(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20241227BHJP
A63F 13/24 20140101ALI20241227BHJP
A63F 13/54 20140101ALI20241227BHJP
A63F 13/215 20140101ALI20241227BHJP
A63F 13/424 20140101ALI20241227BHJP
【FI】
H04R1/02 105B
H04R1/02 107
A63F13/24
A63F13/54
A63F13/215
A63F13/424
(21)【出願番号】P 2022530537
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2021021430
(87)【国際公開番号】W WO2021251304
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2020099504
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠井 亮
(72)【発明者】
【氏名】三宮 龍
(72)【発明者】
【氏名】青木 祐
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 健
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-041678(JP,A)
【文献】実開平05-082191(JP,U)
【文献】特開2006-005616(JP,A)
【文献】特開2011-029841(JP,A)
【文献】特開2004-120598(JP,A)
【文献】特開2008-294652(JP,A)
【文献】特開2008-135961(JP,A)
【文献】再公表特許第2012/161099(JP,A1)
【文献】特開2011-071876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
H04M 1/02-1/23
A63F 13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に向いている第1の面と、前記第1の面とは反対方向に向いている第2の面と、端子部とを有しているスピーカと、
前記スピーカを収容する収容室の少なくとも一部を規定する壁部を有している収容部材と、
前記壁部に形成され、前記スピーカの前記第1の面に対して前記第1の方向に位置している、前記スピーカの音を出すための開口と、
前記スピーカの前記第2の面を支持し、前記スピーカの前記端子部を避けた位置に配置され、前記開口の縁に前記スピーカを押し付ける弾性部材と、
底部材と、を有し、
前記収容室は、前記壁部と前記底部材とにより規定され、
前記壁部と前記底部材との間にクッション部材が配置され
、
前記底部材を挟んで前記スピーカとは反対側に配置され、前記底部材を前記壁部へ押圧する第2の弾性部材を更に有する
電子機器。
【請求項2】
第1の方向に向いている第1の面と、前記第1の面とは反対方向に向いている第2の面と、端子部とを有しているスピーカと、
前記スピーカを収容する収容室の少なくとも一部を規定する壁部を有している収容部材と、
前記壁部に形成され、前記スピーカの前記第1の面に対して前記第1の方向に位置している、前記スピーカの音を出すための開口と、
前記スピーカの前記第2の面を支持し、前記スピーカの前記端子部を避けた位置に配置され、前記開口の縁に前記スピーカを押し付ける弾性部材と、
底部材と、を有し、
前記収容室は、前記壁部と前記底部材とにより規定され、
前記壁部と前記底部材との間にクッション部材が配置され
、
前記底部材は前記スピーカと電気的に接続している回路基板の少なくとも一部である
電子機器。
【請求項3】
第1の方向に向いている第1の面と、前記第1の面とは反対方向に向いている第2の面と、端子部とを有しているスピーカと、
前記スピーカを収容する収容室の少なくとも一部を規定する壁部を有している収容部材と、
前記壁部に形成され、前記スピーカの前記第1の面に対して前記第1の方向に位置している、前記スピーカの音を出すための開口と、
前記スピーカの前記第2の面を支持し、前記スピーカの前記端子部を避けた位置に配置され、前記開口の縁に前記スピーカを押し付ける弾性部材と、
