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特許7611899超音波プローブ針追跡ステータスインジケータのためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】超音波プローブ針追跡ステータスインジケータのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20241227BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022514505
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 US2020049518
(87)【国際公開番号】W WO2021046429
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】62/895,852
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィ、タイラー エル.
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン、ケリー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バーンサイド、エディ ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】タナー、ブライアン スティーブン
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501143(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0267121(US,A1)
【文献】特開2014-221175(JP,A)
【文献】国際公開第2019/096599(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内への針の挿入をガイドするためのガイドシステムであって、
体内部分の標的を超音波で撮像するためのプローブを含む超音波撮像装置と、
前記針に関連付けられる磁場を感知する、前記プローブに含まれる少なくとも1つのセンサーと、
3次元空間において前記針の位置を決定するために、前記少なくとも1つのセンサーによって感知された磁場データを受信するプロセッサーと、
前記針の前記決定された位置を、前記体内部分の標的の画像と一緒に表現するディスプレイと、を備え、
前記超音波撮像装置は、前記決定された位置に基づいて、感覚フィードバックによってステータスの少なくとも1つの指示を提供するように構成され、
前記感覚フィードバックは、前記プローブに位置する複数の発光ダイオードによって発生される可視光によって届けられ、前記複数の発光ダイオードは、前記プローブを動かすための提案された方向を示して追跡精度を高めるために、第1の一連の光パターンを発光するように構成され、
前記複数の発光ダイオードは、
前記プローブの第1の側に配置された第1の方向インジケータであって、第1の方向を指し示す第1の矢印と前記第1の方向とは反対の第2の方向を指し示す第2の矢印とを含む前記第1の方向インジケータの照明と、
前記プローブの前記第1の側の反対側の第2の側に配置された第2の方向インジケータであって、前記第1の方向を指し示す第3の矢印と前記第2の方向を指し示す第4の矢印とを含む前記第2の方向インジケータの照明と、
を提供するように構成され
前記複数の発光ダイオードの第1のサブセットは、第1の軸に従った前記プローブの移動を提案するために前記第1の矢印及び前記第3の矢印を照明するように構成され、
前記複数の発光ダイオードの第2のサブセットは、前記第1の軸に垂直な第2の軸の周りでの前記プローブの移動を提案するために前記第1の矢印及び前記第4の矢印を照明するように構成される、ガイドシステム。
【請求項2】
前記複数の発光ダイオードは、前記ガイドシステムの構成要素の較正に関連付けられる少なくとも1つのステータスを示すために、第2の一連の光パターンを発光するように構成される、請求項1に記載のガイドシステム。
【請求項3】
前記第2の一連の光パターンは、前記提案された方向を示すために複数の色を用いることを含む、請求項2に記載のガイドシステム。
【請求項4】
前記複数の色のうちの少なくとも2色間の変化は、前記提案された方向に関連付けられる、請求項3に記載のガイドシステム。
【請求項5】
前記複数の発光ダイオードのうちの少なくとも2つは、前記プローブの反対側に位置決めされ、前記第2の一連の光パターンのうちの前記複数の色のうちの少なくとも2色間の変化は、前記提案された方向に関連付けられる、請求項3に記載のガイドシステム。
【請求項6】
前記感覚フィードバックは、前記ディスプレイ上での可視的インジケータによって届けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載のガイドシステム。
【請求項7】
前記ディスプレイは、前記ガイドシステムの構成要素の較正に関連付けられる少なくとも1つのステータスを示すために、第1の色パターンを発光するように構成される、請求項6に記載のガイドシステム。
【請求項8】
前記ディスプレイは、前記ガイドシステム内の少なくとも1つのエラーを示すために、第2の色パターンを発光するように構成される、請求項6に記載のガイドシステム。
【請求項9】
前記ディスプレイは、前記ガイドシステム内の準備完了状態を示すために、第3の色パターンを発光するように構成される、請求項6に記載のガイドシステム。
【請求項10】
前記感覚フィードバックは、前記ガイドシステムに接続されたウェアラブルデバイスによって生成された可視画像によって届けられる、請求項1~9のいずれか1項に記載のガイドシステム。
【請求項11】
前記感覚フィードバックは、前記プローブ内で生成される触覚フィードバックによって届けられる、請求項1~10のいずれか1項に記載のガイドシステム。
【請求項12】
前記感覚フィードバックは、前記ガイドシステム内のスピーカによって届けられる可聴信号によって届けられる、請求項1~11のいずれか1項に記載のガイドシステム。
【請求項13】
患者の体内へ挿入するための針を撮像技術を用いてガイドするためのガイドシステムの作動方法であって、
前記ガイドシステムは、プローブを含む撮像装置と、プロセッサーと、ディスプレイと、を備え、
(a)前記プローブを含む前記撮像装置が、前記体内の標的を撮像することと、
(b)前記プロセッサーが、前記プローブによって、前記針に関する検出可能な特徴を感知することと、
(c)前記プロセッサーが、前記検出可能な特徴及び感知した曲がりの程度に関するデータによって、少なくとも2次元空間内で前記針の決定された位置を決定することと、
(d)前記ディスプレイが、前記標的に対する前記針の前記決定された位置を、前記標的の画像と一緒に表示することと、
(e)前記プロセッサーが、前記針の前記決定された位置に基づいて、感覚フィードバックによって、ステータスの少なくとも1つの指示を提供することと、を含み、
前記感覚フィードバックは、前記プローブに位置する複数の発光ダイオードによって発生される可視光によって届けられ、前記複数の発光ダイオードは、前記プローブを動かすための提案された方向を示して追跡精度を高めるために、第1の一連の光パターンを発光するように構成され、
前記複数の発光ダイオードは、
前記プローブの第1の側に配置された第1の方向インジケータであって、第1の方向を指し示す第1の矢印と前記第1の方向とは反対の第2の方向を指し示す第2の矢印とを含む前記第1の方向インジケータの照明と、
前記プローブの前記第1の側の反対側の第2の側に配置された第2の方向インジケータであって、前記第1の方向を指し示す第3の矢印と前記第2の方向を指し示す第4の矢印とを含む前記第2の方向インジケータの照明と、
を提供するように構成され、
前記ガイドシステムの作動方法は、さらに、
(f)前記プロセッサーが、第1の軸に従った前記プローブの移動を提案するために前記第1の矢印及び前記第3の矢印を照明するように前記複数の発光ダイオードの第1のサブセットを作動させることと、
(g)前記プロセッサーが、前記第1の軸に垂直な第2の軸の周りでの前記プローブの移動を提案するために前記第1の矢印及び前記第4の矢印を照明するように前記複数の発光ダイオードの第2のサブセットを作動させることと、
を含む、ガイドシステムの作動方法。
【請求項14】
前記複数の発光ダイオードは、前記ガイドシステムの構成要素の較正に関連付けられる少なくとも1つのステータスを示すために、第2の一連の光パターンを発光するように構成される、請求項1に記載のガイドシステムの作動方法。
【請求項15】
前記第2の一連の光パターンは、前記提案された方向を示すために複数の色を用いることを含む、請求項1に記載のガイドシステムの作動方法。
【請求項16】
前記複数の色のうちの少なくとも2色間の変化は、前記提案された方向に関連付けられる、請求項1に記載のガイドシステムの作動方法。
【請求項17】
前記複数の発光ダイオードのうちの少なくとも2つは、前記プローブの反対側に位置決めされ、前記第2の一連の光パターンの前記複数の色のうちの少なくとも2色間での変化は、前記提案された方向に関連付けられる、請求項1に記載のガイドシステムの作動方法。
【請求項18】
前記感覚フィードバックは、ディスプレイ上での可視的インジケータによって届けられる、請求項1~1のいずれか1項に記載のガイドシステムの作動方法。
【請求項19】
