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特許7611774遠隔支援装置、遠隔支援方法、遠隔支援プログラム及び遠隔支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】遠隔支援装置、遠隔支援方法、遠隔支援プログラム及び遠隔支援システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20241227BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20241227BHJP
   A61H 3/06 20060101ALI20241227BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G08G1/005
A61H3/06 Z
H04N7/18 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021094513
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2022186346
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加沢 徹
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-137752(JP,A)
【文献】特開2006-3855(JP,A)
【文献】特開2001-221649(JP,A)
【文献】特開2016-205865(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025531(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0062357(US,A1)
【文献】特開2020-21453(JP,A)
【文献】特開2019-101709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G08G 1/00 - 1/16
H04N 7/18
A61H 1/00 - 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支援者により携帯されるカメラ装置で過去に撮像された過去画像、前記過去画像の地理的な撮像位置を示す撮像位置情報、及び、前記過去画像に付された所定のマークに関するマーキング情報をそれぞれ関連付けて記憶部に記憶制御する記憶制御部と、
前記被支援者により携帯される前記カメラ装置でリアルタイムに撮像されるリアルタイム撮像画像を受信し、前記リアルタイム撮像画像の撮像位置に対応する前記過去画像及び前記マーキング情報を前記記憶部から読み出す読み出し制御部と、
前記被支援者を支援する支援者が監視する表示部に表示するための支援画像であって、前記リアルタイム撮像画像、及び前記過去画像の何れか、又は両方に対して、前記記憶部から読み出された前記マーキング情報で示される所定の前記マークを反映させた支援画像を生成する支援画像生成部と、
を有する遠隔支援装置。
【請求項2】
前記支援画像生成部は、前記読み出し制御部が前記記憶部から読み出した前記リアルタイム撮像画像の撮像位置に対応する前記マーキング情報で示される所定の前記マークを前記リアルタイム撮像画像に反映させること
を特徴とする請求項1に記載の遠隔支援装置。
【請求項3】
前記記憶制御部は、前記マーキング情報に関連する情報を支援者に対して認識させる補助情報を前記記憶部に対してさらに記憶制御し、
前記支援画像生成部は、前記支援画像に、前記マーキング情報に関連する前記補助情報を付加すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遠隔支援装置。
【請求項4】
前記過去画像及び前記リアルタイム撮像画像に含まれるプライバシー保護対象に対して、所定のプライバシー保護処理を施すプライバシー保護部を、さらに備えること
を特徴とする請求項1から請求項3のうち、いずれか一項に記載の遠隔支援装置。
【請求項5】
前記プライバシー保護部は、前記プライバシー保護対象を所定の色で表す処理を行うこと
を特徴とする請求項4に記載の遠隔支援装置。
【請求項6】
前記プライバシー保護部は、前記プライバシー保護対象が前記被支援者に及ぼす危険度に対応する色で、前記プライバシー保護対象を表す処理を行うこと
を特徴とする請求項5に記載の遠隔支援装置。
【請求項7】
前記マークを前記リアルタイム撮像画像に反映させる際に、前記過去画像上における前記マークが反映されている領域と同じ画像的な特徴を有する領域を前記リアルタイム撮像画像から検索するマッチング処理を行うマッチング処理部を、さらに備え、
前記支援画像生成部は、前記マッチング処理部により検索された前記リアルタイム撮像画像上の領域に前記マークを反映させた前記支援画像を生成すること
を特徴とする請求項1から請求項6のうち、いずれか一項に記載の遠隔支援装置。
【請求項8】
前記マッチング処理部は、前記過去画像上における前記マークが反映されている領域の画像的な特徴に対して所定以上のマッチング度を有する領域が、前記リアルタイム撮像画像から検索されない場合、前記過去画像上における前記マークが反映されている領域の大きさを変更することで得られる画像的な特徴に基づいて前記マッチング処理を行うこと
を特徴とする請求項7に記載の遠隔支援装置。
【請求項9】
前記カメラ装置は、広画角の広角レンズ、または前記被支援者正面の左右に設置のステレオカメラを備えること
を特徴とする請求項1から請求項8のうち、いずれか一項に記載の遠隔支援装置。
【請求項10】
記憶制御部が、被支援者により携帯されるカメラ装置で過去に撮像された過去画像、前記過去画像の地理的な撮像位置を示す撮像位置情報、及び、前記過去画像に付された所定のマークに関するマーキング情報をそれぞれ関連付けて記憶部に記憶制御する記憶制御ステップと、
読み出し制御部が、前記被支援者により携帯される前記カメラ装置でリアルタイムに撮像されるリアルタイム撮像画像を受信し、前記リアルタイム撮像画像の撮像位置に対応する前記過去画像及び前記マーキング情報を前記記憶部から読み出す読み出し制御ステップと、
支援画像生成部が、前記被支援者を支援する支援者が監視する表示部に表示するための支援画像であり、前記リアルタイム撮像画像、及び前記過去画像の何れか、又は両方に対して、前記記憶部から読み出された前記マーキング情報で示される所定の前記マークを反映させた支援画像を生成する支援画像生成ステップと、
を有する遠隔支援方法。
【請求項11】
コンピュータを、
被支援者により携帯されるカメラ装置で過去に撮像された過去画像、前記過去画像の地理的な撮像位置を示す撮像位置情報、及び、前記過去画像に付された所定のマークに関するマーキング情報をそれぞれ関連付けて記憶部に記憶制御する記憶制御部と、
前記被支援者により携帯される前記カメラ装置でリアルタイムに撮像されるリアルタイム撮像画像を受信し、前記リアルタイム撮像画像の撮像位置に対応する前記過去画像及び前記マーキング情報を前記記憶部から読み出す読み出し制御部と、
前記被支援者を支援する支援者が監視する表示部に表示するための支援画像であり、前記リアルタイム撮像画像、及び前記過去画像の何れか、又は両方に対して、前記記憶部から読み出された前記マーキング情報で示される所定の前記マークを反映させた支援画像を生成する支援画像生成部として機能させること
を特徴とする遠隔支援プログラム。
【請求項12】
被支援者の周囲を撮像するカメラ装置及び前記被支援者を支援する音声を出力する音声出力装置を備えた、前記被支援者により携帯される被支援者装置と、前記カメラ装置で撮像された撮像画像を表示する表示装置、及び、前記被支援者を支援する支援者の支援音声を集音して前記被支援者装置に送信する送信部を備えた遠隔監視端末装置とを有する遠隔支援システムであって、
前記被支援者装置及び前記遠隔監視端末装置の間の通信を中継する遠隔支援装置を、さらに備え、
前記遠隔支援装置は、
前記被支援者により携帯される前記カメラ装置で過去に撮像された過去画像、前記過去画像の地理的な撮像位置を示す撮像位置情報、及び、前記過去画像に付された所定のマークに関するマーキング情報をそれぞれ関連付けて記憶部に記憶制御する記憶制御部と、
前記被支援者により携帯される前記カメラ装置でリアルタイムに撮像されるリアルタイム撮像画像を受信し、前記リアルタイム撮像画像の撮像位置に対応する前記過去画像及び前記マーキング情報を前記記憶部から読み出す読み出し制御部と、
前記被支援者を支援する支援者が監視する表示部に表示するための支援画像であり、前記リアルタイム撮像画像、及び前記過去画像の何れか、又は両方に対して、前記記憶部から読み出された前記マーキング情報で示される所定の前記マークを反映させた支援画像を生成する支援画像生成部と、を備えること
