(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】回転可能な無線相互接続を有する回転可能なアンテナシステム
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20241227BHJP
H01Q 1/28 20060101ALI20241227BHJP
H01Q 3/04 20060101ALI20241227BHJP
H01Q 3/08 20060101ALI20241227BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20241227BHJP
H01Q 19/12 20060101ALI20241227BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241227BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20241227BHJP
【FI】
H01Q1/12 E
H01Q1/28
H01Q3/04
H01Q3/08
H01Q21/06
H01Q19/12
H02J50/10
H02J50/80
(21)【出願番号】P 2021559233
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 US2020024918
(87)【国際公開番号】W WO2020205423
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-15
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、エリック ビー.
(72)【発明者】
【氏名】スキナー、ケビン エム.
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0278271(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0101341(US,A1)
【文献】特開2014-011938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
H01Q 1/28
H01Q 3/04
H01Q 3/08
H01Q 21/06
H01Q 19/12
H02J 50/10
H02J 50/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な無線相互接続と放射素子とを有する回転可能なアンテナであって、
前記回転可能な無線相互接続は、
平面状の固定子コイル表面を有する固定子コイルパッドであって、電力を受け取るための電源ポート及びデータを通信するためのデータポートに接続された固定子コイルパッドと、
平面状の回転子コイル表面を有し、前記固定子コイルパッドと双方向通信する回転子コイルパッドであって、
前記回転子コイルパッドは、前記固定子コイルパッドと重なり、
前記平面状の固定子コイル表面から離間しており、
前記平面状の回転子コイル表面は前記平面状の固定子コイル表面と平行であり、前記回転子コイルパッドは軸に垂直な平面上を時計回りまたは半時計回りの方向に前記軸を中心に回転可能であ
り、前記軸は、前記回転可能な無線相互接続に対して固定されている、前記回転子コイルパッドと、を備え、
前記放射素子は、前記回転子コイルパッドに接続されており、
前記軸を中心とした前記回転子コイルパッドの回転の変化は、前記放射素子の指向方向を変化させ、
複数の無線チャネルが、前記固定子コイルパッドと前記回転子コイルパッドとの間に確立され、前記複数の無線チャネルのうちの第1のチャネルが、前記固定子コイルパッドから前記回転子コイルパッドに電力を伝送し、前記複数の無線チャネルのうちの第2のチャネルが、前記固定子コイルパッドと前記回転子コイルパッドとの間でデータを伝送し、
更に、前記回転子コイルパッドに接続されたデータエンコーダを備え、前記データエンコーダは、前記複数の無線チャネルの前記第2のチャネルを通して送信された前記データの少なくとも一部分を無線周波数(RF)信号上で変調し、前記RF信号を前記放射素子に提供
し、
前記回転子コイルパッドの回転を、前記軸と直角に交差する平面に制限するための機械的留め具を更に備え、前記軸と直角に交差する平面は前記平面状の固定子コイル表面及び前記平面状の回転子コイル表面の両者と平行である、回転可能なアンテナ。
【請求項2】
前記複数の無線チャネルのうちの第3のチャネルが、前記回転子コイルパッドの位置を制御するためのコマンドを伝送する、請求項1に記載の回転可能なアンテナ。
【請求項3】
前記回転子コイルパッドに接続されたアンテナ制御ユニットであって、前記複数の無線チャネルの前記第3のチャネル上で前記コマンドを受信するアンテナ制御ユニットと、
前記回転子コイルパッドを回転させるための
回転子と連結されたモータとを更に備え、前記アンテナ制御ユニットは、前記複数の無線チャネルの前記第3のチャネル上の前記コマンドの受信に応答して、前記モータを制御するためのコマンドを提供する、請求項2に記載の回転可能なアンテナ。
【請求項4】
前記モータは、前記回転子コイルパッドから電力信号を受信し、前記電力信号は、前記第1のチャネルを介して前記回転子コイルパッドに伝送される電力に応じて提供される、請求項3に記載の回転可能なアンテナ。
【請求項5】
前記回転子コイルパッドの回転は、前記放射素子の方位角を変化させる、請求項1に記載の回転可能なアンテナ。
【請求項6】
前記回転可能な無線相互接続は、第1の回転可能な無線相互接続であり、前記軸は第1の軸であり、前記回転可能なアンテナは、
電力を受け取るために前記電源ポートに接続された固定子コイルパッド、及び
、第2の回転可能な無線相互接続の前記固定子コイルパッドと双方向通信している回転子コイルパッドを備える
前記第2の回転可能な無線相互接続を更に備え、
前記第2の回転可能な無線相互接続の前記回転子コイルパッドは、前記第2の回転可能な無線相互接続の前記固定子コイルパッドに重なり、前記第2の回転可能な無線相互接続の前記回転子コイルパッドは、前記第2の回転可能な無線相互接続の前記
固定子コイルパッドから離間しており、前記第2の回転可能な無線相互接続の前記回転子コイルパッドは、第2の軸を中心に回転可能であり、
前記放射素子は、前記第2の回転可能な無線相互接続の前記回転子コイルパッドに接続されており、前記第2の軸を中心とした前記第2の回転可能な無線相互接続の前記回転子コイルパッドの回転の変化は、前記放射素子の指向方向を変化させる、請求項1に記載の回転可能なアンテナ。
【請求項7】
前記第1の回転可能な無線相互接続の前記回転子コイルパッドの回転は、前記放射素子の方位角を変化させ、前記第2の回転可能な無線相互接続の前記回転子コイルパッドの回転は、前記放射素子の仰角を変化させる、請求項6に記載の回転可能なアンテナ。
【請求項8】
前記固定子コイルパッドは、変圧器の一次巻線を備え
、前記一次巻線は、前記二次巻線と相互インダクタンスを確立する、請求項1に記載の回転可能なアンテナ。
【請求項9】
前記固定子コイルパッドは、変圧器の一次巻線を備え
、前記一次巻線は、前記二次巻線と磁気共鳴結合を確立する、請求項1に記載の回転可能なアンテナ。
【請求項10】
前記固定子コイルパッドを収容する、非導電性材料から形成された第1のハウジングと、前記回転子コイルパッドを収容する、非導電性材料から形成された第2のハウジングとを更に備え、前記第2のハウジングは前記第1のハウジングに
平面状の界面において当接する、請求項
1に記載の回転可能なアンテナ。
【請求項11】
