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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】清掃管理装置及び清掃管理方法
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20241227BHJP
【FI】
A47L9/28 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023570600
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2021048867
(87)【国際公開番号】W WO2023127123
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2024-05-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】谷口 明
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-027884(JP,A)
【文献】特開2009-061092(JP,A)
【文献】特開平07-171078(JP,A)
【文献】特開2021-029487(JP,A)
【文献】特開2019-148864(JP,A)
【文献】特開2017-029249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0215694(US,A1)
【文献】国際公開第2021/245796(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/154420(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00- 9/32
A47L11/00-11/40
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動型の清掃ロボットによる清掃作業を管理する清掃管理装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されるプログラムを記憶するメモリとを備え、
前記プロセッサは、前記プログラムに従って、
前記清掃作業の開始前に、前記清掃ロボットの清掃部材により収集される粉塵が蓄えられる粉塵タンク内の粉塵の計量値を取得し、
前記清掃作業の開始時刻及び終了時刻の実績を取得し、
前記清掃作業中の前記清掃ロボットの移動軌跡から、前記清掃ロボットにより実施された清掃の範囲を示す清掃実績範囲を取得し、
前記清掃作業の終了後に、前記計量値を取得し、
前記清掃作業の予定エリアと前記清掃実績範囲とから、前記清掃ロボットの移動機能が正常であるか否かを判定し、
前記清掃作業の予定時刻と、前記開始時刻及び前記終了時刻の前記実績とから、前記清掃作業の実施時刻が正常であるか否かを判定し、
前記清掃作業の前後における前記計量値の変化から、前記清掃ロボットの清掃機能が正常であるか否かを判定し、
前記移動機能の判定結果、前記実施時刻の判定結果、及び前記清掃機能の判定結果のいずれも正常を示す場合に、前記清掃作業が正常に実施されたと判定し、
前記移動機能の判定結果、前記実施時刻の判定結果、及び前記清掃機能の判定結果の少なくとも1つが異常を示す場合に、前記清掃作業が異常であったと判定する、清掃管理装置。
【請求項2】
前記予定時刻は、契約によって定められた契約時刻であり、
前記プロセッサは、前記開始時刻及び前記終了時刻の前記実績を前記契約時刻と比較することによって、前記清掃作業の実施時刻が正常であるか否かを判定する、請求項1に記載の清掃管理装置。
【請求項3】
前記予定エリアは、契約によって定められた契約範囲であり、
前記プロセッサは、前記清掃ロボットの移動軌跡に基づく清掃実績範囲を前記契約範囲と比較することによって、前記移動機能が正常であるか否かを判定する、請求項1又は請求項2に記載の清掃管理装置。
【請求項4】
前記清掃ロボットは、前記清掃部材により収集された粉塵の濃度を計測する粉塵濃度計を含み、
前記計量値は、前記粉塵濃度計により計測された粉塵の濃度である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の清掃管理装置。
【請求項5】
前記清掃ロボットは、前記清掃部材により収集された粉塵の重量を計測する粉塵重量計を含み、
前記計量値は、前記粉塵重量計により計測された粉塵の重量である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の清掃管理装置。
【請求項6】
自律移動型の清掃ロボットによる清掃作業を管理する清掃管理方法であって、
前記清掃作業の開始前に、前記清掃ロボットの清掃部材により収集される粉塵が蓄えられる粉塵タンク内の粉塵の計量値を取得するステップと、
前記清掃作業の開始時刻及び終了時刻の実績を取得するステップと、
前記清掃作業中の前記清掃ロボットの移動軌跡から、前記清掃ロボットにより実施された清掃の範囲を示す清掃実績範囲を取得するステップと、
前記清掃作業の終了後に、前記計量値を取得するステップと、
前記清掃作業の予定エリアと前記清掃実績範囲とから、前記清掃ロボットの移動機能が正常であるか否かをコンピュータにより判定するステップと、
前記清掃作業の予定時刻と、前記開始時刻及び前記終了時刻の前記実績とから、前記清掃作業の実施時刻が正常であるか否かを前記コンピュータにより判定するステップと、
前記清掃作業の前後における前記計量値の変化から、前記清掃ロボットの清掃機能が正常であるか否かを前記コンピュータにより判定するステップと、
前記移動機能の判定結果、前記実施時刻の判定結果、及び前記清掃機能の判定結果のいずれも正常を示す場合に、前記清掃作業が正常に実施されたと判定するステップと、
前記移動機能の判定結果、前記実施時刻の判定結果、及び前記清掃機能の判定結果の少なくとも1つが異常を示す場合に、前記清掃作業が異常であったと判定するステップとを含む、清掃管理方法。
