(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20250106BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20250106BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2021106987
(22)【出願日】2021-06-28
【審査請求日】2024-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】506308415
【氏名又は名称】株式会社イメージ・マジック
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山川 誠
(72)【発明者】
【氏名】京田 諭
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特許第7186624(JP,B2)
【文献】特開平5-57581(JP,A)
【文献】特許第7107273(JP,B2)
【文献】特許第7166767(JP,B2)
【文献】特許第6081610(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3229524(JP,U)
【文献】特開2008-172350(JP,A)
【文献】特開2021-56808(JP,A)
【文献】特許第7476590(JP,B2)
【文献】特開2022-145287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業が行われる領域を撮影するカメラが出力する画像を受信する画像受信部と、
前記画像において作業台に付された識別マークの所定の状態を検出する画像解析部と、
前記画像解析部で検出された第1の状態から、前記画像解析部で検出された第2の状態になるまでの時間を計測する計測部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
作業者が作業対象物を前記作業台にセットすることで、前記識別マークは、前記作業対象物に隠れて状態が変化する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の状態と前記第2の状態とでは、識別マークの数又は識別マークの形状が変化している、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記画像解析部で検出する前記所定の状態に関する情報を記憶する記憶部をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
作業が行われる領域を撮影するカメラが出力する画像を受信する工程と、
前記画像において作業台に付された識別マークの第1の状態を検出する工程と、
前記画像において作業台に付された識別マークの第2の状態を検出する工程と、
前記第1の状態から前記第2の状態になるまでの時間を計測する工程と
を含む方法。
【請求項6】
1又は複数のコンピュータに、
作業が行われる領域を撮影するカメラが出力する画像を受信する処理と、
前記画像において作業台に付された識別マークの第1の状態を検出する処理と、
前記画像において作業台に付された識別マークの第2の状態を検出する処理と、
前記第1の状態から前記第2の状態になるまでの時間を計測する処理と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造現場などにおける作業を管理するために、カメラを製造現場に設置して画像情報を活用することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、スイッチ又はセンサで作業対象の部品を検知することで、ラインの各工程での作業時間を計測するシステムが開示されている。しかし、部品の受け渡しがない製造現場では、スイッチやセンサを用いて作業時間を計測する技術をそのまま転用することはできない。また、仮にスイッチやセンサを用いて作業時間を計測することが技術上可能であったとしても、導入には少なからず設備投資が必要であり、各作業に特化したスイッチやセンサを設ける必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、多種多様な作業の作業時間を容易に計測することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、作業が行われる領域を撮影するカメラが出力する画像を受信する画像受信部と、画像において作業台に付された識別マークの所定の状態を検出する画像解析部と、画像解析部で検出された第1の状態から、画像解析部で検出された第2の状態になるまでの時間を計測する計測部とを備える。
【0007】
この態様によれば、計測の開始と計測の終了とを識別マークの所定の状態により表したことで、多種多様な作業の作業時間を容易に計測することができる。
【0008】
