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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】核酸配列の多重等温増幅のための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6844 20180101AFI20241227BHJP
   C12Q 1/6853 20180101ALI20241227BHJP
   C12Q 1/6855 20180101ALI20241227BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20241227BHJP
【FI】
C12Q1/6844 Z ZNA
C12Q1/6853 Z
C12Q1/6855 Z
C12N15/09 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022507905
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 GB2020051890
(87)【国際公開番号】W WO2021028665
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】1911421.4
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520099955
【氏名又は名称】ディーエヌエイイー ダイアグノスティックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オスト、トビー
【審査官】鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-000044(JP,A)
【文献】国際公開第2014/071322(WO,A1)
【文献】特表2017-512071(JP,A)
【文献】特開2011-050380(JP,A)
【文献】Nucl. Acids Res.,2000年,Vol. 28, No. 12,e63 (p. i-vii)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00-3/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、複数の核酸配列の表面結合コンカテマー増幅のための方法:
a)長さが少なくとも50ヌクレオチドの異なる一本鎖核酸分子(ss1)の集団を採取すること、
ただし、前記一本鎖は異なる配列を有し、前記一本鎖のそれぞれは3’末端に共通のヘアピン領域(LP1)及び5’末端に共通のヘアピン領域(LP2)を有し、各ヘアピンは15~30塩基対の長さのハイブリダイゼーションステムアームを有し、前記ステムアームは45~55℃の範囲のTmを有する;ならびに
b)鎖置換ポリメラーゼ、ヌクレオチドモノマー及び増幅プライマーを含有する反応混合物を使用して異なる一本鎖核酸分子(ss1)の集団を増幅すること、ただし、前記増幅プライマーの少なくとも1つ(P1’)は、固体支持体に結合していて、LP1のループ(L)の少なくとも一部に相補的であり、前記増幅プライマーの1つ(P2)はLP2のループ(LP2’)のコピーの少なくとも一部と同じ配列を含有する
【請求項2】
以下を含む、請求項1に記載の方法:
i)プライマーP1’をLP1のループにアニールすること;
ii)LP1のステムアームの3’末端を伸長し、少なくとも50ヌクレオチド長の一本鎖核酸分子の完全なコピー(ss1’)及びLP2の配列の完全なコピー(LP2’)を作製すること、ここで、P1’は鎖置換し、それによってLP2とLP2’を分離するまで伸長する;
iii)LP2’の末端のステムアーム自己プライミングし、伸長し、ss1’、LP1、ss1及びLP2のすべての完全なコピーを作製し、それにより固定化された鎖から解放すること;
iv)増幅プライマーP2ループLP2’にハイブリダイズし、ss1’、LP1、ss1及びLP2のすべてを置換するように伸長して、固定化された二量体の半分をコピーし、コピーされた鎖に相補的な鎖の3’末端を置換すること;
v)前記コピーされた鎖と相補的な鎖の置換された3’末端がヘアピンLP1を再形成することを可能にすること;ヘアピンLP1が自己プライミングし、一本鎖ループを介して前記固体支持体に結合している第2のプライマーP1’とハイブリダイズすることを可能にすること;及び
vi)ハイブリダイズしたループLP1の遊離3’末端と、ループLP1と第2のプライマーP1’との間に新たに形成された二重鎖の遊離3’末端からの伸長を可能にし、2つの表面固定化ヘアピン二重鎖を生成すること
【請求項3】
表面結合プライマーP1がループLP1の3’ステムの配列をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
表面結合プライマーP1が、5’から3’方向に、ループLP1の3’ステムの配列と、LP1のループ(L)に相補的な配列とを含む、請求項3に記載の方法
【請求項5】
流体試薬が、工程iii)の後に変更される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
解放された末端LP2’が、コンカテマーss1’、LP1及びss1をコピーするために繰り返し自己プライミングすることができる、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
核酸増幅産物の存在、非存在又は配列が決定される、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
以下を備える、複数の核酸配列を増幅するためのキット:
a.第1のヘアピンアダプターであって、15~30塩基対の長さのハイブリダイゼーションステムアームを有し、前記ステムアームが45~55℃の範囲のTm及び前記ステムアーム間の一本鎖ループ(L)を有し、前記ループが15~30ヌクレオチドの長さであり、相補的プライマーにアニールされたときに55~65℃の範囲のTmを有する第1のヘアピンアダプター;
b.第2のヘアピンアダプターであって、15~30塩基対の長さのハイブリダイゼーションステムアームを有し、前記ステムアームが45~55℃の範囲のTm及び前記ステムアーム間の一本鎖ループ(L)を有し、前記ループが15~30ヌクレオチドの長さであり、相補的プライマーにアニールされたときに55~65℃の範囲のTmを有する第2のヘアピンアダプター;