前記放射素子は、衛星ディッシュ内に取り付けられている、請求項1に記載の回転可能なアンテナ。
【請求項12】
前記放射素子は、導波路アレイである、請求項1に記載の回転可能なアンテナ。
【請求項13】
前記放射素子は、第1の方向を指す第1の放射素子であり、前記回転可能なアンテナは、第2の方向を指す第2の放射素子を備え、前記第2の方向は、前記第1の方向とは反対である、請求項1に記載の回転可能なアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許出願は、「Antenna System With Wireless Rotatable Interconnect」と題する、2019年4月3日に出願された米国特許仮出願第62/828,612号に対する優先権の利益を主張し、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して回転可能なアンテナシステムに関する。より具体的には、本開示は、回転可能な無線相互接続を有するアンテナシステムを説明する。
【背景技術】
【0003】
衛星アンテナ(例えば、指向性アンテナ)は、航空機、船舶、又は地上車両などの移動可能なステーションのための衛星ディッシュとして実現することができる。いくつかのそのような実施例では、衛星アンテナは、パラボラ反射器及び給電アンテナを含む。あるいは、衛星アンテナは、導波路アレイとして実現することができる。更に、衛星アンテナの支持構造体は、衛星アンテナが搭載される基部を含むことができる。更に、支持構造体は、衛星アンテナが、衛星アンテナの向きを調整するために、方位角、仰角、及び/又はスキューを変化させることのできる可動ジョイント又は複数のピボットを含むことができる。
【0004】
自動追跡衛星アンテナは、航空機、地上車両、又は船舶などの移動体が運動する間に使用される衛星アンテナである。自動追跡衛星ディッシュは、ジャイロスコープ、全地球測位システム(global positioning system、GPS)位置センサ、固有の衛星識別データ、及び統合データデコーダを利用して、衛星アンテナが向いている特定の衛星の識別を助ける。自動追跡衛星アンテナは、衛星アンテナを駆動及び照準するためのモータ並びに移動体が運動している間の位置の変化を検出するための速度センサを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一実施例では、回転可能なアンテナは、電力を受け取るための電源ポート及びデータを通信するためのデータポートに接続された固定子コイルパッドと、固定子コイルパッドと双方向通信する回転子コイルパッドとを有する、回転可能な無線相互接続を含むことができる。回転子コイルパッドは、固定子コイルパッドに重なっているが、回転子コイルパッドは、固定子コイルパッドから離間している。更に、回転子コイルパッドは、軸を中心に回転可能である。回転可能なアンテナは、回転子コイルパッドに接続された放射素子を含むことができる。軸を中心とした回転子コイルパッドの回転の変化は、放射素子の指向方向を変化させる。複数の無線チャネルが固定子コイルパッドと回転子コイルパッドとの間に確立され、複数の無線チャネルのうちの第1のチャネルは、固定子コイルパッドから回転子コイルパッドに電力を伝送し、複数の無線チャネルのうちの第2のチャネルは、固定子コイルパッドと回転子コイルパッドとの間でデータを伝送する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、回転可能な無線相互接続を有する回転可能なアンテナシステムのブロック図を示す。
【0007】
【
図2】
図2は、2つの回転可能な無線相互接続を有する回転可能なアンテナシステムのブロック図を示す。
【0008】
【
図3】
図3は、航空機に搭載された回転可能なモバイルアンテナシステムを有する衛星通信システムの図を示す。
【0009】
【
図4A】
図4Aは、回転可能な無線相互接続を有する回転可能なアンテナシステムの分解図を示す。
【0010】
【
図4B】
図4Bは、
図4Aの回転可能なアンテナシステムの部分的に組み立てられた分解図を示す。
【0011】
【0012】
【
図5A】
図5Aは、回転可能な無線相互接続を有する別の回転可能なアンテナシステムの分解図を示す。
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、衛星と通信するためのアンテナシステムなどの回転可能なアンテナシステムを説明する。回転可能なアンテナシステムは、航空機、地上車両、又は船舶などの移動体に搭載することができる。回転可能なアンテナシステムは、回転可能な無線相互接続を含むことができる。回転可能な無線相互接続は、回転可能なアンテナシステムの回転のための低摩擦(又は摩擦なし)のインターフェースを提供する。
【0015】
より具体的には、回転可能な無線相互接続は、電力を受け取るために電源ポートに接続され、データ通信のためにデータポートに接続される固定子コイルパッドを含むことができる。回転可能な無線相互接続はまた、固定子コイルパッドと双方向通信する回転子コイルパッドを含むことができる。回転子コイルパッドは、固定子コイルパッドに重なり、かつ回転子コイルパッドは、固定子コイルパッドから離間している。固定子コイルパッドは変圧器の一次巻線を形成し、回転子コイルパッドは変圧器の二次巻線を形成する。固定子コイルパッドに通電することにより、固定子コイルパッドと回転子コイルパッドとの間に相互インダクタンスが誘導される。相互インダクタンスは、磁気共振結合を介した双方向通信を可能にする。
【0016】
加えて、回転子コイルパッドは、軸を中心に回転可能である。より具体的には、回転子コイルパッドは、軸と直角に交差する平面上で時計回り又は反時計回り方向に連続的に回転することができる。放射素子は、回転子コイルパッドに(直接的又は間接的に)接続することができ、これにより、軸を中心とした回転子コイルパッドの回転の変化が、放射素子の指向方向を変化させる。いくつかの実施例では、回転子コイルパッドの回転は、放射素子の方位角を変化させることができる。他の実施例では、回転子コイルパッドの回転は、放射素子の仰角又はスキューを変化させることができる。
【0017】
回転可能な無線相互接続は、複数の無線チャネル(例えば、通信チャネル)が固定子コイルパッドと回転子コイルパッドとの間に確立されることを可能にする。更に、複数のチャネルの電力チャネルが、固定子コイルパッドから回転子コイルパッドに電力を伝送し、複数のチャネルのデータチャネルが、固定子コイルパッドと回転子コイルパッドとの間でデータを伝送する。回転子コイルパッドに供給される電力を使用して、モータを作動させて、回転可能な無線相互接続を回転させることができる。
【0018】
上述のように、回転子コイルパッド及び固定子コイルパッドは、離間した部分であり、磁気共振結合により無線で通信する。このようにして、放射素子の回転を可能にするための機械的ジョイント及び/又は接点(例えば、ブラシ)の必要性がなくなる。むしろ、回転可能な無線相互接続は、回転子コイルパッドと固定子コイルパッドとの間に低摩擦インターフェースを提供して、回転子コイルパッドの回転を可能にし、これにより、ジョイント及び/又は機械的接点での物理的摩耗を被ることなく放射素子を回転させることができ、それによって回転可能なアンテナシステムの使用可能寿命を延長する。加えて、固定子コイルパッドと回転子コイルパッドとの間の有線接続の必要性をなくすことにより、ワイヤラッピングすることなく、回転子コイルパッドを連続的に回転させることができる。
【0019】
