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特許7612131子機、親機、通信システム、通信方法、および、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-26
(45)【発行日】2025-01-10
(54)【発明の名称】子機、親機、通信システム、通信方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/32 20090101AFI20241227BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20241227BHJP
   H04W 40/02 20090101ALI20241227BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20241227BHJP
【FI】
H04W40/32
H04W4/38
H04W40/02 110
H04W84/18
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2024561762
(86)(22)【出願日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2024003775
【審査請求日】2024-10-18
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2023/006694
(32)【優先日】2023-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 佑毅
(72)【発明者】
【氏名】城倉 義彦
(72)【発明者】
【氏名】木下 裕介
(72)【発明者】
【氏名】松高 靖
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 泰伎
(72)【発明者】
【氏名】深沢 翔平
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/168327(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0377643(US,A1)
【文献】川島 佑毅, 永井 幸政, 城倉 義彦, 山内 尚久,RPLのメトリック変換手法に関する一考察,電子情報通信学会2021年総合大会 B-15-33,2021年02月23日,pp.448-448
【文献】川島 佑毅, 城倉 義彦, 永井 幸政,RPLにおけるマイグレーション手法の評価,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.123 No.369 [online] IEICE Technical Report,日本,一般社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2024年01月18日,第123巻,pp.42-44
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プロトコルにより計算した第1ランク値に基づいて構築された無線メッシュネットワークに接続される子機において、
一つ以上の近隣ノードから、ノードのランク情報を含む経路情報が記載された一つ以上の制御メッセージを受信する通信装置と、
前記ランク情報に対して第2プロトコルに基づく処理をすることを判定するプロトコル判定部と、
前記プロトコル判定部の判定結果に基づき、前記第2プロトコルに基づき前記ランク情報を使用して第2ランク値を計算し、一つ以上の第2ランク値に基づいて前記一つ以上の近隣ノードのなかから一つのノードを親ノードとして選択し、前記親ノードのIDと前記親ノードのランク情報を使用して計算された第2ランク値とを経路テーブルに記録する上り経路構築部と、
前記経路テーブルに記録された前記親ノードのIDを告知する告知メッセージを作成して親機に送信するマルチホップ通信部と
を備えた子機。
【請求項2】
前記プロトコル判定部は、前記ランク情報に対して第1プロトコルに基づく処理をすることを判定し、
上り経路構築部は、前記プロトコル判定部の判定結果に基づき、前記第1プロトコルに基づき前記ランク情報を使用して第1ランク値を計算し、前記親ノードのランク情報を使用して計算された第1ランク値を前記経路テーブルに記録する請求項1に記載の子機。
【請求項3】
前記ランク情報は、少なくとも第1ランク情報と第2ランク情報とのいずれかを含み、
前記第1ランク情報は、第1ランク値と第1最低増加値とを含み、
前記第2ランク情報は、第2ランク値と第2最低増加値とを含む請求項1又は2に記載の子機。
【請求項4】
前記通信装置は、前記制御メッセージとして、一つのノードから、
前記制御メッセージの送信元ノードの前記第1ランク情報を含む第1制御メッセージと、
前記制御メッセージの送信元ノードの前記第2ランク情報を含む第2制御メッセージとを受信し、
前記上り経路構築部は、
前記送信元ノードの前記第1ランク情報に基づいて前記第1ランク値を計算する第1の上り経路構築部と、
前記送信元ノードの前記第2ランク情報に基づいて前記第2ランク値を計算する第2の上り経路構築部と、
を有する請求項3に記載の子機。
【請求項5】
前記上り経路構築部は、
一つのノードから前記制御メッセージの送信元ノードの第1ランク情報を含む第1制御メッセージのみを受信した場合、親機からの子機までの全てのホップに加重をかけて第2ランク値を計算し、一つのノードから前記制御メッセージの送信元ノードの第2ランク情報を含む第2制御メッセージのみを受信した場合、経路のホップ数に基づいて第1ランク値を計算するプロトコル変換部を有する請求項3に記載の子機。
【請求項6】
前記上り経路構築部は、第2ランク値を計算する場合、異なる通信方式を用いる場合に第2ランク値に差がつくように、加重を掛けて第2ランク値を算出する請求項1又は2に記載の子機。
【請求項7】
前記経路情報は、親機からの経路における第2の通信方式の経路の連続数を含み、
前記上り経路構築部は、前記第2ランク値が同一になるノードが複数存在した場合に、前記連続数により親ノードを選択する請求項1又は2に記載の子機。
【請求項8】
前記経路情報は、親機からの経路における第1の通信方式のみが可能なノードの有無を含み、
前記上り経路構築部は、前記第2ランク値が同一になるノードが複数存在した場合に、前記第1の通信方式のみが可能なノードの有無により親ノードを選択する請求項1又は2に記載の子機。
【請求項9】
前記経路情報は、親ノードの種別または親ノードの通信方式を含み、
前記上り経路構築部は、親ノードの種別と子ノードの種別とから、または、親ノードの通信方式と子ノードの通信方式とを参照して、前記親ノードと前記子ノードがそれぞれ第1通信方式と第2通信方式とに対応している場合のみ、前記親ノードとの通信方式として前記第2通信方式を選択し、前記親ノードとの通信方式を前記経路テーブルに記録する請求項1又は2に記載の子機。
【請求項10】
前記マルチホップ通信部は、前記告知メッセージに前記経路テーブルに記録された前記親ノードとの通信方式を記載して親機に送信する請求項9に記載の子機。
【請求項11】
前記通信装置は、下りメッセージを送る子機までの経路に存在するノードのIDとノードとの通信方式とを含めた下りメッセージを受信し、
前記マルチホップ通信部は、前記下りメッセージに含まれたノードのIDとノードとの通信方式とを参照して子ノードのIDと子ノードとの通信方式とを特定し、前記下りメッセージを前記子ノードに転送する請求項1又は2に記載の子機。
【請求項12】
前記マルチホップ通信部は、親機宛の上りメッセージを作成して親機宛に送信する場合、自ノードのIDと親ノードとの通信方式とを記載した上りメッセージを作成して親機宛に送信し、
前記マルチホップ通信部は、前記上りメッセージを受信して親機宛に転送する場合、前記上りメッセージに前記自ノードのIDと親ノードとの通信方式とを記載して親機宛に送信する請求項1又は2に記載の子機。
【請求項13】
前記マルチホップ通信部は、親機宛の上りメッセージを作成して親機宛に送信する場合、自ノードのIDを記載した上りメッセージを作成して親機宛に送信し、
前記マルチホップ通信部は、前記上りメッセージを受信して親機宛に転送する場合、前記上りメッセージに前記自ノードのIDを記載して親機宛に送信する請求項1又は2に記載の子機。
【請求項14】
複数の子機がノードとなる無線メッシュネットワークに接続される親機において、
親ノードのIDと親ノードとの通信方式とを告知する告知メッセージを子ノードから受信する通信装置と、
前記告知メッセージに含まれた親ノードのIDと親ノードとの通信方式と前記子ノードのIDとを対応させて下り経路テーブルに記録する下り経路構築部と、
前記下り経路テーブルを参照して、下りメッセージを送る子機までの経路に存在する一つ以上のノードを特定し、ノードのIDとノードとの通信方式とを含む下りメッセージを作成するマルチホップ通信部と
を備えた親機。
【請求項15】
前記下り経路構築部は、第1ランク情報と第2ランク情報とをランクテーブルに記録し、
前記マルチホップ通信部は、前記第1ランク情報を含む第1制御メッセージと、前記第2ランク情報を含む第2制御メッセージとを作成して、第1制御メッセージと第2制御メッセージとを近隣ノードに対して送信する請求項14に記載の親機。
【請求項16】
前記下り経路構築部は、経由ノードのIDと前記経由ノードの通信方式とを記載した上りメッセージを子ノードから受信した場合、前記子ノードのIDに対応付けて前記上りメッセージに記載された経由ノードのIDと経由ノードの通信方式とを、経由ノード情報テーブルに記録し、
前記マルチホップ通信部は、前記子ノードに対して下りメッセージを作成する場合、前記経由ノード情報テーブルに記載された経由ノードのIDと経由ノードの通信方式とを参照して、前記下りメッセージを送る子機までの経路に存在する経由ノードのIDと経由ノードとの通信方式とを含む下りメッセージを作成する請求項14又は15に記載の親機。
【請求項17】
前記下り経路構築部は、経由ノードのIDを記載した上りメッセージを子ノードから受信した場合、前記子ノードのIDに対応付けて前記上りメッセージに記載された経由ノードのIDを、経由ノード情報テーブルに記録し、
前記マルチホップ通信部は、前記子ノードに対して下りメッセージを作成する場合、前記経由ノード情報テーブルに記載された経由ノードのIDを参照して、前記子ノードまでの経路に存在する経由ノードを特定し、前記下り経路テーブルを参照して、子ノードまでの経路に存在する経由ノードに対応する経由ノードの通信方式を特定し、経由ノードのIDと経由ノードの通信方式とを含む下りメッセージを作成する請求項14又は15に記載の親機。
【請求項18】
ノードのIDとノードとの通信方式とを含む下りメッセージを送信する親機と、
前記下りメッセージを受信し、前記下りメッセージに含まれたノードのIDとノードとの通信方式とを参照して子ノードのIDと子ノードとの通信方式とを特定し、前記下りメッセージを前記子ノードに転送する子機と
を備えた通信システム。
【請求項19】
前記子機は、親機宛の上りメッセージの送信時および転送時に、前記上りメッセージに前記子機のノードのIDと通信方式とを記載するとともに、
前記親機は、前記上りメッセージに記載されたノードのIDと通信方式とを保存しておき、保存したノードのIDと通信方式とを利用して、下りメッセージを作成する請求項18に記載の通信システム。
【請求項20】
前記子機は、親機宛の上りメッセージの送信時および転送時に、前記上りメッセージに子機のノードのIDを記載するとともに、
前記親機は、前記上りメッセージに記載されたノードのIDを保存しておき、保存したノードのIDを利用して下りメッセージを作成する請求項18に記載の通信システム。
【請求項21】
前記親機と前記子機とは、第1プロトコルと第2プロトコルにより通信することが可能な無線メッシュネットワークに接続され、
前記親機と前記子機とは、第1プロトコルによる通信を停止することにより、第2プロトコルのみにより通信をする請求項18に記載の通信システム。
【請求項22】
第1プロトコルにより計算した第1ランク値に基づいて構築された無線メッシュネットワークに接続される子機の通信方法において、
通信装置が、一つ以上の近隣ノードから、ノードのランク情報を含む経路情報が記載された一つ以上の制御メッセージを受信し、
プロトコル判定部が、前記ランク情報に対して第2プロトコルに基づく処理をすることを判定し、
上り経路構築部が、前記プロトコル判定部の判定結果に基づき、前記第2プロトコルに基づき前記ランク情報を使用して第2ランク値を計算し、一つ以上の第2ランク値に基づいて前記一つ以上の近隣ノードのなかから一つのノードを親ノードとして選択し、前記親ノードのIDと前記親ノードのランク情報を使用して計算された第2ランク値とを経路テーブルに記録し、
マルチホップ通信部が、前記経路テーブルに記録された前記親ノードのIDを告知する告知メッセージを作成して親機に送信する通信方法。
【請求項23】
複数の子機がノードとなる無線メッシュネットワークに接続される親機の通信方法において、
通信装置が、親ノードのIDと親ノードとの通信方式とを告知する告知メッセージを子ノードから受信し、
下り経路構築部が、前記告知メッセージに含まれた親ノードのIDと親ノードとの通信方式と前記子ノードのIDとを対応させて下り経路テーブルに記録し、
マルチホップ通信部が、前記下り経路テーブルを参照して、下りメッセージを送る子機までの経路に存在する一つ以上のノードを特定し、ノードのIDとノードとの通信方式とを含む下りメッセージを作成する通信方法。
【請求項24】
第1プロトコルにより計算した第1ランク値に基づいて構築された無線メッシュネットワークに接続され、通信装置が一つ以上の近隣ノードからノードのランク情報を含む経路情報が記載された一つ以上の制御メッセージを受信する子機に、
前記ランク情報に対して第2プロトコルに基づく処理をすることを判定するプロトコル判定処理と、
前記プロトコル判定処理の判定結果に基づき、前記第2プロトコルに基づき前記ランク情報を使用して第2ランク値を計算し、一つ以上の第2ランク値に基づいて前記一つ以上の近隣ノードのなかから一つのノードを親ノードとして選択し、前記親ノードのIDと前記親ノードのランク情報を使用して計算された第2ランク値とを経路テーブルに記録する上り経路構築処理と、
前記経路テーブルに記録された前記親ノードのIDを告知する告知メッセージを作成して親機に送信するマルチホップ通信処理と
を実行させるプログラム。
【請求項25】
複数の子機がノードとなる無線メッシュネットワークに接続される親機に、
親ノードのIDと親ノードとの通信方式とを告知する告知メッセージを子ノードから受信する通信処理と、
複数の子機がノードとなる無線メッシュネットワークに接続され、通信装置が親ノードのIDと親ノードとの通信方式とを告知する告知メッセージを子ノードから受信する親機において、
前記告知メッセージに含まれた親ノードのIDと親ノードとの通信方式と前記子ノードのIDとを対応させて下り経路テーブルに記録する下り経路構築処理と、
前記下り経路テーブルを参照して、下りメッセージを送る子機までの経路に存在する一つ以上のノードを特定し、ノードのIDとノードとの通信方式とを含む下りメッセージを作成するマルチホップ通信処理と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、子機、親機、および、通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境情報を収集するためのセンサネットワークおよびスマートメータによる電力検針収集のために無線メッシュネットワークが用いられている。無線メッシュネットワークは、データを収集する収集装置と子機とが無線装置を用いて自律的にネットワークを構築する。
今後、既存のスマートメータの通信方式では対応できなくなる可能性があり、現行の通信方式とは異なる通信方式の次世代スマートメータが必要となる可能性がある。
【0003】
無線メッシュネットワークのルーティングプロトコルとしては、非特許文献1のRPL(Routing Protocol for Low-Power and Lossy Networks)がインターネット標準として規定されている。
RPLを用いた無線メッシュネットワークにおいて、既に構築した無線メッシュネットワークのデータ収集機能を維持したまま、収集周期の高速化、通信の広帯域化を実現したい要求がある。
特許文献1では、無線通信方式による経路品質値を算出するための信号強度値を無線通信方式に応じて変換することで、通信経路を選択する方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6752383号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】IETF(Internet Engineering Task Force) RFC(Request for Comments):6550 ISSN: 2070-1721 “RPL: IPv6 Routing Protocol for Low Power and Lossy Networks” March 2012 IETF Trust,T.Winter,et al.[令和5年1月25日検索],インターネット <URL:https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc6550>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、複数種類の通信方式が利用可能な通信機と1種類の通信方式のみ利用可能な通信機とが混在した場合、通信機間でできるだけ好ましい通信方式を選択できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る子機は、
第1プロトコルにより計算した第1ランク値に基づいて構築された無線メッシュネットワークに接続される子機において、
一つ以上の近隣ノードから、ノードのランク情報を含む経路情報が記載された一つ以上の制御メッセージを受信する通信装置と、
前記ランク情報に対して第2プロトコルに基づく処理をすることを判定するプロトコル判定部と、
前記プロトコル判定部の判定結果に基づき、前記第2プロトコルに基づき前記ランク情報を使用して第2ランク値を計算し、一つ以上の第2ランク値に基づいて前記一つ以上の近隣ノードのなかから一つのノードを親ノードとして選択し、前記親ノードのIDと前記親ノードのランク情報を使用して計算された第2ランク値とを経路テーブルに記録する上り経路構築部と、
前記経路テーブルに記録された前記親ノードのIDを告知する告知メッセージを作成して親機に送信するマルチホップ通信部と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示では、上り経路構築部が、第1プロトコルに基づく第1ランク値よりも好ましい通信方式を選択できるように第2プロトコルに基づく第2ランク値を計算するので、複数種類の通信方式の中から好ましい通信方式を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1の通信システム501の構成図である。
図2】実施の形態1の第1の収集装置10の構成図である。
図3】実施の形態1の第1の子機10xの構成図である。
図4】実施の形態1の通信システム502の構成図である。
図5】実施の形態1の第2の収集装置20の構成図である。
図6】実施の形態1の第2の子機20xの構成図である。
図7】実施の形態1の第3の子機30xの構成図である。
図8】実施の形態1の第1の子機10aと第2の子機20dと第3の子機30eが参入する場合のシーケンスを示している図である。
図9】実施の形態1のランクテーブル903を示す図である。
図10】実施の形態1の第1の子機10aの経路テーブル902が保持するRPLランク1および選択した親ノードのIDを表している図である。
図11】実施の形態1の第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している図である。
図12】実施の形態1の第2の収集装置20における第1の子機10a宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダとを示している図である。
図13】実施の形態1の第2の子機20dが保持する経路テーブル902を示している図である。
図14】実施の形態1の第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している図である。
図15】実施の形態1の第2の収集装置20における第2の子機20d宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している図である。
図16】実施の形態1の第3の子機30eが保持する経路テーブル902を示している図である。
図17】実施の形態1の第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している図である。
図18】実施の形態1の第2の収集装置20における第3の子機30e宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している図である。
図19】実施の形態1の第2の子機20bと第1の子機10fと第2の子機20gと第3の子機30hが参入する場合のシーケンスを示している図である。
図20】実施の形態1の第2の子機20bが保持する経路テーブル902を示している図である。
図21】実施の形態1の第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している図である。
図22】実施の形態1の第2の収集装置20における第2の子機20b宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している図である。
図23】実施の形態1の第1の子機10fの経路テーブル902が保持するRPLランク1および選択した親ノードのIDを表している図である。
図24】実施の形態1の第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している図である。
図25】実施の形態1の第2の収集装置20における第1の子機10f宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している図である。
図26】実施の形態1の第2の子機20gが保持する経路テーブル902を示している図である。
図27】実施の形態1の第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している図である。
図28】実施の形態1の第2の収集装置20における第2の子機20g宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している図である。
図29】実施の形態1の第3の子機30hが保持する経路テーブル902を示している図である。
図30】実施の形態1の第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している図である。
図31】実施の形態1の第2の収集装置20における第3の子機30h宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している図である。