c.増幅プライマーが固定化された固体支持体であって、前記プライマーが前記第1のヘアピンアダプターのループLの少なくとも一部に相補的である、固体支持体;
d.第1のヘアピンアダプターの一本鎖ループ及び第2のヘアピンアダプターの一本鎖ループの5’末端における共通のヘアピン領域のループのコピーの少なくとも一部と同じ配列を含有するプライマー;ならびに
e.核酸ポリメラーゼ及びヌクレオシド三リン酸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
核酸の等温増幅のための方法が開示される。溶液中又は固体支持体上のいずれかで実施することができるループ媒介増幅の形態を可能にする構築物、方法及びキットが開示される。
【背景技術】
【0002】
ループ媒介等温増幅(LAMP)は、2000年にNotomiらによって最初に報告された技術であり(Nucleic Acids Res.2000;28(12):E 63)、核酸の等温増幅のための迅速かつ効率的な方法である。この技術は、鎖置換DNAポリメラーゼ(典型的には、Bstポリメラーゼ)と、標的鋳型DNAの6つの異なる領域に設計された4つの特異的オリゴヌクレオチドプライマーのセットとを使用し、典型的には、少ない鋳型投入量を短い反応時間(例えば、65℃で60分)内に約10コピーまで忠実に増幅することができる。
【0003】
LAMPは、その感度、特異性、及び結果までの迅速な時間のために、様々な感染症及び疾患の多数の診断アッセイの基礎として使用されてきた。等温法であることは、高度な熱サイクリング装置を必要とせずに現場で使用できることを意味し、ポイントオブケア用途に理想的に適している。
【0004】
次世代核酸配列決定のための方法は、多数の配列を並行して増幅することを含み得る。増幅は、異なる配列の鎖が物理的単離で増幅されるように、固体支持体又はビーズの集団で行われることが多く、いわゆるクローン増幅である。
【0005】
LAMPは、クローン増幅法として魅力的となる以下のいくつかの特徴を有する。
高速増幅;投入鋳型の複数のコピーを可能な限り迅速に生成することが最も重要である。親鋳型分子あたりの絶対コピー数もまた、検出シグナルを最大化するための鍵である。
等温方法;これにより、コンポーネントのワークフロー及びカートリッジ機能が簡素化される。アッセイを実行するために高度な熱サイクリングハードウェアを必要としない。
高忠実度;増幅が、配列決定されたときに出発鋳型の同一性を可能な限り反映する複数の特徴を生成することを確実にする。
低複雑度反応;増幅をサポートするために必要な反応成分はほとんどなく、ロバストで再現可能な性能が保証される。
商品の低コスト化;この方法は安価に実施することができる。
【0006】
しかしながら、従来のLAMPは、クローン増幅法として魅力的とならない以下のいくつかの欠点を有する。
【0007】
単一試験管反応で試料及び遺伝子座を多重化するのは困難で複雑である。各アンプリコンは4つのプライマーの固有のセットを必要とするため、LAMP反応は典型的にはシングルプレックス又はデュプレックスアッセイに限定される。単一反応のプレックスを増加させると、誤プライミング及びオフターゲット増幅のリスクが増加する。従来のLAMPを多重化する唯一の実用的な方法は、複数の異なるシングルプレックス反応を並行して実行することである。
【0008】
典型的には、LAMP増幅の進行又はLAMP反応の産物は、リアルタイム又はエンドポイント法(典型的には、濁度又は増幅による蛍光の増加)によって検出される。LAMP産物は、それらの低い多重化能力及び低コストのアッセイにおけるそれらの典型的な使用のためにDNA配列決定技術に適しているが、DNA配列決定と組み合わせたそれらの使用は、正しい増幅の確認に限定され、診断読み出しとしてDNA配列決定自体を使用しない。
【0009】
LAMP増幅の産物は、パテント鋳型鎖のいくつかの逆方向反復コンカテマー性コピーから形成された高分子量構造である。これらは、反応条件に応じて、直鎖又はより複雑な分岐したカリフラワー様構造であり得る。
【0010】
様々なLAMP増幅検出方法が存在するが、これらはリアルタイム又はエンドポイント溶液増幅産物の検出に依存する傾向がある。表面結合等温増幅を生成するためにLAMPを使用した報告はこれまでにない。
【0011】
本発明の発明者らは、溶液中及び固体支持体上の両方でループ媒介増幅を可能にする手段を考案した。
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは、改良された等温増幅法を開発した。本発明の方法は、溶液中及び表面上の両方で機能し、そのためクローン増幅方法として受け入られやすく、そのようにすることにより溶液-LAMP等温増幅で遭遇する有益な特徴の多くを保持し、否定的な特徴の多くを改善した。
【0013】
本発明の方法は、3’末端及び5’末端の両方にヘアピン領域を含有するように操作された一本鎖核酸分子に依存する。ヘアピンの3’末端はポリメラーゼ伸長を受けることができ、それにより、中央のヘアピンによって連結された「開いた」平滑末端である1つの末端を有する二本鎖材料を作製する。したがって、増幅される材料は、完全変性条件下で、5’及び3’末端の両方にもアダプターを有する中央のアダプターを介して互いに連結されたセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方を有する一本鎖分子であり、末端のアダプターは相補的である。
【0014】
二本鎖形態の場合、3’末端は平滑末端であるため、鋳型を有さない。一本鎖形態の場合、末端は自己相補的であり、したがって自己プライミングすることができる。増幅は、中央のループにハイブリダイズすることによって鎖の半分を伸長するプライマーを使用して行われる。それにより、第1のプライマー伸長は、半分の二本鎖及び半分の一本鎖を有する材料を与える。一本鎖3’末端は自己プライミングすることができ、それによって二本鎖産物を複製する分子を生成する。二本鎖コンカテマーは、やはり中央の既知の二本鎖アダプター領域を有する中央のヘアピンによって連結された「開いた」平滑末端である1つの末端を有する。
【0015】
