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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】フィーダ状態表示システム及びフィーダ
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20241227BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023179905
(22)【出願日】2023-10-18
(62)【分割の表示】P 2022086451の分割
【原出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2023182798
(43)【公開日】2023-12-26
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】原 賢志
(72)【発明者】
【氏名】飯阪 淳
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/127956(WO,A1)
【文献】特開平11-317595(JP,A)
【文献】特開2006-286780(JP,A)
【文献】特開2009-182116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の搬送経路に沿って配列した複数台の部品実装機と、
前記複数台の部品実装機のフィーダセット部にセットするフィーダ及び前記フィーダセット部から取り外したフィーダを保管するフィーダ保管庫と、
を備えた部品実装ラインに適用され、
前記フィーダの取り外し方向側の端面部又は上端面部に設けられ、当該フィーダの状態を表示する状態表示部と、
前記フィーダに設けられ、前記状態表示部に表示する当該フィーダの状態の情報を記憶保持する書き換え可能な不揮発性の記憶部と、
生産中に前記フィーダセット部にセットされている前記フィーダの状態の情報を前記記憶部に記憶させる制御部と、
前記フィーダ保管庫に設けられ、前記部品実装機から前記フィーダ保管庫に回収された前記フィーダに給電して当該フィーダの前記記憶部に記憶保持されている当該フィーダの状態を前記状態表示部に表示させる給電部と、
を備える、フィーダ状態表示システム。
【請求項2】
部品実装機のフィーダセット部にセット可能なフィーダであって、
生産中に前記フィーダセット部にセットされている前記フィーダの状態の情報を記憶する書き換え可能な不揮発性の記憶部と、
前記フィーダの取り外し方向側の端面部又は上端面部に設けられ、当該フィーダの状態を表示する状態表示部と、
を備え、
前記フィーダセット部にセットするフィーダ及び前記フィーダセット部から取り外したフィーダを保管するフィーダ保管庫に前記部品実装機から回収された状態で、前記フィーダ保管庫に設けられた給電部により給電されて、前記記憶部に記憶保持されている当該フィーダの状態を前記状態表示部に表示する、フィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、回路基板の搬送経路に沿って複数台の部品実装機を配列した部品実装ラインに適用されるフィーダ状態表示システム及びフィーダに関する技術を開示したものである。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1(国際公開WO2017/141365号公報)に記載されているように、部品実装ラインを構成する複数台の部品実装機のフィーダセット部にセットするフィーダ及び当該フィーダセット部から取り外したフィーダを保管するフィーダ保管庫を部品実装ラインの上流側に配置し、フィーダ保管庫と複数台の部品実装機とに跨がって自動交換装置を移動させることで、自動交換装置がフィーダ保管庫からフィーダを取り出していずれかの部品実装機のフィーダセット部にセットすると共に、いずれかの部品実装機のフィーダセット部から取り外したフィーダをフィーダ保管庫に回収するようにした部品実装ラインがある。
【0003】
このような自動交換装置を備えた部品実装ラインにおいては、特許文献2(国際公開WO2018/127956号公報)に記載されているように、作業者が作業する作業場所とフィーダ保管庫との間を移動するフィーダ運搬装置を配置し、作業場所で作業者がフィーダ運搬装置に交換用のフィーダを積載して、フィーダ運搬装置が交換用のフィーダをフィーダ保管庫まで運搬し、フィーダ運搬装置が交換用のフィーダをフィーダ保管庫に積み替えると共に、フィーダ保管庫に回収されている交換済みのフィーダをフィーダ運搬装置に積み替えて作業場所に戻るようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開WO2017/141365号公報
