(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】遊技球研磨装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20250106BHJP
【FI】
A63F7/02 351A
(21)【出願番号】P 2020204033
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】米本 光孝
【審査官】荒井 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-080566(JP,A)
【文献】特開平11-104341(JP,A)
【文献】特開2013-005832(JP,A)
【文献】特開2017-023169(JP,A)
【文献】特開2013-165752(JP,A)
【文献】特開昭57-200172(JP,A)
【文献】実開昭47-030961(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に遊技球
が通過し得る貫通孔が形成された一対の回転支持盤により円柱形の研磨ロールを回転自在に支持するとともに、該研磨ロールを回転駆動する電気的駆動源を備え、前記回転支持盤の貫通孔間に遊技球が通過する遊技球通路を形成し、
前記回転支持盤は前記研磨ロールを該遊技球通路に向けて揺動可能に支持し、前記遊技球通路に遊技球を通すことで該遊技球が前記研磨ロールに接触し研磨されるようにしたことを特徴とする遊技球研磨装置。
【請求項2】
少なくとも3本の円柱形の研磨ロールと、該各研磨ロールにより囲まれた遊技球通路が中心部に形成されるように該各研磨ロールの両端部を支持する一対の回転支持盤と、電気的駆動源とを備え、前記各研磨ロールに小歯車を同心状に一体的に形成し、内歯が形成されたリング状の伝動歯車を該各小歯車に共通して噛合するように配設し、該伝動歯車を前記電気的駆動源により回転駆動することにより、前記遊技球通路を通る遊技球が前記研磨ロールに接触し研磨されるようにしたことを特徴とする遊技球研磨装置。
【請求項3】
前記回転支持盤は、前記各研磨ロールを前記遊技球通路に向けて揺動可能に支持し得るように前記各研磨ロールを支持するものであることを特徴とする請求項
2に記載した遊技球研磨装置。
【請求項4】
前記遊技球通路は前記各研磨ロールにより囲まれることにより上向に起立した竪型に形成するとともに、スプロケットを回転駆動することにより遊技球を整列状態にて該遊技球通路に揚送する球送込装置を該遊技球通路の下方部に配設し、該球送込装置の流入側
に多数の遊技球が整列状態にて連なる遊技球送込樋を前記遊技球通路よりも高所まで連なるように形成したことを特徴とする請求項
2または3に記載した遊技球研磨装置。
【請求項5】
前記各研磨ロールの一端部に形成された小歯車と噛合する伝動歯車のみが前記電気的駆動源により回転駆動されるようにしたことを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載した遊技球研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機,アレンジボール遊技機,雀球遊技機等の遊技機にて使用される遊技球を常に綺麗な状態に保つための研磨装置に関し、特には、遊技機内で一定数の遊技球を循環させることで遊技が行われるようにする封入式遊技機の遊技球研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にパチンコホールには島台と称される装置に多数の遊技機が隣り合わせに並設され、該島台に遊技球を循環させる大型の設備が設置され、その遊技球循環経路中に研磨装置が設けられ、遊技球を研磨することで循環する遊技球が常に綺麗に保たれるようにしている。