を特徴とする遠隔支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔支援装置、遠隔支援方法、遠隔支援プログラム及び遠隔支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、視覚障害者等の被支援者が、単独で安全に行動できるように支援する装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2000-312356号公報)には、視覚障害者の身体に取り付けられたカメラ装置で撮像された画像に基づいて、支援者が視覚障害者の周囲の状況を確認し、安全な方向へ遠隔誘導する視覚障害者誘導システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-312356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の視覚障害者誘導システムの場合、支援者は、視覚障害者を安全に誘導するために、視覚障害者に携帯されるカメラ装置で撮像された撮像画像を、高い集中力を持って終始監視する必要がある。このため、支援者の多大な監視労力が必要となる問題があった。この問題は、一人の支援者で複数の視覚障害者の支援を行う場合に、より顕著となる。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、被支援者の遠隔支援における、支援者の監視労力の軽減を図った、遠隔支援装置、遠隔支援方法、遠隔支援プログラム及び遠隔支援システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、被支援者により携帯されるカメラ装置で過去に撮像された過去画像、過去画像の地理的な撮像位置を示す撮像位置情報、及び、過去画像に付された所定のマークに関するマーキング情報をそれぞれ関連付けて記憶部に記憶制御する記憶制御部と、被支援者により携帯されるカメラ装置でリアルタイムに撮像されるリアルタイム撮像画像を受信し、リアルタイム撮像画像の撮像位置に対応する過去画像及びマーキング情報を記憶部から読み出す読み出し制御部と、被支援者を支援する支援者が監視する表示部に表示するための支援画像であり、リアルタイム撮像画像及び過去画像の何れか、又は両方に対して、記憶部から読み出されたマーキング情報で示される所定のマークを反映させた支援画像を生成する支援画像生成部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被支援者の遠隔支援における、支援者の監視労力を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態の遠隔支援システムのシステム構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態の遠隔支援システムに設けられている携帯端末装置のブロック図である。
図3図3は、携帯端末装置のCPUが、内蔵メモリに記憶されている音声支援プログラムを実行することで実現される各機能の機能ブロック図である。
図4図4は、ヘッドセット装置の外観構成を示す斜視図である。
図5図5は、左右のユニット筐体部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6図6は、左右のユニット筐体部のマイクロコンピュータが、制御プログラムに基づいて動作することで実現される各機能の機能ブロック図である。
図7図7は、センタサーバ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8図8は、センタサーバ装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図9図9は、遠隔監視端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図10図10は、遠隔監視端末装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図11図11は、センタサーバ装置におけるプライバシー保護画像の生成動作の流れを示すフローチャートである。
図12図12は、プライバシー保護画像の一例を示す図である。
図13図13は、遠隔監視端末装置におけるマーキング情報の処理動作及びマーキング情報に基づく要注意領域の表示処理の流れを示すフローチャートである。
図14図14は、支援者により要注意領域に対するマーキング処理が行われたプライバシー保護画像の一例を示す図である。
図15図15は、遠隔監視端末装置からマーキング情報を受信したセンタサーバ装置における、マーキング情報の処理動作の流れを示すフローチャートである。
図16図16は、過去画像に対して指定された要注意領域及び特徴点を示す図である。
図17図17は、各特徴点に対して特徴点IDを付す順序を説明するための図である。
図18図18は、各特徴点のベクトル値及び領域特徴ベクトルを説明するための図である。
図19図19は、遠隔監視端末装置のモニタ装置に表示される支援画面の一例を示す図である。
図20図20は、過去画像で指定された要注意領域をリアルタイム動画像に反映する動作の流れを示すフローチャートである。
図21図21は、過去画像の要注意領域が反映されたリアルタイム動画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一例となる実施の形態の遠隔支援システムの説明をする。この実施の形態の遠隔支援システムは、被支援者に装着されたカメラ装置の撮像画像に基づいて、支援者が被支援者の遠隔支援を行うものである。この実施の形態の遠隔支援システムは、例えば視覚障害者の遠隔支援の他、子供の遠隔支援、又は、見知らぬ土地を移動する人の誘導等に用いることができる。以下、被支援者の一例として、視覚障害者の遠隔支援を行う例を説明する。
【0011】
(システム構成)
図1は、実施の形態の遠隔支援システムのシステム構成を示す図である。この図1に示すように、実施の形態の遠隔支援システムは、視覚障害者が装着する視覚障害者装置1、支援者が操作する遠隔監視端末装置3、及び、視覚障害者装置1と遠隔監視端末装置3との間の通信を中継するセンタサーバ装置2を有している。センタサーバ装置2及び遠隔監視端末装置3は、所定のネットワーク4を介して相互に接続されている。ネットワーク4としては、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網を用いることができる。センタサーバ装置2は、遠隔支援装置の一例である。
【0012】
視覚障害者装置1は、無線基地局5との間で無線通信を行う。後述するように、視覚障害者装置1は、視覚障害者により携帯され、その視覚障害者装置1に備わるカメラ装置で視覚障害者の周囲の画像を動画像として撮像すると共に、同じくその視覚障害者装置1に備わるマイクロホン装置で視覚障害者の音声を集音する。このような視覚障害者の周囲の撮像画像及び視覚障害者の音声は、無線基地局5及びネットワーク4を介してセンタサーバ装置2に送信され、センタサーバ装置2において、撮像画像に対して後述するプライバシー保護処理がなされたうえで、視覚障害者の音声とともに、遠隔監視端末装置3へ送信される。また、遠隔監視端末装置3において入力された、支援者による支援音声が、センタサーバ装置2へ送信され、さらにセンタサーバ装置2からネットワーク4及び無線基地局5を介して視覚障害者装置1に送信される。これにより、支援者からの支援音声により、視覚障害者の遠隔支援が可能となる。
【0013】
(視覚障害者装置のハードウェア構成)
図2は、実施の形態の遠隔支援システムに設けられている視覚障害者装置1のブロック図である。この図2に示すように、視覚障害者装置1は、ヘッドセット装置7及び携帯端末装置8を有している。携帯端末装置8としては、無線通信機能を備えた携帯機器であるスマートホン又はタブレット端末装置等を用いることができる。
【0014】
ヘッドセット装置7は、視覚障害者が支援者の支援音声を聴取するためのイヤホン装置25、視覚障害者の周囲の画像を撮像するカメラ装置26、及び、視覚障害者が発生する音声を集音するためのマイクロホン装置27を有している。詳しくは、後述する。
【0015】
携帯端末装置8は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、内蔵メモリ13、通信部14、近距離無線通信部15、タッチパネル16、GPS(Global Positioning System)センサ17を備えている。また、携帯端末装置8は、加速度センサ18、タイマ19、外部インターフェース(外部I/F)20、カメラ部21、マイクロホン部22及びスピーカ部23を備えている。
【0016】
内蔵メモリ13には、音声支援プログラムが記憶されている。後述するように、CPU11がこの音声支援プログラムを実行することにより、携帯端末装置8の各機能が実現される。携帯端末装置8の電源投入後、視覚障害者が後述するタッチパネル16を操作することによって、CPU11が音声支援プログラムの実行を開始する。あるいは、携帯端末装置8の電源が投入されるのに連動して、CPU11が音声支援プログラムの実行を開始するようにしてもよい。CPU11は、音声支援プログラムに基づいて、ヘッドセット装置7で撮像された視覚障害者の周囲の画像を受信して、その画像に後述するGPSセンサ17が取得したGPS情報を撮像位置、タイマ19がカウントした時刻を撮像時刻情報(タイムスタンプ)として付加し、センタサーバ装置2へ送信する。また、CPU11は、音声支援プログラムに基づいて、ヘッドセット装置7で集音された視覚障害者の音声を受信して、センタサーバ装置2に送信する。また、CPU11は、音声支援プログラムに基づいて、センタサーバ装置2から支援者の支援音声を受信して、ヘッドセット装置7に送信する。また、CPU11は、音声支援プログラムに基づいて、後述するGPSセンサ17が取得したGPS情報、及び加速度センサ18が取得した加速度情報を、センタサーバ装置2へ送信する。
【0017】
通信部14は、無線基地局5との間で無線通信を行う。近距離無線通信部15は、例えばブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信を、ヘッドセット装置7の間で行う。タッチパネル16は、表示部及び操作部が一体化されたデバイスである。ユーザは、このタッチパネル16を接触操作することで、所望の入力操作が可能となっている。GPSセンサ17は、上空に存在する複数のGPS衛星からの信号に基づいて、携帯端末装置8を携帯する視覚障害者の現在位置を示すGPS情報を出力する。加速度センサ18は、携帯端末装置8を携帯する視覚障害者の移動方向を検出するための加速度情報を出力する。タイマ19は、ヘッドセット装置7のカメラ装置26で撮像される撮像画像に付加される撮像時刻をカウントする。通信部14は、ヘッドセット装置7で撮像された視覚障害者の周囲の画像を、ヘッドセット装置7から受信し、タイマ19がカウントした撮像時刻を付加して、センタサーバ装置2へ送信する。
【0018】