底部材と、
マイクと、を有し、
前記収容室は、前記壁部と前記底部材とにより規定され、
前記壁部と前記底部材との間にクッション部材が配置され
、
前記マイクは前記スピーカから離れる方向に向いている
電子機器。
【請求項4】
第1の方向に向いている第1の面と、前記第1の面とは反対方向に向いている第2の面と、端子部とを有しているスピーカと、
前記スピーカを収容する収容室の少なくとも一部を規定する壁部を有している
フレームと、
前記壁部に形成され、前記スピーカの前記第1の面に対して前記第1の方向に位置している、前記スピーカの音を出すための開口と、
前記スピーカの前記第2の面を支持し、前記スピーカの前記端子部を避けた位置に配置され、前記開口の縁に前記スピーカを押し付ける弾性部材と、
底部材と、
前記スピーカ及び前記フレームを収容している外装部材と、
前記外装部材に収容され、前記スピーカと電気的に接続される回路基板と、を有し、
前記収容室は、前記壁部と前記底部材とにより規定され、
前記壁部と前記底部材との間にクッション部材が配置され
、
前記収容室は、前記フレームが有する前記壁部と、前記回路基板の少なくとも一部とにより規定される
電子機器。
【請求項5】
第1の方向に向いている第1の面と、前記第1の面とは反対方向に向いている第2の面と、端子部とを有しているスピーカと、
前記スピーカを収容する収容室の少なくとも一部を規定する壁部を有している
フレームと、
前記壁部に形成され、前記スピーカの前記第1の面に対して前記第1の方向に位置している、前記スピーカの音を出すための開口と、
前記スピーカの前記第2の面を支持し、前記スピーカの前記端子部を避けた位置に配置され、前記開口の縁に前記スピーカを押し付ける弾性部材と、
底部材と、
前記スピーカ及び前記フレームを収容している外装部材と、
前記フレームによって支持されるスイッチと、
前記スイッチを押すための、前記外装部材に設けられているボタンと、を有し、
前記収容室は、前記壁部と前記底部材とにより規定され、
前記壁部と前記底部材との間にクッション部材が配置され
、
前記スイッチは前記フレームに対して前記第1の方向に位置し、
前記弾性部材は前記フレームに対して前記第1の方向とは反対方向に位置している
電子機器。
【請求項6】
前記弾性部材は前記スピーカの中心を通る中心線と交差する
請求項1
乃至5のうちのいずれかに記載される電子機器。
【請求項7】
前記第1の方向に直交する方向での前記弾性部材の幅は前記スピーカの幅よりも小さい
請求項1
乃至5のうちのいずれかに記載される電子機器。
【請求項8】
前記収容室の容量に対する前記弾性部材の体積の比率は、5%以上25%以下である
請求項1
乃至5のうちのいずれかに記載される電子機器。
【請求項9】
前記弾性部材の前記第1の方向での厚さは前記スピーカの前記第1の方向での厚さよりも大きい
請求項1
乃至5のうちのいずれかに記載される電子機器。
【請求項10】
前記弾性部材は、前記底部材と接触している、
請求項1
乃至5のうちのいずれかに記載される電子機器。
【請求項11】
前記マイクは前記収容部材とは異なる部材によって支持される
請求項
3に記載される電子機器。
【請求項12】
前記スピーカを収容している外装部材を更に有し、
前記収容部材は前記外装部材に収容されているフレームである
請求項
1乃至3のうちのいずれかに記載される電子機器。
【請求項13】
前記収容室は、前記フレームにより形成される
請求項
4又は5に記載される電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ゲーム装置に対してユーザの指示を入力するための操作デバイスが開示されている。操作デバイスは、その左右にユーザによって保持される被保持部を有し、これら左右の被保持部の間に中央部を有している。中央部にはスピーカが内蔵されており、中央部のスピーカに対応する位置に開口(下記特許文献1では、通音孔)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
良好な音質を得るために、スピーカが配置される収容室の容量は、予め設定した大きさに維持されるのが望ましい。そのために、スピーカは開口を塞ぐように、開口の縁に密着していることが好ましい。
【0005】
