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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】半導体素子
(51)【国際特許分類】
   H10D 8/60 20250101AFI20250106BHJP
   H10D 64/64 20250101ALI20250106BHJP
   H10D 62/10 20250101ALI20250106BHJP
   H10D 62/80 20250101ALI20250106BHJP
【FI】
H01L29/86 301F
H01L29/86 301D
H01L29/48 F
H01L29/48 D
H01L29/06 301M
H01L29/06 301V
H01L29/86 301E
H01L29/24
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021551653
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2020037781
(87)【国際公開番号】W WO2021066193
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2019182970
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019182971
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019182972
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】511187214
【氏名又は名称】株式会社FLOSFIA
(72)【発明者】
【氏名】今藤 修
(72)【発明者】
【氏名】松原 佑典
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-518447(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0197151(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0074212(US,A1)
【文献】国際公開第2017/002793(WO,A1)
【文献】特開2005-158846(JP,A)
【文献】特開2014-072533(JP,A)
【文献】特開2018-129500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/872
H01L 29/47
H01L 29/06
H01L 29/24
H01L 21/205
H01L 21/329
H01L 21/331
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体膜と、前記半導体膜の第1面側または第1面側の反対側である第2面側に配置された多孔質層とを含み、前記多孔質層の空隙率が10%以下であることを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
半導体膜と、前記半導体膜の第1面側または第1面側の反対側である第2面側に配置された多孔質層とを含み、前記多孔質層が貴金属を含む、半導体素子。
【請求項3】
前記半導体膜は酸化物半導体膜であることを特徴とする請求項1または2記載の半導体素子。
【請求項4】
前記半導体膜がコランダム構造を有する請求項1~3のいずれかに記載の半導体素子。
【請求項5】
前記半導体膜の主面がm面である、請求項1~4のいずれかに記載の半導体素子。
【請求項6】
前記半導体膜が酸化ガリウムおよび/または酸化イリジウムを含む、請求項1~5のいずれかに記載の半導体素子。
【請求項7】
前記半導体膜がドーパントを含む、請求項1~6のいずれかに記載の半導体素子。
【請求項8】
前記多孔質層が銀の多孔質層である、請求項1~7のいずれかに記載の半導体素子。
【請求項9】
前記多孔質層に接着されている基板をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の半導体素子。
【請求項10】
前記基板が、表面の少なくとも一部にニッケルを含む、請求項9記載の半導体素子。
【請求項11】
前記基板が、表面の少なくとも一部に金を含む、請求項9記載の半導体素子。
【請求項12】
前記酸化物半導体膜の少なくとも側面を覆う誘電体膜とをさらに含む、請求項3記載の半導体素子。
【請求項13】
前記誘電体膜が前記酸化物半導体膜の側面全体を覆っている、請求項12記載の半導体素子。
【請求項14】
前記誘電体膜が、前記酸化物半導体膜の第1面の少なくとも一部を覆っている、請求項12または13記載の半導体素子。
【請求項15】
前記酸化物半導体膜の側面がテーパを有する、請求項12~14のいずれかに記載の半導体素子。
【請求項16】
前記酸化物半導体膜の側面のテーパが、前記酸化物半導体膜の第1面から第2面に向かって広がるように傾斜している、請求項15記載の半導体素子。
【請求項17】
半導体膜と、前記半導体膜の第1面側に配置された第1電極と、前記第1面側の反対側にある第2面側に配置された第2電極とを少なくとも有する半導体素子において、さらに、第2電極に接触して配置された多孔質層とを含み、前記多孔質層の空隙率が10%以下であることを特徴とする半導体素子。
【請求項18】
前記第2電極が、第1の金属層と、第2の金属層と、第3の金属層とを少なくとも含むことを特徴とする、請求項17記載の半導体素子。
【請求項19】
前記第2の金属層は、前記第1の金属層と前記第3の金属層との間に配置されており、前記第2の金属層がPt層またはPd層であることを特徴とする、請求項18に記載の半導体素子。
【請求項20】
前記第1の金属層がTi層またはIn層である、請求項18または19に記載の半導体素子。
【請求項21】
前記第3の金属層がAu層、Ag層およびCu層から選択される少なくとも1つの金属層である、請求項18~20のいずれかに記載の半導体素子。
【請求項22】
前記第2電極がオーミック電極である、請求項17~21のいずれかに記載の半導体素子。
【請求項23】
縦型デバイスである、請求項1~22のいずれかに記載の半導体素子。
【請求項24】
パワーデバイスである請求項1~23のいずれかに記載の半導体素子。
【請求項25】
少なくとも半導体素子がリードフレーム、回路基板または放熱基板と接合部材によって接合されて構成される半導体装置であって、前記半導体素子が、請求項1~24のいずれかに記載の半導体素子である半導体装置。
【請求項26】
パワーモジュール、インバータまたはコンバータである請求項25記載の半導体装置。
【請求項27】
パワーカードである請求項25または26に記載の半導体装置。
【請求項28】
半導体素子または半導体装置を備える半導体システムであって、前記半導体素子が、請求項1~24のいずれかに記載の半導体素子であり、前記半導体装置が、請求項25~27のいずれかに記載の半導体装置であることを特徴とする半導体システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーデバイス等として有用な半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化ガリウム(Ga)は、室温において4.8-5.3eVという広いバンドギャップを持ち、可視光及び紫外光をほとんど吸収しない透明半導体である。そのため、特に、深紫外光線領域で動作する光・電子デバイスや透明エレクトロニクスにおいて使用するための有望な材料であり、近年においては、酸化ガリウム(Ga)を基にした、光検知器、発光ダイオード(LED)及びトランジスタの開発が行われている(非特許文献1参照)。