図32】実施の形態1の第3の子機30cと第2の子機20iが参入する場合のシーケンスを示している図である。
図33】実施の形態1の第3の子機30cが保持する経路テーブル902を示している図である。
図34】実施の形態1の第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している図である。
図35】実施の形態1の第2の収集装置20における第3の子機30c宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している図である。
図36】実施の形態1の第2の子機20iが保持する経路テーブル902を示している図である。
図37】実施の形態1の第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している図である。
図38】実施の形態1の第2の収集装置20における第2の子機20i宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している図である。
図39】実施の形態2の第2の子機および第3の子機における親ノード選択のフローチャートである。
図40】実施の形態2の第2の収集装置20と第1の子機10a、第2の子機20b、第2の子機20cで構成する無線メッシュネットワークに第2の子機20dが参入する状況を示している図である。
図41】実施の形態2の第2の収集装置20と第1の子機10a、第2の子機20b、第3の子機30cで構成する無線メッシュネットワークに、第2の子機20dが参入する状況を示している図である。
図42】実施の形態2の第2の収集装置20と第1の子機10a、第2の子機20b、20c、20eで構成する無線メッシュネットワークに第2の子機20dが参入する状況を示している図である。
図43】実施の形態2の第2の収集装置20と第1の子機10a、第2の子機20b、20c、20eで構成する無線メッシュネットワークに第2の子機20dが参入する状況を示している図である。
図44】実施の形態2の第2の収集装置20と第1の子機10a、第3の子機30b、30c、30eで構成する無線メッシュネットワークに第2の子機20dが参入する状況を示している図である。
図45】実施の形態2の第2の収集装置20と第1の子機10a、第3の子機30b、30c、30eで構成する無線メッシュネットワークに第2の子機20dが参入する状況を示している図である。
図46】実施の形態2の第2の収集装置20と第1の子機10a、10b、10c、10eで構成する無線メッシュネットワークに第2の子機20dが参入する状況を示している図である。
図47】実施の形態3の通信システム503において、第1の子機10xが第2の子機20xおよび第3の子機30xに置き換えられた状態を示している図である。
図48】実施の形態3の図47における第2の収集装置20、第2の子機20b、20f、20gおよび第3の子機30hにおけるDIO-2およびDIO-1を送信するシーケンスを示している図である。
図49】実施の形態4と5の通信システム504の構成図である。
図50】実施の形態4の子機が上りメッセージに付与するHop-by-Hop拡張ヘッダを示している図である。
図51】実施の形態4の第2の収集装置20における第2の子機20b宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している図である。
図52】実施の形態4の子機が上りメッセージに付与するHop-by-Hop拡張ヘッダを示している図である。
図53】実施の形態4の第2の収集装置20における第2の子機20r宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している図である。
図54】実施の形態5の子機が上りメッセージに付与するHop-by-Hop拡張ヘッダを示している図である。
図55】実施の形態5の第2の収集装置20における第2の子機20r宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、その説明を適宜省略または簡略化する。
【0011】
●用語の説明
ノード:
親機と子機。
近隣のノード:
電波が届く通信圏内に配置されたノード、かつ、ネットワークにすでに参入している通信が可能なノード。
親機:
ルートノードの無線機。第1の収集装置10と第2の収集装置20に相当する。
子機:
ノードの無線機。第1の子機10xと第2の子機20xと第3の子機30xに相当する。
ランク値:
親機から子機までの相対位置(距離)を表現した値。収集装置から子機までの経路品質を表す経路品質値。親機から子機までの経路において親機からのホップ数が大きくなるほど大きくなる値。RPLランクに相当する。
第1ランク値:
第1プロトコルに基づいて計算されたランク値。RPLランク1に相当する。この明細書では、親機に初期設定されている第1ランク値は、128である。
第2ランク値:
第2プロトコルに基づいて計算されたランク値。RPLランク2に相当する。この明細書では、親機に初期設定されている第2ランク値は、32である。
MinimumHopRankIncrease:
親ノードから子ノードまでのランクの最低増加値。各ノードがあらかじめ記憶している値。
MinimumHopRankIncrease-1:
第1ランク値の計算に使用される第1最低増加値。この明細書では、低伝送レートの無線方式を使用することに対する第1最低増加値として128を用いる。
MinimumHopRankIncrease-2:
第2ランク値の計算に使用される第2最低増加値。この明細書では、高伝送レートの無線方式を使用することに対する第2最低増加値として32を用いる。第1最低増加値(128)は第2最低増加値(32)に対して4倍の重みづけがされた値である。
制御メッセージ:
子ノードとして加入することを勧誘するために近隣のノードから送信されるメッセージ。経路の構築に関する経路情報を含むメッセージ。DIO-1とDIO-2に相当する。
第1ランク情報:
第1ランク値を計算させるための送信元ノードの情報。制御メッセージに記載された送信元ノードの第1ランク値とMinimumHopRankIncrease-1。
第2ランク情報:
第2ランク値を計算させるための送信元ノードの情報。制御メッセージに記載された送信元ノードの第2ランク値とMinimumHopRankIncrease-2。
第1制御メッセージ:
制御メッセージの送信元ノードの第1ランク値とMinimumHopRankIncrease-1とを含む制御メッセージ。DIO-1に相当する。
第2制御メッセージ:
制御メッセージの送信元ノードの第2ランク値とMinimumHopRankIncrease-2とを含む制御メッセージ。DIO-2に相当する。
プロトコル:
親機または子機により実行される通信規約または通信規約を実施するためのアルゴリズム。
第1プロトコル:
近隣ノードの第1のランク値(RPLランク1)を使用して第1のランク値(RPLランク1)を計算して、最小の第1ランク値(RPLランク1)により親機を選択するプロトコル。さらに、第1のランク値(RPLランク1)のみを近隣ノードに通知するプロトコル。第1の子機10xで実施されるプロトコル。
第2プロトコル:
近隣ノードの第2のランク値(RPLランク2)を使用して第2のランク値(RPLランク2)を計算して、第2のランク値(RPLランク2)により親機を選択するプロトコル。さらに、親機との通信方式を選択するプロトコル。また、さらに、第1プロトコルに基づき計算された第1のランク値(RPLランク1)と第2プロトコルに基づき計算された第2のランク値(RPLランク2)とを近隣ノードに、通知するプロトコル。第2の子機20xと第3の子機30xで実施されるプロトコル。
上り経路構築部:
一つ以上の近隣のノードのなかから一つのノードを親ノードとして選択し、親ノードとの通信方式を選択するモジュール。第1の上り経路構築部と第2の上り経路構築部を含む。
第1の上り経路構築部:
第1プロトコルに対応する経路構築部。送信元ノードの第1ランク情報に基づいて第1ランク値を計算するモジュール。
第2の上り経路構築部:
第2プロトコルに対応する経路構築部。送信元ノードの第2ランク情報に基づいて第2ランク値を計算するモジュール。
マルチホップ通信部:
プロトコルを実施する通信部。第1のマルチホップ通信部と第2のマルチホップ通信部を含む。
第1のマルチホップ通信部:
第1プロトコルを実施する通信部。
第2のマルチホップ通信部:
第2プロトコルを実施する通信部。
通信方式:
物理層とデータリンク層の一部とで使用される通信方式。ノード間で使用する無線方式。通信速度、変調方式、あるいは、送信出力方式が異なれば通信方式が異なる。
第1通信方式:
第1のPHY102と第1のMAC103とが使用する通信方式。第1のPHY/MACに相当する。具体例は、低伝送レートの無線方式。
第2通信方式:
第2のPHY202と第2のMAC203とが使用する通信方式。第2のPHY/MACに相当する。具体例は、高伝送レートの無線方式。
ノードID:MACアドレスなど無線機を識別する識別子。この明細書では、IDとして、10a、10bなどの符号を使用する。
【0012】
実施の形態1.
この実施の形態1では、複数のスマートメータに実装される通信機(子機)が収集装置(親機)までの通信経路を1つの通信方式で無線メッシュネットワークを構築している通信システム501を説明する。
そして、通信システム502において、通信システム501に示したマルチホップネットワークを構築している通信機がランダムに新規通信方式を実装した新規の通信機に置き換わっていく場合を説明する。特に、既存の通信機のマルチホップ通信も維持しつつ、新規通信方式のメリットを生かした、マルチホップネットワークを構築する場合を説明する。
【0013】
図1は、この開示の前提となる通信システム501の構成図である。
通信システム501は、第1の収集装置10と複数の第1の子機10a、10b、・・・、10iが、無線リンク601で接続することで構成される無線メッシュネットワークである。以下、10a、10b、・・・、10iの符号を単に10xと記す場合がある。
通信システム501は、第1の通信装置100と第1の子機10xとが第1のプロトコルのみに基づいてマルチホップ通信をする。
【0014】
通信システム501は、第1の収集装置10と、第1の収集装置10にマルチホップ方式で接続される複数の第1の子機10xとを備える。
通信システム501は、第1の収集装置10と複数の第1の子機10xによりマルチホップネットワークを構成する。
第1の収集装置10と複数の第1の子機10xとは、無線通信機であり、単に、ノードともいう。
第1の子機10xの具体例は、スマートメータである。
【0015】
図2は、第1の収集装置10の構成図である。
第1の収集装置10は、第1の子機10xと通信するための第1の通信装置100に、無線信号を受信するためのアンテナ101と、無線リンク601の無線信号をデジタル化する第1のPHY102とメディアアクセスコントロールを行う第1のMAC103を有する。
【0016】
「PHY」とは、OSI(Open Systems Interconnection)階層モデルにおける物理層である。「PHY」とは、physical layerの略である。ここでは、「PHY」は、物理層の機能を実装するための回路(物理層デバイス)を意味する。
【0017】
「MAC」とは、OSI階層モデルにおけるデータリンク層の一部を成す通信プロトコルである。「MAC」とは、Medium Access Controlの略である。ここでは、「MAC」は、データリンク層の一部を成す通信プロトコルの機能を実装するための回路(データリンク層デバイス)を意味する。
【0018】
第1の収集装置10は、日時を取得するための計時カレンダー113を具備する。
第1の収集装置10は、第1のマルチホップ通信部301と第1の下り経路構築部310とを有するプロセッサ300とを具備する。
第1の収集装置10は、第1の下り経路構築部310により構築した下り経路に存在する子機のIDと各種オプション設定とを記録するメモリ900と補助記憶装置922とを具備する。
第1の収集装置10は、入力インタフェース930と出力インタフェース940を具備する。
【0019】
図3は、第1の子機10xの構成図である。
第1の子機10xは、第1の収集装置10および他の第1の子機と通信するための第1の通信装置100に、無線信号を受信するためのアンテナ101を有する。
第1の子機10xは、第1の通信装置100に、無線信号をデジタル化する第1のPHY102とメディアアクセスコントロールを行う第1のMAC103とを有する。
第1の子機10xは、センシングを行うセンサ装置111と、子機から操作を行うアクチュエータ装置112と、日時を取得するための計時カレンダー113とを具備する。
第1の子機10xは、第1のマルチホップ通信部301と第1の上り経路構築部311とを有するプロセッサ300を具備する。
第1の子機10xは、経路構築により選択した第1の収集装置10までの次ホップノードと各種オプション設定とを記録するメモリ900と補助記憶装置922とを具備する。
第1の子機10xは、入力インタフェース930と出力インタフェース940を具備する。
【0020】
第1の子機10xが、マルチホップ通信の経路構築をするときの動作を説明する。
第1のマルチホップ通信部301は、マルチホップ通信の経路構築を要求するDIS(DODAG Information Solicitation)メッセージを任意のタイミングで送信する。
第1のマルチホップ通信部301は、一定のディレーの後、近隣のノードからDIO(DODAG Information Object)メッセージを受信したかを判定する。
第1のマルチホップ通信部301は、一定期間の間に、DISメッセージに応答する経路構築応答メッセージであるDIOメッセージを第1の子機から受信すると、DIOメッセージを第1の上り経路構築部311に引き渡す。
【0021】
第1の上り経路構築部311は、DIOメッセージに含まれる情報から、第1の子機10xのランク値を計算する。
第1の上り経路構築部311は、近隣のノードの中で、最小のランク値が計算できたノードを親ノードとして選択し、親ノードのIDとランク値とを対応させて記録する。
第1のマルチホップ通信部301は、親ノードのIDを第1の通信装置100に告知する。
第1の通信装置100は、親ノードのIDと子ノードの組を記録する。
【0022】
通信システム501が使用するプロトコルを第1プロトコルという。
通信システム501が使用するランク値を第1ランク値という。
第1のPHY102と第1のMAC103が使用する通信方式を第1通信方式という。
【0023】
図4は、通信システム502の構成図である。
通信システム502は、第2の収集装置20と第1の子機10xおよび第2の子機20xおよび第3の子機30xが、無線リンク601もしくは無線リンク601よりも高伝送レートの無線リンク602で接続することで構成される無線メッシュネットワークである。
第1の子機10xは、通信システム501と同様に、第1のプロトコルに基づいてマルチホップ通信をする。
第2の通信装置200と第2の子機20xおよび第3の子機30xとは、第2のプロトコルに基づいてマルチホップ通信をする。
【0024】
図5は、第2の収集装置20の構成図である。
第2の収集装置20は、第1の子機10xと第2の子機20xと第3の子機30xと通信するための第2の通信装置200に、無線信号を受信するためのアンテナ201を有する。
第2の収集装置20は、第2の通信装置200に、無線リンク601の無線信号をデジタル化する第1のPHY102とメディアアクセスコントロールを行う第1のMAC103とを有する。
第2の収集装置20は、無線リンク601より高伝送レートの通信が可能な無線リンク602の無線信号をデジタル化する第2のPHY202とメディアアクセスコントロールを行う第2のMAC203とを有する。第2のPHY202と第2のMAC203が使用する通信方式を第2通信方式という。
第2の収集装置20は、プロセッサ300に、第1のマルチホップ通信部301と、第2のマルチホップ通信部302と、第2の下り経路構築部320とを有する。
第2の収集装置20は、プロセッサ300に、第1のマルチホップ通信と第2のマルチホップ通信を判定するプロトコル判定部330とを有する。
マルチホップ通信部340は、第1のマルチホップ通信部301と第2のマルチホップ通信部302とを有する。
下り経路構築部350は、第2の下り経路構築部320を有する。
第2の収集装置20は、プロトコル判定部330とマルチホップ通信部340と下り経路構築部350とにより、第2プロトコルを実施する。
【0025】
図6は、第2の子機20xの構成図である。
第2の子機20xは、第2の収集装置および第1の子機10xと第2の子機20xと第3の子機30xと通信するための第2の通信装置200に、無線信号を受信するためのアンテナ201を有する。
第2の子機20xは、第2の通信装置200に、無線リンク601の無線信号をデジタル化する第1のPHY102とメディアアクセスコントロールを行う第1のMAC103と、無線リンク602の無線信号をデジタル化する第2のPHY202とメディアアクセスコントロールを行う第2のMAC203とを有する。
第2の子機20xは、プロセッサ300に、第1のマルチホップ通信部301と、第1の上り経路構築部311と、第2のマルチホップ通信部302と、第2の上り経路構築部321とを有する。
第2の子機20xは、プロセッサ300に、第1のマルチホップ通信と第2のマルチホップ通信を判定するプロトコル判定部330と、第1のマルチホップ通信で用いるRPLランク値と第2のマルチホップ通信で用いるRPLランク値との変換を行うプロトコル変換部370とを有する。
マルチホップ通信部340は、第1のマルチホップ通信部301と第2のマルチホップ通信部302とを有する。
上り経路構築部360は、第1の上り経路構築部311と第2の上り経路構築部321とプロトコル変換部370とを有する。
第2の子機20xは、プロトコル判定部330とマルチホップ通信部340と上り経路構築部360とにより、第2プロトコルを実施する。
【0026】
図7は、第3の子機30xの構成図である。
第3の子機は、図6の第2の子機との差分として、第2のPHY202と第2のMAC203がない。したがって、第3の子機30xは第2通信方式が実施できない。
第3の子機30xは、プロセッサ300に、第1のマルチホップ通信部301と、第1の上り経路構築部311と、第2のマルチホップ通信部302と、第2の上り経路構築部321とを有する。
第3の子機30xは、第1のマルチホップ通信と第2のマルチホップ通信を判定するプロトコル判定部330と、第1のマルチホップ通信で用いるRPLランク値と第2のマルチホップ通信で用いるRPLランク値との変換を行うプロトコル変換部370とを有する。
したがって、第3の子機30xは第2プロトコルが実施できる。
【0027】
以下に、各無線機の意味を説明する。
第1の収集装置10と第1の子機10xは、リプレースされる既存の無線機である。
第2の収集装置20と第2の子機20xは、リプレースした新規の無線機である。
第3の子機30xは、第1の子機10xのハードウェアをそのまま使用しソフトウェアのヴァージョンをアップして第2プロトコルの処理を可能にしたものである。
【0028】
以下に、各無線機の仕様を説明する。
第1の収集装置10
第1の通信方式 可
第2の通信方式 不可
第1プロトコル 可
第2プロトコル 不可
第1ランク値RPLランク1 記憶する
第2ランク値RPLランク2 記憶しない
MinimumHopRankIncrease-1 あらかじめ記憶している
MinimumHopRankIncrease-2 記憶しない
制御メッセージDIO-1 作成可
制御メッセージDIO-2 作成不可
告知メッセージDAO-1 処理可
告知メッセージDAO-2 DAO-1として処理
【0029】
第2の収集装置20
第1の通信方式 可
第2の通信方式 可
第1プロトコル 可
第2プロトコル 可
自ノードの第1ランク値 記憶する(第2の子機20xと第3の子機30xには既知の値)
自ノードの第2ランク値 記憶する(第2の子機20xと第3の子機30xには既知の値)
MinimumHopRankIncrease-1:あらかじめ記憶している(第2の子機20xと第3の子機30xには既知の値)
MinimumHopRankIncrease-2:あらかじめ記憶している(第2の子機20xと第3の子機30xには既知の値)
制御メッセージDIO-1 作成可
制御メッセージDIO-2 作成可
告知メッセージDAO-1 処理可
告知メッセージDAO-2 処理可
【0030】
第1の子機10x
第1の通信方式 可
第2の通信方式 不可
第1プロトコル 可
第2プロトコル 不可
自ノードの第1ランク値 記憶する
自ノードの第2ランク値 記憶しない
MinimumHopRankIncrease-1:あらかじめ記憶している
MinimumHopRankIncrease-2:記憶しない
制御メッセージDIO-1 作成可
制御メッセージDIO-2 作成不可
告知メッセージDAO-1 作成可
告知メッセージDAO-2 作成不可
【0031】
第2の子機20x
第1の通信方式 可
第2の通信方式 可
第1プロトコル 可
第2プロトコル 可
自ノードの第1ランク値 記憶する
自ノードの第2ランク値 記憶する
MinimumHopRankIncrease-1:あらかじめ記憶している
MinimumHopRankIncrease-2:あらかじめ記憶している
制御メッセージDIO-1 作成可
制御メッセージDIO-2 作成可
告知メッセージDAO-1 作成可
告知メッセージDAO-2 作成可
【0032】
第3の子機30x
第1の通信方式 可
第2の通信方式 不可
第1プロトコル 可
第2プロトコル 可
自ノードの第1ランク値 記憶する
自ノードの第2ランク値 記憶する
MinimumHopRankIncrease-1:あらかじめ記憶している
MinimumHopRankIncrease-2:あらかじめ記憶している
制御メッセージDIO-1 作成可
制御メッセージDIO-2 作成可
告知メッセージDAO-1 作成可
告知メッセージDAO-2 処理可
【0033】
●方法・プログラムの説明
第1のマルチホップ通信部301と第1の下り経路構築部310と第1の上り経路構築部311と第2のマルチホップ通信部302と第2の下り経路構築部320と第2の上り経路構築部321とプロトコル変換部370の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えてもよい。また第1のマルチホップ通信部301と第1の下り経路構築部310と第1の上り経路構築部311と第2のマルチホップ通信部302と第2の下り経路構築部320と第2の上り経路構築部321とプロトコル変換部370の「処理」を「プログラム」、「プログラムプロダクト」または「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」に読み替えてもよい。
通信プログラムは、上記の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程を、コンピュータに実行させる。
また、通信方法は、通信システムの各装置が通信プログラムを実行することにより行われる方法である。
通信プログラムは、コンピュータ読み取り可能な不揮発性記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、通信プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0034】
