(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】包装機用ヒートシール装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20250106BHJP
B65B 3/04 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
B65B51/10 101
B65B3/04
(21)【出願番号】P 2021119246
(22)【出願日】2021-07-20
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 修久
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-232780(JP,A)
【文献】特開2002-337822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B51/00-51/32
B65B 1/00- 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋の袋口を開口する開口工程、開口した袋口から被包装物を包装袋に充填する充填工程及び、被包装物を充填した包装袋の袋口をヒートシールするヒートシール工程を含む複数の工程を有し、包装袋を順次各工程へ間欠的に移動させて、包装袋に被包装物を充填した包装製品を量産する包装機のヒートシール工程に設けられる包装機用ヒートシール装置であって、
シール歯面を備えた一対の挟持体と、各挟持体を往復移動させる第1アクチュエータと、移動可能
及び回転可能に設けられたスクレーパ及びスクレーパを移動させる第2アクチュエータを備え、
第1アクチュエータで進退するロッドに挟持体を連結し、
当該ロッドを進退可能に支持する軸受に第2アクチュエータを固定し、
当該第2アクチュエータの駆動軸に駆動ギヤを連結し、
当該駆動ギヤに噛み合う従動ギヤを軸受に回転可能に組み付け、当該従動ギヤにスクレーパを固定して、
両挟持体をシール位置又は清掃位置に設定可能に設け、
シール位置では両挟持体が包装袋の袋口近辺を挟持してシール歯面が袋口に圧接されて、ヒートシールされ、
清掃位置では両挟持体のシール歯面の間に所定の隙間が形成され、スクレーパを移動させると、スクレーパがシール歯面に摺接し、シール歯面の汚れがスクレーパで除去されるようにしたことを特徴とする包装機用ヒートシール装置。
【請求項2】
挟持体にテーパ面と、テーパ面から連続するシール歯面を形成し、
清掃位置では両テーパ面で先細りの隙間を形成したことを特徴とする
請求項1に記載の包装機
用ヒートシール装置。
【請求項3】
スクレーパとして一方の挟持体のシール歯面に摺接する第1スクレーパと、第1スクレーパと別個で他方の挟持体のシール歯面に摺接する第2スクレーパを備え
第1スクレーパと第2スクレーパを、従動ギヤの回転中心から半径方向に沿って放射状に配列するとともに、第1スクレーパと第2スクレーパを交互に配置したことを特徴とする
請求項1に記載の包装機
用ヒートシール装置。
【請求項4】
包装機の稼働中に給袋を停止する回数を任意に設定し、給袋停止中に両挟持体を清掃位置に設定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包装機
用ヒートシール装置。
【請求項5】
包装機のいずれかの工程で包装袋に不良が発生したとき、両挟持体を清掃位置に設定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包装機
用ヒートシール装置。
【請求項6】
スクレーパの回転回数及び回転方向を任意に設定可能にしたことを特徴とする
請求項1に記載の包装機
用ヒートシール装置。
【請求項7】
スクレーパをシール歯面に対して、左右方向へ、又は左右及び上下方向へ直線的に移動させることを特徴とする請求項1に記載の包装機
用ヒートシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装機用ヒートシール装置に関し、より詳しくは包装袋の袋口を開口する開口工程、開口した袋口から被包装物を包装袋に充填する充填工程及び、被包装物を充填した包装袋の袋口をヒートシールするヒートシール工程を含む複数の工程を有し、包装袋を順次各工程へ間欠的に移動させて、包装袋に被包装物を充填した包装製品を量産する包装機のヒートシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の包装機のヒートシール工程に設けられるヒートシール装置は、シール歯面を備えた一対の挟持体と、各挟持体を往復移動させるアクチュエータを備え、両挟持体で包装袋を挟持し、シール歯面を包装袋の袋口近辺に圧接させて袋口をヒートシールしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、包装袋に充填される被包装物がシール歯面に付着すると付着部分がシール不良となる。そのため、従来の包装機では、被包装物がシール歯面に付着したとき、運転を停止し、人手でシール歯面を清掃している。この清掃作業は被包装物の種類にもよるが、5~10分に一回の頻度で行っている。そのため、包装機の生産効率の低下が避けられない。
