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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】関節窩位置決め装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/84 20060101AFI20241227BHJP
   A61F 2/40 20060101ALI20241227BHJP
   A61F 2/46 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
A61B17/84
A61F2/40
A61F2/46
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022536901
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2020085554
(87)【国際公開番号】W WO2021122317
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】102019000024069
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515156197
【氏名又は名称】リマコーポレート・ソチエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】LIMACORPORATE S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Nazionale, 52 Villanova 33038 San Daniele del Friuli(UD), Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プレッサッコ、ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ドッソ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】デラ ヴェドヴァ、フランチェスコ
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0015116(US,A1)
【文献】特表2016-513566(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0195105(US,A1)
【文献】特表2013-521081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56-17/94
A61B 17/17
A61F 2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節窩位置決め装置(100)であって、前記関節窩位置決め装置(100)が、
基準の貫通穴(110)を備える、および半径方向に配置された3つのハウジング(102a、102b、102c)を含む、ハブ(101)と、
それぞれ、前記3つのハウジング(102a、102b、102c)内に摺動可能に収容された、3つのスライド要素(103a、103b、103c)であって、関節窩と相互作用するように構成されている、3つのスライド要素(103a、103b、103c)と、を備え、
前記3つのスライド要素(103a、103b、103c)が、関節窩円周によって表される円形領域(2)を特定するために半径方向に伸長または収縮させられるように構成されている、関節窩位置決め装置(100)。
【請求項2】
前記関節窩位置決め装置(100)が、
前記ハブ(101)に軸方向に関連付けられ、前記ハブ(101)中で回転可能である、中央スピンドル(104)と、
それぞれ、前記3つのスライド要素(103a、103b、103c)の各々を前記中央スピンドル(104)に接続する、3つの接続バー(108a、108b、108c)と、をさらに備え、
前記3つのスライド要素(103a、103b、103c)が、前記中央スピンドル(104)の回転によって動作される前記3つの接続バー(108a、108b、108c)の作用によって半径方向に伸長または収縮させられるように構成されている、請求項1に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【請求項3】
前記3つのスライド要素(103a、103b、103c)のうちの第1のスライド要素(103a)および第2のスライド要素(103b)が互いに実質的に対向しており、前記第1のスライド要素(103a)および前記第2のスライド要素(103b)が、肩甲骨の関節窩部分を外部から把持するように構成されたそれぞれの突出端部(109a、109b)を含む、請求項2に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【請求項4】
前記3つのスライド要素(103a、103b、103c)のうちの第3のスライド要素(103c)が、前記第1のスライド要素(103a)および前記第2のスライド要素(103b)に対して実質的に横向きに並んでおり、前記第3のスライド要素(103c)が、それ自体の端部に視覚的基準を提供するように構成されている、請求項3に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【請求項5】