第1のマルチホップ通信部301と第1の下り経路構築部310と第1の上り経路構築部311と第2のマルチホップ通信部302と第2の下り経路構築部320と第2の上り経路構築部321とプロトコル変換部370の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
別の変形例として、第1のマルチホップ通信部301と第1の下り経路構築部310と第1の上り経路構築部311と第2のマルチホップ通信部302と第2の下り経路構築部320と第2の上り経路構築部321とプロトコル変換部370の一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
また、別の変形例として、第1のマルチホップ通信部301と第1の下り経路構築部310と第1の上り経路構築部311と第2のマルチホップ通信部302と第2の下り経路構築部320と第2の上り経路構築部321とプロトコル変換部370の一部あるいはすべての機能が、ファームウェアで実現されていてもよい。
【0035】
プロセッサと電子回路の各々は、プロセッシングサーキットリとも呼ばれる。つまり、第1のマルチホップ通信部301と第1の下り経路構築部310と第1の上り経路構築部311と第2のマルチホップ通信部302と第2の下り経路構築部320と第2の上り経路構築部321とプロトコル変換部370の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0036】
次に動作について説明する。
図8は、図4の通信システム502において、第1の子機10aと第2の子機20dと第3の子機30eが参入する場合のシーケンスを示している。
●第1の子機10aが第2の収集装置に参入する場合
第1の子機10aが通信システム502に参入する動作を説明する。
第1の子機10aは、第1のマルチホップ通信部301にて、DIS(DODAG Information Solicitation)メッセージ(DIS-1)を作成する。第1の通信装置100は、第1のMAC103および第1のPHY102にてDIS-1をブロードキャスト送信する。
【0037】
第1の子機10aからDIS-1を受信した第2の収集装置20は、第2のマルチホップ通信部302にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-2)に記載する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-2をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク2
*第2のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-2
*自ノードが対応可能な無線方式(第1のPHY102と第1のMAC103とによる無線方式(以下、第1のPHY/MACと記す)、および、第2のPHY202と第2のMAC203とによる無線方式(以下、第2のPHY/MACと記す))
*自ノードの機器種別
*第2の収集装置からの高伝送レートの連続数
【0038】
第2の収集装置20は、図9のようなランクテーブル903を保持しており、以下の経路情報をDIO-2に記載してブロードキャスト送信する。
*自ノードのRPLランク2=32
*MinimumHopRankIncrease-2=32
*無線方式=第2のPHY/MAC
*機器種別=第2の収集装置
*高伝送レートの連続=0
【0039】
さらに第2の収集装置20は、第1のマルチホップ通信部301にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-1)に記載する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-1をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク1
*第1のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-1
【0040】
第2の収集装置20は、図9のようなランクテーブル903を保持しており、以下の経路情報をDIO-1に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク1=128
*MinimumHopRankIncrease-1=128
【0041】
第2の収集装置20からDIO-2およびDIO-1を受信した第1の子機10aは、当該DIO-2を未定義のメッセージとして破棄し、当該DIO-1を第1の上り経路構築部311にて処理するように判断する。
【0042】
第1の子機10aの第1の上り経路構築部311は、
当該DIO-1に記載されている第2の収集装置20のRPLランク1と、
当該DIO-1に記載のMinimumHopRankIncrease-1と、
当該DIO-1を受信する時に取得する第2の収集装置20の第2の通信装置200と第1の子機10aの第1の通信装置100との無線リンク間の状態を表すメトリックと
から、自ノードのRPLランク1を算出する。
【0043】
無線リンク間の状態を表すメトリック=0であった場合、第1の子機10aは、第2の収集装置20のDIO-1に記載されている
RPLランク1=128と、
MinimumHopRankIncrease-1=128と
から自ノードのRPLランク1=256を算出する。
【0044】
第1の子機10aは、DIO-1の受信待ち時間がタイムアウトすると、第1の上り経路構築部311にて、第2の収集装置20から第1の子機10aまでの経路のRPLランク1が最小になるノードを第2の収集装置20への上り次ホップ(親ノード)として選択する。
【0045】
図10は、第2の収集装置20が親ノードとして選択された場合、第1の子機10aの経路テーブル902が保持するRPLランク1および選択した親ノードのIDを表している。
さらに、第1の子機10aは、第1のマルチホップ通信部301にて、親ノードIDを含むDAO(DODAG Advertisement Object)メッセージ(DAO-1)を作成する。
第1の子機10aは、第2の収集装置宛にDAO-1を送信し、通信システム502への接続を要求し、参入動作を完了する。
【0046】
第2の収集装置20は、プロトコル判定部330により、第1の子機10aから受信したDAO-1を第1のマルチホップ通信部301および第2の下り経路構築部320にて処理するよう判断する。
第2の下り経路構築部320は、DAO-1には無線リンクの種別(無線方式)が記載されていないので、無線方式を第1のPHY/MACと決定する。
第2の下り経路構築部320は、DAO-1に記載されている第1の子機10aが選択した親ノードIDと、第1の子機10aが選択した親ノードが第1の子機10aへのホップに使用する無線リンクの種別(無線方式)を下り経路テーブル901に記録する。
【0047】
図11は、第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している。
第2の収集装置20は、第1の子機10a宛の下りメッセージを送信する場合、当該下り経路テーブル901によって第2の収集装置20から第1の子機10aまでに経由するノードと指定する無線方式とを確認する。つまり、第2の収集装置20から第1の子機10aへの下りメッセージは、第1の子機10a宛に第1のPHY/MACを用いて送信する。
【0048】
図12は、第2の収集装置20における第1の子機10a宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダとを示している。
無線方式ビットマップは、第1の子機では無視するリザーブド領域を用いて先頭ビットから1ホップ目、2ホップ目という順で無線方式を指定する。無線方式が第1のPHY/MACなら0、第2のPHY/MACなら1のビット値にて無線方式を指定する。
ソースルーチングヘッダは、メッセージの宛先までに経由するノードのノードIDがホップする順番に記載されている。
第1の子機10aは、当該無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダが記載されている下りメッセージを受信すると、無線方式ビットマップは無視し、ソースルーチングヘッダのみ参照しメッセージの転送もしくは受信を行う。
【0049】
●第2の子機20dが第1の子機10a経由で参入する場合
第2の子機20dが通信システム502に参入する動作を説明する。
第2の子機20dは、第1のマルチホップ通信部301にてDIS(DODAG Information Solicitation)メッセージ(DIS-1)を作成する。第2の通信装置200は第1のMAC103および第1のPHY102にてDIS-1をブロードキャスト送信する。
【0050】
第2の子機20dからDIS-1を受信した第1の子機10aは、第1のマルチホップ通信部301にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-1)に記載する。第1の通信装置100は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-1をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク1
*第1のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-1
【0051】
第1の子機10aは、図10のような経路テーブル902を保持しており、以下の経路情報をDIO-1に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク1=256
*MinimumHopRankIncrease-1=128
【0052】
第1の子機10aからDIO-1を受信した第2の子機20dは、プロトコル判定部330にて、当該DIO-1を第1の上り経路構築部311にて処理するように判断する。
第2の子機20dの第1の上り経路構築部311は、下記情報から自ノードのRPLランク1を算出する。
*当該DIO-1に記載されている第1の子機10aのRPLランク1
*当該DIO-1を受信する時に取得する第1の子機10aの第1の通信装置100と第2の子機20dの第2の通信装置200との無線リンク間の状態を表すメトリック
*当該DIO-1に記載のMinimumHopRankIncrease-1
【0053】
無線リンク間の状態を表すメトリック=0であった場合は、第2の子機20dは、第1の子機10aのDIO-1に記載されている
RPLランク1=256と、
MinimumHopRankIncrease-1=128と
から自ノードのRPLランク1=384を算出する。
【0054】
さらに、第2の子機20dは、プロトコル変換部370により、
DIO-1に記載されている情報と、
パラメータとしてあらかじめ保持しているMinimumHopRankIncrease-2=32と、
無線リンク間の状態を表すメトリックと
からRPLランク2を算出する。
プロトコル変換部370は、RPLランク2を第2の上り経路構築部321に送信する。
【0055】
プロトコル変換部370の動作は以下のとおりである。
通信システム502において、無線リンク間の状態を表すメトリックとして、LQL(Link Quality Level)を採用していたとする。LQLに記載の情報により第2の収集装置20から第2の子機20dまでのホップ数を算出する。全てのホップが「第1の子機を経由して第2のMAC203および第2のPHY202よりも低伝送レートな第1のMAC103および第1のPHY102を使用した」と仮定する。全てのホップに対して低伝送レートの加重をかけ、以下のようにRPLランク2=160を算出する。
RPLランク2=(第2の収集装置20のRPLランク2(=32)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)×ホップ数(2)×低伝送レートの加重(=2)+メトリック(=0))=160
【0056】
第2の子機20dは、DIOの受信待ち時間がタイムアウトすると、第2の上り経路構築部321にて、第2の収集装置20から第2の子機20dまでの経路のRPLランク2が最小になるノードを第2の収集装置20への上り次ホップ(親ノード)として選択する。
【0057】
図13は、第1の子機10aが親ノードとして選択された場合、第2の子機20dが保持する経路テーブル902を示している。
第2の子機20dは、RPLランク1、RPLランク2、RPLランク2により選択した親ノードのID、親ノードの種別、親ノードとの無線方式、第2の収集装置20からの高伝送レートリンク(第2のPHY202および第2のMAC203)の連続数、経路上の第3の子機の有無、経路上の第1の子機の有無を管理する。
【0058】
第2の子機20dの経路テーブル902は、以下のようになる。
*RPLランク1=384
*RPLランク2=160
*親ノードID=10a
*親ノードの種別=第1の子機
*親ノードとの無線方式=第1のPHY/MAC
*高伝送レートの連続=0(親ノードが第1の子機のため詳細不明だがデフォルトは0を設定)
*第3の子機の有無=No(親ノードが第1の子機のため詳細は不明だがデフォルトはNoを設定)
*第1の子機の有無=Yes(親ノードが第1の子機のため)
【0059】
さらに、第2の子機20dは、第2のマルチホップ通信部302にて、親ノードのID、自ノードのノード種別、親ノードとの無線方式を含むDAO(DODAG Advertisement Object)メッセージ(DAO-2)を作成する。
第2の子機20dは、当該DAO-2を、親ノードとして選択した第1の子機10a経由で、第2の収集装置20に送信し、通信システム502への接続を要求し、参入動作を完了する。
【0060】
第2の収集装置20は、プロトコル判定部330により、第2の子機20dから受信したDAO-2を第2のマルチホップ通信部302および第2の下り経路構築部320にて処理するよう判断する。
第2の下り経路構築部320は、DAO-2に記載されている第2の子機20dが選択した親ノードIDと、親ノードとの無線方式を下り経路テーブル901に記録する。
【0061】
図14は、第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している。
第2の収集装置20は、第2の子機20d宛の下りメッセージを送信する場合は、当該下り経路テーブル901を辿ることで第2の収集装置20から第2の子機20dまでに経由するノードと指定する無線方式を確認する。つまり、第2の収集装置20から第2の子機20dへの下りメッセージは、第1の子機10a宛に第1のPHY/MAC、第2の子機20d宛に第1のPHY/MACを用いて送信する。
【0062】
図15は、第2の収集装置20における第2の子機20d宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している。
無線方式ビットマップは、第1の子機では無視するリザーブド領域を用いて先頭ビットから1ホップ目、2ホップ目という順で無線方式を指定する。無線方式が第1のPHY/MACなら0、第2のPHY/MACなら1のビット値にて無線方式を指定する。
ソースルーチングヘッダは、メッセージの宛先までに経由するノードのノードIDがホップする順番に記載されている。
第1の子機10aは、当該無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダが記載されている下りメッセージを受信すると、無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを参照し当該メッセージを第2の子機20dへ第1のPHY/MACを用いて転送する。
【0063】
●第3の子機30eが第1の子機10a経由で参入する場合
第3の子機30eが通信システム502に参入する動作を説明する。
第3の子機30eは、第1のマルチホップ通信部301にてDIS(DODAG Information Solicitation)メッセージ(DIS-1)を作成する。第1の通信装置100は、第1のMAC103および第1のPHY102にてDIS-1をブロードキャスト送信する。
【0064】
第3の子機30eからDIS-1を受信した第1の子機10aは、第1のマルチホップ通信部301にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-1)に記載する。第1の通信装置100は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-1をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク1
*第1のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-1
【0065】
第1の子機10aは、図10のような経路テーブル902を保持しており、以下の経路情報をDIO-1に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク1=256
*MinimumHopRankIncrease-1=128
【0066】
第1の子機10aからDIO-1を受信した第3の子機30eは、プロトコル判定部330にて、当該DIO-1を第1の上り経路構築部311にて処理するように判断する。
第3の子機30eの第1の上り経路構築部311は、下記情報から自ノードのRPLランク1を算出する。
*当該DIO-1に記載されている第1の子機10aのRPLランク1
*当該DIO-1を受信する時に取得する第1の子機10aの第1の通信装置100と第3の子機30eの第1の通信装置100との無線リンク間の状態を表すメトリック
*当該DIO-1に記載のMinimumHopRankIncrease-1
【0067】
無線リンク間の状態を表すメトリック=0であった場合は、第3の子機30eは、第1の子機10aのDIO-1に記載されている
RPLランク1=256と、
MinimumHopRankIncrease-1=128と、
から自ノードのRPLランク1=384を算出する。
【0068】
さらに、第3の子機30eは、プロトコル変換部370により、
DIO-1に記載されている情報と、
パラメータとしてあらかじめ保持しているMinimumHopRankIncrease-2=32と、
無線リンク間の状態を表すメトリックと
からRPLランク2を算出する。
プロトコル変換部370は、RPLランク2を第2の上り経路構築部321に送信する。
【0069】
プロトコル変換部370の動作は以下のとおりである。
通信システム502において、無線リンク間の状態を表すメトリックとしてLQL(Link Quality Level)を採用していたとする。LQLに記載の情報により第2の収集装置20から第3の子機30eまでのホップ数を算出する。全てのホップが「第1の子機を経由して第2のMAC203および第2のPHY202よりも低伝送レートな第1のMAC103および第1のPHY102を使用した」と仮定する。全てのホップに対して低伝送レートの加重をかけ、以下のようにRPLランク2=160を算出する。
RPLランク2=(第2の収集装置20のRPLランク2(=32)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)×ホップ数(2)×低伝送レートの加重(=2)+メトリック(=0))=160
【0070】
第3の子機30eは、DIOの受信待ち時間がタイムアウトすると、第2の上り経路構築部321にて、第2の収集装置20から第3の子機30eまでの経路のRPLランク2が最小になるノードを第2の収集装置20への上り次ホップ(親ノード)として選択する。
【0071】
図16は、第1の子機10aが親ノードとして選択された場合、第3の子機30eが保持する経路テーブル902を示している。
第3の子機30eは、RPLランク1、RPLランク2、RPLランク2により選択した親ノードのID、親ノードの種別、親ノードとの無線方式、第2の収集装置20からの高伝送レートリンク(第2のPHY202および第2のMAC203)の連続数、経路上の第3の子機の有無、経路上の第1の子機の有無を管理する。
【0072】
第3の子機30eの経路テーブル902は、以下のようになる。
*RPLランク1=384
*RPLランク2=160
*親ノードID=10a
*親ノードの種別=第1の子機
*親ノードとの無線方式=第1のPHY/MAC
*高伝送レートの連続=0(親ノードが第1の子機のため詳細不明だがデフォルトは0を設定)
*第3の子機の有無=No(親ノードが第1の子機のため詳細は不明だがデフォルトはNoを設定)
*第1の子機の有無=Yes(親ノードが第1の子機のため)
【0073】
さらに、第3の子機30eは、第2のマルチホップ通信部302にて親ノードのID、自ノードのノード種別、親ノードとの無線方式を含むDAO(DODAG Advertisement Object)メッセージ(DAO-2)を作成する。
第3の子機30eは、当該DAO-2を親ノードに選択した第1の子機10aを経由で、第2の収集装置20に送信し、通信システム502への接続を要求し、参入動作を完了する。
【0074】
第2の収集装置20は、プロトコル判定部330により、第3の子機30eから受信したDAO-2を第2のマルチホップ通信部302および第2の下り経路構築部320にて処理するよう判断する。
第2の下り経路構築部320は、DAO-2に記載されている第3の子機30eが選択した親ノードIDと、親ノードとの無線方式を下り経路テーブル901に記録する。
【0075】
図17は、第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している。
第2の収集装置20は、第3の子機30e宛の下りメッセージを送信する場合、当該下り経路テーブル901を辿ることで第2の収集装置20から第3の子機30eまでに経由するノードと指定する無線方式を確認する。つまり、第2の収集装置20から第3の子機30eへの下りメッセージは、第1の子機10a宛に第1のPHY/MAC、第3の子機30e宛に第1のPHY/MACを用いて送信する。
【0076】
図18は、第2の収集装置20における第3の子機30e宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している。
無線方式ビットマップは、第1の子機では無視するリザーブド領域を用いて先頭ビットから1ホップ目、2ホップ目という順で無線方式を指定する。無線方式が第1のPHY/MACなら0、第2のPHY/MACなら1のビット値にて無線方式を指定する。
ソースルーチングヘッダは、メッセージの宛先までに経由するノードのノードIDがホップする順番に記載されている。
【0077】
第1の子機10aは、当該無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダが記載されている下りメッセージを受信すると、無線方式ビットマップは無視し、ソースルーチングヘッダのみ参照し当該メッセージを第3の子機30eへ第1のPHY/MACを用いて転送する。
【0078】
図19は、図4の通信システム502において、第2の子機20bと第1の子機10fと第2の子機20gと第3の子機30hが参入する場合のシーケンスを示している。
●第2の子機20bが第2の収集装置20に参入する場合
第2の子機20bが通信システム502に参入する動作を説明する。