例えば、下記特許文献1に示されたパチンコ球の球磨揚送機は、上下方向に駆動される無端状の揚送ベルトの上昇側に対向するように研磨布を配置し、遊技球が該揚送ベルトと該研磨布との間で適圧挟持されて上方へ揚送されるようにするとともに、該研磨布を無端状に形成して上下方向に回転可能に設け、該研磨布の下降側に該研磨布の清掃手段を設けてなるものであり、この装置においては研磨布を無端状にしてゆっくり回転させ、ブラシなどの清掃手段によって研磨布に付着した汚れが遊技球の揚送と同時に除去されるようにしたことで、研磨布が長時間にわたって綺麗な状態に維持できるようにしている。
【0003】
一方、例えば下記特許文献2に示されたような遊技球封入式遊技機は、遊技機内に封入された所定数の遊技球を順次発射位置から遊技盤上に発射して遊技を行い、遊技を終えた遊技球は外部に排出することなく該遊技機内にて再び発射位置に循環させるものであり、発射球数や賞球数、遊技者の持ち球数等は電気的に計数処理することで、遊技球が遊技者の手に触れることなく、景品交換の手間も掛からず、不正行為も行われ難いなどの利点を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-173617
【文献】特許第4943227号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の遊技球封入式遊技機は、従来の島台に設置する遊技機と異なり、自由に配置(レイアウト)できることから、近年その利便性が見直されつつある。
一方、このような遊技球封入式遊技機においても、遊技球は機内の種々の構成部品に繰り返し激しく衝突し、樹脂や金属の破損した小片やカス、粉体、油等が付着して汚れるため、機内に研磨装置を設けて遊技球を研磨することが必要であるが、その場合、遊技機ごとに研磨装置を設ける必要があるので、そのメンテナンスが容易ではなくなるという問題がある。即ち、例えば上記特許文献1に示されたような、研磨部材(布とかブラシのような)をバネなどの弾性部材で遊技球に押し当てる構造の研磨装置では、その押圧力の設定が難しく、使用中に研磨部材の弾力が無くなると遊技球が上手く研磨されなくなったり、或いは破損した樹脂片等が挟まって機能が停止し、遊技中に突然遊技球が循環しなくなって遊技が中断されてしまい、遊技者にも多大な迷惑を掛ける恐れがあった。
【0006】
なお、引用文献1に示されたような従来の研磨装置では、上方に移動する揚送ベルトと研磨部材とに挟まれた遊技球は上方にのみしか回転しないので、該遊技球は表面の一定の周方向にしか研磨されず、長い揚送距離があるにも拘らず、研磨部位にムラがあるという問題があるとともに、大型であるので遊技機内に装備し難いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係る遊技球研磨装置は、中心に遊技球が遊技球が通過し得る貫通孔が形成された一対の回転支持盤により円柱形の研磨ロールを回転自在に支持するとともに、該研磨ロールを回転駆動する電気的駆動源を備え、前記回転支持盤の貫通孔間に遊技球が通過する遊技球通路を形成し、該遊技球通路に遊技球を通すことで該遊技球が前記研磨ロールに接触し研磨されるようにしたことを特徴とする。
また、本発明に係る遊技球研磨装置は、少なくとも3本の円柱形の研磨ロールと、該各研磨ロールにより囲まれた遊技球通路が中心部に形成されるように該各研磨ロールの両端部を支持する一対の回転支持盤と、電気的駆動源とを備え、前記各研磨ロールに小歯車を同心状に一体的に形成し、内歯が形成されたリング状の伝動歯車を該各小歯車に共通して噛合するように配設し、該伝動歯車を前記電気的駆動源により回転駆動することにより、前記遊技球通路を通る遊技球が前記研磨ロールに接触し研磨されるようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は上記遊技球研磨装置において、回転支持盤は、前記各研磨ロールを前記遊技球通路に向けて揺動可能に支持し得るように前記各研磨ロールを支持するものであることを特徴とする。
このため、遊技球を常にムラなく綺麗に研磨できるとともに、樹脂片等の異物が噛み込んでも柔軟に対処できる。
【0009】