【0003】
また、酸化ガリウム(Ga)には、α、β、γ、σ、εの5つの結晶構造が存在し、一般的に最も安定な構造は、β-Gaである。しかしながら、β-Gaはβガリア構造であるので、一般に電子材料等で利用する結晶系とは異なり、半導体装置への利用は必ずしも好適ではない。また、β-Ga薄膜の成長は高い基板温度や高い真空度を必要とするので、製造コストも増大するといった問題もある。また、非特許文献2にも記載されているように、β-Gaでは、高濃度(例えば1×1019/cm以上)のドーパント(Si)でさえも、イオン注入後、800℃~1100℃の高温にてアニール処理を施さなければドナーとして使えなかった。
一方、α-Gaは、既に汎用されているサファイア基板と同じ結晶構造を有するため、光・電子デバイスへの利用には好適であり、さらに、β-Gaよりも広いバンドギャップをもつため、パワーデバイスに特に有用であり、そのため、α-Gaを半導体として用いた半導体装置が待ち望まれている状況である。
【0004】
特許文献1および2には、β-Gaを半導体として用い、これに適合したオーミック特性が得られる電極として、Ti層およびAu層からなる2層、Ti層、Al層およびAu層からなる3層、またはTi層、Al層、Ni層およびAu層からなる4層を用いた半導体装置が記載されている。
また、特許文献3には、β-Gaを半導体として用い、これに適合したショットキー特性が得られる電極として、Au、Pt、あるいはNiおよびAuの積層体のいずれかを用いた半導体装置が記載されている。
しかしながら、特許文献1~3の記載の電極を、α-Gaを半導体として用いた半導体装置に適用した場合、ショットキー電極やオーミック電極として機能しなかったり、電極が膜に接合しなかったり、半導体特性が損なわれたりするなどの問題があった。さらに、特許文献1~3に記載の電極構成は、電極端部からリーク電流が発生してしまうなど、半導体装置として実用上満足できるようなものを得ることができていなかった。
【0005】
また、貼り合わせ等の際に導電性接着シートを用いることが考えられるが、平坦性が悪くなったり、応力等が集中しやすく歪が生じたりする問題があり、半導体素子そのものには適用することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-260101号公報
【文献】特開2009-81468号公報
【文献】特開2013-12760号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】Jun Liang Zhao et al, “UV and Visible Electroluminescence From a Sn:Ga2O3/n+-Si Heterojunction by Metal-Organic Chemical Vapor Deposition”,IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES, VOL. 58, NO.5 MAY 2011
【文献】Kohei Sasaki et al, “Si-Ion Implantation Doping in β-Ga2O3 an d Its Application to Fabrication of Low-Resistance Ohmic Contacts”, Applied Physics Express 6 (2013) 086502
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、平坦性に優れ、かつ応力が緩和されて歪がかかりにくい良好な半導体特性を実現可能とする多孔質層を備えた半導体素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、空隙率を10%以下とした多孔質層を半導体素子に用いることにより、平坦性に優れ、かつ歪がかかりにくい良好な半導体特性を実現可能とする多孔質層を備えた半導体素子が得られることを知見した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下に関する。
[1] 半導体膜と、前記半導体膜の第1面側または第1面側の反対側である第2面側に配置された多孔質層とを含み、前記多孔質層の空隙率が10%以下であることを特徴とする半導体素子。
[2] 半導体膜と、前記半導体膜の第1面側または第1面側の反対側である第2面側に配置された多孔質層とを含み、前記多孔質層が貴金属を含む、半導体素子。
[3] 前記半導体膜は酸化物半導体膜であることを特徴とする前記[1]または[2]記載の半導体素子。
[4] 前記半導体膜がコランダム構造を有する前記[1]~[3]のいずれかに記載の半導体素子。
[5] 前記半導体膜の主面がm面である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の半導体素子。
[6] 前記半導体膜が酸化ガリウムおよび/または酸化イリジウムを含む、前記[1]~[5]のいずれかに記載の半導体素子。
[7] 前記半導体膜がドーパントを含む、前記[1]~[6]のいずれかに記載の半導体素子。
[8] 前記多孔質層が銀の多孔質層である、前記[1]~[7]のいずれかに記載の半導体素子。
[9] 前記多孔質層に接着されている基板をさらに含む、前記[1]~[8]のいずれかに記載の半導体素子。
[10] 前記基板が、表面の少なくとも一部にニッケルを含む、前記[9]記載の半導体素子。
[11] 前記基板が、表面の少なくとも一部に金を含む、前記[9]記載の半導体素子。
[12] 前記酸化物半導体膜の少なくとも側面を覆う誘電体膜とをさらに含む、前記[3]記載の半導体素子。
[13] 前記誘電体膜が前記酸化物半導体膜の側面全体を覆っている、前記[12]記載の半導体素子。
[14] 前記誘電体膜が、前記酸化物半導体膜の第1面の少なくとも一部を覆っている、前記[12]または[13]記載の半導体素子。
[15] 前記酸化物半導体膜の側面がテーパを有する、前記[12]~[14]のいずれかに記載の半導体素子。
[16] 前記酸化物半導体膜の側面のテーパが、前記酸化物半導体膜の第1面から第2面に向かって広がるように傾斜している、前記[15]記載の半導体素子。
[17] 半導体膜と、前記半導体膜の第1面側に配置された第1電極と、前記第1面側の反対側にある第2面側に配置された第2電極とを少なくとも有する半導体素子において、さらに、第2電極に接触して配置された多孔質層とを含み、前記多孔質層の空隙率が10%以下であることを特徴とする半導体素子。
[18] 前記第2電極が、第1の金属層と、第2の金属層と、第3の金属層とを少なくとも含むことを特徴とする、前記[17]記載の半導体素子。
[19] 前記第2の金属層は、前記第1の金属層と前記第3の金属層との間に配置されており、前記第2の金属層がPt層またはPd層であることを特徴とする、前記[18]に記載の半導体素子。
[20] 前記第1の金属層がTi層またはIn層である、前記[18]または[19]に記載の半導体素子。
[21] 前記第3の金属層がAu層、Ag層およびCu層から選択される少なくとも1つの金属層である、前記[18]~[20]のいずれかに記載の半導体素子。
[22] 前記第2電極がオーミック電極である、前記[17]~[21]のいずれかに記載の半導体素子。
[23] 縦型デバイスである、前記[1]~[22]のいずれかに記載の半導体素子。
[24] パワーデバイスである前記[1]~[23]のいずれかに記載の半導体素子。