本発明の目的は、スピーカから出力される音質の変化を抑制できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子機器は、第1の方向に向いている第1の面と、前記第1の面とは反対方向に向いている第2の面と、端子部とを有しているスピーカと、前記スピーカを収容する収容室の少なくとも一部を規定する壁部を有している収容部材と、前記壁部に形成され、前記スピーカの前記第1の面に対して前記第1の方向に位置している、前記スピーカの音を出すための開口と、前記スピーカの前記第2の面を支持し、前記スピーカの前記端子部を避けた位置に配置され、前記開口の縁に前記スピーカを押し付ける弾性部材と、を有する。本発明によれば、スピーカから出力される音質の変化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態の一例に係る操作デバイスを示す平面図である。
【
図3】
図1のIII-III線で得られる断面図である。
【
図4】
図1のIV-IV線で得られる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1などには、実施形態の一例として操作デバイス10が示されている。以下の説明では、
図1に示すX1及びX2をそれぞれ右方向及び左方向とし、Y1及びY2をそれぞれ前方及び後方とする。また、
図2に示すZ1及びZ2をそれぞれ上方及び下方とする。ただし、これらの方向及び配置位置は、操作デバイス10の要素(部品、部材、及び部分)の形状や相対的な位置関係を説明するため規定され、操作デバイス10の姿勢を限定するものではない。
【0009】
図1には、実施形態の一例として操作デバイス10(電子機器)が示されている。操作デバイス10は、ゲームプログラムの実行機能や動画像再生機能、インターネットを通した通信機能などを有する情報処理装置に対する入力デバイスとして利用される。操作デバイス10は、情報処理装置との間で有線又は無線での通信が可能となっており、ユーザが操作デバイス10に対して行った操作に応じた信号を情報処理装置に送信する。操作デバイス10は、操作デバイス10の姿勢や動きの検出に利用される種々のセンサ(加速度センサ、ジャイロセンサなど)や、バッテリ、振動や音や光などでユーザにフィードバックする機構などを内蔵している。
【0010】
後述するように、操作デバイス10は、音を出力するスピーカ2(
図2参照)と、ユーザの発話音声を取得するための第1マイク8Aと第2マイク8B(
図4参照)とを有している。マイク8A,8Bを通して取得された音声データは情報処理装置に送信され、音声認識処理に提供されたり、或いは、他ユーザとのボイスチャット(音声通話)に利用されたりする。他のユーザの音声データは、情報処理装置に接続されているスピーカや、操作デバイス10が内蔵しているスピーカ2から出力される。マイク8A,8Bを通して取得された音声データは、操作デバイス10内でノイズ処理やエコー処理等を行ってから情報処理装置に送信されてもよい。
【0011】
[入力部材]
図1で示すように、操作デバイス10は、その左部及び右部に、ユーザが手で保持するための左被保持部10Lと右被保持部10Rとをそれぞれ有している。被保持部10L,10Rは左右方向において離れており、被保持部10L,10Rの前部の間にデバイス中央部10Mが形成されている。被保持部10L,10Rは、デバイス中央部10Mの後縁よりも後方に伸びているグリップ11を有してよい。デバイス中央部10Mの前後方向でのサイズは被保持部10L,10Rと同じであってもよい。この場合、被保持部10L,10Rは後方に伸びているグリップ11を有していなくてよい。
【0012】
図1で示すように、被保持部10L,10Rの前部の上面に、ユーザが指で操作するための複数の入力部材が設けられている。具体的には、右被保持部10Rの上面に、複数の入力ボタン21が設けられている。例えば、4つの入力ボタン21が十字の端部に配置される。また、左被保持部10Lの前部の上面に、十字形状を有する方向キー(十字ボタン)22が配置されている。方向キーは、前後左右ならびに斜め方向において方向と変位量が入力可能であれば、形状は十字に限らず、円形や四角形でもよい。
図1で示すように、操作デバイス10は、タッチパネル27の前部の右側と左側とに入力ボタン23を有してよい。さらに、被保持部10L,10Rは、それらの前面に入力ボタン24を有してよい。
【0013】
