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特許7612052マルチポートで内部に電源及び負荷のないランダムな電力潮流電力網の障害監視方法
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  • 特許-マルチポートで内部に電源及び負荷のないランダムな電力潮流電力網の障害監視方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】マルチポートで内部に電源及び負荷のないランダムな電力潮流電力網の障害監視方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20241227BHJP
   H02H 3/28 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
H02J13/00 301D
H02H3/28 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023566524
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-24
(86)【国際出願番号】 CN2022077125
(87)【国際公開番号】W WO2022227817
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】202110458549.5
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523223364
【氏名又は名称】保定玉▲しん▼電気科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(72)【発明者】
【氏名】薛占▲ユー▼
(72)【発明者】
【氏名】▲しん▼進春
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111463758(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02H 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチポートで内部に電源及び負荷のないランダムな電力潮流電力網の障害監視方法であって、
前記ランダムな電力潮流電力網と前記ポートはそれぞれ導線を介して接続され、前記導線には変流器が設置され、前記変流器の電流量は電圧量に変換され、
次に、前記電圧量は電圧周波数変換回路を介してパルスに変換され、パルスは光ファイバーを介して比較モジュールに転送され、前記変流器に対応するすべてのパルス数の代数和は、比較モジュールによって計算され、
また、変流器の設置方向がポートのランダムな電力潮流電力網を向かう方向と同じ場合の前記パルス数を正とし、変流器の設置方向がポートのランダムな電力潮流電力網を向かう方向と逆の場合の前記パルス数を負と規定し、或は、変流器の設置方向がポートのランダムな電力潮流電力網を向かう方向と同じ場合の前記パルス数を負とし、変流器の設置方向がポートのランダムな電力潮流電力網を向かう方向と逆の場合の前記パルス数を正と規定し、前記代数和が閾値を超えると、ランダムな電力潮流電力網の内部に障害が発生したと判断することを特徴とする障害監視方法。
【請求項2】
前記電圧は基準電圧昇圧回路により昇圧されてから、前記電圧周波数変換回路に入力されることを特徴とする請求項1に記載の障害監視方法。
【請求項3】
前記各変流器の設置方向は、前記変流器の設置方向が前記ポートの前記ランダムな電力潮流電力網を向かう方向と同じ又は逆であり、比較モジュールにはカウンタと加算器が含まれ、前記代数和は、それぞれのパルス数の和であることを特徴とする請求項1に記載の障害監視方法。
【請求項4】
前記比較モジュールの出力は一定期間ごとにクリアされることを特徴とする請求項3に記載の障害監視方法。
【請求項5】
前記変流器が設置された任意位置における電圧量を変流器によって導入し、前記電圧量は波形整形回路を介してゼロクロスと同位相の方形波に変換し、電圧が第1所定値以上の場合、前記固定周期に対する方形波の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジの誤差が第2所定値より大きい場合、電圧位相に基づく同期修正を実行することを特徴とする請求項4に記載の障害監視方法。