【文献】国際公開WO2018/127956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1,2のように、自動交換装置を備えた部品実装ラインでは、各部品実装機のフィーダセット部に対しては、自動交換装置がフィーダの交換作業を自動的に行うため、作業者は、部品実装ラインの上流側に配置されたフィーダ保管庫に対してフィーダの補給・回収作業を行ったり、或は、部品実装ラインから離れた作業場所でフィーダ運搬装置に対してフィーダの補給・回収作業を行うようにしている。
【0006】
作業者がフィーダ保管庫又はフィーダ運搬装置から回収するフィーダの中には、後の生産でそのまま再使用できるフィーダもあるが、生産中に部品吸着ミス等でエラー停止したフィーダや、部品切れ又は部品残数が少ないフィーダ等、そのままの状態では再使用できないフィーダ(フィーダの調整作業やテープリール交換作業等を行う必要があるフィーダ)も存在する。
【0007】
しかし、フィーダ保管庫又はフィーダ運搬装置に積載されたフィーダは、その外観から作業者が目視で再使用可能か否かを判別することは困難であるため、作業者がフィーダ保管庫又はフィーダ運搬装置から回収したフィーダがそのままの状態では再使用できない場合であっても、誤って再使用可能と判断してそのまま再使用してしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、回路基板の搬送経路に沿って配列した複数台の部品実装機と、前記複数台の部品実装機のフィーダセット部にセットするフィーダ及び前記フィーダセット部から取り外したフィーダを保管するフィーダ保管庫とを備えた部品実装ラインに適用され、前記フィーダの取り外し方向側の端面部又は上端面部に設けられ、当該フィーダの状態を表示する状態表示部と、前記フィーダに設けられ、前記状態表示部に表示する当該フィーダの状態の情報を記憶保持する書き換え可能な不揮発性の記憶部と、生産中に前記フィーダセット部にセットされている前記フィーダの状態の情報を前記記憶部に記憶させる制御部と、前記フィーダ保管庫に設けられ、前記部品実装機から前記フィーダ保管庫に回収された前記フィーダに給電して当該フィーダの前記記憶部に記憶保持されている当該フィーダの状態を前記状態表示部に表示させる給電部とを備えることを特徴とする。
【0009】
この構成では、フィーダ保管庫に保管されているフィーダのうちの作業者側から見やすい位置である取り外し方向側の端面部又は上端面部に状態表示部が設けられ、この状態表示部に当該フィーダの状態が表示されるため、作業者は、フィーダ保管庫に保管されているフィーダの状態表示部の表示を見るだけで、当該フィーダの状態を容易に知ることができる。これにより、作業者は、フィーダ保管庫から回収するフィーダがそのままの状態で再使用可能か否かを目視だけで容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は実施例1の部品実装ライン全体の構成を示す斜視図である。
図2図2は自動交換装置と部品実装機の構成を概略的に示す斜視図である。
図3図3は自動交換装置付きの部品実装ラインの構成を概略的に示すブロック図である。
図4図4はフィーダを取り外し方向側の斜め方向から見た斜視図である。
図5図5はフィーダの側面図である。
図6図6は部品実装機のフィーダ収容スペースにセットしたフィーダの上端面部側の保持構造を拡大して示す縦断正面図である。
図7図7は部品実装機のフィーダ収容スペースにセットしたフィーダの上端面部側のクランプ構造を拡大して示す一部破断側面図である。
図8図8はフィーダの取り外し方向側の端面部に設けられた状態表示部を拡大して示す斜視図である。
図9図9は部品実装機のフィーダセット部にセットしたフィーダと部品実装機との電気的接続関係を示すブロック図である。
図10図10はフィーダ保管庫に保管したフィーダとフィーダ保管庫との電気的接続関係を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本明細書に開示した2つの実施例1,2を説明する。
【実施例1】
【0012】
図1乃至図10を用いて実施例1を説明する。
【0013】
まず、図1乃至図3を用いて部品実装ライン10の構成を説明する。
【0014】
