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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】遠隔操作装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/46 20060101AFI20250106BHJP
   F16D 1/02 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
F16K31/46 Z
F16D1/02 110
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020208025
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022094980
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】金子 尚昭
(72)【発明者】
【氏名】桐山 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】田村 駿
(72)【発明者】
【氏名】山口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】武田 俊
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 卓也
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-196839(JP,A)
【文献】特開昭59-131081(JP,A)
【文献】特開2015-010700(JP,A)
【文献】実開昭60-147822(JP,U)
【文献】米国特許第04893582(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/02
F16K 31/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を区画する構造体の内側に配置された機器を前記構造体の外側から操作するための遠隔操作装置であって、
前記構造体に形成された貫通孔に配置されたスリーブと、
前記スリーブに挿入可能な貫通シャフトと、
前記貫通シャフトの第一端部側に配置された支持部材と、
前記貫通シャフトの第二端部側に配置された軸受と、
前記スリーブの内周に配置され前記軸受と嵌合するカラーと、を備え、
前記貫通シャフトは、前記第一端部に形成されたスプラインシャフト部と、該スプラインシャフト部に嵌合するスプライン軸継手と、を備え、前記支持部材は、前記スプライン軸継手に配置されている、
ことを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記貫通シャフトの外周に配置された環状部材である、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記カラーは、前記第一端部側に形成され前記第二端部側に向かって縮径したテーパ部を備えている、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記スリーブは、相対的に細い第一スリーブと、相対的に太い第二スリーブと、を備え、前記カラーは、前記第一スリーブと前記第二スリーブとの間に配置されている、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
前記貫通シャフトは、前記遠隔操作装置の強度最弱部における許容トルクに合わせて設計された強度を備えている、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
前記スリーブの両端に接続され前記構造体に固定されるプレートを備える、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項7】
前記スリーブの外側の端部を水密に封止する蓋部材を備えている、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作装置に関し、特に、空間を区画する構造体(壁や床等)を貫通するシャフトを備えた遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力発電所では、操業時や事故時に手動操作用のハンドルが設置されている場所に作業員が立ち入れない場合がある。そこで、かかるハンドルを作業員が立ち入り可能な場所から遠隔操作できるようにする必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、原子力発電所の原子炉建屋の内に設置した弁開閉装置を遠隔操作する弁開閉装置が開示されている。特許文献1に記載された弁開閉装置は、原子炉建屋内に設置されている弁本体を開閉するアクチュエータ、二本のフレキシブルシャフト、アクチュエータにトルクを入力するモーター、原子炉建屋壁を貫通する貫通シャフト等を備えている。