前記突出端部(109a、109b)が、骨表面との摩擦を増加させるように機械加工された内面を含む、請求項3または4に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【請求項6】
前記ハブ(101)および前記中央スピンドル(104)が、軸方向に整列させられている、および基準(4)の軸方向挿入のために構成されている、それぞれの基準の貫通穴(110)を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【請求項7】
前記ハブ(101)および前記中央スピンドル(104)が、前記それぞれの基準の貫通穴(110)へのそれぞれの側方アクセススロット(111a、111b)を備え、前記側方アクセススロット(111a、111b)が、互いに位置合わせされて、前記関節窩に位置決めされた前記基準(4)からの前記関節窩位置決め装置(100)の取り外しを可能にする、請求項6に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【請求項8】
前記スライド要素(103a、103b、103c)は、それぞれの端部が同じ円周上にある状態で伸長または収縮させられるように構成されており、前記円周が、前記中央スピンドル(104)の前記回転により可変である半径を有する、請求項2~7のいずれか1項に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【請求項9】
前記3つの接続バー(108a、108b、108c)が、それぞれ、ピンによって、前記中央スピンドル(104)および前記3つのスライド要素(103a、103b、103c)に接続されており、したがって、トリプルロッドクランクタイプのシステムが提供される、請求項2~8のいずれか1項に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【請求項10】
前記トリプルロッドクランクタイプのシステムが、前記中央スピンドル(104)の前記回転の間に、前記3つのスライド要素(103a、103b、103c)を最大閉鎖位置から最大開口位置まで伸長させ、反対方向への前記中央スピンドル(104)の回転の間に、前記3つのスライド要素(103a、103b、103c)を、少なくとも部分的に収縮されているさらなる位置に収縮させるように構成されている、請求項9に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【請求項11】
前記ハブ(101)が、前記中央スピンドル(104)の半径方向溝(107)に係合するように構成されたピン(105)をさらに備えることで、前記中央スピンドル(104)の回転を可能にし、したがって、前記中央スピンドル(104)の軸方向への移動を防止する、請求項2~10のいずれか1項に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【請求項12】
前記中央スピンドル(104)が、基準(4)を肩甲骨の関節窩の中心(3)に位置決めするために前記円形領域(2)の中心(3)を特定するように構成されている、請求項2~11のいずれか1項に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【請求項13】
前記基準(4)がキルシュナー鋼線である、請求項12に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【請求項14】
前記3つのスライド要素(103a、103b、103c)のストロークが、半径方向に伸長させられたときに、前後方向に矢状面において関節窩縁を通過するようなものである、請求項1~13のいずれか1項に記載の関節窩位置決め装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に肩プロテーゼ埋め込み手術中に関節窩に基準を位置決めするための、関節窩位置決め装置に関する。
【0002】
本発明は、解剖学的構造およびリバースの両方の肩プロテーゼの埋め込み手術において特定の有用性を見出しており、以下の説明は、例示的な開示として、この具体的な応用分野を参照してなされる。
【0003】
概して、本発明は、肩甲骨の関節窩内の中心位置を見つけ、そこに、たとえば、肩プロテーゼの埋め込み中のさらなる手術に使用可能である、キルシュナー鋼線などの、基準を固定するために使用され得る。
【背景技術】
【0004】
肩プロテーゼの分野では、プロテーゼの使用は今日広く普及しており、典型的には、複数の要素で構成されるモジュール式プロテーゼであって、互いに組み合わされて、解剖学的構造のプロテーゼまたはリバースプロテーゼを得て、場合によっては、解剖学的構造のプロテーゼからリバースプロテーゼに変換することができる、モジュール式プロテーゼが広く普及している。
【0005】
いくつかの一般的に使用されるプロテーゼは、実質的に関節窩の中心で事前に得られた穴に挿入された関節窩アンカーの使用を伴う。解剖学的構造のプロテーゼの場合、ポリエチレンインサートが典型的に関節窩アンカーに固定されるが、リバースプロテーゼの場合は、グレノスフィアと呼ばれる凸状の関節窩接合コンポーネントが典型的に関節窩アンカーに固定される。
【0006】
生じる困難は、適切なアンカーに連結されたプロテーゼコンポーネントの中心が関節窩の中心と整列するように、関節窩の中心位置において、適切なアンカーに正確に固定することである。