第2の子機20bは、第1のマルチホップ通信部301にてDIS(DODAG Information Solicitation)メッセージ(DIS-1)を作成する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にてDIS-1をブロードキャスト送信する。
【0079】
第2の子機20bからDIS-1を受信した第2の収集装置20は、第2のマルチホップ通信部302にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-2)に記載する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-2をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク2
*第2のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-2
*自ノードが対応可能な無線方式(第1のPHY102および第1のMAC103と第2のPHY202および第2のMAC203)
*自ノードの機器種別
*第2の収集装置からの高伝送レートの連続数
【0080】
第2の収集装置20は、図9のようなランクテーブル903を保持しており、以下の経路情報をDIO-2に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク2=32
*MinimumHopRankIncrease-2=32
*無線方式=第2のPHY/MAC
*機器種別=第2の収集装置
*高伝送レートの連続=0
【0081】
さらに第2の収集装置20は、第1のマルチホップ通信部301にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-1)に記載する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-1をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク1
*第1のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-1
【0082】
第2の収集装置20は、図9のようなランクテーブル903を保持しており、以下の経路情報をDIO-1に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク1=128
*MinimumHopRankIncrease-1=128
【0083】
第2の収集装置20からDIO-2およびDIO-1を受信した第2の子機20bは、プロトコル判定部330により、当該DIO-2を第2のマルチホップ通信部302および第2の上り経路構築部321にて処理し、当該DIO-1を第1のマルチホップ通信部301および第1の上り経路構築部311にて処理するように判断する。
【0084】
第2の子機20bの第2の上り経路構築部321は、
当該DIO-2に記載されている第2の収集装置20のRPLランク2と、
当該DIO-2に記載のMinimumHopRankIncrease-2と、
当該DIO-2を受信する時に取得する第2の収集装置20の第2の通信装置200と第2の子機20bの第2の通信装置200との無線リンク間の状態を表すメトリックと
から、自ノードのRPLランク2を算出する。
【0085】
第2の子機20bは、以下のように第2の収集装置20のDIO-2に記載されている情報と無線リンクのメトリックから、RPLランク2=64を算出する。
RPLランク2=(第2の収集装置20のRPLランク2(=32)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)+メトリック(=0))=64
【0086】
第2の子機20bの第1の上り経路構築部311は、
当該DIO-1に記載されている第2の収集装置20のRPLランク1と、
当該DIO-1に記載のMinimumHopRankIncrease-1と、
当該DIO-1を受信する時に取得する第2の収集装置20の第2の通信装置200と第2の子機20bの第2の通信装置200との無線リンク間の状態を表すメトリックと
から、自ノードのRPLランク1を算出する。
【0087】
無線リンク間の状態を表すメトリック=0であった場合、第2の子機20bは、第2の収集装置20のDIO-1に記載されている
RPLランク1=128と、
MinimumHopRankIncrease-1=128と
から自ノードのRPLランク1=256を算出する。
【0088】
第2の子機20bは、通信障害によりDIO-1を受信できない場合がある。第2の子機20bがDIO-2しか受信できない場合、プロトコル変換部370が、DIO-2に記載の情報からホップ数を算出し、RPLランク1を算出する。
【0089】
プロトコル変換部370の動作は以下のとおりである。
通信システム502において、無線リンク間の状態を表すメトリックとしてLQL(Link Quality Level)を採用していたとする。LQLに記載の情報により第2の収集装置20から第2の子機20bまでのホップ数を算出する。全てのホップが「低伝送レートな第1のMAC103および第1のPHY102を使用した」と仮定して、以下のようにRPLランク1=256を算出する。
RPLランク1=(第2の収集装置20のRPLランク1(=128)+MinimumHopRankIncrease-1(=128)×ホップ数(1)+メトリック(=0))=256
【0090】
第2の子機20bは、DIOの受信待ち時間がタイムアウトすると、第2の上り経路構築部321にて、第2の収集装置20から第2の子機20bまでの経路のRPLランク2が最小になるノードを第2の収集装置20への上り次ホップ(親ノード)として選択する。
【0091】
図20は、第2の収集装置20が親ノードとして選択された場合、第2の子機20bが保持する経路テーブル902を示している。
第2の子機20bは、RPLランク1、RPLランク2、RPLランク2により選択した親ノードのID、親ノードの種別、親ノードとの無線方式、第2の収集装置20からの高伝送レートリンク(第2のPHY202および第2のMAC203)の連続数、経路上の第3の子機の有無、経路上の第1の子機の有無を管理する。
【0092】
第2の子機20bの経路テーブル902は、以下のようになる。
*RPLランク1=256
*RPLランク2=64
*親ノードID=20
*親ノードの種別=第2の収集装置
*親ノードとの無線方式=第2のPHY/MAC
*高伝送レートの連続=1
*第3の子機の有無=No
*第1の子機の有無=No
【0093】
さらに、第2の子機20bは、第2のマルチホップ通信部302にて親ノードIDと、自ノードのノード種別、親ノードとの無線方式を含むDAO(DODAG Advertisement Object)メッセージ(DAO-2)を作成する。
第2の子機20bは、当該DAO-2を第2の収集装置20に送信し、通信システム502への接続を要求し、参入動作を完了する。
【0094】
第2の収集装置20は、プロトコル判定部330により、第2の子機20bから受信したDAO-2を第2のマルチホップ通信部302および第2の下り経路構築部320にて処理するよう判断する。
第2の下り経路構築部320は、DAO-2に記載されている第2の子機20bが選択した親ノードIDと、親ノードとの無線方式を下り経路テーブル901に記録する。
【0095】
図21は、第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している。
第2の収集装置20は、第2の子機20b宛の下りメッセージを送信する場合、当該下り経路テーブル901を辿ることで第2の収集装置20から第2の子機20bまでに経由するノードと指定する無線方式を確認する。つまり、第2の収集装置20から第2の子機20bへの下りメッセージは、第2の子機20b宛に第2のPHY/MAC用いて送信する。
【0096】
図22は、第2の収集装置20における第2の子機20b宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している。
無線方式ビットマップは、第1の子機では無視するリザーブド領域を用いて先頭ビットから1ホップ目、2ホップ目という順で無線方式を指定する。無線方式が第1のPHY/MACなら0、第2のPHY/MACなら1のビット値にて無線方式を指定する。
ソースルーチングヘッダは、メッセージの宛先までに経由するノードのノードIDがホップする順番に記載されている。
【0097】
第2の子機20bは、当該無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダが記載されている下りメッセージを受信すると、無線方式ビットマップと、ソースルーチングヘッダを参照し当該メッセージが自ノード宛だと判断する。
【0098】
●第1の子機10fが第2の子機20b経由で参入する場合
第1の子機10fが通信システム502に参入する動作を説明する。
第1の子機10fは、第1のマルチホップ通信部301にてDIS(DODAG Information Solicitation)メッセージ(DIS-1)を作成する。第1の通信装置100は、第1のMAC103および第1のPHY102にてDIS-1をブロードキャスト送信する。
【0099】
第1の子機10fからDIS-1を受信した第2の子機20bは、第2のマルチホップ通信部302にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-2)に記載する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-2をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク2
*第2のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-2
*自ノードが対応可能な無線方式(第1のPHY102および第1のMAC103と第2のPHY202および第2のMAC203)
*自ノードの機器種別
*第2の収集装置からの高伝送レートの連続数
【0100】
第2の子機20bは、図20のような経路テーブル902を保持しており、以下の経路情報をDIO-2に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク2=64
*MinimumHopRankIncrease-2=32
*無線方式=第2のPHY/MAC
*機器種別=第2の子機
*高伝送レートの連続=1
【0101】
さらに第2の子機20bは、第1のマルチホップ通信部301にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-1)に記載する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-1をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク1
*第1のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-1
【0102】
第2の子機20bは、図20のような経路テーブル902を保持しており、以下の経路情報をDIO-1に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク1=256
*MinimumHopRankIncrease-1=128
【0103】
第2の子機20bからDIO-2およびDIO-1を受信した第1の子機10fは、当該DIO-2を未定義のメッセージとして破棄し、当該DIO-1を第1の上り経路構築部311にて処理するように判断する。
【0104】
第1の子機10fの第1の上り経路構築部311は、当該DIO-1に記載されている第2の子機20bのRPLランク1と、当該DIO-1に記載されているMinimumHopRankIncrease-1と、当該DIO-1を受信する時に取得する第2の子機20bの第2の通信装置200と第1の子機10fの第1の通信装置100との無線リンク間の状態を表すメトリックから、自ノードのRPLランク1を算出する。
【0105】
無線リンク間の状態を表すメトリック=0であった場合、第1の子機10fは、第2の子機20bのDIO-1に記載されている
RPLランク1=256と、
MinimumHopRankIncrease-1=128と
から自ノードのRPLランク1=384を算出する。
【0106】
第1の子機10fは、DIO-1の受信待ち時間がタイムアウトすると、第1の上り経路構築部311にて、第2の収集装置20から第1の子機10fまでの経路のRPLランク1が最小になるノードを第2の収集装置20への上り次ホップ(親ノード)として選択する。
【0107】
図23は、第2の子機20bが親ノードとして選択された場合、第1の子機10fの経路テーブル902が保持するRPLランク1および選択した親ノードのIDを表している。
さらに、第1の子機10aは、第1のマルチホップ通信部301にて、親ノードIDを含むDAO(DODAG Advertisement Object)メッセージ(DAO-1)を作成する。
第1の子機10fは、第2の収集装置宛にDAO-1を送信し、通信システム502への接続を要求し、参入動作を完了する。
【0108】
第2の収集装置20は、プロトコル判定部330により、第1の子機10fから受信したDAO-1を第1のマルチホップ通信部301および第2の下り経路構築部320にて処理するよう判断する。
第2の下り経路構築部320は、DAO-1には無線リンクの種別(無線方式)が記載されていないので、無線方式を第1のPHY/MACと決定する。
第2の下り経路構築部320は、DIO-1に記載されている第1の子機10fが選択した親ノードIDと、親ノードが第1の子機10fへのホップに使用する無線リンクの種別(無線方式)を下り経路テーブル901に記録する。
【0109】
図24は、第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している。
第2の収集装置20は、第1の子機10f宛の下りメッセージを送信する場合、当該下り経路テーブル901によって第2の収集装置20から第1の子機10fまでに経由するノードと指定する無線方式を確認する。つまり、第2の収集装置20から第1の子機10fへの下りメッセージは、第2の子機20b宛に第2のPHY/MAC、第1の子機10f宛に第1のPHY/MACを用いて送信する。
【0110】
図25は、第2の収集装置20における第1の子機10f宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している。
無線方式ビットマップは、第1の子機では無視するリザーブド領域を用いて先頭ビットから1ホップ目、2ホップ目という順で無線方式を指定する。無線方式が第1のPHY/MACなら0、第2のPHY/MACなら1のビット値にて無線方式を指定する。
ソースルーチングヘッダは、メッセージの宛先までに経由するノードのノードIDがホップする順番に記載されている。
【0111】
第2の子機20bは、当該無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダが記載されている下りメッセージを受信すると、無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを参照し当該メッセージを第1のPHY/MACにて第1の子機10fに転送を行う。
【0112】
●第2の子機20gが第2の子機20b経由で参入する場合
第2の子機20gが通信システム502に参入する動作を説明する。
第2の子機20gは、第1のマルチホップ通信部301にて、DIS(DODAG Information Solicitation)メッセージ(DIS-1)を作成する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にてDIS-1をブロードキャスト送信する。
【0113】
第2の子機20gからDIS-1を受信した第2の子機20bは、第2のマルチホップ通信部302にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-2)に記載する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-2をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク2
*第2のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-2
*自ノードが対応可能な無線方式(第1のPHY102および第1のMAC103と第2のPHY202および第2のMAC203)
*自ノードの機器種別
*第2の収集装置からの高伝送レートの連続数
【0114】
第2の子機20bは、図20のような経路テーブル902を保持しており、以下の経路情報をDIO-2に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク2=64
*MinimumHopRankIncrease-2=32
*無線方式=第2のPHY/MAC
*機器種別=第2の子機
*高伝送レートの連続=1
【0115】
さらに第2の子機20bは、第1のマルチホップ通信部301にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-1)に記載する。第2の通信装置200は第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-1をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク1
*第1のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-1
【0116】
第2の子機20bは、図20のような経路テーブル902を保持しており、以下の経路情報をDIO-1に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク1=256
*MinimumHopRankIncrease-1=128
【0117】
第2の子機20bからDIO-2およびDIO-1を受信した第2の子機20gは、プロトコル判定部330により、当該DIO-2を第2のマルチホップ通信部302および第2の上り経路構築部321にて処理し、当該DIO-1を第1のマルチホップ通信部301および第1の上り経路構築部311にて処理するように判断する。
【0118】
第2の子機20gの第2の上り経路構築部321は、
当該DIO-2に記載されている第2の子機20bのRPLランク2と、
当該DIO-2に記載のMinimumHopRankIncrease-2と、
当該DIO-2を受信する時に取得する第2の子機20bの第2の通信装置200と第2の子機20gの第2の通信装置200との無線リンク間の状態を表すメトリックと
から、自ノードのRPLランク2を算出する。
【0119】
第2の子機20gは、以下のように第2の子機20bのDIO-2に記載されている情報と無線リンクのメトリックから、RPLランク2=96を算出する。
RPLランク2=(第2の子機20bのRPLランク2(=64)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)+メトリック(=0))=96
【0120】
第2の子機20gの第1の上り経路構築部311は、
当該DIO-1に記載されている第2の子機20bのRPLランク1と、
当該DIO-1に記載のMinimumHopRankIncrease-1と、
当該DIO-1を受信する時に取得する第2の子機20bの第2の通信装置200と第2の子機20gの第2の通信装置200との無線リンク間の状態を表すメトリックと
から、自ノードのRPLランク1を算出する。
【0121】
無線リンク間の状態を表すメトリック=0であった場合、第2の子機20gは、第2の子機20bのDIO-1に記載されている
RPLランク1=256と、
MinimumHopRankIncrease-1=128と
から自ノードのRPLランク1=384を算出する。
【0122】
第2の子機20gは、DIOの受信待ち時間がタイムアウトすると、第2の上り経路構築部321にて第2の収集装置20から第2の子機20gまでの経路のRPLランク2が最小になるノードを第2の収集装置20への上り次ホップ(親ノード)として選択する。
【0123】
図26は、第2の子機20bが親ノードとして選択された場合、第2の子機20gが保持する経路テーブル902を示している。
第2の子機20gは、RPLランク1、RPLランク2、RPLランク2により選択した親ノードのID、親ノードの種別、親ノードとの無線方式、第2の収集装置20からの高伝送レートリンク(第2のPHY202および第2のMAC203)の連続数、経路上の第3の子機の有無、経路上の第1の子機の有無を管理する。
【0124】
第2の子機20gの経路テーブル902は、以下のようになる。
*RPLランク1=384
*RPLランク2=96
*親ノードID=20b
*親ノードの種別=第2の子機
*親ノードとの無線方式=第2のPHY/MAC
*高伝送レートの連続=2
*第3の子機の有無=No
*第1の子機の有無=No
【0125】
さらに、第2の子機20gは、第2のマルチホップ通信部302にて、親ノードIDと、自ノードのノード種別、親ノードとの無線方式を含むDAO(DODAG Advertisement Object)メッセージ(DAO-2)を作成する。
第2の子機20gは、当該DAO-2を第2の収集装置20に送信し、通信システム502への接続を要求し、参入動作を完了する。
【0126】
第2の収集装置20は、プロトコル判定部330により、第2の子機20gから受信したDAO-2を第2のマルチホップ通信部302および第2の下り経路構築部320にて処理するよう判断する。
第2の下り経路構築部320は、DAO-2に記載されている第2の子機20gが選択した親ノードIDと、親ノードとの無線方式を下り経路テーブル901に記録する。
【0127】
図27は、第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している。
第2の収集装置20は、第2の子機20g宛の下りメッセージを送信する場合、当該下り経路テーブル901を辿ることで第2の収集装置20から第2の子機20gまでに経由するノードと指定する無線方式を確認する。つまり、第2の収集装置20から第2の子機20gへの下りメッセージは、第2の子機20b宛に第2のPHY/MACを用い、第2の子機20g宛に第2のPHY/MACを用いて送信する。
【0128】
図28は、第2の収集装置20における第2の子機20g宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している。
無線方式ビットマップは、第1の子機では無視するリザーブド領域を用いて先頭ビットから1ホップ目、2ホップ目という順で無線方式を指定する。無線方式が第1のPHY/MACなら0、第2のPHY/MACなら1のビット値にて無線方式を指定する。
ソースルーチングヘッダは、メッセージの宛先までに経由するノードのノードIDがホップする順番に記載されている。
【0129】