【請求項6】
N個の比較モジュールを設置して、すべてのパルス数の代数和をそれぞれ計算し、且つ各比較モジュールの出力は一定期間Tごとにクリアされ、異なる比較モジュールがクリアを開始する時間はT/Nによって順番に区切られ、少なくとも1つの比較モジュールの計算結果が閾値を超えた場合、前記ランダムな電力潮流電力網の内部に障害が発生したと判断し、前記Nは1より大きい正の整数であることを特徴とする請求項4に記載の障害監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気保護及び監視の分野に関し、特に、マルチポートで内部に電源及び負荷のないランダムな電力潮流電力網の障害監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
差動保護は回路の保護方法であり、幹線と支線の間でよく使用される回路保護方式である。従来の差動保護は、変流器(CT)を介して回路の両端の電流や電圧などのパラメータを取得し、メッセージに変換してコンピュータに送信し、コンピュータがメッセージを解釈し、これにより回路の上点の電流と下点の電流を比較し、上点の電流と下点の電流が等しいかどうかを確認し、等しくない場合は障害と判断し、回路スイッチを遮断して、障害のある回路を遮断する。
【0003】
しかし、メッセージの編集と作成、送信、受信、解釈などのプロセスには多くのつながりがあり、多くの装置や計算量が必要なだけでなく、アルゴリズムが複雑で全体の時間が長く、信頼性設計が難しい。差動保護の応答速度を向上させるために、特許文献1では、入口スイッチと出口スイッチ上の電流量を対応関係のあるパルスに変換し、各パルスをポイントツーポイントで比較モジュールに直接送信し、その後、入口と出口パルスの差値を通じて対応する電気流量の差値を判断し、応答する電力回路の保護方法を開示した。
【0004】
この方式の利点は、メッセージの編集などの手順を省略し、部品の使用量を削減し、応答速度を大幅に向上させることであり、従来の保護方式と比較して、当該方式による差分保護の応答時間は26~40msから5ms未満に短縮された。ただし、当該方法は電源と負荷が決まっている電力網にのみ適用され、即ち、電気エネルギーの流れが決まった電力システムであり、明確な電源と負荷があり、電気エネルギーの伝送方向は常に電源から負荷に向かっている。
【0005】
しかし、技術と社会の発展に伴い、電力網はますます複雑になり、電源、負荷、エネルギー貯蔵コンポーネントのない複雑な電力網では、各ポートを通る電気エネルギーの流れの方向がいつでも変わる可能性があり、特に複雑な電力供給ネットワーク内のハブ変電所では、各入出力線の電気エネルギーの流れの方向はランダムに変化している。
【0006】
また、現在、電気エネルギーを消費する家庭は、家電製品などの負荷だけでなく、太陽エネルギーや風エネルギーなどの発電装置を設置し、未利用の電気エネルギーを電力網にアップロードすることもできる。電力網のポートが上記の特性を有する場合は、上記の特許出願の方法を利用して電力網内に障害がないかどうかを監視できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中国特許出願111463758A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、マルチポートで内部に電源及び負荷のないランダムな電力潮流電力網の障害監視方法を提供することを目的とし、当該方方法は、電気エネルギーの転送方向が不確定な電力網を対象とし、電力網内の単相地絡や相間短絡などの障害を迅速かつ正確に検知でき、障害への対応が早く、正確かつタイムリーな判断ができるという利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策を採用する。マルチポートで内部に電源及び負荷のないランダムな電力潮流電力網の障害監視方法であって、上記ランダムな電力潮流電力網と上記ポートはそれぞれ導線を介して接続され、上記導線には変流器が設置され、上記変流器の電流量は電圧量に変換され、次に、上記電圧量は電圧周波数変換回路を介してパルスに変換され、パルスは光ファイバーを介して比較モジュールに転送され、上記変流器に対応するすべてのパルス数の代数和は、比較モジュールによって計算され、また、変流器の設置方向がポートのランダムな電力潮流電力網を向かう方向と同じ場合の上記パルス数を正とし、変流器の設置方向がポートのランダムな電力潮流電力網を向かう方向と逆の場合の上記パルス数を負と規定し、或は、変流器の設置方向がポートのランダムな電力潮流電力網を向かう方向と同じ場合の上記パルス数を負とし、変流器の設置方向がポートのランダムな電力潮流電力網を向かう方向と逆の場合の上記パルス数を正と規定し、上記代数和が閾値を超えると、ランダムな電力潮流電力網の内部に障害が発生したと判断する。
