(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】スピーカー及び音響システム
(51)【国際特許分類】
H04R 9/04 20060101AFI20241227BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20241227BHJP
H04R 9/06 20060101ALI20241227BHJP
H04R 1/24 20060101ALI20241227BHJP
H04R 1/26 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
H04R9/04 105A
H04R1/02 102B
H04R9/06 A
H04R1/24 Z
H04R1/26
(21)【出願番号】P 2023534740
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 CN2021103912
(87)【国際公開番号】W WO2022151671
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】202110062516.9
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519348325
【氏名又は名称】蘇州上声電子股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU SONAVOX ELECTRONICS CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高鵬
(72)【発明者】
【氏名】柴国強
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-127497(JP,U)
【文献】特開2004-328055(JP,A)
【文献】米国特許第05734734(US,A)
【文献】中国実用新案第207802364(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第104980852(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 9/04
H04R 1/02
H04R 9/06
H04R 1/24
H04R 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
振動して音を出すために用いられ、前記フレームに設置されている振動板と、
前記振動板を駆動して振動させるために用いられるボイスコイルと、
前記ボイスコイルを駆動して振動させるために用いられ、前記フレームの上に設置され、前記ボイスコイルの下端を挿入するための磁気隙間を有する磁気回路システムとを備えるスピーカーであって、
前記ボイスコイルの上端部に設置され、前記振動板と接続する環状部材を更に備え
、
前記環状部材は、前記ボイスコイルの上端部に被せられ、
前記振動板には、取付穴が設置されており、前記ボイスコイルの上端部が前記取付穴に挿入され、
前記環状部材の内側表面が前記ボイスコイルの外側表面に接着され、且つ前記環状部材の外側表面が前記取付穴の穴壁に接着され、且つ前記ボイスコイルと前記振動板とが直接接触しないように、前記環状部材が硬化後の接着剤によって形成されていることを特徴とするスピーカー。
【請求項2】
前記環状部材は、前記ボイスコイルと同軸であることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項3】
前記振動板に接続され、前記取付穴の上方を覆う防塵キャップを更に備えることを特徴とする請求項
1に記載のスピーカー。
【請求項4】
前記接着剤は、シラン接着剤
であることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項5】
前記環状部材は、フレキシブル部材であることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項6】
前記環状部材の形状は、中空円筒であることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項7】
前記環状部材の高さは、0.5~5mmであることを特徴とする請求項
6に記載のスピーカー。
【請求項8】
前記ボイスコイルは、前記環状部材により前記振動板と接続することを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項9】
スーパーウーファー、ウーファー又はスコーカーであることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項10】
