(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】細長金属要素を供給するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B21D 43/00 20060101AFI20241227BHJP
B21F 23/00 20060101ALI20241227BHJP
B21D 43/02 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
B21D43/00 P
B21F23/00 A
B21D43/02 J
(21)【出願番号】P 2021501344
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(86)【国際出願番号】 IT2019050171
(87)【国際公開番号】W WO2020021582
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】102018000007479
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521471970
【氏名又は名称】シュネル エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ルポリ,シモーネ
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03225322(EP,A2)
【文献】欧州特許第02714296(EP,B1)
【文献】特開昭61-269945(JP,A)
【文献】特開2003-251427(JP,A)
【文献】特開平10-272530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00-43/02
B21F 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長金属要素(具体的には、金属バー)を供給するための方法であって、
a.要素(2)を供給するための装置、または供給される前記要素(2)を識別するための装置の制御ユニットで、各々の要素(2)の長さ方向の軸に対して、理論的断面の最適配向(21)を設定するステップaと、
b.前記要素(2)の長さ方向の軸と一致する供給方向(A)に沿って、前記要素(2)を駆動グループ(3)の中に挿入するステップbと、
c.検出面(6)における、検出デバイス(4)によって前記要素(2)の長さ方向の軸に対する、前記要素(2)の断面(20)の実際の配向(22)を検出するステップcと、
d.前記検出デバイス(4)に関連付けられる処理手段によって、前記要素(2)の前記最適配向(21)に対する検出された前記実際の配向(22)のいずれかのずれを処理するステップdと、
e.配向デバイス(5)によって、前記最適配向(21)に従って前記要素(2)を配向するよう
に、処理された前記ずれを補償するための角度だけ、前記要素(2)の長さ方向の軸の周りで締められる前記要素(2)を締める及び回転させるステップeと、
f.前記要素(2)を解放するステップfと、
g.a.からf.の各ステップの少なくとも1つの処理ステップを達成するために、前記供給方向(A)に沿って前記要素(2)を供給するステップgと、を含み、
前記最適配向(21)を設定する前記ステップaは、前記検出面(6)において、前記要素(2)を供給し、前記要素(2)の前記実際の配向(22)の監視を続けて実行することと、前記要素(2)の前記実際の配向(22)に対応する、検出された前記実際の配向(22)の中で最適と見なされる安定配向を識別及び記憶することとを行うステップを含み、前記安定配向は、いったん達成されると、前記要素(2)供給中の1つの要素の間で不変のままであり、もしくは、前記要素(2)は、前記要素(2)の長さ方向の軸の周りの前記要素(2)の自発的回転に対する最大抵抗に対抗する、
または、
前記最適配向(21)を設定する前記ステップaは、前記処理手段によって、重心軸に対する前記理論的断面の慣性モーメントを計算すること、もしくは前記駆動グループ(3)によって、供給ステップ中に、前記要素(2)の長さ方向の軸を中心に、前記要素(2)の回転に対する最大抵抗に対抗する前記要素(2)の前記配向を計算することを行うことを特徴とする、方法。
【請求項2】
