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特許7612010設備機器、管理装置、設備機器システム、操作受付方法、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】設備機器、管理装置、設備機器システム、操作受付方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20241227BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
H04M11/00 301
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023522048
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2021018817
(87)【国際公開番号】W WO2022244107
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 丈瑠
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-47344(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195371(WO,A1)
【文献】特開2017-168888(JP,A)
【文献】特開2017-75729(JP,A)
【文献】特開2016-23844(JP,A)
【文献】特開2012-202594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F11/50-11/61
H04M11/00-11/10
H04Q9/00-9/16
H04W88/08-88/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作端末から送られた操作指示に応じて運転動作を制御する設備機器であって、
現在の運転状態、及び、当該運転状態を指示した前記操作端末の識別情報を監視する監視手段と、
室内温度が規定温度以上の状態における暖房運転の操作指示、及び、室内温度が規定温度以下の状態における冷房運転の操作指示を禁じる第1のルール、及び、前記第1のルールにて禁じられた操作指示の基準時間内における繰り返し回数を規定する第2のルールを記憶する記憶手段と、
前記操作端末から送られた前記操作指示を受け付けるか否かを決定する操作端末処理手段とを備え、
前記操作端末処理手段は、前記操作端末から送られた前記操作指示が前記第1のルールに合致した場合に、受け付け不可とし、前記操作端末から送られた前記操作指示が前記第2のルールに合致した場合に、前記操作端末の識別情報を除外端末として登録する
設備機器。
【請求項2】
認証端末からの変更要求を入力する入力手段を更に備え、
前記入力手段は、前記変更要求に応じて、前記記憶手段に記憶される前記第1のルール及び前記第2のルールを変更する、
請求項1に記載の設備機器。
【請求項3】
設備機器を管理する管理装置であって、
前記設備機器の運転状態、及び、当該運転状態を指示した操作端末の識別情報を監視する監視手段と、
室内温度が規定温度以上の状態における暖房運転の操作指示、及び、室内温度が規定温度以下の状態における冷房運転の操作指示を禁じる第1のルール、及び、前記第1のルールにて禁じられた操作指示の基準時間内における繰り返し回数を規定する第2のルールを記憶する記憶手段と、
前記操作端末から送られた前記操作指示を受け付けるか否かを決定する操作端末処理手段とを備え、
前記操作端末処理手段は、前記操作端末から送られた前記操作指示が前記第1のルールに合致した場合に、受け付け不可とし、前記操作端末から送られた前記操作指示が前記第2のルールに合致した場合に、前記操作端末の識別情報を除外端末として登録する
管理装置。
【請求項4】
設備機器と、前記設備機器を管理する管理装置と、前記設備機器へ操作指示を送る操作端末とを含んだ設備機器システムであって、
前記設備機器の運転状態、及び、当該運転状態を指示した前記操作端末の識別情報を監視する監視手段と、
室内温度が規定温度以上の状態における暖房運転の操作指示、及び、室内温度が規定温度以下の状態における冷房運転の操作指示を禁じる第1のルール、及び、前記第1のルールにて禁じられた操作指示の基準時間内における繰り返し回数を規定する第2のルールを記憶する記憶手段と、
前記操作端末から送られた前記操作指示を受け付けるか否かを決定する操作端末処理手段とを備え、
前記操作端末処理手段は、前記操作端末から送られた前記操作指示が前記第1のルールに合致した場合に、受け付け不可とし、前記操作端末から送られた前記操作指示が前記第2のルールに合致した場合に、前記操作端末の識別情報を除外端末として登録する
設備機器システム。
【請求項5】
操作端末から送られた操作指示に応じて運転動作を制御する設備機器が実行する操作受付方法であって、
前記設備機器の運転状態、及び、当該運転状態を指示した前記操作端末の識別情報を監視する監視ステップと、