部品実装ライン10は、回路基板11の搬送方向(X方向)に沿って複数台の部品実装機12を配列して構成され、該部品実装ライン10の基板搬入側には、回路基板11に半田を印刷する半田印刷機(図示せず)や、カセット式のフィーダ14(図4及び図5参照)を保管するフィーダ保管庫19等が設置されている。
【0015】
図2に示すように、各部品実装機12には、回路基板を搬送する2本のコンベア13と、カセット式のフィーダ14から供給される部品を吸着して回路基板11に実装する吸着ノズル(図示せず)を交換可能に保持する実装ヘッド15と、この実装ヘッド15をXY方向(左右前後方向)に移動させるヘッド移動装置16と、液晶ディスプレイ、CRT等の表示装置23(図1参照)等が設けられている。
【0016】
部品実装ライン10の各部品実装機12は、上流側の部品実装機12から搬送されてくる回路基板11をコンベア13によって所定位置まで搬送してクランプ機構(図示せず)で当該回路基板11をクランプして、カセット式のフィーダ14から供給される部品を、実装ヘッド15の吸着ノズルで吸着して、その吸着位置から撮像位置へ移動させて、当該部品をその下面側から部品撮像用カメラ(図示せず)で撮像して当該部品の吸着位置ずれ量等を判定した後、当該部品の吸着位置ずれ量を補正するように実装ヘッド15を回路基板11の上方へ移動させて当該部品を回路基板11に実装して部品実装基板を生産する。
【0017】
次に、図4乃至図7を用いてカセット式のフィーダ14の構成を説明する。
図4及び図5に示すように、フィーダ14の薄型箱状のフィーダ本体31内には、部品供給テープ(図示せず)が巻回されたテープリール32を交換可能(着脱可能)に収容するリール収容スペース33が設けられている。リール収容スペース33の下部側部分には、テープリール32の下部側部分をカバーするリールカバー34が設けられている。リール収容スペース33の上部側部分には、リール収容スペース33内にセットしたテープリール32をセット状態に保持するリール押え35がその上端部両側を支点にして開閉回動可能に設けられている。
【0018】
リール収容スペース33からテープリール32を取り出す場合には、リール押え35をその上端部両側を支点にして上方に回動してリール収容スペース33の上部側を開放して、リール収容スペース33内のテープリール32の上部側を手で掴んで少し手前側に傾けながらテープリール32を斜め上方に抜き出す。テープリール32をリール収容スペース33内にセットする場合には、リール押え35を開放したリール収容スペース33内に斜め上方からテープリール32の下部側をリールカバー34の内側に差し込んでリール押え35を閉じれば、リール収容スペース33内へのテープリール32のセットが完了する。
【0019】
この場合、リール収容スペース33の中心部にテープリール32の中心穴36に嵌まる短い軸(図示せず)を設けて、その短い軸でテープリール32を回転可能に支持する構成としても良い。この構成を採用する場合は、テープリール32の中心穴36に嵌まる軸がテープリール32の着脱性を阻害しないように、軸の長さをテープリール32の中心穴36の長さよりも短くする(例えば1/2~1/3の長さにする)ことが好ましい。或は、リール収容スペース33の下部側に、テープリール32の外周に沿って複数のローラ(図示せず)を設けて、これら複数のローラでテープリール32の外周を回転可能に受け支持する構成としても良い。
【0020】
フィーダ本体31の上端面部のうち、フィーダ本体31の取り付け方向側の端面部に近い位置に、部品実装機12(図2参照)の吸着ノズル(図示せず)で部品を吸着する部品吸着位置が設定されている。フィーダ本体31の上端面部の下側には、テープリール32から引き出した部品供給テープを部品吸着位置へ案内するテープガイド37が設けられている。
【0021】
フィーダ本体31のうち、リール収容スペース33とフィーダ本体31の取り付け方向側の端面部との間のスペースは、電装品収容スペース40となっている。この電装品収容スペース40には、リール収容スペース33内のテープリール32から部品供給テープを引き出して部品吸着位置へピッチ送りするテープ送り装置38(図9参照)と、そのピッチ送り動作を制御する制御部39(図9参照)と、後述するフィーダ14の状態の情報を記憶保持する書き換え可能な不揮発性の記憶部41等の各種電装品が設けられている。書き換え可能な不揮発性の記憶部41は、電源オン中にデータを書き込み可能で電源がオフされても記憶データを保持する記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ、EEPROM、HDD、SSD等)で構成されている。