表示することは、さらに、少なくとも1つの構成要素の較正に関連付けられる少なくとも1つのステータスを示すために、第1の色パターンを発光することである、請求項1に記載のガイドシステムの作動方法。
【請求項20】
表示することは、さらに、少なくとも1つのエラーを示すために、第2の色パターンを発光することである、請求項1に記載のガイドシステムの作動方法。
【請求項21】
表示することは、さらに、準備完了状態を示すために、第3の色パターンを発光することである、請求項1に記載のガイドシステムの作動方法。
【請求項22】
前記感覚フィードバックは、ウェアラブルデバイスによって生成された可視画像によって届けられる、請求項1~2のいずれか1項に記載のガイドシステムの作動方法。
【請求項23】
前記感覚フィードバックは、前記プローブ内で生成された触覚フィードバックによって届けられる、請求項1~2のいずれか1項に記載のガイドシステムの作動方法。
【請求項24】
前記感覚フィードバックを提供することは、さらに、スピーカによって可聴信号を届けることを含む、請求項1~2のいずれか1項に記載のガイドシステムの作動方法。
【請求項25】
前記第1の方向インジケータは、さらに、前記第1の方向と直交する第3の方向を指し示す第5の矢印を含み、
前記第2の方向インジケータは、さらに、前記第3の方向とは反対の第4の方向を指し示す第6の矢印を含み、
前記ガイドシステムの作動方法は、さらに、
(h)前記プロセッサーが、前記第1の軸及び前記第2の軸に垂直な第3の軸に従った前記プローブの移動を提案するために前記第5の矢印又は前記第6の矢印を照明するように前記複数の発光ダイオードの第3のサブセットを作動させること
を含む、請求項13に記載のガイドシステムの作動方法。
【請求項26】
患者の体内への針の挿入をガイドするためガイドシステムであって、
較正プロセスによって決定された較正ゾーン内で体内部分の標的を超音波で撮像するためのプローブを含む超音波撮像装置と、
前記針に関連付けられる磁場を感知する、前記プローブに含まれる少なくとも1つのセンサーと、
前記較正ゾーン内で3次元空間において前記針の位置を決定するために、前記少なくとも1つのセンサーによって感知された磁場データを受信するプロセッサーと、
前記針の前記決定された位置を、前記体内部分の標的の画像と一緒に表現するディスプレイと、を備え、
前記超音波撮像装置は、前記プローブ上に配置された複数の発光ダイオードから、感覚フィードバックによってステータスの少なくとも1つの指示を提供するように構成され、
前記感覚フィードバックは、
前記較正ゾーンの境界の近くで前記プローブが動かされていることの可視通知を生成することと、
前記プローブが前記較正ゾーンの外側で動かされているときに前記プローブに低レベルの振動を生じさせることと、を含み、
前記複数の発光ダイオードは、
前記プローブの第1の側に配置された第1の方向インジケータであって、第1の方向を指し示す第1の矢印と前記第1の方向とは反対の第2の方向を指し示す第2の矢印とを含む前記第1の方向インジケータの照明と、
前記プローブの前記第1の側の反対側の第2の側に配置された第2の方向インジケータであって、前記第1の方向を指し示す第3の矢印と前記第2の方向を指し示す第4の矢印とを含む前記第2の方向インジケータの照明と、
を提供するように構成され
前記第1の方向インジケータは、さらに、前記第1の方向と直交する第3の方向を指し示す第5の矢印を含み、
前記第2の方向インジケータは、さらに、前記第3の方向とは反対の第4の方向を指し示す第6の矢印を含む、ガイドシステム。
【請求項27】
前記複数の発光ダイオードの第1のサブセットは、第1の軸に従った前記プローブの移動を提案するために前記第1の矢印及び前記第3の矢印を照明するように構成され、
前記複数の発光ダイオードの第2のサブセットは、前記第1の軸に垂直な第2の軸の周りでの前記プローブの移動を提案するために前記第1の矢印及び前記第4の矢印を照明するように構成される、請求項26に記載のガイドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
超音波プローブ針追跡ステータスインジケータのためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器追跡及びガイドが、以下の特許文献1~12の米国特許の中で、様々な器具、例えばカテーテル、スタイレット、及び針に関して説明されており、これら文献のそれぞれの全体が参照により本明細書に援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9649048号明細書
【文献】米国特許第9636031号明細書
【文献】米国特許第9554716号明細書
【文献】米国特許第9521961号明細書
【文献】米国特許第9492097号明細書
【文献】米国特許第9456766号明細書
【文献】米国特許第8849382号明細書
【文献】米国特許第8781555号明細書
【文献】米国特許第8388541号明細書
【文献】米国特許第10751509号明細書
【文献】米国特許第10449330号明細書
【文献】米国特許第10524691号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ガイドシステムとそれによりガイドされる医療機器との間のヒューマンインタフェースを含む、医療機器のためのガイドの改善が継続的に必要とされている。
本明細書では、医療機器のためのガイドを改善するための上述の必要性に取り組む、ガイドシステム、医療機器、及び方法が開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡潔に要約すると、本明細書で説明する実施形態は、一連の統合ステータス指示システム及び方法によって、患者の脈管構造内にカテーテルを正確に留置するための、統合カテーテル留置システム及び方法に関する。統合システムは、例えば、カテーテル留置の精度を高めるために、少なくとも3つのモダリティ、すなわち1)患者の脈管構造内へカテーテルを導入するための超音波支援ガイド、2)チップ位置特定システム(「TLS:tip location system」)、つまりカテーテルチップが脈管構造を通って進む間に、そのように進む最中のいずれの不適切なチップ位置も検出して修正を容易にするための、カテーテルチップの磁気ベースの(例えば、1つ又は複数の永久磁石又は1つ又は複数の電磁石による)追跡、及び3)追跡に基づいて動きの較正及び/又は提案された方向に関する情報を提供することによって、臨床医が針の追跡及びガイドを改善することができるようにするステータスインジケータ、を用い得る。
【0006】
一実施形態では、患者の体内への針の挿入をガイドするためのガイドシステムは、体内部分の標的を超音波で撮像するためのプローブを含む超音波撮像装置を含む。プローブに含まれる少なくとも1つのセンサーが、針に関連付けられる磁場を感知し、センサーによって感知された磁場データを受信するプロセッサーが、3次元空間において針の位置を決定する。ディスプレイがさらに、針の決定された位置を、標的の画像と一緒に表現し、超音波撮像装置はまた、決定された位置に基づいて、感覚フィードバックによって、ステータスの少なくとも1つの指示を提供するように構成されている。
【0007】
他の実施形態では、感覚フィードバックは可視光によって届けられる。これは、プローブ又はモニター上に位置する複数の発光ダイオードによって発生された可視光を含み得る。発光ダイオードは、ガイドシステムの構成要素の較正に関連付けられる少なくとも1つのステータスを示すために第1の一連の光パターンを、及び/又はプローブを動かすための提案された方向を示して追跡精度を高めるために第2の一連の光パターンを、発光するように構成され得る。
【0008】
追加的な実施形態では、光パターンは、針及び/又はプローブを動かすために提案された方向を含む、システムのステータスを示すために、色を用いることを含み得る。具体的には、いくつかの実施形態では、少なくとも2色間の変化は、動きの提案された方向に関連付けられる。
【0009】
さらに、実施形態は、少なくとも2つの発光ダイオードがプローブの反対側に位置決めされ、第2の一連の光パターンの複数の色のうちの少なくとも2色間の変化は、提案された方向に関連付けられることを含み得る。これらの発光ダイオードは、二方向及び三方向の矢印を含む様々な形状にされ得る。これにより、灯の色又は強さの変化によって、様々なレベルのステータス指示を生じ得る。
【0010】
多くの実施形態では、感覚フィードバックは、ディスプレイ上での可視的インジケータによって届けられる。これは、ディスプレイによって成し遂げられ得ることが多い。具体的には、ディスプレイは、ガイドシステムの構成要素の較正に関連付けられる少なくとも1つのステータスを示すために第1の色パターンを、ガイドシステム内の少なくとも1つのエラーを示すために第2の色パターンを、及び/又はガイドシステム内の準備完了若しくは故障状態を示すために第3の色パターンを、発光するように構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、ウェアラブルデバイスによって感覚フィードバックを提供することができ得る。ウェアラブルデバイスは、スマート眼鏡システムによって、視覚的な感覚フィードバック(例えば、可視画像)を届け得る。他のウェアラブル機器は、ガイドシステムと通信するスマートウオッチ又は他の好適な身体的に接触する装置内にある振動センサーなどの触覚フィードバックを提供し得る。さらなる実施形態では、感覚フィードバックは、プローブ内で発生される触覚的な振動によって提供され得る。