前記操作端末から送られた前記操作指示を受け付けるか否かを決定する操作端末処理ステップとを備え、
前記操作端末処理ステップでは、前記操作端末から送られた前記操作指示が、室内温度が規定温度以上の状態における暖房運転の操作指示、及び、室内温度が規定温度以下の状態における冷房運転の操作指示を禁じる第1のルールに合致した場合に、受け付け不可とし、前記操作端末から送られた前記操作指示が、前記第1のルールにて禁じられた操作指示の基準時間内における繰り返し回数を規定する第2のルールに合致した場合に、前記操作端末の識別情報を除外端末として登録する
操作受付方法。
【請求項6】
設備機器を管理するコンピュータを、
前記設備機器の運転状態、及び、当該運転状態を指示した操作端末の識別情報を監視する監視部、
室内温度が規定温度以上の状態における暖房運転の操作指示、及び、室内温度が規定温度以下の状態における冷房運転の操作指示を禁じる第1のルール、及び、前記第1のルールにて禁じられた操作指示の基準時間内における繰り返し回数を規定する第2のルールを記憶する記憶部、
前記操作端末から送られた前記操作指示を受け付けるか否かを決定する操作端末処理部、として機能させ、
前記操作端末処理部は、前記操作端末から送られた前記操作指示が前記第1のルールに合致した場合に、受け付け不可とし、前記操作端末から送られた前記操作指示が前記第2のルールに合致した場合に、前記操作端末の識別情報を除外端末として登録する
ように機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設備機器、管理装置、設備機器システム、操作受付方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスビル、商業ビルに代表される建物には、空調機器、照明機器等の設備機器を制御する設備機器システムが導入されている。例えば、空調機器を制御する設備機器システムでは、操作パネルが壁に設置されており、その操作パネルからの操作指示に従って、建物内の空調環境を適切に制御することができるようになっている。
【0003】
最近では、操作パネル以外に、ユーザが所持しているスマートフォン、タブレット端末といった操作端末から、設備機器に対して操作指示を送ることのできる設備機器システムも開発されている。なお、制限なく操作端末からの操作指示を受け付けるのは、セキュリティ面で不適切であるため、設備機器システムでは、認証された操作端末だけから操作指示を受け付けるように制限されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、セキュリティ性に優れた空調機器の技術が開示されている。この特許文献1の技術では、空調機器が設置された部屋の予約情報として、予約時間、及び、使用者IDを事前に登録しておき、ユーザの入室時に取得される入室時刻、及び、使用者IDを、登録された予約情報と照合する。そして、照合により予約情報との一致が判別されると、その使用者IDの操作端末から送られた操作指示を受け付けて、空調機器を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/195371号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の技術では、事前に登録された情報と、ユーザの入室時に取得される情報とを照合することで、操作端末を認証している。
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、空調機器を制御する設備機器システムに加えてユーザの入退室を管理する入退室管理システムが必要であり、システム全体のコストが大きくなることが懸念される。
【0008】
また、特許文献1の技術では、操作指示を受け付ける操作端末を認証するだけであり、操作内容については、何ら考慮されていない。そのため、ユーザの誤操作による操作指示、又は、空調環境を意図的に悪化させる操作指示であっても、認証された操作端末から送られた操作指示であれば、そのような不適切な操作指示に従って、空調機器を制御してしまうことになる。
【0009】
このような不適切な操作指示が行われるリスクは、空調機器に限られず、各種の設備機器を制御する設備機器システム全般において懸念されていた。そのため、操作端末からの不適切な操作指示を制限することのできる技術が求められていた。
【0010】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、操作端末からの不適切な操作指示を制限することのできる設備機器、管理装置、設備機器システム、操作受付方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本開示に係る設備機器は、
操作端末から送られた操作指示に応じて運転動作を制御する設備機器であって、
現在の運転状態、及び、当該運転状態を指示した前記操作端末の識別情報を監視する監視手段と、