【請求項7】
前記予定時刻は、契約によって定められた契約時刻であり、
前記実施時刻が正常であるか否かを判定するステップは、前記開始時刻及び前記終了時刻の前記実績を前記契約時刻と比較することによって、前記実施時刻が正常であるか否かを判定するステップを含む、請求項6に記載の清掃管理方法。
【請求項8】
前記予定エリアは、契約によって定められた契約範囲であり、
前記移動機能が正常であるか否かを判定するステップは、前記清掃ロボットの移動軌跡に基づく清掃実績範囲を前記契約範囲と比較することによって、前記移動機能が正常であるか否かを判定するステップを含む、請求項6又は請求項7に記載の清掃管理方法。
【請求項9】
前記清掃ロボットは、前記清掃部材により収集された粉塵の濃度を計測する粉塵濃度計を含み、
前記計量値は、前記粉塵濃度計により計測された粉塵の濃度である、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の清掃管理方法。
【請求項10】
前記清掃ロボットは、前記清掃部材により収集された粉塵の重量を計測する粉塵重量計を含み、
前記計量値は、前記粉塵重量計により計測された粉塵の重量である、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の清掃管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、清掃管理装置及び清掃管理方法に関し、特に、自律移動型の清掃ロボットによる清掃作業を管理する清掃管理装置及び清掃管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-29487号公報(特許文献1)には、自律走行型の掃除機(清掃ロボット)が記載されている。この掃除機は、人出現領域情報取得部と、現在位置情報取得部と、制御部とを備える。人出現領域情報取得部は、掃除対象エリアにおいて人出現領域を示す情報を取得する。現在位置情報取得部は、掃除機本体の現在位置を示す情報を取得する。制御部は、人出現領域を示す情報と本体の現在位置を示す情報とに基づいて、掃除機に掃除対象エリアの人出現領域を掃除させる。これにより、掃除対象エリアを効率よく掃除することができるとされる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-29487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
清掃ロボットによる無人での自動清掃を実施する場合、清掃ロボットが予定どおりに清掃を実施したか否かを確認できるようにする必要がある。人が立ち会って清掃ロボットの作業を確認することは、結局、有人清掃と同様に要員が発生してしまう。特許文献1に記載の自律走行型掃除機は、掃除対象エリアを効率よく掃除可能である点で有用であるが、上記のような問題については特に検討されていない。
【0005】
本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、自律移動型の清掃ロボットによる清掃作業が予定どおりに正常に実施されたか否かを後日確認可能とする清掃管理装置及び清掃管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の清掃管理装置は、自律移動型の清掃ロボットによる清掃作業を管理する清掃管理装置であって、プロセッサと、プロセッサによって実行されるプログラムを記憶するメモリとを備える。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムに従って、清掃作業の予定エリアと清掃ロボットの移動軌跡とから、清掃ロボットの移動機能が正常であるか否かを判定する。また、プロセッサは、清掃ロボットの清掃部材が作動していることを示すパラメータに基づいて、清掃ロボットの清掃機能が正常であるか否かを判定する。そして、プロセッサは、移動機能の判定結果と清掃機能の判定結果とに基づいて、清掃作業が正常に実施されたか否かを判定する。
【0007】
また、本開示の清掃管理方法は、自律移動型の清掃ロボットによる清掃作業を管理する清掃管理方法であって、清掃作業の予定エリアと清掃ロボットの移動軌跡とから、清掃ロボットの移動機能が正常であるか否かをコンピュータにより判定するステップと、清掃ロボットの清掃部材が作動していることを示すパラメータに基づいて、清掃ロボットの清掃機能が正常であるか否かをコンピュータにより判定するステップと、移動機能の判定結果と清掃機能の判定結果とに基づいて、清掃作業が正常に実施されたか否かをコンピュータにより判定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
上記の清掃管理装置及び清掃管理方法では、清掃ロボットによる清掃作業が実施されたか否かを判定するにあたり、清掃ロボットの移動機能の判定結果だけでなく、清掃ロボットの清掃機能の判定結果も考慮される。これにより、清掃ロボットによる清掃作業が正常に実施されたか否かが確実に判定される。したがって、この清掃管理装置及び清掃管理方法によれば、清掃ロボットによる清掃作業時に清掃作業を確認するために人が立ち会う必要はなく、清掃ロボットによる清掃作業が予定どおりに正常に実施されたか否かを後日確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態に従う清掃管理装置が適用される清掃システムの全体構成図である。
図2】サーバのハードウェア構成を示す図である。
図3】清掃ロボットの構成例を示す図である。
図4】サーバにおいて管理される情報の一例を示す図である。
図5】時間DBの契約情報テーブルの一例を示す図である。
図6】時間DBの清掃予定テーブルの一例を示す図である。
図7】時間DBの清掃実績テーブルの一例を示す図である。
図8】清掃契約範囲及び清掃実績範囲の一例を示す図である。
図9】図面DBの清掃範囲テーブルの一例を示す図である。
図10】粉塵濃度DBの粉塵濃度テーブルの一例を示す図である。