第2の子機20bは、当該無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダが記載されている下りメッセージを受信すると、無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを参照し当該メッセージを第2のPHY/MACを用いて、第2の子機20gへ転送する。
【0130】
●第3の子機30hが第2の子機20b経由で参入
第3の子機30hが通信システム502に参入する動作を説明する。
第3の子機30hは、第1のマルチホップ通信部301にて、DIS(DODAG Information Solicitation)メッセージ(DIS-1)を作成する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にてDIS-1をブロードキャスト送信する。
【0131】
第3の子機30hからDIS-1を受信した第2の子機20bは、第2のマルチホップ通信部302にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-2)に記載する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-2をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク2
*第2のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-2
*自ノードが対応可能な無線方式(第1のPHY102および第1のMAC103と第2のPHY202および第2のMAC203)
*自ノードの機器種別
*第2の収集装置からの高伝送レートの連続数
【0132】
第2の子機20bは、図20のような経路テーブル902を保持しており、以下の経路情報をDIO-2に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク2=64
*MinimumHopRankIncrease-2=32
*無線方式=第2のPHY/MAC
*機器種別=第2の子機
*高伝送レートの連続=1
【0133】
さらに第2の子機20bは、第1のマルチホップ通信部301にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-1)に記載する。第2の通信装置200の第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-1をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク1
*第1のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-1
【0134】
第2の子機20bは、図20のような経路テーブル902を保持しており、以下の経路情報をDIO-1に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク1=256
*MinimumHopRankIncrease-1=128
【0135】
第2の子機20bからDIO-2およびDIO-1を受信した第3の子機30hは、プロトコル判定部330により、当該DIO-2を第2のマルチホップ通信部302および第2の上り経路構築部321にて処理し、当該DIO-1を第1のマルチホップ通信部301および第1の上り経路構築部311にて処理するように判断する。
【0136】
第3の子機30hの第2の上り経路構築部321は、
当該DIO-2に記載されている第2の子機20bのRPLランク2と、
当該DIO-2に記載のMinimumHopRankIncrease-2と、
当該DIO-2を受信する時に取得する第2の子機20bの第2の通信装置200と第3の子機30hの第1の通信装置100との無線リンク間の状態を表すメトリックと、
第2のMAC203および第2のPHY202よりも低伝送レートな第1のMAC103および第1のPHY102を使用することの加重と
から、自ノードのRPLランク2を算出する。
【0137】
第3の子機30hは、以下のように第2の子機20bのDIO-2に記載されている情報と無線リンクのメトリックから、RPLランク2=128を算出する。
RPLランク2=(第2の子機20bのRPLランク2(=64)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)x低伝送レート加重(=2)+メトリック(=0))=96
【0138】
第3の子機30hの第1の上り経路構築部311は、
当該DIO-1に記載されている第2の子機20bのRPLランク1と、
当該DIO-1に記載のMinimumHopRankIncrease-1と、
当該DIO-1を受信する時に取得する第2の子機20bの第2の通信装置200と第3の子機30hの第1の通信装置100との無線リンク間の状態を表すメトリックと
から、自ノードのRPLランク1を算出する。
【0139】
無線リンク間の状態を表すメトリック=0であった場合、第3の子機30hは、第2の子機20bのDIO-1に記載されている
RPLランク1=256と、
MinimumHopRankIncrease-1=128と
から自ノードのRPLランク1=384を算出する。
【0140】
第3の子機30hは、通信障害によりDIO-1を受信できない場合がある。第3の子機30hがDIO-2しか受信できない場合、プロトコル変換部370が、DIO-2に記載の情報からホップ数を算出し、RPLランク1を算出する。
【0141】
プロトコル変換部370の動作は以下のとおりである。
通信システム502において、無線リンク間の状態を表すメトリックとしてLQL(Link Quality Level)を採用していたとする。LQLに記載の情報により第2の収集装置20から第3の子機30hまでのホップ数を算出する。全てのホップが「低伝送レートな第1のMAC103および第1のPHY102を使用した」と仮定して、以下のようにRPLランク1=256を算出する。
RPLランク1=(第2の収集装置20のRPLランク1(=128)+MinimumHopRankIncrease-1(=128)×ホップ数(2)+メトリック(=0))=384
【0142】
第3の子機30hは、DIOの受信待ち時間がタイムアウトすると、第2の上り経路構築部321にて第2の収集装置20から第3の子機30hまでの経路のRPLランク2が最小になるノードを第2の収集装置20への上り次ホップ(親ノード)として選択する。
【0143】
図29は、第2の子機20bが親ノードとして選択された場合、第3の子機30hが保持する経路テーブル902を示している。
第3の子機30hは、RPLランク1、RPLランク2、RPLランク2により選択した親ノードのID、親ノードの種別、親ノードとの無線方式、第2の収集装置20からの高伝送レートリンク(第2のPHY202および第2のMAC203)の連続数、経路上の第3の子機の有無、経路上の第1の子機の有無を管理する。
【0144】
第3の子機30hの経路テーブル902は、以下のようになる。
*RPLランク1=384
*RPLランク2=128
*親ノードID=20b
*親ノードの種別=第2の子機
*親ノードとの無線方式=第1のPHY/MAC
*高伝送レートの連続=1
*第3の子機の有無=Yes
*第1の子機の有無=No
【0145】
さらに、第3の子機30hは、第2のマルチホップ通信部302にて、親ノードIDと、自ノードのノード種別、親ノードとの無線方式を含むDAO(DODAG Advertisement Object)メッセージ(DAO-2)を作成する。
第3の子機30hは、当該DAO-2を第2の収集装置20に送信し、通信システム502への接続を要求し、参入動作を完了する。
【0146】
第2の収集装置20は、プロトコル判定部330により、第3の子機30hから受信したDAO-2を第2のマルチホップ通信部302および第2の下り経路構築部320にて処理するよう判断する。
第2の下り経路構築部320は、DAO-2に記載されている第3の子機30hが選択した親ノードIDと、親ノードとの無線方式を下り経路テーブル901に記録する。
【0147】
図30は、第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している。
第2の収集装置20は、第3の子機30h宛の下りメッセージを送信する場合、当該下り経路テーブル901を辿ることで第2の収集装置20から第3の子機30hまでに経由するノードと指定する無線方式を確認する。つまり、第2の収集装置20から第3の子機30hへの下りメッセージは、第2の子機20b宛に第2のPHY/MAC用い、第3の子機30h宛に第1のPHY/MACを用いて送信する。
【0148】
図31は、第2の収集装置20における第2の子機20g宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している。
無線方式ビットマップは、第1の子機では無視するリザーブド領域を用いて先頭ビットから1ホップ目、2ホップ目という順で無線方式を指定する。無線方式が第1のPHY/MACなら0、第2のPHY/MACなら1のビット値にて無線方式を指定する。
ソースルーチングヘッダは、メッセージの宛先までに経由するノードのノードIDがホップする順番に記載されている。
【0149】
第2の子機20bは、当該無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダが記載されている下りメッセージを受信すると、無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを参照し当該メッセージを第1のPHY/MACを用いて、第3の子機30hへ転送する。
【0150】
図32は、図4の通信システム502において、第3の子機30cと第2の子機20iが参入する場合のシーケンスを示している。
●第3の子機30cが第2の収集装置に参入する場合
第3の子機30cが通信システム502に参入する動作を説明する。
第3の子機30cは、第1のマルチホップ通信部301にてDIS(DODAG Information Solicitation)メッセージ(DIS-1)を作成する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にてDIS-1をブロードキャスト送信する。
【0151】
第3の子機30cからDIS-1を受信した第2の収集装置20は、第2のマルチホップ通信部302にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-2)に記載する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-2をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク2
*第2のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-2
*自ノードが対応可能な無線方式(第1のPHY102および第1のMAC103と第2のPHY202および第2のMAC203)
*自ノードの機器種別
*第2の収集装置からの高伝送レートの連続数
【0152】
第2の収集装置20は、図9のようなランクテーブル903を保持しており、以下の経路情報をDIO-2に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク2=32
*MinimumHopRankIncrease-2=32
*無線方式=第2のPHY/MAC
*機器種別=第2の収集装置
*高伝送レートの連続=0
【0153】
さらに第2の収集装置20は、第1のマルチホップ通信部301にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-1)に記載する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-1をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク1
*第1のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-1
【0154】
第2の収集装置20は、図9のようなランクテーブル903を保持しており、以下の経路情報をDIO-1に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク1=128
*MinimumHopRankIncrease-1=128
【0155】
第2の収集装置20からDIO-2およびDIO-1を受信した第3の子機30cは、プロトコル判定部330により、当該DIO-2を第2のマルチホップ通信部302および第2の上り経路構築部321にて処理し、当該DIO-1を第1のマルチホップ通信部301および第1の上り経路構築部311にて処理するように判断する。
【0156】
第3の子機30cの第2の上り経路構築部321は、
当該DIO-2に記載されている第2の収集装置20のRPLランク2と、
当該DIO-2に記載のMinimumHopRankIncrease-2と、
当該DIO-2を受信する時に取得する第2の収集装置20の第2の通信装置200と第3の子機30cの第1の通信装置100との無線リンク間の状態を表すメトリックと、
第2のMAC203および第2のPHY202よりも低伝送レートな第1のMAC103および第1のPHY102を使用することの加重と
から自ノードのRPLランク2を算出する。
【0157】
第3の子機30cは、以下のように第2の収集装置20のDIO-2に記載されている情報と無線リンクのメトリックから、RPLランク2=96を算出する。
RPLランク2=(第2の収集装置20のRPLランク2(=32)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)x低伝送レート加重(=2)+メトリック(=0))=96
【0158】
第3の子機30cの第1の上り経路構築部311は、
当該DIO-1に記載されている第2の収集装置20のRPLランク1と、
当該DIO-1に記載のMinimumHopRankIncrease-1と、
当該DIO-1を受信する時に取得する第2の収集装置20の第2の通信装置200と第3の子機30cの第1の通信装置100との無線リンク間の状態を表すメトリックと
から自ノードのRPLランク1を算出する。
【0159】
無線リンク間の状態を表すメトリック=0であった場合、第3の子機30cは、第2の収集装置20のDIO-1に記載されている
RPLランク1=128と、
MinimumHopRankIncrease-1=128と
から自ノードのRPLランク1=256を算出する。
【0160】
第3の子機30cは、DIOの受信待ち時間がタイムアウトすると、第2の上り経路構築部321にて第2の収集装置20から第3の子機30cまでの経路のRPLランク2が最小になるノードを第2の収集装置20への上り次ホップ(親ノード)として選択する。
【0161】
図33は、第2の収集装置20が親ノードとして選択された場合、第3の子機30cが保持する経路テーブル902を示している。
第3の子機30cは、RPLランク1、RPLランク2、RPLランク2により選択した親ノードのID、親ノードの種別、親ノードとの無線方式、第2の収集装置20からの高伝送レートリンク(第2のPHY202および第2のMAC203)の連続数、経路上の第3の子機の有無、経路上の第1の子機の有無を管理する。
【0162】
第3の子機30cの経路テーブル902は、以下のようになる。
*RPLランク1=256
*RPLランク2=96
*親ノードID=20
*親ノードの種別=第2の収集装置
*親ノードとの無線方式=第1のPHY/MAC
*高伝送レートの連続=0
*第3の子機の有無=Yes
*第1の子機の有無=No
【0163】
さらに、第3の子機30cは、第2のマルチホップ通信部302にて、親ノードIDと、自ノードのノード種別、親ノードとの無線方式を含むDAO(DODAG Advertisement Object)メッセージ(DAO-2)を作成する。
第3の子機30cは、当該DAO-2を第2の収集装置20に送信し、通信システム502への接続を要求し、参入動作を完了する。
【0164】
第2の収集装置20は、プロトコル判定部330により、第3の子機30cから受信したDAO-2を第2のマルチホップ通信部302および第2の下り経路構築部320にて処理するよう判断する。
第2の収集装置20の第2の下り経路構築部320は、DAO-2に記載されている第3の子機30cが選択した親ノードIDと、親ノードとの無線方式を下り経路テーブル901に記録する。
【0165】
図34は、第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している。
第2の収集装置20は、第3の子機30c宛の下りメッセージを送信する場合、当該下り経路テーブル901を辿ることで第2の収集装置20から第3の子機30cまでに経由するノードと指定する無線方式を確認する。つまり、第2の収集装置20から第3の子機30cへの下りメッセージは、第3の子機30c宛に第1のPHY/MAC用いて送信する。
【0166】
図35は、第2の収集装置20における第3の子機30c宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している。
無線方式ビットマップは、第1の子機では無視するリザーブド領域を用いて先頭ビットから1ホップ目、2ホップ目という順で無線方式を指定する。無線方式が第1のPHY/MACなら0、第2のPHY/MACなら1のビット値にて無線方式を指定する。
ソースルーチングヘッダは、メッセージの宛先までに経由するノードのノードIDがホップする順番に記載されている。
【0167】
第3の子機30cは、当該無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダが記載されている下りメッセージを受信すると、無線方式ビットマップと、ソースルーチングヘッダを参照し当該メッセージが自ノード宛だと判断する。
【0168】
●第2の子機20iが第3の子機30c経由で参入する場合
第2の子機20iが通信システム502に参入する動作を説明する。
第2の子機20iは、第1のマルチホップ通信部301にてDIS(DODAG Information Solicitation)メッセージ(DIS-1)を作成する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にてDIS-1をブロードキャスト送信する。
【0169】
第2の子機20iからDIS-1を受信した第3の子機30cは、第2のマルチホップ通信部302にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-2)に記載する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-2をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク2
*第2のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-2
*自ノードが対応可能な無線方式(第1のPHY102および第1のMAC103と第2のPHY202および第2のMAC203)
*自ノードの機器種別
*第2の収集装置からの高伝送レートの連続数
【0170】
第3の子機30cは、図33のような経路テーブル902を保持しており、以下の経路情報をDIO-2に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク2=96
*MinimumHopRankIncrease-2=32
*無線方式=第1のPHY/MAC
*機器種別=第3の子機
*高伝送レートの連続=0
*第3の子機の有無=Yes
*第1の子機の有無=No
【0171】
さらに第3の子機30cは、第1のマルチホップ通信部301にて、以下の経路情報をDIO(DODAG Information Object)メッセージ(DIO-1)に記載する。第2の通信装置200は、第1のMAC103および第1のPHY102にて、DIO-1をブロードキャストしてDIS-1に応答する。
*自ノードのRPLランク1
*第1のマルチホップ通信で用いるMinimumHopRankIncrease-1
【0172】
第3の子機30cは、図33のような経路テーブル902を保持しており、以下の経路情報をDIO-1に記載してブロードキャスト送信する。
*RPLランク1=256
*MinimumHopRankIncrease-1=128
【0173】
第3の子機30cからDIO-2およびDIO-1を受信した第2の子機20iは、プロトコル判定部330により、当該DIO-2を第2のマルチホップ通信部302および第2の上り経路構築部321にて処理し、当該DIO-1を第1のマルチホップ通信部301および第1の上り経路構築部311にて処理するように判断する。
【0174】
第2の子機20iの第2の上り経路構築部321は、
当該DIO-2に記載されている第3の子機30cのRPLランク2と、
当該DIO-2に記載のMinimumHopRankIncrease-2と、
当該DIO-2を受信する時に取得する第3の子機30cの第1の通信装置100と第2の子機20iの第2の通信装置200との無線リンク間の状態を表すメトリックと、
第2のMAC203および第2のPHY202よりも低伝送レートな第1のMAC103および第1のPHY102を使用することの加重と
から自ノードのRPLランク2を算出する。
【0175】
第2の子機20iは、以下のように第3の子機30cのDIO-2に記載されている情報と無線リンクのメトリックから、RPLランク2=160を算出する。
RPLランク2=(第3の子機30cのRPLランク2(=96)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)x低伝送レート加重(=2)+メトリック(=0))=160
【0176】
第2の子機20iの第1の上り経路構築部311は、
当該DIO-1に記載されている第3の子機30cのRPLランク1と、
当該DIO-1に記載のMinimumHopRankIncrease-1と、
当該DIO-1を受信する時に取得する第3の子機30cの第1の通信装置100と第2の子機20iの第2の通信装置200との無線リンク間の状態を表すメトリックと
から、自ノードのRPLランク1を算出する。
【0177】
無線リンク間の状態を表すメトリック=0であった場合、第2の子機20iは、第3の子機30cのDIO-1に記載されている
RPLランク1=256と、
MinimumHopRankIncrease-1=128と
から自ノードのRPLランク1=384を算出する。
【0178】
第2の子機20iは、DIOの受信待ち時間がタイムアウトすると、第2の上り経路構築部321にて第2の収集装置20から第2の子機20iまでの経路のRPLランク2が最小になるノードを第2の収集装置20への上り次ホップ(親ノード)として選択する。
【0179】
図36は、第3の子機30cが親ノードとして選択された場合、第2の子機20iが保持する経路テーブル902を示している。
第2の子機20iは、RPLランク1、RPLランク2、RPLランク2により選択した親ノードのID、親ノードの種別、親ノードとの無線方式、第2の収集装置20からの高伝送レートリンク(第2のPHY202および第2のMAC203)の連続数、経路上の第3の子機の有無、経路上の第1の子機の有無を管理する。
【0180】
第2の子機20iの経路テーブル902は、以下のようになる。