室内温度が規定温度以上の状態における暖房運転の操作指示、及び、室内温度が規定温度以下の状態における冷房運転の操作指示を禁じる第1のルール、及び、前記第1のルールにて禁じられた操作指示の基準時間内における繰り返し回数を規定する第2のルールを記憶する記憶手段と、
前記操作端末から送られた前記操作指示を受け付けるか否かを決定する操作端末処理手段とを備え、
前記操作端末処理手段は、前記操作端末から送られた前記操作指示が前記第1のルールに合致した場合に、受け付け不可とし、前記操作端末から送られた前記操作指示が前記第2のルールに合致した場合に、前記操作端末の識別情報を除外端末として登録する
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る設備機器システムでは、監視手段が、現在の運転状態、及び、操作端末の識別情報を監視する。そして、操作端末処理手段が、操作端末から送られた操作指示が記憶手段に記憶されるルールに合致した場合に、識別情報が示す操作端末からの操作指示を監視手段にて排除させる。この結果、不適切な操作指示を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施形態1に係る設備機器システムの全体構成の一例を示す図
図2】記憶部に記憶されたルールの一例を示す図
図3】記憶部に記憶された管理テーブルの一例を示す図
図4】本開示の実施形態1に係る操作受付処理の一例を示すフローチャート
図5】本開示の実施形態2に係る設備機器システムの全体構成の一例を示す図
図6】本開示の実施形態2に係る制御処理、及び、操作受付可否処理の一例を示すフローチャート
図7】本開示の他の実施形態に係る設備機器システムの全体構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。以下では、設備機器の一例として、空調機器を制御する設備機器システムについて説明するが、後述するように、他の種類の設備機器を制御する設備機器システムにおいても同様に本開示を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本開示の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素または全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本開示の範囲に含まれる。
【0015】
(実施形態1)
図1は、本開示の実施形態1に係る設備機器システム1の全体構成の一例を示す模式図である。この設備機器システム1は、設備機器10と、操作端末20と、認証端末30とを備えている。
【0016】
設備機器10は、例えば、空調機器であり、操作端末20と通信可能に接続され、その操作端末20から送られた操作指示に応じて運転動作を制御する。なお、操作指示には、操作内容と共に、操作端末20を識別する識別情報が含まれている。また、設備機器10は、認証端末30とも通信可能に接続され、その認証端末30から送られるルール変更要求に従って、後述するルールを変更する。
【0017】
具体的に、設備機器10は、監視手段の一例である監視部11と、記憶手段の一例である記憶部12と、操作端末処理手段の一例である操作端末処理部13と、入力手段の一例である入力部14と、制御部15とを備える。なお、監視部11、操作端末処理部13、入力部14、及び、制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)が、RAM(Random Access Memory)をワークメモリとして用い、ROMに記憶されているプログラムを適宜実行することにより実現される。
【0018】
監視部11は、現在の運転状態、及び、運転状態を指示した操作端末20の識別情報を監視する。なお、後述する操作端末処理部13により、除外端末として操作端末20の識別情報が登録されると、監視部11は、その識別情報の操作端末20から送られる操作指示を排除する。つまり、監視部11は、除外端末となる操作端末20から送られる操作指示を、全て受け付けない。
【0019】
記憶部12は、運転状態を基準時間内で変化させる特定の操作指示を禁じるルール、及び、操作指示を時系列に管理する管理テーブルを記憶する。
【0020】
例えば、記憶部12は、図2に示すようなルール121を記憶する。このルール121には、操作指示を禁じる内容と、その対処が規定されている。具体的には、項番001,004に示すように、運転状態を相反する運転状態に変化させる操作指示を禁じる内容、及び、それらの内容が基準時間内で繰り返された場合に、除外端末に登録するといった対処が規定されている。この他にも、項番003に示すように、運転状態を停止させる操作指示が基準時間内で繰り返された場合に、除外端末に登録することが規定されている。なお、図2に示すルール121は、一例であり、他に、設備機器10が設置されたエリアへの入退室情報、在室情報等、又は、日時、外気温、日射情報等に応じた特定の操作指示を禁じるルールであってもよい。
【0021】