図11】清掃結果判定DBの判定結果テーブルの一例を示す図である。
図12】清掃ロボットによる清掃作業時にサーバにより実行される、清掃ロボットからのデータ取得処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図13】サーバにより実行される清掃結果判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図14】サーバにより実行される清掃結果判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
図1は、本開示の実施の形態に従う清掃管理装置が適用される清掃システムの全体構成図である。図1を参照して、清掃システム1は、清掃ロボット10と、複数の無線通信機30-1,30-2,30-3…と、サーバ40とを備える。
【0012】
清掃ロボット10は、自律移動型の掃除機である。清掃ロボット10は、バッテリを搭載しており、バッテリに蓄えられた電力を用いて清掃対象のフロア20を走行することができる。清掃ロボット10の底面又は側面下部には、ゴミを吸引する清掃部材が設けられており、清掃ロボット10は、自立的に移動しながら清掃部材を用いてフロア20の清掃を行なうことができる。
【0013】
清掃ロボット10には、無線通信機11が設けられている。無線通信機11は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy、「Bluetooth」は登録商標)通信規格に従う通信方式を用いて、清掃ロボット10の位置を検出するための信号を発信する。BLE通信規格に代えて、UWB(Ultra Wide Band)通信規格等に従う通信方式を用いてもよい。また、無線通信機11は、例えばLTE(Long Term Evolution)等の無線通信規格に従う通信方式を用いて、清掃ロボット10を識別するためのIDや、清掃ロボット10の清掃の開始/終了を示す信号等をサーバ40へ送信する。
【0014】
無線通信機30-1,30-2,30-3…(以下、包括的に「無線通信機30」と称する場合がある。)は、例えば天井35に適当な距離をおいて設置され、清掃ロボット10の無線通信機11と同じ通信規格に従う通信方式を用いて、清掃ロボット10から発信される信号を受信するとともにその受信強度(BLE時)又は信号伝播時間(UWB時)を検知する。各無線通信機30における受信強度又は信号伝播時間から、フロア20における清掃ロボット10の位置を測定することができる。無線通信機30は、清掃ロボット10から受信した信号の受信強度又は信号伝播時間をサーバ40へ出力する。無線通信機30は、壁に設置されてもよい。
【0015】
サーバ40は、清掃ロボット10による清掃作業を管理する。サーバ40は、無線通信機30において受信される信号の受信強度又は信号伝播時間を各無線通信機30から受信し、各無線通信機30における受信強度又は信号伝播時間からフロア20における清掃ロボット10の位置を測定する。そして、サーバ40は、清掃ロボット10による清掃作業が、予め交わされた契約に従って正常に実施されたか否かを判定する。サーバ40については、後ほど詳しく説明する。
【0016】
図2は、サーバ40のハードウェア構成を示す図である。図2を参照して、サーバ40は、CPU(Central Processing Unit)41と、RAM(Random Access Memory)42と、ROM(Read Only Memory)43と、I/F(Interface)装置44と、記憶装置45とを含んで構成される。CPU41、RAM42、ROM43、I/F装置44、及び記憶装置45は、通信バス46を通じて各種データをやり取りする。
【0017】
CPU41は、ROM43に格納されているプログラムをRAM42に展開して実行する。ROM43に格納されているプログラムには、サーバ40によって実行される処理が記述されている。
【0018】
I/F装置44は、無線通信機30及び清掃ロボット10と信号やデータをやり取りするための入出力装置である。I/F装置44は、無線通信機30において受信される信号の受信強度又は信号伝播時間を各無線通信機30から受信する。また、I/F装置44は、LTE等の無線通信規格に従う通信方式を用いて、清掃ロボット10を識別するためのIDや、清掃ロボット10の清掃の開始/終了を示す信号等を清掃ロボット10から受信する。
【0019】
記憶装置45は、各種情報を記憶するストレージであって、清掃ロボット10の情報、フロア20の情報、清掃条件(清掃エリア、頻度、日時等)を定めた清掃契約情報、清掃ロボット10の位置情報及び移動履歴(軌跡)等を記憶する。また、記憶装置45は、清掃ロボット10による清掃作業を管理するための、更新可能な各種データベース(DB)を記憶している。記憶装置45に記憶されている各種DBについては、後ほど詳しく説明する。記憶装置45は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)やソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)等である。
【0020】
図3は、清掃ロボット10の構成例を示す図である。図3を参照して、清掃ロボット10は、無線通信機11と、カメラ12と、制御部13と、駆動部14と、バッテリ15と、清掃部材16と、粉塵濃度計17とを含む。
【0021】
無線通信機11は、図1で説明したように、例えばBLE通信規格に従う通信方式を用いて、清掃ロボット10の位置を検出するための信号を発信する。また、無線通信機11は、例えばLTE等の無線通信規格に従う通信方式を用いて、清掃ロボット10を識別するためのID、清掃ロボット10による清掃の開始を示す清掃開始信号、清掃の終了を示す清掃終了信号、清掃開始前に粉塵濃度計17により計測された粉塵濃度、清掃終了後に粉塵濃度計17により計測された粉塵濃度等の各種情報をサーバ40へ送信する。
【0022】
