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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】光回線終端装置及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20241227BHJP
【FI】
H04L12/44 200
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023576524
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2022003349
(87)【国際公開番号】W WO2023145007
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100203677
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 力
(72)【発明者】
【氏名】馮 程光
(72)【発明者】
【氏名】吉間 聡
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-090025(JP,A)
【文献】国際公開第2014/076778(WO,A1)
【文献】特開2017-228965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の伝送レートに対応した一又は複数の第1のONUと光ファイバで接続され、前記一又は複数の第1のONUと光通信を行う第1の送受信部と、
前記第1の伝送レートとは異なる第2の伝送レートに対応した一又は複数の第2のONUと光ファイバで接続され、前記一又は複数の第2のONUと光通信を行う第2の送受信部と、
電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部から供給された電力を前記第1の送受信部へ供給し、前記第1の送受信部を制御する第1の送受信制御部と、
前記電力供給部から供給された電力を前記第2の送受信部へ供給し、前記第2の送受信部を制御する第2の送受信制御部と、
前記一又は複数の第1のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、前記第1の送受信制御部に、第1の期間、前記第1の送受信部への電力の供給を停止させることで、前記第1の送受信部の電源をオフにし、前記一又は複数の第2のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、第2の期間、前記第2の送受信制御部に前記第2の送受信部への電力の供給を停止させることで、前記第2の送受信部の電源をオフにする装置制御部と、を備え
前記第1の期間は、前記一又は複数の第1のONUによる前記第1の送受信部へのデータの送信完了から開始される期間であり、
前記第2の期間は、前記一又は複数の第2のONUによる前記第2の送受信部へのデータの送信完了から開始される期間であること
を特徴とする光回線終端装置。
【請求項2】
第1の伝送レートに対応した一又は複数の第1のONUと光ファイバで接続され、前記一又は複数の第1のONUと光通信を行う第1の送受信部と、
前記第1の伝送レートとは異なる第2の伝送レートに対応した一又は複数の第2のONUと光ファイバで接続され、前記一又は複数の第2のONUと光通信を行う第2の送受信部と、
電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部から供給された電力を前記第1の送受信部へ供給し、前記第1の送受信部を制御する第1の送受信制御部と、
前記電力供給部から供給された電力を前記第2の送受信部へ供給し、前記第2の送受信部を制御する第2の送受信制御部と、
前記一又は複数の第1のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、前記第1の送受信制御部に、第1の期間、前記第1の送受信部への電力の供給を停止させることで、前記第1の送受信部の電源をオフにし、前記一又は複数の第2のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、第2の期間、前記第2の送受信制御部に前記第2の送受信部への電力の供給を停止させることで、前記第2の送受信部の電源をオフにする装置制御部と、を備え
前記装置制御部は、前記第1の期間に通信を行わないように、Normal Gateフレームで、前記一又は複数の第1のONUに前記第1の期間を通知し、前記第2の期間に通信を行わないように、Normal Gateフレームで、前記一又は複数の第2のONUに前記第2の期間を通知すること
を特徴とする光回線終端装置。
【請求項3】
前記第1の期間は、前記一又は複数の第1のONUの数が少ないほど長く、
前記第2の期間は、前記一又は複数の第2のONUの数が少ないほど長いこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の光回線終端装置。
【請求項4】
第1の伝送レートに対応した一又は複数の第1のONUと光ファイバで接続され、前記一又は複数の第1のONUと光通信を行う第1の送受信部と、
前記第1の伝送レートとは異なる第2の伝送レートに対応した一又は複数の第2のONUと光ファイバで接続され、前記一又は複数の第2のONUと光通信を行う第2の送受信部と、
電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部から供給された電力を前記第1の送受信部へ供給し、前記第1の送受信部を制御する第1の送受信制御部と、
前記電力供給部から供給された電力を前記第2の送受信部へ供給し、前記第2の送受信部を制御する第2の送受信制御部と、
前記一又は複数の第1のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、前記第1の送受信制御部に、第1の期間、前記第1の送受信部への電力の供給を停止させることで、前記第1の送受信部の電源をオフにし、前記一又は複数の第2のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、第2の期間、前記第2の送受信制御部に前記第2の送受信部への電力の供給を停止させることで、前記第2の送受信部の電源をオフにする装置制御部と、を備え
前記装置制御部は、前記一又は複数の第1のONUとの距離を検出することで、前記一又は複数の第1のONUのそれぞれを、ロスバジェットに応じた複数のクラスの何れかに分類する第1の分類処理を行い、前記第1の分類処理の結果に応じて、前記第1の送受信部の光送信パワー及び光受信感度を調整し、前記一又は複数の第2のONUとの距離を検出することで、前記一又は複数の第2のONUのそれぞれを、前記複数のクラスの何れかに分類する第2の分類処理を行い、前記第2の分類処理の結果に応じて、前記第2の送受信部の光送信パワー及び光受信感度を調整すること