図1で示すように、操作デバイス10は、入力スティック25を有してよい。入力スティック25は、例えば、デバイス中央部10Mの後部の右側と左側とに配置される。入力スティック25は、その半径方向に傾けたり、傾けた状態で初期位置の中心線を中心として回転させたりすることができる。入力スティック25は上下動可能に支持され、ボタンとして機能してもよい。入力スティック25は、半径方向での傾きに替えて、その半径方向にスライド可能であってもよい。さらに、操作デバイス10は、タッチパネル27の後方に位置し、且つ左右方向での中心に位置しているボタン26を有してもよい。ボタン26は、操作デバイス10が接続されている情報処理装置の電源ボタンや、情報処理装置と操作デバイス10との無線による接続の開始を指示する開始ボタンとして機能する。
【0014】
なお、入力スティック25の位置や、方向キー22、入力ボタン21の配置は、操作デバイス10の例に限られない。例えば、右側の入力ボタン21の位置と、入力スティック25の位置は入れ替わっていてもよい。また、方向キー22の位置と、入力スティック25の位置は入れ替わっていてもよい。
【0015】
図1に示すように、操作デバイス10は、デバイス中央部10Mの上面に、板状のタッチパネル27を有している。タッチパネル27は、例えば、左右の入力スティック25の前方に配置される。タッチパネル27はタッチセンサを含んでいる。タッチセンサは、タッチパネル27の上面に触れた指の位置に応じた信号を出力する。タッチセンサは例えば静電容量式のセンサである。タッチパネル27はユーザの押下操作に応じて上下動できるように支持されてもよい。操作デバイス10の例では、タッチパネル27の左右方向での幅は前方に向かって徐々に大きくなっている。そのため、被保持部10L,10Rを手で保持しながら、親指でタッチパネル27の前部に触れる操作がユーザにとって容易となる。
【0016】
なお、操作デバイス10の例では、操作デバイスの被保持部10L,10Rは左右対称の形状である。操作デバイス10の例とは異なり、これらは左右対称の形状でなくてもよい。
【0017】
[外装部材]
図2は操作デバイス10の分解斜視図である。
図2で示すように、操作デバイス10は、操作デバイス10の外装部材として、上カバー部30及び下カバー部40とを有している。上カバー部30及び下カバー部40により構成される外装部材は、操作デバイス10の外面を構成するとともに、操作デバイス10が備える種々の部品(スピーカ2、マイク8A,8B、回路基板6、振動モータ28、バッテリなど)を収容している。上カバー部30及び下カバー部40は、樹脂などにより形成されてよい。
【0018】
上カバー部30は、左被保持部10Lの外面の一部を構成する左部30Lと、右被保持部10Rの外面の一部を構成する右部30Rと、これら左部30L及び右部30Rを繋ぎデバイス中央部10Mの外面の一部を構成する中央部30Mとを有している。同様に、下カバー部40は、左被保持部10Lの外面の一部を構成する左部40Lと、右被保持部10Rの外面の一部を構成する右部40Rと、これら左部40L及び右部40Rを繋ぎデバイス中央部10Mの外面の一部を構成する中央部40Mとを有している。上カバー部30及び下カバー部40は互いに固定されている。上カバー部30の中央部30Mには、スピーカ2からの音を出力するための複数の音孔31と、マイク8Aに外部からの音を伝えるための音孔32が形成されている。また、下カバー部40の中央部40Mには、マイク8
Bに外部からの音を伝えるための音孔41(
図4参照)が形成されている。
【0019】
図2で示すように、操作デバイス10は、フレーム50を有している。このフレーム50に、操作デバイス10が備える種々の部品が配置される。フレーム50は操作デバイス10の外形(上カバー部30及び下カバー部40の外形)と対応する形状を有しており、中央に板状の中央部51を有している。その中央部51の下側に、回路基板6が固定される。フレーム50は、上カバー部30及び下カバー部40で構成される外装部材の内側に固定される。ここで、上カバー部30はフレーム50の上側を覆い、下カバー部40はフレーム50の下側を覆っている。フレーム50は、樹脂などにより形成されてよい。
【0020】
[スピーカの配置]