【0012】
一実施形態では、感覚フィードバックは、臨床医によって聞こえるように生成される可聴信号によって提供される。可聴音は、ディスプレイ及び/又はプローブ内で、複数のステータスを示すために複数の音で生成され得る。
【0013】
別の実施形態では、患者の体内への針の挿入をガイドするためのガイドシステムは、較正プロセスによって決定された較正ゾーン内で、体内部分の標的を超音波で撮像するためのプローブを含む超音波撮像装置を含む。プローブに含まれる少なくとも1つのセンサーが、針に関連付けられる磁場を感知し、センサーによって感知された磁場データを受信するプロセッサーが、較正ゾーン内の3次元空間において針の位置を決定する。ディスプレイが、さらに、針の決定された位置を、標的の画像と一緒に表現し、超音波撮像装置はまた、プローブ上に配置された複数の発光ダイオードからの感覚フィードバックによってステータスの少なくとも1つの指示を提供するように構成されている。感覚フィードバックは、較正ゾーンの境界の近くでプローブが動かされていることの可視通知を生成することを含む。
【0014】
一実施形態では、方法は、撮像技術を用いて患者の体内へ挿入するために針をガイドするためのものである。方法は、(a)体内の標的を撮像すること、(b)プローブによって、針に関する検出可能な特徴を感知すること、(c)感知した検出可能な特徴及び感知した曲がりの程度に関するデータによって、少なくとも2次元空間内で針の位置を決定すること、(d)標的に対する針の位置を、標的の画像と一緒に表示すること、及び(e)決定された位置に基づいて、感覚フィードバックによってステータスの少なくとも1つの指示を提供することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、感覚フィードバックは可視光によって届けられる。
いくつかの実施形態では、可視光は、プローブ上に位置する複数の発光ダイオードによって発生される。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数の発光ダイオードは、ガイドシステムの構成要素の較正に関連付けられる少なくとも1つのステータスを示すために、第1の一連の光パターンを発光するように構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数の発光ダイオードは、プローブを動かすための提案された方向を示して追跡精度を高めるために、第2の一連の光パターンを発光するように構成されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、第2の一連の光パターンは、提案された方向を示すために複数の色を用いることを含む。
いくつかの実施形態では、複数の色のうちの少なくとも2色間の変化は、提案された方向に関連付けられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、複数の発光ダイオードのうちの少なくとも2つの発光ダイオードは、プローブの反対側に位置決めされる。また、第2の一連の光パターンの複数の色のうちの少なくとも2色間の変化は、提案された方向に関連付けられる。
【0020】
いくつかの実施形態では、感覚フィードバックは、ディスプレイ上での可視的インジケータによって届けられる。
いくつかの実施形態では、表示することは、さらに、少なくとも1つの構成要素の較正ステータスに関連付けられる少なくとも1つのステータスを示すために、第1の色パターンを発光することである。
【0021】
いくつかの実施形態では、表示することは、さらに、少なくとも1つのエラーを示すために、第2の色パターンを発光することである。
いくつかの実施形態では、表示することは、さらに、準備完了状態を示すために、第3の色パターンを発光することである。
【0022】
いくつかの実施形態では、感覚フィードバックは、ウェアラブルデバイスによって生成される可視画像によって届けられる。
いくつかの実施形態では、感覚フィードバックは、プローブ内で生成される触覚フィードバックによって届けられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、感覚フィードバックを提供することは、さらに、スピーカによって可聴信号を届けることを含む。
本発明の実施形態のこれら及び他の特徴は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより十分に明らかになるか、又は下記で説明するような本発明の実施形態の実施によって学ばれ得る。
【0024】
本開示のより詳細な説明は、添付の図面に示されるその特定の実施形態を参照することによって提供される。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態を示すだけであるため、その範囲を限定するとはみなされないことが認識される。本発明の例示的な実施形態は、添付図面を使用してさらに明細及び詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の1つの例示的な実施形態による、針及び他の医療用構成部品用の超音波ベースのガイドシステムの様々な要素を示すブロック図である。
図2図1のガイドシステムが実施され得る1つの考えられる環境を示す、患者及び患者の体内に挿入されているカテーテルの概略図である。
図3図1のガイドシステムの超音波プローブの上面図である。
図4A】一実施形態による、図1のガイドシステムと一緒に使用するための針の側面図である。
図4B図4Aの針の端面図である。
図5A】針を患者の体内の血管の方へガイドするために使用されているガイドシステムの超音波プローブの概略図である。
図5B】針を患者の体内の血管の方へガイドするために使用されているガイドシステムの超音波プローブの別の概略図である。
図6A】一実施形態による、針の位置及び向きを示す、ガイドシステムのディスプレイ上に表現するための考えられるスクリーンショットを示す。
図6B】一実施形態による、針の位置及び向きを示す、ガイドシステムのディスプレイに表現するための別の考えられるスクリーンショットを示す。
図7A】一実施形態による、ガイドシステムのプローブの上部に位置し、両端部に配置され、且つ二方向矢印の形状にされている、表示灯の考えられる形態を示す。
図7B】「オン」状態にある図7Aの発光ダイオードを示す。
図7C】一実施形態による、ガイドシステムのプローブの上部に位置し、両端部に配置され、且つ二方向矢印の形状にされている、発光ダイオードの別の考えられる形態を示す。
図7D】一実施形態による、ガイドシステムのプローブの上部に位置し、両端部に配置され、且つ三方向矢印の形状にされている、発光ダイオードの考えられる形態を示す。
図8A】一実施形態による、ガイドシステムのプローブの前側に位置し、両端部に配置され、且つ二方向矢印の形状にされている、発光ダイオードの考えられる形態を示す。
図8B】「オン」状態にある図8Aの発光ダイオードを示す。
図9A】一実施形態による、超音波ビューイング領域の周りの色付きのステータス表示境界及び関連のアイコンを示す、ガイドシステムのディスプレイに表現するための考えられるスクリーンショットを示す。
図9B】一実施形態による、超音波ビューイング領域の周りの色付きのステータス表示境界及び関連のアイコンを示す、ガイドシステムのディスプレイに表現するための別の考えられるスクリーンショットを示す。
図9C】一実施形態による、超音波ビューイング領域の周りの色付きのステータス表示境界及び関連のアイコンを示す、ガイドシステムのディスプレイに表現するためのさらに別の考えられるスクリーンショットを示す。
図9D】一実施形態による、超音波ビューイング領域の周りの色付きのステータス表示境界及び関連のアイコンを示す、ガイドシステムのディスプレイに表現するためのさらに別の考えられるスクリーンショットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
いくつかの特定の実施形態を詳細に開示する前に、本明細書で開示する特定の実施形態は、本明細書でもたらされる概念の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。本明細書で開示する特定の実施形態は複数の特徴を有し得、これら特徴は、特定の実施形態から容易に分離され、任意選択的に、本明細書で開示するいくつかの他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせられ得るか又は置き換えられ得ることも理解すべきである。
【0027】
ここで図面を参照すると、同様の構造は同様の参照符号を備える。図面は、本発明の例示的な実施形態の線図及び概略図であり、限定でも、必ずしも縮尺通りでもないことが理解される。
【0028】
本明細書で使用される用語に関し、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書でもたらされる概念の範囲を限定しないことも理解すべきである。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、全体的に、特徴又はステップの群における異なる特徴又はステップを区別又は特定するために使用され、連続又は数値限定をもたらすものではない。例えば、「第1」、「第2」、及び「第3」の特徴又はステップは、必ずしも、その順序で出現する必要はなく、そのような特徴又はステップを含む特定の実施形態は、必ずしも、3つの特徴又はステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上(top)」、「底」、「前」、「後(back)」などのラベルは、便宜上使用され、例えば、任意の特定の固定したロケーション、向き、又は方向を暗示するものではない。その代わりに、そのようなラベルは、例えば、相対的なロケーション、向き、又は方向を反映するために使用される。「a」、「an」、及び「the」の単数形は、文脈上明白に他の意味に指示する場合を除いて、複数の参照物を含む。