【0022】
フィーダ本体31の取り付け方向側の端面部のうち、その高さ方向の中央よりも高い位置(本実施例1ではフィーダ本体31の上端面部に近い位置)には、部品実装機12のフィーダセット部51(図6及び図7参照)に対して位置決めする2本の位置決めピン42,42(位置決め部)が上下方向に所定間隔を隔てて設けられている。これら2本の位置決めピン42,42の間には、電源供給及び通信兼用のコネクタ43が設けられ、このフィーダ本体31のコネクタ43を部品実装機12側のコネクタ52(図9参照)に差し込み接続することで、部品実装機12側からフィーダ本体31内のテープ送り装置38、制御部39、記憶部41等の各種電装品に電源が供給されると共に、部品実装機12の制御部20(図9参照)とフィーダ本体31の制御部39との間で制御信号やセンサ信号等の各種信号が送受信される。
【0023】
次に、部品実装機12のフィーダセット部51(フィーダ14を収容するスペース)に対してフィーダ本体31をセット状態に保持する構成を説明する。
【0024】
フィーダ本体31の上端面部のうち、リール収容スペース33の上方側部分には、上部保持部材として、T字型断面のガイドレール45がフィーダ本体31の着脱方向に延びるように設けられている。これに対応して、部品実装機12のフィーダセット部51の上部側の部材51aには、フィーダ本体31のT字型断面のガイドレール45がフィーダ本体31の着脱方向にスライド移動可能に嵌合するT字型断面のスロット溝46(図6及び図7参照)がフィーダ本体31の着脱方向に延びるように設けられ、フィーダ本体31のT字型断面のガイドレール45がフィーダセット部51のT字型断面のスロット溝46に嵌まることで、フィーダ本体31の着脱方向へのスライド移動が案内され且つ下方への抜止めがなされた状態に保持される。図6に示すように、フィーダセット部51の上部側には、複数のスロット溝46が所定間隔で設けられ、フィーダセット部51に複数のフィーダ本体31をセットできるようになっている。
【0025】
また、フィーダ本体31の上端面部のうち、フィーダ本体31の取り外し方向側の端面部に近い位置に、部品実装機12のフィーダセット部51に対してフィーダ本体31を取り付け状態にクランプするクランプ装置54(図7参照)が設けられている。このクランプ装置54は、クランプ動作時にフィーダ本体31の上端面部から斜め上方へ突出するクランプ部材55と、このクランプ部材55をクランプ方向である斜め上方へ付勢するスプリング等のばね56と、クランプ部材55をクランプ解除方向である斜め下方へ引っ込めるクランプ解除動作を操作する操作レバー57(操作部)とを備えている。操作レバー57は、フィーダ本体31の取り外し方向側の端面部から突出するように配置されている。後述する自動交換装置26が部品実装機12のフィーダセット部51に対してフィーダ14を自動交換する際には、自動交換装置26がクランプ装置54のクランプを解除した状態に保持するようになっている。
【0026】
一方、部品実装機12のフィーダセット部51の上部側のうち、クランプ部材55に対応する位置には、クランプ穴61(図7参照)が設けられ、このクランプ穴61にクランプ部材55が嵌まり込むことで、フィーダ本体31が取り付け状態にクランプされるようになっている。この場合、図7に示すように、ばね56によってクランプ部材55がフィーダ本体31の取り外し方向側の斜め上方に押し上げられることで、クランプ部材55の上端部がクランプ穴61のうちのフィーダ本体31の取り外し方向側の側面に押し当てられた状態となり、その反作用によってフィーダ本体31が取り付け方向側に押し付けられて、フィーダ本体31が精度良く位置決めされる共に、コネクタ43,52の接続状態が保持されるようになっている。
【0027】
図4及び図5に示すように、フィーダ本体31の下端面部には、下部保持部材として、I字型断面のガイドレール58がフィーダ本体31の着脱方向に延びるように設けられている。これに対応して、部品実装機12のフィーダセット部51の下部側の部材(図示せず)には、フィーダ本体31のI字型断面のガイドレール58がフィーダ本体31の着脱方向にスライド移動可能に嵌合するI字型断面のレール溝(図示せず)が設けられ、フィーダ本体31のI字型断面のガイドレール58がフィーダセット部51の下部側のI字型断面のレール溝に嵌まることで、フィーダ本体31の着脱方向へのスライド移動が案内され且つ上方へ抜止めされない状態に保持される。これにより、部品実装機12のフィーダセット部51の高さ寸法の製造ばらつきやフィーダ本体31の高さ寸法の製造ばらつきが多少大きくなっても、フィーダ本体31の着脱方向へのスライド移動時に摩擦抵抗力が大きくなることを防止でき、フィーダ本体31の着脱をスムーズに行うことができる。