図2で示すように、操作デバイス10は、音を出力するスピーカ2を有している。情報処理装置などから操作デバイス10に送信された音声データは、スピーカ2によって出力される。操作デバイス10の例では、スピーカ2はチップ状であり、上方(第1の方向)に向いている上面(第1の面)2aと、下方(第1の方向とは反対方向)に向いている下面(第2の面)2b(
図3参照)とを有する。音声データはスピーカ2の上面2aから出力されて、上カバー部30に形成されている複数の音孔31を通じて操作デバイス10の外部へ出力される。
【0021】
図3は
図1のIII-III線で得られる断面図であり、
図4は
図1のIV-IV線で得られる断面図である。
図3及び
図4に示すように、スピーカ2は、回路基板6と電気的に接続するための端子部Pを有している。端子部Pは、回路基板6の上面6aから上方に突出する端子部Qと接触している。また、端子部Pはスピーカ2の中央部を避けた位置に配置されている。
図3に示す例では、端子部Pはスピーカ2の左端部に配置されている。
【0022】
図2乃至
図4で示すように、操作デバイス10は、収容室Aの少なくとも一部を規定する壁部52を有しており、この収容室Aの内側にスピーカ2が配置される。操作デバイス10の例では、フレーム50が収容部材である。つまり、フレーム50が壁部52を有し、収容室Aの少なくとも一部を構成する収容部材として機能する。操作デバイス10の外装部材(上カバー部30など)に壁部52を形成する場合、外装部材の材料(樹脂など)の収縮に起因する窪みが表面に生じないように、壁部52のサイズや形状を設計する必要がある。この点、外装部材とは異なる部材であるフレーム50に壁部52を
形成することにより、外装部材の表面に生じる窪みを考慮しないで壁部52のサイズや形状を設計できる。その結果、壁部52のサイズや形状の自由度を向上させることができる。
【0023】
図2で示すように、壁部52はフレーム50の中央部51に形成され、スピーカ2を前後方向及び左右方向で囲う箱形状を有している。スピーカ2は、壁部52によって構成される箱形状の窪みに嵌まる。
図3に示すように、左右方向におけるスピーカ2の幅W2と壁部52の間隔は略同一であり、
図4に示すように、前後方向におけるスピーカ2の幅W4と壁部52の間隔も略同一である。このため、操作デバイス10の内部におけるスピーカ2の位置は、壁部52によって決まる。
【0024】
図2乃至
図4に示すように、壁部52はフレーム50の板状の中央部51に対して上方に盛り上がった形状を有しており、上端部52aに開口53が形成されている。開口53はスピーカ2の音を出すためのものであり、スピーカ2の上面2aに対して上方に位置し、上カバー部30に形成されている複数の音孔31と繋がっている。スピーカ2において音の出る上面2aが、開口53から露出している。スピーカ2の上面2aの縁は開口53の縁54と接し、互いに密着している。
【0025】
スピーカ2が配置される収容室Aは背室とも呼ばれ、スピーカ2から出力される音質の変化を抑制するためには、容量固定の閉じた空間であることが望ましい。この点、操作デバイス10では、弾性部材3が開口53の縁54にスピーカ2を押し付けることにより、スピーカ2が開口53を塞ぎ、収容室Aを閉じた状態にする。これにより、収容室Aの空間(空気)の容量を予め設定した大きさに維持することができ、スピーカ2から出力される音質の変化を抑制することができる。
【0026】
図2乃至
図4で示すように、操作デバイス10は、スピーカ2の下面2bを支持するための弾性部材3を有している。弾性部材3は柱状で上面はスピーカ2の下面2bに接触し、下面は収容室Aの底面を規定する底部材(例えば、後述する回路基板6)に接触している。操作デバイス10の例では、弾性部材3はゴムやエラストマーなどの絶縁材料からなるブロックである。これに限らず、弾性部材3は金属製のバネであってもよい。また、スピーカ2を支持する弾性部材3の数は一つに限らず、複数であってもよい。弾性部材3は、上下方向においてスピーカ2の端子部Pを避けた位置(端子部Pと重畳しない位置)に配置され、開口53の縁54にスピーカ2を押し付ける。
【0027】
図3及び
図4で示すように、弾性部材3はスピーカ2の中央部に配置される。換言すると、弾性部材3はスピーカ2の中心を通る中心線c-cと交差する。
図3及び
図4で示す例では、弾性部材3の中心を通る中心線は、スピーカ2の中心線c-cと一致している。これに限らず、弾性部材3の中心線は、スピーカ2の中心線c-cに対して端子部Pから離れる方向(例えば、