重心軸に対する前記理論的断面の前記慣性モーメントを計算することによって前記最適配向(21)を設定する前記ステップは、前記重心軸に対して前記理論的断面の最小慣性モーメントを計算することを提供することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最適配向(21)を設定する前記ステップaは、前記処理手段によって、同じ種類の前記要素(2)に関する過去の処理サイクルから前記最適配向(21)に関連する、前記処理手段のメモリに保存したデータのリストから前記最適配向(21)を見つけることを行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記要素(2)を締める及び回転させる前記ステップeは、前記要素(2)を前記装置(1)の把持要素及び/または誘導部材(32)から一時的に解放し、前記要素(2)を前記要素(2)の長さ方向の軸の周りで自由に回転させるステップよりも先に行われることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
細長金属要素(具体的には、金属バー)を供給するための方法であって、
i.供給方向(A)に沿って、金属要素(2)を駆動グループ(3)の中に挿入するステップiと、
ii.検出面(6)において、静止する、または検出デバイス(4)によって前記供給方向(A)に沿って移動する、前記供給方向(A)と一致する各々の要素(2)の長さ方向の軸に対する要素(2)自体の実際の配向(22)を検出するステップiiと、
iii.前記供給方向(A)に沿って要素(2)を供給するステップiiiと、
iv.前記検出デバイス(4)によって、さらなる前記実際の配向(22)を検出するステップivと、
v.処理手段によって、前記供給方向(A)と一致する前記要素(2)の長さ方向の軸の周りの前記要素(2)自体の対応する回転を示す、検出された前記実際の配向(22)と、検出されたさらなる前記実際の配向(22)とのいずれかのずれを処理するステップvと、
vi.前記供給方向(A)に沿って前記要素(2)の前記供給を停止させ、配向デバイス(5)によって、各々の断面(20)において前記要素(2)を締め、最初に検出した前記実際の配向(22)、またはそうでなければ、所望の配向を復元するように、処理された前記ずれを補償する
ための角度だけ、前記要素(2)の長さ方向の軸の周りで締められる前記要素(2)を回転させるステップviと、
を含む方法。
【請求項6】
前記実際の配向(22)を検出する前記ステップiiは、前記要素(2)の第1の曲げ加工を実行する前に行われることと、さらなる前記実際の配向(22)を検出する前記ステップivは、前記要素(2)の第2の曲げ加工の前に行われることとを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
処理された前記ずれを補償するための角度だけ、前記要素(2)の長さ方向の軸の周りで締められる前記要素(2)を回転させる前記ステップは、前記駆動グループ(3)の係合から要素(2)を解放するステップよりも先に行われることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
細長金属要素を供給するための装置であって、
各々の要素(2)の長さ方向の軸と一致する供給方向(A)に沿って、前記要素(2)を供給するための駆動グループ(3)と、
検出面(6)において前記駆動グループ(3)の縦方向に挿入される前記要素(2)の断面(20)の実際の配向(22)を検出するように構成される検出デバイス(4)と、
前記検出デバイス(4)に関連付けられる処理手段であって、前記要素(2)に対して設定されるまたは望まれる最適配向(21)に対する検出された前記実際の配向(22)のいずれかのずれを処理するように構成される、処理手段と、
最適または所望の配向(21)に従って前記要素(2)を配向するよう
に、処理された前記ずれを補償するための角度の前記要素(2)を締める及び回転させる、配向デバイス(5)と、を含み、
前記処理手段は、前記要素(2)の前記実際の配向(22)に対応する、検出された前記実際の配向(22)の中で最適と見なされる安定配向を識別及び記憶するように構成され、前記安定配向は、いったん達成されると、前記要素(2)供給中の1つの要素の間で不変のままであり、もしくは、いずれの場合、前記要素(2)は、前記要素(2)の長さ方向の軸の周りの前記要素(2)の自発的回転に対する最大抵抗に対抗することを特徴とする、
または、
前記処理手段は、前記最適配向(21)を設定すること、