[25] 少なくとも半導体素子がリードフレーム、回路基板または放熱基板と接合部材によって接合されて構成される半導体装置であって、前記半導体素子が、前記[1]~[24]のいずれかに記載の半導体素子である半導体装置。
[26] パワーモジュール、インバータまたはコンバータである前記[25]記載の半導体装置。
[27] パワーカードである前記[25]または[26]に記載の半導体装置。
[28] 半導体素子または半導体装置を備える半導体システムであって、前記半導体素子が、前記[1]~[24]のいずれかに記載の半導体素子であり、前記半導体装置が、前記[25]~[27]のいずれかに記載の半導体装置であることを特徴とする半導体システム。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体素子は、平坦性に優れ、かつ応力が緩和されて歪がかかりにくい良好な半導体特性を実現可能とする多孔質層を有しており、構造安定性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の半導体素子の好適な一態様を模式的に示す断面図である。
図2図1の半導体素子の好適な製造方法の一態様を説明する図である。
図3図1の半導体素子の好適な製造方法の一態様を説明する図である。
図4図1の半導体素子の好適な製造方法の一態様を説明する図である。
図5図1の半導体素子の好適な製造方法の一態様を説明する図である。
図6】本発明の半導体素子の好適な一態様を模式的に示す断面図である。
図7】本発明の半導体素子の好適な一態様を模式的に示す断面図である。
図8】試験例の結果として断面SEM像を示す図であり、(a)は通常のアニールによって銀からなる多孔質層を形成した場合を示し、(b)はさらに熱圧着を行って空隙率を10%以下とした多孔質層を示す。
図9】電源システムの好適な一例を模式的に示す図である。
図10】システム装置の好適な一例を模式的に示す図である。
図11】電源装置の電源回路図の好適な一例を模式的に示す図である。
図12】半導体装置の好適な一例を模式的に示す図である。
図13】パワーカードの好適な一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の半導体素子は、半導体膜(以下、単に「半導体層」ともいう)と、前記半導体膜の第1面側または第1面側の反対側である第2面側に配置された多孔質層とを含み、前記多孔質層の空隙率が10%以下であることを特長とする。ここで、「空隙率」とは、空隙によって生じる空間の体積が、多孔質層の体積(空隙を含む体積)に占める割合をいう。多孔質層の空隙率は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて撮影された断面写真に基づき、求めることができる。具体的には、多孔質層の断面写真(SEM像)を複数の位置で撮影する。次に、市販の画像解析ソフトを用いて、撮影したSEM像の2値化を行ない、SEM像における孔(空隙)に相当する部分(例えば黒色部)の割合を求める。複数の位置で撮影したSEM像から求めた黒色部の割合を平均化し、多孔質層の空隙率とする。なお、前記「多孔質層」は、連続した膜状の構造体である多孔質膜状だけでなく、多孔質の凝集体状を含む。
【0014】
前記多孔質層は、特に限定されないが、金属を含むのが好ましく、例えば金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)等の貴金属を含むのがより好ましく、銀(Ag)を含むのが最も好ましい。なお、前記多孔質層は、多孔質基板に前記貴金属等の金属膜が被覆されていてもよいが、本発明においては、前記金属の多孔質層であるのが好ましく、前記貴金属の多孔質層であるのがより好ましく、銀(Ag)の多孔質層であるのが最も好ましい。また、前記多孔質層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。また、前記多孔質層の厚さは、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されないが、約10nm~約1mmであるのが好ましく、10nm~200μmであるのが好ましく、30nm~50μmであるのがより好ましい。
【0015】
前記多孔質層は、金属(好ましくは貴金属)を焼結することにより好適に得ることができる。なお、前記多孔質層の空隙率を10%にする手段は、特に限定されず、公知の手段であってよく、焼結時間、圧力、焼結温度等の焼結条件を適宜設定することにより、容易に前記多孔質層の空隙率を10%にすることができ、例えば、加熱下での圧着(熱圧着)等によって空隙率を10%以下に調節する手段などが挙げられ、より具体的に例えば、焼結の際に、一定の加圧下で通常よりも長い焼結時間で焼結したりすることなどが挙げられる。図8(a)は試験例としてAgからなる多孔質層を通常のアニールによって接合した場合の空隙率を示す。図8(a)に示すとおり、多孔質層の空隙率は、通常10%を超えるが、図8(b)に示す通り、さらに1時間例えば300℃~500℃の加熱下で例えば0.2MPa~10MPaの加圧下で圧着すると、空隙率が10%以下となり、このような空隙率10%以下の多孔質層を半導体素子に用いることによって、半導体特性を損なうことなく、反りや熱応力の集中等を緩和することができる。
【0016】
また、本発明の半導体素子は、半導体膜と、前記半導体膜の第1面側または第1面側の反対側である第2面側に配置された多孔質層とを含み、前記多孔質層が貴金属を含むことを特長とする。この場合においても、前記多孔質層の空隙率が10%以下であるのがより好ましい。
【0017】
本発明においては、前記半導体素子が、半導体膜と、前記半導体膜の第1面側に配置された第1電極と、前記第1面側の反対側にある第2面側に配置された第2電極とを少なくとも有する半導体素子において、さらに、第2電極に接触して配置された多孔質層とを含み、前記多孔質層の空隙率が10%以下であるのが好ましく、またさらに、半導体膜と、前記半導体膜の第1面側に配置された第1電極と、前記第1面側の反対側にある第2面側に配置された第2電極とを少なくとも有する半導体素子において、さらに、第2電極に接触して配置された多孔質層と、該多孔質層上に配置された基板とを含み、前記第2電極が第1の金属層と、第2の金属層と、第3の金属層とを少なくとも含み、前記多孔質層の空隙率が10%以下であるのがより好ましい。
【0018】
前記基板は、特に限定されないが、導電性基板であるのが好ましい。前記導電性基板は、導電性を有しており、半導体層を支持可能なものであれば、特に限定されない。前記導電性基板の材料も、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されない。前記導電性基板の材料としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金、ロジウム、インジウム、モリブデン、タングステン)もしくは導電性金属酸化物(例えば、ITO(InSnO化合物)やFTO(フッ素などがドープされた酸化スズ)、酸化亜鉛等)、ケイ素(Si)。導電性カーボン等が挙げられる。本発明においては、前記導電性基板が、遷移金属を含むのが好ましく、周期律表第6族および第11族から選ばれる少なくとも1種の金属を含むのがより好ましく、周期律表第6族の金属を含むのが好ましい。周期律表第6族の金属としては、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)およびタングステン(W)から選ばれる少なくとも1種以上の金属等が挙げられる。本発明においては、周期律表第6族の金属が、モリブデンを含むのが好ましい。周期律表第11族の金属としては、例えば、銅(Cu)、銀(Au)および金(Au)から選ばれる少なくとも1種の金属等が挙げられる。