を特徴とする光回線終端装置。
【請求項5】
第1の伝送レートに対応した一又は複数の第1のONUと、
前記第1の伝送レートとは異なる第2の伝送レートに対応した一又は複数の第2のONUと、
請求項1、2及び4の何れか一項に記載の光回線終端装置と、を備えること
を特徴とする光通信システム。
【請求項6】
第1の伝送レートに対応した一又は複数の第1のONUと光ファイバで接続され、前記一又は複数の第1のONUと光通信を行う第1の送受信部と、
電力を供給する電力供給部から供給された電力を前記第1の送受信部へ供給し、前記第1の送受信部を制御する第1の送受信制御部と、
前記一又は複数の第1のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、前記第1の送受信制御部に、第1の期間、前記第1の送受信部への電力の供給を停止させることで、前記第1の送受信部の電源をオフにする装置制御部と、を備え、
前記第1の期間は、前記一又は複数の第1のONUによる前記第1の送受信部へのデータの送信完了から開始される期間であること
を特徴とする光回線終端装置。
【請求項7】
第1の伝送レートに対応した一又は複数の第1のONUと光ファイバで接続され、前記一又は複数の第1のONUと光通信を行う第1の送受信部と、
電力を供給する電力供給部から供給された電力を前記第1の送受信部へ供給し、前記第1の送受信部を制御する第1の送受信制御部と、
前記一又は複数の第1のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、前記第1の送受信制御部に、第1の期間、前記第1の送受信部への電力の供給を停止させることで、前記第1の送受信部の電源をオフにする装置制御部と、を備え、
前記装置制御部は、前記第1の期間に通信を行わないように、Normal Gateフレームで、前記一又は複数の第1のONUに前記第1の期間を通知すること
を特徴とする光回線終端装置。
【請求項8】
前記第1の期間は、前記一又は複数の第1のONUの数が少ないほど長いこと
を特徴とする請求項6又は7に記載の光回線終端装置。
【請求項9】
第1の伝送レートに対応した一又は複数の第1のONUと光ファイバで接続され、前記一又は複数の第1のONUと光通信を行う第1の送受信部と、
電力を供給する電力供給部から供給された電力を前記第1の送受信部へ供給し、前記第1の送受信部を制御する第1の送受信制御部と、
前記一又は複数の第1のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、前記第1の送受信制御部に、第1の期間、前記第1の送受信部への電力の供給を停止させることで、前記第1の送受信部の電源をオフにする装置制御部と、を備え、
前記装置制御部は、前記一又は複数の第1のONUとの距離を検出することで、前記一又は複数の第1のONUのそれぞれを、ロスバジェットに応じた複数のクラスの何れかに分類する第1の分類処理を行い、前記第1の分類処理の結果に応じて、前記第1の送受信部の光送信パワー及び光受信感度を調整すること
を特徴とする光回線終端装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光回線終端装置及び光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムであるPON(Passive Optical Network)システムは、通信事業者局舎に設置される光通信装置(親局装置ともいう)と、加入者側(子局側ともいう)の複数の光通信装置(子局装置ともいう)とを含む。親局装置である局側光回線終端装置は、OLT(Optical Line Termination)ともいい、子局装置である加入者側光回線終端装置は、ONU(Optical Network Unit)ともいう。PONシステムでは、上り信号の時分割多重に基づく制御が行われる。ONUは、OLTがONUに指示したタイミングで上り信号を送信する。なお、上り信号とは、ONUがOLTに送信する光信号である。
【0003】
PONシステムにおいては、1G(Giga)級のシステム、例えば、ITU-T G.984シリーズで規定されたG-PONのシステムが広く普及しているため、それ以上の伝送速度を実現するシステムは、1G級のシステムと同一光ファイバ網上での共存が求められる。その結果、1G級システムを含めた複数レート(例えば、3種類以上)のONUを同時に収容するOLTが必要とされている。
【0004】
異なるレートのONUを収容するために、OLTに実装する光送受信機は、複数レートを同時にサポートする必要がある。これをMPM(Multi-PON Module)という。但し、MPMが導入されたPONシステムにおいて、商用利用される全ての期間で、サポートされている複数の伝送レートが運用されているわけではない。通常、MPM導入直後は、低速の伝送レート(例えば、1G)のみが運用され、サービス期間を経ることに徐々に低速の伝送レートで送受信するONUの数が減っていくとともに、高速の伝送レートで送受信するONUの数が増加する。そして、最終的には高速の伝送レートで送受信するONUのみになっていく。
【0005】
特許文献1には、最終的に高速の伝送レートで送受信するONUのみとなったPONシステムにおいて、MPM内の低速の伝送レートをサポートする送信機能及び受信機能をシャットダウンすることでMPMの低消費電力化を図る手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-226693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のPONシステムでは、特定のレートONUが1台でもMPMに接続されている場合には、そのレートの使用頻度が低くても、MPM内の、そのレートにおける送信機能及び受信機能は、通常時と同じように動作しつつづけるために、低消費電力化を行うことができない。
【0008】