また、記憶部12は、図3に示すような管理テーブル122を記憶する。この管理テーブル122では、操作指示を送ってきた操作端末20の識別情報とその操作内容とが、時刻と対応付けて管理されている。なお、識別情報は、例えば、端末ID、MAC(Media Access Control)アドレス、IP(Internet Protocol)アドレス等である。
【0022】
この他にも、記憶部12は、除外端末として登録された操作端末20の識別情報も記憶する。
【0023】
図1に戻って、操作端末処理部13は、操作端末20から送られた操作指示を受け付けるか否かを決定する。例えば、操作端末処理部13は、操作端末20から送られた操作指示の内容を、上述した図2のルール121と比較し、ルール121の何れかと合致した場合に、除外端末として操作端末20の識別情報を登録する。一例として、操作端末処理部13は、操作端末20から送られた操作指示が、図3の管理テーブルとの関係で、図2のルール121における項番002,003,005等の何れかに合致した場合に、除外端末として操作端末20の識別情報を登録する。それ以降、その識別情報が示す操作端末20からの操作指示が、上述した監視部11にて全て排除されることになる。つまり、その操作端末20からの操作指示を一切、受け付けないように切り換える。
【0024】
入力部14は、認証端末30から送られるルール変更要求を入力する。そして、入力部14は、入力したルール変更要求に応じて、記憶部12に記憶されるルール、つまり、図2のルール121を変更する。このように、操作指示を禁じるためのルール121を、設備機器10の機種、設備機器システム1が導入される環境等に応じて変更できるため、ユーザの利便性とセキュリティ性の両立を図ることが可能となる。
【0025】
制御部15は、除外端末に登録されていない操作端末20からの操作指示に応じて、運転動作を制御する。例えば、制御部15は、操作指示に応じて、冷房運転、暖房運転等の運転モード、設定温度、風量、風向等を制御する。
【0026】
操作端末20は、例えば、ユーザが所持しているスマートフォン、タブレット端末等である。操作端末20は、例えば、Wi-Fi、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy )に代表される無線通信路を通じて設備機器10と接続され、ユーザの操作に応じた操作指示を操作端末20へ送信する。
【0027】
認証端末30は、例えば、設備機器システム1の管理者が所持しているスマートフォン、タブレット端末等である。認証端末30は、例えば、Wi-Fi、BLEに代表される無線通信路を通じて設備機器10と接続され、管理者の操作に応じたルール変更要求を操作端末20へ送信する。
【0028】
以下、このような構成の設備機器システム1の動作について、図4を参照して説明する。図4は、本開示の実施形態1に係る操作受付処理の一例を示すフローチャートである。この操作受付処理は、設備機器10にて繰り返し実行される。
【0029】
まず、設備機器10は、現在の運転状態を監視する(ステップS11)。例えば、監視部11は、既になされた操作指示に応じて運転動作している自身の運転状態を監視する。なお、このステップS11が、監視ステップの一例である。
【0030】
設備機器10は、操作指示を受信したか否かを判別する(ステップS12)。すなわち、監視部11は、操作端末20から新たな操作指示を受信したかどうかを判別する。
【0031】
設備機器10は、操作指示を受信していないと判別すると(ステップS12;No)、上述したステップS11に処理を戻す。
【0032】
一方、操作指示を受信したと判別した場合(ステップS12;Yes)に、設備機器10は、その操作指示が除外端末からであるか否かを判別する(ステップS13)。例えば、監視部11は、操作指示に含まれる識別情報が、除外端末として登録されているかを判別する。
【0033】
設備機器10は、操作指示が除外端末からであると判別すると(ステップS13;Yes)、上述したステップS11に処理を戻す。つまり、除外端末となる操作端末20から送られる操作指示を排除すべく、そのまま、ステップS11に処理を戻す。
【0034】
一方、操作指示が除外端末からでないと判別した場合(ステップS13;No)に、設備機器10は、操作指示の内容をルールと比較する(ステップS14)。すなわち、操作端末処理部13は、操作指示の内容を、図2のルール121と比較する。
【0035】
設備機器10は、比較の結果、合致するルールがあるか否かを判別する(ステップS15)。例えば、操作端末処理部13は、操作指示が、図3の管理テーブルとの関係で、図2のルール121における項番002,003,005等の何れかに合致したかどうかを判別する。
【0036】
設備機器10は、合致するルールがあると判別すると(ステップS15;Yes)、除外端末として識別情報を登録する(ステップS16)。すなわち、操作端末処理部13は、除外端末として操作端末20の識別情報を登録し、それ以降、その識別情報が示す操作端末20からの操作指示が、上述したステップS13にて全て排除されるようにする。そして、設備機器10は、上述したステップS11に処理を戻す。なお、このステップS16が、操作端末処理ステップの一例である。
【0037】
