IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許-スポイト容器 図1
  • 特許-スポイト容器 図2
  • 特許-スポイト容器 図3
  • 特許-スポイト容器 図4
  • 特許-スポイト容器 図5
  • 特許-スポイト容器 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】スポイト容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/32 20060101AFI20241227BHJP
   B65D 50/04 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
B65D51/32
B65D50/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021194400
(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公開番号】P2023080863
(43)【公開日】2023-06-09
【審査請求日】2024-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-033056(JP,A)
【文献】実開昭59-003852(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0044792(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/32
B65D 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の口部に装着された内キャップと、
前記内キャップを覆い、前記内キャップに対して容器軸回りに回動可能な外キャップと、
前記外キャップに対する容器軸回りの回転が規制され、前記内キャップに対する容器軸回りの回転に伴って上下動する連動部材と、
前記連動部材に対する容器軸回りの回転が規制され、前記内キャップに対する容器軸回りの回転に伴って、前記連動部材の上下動と逆向きに上下動すると共に、前記容器本体内で開口するスポイト管と、
前記スポイト管内に連通する作動空間を形成する弾性部材と、を備える、スポイト容器。
【請求項2】
前記弾性部材の上方に設けられ、前記外キャップに対して上下動可能な操作部材を備える、請求項1に記載のスポイト容器。
【請求項3】
前記スポイト管の下端が前記容器本体の底面に当接した状態での前記スポイト管の前記連動部材に対する容器軸回りの回転規制を解除する回転規制解除機構を備える、請求項1または2に記載のスポイト容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポイト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示されるように、スポイト管を有するスポイト容器が用いられている。特許文献1の構成では、外キャップ(蓋カバー)を容器本体に対して回転させると、外キャップが容器本体に対して上昇するとともに、スポイト管に内容物が吸い上げられる。その後、操作部(押釦)を外キャップに対して押下することで、内容物を吐出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-33056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のスポイト容器では、スポイト管の下端が、本体容器の底面に届いておらず、内容物を最後まで吸い上げることができなかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容物の残量を低減できるスポイト容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係るスポイト容器は、内容物を収容する有底筒状の容器本体と、前記容器本体の口部に装着された内キャップと、前記内キャップを覆い、前記内キャップに対して容器軸回りに回動可能な外キャップと、前記外キャップに対する容器軸回りの回転が規制され、前記内キャップに対する容器軸回りの回転に伴って上下動する連動部材と、前記連動部材に対する容器軸回りの回転が規制され、前記内キャップに対する容器軸回りの回転に伴って、前記連動部材の上下動と逆向きに上下動すると共に、前記容器本体内で開口するスポイト管と、前記スポイト管内に連通する作動空間を形成する弾性部材と、を備える。
【0007】