また、本発明においては、前記導電性基板が、2種以上の金属を含んでいるのも好ましく、このような2種以上の金属の組み合わせとしては、例えば、銅(Cu)-銀(Ag)、銅(Cu)-スズ(Sn)、銅(Cu)-鉄(Fe)、銅(Cu)-タングステン(W)、銅(Cu)-モリブデン(Mo)、銅(Cu)-チタン(Ti)、モリブデン(Mo)-ランタン(La)、モリブデン(Mo)-イットリウム(Y)、モリブデン(Mo)-レニウム(Re)、モリブデン(Mo)-タングステン(W)、モリブデン(Mo)-ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)-タンタル(Ta)等が挙げられる。本発明においては、前記導電性基板が、モリブデンを主成分として含むのが好ましく、モリブデンおよび銅を含むのがより好ましい。ここで、「主成分」とは、例えば、前記導電性基板がMoを主成分して含む場合、Moが、原子比で、前記導電性基板の全成分に対し、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上含まれることを意味し、100%であってもよい。このような好ましい導電性基板の材料、好ましい前記導電性接着層、および上記した好ましい半導体層を組み合わせて用いることにより、上記した好ましい半導体層が有する半導体特性を半導体素子においてより良好に発現することができる。なお、本発明においては、前記基板が、基板の表面の少なくとも一部にニッケルを含むのが好ましく、また、基板の表面の少なくとも一部に金を含むのも好ましい。
なお、前記基板は、多孔質層に、接着層(例えば導電性接着剤や金属からなる接着層等)などの1層以上の他の層を介して接着されていてもよい。
【0019】
前記半導体膜は、半導体を含む膜であれば特に限定されず、酸化物半導体膜であってもよく、結晶性酸化物半導体を含んでいるのが好ましく、結晶性酸化物半導体を主成分として含むのがより好ましい。また、本発明においては、前記結晶性酸化物半導体が、周期律表第9族(例えば、コバルト、ロジウムまたはイリジウム等)および第13族(例えば、アルミニウム、ガリウムまたはインジウム等)から選ばれる1種または2種以上の金属を含有するのが好ましく、アルミニウム、インジウム、ガリウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含有するのがより好ましく、少なくともガリウムまたはイリジウムを含むのが最も好ましい。前記結晶性酸化物半導体の結晶構造も、特に限定されない。前記結晶性酸化物半導体の結晶構造としては、例えば、コランダム構造、βガリア構造または六方晶構造(例えば、ε型構造)等が挙げられる。本発明においては、前記結晶性酸化物半導体が、コランダム構造を有するのが好ましく、コランダム構造を有しており、さらに主面がm面であるのがより好ましい。また、前記結晶性酸化物半導体はオフ角を有していてもよい。本発明においては、前記半導体膜が酸化ガリウムおよび/または酸化イリジウムを含むのが好ましく、α-Gaおよび/またはα-Irを含むのがより好ましい。なお、「主成分」とは、前記結晶性酸化物半導体が、原子比で、前記半導体層の全成分に対し、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらにより好ましくは90%以上含まれることを意味し、100%であってもよいことを意味する。また、前記半導体層の厚さは、特に限定されず、1μm以下であってもよいし、1μm以上であってもよいが、本発明においては、1μm以上であるのが好ましく、10μm以上であるのがより好ましい。前記半導体膜の表面積は特に限定されないが、1mm以上であってもよいし、1mm以下であってもよいが、10mm~300cmであるのが好ましく、100mm~100cmであるのがより好ましい。また、前記半導体層は、通常、単結晶であるが、多結晶であってもよい。また、前記半導体層は、少なくとも第1の半導体層と第2の半導体層とを含む多層膜であって、第1の半導体層上にショットキー電極が設けられる場合には、第1の半導体層のキャリア密度が、第2の半導体層のキャリア密度よりも小さい多層膜であるのも好ましい。なお、この場合、第2の半導体層には、通常、ドーパントが含まれており、前記半導体層のキャリア密度は、ドーピング量を調節することにより、適宜設定することができる。
【0020】
前記半導体層は、ドーパントが含まれているのが好ましい。前記ドーパントは、特に限定されず、公知のものであってよい。前記ドーパントとしては、例えば、スズ、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはニオブ等のn型ドーパント、またはマグネシウム、カルシウム、亜鉛等のp型ドーパントなどが挙げられる。本発明においては、前記n型ドーパントが、Sn、GeまたはSiであるのが好ましい。ドーパントの含有量は、前記半導体層の組成中、0.00001原子%以上であるのが好ましく、0.00001原子%~20原子%であるのがより好ましく、0.00001原子%~10原子%であるのが最も好ましい。より具体的には、ドーパントの濃度は、通常、約1×1016/cm~1×1022/cmであってもよいし、また、ドーパントの濃度を例えば約1×1017/cm以下の低濃度にしてもよい。また、さらに、本発明の一態様によれば、ドーパントを約1×1020/cm以上の高濃度で含有させてもよい。また、前記半導体層の固定電荷の濃度も、特に限定されないが、本発明においては、1×1017/cm以下であるのが、前記半導体層により良好に空乏層を形成することができるので、好ましい。
【0021】
前記半導体層は、公知の手段を用いて形成されてよい。前記半導体層の形成手段としては、例えば、CVD法、MOCVD法、MOVPE法、ミストCVD法、ミスト・エピタキシー法、MBE法、HVPE法、パルス成長法またはALD法などが挙げられる。本発明においては、前記半導体層の形成手段が、ミストCVD法またはミスト・エピタキシー法であるのが好ましい。前記のミストCVD法またはミスト・エピタキシー法では、例えば、原料溶液を霧化し(霧化工程)、液滴を浮遊させ、霧化後、得られた霧化液滴をキャリアガスでもって基体上まで搬送し(搬送工程)、ついで、前記基体近傍で前記霧化液滴を熱反応させることによって、基体上に結晶性酸化物半導体を主成分として含む半導体膜を積層する(成膜工程)ことにより前記半導体層を形成する。
【0022】
(霧化工程)
霧化工程では、前記原料溶液を霧化する。前記原料溶液の霧化手段は、前記原料溶液を霧化できさえすれば特に限定されず、公知の手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段が好ましい。超音波を用いて得られた霧化液滴は、初速度がゼロであり、空中に浮遊するので好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮遊してガスとして搬送することが可能な霧化液滴(ミストを含む)であるので衝突エネルギーによる損傷がないため、非常に好適である。液滴サイズは、特に限定されず、数mm程度の液滴であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは100nm~10μmである。
【0023】
(原料溶液)
前記原料溶液は、霧化または液滴化が可能であり、半導体膜を形成可能な原料を含んでいれば特に限定されず、無機材料であっても、有機材料であってもよい。本発明においては、前記原料が、金属または金属化合物であるのが好ましく、アルミニウム、ガリウム、インジウム、鉄、クロム、バナジウム、チタン、ロジウム、ニッケル、コバルトおよびイリジウムから選ばれる1種または2種以上の金属を含むのがより好ましい。
【0024】