そこで、本開示の一又は複数の態様は、特定のレートの送受信機能が使用されない場合に、その送受信機能を実行する部分の電源をオフにすることで省電力化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る光回線終端装置は、第1の伝送レートに対応した一又は複数の第1のONUと光ファイバで接続され、前記一又は複数の第1のONUと光通信を行う第1の送受信部と、前記第1の伝送レートとは異なる第2の伝送レートに対応した一又は複数の第2のONUと光ファイバで接続され、前記一又は複数の第2のONUと光通信を行う第2の送受信部と、電力を供給する電力供給部と、前記電力供給部から供給された電力を前記第1の送受信部へ供給し、前記第1の送受信部を制御する第1の送受信制御部と、前記電力供給部から供給された電力を前記第2の送受信部へ供給し、前記第2の送受信部を制御する第2の送受信制御部と、前記一又は複数の第1のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、前記第1の送受信制御部に、第1の期間、前記第1の送受信部への電力の供給を停止させることで、前記第1の送受信部の電源をオフにし、前記一又は複数の第2のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、第2の期間、前記第2の送受信制御部に前記第2の送受信部への電力の供給を停止させることで、前記第2の送受信部の電源をオフにする装置制御部と、を備え、前記第1の期間は、前記一又は複数の第1のONUによる前記第1の送受信部へのデータの送信完了から開始される期間であり、前記第2の期間は、前記一又は複数の第2のONUによる前記第2の送受信部へのデータの送信完了から開始される期間であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一又は複数の態様によれば、特定のレートの送受信機能が使用されない場合に、その送受信機能を実行する部分の電源をオフにすることで省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1及び2に係る光通信システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2】実施の形態1及び2におけるOLTの構成を概略的に示すブロック図である。
図3】(A)及び(B)は、ハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4】実施の形態1における光通信システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
図5】実施の形態2における光通信システムの配置例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る光通信システム100の構成を概略的に示すブロック図である。
光通信システム100は、光回線終端装置としてのOLT110と、複数の種類のONUであるG-PON ONU150、XG-PON ONU160及びXGS-PON ONU170とを備える。
ここで、OLT110と、G-PON ONU150、XG-PON ONU160及びXGS-PON ONU170とは、スプリッタ101を介して接続されている。
なお、実施の形態1では、対応する伝送レートが異なる三つの種類のONUが光通信システム100に含まれているが、ONUの種類については、三種類に限定されるものではない。
【0014】
G-PON ONU150は、上り1Gbps及び下り2.5Gbpsの伝送レートをサポートするONUである。XG-PON ONU160は、上り2.5Gbps及び下り10Gbpsの伝送レートをサポートするONUである。XGS-PON ONU170は、上り10Gbps及び下り10Gbpsの伝送レートをサポートするONUである。
【0015】
OLT110は、G-PON ONU150、XG-PON ONU160又はXGS-PON ONU170に光信号を送信する。OLT110が、G-PON ONU150、XG-PON ONU160又はXGS-PON ONU170に送信する光信号を、下り信号ともいう。また、G-PON ONU150、XG-PON ONU160又はXGS-PON ONU170がOLT110に送信する光信号を、上り信号ともいう。
【0016】
実施の形態1では、光ファイバ102の実際の敷設及び商用状況により、G-PON ONU150、XG-PON ONU160又はXGS-PON ONU170がOLT110に対して、上り信号を送信するタイミングに空きがあった場合に、OLT110は、これから受信するONUの伝送レート以外の送受信機能を行う部分の電源をオフにし、その受信タイミングが来た時に、再びその伝送レートの送受信機能を行う部分の電源をオンにする。言い換えると、実施の形態1では、OLT110は、特定の伝送レートにおいて送受信のあるタイミングのみ、その伝送レートに対応する送受信機能を行う部分の電源をオンにすることで、省電力化を図っている。以下、説明する。
【0017】
図2は、OLT110の構成を概略的に示すブロック図である。
OLT110は、光送受信部としての送受信機120と、OLT機能部140とを備える。
【0018】
送受信機120は、OLT機能部140から電力の供給を受けて、OLT機能部140からの制御に応じて、光信号の送受信を行う。
送受信機120は、送受信実行部としてのQuadplexer121と、G-PON送信制御部127と、G-PON受信制御部128と、XGS-PON送信制御部129と、XGS-PON受信制御部130と、MCU(Main Control Unit)131と、TEC(ThermoElectric Cooler)回路132とを備える。
Quadplexer121は、G-PON送信部122と、G-PON受信部123と、XGS-PON送信部124と、XGS-PON受信部126とを備える。
【0019】
G-PON送信部122は、G-PON送信制御部127から駆動電流の供給を受けて、G-PON送信制御部127からのデータを示す電気信号を光信号に変換し、その光信号を送信する。送信された光信号は、光ファイバ102を介して、G-PON ONU150で受信される。
【0020】
G-PON受信部123は、G-PON受信制御部128から電圧の供給を受けて、G-PON ONU150から受信した光信号を電気信号に変換し、その電気信号をG-PON受信制御部128に伝送する。
【0021】
XGS-PON送信部124は、XGS-PON送信制御部129から駆動電流の供給を受けて、XGS-PON送信制御部129からのデータである電気信号を光信号に変換し、その光信号を送信する。送信された光信号は、光ファイバ102を介して、XG-PON ONU160及びXGS-PON ONU170に伝送される。
なお、XGS-PON送信部124は、ペルチェ素子を用いた熱電冷却器であるTEC(ThermoElectric Cooler)125を備えている。
【0022】
XGS-PON受信部126は、XGS-PON受信制御部130から電圧の供給を受けて、XG-PON ONU160及びXGS-PON ONU170から受信した光信号を電気信号に変換し、その電気信号をXGS-PON受信制御部130に伝送する。
【0023】
ここで、G-PON送信部122及びG-PON受信部123は、第1の伝送レートに対応した一又は複数の第1のONUであるGPON ONU150と光ファイバ102で接続され、その一又は複数の第1のONUと光通信を行う第1の送受信部として機能する。ここでの第1の伝送レートは、上り1Gbps及び下り2.5Gbpsである。