本発明に係るスポイト容器によれば、外キャップを内キャップに対して容器軸回りに回転させると、外キャップに回転規制された連動部材が内キャップに対して回転する。連動部材が内キャップに対して回転すると、連動部材が内キャップに対して上下動すると共に、連動部材に回転規制されたスポイト管が内キャップに対して連動部材と逆向きに上下動する。ここで、連動部材が上昇した場合、スポイト管は下降し、スポイト管の下端が容器本体の底面に近接または当接する。また、連動部材が上昇すると、スポイト管内に連通する作動空間の容積が増大し、作動空間内が負圧となる。そうすると、スポイト管の下端から容器本体内の底面付近の内容物が吸い上げられる。その後、スポイト管を容器本体から引き上げ、弾性部材を下方に押し込むと、作動空間の容積が小さくなり、スポイト管内に保持されていた内容物がスポイト管の下端から吐出される。
【0008】
(2)前記弾性部材の上方に設けられ、前記外キャップに対して上下動可能な操作部材を備えても良い。
【0009】
この場合には、操作部材を介して弾性部材を押し込むことになるため、安定した押し込み操作ができる。
【0010】
(3)前記スポイト管の下端が前記容器本体の底面に当接した状態での前記スポイト管の前記連動部材に対する容器軸回りの回転規制を解除する回転規制解除機構を備えても良い。
【0011】
この場合には、成形バラツキ等により、スポイト管の下端が容器本体の底面に到達した後も、更に下降しようとした場合、連動部材に対するスポイト管の回転規制が解除され、連動部材が空転するため、スポイト管の下降を止めることができる。これにより、スポイト管の下端若しくは容器本体の底面の擦傷や圧痕等を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るスポイト容器によれば、内容物の残量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るスポイト容器を示す縦断面図である。
図2図1に示すII-II断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る回転規制解除機構を示す側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るスポイト容器の使用前の状態を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るスポイト容器のスポイト管が下降する様子を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係るスポイト容器のスポイト管の下端が容器本体の底面に当接し、内容液を吸い上げる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態のスポイト容器について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、スポイト容器1は、容器本体2と、しごき片10と、内キャップ20と、外キャップ30と、連動部材40と、弾性部材50と、ピストン60と、操作部材70と、スポイト管80と、を備える。
【0015】
容器本体2は、有底筒状に形成されており、内容物が収容される。内容物としては、例えば人体(皮膚)に塗布(吐出)する薬剤、液体化粧料などを用いることができる。本実施形態におけるスポイト容器1の構成部品は、樹脂材料により形成されている。本実施形態のスポイト容器1は、金属製の部材(コイルスプリング等)を有していない。
【0016】
内キャップ20、外キャップ30、連動部材40、弾性部材50、ピストン60、操作部材70、およびスポイト管80は、スポイトアセンブリ3を構成している。詳細は後述するが、スポイト容器1が使用される際には、スポイトアセンブリ3が容器本体2から取り外される。
【0017】
本実施形態では、容器本体2およびスポイトアセンブリ3の中心軸線は共通の軸線上に位置している。以下、この共通の軸線を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って、容器本体2の口部2a側を上方、容器本体2の底部側を下方という。また、上下方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
また、周方向における一方側に向けた回転方向を、「緩み方向」という場合がある。緩み方向とは、外キャップ30を内キャップ20に対して回転させたときに、連動部材40が内キャップ20に対して上昇する方向である。
詳細は後述するが、本実施形態のスポイト容器1は、外キャップ30を容器本体2に対して緩み方向に回転させると、連動部材40が内キャップ20に対して上昇し、その後で内キャップ20が容器本体2に対して緩み方向に回転するように構成されている。
【0019】
しごき片10は、容器本体2の口部2aの上端開口縁に固定されるとともに、スポイト管80の外周面に当接する当接部11を備えている。しごき片10は、スポイト管80が容器本体2から上方に離脱する際に、スポイト管80の外周面に付着した内容物をかき落とす役割を有する。
【0020】
内キャップ20は、装着筒部21と、規制筒部22と、環状部23と、螺合筒部24と、接続筒部25と、保持筒部26と、シール筒部27と、を備えている。装着筒部21は、容器本体2の口部2aに装着されている。本実施形態では、装着筒部21の内周面に形成された雌ネジ部が、口部2aの外周面に形成された雄ネジ部に螺着されている。