【0010】
好ましくは、上記電圧は基準電圧昇圧回路により昇圧されてから、上記電圧周波数変換回路に入力される。
【0011】
好ましくは、上記各変流器の設置方向は、上記変流器の設置方向が上記ポートの上記ランダムな電力潮流電力網を向かう方向と同じ又は逆であり、比較モジュールにはカウンタと加算器が含まれ、上記代数和は、それぞれのパルス数の和である。
【0012】
好ましくは、上記比較モジュールの出力は一定期間ごとにクリアされる。
【0013】
好ましくは、上記変流器が設置された任意位置における電圧量を変流器によって導入し、上記電圧量は波形整形回路を介してゼロクロスと同位相の方形波に変換し、電圧が第1所定値以上の場合、上記固定周期に対する方形波の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジの誤差が第2所定値より大きい場合、電圧位相に基づく同期修正を実行する。
【0014】
好ましくは、N個の比較モジュールを設置して、すべてのパルス数の代数和をそれぞれ計算し、且つ各比較モジュールの出力は一定期間Tごとにクリアされ、異なる比較モジュールがクリアを開始する時間はT/Nによって順番に区切られ、少なくとも1つの比較モジュールの計算結果が閾値を超えた場合、上記ランダムな電力潮流電力網の内部に障害が発生したと判断し、上記Nは1より大きい正の整数である。
【発明の効果】
【0015】
ポートに出入りする電気エネルギーが不確定なランダムな電力潮流電力網の場合、導線の電流量は電圧量に変換された後、電圧周波数変換回路(VFC)を介してパルスに変換されて、次に、光ファイバーを介して比較モジュールに転送された後、パルス数の代数和を計算し、パルス数の正負の値及び負の値と変流器の設置方向との関係を規定し、このようにすると、各ポートはどの瞬間に電気エネルギーが流入又は流出しても、或は流入流出が絶えず変換されても、代数和に反映される正と負の値はちょうど相殺するはずであるが、それ以外の場合は、ランダムな電力潮流電力網内部に単相地絡や相間短絡などの障害が発生したことを意味する。
【0016】
本発明は、VFCの使用を変流器の設置方向に関連付け、且つパルス数の正負の符号を規定することで、VFC変換におけるプロトコル不要の迅速性と利便性を十分に利用して、ランダムな電力潮流電力網の電気エネルギー伝送方向の不確定性を巧みに解決できることで、特許文献1の方法では適用不可能な問題が解決されて、ランダムな電力潮流電力網内部に障害が発生したかどうかを正確且つ迅速に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面と併せて実施形態を通じて本発明をさらに説明する。図1に示すように、内部に電源と負荷のない電力網は、4つの導線を介して外部電源及び負荷に接続され、導線L1には変流器が設けられ、導線L2には変流器が設けられ、導線L3には変流器が設けられ、導線L4には変流器が設けられ、4つの導線の他方の端は電源端又は負荷端であり、電源の場合と負荷の場合はランダムに変化し、即ち、各導線上の電気エネルギー伝送の方向は、ポートに向かう場合もあれば、ポートから電力網に向かう場合もあり、且つ2つの方向がいつでも変化する可能性があり、いわゆるランダムな電力潮流電力網を形成している。
【0019】
導線L1上の一次変流器1は、導線L1に流れる電流を検出するために使用され、一次変流器1の設置方向は、ポート又は、導線L1から電力網に向かう方向であり、導線L1上の一次変流器1の電流量は二次変流器11によって電圧量に変換され、そして電圧量は電圧周波数変換回路(VFC)5に送られ、VFCによってパルスに変換され、パルス数は電圧量に正比例し、さらにパルスは光ファイバーを介して比較モジュール9に送られる。
【0020】
