IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

特許7612127列車内監視システムおよび列車内監視方法
<>
  • 特許-列車内監視システムおよび列車内監視方法 図1
  • 特許-列車内監視システムおよび列車内監視方法 図2
  • 特許-列車内監視システムおよび列車内監視方法 図3
  • 特許-列車内監視システムおよび列車内監視方法 図4
  • 特許-列車内監視システムおよび列車内監視方法 図5
  • 特許-列車内監視システムおよび列車内監視方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】列車内監視システムおよび列車内監視方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 27/57 20220101AFI20241227BHJP
   B61L 25/04 20060101ALI20241227BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20241227BHJP
【FI】
B61L27/57
B61L25/04
G08B21/24
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024552519
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 JP2022039444
(87)【国際公開番号】W WO2024089726
(87)【国際公開日】2024-05-02
【審査請求日】2024-09-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴広
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-285842(JP,A)
【文献】特開2022-12950(JP,A)
【文献】特開2012-147376(JP,A)
【文献】特開2010-28754(JP,A)
【文献】特開2024-39511(JP,A)
【文献】特開2024-83017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00 - 99/00
G08B 19/00 - 31/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の車内を撮影する監視カメラで撮影された映像データを、前記映像データが撮影された状況を示すパラメータ情報とともに画像情報として記憶する車上映像記憶部と、
前記列車に搭載される機器の動作を制御する車上制御部と、
前記車上制御部の制御に基づく表示を行う車上表示部と、
前記車上制御部の制御に基づいて、前記列車が停止している状態において、前記車上映像記憶部に記憶されている前記画像情報を地上通信部に送信する車上通信部と、
前記車上通信部から送信された前記画像情報を受信する前記地上通信部と、
前記地上通信部で受信された前記画像情報を用いて、前記列車で忘れ物が発生したか否かを判定する映像解析サーバと、
を備え、
前記映像解析サーバは、前記忘れ物の発生を検出した場合、前記忘れ物が発生した旨を示す忘れ物通知を生成し、
前記地上通信部は、前記忘れ物通知を前記車上通信部に送信し、
前記車上通信部は、前記忘れ物通知を受信し、
前記車上表示部は、前記車上制御部の制御に基づいて、前記車上通信部で受信された前記忘れ物通知の内容を表示する、
ことを特徴とする列車内監視システム。
【請求項2】
前記列車が停止している状態は、前記列車の運用が終了した状態であり、
前記車上通信部は、前記車上制御部の制御に基づいて、前記列車が運用を開始してから運用を終了するまでの間に前記車上映像記憶部に記憶された前記画像情報を前記地上通信部に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の列車内監視システム。
【請求項3】
前記列車が停止している状態は、前記列車が駅に停車している状態であり、
前記車上通信部は、前記車上制御部の制御に基づいて、前記列車が前に停車した駅に到着したときから現在停車している駅に到着したときまでの間に前記車上映像記憶部に記憶された前記画像情報を前記地上通信部に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の列車内監視システム。
【請求項4】
前記忘れ物通知には、前記忘れ物が撮影された前記映像データに対応する前記パラメータ情報のうち、前記忘れ物の位置を特定可能な前記列車を構成する車両を示す号車番号の情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の列車内監視システム。
【請求項5】
前記忘れ物通知には、さらに前記忘れ物が撮影された前記映像データが含まれる、
ことを特徴とする請求項4に記載の列車内監視システム。
【請求項6】
さらに、
前記忘れ物に対応する前記画像情報を記憶する遺失物管理サーバ、
を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の列車内監視システム。
【請求項7】
前記映像解析サーバは、さらに前記列車で降車していない乗客が存在するか否かを判定し、前記降車していない乗客が存在する場合、前記降車していない乗客が存在する旨を示す乗客通知を生成し、