一方、合致するルールがないと判別した場合(ステップS15;No)に、設備機器10は、操作指示に応じた制御を行う(ステップS17)。すなわち、制御部15は、操作指示に応じて、設備機器10の運転動作を制御する。そして、設備機器10は、上述したステップS11に処理を戻す。
【0038】
このような操作受付処理により、操作端末20から送られた操作指示を、図2に示すようなルール121と比較して合致する場合に、除外端末として操作端末20の識別情報が登録される。そして、登録された識別情報が示す操作端末20からの操作指示を、一切、受け付けないように切り換えることができる。これにより、例えば、室温の高い夏季に暖房運転を指示するといった空調環境を意図的に悪化させる操作指示、若しくは、ユーザの誤操作による操作指示を、受け付けないようにすることができる。
【0039】
この結果、操作端末20からの不適切な操作指示を制限することができる。
【0040】
(実施形態2)
上記の実施形態1では、運転状態の監視、ルールの記憶、及び、操作指示がルールに合致するかどうかの判別等の機能を、設備機器10に持たせる場合について説明したが、これらの機能を、設備機器10とは別の装置に持たせるようにしてもよい。
【0041】
以下、運転状態の監視、ルールの記憶、及び、操作指示がルールに合致するかどうかの判別等の機能を、設備機器10を管理する管理装置40に持たせることを特徴とする本開示の実施形態2に係る設備機器システム2について、図5を参照して説明する。
【0042】
図5は、本開示の実施形態2に係る設備機器システム2の全体構成の一例を示す模式図である。この設備機器システム2は、設備機器10と、操作端末20と、認証端末30と、管理装置40とを備えている。
【0043】
設備機器10は、上述した実施形態1と同様に、例えば、空調機器であり、操作端末20と通信可能に接続され、その操作端末20から送られた操作指示に応じて運転動作を制御する。
【0044】
なお、実施形態2の設備機器10は、線通信路、又は、無線通信路を通じて、管理装置40と通信接続されており、例えば、設備機器10の運転状態、設備機器10が操作端末20から受信した操作指示等を、管理装置40へ送信する。また、設備機器10は、主に制御部15を備え、後述する管理装置40に許可された操作指示に応じて、運転動作を制御する。
【0045】
操作端末20は、上述した実施形態1と同様に、例えば、ユーザが所持しているスマートフォン、タブレット端末等であり、無線通信を通じて設備機器10と接続され、ユーザの操作に応じた操作指示を操作端末20へ送信する。
【0046】
認証端末30は、例えば、設備機器システム2の管理者が所持しているスマートフォン、タブレット端末等である。認証端末30は、例えば、Wi-Fi、BLEに代表される無線通信路を通じて管理装置40と接続され、管理者の操作に応じたルール変更要求を管理装置40へ送信する。
【0047】
管理装置40は、例えば、設備機器10を管理するコントローラであり、設備機器10と通信可能に接続され、設備機器10との間で必要な情報を送受信する。また、管理装置40は、認証端末30とも通信可能に接続され、その認証端末30から送られるルール変更要求に従って、ルールを変更する。
【0048】
具体的に、管理装置40は、監視手段の一例である監視部11と、記憶手段の一例である記憶部12と、操作端末処理手段の一例である操作端末処理部13と、入力手段の一例である入力部14とを備える。なお、監視部11、操作端末処理部13、及び、入力部14は、例えば、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されているプログラムを適宜実行することにより実現される。
【0049】
監視部11は、設備機器10の運転状態、及び、運転状態を指示した操作端末20の識別情報を監視する。そして、操作端末処理部13により、除外端末として操作端末20の識別情報が登録されると、監視部11は、その識別情報の操作端末20から送られる操作指示を排除する。つまり、監視部11は、除外端末となる操作端末20から送られる操作指示を、全て許可しない。
【0050】
記憶部12は、運転状態を基準時間内で変化させる特定の操作指示を禁じるルール、及び、操作指示を時系列に管理する管理テーブルを記憶する。例えば、記憶部12は、上述した図2に示すようなルール121、及び、上述した図3に示すような管理テーブル122を記憶する。この他にも、記憶部12は、除外端末として登録された操作端末20の識別情報も記憶する。
【0051】
操作端末処理部13は、設備機器10から転送された操作指示を受け付けるか否か、つまり、操作指示を許可するか否かを決定する。例えば、操作端末処理部13は、操作端末20から送られた操作指示の内容を、上述した図2のルール121と比較し、ルール121の何れかと合致した場合に、除外端末として操作端末20の識別情報を登録する。それ以降、その識別情報が示す操作端末20からの操作指示が、上述した監視部11にて全て排除されることになる。
【0052】