また、本発明は上記遊技球研磨装置において、遊技球通路は前記各研磨ロールにより囲まれることにより上向に起立した竪型に形成するとともに、スプロケットを回転駆動することにより遊技球を整列状態にて該遊技球通路に揚送する球送込装置を該遊技球通路の下方部に配設し、該球送込装置の流入側に流出側よりも多数の遊技球が連なる遊技球送込樋を形成したことを特徴とする。
このため、遊技球送込樋に待機している遊技球の重量が球送込装置に作用し、該球送込装置の負荷が軽減される。
【0010】
また、本発明は上記遊技球研磨装置において、前記各研磨ロールの一端部に形成された小歯車と噛合する伝動歯車のみが前記電気的駆動源により回転駆動されるようにしたことを特徴とする。
このため各研磨ロールは円周方向に傾斜した状態となるので、研磨作用が向上し遊技球を一層綺麗に保つことができるとともに、メンテナンスも容易になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ムラなく綺麗に遊技球を研磨できるとともに、小型化も可能となり、メンテナンスも容易となるので、特には遊技球封入式遊技機に適した遊技球研磨装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る遊技球研磨装置の実施形態1の正面図。
【
図2】本発明に係る遊技球研磨装置の実施形態1の斜視図。
【
図3】本発明に係る遊技球研磨装置の実施形態1の分解斜視図。
【
図4】本発明に係る遊技球研磨装置の実施形態1の研磨ロールの斜視図。
【
図5】本発明に係る遊技球研磨装置の実施形態1の回転支持盤と伝動歯車の斜視図。
【
図6】本発明に係る遊技球研磨装置の実施形態1の回転支持盤と伝動歯車の斜視図。
【
図7】本発明に係る遊技球研磨装置の実施形態1の回転支持盤と伝動歯車の水平断面図。
【
図8】本発明に係る遊技球研磨装置の実施形態2の要部の正面図。
【
図9】
図8に示した遊技球研磨装置の研磨ロールの状態を示す平面図。
【
図10】本発明に係る遊技球研磨装置の実施形態2の要部の斜視図。
【
図11】
図10に示した遊技球研磨装置の要部の部分断面側面図。
【
図12】
図10に示した遊技球研磨装置の研磨ロールの状態を示す平面図。
【
図13】本発明に係る遊技球研磨装置の実施形態2の要部の斜視図。
【
図14】
図13に示した遊技球研磨装置の研磨ロールの状態を示す平面図。
【0013】
[実施形態1]
次に
図1~
図7に示した本発明の実施形態1を説明する。
図1、
図2はこの遊技球研磨装置の全体を示す。研磨装置本体1は、3本の円柱形の研磨ロール2,3,4と、一対の回転支持盤5a,5bを備え、その脇に電気的駆動源6が設けられる。また、該研磨装置本体1の下方部に球送込装置15が配設され、該球送込装置15の流入側に遊技球送込樋16が形成される。なお、該遊技球送込樋16、研磨装置本体1、および電気的駆動源6等を支持するためスタンド17が設けられる。
【0014】
前記各研磨ロール2,3,4は、自己潤滑性があり摩擦係数が低い樹脂材料からなり、
図4に示すように、外周表面に縦筋状の凹凸を形成しているとともに、両端部寄りに小歯車8a,8bを同心状に一体的に形成している。なお、該各研磨ロール2,3,4の両端部9a,9bは先丸の軸状に形成されている。また、前記回転支持盤5a,5bは、一対の同じ円形板状のもので、
図5,
図6に両面をそれぞれ示したように、中心に遊技球pが通過し得る貫通孔5cが形成され、該貫通孔5cよりも大径の同心円上に等間隔で並ぶように3つの非貫通の軸受孔5dが片面に形成され、また、同じ片面に該回転支持盤5a,5bの外周縁に沿うように円形受溝5eが形成されている。なお、前記貫通孔5cは、略円形であるが、
図7に示されるように、遊技球pの動きが前記軸受孔5dの方向には僅かに許容されるようにその方向にのみ内径が僅かに拡張された歪な円形に形成されている。また、前記軸受孔5dは前記各研磨ロール2,3,4の両端部9a,9bを回転自在に受支するものであるが、その受支時に、