外部I/F20は、図2中、点線のブロックで示すように、ヘッドセット装置7のイヤホン装置25、カメラ装置26及びマイクロホン装置27を、例えばUSBケーブル等により有線接続する際に用いられるインターフェースである。カメラ部21は、携帯端末装置8に内蔵されている撮像機能である。マイクロホン部22は、携帯端末装置8に内蔵されている集音機能である。スピーカ部23は、携帯端末装置8に内蔵されている音声出力機能である。
【0019】
(携帯端末装置の機能構成)
図3は、携帯端末装置8のCPU11が、内蔵メモリ13に記憶されている音声支援プログラムを実行することで実現される各機能の機能ブロック図である。この図3に示すように、CPU11は、音声支援プログラムに基づいて、通信制御部31、取得部32及び音声制御部33の各機能を実現する。
【0020】
通信制御部31は、無線基地局5との間の無線通信制御の他、ヘッドセット装置7との間の近距離無線通信制御を行う。取得部32は、通信制御部31の近距離無線通信制御により受信された、ヘッドセット装置7のカメラ装置26で撮像された視覚障害者の周囲の撮像画像、及び、ヘッド装置7のマイクロホン装置27で集音された視覚障害者の音声を取得し、無線基地局5及びネットワーク4を介してセンタサーバ装置2へ送信する。また、通信制御部31は、センタサーバ装置2から送信された視覚障害者を支援する支援者の支援音声を、ネットワーク4及び無線基地局5を介して受信し、近距離無線通信でヘッドセット装置7に送信する。音声制御部33は、ヘッド装置7のマイクロホン装置27を使用しない場合に、携帯端末装置8のマイクロホン部22で視覚障害者の音声を集音し、通信制御部31を介してセンタサーバ装置2へ送信制御する。また、音声制御部33は、ヘッド装置7のイヤホン装置25を使用しない場合に、センタサーバ装置2から送信された視覚障害者を支援する支援者の支援音声を、ネットワーク4、無線基地局5、及び通信制御部31を介して受信し、携帯端末装置8のスピーカ部23を介して出力制御する。
【0021】
(ヘッドセット装置の外観構成)
図4は、ヘッドセット装置7の外観構成を示す斜視図である。この図4に示すように、ヘッドセット装置7は、いわゆる眼鏡型のヘッドセット装置となっている。視覚障害者の耳に掛ける部分である左のテンプル部(つる)35Lには、左ユニット筐体部36Lが設けられており、右のテンプル部35Rには、右ユニット筐体部36Rが設けられている。
【0022】
左ユニット筐体部36Lには、視覚障害者の前方の画像を撮像するカメラ装置26LF及び視覚障害者の後方の画像を撮像するカメラ装置26LRが設けられている。同様に、右ユニット筐体部36Rには、視覚障害者の前方の画像を撮像するカメラ装置26RF及び視覚障害者の後方の画像を撮像するカメラ装置26RRが設けられている。
【0023】
各カメラ装置26LF,26LR,26RF,26RRは、例えば魚眼レンズ等の画角の広いレンズ(広角レンズ)を備えている。一例として、各カメラ装置26LF,26LR,26RF,26RRの画角は、約180度程度となっている。このため、各カメラ装置26LF,26LR,26RF,26RRにより、視覚障害者の左右の側面側及び足元を含む、周囲360度の範囲を撮像可能となっている。ここで、カメラ装置26LF及びカメラ装置26RFを組み合わせて、ステレオカメラとして使用することで、これらのカメラ装置が撮像した画像内の対象物までの距離を検知することができる。実施の形態では、後述するセンタサーバ装置2において、カメラ装置26LF及びカメラ装置26RFが撮像した画像による距離の検知を利用する。
【0024】
また、右ユニット筐体部36Rには、視覚障害者の右耳に装着されるイヤホン装置25が設けられている。このイヤホン装置25を介して、支援者からの支援音声が出力され、視覚障害者に対する行動の指示、又は、危険物に対する注意喚起等が行われる。イヤホン装置25は、被支援者により携帯される音声出力装置の一例である。
【0025】
なお、図4の例は、右ユニット筐体部36Rにのみ、イヤホン装置25を設けた例であるが、左ユニット筐体部36Lにのみ、イヤホン装置25を設けてもよいし、両方のユニット筐体部36L,36Rに、それぞれイヤホン装置25を設けてもよい。
【0026】
また、左ユニット筐体部36Lには、視覚障害者の音声を集音するマイクロホン装置27が設けられている。このマイクロホン装置27により集音された視覚障害者の音声は、所定の通信プロトコルに基づいてセンタサーバ装置2及び遠隔監視端末装置3に送信可能なデータ形態(音声データ)に変換処理されて、近距離無線通信により携帯端末装置8に送信され、所定の通信事業者により提供される無線通信プロトコルに従って、無線基地局5を介してセンタサーバ装置2に送信され、さらにセンタサーバ装置2から遠隔監視端末装置3に送信される。遠隔監視端末装置3では、受信した音声データがアナログ信号に変換処理され、支援者に対して出力される。これにより、支援者は、視覚障害者の音声を介して視覚障害者の意図を認識でき、視覚障害者の要望に応じた適格な支援を行うことができる。
【0027】
また、この例では、左右のユニット筐体部36L,36Rを設けることとしたが、いずれか一方のユニット筐体部を設けてもよい。また、ユニット筐体部に設けるカメラ装置26も、視覚障害者の前方を撮像するカメラ装置のみを設けてもよい。この場合でも、カメラ装置26は、広角レンズを有しているため、視覚障害者の前方の広範囲の画像を撮像できる。ただ、左右のユニット筐体部36L,36Rで視覚障害者の前後を撮像することで、視覚障害者の周囲の、より広範囲の撮像画像を得ることができ、より的確な支援を可能とすることができる。
【0028】
なお、ヘッドセット装置7のマイクロホン装置27を使用しない場合、携帯端末装置8を、例えば視覚障害者が胸ポケット等に入れて携帯し、携帯端末装置8のマイクロホン部22で視覚障害者の音声を集音することとしてもよい。
【0029】
また、ヘッドセット装置7のイヤホン装置25を使用しない場合、携帯端末装置8を、例えば視覚障害者が胸ポケット等に入れて携帯し、携帯端末装置8のスピーカ部23から支援者の支援音声を出力することとしてもよい。
【0030】
また、この実施の形態の例では、ヘッドセット装置7及び携帯端末装置8は、近距離無線通信を行うことで、画像及び音声を送受信することとして説明を進める。しかし、図2に点線のブロックで示すように、携帯端末装置8の外部I/F20を介して、例えばUSBケーブル等により、ヘッドセット装置7と携帯端末装置8との間を有線接続し、画像及び音声の送受信を行うようにしてもよい。
【0031】
(ユニット筐体部のハードウェア構成)
図5は、左右のユニット筐体部36L,36Rのハードウェア構成を示すブロック図である。この図5に示すように各ユニット筐体部36L,36Rは、マイクロコンピュータ40、RAM41、内蔵メモリ42、カメラ装置26、近距離無線通信部44、イヤホン装置25及びマイクロホン装置27を有している。内蔵メモリ42には、制御プログラムが記憶されている。マイクロコンピュータ40は、この制御プログラムに基づいて動作することで、カメラ装置26で撮像された視覚障害者の周囲の画像を、近距離無線通信部44を介して携帯端末装置8に送信制御する。
【0032】
また、マイクロコンピュータ40は、制御プログラムに基づいて動作することで、マイクロホン装置27により集音された視覚障害者の音声を、所定の通信プロトコルに基づいてセンタサーバ装置2及び遠隔監視端末装置3に送信可能なデータ形態(音声データ)に変換処理し、近距離無線通信部44を介して携帯端末装置8に送信制御する。さらに、マイクロコンピュータ40は、制御プログラムに基づいて動作することで、携帯端末装置8から近距離無線通信部44を介して受信した支援者の支援音声データを、アナログ信号に変換処理し、イヤホン装置25を介して出力制御する。
【0033】
(ユニット筐体部の機能構成)
図6は、左右のユニット筐体部36L,36Rのマイクロコンピュータ40が、制御プログラムに基づいて動作することで実現される各機能の機能ブロック図である。この図6に示すように、マイクロコンピュータ40は、制御プログラムを実行することで、カメラ制御部48、音声制御部49及び近距離無線通信制御部50として機能する。
【0034】
カメラ制御部48は、視覚障害者の周囲を撮像するように、カメラ装置26を撮像制御する。音声制御部49は、マイクロホン装置27で集音された視覚障害者の音声を取得し、所定の通信プロトコルに基づいてセンタサーバ装置2及び遠隔監視端末装置3に送信可能なデータ形態(音声データ)に変換処理する。また、音声制御部49は、携帯端末装置8から受信した支援者の支援音声データをアナログ信号に変換処理し、イヤホン装置25を介して出力制御する。近距離無線通信制御部50は、カメラ装置26で撮像された視覚障害者の周囲の画像、及び、マイクロホン装置27で集音された視覚障害者の音声データを、携帯端末装置8に送信するように、近距離無線通信部44を制御する。
【0035】
(センタサーバ装置のハードウェア構成)
図7は、センタサーバ装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。この図7に示すように、センタサーバ装置2は、CPU51、ROM52、RAM53、HDD(Hard Disk Drive)54及び通信部55を有している。
【0036】
通信部55は、ネットワーク4を介して遠隔監視端末装置3との間で通信を行い、また、ネットワーク4及び無線基地局5を介して携帯端末装置8との間で通信を行う。
【0037】
HDD54は、記憶部の一例である。HDD54には、遠隔支援制御プログラム、地図データ、音声メモデータ、マーキング情報、過去画像、特徴点管理テーブル及び要注意領域管理テーブル等が記憶されている。CPU51は、遠隔支援制御プログラムに基づいて、視覚障害者により携帯される視覚障害者装置1のカメラ装置26で撮像された撮像画像(リアルタイム動画像)を視覚障害者装置1から受信すると、その画像に対して、写っている人物のプライバシーを保護する処理(プライバシー保護処理)を施す。ここで、リアルタイム動画像は、リアルタイム撮像画像の一例である。また、CPU51は、遠隔支援制御プログラムに基づいて、リアルタイム動画像の撮像位置に対応する過去画像及びマーキング情報を記憶部から読み出し、プライバシー保護処理が施されたリアルタイム動画像とともにその過去画像及びマーキング情報を遠隔監視端末装置3に提供し、支援者による視覚障害者の支援を補助する。