プライマーの中央ループへのハイブリダイゼーション及びその伸長は、再び、鎖の半分が一本鎖であり、半分が二本鎖である分子を生成する。この場合も、一本鎖領域の3’末端は自己アニールし、伸長することができる。このようにして、一本鎖ループに相補的なプライマー及び解放された3’-末端の自己伸長を使用して、コンカテマー増幅を達成することができる。各「サイクル」について、置換された鎖が鎖全体のコピーを生成することができるので、分子はポリメラーゼによって生成される3’末端の長さを効果的に2倍にする。
【0016】
本明細書中に記載されるように、プライマーの1つを固体支持体上に固定化することによって、クローン増幅を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一般的なLAMPlate構造を示す図である。分子は、3’末端及び5’末端の両方にヘアピンが隣接する一本鎖中央部分を有する。3’末端は、図4に示す構築物に到達するように伸長させることができる。伸長は、増幅の初期段階であってもよく、又は別個の「前増幅」ステップとして実行されてもよい。
図2】LP1アダプター及びLP2アダプターを一本鎖鋳型分子に同時にライゲーションするだけで、どのようにLAMPlateを生成できるかを示す図である。
図3】5’ステム-ループ構造を有する遺伝子座特異的PCRプライマーを使用することによって、PCRによってLAMPlateをどのように生成することができるかを示す図である。
図4】内部3’末端からの分子内自己プライミング伸長後のLAMPlateを示す図である。伸長は、さらなるプライマーを必要とせずに、鎖置換を介してヘアピンを開いて配列の5’末端に達する。伸長は、増幅が図1の構築物を使用して開始されるように、増幅の初期段階であり得るか、又は別個の「増幅前」ステップとして実行され得、その場合、増幅される材料は図4に示されている。
図5】ハイブリダイズされた第1のプライマーから内部一本鎖ループ(プライマーLP1、LP1とのハイブリダイゼーション)への伸長を示す図である。伸長後、分子は半一本鎖及び半二本鎖である。置換された3’-末端は、自己プライミングすることができるヘアピンステムを有し(LP2’)、それによってコンカテマーを作製し、伸長したプライマーを置換する。置換された伸長されたプライマーも、自己プライミングすることができる自己相補的末端を有する(同じくLP2’)。したがって、第1のプライマーは、各々が平滑末端及び閉ループ末端(LP2’)を有する二本鎖鋳型の「単一」コピー及び二重コピーを生じる。両方の中央ループは、同じ配列の一本鎖領域である。
図6】ハイブリダイズされた第2のプライマーから新たに形成された内部一本鎖ループ(プライマーP2、LP2’へのハイブリダイゼーション)への伸長を示す図である。プライマー伸長後、分子は再び半一本鎖及び半二本鎖である。置換された3’-末端は、自己プライミングすることができるヘアピンステムを有し(再びLP2’)、それによってコンカテマーを作製し、伸長したプライマーを置換する。置換された伸長プライマーはまた、自己プライミングすることができる自己相補的末端を有する。したがって、第1のプライマーは、各々が平滑末端及び閉ループ末端(LP2’)を有する二本鎖鋳型の「単一」コピー及び二重コピーを生じる。両方の中央ループは、同じ配列(LP2’)の一本鎖領域であり、ループは、増幅の第1段階からのループと同じ配列を有する。P2プライマーは、繰り返しハイブリダイズして伸長することができ、それによって長さが増加する複数のコピーを作製する。
図7】増幅プライマーLP1のみが固定化された図4の同等物を示す図である。LAMPlateの自己プライミングされた3’末端及び固定化プライマーの3’末端の両方が伸長を受けることができる。伸長した材料は、二本鎖部分及び一本鎖部分の形態をとる(図7
図8】一本鎖部分は自己プライミング3’-末端を有し、これは伸長を受けることができ、それによって固体支持体から溶液中にそれ自体を除去することができる(図8)。
図9】変位した材料は「死んでおり」、支持体上に相補的プライマーは存在しない。しかしながら、置換は、固定化生成物の3’末端を解放し、それは自己プライミングし、伸長して固定化材料を中央ループから完全に二本鎖にすることができる(図9)。
図10】固定化ループにハイブリダイズされた溶液相プライマーを使用した置換を示す図である。ループにハイブリダイズされたプライマーは伸長することができ、それによって固定化分子の3’末端を置換する。変位した3’末端は、自己プライミングし、それによって伸長することができる。しかしながら、置換された3’末端はまた、固定化プライマーに相補的な遊離一本鎖ループを放出する。ループは、局所的なプライマーにハイブリダイズし、それによってそれ自体の局所的なコピーを伸長することができる(図10)。
図11】溶液中のシングルループ及びダブルループと同様に、表面上の各アンプリコンはここで、固定化核酸の長さの範囲内に局在化したシングルループ及びダブルループを有する(図11)。非固定化プライマーからの伸長産物は、溶液中で二本鎖分子を形成することができる。固定化プライマーLP1は、ループにハイブリダイズすることができ、それにより、固定化鋳型の到達範囲内に空間的に局在するさらなる増幅を可能にする。したがって、鎖を局所的に増幅することができる。
図12】溶液中のシングルループ及びダブルループと同様に、表面上の各アンプリコンはここで、固定化核酸の長さの範囲内に局在化したシングルループ及びダブルループを有する(図11)。非固定化プライマーからの伸長産物は、溶液中で二本鎖分子を形成することができる。固定化プライマーLP1は、ループにハイブリダイズすることができ、それにより、固定化鋳型の到達範囲内に空間的に局在するさらなる増幅を可能にする。したがって、鎖を局所的に増幅することができる。
図13】非変性アガロースゲル画像は、INS01 LAMPLateライゲーション産物を示し、アダプターのみ、モノアダプターINS01及び二重アダプターINS01からの分子量シフトの傾向が明らかに観察可能である。レーン1及び13は分子量ラダーである。レーン2はインサートのみである。レーン3~6は、2つの設計(v1及びv2)及び2つの濃度(アダプター当たり280pmolのL3、4又は660pmolのL5、6のいずれか)のアダプター対LP1及びLP2である。レーン7~10は、モノアダプターライゲーションである。レーン11~12は、v1及びv2アダプター設計のための完全ライゲーションである。