前記地上通信部は、前記乗客通知を前記車上通信部に送信し、
前記車上通信部は、前記乗客通知を受信し、
前記車上表示部は、前記車上制御部の制御に基づいて、前記車上通信部で受信された前記乗客通知の内容を表示する、
ことを特徴とする請求項2に記載の列車内監視システム。
【請求項8】
車上映像記憶部が、列車の車内を撮影する監視カメラで撮影された映像データを、前記映像データが撮影された状況を示すパラメータ情報とともに画像情報として記憶する第1のステップと、
車上通信部が、前記列車に搭載される機器の動作を制御する車上制御部の制御に基づいて、前記列車が停止している状態において、前記車上映像記憶部に記憶されている前記画像情報を地上通信部に送信する第2のステップと、
前記地上通信部が、前記車上通信部から送信された前記画像情報を受信する第3のステップと、
映像解析サーバが、前記地上通信部で受信された前記画像情報を用いて、前記列車で忘れ物が発生したか否かを判定する第4のステップと、
前記映像解析サーバが、前記忘れ物の発生を検出した場合、前記忘れ物が発生した旨を示す忘れ物通知を生成する第5のステップと、
前記地上通信部が、前記忘れ物通知を前記車上通信部に送信する第6のステップと、
前記車上通信部が、前記忘れ物通知を受信する第7のステップと、
車上表示部が、前記車上制御部の制御に基づいて、前記車上通信部で受信された前記忘れ物通知の内容を表示する第8のステップと、
を含むことを特徴とする列車内監視方法。
【請求項9】
前記列車が停止している状態は、前記列車の運用が終了した状態であり、
前記第2のステップにおいて、前記車上通信部は、前記車上制御部の制御に基づいて、前記列車が運用を開始してから運用を終了するまでの間に前記車上映像記憶部に記憶された前記画像情報を前記地上通信部に送信する、
ことを特徴とする請求項8に記載の列車内監視方法。
【請求項10】
前記列車が停止している状態は、前記列車が駅に停車している状態であり、
前記第2のステップにおいて、前記車上通信部は、前記車上制御部の制御に基づいて、前記列車が前に停車した駅に到着したときから現在停車している駅に到着したときまでの間に前記車上映像記憶部に記憶された前記画像情報を前記地上通信部に送信する、
ことを特徴とする請求項8に記載の列車内監視方法。
【請求項11】
前記忘れ物通知には、前記忘れ物が撮影された前記映像データに対応する前記パラメータ情報のうち、前記忘れ物の位置を特定可能な前記列車を構成する車両を示す号車番号の情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項8に記載の列車内監視方法。
【請求項12】
前記忘れ物通知には、さらに前記忘れ物が撮影された前記映像データが含まれる、
ことを特徴とする請求項11に記載の列車内監視方法。
【請求項13】
さらに、
遺失物管理サーバが、前記忘れ物に対応する前記画像情報を記憶する第9のステップ、
を含むことを特徴とする請求項8から12のいずれか1つに記載の列車内監視方法。
【請求項14】
さらに、
前記映像解析サーバが、前記列車で降車していない乗客が存在するか否かを判定する第10のステップと、
前記映像解析サーバが、前記降車していない乗客が存在する場合、前記降車していない乗客が存在する旨を示す乗客通知を生成する第11のステップと、
前記地上通信部が、前記乗客通知を前記車上通信部に送信する第12のステップと、
前記車上通信部が、前記乗客通知を受信する第13のステップと、
前記車上表示部が、前記車上制御部の制御に基づいて、前記車上通信部で受信された前記乗客通知の内容を表示する第14のステップと、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の列車内監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、列車内を監視する列車内監視システムおよび列車内監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行する列車において、カメラなどを用いて列車内を監視することが行われている。例えば、特許文献1には、列車に搭載されるローカルシステムが、複数のカメラを用いて列車内を撮影し、撮影した画像などを地上に設置されたホストシステムに送信し、地上のホストシステムが、必要に応じてカメラの倍率、撮影方向などを制御して、列車内での忘れ物の発生などを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-285842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術によれば、列車のローカルシステムは、通常の列車の運行時において、複数のカメラで撮影された画像などをリアルタイムに地上のホストシステムに送信し、地上のホストシステムは、カメラの倍率、撮影方向などを制御するための制御信号を列車のローカルシステムに送信している。そのため、通常の列車の運行時において、列車のローカルシステムと地上のホストシステムとの間の通信のデータ量が膨大になる、という問題があった。特に、列車と地上装置とが無線通信を行って列車の運行を制御するようなシステムでは、列車の走行中に無線通信で遅延などが発生すると通常の列車の走行に影響を及ぼす可能性があることから、列車の走行に直接影響しない通信のデータ量は少ない方が好ましい。