また、XGS-PON送信部124及びXGS-PON受信部126は、第1の伝送レートとは異なる第2の伝送レートに対応した一又は複数の第2のONUであるXG-PON ONU160又はXGS-PON ONU170と光ファイバ102で接続され、その一又は複数の第2のONUと光通信を行う第2の送受信部として機能する。ここでの第2の伝送レートは、上り2.5Gbps及び下り10Gbps、又は、上り10Gbps及び下り10Gbpsである。
【0024】
G-PON送信制御部127は、MCU131からの指示に従って、G-PON送信部122に対して、駆動電流の供給及び駆動電流の供給の停止を行う。
また、G-PON送信制御部127は、OLT機能部140からの電気信号Tx_DataをG-PON送信部122に与える。
【0025】
G-PON受信制御部128は、MCU131からの指示に従って、G-PON受信部123に対して、電圧Vapdの供給及び電圧Vapdの供給の停止を行う。
また、G-PON受信制御部128は、G-PON受信部123からの電気信号Rx_Dataの振幅を一定値になるように制御し、制御後の電気信号をOLT機能部140に転送する。
【0026】
XGS-PON送信制御部129は、MCU131からの指示に従って、XGS-PON送信部124に対して、駆動電流の供給及び駆動電流の供給の停止を行う。
また、XGS-PON送信制御部129は、OLT機能部140からの電気信号Tx_DataをXGS-PON送信部124に与える。
【0027】
XGS-PON受信制御部130は、MCU131からの指示に従って、XGS-PON受信部126に対して、電圧Vapdの供給及び電圧Vapdの供給の停止を行う。
また、XGS-PON受信制御部130は、XGS-PON受信部126からの電気信号Rx_Dataの振幅を一定値になるように制御し、制御後の電気信号をOLT機能部140に転送する。
【0028】
ここで、G-PON送信制御部127及びG-PON受信制御部128は、後述する電力供給部142から供給される電力を第1の送受信部へ供給し、第1の送受信部を制御する第1の送受信制御部として機能する。
また、XGS-PON送信制御部129及びXGS-PON受信制御部130は、電力供給部142から供給される電力を第2の送受信部へ供給し、第2の送受信部を制御する第2の送受信制御部として機能する。
【0029】
MCU131は、I2Cインターフェースに従って、OLT機能部140、G-PON送信制御部127、G-PON受信制御部128、XGS-PON送信制御部129及びXGS-PON受信制御部130と通信を行う。
【0030】
そして、MCU131は、OLT機能部140からの指示に従って、G-PON送信制御部127、G-PON受信制御部128、XGS-PON送信制御部129及びXGS-PON受信制御部130に、G-PON送信部122、G-PON受信部123、XGS-PON送信部124及びXGS-PON受信部126の電源をオン又はオフにさせる。
【0031】
さらに、MCU131は、OLT機能部140からの指示に従って、TEC回路132への電力の供給及びその供給の停止を行うことで、TEC回路132の電源をオン又はオフにする。これにより、TEC回路132により制御されているTEC125についても動作が停止して、TEC125の電源がオフになる。
【0032】
TEC回路132は、XGS-PON送信部124のTEC125に対して、電流を供給し、XGS-PON送信部124を一定の温度になるように制御する。
【0033】
OLT機能部140は、OLT110での全般的な動作を実行する部分である。
OLT機能部140は、OLT処理部141と、電力供給部142とを備える。
【0034】
OLT処理部141は、OLT110での処理を制御する装置制御部として機能する。
例えば、OLT処理部141は、G-PON ONU150に送信するデータをG-PON送信制御部127に与え、G-PON送信制御部127にG-PON送信部122を介してそのデータをG-PON ONU150へと送信させる。
また、OLT処理部141は、G-PON ONU150からのデータをG-PON受信制御部128から受け取り、そのデータを処理する。
【0035】
さらに、OLT処理部141は、XG-PON ONU160又はXGS-PON ONU170に送信するデータをXGS-PON送信制御部129に与え、XGS-PON送信制御部129にXGS-PON送信部124を介してそのデータをXG-PON ONU160又はXGS-PON ONU170へと送信させる。
また、OLT処理部141は、XG-PON ONU160又はXGS-PON ONU170からのデータをXGS-PON受信制御部130から受け取り、そのデータを処理する。
【0036】
また、OLT機能部140は、OLT110の各部に電力を供給する電力供給部142を備え、OLT処理部141は、MCU131を介して、OLT110の各部に供給する電力を制御する。
【0037】
例えば、OLT処理部141は、OLT110に接続されているG-PON ONU150の数が予め定められた数以下である場合に、G-PON ONU150との間の通信頻度が低いと判断して、G-PON ONU150と通信を行っている期間及びG-PON ONU150と通信行うための準備期間を除いて、G-PON ONU150と通信を行う機能部であるG-PON送信部122及びG-PON受信部123の電源をオフにする。
【0038】
また、OLT処理部141は、OLT110に接続されているXG-PON ONU160及びXGS-PON ONU170の数が予め定められた数以下である場合に、XG-PON ONU160及びXGS-PON ONU170との間の通信頻度が低くなったと判断して、XG-PON ONU160又はXGS-PON ONU170と通信を行っている期間及びXG-PON ONU160又はXGS-PON ONU170と通信行うための準備期間を除いて、XG-PON ONU160又はXGS-PON ONU170と通信を行う機能部であるXGS-PON送信部124及びXGS-PON受信部126の電源をオフにする。この場合、OLT処理部141は、TEC回路132の電源もオフにする。
【0039】
電力供給部142は、OLT110の各部に電力を供給する。
例えば、電力供給部142は、G-PON送信制御部127、G-PON受信制御部128、XGS-PON送信制御部129、XGS-PON受信制御部130及びMCU131に電力を供給する。
【0040】