一方、生産効率の低下を避けるために運転を継続しながら人手でシール歯面を清掃すると、シール歯面に手が触れて火傷するおそれがある。
本発明はかかる点に鑑み、シール歯面の清掃を安全に行うことができ、包装機の生産効率の低下を来さない包装機用ヒートシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、包装袋の袋口を開口する開口工程、開口した袋口から被包装物を包装袋に充填する充填工程及び、被包装物を充填した包装袋の袋口をヒートシールするヒートシール工程を含む複数の工程を有し、包装袋を順次各工程へ間欠的に移動させて、包装袋に被包装物を充填した包装製品を量産する包装機のヒートシール工程に設けられる包装機用ヒートシール装置であって、
シール歯面を備えた一対の挟持体と、各挟持体を往復移動させる第1アクチュエータと、移動可能及び回転可能に設けられたスクレーパ及びスクレーパを移動させる第2アクチュエータを備え、
第1アクチュエータで進退するロッドに挟持体を連結し、
当該ロッドを進退可能に支持する軸受に第2アクチュエータを固定し、
当該第2アクチュエータの駆動軸に駆動ギヤを連結し、
当該駆動ギヤに噛み合う従動ギヤを軸受に回転可能に組み付け、当該従動ギヤにスクレーパを固定して、
両挟持体をシール位置又は清掃位置に設定可能に設け、
シール位置では両挟持体が包装袋の袋口近辺を挟持してシール歯面が袋口に圧接されて、ヒートシールされ、
清掃位置では両挟持体のシール歯面の間に所定の隙間が形成され、スクレーパを移動させると、スクレーパがシール歯面に摺接し、シール歯面の汚れがスクレーパで除去されるようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の包装機用ヒートシール装置において、挟持体にテーパ面と、テーパ面から連続するシール歯面を形成し、
清掃位置では両テーパ面で先細りの隙間を形成したことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の包装機用ヒートシール装置において、スクレーパとして一方の挟持体のシール歯面に摺接する第1スクレーパと、第1スクレーパと別個で他方の挟持体のシール歯面に摺接する第2スクレーパを備え
第1スクレーパと第2スクレーパを、従動ギヤの回転中心から半径方向に沿って放射状に配列するとともに、第1スクレーパと第2スクレーパを交互に配置したことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の包装機用ヒートシール装置において、包装機の稼働中に給袋を停止する回数を任意に設定し、給袋停止中に両挟持体を清掃位置に設定するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の包装機用ヒートシール装置において、包装機のいずれかの工程で包装袋に不良が発生したとき、両挟持体を清掃位置に設定するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の包装機用ヒートシール装置において、スクレーパの回転回数及び回転方向を任意に設定可能にしたことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の包装機用ヒートシール装置において、スクレーパをシール歯面に対して、左右方向へ、又は左右及び上下方向へ直線的に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、シール歯面に摺接するスクレーパを第2アクチュエータで移動させて、シール歯面の汚れを除去するので、人手によることなくシール歯面を清掃できる。そのため、シール歯面の清掃時に手がシール歯面に触れて火傷する危険がなくなり安全性が向上する。
また、包装袋は、給袋コンベア によって順次搬送され、給袋装置の吸盤で一袋ずつグリップ対に受け渡し、グリップ対で把持して間欠的に各工程へと移動される。シール歯面を清掃する場合、給袋を中止し、包装袋を把持していないグリップ対がヒートシール工程に移動したとき、一対の挟持体を清掃位置に設定してスクレーパを移動させる、あるいはヒートシール工程にシールの良否を検出するセンサを設け、シール不良が検出されたとき、スクレーパを作動させてシール歯面を清掃することにより、包装機の運転を中断することなく、シール歯面を清掃できる。そのため、包装機の運転中断による生産効率の低下を防ぐことができる。