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、列車の走行中の通信のデータ量を低減しつつ、列車内で発生した忘れ物の検出が可能な列車内監視システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の列車内監視システムは、列車の車内を撮影する監視カメラで撮影された映像データを、映像データが撮影された状況を示すパラメータ情報とともに画像情報として記憶する車上映像記憶部と、列車に搭載される機器の動作を制御する車上制御部と、車上制御部の制御に基づく表示を行う車上表示部と、車上制御部の制御に基づいて、列車が停止している状態において、車上映像記憶部に記憶されている画像情報を地上通信部に送信する車上通信部と、車上通信部から送信された画像情報を受信する地上通信部と、地上通信部で受信された画像情報を用いて、列車で忘れ物が発生したか否かを判定する映像解析サーバと、を備える。映像解析サーバは、忘れ物の発生を検出した場合、忘れ物が発生した旨を示す忘れ物通知を生成し、地上通信部は、忘れ物通知を車上通信部に送信し、車上通信部は、忘れ物通知を受信し、車上表示部は、車上制御部の制御に基づいて、車上通信部で受信された忘れ物通知の内容を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の列車内監視システムは、列車の走行中の通信のデータ量を低減しつつ、列車内で発生した忘れ物の検出が可能である、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る列車内監視システムの構成例を示す図
図2】実施の形態1に係る列車内監視システムの動作を示すフローチャート
図3】実施の形態1に係る列車内監視システムの処理回路をプロセッサおよびメモリで実現する場合の処理回路の構成の一例を示す図
図4】実施の形態1に係る列車内監視システムの処理回路を専用のハードウェアで実現する場合の処理回路の構成の一例を示す図
図5】実施の形態2に係る列車内監視システムの動作を示すフローチャート
図6】実施の形態3に係る列車内監視システムの動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施の形態に係る列車内監視システムおよび列車内監視方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る列車内監視システム40の構成例を示す図である。列車内監視システム40は、列車10a,10bと、地車間ネットワーク20と、地上基地局30と、を備える。列車10a,10bは、同様の構成である。以降の説明において、列車10a,10bを区別しない場合は列車10と称することがある。列車内監視システム40は、図1の例では、2つの列車10を備えているが、これに限定されない。列車内監視システム40が備える列車10の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0011】
まず、列車10の構成および動作について説明する。図1に示すように、列車10は、複数の監視カメラ11と、車上映像記憶部12と、車上通信部13と、車上制御部14と、車上表示部15と、を備える。
【0012】
監視カメラ11は、列車10を構成する各車両に搭載され、列車10の車内、すなわち車両内を撮影する。図1の例では、列車10が3両編成で構成され、監視カメラ11が、各車両に2つ搭載されている例を示しているが、これに限定されない。列車10の各車両に搭載される監視カメラ11の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。列車10は、各車両において、撮影範囲で死角が発生しないように設置位置、撮影方向などが調整された監視カメラ11を備える。そのため、列車10では、各車両の座席のレイアウトなどに応じて、各車両に搭載される監視カメラ11の数が車両によって異なっていてもよい。各監視カメラ11には、各監視カメラ11を識別するための識別情報が付与されている。また、各監視カメラ11には、各監視カメラ11が設置された車両を識別するための号車番号の情報が付与されている。各監視カメラ11は、規定された周期で列車10の車内を撮影し、識別情報および号車番号の情報とともに、撮影によって得られた映像データを車上映像記憶部12に出力する。
【0013】
車上映像記憶部12は、監視カメラ11で撮影され、監視カメラ11から取得した映像データを、映像データが撮影された状況を示すパラメータ情報とともに画像情報として記憶する。パラメータ情報には、前述の監視カメラ11の識別情報および号車番号の情報の他、撮影時刻の情報などが含まれる。撮影時刻の情報については、各監視カメラ11が実際に列車10の車内を撮影した時刻の情報を撮影時刻の情報として識別情報および号車番号の情報とともに車上映像記憶部12に出力してもよいし、車上映像記憶部12が、監視カメラ11から映像データを取得した時刻を撮影時刻の情報として、監視カメラ11から取得した情報に撮影時刻の情報を追加して記憶してもよい。なお、図1の例では、各列車10が車上映像記憶部12を1つ備える場合を示しているが、これに限定されない。列車10の編成が16両の車両で構成されるなど列車10の編成が長くなる場合、列車10は、複数の車上映像記憶部12を備えてもよいし、車両ごとに車上映像記憶部12を備えてもよい。車両ごとに設置された車上映像記憶部12が、監視カメラ11から取得した情報に号車番号の情報を追加して記憶してもよい。
【0014】