図14】非変性アガロースゲル画像は、ループPCRプライマーを使用した5つの個々の遺伝子座特異的PhiX-174 PCRアンプリコンを示し、きれいなバンドは、予想される分子量の産物の増幅を示す。レーン1及び7は分子量ラダーである。レーン2~6は、領域LAMP_PhiX_01~05に対するアンプリコンである。PCR_Fプライマー及びPCR_Rプライマーの5’ループは、インサート長にさらに103ntを付加し、したがって、予想されるアンプリコンインサート長を超える分子量の予想されるシフトを付加する。
図15】非変性アガロースゲル画像は、LAMP増幅DNAに典型的なバンドのパターンを示す。増加する分子量のバンドのラダーは、この方法を示すタンデムリピートコンカテマー増幅と一致する。レーン1及び6は分子量ラダーである。レーン2~3及び4~5は、それぞれ1E8及び1E10コピーの全長ウルトラマーLAMPlate LAMP_T01_v1の溶液LAMP増幅によって生成されたLAMPliconである。
図16】ライゲーションによって調製された単一LAMPlateの溶液LAMP増幅を示す図である。 非変性アガロースゲル画像は、様々な単一LAMPlicon構築物のLAMP増幅に典型的なバンドのパターンを示す。ゲルは増幅の特異性を明確に示す。完全な二重ライゲーションされたLAMPlateのみが増幅を支持する。V1アダプターの設計は、v2の設計よりも優れていると思われる。レーン1、15は分子量ラダーである。レーン2は、溶液LAMP増幅反応に供されたSHRK_INS01インサートのみである。レーン3、4のアダプター対(それぞれv1及びv2)を溶液LAMP増幅反応に供した。レーン5、6は、溶液LAMP増幅反応に供されたv1モノアダプターインサートである。レーン7、8は、溶液LAMP増幅反応に供されたv2モノアダプターインサートである。レーン9、10は、溶液LAMP増幅反応に供された完全二重アダプターLAMPlate(それぞれv1及びv2)である。レーン11、12は、溶液LAMP増幅反応に供された完全二重アダプターLAMPlate(それぞれv1及びv2)のためのリガーゼなし対照である。レーン13、14は、誤った溶液プライマー(それぞれv2及びv1プライマー)を使用して溶液LAMP増幅反応に供された完全二重アダプターLAMPlate(それぞれv1及びv2)である。
図17】ライゲーションによって調製された単一LAMPlateの溶液LAMP増幅を示す図である。 非変性アガロースゲル画像は、様々な構築物を用いたLAMP増幅DNAに典型的なバンドのパターンを示す。ゲルは増幅の特異性を明確に示す。完全な二重ライゲーションされたLAMPlateのみが増幅を支持する。レーン1、18、19及び30は分子量ラダーである。レーン2~8、20~21は、溶液LAMP増幅反応に供されたssDNAインサートのみである。レーン9~16は、溶液LAMP増幅反応に供した7プレックスライゲーション生成LAMPlateプール(投入された1E7、1E8及び1E9コピー)の段階希釈である。レーン22、23は、溶液LAMP増幅反応に供されたアダプターのみである。レーン24、25は、溶液LAMP増幅反応に供されたLP1モノアダプターインサート(それぞれインサートSBL_T01及びSBL-T02)である。レーン26、27は、溶液LAMP増幅反応に供されたLP2モノアダプターインサート(それぞれインサートSBL_T01及びSBL-T02)である。レーン28、29は、溶液LAMP増幅反応に供されたリガーゼなし対照である(それぞれインサートSBL_T01及びSBL-T02)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ヘアピンループ(LP1及びLP2と呼ばれる)を標的鋳型DNA断片の末端に付加することにより、本明細書で「LAMPlate」と呼ばれるLAMP増幅を支援することができるライブラリー分子が生成される。一般的なLAMPlate構造が図1に示されている。このヘアピンアダプターの対は、所与のプール内のすべてのLAMPlateライブラリー分子について同じであり得、したがってユニバーサルアダプターである。この特徴は、インサート配列にかかわらず、プール中のすべてのライブラリー分子を、これらのユニバーサルヘアピンアダプターに特異的な共通のプライマーセットで調べ、増幅することを可能にする。本発明のこの態様は、標準的な等温LAMP増幅では達成することが困難又は不可能なものである、シングルポット反応における高多重LAMPlate分子のin situ増幅への経路を提供する。
【0019】
ユニバーサルアダプターのDNA配列はプラットフォーム特異的であり、要件に合わせて容易に調整することができる。唯一の制約は、各アダプターのステム領域が相補的DNA二重鎖である必要があり、ループ領域がステムの2つのアームを接続し、ミスハイブリダイゼーションを防ぐためにステムとは異なる配列を有する必要があることである。ステムアームの長さ及びGC含有量は、分子内ヘアピンループの効率的な形成、したがって得られる増幅の効率にとって重要であり得る。ステムアームの長さは、15~30bpの間の長さであり、45~55℃の範囲のTmを有する可能性がある。
【0020】
ループの長さ及びGC含有量は、増幅プライマーの効率的なハイブリダイゼーションを達成するために重要であり得、したがって得られる増幅の効率及び特異性に重要であり得る。ループの長さは15~30bpの間の長さであり、55~65℃の範囲内のTm(その相補的増幅プライマーにアニールした場合)を有する可能性が高い。得られるLAMPlate増幅の特異性及び効率を促進するために、LP1及びLP2ヘアピンアダプターのDNA配列が互いに十分に異なることが必要である。アダプターの対は、標的インサートに約90~180ntの配列を付加することが予想される。
【0021】
ステム二重鎖は、増幅されたLAMPlateの増幅後処理に有用であり得る1つ又は複数の制限又はニッキングエンドヌクレアーゼモチーフをコードするように設計することができる。
【0022】
適合させることができるインサートの長さに制限はないと予想されるが、実際の目的では、サイズ50~200ヌクレオチドのインサートがLAMPlate増幅効率に最適である可能性が高く、1000ヌクレオチドを超えるインサートが必要とされる可能性は低い。
【0023】
LAMPlateは、単にLP1アダプター及びLP2アダプターを一本鎖鋳型分子に同時ライゲーションすることによって(図2)、又は5’ステムループ構造を有する遺伝子座特異的PCRプライマーを使用することによるPCRによって(図3)生成することができる。
【0024】