【0029】
「基端」に関して、例えば、本明細書で開示するカテーテルの「基端部分」又は「基端部部分」は、カテーテルが患者で使用されているときに、臨床医の近くにあることを意図するカテーテルの一部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「基端長部分」は、カテーテルが患者で使用されているときに、臨床医の近くにあることを意図するカテーテルの長さ部分を含む。例えば、カテーテルの「基端部」は、カテーテルが患者で使用されているときに、臨床医の近くにあることを意図するカテーテルの端を含む。カテーテルの基端部分、基端部部分、又は基端長部分は、カテーテルの基端部を含み得る。しかし、カテーテルの基端部分、基端部部分、又は基端長部分は、カテーテルの基端部を含む必要はない。すなわち、文脈上他の意味が提案されている場合を除き、カテーテルの基端部分、基端部部分、又は基端長部分は、カテーテルの終端部分又は終端長部分ではない。
【0030】
「先端」に関して、例えば、本明細書で開示するカテーテルの「先端部分」又は「先端部部分」は、カテーテルが患者で使用されているときに、患者の近くに又はその体内にあることを意図するカテーテルの一部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「先端長部分」は、カテーテルが患者で使用されているときに、患者の近くに又はその体内にあることを意図するカテーテルの長さ部分を含む。例えば、カテーテルの「先端部」は、カテーテルが患者で使用されているときに、患者の近くに又はその体内にあることを意図するカテーテルの端を含む。カテーテルの先端部分、先端部部分、又は先端長部分は、カテーテルの先端部を含み得る。しかし、カテーテルの先端部分、先端部部分、又は先端長部分は、カテーテルの先端部を含む必要はない。すなわち、文脈上他の意味が提案されている場合を除き、カテーテルの先端部分、先端部部分、又は先端長部分は、カテーテルの終端部分又は終端長部分ではない。
【0031】
別段の定義がなければ、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有している。
上記に記載されているように、ガイドシステムとそれによりガイドされる医療機器との間のヒューマンインタフェースを含む、医療機器のためのガイドの改善が継続的に必要とされている。本明細書では、医療機器のためのガイドを改善するための上述の必要性に取り組む、ガイドシステム、医療機器、及び方法が開示される。
【0032】
本明細書で説明する本発明の実施形態は、一般的に、例えば針によって患者の皮下の血管にアクセスするための超音波ベースの処置又は他の好適な処置を行っている間に、針又は他の医療用構成部品の位置を突き止めてガイドするように構成されたガイドシステム用のステータスインジケータに関する。多くの実施形態では、ステータスインジケータは、ガイドシステムのユーザが、リアルタイムで針を位置決めし、方向付け、及び進めることが容易にできるようにするので、臨床医は、より良好に、意図した標的へ針を正確にガイドすることが可能になる。いくつかの実施形態では、ガイドシステムは、動きの自由度5、すなわちx、y、及びzの空間的な座標空間、針のピッチ、及び針のヨーで針の位置を追跡できる。いくつかのステータスインジケータは、これらの動きの自由度内で針の位置をどのようにより良好な向きにするかについて、ガイドシステムのユーザに通知するように構成され得る。そのような追跡及びフィードバックシステムは、そのようなステータスインジケータのないガイドシステムよりも、比較的高い精度で針をガイドし且つ留置できるようにし得る。
【0033】
最初に、本発明の一実施形態に従って構成された、全体的に10で示す超音波ベースの針ガイドシステム(「システム」)の様々な構成要素を示す図1及び図2を参照する。図示の通り、ガイドシステム10は、一般的に、コンソール20と、ディスプレイ30と、ハンドヘルド超音波プローブ40とを含む、超音波(「US」)撮像部分を含み、それらそれぞれについて下記で詳細に説明する。超音波撮像部分は、本明細書で図示及び説明されるものに加えて、様々な方法のうちの1つで構成され得ることに留意されたい。
【0034】
コンソール20は、様々な形態のうちの1つを取り得ることが認識され得る。不揮発性メモリ、例えばEEPROMなどを含むプロセッサー22が、ガイドシステム10の動作中にシステム機能を制御し、これにより制御プロセッサーの機能を果たすために、コンソール20に含まれる。デジタルコントローラ/アナログインターフェース24も、コンソール20に含まれ得、プロセッサー22及び他のシステムコンポーネントと通信して、超音波プローブ40と、他のシステムコンポーネントとの間のインターフェースを管理する。
【0035】
ガイドシステム10は、さらに、プリンター、記憶媒体、キーボードなどを含む任意選択的な構成要素54と接続するための複数のポート52を含み得る。一実施形態では、ポートはUSBポートであるが、他のポートタイプ又はポートタイプの組み合わせが、本明細書で説明するこの及び他のインターフェース接続に使用され得る。いくつかの実施形態では、ポート52は、ネットワークでの無線接続によって作動され得る。電力接続56がコンソール20に含まれ、外部電力供給装置58との動作可能な接続を可能にする。外部電力供給装置と一緒に又はそれを抜きにしてのいずれかで、内部電力供給装置60(例えば、バッテリー)も用いられることができる。電力管理回路59がコンソールのデジタルコントローラ/アナログインターフェース24に含まれて、電力利用及び配電を調整する。
【0036】
本実施形態のディスプレイ30は、コンソール20に組み込まれ、処置中に臨床医に情報を表示するために使用される、単一のディスプレイである。別の実施形態では、ディスプレイは、コンソールから分離され得る。ディスプレイ30によって表現される内容は、例えば、システムが、限定されるものではないが、US、TLS、又は他の実施形態では、ECGのチップ確認など、どのモードにあるかに従って変更され得ることが分かる。いくつかの実施形態では、コンソールボタンインターフェース32、及び超音波プローブ40に含まれるボタンが、臨床医によって、処置を支援するためにディスプレイ30に望ましいモードをすぐに呼び出すために、使用され得る。追加的な実施形態では、TLS及びECGなどの複数のモードからの情報は、同時に表示されてもよい。そのため、コンソール20のディスプレイ30は、患者の脈管構造へのアクセスにおける超音波ガイド、脈管構造を通してカテーテルを進める間のTLSガイド、及び(後述の実施形態におけるような)患者の心臓の結節について、カテーテル先端チップの留置のECGベースの確認を行うために用いられ得る。さらなる実施形態では、超音波プローブ40は、臨床医によって、留置処置を支援するためにディスプレイ30に望ましいモードをすぐに呼び出すために使用され得る、複数の制御ボタン84(図2参照)を含み得る。多くの実施形態では、ディスプレイ30はLCDパネルを用いる。
【0037】
超音波プローブ40は、脈管構造へのカテーテル72の挿入(図2参照)に備えて、上述のモダリティ、すなわち静脈などの血管の超音波(「US」)ベースの可視化と関連して用いられ得る。そのような可視化は、カテーテル72を患者70の脈管構造に導入するためのリアルタイムの超音波ガイドを与え、一般にそのような導入に関連付けられる合併症、例えば不注意による動脈穿刺、血腫、気胸などを減少させるのを支援し得る。
【0038】
図1は、超音波プローブ40が、さらにボタン及びプローブ動作を管理するための、ボタン及びメモリコントローラ42を含み得ることをさらに示す。ボタン及びメモリコントローラ42は、いくつかの実施形態では、EEPROMなどの不揮発性メモリを含み得る。ボタン及びメモリコントローラ42は、コンソール20のプローブインターフェース44と動作可能に通信し、プローブインターフェースは、プローブ圧電アレイとインターフェースを取るためのピエゾ入力/出力構成要素44A、並びにボタン及びメモリコントローラ42とインターフェースを取るためのボタン及びメモリ入力/出力構成要素44Bを含むことが多い。
【0039】
ガイドシステム10の超音波撮像部分はまた、標的にアクセスするための針又は他の装置の経皮的挿入前に、患者の体の標的とする体内部分を撮像するために用いられ得る。下記で説明するように、いくつかの実施形態では、針の挿入は、後続の静脈又は患者の脈管構造の他の部分へのカテーテル挿入前に、実施される。しかし、患者の体内への針の挿入は、様々な医療目的のために実施され得ることが認識される。
【0040】
図2は、一実施形態に従って、挿入部位73の皮膚を通って患者の脈管構造内へカテーテル72を最終的に留置する処置を行っている間における、患者70に対する上述の構成要素の全体的な関係を示す。図2は、カテーテル72が、一般的に、患者の外部に留まる基端部分74と、留置完了後に患者の脈管構造内に存在する先端部分76とを含むことを示す。ガイドシステム10は、最終的に、カテーテル72の先端チップ76Aを、患者の脈管構造内の望ましい位置に位置決めするために用いられる。一実施形態では、カテーテル72の先端チップ76Aの望ましい位置は、患者の心臓にごく近い、例えば上大静脈(「SVC:Superior Vena Cava」)の下方の3分の1の部分にある。当然ながら、ガイドシステム10は、カテーテル先端チップを他のロケーションに留置するために用いられ得る。