車上通信部13は、地車間ネットワーク20を介して、地上に設置された地上基地局30が備える後述する地上通信部31との間で通信を行う。地車間ネットワーク20については、列車10の運行を行う鉄道会社の専用のネットワークであってもよいし、インターネットなどの公衆網であってもよい。
【0015】
車上制御部14は、列車10に搭載される機器の動作を制御する。列車10に搭載される機器とは、例えば、図1に示す複数の監視カメラ11、車上映像記憶部12、車上通信部13、車上表示部15などであるが、これらに限定されない。車上制御部14は、列車10が備える図示しないブレーキなどの列車10の走行に関係する機器、列車10が備える図示しないドア、空気調和機などの動作を制御する。
【0016】
車上表示部15は、車上制御部14の制御に基づく表示を行う。車上表示部15は、列車10の運転台などに設置され、列車10に乗務している運転手、車掌などが表示内容を確認可能な表示装置である。
【0017】
実施の形態1において、車上制御部14は、列車10が停止している状態において車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を車上通信部13から、地車間ネットワーク20を介して地上に設置された地上基地局30が備える地上通信部31に送信する制御を行う。すなわち、車上通信部13は、車上制御部14の制御に基づいて、列車10が停止している状態において車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を地上に設置された地上基地局30が備える地上通信部31に送信する。実施の形態1において、列車10が停止している状態とは、列車10の運用が終了し、列車10が乗客を全て降車させ、回送などの運用種別になって車庫などに戻る状態である。前述のように、車上制御部14は、列車10に搭載される機器の動作を制御しているので、例えば、列車10の先頭車両などに表示される行先表示を回送にすることなどによって、列車10の運用が終了したタイミングを認識することができる。この場合、車上通信部13は、車上制御部14の制御に基づいて、列車10が運用を開始してから運用を終了するまでの間に車上映像記憶部12に記憶された画像情報を地上基地局30が備える地上通信部31に送信する。
【0018】
例えば、列車10が監視カメラ11で撮影された映像データを含む画像情報を監視カメラ11で撮影されるごとに地上に設置された地上基地局30に対してリアルタイムに送信すると、列車10の走行中にも映像データを送信することになる。この場合、列車10が備える監視カメラ11の数が多くなるほど、列車10の走行中に列車10から地上に設置された地上基地局30に送信される画像情報のデータ量が多くなる。列車10と地上基地局30とが無線通信を行って列車10の運行を制御するようなシステムで列車10が走行している場合、列車10が送信する画像情報によって列車10と地上基地局30との通信が逼迫し、列車10の走行に影響を及ぼす可能性がある。そのため、実施の形態1では、車上制御部14は、列車10が停止している状態において車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を車上通信部13から、地車間ネットワーク20を介して地上に設置された地上基地局30に送信する制御を行う。これにより、車上制御部14は、列車10と地上基地局30との通信が逼迫するような事態を回避することができる。
【0019】
なお、列車内監視システム40では、複数の列車10が画像情報を地上基地局30に送信することを想定している。そのため、列車10は、画像情報のパラメータ情報に各列車10を識別可能な列車番号の情報を含めてもよいし、車上通信部13が画像情報を送信するときに送信元の列車10を特定可能な列車番号の情報を画像情報に付与して地上基地局30に送信してもよい。
【0020】
つぎに、地上基地局30の構成および動作について説明する。図1に示すように、地上基地局30は、地上通信部31と、地上映像記憶部32と、映像解析サーバ33と、遺失物管理サーバ34と、を備える。
【0021】
地上通信部31は、列車10の車上通信部13から地車間ネットワーク20を介して送信されてきた画像情報を受信する。地上通信部31は、受信した画像情報を地上映像記憶部32に出力する。
【0022】
地上映像記憶部32は、地上通信部31で受信された画像情報を記憶する。地上通信部31は複数の列車10から画像情報を取得するので、地上映像記憶部32は、各列車10の単位で画像情報を記憶する。なお、列車10の車上通信部13から送信され、地上通信部31で受信された画像情報のデータ量が、映像解析サーバ33が一度に取得して扱える程度のデータ量の場合、地上基地局30は、地上映像記憶部32を備えなくてもよい。この場合、地上通信部31は、受信した画像情報を映像解析サーバ33に出力する。
【0023】