【0038】
また、CPU51は、遠隔支援制御プログラムに基づいて、地図データ上に視覚障害者の現在位置を表示して、遠隔監視端末装置3に提供する。また、CPU51は、支援者により遠隔監視端末装置3に入力された、例えば「この先段差があるため、注意してください」等の、支援者が要注意領域の存在を認識し易くするための音声メモデータ又はテキスト情報等を、遠隔支援制御プログラムに基づいて、遠隔監視端末装置3から受信し、HDD54に記憶制御する。また、CPU51は、詳しくは後述するが、プライバシー保護処理が施されて遠隔監視端末装置3に提供したリアルタイム動画像上で支援者が指定した要注意領域を示すマーキング情報を、リアルタイム動画像とともに遠隔監視端末装置3から受信し、遠隔支援制御プログラムに基づいて、受信したリアルタイム動画像を過去画像として、受信したマーキング情報ととともにHDD54に記憶制御する。なお、過去画像はリアルタイム動画像と同様にプライバシー保護処理が施された動画像である。
【0039】
また、CPU51は、遠隔支援制御プログラムに基づいて、過去画像から、例えばエッジ部分及びコーナー部分等の、画像的な特徴を有する特徴点を抽出して特徴点管理テーブルに記憶すると共に、各要注意領域に対応する特徴点の直和である領域特徴ベクトルを算出して要注意領域管理テーブルに過去画像と対応付けて記憶する。この特徴点及び領域特徴ベクトルの算出については、後述する。
【0040】
(センタサーバ装置の機能構成)
図8は、センタサーバ装置2の機能構成を示すブロック図である。この図8に示すように、センタサーバ装置2のCPU51は、HDD54に記憶されている遠隔支援制御プログラムを実行することで、取得部60、特徴点抽出部61、計算部62、現在位置特定部63及びプライバシー保護画像生成部64の各機能を実現する。また、CPU51は、遠隔支援制御プログラムを実行することで、マッチング処理部65、支援画像生成部66、通信制御部67、色彩選択部68、人物領域検出部69、記憶制御部70、マーキング情報処理部71及び要注意領域変更処理部72を実現する。
【0041】
取得部60は、視覚障害者により携帯される視覚障害者装置1から、その視覚障害者装置1が撮像した視覚障害者の周囲の画像、集音した視覚障害者の音声データ、GPSセンサ17が取得したGPS情報、及び加速度センサ18が取得した加速度情報を取得する。また、取得部60は、遠隔監視端末装置3から、支援者の支援音声、及び、支援者がリアルタイム動画像上で指定した要注意領域を示すマーキング情報を取得する。特徴点抽出部61は、過去のリアルタイム動画像である過去画像、及び視覚障害者により携帯される視覚障害者装置1が撮像した画像をプライバシー保護処理されたリアルタイム動画像から、例えばエッジ部分及びコーナー部分等の画像的な特徴を有する特徴点を抽出する。算出部62は、抽出された特徴点に基づいて、各要注意領域に対応する特徴点の直和である領域特徴ベクトルを算出する。
【0042】
現在位置特定部63は、視覚障害者の携帯端末装置8から取得したGPS情報及び加速度情報に基づいて、視覚障害者の現在位置、移動方向及び移動速度を特定する。プライバシー保護画像生成部64は、プライバシー保護部の一例であり、視覚障害者により撮像された画像(リアルタイム動画像)に写っている人物像の領域(輪郭)を、所定の色で塗り潰す等の方法より所定の色で表してプライバシーを保護し、プライバシー保護画像としてのリアルタイム動画像を生成する(プライバシー保護処理)。マッチング処理部65は、過去画像及びリアルタイム動画像を、領域特徴ベクトルに基づいてマッチング処理し、リアルタイム動画像上における、支援者により指定された要注意領域を検出する。
【0043】
支援画像生成部66は、支援者が視覚障害者を監視する際に見る支援画像を生成する。通信制御部67は、ネットワーク4を介して、遠隔監視端末装置3との間の通信を行う。また、通信制御部67は、ネットワーク4及び無線基地局5を介して、視覚障害者装置1との間の通信を行う。色彩選択部68は、プライバシー保護画像を生成する際に、視覚障害者に対して予測される危険度に応じて、人物を塗り潰す際に用いる色を選択する。人物領域検出部69は、視覚障害者装置1により撮像された画像(リアルタイム動画像)から、人物が写っている領域を検出する。記憶制御部70は、支援者により指定された要注意領域を示すマーキング情報、及び、支援者が要注意領域の存在を認識し易くするための音声メモデータ又はテキスト情報等をHDD54に記憶制御する。音声メモデータ及びテキスト情報は、補助情報の一例である。
【0044】
マーキング情報処理部71は、支援者により指定された要注意領域を示すマーキング情報を生成する。要注意領域変更処理部72は、過去画像上で指定されている要注意領域の大きさを変更し(拡大又は縮小)、マッチング処理部65のマッチング精度の向上を図る。
【0045】
(遠隔監視端末装置のハードウェア構成)
図9は、遠隔監視端末装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。この図9に示すように遠隔監視端末装置3は、CPU81、ROM82、RAM83、通信部84、HDD85、入出力インターフェース(入出力I/F)86、マイクロホン部87及びスピーカ部88を有している。入出力I/F86には、モニタ装置89及び操作部90等が接続される。
【0046】
モニタ装置89は、表示部又は表示装置の一例である。モニタ装置89には、センタサーバ装置2から取得した、プライバシー保護処理が施されたリアルタイム動画像、そのリアルタイム動画像の撮像位置に対応する過去画像とマーキング情報、及び、視覚障害者の現在位置を示す地図情報等が表示される。操作部90としては、例えばキーボード装置及びマウス装置等の入力装置が接続される。支援者は、操作部90を操作することで、リアルタイム動画像に対して要注意領域の入力等を行う。マイクロホン部87は、視覚障害者に対して注意を促す支援者の支援音声を集音する。スピーカ部88は、センタサーバ装置2から取得した視覚障害者の音声を出力する。
【0047】
(遠隔監視端末装置の機能構成)
HDD85には、遠隔支援プログラムが記憶されている。CPU81は、この遠隔支援プログラムを実行することで、図10に示すように取得部91、表示制御部92、マーキング処理部93、通信制御部94及び音声処理部95の各機能を実現する。
【0048】
取得部91は、センタサーバ装置2から送信される、リアルタイム動画像、そのリアルタイム動画像の撮像位置に対応する過去画像とマーキング情報、視覚障害者の現在位置を示す地図情報等、及び、視覚障害者の音声データを、ネットワーク4及び後述する通信制御部94を介して取得する。表示制御部92は、取得部91が取得した、リアルタイム動画像、そのリアルタイム動画像の撮像位置に対応する過去画像とマーキング情報、及び、視覚障害者の現在位置を示す地図情報等をモニタ装置89に表示制御する。
【0049】
マーキング処理部93は、取得部91が取得したリアルタイム動画像に対して、支援者により指定された要注意領域を特定する。通信制御部94は、センタサーバ装置2から送信される、リアルタイム動画像、そのリアルタイム動画像の撮像位置に対応する過去画像とマーキング情報、視覚障害者の現在位置を示す地図情報等、及び、視覚障害者の音声データを受信する。また、通信制御部94は、支援者により指定されたリアルタイム動画像上の要注意領域を示すマーキング情報を、リアルタイム動画像とともに、ネットワーク4を介してセンタサーバ装置2に送信する。また、通信制御部94は、後述する音声処理部95が変換処理した支援者の支援音声(音声データ)を、ネットワーク4を介してセンタサーバ装置2へ送信する。
【0050】
音声処理部95は、視覚障害者に対して注意を促す支援者の支援音声を、所定の通信プロトコルに基づいてセンタサーバ装置2及び視覚障害者装置1に送信可能なデータ形態に変換処理する。また、音声処理部95は、センタサーバ装置2を介して受信した、視覚障害者の音声データを、スピーカ部88を介して出力可能なアナログ信号に変換処理する。
【0051】
(センタサーバ装置におけるプライバシー保護画像の生成動作)
次に、このような実施の形態の遠隔支援システムにおける、センタサーバ装置2のプライバシー保護画像の生成動作を説明する。実施の形態の遠隔支援システムは、視覚障害者装置1により撮像された画像(リアルタイム動画像)を、センタサーバ装置2から遠隔監視端末装置3に送信する。そして、遠隔監視端末装置3を操作する支援者が、センタサーバ装置2から送信されたリアルタイム動画像を見ながら、視覚障害者に対して危険を回避するための支援等を行う。
【0052】
しかし、視覚障害者装置1で撮像された画像には、様々な人物が写っている可能性がある。このため、視覚障害者装置1で撮像された画像に写っている人物のプライバシーを保護する必要がある。このようなことから、センタサーバ装置2は、視覚障害者装置1で撮像された画像に写っている人物を塗り潰したプライバシー保護画像を生成し(プライバシー保護処理)、遠隔監視端末装置3に送信する。これにより、視覚障害者装置1で撮像された画像に写っている人物のプライバシーを保護したうえで、視覚障害者に対する支援を可能とすることができる。
【0053】
なお、以下、プライバシー保護処理の対象は、人物であることとして説明を進めるが、この他、例えば乗員の顔やナンバープレートが写り込んだことにより所有者が割り出される可能性がある自動車等をプライバシー保護処理の対象として塗り潰してもよい。この場合、自動車等全体を塗り潰すと、塗り潰された自動車等がプライバシー保護画面の大半を占め、何が移っているのか判別しにくくなる状況があり得るので、写り込んだ乗員やナンバープレートはプライバシー保護処理の対象として塗り潰し、自動車等全体に対しては、代表となる一つ又は複数の特徴点を着色して表示してもよい。