鋳型は、コンカテマーを形成する増幅に適している。増幅は、鎖置換ポリメラーゼを用いて行う。ヘアピンステムは自己相補的であり、ポリメラーゼによって置換されて一本鎖になると、解放された一本鎖3’-末端が自己アニールして伸長することができる。したがって、コピーされた分子をそれ自体の鋳型として使用して、増幅を効果的に行うことができる。
【0025】
少なくとも50ヌクレオチド長の一本鎖核酸分子(ss1)の集団が開示されており、一本鎖は異なる配列を有し、一本鎖の各々は3’末端に共通のヘアピン領域(LP1)及び5’末端に共通のヘアピン領域(LP2)を有し、各ヘアピンは15~30塩基対長のハイブリダイズするステムアームを有し、ステムアームは45~55℃の範囲のTmを有する。
【0026】
基になる一本鎖核酸は、ゲノムポリヌクレオチドであり得る。原料材料は、真核生物、原核生物、又は古細菌であり得る。1つ以上の原料材料が提供されてもよい。元になる核酸は、ゲノムの断片、例えば、単一の染色体又は単一のゲノム遺伝子座(例えば、対立遺伝子多型の迅速な配列決定のため)を表し得る。特定の例では、増幅は、試料内の病原性物質に特異的であり得る。例えば、増幅は、ヒト試料内に存在する細菌又はウイルス核酸を選択し得る。鋳型は、DNA、RNA、又はそれらのcDNAコピーであり得る。
【0027】
ウイルス核酸は、コロナウイルスに由来し得る。コロナウイルスは、哺乳動物及び鳥類において疾患を引き起こす関連RNAウイルスの群である。それらは、一般的な風邪、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、及びCOVID-19としても知られる重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)などの気道感染症を引き起こす。
【0028】
SARS-CoV-2は、COVID-19の世界的パンデミックの原因であるコロナウイルスの株であり、これは、プラスセンス一本鎖RNAウイルスである。各SARS-CoV-2ウイルスは直径50~200ナノメートルであり、スパイク(S)、エンベロープ(E)、膜(M)及びヌクレオカプシド(N)タンパク質として知られる4つの構造タンパク質を有する。Nタンパク質はRNAゲノムを保持し、S、E及びMタンパク質は一緒にウイルスエンベロープを形成する。
【0029】
したがって、一実施形態では、増幅は、SARS-CoV-2の各構造タンパク質をコードする1つ又は複数のウイルス核酸を選択し得る。
【0030】
一実施形態では、増幅は、1つ又は複数の核酸を選択することができ、その存在は宿主における活性なSARS-CoV-2感染を示す。一実施形態では、増幅は、1つ又は複数の核酸を選択することができ、その存在は宿主における以前のSARS-CoV-2感染を示す。これらの核酸は、SARS-CoV-2感染に対する免疫応答の一部として宿主によって産生される核酸であり得る。
【0031】
一実施形態では、各一本鎖核酸分子(ss1)は、ステムアーム間に一本鎖ループ(L)を有し、ループは15~30ヌクレオチド長であり、相補的プライマーにアニールした場合、55~65℃の範囲のTmを有する。
【0032】
一実施形態では、一本鎖核酸分子は50~200ヌクレオチド長である。一実施形態では、一本鎖核酸分子は100~200ヌクレオチド長である。
【0033】
一実施形態では、集団の一本鎖核酸分子は、全長が190~380であり、3’末端及び5’末端は、45℃未満の温度で15~30塩基対の二本鎖配列を有する。
【0034】
複数の核酸配列のコンカテマー増幅のための方法が開示され、方法は、本発明の前述の実施形態のいずれか1つによる核酸分子の集団と、鎖置換ポリメラーゼ、ヌクレオチドモノマー及び増幅プライマーを含有する反応混合物とを採取することを含み、増幅プライマー(P1’)の少なくとも1つはLP1のループ(L)の少なくとも一部に相補的であり、増幅プライマー(P2)の1つはLP2のループ(LP2’)のコピーの少なくとも一部と同じ配列を含む。
【0035】
複数の核酸配列のコンカテマー増幅のための方法が開示され、方法は、
a)長さが少なくとも50ヌクレオチドの異なる一本鎖核酸分子(ss1)の集団を採取することであって、一本鎖は異なる配列を有し、一本鎖の各々は3’末端に共通のヘアピン領域(LP1)及び5’末端に共通のヘアピン領域(LP2)を有し、各ヘアピンは15~30塩基対の長さのハイブリダイゼーションステムアームを有し、ステムアームが45~55℃の範囲のTmを有することと、
b)鎖置換ポリメラーゼ、ヌクレオチドモノマー及び増幅プライマーを含有する反応混合物を使用して異なる一本鎖核酸分子(ss1)の集団を増幅することであって、増幅プライマーの少なくとも1つ(P1’)はLP1のループ(L)の少なくとも一部に相補的であり、増幅プライマーの1つ(P2)はLP2のループのコピー(LP2’)の少なくとも一部と同じ配列を含むことと
を含む。
【0036】
本方法の一実施形態では、ステムアームの3’末端は、少なくとも50ヌクレオチド長の一本鎖核酸分子の完全なコピー(ss1’)及び配列LP2の完全なコピー(LP2’と呼ばれる)を作製するように伸長される。伸長は、増幅反応の最初の部分であり得る。あるいは、ステムアームの3’末端を伸長して、少なくとも50ヌクレオチド長の一本鎖核酸分子の完全なコピー(ss1’)及び配列LP2の完全なコピー(LP2’と呼ばれる)を作製し、その後、伸長した分子を増幅反応混合物中に配置することができる。
【0037】
本方法のさらなる実施形態では、P1’はLP1のループにハイブリダイズし、鎖置換し、それによってLP2とLP2’を分離するまで伸長する。鎖置換は、ss’及びLP2’の相補的コピーを生じる(すなわち、ssのレプリカ及びLP2のレプリカ)。
【0038】
本方法のさらなる実施形態では、LP2’の末端のステムアームは、自己プライミングして伸長し、ss1’、LP1、ss1及びLP2のすべての完全なコピーを作製することができる。
【0039】
本方法のさらなる実施形態では、増幅プライマーP2は、LP2’のループにハイブリダイズし、ss1’、LP1、ss1及びLP2のすべてを置換するように伸長する。
【0040】
本方法のさらなる実施形態では、解放された末端LP2’は、コンカテマーss1’、LP1及びss1をコピーするために繰り返し自己プライミングすることができる。
【0041】
本方法のさらなる実施形態では、増幅プライマーP1を固体支持体に結合させる。
【0042】
本方法のさらなる実施形態では、増幅プライマーP2は溶液中にある。
【0043】