【0004】
原子炉建屋の壁には貫通孔が形成され、この貫通孔を貫通して外管が配置され、さらに外管を貫通して貫通シャフトが配置されている。また、貫通シャフトの両端は、それぞれ原子炉建屋の壁にボルト等により固定された内側軸受部のベアリングと外側軸受部のベアリングにより軸受け支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-118995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した貫通シャフトの両端に何某かの構造物(特許文献1では軸受部等)を装着した状態では貫通シャフトを貫通孔に挿入することができないことから、一方の構造物を取り外した状態で貫通シャフトを挿入しなければならない。また、遠隔操作装置は定期的なメンテナンスが必要であり、メンテナンス時に貫通シャフトを外部に取り出し、メンテナンス後に貫通シャフトを元に戻す必要がある。
【0007】
したがって、特許文献1に記載された発明では、貫通シャフトの取出時及び挿入時に貫通シャフトの平行度を保持することが難しく、かつ、貫通シャフトは重量物であることから作業に時間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、貫通シャフトの取出作業及び挿入作業に要する時間を短縮することができる遠隔操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、空間を区画する構造体の内側に配置された機器を前記構造体の外側から操作するための遠隔操作装置であって、前記構造体に形成された貫通孔に配置されたスリーブと、前記スリーブに挿入可能な貫通シャフトと、前記貫通シャフトの第一端部側に配置された支持部材と、前記貫通シャフトの第二端部側に配置された軸受と、前記スリーブの内周に配置され前記軸受と嵌合するカラーと、を備え、前記貫通シャフトは、前記第一端部に形成されたスプラインシャフト部と、該スプラインシャフト部に嵌合するスプライン軸継手と、を備え、前記支持部材は、前記スプライン軸継手に配置されている、ことを特徴とする遠隔操作装置が提供される。
【0010】
前記支持部材は、前記貫通シャフトの外周に配置された環状部材であってもよい。
【0012】
前記カラーは、前記第一端部側に形成され前記第二端部側に向かって縮径したテーパ部を備えていてもよい。
【0013】
前記スリーブは、相対的に細い第一スリーブと、相対的に太い第二スリーブと、を備え、前記カラーは、前記第一スリーブと前記第二スリーブとの間に配置されていてもよい。
【0014】
前記貫通シャフトは、前記遠隔操作装置の強度最弱部における許容トルクに合わせて設計された強度を備えていてもよい。
【0015】
前記遠隔操作装置は、前記スリーブの両端に接続され前記構造体に固定されるプレートを備えていてもよい。
【0016】
前記遠隔操作装置は、前記スリーブの外側の端部を水密に封止する蓋部材を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
上述した本発明に係る遠隔操作装置によれば、貫通シャフトの第一端部を支持部材で支持し、貫通シャフトの第二端部を軸受及びカラーで支持するようにしたことから、貫通シャフトの重量を支持しながら貫通シャフトの平行度を維持することができ、貫通シャフトをスリーブ内で容易に移動させることができる。したがって、本発明によれば、貫通シャフトの取出作業及び挿入作業に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る遠隔操作装置を示す全体構成図である。
図2】遠隔操作装置を外側から設置する手順を示す説明図であり、(a)はスリーブ挿入工程、(b)は蓋部材設置工程、(c)はギアボックス設置工程、(d)はモルタル注入工程、を示している。
図3】遠隔操作装置を内側から設置する手順を示す説明図であり、(a)はスリーブ挿入工程、(b)はギアボックス設置工程、(c)は蓋部材設置工程、(d)はモルタル注入工程、を示している。
図4】貫通シャフトを外側に取り出す手順を示す説明図であり、(a)は蓋部材除去工程、(b)はストッパ撤去工程、(c)は貫通シャフト抜去工程、を示している。
図5】貫通シャフトを内側に取り出す手順を示す説明図であり、(a)はギアボックスのフレキシブルシャフト撤去工程、(b)はギアボックス撤去工程、(c)は貫通シャフト抜去工程、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図1図5を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態に係る遠隔操作装置を示す全体構成図である。なお、図1では、説明の便宜上、構造体の貫通部の構成のみを図示し、遠隔操作の対象機器、遠隔操作するためのハンドル等の図を省略してある。
【0020】