【0041】
カテーテル72の基端部分74は、さらに、カテーテル72の1つ以上のルーメン(lumen)間に流体連通をもたらすハブ74Aと、ハブから基端側に延在する1つ以上の延長脚部74Bとを含む。上述の通り、挿入部位73での患者の脈管構造内への針100の留置は、一般に、カテーテルの挿入前に実施されるが、他の留置法が用いられ得ることが認識される。さらに、上記の説明は、ガイドシステム10の使用の一例にすぎないことが認識される。実際、これは、上述のようなカテーテルの挿入の準備としての針の留置、他の使用のための針100の挿入などの様々な使用、又はx線若しくは超音波マーカ、生検シース、アブレーション構成要素、膀胱走査構成要素、大静脈フィルターなどを含む他の医療用構成部品の患者の体内への挿入、に用いられ得る。
【0042】
詳細には、コンソール20は、ガイドシステム10の様々な構成要素を収納し、コンソールは様々な形態のうちの1つを取り得ることが認識される。例えばEEPROMなどの不揮発性メモリを含むプロセッサー22は、ガイドシステム10の動作中にシステム機能を制御し且つ様々なアルゴリズムを実行し、これにより制御プロセッサーの機能を果たすために、コンソール20内に含まれる。デジタルコントローラ/アナログインターフェース24も、コンソール20に含まれて、プロセッサー22及び他のシステムコンポーネントと通信して、超音波プローブ40と他のシステムコンポーネントとの間のインターフェースを管理する。
【0043】
図2は、さらに、挿入部位73を経由して患者の脈管構造に最初にアクセスするために使用される針100を表現している。下記でさらに詳細に説明するように、針100は、ガイドシステム10と協働して、超音波ベースの留置処置中に、システムが針の位置、向き、及び進みを検出できるようにするように構成されている。
【0044】
図3は、様々な実施形態による超音波プローブ40の特徴を表現している。超音波プローブ40は、脈管構造内への針100及び/又はカテーテル72の挿入に備えて、静脈などの血管の超音波ベースの可視化に関連して用いられる。そのような可視化は、リアルタイムの超音波ガイドを与えることができ、そのような導入に一般に関連付けられる合併症、例えば不注意による動脈穿刺、血腫、気胸などを減少させるのを支援する。
【0045】
超音波プローブ40は、しばしば、ヘッド80を含むように構成されており、そのヘッドは、圧電(又は同様の機能の)アレイを収容していて、この圧電アレイは、ヘッドが予想される挿入部位73(図2)のごく近くの患者の皮膚に接して置かれているときに、超音波パルスを生じて、患者の体によって反射した後にそのエコーを受信するためのものである。超音波プローブ40は、さらに、システムを制御するための制御ボタン84(図2)を含んでいるので、ガイドシステム10を制御するために、臨床医が、挿入部位の確立前に患者の挿入部位周辺に確立されている滅菌野に手を伸ばす必要性がなくなる。
【0046】
そのようなものとして、一実施形態では、臨床医は、ガイドシステム10の超音波撮像部分を用いて、カテーテル72の導入前に、最終的に脈管構造を通して意図した目的地の方へ向かってそれを進めるために、好適な挿入部位を決定し、針100などによる血管アクセスを確立する。
【0047】
図3で見られるように、超音波プローブ40は、上述のものなどの超音波撮像手順を行っている間に針100の位置、向き、及び動きを検出するために、センサーアレイ90を含み得る。下記でさらに詳細に説明するように、センサーアレイは、プローブのハウジングに埋め込まれた複数の磁気センサー92を含む。磁気センサー92は、針100に関連する磁場を検出し且つガイドシステム10が針を追跡できるようにするように構成されている。ここでは磁気センサーとして構成されているが、磁気センサー92は、説明されるように他のタイプ及び形態のセンサーとし得ることが認識される。さらに、磁気センサーは、図3では、超音波プローブ40に含まれているように示されるが、センサーアレイ90の磁気センサー92は、プローブと分離した構成要素、例えば別個のハンドヘルド装置に含まれ得る。そのような装置は、例えば、磁気センサー92のない同様の装置に他のプローブを組み込むために用いられ得る。本実施形態では、磁気センサー92は、超音波プローブ40の上面82の下に平面的な形態で配置されるが、センサーは、アーチ形又は半円形配置構成などの他の形態に配置され得ることが認識される。
【0048】
図3に示されている実施形態では、磁気センサー92はそれぞれ、3次元空間での磁場の検出を可能にするために、3つの直交するセンサーコイルを含む。そのような3次元(「3D」)磁気センサーは、例えば、ハネウェルセンシングアンドコントロール(ニュージャージー州モリスタウン)から購入できる。さらに、本実施形態の磁気センサー92は、ホール効果センサーとして構成されるが、他のタイプの磁気センサーも用いられ得る。さらに、3Dセンサーの代わりに、1D、2D、又は3D検出能力を達成するために、要望通り、複数の1次元磁気センサーが含まれて配置され得る。
【0049】
本実施形態では、磁気センサー92は、3次元空間(すなわち、X、Y、Z座標空間)において針100を検出できるようにするだけでなく、針自体のピッチ及びヨーの向きも検出できるようにするために、センサーアレイ90に5個の磁気センサーを含む。一実施形態では、磁気センサー92の2つ以上の直交する感知構成要素は、磁気要素110の、すなわち針100のピッチ及びヨーの姿勢を決定できるようにし得ることに留意されたい。
【0050】
他の実施形態では、用途に応じて、センサーアレイにより少数又は多数のセンサーを用いることができる。より一般的には、センサーアレイのセンサーの数、サイズ、タイプ、及び配置は、ここで明示するものとは異なり得ることが認識される。
【0051】
図4A及び図4Bは、一実施形態に従って、図2に示すような、患者の標的とする体内部分にアクセスする際にガイドシステム10に関連して使用され得る針100の一例の詳細を示す。特に、針100は、基端部102A及び先端部102Bを有する中空のカニューレ102を含む。ハブ104が、カニューレ102の基端部102Aに取り付けられ、本実施形態では、様々な装置と接続するためのコネクタとして構成される開口端104Aを含む。実際、ハブ104の開口端104Aは、カニューレ102のルーメンと流体連通しており、ガイドワイヤ、スタイレット、又は他の構成要素がハブ内を通ってカニューレ内へと通過され得る。
【0052】
図4A及び図4Bに示すように、磁気要素110はハブ104に含まれる。図4Bに最もよく示すように、本実施形態では、磁気要素110は、例えば強磁性体を含む永久磁石であり、カニューレ102と位置合わせされる孔112を規定するようにリング状である。そのように構成されているため、下記でさらに説明するように、磁気要素110は、超音波プローブ40のセンサーアレイ90によって検出可能である磁場を発生させ、針100のロケーション、向き、及び動きをガイドシステム10によって追跡できるようにする。
【0053】
他の実施形態では、多くの他のタイプ、数、及びサイズの磁気要素が、針100又は他の医療用構成部品と一緒に用いられて、本ガイドシステムによるその追跡を可能にすることが認識される。
【0054】
ここで図5A及び図5Bを参照すると、これら図面は、ガイドシステム10の超音波プローブ40及び針100が、適所にあり、且つ標的とする体内部分にアクセスするために患者の皮膚表面120を介して挿入準備が整っていることを示している。特に、超音波プローブ40は、ヘッド80が患者の皮膚に接して置かれ、患者の皮膚表面120の下方にある皮下の血管126の一部分を超音波で撮像するために超音波ビーム122を発生させている状態で、示されている。血管126の超音波画像は、ガイドシステム10のディスプレイ30(図2)に表現され得る。
【0055】
上述の通り、本実施形態では、ガイドシステム10は、上述の針100の位置、向き、及び動きを検出するように構成されている。特に、超音波プローブ40のセンサーアレイ90は、針100に含まれる磁気要素110に関連する磁場を検出するように構成されている。センサーアレイ90の磁気センサー92のそれぞれは、3次元空間内で磁気要素110を空間的に検出するように構成されている。そのため、ガイドシステム10の動作中、磁気センサー92のそれぞれによって感知された、針に関連する磁気要素110の磁場強度データは、プロセッサー、例えばコンソール20のプロセッサー22(図1)へ転送され、プロセッサーは、リアルタイムで磁気要素110の位置及び/又は向きを計算する。いくつかの実施形態では、超音波プローブ40のセンサーアレイ90による検出に磁気要素110が必要とされないように、針は磁性材料製としてもよい。
【0056】
具体的には、図5A及び図5Bに示すように、センサーアレイ90に対する、X、Y、及びZの座標空間における磁気要素110の位置は、磁気センサー92によって感知された磁場強度データを使用して、ガイドシステム10によって決定され得る。さらに、図5Aは、磁気要素110のピッチも決定され得ることを示す一方で、図5Bは、磁気要素のヨーが決定され得ることを示す。システムの超音波プローブ40、コンソール20、又は他の構成要素の好適な回路が、そのような位置/向きに必要な計算を行い得る。一実施形態では、磁気要素110は、米国特許第5775322号明細書、米国特許第5879297号明細書、米国特許第6129668号明細書、米国特許第6216028号明細書、及び米国特許第6263230号明細書(これらそれぞれの全体を本願明細書に援用される)のうちの1つ又は複数による教示を使用して追跡され得る。