上記情報処理装置において、作業者が作業対象物を作業台にセットすることで、識別マークは、作業対象物に隠れて状態が変化してもよい。この態様によれば、作業台に作業対象物をセットする作業者の作業時間を容易に計測することができる。
【0009】
上記情報処理装置において、第1の状態と第2の状態とでは、識別マークの数又は識別マークの形状が変化していてもよい。この態様によれば、複数の識別マークを用いてその数の変化を検出したり、特定のマークを用いてその形状変化を検出したりすることで、多種多様な作業に合わせて最適な計測の開始と計測の終了とを設定することができる。
【0010】
上記情報処理装置において、画像解析部で検出する所定の状態に関する情報を記憶する記憶部をさらに備えてもよい。この態様によれば、記憶部に記憶した所定の状態に関する情報に従って、多種多様な作業の作業時間を容易に計測することができる。
【0011】
本発明の他の態様に係る方法は、作業が行われる領域を撮影するカメラが出力する画像を受信する工程と、画像において作業台に付された識別マークの第1の状態を検出する工程と、画像において作業台に付された識別マークの第2の状態を検出する工程と、第1の状態から第2の状態になるまでの時間を計測する工程とを含む。
【0012】
本発明の他の態様に係るプログラムは、1又は複数のコンピュータに、作業が行われる領域を撮影するカメラが出力する画像を受信する処理と、画像において作業台に付された識別マークの第1の状態を検出する処理と、画像において作業台に付された識別マークの第2の状態を検出する処理と、第1の状態から前記第2の状態になるまでの時間を計測する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多種多様な作業の作業時間を容易に計測することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置を有する作業管理システムの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る作業管理システムのブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る識別マーク記憶部の内容を例示する図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る情報処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る作業データ記憶部の内容を例示する図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る識別マークを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、係る実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0016】
(システム構成)
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置を有する作業管理システムの概略図である。
図1では、作業管理システムを設置した作業現場の状況を模式的に示している。作業管理システムは、情報処理装置100と1又は複数のカメラ200(200a~200N)とを備える。
【0017】
情報処理装置100は、作業領域の画像を撮影する1又は複数のカメラ200と通信可能に接続される。カメラ200は、作業者が作業を行う作業領域を撮影することができるように設置され、撮影した画像を情報処理装置100に出力する。本実施形態では、
図1に示されるように、カメラ200a及びカメラ200bは、回転式の作業台にTシャツを着脱させる作業者A、Bが作業を行う作業領域を撮影することができるように設置されている。
【0018】
作業領域には、作業者の作業の進捗を把握するために用いる識別マークMが付されている。例えば、一実施形態では、回転式の各作業台の四隅に、4つの識別マークMが付されている。別の実施形態では、コースターをセットする作業台の各位置に、それぞれ識別マークMが付されている。Tシャツ及びコースターは、作業対象物の一例である。
【0019】
識別マークMには、カメラ200が出力する画像から検出可能な、任意の形、任意の色のマークを用いることができる。ここで、1つのカメラが撮影する作業領域内には、1つの識別マークMが付されていてもよいし、複数の識別マークMが付されていてもよい。さらに、1つのカメラが撮影する作業領域内に複数の識別マークMが付される場合に、同一の識別マークMが付されていてもよいし、異なる識別マークMが付されていてもよい。一実施形態では、回転式の各作業台の四隅のうち、外側の二隅には第1の色の識別マークMが付され、内側の二隅には第2の色の識別マークMが付されている。
【0020】
また、識別マークMを描く塗料には、蛍光塗料、反射塗料を含む任意の塗料を使用することができ、塗料の特性に応じた光源を用いて、識別マークMの検出を行うことができる。また、識別マークMは、作業台に直接描いてもよいし、識別マークMを描いたシールを貼付してもよい。
【0021】