*RPLランク1=384
*RPLランク2=160
*親ノードID=30c
*親ノードの種別=第3の子機
*親ノードとの無線方式=第1のPHY/MAC
*高伝送レートの連続=0
*第3の子機の有無=Yes
*第1の子機の有無=No
【0181】
さらに、第2の子機20iは、第2のマルチホップ通信部302にて、親ノードIDと、自ノードのノード種別、親ノードとの無線方式を含むDAO(DODAG Advertisement Object)メッセージ(DAO-2)を作成する。
第2の子機20iは、当該DAO-2を第2の収集装置20に送信し、通信システム502への接続を要求し、参入動作を完了する。
【0182】
第2の収集装置20は、プロトコル判定部330により、第2の子機20iから受信したDAO-2を第2のマルチホップ通信部302および第2の下り経路構築部320にて処理するよう判断する。
第2の下り経路構築部320は、DAO-2に記載されている第2の子機20gが選択した親ノードIDと、親ノードとの無線方式を下り経路テーブル901に記録する。
【0183】
図37は、第2の収集装置20が管理する下り経路テーブル901を表している。
第2の収集装置20は、第2の子機20i宛の下りメッセージを送信する場合は、当該下り経路テーブル901を辿ることで第2の収集装置20から第2の子機20iまでに経由するノードと指定する無線方式を確認する。つまり、第2の収集装置20から第2の子機20iへの下りメッセージは、第3の子機30c宛に第1のPHY/MAC用い、第2の子機20i宛に第1のPHY/MACを用いて送信する。
【0184】
図38は、第2の収集装置20における第2の子機20i宛の下りメッセージに付与する無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを示している。
無線方式ビットマップは、第1の子機では無視するリザーブド領域を用いて先頭ビットから1ホップ目、2ホップ目という順で無線方式を指定する。無線方式が第1のPHY/MACなら0、第2のPHY/MACなら1のビット値にて無線方式を指定する。
ソースルーチングヘッダは、メッセージの宛先までに経由するノードのノードIDがホップする順番に記載されている。
【0185】
第3の子機30cは、当該無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダが記載されている下りメッセージを受信すると、無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを参照し当該メッセージを第1のPHY/MACを用いて、第2の子機20iへ転送する。
【0186】
●第2の子機20xの親ノード選択
(第2の子機20x>第3の子機30x>第1の子機10x)
図4において、第2の子機20gが、第2の子機20b以外に第1の子機10aと第3の子機30cと通信が可能であった場合でも、第2の子機20gは、第2の子機20bを親ノードとして選択する。
第1の子機10aから計算されるRPLランク2=160
第2の子機20bから計算されるRPLランク2=96
第3の子機30cから計算されるRPLランク2=160(96+32x2)
同様に、図4において、第2の子機20dが、第1の子機10a以外に第2の子機20bと第3の子機30cと通信が可能であった場合でも、第2の子機20dは、第2の子機20bを親ノードとして選択する。
同様に、図4において、第2の子機20iが、第3の子機30c以外に第1の子機10aと第2の子機20bと通信が可能であった場合でも、第2の子機20iは、第2の子機20bを親ノードとして選択する。
このように、第2プロトコルで動作する第2の子機20xは、第1の子機10xと第3の子機30xよりも、第2の子機20xを親ノードとして選択する確率が高い無線機である(第2の子機20x>第3の子機30x、第2の子機20x>第1の子機10x)。
【0187】
図4において、第2の子機20dが、第1の子機10a以外に第3の子機30cと通信が可能であった場合でも、第2の子機20dは、親機からの経路に第1の子機10aが存在しない第3の子機30cを親ノードとして選択する。
第1の子機10aから計算されるRPLランク2=160
第3の子機30cから計算されるRPLランク2=160
このように、第2プロトコルで動作する第2の子機20xは、第1の子機10xよりも、第3の子機30xを親ノードとして選択する確率が高い無線機である(第3の子機30x>第1の子機10x)。
【0188】
●第3の子機30xの親ノード選択
(第2の子機20x>第3の子機30x>第1の子機10x)
図4において、第3の子機30eが、第1の子機10a以外に第2の子機20bと第3の子機30cと通信が可能であった場合、第3の子機30eは、第2の子機20bを親ノードとして選択する。
第1の子機10aから計算されるRPLランク2=160
第2の子機20bから計算されるRPLランク2=128
第3の子機30cから計算されるRPLランク2=160(96+32x2)
同様に、図4において、第3の子機30hが、第2の子機20b以外に第1の子機10aと第3の子機30cと通信が可能であった場合、第3の子機30hは、第2の子機20bを親ノードとして選択する。
このように第2プロトコルで動作する第3の子機30xは、第1の子機10xと第3の子機30xよりも、第2の子機20xを親ノードとして選択する確率が高い無線機である(第2の子機20x>第3の子機30x、第2の子機20x>第1の子機10x)。
図4において、第3の子機30eが、第1の子機10a以外に第3の子機30cと通信が可能であった場合、第3の子機30eは、親機からの経路に第1の子機10aが存在しない第3の子機30cを親ノードとして選択する。
第1の子機10aから計算されるRPLランク2=160
第3の子機30cから計算されるRPLランク2=160(96+32x2)
このように第2プロトコルで動作する第3の子機30xは、第1の子機10xよりも、第3の子機30xを親ノードとして選択する確率が高い無線機である(第3の子機30x>第1の子機10x)。
【0189】
●親ノードとして選択される確率
(第2の子機20x>第3の子機30x>第1の子機10x)
図4において、第2の子機20dが、第1の子機10a以外に第2の子機20bと通信が可能であった場合、第2の子機20dは、第2の子機20bを親ノードとして選択する。
第1の子機10aから計算されるRPLランク2=160
第2の子機20bから計算されるRPLランク2=96
同様に、図4において、第3の子機30eが、第1の子機10a以外に第2の子機20bと第3の子機30cと通信が可能であった場合、第3の子機30eは、第2の子機20bを親ノードとして選択する。
第1の子機10aから計算されるRPLランク2=160
第2の子機20bから計算されるRPLランク2=128
第3の子機30cから計算されるRPLランク2=160
このように第2プロトコルで動作する第2の子機20xは、第1の子機10aと第3の子機30xよりも親ノードとして選択される確率が高い無線機である(第2の子機20x>第3の子機30x、第2の子機20x>第1の子機10x)。
【0190】
図4において、第2の子機20dが、第1の子機10a以外に第3の子機30cと通信が可能であった場合、第2の子機20dは、親機からの経路に第1の子機10aが存在しない第3の子機30cを親ノードとして選択する。
第1の子機10aから計算されるRPLランク2=160
第3の子機30cから計算されるRPLランク2=160
同様に、図4において、第3の子機30eが、第1の子機10a以外に第3の子機30cと通信が可能であった場合、第3の子機30eは、親機からの経路に第1の子機10aが存在しない第3の子機30cを親ノードとして選択する。
第1の子機10aから計算されるRPLランク2=160
第3の子機30cから計算されるRPLランク2=160
このように第2プロトコルで動作する第3の子機30xは、第1の子機10xよりも親ノードとして選択される確率が高い無線機である(第3の子機30x>第1の子機10x)。
【0191】
実施の形態1のまとめ
上記のように、実施の形態1では、第2の収集装置20、第1の子機10x、第2の子機20x、第3の子機30xからなる通信システム502を説明した。
第2の収集装置20と第2の子機20xと第3の子機30xが、第1の子機10xの第1のマルチホップ通信で用いるRPLランク1を含むDIO-1と、第2子機と第3の子機の第2のマルチホップ通信で用いるRPLランク2を含むDIO-2をそれぞれ送信する。
このため、第1のマルチホップ通信を維持しながら、第2のマルチホップ通信を構築しマルチホップネットワークのマイグレーションを可能にする。
また、第2の子機20xが用いる第2のPHY/MAC(高伝送レート)と第1の子機10xおよび第3の子機30xが用いる第1のPHY/MAC(低伝送レート)に応じてRPLランク2の算出方法に差をつけている。
このため、第2の収集装置までの経路に第2の子機が用いる第2のPHY/MAC(高伝送レート)の無線が選択されやすくなり、システムスループットの向上を可能にする。
【0192】
●実施の形態1の変化例に関する説明
●DIO-2のみを要求
本実施の形態では、無線メッシュネットワークに参入する第2の子機と第3の子機は、DIS-1を送信し、DIO-2およびDIO-1の応答を待った。
第2の子機と第3の子機は、自ノードが第2のマルチホップ通信に対応していることを通知するDIS-2を送信することで、第2のマルチホップ通信に対応した第2の収集装置と第2の子機と第3の子機からDIO-2のみを要求するとしてもよい。さらに一定期間内にDIS-2に対する応答が得られない場合は、第2の子機または第3の子機からDIO-1を送信することで第1の子機からDIO-1を待つとしてもよい。
第2の子機と第3の子機は、DIO-2のみ受信できた場合、プロトコル変換部370が、DIO-2に記載の情報からホップ数を算出し、RPLランク1を算出することができる。
【0193】
●DIO-1の破棄
本実施の形態では、第2の子機および第3の子機は、他の第2の子機および第3の子機が送信したDIO-1を第1のマルチホップ通信部で処理する。
送信元の第2の子機および第3の子機のDIO-1に送信元が第2の子機もしくは第3の子機であることを示す識別子を記載しておくことで、DIO-1を受信した第2の子機および第3の子機は当該DIO-1を受信しても処理せずに破棄してもよい。
もしくは、第2の子機および第3の子機が、他の第2の子機もしくは第3の子機からDIO-2を受信したことがある場合は、送信元ノードを記録しておき、DIO-2受信済みのノードから送信されたDIO-1は処理しないとしてもよい。
第2の子機と第3の子機は、DIO-2のみ受信できた場合でも、プロトコル変換部370が、DIO-2に記載の情報からホップ数を算出し、RPLランク1を算出することができる。
【0194】
●DIO-1とDIO-2の統合
本実施の形態では、第2のマルチホップ通信でDIO-2を送信し、第1のマルチホップ通信でDIO-1を送信するように記載していた。
第1の子機が未定義のRPLオプションを無視できる場合は、第2の子機および第3の子機が、DIO-1には存在せずDIO-2にのみ記載されている経路情報を、DIO-1のRPLオプションとして付加し送信して、第2のマルチホップ通信と第1のマルチホップ通信の無線メッシュネットワークを構築してもよい。もしくは、第2の子機および第3の子機は、DIO-1には存在せずDIO-2にのみ記載されている経路情報を、第1の子機では無視されるDIO-1の予約領域に記載し送信することで、第2のマルチホップ通信と第1のマルチホップ通信の無線メッシュネットワークを構築してもよい。
【0195】
●下りメッセージのフォーマット
本実施の形態では、第2の収集装置が子機に下りメッセージを送信する際に使用する無線方式(第2のPHY/MACもしくは第1のPHY/MAC)をビットマップ形式で指定したが、TLV(Type-Length-Value)形式を使用してもよい。
【0196】
●第1の収集装置10の継続使用
本実施の形態では、RPLのDAGRootに第2の収集装置20を用いたが、RPLのDAGRootに第1の収集装置10を用いてもよい。
第1の収集装置10を用いた場合でも、第2の子機および第3の子機は上記プロトコル変換部370の動作によりDIO-1に記載の内容から、RPLランク2を計算することができる。このため、第2の子機および第3の子機より(収集装置宛のトラフィックを上りとした場合の)下流へは、DIO-2およびDIO-1を送信することができる。
その際、第1の収集装置10では、第2の子機および第3の子機からDAO-2により通知される親ノードとの無線方式とノードの種別情報は無視され、下り経路テーブル901へは宛先IDとそのノードの親ノードのみが登録される。この場合、第1の収集装置10は、下りトラフィック送信時に、無線方式の指定ができないため、全てのノードは第1のPHY/MACで下りトラフィックの転送を行う。
したがって、第1の収集装置10が第2の収集装置20の置き換える前に、第1の子機を第2の子機または第3の子機に置き換えることが可能である。
【0197】
●加重の種類
本実施の形態では、第2の子機の無線リンクの伝送レートと第1の子機と第3の子機の無線リンクの伝送レートを比較し、第1の子機と第3の子機の無線リンクの伝送レートを低伝送レートとしている。
RPLランク2の算出時に、MinimumHopRankIncrease-2に係数(低伝送レート加重)を乗じることでRPLランク2を算出したが、低伝送レートを用いることに対するコストを加算する方法でRPLランク2を算出してもよい。
【0198】
●RPLランク値の重みづけ
本実施の形態では、無線リンクの伝送レートの差によりRPLランク値に重みづけ(4倍の重みづけ)をしたが、パケットロス率、遅延、スループットおよびそれらの平均、分散などにより重みづけしてもよい。
【0199】
●RPLのメトリックの種類
本実施の形態では、RPLのメトリックとして、受信電力レベルに応じたランク付けを行うLQL(Link Quality Level)を用いた。その他のメトリックとして、ETX(Expected Transmission Count)、パケットロス率、遅延、スループット、ノードのバッテリ残量を用いてもよい。
【0200】
●回線の種類
本実施の形態では、無線通信の場合を示したが、一部に有線通信が含まれていてもよい。
【0201】
実施の形態2.
実施の形態1では、第2の収集装置20と第1の子機10xと第2の子機20xと第3の子機30xで無線メッシュネットワークを構築するシーケンスについて説明した。
実施の形態2では、実施の形態1と異なる点について説明する。
実施の形態2では、第2の子機20xおよび第3の子機30xにおいて、第2のマルチホップ通信の経路選択の指標となるRPLランク2による親ノード選択について説明する。
【0202】
図39は、第2の子機および第3の子機における親ノード選択のフローチャートである。
図40は、第2の収集装置20と第1の子機10a、第2の子機20b、第2の子機20cで構成する無線メッシュネットワークに第2の子機20dが参入する状況を示している。
【0203】
第2の子機20dは、実施の形態1に記載の処理により第1の子機10aからDIO-1を受信し、第2の子機20cからDIO-2およびDIO-1を受信する。第2の子機20dは、第1の子機10aを親ノードに選択した場合のRPLランク2と、第2の子機20cを親ノードに選択した場合のRPLランク2を算出する。
無線リンク601を用いることによる低伝送レート加重(=2)とする。第1の子機10aを親ノードに選択した場合のRPLランク2は、160(第2の収集装置のランク(=32)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)×ホップ数(=2)×低伝送レート加重(=2)+メトリック(=0))となる。
【0204】
一方、第2の子機20cを親ノードに選択した場合のRPLランク2は、128(第2の子機20cのRPLランク2(=96)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)+メトリック(=0))となる。
【0205】
この条件では、図39の第2の子機および第3の子機における親ノード選択のフローチャートのステップS001がYesになり、ステップS002により、第2の子機20dは、RPLランク2が最小になる第2の子機20cを親ノードとして選択する。
【0206】
図41は、第2の収集装置20と第1の子機10a、第2の子機20b、第3の子機30cで構成する無線メッシュネットワークに、第2の子機20dが参入する状況を示している。
【0207】
第2の子機20dは、実施の形態1に記載の処理により第1の子機10aからDIO-1を受信し、第3の子機30cからDIO-2およびDIO-1を受信する。第2の子機20dは、第1の子機10aを親ノードに選択した場合のRPLランク2と、第3の子機30cを親ノードに選択した場合のRPLランク2を算出する。
無線リンク601を用いることによる低伝送レート加重(=2)とする。第1の子機10aを親ノードに選択した場合のRPLランク2は、160(第2の収集装置のランク(=32)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)×ホップ数(=2)×低伝送レート加重(=2)+メトリック(=0))となる。
【0208】
一方、第3の子機30cを親ノードに選択した場合のRPLランク2は、192(第3の子機30cのRPLランク2(=128)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)×低伝送レート加重(=2)+メトリック(=0))となる。
【0209】
この条件では、図39の第2の子機および第3の子機における親ノード選択のフローチャートのステップS001がYesになり、ステップS002により第2の子機20dは、RPLランク2が最小になる第1の子機10aを親ノードとして選択する。
【0210】
図42図43は、第2の収集装置20と第1の子機10a、第2の子機20b、20c、20eで構成する無線メッシュネットワークに第2の子機20dが参入する状況を示している。
第2の子機20dは、実施の形態1に記載の処理により第1の子機10aからDIO-1を受信し、第2の子機20eからDIO-2およびDIO-1を受信する。第2の子機20dは、第1の子機10aを親ノードに選択した場合のRPLランク2と、第2の子機20eを親ノードに選択した場合のRPLランク2を算出する。
無線リンク601を用いることによる低伝送レート加重(=2)とする。第1の子機10aを親ノードに選択した場合のRPLランク2は、160(第2の収集装置のランク(=32)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)×ホップ数(=2)×低伝送レート加重(=2)+メトリック(=0))となる。
【0211】
一方、第2の子機20eを親ノードに選択した場合のRPLランク2は、160(第2の子機20eのRPLランク2(=128)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)+メトリック(=0))となる。
【0212】
この条件では、図39の第2の子機および第3の子機における親ノード選択のフローチャートのステップS001がNoになり、ステップS003がYesになり、ステップS004により第2の子機20dは、高伝送レートの連続の値が最大となる第2の子機20eを親ノードとして選択する。
【0213】
図44図45は、第2の収集装置20と第1の子機10a、第3の子機30b、30c、30eで構成する無線メッシュネットワークに第2の子機20dが参入する状況を示している。
【0214】
第2の子機20dは、実施の形態1に記載の処理により第3の子機30eおよび30cからDIO-2およびDIO-1を受信する。第2の子機20dは、第3の子機30eを親ノードに選択した場合のRPLランク2と、第3の子機30cを親ノードに選択した場合のRPLランク2を算出する。
【0215】
無線リンク601を用いることによる低伝送レート加重(=2)とする。第3の子機30eを親ノードに選択した場合のRPLランク2は、224(第3の子機30eのRPLランク2(=160)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)×低伝送レート加重(=2)+メトリック(=0))となる。
【0216】
一方、第3の子機30cを親ノードに選択した場合のRPLランク2は、224(第3の子機30cのRPLランク2(=160)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)×低伝送レート加重(=2)+メトリック(=0))となる。
【0217】
この条件では、図39の第2の子機および第3の子機における親ノード選択のフローチャートのステップS001がNoになり、ステップS003がNoになり、ステップS005がYesになり、ステップS006により第2の子機20dは、経路上に第1の子機が存在しない第3の子機30cを親ノードとして選択する。
【0218】
図46は、第2の収集装置20と第1の子機10a、10b、10c、10eで構成する無線メッシュネットワークに第2の子機20dが参入する状況を示している。
【0219】
第2の子機20dは、実施の形態1に記載の処理により第1の子機10eおよび10cからDIO-1を受信し、第1の子機10eを親ノードに選択した場合のRPLランク2と、第1の子機10cを親ノードに選択した場合のRPLランク2を算出する。
【0220】
無線リンク601を用いることによる低伝送レート加重(=2)とする。第1の子機10eを親ノードに選択した場合のRPLランク2は、224(第2の収集装置20のRPLランク2(=32)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)×低伝送レート加重(=2)×ホップ数(=3)+メトリック(=0))となる。
【0221】
同様に、第1の子機10cを親ノードに選択した場合のRPLランク2は、224(第2の収集装置20のRPLランク2(=32)+MinimumHopRankIncrease-2(=32)×低伝送レート加重(=2)×ホップ数(=3)+メトリック(=0))となる。
【0222】
この条件では、図39の第2の子機および第3の子機における親ノード選択のフローチャートのステップS001がNoになり、ステップS003がNoになり、ステップS005がNoになり、ステップS007により第2の子機20dは、第1の子機10eと第1の子機10cのどちらかをランダムで親ノードとして選択する。
【0223】
上記のように、実施の形態2では、RPLランク2により親ノード選択する際に、RPLランク2の値が同一の親ノード候補が複数存在する場合に、第2の収集装置20からの高伝送レートの連続数、経路上の第1の子機の有無を用いる。こうすることで、第2の収集装置20の近傍が高伝送レートの無線リンク602で構成されている経路を優先的に選択し、トラフィックのボトルネックになる第1の子機の経由を避けることでシステムスループットの向上を可能にする。
【0224】
実施の形態2では、ノードから第2の収集装置までの経路のRPLランクの値が同一の場合は、第1の子機が存在しない経路を選択する例を示した。
RPLランクの値が同一で、第1の子機が存在する経路と、第3の子機が存在する経路があった場合にいずれかをランダムで選択するとしてもよい。
【0225】
実施の形態3.