重心軸に対する理論的断面の慣性モーメントを計算すること、もしくは前記駆動グループ(3)によって、供給ステップ中に、前記要素(2)の長さ方向の軸を中心に、前記要素(2)の回転に対する最大抵抗に対抗する前記要素(2)の前記配向を計算することを行うように構成されることを特徴とする、装置。
【請求項9】
前記検出デバイス(4)は、具体的には、供給軸(A)の近くに配置されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記検出デバイス(4)は、光学デバイス(具体的には、ビデオカメラ、レーザーゲージ、または表面形状測定装置)であることを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記検出デバイス(4)はメカニカルセンサであることを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項12】
前記配向デバイス(5)はクランプ部材であることを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は曲げグループ及び/または光沢化グループを含むことと、前記配向デバイス(5)は、前記供給方向(A)に従って前記曲げグループの上流に配置され、後続の曲げ動作または光沢化動作の前に、適切な位相関係で及び制御された方法で動作可能であり、曲げサイクルまたは光沢化サイクル中に前記要素(2)を前記要素(2)の長さ方向の軸の周りに回転させることを特徴とする、請求項8~12のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、曲げサイクルまたは光沢化サイクルのために意図される細長金属要素(具体的には、バー状の金属外形及びロッド)を供給するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1つの駆動グループ及び少なくとも1つの曲げグループを含む細長金属要素(具体的には、バー状の金属外形及び同様の製品)を処理するための装置が知られている。
【0003】
具体的には、駆動グループは、概して、例えば、1つ以上の対の反対方向に回転するホイールから成り、ホイールの少なくとも1つは電動であり、供給される要素の供給方向に対して向かい合う。
【0004】
他方では、曲げグループは、例えば、中心マンドレルを含む曲げヘッドから成り、中心マンドレルの周りで、曲げ旋回軸は各々の曲げ平面で回転して動作できる。したがって、曲げヘッドに供給される要素は、成形品、開放または閉鎖された外形ブラケット、したがって、建造物の足場に意図される平坦な製品または3次元製品を生成するために、連続する1つ以上の曲げ動作を受けることができる。
【0005】
同一出願人の欧州特許第2714296号明細書では、例えば、2次元ブラケット及び3次元ブラケットを作るための装置が示されており、本装置は、供給方向に沿って金属ロッドを供給するための誘導手段と、第1の中心曲げマンドレル、及び作業テーブル上で金属ロッドを曲げるために第1の中心マンドレルを中心に回転可能な第1の偏心曲げ旋回軸から成る第1の曲げグループと、第2の中心マンドレル、及び作業テーブルに対して傾く曲げ平面上で金属ロッドを曲げるために第2の中心マンドレルの周りで移動可能な第2の曲げ旋回軸とを含む、第2の曲げグループとを含む。
【0006】
バーまたはロッド等の金属要素から作られる平坦な製品(具体的には、ブラケット、成形品、及び光沢製品)の生産では、完成品の平坦度の許容可能な公差を保証する課題がある。実際には、その要素は、自然に、要素自体の縦軸の周りに回転する傾向があり、その間、その要素は駆動グループ及び曲げグループによって供給され、したがって、この自発的回転に続いて、曲げ加工の結果は、許容可能と見なされる公差を超える平坦度から外れる可能性がある。
【0007】
例えば、欧州特許出願公開第3225322号明細書では、いくつかの寸法で曲げられる要素を製造するための曲げ方法及び曲げ装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許第2714296号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3225322号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ブラケット等の成形品または概して建物の足場のための成形品を生産するために処理されることが意図される細長金属要素の供給を可能にするための方法及び装置を考案することによって、前述の問題を解決することである。