カメラ12は、清掃ロボット10の周囲を撮像し、撮像画像を制御部13へ出力する。カメラ12に代えて、清掃ロボット10の周辺に存在する物体と清掃ロボット10との距離を測定するレーザ距離計等が設けられてもよい。
【0023】
制御部13は、清掃ロボット10による清掃の開始及び終了を制御する。そして、制御部13は、カメラ12からの撮像画像に基づいて、清掃ロボット10が自律的に移動しながら清掃を行なうように駆動部14及び清掃部材16を制御する。また、制御部13は、清掃の開始前及び終了後に、粉塵濃度計17により計測される粉塵濃度を取得して無線通信機11へ出力する。
【0024】
駆動部14は、清掃ロボット10が走行するための駆動力を発生する。駆動部14は、例えば、清掃ロボット10が移動するための車輪と、車輪を駆動するモータとを含む。駆動部14(モータ)は、バッテリ15から電力の供給を受けて作動することができる。バッテリ15は、駆動部14(モータ)その他清掃ロボット10の各機器が作動するための電力を供給する。
【0025】
清掃部材16は、清掃ロボット10の底面に設けられ、床面の塵埃を吸引するための部材である。清掃部材16は、例えば、吸込口と、吸込口から塵埃を吸引するためのファンと、吸込口に設けられる回転ブラシと、回転ブラシを駆動するモータとを含んで構成される。
【0026】
粉塵濃度計17は、清掃部材16によって集塵された粉塵が蓄えられるタンク内に設けられ、タンク内の粉塵の濃度を計測する。清掃ロボット10による清掃作業の開始前と終了後に粉塵濃度を計測し、清掃作業の前後において粉塵濃度が変化(上昇)しているか否かによって、清掃部材16が正常に作動しているか否か、すなわち清掃ロボット10の清掃機能が正常であるか否かを判定することができる。
【0027】
ビルやショッピングモール等の施設において、上記のような自律移動型の清掃ロボットによる無人での自動清掃を実施する場合、清掃ロボットが予定どおりに清掃を実施したか否かを確認できるようにする必要がある。人が立ち会って清掃ロボットの作業を確認することは、結局、有人清掃と同様に要員が発生してしまう。
【0028】
そこで、本実施の形態では、清掃ロボット10による清掃作業がサーバ40により管理され、清掃ロボット10による清掃作業が予定どおりに正常に実施されたか否かが判定される。すなわち、サーバ40は、本開示における「清掃管理装置」に相当する。清掃ロボットによる清掃作業の実施確認は、清掃ロボットの移動軌跡に基づく移動機能を確認することによって行なわれることが一般的であるところ、本実施の形態に従うサーバ40は、清掃ロボット10の移動機能だけでなく、清掃ロボット10の清掃機能が正常であるか否かも判定した上で、清掃ロボット10による清掃作業が正常に実施されたか否かを判定する。これにより、清掃ロボット10による清掃作業が正常に実施されたか否かが確実に判定される。したがって、清掃ロボット10の作業を確認するために人が立ち会う必要はなく、清掃ロボット10による清掃作業が予定どおり(契約どおり)に正常に実施されたか否かを後日確認することが可能となる。
【0029】
図4は、本実施の形態に従うサーバ40において管理される情報の一例を示す図である。図4を参照して、サーバ40は、清掃エリア及び清掃日時に関する情報が格納される時間DB70と、各清掃エリアの清掃範囲に関する情報が格納される図面DB80と、清掃部材による清掃状態(集塵状態)に関する情報が格納される粉塵濃度DB90と、清掃作業の判定結果に関する情報が格納される清掃結果判定DB100とを含む。これらの各DBは、サーバ40の記憶装置45(図2)に記憶される。
【0030】
時間DB70は、契約情報テーブル72と、清掃予定テーブル74と、清掃実績テーブル76とを含む。契約情報テーブル72は、ビル管理者或いは清掃管理者等との清掃契約で定められた契約条件に関するデータを含む。清掃予定テーブル74は、契約情報テーブル72から清掃当日分の清掃予定を抽出したデータを含む。清掃実績テーブル76は、清掃予定テーブル74の清掃予定に対する清掃時刻の実績に関するデータを含む。
【0031】
図5から図7は、それぞれ時間DB70の契約情報テーブル72、清掃予定テーブル74、及び清掃実績テーブル76の一例を示す図である。
【0032】
図5を参照して、契約情報テーブル72は、清掃契約の契約書で定められた清掃フロア、各フロアにおける清掃エリア、並びに、各エリアの清掃頻度、清掃日、清掃開始時刻、及び清掃終了時刻等のデータを含む。例えば、契約情報テーブル72の一行目について代表的に説明すると、2Fの所定のエリア1について、毎月第1土曜日の2:15から3:45の間に清掃ロボットによる清掃作業を実施する契約が交わされている。
【0033】
図6を参照して、清掃予定テーブル74は、契約情報テーブル72から作成され、清掃当日分の清掃予定のデータを契約情報テーブル72から抽出して作成される。例えば、清掃予定テーブル74は、清掃当日の深夜0時から翌日の0時までの清掃予定のデータを含む。この図6では、第1土曜日の清掃予定のデータが図5の契約情報テーブル72から抽出されて清掃予定テーブル74が作成された例が示されている。清掃予定テーブル74は、1日に1回、予め定められた時刻(例えば、ショッピングモールであれば営業終了時刻等)に作成される。
【0034】
図7を参照して、清掃実績テーブル76は、清掃予定テーブル74に対応して作成され、清掃予定テーブル74の清掃予定に対する清掃実施時刻の実績に関するデータを含む。例えば、清掃実績テーブル76の一行目について代表的に説明すると、2Fのエリア1について、6月5日土曜日にロボット番号Aの清掃ロボット10により、2:23に清掃作業が開始され、3:35に清掃作業が終了したことが示されている。なお、清掃開始時刻及び清掃終了時刻は、ロボット番号Aの清掃ロボット10からそれぞれ清掃開始信号及び清掃終了信号をサーバ40が受信した時刻である。
【0035】
清掃実績テーブル76中の時刻判定結果は、清掃予定テーブル74に示される清掃予定時間内に清掃ロボット10により清掃作業が実施されたか否かの結果を示す。具体的には、清掃エリア毎に、清掃予定時間内(清掃予定テーブル74の清掃開始時刻から清掃終了時刻まで)に清掃ロボット10から清掃開始信号及び清掃終了信号を受信したか否かの判定結果が時刻判定結果に示される。