【0007】
従来技術では、実際に、関節窩の中心における最適な位置決めの再現性の問題があり、これは、肩プロテーゼの有効性を損なわせかねない。
【0008】
本発明の目的は、先行技術に関して訴えられた欠点を克服するなどの、構造的および機能的な特徴を有する関節窩位置決め装置を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、解剖学的構造であろうとリバースであろうと、肩プロテーゼの関節窩部分の埋め込みのためのガイドとして機能する、たとえばキルシュナー鋼線などの、基準の正しい位置決めを可能にすることである。
【0010】
本発明のさらなる目的はまた、肩プロテーゼのより良好な位置決めのために、肩甲骨の関節窩の中心における基準の正しい位置決めを可能にすることである。
【発明の概要】
【0011】
本発明の根底にある解決策は、3つの円周点による関節窩の近似を可能にする一方で、特に基準を固定するために、このように特定された円周の中心における基準の位置決めを可能にする、機械的ガイドを作成することである。
【0012】
利点として、本発明は、関節窩の中心のより信頼性の高い特定を可能にし、肩プロテーゼの埋め込み中に使用される、たとえばキルシュナー鋼線によって構成された、基準のより正確かつ反復可能な位置決めを可能にする。
【0013】
この解決策に基づいて、関節窩位置決め装置が提供され、関節窩位置決め装置は、基準スルーホールを備える、および3つの半径方向に配置されたハウジングを含む、ハブと、それぞれ、上記3つのハウジング内に摺動可能に収容され、関節窩と相互作用するように構成された、3つのスライド要素であって、関節窩の円形領域を特定するために半径方向に伸長または収縮させられるように構成されている、3つのスライド要素と、を備える。
【0014】
スライド要素は、互いに同期して伸長または収縮させられる。このように、スライド要素は、利点として、半径方向に伸長されたときに、前後方向に矢状面において関節窩縁を通過し、したがって、特に基準を固定するために、たとえばキルシュナー鋼線を固定するために、このように特定された円周で可変半径を有する中心基準を提供し得る。
【0015】
好ましくは、関節窩位置決め装置は、ハブに軸方向に関連付けられ、その中で回転可能である、中央スピンドルと、各スライド要素を中央スピンドルに接続する3本の接続バーと、をさらに備える。したがって、3つのスライド要素は、上記中央スピンドルの回転によって動作される3つの接続バーの作用によって半径方向に伸長または収縮させられるように構成されている。
【0016】
このように、3つのスライド要素は、関節窩の円形領域を特定することを可能にし、中央スピンドルは、肩甲骨の関節窩の中心に基準を位置決めするために円形領域の中心を特定するように構成されている。したがって、利点として、正確かつ反復可能な方法で、関節窩の肩甲骨の窩の中心に基準を位置決めすることが可能になる。
【0017】
好ましくは、2つのスライド要素は、互いに実質的に対向しており、肩甲骨の関節窩部分を外部から把持するための突出端部を有し、好ましくは、最初の2つのスライド要素に対して横向きの第3のスライド要素が、関節窩のそれ自体の円周との整列を確認するための視覚的基準を提供する。
【0018】
好ましくは、ハブおよび中央スピンドルは、軸方向に整列させられている、および基準、たとえばキルシュナー鋼線の軸方向挿入のために構成されている、それぞれの貫通穴を備える。
【0019】
利点として、ハブおよび中央スピンドルはまた、基準が正しく埋め込まれると、基準、たとえばキルシュナー鋼線の側方の抜き出し、すなわち、関節窩領域に位置決めされた基準からの関節窩位置決め装置の取り外しを可能にするために互いに位置合わせ可能である、それぞれの側方アクセススロットを備える。利点として、これによって、関節窩位置決め装置を基準から切り離すことが可能になる。
【0020】
本発明のさらなる特徴および利点は、例示的かつ非限定的な目的のために提供される以下の詳細な説明から、および本明細書の不可欠な部分である請求項からより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】関節窩を見ることができる、肩甲骨の側面概略図を示す。
図2】本発明による関節窩位置決め装置の実施形態の分解斜視図を示す。
図3】組み立てられた形態での、本発明による関節窩位置決め装置の実施形態の断面側面図を示す。
図4】開いた構成での、本発明による関節窩位置決め装置の実施形態の斜視図を示す。
図5図4の関節窩位置決め装置の上面図を示す。
図6】閉じた構成での、本発明の関節窩位置決め装置の実施形態の斜視図を示す。
図7図6の関節窩位置決め装置の上面図を示す。
図8】本発明による関節窩位置決め装置が位置決めされている、肩甲骨の側面概略図を示す。
図9】キルシュナー鋼線が関節窩位置決め装置に関連付けられている、図8の肩甲骨の正面概略図を示す。
【0022】
さまざまな図面で、類似した要素が類似した参照番号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は肩甲骨1の側面概略図を示す。肩甲骨1の関節窩の形状を分析すると、肩甲骨の関節「窩」として定義され、円周2によって表される、その下部の円形領域2を特定することが可能である。
【0024】
以下で明らかになるように、本発明による関節窩位置決め装置は、特に、解剖学的構造またはリバース型の肩プロテーゼの関節窩部分の埋め込みのためのガイドとして有用となる、基準、たとえばキルシュナー鋼線を位置決めするために、関節窩2の中心3を正確に判定することを可能にする。