実施の形態1では、第2の子機20xおよび第3の子機30xは、DIO-2およびDIO-1を送信することで、第1の子機10xから第2の子機20xおよび第3の子機30xへのノード置き換えを行うシーケンスについて説明した。
実施の形態3では、実施の形態1と異なる点について説明する。
実施の形態3では、ノード置き換えが完了し、第1の子機が存在しないネットワークにおいて、DIO-1の送信を停止する方法について記載する。
【0226】
図47は、通信システム502において、第1の子機10xが第2の子機20xおよび第3の子機30xに置き換えられた通信システム503の状態を示している。
【0227】
図48は、図47における第2の収集装置20、第2の子機20b、20f、20gおよび第3の子機30hにおけるDIO-2およびDIO-1を送信するシーケンスを示している。第2の収集装置20および第2の子機20b、20f、20g、第3の子機30hは、RPLで規定されているTrickleタイマーが満了するたびにDIO-2およびDIO-1を送信している。管理者1000は、第2の収集装置20に対して、入力インタフェース930を経由し、通信システム503に第1の子機10xが存在しないことを通知する。
第2の収集装置20の第2のマルチホップ通信部302は、入力インタフェース930からの第1の子機10xが存在しない通知を受信すると、次回のTrickleタイマーの満了後から、DIO-2に第1の子機10xが存在しないことを意味するフラグを設定して送信し、DIO-1の送信を停止する。
【0228】
第2の子機20b、20f、20gおよび第3の子機30hは、第1の子機10xが存在しないことを意味するフラグが設定されたDIO-2を受信すると、次回のTrickleタイマーの満了後から、DIO-2に第1の子機10xが存在しないことを意味するフラグを設定して送信し、DIO-1の送信を停止する。
【0229】
上記のように、本実施の形態では、第2の収集装置20に対して、第1の子機が存在しないことを通知し、第2の収集装置および第2の子機、第3の子機が第1の子機が存在しない旨を通知するフラグをDIO-2に保持することで、DIO-1の送信を停止し、無線の使用効率を改善する。
【0230】
実施の形態3では、第2の収集装置20に対して管理者1000が第1の子機が存在しないことを直接指示した。
別な指示方法として、第2の収集装置をインターネットのような外部ネットワークに接続させて外部のサーバまたは外部のシステムからDIO-1の送信停止の指示をしてもよい。
さらに、第2の収集装置が、通信システム503に参入しているノードの種類を確認し、第1の子機が存在しないと判断することで自律的にDIO-1の送信停止を判断してもよい。
もしくは、第2の子機および第3の子機が、第1の子機からDIO-1を一定期間受信していないことを判定し自律的にDIO-1の送信停止を判断してもよい。
【0231】
●まとめと補足説明
実施の形態1,2,3では、RPLを用いた無線メッシュネットワークにおいて、既存の無線機(第1の収集装置10、第1の子機10x)から新規の無線機(第2の収集装置20、第2の子機20x、第3の子機30x)へのマイグレーションを実現する場合を説明した。
通信システム501は、RPLランク1(第1ランク値)のみを計算して親機を選択する。
通信システム502は、RPLランク1(第1ランク値)とRPLランク2(第2ランク値)を計算して親機を選択する。
DAGROOTになる新規の無線機(第2の収集装置20:親機)は、既存の通信方式(第1のPHY/MAC)および既存の第1プロトコルと、新規の通信方式(第2のPHY/MAC)と新規の第2プロトコルに対応する。
一部の新規の無線機(第2の子機20x)は、既存の通信方式(第1のPHY/MAC)および既存の第1プロトコルと、新規の通信方式(第2のPHY/MAC)と新規の第2プロトコルに対応する。
一部の新規の無線機(第3の子機30x)は、既存の通信方式(第1のPHY/MAC)および既存の第1プロトコルと新規の第2プロトコルに対応する。
【0232】
●制御メッセージ(DIO-1とDIO-2)
新規の無線機(第2の収集装置20:親機)と、新規の無線機(第2の子機20x)と、新規の無線機(第3の子機30x)は、新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)のための制御メッセージ(DIO-2)と既存の無線機(第1の子機10x)のための制御メッセージ(DIO-1)を送信する。
新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)のための制御メッセージ(DIO-2)は、既存の無線機(第1の子機10x)では破棄されるフォーマットにしておく。
新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)のための制御メッセージ(DIO-2)には、以下の経路情報のいずれかもしくはすべてを記載する。
(1)自ノードのRPLランク
(2)親機から自ノードまでの経路において、
(2A)新規の通信方式(第2のPHY/MAC)が連続している数
(2B)既存の無線機(第1の子機10x)の有無
(2C)新規の無線機(第3の子機30x)の有無
新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)ための制御メッセージ(DIO-2)にフラグを指定することにより、既存の無線機(第1の子機10x)のための制御メッセージ(DIO-1)を停止できる。
【0233】
●新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)
新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)は、新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)のための制御メッセージ(DIO-2)と、既存の無線機(第1の子機10x)のための制御メッセージ(DIO-1)のそれぞれで、RPLランク値(RPLランク2とRPLランク1)を算出し保持する。
新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)は、新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)のための制御メッセージ(DIO-2)で算出したRPLランク値(RPLランク2)を使用し、親ノードを選択する。
【0234】
新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)において、既存の無線機(第1の子機10x)のための制御メッセージ(DIO-1)しか受信できない場合、プロトコル変換部370は、親機から全てのホップで既存の無線機(第1の子機10x)を経由したと仮定し、RPLランク値(RPLランク2)を算出する。
新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)において、新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)のための制御メッセージ(DIO-2)しか受信できない場合、プロトコル変換部370は、DIO-2に記載の情報からホップ数を算出し、既存の無線機(第1の子機10x)のRPLランク値(RPLランク1)を算出する。
新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)は、RPLのリンクメトリックにLQLを用いている場合は、LQLに記載の情報からホップ数とホップ毎のメトリック値を取得し、既存の無線機(第1の子機10x)のRPLランク値(RPLランク1)を算出する。
【0235】
●ランク値の設定と計算
通信システム502は、あらかじめRPLランク値を以下のように設定して、RPLランク値を計算する際に、RPLランク1(第1ランク値)からRPLランク2(第2ランク値)を算出可能にしている。
(1)第2の収集装置20にあらかじめ記憶している初期ランク値
RPLランク1>RPLランク2
RPLランク1=RPLランク2x4
(2)第2の収集装置20にあらかじめ記憶しているホップ毎の最低増加値
MinimumHopRankIncrease-1>MinimumHopRankIncrease-2
MinimumHopRankIncrease-1=MinimumHopRankIncrease-2x4
(3)第2の子機20xと第3の子機30xとにあらかじめ記憶しているホップ毎の最低増加値
MinimumHopRankIncrease-1>MinimumHopRankIncrease-2
MinimumHopRankIncrease-1=MinimumHopRankIncrease-2x4
【0236】
●親機選択の優先度
新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)のための制御メッセージ(DIO-2)により、RPLランク値(RPLランク2)を算出して親ノードを選択する場合は以下のとおりとする。
【0237】
(1)RPLランク2(第2ランク値)を計算する場合、新規の通信方式(第2のPHY/MAC)を用いた場合と、既存の通信方式(第1のPHY/MAC)を用いた場合に、RPLでホップ毎にRPLランク値に加算する増加値に差がつくように、RPLのホップ毎に加算する最低増加値に加重を掛けて、RPLランク2(第2ランク値)を算出する。
【0238】
(2)親ノード選択時に、RPLランクが同一になる親ノード候補が複数存在した場合に、以下の優先順位で親ノードを選択する。
(2A)新規の通信方式(第2のPHY/MAC)が連続している数が多いもの
(2B)親機から自ノードまでの経路上に、既存の無線機(第1の子機10x)が存在しないもの。あるいは、親機から自ノードまでの経路上に、新規の無線機(第3の子機30x)が存在しないもの。
【0239】
●告知メッセージ(DAO-1とDAO-2)
既存の無線機(第1の子機10x)は、親機に送信する告知メッセージ(DAO-1)に、親ノードのIDを通知する。
新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)は、経路テーブル902に、親ノードのIDと親ノードとの通信に使用する無線方式(PHY/MAC)とを記録する。
新規の無線機(第2の子機20x、第3の子機30x)は、親機に送信する告知メッセージ(DAO-2)に、親ノードのIDと自ノードの機器種別と親ノードとの通信に使用する無線方式(PHY/MAC)を通知する。
親機は、下り経路テーブル901に、子ノードが親ノードとして選択したノードのIDとそのノードへの送信に使用する無線方式(PHY/MAC)とを保持する。
【0240】
●親機の下りトラフィック動作
(1)新規の無線機(親機)は、下り経路テーブル901に、各無線機(子機)が対応している無線方式(PHY/MAC)を保持する。
(2)新規の無線機(親機)は、下りトラフィックを送信する際には、経由する無線機(子機)とホップに使用する無線方式(PHY/MAC)を指定する。
新規の無線機(親機)は、無線方式の指定方法としてビットマップを使用する。あるいは、新規の無線機(親機)は、無線方式の指定方法としてTLVを使用する。
(3)新規の無線機(親機)は、無線方式(PHY/MAC)が不明な無線機(子機)が存在する場合は、既存の無線方式(第1のPHY/MAC)を指定する。
【0241】
●既存の無線機(第1の子機10x)の下りトラフィック動作
(1)既存の無線機(第1の子機10x)は、下りトラフィックで下りメッセージを転送する場合、下りメッセージに記載されている転送先の無線機のIDを使用し、既存の無線方式(第1のPHY/MAC)を使用する。
【0242】
●新規の無線機(第2の子機20x)の下りトラフィック動作
(1)新規の無線機(第2の子機20x)は、下りトラフィックで下りメッセージを転送する場合、下りメッセージに記載されている転送先の無線機のIDと転送に使用する無線方式(PHY/MAC)とを使用する。
(2)無線方式(PHY/MAC)が指定されていない場合は、既存の無線方式(第1のPHY/MAC)を使用する。
【0243】
●新規の無線機(第3の子機30x)の下りトラフィック動作
(1)新規の無線機(第3の子機30x)は、下りトラフィックで下りメッセージを転送する場合、下りメッセージに記載されている転送先の無線機のIDを使用し、既存の無線方式(第1のPHY/MAC)を使用する。
【0244】
以下、前述した実施の形態の特徴を記載する。
通信システム501は、第1プロトコルにより計算した第1ランク値(RPLランク1)に基づいて構築された無線メッシュネットワークに親機(第1の収集装置10)と複数の子機(第1の子機10x)とを接続している。
通信システム502は、親機(第2の収集装置20)と複数の子機(第1の子機10x、第2の子機20x、第3の子機30x)とを有する。
子機(第1の子機10x、第2の子機20x、第3の子機30x)は、ノードとなって無線メッシュネットワークに接続される。
子機(第2の子機20x、第3の子機30x)は、通信システム501の第1の子機10xを置き換えたものである。
子機(第2の子機20x、第3の子機30x)は、通信装置(第2の通信装置200)とプロトコル判定部330と上り経路構築部360とマルチホップ通信部340とを備える。
通信装置(第2の通信装置200)は、経路の構築に関する経路情報を含む一つ以上の制御メッセージ(DIO-1、DIO-2)を一つ以上の近隣のノード(親機または子機)から受信する。経路情報には、ノードのランク情報が含まれている。
プロトコル判定部330は、ランク情報に対する第1プロトコルの処理と第2プロトコルの処理とを判定する。
プロトコル判定部330は、一つ以上の制御メッセージの制御メッセージごとに制御メッセージの種類(DIO-1またはDIO-2)を判定し、制御メッセージを第1プロトコルと第2プロトコルのいずれで処理するかを判定する。
上り経路構築部360は、プロトコル判定部330の判定結果に基づき、第1プロトコルに基づきランク情報を使用して第1ランク値(RPLランク1)を計算し、第2プロトコルに基づきランク情報を使用して第2ランク値(RPLランク2)を計算する。
第1ランク値(RPLランク1)と第2ランク値(RPLランク2)は、異なる値である。
上り経路構築部360は、一つ以上の第2ランク値(RPLランク2)に基づいて一つ以上の近隣ノードのなかから一つのノードを親ノードとして選択する。
上り経路構築部360は、親ノードのIDと親ノードのランク情報を使用して計算された第1ランク値(RPLランク1)と第2ランク値(RPLランク2)とを経路テーブル902に記録する。
マルチホップ通信部340は、経路テーブル902に記録された親ノードのIDを子ノードから告知する告知メッセージを作成して親機に送信する。
【0245】
通信装置(第2の通信装置200)は、制御メッセージとして、一つのノードから、
送信元ノードの第1ランク情報を経路情報に含む第1制御メッセージ(DIO-1)と、
送信元ノードの第2ランク情報を経路情報に含む第2制御メッセージ(DIO-2)と
を受信する。
子機は、第1の上り経路構築部311と第2の上り経路構築部321とを有する。
第1の上り経路構築部311は、送信元ノードの第1ランク情報に基づいて第1ランク値を計算する。
第2の上り経路構築部321は、送信元ノードの第2ランク情報に基づいて第2ランク値を計算する。
【0246】
ランク情報は、少なくとも第1ランク情報と第2ランク情報とのいずれかを含む。
ランク情報は、ランク値とランク値の最低増加値とを含む。
第1ランク情報は、第1ランク値(RPLランク1)と第1最低増加値(MinimumHopRankIncrease-1)とを含む。
第2ランク情報は、第2ランク値(RPLランク2)と第2最低増加値(MinimumHopRankIncrease-2)とを含む。
【0247】
通信装置(第2の通信装置200)が、制御メッセージとして、一つの子機から、第1ランク情報を経路情報に含む第1制御メッセージのみを受信した場合、
(1)第1の上り経路構築部311は、第1ランク情報に基づいて第1ランク値(RPLランク1)を計算する。
(2)プロトコル変換部370は、親機からの子機までの全てのホップに対して第2最低増加値に加重をかけて第2ランク値(RPLランク2)を計算する。
【0248】
通信装置(第2の通信装置200)が、制御メッセージとして、一つの子機から、第2ランク情報を経路情報に含む第2制御メッセージのみを受信した場合、
(1)プロトコル変換部370は、経路情報からホップ数を算出し、ホップ数に基づいて第1ランク値を計算する。
(2)第2の上り経路構築部321は、第2ランク情報に基づいて第2ランク値(RPLランク2)を計算する。
【0249】
第2の上り経路構築部321は、第2ランク値(RPLランク2)を計算する場合、第2の通信方式を用いる場合と第1の通信方式を用いる場合とで第2ランク値に差がつくように、加重を掛けて第2ランク値を算出する。
【0250】
経路情報は、親機からの経路における第2の通信方式(第2のPHY/MAC)の経路の連続数を含む。
上り経路構築部360は、親ノードの選択時に、ランク値が同一になるノードが複数存在した場合に、連続数により親ノードを選択する。
【0251】
経路情報は、親機からの経路における第2の通信方式(第2のPHY/MAC)が不可能なノード(第1の通信方式(第1のPHY/MAC)のみが可能な第1の子機10xと第3の子機30x)の有無を含む。
上り経路構築部360は、親ノードの選択時に、ランク値が同一になるノードが複数存在した場合に、第2の通信方式(第2のPHY/MAC)が不可能なノード(第1の子機10xまたは第3の子機30x)の有無により親ノードを選択する。
【0252】
経路情報は、親ノードの種別(親機、第1の子機10x、第2の子機20x、第3の子機30x)を含む。
上り経路構築部360は、親ノードの種別(親機、第1の子機10x、第2の子機20x、第3の子機30x)と子ノードの種別(第1の子機10x、第2の子機20x、第3の子機30x)とから、親ノードとの通信方式を選択し、親ノードとの通信方式を経路テーブル902に記録する。
あるいは、上り経路構築部360は、親ノードの通信方式(第1の通信方式または第2の通信方式)と子ノードの通信方式(第1の通信方式または第2の通信方式)とから、親ノードとの通信方式を選択し、親ノードとの通信方式を経路テーブル902に記録する。
上り経路構築部360は、親ノードの種別が、親機または第2の子機20xであり、子ノードの種別が第2の子機20xの場合のみ、第2の通信方式を親ノードとの通信方式として選択する。
【0253】
上り経路構築部360は、親ノードと子ノードがそれぞれ第1通信方式(第1のPHY/MAC)と第2通信方式(第2のPHY/MAC)とに対応している場合、親ノードとの通信方式として第2通信方式(第2のPHY/MAC)を選択する。
【0254】
上り経路構築部360は、親ノードと子ノードとがそれぞれ第1通信方式(第1のPHY/MAC)に対応しており、親ノードと子ノードとのいずれかが第2通信方式(第2のPHY/MAC)に対応していない場合、親ノードとの通信方式として第1通信方式(第1のPHY/MAC)を選択する。
【0255】
子機の通信装置(第1の通信装置100または第2の通信装置200)は、下りメッセージを送る子機までの経路に存在するノードのIDとノードとの通信方式とを含めた下りメッセージを受信する。
第1の子機10xの第1のマルチホップ通信部301は、下りメッセージに含まれたノードのIDのみを参照して子ノードのIDを特定し、下りメッセージを子ノードに転送する。
第2の子機20x、第3の子機30xのマルチホップ通信部340は、下りメッセージに含まれたノードのIDとノードとの通信方式とを参照して子ノードのIDと子ノードとの通信方式とを特定し、下りメッセージを子ノードに転送する。
【0256】
親機(第2の収集装置20)は、親機と複数の子機とがノードとなって通信する無線メッシュネットワークに接続される。
親機(第2の収集装置20)は、通信装置(第2の通信装置200)と下り経路構築部350とマルチホップ通信部340とを備える。
通信装置(第2の通信装置200)は、親ノードのIDと親ノードとの通信方式とを告知する告知メッセージ(DAO-2)を子ノード(第2の子機20x、第3の子機30x)から受信する。
下り経路構築部350は、告知メッセージ(DAO-2)に含まれた親ノードのIDと親ノードとの通信方式とを子ノードのIDに対応させて下り経路テーブル902に記録する。
マルチホップ通信部340は、下り経路テーブル902を参照して、下りメッセージを送る子機までの経路に存在する一つ以上のノードを特定し、ノードのIDとノードとの通信方式とを含めた下りメッセージを作成する。
【0257】
下り経路構築部350は、第1ランク情報(第1ランク値とMinimumHopRankIncrease-1)と第2ランク情報(第2ランク値とMinimumHopRankIncrease-2)とをランクテーブル903に記録する。
マルチホップ通信部340は、第1ランク情報を含む第1制御メッセージ(DIO-1)と、第2ランク情報を含む第2制御メッセージ(DIO-2)とを作成して、第1制御メッセージと第2制御メッセージとを近隣のノードに対して送信する。
【0258】
親機(第2の収集装置20)と子機(第2の子機20x、第3の子機30x)とは、第1プロトコルと第2プロトコルにより通信することが可能な無線メッシュネットワークに接続され、第1プロトコルによる通信を停止することにより、第2プロトコルのみにより通信をする。
【0259】
通信システム503においては、親機(第2の収集装置20)と子機(第2の子機20x、第3の子機30x)とが第2プロトコルのみにより通信をする。
親機(第2の収集装置20)は、ノードのIDとノードとの通信方式とを含む下りメッセージを送信する。
子機(第2の子機20x、第3の子機30x)は、下りメッセージを受信し、下りメッセージに含まれたノードのIDとノードとの通信方式とを参照して子ノードのIDと子ノードとの通信方式とを特定し、下りメッセージを子ノードに転送する。
【0260】
実施の形態4.