本発明の一実施形態に係る遠隔操作装置1は、例えば、図1に示したように、空間を区画する構造体Wの内側に配置された機器(図示せず)を構造体Wの外側から操作するための装置であって、構造体Wに形成された貫通孔Hに配置されたスリーブ2と、スリーブ2に挿入可能な貫通シャフト3と、貫通シャフト3の第一端部3a側に配置された支持部材4と、貫通シャフト3の第二端部3b側に配置された軸受5と、スリーブ2の内周に配置され軸受5と嵌合するカラー6と、を備えている。
【0021】
構造体Wは、例えば、原子炉建屋の隔壁である。図1において、構造体Wを挟んで左側は屋内側(内側)を示し、右側は屋外側(外側)を示している。本実施形態において、説明の便宜上、「第一端部側」と称したときは屋内側(内側)を意味し、「第二端部側」と称したときは屋外側(外側)を意味しているものとする。
【0022】
なお、構造体Wは、原子炉建屋の隔壁に限定されるものではない。構造体Wは、例えば、コンクリート製であり、ボーリングにより横孔が穿孔され貫通孔Hが形成される。
【0023】
スリーブ2は、内部に貫通シャフト3を挿通可能に構成された金属製の筒体である。スリーブ2は、貫通孔Hに挿入され、構造体Wに固定されるプレート7により両端が支持されている。プレート7は、略中央部に開口部を備えた金属板であり、例えば、構造体Wの壁面に配置されたスタッドボルト等により貫通孔Hを塞ぐように配置される。
【0024】
プレート7の開口部にはスリーブ2が挿入され、スリーブ2の両端はプレート7に溶接等の接続手段により隙間なく接続される。なお、スリーブ2と貫通孔Hとにより形成される空間には、モルタル等の建築材料により埋設される。
【0025】
また、スリーブ2は、相対的に細い第一スリーブ21と、相対的に太い第二スリーブ22と、を備えている。第一スリーブ21は貫通シャフト3の第一端部3a側に配置され、第二スリーブ22は貫通シャフト3の第二端部3b側に配置される。第一スリーブ21と第二スリーブ22との間にはカラー6が配置されている。第一スリーブ21は、カラー6の第一端部側に溶接等の接続手段により接続されている。また、第二スリーブ22は、カラー6の第二端部側に溶接等の接続手段により接続されている。
【0026】
なお、第一スリーブ21及び第二スリーブ22は、同じ太さであってもよい。また、第一スリーブ21及び第二スリーブ22は、カラー6で分断されていない一本の筒体により構成されていてもよい。このとき、カラー6はスリーブ2の内側に配置される。
【0027】
屋内側(内側)に配置されたプレート7には、遠隔操作される機器にトルクを伝達するためのギアボックス8が接続される。ギアボックス8には、貫通シャフト3とトルク伝達可能に接続されるジョイント部81と、遠隔操作される機器にトルク伝達可能に接続されるフレキシブルシャフト82と、が接続されている。なお、図示しないが、ギアボックス8内には傘歯車が内蔵されている。
【0028】
屋外側(外側)に配置されたプレート7には、スリーブ2の外側の端部を水密に封止する蓋部材9が配置される。蓋部材9は、着脱可能に構成されている。蓋部材9は、遠隔操作時やメンテナンス時にはプレート7から取り外され、屋外側(外側)から貫通シャフト3にアクセス可能に構成されている。蓋部材9は、作業員が把持する把手91やスリーブ2の内周面に密着するシール部材92を備えていてもよい。
【0029】
貫通シャフト3は、スリーブ2内に挿入され、フレキシブルシャフト82にトルクを伝達する金属製の軸部材である。貫通シャフト3は、例えば、第一端部3aに形成されたスプラインシャフト部31と、スプラインシャフト部31に嵌合するスプライン軸継手32と、を備えている。
【0030】
ギアボックス8のジョイント部81の先端にはスプラインが形成されており、スプライン軸継手32を介して貫通シャフト3とジョイント部81とがトルク伝達可能に接続される。スプライン軸継手32は、略円筒形状の部品であり、内面はスプラインシャフト部31と接続可能に構成されている。
【0031】
本実施形態において、スプラインシャフト部31及びジョイント部81は、継手構造のオス側を構成し、スプライン軸継手32は継手構造のメス側を構成している。なお、継手構造はスプライン軸継手構造に限定されるものではなく、貫通シャフト3をトルク伝達可能に接続する構造であればよい。
【0032】
スプライン軸継手32の外周には支持部材4が配置されている。支持部材4は、例えば、スプライン軸継手32の径方向に拡径されたフランジ形状の環状部材である。かかる構成により、支持部材4をスリーブ2の内周に接触させたときに、軸方向に円滑に移動させやすくすることができる。
【0033】
なお、支持部材4は、貫通シャフト3の外周に配置された環状部材であればよく、貫通シャフト3の継手構造によって配置場所を変更してもよいし、貫通シャフト3に直に配置するようにしてもよい。
【0034】
また、貫通シャフト3は、例えば、第二端部3bに形成された縮径部33と、貫通シャフト3にトルクを伝達するハンドル(図示せず)を接続する接続部34と、を備えている。縮径部33には、軸受5が挿入される。接続部34は、縮径部33の径より小さく形成されており、第二端部3bから軸受5を挿入できるように構成されている。接続部34は、例えば、ねじ切りされた部分である。