本発明においては、前記原料溶液として、前記金属を錯体または塩の形態で有機溶媒または水に溶解または分散させたものを好適に用いることができる。錯体の形態としては、例えば、アセチルアセトナート錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体、ヒドリド錯体などが挙げられる。塩の形態としては、例えば、有機金属塩(例えば金属酢酸塩、金属シュウ酸塩、金属クエン酸塩等)、硫化金属塩、硝化金属塩、リン酸化金属塩、ハロゲン化金属塩(例えば塩化金属塩、臭化金属塩、ヨウ化金属塩等)などが挙げられる。
【0025】
また、前記原料溶液には、ハロゲン化水素酸や酸化剤等の添加剤を混合するのが好ましい。前記ハロゲン化水素酸としては、例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸などが挙げられるが、中でも、異常粒の発生をより効率的に抑制できるとの理由から、臭化水素酸またはヨウ化水素酸が好ましい。前記酸化剤としては、例えば、過酸化水素(H)、過酸化ナトリウム(Na)、過酸化バリウム(BaO)、過酸化ベンゾイル(CCO)等の過酸化物、次亜塩素酸(HClO)、過塩素酸、硝酸、オゾン水、過酢酸やニトロベンゼン等の有機過酸化物などが挙げられる。
【0026】
前記原料溶液には、ドーパントが含まれていてもよい。原料溶液にドーパントを含ませることで、ドーピングを良好に行うことができる。前記ドーパントは、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されない。前記ドーパントとしては、例えば、スズ、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはニオブ等のn型ドーパント、またはMg、H、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Ca、Sr、Ba、Ra、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Ti、Pb、N、もしくはP等のp型ドーパントなどが挙げられる。前記ドーパントの含有量は、所望のキャリア密度に対するドーパントの原料中の濃度の関係を示す検量線を用いることにより適宜設定される。
【0027】
原料溶液の溶媒は、特に限定されず、水等の無機溶媒であってもよいし、アルコール等の有機溶媒であってもよいし、無機溶媒と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。本発明においては、前記溶媒が水を含むのが好ましく、水または水とアルコールとの混合溶媒であるのがより好ましい。
【0028】
(搬送工程)
搬送工程では、キャリアガスでもって前記霧化液滴を成膜室内に搬送する。前記キャリアガスとしては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、または水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが好適な例として挙げられる。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、流量を下げた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。キャリアガスの流量は、特に限定されないが、0.01~20L/分であるのが好ましく、1~10L/分であるのがより好ましい。希釈ガスの場合には、希釈ガスの流量が、0.001~2L/分であるのが好ましく、0.1~1L/分であるのがより好ましい。
【0029】
(成膜工程)
成膜工程では、前記基体近傍で前記霧化液滴を熱反応させることによって、基体上に、前記半導体膜を成膜する。熱反応は、熱でもって前記霧化液滴が反応すればそれでよく、反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本工程においては、前記熱反応を、通常、溶媒の蒸発温度以上の温度で行うが、高すぎない温度(例えば1000℃)以下が好ましく、650℃以下がより好ましく、300℃~650℃が最も好ましい。また、熱反応は、本発明の目的を阻害しない限り、真空下、非酸素雰囲気下(例えば、不活性ガス雰囲気下等)、還元ガス雰囲気下および酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよいが、不活性ガス雰囲気下または酸素雰囲気下で行われるのが好ましい。また、大気圧下、加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、本発明においては、大気圧下で行われるのが好ましい。なお、前記半導体膜の膜厚は、成膜時間を調整することにより、設定することができる。
【0030】
(基体)
前記基体は、前記半導体膜を支持できるものであれば特に限定されない。前記基体の材料も、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の基体であってよく、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。前記基体の形状としては、どのような形状のものであってもよく、あらゆる形状に対して有効であり、例えば、平板や円板等の板状、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状などが挙げられるが、本発明においては、基板が好ましい。基板の厚さは、本発明においては特に限定されない。
【0031】
前記基板は、板状であって、前記半導体膜の支持体となるものであれば特に限定されない。絶縁体基板であってもよいし、半導体基板であってもよいし、金属基板や導電性基板であってもよいが、前記基板が、絶縁体基板であるのが好ましく、また、表面に金属膜を有する基板であるのも好ましい。前記基板としては、例えば、コランダム構造を有する基板材料を主成分として含む下地基板、またはβ-ガリア構造を有する基板材料を主成分として含む下地基板、六方晶構造を有する基板材料を主成分として含む下地基板などが挙げられる。ここで、「主成分」とは、前記特定の結晶構造を有する基板材料が、原子比で、基板材料の全成分に対し、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上含まれることを意味し、100%であってもよい。
【0032】
基板材料は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知のものであってよい。前記のコランダム構造を有する基板材料としては、例えば、α-Al(サファイア基板)またはα-Gaが好適に挙げられ、a面サファイア基板、m面サファイア基板、r面サファイア基板、c面サファイア基板や、α型酸化ガリウム基板(a面、m面またはr面)などがより好適な例として挙げられる。β-ガリア構造を有する基板材料を主成分とする下地基板としては、例えばβ-Ga基板、又はGaとAlとを含みAlが0wt%より多くかつ60wt%以下である混晶体基板などが挙げられる。また、六方晶構造を有する基板材料を主成分とする下地基板としては、例えば、SiC基板、ZnO基板、GaN基板などが挙げられる。
【0033】
本発明においては、前記成膜工程の後、アニール処理を行ってもよい。アニールの処理温度は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、通常、300℃~650℃であり、好ましくは350℃~550℃である。また、アニールの処理時間は、通常、1分間~48時間であり、好ましくは10分間~24時間であり、より好ましくは30分間~12時間である。なお、アニール処理は、本発明の目的を阻害しない限り、どのような雰囲気下で行われてもよい。非酸素雰囲気下であってもよいし、酸素雰囲気下であってもよい。非酸素雰囲気下としては、例えば、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下)または還元ガス雰囲気下等が挙げられるが、本発明においては、不活性ガス雰囲気下が好ましく、窒素雰囲気下であるのがより好ましい。