【0021】
容器本体2に対して内キャップ20が、容器軸O回りに回転すると、スポイトアセンブリ3を容器本体2の口部2aから取り外したり、再び口部2aに取り付けたりすることができる。装着筒部21は、外キャップ30のキャップ周壁31によって径方向外側から覆われている。
【0022】
規制筒部22は、装着筒部21の上部に設けられている。規制筒部22は、連動部材40の下方移動を規制する。本実施形態では、規制筒部22の内周面と装着筒部21の内周面とが略同じ内径であるが、規制筒部22と装着筒部21とで内径が異なってもよい。また、装着筒部21の上端部を規制筒部22として用いてもよい。
【0023】
環状部23は、規制筒部22から径方向内側に向けて延びており、平面視において環状に形成されている。螺合筒部24は、規制筒部22から上方に向けて延びている。螺合筒部24の外周面には、雄ネジが形成されている。内キャップ20と連動部材40とが容器軸O回りに相対回転すると、連動部材40が内キャップ20に対して上下動する。
【0024】
接続筒部25は、環状部23の内周縁から上方に向けて延びている。接続筒部25は、上方に向かうに従って外径が小さくなっている。保持筒部26は、接続筒部25の上端部における内周縁から上方に突出されている。接続筒部25の上面と保持筒部26の外周面との間には、段差が形成され、環状のピストン60が保持されている。
【0025】
シール筒部27は、接続筒部25から下方に向けて延びている。シール筒部27は、しごき片10の径方向内側に挿入される。スポイト容器1が閉栓状態の場合には、しごき片10の内側にシール筒部27が挿入されて密着する。
【0026】
外キャップ30は、容器軸Oに沿って延びる円筒状のキャップ周壁31と、キャップ周壁31の上端から径方向内側に延びるキャップ頂壁32と、を有する。キャップ頂壁32は、平面視において環状である。言い換えると、キャップ頂壁32には、貫通孔32aが設けられている。貫通孔32aの内側には、操作部材70の一部(ボタン部71)が位置している。
【0027】
キャップ周壁31の内周面には、上下方向に沿って延びる縦リブ33が形成されている。縦リブ33は、図2の断面図に示すように、キャップ周壁31の内周面から径方向内側に突出している。縦リブ33は、径方向において容器軸Oを挟むように一対で形成されている。また、キャップ周壁31の内周面には、縦リブ33よりも下側から径方向内側に突出するアンダーカット突起34が複数形成されている。アンダーカット突起34は、内キャップ20の装着筒部21の下端にアンダーカット嵌合する。
【0028】
内キャップ20の装着筒部21には、周方向で縦リブ33に係止する係止凸部21aが形成されている。係止凸部21aは、装着筒部21の外周面から径方向外側に突出している。係止凸部21aは、径方向において容器軸Oを挟むように一対で形成されている。縦リブ33は、一対の係止凸部21aの間の約90°の角度の範囲で周方向に移動可能とされている。
【0029】
外キャップ30を内キャップ20(容器本体2)に対して容器軸O回りに回転させようとすると、上記角度の範囲(約90°)内で、外キャップ30が内キャップ20に対して空転する。外キャップ30を容器本体2に対して上記角度の範囲を超えて回転させようとすると、縦リブ33が係止凸部21aの側面(周方向を向く面)に当接することで、外キャップ30と内キャップ20との相対回転が規制される。このように、縦リブ33および係止凸部21aは、外キャップ30と内キャップ20とを所定の角度の範囲内において空転させ、かつ、所定の角度を超えた両者の相対回転を規制するように構成されている。
【0030】
図1に示すように、連動部材40は、外キャップ30の径方向内側且つ内キャップ20の上側に配置されている。連動部材40は、螺着筒部41と、頂壁42と、摺動筒部43と、嵌合筒部44と、内側リング45と、外側リング46と、を有する。螺着筒部41の内周面には、螺合筒部24の雄ネジに螺合する雌ネジが形成されている。頂壁42は、螺着筒部41の上端から径方向内側に延びている。頂壁42には、複数の通気孔42aが形成されている。
【0031】
通気孔42aは、頂壁42を上下方向において貫通している。通気孔42aにより、弾性部材50の内側の空間と、連動部材40およびピストン60によって囲まれた空間と、が連通している。摺動筒部43は、頂壁42から下方に延びており、螺着筒部41よりも径方向内側に位置している。嵌合筒部44は、頂壁42から下方に延びており、摺動筒部43よりも径方向内側に位置している。
【0032】
内側リング45および外側リング46は、頂壁42から上方に突出している。内側リング45は、外側リング46よりも径方向内側に位置している。内側リング45と外側リング46との間には、弾性部材50の固定部52が固定されている。外側リング46には、径方向外側に突出した規制突起47が形成されている。
【0033】