車載スピーカーであることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項11】
ツイーターを備え、スーパーウーファー、ウーファー及びスコーカーの中の少なくとも1つを更に備える音響システムであって、
前記スーパーウーファー、前記ウーファー又は前記スコーカーは、請求項
1に記載のスピーカーであることを特徴とする音響システム。
【請求項12】
車載音響システムであることを特徴とする請求項
11に記載の音響システム。
【請求項13】
ツイーターユニット及びウーファーユニットを備える同軸スピーカーであって、
前記ウーファーユニットは、請求項
1に記載のスピーカーを採用していることを特徴とする同軸スピーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、スピーカー分野に関し、具体的に、スピーカー及び音響システムに関し、特に、車載スピーカー及び車載音響システムに関する。
【0002】
本願は、2021年1月18日に提出された、出願番号が2021100625169である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が引用により本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
図1は、スーパーウーファー、ウーファー又はスコーカーのような従来のスピーカーの概略構造図である。
図1に示すように、従来のスピーカーは、フレーム1、フレーム1の上に設置されている振動板2及び磁気回路システム4により駆動されて振動させられるボイスコイル3を備える。ボイスコイル3の上端部は、接着等の方法で振動板2に直接に固定されている。例えば、振動板2の中部には、取付穴が開口され、ボイスコイル3は、取付穴の中に設置され、その外壁が振動板2に接着されている。振動板2の上には、ボイスコイル3を覆うための防塵キャップ5も更に固定されている。車内音声再生を行う車載音響システムのような幾つかの応用シナリオでは、このようなスピーカーをツイーターと組み合わせて動作する必要がある。ツイーターと共に動作する場合、周波数応答のスーパーインポーズが生じ、音声の階調感がはっきりしない。この問題を解決するために、スピーカーのドライバー回路ボードにおいては、ローパスフィルタを設計することにより、スーパーウーファー、ウーファー又はスコーカーとツイーターの周波数応答のスーパーインポーズをなくす。しかしながら、このような解決案は、コストが比較的高く、スピーカーの製造及びプロセスが比較的複雑であり、コストパフォーマンスが良くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した問題に鑑み、本願の1つの目的は、動作する時に低周波数がより顕著であり、ツイーターと共に動作する時に周波数応答のスーパーインポーズが生じないことを低コストで実現できるスピーカーを提供することである。
【0005】
本願のもう1つの目的は、回路にローパスフィルタを設置しなくても、比較的低いコストで音声をより自然でクリーンにさせ、階調感がはっかりとなるようにさせることができる音響システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第一の側面によれば、フレームと、振動板と、ボイスコイルと、磁気回路システムとを備えるスピーカーを提供する。前記振動板は、振動して音を出すために用いられ、前記フレームに設置されており、前記ボイスコイルは、前記振動板を駆動して振動させるために用いられ、前記磁気回路システムは、前記ボイスコイルを駆動して振動させるために用いられ、前記フレームの上に設置され、前記ボイスコイルの下端を挿入するための磁気隙間を有する。
【0007】
前記スピーカーは、前記ボイスコイルの上端部に設置され、前記振動板と接続する環状部材を更に備える。
【0008】
一つの好ましい実施形態においては、前記環状部材は、前記ボイスコイルと同軸である。即ち、環状部材の中心線とボイスコイルの中心線は、互いに重なる。
【0009】
一つの好ましい実施形態においては、前記環状部材は、前記ボイスコイルの上端部に被せる。
【0010】
一つのより好ましい実施形態においては、前記振動板には、取付穴が設置されており、前記ボイスコイルの上端部が前記取付穴に挿入され、前記環状部材の内側表面は、前記ボイスコイルの外側表面と接合し、前記環状部材の外側表面は、前記取付穴の穴壁と接合する。
【0011】
更に、前記環状部材の内側表面は、前記ボイスコイルの外側表面と接着する。
【0012】
更に、前記環状部材の外側表面は、前記取付穴の穴壁と接着する。