【0028】
図4及び図5に示すように、フィーダ本体31の取り外し方向側の端面部のうち、その高さ方向の中央よりも低い位置に、フィーダ14の状態を表示する状態表示部65が設けられている。本実施例1では、図8に示すように、状態表示部65は、発光色の異なる複数個、例えば3個のLED等の発光素子66,67,68を縦一列に配列して構成されている。
【0029】
本実施例1では、最下位置の発光素子66は、発光色が緑色であり、フィーダ14に電源が供給されているときに発光素子66が緑色で発光(点灯)することで、電源供給中であることを表示する。中間位置の発光素子67は、発光色が黄色であり、テープリール32に巻回されている部品供給テープの部品残数が所定値以下になったときに、中間位置の発光素子67が黄色で点滅することで、部品残数が所定値以下(部品切れ間近)であることを表示する。更に、部品切れになったときに、中間位置の発光素子67が黄色で発光(点灯)することで、部品切れであることを表示する。最上位置の発光素子68は、発光色が赤色であり、フィーダ14の部品供給動作(テープ送り動作)の異常が発生してエラー停止したときに、最上位置の発光素子68が赤色で発光(点灯)することで、フィーダ14の部品供給動作が異常であることを表示する。また、生産中に部品吸着ミスの発生率等に基づいてフィーダ14のメンテナンスが必要となったと判断したときに、最上位置の発光素子68が赤色で点滅することで、フィーダ14のメンテナンスが必要となったことを表示する。
【0030】
部品実装機12の制御部20は、生産中にフィーダセット部51にセットされているフィーダ14の状態(例えば部品供給動作の異常の有無、部品切れの有無、部品切れが所定値以下か否か、メンテナンスの要否等)を監視して、当該フィーダ14の状態の情報を当該フィーダ14へ転送して記憶部41に記憶する。或は、フィーダ14の制御部39が当該フィーダ14の状態を監視して、当該フィーダ14の状態の情報を記憶部41に記憶するようにしても良い。また、部品実装機12の制御部20は、生産中にフィーダセット部51にセットされているフィーダ14の状態を当該部品実装機12上部の表示装置23に表示するようにしても良い。
【0031】
図1に示すように、部品実装ライン10の前面側には、複数台の部品実装機12のフィーダセット部51に対してフィーダ14の自動交換(セット及び取り外し)を行う自動交換装置26がフィーダ保管庫19と複数台の部品実装機12とに跨がって移動するように設置されている。各部品実装機12のフィーダセット部51の下方には、当該部品実装機12のフィーダセット部51に対して自動交換するフィーダ14を一時的に収納するストック部71が設けられている。自動交換装置26は、フィーダ保管庫19から取り出したフィーダ14をいずれかの部品実装機12のフィーダセット部51又はストック部71にセットしたり、いずれかの部品実装機12のストック部71から取り出したフィーダ14を当該部品実装機12のフィーダセット部51にセットしたり、いずれかの部品実装機12のフィーダセット部51から取り外したフィーダ14を当該部品実装機12のストック部71に回収したり、いずれかの部品実装機12のフィーダセット部51又はストック部71から取り外したフィーダ14をフィーダ保管庫19に回収する。
【0032】
フィーダ保管庫19には、部品実装機12のフィーダセット部51と同様に、複数のフィーダ14をセットする複数のスロット(図示せず)が設けられ、各スロットにそれぞれ給電部として機能する電源供給及び通信兼用のコネクタ81(図10参照)が設けられている。フィーダ保管庫19に保管されている各フィーダ14は、そのコネクタ43をフィーダ保管庫19側のコネクタ81に差し込み接続することで、フィーダ保管庫19側から各フィーダ14内のテープ送り装置38、制御部39、記憶部41等の各種電装品に電源が供給される。これにより、フィーダ保管庫19の制御部82は、各フィーダ14の制御部39と通信して、各フィーダ14の識別情報(フィーダID)を取得して各フィーダ14の種別と各フィーダ14がセットされているスロットの位置を認識する。また、フィーダ保管庫19に保管されている各フィーダ14の制御部39は、当該フィーダ14の記憶部41に記憶保持されている当該フィーダ14の状態を状態表示部65に表示させる。
【0033】