以上に記載されたOLT処理部141は、例えば、図3(A)に示されているように、メモリ10と、メモリ10に格納されているプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ11とにより構成することができる。このようなプログラムは、ネットワークを通じて提供されてもよく、また、記録媒体に記録されて提供されてもよい。即ち、このようなプログラムは、例えば、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0041】
また、OLT処理部141は、例えば、図3(B)に示されているように、単一回路、複合回路、プログラムで動作するプロセッサ、プログラムで動作する並列プロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路12で構成することもできる。
【0042】
以上のように、OLT処理部141は、処理回路網により実現することができる。
また、電力供給部142は、図示していないが、電力供給回路により実現することができる。
【0043】
G-PON送信部122、G-PON受信部123、XGS-PON送信部124、XGS-PON受信部126、G-PON送信制御部127、G-PON受信制御部128、XGS-PON送信制御部129、XGS-PON受信制御部130、MCU131及びTEC回路132については、例えば、図3(B)に示されている処理回路12で構成することができる。
【0044】
図4は、実施の形態1における光通信システム100の動作を説明するためのシーケンス図である。
図4は、低速のONUであるG-PON ONU150が、徐々に高速のONUであるXG-PON ONU160又はXGS-PON ONU170に置き換えられ、光通信システム100に接続されているG-PON ONU150の数が、予め定められた数(ここでは、2)よりも少なくなった場合の例を示す。
【0045】
言い換えると、図4は、低速ONUの通信頻度が低い場合に、通信を行っていない時間帯には送受信機120内の低速用光送受信機能を実行する部分の電源をオフとし、通信を行っている時間帯及び電源オンに必要な準備時間のみその電源をオンとする動作を説明する。
【0046】
まず、OLT処理部141は、論理的にOLT110と、ONUとのリンクを確立するために、送受信機120にDiscovery Gateフレームを送信させる(S10)。
【0047】
具体的には、XGS-PON送信制御部129又はG-PON送信制御部127は、Discovery Gateフレームとしての電気信号を増幅した後に、その電気信号をXGS-PON送信部124又はG-PON送信部122に伝送する。XGS-PON送信部124又はG-PON送信部122は、受け取った電気信号を光信号に変換し、光ファイバ102を通して、ONUに伝送する。リンク未確立のONUがこのDiscovery Gateフレームに一定時間内に応答することにより、リンクが確立される。ここでの一定時間は、Discovery windowという。
【0048】
このように、OLT処理部141は、定期的にDiscovery Gateフレームを送信することにより、リンク未確立なONUを発見し、リンクの確立の動作を繰り返す。これにより、OLT処理部141は、接続されているONUの種類毎の数を把握することができる。
【0049】
G-PON ONU150は、Discovery Gateフレームを受信した場合、Discovery window時間内に、Register Requestフレームを送信する(S11)。
G-PON受信部123は、Register Requestフレームである光信号を電気信号に変換し、G-PON受信制御部128は、その電気信号をG-PON受信部123から受け取り、その電気信号をOLT処理部141に与える。以下、G-PON ONU150からフレームを受信する際のOLT110での処理は同様である。
【0050】
OLT処理部141は、Register Requestフレームを正常に受信することで、G-PON ONU150を発見し、G-PON送信制御部127及びG-PON送信部122にRegisterフレームを送信させる(S12)。Registerフレームは、LLID(Logical Link IDentifier)をG-PON ONU150に割当てるためのフレームである。
【0051】
具体的には、G-PON送信制御部127は、Registerフレームである電気信号を増幅した後に、その電気信号をG-PON送信部122に与え、G-PON送信部122は、その電気信号を光信号に変換し、光ファイバ102を通して、G-PON ONU150に伝送する。以下、G-PON ONU150にフレームを送信する際のOLT110での処理は同様である。
【0052】
G-PON ONU150は、Registerフレームを受信すると、このLLIDを確認し、以降、自装置宛に送信されたデータであるか否かを判断することができるようになる。
【0053】
次に、OLT処理部141は、G-PON送信制御部127及びG-PON送信部122にNormal Gateフレームを送信させる(S13)。Normal Gateフレームは、G-PON ONU150に送信開始時刻を知らせるためのフレームである。この送信開始時刻は、G-PON ONU150に送信を開始させる時刻である。
【0054】
G-PON ONU150は、そのNormal Gateフレームを受信すると、Normal Gateフレームに含まれている送信開始時刻に、Register ACKフレームを送信する(S14)。
【0055】
OLT処理部141は、Register ACKフレームを受け取ることで、G-PON ONU150に割り当てたLLIDの登録を完了する。これにより、OLT110と、G-PON ONU150との間で、論理的にリンクが確立する。
【0056】
そして、OLT処理部141は、G-PON ONU150に送信開始時刻を知らせるために、G-PON送信制御部127及びG-PON送信部122にNormal Gateフレームを送信させる(S15)。
【0057】
G-PON ONU150は、そのNormal Gateフレームを受信すると、Normal Gateフレームに含まれている送信開始時刻に、自装置内に蓄積しているデータ量をReportフレームとして送信する(S16)。ここで、そのデータ量は、送信要求データ量ともいう。
【0058】
OLT処理部141は、上り信号の送信開始時刻と帯域とを知らせるために、G-PON送信制御部127及びG-PON送信部122にNormal Gateフレームを送信させる(S17)。OLT処理部141は、ここでのNormal Gateフレームに、G-PON ONU150の送信停止期間RTも格納する。さらに、OLT処理部141は、この送信停止期間RTの間に送受信機120のG-PON送信部122及びG-PON受信部123の電源をオフにすることを、MCU131に指示する。このような指示を受けたMCU131は、G-PON送信制御部127及びG-PON受信制御部128に指示することで、G-PON送信部122及びG-PON受信部123への電力の供給を停止させて、それらの電源をオフにさせる。