映像解析サーバ33は、地上通信部31で受信され、地上映像記憶部32に記憶されている画像情報を用いて、列車10で忘れ物が発生したか否かを判定する。前述のように地上基地局30が地上映像記憶部32を備えていない場合、映像解析サーバ33は、地上通信部31で受信され、地上通信部31から取得した画像情報を用いて、列車10で忘れ物が発生したか否かを判定する。映像解析サーバ33は、列車10の座席、網棚などに乗客の荷物などが置かれていた場合に忘れ物として検出できるように、予め機械学習などによって学習されているものとする。忘れ物の対象となるものについては、例えば、カバン、紙袋に入れられた荷物、傘などであるが、これらに限定されない。また、映像解析サーバ33に対する機械学習の手法については一般的な学習方法でよく、特に限定されない。映像解析サーバ33は、忘れ物を検出した場合、忘れ物が発生した旨を示す忘れ物通知を生成し、生成した忘れ物通知を、地上通信部31から、地車間ネットワーク20を介して、該当する列車10の車上通信部13に送信させる。すなわち、地上通信部31は、映像解析サーバ33で生成された忘れ物通知を、地車間ネットワーク20を介して、該当する列車10の車上通信部13に送信する。忘れ物通知には、忘れ物が撮影された映像データに対応するパラメータ情報のうち、忘れ物の位置を特定可能な列車10を構成する車両を示す号車番号の情報が含まれる。忘れ物通知には、さらに忘れ物が撮影された映像データが含まれていてもよい。また、映像解析サーバ33は、忘れ物を検出した場合、忘れ物に対応する画像情報を遺失物管理サーバ34に出力する。
【0024】
遺失物管理サーバ34は、忘れ物に対応する画像情報を記憶する。遺失物管理サーバ34は、少なくとも、忘れ物が乗客によって引き取られるまで、または忘れ物が乗客に引き取られないまま規定された保管期間が経過するまで、忘れ物に対応する画像情報を記憶する。遺失物管理サーバ34は、忘れ物が乗客によって引き取られた場合、または忘れ物が乗客に引き取られないまま規定された保管期間が経過した場合、規定に基づいて忘れ物に対応する画像情報を削除してもよい。
【0025】
列車10では、車上通信部13が、地上基地局30の地上通信部31から送信された忘れ物通知を、地車間ネットワーク20を介して受信し、車上制御部14に出力する。車上制御部14は、車上通信部13で受信された忘れ物通知の内容を車上表示部15に表示させる。すなわち、車上表示部15は、車上制御部14の制御に基づいて、車上通信部13で受信された忘れ物通知の内容を運転台などに表示する。車上表示部15は、音声を出力する機能を有する場合、アラームなどの音声を出力し、列車10に乗務する運転手および車掌に対して忘れ物通知が届いたことを認識させてもよい。これにより、列車10に乗務する運転手および車掌のうち少なくとも一方は、運用終了後の列車10の各車両で忘れ物があるか否かの点検をすることなく、車上表示部15の表示内容を確認することによって、忘れ物通知に含まれる号車番号の情報で示される車両に忘れ物があることを認識でき、直ちに忘れ物を回収することができる。この結果、列車内監視システム40は、列車10に乗務する運転手および車掌のうち少なくとも一方による運用終了後の列車10の各車両の点検の手間を削減することができる。
【0026】
なお、列車10は、列車10に乗務する運転手および車掌のうち少なくとも一方が忘れ物通知を確認したことを示す操作を行い、地上基地局30の映像解析サーバ33に対して忘れ物通知を確認したことを示す通知を返信してもよい。これにより、映像解析サーバ33は、忘れ物通知が確認されたことを把握することができる。また、映像解析サーバ33は、列車10から忘れ物通知が確認されたことを示す通知が規定された期間内に返信されてこなかった場合、忘れ物通知を地上通信部31から再送させてもよい。これにより、映像解析サーバ33は、列車10に乗務する運転手および車掌に対して、忘れ物通知を認識させる確率を向上させることができる。
【0027】
列車内監視システム40の動作を、フローチャートを用いて説明する。図2は、実施の形態1に係る列車内監視システム40の動作を示すフローチャートである。列車10において、監視カメラ11は、規定された周期で列車10の車内を撮影する(ステップS1)。車上映像記憶部12は、監視カメラ11で撮影された映像データを、画像が撮影された状況を示すパラメータ情報とともに画像情報として記憶する(ステップS2)。車上制御部14は、列車10の運用が終了したか否かを判定する(ステップS3)。列車10の運用が終了していない場合(ステップS3:No)、列車内監視システム40は、ステップS1の動作に戻る。列車10の運用が終了した場合(ステップS3:Yes)、車上制御部14は、車上通信部13を制御して、車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を地上基地局30の地上通信部31に送信させる。すなわち、列車10の車上通信部13は、車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を地上基地局30の地上通信部31に送信する(ステップS4)。
【0028】
地上基地局30において、地上通信部31は、列車10の車上通信部13から送信された画像情報を、地車間ネットワーク20を介して受信する(ステップS5)。地上映像記憶部32は、地上通信部31で受信された画像情報を記憶する(ステップS6)。映像解析サーバ33は、地上映像記憶部32に記憶されている画像情報を用いて、列車10で忘れ物が発生したか否かを判定する(ステップS7)。忘れ物が発生していない場合(ステップS7:No)、列車内監視システム40は、図2に示すフローチャートの動作を終了する。忘れ物が発生した場合(ステップS7:Yes)、映像解析サーバ33は、忘れ物が発生した旨を示す忘れ物通知を生成する(ステップS8)。地上基地局30の地上通信部31は、映像解析サーバ33で生成された忘れ物通知を、列車10の車上通信部13に送信する(ステップS9)。
【0029】