【0035】
軸受5は、例えば、玉軸受等のラジアル軸受である。軸受5は、縮径部33に挿入され段差部に係止され、カラー6に固定されるストッパ51により位置決めされる。ストッパ51は、フランジ部を備えた短筒形状であり、短筒部をカラー6の開口部に挿入した後、フランジ部がカラー6の背面にボルト等の締結具により固定される。
【0036】
カラー6は、略円筒形状の金属部品である。カラー6は、第一端部側に形成され第二端部側に向かって縮径したテーパ部61を備えている。テーパ部61は、屋内側(内側)から軸受5を配置した貫通シャフト3を挿入した際に、軸受5を中心に形成された開口部に案内するように構成されている。
【0037】
また、貫通シャフト3は、遠隔操作装置1の強度最弱部における許容トルクに合わせて設計された強度を備えていてもよい。遠隔操作装置1の強度最弱部は、例えば、ギアボックス8と遠隔操作される機器との間に接続されるフレキシブルシャフトのジョイント部におけるクラッチである。
【0038】
かかる設計により、貫通シャフト3の軽量化及び小径化を図ることができる。また、貫通シャフト3を小径化することにより、スリーブ2及び貫通孔Hの小口径化を図ることができる。
【0039】
次に、上述した遠隔操作装置1を屋外側(外側)から設置する手順について、図2(a)~図2(d)を参照しつつ説明する。ここで、図2は、遠隔操作装置を外側から設置する手順を示す説明図であり、(a)はスリーブ挿入工程、(b)は蓋部材設置工程、(c)はギアボックス設置工程、(d)はモルタル注入工程、を示している。
【0040】
事前準備として、構造体Wに貫通孔Hを形成し、貫通シャフト3をスリーブ2に装着しておく。また、スリーブ2の第一端部側(第一スリーブ21)には、芯出用治具23及び仮設ローラ24を取り付けておく。芯出用治具23は、例えば、スリーブ2に放射状に配置された複数のピン部材である。
【0041】
図2(a)に示したように、貫通シャフト3を装着したスリーブ2を屋外側(外側)から挿入する。このとき、スリーブ2に仮設ローラ24を配置していることから、貫通孔H内でスリーブ2を容易に移動させることができる。また、本実施形態では、貫通シャフト3及びスリーブ2を軽量化していることから、挿入作業の労力を軽減することができる。
【0042】
スリーブ2を所定の位置まで挿入した後、図2(b)に示したように、屋外側(外側)からプレート7及び蓋部材9を設置する。プレート7は、構造体Wの壁面に固定されたスタッドボルト等に固定される。蓋部材9は、スリーブ2の開口部を封止するように配置され、プレート7に固定される。
【0043】
次に、図2(c)に示したように、屋内側(内側)からプレート7及びギアボックス8を設置する。このとき、仮設ローラ24は事前に撤去しておく。プレート7は、構造体Wの壁面に固定されたスタッドボルト等に固定される。また、ギアボックス8のジョイント部81は、貫通シャフト3のスプライン軸継手32に嵌合される。ギアボックス8を設置した後、フレキシブルシャフト82をギアボックス8に接続する。
【0044】
そして、図2(d)に示したように、屋内側(内側)のプレート7に形成された注入口から、スリーブ2と貫通孔Hとの間に形成された空間にモルタルMを注入する。なお、モルタルMの注入時には、蓋部材9を一時的に取り外し、屋外側(外側)のプレート7にU字管を接続し、モルタルMを循環させるようにしてもよい。
【0045】
次に、上述した遠隔操作装置1を屋内側(内側)から設置する手順について、図3(a)~図3(d)を参照しつつ説明する。ここで、図3は、遠隔操作装置を内側から設置する手順を示す説明図であり、(a)はスリーブ挿入工程、(b)はギアボックス設置工程、(c)は蓋部材設置工程、(d)はモルタル注入工程、を示している。
【0046】
事前準備として、構造体Wに貫通孔Hを形成し、貫通シャフト3をスリーブ2に装着しておく。また、スリーブ2の第二端部側(第二スリーブ22)には、芯出用治具23及び仮設ローラ24を取り付けておく。芯出用治具23は、例えば、スリーブ2に放射状に配置された複数のピン部材である。
【0047】
図3(a)に示したように、貫通シャフト3を装着したスリーブ2を屋内側(内側)から挿入する。このとき、スリーブ2に仮設ローラ24を配置していることから、貫通孔H内でスリーブ2を容易に移動させることができる。また、本実施形態では、貫通シャフト3及びスリーブ2を軽量化していることから、挿入作業の労力を軽減することができる。
【0048】
スリーブ2を所定の位置まで挿入した後、図3(b)に示したように、屋内側(内側)からプレート7及びギアボックス8を設置する。プレート7は、構造体Wの壁面に固定されたスタッドボルト等に固定される。また、ギアボックス8のジョイント部81は、貫通シャフト3のスプライン軸継手32に嵌合される。ギアボックス8を設置した後、フレキシブルシャフト82をギアボックス8に接続する。
【0049】