【0054】
また、プライバシー保護処理は、元のリアルタイム動画像を不可逆的に直接加工する方法でもよいし、元のリアルタイム動画像の付加情報として塗り潰すパターンを別途作成し、表示する際にリアルタイム動画像上に塗り潰すパターンを重畳表示する方法でもよい。
【0055】
図11は、センタサーバ装置2におけるリアルタイム動画像の生成動作の流れを示すフローチャートである。まず、視覚障害者により携帯される視覚障害者装置1で撮像された画像は、視覚障害者の現在位置を示すGPS情報及び加速度情報と共に、無線基地局5及びネットワーク4を介してセンタサーバ装置2に送信される。ステップS1では、図8に示すセンタサーバ装置2の取得部60が、通信部55及び通信制御部67を介して視覚障害者装置1で撮像された画像(リアルタイム動画像)、GPS情報及び加速度情報を取得する。
【0056】
ステップS2では、特徴点抽出部61が、リアルタイム動画像に写っている物体の例えばエッジ部分及びコーナー部分等の複数の特徴点を抽出する。ステップS3では、計算部62が、リアルタイム動画像に写っている物体の各特徴点に対する視覚障害者からの距離及び相対速度を図4にて説明したステレオカメラの機能に算出する。具体的には、視覚障害者装置1のヘッドセット装置7に備わる2台のカメラ装置26LF、26RFをステレオカメラとして使用し、各カメラ装置が撮像した画像に基づいて、その画像に写っている物体までの距離、及びその時間変化(相対速度)を検出する。ここで視覚障害者を基準とした、画像に写っている物体の相対速度は、視覚障害者に対して接近する方向を正とする。
【0057】
次に、ステップS4では、色彩選択部68が、視覚障害者に対する各特徴点の移動方向(正負相対:視覚障害者に接近する方向への移動か(正方向への移動)、又は、視覚障害者から離れてく方向への移動か(負方向への移動))及び相対速度の大きさに対応する色彩を選択する。また、ステップS5では、人物領域検出部69が、ステップS2で検出された各特徴点に基づいて、リアルタイム動画像に写っている人物像の領域を検出する。そして、ステップS6において、プライバシー保護画像生成部64が、ステップS5で検出された人物像の領域を、ステップS4で選択された色で塗り潰した、プライバシー保護処理されたリアルタイム動画像を生成する。
【0058】
具体的には、図12は、プライバシー保護処理を施す前後のリアルタイム動画像の一例を示す図である。図12(a)は、視覚障害者に携帯される視覚障害者装置1で撮像された画像(プライバシー保護処理を施す前のリアルタイム動画像)の一例を示している。一例ではあるが、このような図12(a)に示すリアルタイム動画像としては、図4及び図5を用いて説明したヘッドセット装置7の左右のカメラ装置26で撮像された左右の撮像画像に基づいて、プライバシー保護画像生成部64が、いわゆる視差演算を行うことで形成した視差画像を用いることができる。
【0059】
図12(a)に例示するリアルタイム動画像の場合、視覚障害者の正面に杖を持った銅像が写っており、この銅像の左側には、視覚障害者から遠ざかる方向に歩行する二人の人物が写っている。また、銅像の右側には、視覚障害者に近づく方向に歩行する二人の人物が写っている。また、視覚障害者に近づく方向に歩行する二人の人物のうち、リアルタイム動画像の右端に写っている人物の歩行速度は速く、右端に写っている人物の隣の人物の歩行速度は遅いものとする。
【0060】
このような例において、銅像の左側を、視覚障害者から遠ざかる方向に歩行する二人の人物の相対速度としては、負の相対速度が得られる。視覚障害者から遠ざかる方向に歩行する人物は、視覚障害者と接触する可能性が低く、視覚障害者に対する危険度は低い。このため、色彩選択部68は、視覚障害者に対して安全であることを意味する「青色」を選択する。そして、プライバシー保護画像生成部64は、銅像の左側を歩行する二人の人物像を、図12(b)に示すように青色で塗り潰したプライバシー保護画像を生成する。
【0061】
これに対して、銅像の右側を、視覚障害者に対して近づく方向に歩行する二人の人物の相対速度としては、正の相対速度が得られる。視覚障害者に対して近づく方向に歩行する人物は、視覚障害者と接触する可能性があり、危険度が高い。また、歩行速度が速くなるほど、接触した際に視覚障害者が受けるダメージは大きくなる。このため、色彩選択部68は、正の相対速度が所定以上の速度の人物に対しては、危険度が高いことを示す「赤色」を選択し、正の相対速度が所定未満の速度の人物に対しては、中程度の危険度であることを示す「黄色」を選択する。
【0062】
そして、プライバシー保護画像生成部64は、銅像の右側を歩行する二人の人物のうち、正の相対速度像が所定以上の右端の人物は、図12(b)に示すように赤色で塗り潰したプライバシー保護画像を生成する。また、プライバシー保護画像生成部64は、銅像の右側を歩行する二人の人物のうち、正の相対速度が所定未満の速度の人物は、図12(b)に示すように黄色で塗り潰したプライバシー保護画像を生成する。
【0063】
また、例えば椅子に座っている人物、柱に寄り掛かっている人物等のように、相対速度に基づいて移動が検出されない人物に対しては、色彩選択部68は、危険度は略無いことを示す「緑色」を選択する。プライバシー保護画像生成部64は、移動が検出されない人物は、図12(b)に示すように緑色で塗り潰したプライバシー保護画像を生成する。
【0064】
なお、上述の危険度の判定において、視覚障害者装置1から受信するGPS情報、加速度情報により現在位置特定部63が特定した、視覚障害者の現在位置、移動方向及び移動速度を考慮してもよい。例えば、画像に写る人物について、同じ正の相対速度が検出された場合であっても、視覚障害者が静止している場合は危険度を中程度、視覚障害者がその人物の方向へ移動している場合は高程度、と判定するようにしてもよい。また、例えば、現在位置が交通量の多い場所である場合には、交通量の少ない場所に比べて危険度を高めに判定するようにしてもよい。
【0065】
このように、プライバシー保護画像生成部64が、視覚障害者装置1が撮像した画像(リアルタイム動画像)に写っている人物像を所定の色で塗り潰したプライバシー保護画像を生成(プライバシー保護処理)することによって、その人物のプライバシーを保護することができる。このプライバシー保護処理されたリアルタイム動画像は、図11のフローチャートのステップS7において、通信制御部67により、通信部55を介して、支援者の遠隔監視端末装置3に送信される。これにより、遠隔監視端末装置3のモニタ装置89には、図12(b)に例示したように、視覚障害者の視覚障害者装置1で撮像された画像に写っている人物のプライバシーが保護された画像が表示される。また、視覚障害者装置1が撮像した画像(リアルタイム動画像)に写っている人物像を塗り潰す色が、その人物の視覚障害者にとっての危険度に応じて選択されるので、支援者は、視覚障害者の周囲の状況を的確に把握することができる。
【0066】
詳しくは、後述するが、支援者は、モニタ装置89に表示されるプライバシー保護処理されたリアルタイム動画像に対して、視覚障害者に対して危険となることが予測される要注意領域に所定のマークを付すマーキング処理を行う。図12(c)は、視覚障害者に対して危険となることが予測される要注意領域が、支援者により楕円形状のマークでマーキング処理されたプライバシー保護画像を示している。この図12(c)の例の場合、左下の段差部分、銅像の左下に載置されている紙袋、及び銅像が、支援者によりマーキング処理され、要注意領域として指定されたことを示している。なお、マーキング処理に用いるマークとしては、矢印等の他のマークを用いてもよい。
【0067】
また、支援者は、このような要注意領域の入力操作と共に、覚え書きとなる音声メモデータ(テキスト情報でもよい)の入力も可能となっている。図12(c)の例は、段差部分に対しては、「足元、つまずき注意」との音声メモデータが、銅像の左下の紙袋に対しては、「足元、ぶつかり注意」との音声メモデータが、銅像に対しては、「障害物、注意」との音声メモデータが入力されたことを示している。
【0068】
このような要注意領域を示すマーキング情報、及び、覚え書きとなる音声メモデータ(又はテキスト情報)は、プライバシー保護処理されたリアルタイム動画像とともにセンタサーバ装置2に送信され、HDD54に保存される。なお、リアルタイム動画像は過去画像として保存される。そして、マーキング情報及び音声メモデータ(又はテキスト情報)は、次回、同じ場所における支援時にHDD54から読み出され、視覚障害者装置1で撮像された画像をプライバシー保護処理されたリアルタイム動画像とともに、遠隔監視端末装置3に送信される。
【0069】
これにより、遠隔監視端末装置3のモニタ装置89に、プライバシー保護処理されたリアルタイム動画像と併せて、その撮像位置に対応する、過去に入力した要注意領域を示すマークが表示され、スピーカ部88を介して、音声メモデータによる「足元、ぶつかり注意」との音声が出力される。或いは、音声メモデータの代わりにテキスト情報を受信した場合には、遠隔監視端末装置3のモニタ装置89に、要注意領域を示すマーク及び「足元、ぶつかり注意」等のテキスト情報が併せて表示される。支援者は、プライバシー保護処理されたリアルタイム動画像と併せて表示されている要注意領域を視認すると共に、音声メモデータによる音声を聴取することで、視覚障害者が歩行している場所における要注意領域を認識する。
【0070】
そして、支援者は、例えば「この先に、段差があります。つまずきに注意してください」等の支援音声を、マイクロホン部87を介して音声入力する。この支援音声は、視覚障害者装置1に送信され、イヤホン装置25を介して出力される。視覚障害者は、この支援音声により、現在の場所から、間も無く段差があることを認識でき、安全な歩行が可能となる。
【0071】
(マーキング情報の処理動作及び要注意領域の表示動作)