【0013】
一つの好ましい実施形態においては、前記環状部材の下部は、前記ボイスコイルの上端部に挿入するように設置されている。
【0014】
一つの好ましく且つ具体的な側面によれば、環状部材自身は、シラン接着剤を硬化させることによって形成し、ボイスコイルと振動板に直接に接着することができる。
【0015】
更に、一つの好ましい実施形態においては、前記スピーカーは、前記振動板に接続され、前記取付穴の上方を覆う防塵キャップを更に備える。
【0016】
一つの好ましい実施形態においては、前記環状部材の材料は、紙又はゴムから選択する。更に、一つの好ましい実施形態においては、環状部材の材料は、紙、非発泡ゴム、発泡ゴム、シリコーン又は軟質接着剤の中の一種類である。
【0017】
一つの具体的で且つ好ましい実施形態においては、環状部材は、フレキシブル部材である。更に、環状部材の材料は、シラン接着剤である。
【0018】
一つの好ましい実施形態においては、環状部材の形状は、全体として中空円筒である。
【0019】
一つの好ましい実施形態においては、前記環状部材の高さ(軸方向に沿うサイズ)は、0.5~5mmである。本明細書においては、「軸方向」とは、具体的には、ボイスコイルの中心線に沿う方向を指す。
【0020】
一つの好ましい実施形態においては、前記スピーカーは、スーパーウーファー、ウーファー又はスコーカーである。ウーファーとして用いられる場合、独立したウーファーであっても良く、2つ以上のチャンネルの同軸スピーカーのウーファーユニットであっても良い。
【0021】
一つの好ましい実施形態においては、前記スピーカーは、車載スピーカーである。
【0022】
一つの実施形態においては、前記磁気回路システムは、外磁構造である。もう1つの実施形態においては、前記磁気回路システムは、内磁構造又はフリップチップ磁気回路構造である。
【0023】
更に、前記磁気回路システムは、フェライト、ルビジウム鉄ホウ素又はルビジウムニッケルコバルト磁性鋼を採用する。
【0024】
一つの好ましい実施形態においては、前記ボイスコイルは、前記環状部材のみにより前記振動板と接続している。即ち、ボイスコイルと振動板は、直接に接触せず、環状部材のみにより間接に接続している。
【0025】
本願の第二の側面によれば、ツイーターを備える音響システムを提供する。当該車載音響システムは、スーパーウーファー、ウーファー及びスコーカーの中から選択された少なくとも1つを更に備え、前記スーパーウーファー、ウーファー又はスコーカーは、上述したスピーカーである。
【0026】
一つの好ましい実施形態においては、前記音響システムは、車載音響システムである。もう一つの実施形態においては、前記音響システムは、ホーム音響システムである。
【0027】
本願の第三の側面によれば、ツイーターユニット及びウーファーユニットを備える同軸スピーカーを提供する。前記ウーファーユニットは、上述したスピーカーを用いている。
【発明の効果】
【0028】
本願による上述した技術案は、従来技術に比べ、以下のメリットを有する。本願のスピーカーは、ボイスコイルの上端部が環状部材により振動板に接続されるので、スピーカーの中周波帯域及び高周波帯域を急速に減少させることができ、スピーカーが動作する時に低周波がより顕著であり、ツイーターと共に動作する時に周波数応答のスーパーインポーズが生じず、比較的低いコストで音声をより自然でクリーンにさせ、階調感がはっかりとなるようにさせることができる。当該前提では、スピーカーと音響システムのコストが比較的低く、コストパフォーマンスが比較的高く、スピーカーの製造とプロセスの操作が比較的簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本願の技術案をより分かりやすく説明するために、以下、実施形態の説明に使用する必要のある図面を簡単に紹介する。明らかに、図面は、本願の幾つかの実施形態しか示されておらず、当業者が創造性のある労働をせず、これらの図面から他の関連する図面を取得することができることが理解されたい。
【
図2】本願の一実施形態によるスピーカーの構造模式図である。
【
図3】本願の一実施形態によるスピーカーの分解模式図である。
【
図4】従来のスピーカー及び本願の実施形態のスピーカーの周波数応答曲線の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本願の好ましい実施形態を詳しく説明することにより、当業者は、本願のメリット及び特徴をより分かりやすく理解することができる。なお、これらの実施形態の説明は、本願を理解するために用いられ、本願を限定しない。また、後述の本願の様々な実施形態に含まれる技術特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0031】