【0034】
また、本発明においては、前記基体上に、直接、前記半導体膜を設けてもよいし、応力緩和層(例えば、バッファ層、ELO層等)、剥離犠牲層等の他の層を介して前記半導体膜を設けてもよい。各層の形成手段は、特に限定されず、公知の手段であってよいが、本発明においては、ミストCVD法が好ましい。
【0035】
本発明においては、前記半導体膜を、前記基体等から剥離する等の公知の手段を用いた後に、前記半導体層として半導体素子に用いてもよいし、そのまま前記半導体層として半導体素子に用いてもよい。
【0036】
本発明においては、前記第2電極がオーミック電極であるのが好ましい。
前記オーミック電極は、第1の金属層と、第2の金属層と、第3の金属層とを少なくとも含み、第2の金属層は、第1の金属層と第3の金属層との間に配置されており、第2の金属層がPt層またはPd層であるのが好ましい。なお、該第1の金属層と該第2の金属層と該第3の金属層とは、通常、互いに異なる1種または2種以上の金属からそれぞれ構成されている。本発明においては、前記オーミック電極の第1の金属層がTi層またはIn層であるのが好ましい。また、前記オーミック電極の第3の金属層がAu層、Ag層およびCu層から選択される少なくとも1つの金属層であるのも好ましい。前記オーミック電極のそれぞれの金属層の厚さは、特に限定されないが、0.1nm~10μmが好ましく、5nm~500nmがより好ましく、10nm~200nmが最も好ましい。
【0037】
本発明においては、前記第1電極がショットキー電極であるのが好ましい。
前記ショットキー電極(以下、単に「電極層」ともいう)は、導電性を有しており、ショットキー電極として用いることができるものであれば、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。前記電極層の構成材料は、導電性無機材料であってもよいし、導電性有機材料であってもよい。本発明においては、前記電極の材料が、金属であるのが好ましい。前記金属としては、好適には、例えば、周期律表第4族~第11族から選ばれる少なくとも1種の金属等が挙げられる。周期律表第4族の金属としては、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)などが挙げられる。周期律表第5族の金属としては、例えば、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)などが挙げられる。周期律表第6族の金属としては、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)およびタングステン(W)などが挙げられる。周期律表第7族の金属としては、例えば、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)などが挙げられる。周期律表第8族の金属としては、例えば、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)などが挙げられる。周期律表第9族の金属としては、例えば、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)などが挙げられる。周期律表第10族の金属としては、例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)などが挙げられる。周期律表第11族の金属としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などが挙げられる。本発明においては、前記ショットキー電極がモリブデンおよび/またはコバルトを含むのが好ましい。前記電極層の層厚は、特に限定されないが、0.1nm~10μmが好ましく、5nm~500nmがより好ましく、10nm~200nmが最も好ましい。また、本発明においては、前記電極層が、互いに組成の異なる2層以上からなるものであるのが好ましい。前記電極層をこのような好ましい構成とすることにより、よりショットキー特性に優れた半導体素子を得ることができるだけでなく、リーク電流の抑制効果をより良好に発現することができる。
【0038】
本発明においては、前記ショットキー電極が第1の金属層と、第2の金属層と、第3の金属層とを少なくとも含むのが好ましい。前記ショットキー電極の第1の金属層が、遷移金属層であるのが好ましく、Moおよび/またはCo層であるのがより好ましく、Co層またはMo層であるのが最も好ましい。また、前記ショットキー電極の第2の金属層が、Ti層であるのが好ましく、前記ショットキー電極の第3の金属層がAl層であるのも好ましい。
【0039】
前記電極層の形成手段は特に限定されず、公知の手段であってよい。前記電極層の形成手段としては、具体的には例えば、ドライ法やウェット法などが挙げられる。ドライ法としては、例えば、スパッタ、真空蒸着、CVD等が挙げられる。ウェット法としては、例えば、スクリーン印刷やダイコート等が挙げられる。
【0040】
また、本発明の一態様においては、前記ショットキー電極が、前記半導体素子の外側に向かって膜厚が減少する構造を有するのが好ましい。この場合、前記ショットキー電極が、側面にテーパ領域を有していてもよいし、前記ショットキー電極が第1の電極層および第2の電極層を含む2層以上からなり、且つ、第1の電極層の外端部が、第2の電極層の外端部よりも外側に位置していてもよい。本発明の一態様において、前記ショットキー電極がテーパ領域を有している場合、かかるテーパ領域のテーパ角は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されないが、好ましくは、80°以下であり、より好ましくは、60°以下であり、最も好ましくは、40°以下である。前記テーパ角の下限も特に限定されないが、好ましくは、0.2°であり、より好ましくは、1°である。また、本発明の一態様においては、前記ショットキー電極の第1の電極層の外端部が、第2の電極層の外端部よりも外側に位置している場合、第1の電極層の外端部と第2の電極層の外端部との距離が1μm以上であるのが、よりリーク電流を抑制することができるので、好ましい。また、本発明の一態様においては、前記ショットキー電極の第1の電極層のうち、第2の電極層の外端部よりも外側に張り出している部分(以下、「張り出し部分」ともいう)の少なくとも一部が、前記半導体素子の外側に向かって膜厚が減少する構造を有しているのも、前記半導体素子の耐圧性をより優れたものとすることができるので、好ましい。また、このような好ましい電極構成と上記した好ましい前記半導体層の構成材料とを組み合わせることによって、より良好にリーク電流が抑制された、より低損失な半導体素子を得ることができる。
【実施例
【0041】
以下、図面を用いて本発明の好適な実施の態様をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施の態様に限定されるものではない。
【0042】