図1は、回転可能な無線相互接続102を含む例示的な回転可能なアンテナシステム100のブロック図を示す。回転可能な無線相互接続102は、放射素子104の指向方向を変えるために用いられ得る。回転可能なアンテナシステム100は、放射素子104の指向方向を動的に変更することができるモバイル衛星アンテナにおいて用いることができる。いくつかの実施例では、回転可能なアンテナシステム100は、航空機に搭載して衛星と通信することができる。他の実施例では、回転可能なアンテナシステム100は、船舶(例えば、船)又は地上車両に搭載して衛星と通信することができる。このような状況のいずれにおいても、航空機、船舶、又は地上車両が移動すると、放射素子104の指向方向を変更する必要がある。
【0020】
いくつかの実施例では、放射素子104は、衛星ディッシュ(例えば、給電要素及び反射器)を表すことができる。他の実施例では、放射素子104は、導波路アレイを表すことができる。
【0021】
回転可能な無線相互接続102は、固定子コイルパッド110及び回転子コイルパッド112を含むことができる。回転子コイルパッド112は、固定子コイルパッド110に重なることができる。固定子コイルパッド110は、回転子コイルパッド112に対して、及び回転可能なアンテナシステム100が搭載された航空機、船舶、又は地上車両に対して静止したままであるように構成することができる。回転子コイルパッド112は、固定子コイルパッド110の位置に対して軸114を中心に回転することができる。より具体的には、回転子コイルパッド112は、軸114に垂直な平面上で回転することができ、矢印116によって示されている。すなわち、回転子コイルパッド112は、軸114と直角に交差する平面内で時計回り又は反時計回りに回転することができる。
【0022】
説明を簡単にする目的で、「重なる(superpose)」という用語は、本開示全体を通して、選択された向きにおいて近接する2つの面の相対位置を表すために用いられる。本開示全体を通して使用される例では、選択された1つの向きを示す。しかしながら、記載された例では、選択された向きは任意であり、本開示の範囲内で他の向き(例えば、逆さまにする、90度回転させるなど)が可能である。
【0023】
固定子コイルパッド110は、変圧器の一次巻線113(例えば、第1の誘導コイル)を含むことができ、回転子コイルパッド112は、変圧器の二次巻線115(例えば、第2の誘導コイル)を含むことができる。このようにして、固定子コイルパッド110と回転子コイルパッド112とは互いに離間され、固定子コイルパッド110に通電される場合、固定子コイルパッド110と回転子コイルパッド112とは互いに相互インダクタンスを有する。いくつかの実施例では、固定子コイルパッド110及び回転子コイルパッド112は、エアギャップによって分離される。他の実施例では、固定子コイルパッド110及び回転子コイルパッド112は、それぞれの固定子コイルパッド110及び回転子コイルパッド112のハウジング(例えば、固定子ハウジング及び回転子ハウジング)によって分離される。このような状況では、固定子ハウジング及び回転子ハウジングは、プラスチックなどの非導電性材料で形成することができ、固定子ハウジングは回転子ハウジングに当接する。
【0024】
いくつかの実施例では、固定子コイルパッド110は、アンテナ基部120に取り付けられる。同様に、固定子コイルパッド110は、回転子基部122に取り付けることができる。アンテナ基部120は、固定子電子回路124を含むことができ、回転子基部122は、回転子電子回路126を含むことができる。
【0025】
固定子電子回路124は、固定子コイルパッド110に接続することができ、固定子コイルパッド110に通電することができる。回転子電子回路126は、回転子コイルパッド112に接続することができる。固定子電子回路124は、回転子電子回路126と協働して動作して、固定子コイルパッド110と回転子コイルパッド112との間の無線双方向通信を可能にすることができる。いくつかの実施例では、固定子コイルパッド110と回転子コイルパッド112との間に複数の無線チャネルが存在し得る。
【0026】
より具体的には、固定子電子回路124はまた、電源ポート130及びデータポート132に接続することができる。電源ポート130は、直流(direct current、DC)電力信号又は交流(alternating current、AC)信号などの電力信号を固定子電子回路124に供給することができる電源134に接続することができる。そのような状況では、固定子電子回路124は、固定子コイルパッド110と回転子コイルパッド112との間の複数の無線チャネルの電力チャネルを介する通信のための信号に電力信号を変換及び/又は調整することができる電力制御モジュール136を含むことができる。複数の無線チャネルは、固定子コイルパッド110と回転子コイルパッド112との間の磁気共振結合により確立することができる。換言すれば、固定子コイルパッド110と回転子コイルパッド112との間の相互インダクタンスによって確立された磁界は、固定子コイルパッド110と回転子コイルパッド112との間の双方向通信を可能にすることができる。
【0027】
加えて、データポート132は、ネットワークノード140に接続することができる。ネットワークノード140は、例えば、コンピューティングプラットフォーム(例えば、プロセッサ及びメモリ)又はコンピューティングプラットフォーム又は複数のコンピューティングプラットフォームの上流にあるネットワークルータとして実現することができる。ネットワークノード140は、データポート132とネットワークノード140との間でデータを(例えば、双方向に)通信することができる。固定子電子回路124は、データポート132から提供されたデータを、固定子コイルパッド110と回転子コイルパッド112との間の複数の無線チャネルのデータチャネル上で符号化(例えば、変調)するためのデータエンコーダ/デコーダモジュール142を含むことができる。いくつかの実施例では、データエンコーダ/デコーダモジュール142は、モデムを用いて実現することができる。
【0028】
更に、固定子電子回路124は、制御ポート150に接続することができる。制御ポート150は、コントローラ152に接続することができる。コントローラ152は、固定子電子回路124に放射素子104の位置を制御するためのコマンドを提供することができる。固定子電子回路124は、制御ポート150に提供されたコマンドを、複数の無線チャネルの制御チャネル上で符号化(例えば、変調)することができるコマンドエンコーダ154を含むことができる。更に、いくつかの実施例では、コマンドはネットワークノード140によってデータポート132に提供することができる。
【0029】
回転子コイルパッド112は、固定子コイルパッド110と回転子コイルパッド112との間の複数の無線チャネルを通して送信される信号を受信することができる。更に、回転子電子回路126は、固定子コイルパッド110と回転子コイルパッド112との間の複数の無線チャネルを通して送信される信号を処理することができる。
【0030】
回転子電子回路126は、データエンコーダ/デコーダ168を含むことができ、このデータエンコーダ/デコーダは、データチャネルに提供されたデータを無線周波数(RF)信号に符号化(例えば、変調)することができ、衛星への送信のために変調RF信号を放射素子104に提供することができる。加えて、データエンコーダ/デコーダ168は、受信したRF信号を復調し、結果として生じる信号を、複数のチャネルのデータチャネルを通して回転子コイルパッド112から固定子コイルパッド110に送信するために再変調することができる。データエンコーダ/デコーダ168は、モデムとして実現することができる。
【0031】