情報処理装置100は、カメラ200が出力する画像において識別マークMの検出を行い、検出した識別マークMの状態変化に基づいて、作業者が作業する時間を算出することができる。
【0022】
(機能構成)
図2は、本発明の一実施形態に係る作業管理システムのブロック図である。なお、
図2では、単一の情報処理装置100を想定し、必要な機能構成だけを示しているが、情報処理装置100を、複数のコンピュータシステムによる多機能の分散システムの一部として構成することもできる。
【0023】
カメラ200は、画像送信部211を備える。
【0024】
情報処理装置100は、入力部110と、制御部120と、記憶部130と、通信部140とを備えている。
【0025】
入力部110は、情報処理装置100の管理者からの操作を受け付けるように構成され、キーボードやマウス、タッチパネル等によって実現することができる。
【0026】
制御部120は、CPUやMPU等の演算処理部121及びRAM等のメモリ122を備えている。演算処理部121は、各種入力に基づき、記憶部130に記録されたプログラムを実行することで、各種機能部を動作させるものである。このプログラムは、CD-ROM等の記録媒体に記憶され、若しくはネットワークを介して配布され、コンピュータにインストールされるものであってもよい。メモリ122は、各種プログラムにおいて処理の実行中に、演算等に必要な各種データを、一時的に記憶するためのものである。
【0027】
記憶部130は、ハードディスク等の記憶装置によって構成され、制御部120における処理の実行に必要な各種プログラムや、各種プログラムの実行に必要なデータ等を記録しておくものである。本実施形態では、記憶部130は、画像記憶部131、識別マーク記憶部132、作業データ記憶部133及び管理情報記憶部134を有していることが望ましい。
【0028】
画像記憶部131には、カメラ200の画像送信部211から出力される画像が保存されている。
【0029】
識別マーク記憶部132には、情報処理装置100が検出すべき識別マークMに関する情報が保存されている。一実施形態では、
図3に示されるように、識別マーク記憶部132には、識別モード、識別マークMの形、色、サイズ、初期状態、状態1、状態2等が登録されていることが望ましい。初期状態は、作業者が作業を開始する前であることを示す識別マークMの状態を表す。状態1及び状態2は、情報処理装置100が検出すべき識別マークMの状態を表す情報である。
【0030】
ここで、識別マークMの状態とは、作業台に付された識別マークMに関する1又は複数の属性情報を指す。例えば、識別マークMの状態には、検出される識別マークMの形状、検出される識別マークMの色、検出される識別マークMのサイズ、検出される識別マークMの座標、識別マークMが検出されないこと等が含まれる。また、複数の識別マークMを用いる場合、識別マークMの状態には、検出される識別マークMの数も含まれる。
【0031】
例えば、
図3の1行目のレコードにおいて、状態1の「青:0」は、青の識別マークMがゼロ、すなわち画像中に検出されない状態を表している。状態2の「赤:0」は、赤の識別マークMがゼロ、すなわち画像中に検出されない状態を表している。
【0032】
また、例えば、
図3の3行目のレコードにおいて、状態1の「デクリメント」は、初期状態で複数個存在する識別マークMが1つずつ減る状態を表している。状態2の「ゼロ」は、初期状態で複数個存在していたすべての識別マークMが画像中に検出されない状態を表している。
【0033】
作業データ記憶部133には、情報処理装置100が計測した作業者の作業時間が保存される。一実施形態では、作業データ記憶部133には、回転式の作業台に1枚のTシャツを着せる作業者Aの作業時間及び回転式の作業台から1枚のTシャツを脱がせる作業者Bの作業時間が保存される。別の実施形態では、作業データ記憶部133には、コースターを作業台にセットする作業者Cについて、1枚のコースターをセットする作業時間及び作業台にセットし得る最大枚数のコースターをセットする作業時間が保存される。
【0034】
管理情報記憶部134には、各作業者の作業時間を用いて算出される、製造管理に関する情報が保存される。一実施形態では、製造管理に関する情報には、作業者毎の平均の作業時間、単位時間当たりの生産予想数、1日当たりの生産予想数等が含まれることが望ましい。
【0035】
通信部140は、情報処理装置100をネットワークに接続するように構成される。例えば、通信部140は、LANカード、アナログモデム、ISDNモデム等、及びこれらをシステムバス等の伝送路を介して処理部と接続するためのインタフェースから実現することができる。
【0036】
さらに、
図2に示すように、演算処理部121は、機能部として、画像受信部123、画像解析部124、計測部125、算出部126及び出力部127を備えている。
【0037】
画像受信部123は、カメラ200の画像送信部211から出力される画像を受信して、画像記憶部131に格納する。
【0038】