【0036】
例えば、2Fのエリア1については、清掃予定テーブル74に示される清掃予定時間(2:15から3:45)に対して、ロボット番号Aの清掃ロボット10から2:23及び3:35にそれぞれ清掃開始信号及び清掃終了信号を受信している。したがって、サーバ40は、清掃予定時間内に清掃ロボット10により清掃作業が実施されたものと判定し、時刻判定結果に「正常」を格納する。
【0037】
2Fのエリア3については、清掃予定テーブル74に示される清掃予定時間(22:05から22:55)に清掃ロボット10から清掃開始信号及び清掃終了信号を受信していない(清掃実績テーブル76の清掃開始時刻及び清掃終了時刻が空欄)。したがって、サーバ40は、清掃予定時間内に清掃作業が実施されなかったものと判定し、時刻判定結果に「異常」を格納する。
【0038】
3Fのエリア4については、清掃予定テーブル74に示される清掃予定時間(1:55から2:45)に対して、ロボット番号Eの清掃ロボット10から2:00及び2:55にそれぞれ清掃開始信号及び清掃終了信号を受信している。清掃終了信号を受信した清掃終了時刻(2:55)が清掃予定の終了時刻(2:45)よりも遅いため、サーバ40は、清掃予定時間内に清掃ロボット10により清掃作業が終了しなかったものと判定し、この場合も時刻判定結果に「異常」を格納する。
【0039】
再び図4を参照して、図面DB80には、清掃予定テーブル74に示される清掃エリア毎に、清掃ロボット10による清掃範囲に関する情報が格納される。図面DB80は、清掃範囲テーブル86を含む。清掃範囲テーブル86は、清掃予定テーブル74で予定されている清掃当日分の清掃エリア毎に、清掃契約に基づく清掃予定範囲に対する清掃範囲の実績に関するデータを含む。
【0040】
図8は、清掃契約範囲及び清掃実績範囲の一例を示す図である。図8を参照して、清掃契約範囲82は、契約書において清掃対象とされるエリアを示す。この例では、2Fのエリア1~エリア4のうちエリア1,3,4にそれぞれ対応する範囲112,116,118が、契約で定められた当日の清掃エリアであることが示されている。
【0041】
清掃実績範囲84は、清掃ロボット10の移動軌跡に基づく清掃ロボット10の清掃実績エリアを示す。清掃実績範囲84は、清掃契約範囲82に対応して作成され、清掃ロボット10の移動軌跡に基づいて、清掃ロボット10が移動したエリアを示す。この例では、2Fのエリア1,エリア4にそれぞれ対応する範囲122,128を清掃ロボット10が移動したことが示されている。
【0042】
なお、清掃実績範囲84は、清掃ロボット10の移動軌跡に基づいて作成されるものであり、清掃ロボット10の移動機能を確認するためのデータである。清掃実績範囲84では、清掃ロボット10の清掃部材16の作動状態(清掃ロボット10の清掃機能)は考慮されていない。清掃部材16の作動状態は、粉塵濃度DB90において管理される。
【0043】
図9は、図4に示した図面DB80の清掃範囲テーブル86の一例を示す図である。図9を参照して、清掃範囲テーブル86は、時間DB70の清掃予定テーブル74(図6)に対応して作成され、清掃予定テーブル74で予定されている清掃当日分の清掃エリア毎に、清掃契約範囲を示す図面番号、清掃実績範囲を示す図面番号、清掃日時、及び清掃契約範囲に対する清掃実績範囲の判定結果等のデータを含む。
【0044】
例えば、清掃範囲テーブル86の一行目について説明すると、2Fの所定のエリア1について、当該エリアの清掃契約範囲を示す図面データの番号がC-2F-1であり、清掃ロボット10による当該エリアの清掃実績範囲を示す図面データの番号がA-2F-1であることが示されている。清掃実績範囲を示す図面番号A-2F-1の図面データは、当該エリアを清掃するロボット番号Aの清掃ロボット10の位置情報から得られる移動軌跡に基づいて作成される。
【0045】
そして、サーバ40は、図面番号A-2F-1の清掃実績範囲を図面番号C-2F-1の清掃契約範囲と比較し、例えば清掃実績範囲が清掃契約範囲の所定割合以上であれば、清掃範囲判定結果に「正常」を格納する。
【0046】
また、清掃範囲テーブル86の二行目について説明すると、2Fのエリア3については、清掃ロボット10により清掃作業が実施されなかったため、当該エリアの清掃実績範囲を示す図面が存在しない。したがって、サーバ40は、清掃範囲判定結果に「異常」を格納する。
【0047】
再び図4を参照して、粉塵濃度DB90には、清掃予定テーブル74に示される清掃エリア毎に、清掃ロボット10の清掃部材による清掃状態(集塵状態)に関する情報が格納される。粉塵濃度DB90は、粉塵濃度テーブル92を含む。粉塵濃度テーブル92は、清掃予定テーブル74で予定されている清掃当日分の清掃エリア毎に、清掃ロボット10において収集される粉塵の濃度に関するデータを含む。
【0048】
図10は、図4に示した粉塵濃度DB90の粉塵濃度テーブル92の一例を示す図である。図10を参照して、粉塵濃度テーブル92は、時間DB70の清掃予定テーブル74(図6)に対応して作成され、清掃予定テーブル74で予定されている清掃当日分の清掃エリア毎に、清掃開始時の粉塵濃度及びその測定時刻、清掃終了時の粉塵濃度及びその測定時刻、並びに粉塵濃度に基づく清掃機能の判定結果等のデータを含む。
【0049】
例えば、粉塵濃度テーブル92の一行目について説明すると、2Fの所定のエリア1について、ロボット番号Aの清掃ロボット10の清掃開始時に、粉塵濃度計17による粉塵タンク内の粉塵濃度の計測値(10CPM)及びその計測時刻(2:23)がそれぞれ開始粉塵濃度及び開始時計測時刻に格納される。また、清掃終了時に、粉塵濃度計17による粉塵濃度の計測値(15CPM)及びその計測時刻(3:35)がそれぞれ終了粉塵濃度及び終了時計測時刻に格納される。
【0050】