図3における右方向)にずれていてもよい。このように、弾性部材3がスピーカ2の中心線c-cでスピーカ2の下面2bを支持することにより、スピーカ2の支持の安定性を向上できる。
【0028】
また、
図3及び
図4で示すように、上方(第1の方向)に直交する方向(前後又は左右方向)での弾性部材3の幅は、当該直交する方向でのスピーカ2の幅よりも小さい。このようにすることで、収容室A内の空間の容量を確保できる。
図3で示すように、スピーカ2の左右方向(スピーカ2の長手方向)での幅W2よりも弾性部材3の幅はW1小さい。より具体的には、スピーカ2の左右方向での幅W2の半分よりも弾性部材3の幅
W1は小さい。また、
図4に示すように、スピーカ2の前後方向(スピーカ2の短手方向)での幅W4よりも弾性部材3の幅W3は小さい。なお、スピーカ2の前後方向での幅W4の半分よりも弾性部材3の幅W3は大きい。また、弾性部材3の上下方向での厚さH1は、スピーカ2の上下方向での厚さH2よりも大きい。上下方向での弾性部材3の厚さH1は収容室Aの高さに対応しているため、弾性部材3の厚さH1を確保することで、収容室A内の空間の容量を確保できる。
【0029】
また、収容室Aの容量に対する弾性部材3の体積(弾性部材3が複数設けられる場合は、これら複数の弾性部材3の体積の合計)の比率は、5%以上25%以下に設定されることが望ましい。上記の比率を5%未満とした場合、スピーカ2を支持するための弾性部材3の強度の確保が難しくなる。また、上記の比率を25%を超えるものとした場合、収容室A内の空間の容量を確保が難しくなる。このため、上記の比率を適正な値に設定することで、収容室Aにおいてスピーカ2の支持を可能にしつつ、スピーカ2から良好な音質を得るために適切な収容室A内の空間の容量を確保できる。操作デバイス10の例では、収容室Aの容量に対する弾性部材3の体積の比率は、10%以上20%以下に設定される。
【0030】
図3及び
図4に示すように、上下方向での収容室Aの高さは弾性部材
3の厚さH1と略同一であり、収容室A及び弾性部材3は略直方体形状であることから、収容室Aの容量に対する弾性部材3の体積の比率は、前後方向及び左右方向における収容室Aの面積(底面積)に対する弾性部材3の面積(底面積)の比率と略同一である。このため、前後方向及び左右方向における収容室Aの面積に対する弾性部材3の面積の比率が、5%以上25%以下に設定されてもよい。操作デバイス10の例では、収容室Aの面積に対する弾性部材3の面積の比率は、10%以上20%以下に設定される。
【0031】
また、前後方向及び左右方向における収容室Aの面積は、スピーカ2の下面2bの面積と略同一である。このため、スピーカ2の下面2bの面積と、スピーカ2及び弾性部材3の接触部分との面積の比率が、5%以上25%以下に設定されてもよい。操作デバイス10の例では、スピーカ2の下面2bの面積と上記接触部分との面積の比率は、10%以上20%以下に設定される。
【0032】
[回路基板の配置]
図2で示すように、操作デバイス10はスピーカ2と電気的に接続する回路基板6を有する。
図3及び
図4で示すように、回路基板6は、壁部52と共に収容室Aを規定している。回路基板6は、スピーカ2及び弾性部材3を挟んで開口53とは反対側に配置され、収容室Aの底面を規定する底部材として機能する。このように、収容室Aを構成する底部材として回路基板6を用いることで、回路基板6以外の部材で底部材を構成する場合に比べて部品数の増加を抑えられる。また、このようにすることで、スピーカ2と回路基板6との電気的な接続構造が簡単になる。例えば、スピーカ2の下面2bに端子部Pを設け、回路基板6から端子部Qを上方に伸ばすことによって、スピーカ2と回路基板6との電気的な接続を簡単に行うことができる。
【0033】
なお、
図2に示す例では、回路基板6の一部が収容室Aの底面を規定しているが、これに限らず、回路基板6の全部で収容室Aの底面を規定してもよい。また、収容室Aの底面を規定する底部材は、回路基板6に限らず、弾性部材3を挟んでスピーカ2とは反対側に配置される他の部材としてもよい。底部材は、操作デバイス10の外装部材(下カバー部40)や、下カバー部40の内側に配置される後述するバッテリケース7などであってもよい。また、フレーム50により収容室Aが形成されてもよい。この場合、底部材は、フレーム50の一部として壁部52と一体に形成されていてもよく、フレーム50のみで収容室Aが形成されてもよい。