同様に、導線L2上には、導線L2に流れる電流を検出するために使用される一次変流器2が設けられて、一次変流器2の設置方向は、導線L2から電力網に向かう方向であり、導線L2上の電流量は二次変流器21によって電圧量に変換された後、VFC6によってパルスに変換され、パルスは光ファイバーを介して比較モジュール9に送られる。導線L3上には、導線L3に流れる電流を検出するために使用される一次変流器3が設けられて、一次変流器3の設置方向は、導線L3から電力網に向かう方向であり、導線L3上の電流量は二次変流器31によって電圧量に変換された後、VFC7によってパルスに変換され、パルスは比較モジュール9に送られる。
【0021】
導線L4上には、導線L4に流れる電流を検出するために使用される一次変流器4が設けられて、一次変流器4の設置方向は、導線L4から電力網に向かう方向であり、導線L4上の電流量は電圧量に変換された後、VFC8によってパルスに変換され、パルスは比較モジュール9に送られ、上記4つの供給源からのパルスは、比較モジュール9で代数和が計算される。
【0022】
上記4つの変流器は同じ方向に設置され、全てがポートから電力網に向かう方向であり、対応するパルス数を正に設定でき(即ち、電気エネルギーが電力網に流入するとき、及び電気エネルギーが電力網から流出するとき、対応するパルス数を正に設定される)、このようにして、比較モジュール9内で直接加算して、合計値が閾値を超えると、電力網内で単相地絡や相間短絡などの障害が発生したと判断される。この場合、保護のために、比較モジュールはアラーム信号を送信したり、電源端のスイッチを遮断する指令を出したりすることができる。
【0023】
上記の実施例では、変流器の設置方向は、いずれもポートから電力網に向かう方向(即ち、変流器を設置する時に、導線に螺旋の進行方向を巻く、全ての変流器部品には、設置方向或は電流の入力及び出力方向の標識があり、設置方向は図1の変流器に矢印で示されている)である。別の実施形態では、変流器の設置方向がランダムに選択される場合、設置方向がポートから電力網に向かう方向である場合に対応するパルス数を正(或は負)と規定でき、この場合、電力網からポートに向かう方向である場合に対応するパルス数は負(或は正)になる。次に、この規則に従って、比較モジュールを通じてパルス数の代数和を計算する。
【0024】
実施形態では、変流器の設置方向が全て同じ場合、比較モジュール9には、カウンタと加算器が含まれ、比較モジュール9はパルスをまずパルス数を表すデジタル量に変換し、加算器は上記デジタル量を加算して閾値と比較して、閾値を超えると電力網内部に障害が発生したと見なされる。
【0025】
VFC変換及び比較モジュールの計算中に存在するノイズ誤差と誤差の累積効果を考慮して、誤差の累積が所定の閾値を超えて判定に影響を与えることを防ぐために、一定期間ごとに比較モジュールの出力をクリアする必要がある。例えば、一実施形態では、まず、周期が10msである固定周期回路を構築し、次に、任意の変流器設置場所で変圧器を介して回路の電圧量を導入し、電圧値が所定値以上の場合、電圧量は波形整形回路によりゼロクロス点と同位相の方形波に変換され、各2つの電圧周期ごとに、ゼロクロス方形波の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジを抽出し、10ms周期が回路の電圧周期と同期するように、10msの固定周期回路に同期修正し(又は修正をしなくてもよい)、固定周期回路は10msごとに比較モジュールの出力をクリアするため、閾値を超えたノイズ誤差の累積による誤判定がないことが保証される。
【0026】
ただし、障害の発生はランダムであり、クリア発生後0ms以上5ms未満の時間内に障害が発生し、故障発生時から比較モジュールの計算結果が所定の閾値を超えるまで5ms累積する必要があると仮定した場合、クリアが発生してから障害が発生したと判断し、スイッチを遮断するまでに5~10msかかる。ただし、クリア後5ms以上10ms未満に障害が発生した場合は、同じく5msの累積が必要であるため、クリア発生後、閾値を超える結果になるまで累積するのに10msかかるが、10msの時点で再度クリアが発生するため、比較モジュールの計算結果はクリアされた後、再計算して累積する必要があり、閾値に到達するのは、さらに5ms経過した時点であり、このように、障害の発生から再度クリアまでの時間は累積の効果がないため、無駄な時間が発生して、トリップ遅延を形成し、スイッチの切断が最大5ms遅れて、障害判定と切断動作の時間が遅延する。