次に、図3(c)に示したように、屋外側(外側)からプレート7及び蓋部材9を設置する。このとき、仮設ローラ24は撤去しておく。プレート7は、構造体Wの壁面に固定されたスタッドボルト等に固定される。蓋部材9は、スリーブ2の開口部を封止するように配置され、プレート7に固定される。
【0050】
そして、図3(d)に示したように、屋内側(内側)のプレート7に形成された注入口から、スリーブ2と貫通孔Hとの間に形成された空間にモルタルMを注入する。なお、モルタルMの注入時には、蓋部材9を一時的に取り外し、屋外側(外側)のプレート7にU字管を接続し、モルタルMを循環させるようにしてもよい。
【0051】
上述した本実施形態では、スリーブ2とプレート7とを別体に構成していることから、貫通シャフト3を装着したスリーブ2を屋外側(外側)及び屋内側(内側)の両方から貫通孔Hにスリーブ2を挿入することができる。
【0052】
次に、貫通シャフト3を屋外側(外側)にスリーブ2から取り外す手順について、図4(a)~図4(c)を参照しつつ説明する。ここで、図4は、貫通シャフトを外側に取り出す手順を示す説明図であり、(a)は蓋部材除去工程、(b)はストッパ撤去工程、(c)は貫通シャフト抜去工程、を示している。
【0053】
メンテナンス時等に貫通シャフト3を屋外側(外側)に取り出す場合には、図4(a)に示したように、蓋部材9をプレート7から取り外す。次に、図4(b)に示したように、ストッパ51をカラー6から取り外す。
【0054】
この状態で、図4(c)に示したように、貫通シャフト3を屋外側(外側)に引っ張ることにより、貫通シャフト3を屋外側(外側)に取り出すことができる。このとき、スプライン軸継手32も一緒に移動することから、支持部材4により貫通シャフト3の平行度を維持しながら貫通シャフト3を容易に移動させることができる。なお、貫通シャフト3を完全に外部に取り出す場合には、スプライン軸継手32はカラー6に係止されスリーブ2内に留まることとなる。
【0055】
メンテナンス終了後、貫通シャフト3を屋外側(外側)からスリーブ2内に挿入する際には、スプラインシャフト部31をスプライン軸継手32に嵌合させた後、そのまま奥まで貫通シャフト3を移動させ、スプライン軸継手32をジョイント部81に嵌合させればよい。
【0056】
次に、貫通シャフト3を屋内側(内側)にスリーブ2から取り外す手順について、図5(a)~図5(c)を参照しつつ説明する。ここで、図5は、貫通シャフトを内側に取り出す手順を示す説明図であり、(a)はギアボックスのフレキシブルシャフト撤去工程、(b)はギアボックス撤去工程、(c)は貫通シャフト抜去工程、を示している。
【0057】
メンテナンス時等に貫通シャフト3を屋内側(内側)に取り出す場合には、図5(a)に示したように、フレキシブルシャフト82をギアボックス8から取り外す。次に、図5(b)に示したように、ギアボックス8を取り外す。
【0058】
この状態で、図5(c)に示したように、貫通シャフト3を屋内側(内側)に引っ張ることにより、貫通シャフト3を屋内側(内側)に取り出すことができる。このとき、軸受5も一緒に移動することから、軸受5により貫通シャフト3の平行度を維持しながら貫通シャフト3を容易に移動させることができる。なお、スプライン軸継手32を先に取り外してから、貫通シャフト3を取り出すようにしてもよい。
【0059】
メンテナンス終了後、貫通シャフト3を屋内側(内側)からスリーブ2内に挿入する際には、貫通シャフト3に軸受5を装着した状態でスリーブ2内に挿入すればよい。このとき、カラー6のテーパ部61に軸受5を接触させることにより、貫通シャフト3の芯出しを容易に行うことができる。
【0060】
上述した本実施形態に係る遠隔操作装置1によれば、貫通シャフト3の第一端部3aを支持部材4で支持し、貫通シャフト3の第二端部3bを軸受5及びカラー6で支持するようにしたことから、貫通シャフト3の重量を支持しながら貫通シャフト3の平行度を維持することができ、貫通シャフト3をスリーブ2内で容易に移動させることができる。したがって、本実施形態によれば、貫通シャフト3の取出作業及び挿入作業に要する時間を短縮することができる。
【0061】
また、上述した実施形態では、貫通シャフト3をスリーブ2に装着してから貫通孔Hに設置する場合について説明しているが、スリーブ2を貫通孔Hに設置してから貫通シャフト3をスリーブ2に装着するようにしてもよい。
【0062】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
1 遠隔操作装置
2 スリーブ
3 貫通シャフト
3a 第一端部
3b 第二端部
4 支持部材
5 軸受
6 カラー
7 プレート
8 ギアボックス
9 蓋部材
21 第一スリーブ
22 第二スリーブ
23 芯出用治具
24 仮設ローラ
31 スプラインシャフト部
32 スプライン軸継手
33 縮径部
34 接続部
51 ストッパ
61 テーパ部
81 ジョイント部
82 フレキシブルシャフト
91 把手
92 シール部材


図1
図2
図3
図4
図5