粉塵濃度テーブル92中の粉塵濃度判定結果は、清掃作業前後における粉塵濃度の変化(上昇)に基づいて、清掃ロボット10の清掃機能が清掃作業中に正常に作動していたか否かの結果を示す。具体的には、サーバ40は、清掃エリア毎に、清掃開始時から清掃終了時までの粉塵濃度の変化(上昇)を算出する。そして、サーバ40は、粉塵濃度の変化(上昇)がしきい値を超えている場合に、清掃ロボット10の清掃機能が正常であったものと判定し、粉塵濃度判定結果に「正常」を格納する。
【0051】
粉塵濃度テーブル92の一行目の例では、清掃開始時から清掃終了時までの粉塵濃度の変化(5CPM上昇)がしきい値を超えていると判定され、粉塵濃度判定結果に「正常」が格納されている。なお、二行目の例では、清掃作業が実施されなかったため、粉塵濃度の計測値がなく、粉塵濃度判定結果は「異常」となっている。
【0052】
再び図4を参照して、清掃結果判定DB100には、清掃予定テーブル74に示される清掃エリア毎に、清掃ロボット10による清掃作業の判定結果に関する情報が格納される。清掃結果判定DB100は、判定結果テーブル102を含む。判定結果テーブル102は、清掃予定テーブル74で予定されている清掃当日分の清掃エリア毎に、清掃ロボット10による清掃作業が契約に従って正常に実施されたか否かの判定結果のデータを含む。
【0053】
図11は、図4に示した清掃結果判定DB100の判定結果テーブル102の一例を示す図である。図11を参照して、判定結果テーブル102は、時間DB70の清掃予定テーブル74(図6)に対応して作成され、清掃予定テーブル74で予定されている清掃当日分の清掃エリア毎に、時刻判定結果、清掃範囲判定結果、及び粉塵濃度判定結果の各判定結果を含む。
【0054】
時刻判定結果は、時間DB70の清掃実績テーブル76から取得され、清掃予定時間内に清掃ロボット10により清掃作業が実施されたか否かの結果を示す。清掃範囲判定結果は、図面DB80の清掃範囲テーブル86から取得され、清掃契約範囲内を清掃ロボット10が移動したか否か、すなわち清掃ロボット10の移動機能が正常であったか否かの結果を示す。粉塵濃度判定結果は、粉塵濃度DB90の粉塵濃度テーブル92から取得され、清掃ロボット10の清掃部材16が清掃作業中に作動していたか否か、すなわち清掃ロボット10の清掃機能が正常であったか否かの結果を示す。
【0055】
そして、判定結果テーブル102は、清掃予定テーブル74で予定されている清掃当日分の清掃エリア毎に、清掃ロボット10による清掃作業が契約に従って正常に実施されたか否かの最終的な判定結果を示す清掃判定結果のデータをさらに含む。清掃判定結果は、上記の時刻判定結果、清掃範囲判定結果、及び粉塵濃度判定結果に基づいて決定される。具体的には、サーバ40は、清掃エリア毎に、時刻判定結果、清掃範囲判定結果、及び粉塵濃度判定結果のいずれも「正常」である場合に、清掃判定結果に「正常」を格納する。他方、時刻判定結果、清掃範囲判定結果、及び粉塵濃度判定結果の少なくとも1つが「異常」である場合には、サーバ40は、清掃判定結果に「異常」を格納する。
【0056】
このように、本実施の形態では、清掃ロボット10の移動機能が正常であるか否かを示す清掃範囲判定結果だけでなく、清掃ロボット10の清掃機能が正常であるか否かを示す粉塵濃度判定結果も考慮した上で、清掃ロボット10による清掃作業が正常に実施されたか否かが判定される。これにより、清掃ロボット10による清掃作業が契約どおりに実施されたか否かが確実に判定される。
【0057】
図12は、清掃ロボット10による清掃作業時にサーバ40により実行される、清掃ロボット10からのデータ取得処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、清掃ロボット10毎かつ清掃エリア毎に、清掃ロボット10による清掃作業に伴なって実行される。なお、清掃ロボット10から取得される各データには、送信元の清掃ロボット10のIDが含まれており、サーバ40は、取得される各データに含まれるIDによって送信元の清掃ロボット10を特定する。
【0058】
図12を参照して、サーバ40は、清掃ロボット10による清掃の開始前に清掃ロボット10において粉塵濃度計17により計測された粉塵タンク内の粉塵濃度の計測値を清掃ロボット10から取得する(ステップS10)。なお、サーバ40は、粉塵濃度の計測値を取得した時刻及び計測値を、粉塵濃度DB90の粉塵濃度テーブル92(図10)の、送信元の清掃ロボット10に対応する開始時計測時刻及び開始粉塵濃度にそれぞれ格納する。
【0059】
次いで、サーバ40は、清掃ロボット10による清掃の開始を示す清掃開始信号を清掃ロボット10から取得する(ステップS20)。そして、サーバ40は、その清掃開始信号を取得した時刻を、清掃ロボット10による清掃開始時刻として特定する(ステップS30)。特定された時刻は、時間DB70の清掃実績テーブル76(図7)において、送信元の清掃ロボット10に対応する清掃開始時刻に格納される。
【0060】
続いて、サーバ40は、清掃ロボット10の位置情報を取得する(ステップS40)。詳細には、サーバ40は、各無線通信機30が清掃ロボット10から受信した信号の受信強度(BLE時)又は信号伝播時間(UWB時)を各無線通信機30から取得し、各無線通信機30の受信強度又は信号伝播時間から公知の手法によって清掃ロボット10の位置を取得する。
【0061】
そして、サーバ40は、清掃ロボット10の位置情報を用いて、清掃ロボット10の移動軌跡を生成する(ステップS50)。この清掃ロボット10の移動軌跡の生成は、清掃ロボット10による清掃が終了するまで繰り返し実行される。
【0062】
次いで、サーバ40は、清掃ロボット10による清掃の終了を示す清掃終了信号を清掃ロボット10から取得したか否かを判定する(ステップS60)。サーバ40は、清掃終了信号を取得していなければ(ステップS60においてNO)、ステップS40へ処理を戻す。
【0063】
他方、ステップS60において清掃終了信号が取得されたと判定されると(ステップS60においてYES)、サーバ40は、その清掃終了信号を取得した時刻を、清掃ロボット10による清掃終了時刻として特定する(ステップS70)。特定された時刻は、時間DB70の清掃実績テーブル76において、送信元の清掃ロボット10に対応する清掃終了時刻に格納される。