入力部14は、認証端末30から送られるルール変更要求を入力する。そして、入力部14は、入力したルール変更要求に応じて、記憶部12に記憶される図2のルール121を変更する。このように、操作指示を禁じるためのルール121を、設備機器10の機種、設備機器システム2が導入される環境等に応じて変更できるため、ユーザの利便性とセキュリティ性の両立を図ることが可能となる。
【0053】
以下、このような構成の設備機器システム2の動作について、図6を参照して説明する。図6は、本開示の実施形態2に係る制御処理、及び、操作受付可否処理の一例を示すフローチャートである。なお、制御処理は、設備機器10にて繰り返し実行され、また、操作受付可否処理は、管理装置40にて繰り返し実行される。
【0054】
まず、設備機器10は、操作指示を受信したか否かを判別する(ステップS21)。設備機器10は、操作指示を受信していないと判別すると(ステップS21;No)、操作指示を繰り返し待機する。
【0055】
一方、操作指示を受信したと判別した場合(ステップS21;Yes)に、設備機器10は、操作指示を管理装置40へ転送する(ステップS22)。
【0056】
対して、管理装置40は、設備機器10の運転状態を監視する(ステップS31)。例えば、監視部11は、既に許可された操作指示に応じて運転動作している設備機器10の運転状態を監視する。
【0057】
管理装置40は、操作指示が転送されたか否かを判別する(ステップS32)。すなわち、監視部11は、設備機器10から新たな操作指示が転送されたかどうかを判別する。
【0058】
管理装置40は、操作指示が転送されていないと判別すると(ステップS32;No)、上述したステップS31に処理を戻す。
【0059】
一方、操作指示が転送されたと判別した場合(ステップS32;Yes)に、管理装置40は、その操作指示が除外端末からであるか否かを判別する(ステップS33)。例えば、監視部11は、転送された操作指示に含まれる識別情報が、除外端末として登録されているかを判別する。
【0060】
管理装置40は、操作指示が除外端末からであると判別すると(ステップS33;Yes)、上述したステップS31に処理を戻す。つまり、除外端末となる操作端末20からの操作指示を排除すべく、そのまま、ステップS31に処理を戻す。
【0061】
一方、操作指示が除外端末からでないと判別した場合(ステップS33;No)に、管理装置40は、操作指示の内容をルールと比較する(ステップS34)。すなわち、操作端末処理部13は、操作指示の内容を、図2のルール121と比較する。
【0062】
管理装置40は、比較の結果、合致するルールがあるか否かを判別する(ステップS35)。例えば、操作端末処理部13は、操作指示が、図3の管理テーブルとの関係で、図2のルール121における項番002,003,005等の何れかに合致したかどうかを判別する。
【0063】
管理装置40は、合致するルールがないと判別すると(ステップS35;No)、操作指示を許可する(ステップS36)。すなわち、操作端末処理部13は、ルール121にて禁じられていない操作指示であるため、設備機器10に対して、操作指示を許可する
【0064】
一方、合致するルールがあると判別した場合(ステップS35;Yes)に、管理装置40は、除外端末として識別情報を登録する(ステップS37)。すなわち、操作端末処理部13は、除外端末として操作端末20の識別情報を登録し、それ以降、その識別情報が示す操作端末20からの操作指示が、上述したステップS33にて全て排除されるようにする。そして、設備機器10は、上述したステップS31に処理を戻す。
【0065】
対して、設備機器10は、管理装置40からの許可が得られたか否かを判別する(ステップS23)。
【0066】
設備機器10は、管理装置40からの許可が得られなかったと判別すると(ステップS23;No)、上述したステップS21に処理を戻す。
【0067】
一方、管理装置40からの許可が得られたと判別した場合(ステップS23;Yes)に、設備機器10は、操作指示に応じた制御を行う(ステップS24)。すなわち、制御部15は、操作指示に応じて、設備機器10の運転動作を制御する。そして、設備機器10は、上述したステップS21に処理を戻す。
【0068】
これらのような制御処理、及び、操作受付可否処理により、操作端末20から送られた操作指示が設備機器10から管理装置40に転送され、管理装置40にて、図2に示すようなルール121と比較して合致する場合に、除外端末として操作端末20の識別情報が登録される。そして、登録された識別情報が示す操作端末20からの操作指示を、一切、許可しないように切り換えることができる。これにより、例えば、室温の高い夏季に暖房運転を指示するといった空調環境を意図的に悪化させる操作指示、若しくは、ユーザの誤操作による操作指示を、許可しないようにすることができる。
【0069】
この結果、操作端末20からの不適切な操作指示を制限することができる。
【0070】
(他の実施形態)
上記の実施形態2では、運転状態の監視、ルールの記憶、及び、操作指示がルールに合致するかどうかの判別等の機能を、管理装置40に持たせる場合について説明したが、これらの機能を、外部に設置されたサーバに持たせるようにしてもよい。