本願の説明においては、「上」、「下」、「内」、「外」等の用語で示される向き又は位置関係は、図面に示される向き又は位置関係に基づくものであり、本願を簡潔に分かりやすく説明するものに過ぎず、装置又はデバイスが特定の向きを有し、特定の向きで構築及び操作しなければならないことを示したり暗示したりするものではないので、本願を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0032】
本願の説明においては、他に明確な指定及び限定がない限り、「取り付ける」、「互いに接続する」、「接続する」の用語は、広い意味で理解すべきであり、例えば、固定接続であっても良く、取り外し可能な接続であっても良く、一体に接続しても良く、機械的に接続しても良く、電気的に接続しても良く、直接に接続しても良く、中間媒体により間接に接続しても良く、2つの素子の内部を連通しても良い。当業者にとっては、具体的な状況に基づいて本願における上述した用語の具体的な意味を理解することができる。
【0033】
本願における「複数」は、2つ以上を意味し、他の数量詞は、類似していることが更に理解されたい。単数形の「一つ」、「前記」及び「当該」は、上下の文脈で明確に他の意味を示すことを除き、複数形も含むことを意図している。
【0034】
本明細書に開示されている範囲のエンドポイント及び任意の値は、当該精確な範囲又は値に制限されず、これらの範囲又は値は、これらの範囲又は値に近接する値を含むと理解すべきである。数値の範囲については、各範囲のエンドポイント値の間、各範囲のエンドポイント値と単独のポイント値の間、及び単独のポイント値の間は、互いに組み合わせて一つ又は複数の新しい数値範囲を得ることができ、これらの数値範囲は、本明細書に具体的に開示されていると見なされるべきである。
【0035】
本実施形態は、スピーカーを提供し、具体的には、車載スピーカーを提供し、車載音響システムのスーパーウーファー、ウーファー又はスコーカーとすることができる。
図2及び
図3に示すように、当該スピーカーは、フレーム1、振動板2、ボイスコイル3及び磁気回路システム4を含む。フレーム1は、スピーカー全体の内部部材を支持し、自動車の部材に接続するために用いられ、フレーム1の中部が刳り抜かれており、振動板2、ボイスコイル3及び磁気回路システム4を収容するために用いられる。振動板2は、振動して音を出すために用いられ、振動板2は、フレーム1に設置されている。ボイスコイル3は、振動板2を駆動して振動させるために用いられる。磁気回路システム4は、ボイスコイル3を駆動して振動させるために用いられ、磁気回路システム4は、フレーム1に設置され、磁気回路システム4は、ボイスコイル3の下端部が挿入するための磁気隙間40を有する。当該スピーカーは、環状部材7を更に備え、環状部材7は、ボイスコイル3の上端部に設置され、振動板2に接続されている。ボイスコイル3と振動板2は、直接に接触せず、環状部材7のみにより間接に接続している。
【0036】
振動板2は、コーン本体21と、コーン本体21の外側を囲むエッジリング22とを備え、エッジリング22は、フレーム1の上表面に固定接続され、コーン本体21は、フレーム1の中に位置する。コーン本体21の直径は、上から下へ徐々に減少し、エッジリング22は、コーン本体21の上縁部に接続している。具体的には、エッジリング22は、コーン本体21の上縁部に接着し、エッジリング22は、フレーム1の上表面に接着している。コーン本体21の下部(即ち、中部位置)には、ボイスコイル3を取り付けるための取付穴210が設置されている。
【0037】
ボイスコイル3の下端部は、コイル部であり、磁気回路システム4の磁気隙間40に挿入するために用いられ、電磁作用により上下に振動することができる。 ボイスコイル3の上部は、骨格であり、環状部材により振動板2に固定されている。フレーム1の側面には、接続口11が開口されており、接続口11には、一対の半田付ラグ12が埋設されており、ボイスコイル3のリード線の正極及び負極は、外部のオーディオ信号の入力を容易にするために当該一対の半田付ラグ12に接続されている。
【0038】
環状部材7とボイスコイル3は、同軸である。 即ち、環状部材7の中心線とボイスコイル3の中心線は、互いに重なる。更に、環状部材7は、ボイスコイル3の上端部に被せる。ボイスコイル3の上端部は、取付穴210に挿入し、環状部材7の内側表面は、ボイスコイル3の外側表面に接合し、環状部材7の外側表面は、取付穴210の穴壁に接合する。具体的には、環状部材7の内側表面は、ボイスコイル3の外側表面に接着し、環状部材7の外側表面は、取付穴210の穴壁に接合し、例えば、接着する。他の幾つの実施形態においては、環状部材7の下端部は、ボイスコイル3の上端部に挿入するように設置される。