画像解析部124は、画像記憶部131に保存されている画像において識別マークMの状態変化を検出する。具体的には、画像解析部124は、識別マーク記憶部132に保存されている情報に基づいて画像中の識別マークMの特定の状態を検出して、検出した状態情報を計測部125に通知する。
【0039】
計測部125は、画像解析部124から通知される状態情報に基づいて、ある状態から別の状態になるまでの時間を計測し、計測した時間を作業データ記憶部133に保存する。一実施形態では、計測部125は、
図3の1行目のレコードに基づいて画像解析部124から通知される、状態1から状態2になるまでの時間を計測し、計測した時間を作業データ記憶部133に保存する。別の実施形態では、計測部125は、
図3の3行目のレコードに基づいて画像解析部124から通知される、状態1から次の状態1になるまでの時間を計測し、計測した時間を作業データ記憶部133に保存する。
【0040】
算出部126は、作業データ記憶部133に保存された作業者の作業時間を用いて、製造管理に関する情報を算出し、算出した情報を管理情報記憶部134に保存する。一実施形態では、算出部126は、作業者毎の平均の作業時間、単位時間当たりの生産予想数、1日当たりの生産予想数を算出し、算出した情報を管理情報記憶部134に保存する。
【0041】
出力部127は、計測部125が計測した時間又は算出部126が算出した情報を出力する。
【0042】
(第1実施形態)
本実施形態では、
図4を参照して、回転式の作業台にTシャツを着せる作業者の作業時間を計測する例について説明する。回転式の各作業台の四隅にはそれぞれ識別マークMが付されており、
図1に示されるように、四隅のうち、外側の二隅には青色の識別マークMが付され、内側の二隅には赤色の識別マークMが付されている。作業者がTシャツを作業台に着せる際、まずは外側の青色の識別マークMがTシャツに隠れて視認できなくなり、続いて内側の赤色の識別マークMもTシャツに隠れて視認できなくなる。また、識別マーク記憶部132には、情報処理装置100の入力部110を介して、管理者が事前に情報を格納しているものとする。
【0043】
ステップS401において、情報処理装置100の画像受信部123が、カメラ200の画像送信部211から出力される画像を受信して、画像記憶部131に格納する。
【0044】
ステップS402において、情報処理装置100の画像解析部124が、未解析の画像が存在するか否かを判定する。未解析の画像が存在しないと判定される場合、処理は終了する。
【0045】
一方で、未解析の画像が存在する場合(S402:Yes)、画像解析部124が、画像記憶部131に保存されている画像を読み出し、識別マークMの検出を試みる(S403)。ステップS404において、画像解析部124は、識別マーク記憶部132に保存されている特定の状態であるか否かを判定し、特定の状態ではないと判定される場合(S404:No)、処理はステップS402に戻る。
【0046】
一方で、特定の状態であると判定される場合(S404:Yes)、画像解析部124は、検出した状態情報を計測部125に通知する(S405)。ここでは、画像解析部124は、検出した状態情報「状態1」を計測部125に通知する。
【0047】
ステップS406において、情報処理装置100の計測部125は、画像解析部124から通知される状態情報に基づいて、計測を開始するか終了するか、あるいは計測を終了して新たに開始するか判定する。ここでは、計測部125は、計測を開始すると判定し、計測を開始して(S407)、処理はステップS402に戻る。
【0048】
再度のステップS404において、特定の状態であると判定される場合(S404:Yes)、画像解析部124は、検出した状態情報を計測部125に通知する(S405)。ここでは、画像解析部124は、検出した状態情報「状態2」を計測部125に通知する。
【0049】
再度のステップS406において、計測部125は、画像解析部124から通知される状態情報に基づいて、計測を開始するか終了するか、あるいは計測を終了して新たに開始するか判定する。ここでは、計測部125は、計測を終了すると判定し(S406:終了)、計測部125は、計測を終了して、計測した時間を作業データ記憶部133に保存する(S408)。その後、処理はステップS402に戻り、ステップS402において、未解析の画像が存在しないと判定されるまで、処理は継続する。
【0050】
以上、本実施形態によれば、情報処理装置100は、作業台に単一の作業対象物をセットする作業者の作業時間を容易に計測することができる。作業の開始と作業の終了とを識別マークMの状態により表したことで、多種多様な作業に合わせて最適な作業の開始と作業の終了とを設定し、容易に作業時間を計測することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、作業台の四隅に識別マークMを付して作業時間を計測したが、作業台の外側及び内側の2か所に識別マークMを付して作業時間の計測を行ってもよいし、作業台全体に単一の識別マークMを付して作業時間の計測を行ってもよい。
【0052】