回転子電子回路126は、モータ160に接続することができる。回転子電子回路126は、モータ160に通電するために、複数のチャネルの電力チャネルを通して提供された電力をモータ160に提供することができる電力制御モジュール162を含むことができる。いくつかの実施例では、回転子電子回路126は、制御チャネル及び/又は複数のチャネルのデータチャネルに提供されたコマンドを復号化して、モータ160の作動及び作動解除を制御することができるアンテナ制御ユニット164を含むことができる。電力制御モジュール162は、アンテナ制御ユニット164から電力制御に提供されるコマンドに応答するように構成することができる。より具体的には、電力制御モジュール162は、モータ160にコマンドを提供して、モータ160を作動又は作動解除することができる。
【0032】
モータ160は、作動すると、モータ160に機械的に連結されたローテータ170を駆動して、回転させる。ローテータ170は、例えば、ギア(例えば、ウォームギア)、ベルト及びプーリ、などとして実現することができる。ローテータ170の回転により、回転子コイルパッド112が、軸114を中心に、すなわち矢印116によって示される時計回り又は反時計回り方向に回転するようになる。更に、放射素子104及び回転子基部122を含む特定の構成要素は、回転子コイルパッド112に連結する(例えば、取り付ける)ことができる。したがって、回転子コイルパッド112の回転は、放射素子104による対応する回転を引き起こし、放射素子104の指向方向を変えることができる。
【0033】
一実施例として、回転子コイルパッド112の回転は、放射素子104の方位角を変化させることができる。他の実施例では、回転子コイルパッド112の回転は、放射素子104の仰角を変化させることができる。更に他の実施例では、回転子コイルパッド112の回転は、放射素子104のスキュー角を変化させることができる。
【0034】
更に、留め具172は、回転子コイルパッド112に連結することができ、回転子コイルパッド112の回転を、回転の軸114と直角に交差する平面に制限する。言い換えると、留め具172は、回転子コイルパッド112の揺れを防止し、回転子コイルパッド112を単一の回転軸に制限する。留め具172は、例えば、軸受又はガイドレールを用いて実現することができる。いくつかの実施例では、複数の留め具172が存在し得る。
【0035】
上述のように、回転子コイルパッド112及び固定子コイルパッド110は、離間した部分であり、相互インダクタンスにより無線通信する。このようにして、放射素子104の回転を可能にするための機械的ジョイントが不要になる。その代わりに、回転子コイルパッド112と固定子コイルパッド110との間の低摩擦インターフェースは、回転子コイルパッド112の回転を可能にし、ジョイント又は接点上の物理的摩耗を被ることなく、放射素子104を回転させ、それによって回転可能なアンテナシステム100の使用可能寿命を延長する。更に、固定子コイルパッド110と回転子コイルパッド112との間に有線接続が存在しないため、回転子コイルパッド112は、ワイヤラッピングなしで、時計回り又は反時計回り方向に連続的に回転させることができる。加えて、電力及びデータが、回転子コイルパッド112と固定子コイルパッド110との間で無線で伝送されるため、回転子電子回路126への接続のために故障しやすい機械的接点(例えば、ブラシ)の必要性が回避される。
【0036】
図2は、2つ(二)の回転可能な無線相互接続、すなわち第1の回転可能な無線相互接続202及び第2の回転可能な無線相互接続204を含む、別の例示的な回転可能なアンテナシステム200のブロック図を示す。回転可能なアンテナシステム200は、航空機、船舶、又は地上車両に搭載することができる。第1の回転可能な無線相互接続202及び第2の回転可能な無線相互接続204は、協働して動作して、放射素子104の指向方向を変えることができる。説明を簡単にする目的で、同じ参照番号が、
図1及び
図2において同じ構造を示すために用いられる。更に、一部の構造は再紹介しない。
【0037】
第1の回転可能な無線相互接続202は、
図1の回転可能な無線相互接続102を用いて実現することができる。第1の回転可能な無線相互接続202は、第1の固定子コイルパッド210及び第1の回転子コイルパッド212を含むことができる。第1の固定子コイルパッド210は、
図1の固定子コイルパッド110を用いて実現することができ、第1の回転子コイルパッド212は、
図1の固定子コイルパッド110を用いて実現することができる。したがって、第1の固定子コイルパッド210は、第1の回転子コイルパッド212に対して、及び回転可能なアンテナシステム200が搭載された航空機、船舶、又は地上車両に対して静止したままであるように構成することができる。第1の回転子コイルパッド212は、第1の固定子コイルパッド210の位置に対して第1の軸214を中心に回転することができる。より具体的には、第1の回転子コイルパッド212は、矢印216によって示される第1の軸214に垂直な平面上で回転することができる。すなわち、第1の回転子コイルパッド212は、第1の軸214と直角に交差する平面内で時計回り又は反時計回りに回転することができる。
【0038】
いくつかの実施例では、第1の固定子コイルパッド210は、アンテナ基部220に取り付けられる。第1の回転子コイルパッド212は、第1の回転子基部222に取り付けることができる。アンテナ基部220は、
図1の固定子電子回路124を含むことができ、第1の回転子基部222は、
図1の回転子電子回路126を含むことができる。
【0039】
第2の回転可能な無線相互接続204は、第2の固定子コイルパッド230及び第2の回転子コイルパッド232を含むことができる。第2の固定子コイルパッド230は、
図1の固定子コイルパッド110を用いて実現することができ、第2の回転子コイルパッド232は、
図1の回転子コイルパッド112を用いて実現することができる。したがって、第2の固定子コイルパッド230は、第2の回転子コイルパッド232に対して、及び回転可能なアンテナシステム200が搭載された航空機、船舶、又は地上車両に対して静止したままであるように構成することができる。第2の回転子コイルパッド232は、第2の固定子コイルパッド230の位置に対して第2の軸234を中心に回転することができる。より具体的には、第2の回転子コイルパッド232は、矢印236によって示される第2の軸234に垂直な平面上で回転することができる。すなわち、第2の回転子コイルパッド232は、第2の軸234に垂直な平面内で時計回り又は反時計回りに回転することができる。
【0040】
いくつかの実施例では、第2の固定子コイルパッド230は、アンテナ基部220に取り付けられる。第2の回転子コイルパッド232は、第2の回転子基部240に取り付けることができる。第2の回転子基部240は、
図1の回転子電子回路126の別の例を含むことができる。
【0041】
いくつかの実施例では、固定子電子回路124は、第1の固定子コイルパッド210及び第2の固定子コイルパッド230に接続することができる。このような状況では、固定子電子回路124は、第1の固定子コイルパッド210及び第2の固定子コイルパッド230に通電することができる。第1の回転可能な無線相互接続202の回転子電子回路126は、第1の回転子コイルパッド212に接続することができる。固定子電子回路224は、第1の回転可能な無線相互接続202の回転子電子回路126と協働して動作して、第1の固定子コイルパッド210と第1の回転子コイルパッド212との間の無線双方向通信を可能にすることができる。いくつかの実施例では、第1の固定子コイルパッド210と第1の回転子コイルパッド212との間に複数の無線チャネルが存在することができる。同様に、固定子電子回路224は、第2の回転可能な無線相互接続204の回転子電子回路126と協働して動作して、第2の固定子コイルパッド230と第2の回転子コイルパッド232との間の無線双方向通信を可能にすることができる。いくつかの実施例では、第2の固定子コイルパッド230と第2の回転子コイルパッド232との間に複数の無線チャネルが存在することができる。他の実施例では、固定子電子回路124の複数の例は、第1の固定子コイルパッド210及び第2の固定子コイルパッド230のうちの1つと通信するように実現することができる。