【0010】
本発明の別の目的は、安全な使用及び信頼性の高い使用、ならびに比較的安いコストをもたらす単純な構成及び機能の概念の細長金属要素を供給するための装置を提供することである。
【0011】
請求項1及び請求項5に記載の細長金属要素を供給するための方法によって及び請求項8に記載の細長金属要素を供給するための装置によって、本発明に従って前述の目的を達成する。
【0012】
したがって、本発明の権利に従って、最適な方式で、細長金属要素の処理(具体的には、曲げ加工または光沢を与える)を可能にするように、細長金属要素の供給を制御することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に従って、本方法は、細長金属要素を処理するための装置の制御ユニットで、要素自体を供給する装置と一体の固定参照システムに対する、細長金属要素に関する理論的断面の最適配向を識別または設定することを提供する。
【0014】
前述の最適配向は前述の理論的断面の配向を表し、最適配向は、要素が供給装置の駆動グループによって供給され、場合により、曲げ動作を受けるとき、要素自体の縦軸を中心に回転する要素の最小の動きに対応する。
【0015】
実際に、細長金属要素が部材(概して、駆動グループの向かい合う車輪)によって挿入及び供給されるとき、要素自体は、対応する摩擦力、したがって、駆動部材の運動に対応する供給方向に牽引力を生成する前述の部材による反対方向のスラスト作用を受ける。前述の供給方向に沿って牽引される要素が通常その要素自体の縦軸を中心に自発的回転を受け、自発的回転は、前述の摩擦作用と、したがって、駆動部材が要素自体での接触によって作用するスラストと正確に対比し得ることを観察できる。
【0016】
また、この動きは、断面自体が駆動部材自体に対して配向されることが発見されている安定度によって影響される。より正確に言えば、要素が駆動部材の間に介在するとき、さらに経験的または理論的にだけ、さらなる安定配向(したがって、要素の断面のいずれかの他の可能な配向のうちの最適配向)を識別することが可能である。
【0017】
言い換えれば、前述の最適配向は、駆動グループの前述の部材の間で係合する要素によって想定される配向を表し、前述の部材との接触によって生成される回転に対する最大抵抗に対応する。
【0018】
実際には、概して、周辺にリブが設けられる通常使用する金属ロッド、ひいては、例えば、縦方向に配置される突起の場合、前述の最適配向は、前述のリブが要素自体の縦軸を中心とする回転に対するトルク反作用によって駆動部材と接触すると反応することを受ける配向によって表される。
【0019】
要素自体の配向を安定させ、ひいては、最適にさせるのに好都合である自発的軸回転に対する要素のより大きい抵抗は、具体的には、抵抗トルクの発生によって算出でき、抵抗トルクの量(具体的には、駆動部材が平坦接点形状を有する場合のトルク)は、順に、距離と作用量をかけることによって、要素自体の駆動部材によってかけられる反対方向のスラスト作用量によって与えられる。
【0020】
したがって、本方法は、要素自体の縦軸と一致する供給方向に沿って、供給される要素を前述の駆動部材が設けられた駆動グループの中に挿入することと、検出デバイスによって、検出面における固定参照システムに対して挿入された要素の実際の配向を検出することとを提供する。
【0021】
要素が静止中または要素が供給方向に沿って移動している間に、実際の配向を判定するためのこの検出を行うことができる。
【0022】
本発明に従って、処理ステップは、好ましくはリアルタイムで検出デバイスに関連付けられる処理手段によって実行される、処理手段は、検出デバイスによって検出された実際の配向と、最適配向(例えば、その要素のために計算された設定された配向)との起こり得るずれを正確に処理するように構成される。
【0023】
前述の検出デバイスが画像検出手段を含む場合、要素の実際の配向の検出は、前述の処理手段によって、検出面の要素の検出された断面の瞬間的画像を再構成するステップを含み得る。
【0024】
さらに、前述の検出デバイスが画像検出手段を含む場合、実際の配向と最適配向とのいずれかのずれを処理するステップは、前述の再構成された瞬間的画像と、前述の最適配向に関して設定された画像とを比較するステップを含み得る。
【0025】