また、本実施形態では、外側と内側とで異なる色の識別マークMを用いたが、同一色の識別マークMを用いてもよい。識別マークMの色を選択する際には、識別マークMの誤検出を避けるために、作業領域に存在しない色を選択することが好ましい。
【0053】
また、本実施形態では、円形の識別マークMを用いたが、他の任意の形の識別マークMを用いることができる。例えば、バーコードや2次元コード等のコードを識別マークMとして用いてもよい。コードの識別マークMを用いることで、識別マークMの検出速度をあげることや、識別マークMの誤検出を防ぐことが期待できる。また、各作業やその作業の進捗毎に細やかに設定したコードの識別マークMを用いることで、より詳細な作業データを取得することができる。識別マークMの形を選択する際には、識別マークMの誤検出を避けるために、作業領域に存在しない形を選択することが好ましい。
【0054】
(第2実施形態)
第2実施形態では、
図4を参照して、作業台にコースターをセットする作業者の作業時間を計測する例について説明する。
図6(a)に示されるように、コースターをセットする作業台の各位置に、それぞれ識別マークMが付されている。作業者がコースターを所定の位置にセットすることで、識別マークMはコースターに隠れて視認できなくなる。また、識別マーク記憶部132には、情報処理装置100の入力部110を介して、管理者が事前に情報を格納しているものとする。
【0055】
ステップS401において、情報処理装置100の画像受信部123が、カメラ200の画像送信部211から出力される画像を受信して、画像記憶部131に格納する。
【0056】
ステップS402において、情報処理装置100の画像解析部124が、未解析の画像が存在するか否かを判定する。未解析の画像が存在しないと判定される場合、処理は終了する。
【0057】
一方で、未解析の画像が存在する場合(S402:Yes)、画像解析部124が、画像記憶部131に保存されている画像を読み出し、識別マークMの検出を試みる(S403)。ステップS404において、画像解析部124は、識別マーク記憶部132に保存されている特定の状態であるか否かを判定し、特定の状態ではないと判定される場合(S404:No)、処理はステップS402に戻る。
【0058】
一方で、特定の状態であると判定される場合(S404:Yes)、画像解析部124は、検出した状態情報を計測部125に通知する(S405)。ここでは、画像解析部124は、以前の画像で検出した識別マークMの数:30が、現在解析中の画像では29になったことに応答して、状態情報「状態1」を計測部125に通知する。
【0059】
ステップS406において、情報処理装置100の計測部125は、画像解析部124から通知される状態情報に基づいて、計測を開始するか終了するか、あるいは計測を終了して新たに開始するか判定する。ここでは、計測部125は、計測を開始すると判定し、計測を開始して(S407)、処理はステップS402に戻る。
【0060】
再度のステップS404において、特定の状態であると判定される場合(S404:Yes)、画像解析部124は、検出した状態情報を計測部125に通知する(S405)。ここでは、画像解析部124は、以前の画像で検出した識別マークMの数:29が、現在解析中の画像では28になったことに応答して、状態情報「状態1」を計測部125に通知する。
【0061】
再度のステップS406において、計測部125は、画像解析部124から通知される状態情報に基づいて、計測を開始するか終了するか、あるいは計測を終了して新たに開始するか判定する。ここでは、計測部125は、計測を終了して新たに開始すると判定し(S406:終了&開始)、計測部125は、計測した時間を作業データ記憶部133に保存する(S409)。さらに、計測部125は、計測を開始して(S410)、処理はステップS402に戻る。
【0062】
その後、再度のステップS404において、画像解析部124は、以前の画像で検出した識別マークMの数:1が、現在解析中の画像では0になったことに応答して、状態情報「状態1、状態2」を計測部125に通知する。
【0063】
再度のステップS406において、計測部125は、計測を終了すると判定し(S406:終了)、計測部125は、計測を終了して、計測した時間を作業データ記憶部133に保存する(S408)。その後、ステップS402において、未解析の画像が存在しないと判定されるまで、処理は継続する。
【0064】
以上、本実施形態によれば、情報処理装置100は、作業台に複数の作業対象物をセットする作業者の作業時間を容易に計測することができる。作業の開始と作業の終了とを識別マークMの状態により表したことで、多種多様な作業に合わせて最適な作業の開始と作業の終了とを設定し、容易に作業時間を計測することができる。
【0065】
なお、本実施形態では、円形の識別マークMを用いたが、他の任意の形の識別マークMを用いることができる。例えば、バーコードや2次元コード等のコードを識別マークMとして用いてもよい。コードの識別マークMを用いることで、識別マークMの検出速度をあげることや、識別マークMの誤検出を防ぐことが期待できる。また、各作業やその作業の進捗毎に細やかに設定したコードの識別マークMを用いることで、より詳細な作業データを取得することができる。識別マークMの形を選択する際には、識別マークMの誤検出を避けるために、作業領域に存在しない形を選択することが好ましい。