【0071】
以下、運転状態の監視、ルールの記憶、及び、操作指示がルールに合致するかどうかの判別等の機能を、管理装置40の代わりに、インターネット上のクラウドサーバ50に持たせることを特徴とする他の実施形態に係る設備機器システム3について、図7を参照して簡単に説明する。
【0072】
図7は、本開示の他の実施形態に係る設備機器システム3の全体構成の一例を示す模式図である。この設備機器システム3は、設備機器10と、操作端末20と、認証端末30と、クラウドサーバ50とを備えている。
【0073】
なお、設備機器10、操作端末20、及び、認証端末30は、上述した実施形態2と同様である。それでも、設備機器10とクラウドサーバ50とは、インターネットNを介して通信可能に接続されている。また、認証端末30とクラウドサーバ50とも、インターネットNを介して通信可能に接続されている。
【0074】
クラウドサーバ50は、例えば、設備機器10をインターネットN上から管理するサーバ装置であり、設備機器10と通信可能に接続され、設備機器10との間で必要な情報を送受信する。また、管理装置40は、認証端末30とも通信可能に接続され、その認証端末30から送られるルール変更要求に従って、ルールを変更する。
【0075】
つまり、クラウドサーバ50は、上述した実施形態2における管理装置40と同様に、監視手段の一例である監視部11と、記憶手段の一例である記憶部12と、操作端末処理手段の一例である操作端末処理部13と、入力手段の一例である入力部14とを備えている。なお、監視部11、操作端末処理部13、及び、入力部14は、例えば、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されているプログラムを適宜実行することにより実現される。
【0076】
このような構成の設備機器システム3においても、操作端末20から送られた操作指示が設備機器10からクラウドサーバ50に転送され、クラウドサーバ50にて、図2に示すようなルール121と比較して合致する場合に、除外端末として操作端末20の識別情報が登録される。そして、登録された識別情報が示す操作端末20からの操作指示を、一切、許可しないように切り換えることができる。これにより、例えば、室温の高い夏季に暖房運転を指示するといった空調環境を意図的に悪化させる操作指示、若しくは、ユーザの誤操作による操作指示を、許可しないようにすることができる。
【0077】
この結果、操作端末20からの不適切な操作指示を制限することができる。
【0078】
また、上記の実施形態において、監視部11、操作端末処理部13、及び、入力部14が実現されるプログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc),MO(Magneto-Optical Disk),USBメモリ,メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。そして、かかるプログラムを特定の又は汎用のコンピュータにインストールすることによって、当該コンピュータを上記の実施形態における監視部11、操作端末処理部13、及び、入力部14として機能させることも可能である。
【0079】
また、上記のプログラムをインターネットといった通信ネットワーク上のサーバ装置が有するディスク装置に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロードするようにしてもよい。また、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。さらに、プログラムの全部又は一部をサーバ装置上で実行させ、その処理に関する情報をコンピュータが通信ネットワークを介して送受信しながらプログラムを実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0080】
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを上記の記録媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロードしてもよい。
【0081】
本開示は、広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能である。また、上述した実施形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本開示は、操作端末からの不適切な操作指示を制限することのできる設備機器、管理装置、設備機器システム、操作受付方法、および、プログラムに好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0083】
1,2,3 設備機器システム、10 設備機器、11 監視部、12 記憶部、13 操作端末処理部、14 入力部、15 制御部、20 操作端末、30 認証端末、40 管理装置、50 クラウドサーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7