図7に示したように、各研磨ロール2,3,4が前記貫通孔5cの方向(矢印Aで示す)へ僅かに動き得るように、前記貫通孔5cの方向に僅かに長い長孔形に形成されている。
【0015】
また、リング状の伝動歯車10a,10bには、内周面に内歯10cが形成され、外周面に外歯10dが形成されているとともに、前記円形受溝5eに遊嵌する円形突条10eが片面に形成され、該伝動歯車10a,10bをそれぞれ前記回転支持盤5a,5bの上面および下面に配設することにより該伝動歯車10a,10bは該回転支持盤5a,5bに対しても回転自在となるように配設されるとともに、内歯10cは3本の研磨ロール2,3,4の各小歯車8a,8bに噛合する。
【0016】
また前記遊技球送込樋16は、
図3に示したように、スタンド17上に形成された略コ字形の樋本体16aの前面に樋蓋16bをビス止することにより略L字形に形成され、遊技球送込樋16の上端部には遊技球貯留部16cが形成される。そして図示しない遊技機の遊技盤を流下したアウト球、入賞球等の遊技球pが該遊技球貯留部16cに流入すると、該遊技球pは該遊技球貯留部16cにて一列に整列して該遊技球送込樋16を流下するようになる。なお、該遊技球貯留部16cは研磨装置本体1よりも高所となるように、遊技球送込樋16の高さが設定され、遊技球pは自重で該遊技球送込樋16を流下し、該遊技球送込樋16の下流端部に設けられた球送込装置15に流入する。
【0017】
球送込装置15は、前記樋本体16aの下端部にU字形の曲面部16dを一体に形成し、該曲面部16dの曲率中心にスプロケット16eが配置されるようにモータ16fの回転出力軸に該スプロケット16eを固着し、前記樋蓋16bの下端部に該スプロケット16eを覆う蓋部16gを形成することで、遊技球送込樋16の下流端部の球流路がU字形に形成されている。そして該スプロケット16eを前記モータ16fにより回転駆動することで、前記遊技球送込樋16を流下してきた遊技球pが該スプロケット16eの外周に等間隔に形成されている複数(6か所)の凹部16jに保持されることで該遊技球pはこのU字形の球流路に沿って旋回し上方向に強制的に送られ、後述する遊技球通路11を通り上方に位置する遊技球流出樋18へ流出されるようにしている。なお、このU字形の球流路の流出側の至端部に前記回転支持盤5aを水平面内で回転可能に支持するための支持部16hと支持部16iがそれぞれ樋本体2aと樋蓋2bに一体に形成される。
【0018】
また、前記電気的駆動源6は、前記遊技球送込樋16上に箱体6aを固設し、該箱体6a上に固設したモータ6bの回転出力軸を該箱体6a中に突設し、該回転出力軸に小径歯車6cを固設している。そして該箱体6aと隣り合い、後述する研磨装置本体1の遊技球通路11の上下方向に沿うように伝動軸6dを配置し、該伝動軸6dの両端部に伝動仲介歯車6e,6fを固設し、一方の伝動仲介歯車6eを該小径歯車6cおよび前記伝動歯車10aの外歯10dに噛合させ、他方の伝動仲介歯車6fを伝動歯車10bの外歯10dに噛合させている。この際、該伝動軸6dの上下端はそれぞれ前記遊技球流出樋18の下面と前記遊技球送込樋16の上面に回転自在で鉛直起立状に支持されている。このため、該モータ6bの回転駆動により小径歯車6cが
図7の矢印B方向に回転すると、伝動仲介歯車6e,6fが矢印C方向に回転し、前記伝動歯車10a,10bは矢印D方向に回転駆動される。
【0019】
また、前記スタンド17に支柱17aを樹立し、該支柱17a上に樋本体17bを形成し、該樋本体17bの前面に樋蓋18aをビス止することにより遊技球流出樋18を形成し、該樋本体17bと樋蓋18aに前記回転支持盤5bを水平面内で回転可能に支持するための支持部17cと支持部18bを形成している。そして前記支持部16h,16i上に回転支持盤5aが水平面内で回転可能に支持され、支持部17c,18b下に回転支持盤5bが水平面内で回転可能に配置され、該回転支持盤5aと回転支持盤5bの間に前記研磨ロール2,3,4が両端部9a,9bをそれぞれ該回転支持盤5aの軸受孔5dおよび該回転支持盤5bの軸受孔5dに受支することにより回転自在に支持される。