【0025】
本発明の関節窩位置決め装置と協働した、関節窩2における埋め込みのための使用可能な基準は、限定されないが、キルシュナー鋼線(「K-鋼線」)または「スタインマンピン」または他のタイプの「ピン」を含む。
【0026】
図2は、本発明による関節窩位置決め装置100の実施形態の斜視図を示す。関節窩位置決め装置100の典型となるものは、関節窩位置決め装置100の要素、さらには内部要素をより効果的に表示するように、「分解」図として提示されている。関節窩位置決め装置100はさらに、その組み立てられた形態でも表され、説明されている。
【0027】
関節窩位置決め装置100は、以下に説明される基準の貫通穴110を備える、およびハブ101内に半径方向に配置された3つのハウジング102a、102b、および102cを含む、ハブ101を備える。
【0028】
関節窩位置決め装置100は、続いて、それぞれ、3つのハウジング102a、102b、および102c内に摺動可能に収容された、3つのスライド要素103a、103b、および103cを備える。
【0029】
以下でより明確になるように、3つのスライド要素103a、103b、および103cは、関節窩位置決め装置100の使用中に、関節窩と相互作用するように構成されている。
【0030】
関節窩位置決め装置100はさらに、ハブ101に軸方向に関連付けられ、その中で回転可能である、中央スピンドル104を備える。好ましくは、ハブ101はさらに、ハブ104の半径方向溝107に係合するように構成されたピン105を備えることで、ハブ101内の中央スピンドル104の回転を可能にするが、軸方向の中央スピンドル104の移動を防止する。
【0031】
関節窩位置決め装置100はさらに、3つのスライド要素103a、103b、および103cの各々を、それぞれ、中央スピンドル104に形成されたそれぞれの座部に接続する3つの接続バー108a、108b、および108cを備える。
【0032】
したがって、関節窩位置決め装置100において、3つのスライド要素103a、103b、および103cは、関節窩の円形領域を特定するために、半径方向に伸長または収縮させられるように構成されている。
【0033】
したがって、特に、3つのスライド要素103a、103b、および103cは、中央スピンドル104の回転によって移動させられる3つの接続バー108a、108b、および108cの作用によって半径方向に伸長または収縮させられるように構成されている。
【0034】
中央スピンドル104の回転は、好ましくは、使用中に、図示されていない、関節窩位置決め装置100に関連付けられたノブによって実施される。
【0035】
図3は、組み立てられた形態での、関節窩位置決め装置100の断面側面図を示す。
【0036】
この側面図では、第1のスライド要素103aおよび第2のスライド要素103bが、肩甲骨の関節窩部分を外部から把持するように構成されたそれぞれの突出端部109aおよび109bを含むことを観察することが可能である。特に、突出端部109aおよび109bは、以下で説明される方法で、関節窩位置決め装置100の使用中に骨表面との摩擦を増加させるように構成された、内部が機械加工またはローレット加工された内面を含む。
【0037】
図4は、開いた構成での、関節窩位置決め装置100の斜視図を示す。
【0038】
図4で見ることができるように、第1のスライド要素103aおよび第2のスライド要素103bは、互いに実質的に対向している、すなわち、ハブ101および中央スピンドル104に対して対向する側に並んでいる。
【0039】
第3のスライド要素103cは、最初の2つのスライド要素103aおよび103bに対して実質的に横向きに並んでいる。以下で説明されるように、第3のスライド要素103cは、特に、それ自体の端部によって視覚的基準を提供するように構成されており、実際に、肩甲骨の解剖学的構造では、突出端部109aおよび109bに類似した突出端部を第3のスライド要素103cに提供することは不可能である。
【0040】
この視点では、3つの接続バー108a、108b、および108cが、トリプルロッドクランクタイプのシステムを形成するように、ピンによって、それぞれ、中央スピンドル104および3つのスライド要素103a、103b、および103cに接続されていることを見ることが可能である。
【0041】
特に、関節窩位置決め装置100のトリプルロッドクランクタイプのシステムは、中央スピンドル104の回転中に、第1の段階で、3つのスライド要素103a、103b、および103を、後続する図6に表されている最大閉鎖位置から、ここで論じられている図4に表されている最大開口位置まで伸長させるように構成されている。
【0042】
さらに、以下で説明されるように、中央スピンドル104の反対方向での回転の間に、3つのスライド要素103a、103b、および103cは、少なくとも部分的に収縮された、さらなる位置に収縮され、そこで、使用中に肩甲骨と相互作用する。
【0043】
図5は、関節窩位置決め装置100の上面図を示す。
【0044】
この視点では、ハブ101および中央スピンドル104が、基準の、たとえばキルシュナー鋼線の軸方向挿入のために構成されている、互いに軸方向に整列させられた、それぞれの基準の貫通穴110を備えることを観察することが可能である。
【0045】
図6は、閉じた構成での、関節窩位置決め装置100の斜視図を示す。