【0057】
ガイドシステム10によって決定された上述の位置及び向きの情報は、カニューレ102の長さ、及びシステムに既知の又はシステムに入力されるような先端針チップに対する磁気要素110の位置と共に、システムが、センサーアレイ90に対する針100の全長のロケーション及び向きを正確に決定できるようにする。任意選択的に、磁気要素110と先端針チップとの間の距離は、ガイドシステム10に既知である又はガイドシステム10に入力される。これは、次に、ガイドシステム10が、超音波プローブ40の超音波ビーム122によって生成された画像上に針100の画像を重ね合わせることができるようにする。図6A及び図6Bは、超音波画像上への針のそのような重ね合わせの例を示す。具体的には、図6A及び図6Bはそれぞれ、例えば、ディスプレイ30(図2)に表現され得るスクリーンショット130を示す。図6Aには、皮膚表面120、及び血管126の表現を含む、超音波画像132が示されている。超音波画像132は、例えば、図5A及び図5Bに示す超音波ビーム122によって取得された画像に対応する。
【0058】
スクリーンショット130は、さらに、上述したようにガイドシステム10によって決定されるような針100の位置及び向きを表す仮想の針画像134を示す。システムは、センサーアレイ90に関して針100のロケーション及び向きを決定できるため、システムは、超音波画像132に関して針100の位置及び向きを正確に決定し、ディスプレイ30上で針画像134として表現するためにそこに重ね合わせることができる。超音波画像132上での針画像134の位置決めの調整は、プロセッサー22又はガイドシステム10の他の好適な構成要素によって実行される好適なアルゴリズムによって、実施される。
【0059】
磁気センサー92は、ガイドシステム10の動作中、針100の磁気要素110に関連付けられる磁場を連続的に検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、磁場のある磁気要素110を組み込むのではなく、針100自体を磁化して磁場を発生させ得るため、必要な構成要素はより少数となる。磁化される針、磁化システム、及び磁化器の例は、米国特許出願公開第2018/0310955号明細書(その全体が本願明細書に援用される)に説明されている。センサーによる連続的な検出のプロセスは、ガイドシステム10が、ディスプレイ30上に表現するために、針画像134の位置及び向きを連続的に更新できるようにする。これにより、針100の進み又は他の動きは、ディスプレイ30上に針画像134によってリアルタイムで表現される。ガイドシステム10は、留置処置又は他の作業中に超音波プローブ40及び針100の動きが生じるときに、ディスプレイ30上で超音波画像132及び針画像134の双方を連続的に更新できることに留意されたい。
【0060】
図6Aは、さらに、一実施形態において、ガイドシステム10が、針画像134によって表現されるような、針100の現在の位置及び向きに基づいて、照射経路136を表現し得ることを示している。照射経路136は、臨床医が、ディスプレイ30上に針画像134によって表現されるような針100の現在の向きで、望ましい体内部分の標的、例えばここに示す血管126に到達するかどうかを決定するのを支援する。ここでも、針画像134の向き及び/又は位置が変わると、照射経路136は、対応してガイドシステム10によって修正される。照射経路136が超音波画像132の平面と交差する点を示す標的138も、ガイドシステム10によってディスプレイ30上に表現され得る。図6Aに示すように、本例では、標的138は、超音波画像132に表現された血管126内に位置する。ディスプレイ30上の標的138の位置はまた、針100及び/又は超音波画像132が調整されるときに、修正され得ることに留意されたい。スクリーンショット130はまた、ここでは四角囲みで示す見込み領域139を含み、これは、針の長さ、針の剛性及び柔軟性、磁気要素の場の強度、磁針の場の強度、磁気干渉、磁気要素の磁気軸と針の長手方向軸とのアライメントに起こり得る不一致、超音波撮像面に対するセンサーアレイの向きなどに起因する、システムのいずれかの起こり得る誤差の範囲を示す。
【0061】
図6Bは、一実施形態では、スクリーンショット130が、超音波画像132及び針画像134が3次元的な見方で表示されるような向きにされるように構成され得ることを示す。これにより、針画像134によって表現されるような針100の角度及び向きを確かめて、超音波画像132によってイメージされる意図した標的と比較できるようにする。スクリーンショット130は、単に、表示用に、ガイドシステム10によって生成された、考えられる表現の例にすぎないことに留意すべきである。実際、他の視覚的な表現が使用され得る。撮像されている体の特定の領域は、単に一例にすぎないことにさらに留意されたい。システムは、様々な体の部分を超音波で撮像するために使用され得、添付図面に明示されているものに限定されるべきではない。さらに、本明細書に示され且つ説明されるようなシステムは、望まれる場合には、より大きなシステムの構成要素として含まれ得るか、又はスタンドアロン装置として構成され得る。また、ディスプレイ30で提供される視覚情報に加えて、聴覚情報、例えばビープ音、音調なども、患者の体内への針の位置決め及び挿入中に臨床医を支援するためにガイドシステム10によって用いられ得ることが認識される。
【0062】
一実施形態では、針の長さ(又は医療用構成部品の他の観点)は、プローブ/システムの、磁気要素110又は磁針の特性、例えばその場の強度の測定値によって決定され得る。例えば、一実施形態では、針100の磁気要素110、又は磁化された針は、超音波プローブ40から予め決められた距離に、又は超音波プローブ40に対して予め決められたロケーションに、位置決めされ得る。磁気要素110又は磁針がそのように位置決めされた状態で、超音波プローブ40のセンサーアレイは、関連付けられた磁気要素110の場の強度を検出し且つ測定し得る。システムは、測定された場の強度を、針の公知の異なる長さに対応する、起こり得る場の強度の記憶されたリストと比較できる。システムは、2つの強度を比べて、針の長さを決定し得る。そのため、針のロケーション及びそれに続く針の挿入は、本明細書で説明されるように始められ得る。別の実施形態では、磁気要素110を予め決められたロケーションに静止して保持する代わりに、超音波プローブ40によって複数の場の強度が測定されるように、磁気要素110又は磁針を超音波プローブ40の周りで動かすことができる。1組の磁気要素に異なる場の強度を与えるように修正され得る観点は、磁気要素のサイズ、形状、及び組成などを含む。
【0063】
一実施形態による、患者の標的とする体内部分(「標的」)の超音波撮像に関連する針又は他の医療機器をガイドする際のガイドシステム10の使用に関するさらなる詳細が、ここに与えられる。針100及びその磁気要素が、センサーアレイ90を含む超音波プローブ40から好適な距離(例えば、60.96cm(2フィート)以上)離れて位置決めされている状態で、プローブは、ガイドシステム10のディスプレイ30に表現するために、針が経皮的挿入によって交わることが意図される患者の体内の標的を超音波で撮像するために用いられる。その後、ガイドシステム10の較正が開始され得、ここでは、処置が実施される箇所の近傍での任意の周囲磁場のベースラインを決定するために、コンソール20のプロセッサー22によってアルゴリズムが実行される。下記で説明するように、ガイドシステム10は、様々なフィードバックシステムによってステータスインジケータを生成し、臨床医に、較正を実施する必要があること及び/又は較正が現在進行中であることを通知し得る。ガイドシステム10はまた、上述したように、ユーザ入力、自動検出、又は他の好適な方法などによって、針100の全長、及び/又は先端針チップに対する磁気要素の位置を知らされ得る。
【0064】
その後、針100は、超音波プローブ40のセンサーアレイ90の磁気センサー92の範囲内にもたらされ得る。磁気センサー92のそれぞれは、針100の磁気要素110又は磁針に関連付けられる磁場強度を検出し、そのデータは、プロセッサー22へ転送される。一実施形態では、そのようなデータは、プロセッサーによって必要とされるまで、メモリに記憶され得る。磁気センサー92が磁場を検出すると、プロセッサー22によって好適なアルゴリズムが実行されて、プローブに関わる空間内の予測点における、磁針、又は針100の磁気要素110の磁場強度を計算する。その後、プロセッサー22は、磁気センサー92によって検出された実際の磁場強度データを、計算された場の強度値と比較する。このプロセスは、さらに、上記で特定した米国特許において説明されていることに留意されたい。このプロセスは、予測点に関して計算された値が測定されたデータに一致するまで、繰り返し実行され得る。この一致が生じると、磁気要素110が、3次元空間内に位置して置かれたことになる。磁気センサー92によって検出されたような磁場強度データを使用して、磁気要素110のピッチ及びヨー(すなわち、向き)も決定され得る。針100の既知の長さ及び磁気要素に対する針の先端チップの位置とともに使用して、ガイドシステム10によって針の位置及び向きを正確に表すことができ、ディスプレイ30上に、仮想モデル、すなわち、針画像134として表現され得る。予測値及び実際に検出された値は、ガイドシステム10が針を表現することができるように、一実施形態では、予め決められた許容誤差又は信頼水準内で一致する必要があることに留意されたい。