増幅方法は、図7図12に示されるスキームに従って、表面結合増幅産物、特にクローン表面結合増幅産物を生成するために使用され得ることが想定される。
【0044】
その配列がLAMPlateのLP1ループに相補的である、LP1RCと呼ばれるDNAオリゴプライマーを固体支持体(例えば、スライド、チップ又はビーズの表面)に固定化する。この官能化された表面を、指定された温度で指定された時間、適切なハイブリダイゼーション緩衝液中の希釈濃度のLAMPlate(例えば、1~1000pM)を含む溶液の存在下でインキュベートすることができる。これにより、LAMPlateを、一本鎖LAMPlate LP1ループ領域との配列相補性を介して固定化プライマーにアニールすることができる。この方法を「LAMPlate播種」と呼ぶことができる。
【0045】
播種したら、過剰なLAMPlateを洗い流して、表面プライマーハイブリダイズ分子のみをその場で残すことができる。鎖置換DNAポリメラーゼ(例えば、Bst又はPhi29ポリメラーゼ)及びdNTPを適切な反応緩衝液中に添加することにより、LAMPlateの遊離3’末端から、及び同時にLAMPlateループLP1にハイブリダイズした表面プライマーの遊離3’末端からの伸長が可能になる。この表面プライマー伸長は、伸長されたLAMPlate二重鎖の置換を引き起こし、したがって、部分的に一本鎖及び部分的に二本鎖であり、より短い鎖の5’末端を介して固定化された分子を形成する。
【0046】
したがって、LAMPlateの伸長した3’末端は一本鎖であり、自己プライミングすることができる。自己プライミングした末端は、完全なコピーを作製するために伸長することができ、その方法で、固定化された鎖から自身を置換する。それによってバルク溶液に置き換えられる材料は、単一のループとは別に完全に自己相補的であり、そのループは表面にハイブリダイズするループとは異なる配列であり、したがってバルク溶液中の材料は増幅にそれ以上の役割を果たさない。
【0047】
この置換は、固定化されたコピーの3’末端における分子内LP2’ループの自発的な再形成を引き起こし、これは、自己プライミングすることができ、伸長して、表面に対して遠位のLP2’ヘアピンを有する表面結合二重鎖を生成する。したがって、固定化材料は、1つの内部ループLP2’を除いて、ほとんどが二本鎖である。
【0048】
必要に応じて、置換された材料を除去するために流体試薬をこの時点で変更することができ、それにより、増幅方法を汚染するか又は単に増幅試薬を消費する可能性がある、この材料のさらなる増幅を防止する。
【0049】
表面での増幅には、固定化一本鎖ループに相補的な非固定化プライマー(すなわち、LP2’にハイブリダイズするプライマー)が必要である。固定化二重鎖生成物のLP2’ループに相補的な、LP2と呼ばれる溶液オリゴプライマーは、LP2’ループにアニールし、伸長することができる。このLP2プライマー伸長は、固定化二重鎖の半分の忠実なコピーを形成し、同時にコピー鎖に相補的な鎖の3’末端を置換する。置換された3’末端は、一本鎖ループを介して固定化プライマーLP1RCのさらなるコピーに自己プライミング及びハイブリダイゼーションの両方を行うことができるLP1分子内ヘアピンを自発的に再形成する。したがって、2つの新しい伸長可能な3’末端が利用可能である。
【0050】
1つのコピーから隣接する表面プライマーへの1つの鎖の架橋によって、新たな伝播された相互作用を形成する方法は、「鋳型ウォーキング」と呼ばれる。ハイブリダイズされたLP1ループの遊離3’末端からの、及びウォークされた鋳型鎖のLP1ループと第2のLP1RC表面プライマーとの間の新たに形成された二重鎖の遊離3’末端からのその後の同時の二重伸長は、伸長、鎖置換及び自己プライミングされた相補的伸長を介した2つの表面固定化ヘアピン二重鎖の生成を可能にする。第1の二重鎖は、表面から遠位のLP1ループを有する初期LAMPlateの二重コンカテマーであり(すなわち、ss及びss’の4つの連続した二本鎖セット)、第2の二重鎖は、表面から遠位のヘアピンループLP1及び単一コンカテマーを有する二重鎖である(すなわち、ss及びss’の2回の反復)(図12に示す)。
【0051】
固定化された両方の二重鎖は、LP1RC表面プライマーに相補的な一本鎖ループを有する。したがって、表面プライマーは、固定化鎖の中心にハイブリダイズすることができる。伸長は、ループLP1を有する固定された3’末端を変位させる。LP1の再形成は、自己プライマー末端及びプライマーLP1RCのさらなるコピーに固定化され得るループを与える。これにより、2つの新しい伸長可能な3’末端が形成され、1つは自己プライミングされ、1つは固定化プライマー上にある。したがって、増幅は、支持体とのハイブリダイゼーションのサイクルを介して自立しており、変位及び自己プライミング伸長を引き起こす。
【0052】
プライマーハイブリダイゼーション、伸長、置換及び鋳型ウォーキングのこの連続的な方法は、増幅反応の期間中又は反応中の試薬が消費されるまでのいずれか最初に起こるまで継続する。これらの増幅及びテンプレートウォーキングサイクルの産物は、元の播種されたLAMPlateに空間的に近接した分子内コンカテマー反復二重鎖として、元の播種されたLAMPlateの複数の忠実な表面結合コピーの生成である。複数のそのような近接した忠実な二重鎖コピーは、クローン、又はクラスター又はコロニーと呼ぶことができ、したがって、播種されたLAMPlateの元の一本鎖部分は「クローン増幅された」と言うことができる。
【0053】
本発明の核酸増幅産物の存在、非存在又は配列を決定する方法も開示される。
【0054】
本明細書中に記載される核酸分子の集団にハイブリダイズされる固定化増幅プライマーを有する固体支持体を含む、複数の核酸配列の増幅のためのデバイスも開示される。
【0055】
複数の核酸配列を増幅するためのキットも開示され、キットは、
a.15~30塩基対の長さのハイブリダイゼーションステムアームを有し、ステムアームは45~55℃の範囲のTm及びステムアーム間の一本鎖ループ(L)を有し、ループは15~30ヌクレオチドの長さであり、相補的プライマーにアニールされたときに55~65℃の範囲のTmを有する第1のヘアピンアダプターと、
b.15~30塩基対の長さのハイブリダイゼーションステムアームを有し、ステムアームは45~55℃の範囲のTm及びステムアーム間の一本鎖ループ(L)を有し、ループは15~30ヌクレオチドの長さであり、相補的プライマーにアニールされたときに55~65℃の範囲のTmを有する第2のヘアピンアダプターと、