列車10において、車上通信部13は、地上基地局30の地上通信部31から送信された忘れ物通知を、地車間ネットワーク20を介して受信する(ステップS10)。車上制御部14は、車上通信部13で受信された忘れ物通知の内容を車上表示部15に表示させる。すなわち、車上表示部15は、車上制御部14の制御に基づいて、忘れ物通知の内容を表示する(ステップS11)。
【0030】
つづいて、実施の形態1に係る列車内監視システム40のハードウェア構成について説明する。列車内監視システム40において、監視カメラ11はセンサである。列車内監視システム40において、その他の構成は、処理回路により実現される。処理回路は、プログラムを格納するメモリ、およびメモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。処理回路は制御回路とも呼ばれる。
【0031】
図3は、実施の形態1に係る列車内監視システム40の処理回路をプロセッサ91およびメモリ92で実現する場合の処理回路90の構成の一例を示す図である。図3に示す処理回路90は制御回路であり、プロセッサ91およびメモリ92を備える。処理回路90がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、処理回路90の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路90では、メモリ92に記憶されたプログラムをプロセッサ91が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路90は、列車内監視システム40の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を備える。このプログラムは、処理回路90により実現される各機能を列車内監視システム40に実行させるためのプログラムであるともいえる。このプログラムは、プログラムが記憶された記憶媒体により提供されてもよいし、通信媒体など他の手段により提供されてもよい。
【0032】
上記プログラムは、車上映像記憶部12が、列車10の車内を撮影する監視カメラ11で撮影された映像データを、映像データが撮影された状況を示すパラメータ情報とともに画像情報として記憶する第1のステップと、車上通信部13が、列車10に搭載される機器の動作を制御する車上制御部14の制御に基づいて、列車10が停止している状態において、車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を地上通信部31に送信する第2のステップと、地上通信部31が、車上通信部13から送信された画像情報を受信する第3のステップと、映像解析サーバ33が、地上通信部31で受信された画像情報を用いて、列車10で忘れ物が発生したか否かを判定する第4のステップと、映像解析サーバ33が、忘れ物の発生を検出した場合、忘れ物が発生した旨を示す忘れ物通知を生成する第5のステップと、地上通信部31が、忘れ物通知を車上通信部13に送信する第6のステップと、車上通信部13が、忘れ物通知を受信する第7のステップと、車上表示部15が、車上制御部14の制御に基づいて、車上通信部13で受信された忘れ物通知の内容を表示する第8のステップと、を列車内監視システム40に実行させるプログラムであるとも言える。
【0033】
ここで、プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などである。また、メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0034】
図4は、実施の形態1に係る列車内監視システム40の処理回路を専用のハードウェアで実現する場合の処理回路93の構成の一例を示す図である。図4に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路93については、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路93は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態によれば、列車内監視システム40において、列車10の車上通信部13は、車上制御部14の制御に基づいて、列車10が停止している状態として、列車10の運用が終了してから、車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を地上基地局30に送信する。地上基地局30において、映像解析サーバ33は、列車10の車上通信部13から送信され、地上基地局30の地上通信部31で受信された画像情報を用いて、列車10で忘れ物が発生したか否かを判定する。映像解析サーバ33が忘れ物を検出した場合、地上基地局30の地上通信部31は、映像解析サーバ33で生成された忘れ物通知を列車10に送信する。列車10において、車上表示部15は、車上制御部14の制御に基づいて、車上通信部13で受信された忘れ物通知の内容を表示する。これにより、列車10に乗務する運転手および車掌のうち少なくとも一方は、車上表示部15の表示内容を確認することによって、忘れ物通知に含まれる号車番号の情報で示される車両に忘れ物があることを認識でき、忘れ物を回収することができる。また、列車内監視システム40は、列車10の走行中において、列車10から地上基地局30に対して画像情報を送信せず、地上基地局30から列車10に対して忘れ物通知を送信しないことから、列車10の走行中の通信のデータ量を低減しつつ、列車10内で発生した忘れ物を検出することができる。
【0036】
実施の形態2.