【0042】
電源ポート130は、直流電力信号又はAC信号などの電力信号を固定子電子回路124に提供することができる電源134に接続することができる。そのような状況では、固定子電子回路124は、第1の固定子コイルパッド210と第1の回転子コイルパッド212との間の複数の無線チャネルの電力チャネルを介する通信のための信号に電力信号を変換及び/又は調整することができる。加えて、固定子電子回路124は、第2の固定子コイルパッド230と第2の回転子コイルパッド232との間の複数の無線チャネルの電力チャネルを介する通信のための信号に電力信号を変換及び/又は調整することができる。
【0043】
加えて、データポート132は、ネットワークノード140に接続することができる。ネットワークノード140は、データポート132とネットワークノード140との間でデータを(例えば、双方向に)通信することができる。固定子電子回路124は、データポート132から提供されたデータを、第1の固定子コイルパッド210と第1の回転子コイルパッド212との間の複数の無線チャネルのデータチャネル上で符号化(例えば、変調)することができる。
【0044】
更に、制御ポート150は、コントローラ152に接続することができる。コントローラ152は、放射素子104を回転させるためのコマンドを固定子電子回路124に提供することができる。固定子電子回路124は、制御ポート150に提供されたコマンドを、第1の固定子コイルパッド210と第1の回転子コイルパッド212との間の複数の無線チャネルの制御チャネル、並びに第2の固定子コイルパッド230と第2の回転子コイルパッド232との間の複数の無線チャネルの制御チャネル上で符号化(例えば、変調)することができる。更に、いくつかの実施例では、コマンドはネットワークノード140によってデータポート132に提供することができる。
【0045】
第1の回転子コイルパッド212は、第1の固定子コイルパッド210と第1の回転子コイルパッド212との間の複数の無線チャネルを通して送信される信号を受信することができる。同様に、第2の回転子コイルパッド232は、第2の固定子コイルパッド230と第2の回転子コイルパッド232との間の複数の無線チャネルを通して送信される信号を受信することができる。更に、第1の回転可能な無線相互接続202の回転子電子回路126は、第1の固定子コイルパッド210と第1の回転子コイルパッド212との間の複数の無線チャネルを通して送信される信号を処理することができる。同様に、第2の回転可能な無線相互接続204の回転子電子回路126は、第2の固定子コイルパッド230と第2の回転子コイルパッド232との間の複数の無線チャネルを通して送信される信号を処理することができる。
【0046】
第1の回転可能な無線相互接続202の回転子電子回路126は、放射素子104と複数の無線チャネルのデータチャネルとの間で通信されるデータを符号化及び復号化(例えば、変調及び復調)することができる。この符号化及び復号化は、衛星とネットワークノード140との間の通信を可能にする。
【0047】
第1の回転可能な無線相互接続202の回転子電子回路126は、第1のモータ260に接続することができ、第2の回転可能な無線相互接続204の回転子電子回路126は、第2のモータ262に接続することができる。第1の回転可能な無線相互接続202の回転子電子回路126は、第1のモータ260に通電するために、複数の無線チャネルの電力チャネルを通して提供された電力を第1のモータ260に提供することができる。同様に、第2の回転可能な無線相互接続204の回転子電子回路126は、第2のモータ262に通電するために、複数の無線チャネルの電力チャネルを通して提供された電力を第2のモータ262に提供することができる。第1のモータ260及び第2のモータ262は、
図1のモータ160を用いて実現することができる。
【0048】
いくつかの実施例では、第1の回転可能な無線相互接続202及び第2の回転可能な無線相互接続204の回転子電子回路126は、制御チャネル及び/又は複数のチャネルのデータチャネルに提供されたコマンドを復号化して、それぞれの第1のモータ260及び第2のモータ262の作動及び作動解除を制御することができる。したがって、第1の回転可能な無線相互接続202及び第2の回転可能な無線相互接続204の回転子電子回路126は、それぞれの第1のモータ260及び第2のモータ262を選択的に作動又は作動解除することができる。
【0049】
第1のモータ260は、作動すると、第1のモータ260に機械的に連結された第1のローテータ270を駆動し、第1のローテータ270を回転させる。同様に、第2のモータ262は、作動すると、第2のモータ262に機械的に連結された第2のローテータ272を駆動し、第2のローテータ272を回転させる。第1のローテータ270及び第2のローテータ272は、
図1のローテータ170を用いて実現することができる。第1のローテータ270を回転させると、第1の回転子コイルパッド212が第1の軸214を中心に回転され、第2のローテータ272を回転させると、第2の回転子コイルパッド232が第2の軸234を中心に回転される。更に、放射素子104及び第1の回転子基部222を含む特定の構成要素は、第1の回転子コイルパッド212に連結する(例えば、取り付ける)ことができる。加えて、放射素子104及び第2の回転子基部240を含む構成要素は、第2の回転子コイルパッド232に連結する(例えば、取り付ける)ことができる。したがって、第1の回転子コイルパッド212の回転は、放射素子104による対応する回転を引き起こして、放射素子104の指向方向を変えることができる。加えて、第2の回転子コイルパッド232の回転はまた、放射素子104の対応する回転を引き起こして、放射素子104の指向方向を変えることができる。
【0050】
いくつかの実施例では、第1の軸214及び第2の軸234は、互いに対して垂直である。したがって、いくつかの実施例では、第1の回転子コイルパッド212の回転は、放射素子104の方位角を変化させることができ、第2の回転子コイルパッド232の回転は、放射素子104の仰角を変化させることができる。他の実施例では、第1の軸214及び第2の軸234は、第1の回転子コイルパッド212及び/又は第2の回転子コイルパッド232の回転が、放射素子104のスキューを追加的に又は代替的に変更することができるように、互いに対して斜めの角度で配置される。
【0051】
更に、第1の留め具274は、第1の回転子コイルパッド212に連結することができ、第1の回転子コイルパッド212の回転を、回転の第1の軸214(例えば、単一の回転軸)と交差する平面に制限する。加えて、第2の留め具276は、第2の回転子コイルパッド232に連結することができ、第2の回転子コイルパッド232の回転を、回転の第2の軸234(例えば、単一の回転軸)と交差する平面に制限する。言い換えると、第1の留め具274は、第1の回転子コイルパッド212を第1の単一の回転軸に制限し、第2の留め具276は、第2の回転子コイルパッド232を第2の単一の回転軸に制限する。第1の留め具274及び第2の留め具276は、
図1の留め具172を用いて実現することができる。