次に、上述のマーキング情報の処理動作、及び、マーキング情報に基づく要注意領域の表示動作を詳細に説明する。図13は、遠隔監視端末装置3におけるマーキング情報の処理動作及びマーキング情報に基づく要注意領域の表示処理の流れを示すフローチャートである。この図13のフローチャートにおいて、まず、ステップS11では、図10に示す遠隔監視端末装置3の通信制御部94及び取得部91が、センタサーバ装置2から上述のプライバシー保護処理されたリアルタイム動画像を受信して取得する。ステップS12では、表示制御部92が、プライバシー保護処理されたリアルタイム動画像をモニタ装置89に表示制御する。
【0072】
ステップS13では、マーキング処理部93が、支援者がプライバシー保護処理されたリアルタイム動画像の所望の領域を例えば楕円形状のマークで囲む等の入力操作で指定された危険対象(要注意領域)を示すマーキング情報を生成する。
【0073】
マーキング情報の入力操作は、視覚障害者が歩行中の道路を、支援者が監視している際に行うことができる。
【0074】
図14は、ステップS13において、支援者により要注意領域に対するマーキング処理が行われた、プライバシー保護処理されたリアルタイム動画像の一例を示す図である。この図14は、プライバシー保護処理を施す対象の人物像は写っておらず、歩道と車道の境目に存在する段差を楕円形状のマークでマーキングし、それぞれ要注意領域DZ1,DZ2として指定すると共に、「足元、つまずき注意」、「左より飛び出し注意」等の音声メモデータの入力を行った例を示している。このようなマーキング操作が行われると、ステップS14において、通信制御部94が、マーキング処理が行われた、プライバシー保護処理されたリアルタイム動画像、指定された要注意領域を示すマーキング情報及び音声メモデータ(又はテキスト情報)をセンタサーバ装置2に送信するように、通信部84を制御する。
【0075】
ここで、図15のフローチャートは、遠隔監視端末装置3からマーキング情報を受信したセンタサーバ装置2における、マーキング情報の処理動作の流れを示すフローチャートである。センタサーバ装置2は、遠隔監視端末装置3から、マーキング処理が行われた、プライバシー保護処理されたリアルタイム動画像、マーキング情報、及び音声メモデータ(又はテキスト情報)を受信すると、ステップS21において、これらの受信した、プライバシー保護処理されたリアルタイム動画像、マーキング情報、及び音声メモデータ(又はテキスト情報)を、関連付けてHDD54に記憶する。図7に示すHDD54に記憶される「過去画像」は、このステップS21においてHDD54に記憶するプライバシー保護処理されたリアルタイム動画像、つまり、遠隔監視端末装置3からマーキング情報等と共に、センタサーバ装置2が受信した、プライバシー保護処理されたリアルタイム動画像を示している。以後、ステップS21においてHDD54に保存された、プライバシー保護処理されたリアルタイム動画像を、過去画像と表記する。
【0076】
次に、特徴点抽出部61が、HDD54に記憶された過去画像とそれに関連付けられたマーキング情報に基づいて、過去画像から特徴点を抽出する。具体的に説明すると、まず、図8に示す特徴点抽出部61が、マーキング情報で示される要注意領域内及び要注意領域近辺の特徴点を、過去画像から抽出する。図16は、過去画像に対して指定された要注意領域及び特徴点を示す図である。この図16は、楕円形状のマークで囲まれた領域が要注意領域DZ2を示している。特徴点抽出部61は、図16中、×印で示すように、この要注意領域DZ2内外の特徴点を抽出する。そして、特徴点抽出部61は、要注意領域DZ2の重心又は重心から最も近い特徴点に対して「1」の特徴点識別番号(特徴点ID)を付す(ID=1)。
【0077】
次に、特徴点抽出部61は、ID=1の特徴点を含むセグメントから距離が近い順にセグメントを検索し、他の特徴点を検出する。そして、検出した各セグメントの特徴点に対して、反時計回り(左回り)に、順に特徴点IDを付す。
【0078】
図17は、各特徴点に対して特徴点IDを付す順序を説明するための図である。この図17に点線で示す同心の楕円で区切られた領域は、それぞれセグメントを示している。要注意領域DZ2の重心に相当するID=1の特徴点は、最も内側のセグメントに含まれている。特徴点抽出部61は、ID=1の特徴点を決定すると、このID=1を含むセグメントの一つ外側のセグメント内に存在する特徴点に対して、反時計回り(左回り)に、順に特徴点IDを付す。次に、特徴点抽出部61は、ID=1を含むセグメントの二つ外側のセグメント内に存在する特徴点に対して、反時計回り(左回り)に、順に特徴点IDを付す。特徴点抽出部61は、このような動作を繰り返すことで、図17に渦巻き状の矢印で示すように、ID=1を起点として反時計回り方向(左回り方向)に、順に、各特徴点に対して特徴点IDを付す。
【0079】
次に、特徴点抽出部61は、このように特徴点IDを付した各特徴点に関する情報を、下記の表1に示す特徴点管理テーブル(図7参照)に記憶する。
【0080】
【表1】
【0081】
この表1に示すように、特徴点抽出部61は、要注意領域が指定された過去画像に付されているタイムスタンプ(TS)、GPS位置座標メッシュ領域及び特徴点IDを特徴点管理テーブルに記憶する。また、特徴点抽出部61は、特徴点画像内座標、要注意領域内外フラグ、特徴点ベクトル値、及び、要注意領域原点(特徴点ID1)からの相対座標を特徴点管理テーブルに記憶する。
【0082】
タイムスタンプ(TS)は、過去画像の撮像時刻情報である。この撮像時刻情報は、元は、図2に示すタイマ19でカウントされ、視覚障害者装置1で撮像された画像(リアルタイム動画像)に付与されたものであり、過去画像にもそのタイムスタンプ(TS)が付与された状態でHDD54に保存されている。GPS位置座標メッシュ領域は、その過去画像が元々視覚障害者装置1で撮像された時点で視覚障害者が位置していた場所の位置情報(撮像位置情報の一例)である。この位置情報は、要注意領域が指定された過去画像を複数のメッシュ状に分割した分割領域のうち、視覚障害者が位置していた分割領域が、例えば第1のメッシュ、第2のメッシュ等のように記憶される。
【0083】
特徴点IDは、上述のようにID=1を起点として反時計回り方向(左回り方向)に、順に、各特徴点に付したIDである。特徴点画像内座標は、各特徴点のX軸及びy軸の座標値である。要注意領域内外フラグは、各特徴点IDの特徴点が、それぞれ要注意領域内に位置するか、又は要注意領域外に位置するか、を示す情報である。その特徴点IDの特徴点が、要注意領域内に位置する場合は、「1」の要注意領域内外フラグが特徴点管理テーブルに記憶される。また、その特徴点IDの特徴点が、要注意領域外に位置する場合は、「0」の要注意領域内外フラグが特徴点管理テーブルに記憶される。
【0084】
特徴点ベクトル値は、図18に示すように各特徴点IDの特徴点のベクトル値である。要注意領域原点(特徴点ID1)からの相対座標は、ID=1の特徴点に対して離れている距離を示す他の各特徴点のX座標値及びy座標値を示す。
【0085】
次に、特徴点抽出部61は、このように特徴点を抽出した過去画像のフレームから一定時間分、過去のフレーム、及び、一定時間分、未来のフレームに対して、上述と同様に特徴点を抽出し、特徴点画像内座標等を特徴点管理テーブルに記憶する。マーキング情報処理部71は、この特徴点管理テーブルを参照し、各特徴点の重心位置及び分布範囲に基づいて、フレーム毎に要注意領域を検出する。マーキング情報処理部71は、各フレームに関連付けて、検出した要注意領域の座標等を、下記の表2に示す要注意領域管理テーブルに記憶する(図7参照)。
【0086】
【表2】
【0087】
この表2に示すように、マーキング情報処理部71は、過去画像に付されているタイムスタンプ(TS)、そのフレーム上で指定されている要注意領域に対して付した要注意領域識別番号(要注意領域ID)を要注意領域管理テーブルに記憶する。また、マーキング情報処理部71は、要注意領域内外の各特徴点の特徴点画像内座標、要注意領域内外フラグ、重み付け係数、特徴点ベクトル値、及び、要注意領域原点(特徴点ID1)からの相対座標を要注意領域管理テーブルに記憶する。
【0088】
要注意領域内外フラグは、各特徴点IDの特徴点が、それぞれ要注意領域内に位置するか、又は要注意領域外に位置するか、を示す情報である。その特徴点IDの特徴点が、要注意領域内に位置する場合は、「1」の要注意領域内外フラグが要注意領域管理テーブルに記憶される。また、その特徴点IDの特徴点が、要注意領域外に位置する場合は、「0」の要注意領域内外フラグが要注意領域管理テーブルに記憶される。
【0089】
重み付け係数は、後述する領域特徴ベクトルを算出する際に用いられる係数であり、その特徴点IDの特徴点が、要注意領域内に位置する場合は、「1」が重み付け係数として用いられる。また。その特徴点IDの特徴点が、要注意領域外に位置する場合は、「0」が重み付け係数として用いられる。
【0090】
特徴点ベクトル値は、図18に示すように各特徴点IDの特徴点のベクトル値である。要注意領域原点(特徴点ID1)からの相対座標は、ID=1の特徴点に対して離れている距離を示す他の各特徴点のX座標値及びy座標値を示す。
【0091】
このような要注意領域管理テーブルを参照することで、支援者によりマーキングされた要注意領域の位置及び大きさを検出でき、対応するリアルタイム動画像に反映することができる。
【0092】
すなわち、要注意領域を反映したリアルタイム動画像を生成する場合、現在位置特定部63は、ステップS22において、視覚障害者装置1から送信されるGPS情報に基づいて、視覚障害者の現在位置を特定する。ステップS23では、読み出し制御部の一例である記憶制御部70が、リアルタイム動画像の撮像位置に対応する過去画像をHDD54から読み出す。また、記憶制御部70は、要注意領域管理テーブルを参照することで、読み出した過去画像に関連付けられている要注意領域の座標位置及び大きさを検出する。さらに、記憶制御部70は、読み出した過去画像に関連付けられている音声メモデータ(又はテキスト情報)をHDD54から読み出す。