【0064】
続いて、サーバ40は、清掃ロボット10による清掃の終了後に清掃ロボット10において粉塵濃度計17により計測された粉塵タンク内の粉塵濃度の計測値を清掃ロボット10から取得する(ステップS80)。なお、サーバ40は、粉塵濃度の計測値を取得した時刻及び計測値を、粉塵濃度DB90の粉塵濃度テーブル92の、送信元の清掃ロボット10に対応する終了時計測時刻及び終了粉塵濃度にそれぞれ格納する。
【0065】
最後に、サーバ40は、ステップS50において生成された移動軌跡から、送信元の清掃ロボット10により実施された清掃の範囲を示す清掃実績範囲(図8)を特定する(ステップS90)。この清掃実績範囲は、図面データとして記憶装置45に格納され、その図面データの番号が、図面DB80の清掃範囲テーブル86(図9)において対応の清掃エリアの清掃実績範囲図面番号に格納される。
【0066】
図13及び図14は、サーバ40により実行される清掃結果判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図13を参照して、まず、清掃契約の契約書から、時間DB70内に契約情報テーブル72(図5)が作成される(ステップS110)。なお、契約情報テーブル72の作成は、清掃システム1のユーザによって行なわれるものとするが、サーバ40が、所定のフォームに従う契約書から所定の項目を抽出することにより、契約書から契約情報テーブル72を自動的に生成するようにしてもよい。
【0067】
次いで、サーバ40は、契約情報テーブル72から、清掃当日分の清掃予定テーブル74(図6)を作成する(ステップS120)。例えば、サーバ40は、1日に1回、予め定められた時刻に、契約情報テーブル72から清掃当日の深夜0時から翌日の0時までの清掃予定のデータを抽出して清掃予定テーブル74を作成する。
【0068】
清掃予定テーブル74が作成された後、以降のステップS130から図14のステップS270までの一連の処理は、清掃予定テーブル74の清掃エリア毎に実行される。以下では、清掃予定テーブル74に含まれる任意の1つの清掃エリアについて説明する。
【0069】
サーバ40は、清掃ロボット10によって清掃が開始されたか否かを判定する(ステップS130)。清掃が開始されたか否かは、その清掃ロボット10から清掃開始信号を受信したか否かによって判定される。なお、サーバ40は、信号送信元の清掃ロボット10の位置情報に基づいて、当該清掃ロボット10が清掃を行なうエリアを特定することができる。
【0070】
ステップS130において清掃ロボット10により清掃が開始されたと判定されると(ステップS130においてYES)、サーバ40は、清掃開始信号を受信した時刻を清掃実績テーブル76(図7)の清掃開始時刻に格納する(ステップS140)。さらに、サーバ40は、清掃の開始に伴ない清掃ロボット10から受信した清掃開始前の粉塵濃度の計測値を、粉塵濃度DB90の粉塵濃度テーブル92(図10)の、当該清掃ロボット10に対応する開始粉塵濃度に格納する(ステップS150)。なお、サーバ40は、その粉塵濃度の計測値を受信した時刻を、粉塵濃度テーブル92の、当該清掃ロボット10に対応する開始時計測時刻にも格納する。
【0071】
なお、特に図示しないが、清掃ロボット10による清掃が開始されることなく(ステップS130においてNO)、清掃予定テーブル74の清掃終了時刻から所定時間経過した場合には、後述の図14に示されるステップS220へ処理が移行される(清掃実績時刻なし)。
【0072】
次いで、サーバ40は、清掃ロボット10による清掃が終了したか否かを判定する(ステップS160)。清掃ロボット10による清掃が終了したか否かは、その清掃ロボット10から清掃終了信号を受信したか否かによって判定される。
【0073】
ステップS160において清掃ロボット10による清掃が終了したと判定されると(ステップS160においてYES)、サーバ40は、清掃ロボット10により実施された清掃の範囲を示す清掃実績範囲を図面DB80の清掃範囲テーブル86(図9)に格納する(ステップS170)。より詳しくは、サーバ40は、清掃実績範囲の図面データを記憶装置45に格納するとともに、その図面データの図面番号を図面DB80の清掃範囲テーブル86に格納する。なお、清掃実績範囲は、図12のステップS90において特定されるものである。
【0074】
さらに、サーバ40は、清掃終了信号を受信した時刻を清掃実績テーブル76の清掃終了時刻に格納する(ステップS180)。また、さらに、サーバ40は、清掃の終了に伴ない清掃ロボット10から受信した清掃終了後の粉塵濃度の計測値を、粉塵濃度テーブル92の、当該清掃ロボット10に対応する終了粉塵濃度に格納する(ステップS190)。なお、サーバ40は、その粉塵濃度の計測値を受信した時刻を、粉塵濃度テーブル92の、当該清掃ロボット10に対応する終了時計測時刻にも格納する。
【0075】
図14を参照して、サーバ40は、図面DB80の清掃範囲テーブル86において、清掃実績範囲図面番号で示される清掃実績範囲の図面データを、清掃契約範囲図面番号で示される清掃契約範囲の図面データと比較する(ステップS200)。そして、サーバ40は、その比較結果に基づく清掃範囲の判定結果を清掃範囲テーブル86の清掃範囲判定結果(図9)に格納する(ステップS210)。例えば、清掃実績範囲が清掃契約範囲の所定割合以上であれば、サーバ40は、清掃範囲判定結果に「正常」を格納する。他方、清掃実績範囲が上記の所定割合よりも小さければ、サーバ40は、清掃範囲判定結果に「異常」を格納する。
【0076】
また、サーバ40は、時間DB70の清掃実績テーブル76の清掃実績時刻(清掃開始時刻/清掃終了時刻)を、清掃予定テーブル74の清掃契約時刻(清掃開始時刻/清掃終了時刻)と比較する(ステップS220)。そして、サーバ40は、その比較結果に基づく清掃時刻の判定結果を清掃実績テーブル76の時刻判定結果(図7)に格納する(ステップS230)。例えば、清掃実績時間(清掃実績テーブル76の清掃開始時刻から清掃終了時刻まで)が清掃契約時間(清掃予定テーブル74の清掃開始時刻から清掃終了時刻まで)に含まれている場合に、サーバ40は、時刻判定結果に「正常」を格納する。他方、清掃実績の清掃終了時刻が清掃契約の清掃終了時刻よりも遅い場合には、サーバ40は、時刻判定結果に「異常」を格納する。