これにより中心部に前記研磨ロール2,3,4によって囲まれた遊技球通路11が上向に起立した竪型に形成され、前記回転支持盤5a,5bを該遊技球通路11に直交する面上にて回転自在なるように配置し、その状態で前記回転支持盤5a,5b面上に摺動可能に配置された前記伝動歯車10a,10bの内歯10cが各小歯車8a,8bに共通して噛合した状態となる。そして該遊技球通路11に前記球送込装置15によって押し上げられた遊技球pが流入し、該遊技球pは該遊技球通路11を通って前記遊技球流出樋18に排出されるようにしている。
なお、前記スプロケット16eと同軸に回転円板19aが設けられ、該回転円板19aには該スプロケット16eと同じように外周に等間隔に複数(6か所)のスリット19bが形成され、該スリット19bを検出する光学的センサ19を設けることにより該回転円板19aおよび該スプロケット16eの回転を検知し、球送込装置15によって押し上げられる遊技球pの数を検知し得るようにしている。そして、前記遊技球流出樋18に遊技球pの通過を確認するセンサ(図示しない)が設けられ、光学的センサ19と該センサから得られる電気信号により、遊技球流出樋18を流通する遊技球pが常に1球ずつ検知されるようにしている。
【0020】
そこで前記伝動歯車10a,10bが
図7に示した矢印D方向に回転駆動されると、該伝動歯車10a,10bの内歯10cは小歯車8a,8bを介して前記研磨ロール2,3,4に矢印E方向に回転する力を及ぼすと同時に該各研磨ロール2,3,4を矢印Aの遊技球通路11方向に向けて押す力をも及ぼす。この際、回転支持盤5a,5bの軸受孔5dは前記遊技球通路11の方向に長い長孔形として形成されていることから該各研磨ロール2,3,4は矢印Aに向けて動き、該各研磨ロール2,3,4は、該遊技球通路11を流通する遊技球pの表面に適当な圧力で接触しつつ矢印E方向への自転もする。またその自転に際し遊技球pとの摩擦による抵抗が増すと回転支持盤5a,5bもまた回転自在であるので該各研磨ロール2,3,4は伝動歯車10a,10bと回転支持盤5a,5bと伴に該遊技球通路11を中心として矢印D方向に公転もする。このため、遊技球通路11を流通する遊技球pは、常に適当な圧力で各研磨ロール2,3,4に挟着され、しかも該各研磨ロール2,3,4は該遊技球pの表面に片寄りなく接触する。こうした状態で遊技球pは該遊技球通路11を前記球送込装置15の作動により強制的に上方に移動せられるので、該遊技球pの表面に付いていた汚れが満遍なく除去され、綺麗な状態で遊技球流出樋18に排出される。このように、遊技球pは3本の研磨ロール2,3,4に挟まれて研磨されるようにしたことにより、該各研磨ロール2,3,4の全長は比較的短いものに設定しても十分な研磨、洗浄作用が発揮され、全体として小型化が可能となる。このため遊技球封入式遊技機に内蔵させるのに適したものとなる。そして、遊技球封入式遊技機の場合、遊技球流出樋18から流出した遊技球は、図示しない発射装置の遊技球発射位置に流落し、遊技者が発射操作をすることで遊技盤上に発射され、再循環する。なお、各研磨ロール2,3,4は前記したように各研磨ロール2,3,4の外周表面に縦筋状の凹凸を形成したことによっては、遊技球p表面との摩擦を一定レベルに保つことで清浄作用を促進させる。
【0021】
また、この実施形態1では各研磨ロール2,3,4の両端部9a,9bを受支するための前記軸受孔5dを長孔形に形成したが、長孔形でなくても該両端部9a,9bの移動に余裕を与える大径の軸受孔を形成してもよい。このように研磨ロール2,3,4を揺動可能に支持することで、樹脂片等の異物が侵入し該異物が遊技球pと研磨ロール2,3,4との間に噛み込んだとしても、該研磨ロール2,3,4は退避し得るので、該研磨ロール2,3,4や伝動歯車10a,10b、電気的駆動源6等に無理な負荷が掛かるようなことはなく、これによる無用な停止や損傷が回避される。しかも、伝動歯車10a,10bを回転駆動することにより、各研磨ロール2,3,4は自転または公転、或いは自転しながら公転もすることから、常に電気的駆動源6等に掛かる負荷が軽減され、遊技中に遊技球pの循環が滞ってしまい遊技を中断させるようなトラブルの発生は回避される。また、仮に異物が噛み込んで停止したとしても研磨ロール2,3,4は揺動可能に支持されていることで、研磨ロール2,3,4の間隔を広げて手作業で異物を取り除くことも容易になり、メンテナンスも容易になるので特には遊技球封入式遊技機に設けるのに適する。