【0039】
環状部材7の材料は、紙、非発泡ゴム、発泡ゴム及びシラン接着剤の中から選択された一種類である。本実施形態においては、環状部材7は、シラン接着剤を硬化させることによって形成し、振動板2とボイスコイル3との間に直接に接着することができる。また、こうして形成された環状部材7は、フレキシブル材料であり、振動板2とボイスコイル3をフレキシブルに接続し、性能を更に高めることができる。
【0040】
環状部材7の形状は、全体として中空円筒である。環状部材7の軸方向(
図2の上下方向)に沿うサイズ(高さ)は、0.5~5mmである。
【0041】
当該スピーカーは、防塵キャップ5を更に備え、防塵キャップ5は、振動板2に接続され、取付穴210の上方を覆う。
【0042】
本実施形態においては、磁気回路システム4は、外磁構造である。当該磁気回路システム4は、フロントパネル41、磁性鋼42及びリアパネル43を備え、リアパネル43の中部には、上向きに延びる柱状部を有し、磁性鋼42とフロントパネル41は、下から上へ順次柱状部に被せるように設置されており、更に、柱状部とフロントパネル41、磁性鋼42との間に隙間を有し、即ち、上記の磁気隙間40を形成する。磁性鋼42は、フェライト、ルビジウム鉄ホウ素又はルビジウムニッケルコバルト磁性鋼42である。もう1つの実施形態においては、磁気回路システムは、内磁構造である。
【0043】
当該スピーカーは、ダンパー6を更に備え、ダンパー6は、ボイスコイル3に被せ、ダンパー6の外縁は、ボイスコイル3が水平方向に揺れるのを防ぐために、フレーム1に固定されている。よって、ボイスコイル3が上下方向のみに沿って振動することができる。
【0044】
本実施形態は、ツイーターを備える車載音響システムを更に提供する。当該車載音響システムは、スーパーウーファー、ウーファー及びスコーカーの中から選択された少なくとも1つを更に備え、前記スーパーウーファー、ウーファー又はスコーカーは、上述したスピーカーである。
【0045】
本実施形態は、2つ以上のチャンネルの同軸スピーカーを備えた音響システムを更に提供する。当該同軸スピーカーは、ツイーターユニット及びウーファーユニットを備え、ウーファーユニットは、上述したスピーカーを用いる。
【0046】
本実施形態においては、環状部材7によりボイスコイル3と振動板2を接続するので、スピーカーの中間周波数及び高周波数の部分が急速に低下し、スピーカーが動作している時に低周波数がより顕著になり、ツイーターと共に動作する時に周波数応答のスーパーインポーズが生じず、音声をより自然でクリーンにさせ、階調感がはっかりとなるようにさせる。環状部材7を用いるスピーカーは、ツイーターと組み合わせて車載音響システムを構成する場合、従来の(音響システムの駆動回路基板に設置する必要がある)LC回路ローパスフィルタの採用を避けることができる。よって、コストが低く、コストパフォーマンスがより高く、スピーカーの製造とプロセス操作が比較的簡単である。
【0047】
図4は、従来のスピーカーと本実施形態のスピーカーの周波数応答曲線の比較図を示している。
図4に示すように、色が濃い曲線は、従来のスピーカーの周波数応答曲線であり、色が薄い曲線は、本実施形態のスピーカーの周波数応答曲線である。従来のスピーカーの有効周波数範囲は、50~11000Hzであり、ウーファーにとっては、周波数の範囲が広すぎるため、ツイーターとのつながり(中高周波数の音が多すぎ、ノイズが非常に多くなる)に不利である。本実施形態のスピーカーの有効周波数範囲は、50~3000Hzであり、比較周波数応答曲線から分かるように、環状部材7を設置することにより、周波数交差点は、約3000Hzであり、3000~11000Hzの余分の中高周波数を効果的にフィルタアウトすることができ、その中で5500Hz付近の最大音圧は、15dBと降下する。従来のLC回路でフィルタリングして12dBと降下させる場合、一つの2次フィルタが必要で、約3人民元のコストが必要であり、本実施形態のスピーカーの環状部材は、最大で0.5人民元のコストが必要であり、一つのスピーカーは、2.5人民元を節約することができる。
【0048】
上述した実施形態は、本願の技術的概念及び特徴を説明するためのものであり、好ましい実施形態である。その目的は、この技術に精通している人が本願の内容を理解し、それに基づいて実施することができることであり、これらによって本願の特許請求の範囲を制限することができない。
【符号の説明】
【0049】
1 フレーム
11 接続口
12 半田付ラグ
2 振動板
21 コーン本体
210 取付穴
22 エッジリング
3 ボイスコイル
4 磁気回路システム
40 磁気隙間
41 フロントパネル
42 磁性鋼
43 リアパネル
5 防塵キャップ
6 ダンパー
7 環状部材