本発明の権利に従って、要素は、したがって、少なくとも1つの断面で締められ、前述の最適配向に従って要素を位置付けるように、前述で詳述したずれを補償する等のための角度だけ、配向デバイスによって、その縦軸を中心に回転するために、本装置の他の部材によって生じる可能性がある起こり得る締結から解放される。
【0026】
次に、要素は、再度、本装置の部材(例えば、駆動部材)によって締められ、駆動グループによって供給され、算出した処理サイクル(例えば、要素の展開により割り込む1つ以上の曲げ加工)を受けるために、配向デバイスの締結から解放できる。
【0027】
利点をもたらすように、その断面の検出された最適配向から配向のいずれかのずれを監視するために、既定の時間間隔でまたは連続的に、要素自体の供給の連続的段階中に、さらなる実際の配向の検出面を通過する各々の断面に対して、検出デバイスが検出動作を行うことを提供することが可能である。
【0028】
上記に説明したステップに従って、ずれ(具体的には、既定の閾値を超えたずれ)を検出した場合、本方法は、要素の供給を中断することを要求し得、最適配向を復元する。
【0029】
要素自体の軸の周りに回転する要素の動きが最小になる最適配向の初期設定により、その要素は、次の処理後に、例えば、特定の生産サイクルに許容可能と見なされる形状公差の範囲内にある完成部品を取得するように、この最適配向に従って、配向デバイスにより位置付けできる。
【0030】
例えば、本発明の特定の態様に従って、例えば重心軸に対する要素の理論的断面の慣性モーメント(具体的には、最小慣性モーメント)を考慮する処理手段によって、供給される所与の要素の最適配向を計算できる。
【0031】
実際には、本方法は、過去の作業サイクルの計算または実績によって、要素の断面の実際の幾何学形状に基づいて、要素自体の縦軸の周りの回転に対するより大きい抵抗をもたらす配向を識別することを提供する。
【0032】
前述したこのより大きい抵抗は、要素自体(例えば、リブ)の外形の特定の凹凸の接触による駆動部材の反対方向のスラスト作用が離れて及び平行に分散する事実によって算出される回転に抵抗するトルクの発生によって生成できる。
【0033】
また、本方法は、要素の自発的回転の方向を識別、計算、または判定するために、要素の実際の配向の検出を提供する。
【0034】
利点をもたらすように、最適配向から、望ましくない変位(具体的には、回転)を回避するように、処理されている要素の曲げステップ中に、配向デバイスを使用して、遮断面を締める状態を維持することを提供することも可能である。これらの回転は、要素自体と、動作部材(例えば、曲げ部材)との接触の不規則性によって生じる可能性があり、不規則性は、要素(例えば、金属ロッドの典型的なリブ)の外形の凹凸の外見上ランダムな位置付けによって判定される。
【0035】
代替として、または加えて、曲げステップのそれぞれの前に、配向デバイスを動作させ、処理されている要素を最適配向に戻す、または、いずれの場合、所望の配向に向かって動かすことが可能である。
【0036】
いずれの場合、また、配向デバイスを使用して、3次元要素を作ることができ、処理されている要素の回転の制御を行うと共に、処理されている要素の望ましくない回転の後に最適配向を復元する。
【0037】
好ましくは、配向デバイスを作動させるステップは、送られる要素に係合するように適応する誘導手段または牽引手段のそれぞれが、最適配向に従って位置付けるために後続の回転の制御を可能にするように、要素自体を解放するステップよりも先に行われる。
【0038】
好ましくは、供給される要素は、例えば、既定のサイズの金属バーまたは金属ロッドである。
【0039】
本発明に従った方法の代替の解決策に従って、本発明に従った装置が、ある種の自己学習によって、実際の配向の次の検出を監視することによって、供給される要素の前述の最適配向を識別することを提供することが可能である。実際には、本装置の制御ユニットは、前述の検出デバイスによって、金属要素の実際の配向を監視し、前述の検出の中から安定配向またはさらなる安定配向を識別する。
【0040】
例えば、前述の安定配向は、要素の断面の配向に対応し得、その配向は、いったん達成すると、供給される要素に対して実質的に不変のままである。
【0041】
また、本方法は、いくつかの種類の要素を使用する処理サイクルで、安定配向を後で設定することが可能であるように、要素の種類ごとに、連続読取によって識別されるこの安定配向を保存することを提供できるのが好ましい。