【0034】
図3及び
図4で示すように、弾性部材3は、底部材である回路基板6の上面6aにより押されることによって、スピーカ2を開口53の縁54に押し付ける。このようにすることで、スピーカ2の上面2aと開口53の縁54との間に隙間が生じることを抑制し、収容室Aの気密性を向上できる。その結果として、スピーカ2から出力される音質の変化を抑制できる。また、底部材である回路基板6は、螺子などによって、壁部52を有する収容部材であるフレーム50に取り付けられてよい。このようにすることで、回路基板6と壁部52との間に公差に起因する隙間が生じにくくなり、スピーカ2から出力される音質の変化を抑制できる。また、弾性部材3によりスピーカ2を支持することにより、振動子
(例えば、後述する振動モータ28)の振動やボタン操作によって生じるフレーム50の振動の影響を低減できる。
【0035】
また、
図3及び
図4で示すように、壁部52と、収容室Aの底部材である回路基板6との間には、クッション部材9が配置されてもよい。クッション部材9は、ゴムやエラストマーなどの絶縁材料で形成され、壁部52と回路基板6との間の隙間を塞ぐ。これにより、収容室Aの気密性を更に向上することができ、クッション部材9を設けない場合に比べて、スピーカ2から出力される音質の変化をより効果的に抑制できる。
【0036】
図3及び
図4で示すように、操作デバイス10は、バッテリ(不図示)を収容するためのバッテリケース7を有している。バッテリケース7は下カバー部40の内側に収容され、回路基板6の下方に位置している。また、下カバー部40とバッテリケース7との間には、第2の弾性部材4が配置される。第2の弾性部材4は、弾性部材3と同様に、ゴムやエラストマーなどの絶縁材料により形成されてよい。
【0037】
第2の弾性部材4は、収容室Aの底部材である回路基板6を挟んでスピーカ2とは反対側に配置され、回路基板6を壁部52へ押圧する。
図3及び
図4で示す例では、第2の弾性部材4は回路基板6の下方に配置されている。また、回路基板6と第2の弾性部材4
との間にはバッテリケース7が配置され、回路基板6の下面6bにバッテリケース7の上端部7aが接している。第2の弾性部材4がバッテリケース7の下端部を上方へ押圧することにより、バッテリケース7の上端部7aにより回路基板6が押圧される。このように回路基板6の下方から回路基板6を壁部52の位置する方向へ押圧することによって、収容室Aの気密性を更に向上することができる。これにより、スピーカ2から出力される音質の変化をより効果的に抑制できる。なお、操作デバイス10の例では、第2の弾性部材4はバッテリケース7を押圧しているが、これに限らず、第2の弾性部材4は回路基板6の下方に配置されるいずれの部材(例えば、バッテリそのもの)を押圧してもよいし、回路基板6と接することにより回路基板6を直接的に押圧してもよい。
【0038】
[マイクの配置]
図4で示すように、操作デバイス10は、2つのマイク8A,8Bを有している。これに限らず、操作デバイス10は、2つのマイク8A,8Bのうちの一方だけを有してもよいし、3以上のマイクを有してもよい。また、操作デバイス10は、マイクを有さなくてもよい。
【0039】
図4で示すように、2つのマイク8A,8Bは、いずれもスピーカ2から離れる方向に向いている。このようにすることで、スピーカ2から出力される音をマイク8A,8Bで拾いにくくすることができる。第1マイク8Aは上カバー部30の内面に沿って配置され、上カバー部30において音孔32が形成されている後方かつ上方の斜め方向に向いている。これと同様に、第2マイク8Bは下カバー部40の内面に沿って配置され、下カバー部40において音孔41が形成される後方かつ下方の斜め方向に向いている。
【0040】
図4に示すように、2つのマイク8A,8Bは、操作デバイス10を保持しているユーザの口からの距離が異なるように配置されている。第1マイク8Aは回路基板6の上方に配置され、第2マイク8Bは回路基板6の下方に配置される。このように、第2マイク8Bは回路基板6を挟んでスピーカ2の反対側に配置されることで、スピーカ2から出力される音が第2マイク8Bに伝わりにくくなる。
【0041】