【0059】
ここで、送信停止期間RTは、特定の種類のONUの接続数が少ないほど長い時間となる。図4の例では、OLT110に接続されているG-PON ONU150の数が少ないほど長い時間となる。
具体的には、一台のG-PON ONU150がOLT110に接続されている場合における送信停止期間をRT1とし、二台のG-PON ONU150がOLT110に接続されている場合における送信停止期間をRT2とすると、RT1>RT2となる。
【0060】
G-PON ONU150は、Normal Gateフレームに含まれている送信開始時刻に、データを送信する(S18)。そして、G-PON ONU150は、送信要求データ量のデータの送信の完了をもって、送信を停止して、次に割り当てられる送信開始時刻を待つ。ここでは、G-PON ONU150は、Normal Gateフレームで通知された送信開始時刻での送信完了後に、次の送信開始時刻が指示されるまでの間において、送信停止期間RTだけ送信を停止する。
【0061】
なお、OLT110では、ステップS16で送信要求されたデータ量のデータの受信を完了すると、MCU131は、送信停止期間RT、G-PON送信制御部127及びG-PON受信制御部128の電源をオフにする。
【0062】
次に、OLT処理部141は、送信停止期間RTの経過後に、G-PON ONU150に送信開始時刻を知らせるために、G-PON送信制御部127及びG-PON送信部122にNormal Gateフレームを送信させる(S19)。この場合、OLT処理部141は、送信停止期間RTの経過後に、送受信機120のG-PON送信部122及びG-PON受信部123の電源をオンにすることを、MCU131に指示する。このような指示を受けたMCU131は、G-PON送信制御部127及びG-PON受信制御部128に指示することで、G-PON送信部122及びG-PON受信部123への電力の供給を再開させて、電源をオンにする。
【0063】
G-PON ONU150は、そのNormal Gateフレームを受信すると、Normal Gateフレームに含まれている送信開始時刻に、自装置内に蓄積しているデータ量をReportフレームとして送信する(S20)。
【0064】
OLT処理部141は、上り信号の送信開始時刻と帯域とを知らせるために、G-PON送信制御部127及びG-PON送信部122にNormal Gateフレームを送信させる(S21)。OLT処理部141は、ここでのNormal Gateフレームに、G-PON ONU150の送信停止期間RTも格納する。さらに、OLT処理部141は、この送信停止期間RTの間に送受信機120のG-PON送信部122及びG-PON受信部123の電源をオフにすることを、MCU131に指示する。
【0065】
G-PON ONU150は、Normal Gateフレームに含まれている送信開始時刻に、データを送信する(S22)。そして、G-PON ONU150は、送信要求データ量のデータの送信の完了をもって、送信を停止して、次に割り当てられる送信開始時刻を待つ。ここでは、G-PON ONU150は、Normal Gateフレームで通知された送信開始時刻での送信完了後に、次の送信開始時刻が指示されるまでの間において、送信停止期間RTだけ送信を停止する。
【0066】
なお、OLT110では、ステップS20で送信要求されたデータ量のデータの受信を完了すると、MCU131は、送信停止期間RT、G-PON送信制御部127及びG-PON受信制御部128に指示することで、G-PON送信部122及びG-PON受信部123の電源をオフにさせる。
【0067】
次に、OLT処理部141は、送信停止期間RTの経過後に、G-PON ONU150に送信開始時刻を知らせるために、G-PON送信制御部127及びG-PON送信部122にNormal Gateフレームを送信させる(S23)。この場合、OLT処理部141は、送信停止期間RTの経過後に、送受信機120のG-PON送信部122及びG-PON受信部123の電源をオンにすることを、MCU131に指示する。このような指示を受けたMCU131は、G-PON送信制御部127及びG-PON受信制御部128に、G-PON送信部122及びG-PON受信部123への電力の供給を再開させて、電源をオンにさせる。
【0068】
なお、図4では、OLT110に接続されているG-PON ONU150の数が予め定められた数以下となった場合の動作を説明したが、実施の形態1は、このような例に限定されない。例えば、OLT110に接続されているXG-PON ONU160及びXGS-PON ONU170の数が、予め定められた数以下となった場合に、OLT処理部141は、図4と同様の動作により、XGS-PON送信部124及びXGS-PON受信部126の電源をオフにしてもよい。
【0069】
以上のように、OLT処理部141は、一又は複数の第1のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、第1の送受信制御部に、第1の期間、第1の送受信部への電力の供給を停止させることで、第1の送受信部の電源をオフにする。
また、OLT処理部141は、一又は複数の第2のONUの数が予め定められた数以下となった場合に、第2の期間、第2の送受信制御部に第2の送受信部への電力の供給を停止させることで、第2の送受信部の電源をオフにする。
【0070】
ここで、OLT処理部141は、Discovery Gateフレームへの一又は複数の第1のONUからの応答により、一又は複数の第1のONUの数を特定し、Discovery Gateフレームへの一又は複数の第2のONUからの応答により、一又は複数の第2のONUの数を特定する。
【0071】
また、第1の期間は、一又は複数の第1のONUによる第1の送受信部へのデータの送信完了から開始される期間であり、第2の期間は、一又は複数の第2のONUによる第2の送受信部へのデータの送信完了から開始される期間である。
【0072】
そして、OLT処理部141は、その第1の期間に通信を行わないように、Normal Gateフレームで、一又は複数の第1のONUにその第1の期間を通知する。また、OLT処理部141は、その第2の期間に通信を行わないように、Normal Gateフレームで、一又は複数の第2のONUにその第2の期間を通知する。
【0073】
また、第1の期間は、一又は複数の第1のONUの数が少ないほど長く、第2の期間は、一又は複数の第2のONUの数が少ないほど長い。
【0074】
以上説明したように、実施の形態1によれば、送受信機120は、運用している伝送レートの送受信機能を実行する部分の電源のみをオンにしているため、省電力化を図ることができる。
【0075】
実施の形態2.