実施の形態1では、第2の収集装置20と第1の子機10xと第2の子機20xと第3の子機30xで無線メッシュネットワークを構築し、第2の収集装置20から下りメッセージ送信時に下り経路テーブル901を参照して第2の収集装置20が無線方式を指定する方法について説明した。
【0261】
実施の形態4では、実施の形態1と異なる点について説明する。
本実施の形態では、第2の収集装置20が、下りメッセージ送信時に下り経路テーブル901とは異なる形式の下り経路テーブルにより、下り経路と無線方式を決定する方法について記載する。
【0262】
図49は、通信システム504において、第1の子機10xと第2の子機20xと第3の子機30xとが混在したネットワークを表している。
図49では、第1の子機10xと第2の子機20xと第3の子機30xとは、IPv6(Internet Protocol Version 6)のHop-by-Hop拡張ヘッダを使用できるものとする。
Hop-by-Hop拡張ヘッダは、IPv6のフォーマットにおいてヘッダの拡張部分として定義されたエリアである。
Hop-by-Hop拡張ヘッダとは、IPv6パケットの経路上にある全てのノードで参照されるべき情報又は処理されなければならない情報を格納することができるエリアである。
【0263】
●第2の子機20b
図50は、IPv6のHop-by-Hop拡張ヘッダを用いて、第2の子機20bが送信した上りメッセージに、第2の収集装置までに経由したノードとリンクの無線方式を記載した状況を示している。
【0264】
●子機の動作(子機のIDと無線方式を付与)
第2の子機20bは、マルチホップ通信部340により、Hop-by-Hop拡張ヘッダに親ノード(図50では第2の収集装置20)への送信の無線方式に第2のPHY/MACを使用したことを示す識別子:1と第2の子機20bのID:20bを記載し、上りメッセージを親ノードである第2の収集装置20に送信する。
【0265】
第2の子機20bが本実施の形態の上りメッセージを親ノードに送信する時期は、第2の子機20bが通信システム504への参入動作を完了後であればいつでもよい。
具体的には、以下の場合が考えられる。
(1)子機が通信システム504への参入動作完了時
(2)子機が親ノードを変更した経路変更時
(3)子機から親機宛のすべての上りメッセージの送信時
(4)子機から親機宛に定期的に送信する定期送信時
(5)上記(1)~(4)の組合せ
【0266】
●親機の動作(子機のIDと無線方式を受信)
図51は、第2の子機20bからの上りメッセージを受信した第2の収集装置20が、第2の子機20bへの下りメッセージに使用する無線方式ビットマップと経由ノードを下り経路テーブルの一部となる経由ノード情報テーブル904へ登録する状況を表している。
【0267】
第2の収集装置20は、第2の下り経路構築部320により、第2の子機20bから上りメッセージを受信すると、Hop-by-Hop拡張ヘッダから、無線方式と経由ノードを取得し、第2の子機20b宛の無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを作成する。
第2の収集装置20は、第2の下り経路構築部320により、ソースルーチングヘッダと無線方式ビットマップの情報を経由ノード情報テーブル904に第2の子機20b宛のソースルーチングヘッダと無線方式ビットマップとして登録する。
【0268】
経由ノード情報テーブル904には、宛先IDとソースルーチングヘッダと無線方式ビットマップとが登録される。
経由ノード情報テーブル904は、ソースルーチングテーブルともいう。
【0269】
図51では、第2の子機20bのみが、経由ノード情報テーブル904に登録されている場合を示している。
【0270】
第2の収集装置20は、第2の子機20b宛の下りメッセージを送信する場合、経由ノード情報テーブル904に第2の子機20bが登録されていれば、第2の子機20bのソースルーチングヘッダと無線方式ビットマップを使用する。
【0271】
●第2の子機20r
図52は、IPv6のHop-by-Hop拡張ヘッダを用いて、第2の子機20rが送信した上りメッセージに、第2の収集装置までに経由したノードとリンクの無線方式を記載した状況を示している。
【0272】
図52では、すでに、第2の子機20と第1の子機10fと第2の子機20lとが通信システム504へ参入動作を完了しているものとする。
第2の子機20と第1の子機10fと第2の子機20lとは、それぞれ、親ノードへの送信の無線方式が、第2のPHY/MAC、第1のPHY/MAC、第1のPHY/MACであるものとする。
【0273】
●子機の動作(子機のIDと無線方式を付与)
第2の子機20rは、マルチホップ通信部340により、Hop-by-Hop拡張ヘッダに親ノードへの送信の無線方式に第2のPHY/MACを使用したことを示す識別子:1と第2の子機20rのID:20rを記載し、上りメッセージを親ノードである第2の子機20lに送信する。
【0274】
第2の子機20rから第2の収集装置20への上りメッセージを受信した第2の子機20lは、マルチホップ通信部340により、Hop-by-Hop拡張ヘッダに親ノードへの送信の無線方式に第1のPHY/MACを使用したことを示す識別子:0と第2の子機20lのID:20lを記載し、上りメッセージを親ノードである第1の子機10fに送信する。
【0275】
第2の子機20lから第2の収集装置20への上りメッセージを受信した第1の子機10fは、第1のマルチホップ通信部301により、Hop-by-Hop拡張ヘッダに親ノードへの送信の無線方式に第1のPHY/MACを使用したことを示す識別子:0と第1の子機10fのID:10fを記載し、上りメッセージを親ノードである第2の子機20bに送信する。
【0276】
第1の子機10fから第2の収集装置20への上りメッセージを受信した第2の子機20bは、マルチホップ通信部340により、Hop-by-Hop拡張ヘッダに親ノードへの送信の無線方式に第2のPHY/MACを使用したことを示す識別子:1と第2の子機20bのID:20bを記載し、上りメッセージを親ノードである第2の収集装置20に送信する。
【0277】
第2の子機20rが本実施の形態の上りメッセージを親ノードに送信する時期は、第2の子機20rが通信システム504への参入動作を完了後であればいつでもよい。
第2の子機20rが本実施の形態の上りメッセージを親ノードに送信する時期は、第2の子機20lと第1の子機10fと第2の子機20bが本実施の形態の上りメッセージを親ノードに送信する時期よりも前であってもよい。
【0278】
●親機の動作(子機のIDと無線方式を受信)
図53は、第2の子機20rからの上りメッセージを受信した第2の収集装置20が、第2の子機20rへの下りメッセージに使用する無線方式ビットマップと経由ノードを下り経路テーブルの一部となる経由ノード情報テーブル904へ登録する状況を表している。
【0279】
第2の収集装置20は、第2の子機20rから上りメッセージを受信すると、第2の下り経路構築部320により、Hop-by-Hop拡張ヘッダから、無線方式と経由ノードを取得し、それぞれを逆順にソートすることで第2の子機20r宛の無線方式ビットマップとソースルーチングヘッダを作成する。
【0280】
第2の収集装置20は、第2の下り経路構築部320により、ソースルーチングヘッダと無線方式ビットマップの情報を経由ノード情報テーブル904に第2の子機20r宛のソースルーチングヘッダと無線方式ビットマップとして登録する。
【0281】
経由ノード情報テーブル904には、宛先IDとソースルーチングヘッダと無線方式ビットマップとが登録される。
【0282】
ソースルーチングヘッダには、第2の収集装置20から宛先ノードまでのすべての経由ノードが経由順に記載される。
【0283】
無線方式ビットマップには、第2の収集装置20から宛先ノードまでのすべての経由ノードの親ノードとの無線方式が経由ノード順に記載されている。
【0284】
図53では、第2の子機20bと第2の子機20rが本実施の形態の上りメッセージを親ノードに送信した結果、第2の子機20bと第2の子機20rが経由ノード情報テーブル904に登録されている場合を示している。
経由ノード情報テーブル904は、第2の子機20lと第1の子機10fが本実施の形態の上りメッセージを親ノードに送信していない状態でも、第2の子機20rを登録することができる。
【0285】
第2の収集装置20のマルチホップ通信部340は、第2の子機20r宛の下りメッセージを送信する場合、経由ノード情報テーブル904に第2の子機20rが登録されていれば、第2の子機20rのソースルーチングヘッダと無線方式ビットマップを使用する。
【0286】
以上のように、実施の形態4の通信システム504の子機は、親機宛の上りメッセージの送信時および転送時に、上りメッセージに子機のノードのIDと通信方式とを、子機の経由順がわかるように記載する。
親機は、上りメッセージに記載されたノードのIDと通信方式とをメモリ又は記憶装置に保存しておき、保存したノードのIDと通信方式とを利用して、親機宛の上りメッセージを送信した子機に対する下りメッセージを作成する。
【0287】
●実施の形態4のまとめ
実施の形態4の通信システム504は、無線マルチホップネットワークで使用されている無線方式を記録し、記録した無線方式を下り経路でそのまま使用するという特徴を有する。
実施の形態4の通信システム504は、無線方式を含む上り経路の情報を受信した場合に、上り経路の情報を利用して、無線方式を含む下り経路を構築するという特徴を有する。
【0288】
子機(子ノード)のマルチホップ通信部340(第1のマルチホップ通信部301を含む)は、親機宛の上りメッセージを作成して親機宛に送信する場合、自ノードのIDと親ノードとの通信方式とを記載した上りメッセージを作成して親機宛に送信する。
【0289】
子機(子ノード)のマルチホップ通信部340(第1のマルチホップ通信部301を含む)は、上りメッセージを受信して親機宛に転送する場合、上りメッセージに自ノードのIDと親ノードとの通信方式とを記載して親機宛に送信する。
【0290】
子機(子ノード)は、親機宛の上りメッセージを送信もしくは転送する場合に、子機(子ノード)のIDと親ノードとの通信方式を上りメッセージに付与していく。
親機宛の上りメッセージは、上りメッセージ転送で使用された経路(上りメッセージが経由したすべての経由ノード)と通信方式を、親機に通知する。
【0291】
親機の下り経路構築部350は、子ノードから受信した上りメッセージに付与されている経由ノードと通信方式を取得し、逆順にソートした内容を経由ノード情報テーブル904(ソースルーチングテーブル)に記録する。
【0292】
親機の第2の下り経路構築部320は、子ノードへの下りメッセージ送信をする際に、経由ノード情報テーブル904(ソースルーチングテーブル)から対象のノードIDを検索し、使用する経路と通信方式を取得する。
【0293】
親機の第2の下り経路構築部320は、上りメッセージが経由した経由ノードのIDと経由ノードの通信方式とを記載した上りメッセージを子ノードから受信した場合、子ノードのIDに対応付けて上りメッセージに記載された経由ノードのIDと経由ノードとの通信方式とを、経由ノード情報テーブル904に記録する。
【0294】
親機のマルチホップ通信部340は、子ノードに対して下りメッセージを作成する場合、経由ノード情報テーブル904に記載された経由ノードのIDと経由ノードの通信方式とを参照して、下りメッセージを送る子機までの経路に存在する経由ノードのIDと経由ノードとの通信方式とを含む下りメッセージを作成する。
【0295】
●実施の形態4の効果
この実施の形態4によれば、親機(第2の収集装置20)は、子機への下りメッセージ送信時に下り経路テーブル901に記載の宛先IDと親ノードの組合せを辿ってソースルーチングヘッダと無線方式ビットマップを作成する処理を省略することが可能になる。
【0296】
この実施の形態4によれば、第2の収集装置20は、経由ノード情報テーブル904に記載されたソースルーチングヘッダと無線方式ビットマップを使用して下りメッセージを作成することができる。
【0297】
●実施の形態4の他の例
本実施の形態では、第1の子機10xと第2の子機20xを用いて説明したが、第3の子機30xも第1の子機10xと同様の動作を行う。
【0298】
また、本実施の形態では、上りメッセージの送信および転送時の情報を付与するために、IPv6のHop-by-Hop拡張ヘッダを用いたが、上りメッセージの送信および転送時に使用した無線方式と経由ノードの組合せを通知できる方法であればよい。例えばオプションヘッダとして追加していく方法でもよい。
【0299】
さらに、本実施の形態では、無線方式を第1のPHY/MACと第2のPHY/MACの2種類の無線方式を0又は1で表現する方法を用いたが、複数ビットを使用して2種類以上の無線方式を指定してもよい。
【0300】
さらに、実施の形態において、子機が通信システム504への参入動作を完了する場合に送信する告知メッセージ(DAOメッセージ(DAO-2))の代わりに、本実施の形態の上りメッセージを送信してもよい。第2の収集装置20は、第2の下り経路構築部320により、上りメッセージから下り経路テーブル901と経由ノード情報テーブル904との両方を作成することができる。
【0301】
実施の形態5.
実施の形態4では、子機が、上りメッセージの送信および転送時に、子機のIDと親ノードとの通信方式を示す識別子を付与し、親機が、上りメッセージの情報を利用して、下りメッセージに使用する下り経路と無線方式を決定する方法について説明した。
【0302】
実施の形態5では、実施の形態4と異なる点について説明する。
本実施の形態では、上りメッセージの送信および転送時に、子機のIDは付与するが、通信方式を付与しない場合の下り経路と無線方式を決定する方法について説明する。
【0303】
図49は、通信システム504において、第1の子機10xと第2の子機20xと第3の子機30xとが混在したネットワークを表している。
【0304】
●子機の動作(子機のIDのみを付与)
図54は、第2の子機20rが送信した上りメッセージに、IPv6のHop-by-Hop拡張ヘッダを用いて、第2の収集装置までに経由したノードを追記していく状況を示している。
【0305】
第2の子機20rは、マルチホップ通信部340により、Hop-by-Hop拡張ヘッダに第2の子機20rのID:20rを記載し、上りメッセージを親ノードである第2の子機20lに送信する。
【0306】
第2の子機20rから第2の収集装置20への上りメッセージを受信した第2の子機20lは、マルチホップ通信部340により、Hop-by-Hop拡張ヘッダに第2の子機20lのID:20lを記載し、上りメッセージを親ノードである第1の子機10fに送信する。
【0307】
第2の子機20lから第2の収集装置20への上りメッセージを受信した第1の子機10fは、第1のマルチホップ通信部301により、Hop-by-Hop拡張ヘッダに第1の子機10fのID:10fを記載し、上りメッセージを親ノードである第2の子機20bに送信する。
【0308】
第1の子機10fから第2の収集装置20への上りメッセージを受信した第2の子機20bは、マルチホップ通信部340により、Hop-by-Hop拡張ヘッダに第2の子機20bのID:20bを記載し、上りメッセージを親ノードである第2の収集装置20に送信する。
【0309】
●親機の動作(子機のIDのみを受信)
図55は、第2の子機20rからの上りメッセージを受信した第2の収集装置20が、第2の子機20rへの下りトラフィックに使用する経由ノードを下り経路テーブルの一部となる経由ノード情報テーブル905へ登録する状況を表している。
【0310】
第2の収集装置20は、第2の下り経路構築部320により、第2の子機20rから上りメッセージを受信すると、Hop-by-Hop拡張ヘッダから経由ノードを取得し、逆順にソートすることで第2の子機20r宛のソースルーチングヘッダを作成する。
【0311】
第2の収集装置20は、第2の下り経路構築部320により、ソースルーチングヘッダの情報を、経由ノード情報テーブル905に、第2の子機20r宛のソースルーチングヘッダとして登録する。
第2の収集装置20は、第2の子機20r宛の下りメッセージを送信する場合、経由ノード情報テーブル905に第2の子機20rが登録されていれば、そのソースルーチングヘッダを使用する。
【0312】
さらに第2の収集装置20のマルチホップ通信部340は、ソースルーチングヘッダに記載されている宛先IDを下り経路テーブル901から検索することで無線方式ビットマップを作成する。
【0313】
以上のように、実施の形態5の通信システム504の子機は、親機宛の上りメッセージの送信時および転送時に、前記上りメッセージに子機のノードのIDを子機の経由順がわかるように記載する。
親機は、上りメッセージに記載されたノードのIDをメモリ又は記憶装置に保存しておき、保存したノードのIDを利用して親機宛の上りメッセージを送信した子機に対する下りメッセージを作成する。
【0314】
●実施の形態5のまとめ
実施の形態5の通信システム504は、上り経路の情報を受信した場合に、上り経路の情報を利用して、下り経路を構築するという特徴を有する。
【0315】
子機(子ノード)のマルチホップ通信部340は、親機宛の上りメッセージを作成して親機宛に送信する場合、自ノードのIDを記載した上りメッセージを作成して親機宛に送信する。
【0316】
子機(子ノード)のマルチホップ通信部340は、上りメッセージを受信して親機宛に転送する場合、上りメッセージに自ノードのIDを記載して親機宛に送信する。
【0317】
子機(子ノード)は、親機宛の上りメッセージを送信もしくは転送する場合に、子機のIDを上りメッセージに付与していく。
親機宛の上りメッセージは、メッセージ転送で使用された経路(すべての経由ノード)、親機に通知する。
【0318】
親機の第2の下り経路構築部320は、子ノードから受信した上りメッセージに付与されている経由ノードを取得し、逆順にソートした内容を経由ノード情報テーブル905(ソースルーチングテーブル)に記録する。
【0319】
親機の第2の下り経路構築部320は、経由ノードのIDを記載した上りメッセージを子ノードから受信した場合、子ノードのIDに対応付けて上りメッセージに記載された経由ノードのIDを、経由ノード情報テーブル905に記録する。
【0320】
親機のマルチホップ通信部340は、子ノードへの下りメッセージ送信をする際に、経由ノード情報テーブル905(ソースルーチングテーブル)から対象のノードを検索し、使用する経路を取得する。
【0321】
親機のマルチホップ通信部340は、子ノードに対して下りメッセージを作成する場合、経由ノード情報テーブル905に記載された経由ノードのIDを参照して、下りメッセージを送る子機までの経路に存在する経由ノードを特定する。
【0322】
親機のマルチホップ通信部340は、経路上にある経由ノードのIDにより無線方式を下り経路テーブル901から取得する。
親機のマルチホップ通信部340は、下り経路テーブル901を参照して、下りメッセージを送る子機までの経路に存在する経由ノードに対応する通信方式を特定する。
親機のマルチホップ通信部340は、経由ノードのIDと経由ノードの通信方式とを含む下りメッセージを作成する。
【0323】
●実施の形態5の効果
この実施の形態5によれば、親機(第2の収集装置20)は、子機への下りメッセージ送信時に下り経路テーブル901に記載の宛先IDと親ノードの組合せを辿ってソースルーチングヘッダと無線方式ビットマップを作成する処理を省略することが可能になる。
【0324】
この実施の形態5によれば、親機(第2の収集装置20)は、経由ノード情報テーブル905により、ソースルーチングヘッダの作成が容易である。
【0325】
●実施の形態5の他の例
本実施の形態では、第1の子機10xと第2の子機20xを用いて説明したが、第3の子機30xも第1の子機10xと同様の動作を行う。
【0326】
また、本実施の形態では、上りメッセージの送信および転送時の情報を付与するためにIPv6のHop-by-Hop拡張ヘッダを用いたが、上りメッセージの送信および転送時に使用した無線方式と経由ノードの組合せを通知できる方法であればよく、例えばオプションヘッダとして追加していく方法でもよい。
【0327】
さらに、本実施の形態では、無線方式を第1のPHY/MACと第2のPHY/MACの2種類の無線方式を0又は1で表現する方法を用いたが、複数ビットを使用して2種類以上の無線方式を指定してもよい。
【0328】
また、経由ノード情報テーブル905に「無線方式ビットマップ」の項目を設け、経由ノード情報テーブル904と同様のフォーマットにしてもよい。
親機のマルチホップ通信部340が下り経路テーブル901を参照してノードの通信方式を特定した場合、マルチホップ通信部340が、特定した通信方式を順に「無線方式ビットマップ」に書き込む。その結果、経由ノード情報テーブル904と同様の「無線方式ビットマップ」が作成できる。
【0329】
以上、複数の構成について説明したが、これらの構成のうち、二つ以上の構成を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの構成のうち、一つの構成または二つ以上の構成の組み合わせを部分的に実施しても構わない。なお、本開示は、実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0330】
10 第1の収集装置、20 第2の収集装置、10x 第1の子機、20x 第2の子機、30x 第3の子機、100 第1の通信装置、101 アンテナ、102 第1のPHY、103 第1のMAC、111 センサ装置、112 アクチュエータ装置、113 計時カレンダー、200 第2の通信装置、201 アンテナ、202 第2のPHY、203 第2のMAC、300 プロセッサ、301 第1のマルチホップ通信部、302 第2のマルチホップ通信部、310 第1の下り経路構築部、311 第1の上り経路構築部、320 第2の下り経路構築部、321 第2の上り経路構築部、330 プロトコル判定部、340 マルチホップ通信部、350 下り経路構築部、360 上り経路構築部、370 プロトコル変換部、501 通信システム、502 通信システム、503 通信システム、504 通信システム、601 無線リンク、602 無線リンク、900 メモリ、901 下り経路テーブル、902 経路テーブル、903 ランクテーブル、904 経由ノード情報テーブル、905 経由ノード情報テーブル、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース。
【要約】
無線メッシュネットワークに接続される子機において、近隣のノードから制御メッセージを受信する第2の通信装置(200)と、前記制御メッセージを第1プロトコルと第2プロトコルのいずれで処理するかを判定するプロトコル判定部(330)と、前記制御メッセージに含まれる経路情報を使用して、前記第1プロトコルに基づく第1ランク値と第2プロトコルに基づく第2ランク値とを計算し、第1ランク値と第2ランク値に基づいて近隣のノードから親ノードを選択し、前記親ノードのIDを経路テーブル(902)に記録する上り経路構築部(360)とを備えた。
図1
図2
図3
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