【0042】
さらに、本発明に従った方法は、供給方向に沿って駆動部材が設けられた駆動グループに細長要素を挿入することと、静止中または供給方向に沿って運動中の細長要素の第1の最初の実際の配向を検出することと、例えば、既定の時間間隔の後に、または第1の曲げ加工の前もしくは後に、少なくとも1つのさらなる実際の配向を検出することとを提供できる。最終的に、本方法は、本装置の制御ユニットの処理手段によって、前述の供給方向と一致する要素自体の縦軸に沿った要素自体の対応する回転を示す、第1の検出と第2の検出との起こり得るずれを処理することを提供する。前述の場合と同様に、要素は、配向デバイスによってブロックされ、締められ、このずれを補償するように回転する、最初の配向、またはいずれの場合、所望の配向を復元するように回転する。
【0043】
したがって、本発明に従った方法を実施する装置は、要素自体の縦軸と一致する送り方向に沿って要素を供給するための駆動部材が設けられた駆動グループを含む。検出デバイス及び配向デバイスの前述の処理手段の提供により、本装置は、本装置に配置される、供給される要素の実際の配向の検出を可能にし、いずれの場合、オペレータによって識別され、事前に設定された最適配向と、検出デバイスによって後続の実際の配向を監視することによって計算または識別された最適配向とに従った要素の位置付けを可能にする。
【0044】
このように、前進ステップ中に回転する結果と生じる要素の自然な動きを最小にすることが可能であり、同時に、完全に許容可能な形状公差を有する要素の生産を確実にする。
【0045】
好ましくは、検出デバイスは駆動グループの隣に配置され、駆動グループでは、後に供給される要素が最初に挿入される。
【0046】
代替として、配向デバイス等の検出デバイスは、要素の供給軸に沿って自在に配置できる。
【0047】
その検出デバイスは、例えば、光学デバイス(具体的には、レーザーゲージもしくは表面形状測定装置)または機械デバイス(例えば、機械的プローブ)であり得る。
【0048】
配向デバイスは、回転可能ピン部材から作られるのが好ましい。
【0049】
提供された配向デバイスは、作業サイクルの初めに要素を配向する機能と、例えば、具体的には、3次元要素を生成する連続曲げステップの間に起きる曲げサイクル中に要素を回転させる機能との両方を行うことができる。
【0050】
本発明の詳細は、添付図の非限定例だけによって示される、細長金属要素を供給するための装置の好ましい実施形態と、本装置によって実施される方法の好ましい実施形態との詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】連続動作ステップにおける、本発明に従った金属細長要素を供給するための装置の前面図を示す。
【
図2】連続動作ステップにおける、本発明に従った金属細長要素を供給するための装置の前面図を示す。
【
図3】連続動作ステップにおける、本発明に従った金属細長要素を供給するための装置の前面図を示す。
【
図4】連続動作ステップにおける、本発明に従った金属細長要素を供給するための装置の前面図を示す。
【
図5】異なる動作ステップにおける、装置の概略前面図を示す。
【
図6】異なる動作ステップにおける、装置の斜視図を示す。
【
図7】異なる動作ステップにおける、装置の側面図を示す。
【
図8】異なる動作ステップにおける、装置の概略前面図を示す。
【
図9】異なる動作ステップにおける、装置の斜視図を示す。
【
図10】異なる動作ステップにおける、装置の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
特に
図1~
図10に関して、符号1は、概して、細長金属要素2(具体的には、金属外形及び金属ロッド)を供給するための装置を示す。
【0053】
送られる要素2(断面20が設けられている)のそれぞれについて、要素2自体の縦軸に対する最適配向21が装置1自体に関連付けられる処理手段によって把握または計算され得、その縦軸において、要素自体は、その縦軸の周りで自発的回転に対して最小の動きをもたらす。
【0054】
例えば、この最適配向21は、重心軸に対する断面20の慣性モーメント(実際には、重心軸に対する要素2の理論的断面の慣性モーメント)に基づいて計算できる、または、いずれの場合、最適配向21は、その要素がそれ自体の縦軸の周りの回転に対する最大抵抗に抵抗する配向を表すことができる。
【0055】