c.増幅プライマーが固定化された固体支持体であって、プライマーが第1のヘアピンアダプターのループLの少なくとも一部に相補的である、固体支持体と、
d.核酸ポリメラーゼ及びヌクレオシド三リン酸と
を備える。
【0056】
方法
ライゲーションによるLAMPlateの調製(A69_SBLAMP_E001)
材料
-LP1オリゴ(LAMP_LP1_v1)
-LP2オリゴ(LAMP_LP2_v1)
-鋳型オリゴ(INS01)
-T4 DNAリガーゼ2000U/uL(NEB,M0202T)
-Zymo Oligo Clean&Concentrate精製カラム
-EB緩衝液(10mM Tris.HCl pH8.0)
【0057】
【表1】
【0058】
方法
典型的には、ライゲーション反応は、等モル比(各アダプター280pmol)のLP1及びLP2アダプターオリゴを1×ライゲーション緩衝液中の鋳型オリゴINS01(130pmol)と混合することによって調製した。反応物をボルテックスによって短時間混合した。得られたオリゴを95℃で3分間熱変性させ、次いで、サーモサイクラーの徐冷ランプ(-0.1℃/秒で15℃まで)によってアニールした。2000U T4 DNAリガーゼ(1uLの2000U/uL T4リガーゼストック)の添加によってライゲーション反応を開始し、短時間ボルテックスして混合し、次いで15℃で30分間インキュベートした。リガーゼを75℃で5分間の加熱殺菌によって不活性化し、Zymo Oligo Clean&Concentrateスピンカラムを使用して精製した。最終溶出はEB緩衝液中で行った。試料を、可視化のためにゲルレッド染色で染色した3% TBEアガロースゲルに流した。
【0059】
図13の凡例
非変性アガロースゲル画像は、INS01 LAMPLateライゲーション産物を示し、アダプターのみ、モノアダプターINS01及び二重アダプターINS01からの分子量シフトの傾向が明らかに観察可能である。レーン1及び13は分子量ラダーである。レーン2はインサートのみである。レーン3~6は、2つの設計(v1及びv2)及び2つの濃度(アダプター当たり280pmolのL3、4又は660pmolのL5、6のいずれか)のアダプター対LP1及びLP2である。レーン7~10は、モノアダプターライゲーションである。レーン11~12は、v1及びv2アダプター設計のための完全ライゲーションである。
【0060】
ループPCR(A69_SBLAMP_E022)によるLAMPlateの調製
材料
-ループ状PCR_Fプライマー
-ループ状PCR_Rプライマー
-鋳型ゲノムDNA(バクテリオファージPhiX-174、NEB、N3022L)
-PCR緩衝液(5X緩衝液成分、Thermo F122S)
-Phire II HS DNAポリメラーゼ(ポリメラーゼ成分、Thermo F122S)
-10mM dNTPミックス
-Qiagen PCR精製カラム
-EB緩衝液(10mM Tris.HCl pH8.0)
【0061】
【表2】
【0062】
方法
個々のPCR増幅反応を、SBL_PHIX PCRプライマーの対を使用して各PhiXアンプリコンについて調製した。各50uL PCR反応物は、1X Phire PCR緩衝液中10ngのPhiX-174ゲノムDNA、各20pmolのPCR_F及びPCR_Rプライマー、10nmolのdNTPミックス、1uLのPhire II HS DNAポリメラーゼからなっていた。反応混合物を98℃で2分間変性させ、次いで、25回のその後の変性(95℃で30秒間)、アニーリング(60℃で20秒間)及び伸長(72℃で20秒間)のサイクルに供した。Qiagen PCRクリーンアップカラムを使用してアンプリコンを精製し、最終溶出液をEB緩衝液中に入れた。試料を、可視化のためにゲルレッド染色で染色した3% TBEアガロースゲルに流した。
【0063】
図14の凡例
非変性アガロースゲル画像は、ループPCRプライマーを使用した5つの個々の遺伝子座特異的PhiX-174 PCRアンプリコンを示し、きれいなバンドは、予想される分子量の産物の増幅を示す。レーン1及び7は分子量ラダーである。レーン2~6は、領域LAMP_PhiX_01~05に対するアンプリコンである。PCR_Fプライマー及びPCR_Rプライマーの5’ループは、インサート長にさらに103ntを付加し、したがって、予想されるアンプリコンインサート長を超える分子量の予想されるシフトを付加する。
【0064】
完全長ウルトラマーLAMPlateオリゴを用いた溶液LAMP増幅
材料
-LAMPlateウルトラマー鋳型オリゴ(LAMP_T01_v1)
-溶液LAMP増幅プライマー(LP1rc_v1及びLP2_v1)
-ウォームスタートLAMP増幅キット(NEB,E1700S)
-Zymo Oligo Clean&Concentrate精製カラム
-EB緩衝液(10mM Tris.HCl pH8.0)
【0065】
【表3】
【0066】
方法
例25uL溶液LAMP増幅反応は、12.5uLの 2X LAMPマスターミックス(緩衝液、Bst 2.0ウォームスタートDNAポリメラーゼ及びdNTPを含有)をウルトラマーLAMPlate LAMP_T01_v1(0.25~2.5 fmol)、LAMPプライマーLP1rc_INV_v1(230pmol)及びLP2_INV_v1(230pmol)及びMilliQ水で希釈することによって調製した。反応を、65℃に加温し、反応物を60分間インキュベートすることによって開始した。3uLの500mM EDTAの添加によって反応を停止させるか、又はQiagen PCRクリーンアップカラムによって直接精製した。試料を、可視化のためにゲルレッド染色で染色した3% TBEアガロースゲルに流した。
【0067】
図15の凡例
非変性アガロースゲル画像は、LAMP増幅DNAに典型的なバンドのパターンを示す。増加する分子量のバンドのラダーは、この方法を示すタンデムリピートコンカテマー増幅と一致する。レーン1及び6は分子量ラダーである。レーン2~3及び4~5は、それぞれ1E8及び1E10コピーの全長ウルトラマーLAMPlate LAMP_T01_v1の溶液LAMP増幅によって生成されたLAMPliconである。
【0068】
単一ライゲーション調製LAMPlateを用いた溶液LAMP増幅
材料
-精製ライゲーション調製LAMPlate(SHRK_INS01)