【0046】
図6の図面を図4の図面と比較すると、関節窩位置決め装置100において、スライド要素103a、103b、および103cが伸長または収縮させられるように構成されていることを観察することが可能である。
【0047】
図7は、関節窩位置決め装置100の上面図を示す。
【0048】
さらに、図5の図面を図7の図面と比較すると、関節窩位置決め装置100において、スライド要素103a、103b、および103cが、伸長または収縮させられるように構成されており、それぞれの端部が、中央スピンドル104の回転により可変である半径を有する同じ円周上にあることを観察することが可能である。
【0049】
さらに、ハブ101および中央スピンドル104が、それぞれの基準の貫通穴110へのそれぞれの側方アクセススロット111aおよび111bを備えることを見ることが可能である。
【0050】
上記側方アクセススロット111aおよび111bは、特に中央スピンドル104の回転に由来する角度位置のために、互いに位置合わせされている。
【0051】
上記角度位置は、好ましくは、軸方向の基準の貫通穴110に挿入された、たとえばキルシュナー鋼線などの基準の側方の抜き出しを可能にするような、図7に表される関節窩位置決め装置100の完全な閉鎖位置である。
【0052】
このようにして、基準が肩甲骨の関節窩の中心に位置決めされ、埋め込まれると、側方運動によって関節窩位置決め装置100を容易に取り外すことが可能である。
【0053】
図8は、関節窩位置決め装置100が使用位置に位置決めされている肩甲骨1の側面概略図を示している。
【0054】
既に説明したことに従うと、関節窩位置決め装置100において、3つのスライド要素103a、103b、および103cは、関節窩の円形領域2を特定するように構成されているが、中央スピンドル104および関連する基準の貫通穴110は、特に肩甲骨の関節窩の中心に基準、たとえばキルシュナー鋼線を位置決めするために、円形領域2の中心3を特定するように構成されている。
【0055】
例示的かつ非限定的な目的のために、ここで、本発明による関節窩位置決め装置100の使用例が提供される。
【0056】
まず第一に、関節窩位置決め装置100は、関節窩の下部に位置決めされる。
【0057】
その後、中央スピンドル104の回転を介して、スライド要素103a、103b、および103cは、前後方向に矢状面において関節窩縁を通過するまで、半径方向に伸長させられる。
【0058】
続いて、中央スピンドル104を回転させたまま、スライド要素103a、103b、および103cは、要素103aおよび103bの端部109aおよび109bの内部部分と関節窩縁との間の接触が、前後方向の矢状面上の後者の最大幅の領域において得られるまで、半径方向に収縮される。
【0059】
続く工程では、スライド要素103cの端部が、肩甲骨の関節窩の最下点におおよそ配置されていることが視覚的に確認され、このようにして、肩甲骨の関節窩を特定する円周2を判定するために必要な3つのポイントが特定された。
【0060】
したがって、基準、本例ではキルシュナー鋼線4は、その中におよびハブ101内に存在する基準の貫通穴110を使用して中央スピンドル104に挿入される。
【0061】
利点として、関節窩へのキルシュナー鋼線4の進入が生じるポイントは、上記の関節窩位置決め装置100で処置された、肩甲骨1の肩甲骨の関節窩の中心3を表している。
【0062】
中央スピンドル104のさらなる回転によって装置の完全な閉鎖が得られると、ハブ101および中央スピンドル104の両方の上にある側方アクセススロット111aおよび111bは、互いに位置合わせされ、したがって、基準、本例ではキルシュナー鋼線4を2つの整列したスロット111aおよび111bに通すことによって、関節窩位置決め装置100を、関節窩に一時的に埋め込まれたキルシュナー鋼線4から取り外すことが可能になる。
【0063】
したがって、スライド要素103a、103b、および103cの半径方向のストロークは、それらが半径方向に伸長させられたときに、前後方向に矢状面において関節窩縁を通過するようなものである。
【0064】
図9は、基準、たとえばキルシュナー鋼線が関節窩位置決め装置に関連付けられている、図8の肩甲骨の正面概略図を示している。
【0065】
既に説明したことに従うと、関節窩位置決め装置100は、たとえばキルシュナー鋼線4などの、基準の正確かつ反復可能な位置決めのために、肩甲骨の関節窩の中心を特定するように構成されている。
【0066】
本発明の解決策を用いて、関節窩位置決め装置100が、関節窩の中心3をより高い信頼度で特定し、肩プロテーゼ埋め込み中に使用される、キルシュナー鋼線4によって構成された基準のより正確かつ反復可能な位置決めが可能にされる。
【0067】
スライド要素103a、103b、および103cは、関節窩の円形領域を特定することを可能にし、中央スピンドル104は、肩甲骨の関節窩の中心における基準の位置決めのために円形領域2の中心3を特定するように構成されている。
【0068】
したがって、利点として、正確かつ反復可能な方法で基準を関節窩の肩甲骨の窩の中心に位置決めすることが可能である。
【0069】
偶発的なニーズを満たすために、本発明のさらなる実施および修正が当業者にとって可能であることは明らかである。したがって、上記の実施形態は、限定目的ではなく、例示目的で提供されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9