計算された最適配向21がない場合、所望の配向または特定の種類の要素2の実績から推測された配向を考慮し得る。代替として、下記に説明されるように、最初の配向の検出されたものは、最適配向(すなわち、生産サイクルの基準)の役割をし得る。
【0056】
したがって、装置1は、駆動グループ3、検出デバイス4、及び配向デバイス5を備え、配向デバイス5は、前述の最適配向21に従って、またはいずれの場合、所望の配向または基準に、続く処理のために配置される要素2を一緒に持って行くように適応する。
【0057】
本装置は、さらに、簡略化するために図示されない、既知の種類の切削グループ及び曲げグループを含むのが好ましい。具体的には、本装置は、従来の曲げグループの代わりに、または曲げグループに加えて、光沢化グループを含み得る。
【0058】
駆動グループ3は、既知の方式で、供給方向Aに対して向かい合う少なくとも一対反対方向に回転するホイール30,31を備え得、要素2は供給方向Aに沿って挿入され、その後、供給される。
【0059】
具体的には、向かい合うホイール30,31の各対は、供給される要素2の挿入チャネルを接線方向に画定し、既知の方式で、そのように介在する要素2に係合する溝付き周辺縁を含むのが好ましい。
【0060】
要素2は、一連の誘導部材32(例えば、通常ニュートラルの供給方向Aに対して向かい合う誘導ホイールの対)によって挿入できるのが好ましい。
【0061】
検出デバイス4は、検出ゾーン(好ましくは、検出面6)において要素2の配向を検出するように構成される少なくとも1つの検出部材(例えば、光学式または機械式の検出部材)を含む。
図1では、例えば、前述の検出面6のトレースは番号6によって示される。
【0062】
実際には、検出デバイス4は、例えば、光学式の場合、画像処理ユニット、レーザーゲージ、または表面形状測定装置に関連付けられるビデオカメラ、または機械式の場合、機械プローブよって構成でき、検出デバイス4は、固定参照システム(例えば、装置1の固定フレーム等)で、要素2の縦軸に対する前述の検出面6を交差する断面20の配向を検出することが可能である。
【0063】
検出デバイス4は、要素2を駆動グループ3に挿入するとき、最初の処理ステップで、検出された断面20の実際の配向22(ひいては、実質的に、要素2の実際の配向22)を検出するように、供給方向Aに沿って要素2と相互作用するように配置される装置1の一連の動作部材に沿って配置されることで利点をもたらす。
【0064】
実際に、検出デバイス4が、当該機構で要素2がとる実際の配向22を検出することが可能であるように、駆動グループ3にできるだけ近くに(例えば、誘導部材32の近くに)位置するのが好ましい。
【0065】
実際には、例えば、検出デバイス4は、具体的には、完全な軸対称プロファイル(具体的には、円)に対して凹凸を表す要素2の断面20のいくつかの部を検出することによって、検出面6における要素2の実際の配向22を検出できる。したがって、供給方向Aに沿って要素2の供給中にこれらの凹凸を観察することによって、一般的に望まれない各々の縦軸の周りに供給された要素2の起こり得る回転方向及び回転数を検出することが可能である。
【0066】
例えば、金属ロッドまたは金属バーが構造物のために通常使用される場合、係る凹凸は、リブ2a(具体的には、縦方向に向いている)及び/またはリブ2bを含み得る(具体的には、
図1,
図5,
図6,
図8,
図9参照)。
【0067】
実際には、ロッドまたはバーの場合、前述の最適配向22は、リブ2aが、要素自体の縦軸を中心とする回転に対するトルク反作用によって駆動部材30,31と接触すると反応することを受ける配向によって表される。
【0068】
この場合、要素2自体の配向を安定させ、ひいては、最適にさせるのに好都合である自発的軸回転に対する要素2のより大きい抵抗は、具体的には、抵抗トルクの発生によって算出でき、抵抗トルクの量は、順に、距離dとスラスト作用Fをかけることによって、要素自体の駆動部材30,31によってかけられる反対方向のスラスト作用Fの量から導出される。この場合、
図5に示されるように、最適配向21は、駆動部材30,31の接触面に直角の中央縦平面Pに対して角度αだけ傾斜するリブ2aを含む軸平面の配向に対応する。
【0069】
配向デバイス5は、各々の断面で要素2を締め、要素2の縦軸の周りの制御下の回転で動作するために、回転して動作可能である把持部材(例えば、挟み部材)によって構成できる。
【0070】