-LAMPアダプター(LP1_v1,LP2_v1,LP1_v2,LP2_v2)
-溶液LAMP増幅プライマー(LP1rc_v1,LP2_v1,LP1rc_v2,LP2_v2)
-ウォームスタートLAMP増幅キット(NEB,E1700S)
-Zymo Oligo Clean&Concentrate精製カラム
-EB緩衝液(10mM Tris.HCl pH8.0)
【0069】
【表4】
【0070】
方法
例25uL溶液LAMP増幅反応は、12.5uLの2X LAMPマスターミックス(緩衝液、Bst2.0ウォームスタートDNAポリメラーゼ及びdNTPを含有)を個々のライゲーション調製LAMPlate(例1に記載されているように、v1又はv2アダプター設計のいずれか及びインサートSHRK_INS 01を使用)、LAMPプライマーLP1rc_INV_v*(230pmol、*=v1又はv2)及びLP2_INV_v*(230pmol、*=v1又はv2)及びMilliQ水で希釈することによって調製した。図4に概説されているように、一連の条件を試験した。反応を、65℃に加温し、反応物を60分間インキュベートすることによって開始した。3uLの500mM EDTAの添加によって反応を停止させるか、又はQiagen PCRクリーンアップカラムによって直接精製した。試料を、可視化のためにゲルレッド染色で染色した3% TBEアガロースゲルに流した。
【0071】
図16の凡例:ライゲーションによって調製された単一LAMPlateの溶液LAMP増幅
非変性アガロースゲル画像は、様々な単一LAMPlicon構築物のLAMP増幅に典型的なバンドのパターンを示す。ゲルは増幅の特異性を明確に示す。完全な二重ライゲーションされたLAMPlateのみが増幅を支持する。V1アダプターの設計は、v2の設計よりも優れていると思われる。レーン1、15は分子量ラダーである。レーン2は、溶液LAMP増幅反応に供されたSHRK_INS01インサートのみである。レーン3、4のアダプター対(それぞれv1及びv2)を溶液LAMP増幅反応に供した。レーン5、6は、溶液LAMP増幅反応に供されたv1モノアダプターインサートである。レーン7、8は、溶液LAMP増幅反応に供されたv2モノアダプターインサートである。レーン9、10は、溶液LAMP増幅反応に供された完全二重アダプターLAMPlate(それぞれv1及びv2)である。レーン11、12は、溶液LAMP増幅反応に供された完全二重アダプターLAMPlate(それぞれv1及びv2)のためのリガーゼなし対照である。レーン13、14は、誤った溶液プライマー(それぞれv2及びv1プライマー)を使用して溶液LAMP増幅反応に供された完全二重アダプターLAMPlate(それぞれv1及びv2)である。
【0072】
複数ライゲーション調製LAMPlateのプールを用いた溶液LAMP増幅
材料
-LAMPlateインサート(SBL_T01-7)
-LAMPアダプター(LP1_v1及びLP2_v1)
-溶液LAMP増幅プライマー(LP1rc_v1及びLP2_v1)
-ウォームスタートLAMP増幅キット(NEB,E1700S)
-Qiagen PCR精製カラム
-EB緩衝液(10mM Tris.HCl pH8.0)
【0073】
【表5】
【0074】
方法
例25uL溶液LAMP増幅反応は、12.5uLの2X LAMPマスターミックス(緩衝液、Bst2.0ウォームスタートDNAポリメラーゼ及びdNTPを含有)をライゲーション調製LAMPlateプール(例1で説明したように、LP1_v1アダプター及びLP2_v1アダプター、ならびに7つすべてのインサートSBL_T01-7のプールを使用)、LAMPプライマーLP1rc_INV_v1(230pmol)及びLP2_INV_v1(230pmol)及びMilliQ水で希釈することによって調製した。図4に概説されているように、一連の条件を試験した。反応を、65℃に加温し、反応物を60分間インキュベートすることによって開始した。3uLの500mM EDTAの添加によって反応を停止させるか、又はQiagen PCRクリーンアップカラムによって直接精製した。試料を、可視化のためにゲルレッド染色で染色した3% TBEアガロースゲルに流した。
【0075】
図17の凡例:ライゲーションによって調製された単一LAMPlateの溶液LAMP増幅
非変性アガロースゲル画像は、様々な構築物を用いたLAMP増幅DNAに典型的なバンドのパターンを示す。ゲルは増幅の特異性を明確に示す。完全な二重ライゲーションされたLAMPlateのみが増幅を支持する。レーン1、18、19及び30は分子量ラダーである。レーン2~8、20~21は、溶液LAMP増幅反応に供されたssDNAインサートのみである。レーン9~16は、溶液LAMP増幅反応に供した7プレックスライゲーション生成LAMPlateプール(投入された1E7、1E8及び1E9コピー)の段階希釈である。レーン22、23は、溶液LAMP増幅反応に供されたアダプターのみである。レーン24、25は、溶液LAMP増幅反応に供されたLP1モノアダプターインサート(それぞれインサートSBL_T01及びSBL-T02)である。レーン26、27は、溶液LAMP増幅反応に供されたLP2モノアダプターインサート(それぞれインサートSBL_T01及びSBL-T02)である。レーン28、29は、溶液LAMP増幅反応に供されたリガーゼなし対照である(それぞれインサートSBL_T01及びSBL-T02)。
【配列表フリーテキスト】
【0076】
配列表1、3 <223>位置1のTは位置5にPO4を有する
配列表5 <223>位置1のGは位置5にPO4を有する
配列表6、8、10、12、14 <223>位置1、2、3及び4のG、A、C及びTはホスホロチオアート結合によって連結される
配列表17 <223>位置34、35、36及び37のC、G、A及びGはホスホロチオアート結合によって連結される
配列表18 <223>位置30、31、32及び33のC、C、A及びCはホスホロチオアート結合によって連結される
配列表19 <223>位置29、30、31及び32のT、C、T及びGはホスホロチオアート結合によって連結される
配列表20 <223>位置29、30、31及び32のG、T、G及びGはホスホロチオアート結合によって連結される
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【配列表】
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