図1は、本発明の好適な実施態様の一つである半導体素子として、ショットキーバリアダイオード(SBD)の主要部を示す。半導体素子は、半導体層101と、半導体層101の第1面側または第1面側の反対側である第2面側に配置された空隙率が10%以下の多孔質層108とを少なくとも有している。図1のSBDは、さらに、オーミック電極102、ショットキー電極103、誘電体膜104を備えている。オーミック電極102は、金属層102a、金属層102b、金属層102cを含んでいる。半導体層101は、第1の半導体層101a、第2の半導体層101bを含んでいる。ショットキー電極103は、金属層103a、金属層103b、金属層103cを含んでいる。第1の半導体層101aは、例えば、n-型半導体層であり、第2の半導体層101bは、例えば、n+型半導体層101bである。また、誘電体膜104(以下、「絶縁体膜」ということもある)は、半導体層101の側面(第1の半導体層101aの側面と第2の半導体層101bの側面)を覆って、半導体層101(第1の半導体層101a)の上面に位置する開口部を有しており、開口部は、第1の半導体層101aの一部と前記ショットキー電極103の金属層103cとの間に設けられている。また、本実施態様において、半導体層101の側面がテーパを有している。誘電体膜104は、半導体層101の側面のテーパを覆って、さらに半導体層101(第1の半導体層101a)の上面の一部を覆うように延設されていてもよい。なお、半導体層101の側面のテーパは、半導体層101の第1面から第1面の反対側の第2面に向かって広がるように傾斜している。図1の半導体素子は、誘電体膜104により、端部の結晶欠陥が改善され、空乏層がより良好に形成され、電界緩和もさらに一段と良好となり、また、リーク電流をより良好に抑制することができる。なお、本実施態様においては、多孔質層108は、オーミック電極102(金属層102c)上に配置され、半導体素子は、さらに、前記多孔質層108上に配置された基板109を有している。
【0043】
前記誘電体膜は、テーパ角を有しているのが好ましい。かかるテーパ角の形成手段は、特に限定されず、本発明においては、公知の手法によって、前記テーパ角を形成することができる。好適なテーパ角の形成手段としては、例えば、前記誘電体膜上に、前記誘電体膜よりもエッチングレートの速い薄膜を形成し、ついで、前記薄膜上にレジスト塗布を行い、フォトリソグラフィーおよびエッチングにて前記テーパ角を形成する手段等が挙げられる。
また、前記誘電体膜の前記テーパ角が20°以下であるのが好ましく、10°以下であるのがより好ましい。本発明においては、前記テーパ角の下限は特に限定されないが、好ましくは、0.2°であり、より好ましくは、1.0°であり、最も好ましくは、2.2°である。
本発明においては、前記誘電体膜が、酸化物半導体層の側面全体を覆っているのが酸素等の拡散等をより良好に抑制することができるので好ましい。また、本発明においては、前記誘電体膜が、前記酸化物半導体層の第1面の少なくとも一部を覆っているのが、耐圧等の半導体特性をより良好なものとし得るので好ましい。
【0044】
図6は、本発明の好適な実施態様の一つである半導体素子として、ショットキーバリアダイオード(SBD)の主要部を示す。図6のSBDは、図1のSBDに比べ、ショットキー電極103の側面にテーパ領域を有する点で異なる。図6の半導体素子は、第1の金属層としての金属層103bおよび/または金属層103cの外端部が、第2の金属層としての金属層103aの外端部よりも外側に位置しているので、リーク電流をより良好に抑制することができる。またさらに、金属層103bおよび/または金属層103cのうち、金属層103aの外端部よりも外側に張り出した部分が、半導体素子の外側に向かって膜厚が減少するテーパ領域を有しているので、より耐圧性に優れた構成となっている。
【0045】
金属層103aの構成材料としては、例えば、第2の電極層の構成材料として例示した上記金属などが挙げられる。また、金属層103bおよび金属層103cの構成材料としては、例えば、第1の電極層の構成材料として例示した上記金属などが挙げられる。図1の各層の形成手段は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知の手段であってよい。例えば、真空蒸着法やCVD法、スパッタ法、各種コーティング技術により成膜した後、フォトリソグラフィー法によりパターニングする手段、または印刷技術などを用いて直接パターニングを行う手段などが挙げられる。
【0046】
以下、図1のSBDの好ましい製造工程について説明するが、本発明は、これら好ましい製造方法に限定されるものではない。図2(a)は、上記したミストCVD法により、結晶成長用基板(サファイア基板)110上に応力緩和層を介して、第1の半導体層101a、第2の半導体層101bが積層されている積層体を示す。第2の半導体層101b上に、前記ドライ法または前記ウェット法を用いてオーミック電極として、金属層102a、金属層102bおよび金属層102cを形成し、図2(b)の積層体を得る。第1の半導体層101aは、例えば、n-型半導体層であり、第2の半導体層101bは、例えば、n+型半導体層101bである。また、図2(b)の積層体に貴金属からなる多孔質層108を介して基板109を積層して積層体(c)を得る。そして、図3に示すとおり、積層体(c)の結晶成長用基板110および応力緩和層111を、公知の剥離手段を用いて剥離し、積層体(d)を得る。そして、図4に示すとおり、積層体(d)の半導体層の側面をエッチングにてテーパ状とし、積層体(e)を得たのち、テーパ状の側面および半導体層の開口部以外の上面に絶縁体膜104を積層して、積層体(f)を得る。なお、製作の過程で絶縁体膜104の外端部および金属層102aの外端部は、その下層(金属層102b、金属層102c、多孔質層108、基板109)の外端部に対して段差が生じるよう形成されているが、積層体(e)のようにこれらの段差が殆ど生じないように絶縁体膜104を積層してもよい。次に、図5に示すとおり、積層体(f)の半導体層の上面開口部分に、前記ドライ法または前記ウェット法を用いてショットキー電極として、金属層103a、103bおよび103cを形成し、積層体(g)を得る。以上のようにして得られた半導体素子は、半導体層の酸素等の拡散を良好に抑制することができ、優れたオーミック特性を奏するとともに、端部の結晶欠陥が改善され、空乏層がより良好に形成され、電界緩和もさらに一段と良好となり、また、リーク電流をより良好に抑制することができる構成となっている。なお、上記好ましい態様でSBDを試作したところ、前記誘電体膜が前記半導体層に良好に積層されており、クラックや凹凸等も特になく、平坦性に優れ、かつ歪がかかっていないことを顕微鏡等で確認した。そして、試作した本実施例品をパワーサイクル試験にて性能評価したところ、5分、3000サイクルを完了し、評価結果は良好であった。また、SEM-EDS等で確認したところ、酸素等の拡散等が抑制されていることがわかった。なお、本実施例品においては、図8(b)に示す通り、空隙率10%以下の多孔質層が用いられている。
【0047】
また、酸化物半導体からなる半導体層101と、銀からなる多孔質層108を用いたSBDであっても、上記と同様に、クラックや凹凸等も特になく、反りも抑制されていて、応力緩和が良好に作用する。
【0048】
また、絶縁体膜(誘電体膜)104によって酸化物半導体層の少なくとも側面を覆うことにより、酸化物半導体による酸素の拡散や吸湿や大気中等の酸素等の流入等を抑制することができるため、良好な半導体特性を奏する。
【0049】
図7は、本発明の好適な実施態様の一つである半導体素子として、ショットキーバリアダイオード(SBD)の主要部を示す。(なお、多孔質層108と基板109は図6と同一であるため図示を省略している。)図7のSBDは、図6のSBDとは異なり、図1のショットキー電極103の側面にテーパ領域が設けられておらず、また、半導体層101を覆う絶縁体膜104の外端部と、オーミック電極102の外端部がそれぞれ、段差なく同一端となっている。このような構成であっても本発明の効果を期待することができる。