【0022】
なお、この遊技球研磨装置では、各研磨ロール2,3,4により遊技球通路11を上下方向に連なる竪型に形成するとともに、スプロケット16eを回転駆動することにより遊技球を整列状態にて該遊技球通路11に揚送する球送込装置15を該遊技球通路11の下方部に配設し、該球送込装置15の流入側に流出側よりも多数の遊技球pが連なる遊技球送込樋16を形成したことから、該遊技球送込樋16に連なる多数の遊技球pの重力と球送込装置15を経て該遊技球通路11に揚送される遊技球pの重力とがバランスし、該球送込装置15による遊技球pの揚送が軽負荷にてスムースに行われるようになる。従って該球送込装置15のスプロケット16eやモータ16f等を小型化し、部品コストを軽減することができる。なお、この実施形態に示したように遊技球送込樋16を前記遊技球通路11よりもさらに高所まで連なるように形成したことによっては、該遊技球送込樋16に待機している多数の遊技球pの重量が該球送込装置15に掛かるので該球送込装置15の負荷を一層軽減させることができる。
【0023】
[実施形態2]
次に本発明に係る遊技球研磨装置の実施形態2を
図8~
図14に従い説明する。
この実施形態2では、実施形態1における前記各研磨ロール2,3,4の一端部に形成された小歯車8aと噛合する伝動歯車10aのみが前記電気的駆動源6により回転駆動されるようにしている。即ち、この実施形態2では実施形態1における小歯車8b、伝動歯車10bおよび伝動仲介歯車6fを無くし、各研磨ロール2,3,4が一方の伝動仲介歯車6eおよび伝動歯車10aでのみ駆動されるようにしている。これに伴い前記各研磨ロール2,3,4の小歯車8bは不要となるので、この実施形態2では図示していない。その他の構成は実施形態1と同様であるので、
図8~
図14中に実施形態1と同一部分は同一符号を付すことで詳しい説明は割愛するが、この実施形態2では、伝動仲介歯車6eが回転駆動され一方の伝動歯車10aを
図10の矢印Fの方向に回転させるように作用したときに回転支持盤5aにはその回転力が作用するが、他方の回転支持盤5bにはそのような回転力は作用しないので、回転支持盤5aのみが先ず矢印Fの方向に少し回転する。そのために各研磨ロール2,3,4は
図8,
図9に示したように垂直であったものが
図10~
図12に示したように円周方向に傾斜するようになる。
【0024】
このように各研磨ロール2,3,4が傾斜すると、該各研磨ロール2,3,4によって囲まれた遊技球通路11にある遊技球pに該各研磨ロール2,3,4は適宜圧力で接触し、その接触状態で該各研磨ロール2,3,4は自転および/または公転をする。なお、
図13,
図14には遊技球通路11に遊技球pが無い状態で該各研磨ロール2,3,4がさらに急角度で傾斜した状態を示すが、このように該各研磨ロール2,3,4の傾斜状態によって遊技球通路11はさらに狭くなったり反対に広くなったりする。このため、実施形態2として示す遊技球研磨装置においても、遊技球通路11を流通する遊技球pは、常に適当な圧力で各研磨ロール2,3,4に挟着され、しかも該各研磨ロール2,3,4は該遊技球pの表面に片寄りなく接触し、研磨作用を一層向上させる。このため、遊技球pの表面に付いていた汚れが満遍なく除去され、遊技球pより綺麗に保つことができる。そして、樹脂片等の異物が噛み込んだ際でも、該研磨ロール2,3,4は傾斜角度が緩くなることで退避し得るので、電気的駆動源6等に無理な負荷を掛けることなく、停止や損傷が回避され、遊技中に中断といったトラブルを発生させることもない。