【0052】
第1の回転子コイルパッド212及び第1の固定子コイルパッド210は、離間した部分であり、相互インダクタンスによって無線通信する。加えて、第2の回転子コイルパッド232及び第2の固定子コイルパッド230は、離間した部分であり、相互インダクタンスによって無線通信する。このようにして、放射素子104の回転を可能にするための機械的ジョイント又は機械的接点の必要性がなくなる。代わりに、第1の回転子コイルパッド212と第1の固定子コイルパッド210との間の低摩擦インターフェース、並びに第2の固定子コイルパッド230と第2の回転子コイルパッド232との間の低摩擦インターフェースは、それぞれの第1の回転子コイルパッド212及び第2の回転子コイルパッド232の回転を可能にし、ジョイントでの物理的摩耗を被ることなく、放射素子104を回転させ、それによって回転可能なアンテナシステム200の使用可能寿命を延長する。加えて、第1の回転子コイルパッド212と第1の固定子コイルパッド210との間のインターフェース及び第2の固定子コイルパッド230と第2の回転子コイルパッド232との間のインターフェースは、各々無線であるため、第1の回転子コイルパッド212及び第2の回転子コイルパッド232は、ワイヤラッピングなしで連続的に回転することができる。
【0053】
図3は、衛星通信システム300の図を示す。衛星通信システム300は、第1の衛星304、第1のゲートウェイ306、第1のゲートウェイアンテナシステム308、及び航空機320を含む。第1のゲートウェイ306は、少なくとも第1のネットワーク322と通信する。動作時に、衛星通信システム300は、少なくとも第1の衛星304及び第1のゲートウェイ306を通して、航空機320と第1のネットワーク322との間の一方向又は双方向の通信を提供することができる。
【0054】
いくつかの実施例では、衛星通信システム300は、第2の衛星330、第2のゲートウェイ332、及び第2のゲートウェイアンテナシステム334を含む。第2のゲートウェイ332は、少なくとも第2のネットワーク336と通信することができる。動作時に、衛星通信システム300は、少なくとも第2の衛星330及び第2のゲートウェイ332を通して、航空機320と第2のネットワーク336との間の一方向又は双方向の通信を提供することができる。
【0055】
第1の衛星304及び第2の衛星330は、任意の好適なタイプの通信衛星であることができる。いくつかの実施例では、第1の衛星304及び/又は第2の衛星330は、静止軌道にあることができる。他の実施例では、第1の衛星304及び/又は第2の衛星330は、適切な軌道(例えば、低地球軌道(low earth orbit、LEO)、中地球軌道(medium earth orbit、MEO)など)にあることができる。第1の衛星304及び/又は第2の衛星330は、事前定義された地理的サービスエリア内の複数のサービスビームカバレッジエリアに対してサービスを提供するように構成されたマルチビーム衛星であることができる。いくつかの実施例では、第1の衛星304及び第2の衛星330は、重複していないカバレッジエリア、部分的に重複するカバレッジエリア、又は完全に重複するカバレッジエリアにサービスを提供することができる。いくつかの実施例では、衛星通信システム300は、追加の衛星を含むことができる。
【0056】
第1のゲートウェイアンテナシステム308は、衛星地上ステーションに実装することができ、第1の衛星304と第1のゲートウェイアンテナシステム308との間の一方向又は双方向対応の通信を可能にすることができる。より具体的には、第1のゲートウェイアンテナシステム308は、第1の衛星304と確実に通信するために十分な送信電力及び受信感度を有するように設計することができる。第1の衛星304は、1つ以上のビーム309を通して信号を送受信することによって、第1のゲートウェイアンテナシステム308と通信することができる。第1のゲートウェイ306は、第1のゲートウェイアンテナシステム308を使用して、第1の衛星通信304との間で信号を送受信する。第1のゲートウェイ306は、第1のネットワーク322に接続されている。第1のネットワーク322は、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(metropolitan area network、MAN)、ワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)、及び/又は任意の他の好適なパブリック若しくはプライベートネットワークを含むことができ、第1のネットワーク322は、インターネット、電話ネットワーク(例えば、公衆交換電話ネットワーク(Public Switched Telephone Network、PSTN))等、などの他の通信ネットワークに接続することができる。
【0057】
衛星通信システム300の例は、固有の又は共有された関連するシステム構成要素のいずれかと共に、第2の衛星330を含むことができる。例えば、第2のゲートウェイアンテナシステム334はまた、一方向又は双方向対応であることができ、第2の衛星330と確実に通信するために十分な送信電力及び受信感度を有するよう設計することができる。第2の衛星330は、1つ以上のビーム335を通して信号を送受信することによって、第2のゲートウェイアンテナシステム334と通信することができる。第2のゲートウェイ332は、第2のゲートウェイアンテナシステム334を使用して、第2の衛星330との間で信号を送受信する。第2のゲートウェイ332は、第2のネットワーク336に接続されている。第2のネットワーク336は、LAN、MAN、WAN、及び/又は任意の他の好適なパブリック又はプライベートネットワークを含むことができ、インターネット、電話ネットワーク(例えば、PSTN)等、などの他の通信ネットワークに接続することができる。
【0058】
様々な実施例では、第1のネットワーク322及び第2のネットワーク336は、同じ又は異なるネットワークであることができる。加えて、第1のゲートウェイ306及び第2のゲートウェイ332は、異なるゲートウェイ、又は同じゲートウェイであることができる。様々な実施例において、第1のゲートウェイアンテナシステム308及び第2のゲートウェイアンテナシステム334は、異なるゲートウェイアンテナシステム、又は同じゲートウェイアンテナシステムであることができる。
【0059】
航空機320は、航空機320に搭載された回転可能なモバイルアンテナシステム340を含む通信システムを用いることができる。回転可能なモバイルアンテナシステム340は、例えば、
図1の回転可能なアンテナシステム100又は
図2の回転可能なアンテナシステム200用いて実現することができる。回転可能なモバイルアンテナシステム340は、第1の衛星304及び第2の衛星330と通信するための放射素子342を含むことができる。回転可能なモバイルアンテナシステム340は、航空機320の機体の外側に搭載することができる。回転可能なモバイルアンテナシステム340は、動作中に放射素子342の指向方向の変化を可能にするために、少なくとも1つの回転可能な無線相互接続344を含むことができる。いくつかの実施例では、放射素子342の方位角、仰角及び/又はスキューの変化を可能にするために、複数の回転可能な無線相互接続344を含むことができる。
【0060】
放射素子342は、国際電気通信連合(International Telecommunications Union、ITU)Ku、K、又はKaバンド、例えば、約17~31ギガヘルツ(Giga-Hertz、GHz)で動作することができる。あるいは、放射素子342は、Cバンド、Xバンド、Sバンド、Lバンドなどのような他の周波数帯域で動作することができる。様々な実施例において、放射素子342は、複数の周波数帯域、又は単一の周波数帯域で動作するように構成することができる。