OLT及びONUに備えられる光送受信機は、OLTと、ONUとの間の伝送損失及び分岐損失によって決定されるロスバジェットに応じて、複数のクラスに分類される。具体的には、ロスバジェットが28dB以下である場合には、B+のクラス、ロスバジェットが32dB以下である場合には、C+のクラスが、ITU-T G.984.2に規定されている。
【0076】
ロスバジェットが増えるほど、OLT及びONUの双方の光送信パワーは高出力化が、OLT及びONUの双方の光受信感度は高感度化がそれぞれ求められる。これにより、光送受信機の消費電力が増加する。
一方で、C+が要求される光ファイバ網上でも全てのONUがC+のロスバジェットが必要となる位置に存在しているわけではなく、B+で規定されるロスバジェットである28dB以下の位置にONUが複数個存在することも通常である。
【0077】
また、高速ONU導入直後に、C+の領域に高速ONUが存在しておらず、B+の領域にのみ高速ONUが存在している場合に、送受信機内の高速送受信機能は、B+相当の光出力パワー及び受信感度を実現するための駆動電流設定値となる。
一方、高速ONU導入が十分に進んで、C+の領域に低速ONUが存在しなくなった場合には、送受信機内の低速送受信機能は、B+相当の光出力パワー及び受信感度を実現するための駆動電流設定値となる。
【0078】
実施の形態2は、実施の形態1で説明した機能に加えて、MPMPONの敷設環境又は商用条件によって、ONUがOLTに近い場所に敷設されていた場合、又は、伝送損失及び分岐損失が小さい場合に、ロスバジェットに応じたクラス調整により、省電力化を実現する。さらに、TEC回路の電源を制御することにより、省電力化を実現する。
【0079】
図1に示されているように、実施の形態2に係る光通信システム200は、OLT210と、複数の種類のONUであるG-PON ONU150、XG-PON ONU160及びXGS-PON ONU170とを備える。
実施の形態2におけるG-PON ONU150、XG-PON ONU160及びXGS-PON ONU170は、実施の形態1におけるG-PON ONU150、XG-PON ONU160及びXGS-PON ONU170と同様である。
【0080】
図2に示されているように、実施の形態2におけるOLT210は、光送受信部としての送受信機220と、OLT機能部240とを備える。
【0081】
送受信機220は、OLT機能部240から電力の供給を受けて、OLT機能部240からの制御に応じて、光信号の送受信を行う。
送受信機220は、Quadplexer121と、G-PON送信制御部227と、G-PON受信制御部228と、XGS-PON送信制御部229と、XGS-PON受信制御部230と、MCU231と、TEC回路132とを備える。
【0082】
実施の形態2における送受信機220のQuadplexer121及びTEC回路132は、実施の形態1における送受信機120のQuadplexer121及びTEC回路132と同様である。
【0083】
G-PON送信制御部227は、実施の形態1におけるG-PON送信制御部127と同様の処理を行う他、MCU231からの指示に従って、G-PON送信部122に供給する駆動電流を調整する。
【0084】
G-PON受信制御部228は、実施の形態1におけるG-PON受信制御部128と同様の処理を行う他、MCU231からの指示に従って、G-PON受信部123に供給する電圧Vapdを調整する。
【0085】
XGS-PON送信制御部229は、実施の形態1におけるXGS-PON送信制御部129と同様の処理を行う他、MCU231からの指示に従って、XGS-PON送信部124に供給する駆動電流を調整する。
【0086】
XGS-PON受信制御部230は、実施の形態1におけるXGS-PON受信制御部130と同様の処理を行う他、MCU231からの指示に従って、XGS-PON受信部126に供給する電圧Vapdを調整する。
【0087】
MCU231は、実施の形態1と同様に、I2Cインターフェースに従って、OLT機能部240、G-PON送信制御部227、G-PON受信制御部228、XGS-PON送信制御部229及びXGS-PON受信制御部230と通信を行う。
【0088】
ここで、実施の形態2では、MCU231は、OLT機能部240からの指示に従って、G-PON送信制御部127又はXGS-PON送信制御部129に、供給する駆動電流を調整させるとともに、G-PON受信制御部128又はXGS-PON受信制御部130に、供給する電圧を調整させる。
さらに、MCU231は、OLT機能部240からの指示に従って、TEC回路132への電力の供給及びその供給の停止を行うことで、TEC回路132の電源をオン又はオフにする。
【0089】
OLT機能部240は、OLT110での全般的な動作を実行する部分である。
OLT機能部240は、OLT処理部241と、電力供給部142とを備える。
実施の形態2におけるOLT機能部240の電力供給部142は、実施の形態1におけるOLT機能部140の電力供給部142と同様である。
【0090】
OLT処理部241は、OLT210での処理を制御する。
実施の形態2におけるOLT処理部241は、実施の形態1におけるOLT処理部141と同様の処理を行う他、ONUの設置されている位置、又は、伝送損失及び分岐損失に応じて、ONUのクラス調整を行う。
【0091】