【0093】
支援画像生成部66は、要注意領域管理テーブルを参照することで検出した位置及び大きさの要注意領域を反映したリアルタイム動画像、音声メモデータ(又はテキスト情報)、及び視覚障害者の現在位置を示す地図データを含む「支援画像」を生成する。そして、通信制御部67が、このような支援画像を、遠隔監視端末装置3に送信する。なお、過去画像及びリアルタイム動画像には、上述のプライバシー保護処理が施されている。
【0094】
図13のフローチャートのステップS15では、このようにセンタサーバ装置2から送信される支援画像を受信するように、遠隔監視端末装置3の通信制御部94が通信部84を制御する。そして、遠隔監視端末装置3の表示制御部92が、センタサーバ装置2から受信した支援画像をモニタ装置89に表示する。
【0095】
支援者は、支援画像に含まれるプライバシー保護処理されたリアルタイム動画像に基づいて、視覚障害者の現在位置の周囲の状況を認識すると共に、要注意領域を反映した過去画像及び音声メモデータ(又はテキスト情報)に基づいて、視覚障害者の現在位置に対応する要注意領域を認識する。そして、マイクロホン部87を介して、要注意領域を回避させる支援音声を入力する。この支援音声は、ステップS16において、通信制御部94により、センタサーバ装置2に送信され、センタサーバ装置2からネットワーク4及び無線基地局5を介して、視覚障害者装置1に送信され、視覚障害者装置1のイヤホン装置25を介して出力される。これにより、視覚障害者を危険から回避させることができる。
【0096】
図19は、遠隔監視端末装置3のモニタ装置89に表示される支援画像の一例を示す図である。図19(a)は、視覚障害者装置1から受信したGPS情報に基づいて検出した視覚障害者の現在位置を表示した地図画像である。この図19(a)は、上から順に、時刻の経過に沿った視覚障害者の現在位置の移動を示している。センタサーバ装置2の現在位置特定部63は、視覚障害者装置1から受信したGPS情報に基づいて、視覚障害者の現在位置を特定する。そして、支援画像生成部66が、現在位置特定部63で特定された視覚障害者の現在位置を表示した地図画像を生成する。
【0097】
図19(b)は、現在位置特定部63により特定された視覚障害者の現在位置、つまりリアルタイム動画像の撮像位置に対応する過去画像(過去に撮像されプライバシー保護処理されたリアルタイム動画像)を示している。この図19(b)は、上から順に、過去における時刻の経過(TS=0001~TS=0005)に沿って撮像された歩道、車道、店舗等の風景の画像を示している。人物が写っていた場合は、上述のプライバシー保護処理が施されたうえで記憶される。また、この図19(b)の例は、歩道の端部に存在する段差に対して要注意領域DZ1,DZ2のマーキング情報が付加されると共に、「足元、注意」との音声メモデータ(又はテキスト情報)が、各過去画像に付されていることを示している。
【0098】
センタサーバ装置2の支援画像生成部66は、リアルタイム動画像の撮像位置に対応する過去画像をHDD54から読み出す。また、支援画像生成部66は、要注意領域管理テーブルを参照することで、読み出した過去画像に対応する要注意領域を、例えば楕円形状のマーク等で過去画像上に反映させる。これにより、図19(a)及び図19(b)に示すように、視覚障害者の移動位置に対応する要注意領域が反映された過去画像が生成される。
【0099】
図19(c)は、視覚障害者装置1で撮像された、視覚障害者の現在位置の周囲の風景にプライバシー保護処理をしたリアルタイム動画像を示している。この図19(c)は、上から順に、時刻の経過(TS=1001~TS=1005)に沿って撮像された、プライバシー保護処理をしたリアルタイム動画像を示している。図19(b)及び図19(c)は、同じ場所を、過去(TS=0001~TS=0005)及び現在(TS=1001~TS=1005)の時間を隔てて撮像した動画像となっている。
【0100】
センタサーバ装置2の支援画像生成部66は、視覚障害者の現在位置を表示した地図画像(図19(a))、要注意領域を示す楕円形状のマークを反映させた過去画像(図19(b))、及び、視覚障害者装置1で撮像された、プライバシー保護処理をしたリアルタイム動画像(図19(c))を含む支援画像を生成する。通信制御部67は、このように生成された支援画像に、各過去画像に関連付けられた音声メモデータ(又はテキスト情報)を付加して遠隔監視端末装置3に送信するように通信部55を制御する。
【0101】
遠隔監視端末装置3の表示制御部93は、センタサーバ装置2から受信した支援画像をモニタ装置89に表示制御する。また、音声処理部95は、支援画像に付加されている音声メモデータに対応する音声を、スピーカ部88を介して出力制御する。これにより、支援者は、視覚障害者の現在位置(図19(a))及び視覚障害者装置1で撮像された、プライバシー保護処理をしたリアルタイム動画像(図19(c))に基づいて、視覚障害者の周囲の様子を認識できる。また、要注意領域が反映された過去画像(図19(b))、及び、音声メモデータによる音声により、現在、視覚障害者が歩行している周囲の要注意領域を認識して、視覚障害者の歩行を支援する音声を送信することができる。
【0102】
この支援者からの視覚障害者に対する支援の音声は、遠隔監視端末装置3のマイクロホン部87により集音され、通信制御部94により通信部84を介して視覚障害者装置1に送信され、視覚障害者装置1のイヤホン装置25を介して出力される。これにより、視覚障害者は、イヤホン装置25を介して支援者の支援音声を聴取することができ、未然に危険を回避する行動を取ることができる。
【0103】
(過去画像で指定された要注意領域をリアルタイム動画像に反映する例)
次に、図19を用いて説明した例は、視覚障害者の現在位置、リアルタイム動画像及び過去画像を含む支援画像を生成する例であった。しかし、過去動画で指定されている要注意領域を示す楕円形状のマーク等を、リアルタイム動画像に重畳してもよい。この場合、視覚障害者の現在位置、及び、要注意領域を示す楕円形状のマークが重畳されたリアルタイム動画像の2つを含む支援画像が遠隔監視端末装置3のモニタ装置89に表示されることとなる。
【0104】
ここで、過去画像上に指定されている要注意領域をリアルタイム動画像上に表示する場合、過去画像上で指定されている要注意領域を、リアルタイム動画像から正確に検出することが好ましい。この場合、実施の形態の遠隔支援システムは、過去画像で指定されている要注意領域の領域特徴ベクトルと同じ領域特徴ベクトルを、リアルタイム動画像から検出する(領域特徴ベクトルのマッチング処理)。これにより、過去画像で指定されている要注意領域を、リアルタイム動画像上に、正確に反映することができる。
【0105】
図20は、過去画像で指定された要注意領域をリアルタイム動画像に反映する動作の流れを示すフローチャートである。この場合、図8に示す遠隔監視端末装置3の計算部62は、表2に示した上述の特徴点マーキング情報で示される要注意領域の領域特徴ベクトルを、以下の数1式及び数2式に基づいて予め計算し、RAM53又はHDD54等の記憶部に保存しておく(ステップS31)。
【0106】
【数1】
【0107】
【数2】
【0108】
図18は、この数1式及び数2式で算出される要注意領域の領域特徴ベクトルを示している。この図18に示すように、計算部62は、各要注意領域に対応する各特徴点ベクトル値の直和を、数1式に基づいて、領域特徴ベクトル「V」として算出する。なお、領域特徴ベクトルの次元数は、各要注意領域に対応する各特徴点ベクトルの次元数の総和である。
【0109】
すなわち、数1式において、「cj」は表2に示したようにその特徴点が要注意領域内であるか、要注意領域外であるかで付される重み付け係数である。「vj」は、各特徴点のベクトル値である。「Xdj」は、その要注意領域の重心に位置するID=1の特徴点から離れているX座標上の距離である。「ydj」は、その要注意領域の重心に位置するID=1の特徴点から離れているy座標上の距離である。
【0110】
計算部62は、数2式に示すように各特徴点ベクトル値「vj」を直和処理することで、数1式で示される各特徴点ベクトル値の直和である領域特徴ベクトル「V」を算出して、RAM53又はHDD54等の記憶部に保存しておく。これにより、記憶部には、各過去画像上の各要注意領域に対応する領域特徴ベクトルがそれぞれ記憶されることとなる。
【0111】
次に、図20のステップS32において、記憶制御部70が、リアルタイム動画像の撮像位置に対応する過去画像を、リアルタイム動画像の撮像時刻に基づいてHDD54から読み出す。
【0112】
ステップS33では、計算部62が、リアルタイム動画像内の全領域の領域特徴ベクトルを、上述の数1式及び数2式に基づいてそれぞれ算出する。また、ステップS33では、マッチング処理部65が、リアルタイム動画像の各領域特徴ベクトルと、HDD54から読み出された過去画像の要注意領域の領域特徴ベクトルとのマッチング処理を行う。そして、マッチング処理部65は、過去画像の要注意領域の領域特徴ベクトルに対するマッチング度が一番高いリアルタイム動画像上の領域特徴ベクトルを検出する。
【0113】
ステップS34では、マッチング処理部65が、過去画像の要注意領域の領域特徴ベクトルに対して一番高いマッチング度となるリアルタイム動画像の領域特徴ベクトルは、一定値以上となるマッチング度であるか否かを判別する。
【0114】
マッチング度が一定値以上であるということは(ステップS34:Yes)、リアルタイム動画像と過去画像との間に地理的なズレが殆ど無いことを意味している。このため、処理がステップS38に進み、過去画像の要注意領域を反映したリアルタイム動画像を生成する。
【0115】