図3に示すように、部品実装ライン10の各部品実装機12の制御部20とフィーダ保管庫19の制御部82と自動交換装置26の制御部27は、部品実装ライン10全体を管理する生産管理用コンピュータ70と有線LAN又は無線LAN等のネットワーク28を介して相互に通信可能に接続され、この生産管理用コンピュータ70によって部品実装ライン10の各部品実装機12の動作と自動交換装置26の動作が管理される。
【0034】
更に、本実施例1の部品実装ライン10は、作業者が作業する作業場所とフィーダ保管庫19との間を自動走行するフィーダ運搬装置76(図1参照)を備え、前記作業場所で作業者がフィーダ運搬装置76に交換用のフィーダ14を積載してフィーダ運搬装置76がフィーダ保管庫19まで運搬し、フィーダ運搬装置76が交換用のフィーダ14をフィーダ保管庫19に積み替えると共に、フィーダ保管庫19に回収されている交換済みのフィーダ14をフィーダ運搬装置76に載せて前記作業場所に戻るようにしている。このようにすれば、フィーダ保管庫19から離れた作業場所で、作業者が交換用のフィーダ14の補給と、回収した交換済みのフィーダ14のテープリール32の交換、メンテナンスや修理を能率良く行うことができる。尚、フィーダ運搬装置76には、フィーダ保管庫19との間でフィーダ14を載せ替えるフィーダ載替え機構(図示せず)が搭載されている。
【0035】
図示はしないが、フィーダ運搬装置76には、フィーダ保管庫19と同様に、複数のフィーダ14をセットする複数のスロットが設けられ、各スロットにそれぞれ給電部として機能するコネクタが設けられている。フィーダ運搬装置76に積載されている各フィーダ14は、そのコネクタ43をフィーダ運搬装置76側のコネクタに差し込み接続することで、フィーダ運搬装置76側から電源が供給される。これにより、フィーダ運搬装置76に積載されている各フィーダ14の制御部39は、当該フィーダ14の記憶部41に記憶保持されている当該フィーダ14の状態を当該フィーダ14の状態表示部65に表示させる。
【0036】
生産管理用コンピュータ70は、無線LAN等でフィーダ運搬装置76と通信して、該フィーダ運搬装置76の動作も管理する。本実施例1では、作業者が作業する作業場所とフィーダ運搬装置76は、複数本の部品実装ライン10で共用するようにしている。このようにすれば、複数本の部品実装ライン10のフィーダ保管庫19への交換用のフィーダ14の補給と、複数本の部品実装ライン10から回収した交換済みのフィーダ14のテープリール32の交換、メンテナンスや修理を、共通の作業場所で同じ作業者が行うことが可能となり、各部品実装ライン10毎に作業場所やフィーダ運搬装置76を設ける必要がなく、その分、工場内に複数本の部品実装ライン10をコンパクトに設置できると共に、複数本の部品実装ライン10の管理に従事する作業者の人数を削減することができて、一層の省力化が可能となる。
【0037】
尚、フィーダ運搬装置76がある場合でも、部品実装ライン10のフィーダ保管庫19に対するフィーダ14の補給・回収作業を作業者が手作業で行うようにしても良く、フィーダ運搬装置76を使用するか否かは作業者の判断に任される。
【0038】
ところで、作業者がフィーダ保管庫19又はフィーダ運搬装置76から回収するフィーダ14の中には、後の生産でそのまま再使用できるフィーダもあるが、生産中に部品吸着ミス等でエラー停止したフィーダや、部品切れ又は部品残数が少ないフィーダ等、そのままの状態では再使用できないフィーダ(フィーダの調整作業やテープリール交換作業等を行う必要があるフィーダ)も存在する。
【0039】
その点、本実施例1では、フィーダ保管庫19に保管されているフィーダ14のうちの作業者側から見やすい位置である取り外し方向側の端面部に状態表示部65が設けられ、この状態表示部65に当該フィーダ14の状態が表示されるため、作業者は、フィーダ保管庫19に保管されているフィーダ14の状態表示部65の表示を見るだけで、当該フィーダ14の状態を容易に知ることができる。これにより、作業者は、フィーダ保管庫19から回収するフィーダ14がそのままの状態で再使用可能か否かを目視だけで容易に判断することができ、その後の作業を能率良く行うことができる。
【0040】
また、作業者が作業する作業場所とフィーダ保管庫19との間を自動走行するフィーダ運搬装置76を使用する場合には、フィーダ運搬装置76に積載したフィーダ14に給電して当該フィーダ14の記憶部41に記憶保持されている当該フィーダ14の状態を当該フィーダ14の状態表示部65に表示させるようにしているため、作業者は、作業場所に戻ってきたフィーダ運搬装置76に積載されているフィーダ14の状態表示部65の表示を見るだけで、当該フィーダ14の状態を容易に知ることができる。これにより、作業者は、フィーダ運搬装置67から回収するフィーダ14がそのままの状態で再使用可能か否かを目視だけで容易に判断することができ、その後の作業を能率良く行うことができる。