具体的には、図5に示されている光通信システム200#のように、C+エリアR1に、G-PON ONU150#1、XG-PON ONU160#1及びXGS-PON ONU170#1が敷設され、B+エリアR2に、G-PON ONU150#2、XG-PON ONU160#2及びXGS-PON ONU170#2が敷設されている場合、OLT210の送受信機220は、要求されているC+のクラスに対応する光送信パワー及び光受信感度で待機している。
【0092】
そして、商用条件変更により、C+エリアR1に敷設されているG-PON ONU150#1、XG-PON ONU160#1及びXGS-PON ONU170#1が全て撤去された場合、又は、G-PON ONU150#1、XG-PON ONU160#1及びXGS-PON ONU170#1がB+エリアR2に敷設し直された場合、OLT210と、G-PON ONU150#1、XG-PON ONU160#1及びXGS-PON ONU170#1との間の距離が短くなる。
【0093】
このような場合、OLT処理部241は、例えば、MPCP(Multi-Point Control Protocol)等に従って、測定シーケンスを実行することで、接続されているONUとの距離を検出する。
そして、OLT処理部241は、接続されているONUがC+クラスではなく、B+クラスであると判断した場合には、MCU231に対して指示することにより、XGS-PON送信部124及びG-PON送信部122にかける駆動電流を調整し、送信パワーを最適のB+クラスにする。また、OLT処理部241は、MCU231に対して指示することにより、XGS-PON受信部126及びG-PON受信部123に提供する電圧を調整し、受信感度を最適のB+クラスに変更する。
【0094】
さらに、OLT処理部241は、上述のDISCOVERY GATEフレームへの応答により、XGS-PON ONU170及びXG-PON ONU160が敷設されていないと判断した場合には、MCU231に指示することで、XGS-PON送信部124の電源をオフにするとともに、TEC回路132の電源もオフにする。
【0095】
以上のように、実施の形態2では、OLT処理部241は、一又は複数の第1のONUとの距離を検出することで、一又は複数の第1のONUのそれぞれを、ロスバジェットに応じた複数のクラスの何れかに分類する第1の分類処理を行い、その第1の分類処理の結果に応じて、第1の送受信部の光送信パワー及び光受信感度を調整する。
また、OLT処理部241は、一又は複数の第2のONUとの距離を検出することで、一又は複数の第2のONUのそれぞれを、複数のクラスの何れかに分類する第2の分類処理を行い、その第2の分類処理の結果に応じて、第2の送受信部の光送信パワー及び光受信感度を調整する。
【0096】
ここで、第2の伝送レートは、第1の伝送レートよりも早いレートである。そして、OLT処理部241は、第2の送受信部に一又は複数の第2のONUが光ファイバで接続されていない場合に、第2の送受信制御部に第2の送受信部への電力の供給を停止させることで、第2の送受信部の電源をオフにする。
【0097】
また、第2の送受信部は、第2の送受信部の温度を調節するための温度調節部であるTEC125を備えており、OLT処理部241は、第2の送受信部の電源をオフにする際には、その温度調節部の動作も停止させる。
【0098】
以上説明したように、実施の形態2は、ロスバジェットに応じてクラスを制御する構成にしたので、敷設エリアに対応しながら、省電力化することが可能となる。また、実施の形態2は、接続されているONUの種類により、TEC回路132の電源をオフにすることにより、10Gレートにアップグレートされる前に、省電力化を図ることができる。
【0099】
以上に記載された実施の形態1及び2では、G-PON ONU150と通信を行うG-PON送信部122及びG-PON受信部123と、XG-PON160及びXGS-PON170と通信を行うXGS-PON送信部124及びXGS-PON受信部126が設けられているが、実施の形態1及び2は、このような例に限定されない。例えば、XG-PON160と通信を行うXG-PON送信部及びXG-PON受信部が設けられていてもよい。このような場合には、XGS-PON送信部124及びXGS-PON受信部126は、XG-PON160とは通信を行わずに、XGS-PON170と通信を行う。そして、OLT処理部141、241は、接続されているXG-PON160の数が予め定められた数以下である場合に、上記と同様に、XG-PON送信部及びXG-PON受信部の電源をオフにさせ、接続されているXGS-PON170の数が予め定められた数以下である場合に、上記と同様に、XGS-PON送信部124及びXGS-PON受信部126の電源をオフにさせればよい。
【符号の説明】
【0100】
100,200 光通信システム、 101 スプリッタ、 102 光ファイバ、 110,210 OLT、 120,220 送受信機、 121 Quadplexer、 127,227 G-PON送信制御部、 128,228 G-PON受信制御部、 129,229 XGS-PON送信制御部、 130,230 XGS-PON受信制御部、 131,231 MCU、 132 TEC回路、 140,240 OLT機能部、 141,241 OLT処理部、 142 電力供給部。
図1
図2
図3
図4
図5