したがって、配向デバイス5は、例えば、供給方向Aに対して、ひいては、駆動グループ3を挿入するためのチャネルに対して向かい合うクランプ50,51の対(好ましくは、適切に成形されたクランプ)によって構成でき、クランプ50,51は、供給される要素2の解放された状態と、締められた状態とに交互に移動可能である。さらに、クランプ50,51は、前述したように、制御された方式で、回転して動作するように有用に構成される。
【0071】
クランプ50,51は、例えば、三角形またはV字形プロファイルを有する成形クランプシートを含み得ることで利点をもたらす。
【0072】
装置1は、さらに、配向デバイス5に関連付けられ、好ましくは装置自体の制御ユニットの一部を形成する処理手段を含み、処理手段は、下記に説明されるように、処理される特定の要素2に最初に設定された最適配向21によって、または所望の配向によって、検出された実際の配向22の起こり得るずれを算出するのに適切である。
【0073】
したがって、この起こり得るずれの計算に続いて、配向デバイス5は、設定される最適配向21に従って、適切な方向の各々の縦軸2の周りで要素を回転させ、ひいては、要素を配置するために、制御された方式で、それに応じて作動できる。したがって、配向デバイス5のアクティブ化の制御は、要素2が、いずれかの自発的回転及び非制御回転に対するほんのわずかな動きを示すように配向されることを確実にする必要がある。
【0074】
本発明に従った金属細長要素を供給するための方法及び金属細長要素を動作させる装置の動作は、前述の説明から容易に理解できる。
【0075】
新しい作業サイクルの準備のステップでは、要素2は、供給方向Aに沿って、駆動グループ3の挿入チャネルに挿入できる。
【0076】
この要素2について、最適配向21は、そのとき、装置1の制御ユニットで設定または識別され、要素2自体の特定の断面20の特徴となる。
【0077】
検出デバイス4は、検出面6における要素2の実際の配向22を検出し、このデータを関連の処理手段に送信する。
【0078】
次に、前述の処理手段は、実際の配向22と最適配向21との起こり得るずれを計算する。
【0079】
駆動グループ3の挿入チャネルに挿入された要素2が静止している間、配向デバイス5は、クランプ50,51によって遮断された各々の断面において要素2自体を締めるように動作できる。この場合、いずれかの他の本発明の把持部材、誘導部材、または駆動部材が要素2を解放することにより、要素2が自由に回転する。
【0080】
処理手段によって事前に計算したずれに基づいて、配向デバイス5は、最適配向21に従って要素2を位置付けるように回転して動作する。
【0081】
この時点で、配向デバイス5は要素2を解放でき、これにより、駆動グループ3及び関与するいずれかの他の部材が要素2に係合することが可能になり、要素2を下流の処理グループに供給し、好ましくは、要求に従って2次元製品または3次元製品を作るために、要素2を曲げヘッド、場合により、切削ユニットに供給し、または要素2を光沢化グループに供給する。
【0082】
具体的には、初期段階で、最適配向21を設定することが不可能である場合に利点をもたらす代替の解決策に従って、本発明に従った方法は、供給方向Aに沿って細長要素2を駆動グループ3に挿入することと、要素2自体の第1の実際の配向22を検出することとを提供できる。この第1の実際の配向22は、要素2の第1の曲げ加工を実行する直前またはその直後に検出できる。
【0083】
次に、本方法は、例えば、要素2の第2の曲げ加工を実行する前に、少なくとも1つのさらなる実際の配向22を検出することを提供する。
【0084】
最終的に、本方法は、処理手段によって、前述の供給方向Aと一致する要素2自体の縦軸に沿った要素2自体の対応する回転を示す、第1の検出と第2の検出との起こり得るずれを処理することを提供する。
【0085】
前述の方法の解決策と同様に、したがって、要素2は、配向デバイス5によって停止され、締められ、このずれを補償するように、最初に検出した第1の配向22またはそうでなければ所望の配向を復元するように回転する。
【0086】
本発明の実用的な実施形態では、使用される材料ならびに形状及び寸法は、要求に従って変わり得る。
【0087】
いずれかの請求項で言及される技術的特徴の後ろに符号がある場合、係る符号は、「特許請求の範囲」の理解を向上させる目的に完全に含まれており、ひいては、符号は、いずれかの方式で、係る符号によって、目的を例示するために識別される各要素の範囲でいかなるものを制限すると見なすべきでない。