なお、このリアルタイム動画像には、上述のプライバシー保護処理が施されている。そして、このリアルタイム動画像は、要注意領域に対応する音声メモデータ(又はテキスト情報)、及び、視覚障害者の現在位置を示す地図データと共に、通信制御部67により通信部55を介して遠隔監視端末装置3に送信される。遠隔監視端末装置3の支援者は、リアルタイム動画像に反映された要注意領域、及び、音声メモデータにより要注意領域の注意事項を示す音声に基づいて要注意領域の存在を認識し、視覚障害者を支援する支援音声を視覚障害者装置1に送信する。
【0116】
これに対して、一定値以上のマッチング度が得られないということは(ステップS34:No)、過去画像の要注意領域に合致する大きさの領域が、リアルタイム動画像上からは検出されないことを意味している。この場合、処理がステップS35に進み、要注意領域変更処理部72が、要注意領域の大きさを一定数倍に変更(拡大又は縮小)すると共に、領域特徴ベクトル内の特徴点の座標を同じ比率で変更処理する。
【0117】
マッチング処理部65は、ステップS36において、このように変更処理された要注意領域の領域特徴ベクトルに基づいて、再度、リアルタイム動画像に対してマッチング処理を行う。そして、マッチング処理部65は、ステップS37において、変更処理された過去画像の要注意領域の領域特徴ベクトルに対するマッチング度が一番高いリアルタイム動画像の領域特徴ベクトルを検出する。
【0118】
ステップS37では、マッチング処理部65が、変更処理された過去画像の要注意領域の領域特徴ベクトルに対して一番高いマッチング度となるリアルタイム動画像上の領域特徴ベクトルは、一定値以上のマッチング度であるか否かを判別する。
【0119】
一定値以上のマッチング度が得られないということは(ステップS37:No)、過去画像の要注意領域に合致する大きさの領域が、リアルタイム動画像上からは検出されないことを意味している。このため、処理がステップS35に戻り、要注意領域変更処理部72が、再度、要注意領域の大きさを一定数倍に変更(拡大又は縮小)すると共に、領域特徴ベクトル内の特徴点の座標を同じ比率で変更処理する。マッチング処理部65は、変更処理された過去画像の要注意領域の領域特徴ベクトルに基づいて、再度、上述のマッチング処理を行う。
【0120】
このようにマッチング処理を繰り返し行った結果、マッチング度が一定値以上の領域特徴ベクトルをリアルタイム動画像上から検出すると(ステップS37:Yes)、ステップS38において、リアルタイム動画像上から検出した領域に、過去画像の要注意領域を反映させる。
【0121】
なお、このリアルタイム動画像には、上述のプライバシー保護処理が施されている。そして、このリアルタイム動画像は、反映した要注意領域に対応する音声メモデータ(又はテキスト情報)、及び、視覚障害者の現在位置を示す地図データと共に、支援画像として、通信制御部67により通信部55を介して遠隔監視端末装置3に送信される。遠隔監視端末装置3の支援者は、リアルタイム動画像に反映された要注意領域、及び、音声メモデータ(又はテキスト情報)により要注意領域の存在を認識し、視覚障害者を支援する支援音声を視覚障害者装置1に送信する。
【0122】
図21は、過去画像の要注意領域が反映されたリアルタイム動画像の一例を示す図である。図21(a)は、時刻の経過(TS=1001~TS=1005)に沿って視覚障害者装置1で撮像されているリアルタイム動画像を示している。図21(b)は、視覚障害者の現在位置が移動する様子を示す地図データである。図21(c)は、要注意領域が指定されている過去画像(TS=0001~TS=0005)を示している。この過去画像に表示されている「足元、注意」等の文字は、音声メモデータを視覚的に表現したものである。
【0123】
上述のように、リアルタイム動画像に対して過去画像の要注意領域が反映されると、支援画像生成部66は、図21(b)に示す視覚障害者の現在位置を示す地図データ、音声メモデータと共に、過去画像の要注意領域が反映されたリアルタイム動画像を、支援画像として生成する。この支援画像は、通信制御部67により通信部55を介して遠隔監視端末装置3に送信される。
【0124】
これにより、図21(d)に示すように、過去画像上で指定された要注意領域が反映されたリアルタイム動画像が、遠隔監視端末装置3のモニタ装置89に表示される。また、遠隔監視端末装置3のスピーカ部88を介して、音声メモデータに対応する音声が出力される。支援者は、リアルタイム動画像に表示される要注意領域、及び、スピーカ部88を介して出力される要注意領域に関連する音声に基づいて、視覚障害者に注意が必要となる領域を認識する。そして、支援者は、マイクロホン部87を介して、視覚障害者の注意を促す支援音声を入力する。この支援音声は、音声処理部95により所定のデータ処理が施され、通信制御部94により通信部84を介して視覚障害者装置1に送信され、視覚障害者装置1のイヤホン装置25を介して出力される。これにより、視覚障害者は支援者の支援音声を聴取することができ、例えば前方の段差を回避して安全に歩行することができる。
【0125】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の遠隔支援システムは、以下の効果を得ることができる。
【0126】
1.視覚障害者等の被支援者の現在位置に対応する過去画像又はリアルタイム動画像に要注意領域を表示して支援者の遠隔監視端末装置3に表示する。これにより、支援者に対して、長時間の高い集中力及び危険予知スキルを要求することなく、被支援者の現在位置で注意が必要となる、例えば横方向からの飛び出し、足元の段差又は穴等を容易に認識させることができ、被支援者の的確な支援を可能とすることができる。従って、例えば視覚障害者が、盲導犬又はガイドヘルパーの同行に頼ることなく、多面的な歩行リスクに対処して、外出可能とすることができる。また、支援者は、長時間の高い集中力及び危険予知スキルを必要とすることなく被支援者の支援が可能であるため、被支援者の監視労力を軽減でき、一人の支援者で複数の被支援者を容易に支援可能とすることができる。
【0127】
2.支援者の遠隔監視端末装置3に表示する過去画像又はリアルタイム動画像に写る人物等を所定の色で塗り潰して、遠隔監視端末装置3に提供する。これにより、過去画像又はリアルタイム動画像に写る人物等のプライバシーを保護できる。
【0128】
3.人物等を塗りつぶす際に用いる色を、被支援者に対する危険度に応じて変更する。これにより、被支援者の周囲に存在する各人物の被支援者に対する危険度を、支援者に示すことができる。このため、被支援者に対して、事前に危険を回避させる支援を行うことができる。
【0129】
4.被支援者が周囲の風景等を撮像するカメラ装置26には、魚眼レンズ等の広角レンズを用いる。これにより、被支援者の周囲の、より広範囲を撮像できる。そして、支援者は、このような広範囲の撮像画像に基づいて、より広範囲を監視しながら被支援者の支援を行うことができる。
【0130】
最後に、上述の実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。
【0131】
例えば、上述の実施の形態において、各種プログラムで実現されることとした各機能は、全部又は一部を、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアで実現してもよい。
【0132】
また、上述の各種プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイル情報でCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、上述の各種プログラムは、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、半導体メモリ等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、上述の各種プログラムは、インターネット等のネットワーク経由でインストールするかたちで提供してもよい。また、上述の各種プログラムは、機器内のROM等に予め組み込んで提供してもよい。
【0133】
また、遠隔支援システムのシステム構成は、視覚障害者が携帯する視覚障害者装置1、支援者が操作する遠隔監視端末装置3、及び、視覚障害者装置1と遠隔監視端末装置3との間の通信を仲介するセンタサーバ装置2を備えることとした。しかし、センタサーバ装置2の機能を、携帯端末装置1及び遠隔監視端末装置3に分散して設けてもよい。または、センタサーバ装置2の機能の一部又は全部を遠隔監視端末装置3に設けてもよい。センタサーバ装置2の機能の全部を遠隔監視端末装置3に設けた場合には、遠隔支援システムのシステム構成として、センタサーバ装置2を省略したうえで、上述の効果を得ることができる。
【0134】
また、上述の実施の形態の説明では、例えば楕円形状のマーク等で要注意領域が反映された過去画像を含む支援画像を生成し、又は、要注意領域が反映されたリアルタイム動画像を含む支援画像を生成することとした。しかし、過去画像及びリアルタイム画像の両方に要注意領域を反映させて支援画像を生成してもよい。この場合も、上述と同様の効果を得ることができる。
【0135】
また、実施の形態及び実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0136】
1 視覚障害者装置
2 センタサーバ装置
3 遠隔監視端末装置
4 ネットワーク
5 無線基地局
7 ヘッドセット装置
17 GPSセンサ
18 加速度センサ
19 タイマ
25 イヤホン装置
26 カメラ装置
27 マイクロホン装置
36L 左ユニット筐体部
36R 右ユニット筐体部
60 取得部
61 特徴点抽出部
62 計算部
63 現在位置特定部
64 プライバシー保護画像生成部
65 マッチング処理部
66 支援画像生成部
67 通信制御部
68 色彩選択部
69 人物領域検出部
70 記憶制御部
71 マーキング情報処理部
72 要注意領域変更処理部
87 マイクロホン部
88 スピーカ部
89 モニタ装置
93 マーキング処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21