭部72を貫通する構成であっても良い。これらの構成によれば、出力軸42から出力ギヤ32が浮き上がるのをより抑制することができ、出力軸42からの出力ギヤ32の抜けをより抑制することができる。
【0035】
また、上記実施形態及び上記各変形例において、
図9(a)に示すように、軸状部52の一部を、ギヤ形成部62を貫通してギヤ形成部62(の頭部72)の軸方向先端面から突出するように延ばし、出力ギヤ32が、この突出した部分にはめ込まれるサークリップ102を、更に有する構成であっても良い。すなわち、サークリップ102は、軸状部52の、ギヤ形成部62の軸方向先端面から突出した部分にはめ込まれ、ギヤ形成部62の軸方向先端面に接触する。かかる構成によれば、出力軸42から出力ギヤ32が浮き上がるのをより抑制することができ、出力軸42からの出力ギヤ32の抜けをより抑制することができる。なお、かかる場合、軸状部52の、ギヤ形成部62の軸方向先端面から突出した部分に、サークリップ102を取り付けるための溝を形成することが好ましい。
【0036】
また、上記実施形態及び上記各変形例において、
図9(b)に示すように、出力ギヤ32が、軸方向側方からギヤ形成部62(の本体部71)に締結されると共に軸状部52に接触する止めネジ103(イモネジ)を、更に有する構成であっても良い。かかる構成によれば、出力軸42から出力ギヤ32が浮き上がるのをより抑制することができ、出力軸42からの出力ギヤ32の抜けをより抑制することができる。なお、かかる場合、
図9(b)に示すように、軸状部52の止めネジ103が接触する部分には、軸状部52の外周面に凹設されたキー溝52bが形成されることが好ましい。かかる構成によれば、止めネジ103をキー溝52bに対応するキー(マシンキー)として利用することができる。
【0037】
なお、上記実施形態及び上記各変形例においては、出力ギヤ32が、軸状部52に圧入される第2圧入部(圧入凸部72a又は圧入穴62a)を有する構成であったが、
図9(c)に示すように、第2圧入部に代えて、軸方向先側から、ギヤ形成部62を軸状部52に締結する締結ボルト104を有する構成であっても良い。具体的には、
図9(c)に示すように、締結ボルト104が、ギヤ形成部62の頭部72の通し孔を介して、軸状部52の先端部に締結されることで、ギヤ形成部62の頭部72が軸状部52の先端部に締結させる。かかる構成によれば、出力ギヤ32の芯振れを抑制することができると共に、出力軸42から出力ギヤ32が浮き上がるのを抑制することができ、出力軸42からの出力ギヤ32の抜けを抑制することができる。かかる場合、締結ボルト104の外周面がギヤ形成部62の通し孔の内周面と嵌合することが好ましい。
【0038】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1:ウインドレギュレータシステム、 11:ウインドレギュレータ、 25:セクタギヤ、 31:減速機付きモータ、 32:出力ギヤ、 42:出力軸、 51:セレーション形成部、 51a:セレーション、 51b:軸方向先端面、 52:軸状部、 52a:被圧入部、 61:セレーション圧入部、 61b:接触面、 62:ギヤ形成部、 71a:ギヤ部、 72a:圧入凸部、 101:貫通ピン、 102:サークリップ、 103:止めネジ