さらに、連動部材40は、回転規制部48を備えている。回転規制部48は、螺着筒部41の下端部から径方向外側に突出するとともに、下方に向けて延びている。回転規制部48には、凹部48aが形成されている。凹部48aは、回転規制部48の外周面における周方向中央部から、径方向内側に向けて窪んでいる。凹部48aは、回転規制部48の上下方向における全長にわたって形成されている。凹部48aの内側に、外キャップ30の縦リブ33が位置することで、外キャップ30と連動部材40との容器軸O回りの相対回転が規制されている。
【0034】
本実施形態では、規制突起47および回転規制部48はそれぞれ2つずつ設けられている。2つの規制突起47は、径方向において容器軸Oを間に挟むように配置されている。また、2つの回転規制部48は、径方向において容器軸Oを間に挟むように配置されている。周方向において、回転規制部48および規制突起47は交互に配置されている。つまり、規制突起47同士が対向する方向と回転規制部48同士が対向する方向とは交差(例えば直交)している。
【0035】
弾性部材50は、弾性膜51と、固定部52と、を有している。弾性部材50は、全体として、ゴムあるいはエラストマーなどの弾性体によって形成されている。固定部52は筒状であり、弾性膜51よりも肉厚に形成されている。弾性膜51は、固定部52から上方に延びている。弾性膜51は、上方に向けて凸の曲面状(ドーム状)に形成されている。
【0036】
ピストン60は、連動部材40の摺動筒部43に摺接する摺接部を有している。ピストン60の上方には、作動空間Sが設けられている。作動空間Sは、ピストン60、摺動筒部43、および頂壁42によって囲まれた空間と、通気孔42aを介して連通する弾性膜51の内側の空間とを含む。弾性膜51が下方に弾性変形すると、作動空間Sの容積が減少する。
【0037】
操作部材70は、ボタン部71と、ボタン筒部72と、係合筒部73と、押圧部74と、を有する。ボタン部71は、平面視において円板状である。ボタン部71の上面は、初期位置では、キャップ頂壁32の上面と面一となっている。ボタン筒部72は、ボタン部71の外周縁から下方に延びている。押圧部74は、ボタン部71から下方に向けて延びる筒状部であり、ボタン筒部72の径方向内側に位置している。押圧部74の下端は、弾性部材50の弾性膜51に当接している。操作部材70が、弾性部材50に対して下降すると、押圧部74によって押圧された弾性膜51が下方に弾性変形する。
【0038】
係合筒部73は、ボタン筒部72から下方に延びている。係合筒部73の外径はボタン筒部72の外径よりも大きい。係合筒部73の外周面には、上下方向に延びる凹部ないしスリットからなる係合部73aが形成されている。係合部73aは、上下方向における係合筒部73の全長にわたって形成されている。
【0039】
係合部73aの内側に、縦リブ33が位置することで、操作部材70と外キャップ30との容器軸O回りの相対回転が規制される。縦リブ33が、係合部73a、凹部48aに対して摺動することで、操作部材70および連動部材40は、外キャップ30に対して上下方向に相対移動することができる。なお、係合筒部73には、係合部73aと周方向で異なる位置に、規制突起47と上下方向で対向し、操作部材70が所定高さより連動部材40に対して上昇することを規制する図示しない被係止部が設けられている。
【0040】
具体的に、操作部材70の係合筒部73には、4つの貫通孔が設けられている。規制突起47が挿入される貫通孔(被係止部)は径方向に貫通し、その孔の下縁部が規制突起47と係合している。また、縦リブ33が挿入される貫通孔(係合部73a)は、径方向及び下方に貫通している。なお、縦リブ33が挿入される貫通孔(係合部73a)は、径方向内側に窪み、下方に延在する凹溝であってもよい。
【0041】
スポイト管80は、容器軸Oに沿って上下方向に延びている。スポイト管80の上端部81は、内キャップ20の接続筒部25、保持筒部26、およびシール筒部27の内側に挿入されている。接続筒部25の内壁面には、雌ネジが形成されている。一方、スポイト管80の上端部81の外周面には、接続筒部25の雌ネジに螺合する雄ネジが形成されている。なお、スポイト管80と接続筒部25との間のネジは、多条ネジとなっているが一条ネジであっても構わない。
【0042】
スポイト管80と接続筒部25との間のネジは、螺合筒部24と螺着筒部41との間のネジとは逆ネジの関係となっている。つまり、内キャップ20に対して連動部材40が上昇するとき、内キャップ20に対してスポイト管80が下降するようになっている。図4に示すように、スポイト管80の下端83には、すり割り状の切欠部83aが設けられている。このため、スポイト管80の下端83が容器本体2の底面2bに当接しても内容物を吸い込めるようになっている。
【0043】
図1に示すように、スポイト管80の上端部81の内側には、連動部材40の嵌合筒部44が嵌合している。スポイト管80の内壁面には、上下方向に沿ってスリット状の摺動溝82が形成されている。摺動溝82は、スポイト管80の内壁面において容器軸Oを挟んで一対で形成されている。一方、嵌合筒部44の外壁面には、嵌合突起44aが径方向外側に向かって突設されている。嵌合突起44aは、嵌合筒部44の外壁面において容器軸Oを挟んで一対で形成されている。