【0027】
この状況を克服するためには、複数の比較モジュールを設置することができる。たとえば、比較モジュールを2つ設置した場合、各スイッチ電流に対応するパルスは1番目の比較モジュールと2番目の比較モジュールに同時に入力され、2つの比較モジュールは同時に並行してデジタル量に変換し、加算又は減算計算を行い、方形波の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジはそれぞれ2つの拡張回路を通過し、1番目の拡張回路は1番目の比較モジュールをクリアし、2番目の拡張回路は2番目の比較モジュールをクリアし、どちらもクリア周期が10msであり、ただし、2番目の比較モジュールのクリア開始時刻は1番目の比較モジュールがクリアされてから10/2=5msであり、即ち、1番目の比較モジュールがクリアされてから5ms後に2番目の比較モジュールがクリアされる。
【0028】
2つの比較モジュールの計算結果に対して「OR」をとり、即ち、少なくとも1つの計算結果が閾値を超えると、スイッチを切る。上記状況(クリア後5ms以上10ms未満に障害が発生した状況)に関しては、1番目の比較モジュールの場合、次のクリア時刻までに、障害は依然として閾値に達するまで累積できず、クリアされてから再度に5ms累積するしかできず、これは、上記の状況と同じである。
【0029】
ただし、2番目の比較モジュールの場合、クリア動作が1番目の比較モジュールがクリアされてから5ms後になるため、障害が発生した時刻は、2番目の比較モジュールでは、クリア後の0ms以上5ms以内に発生した障害に相当するため、当該クリア後5ms以上10ms未満の障害は閾値まで累積できるので(即ち、2番目の比較モジュールがクリアされる前に発生する)、時間の無駄がない。2番目の比較モジュールの計算結果が閾値を超えた場合、1番目の比較モジュールは再計算によりまだ閾値に達していなくても、アラームは電気網の内部の障害を示し、対応するスイッチを遮断できる。
【0030】
障害発生後、累積が閾値に達するまでの時間が5msではなく3.333msである場合、クリア期間がまだ10msであると仮定すると、この場合、3つの比較モジュールを設定し、クリア時間を順次に10/3=3.333msの間隔に設定することで同様の問題を回避できる。複数の比較モジュールを使用して並列計算し、クリア時間をずらす処理方法は、1つの比較モジュールを使用して単純にクリア周期を短縮するのとは異なり、その理由は、クリア周期が変わらないことにより、ノイズエラーに対する耐性が確保され、即ち動作の信頼性が確保される。同時に、時間をずらしてクリアすることはまた、動作のタイムリーさを高める。
【0031】
一実施形態では、電圧周波数変換回路が正の電圧のみを受け入れることができる場合、一次変流器及び二次変流器を介して各ポートの一次AC電流から変換された微弱電流AC電圧信号が得られ、次に、まずDC基準電圧昇圧回路を経て、微弱電流AC電圧量をいずれも正の値の脈動直流電圧量に変換して、電圧周波数変換回路に入力する(VFC回路は一般的に正極性入力のみをサポートする)が、計算の際には各基準電圧昇圧回路によるクリア周期のパルス数を差し引く必要がある。
【0032】
別の実施形態では、変流器が設置された任意位置における電圧量を変流器によって導入し、上記電圧量は波形整形回路を介してゼロクロスと同位相の方形波に変換し、電圧が第1所定値以上の場合(回路に異常がなく、一定の電圧があることを意味し、所定値は実際の状況に応じて手動で設定する)、上記固定周期に対する方形波の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジの誤差が第2所定値(第2所定値は手動で設定し、誤差が当該値を超えた場合に修正できる)より大きい場合、電圧位相に基づく同期修正を実行する。
【0033】
上記実施形態は、本発明の概念及び実装の一部を例示するものであり、本発明を限定することを意図したものではなく、本発明の概念の下では、実質的な変更を伴わない技術的解決策も依然として保護の範囲内にある。
【0034】
産業上の利用可能性
上記技術的解決策は、マルチポートで内部に電源及び負荷のないランダムな電力潮流電力網の障害監視実験が既に実施され、実験結果は、本発明の方法が完全に実行可能であることを示している。
図1