【0065】
上述のような針100の針画像134の表現は、本実施形態においては、ディスプレイ30の超音波画像132上に針画像を重ね合わせることによって、実施される(図6A図6B)。プロセッサー22又は他の好適な構成要素によって実行されるようなガイドシステム10の好適なアルゴリズムは、さらに、照射経路136、標的138、及び見込み領域139(図6A図6B)を決定し、ディスプレイ30上で、標的の超音波画像132の上に表現できるようにする。上述の予測、検出、比較、及び表現プロセスは、針100の動きをリアルタイムで継続的に追跡するために、繰り返し実施される。
【0066】
臨床医は、処置中に針及び/又はプローブの留置を調整又は微調整することによって適切な較正領域内にプローブを位置決めすることにより、超音波画像を向上させたいことがある。多くの実施形態では、ガイドシステム10は、臨床医に感覚フィードバックをもたらして、較正領域内でのより良好な留置を容易にし、これにより、不適切な動きのリスク、又は完了するのに必要な時間を減らすことによって、より効率的な処置をもたらし得る。ガイドシステム10は、これを、測定値又は処置中に受信した他のデータに基づくステータスインジケータを臨床医に提供することによって、容易にし得る。そのようなステータスインジケータは、例えば、臨床医に、針100及び/又は超音波プローブ40を較正する必要があること、超音波プローブ40を較正ゾーンに留まるように軸の周りで特定の量動かす必要があること、又はガイドシステム10内に通信故障が存在するかどうかを、知らせることができる。一般に、処置中にこれらのステータスインジケータを臨床医へ伝達することは、臨床医に、ガイドシステム10の別のロケーション内にある現在のステータスを探し出すために、所与のタスクへの集中を中断することを要求し得る。例えば、患者の皮膚表面120に沿った超音波プローブ40の方向付けに集中している臨床医は、そのプロセス中、その臨床医の視覚的注意を必要とし得るが、この注意は、現在のステータスを見るためにディスプレイ30を見る必要があることによって逸らされ得る。逆に、処置中にディスプレイ30の超音波領域を見ている臨床医は、システムの現在のステータスを決定するために、スクリーンの他の箇所又は超音波プローブ40の位置決めを観察することによって、集中の対象から逸らす必要があり得る。
【0067】
したがって、臨床医の集中の対象又は傾注領域を実質的に変えることなく、臨床医がフィードバックを受信できるように、感覚フィードバックをもたらすことが望ましい。それゆえ、例えば超音波プローブ40上に、ディスプレイ30上に、又はウェアラブル機器又は他の音を介して、ステータスインジケータを提供することによって、臨床医は、他の箇所を見る必要なく、特定のタスクに集中したままにできる。
【0068】
ここで、図7A及び図7Bを参照すると、ガイドプロセス中に感覚フィードバックをもたらす一実施形態を説明している。超音波プローブ40は、プローブの上部に位置する2つの表示灯、具体的には左側ステータス表示灯140及び右側ステータス表示灯142を有して示されている。図7A~7Dに示すプローブは、それらの上面図で示されており、これは、一般に、上に向けられており、ガイドプロセス中、臨床医の視野内にある。左側ステータス表示灯140及び右側ステータス表示灯142は、プローブの反対側に置かれており、それらの間には、通信コードが超音波プローブ40に入ることができる開口を提供する通信コード入口144がある。
【0069】
一実施形態では、左側及び右側ステータス表示灯140,142は、任意選択的に1つ以上の一連のパターンで「オフ」状態(図7A参照)から「オン」状態(図7B参照)へ変化するように構成され得る。さらに、左側及び右側ステータス表示灯140,142は、各ステータス表示灯内に複数の発光ダイオード(LED)を含み、選択されるLEDのタイプに依存して、様々な色を提供し得る。いくつかの実施形態では、LEDは複数色とし得、複数の単色のLEDによる代わりに、プログラムで色が変化し得る。一般に、LEDは、超音波プローブ40のハウジング内に、プローブハウジングの切り欠き部内の透明又は半透明な窓の下側に置かれ得る。図7A~7Cに示す実施形態では、プローブハウジング内の切り欠き部、及びそこに配置された窓は、方向情報を伝えることができる形状、例えば二方向矢印を含む。
【0070】
超音波プローブ40のLEDは、状態(すなわち、オフ及びオン)並びに強さ及び色に関し、独立して動作され得る。図7Aは、「オフ」状態にある左側及び右側ステータス表示灯140,142を示す一方で、図7Bの左側及び右側ステータス表示灯140,142は、「オン」状態で示されている。当業者には、LEDの制御可能な特性の考えられる組み合わせによって、多種多様の情報が示され得ることが理解されるであろう。例えば、1つ以上の一連の光パターンは、例えばガイドシステムの構成要素の較正に関連付けられるステータス、追跡精度を高めるためにプローブを動かすための提案された方向などの情報を伝えることができる。実際、1つ以上の一連の光パターンは、プローブを動かすために提案された方向を示して追跡精度を高めるために複数の色を含み得、複数の色のうちの少なくとも2色間の変化は、提案された方向に関連付けられる。
【0071】
LEDは、臨床医に、超音波プローブ40又は針100が較正を必要としている場合を、例えば、左側及び右側ステータス表示灯140,142に一対の黄色の光を連続的(solid)に発生させることによって、示し得る。同様に、黄色の点滅する光をプログラムして、臨床医に、較正が現在進行中であることを伝えることができる。他の色及び強さの組み合わせは、超音波プローブ40又は他の構成要素が、ガイドシステム10内で、適切に接続されていないこと、又は適切な通信(in proper)を伝えることができる(例えば、左側及び右側ステータス表示灯140,142の双方で、赤色の光を連続的に示すことによって)。他の色、例えば緑色の連続光の存在は、臨床医に、追跡が現在準備完了状態であり、開始できることを伝えることができる。
【0072】
切り欠き部の形状、例えば二方向矢印内にLEDを配置することにより、LEDの状態、色、及び強さによって、ガイド中に針100及び/又は超音波プローブ40のピッチ又は他の向きをどのように調整するかについて、臨床医に伝えることができる。これは、例えば、超音波プローブ40及び/又は針100を較正ゾーン内に保つのを助けることができ、臨床医の眼を、望まれる場合にはディスプレイ30ではなく超音波プローブ40に集中させ得るため、ステータスの更新を取得するために臨床医に必要とされる努力を少なくし得る。
【0073】
さらに、LEDは、プローブハウジングの切り欠き部の下側の異なるロケーションに置かれ得る。このようにして、方向情報を増加させて、臨床医へ伝達できる。図7Cは、左側及び右側ステータス表示灯140,142の中央に位置するLEDが点灯されている超音波プローブ40を示す。一実施形態では、LEDは、窓の中心、前向き部分146、及び後向き部分147において、左側ステータス表示灯140の窓内に又はその下側に配置される。同様の配置構成が、窓の下側の二方向矢印切り欠き部の中心にあるLEDに加えて、窓の前向き及び後向き部分145,149を含む、右側ステータス表示灯142に見られ得る。
【0074】
左側及び右側ステータス表示灯140,142に設けられた二方向矢印切り欠き部の異なる点にLEDを配置することにより、灯の状態、色、及び強さの変化によって、ステータスに関する情報量を増加させて伝えることができる。例えば、二方向矢印の両端部をいずれかの方向に点灯することによって、臨床医は、プローブのピッチをLEDによって示されている方向へ向かって動かすことによって超音波プローブ40のピッチを変更する必要があることを知らせることができる。他の実施形態では、左側及び右側ステータス表示灯140,142の二方向矢印の対向する両端部にあるLEDを点灯することによって、ガイドシステム10は、超音波プローブ40のヨーを、示した方向に調整する必要があることを示し得る。
【0075】
必要な調整の大きさはまた、色の変化及び/又は灯の強さによって伝えられ得る。例えば、左側ステータス表示灯140の窓の前向き部分146で点灯した緑色のLEDが、右側ステータス表示灯142の後向き部分149で点灯した緑色のLEDと併せて、プローブのヨーを時計回りの方向に調整する必要があるステータスを伝えることができる。一実施形態では、LEDの色を緑色から、黄色へ、その後赤色へ変化させることによって、プローブのヨーを指示した方向へ変化させるようにという指示が次第に強くなっていることを示し得る。同様に、LEDは、超音波プローブ40の動きの変更の提案に関連して、灯の強さを次第に強くし得る。
【0076】
図7Dに示すように、左側及び右側ステータス表示灯140,142は、超音波プローブ40に三方向の切り欠き部を含み得る。左側ステータス表示灯140は、窓の前向き部分146(例えば、矢印)、後向き部分147(例えば、矢印)、及び横向き矢印148(例えば、矢印)並びにその下側にあるLEDで構成されている。同様に、右側ステータス表示灯142も、窓の前向き部分145(例えば、矢印)、後向き部分149(例えば、及び矢印)、及び横向き部分141(例えば、矢印)並びにその下側にあるLEDを含む。いくつかの実施形態では、横向き部分141,148を追加することによって、臨床医に、超音波プローブ40をいずれかの側へ動かすような調整の提案を伝えることができる。一実施形態では、横向き部分141,148は、左側及び右側ステータス表示灯140,142の他のLEDとは別々に点灯され得る別個のLEDを含む。これにより、横向き部分141又は横向き部分148のいずれかに設けられた灯の状態、色、及び/又は強さを変化させることによって、ガイドシステムと臨床医との間に別の程度の伝達を可能にする。このようにして、三方向の左側及び右側ステータス表示灯140,142は、臨床医に、ディスプレイ30を見る必要なく、どのように超音波プローブ40を3つの別個の軸に沿って方向付けするかを伝えることができる。