【0066】
また、本実施形態では、同一形状の識別マークMを用いたが、各位置で異なる形状の識別マークMを用いてもよい。例えば、
図6(b)に示すように、各位置に連番の数字の識別マークMを用いることで、作業時間の計測と同時に、作業者がコースターをセットする順番を容易に把握することができる。
【0067】
さらに、例えば、数字や文字列の識別マークMを用いることで、既存のOCR技術を用いて、容易に高精度の識別マークMの検出を行うことができる。
【0068】
(変形例1)
第1実施形態及び第2実施形態では、画像解析部124が画像を解析するタイミングで計測部125が作業時間を計測する例について説明してきた。別の実施形態では、画像解析部124が画像を解析した後の任意のタイミングで作業時間を計測することができる。例えば、画像解析部124は、
図4のステップS405において状態情報を通知する代わりに、
図5に示されるように、時刻と検出された状態情報を作業データ記憶部133に保存してもよい。
【0069】
その後、計測部125は、作業データ記憶部133に保存された時刻、識別モード、検出された状態を用いて作業時間を計測し、計測した作業時間を記憶部130に保存することができる。
【0070】
(変形例2)
第1実施形態及び第2実施形態では、作業者の作業時間を計測する例について説明してきた。別の実施形態では、作業者の作業時間に変えて、又は作業者の作業時間に加えて、作業者の作業数量をカウントすることができる。例えば、計測部125は、
図4のステップS408及びS409において計測を終了する代わりに、作業数量をインクリメントして、インクリメントした作業数量を作業データ記憶部133に保存してもよい。
【0071】
また、作業者の作業時間に加えて作業数量をカウントする例では、計測部125が、
図4のステップS408及びS409において計測を終了する際に、作業数量をインクリメントして、インクリメントした作業数量及び作業時間を作業データ記憶部133に保存してもよいし、
図4のステップS408及びS409では作業時間のみを作業データ記憶部133に保存し、
図4の処理が終了した後の任意のタイミングで作業データ記憶部133に保存された作業時間の数をカウントすることで、作業数量を把握してもよい。
【0072】
(管理情報算出処理)
次に、管理情報算出処理について説明する。情報処理装置100の算出部126は、作業データ記憶部133に保存された作業者の作業時間を用いて、製造管理に関する情報を算出し、算出した情報を管理情報記憶部134に保存することができる。本実施形態では、算出部126は、作業者毎の平均の作業時間、単位時間当たりの生産予想数、1日当たりの生産予想数を算出し、算出した情報を管理情報記憶部134に保存する。
【0073】
なお、算出部126は、任意のタイミングで処理を開始してよく、入力部110を介して管理者から処理の開始の指示を受信してもよいし、毎日22時等、所定のタイミングで処理を開始するようにしてもよい。
【0074】
また、情報処理装置100の出力部127は、算出部126が算出した情報を出力することができる。
【0075】
以上、本実施形態によれば、情報処理装置100は、計測した作業者の作業時間を活用して、各種データを得ることができる。作業者毎の平均の作業時間、単位時間当たりの生産予想数、1日当たりの生産予想数等を把握することで、製造現場における生産管理をより正確に行うことができる。
【0076】
(識別マーク)
図6を参照して、識別マークMのバリエーションについて説明する。
図6(a)から(c)は、それぞれ識別マーク例を示す。
図6(a)は、第2実施形態において説明した、円形の図形を識別マークとした例である。
図6(b)は、第2実施形態の最後に説明した、連番の数字を識別マークとした例である。
【0077】
図6(c)は、格子状の図形を識別マークとした例である。例えば、複数のサイズを有するTシャツについて、サイズを区別して計測を行う場合に、格子状の図形を識別マークに用いることができる。具体的には、大きいサイズのTシャツを作業台に着せた場合、格子状のすべての線がTシャツに隠れて視認できなくなり、一方で、小さいサイズのTシャツを作業台に着せた場合、内側の一部の線はTシャツに隠れずに視認できる状態となる。このような場合に、例えば、
図3の識別モード「4」、「5」で示される識別マーク記憶部132の情報を用いて、作業者の作業時間又は作業数量を計測することができる。
【符号の説明】
【0078】
100…情報処理装置、110…入力部、120…制御部、121…演算処理部、122…メモリ、123…画像受信部、124…画像解析部、125…計測部、126…算出部、127…出力部、130…記憶部、131…画像記憶部、132…識別マーク記憶部、133…作業データ記憶部、134…管理情報記憶部、140…通信部、200…カメラ、211…画像送信部、M…識別マーク