【0044】
摺動溝82の内側に、嵌合突起44aが位置することで、連動部材40とスポイト管80との容器軸O回りの相対回転が規制される。また、嵌合突起44aが、摺動溝82に対して上下に摺動することで、スポイト管80は、連動部材40及び内キャップ20に対して上下方向に相対移動することができる。
【0045】
嵌合筒部44は、図3に示すように、スポイト管80の連動部材40に対する容器軸O回りの回転規制を解除する回転規制解除機構90を備えている。本実施形態の回転規制解除機構90は、嵌合筒部44の下端から上方に平行に延び、嵌合突起44aを他の部分と周方向で分離する一対のスリット91によって形成されている。
【0046】
嵌合突起44aは、一対のスリット91によって径方向内側に弾性変位することができる。このため、図6に示すように、スポイト管80の下端83が容器本体2の底面2bに当接した状態で、スポイト管80の回転抵抗が高まると、嵌合突起44aが摺動溝82から離脱し、スポイト管80に対して連動部材40が空転する。なお、連動部材40が空転し、嵌合突起44aと摺動溝82との周方向の位相が合うと、嵌合突起44aは再び摺動溝82に嵌合し、周期的に回転規制状態になる。
【0047】
次に、以上のように構成されたスポイト容器1の作用について説明する。
【0048】
スポイト容器1が未使用の状態(出荷時の状態)では、図4に示すように、連動部材40が内キャップ20に対して下降端位置に位置している。この状態から、外キャップ30を内キャップ20に対して容器軸O回りの緩み方向に回転させると、図2に示すように、所定の角度範囲内(本実施形態では約90°)においては、内キャップ20に対して外キャップ30が空転する。
【0049】
上記の角度範囲内では、外キャップ30と共に、連動部材40、操作部材70、およびスポイト管80が内キャップ20に対して相対回転する。具体的には、図1に示すように、外キャップ30が内キャップ20に対して相対回転すると、縦リブ33及び凹部48aによって回転規制された連動部材40が内キャップ20に対して相対回転する。
【0050】
連動部材40が内キャップ20に対して相対回転すると、螺合筒部24の外側に螺合する連動部材40が上方にネジ送りされ、連動部材40が内キャップ20に対して上昇する。このとき、連動部材40に固定されている弾性部材50が、操作部材70の押圧部74を押し上げることで、操作部材70も上昇する。その結果、操作部材70のボタン部71が外キャップ30から上方に突出する。
【0051】
また、連動部材40が内キャップ20に対して相対回転すると、嵌合突起44a及び摺動溝82によって回転規制されたスポイト管80が内キャップ20に対して相対回転する。スポイト管80が内キャップ20に対して相対回転すると、接続筒部25の内側に螺合するスポイト管80が下方にネジ送りされ、スポイト管80が内キャップ20に対して下降する。
【0052】
ここで、図6に示すように、スポイト管80の下端83が容器本体2の底面2bに到達した後も、更に下降しようとした場合、連動部材40に対するスポイト管80の回転規制が解除され、スポイト管80が空転する。具体的には、スポイト管80の下端83が容器本体2の底面2bに当接した状態で、スポイト管80の回転抵抗が高まると、嵌合突起44aが径方向内側に移動し、摺動溝82から離脱する。これにより、スポイト管80の下降を止めることができる。
【0053】
連動部材40が上昇すると、ピストン60に対して摺動筒部43が上方に摺動し、作動空間Sの容積が増大するため、嵌合筒部44とスポイト管80との隙間(嵌合突起44aと摺動溝82との隙間を含む)を介して、スポイト管80内が負圧となる。そうすると、スポイト管80の下端83ないし切欠部83aから容器本体2内の底面2b付近の内容物が吸い上げられる。スポイト管80内に吸い上げられる内容物の量は、ピストン60に対する摺動筒部43の上昇量によって定まる。したがって、スポイト容器1は、略定量の内容物をスポイト管80内に保持することができる。
【0054】
図6の状態から、外キャップ30を容器本体2に対して緩み方向にさらに回転させると、外キャップ30とともに内キャップ20が回転する。これは、図2に示すように、縦リブ33が係止凸部21aにおける周方向を向く側面に当接するためである。内キャップ20が容器本体2に対して緩み方向に回転することで、スポイトアセンブリ3が容器本体2から上方に離脱する。このとき、スポイト管80の外周面に付着した内容物が、しごき片10によってかき落とされる。
【0055】