実施の形態1では、列車10は、列車10が停止している状態として、列車10の運用が終了してから車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を地上基地局30に送信していた。実施の形態2では、列車10は、列車10が停止している状態として、列車10が駅に停車している状態のときに車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を地上基地局30に送信する場合について説明する。
【0037】
実施の形態2において、列車内監視システム40の構成は、図1に示す実施の形態1のときの列車内監視システム40の構成と同様である。図5は、実施の形態2に係る列車内監視システム40の動作を示すフローチャートである。図5に示す実施の形態2のフローチャートは、図2に示す実施の形態1のフローチャートに対して、ステップS3をステップS21に置き換えたものである。
【0038】
ステップS2の動作の後、実施の形態2では、車上制御部14は、列車10が駅に停車しているか否かを判定する(ステップS21)。前述のように、車上制御部14は、列車10に搭載される機器の動作を制御しているので、例えば、列車10のドアが開いている場合、列車10が駅に停車していると認識することができる。列車10が駅に停車していない場合(ステップS21:No)、列車内監視システム40は、ステップS1の動作に戻る。列車10が駅に停車している場合(ステップS21:Yes)、車上制御部14は、車上通信部13を制御して、車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を地上基地局30の地上通信部31に送信させる。すなわち、列車10の車上通信部13は、車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を地上基地局30の地上通信部31に送信する(ステップS4)。具体的には、列車10の車上通信部13は、車上制御部14の制御に基づいて、列車10が前に停車した駅に到着したときから現在停車している駅に到着したときまでの間に車上映像記憶部12に記憶された画像情報を地上基地局30の地上通信部31に送信する。実施の形態2において、列車内監視システム40のその他の動作は、実施の形態1のときの列車内監視システム40の動作と同様である。ただし、列車内監視システム40は、実施の形態1のときと異なり、列車10が駅に停車するごとに画像情報の送受信、忘れ物が発生したか否かの判定などを行うため、列車10の運行中は図5に示すフローチャートを繰り返し実施する。
【0039】
例えば、列車10が長距離運転を行う列車種別であり、列車10の始発駅付近で乗車した乗客が列車10内に荷物を忘れた場合、列車内監視システム40は、実施の形態1の動作を行うと、遠く離れた終着駅で忘れ物を検出することになる。そのため、乗客が忘れ物を取りに行く場合、または列車10を運行する鉄道会社が忘れ物を乗客が所望する駅まで運ぶ場合のいずれにおいても、時間も手間もかかることになる。
【0040】
これに対して、列車10が長距離運転を行う列車種別であり、列車10の始発駅付近で乗車した乗客が列車10内に荷物を忘れた場合、列車内監視システム40は、実施の形態2の動作を行うことによって、乗客が降車した駅からそれほど離れていない駅で忘れ物を検出することが可能である。この場合、列車内監視システム40は、忘れ物を回収可能な駅にも忘れ物通知を送信することによって、列車10の運転手および車掌が忘れ物を回収できなくても、忘れ物通知を確認した駅の係員が、列車10に残されていた忘れ物を回収することができる。そのため、乗客が忘れ物を取りに行く場合、または列車10を運行する鉄道会社が忘れ物を乗客が所望する駅まで運ぶ場合のいずれにおいても、実施の形態1の場合と比較して、時間も手間も削減できることになる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態によれば、列車内監視システム40において、列車10の車上通信部13は、車上制御部14の制御に基づいて、列車10が停止している状態として、列車10が駅に停車したときに、車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を地上基地局30に送信することとした。これにより、列車内監視システム40は、実施の形態1のときと比較して、忘れ物が発生した地点から比較的近い駅において、忘れ物を回収することが可能となる。
【0042】
なお、列車内監視システム40は、駅に停車するごとに列車10が画像情報を地上基地局30に送信していたが、これに限定されない。列車内監視システム40において、列車10は、他路線との乗換駅などで乗降客が多く見込まれ、駅の停車時間が規定された時間よりも長い場合、画像情報を地上基地局30に送信してもよい。すなわち、列車10は、駅の停車時間が規定された時間よりも短い場合、画像情報を地上基地局30に送信しなくてもよい。
【0043】
実施の形態3.