【実施例2】
【0041】
次に、実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一の部分については同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主として異なる部分について説明する。
【0042】
前記実施例1では、フィーダ14の記憶部41に、当該フィーダ14の状態の情報を記憶保持させるようにしたが、本実施例2では、生産管理用コンピュータ70の記憶部(図示せず)に、各部品実装機12のフィーダセット部51にセットされているフィーダ14の状態の情報をフィーダIDと関連付けて記憶するようにしている。
【0043】
本実施例2では、生産管理用コンピュータ70は、各部品実装機12の制御部20及びフィーダ保管庫19の制御部82と通信して各部品実装機12及びフィーダ保管庫19にセットされているフィーダ14の識別情報であるフィーダIDを取得して部品実装ライン10の生産を管理すると共に、生産中に各部品実装機12の制御部20から送信されてくる情報に基づいて各部品実装機12にセットされているフィーダ14の状態を監視して当該フィーダ14の状態の情報をフィーダIDと関連付けて記憶部に記憶する。
【0044】
一方、フィーダ保管庫19の制御部82は、生産管理用コンピュータ70と通信して、当該フィーダ保管庫19に保管しているフィーダ14に給電して当該フィーダ14からフィーダIDを取得して当該フィーダIDに対応するフィーダ14の状態を生産管理用コンピュータ70に問い合わせて取得し、当該フィーダ14の状態を状態表示部65に表示させる。
【0045】
また、フィーダ運搬装置76は、生産管理用コンピュータ70と通信して、当該フィーダ運搬装置76に積載したフィーダ14に給電して当該フィーダ14からフィーダIDを取得して当該フィーダIDに対応するフィーダ14の状態を生産管理用コンピュータ70に問い合わせて取得し、当該フィーダ14の状態を状態表示部65に表示させる。
【0046】
以上説明した本実施例2においても、前述した実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0047】
[その他の実施例]
前記実施例1では、フィーダ14の取り外し方向側の端面部に状態表示部65を設けたが、フィーダ保管庫19やフィーダ運搬装置76にフィーダ14を載せた状態で作業者側から見てフィーダ14の上端面部が露出している場合には、フィーダ14の上端面部に状態表示部65を設けた構成としても良く、要は、フィーダ保管庫19やフィーダ運搬装置76にフィーダ14を載せた状態でフィーダ14のうちの作業者側から見やすい位置に状態表示部65を設ければ良い。
【0048】
また、状態表示部65の構成も、前記実施例1に限定されず、発光素子の発光色、数、配置を変更しても良い。或は、状態表示部をデジタル表示器等で構成して、数字、英字等の文字や記号でフィーダ14の状態を表示するようにしても良い。この場合は、数字、英字等の文字や記号とフィーダ14の状態との関係を予め定義付けておけば良い。
【0049】
また、前記実施例1では、フィーダ保管庫19を部品実装ライン10の上流側に配置したが、フィーダ保管庫19を部品実装ライン10の下流側に配置したり、部品実装ライン10を構成する複数台の部品実装機12のうちの任意の部品実装機12の間の位置に配置しても良い。
【0050】
その他、本発明は、前記実施例1,2に限定されず、例えば、フィーダ運搬装置67を省いた構成としたり、部品実装機12のフィーダセット部51に対するフィーダ14の取付構造を変更したり、フィーダ14の構成を変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
10…部品実装ライン、11…回路基板、12…部品実装機、14…フィーダ、15…実装ヘッド、19…フィーダ保管庫、20…部品実装機の制御部、23…表示装置、31…フィーダ本体、32…テープリール、39…フィーダの制御部、41…記憶部、43…コネクタ、51…フィーダセット部、52…コネクタ(給電部)、65…状態表示部、66,67,68…発光素子、71…ストック部、76…フィーダ運搬装置、81…コネクタ(給電部)
図1
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