図4に示すように、2つのマイク8A,8Bは、いずれもスピーカ2の収容部材であるフレーム50とは異なる部材によって支持される。例えば、第1マイク8Aは、操作デバイス10の外装部材(上カバー部30など)によって支持されてよい。また、第2マイク8Bは、操作デバイス10の外装部材(下カバー部40など)によって支持されてよいし、バッテリケース7によって支持されてもよい。このように、スピーカ2が収容されるフレーム50とは異なる部材でマイク8A,8Bを支持することにより、スピーカ2が音を出力するときの振動がマイク8A,8Bに伝わることを抑制できる。すなわち、マイク8A,8Bが取得する音声に、スピーカ2の振動が影響することを抑制できる。
【0042】
[その他の構成]
図4で示すように、操作デバイス10は、フレーム50によって支持されるスイッチ29を有している。外装部材(上カバー部30)に設けられている先述したボタン26は、スイッチ29を押す。スイッチ29はフレーム50に対して上方(第1の方向)に位置し、弾性部材3はフレーム50に対して下方(第1の方向とは反対方向)に位置している。また、フレーム50の上には、
図1で示した入力ボタン21,23や方向キー22などによって押される他のスイッチが設けられてもよい。
【0043】
ボタン26によってスイッチ29が押されたり、入力ボタン21,23や方向キー22などによって他のスイッチが押されたりすることで、フレーム50が振動する。先述したように、スピーカ2の下方には弾性部材3が配置され、弾性部材3がフレーム50に形成される開口53の縁54にスピーカ2を押し付けている。このため、フレーム50の振動を受けてスピーカ2がフレーム50から離れることを、弾性部材3によって抑制できる。
【0044】
図1に示すように操作デバイス10は、左右の被保持部10L,10Rの内側に、振動モータ28を有している。振動モータ28はグリップ12にそれぞれ位置し、情報処理装置などからの指示に応じて駆動することでグリップ12を振動させる。なお、振動モータ2
8は、直動モータ(例えばボイスコイルモータ)であってもよいし、回転モータ(例えばDC
(direct current)モータ)であってもよい。また、操作デバイス10の例では、振動モータ28の数は2つであるが、振動モータ28の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0045】
振動モータ28は、フレーム50によって支持されている。
図2に示すように、フレーム50の板状の中央部51の後方には凹部56(モータ収容部)が形成されており、その内側に振動モータ28が収容される。操作デバイス10の例では、左右の被保持部10L,10Rの形状に対応した2つの凹部56が2つのグリップ11の内側にそれぞれ配置され、これら2つの凹部56に2つの振動モータ28がそれぞれ収容される。振動モータ28が振動することにより、フレーム50も振動する。このようにフレーム50が振動しても、弾性部材3がフレーム50に形成される開口53の縁54にスピーカ2を押し付けているため、フレーム50からスピーカ2が離れることを抑制できる。
【0046】
図4で示すように、フレーム50においてスイッチ29を配置する領域を確保するために、スピーカ2及びこれが収容される収容室Aは、上カバー部30に形成されている音孔31に対して前方にずれている。このため、収容室Aを規定する壁部52には、後方かつ上方の斜め方向に伸びる傾斜部52bを有している。
【0047】
図3及び4で示すように、壁部52の上端部52aは、上カバー部30の内面に接している。これにより、壁部52の上端部52aに形成される開口53と、上カバー部30に形成されている複数の音孔31との間に隙間が生じることを抑制し、スピーカ2から出力された音が操作デバイス10の内部の部品(例えば、マイク8A,8B)に伝わることを抑制できる。先述したように、壁部52に後方かつ上方の斜め方向に伸びる傾斜部52bを設けることにより、フレーム50にスイッチ29を設ける場合であっても、壁部52(傾斜部52b)の上端部52aと、上カバー部30の内面との接触を維持することができる。
【0048】
以上説明したように、操作デバイス10は、スピーカ2の下面2bを支持し、開口53の縁54にスピーカ2を押し付ける弾性部材3を有している。これにより、スピーカ2と開口53の縁54との間に隙間が生じることを抑制でき、収容室Aの空間の容量を予め設定した大きさに維持することができる。その結果、スピーカ2から出力される音質の変化を抑制することができる。