【0077】
ここで図8A及び図8Bを参照すると、これらの図面は、二方向のステータス表示灯150が超音波プローブ840の前方側に位置する、超音波プローブ840の別の実施形態を示している。二方向の表示灯150は、左向き部分152(例えば、矢印)及び右向き部分154(例えば、矢印)を含む。図8Bに示す実施形態は、「オン」にされて、連続光をもたらす二方向の表示灯150を有する。上述の通り、このタイプのステータスインジケータは、例えば、臨床医に較正ステータス(黄色)、エラー状態(赤色)、又は準備完了状態(緑色)を知らせるために用いられ得る。同様に、図8Bに示すように、二方向のステータス表示灯150は、特定の領域において、臨床医へ伝えられ得る詳細及び情報量を増加させるために、点灯され得る。複数領域のステータス表示灯の異なる領域を用いる方法及び手段は、図7C及び図7Dにおいて上述されており、図8Bに示す超音波プローブ840、並びに任意の他の同様の実施形態内で用いられ得る。
【0078】
ここで図9A~9Dを参照すると、これらの図面は、ガイドシステム10の動作中の、ディスプレイ30上のステータス表示ボックス162(例えば、色の付けられたボックス)のスクリーンショット930を示している。上述の通り、ガイドシステム10のディスプレイ30は、針のロケーションが追跡され且つ決定されるときに、超音波ビーム122によって生成された画像を、針100の画像が重ね合わせられた状態で、示し得る。臨床医が、ディスプレイ30上に提示された画像を見ている間に、較正、準備完了状態、及び/又はガイドシステム10の故障に関する問題点を伝えることは有益とし得る。
【0079】
図9Aに示すように、ディスプレイ30のスクリーンショット930は、超音波画像領域を取り囲むステータス表示ボックス162を含む。一実施形態では、ステータス表示ボックス162は、臨床医に、ガイドシステム10が較正を要求していること知らせるために、静的な(例えば、非点滅の)色付きの(例えば、黄色又は同様の高コントラスト色)表示ボックスである。ステータス表示ボックスは、臨床医が、ステータス表示ボックス162に、付随するステータス表示テキスト164及び/又はステータス表示アイコン166と一緒に、簡単に気づいて見ることができるように構成されている。ステータス表示ボックス162は、付随するステータス表示テキスト164及びステータス表示アイコン166と一緒に、臨床医が処置中に超音波領域に集中している場合でも、臨床医によって簡単に感知されるように設計され得る。例えば、ステータス表示ボックス162は、集中対象をディスプレイ30上の超音波又は他の画像から変える必要なく、臨床医の周辺認知能力により、臨床医によって簡単に知覚でき且つ認識できる高コントラスト色とし得る。
【0080】
同様に、図9Bのスクリーンショット930は、例えば、臨床医が、図9Aのステータスインジケータ162,164,166の1つ以上を知覚し、較正プロセスを開始した後の、進行中の較正に対応する。図9Aのステータス表示ボックス162と同様に、図9Bのステータス表示ボックス162は、臨床医によって知覚されるのに好適な色(例えば、黄色又は別の高コントラスト色)が付けられ得る。一実施形態では、較正を実施するシステム10のステータス指示の方法は、ステータス表示ボックス162を、付随するステータス表示テキスト164と一緒に、点滅する黄色で表示することである。
【0081】
ここで図9C及び図9Dを参照すると、これらの図面は、さらに、ステータス表示ボックス162を含む、ディスプレイ30のスクリーンショット930を示している。ガイドシステム10が、使用のための準備完了状態にあるとき、ステータスボックスインジケータ162は、より低いコントラストで、付随するステータス表示テキスト164と一緒に、表示され得る。一実施形態では、ガイドシステム10は、準備完了状態に到達し且つ臨床医が処置を開始又は継続できるときに、ステータス表示ボックス162を、連続的に緑色で表示する。他の実施形態では、ガイドシステム10は、準備完了状態にある間は、ステータス表示ボックス162を除去し、ステータスの変化によって別のステータス表示ボックス162及び付随するステータス表示テキスト164の表示をトリガするときにより多量のコントラストを生成してもよい。超音波プローブ40又はいくつかの他の構成要素は、例えば、通信を失い、ガイドシステム10内のある種のエラー又は故障を報告し得る。これにより、図9Dに示すように、高コントラスト色で、付随するステータス表示アイコン166と一緒に、ステータス表示ボックス162の表示をトリガし得る。一実施形態では、ガイドシステム10内の故障又は特定のエラーの存在の検出によって、任意選択的にエラーアイコンとしてステータス表示アイコン166と一緒に、超音波画像の周りのステータス表示ボックス162を、赤色で連続的に表示するように促す。故障又はエラーが修正されると、ディスプレイ30は、ステータス表示ボックス162及び付随するステータス表示アイコン166を除去し得るか又は他の方法で変更し得る。このようにして、ガイドシステム10は、臨床医による反応及び修正を促すように構成されており、実施される処置の全体効率を高め得る。
【0082】
上記を考慮して、ステータス表示ボックス162は、その色(例えば、緑色、黄色、赤色など)、アニメーション(例えば、点滅する、揺らいでいるなど)又はそれらの欠如などによって、ガイドシステム10又はその構成要素に関連付けられるステータス(例えば、較正、エラー、準備完了など)を示すのに有用なパターン(例えば、色パターン)を提供する。
【0083】
処置を実施している間、臨床医の注意散漫を低減させ且つ集中度を高めるために、他の形態の感覚ベースのフィードバックが達成され得ることが認識され得る。いくつかの実施形態では、超音波プローブ40又はガイドシステムディスプレイ30は、ガイドシステム10の様々なステータスに対応する可聴式の合図を出し得る。レベル、ピッチ、及び音色は、利用できる異なるステータスに基づいて変更され得る。これらの可聴式ステータス表示音は、臨床医によって好みに基づいて予めプログラムされ得るか又は調整され得る。
【0084】
一実施形態では、超音波プローブ40は、少なくとも1つの振動発生構成要素を含み、容易に気づくレベルの触覚フィードバックを提供し得る。他のステータスインジケータと同様に、超音波プローブ40に発生される振動は、示されるステータスに応じて、変わり得る。超音波プローブ40は、例えば、プローブが較正ゾーンの外側で動かされているときに、低レベルの振動を生じ得、振動レベルの強さは、プローブがその較正ゾーンのさらに外側へ動かされるにつれて、増大する。同様に、短いバースト振動が連続して用いられて、較正が必要とされ得る及び/又はその較正が行われていることを示すことができる。低レベルの振動は、一般に、振動が超音波プローブ40及び針100の使用に干渉するのを回避するために使用されることが認識される。
【0085】
感覚フィードバックは、臨床医にリンクしたウェアラブルデバイスで生成されて、臨床医へ伝達され得る。一実施形態では、ユーザは、ステータス警告に関連する画像を生成し得るスマート眼鏡を有し得、それら画像は、臨床医の視野内で見えるため、臨床医は、たとえ何を見ているときでもガイドシステムステータスに気づくことができる。同様に、スマートウオッチがガイドシステム10に無線接続され、これにより、スマートウオッチで、振動アラート又はトリガされた可聴及び/又は視覚合図によってステータス指示を提供し得る。例えば、スマートウオッチは、上述の通り、超音波プローブ40内に存在する振動構成要素と同様に、臨床医に触覚フィードバックを提供するように構成され得る。他の実施形態では、スマートウオッチは、同様に上述したような可聴ステータス通知音と同様に、可聴音を届けるように構成され得る。
【0086】
色、向き、方向、及びフィードバックの強さの特定の組み合わせを上述の図面において説明してきたが、望まれる用途に基づいて、他の組み合わせが用いられ得ることが認識される。同様に、上述の多くの実施形態はLEDを含むが、同様のステータス指示を生成するために、他の発光素子が用いられ得る。最後に、図9A~9Dのステータス表示ボックス162、付随するステータス表示テキスト164、及びステータス表示アイコン166は、超音波画像を取り囲んで示されているが、望まれる用途に依存して、ディスプレイ30上の同様のコントラストの画像の代替的な配置構成及び組み合わせを提供する他の実施形態が用いられ得ることが認識される。
【0087】
本発明の実施形態は、本開示の趣旨から逸脱せずに、他の特定の形態で供されてもよい。説明した実施形態は、あらゆる点で、説明にすぎず、限定ではないとみなされるべきである。したがって、実施形態の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示されている。特許請求の範囲の等価物の意味及び範囲内に入る全ての変更は、それらの範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D