また、仮に異物が噛み込んで停止したとしても、その場合は他方の回転支持盤5bを手で摘んで研磨ロール2,3,4の傾斜捩じれ状態を元に戻し、
図8に示したような垂直な状態にしてやれば、遊技球通路11は広くなり研磨ロール2,3,4の間隔も広がるので、手作業で異物を簡単に取り除くことができる。従って、実施形態2の遊技球研磨装置でも小型化が可能でメンテナンスも容易となり遊技球封入式遊技機に設けるのに適したものとなる。
【0025】
なお、以上説明した実施形態1および2では、研磨ロール2,3,4に軸状の端部9a,9bを形成し、回転支持盤5a,5bに前記軸状の端部9a,9bと対応する軸受孔5dを備え、その軸受孔5dを長孔又は軸状の端部9a,9bの経よりも大径とすることで遊技球通路11を通過する遊技球pに対して研磨ロール2,3,4の回転中心軸がスライド移動し揺動可能としたが、回転支持盤5a,5b側に支軸を形成し、研磨ロール2,3,4側にその支軸を受入れる軸受孔を形成し、その軸受孔をその支軸よりも大径で研磨ロール2,3,4の回転中心軸がスライド移動(位置ズレ)可能となるように構成することによっても遊技球通路11を通過する遊技球pに対して研磨ロール2,3,4を揺動可能とすることができる。
また、研磨ロール2,3,4の軸状の先端部9a,9b、及び、軸受孔5dの底面部には、円弧面、または、球面が形成されているのが望ましい。円弧面、または、球面が形成されることによって、遊技球通路11を通過する遊技球pに対して滑らかな揺動動作や円周方向に傾斜が可能となる。
また、これらの実施形態では、3本の円柱形の研磨ロール2,3,4を設けたが、本発明では4本以上の研磨ロールを配設して遊技球通路11が形成されるようにしてもよい。
また、これらの実施形態では、3本の研磨ロール2,3,4が電気的駆動源6により回転駆動されるようにしたが、3本全てを回転駆動しなくても、少なくとも1本或いは2本の研磨ロールを回転駆動するようにし、その他の研磨ロールは回転支持盤に回転自在に支持するだけの構成にすることもできる、要するに研磨ロールを回転駆動する伝動機構についても、この実施形態に示した構成以外に種々の改変が可能である。
また、以上の実施形態1,2では3本の円柱形の研磨ロール2,3,4によって囲まれるように遊技球通路11を形成したが、1本の円柱形の研磨ロールの一側と相対するように例えば樋形状の壁とにより遊技球通路を形成し、該遊技球通路を通過する遊技球を該研磨ロールに接触させることで遊技球が研磨されるようにしてもよい。また、上記壁については、樋形状の壁を例として挙げたが、研磨ロールと同様に円柱形の壁とすることで遊技球との接触による抵抗を低減することができる。いずれにしても、ここでいう壁とは、回転ができない状態で回転支持盤に一体又は別体で支持されており、研磨ロールとともに遊技球通路を形成するものをいう。ただし、上記実施形態1,2に示したように、3本以上の研磨ロールにより囲まれるように遊技球通路を形成することによっては、該遊技球通路を通過する遊技球が多方向から同時に複数の研磨ロールと接触するようになるので研磨効率が向上し、該遊技球は一層ムラなく研磨できるようになる。
【符号の説明】
【0026】
p…遊技球、 1…研磨装置本体、 2,3,4…研磨ロール、 5a,5b…回転支持盤、 5c…貫通孔、 5d…軸受孔、 5e…円形受溝、 6…電気的駆動源、 6a…箱体、 6b…モータ、 6c…小径歯車、 6d…伝動軸、 6e,6f…伝動仲介歯車、 8a,8b…小歯車、 9a,9b…端部、 10a,10b…伝動歯車、 10c…内歯、 10d…外歯、 10e…円形突条、 11…遊技球通路、 15…球送込装置、 16…遊技球送込樋、 16a…樋本体、 16b…樋蓋、 16c…遊技球貯留部、 16d…曲面部、 16e…スプロケット、 16f…モータ、 16g…蓋部、 16h,16i…支持部、 16j…凹部、 17…スタンド、 17a…支柱、 17b…樋本体、 17c…支持部、 18…遊技球流出樋、 18b…支持部、 18a…樋蓋、 19…光学的センサ、 19a…回転円板、 19b…スリット