実施の形態1では、列車10は、列車10が停止している状態として、列車10の運用が終了してから車上映像記憶部12に記憶されている画像情報を地上基地局30に送信し、地上基地局30の映像解析サーバ33は、画像情報を用いて、忘れ物が発生したか否かを判定していた。この場合、地上基地局30の映像解析サーバ33は、同じような動作によって、さらに運用終了後の列車10に取り残された乗客を検出することも可能である。
【0044】
実施の形態3において、列車内監視システム40の構成は、図1に示す実施の形態1のときの列車内監視システム40の構成と同様である。図6は、実施の形態3に係る列車内監視システム40の動作を示すフローチャートである。図6に示す実施の形態2のフローチャートは、図2に示す実施の形態1のフローチャートに対して、ステップS7からステップS11をステップS31からステップS35に置き換えたものである。
【0045】
ステップS6の動作の後、実施の形態3では、映像解析サーバ33は、地上映像記憶部32に記憶されている画像情報を用いて、列車10で降車していない乗客が存在するか否かを判定する(ステップS31)。降車していない乗客が存在しない場合(ステップS31:No)、列車内監視システム40は、図6に示すフローチャートの動作を終了する。降車していない乗客が存在する場合(ステップS31:Yes)、映像解析サーバ33は、降車していない乗客が存在する旨を示す乗客通知を生成する(ステップS32)。乗客通知の内容は、実施の形態1で説明した忘れ物通知の内容と同様である。地上基地局30の地上通信部31は、映像解析サーバ33で生成された乗客通知を、列車10の車上通信部13に送信する(ステップS33)。
【0046】
列車10において、車上通信部13は、地上基地局30の地上通信部31から送信された乗客通知を、地車間ネットワーク20を介して受信する(ステップS34)。車上制御部14は、車上通信部13で受信された乗客通知の内容を車上表示部15に表示させる。すなわち、車上表示部15は、車上制御部14の制御に基づいて、乗客通知の内容を表示する(ステップS35)。車上表示部15は、音声を出力する機能を有する場合、アラームなどの音声を出力し、列車10に乗務する運転手および車掌に対して乗客通知が届いたことを認識させてもよい。実施の形態3において、列車内監視システム40のその他の動作は、実施の形態1のときの列車内監視システム40の動作と同様である。ただし、実施の形態3では、図1において「忘れ物通知」は「乗客通知」になり、「忘れ物に対応する画像情報」は「乗客に対応する画像情報」になる。列車内監視システム40は、図6に示す実施の形態3に係るフローチャートの動作を、図2に示す実施の形態1に係るフローチャートの動作と並行して行うこととする。
【0047】
なお、列車10は、列車10に乗務する運転手および車掌のうち少なくとも一方が乗客通知を確認したことを示す操作を行い、地上基地局30の映像解析サーバ33に対して乗客通知を確認したことを示す通知を返信してもよい。これにより、映像解析サーバ33は、乗客通知が確認されたことを把握することができる。また、映像解析サーバ33は、列車10から乗客通知が確認されたことを示す通知が規定された期間内に返信されてこなかった場合、再度乗客通知を生成し、地上通信部31から再送させてもよい。これにより、映像解析サーバ33は、列車10に乗務する運転手および車掌に対して、乗客通知を認識させる確率を向上させることができる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態によれば、列車内監視システム40において、地上基地局30の映像解析サーバ33は、列車10の車上通信部13から送信され、地上基地局30の地上通信部31で受信された画像情報を用いて、列車10で降車していない乗客が存在するか否かを判定する。映像解析サーバ33が降車していない乗客を検出した場合、地上基地局30の地上通信部31は、映像解析サーバ33で生成された乗客通知を列車10に送信する。列車10において、車上表示部15は、車上制御部14の制御に基づいて、車上通信部13で受信された乗客通知の内容を表示する。これにより、列車10に乗務する運転手および車掌のうち少なくとも一方は、車上表示部15の表示内容を確認することによって、乗客通知に含まれる号車番号の情報で示される車両に乗客が存在することを認識でき、列車10に取り残された乗客を保護することができる。
【0049】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
10a,10b 列車、11 監視カメラ、12 車上映像記憶部、13 車上通信部、14 車上制御部、15 車上表示部、20 地車間ネットワーク、30 地上基地局、31 地上通信部、32 地上映像記憶部、33 映像解析サーバ、34 遺失物管理サーバ、40 列車内監視システム、90,93 処理回路、91 プロセッサ、92 メモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6