【0061】
動作時に、航空機320は、第1の衛星304のカバレッジエリア内、及び/又は第2の衛星330のカバレッジエリア内にある位置を有することができ、回転可能なモバイルアンテナシステム340は、放射素子342が第1の衛星304又は第2の衛星330に選択的に向くように制御することができる。加えて、本明細書で説明するように、少なくとも1つの回転可能な無線相互接続344の使用は、ジョイント又は機械的接点での機械的摩耗を被ることなく、放射素子342の指向方向を変更することを可能にする。換言すれば、少なくとも1つの回転可能な無線相互接続344は、反復使用後に故障しやすい機械的ジョイント又は接点(例えば、回転ジョイント)を用いずに、放射素子342の回転を可能にする。
【0062】
例えば、第1の動作モードでは、航空機320が第1の衛星304のカバレッジエリア内に位置している間、航空機320は、回転可能なモバイルアンテナシステム340の放射素子342を使用して、1つ以上の第1のビーム350を介して第1の衛星304と通信することができる。第2の動作モードでは、航空機320が第2の衛星330のカバレッジエリア内に位置している間、航空機320は、回転可能なモバイルアンテナシステム340の放射素子342を使用して、1つ以上の第2のビーム352を介して第2の衛星330と通信することができる。第2のモードは、例えば、航空機320が第2の衛星330のカバレッジエリアに入る、及び/又は第1の衛星304のカバレッジエリアを離れることに応答して、放射素子342の指向方向が第2の衛星330に向くよう変更されるように、選択することができる。第1の衛星304及び第2の衛星330の両方の重複カバレッジエリア内に航空機が位置している実施例では、第2のモードを、ネットワーク可用性、通信能力、通信コスト、信号強度、信号品質、等などの他の要因に基づいて選択することができる。
【0063】
航空機320の通信システムは、
図1のデータエンコーダ/デコーダモジュール142などのエンコーダ/デコーダを介して、航空機320内の通信デバイスのために通信サービスを提供することができる。通信デバイスは、例えば、ラップトップ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、等などのポータブル通信デバイスであり得る。通信デバイスは、回転可能なモバイルアンテナシステム340を利用して、第1のネットワーク322及び/又は第2のネットワーク336に接続してアクセスすることができる。例えば、通信デバイスは、有線又は無線であり得るルータへのネットワーク接続を介して、第1のネットワーク322及び/又は第2のネットワーク336と通信することができる。無線接続は、例えば、IEEE802.21(Wi-Fi)、又は他の無線通信技術などの無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)技術であることができる。
【0064】
図4Aは、回転可能な無線相互接続402を含む回転可能なアンテナシステム400の分解図を示す。
図4Bは、回転可能なアンテナシステム400の部分的に組み立てられた分解図を示す。
図4Cは、組み立てられた形態の回転可能なアンテナシステム400を示す。回転可能な無線相互接続402は、固定子コイルパッド404及び回転子コイルパッド406を含むことができる。回転可能な無線相互接続402は、
図1の回転可能な無線相互接続402を用いて実現することができる。
【0065】
回転子コイルパッド406は、固定子コイルパッド404に重なることができ、回転子コイルパッド406は、固定子コイルパッド404から離間することができる。回転子コイルパッド406は、
図1の回転子コイルパッド112を用いて実現することができ、固定子コイルパッド404は、
図1の固定子コイルパッド110を用いて実現することができる。固定子コイルパッド404は、アンテナ基部408に取り付けることができ、回転子コイルパッド406は、回転子基部410に取り付けることができる。アンテナ基部408は、
図1のアンテナ基部120と同様の様態で実現することができる。加えて、回転子基部410は、
図1の回転子基部122を用いて実現することができる。
【0066】
アンテナ基部408は、電源(図示せず)に接続された電源ポート(図では隠れている)を含むことができる。アンテナ基部408はまた、ネットワークノードからデータを受信するデータポート412を含むことができる。アンテナ基部408は、
図1の固定子電子回路124を用いて実現することができる固定子電子回路420を含むことができる。加えて、回転子基部410は、
図1の回転子電子回路126を用いて実現することができる回転子電子回路423を含むことができる。
【0067】
固定子電子回路420及び回転子電子回路423は、電力チャネル、データチャネル、及びコマンドチャネルなどの複数の無線チャネルを介して、固定子コイルパッド404と回転子コイルパッド406との間に双方向通信を確立することができる。具体的には、固定子電子回路420は、固定子コイルパッド404と回転子コイルパッド406との間のデータチャネルを介して通信するために、ネットワークノードと通信されるデータを符号化(例えば、変調)及び/又は復号化(例えば、復調)することができるデータエンコーダ/デコーダ422を含むことができる。加えて、いくつかの実施例では、回転子コイルパッド406の位置を制御するためのコマンドは、データポート412を通して提供することができる。そのような状況では、複数の無線チャネルのコマンドチャネルを通してコマンドを提供することができる。他の実施例では、コマンドは、
図1の制御ポート150などの制御ポート(図示せず)を通して提供することができる。
【0068】
アンテナ基部408は、電源ポート(図では隠れている)を含むことができる。固定子電子回路420は、固定子コイルパッド404と回転子コイルパッド406との間の複数の無線チャネルのうちの電力チャネルを通して電力信号を供給するための電力制御モジュール(例えば、
図1の電力制御モジュール136)を含むことができる。
【0069】
放射素子440は、回転子基部410に取り付けることができる。放射素子440は、
図1の放射素子104を用いて実現することができる。図示の実施例では、放射素子440は、凹形状の反射器442の焦点に取り付けられたフィードホーンとして実現されている。本実施例では、RF信号が反射器442の指向方向で放射素子440と通信されるので、反射器442の指向方向は、放射素子440の指向方向を規定する。
【0070】
回転子基部410は、放射素子及び回転子コイルパッド406に接続することができる回転子電子回路444(例えば、
図1の回転子電子回路126)を含むことができる。したがって、回転子電子回路444を用いて、固定子電子回路420と放射素子440との間の通信を容易にすることができる。
【0071】
加えて、モータ450は、回転子電子回路423に接続することができる。回転子電子回路423は、電力チャネルを通して受信した電力信号をモータ450に選択的に提供することができる。モータ450は、作動すると、ローテータ(図では隠れている)を駆動することができ、回転子コイルパッド406を軸460を中心に回転させる。機械的留め具(図では隠れている)は、回転子コイルパッド406の回転を、軸460と直角に交差する平面に制限することができる。
【0072】