【0050】
前記半導体素子は、縦型デバイスであるのが好ましく、また、とりわけ、パワーデバイスに有用である。前記半導体素子としては、例えば、ダイオード(例えば、PNダイオード、ショットキーバリアダイオード、ジャンクションバリアショットキーダイオード等)またはトランジスタ(例えば、MOSFET、MESFET等)などが挙げられるが、中でもダイオードが好ましく、ショットキーバリアダイオード(SBD)がより好ましい。
【0051】
本発明の半導体素子は、上記した事項に加え、さらに公知の手法によって、リードフレーム、回路基板または放熱基板等に接合部材によって接合して半導体装置として好適に用いられ、とりわけ、パワーモジュール、インバータまたはコンバータとして好適に用いられ、さらには、例えば電源装置を用いた半導体システム等に好適に用いられる。前記半導体装置の好適な一例を図12に示す。図12の半導体装置は、半導体素子500の両面が、それぞれ半田501によってリードフレーム、回路基板または放熱基板502と接合されている。このように構成することにより、放熱性に優れた半導体装置とすることができる。なお、本発明においては、半田等の接合部材の周囲が樹脂で封止されているのが好ましい。このような半導体装置も本発明に包含される。
【0052】
また、前記電源装置は、公知の方法を用いて、配線パターン等に接続するなどすることにより、前記半導体装置からまたは前記半導体装置として作製することができる。図9は、複数の前記電源装置171、172と制御回路173を用いて電源システム170を構成している。前記電源システムは、図10に示すように、電子回路181と電源システム182とを組み合わせてシステム装置180に用いることができる。なお、電源装置の電源回路図の一例を図11に示す。図11は、パワー回路と制御回路からなる電源装置の電源回路を示しており、インバータ192(MOSFETA~Dで構成)によりDC電圧を高周波でスイッチングしACへ変換後、トランス193で絶縁及び変圧を実施し、整流MOSFET194(A~B’)で整流後、DCL195(平滑用コイルL1,L2)とコンデンサにて平滑し、直流電圧を出力する。この時に電圧比較器197で出力電圧を基準電圧と比較し、所望の出力電圧となるようPWM制御回路196でインバータ192及び整流MOSFET194を制御する。
【0053】
本発明においては前記半導体装置が、パワーカードであるのが好ましく、冷却器および絶縁部材を含んでおり、前記半導体層の両側に前記冷却器がそれぞれ少なくとも前記絶縁部材を介して設けられているのがより好ましく、前記半導体層の両側にそれぞれ放熱層が設けられており、放熱層の外側に少なくとも前記絶縁部材を介して前記冷却器がそれぞれ設けられているのが最も好ましい。図13は、本発明の好適な実施態様の一つであるパワーカードを示す。図13のパワーカードは、両面冷却型パワーカード201となっており、冷媒チューブ202、スペーサ203、絶縁板(絶縁スペーサ)208、封止樹脂部209、半導体チップ301a、金属伝熱板(突出端子部)302b、ヒートシンク及び電極303、金属伝熱板(突出端子部)303b、はんだ層304、制御電極端子305、ボンディングワイヤ308を備える。冷媒チューブ202の厚さ方向断面は、互いに所定間隔を隔てて流路方向に延在する多数の隔壁221で区画された流路222を多数有している。このような好適なパワーカードによればより高い放熱性を実現することができ、より高い信頼性を満たすことができる。
【0054】
半導体チップ301aは、金属伝熱板302bの内側の主面上にはんだ層304で接合され、半導体チップ301aの残余の主面には、金属伝熱板(突出端子部)302bがはんだ層304で接合され、これによりIGBTのコレクタ電極面及びエミッタ電極面にフライホイルダイオードのアノード電極面及びカソード電極面がいわゆる逆並列に接続されている。金属伝熱板(突出端子部)302bおよび303bの材料としては、例えば、MoまたはW等が挙げられる。金属伝熱板(突出端子部)302bおよび303bは、半導体チップ301aの厚さの差を吸収する厚さの差をもち、これにより金属伝熱板302bおよび303bの外表面は平面となっている。
【0055】
樹脂封止部209は例えばエポキシ樹脂からなり、これら金属伝熱板302bおよび303bの側面を覆ってモールドされており、半導体チップ301aは樹脂封止部209でモールドされている。但し、金属伝熱板302bおよび303bの外主面すなわち接触受熱面は完全に露出している。金属伝熱板(突出端子部)302bおよび303bは樹脂封止部209から図13中、右方に突出し、いわゆるリードフレーム端子である制御電極端子305は、例えばIGBTが形成された半導体チップ301aのゲート(制御)電極面と制御電極端子305とを接続している。
【0056】
絶縁スペーサである絶縁板208は、例えば、窒化アルミニウムフィルムで構成されているが、他の絶縁フィルムであってもよい。絶縁板208は金属伝熱板302bおよび303bを完全に覆って密着しているが、絶縁板208と金属伝熱板302bおよび303bとは、単に接触するだけでもよいし、シリコングリスなどの良熱伝熱材を塗布してもよいし、それらを種々の方法で接合させてもよい。また、セラミック溶射などで絶縁層を形成してもよく、絶縁板208を金属伝熱板上に接合してもよく、冷媒チューブ上に接合または形成してもよい。
【0057】
冷媒チューブ202は、アルミニウム合金を引き抜き成形法あるいは押し出し成形法で成形された板材を必要な長さに切断して作製されている。冷媒チューブ202の厚さ方向断面は、互いに所定間隔を隔てて流路方向に延在する多数の隔壁221で区画された流路222を多数有している。スペーサ203は、例えば、はんだ合金などの軟質の金属板であってよいが、金属伝熱板302bおよび303bの接触面に塗布等によって形成したフィルム(膜)としてもよい。この軟質のスペーサ203の表面は、容易に変形して、絶縁板208の微小凹凸や反り、冷媒チューブ202の微小凹凸や反りになじんで熱抵抗を低減する。なお、スペーサ203の表面等に公知の良熱伝導性グリスなどを塗布してもよく、スペーサ203を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の半導体素子は、半導体(例えば化合物半導体電子デバイス等)、電子部品・電気機器部品、光学・電子写真関連装置、工業部材などあらゆる分野に用いることができるが、とりわけ、パワーデバイスに有用である。
【符号の説明】
【0059】
101 半導体層
101a 第1の半導体層
101b 第2の半導体層
102 オーミック電極
102a 金属層
102b 金属層
102c 金属層
103 ショットキー電極
103a 金属層
103b 金属層
103c 金属層
104 絶縁体膜(誘電体膜)
108 多孔質層
109 基板
110 結晶成長用基板
170 電源システム
171 電源装置
172 電源装置
173 制御回路
180 システム装置
181 電子回路
182 電源システム
192 インバータ
193 トランス
194 整流MOSFET
195 DCL
196 PWM制御回路
197 電圧比較器
201 両面冷却型パワーカード
202 冷媒チューブ
203 スペーサ
208 絶縁板(絶縁スペーサ)
209 封止樹脂部
221 隔壁
222 流路
301a 半導体チップ
302b 金属伝熱板(突出端子部)
303 ヒートシンク及び電極
303b 金属伝熱板(突出端子部)
304 はんだ層
305 制御電極端子
308 ボンディングワイヤ
500 半導体素子
501 半田
502 リードフレーム、回路基板または放熱基板


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13