スポイトアセンブリ3を容器本体2から取り外した後、例えば外キャップ30を把持しながらボタン部71を押し込むと、押圧部74が弾性膜51を下方に押圧する。そうすると、押圧部74と連動部材40との間で弾性部材50が挟まれ、弾性膜51が下方に弾性変形し、作動空間Sの容積が小さくなる。その結果、スポイト管80内に保持されていた内容物が、スポイト管80の下端83から吐出される。また、先述の通り、スポイト管80内には略定量の内容物が保持される。したがって使用者は、上記の操作によって、略定量の内容物を所望の箇所に塗布することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のスポイト容器1によれば、外キャップ30を内キャップ20に対して容器軸O回りに回転させると、外キャップ30に回転規制された連動部材40が内キャップ20に対して回転する。連動部材40が内キャップ20に対して回転すると、連動部材40が内キャップ20に対して上下動すると共に、連動部材40に回転規制されたスポイト管80が内キャップ20に対して連動部材40と逆向きに上下動する。ここで、連動部材40が上昇した場合、スポイト管80は下降し、スポイト管80の下端83が容器本体2の底面2bに近接または当接する。また、連動部材40が上昇すると、スポイト管80内に連通する作動空間S(弾性部材50の内側を除く、ピストン60、摺動筒部43、および頂壁42によって囲まれた空間)の容積が増大し、作動空間S内が負圧となる。そうすると、スポイト管80の下端83から容器本体2内の底面2b付近の内容物が吸い上げられる。その後、スポイト管80を容器本体2から引き上げ、操作部材70を下方に押し込むと、作動空間Sの容積が小さくなり、スポイト管80内に保持されていた内容物がスポイト管80の下端83から吐出される。
【0057】
このように、本実施形態のスポイト容器1は、内容物を収容する有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部2aに装着された内キャップ20と、内キャップ20を覆い、内キャップ20に対して容器軸O回りに回動可能な外キャップ30と、外キャップ30対する容器軸O回りの回転が規制され、内キャップ20に対する容器軸O回りの回転に伴って上下動する連動部材40と、連動部材40に対する容器軸O回りの回転が規制され、内キャップ20に対する容器軸O回りの回転に伴って、連動部材40の上下動と逆向きに上下動すると共に、容器本体2内で開口するスポイト管80と、スポイト管80内に連通する作動空間Sを形成する弾性部材50と、を備える。この構成によれば、容器本体2の底面2b付近の内容物を吸い込むことができ、内容物の残量を低減できる。
【0058】
また、本実施形態では、弾性部材50の上方に設けられ、外キャップ30に対して上下動可能な操作部材70を備える。この構成によれば、操作部材70を介して弾性部材50を押し込むことになるため、安定した押し込み操作ができる。
【0059】
また、本実施形態では、スポイト管80の下端83が容器本体2の底面2bに当接した状態でのスポイト管80の連動部材40に対する容器軸O回りの回転規制を解除する回転規制解除機構90を備えている。この構成によれば、成形バラツキ等により、スポイト管80の下端83が容器本体2の底面2bに到達した後も、更に下降しようとした場合、連動部材40に対するスポイト管80の回転規制が解除され、連動部材40が空転するため、スポイト管80の下降を止めることができる。これにより、スポイト管80の下端83若しくは容器本体2の底面2bの擦傷や圧痕等を抑制できる。
【0060】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0061】
例えば、前記実施形態では、連動部材40側に嵌合突起44a(凸部)設け、スポイト管80側に摺動溝82(凹部)を設けていたが、嵌合筒部44側に凹部を設け、スポイト管80側に凸部を設けても構わない。この場合、スポイト管80の凸部を径方向外側に弾性変位可能とすることで、スポイト管80の連動部材40に対する容器軸O回りの回転規制を解除することができる。
また、成形のバラツキ等を考慮しない場合、回転規制解除機構90は無くても構わない。
また、使用者が指などで弾性部材50を直接下方に押し込む構成であってもよく、その場合は、操作部材70は設けなくともよい。
【0062】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…スポイト容器、2…容器本体、2a…口部、2b…底面、3…スポイトアセンブリ、10…片、11…当接部、20…内キャップ、21…装着筒部、21a…係止凸部、22…規制筒部、23…環状部、24…螺合筒部、25…接続筒部、26…保持筒部、27…シール筒部、30…外キャップ、31…キャップ周壁、32…キャップ頂壁、32a…貫通孔、33…縦リブ、40…連動部材、41…螺着筒部、42…頂壁、42a…通気孔、43…摺動筒部、44…嵌合筒部、44a…嵌合突起、45…内側リング、46…外側リング、47…規制突起、48…回転規制部、48a…凹部、50…弾性部材、51…弾性膜、52…固定部、60…ピストン、70…操作部材、71…ボタン部、72…ボタン筒部、73…係合筒部、73a…係合部、74…押圧部、80…スポイト管、81…上端部、82…摺動溝、83…下端、83a…切欠部、90…回転規制解除機構、91…スリット、O…容器軸、S…作動空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6