回転子コイルパッド406は、矢印462によって示されるように、時計回り又は反時計回り方向に軸460を中心に連続的に回転することができる。回転子コイルパッド406の回転は、放射素子440に指向方向を変えさせることができる。図示の実施例では、回転子コイルパッド406の回転は、放射素子440の方位角の変化を引き起こす。しかしながら、他の実施例では、回転子コイルパッド406の回転は、放射素子440に仰角及び/又はスキューを変化させることができる。
【0073】
回転可能な無線相互接続402は、機械的ジョイント及び/又は機械的接点(例えば、ブラシ)に摩耗を誘発することなく、放射素子440の回転を可能にする。更に、固定子コイルパッド404及び回転子コイルパッド406は無線で通信するため、回転子コイルパッド406をケーブルラッピングなしに連続的に回転させることができる。
【0074】
図5Aは、回転可能な無線相互接続502を含む回転可能なアンテナシステム500の分解図を示す。
図5Bは、組み立てられた形態の回転可能なアンテナシステム500を示す。回転可能な無線相互接続502は、固定子コイルパッド504及び回転子コイルパッド506を含むことができる。回転可能な無線相互接続502は、
図1の回転可能な無線相互接続502を用いて実現することができる。
【0075】
回転子コイルパッド506は、固定子コイルパッド504に重なることができ、回転子コイルパッド506は、固定子コイルパッド504から離間することができる。回転子コイルパッド506は、
図1の回転子コイルパッド112を用いて実現することができ、固定子コイルパッド504は、
図1の固定子コイルパッド110を用いて実現することができる。固定子コイルパッド504は、アンテナ基部508に取り付けることができ、回転子コイルパッド506は、回転子基部510に取り付けることができる。アンテナ基部508は、
図1のアンテナパッケージ120を用いて実現することができる。加えて、回転子基部510は、
図1の回転子基部122を用いて実現することができる。
【0076】
アンテナ基部508は、電源(図示せず)に接続された電源ポート(図では隠れている)を含むことができる。アンテナ基部508はまた、ネットワークノードからデータを受信するデータポート512を含むことができる。アンテナ基部508は、
図1の固定子電子回路124を用いて実現することができる固定子電子回路520を含むことができる。加えて、回転子基部510は、
図1の回転子電子回路126を用いて実現することができる回転子電子回路522を含むことができる。
【0077】
固定子電子回路520及び回転子電子回路522は、電力チャネル、データチャネル、及びコマンドチャネルなどの複数の無線チャネルを介して、固定子コイルパッド504と回転子コイルパッド506との間に双方向通信を確立することができる。具体的には、固定子電子回路520は、固定子コイルパッド504と回転子コイルパッド506との間のデータチャネルを介して通信するためにネットワークノードと通信されるデータを符号化(例えば、変調)及び/又は復号化(例えば、復調)することができるデータエンコーダ/デコーダを含むことができる。加えて、いくつかの実施例では、回転子コイルパッド506の位置を制御するためのコマンドは、データポート512を通して提供することができる。そのような状況では、複数の無線チャネルのコマンドチャネルを通してコマンドを提供することができる。他の実施例では、コマンドは、
図1の制御ポート150などの制御ポート(図示せず)を通して提供することができる。
【0078】
アンテナ基部508は、電源ポート526(図では隠れている)を含むことができる。固定子電子回路520は、固定子コイルパッド504と回転子コイルパッド506との間の複数の無線チャネルのうちの電力チャネルを通して電力信号を供給するための電力制御モジュール(例えば、
図1の電力制御モジュール136)を含むことができる。
【0079】
第1の放射素子540及び第2の放射素子542は、回転子基部510に取り付けることができる。第1の放射素子540及び第2の放射素子542は、
図1の放射素子104を用いて実現することができる。図示の実施例では、第1の放射素子540及び第2の放射素子542の各々は、導波路アレイとして実現されている。本実施例では、第1の放射素子540及び第2の放射素子542は、異なる方向を指している。そのような状況では、第1の放射素子540及び第2の放射素子542は、
図3の第1の衛星304及び第2の衛星330などの異なる衛星と通信するように配向することができる。加えて、図示した実施例では、第1の放射素子540及び第2の放射素子542は、180度離れた方位角を有する。
【0080】
回転子基部510は、放射素子及び回転子コイルパッド506に接続することができる回転子電子回路544(例えば、回転子電子回路126)を含むことができる。したがって、回転子電子回路544を用いて、固定子電子回路520と第1の放射素子540との間の通信を容易にすることができる。
【0081】
加えて、モータ550は、回転子電子回路522に接続することができる。回転子電子回路522は、電力チャネルを通して受信した電力信号をモータ550に選択的に提供することができる。モータ550は、作動すると、ローテータ(図では隠れている)を駆動することができ、回転子コイルパッド506を軸560を中心に回転させる。機械的留め具(図では隠れている)は、回転子コイルパッド506の回転を、軸560と直角に交差する平面に制限することができる。
【0082】
回転子コイルパッド506は、矢印562によって示されるように、時計回り又は反時計回り方向に連続的に軸560を中心に回転することができる。回転子コイルパッド506の回転は、第1の放射素子540及び第2の放射素子542に指向方向を変えさせることができる。図示の実施例では、回転子コイルパッド506の回転は、第1の放射素子540及び第2の放射素子542の方位角の変化を引き起こす。しかしながら、他の実施例では、回転子コイルパッド406の回転は、第1の放射素子540及び第2の放射素子542に仰角及び/又はスキューを変化させることができる。
【0083】
回転可能な無線相互接続502は、機械的ジョイント及び/又は機械的接点(例えば、ブラシ)に摩耗を誘発することなく、第1の放射素子540及び第2の放射素子542の回転を可能にする。更に、固定子コイルパッド504及び回転子コイルパッド506は無線で通信するため、回転子コイルパッド506をケーブルラッピングなしに連続的に回転させることができる。
【0084】
上で説明してきたものは、実施例である。当然ながら、構成要素又は方法論のあらゆる考えられる組み合わせを説明することはできないが、当業者は、多くの更なる組み合わせ及び変形が可能であることを認識するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む、本出願の範囲内に入る全てのそのような代替例、修正例、及び変形例を包含することを意図している。本明細書で使用するとき、「含む(includes)」という用語は、含むがそれらに限定されないことを意味し、「含んでいる(including)」という用語は、含んでいるがそれらに限定されないことを意味する。「~に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。加えて、本開示又は特許請求の範囲が、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「第1の(a first)」、又は「別の(another)」の要素又はその等価物を列挙する場合、「第1の」又は「別の」要素(又はその等価物)は、1つ又は1つを超えるそのような要素を含み、2つ以上のそのような要素を必要とすることも、除外することもないと解釈されるべきである。