【0077】
さらに、サーバ40は、清掃ロボット10による清掃作業の前後における粉塵濃度の変化(上昇)を算出する(ステップS240)。具体的には、サーバ40は、粉塵濃度テーブル92における終了粉塵濃度から開始粉塵濃度を差し引くことによって、清掃前後の粉塵濃度の変化を算出する。そして、サーバ40は、清掃前後の粉塵濃度の変化に基づく粉塵濃度の判定結果を粉塵濃度テーブル92の粉塵濃度判定結果(図10)に格納する(ステップS250)。例えば、清掃前後における粉塵濃度の上昇量がしきい値を超えている場合に、サーバ40は、粉塵濃度判定結果に「正常」を格納する。他方、清掃前後における粉塵濃度の上昇量がしきい値以下である場合には、サーバ40は、粉塵濃度判定結果に「異常」を格納する。
【0078】
次いで、サーバ40は、清掃範囲テーブル86の清掃範囲判定結果、清掃実績テーブル76の時刻判定結果、及び粉塵濃度テーブル92の粉塵濃度判定結果を、清掃結果判定DB100の判定結果テーブル102(図11)に格納する(ステップS260)。
【0079】
そして、サーバ40は、判定結果テーブル102の清掃範囲判定結果、時刻判定結果、及び粉塵濃度判定結果に基づいて、清掃ロボット10による清掃作業が契約に従って正常に実施されたか否かの最終的な清掃結果を判定する(ステップS270)。具体的には、清掃範囲判定結果、時刻判定結果、及び粉塵濃度判定結果のいずれも「正常」である場合に、サーバ40は、清掃ロボット10の清掃結果を「正常」と判定する。他方、清掃範囲判定結果、時刻判定結果、及び粉塵濃度判定結果の少なくとも1つが「異常」である場合には、サーバ40は、清掃結果を「異常」と判定する。この最終的な判定結果は、判定結果テーブル102の清掃判定結果に格納される。
【0080】
なお、このステップS270における清掃結果の判定は、例えば、清掃終了時刻が最終の時刻或いはその時刻から所定時間経過後に実施される。
【0081】
以上のように、この実施の形態においては、清掃ロボット10による清掃作業が実施されたか否かをサーバ40が判定するにあたり、清掃ロボット10の移動機能の判定結果だけでなく、清掃ロボット10の清掃機能の判定結果も考慮される。これにより、サーバ40は、清掃ロボット10による清掃作業が正常に実施されたか否かを判定することができる。したがって、この実施の形態によれば、清掃ロボット10による清掃作業時に清掃作業を確認するために人が立ち会う必要はなく、清掃ロボット10による清掃作業が予定どおりに正常に実施されたか否かを後日確認することが可能となる。
【0082】
また、この実施の形態では、清掃ロボット10による清掃作業の予定時刻と清掃作業が実施された実績時刻とから、清掃作業の実施時刻が正常であるか否かも判定され、移動機能の判定結果と清掃機能の判定結果と実施時刻の判定結果とから、清掃作業が正常に実施されたか否かが判定される。これにより、サーバ40は、清掃ロボット10による清掃作業が正常に実施されたか否かをより確実に判定することができる。
【0083】
また、この実施の形態では、粉塵濃度計17により計測される粉塵濃度に基づいて、清掃ロボット10の清掃部材16が作動しているか否か、すなわち清掃ロボット10の清掃機能が正常であるか否かが判定される。より詳しくは、粉塵濃度計17を用いて計測される清掃前後の粉塵濃度の変化(上昇)に基づいて、清掃ロボット10の清掃機能が正常であるか否かが判定される。粉塵濃度計17は、清掃により収集される粉塵量が微量であっても、清掃前後での粉塵量の変化を計測可能であるため、この実施の形態によれば、収集された粉塵の計量結果をもって清掃機能の作動をより確実に判定することができる。
【0084】
なお、上記の実施の形態においては、粉塵濃度計17により計測される粉塵濃度を用いて、清掃ロボット10の清掃部材16が作動していることを確認し、清掃ロボット10の清掃機能が正常であるかを判定するものとしたが、他のパラメータを用いて清掃部材16が作動していることを確認してもよい。
【0085】
例えば、清掃部材16によって集塵されて清掃ロボット10のタンク内に蓄えられた粉塵の重量を計測する粉塵重量計を清掃ロボット10に搭載し、粉塵重量計により計測される粉塵の重量を用いて、清掃部材16が作動していることを確認してもよい。清掃ロボット10による清掃作業の開始前と終了後に粉塵の重量を計測し、清掃作業の前後において粉塵の重量が増加しているか否かによって、清掃部材16が正常に作動しているか否か、すなわち清掃ロボット10の清掃機能が正常であるか否かを判定することができる。
【0086】
その他にも、例えば、粉塵を吸引するモータの作動、吸込口に設けられる清掃部材16の回転ブラシの作動、回転ブラシを駆動するモータの作動、フィルタ前後の差圧を検出する差圧計の計測値等によって、清掃部材16が正常に作動しているか否か、すなわち清掃ロボット10の清掃機能が正常であるか否かを判定してもよい。
【0087】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
10 清掃ロボット、11,30 無線通信機、12 カメラ、13 制御部、14 駆動部、15 バッテリ、16 清掃部材、17 粉塵濃度計、20 フロア、35 天井、40 サーバ、41 CPU、42 RAM、43 ROM、44 I/F装置、45 記憶装置、70 時間DB、72 契約情報テーブル、74 清掃予定テーブル、76 清掃実績テーブル、80 図面DB、82 清掃契約範囲、84 清掃実績範囲、86 清掃範囲テーブル、90 粉塵濃度DB、92 粉塵濃度テーブル、100 清掃結果判定DB、102 判定結果テーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14