また好ましくは、第1アクチュエータのロッドを進退可能に支承する軸受に第2アクチュエータ、駆動ギヤ、従動ギヤ及びスクレーパを組み付けたので、ヒートシール装置がコンパクトになり、ヒートシール装置を狭いスペースに設置することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、スクレーパを回転させたとき、スクレーパが先細りの隙間を通って両シール歯面で区画形成される所定の隙間へとガイドされるので、スクレーパが所定の隙間に詰まって作動不良となるのを防止できる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、一方の挟持体のシール歯面に摺接する第1スクレーパとは別個の第2スクレーパを他方の挟持体のシール歯面に摺接させるので、スクレーパの寿命が長くなり、長期にわたり清掃機能を発揮できる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、自動的に所定の回数、シール歯面が清掃されるので、シール歯面が汚れることによるシール不良を未然に防止できる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、例えば給袋工程で包装袋を掴着又は釈放するためのグリップ対に受け渡せなかったとき、あるいはシールチェッカー等の検査装置から包装袋に不良が発生したことを知らせる信号が出力されたとき等、包装機のいずれかの工程で包装袋に不良が発生したとき、自動的にシール歯面が清掃されるので、シール歯面が汚れることによるシール不良を未然に防止できる。
【0017】
請求項6及び7に記載の発明によれば、より効果的にシール歯面の汚れを除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施例に係る
包装機用ヒートシール装置を備えた包装機を示す平面図である。
【
図2】同包装機に設けられているグリップ対を示す説明図である。
【
図3】同包装機で行われる工程の作業内容を示す説明図である。
【
図4】本発明の第1実施例に係る
包装機用ヒートシール装置を示す正面図である。
【
図5】同ヒートシール装置の主要部を示す正面図である。
【
図6】同ヒートシール装置の主要部を示す説明図である。
【
図7】同ヒートシール装置に設けられたスクレーパを示す斜視図である。
【
図8】同ヒートシール装置の主要部を示す正面図である。
【
図9】同ヒートシール装置の主要部を示す正面図である。
【
図10】本発明の第2実施例に係る
包装機用ヒートシール装置を示す正面図である。
【
図11】本発明の第3実施例に係る
包装機用ヒートシール装置を示す正面図である。
【
図12】本発明の実施例に係る
包装機用ヒートシール装置に設けられるスクレーパの他の実施例を示す斜視図である。
【
図13】本発明の実施例に係る
包装機用ヒートシール装置に設けられるスクレーパの他の実施例を示す斜視図である。
【
図14】スクレーパの移動方法を示す説明図である。
【
図15】スクレーパの他の移動方法を示す説明図である。
【実施例1】
【0019】
以下に本発明を図面に基づき説明する。
図1には本発明の第1実施例に係る包装機用ヒートシール装置30を備えたロータリー式包装機10が示されている。
図1に示すように、ロータリー式包装機10は垂直に設けられた回転軸11を備え、回転軸11の上部に円盤状の回転体12が固定されている。この回転体12には
図2に示すように、包装袋15を掴着又は釈放するためのグリップ対13が回転軸11を中心として等角度間隔で放射方向に突出するように設けられている。グリップ対13は、二組が一体となって給袋コンベア14から供給される包装袋15の袋口の両側付近を把持し、回転体12の間欠的な回転に伴って、第1工程~第10工程へと順に間欠的に移動する。
【0020】
図3を参照して第1工程~第10工程の各工程の作業内容を説明する。第1工程は給袋工程であって、給袋コンベヤ14に包装袋15をセットし、包装袋15を分離吸盤で一袋ずつに分離し、供給吸盤16に送り、供給吸盤16で包装袋15をグリップ対13に受け渡す動作が行われる。この袋受け渡し時には包装袋15の高さが補正される。
第2工程は印字工程であって、回転体12の停止中に包装袋15の姿勢が確認され、インクジェットプリンタ17にて包装袋15の表面に捺印される。第3工程は印字検査工程であって、回転体12の停止中にカメラ18にて捺印検査が行われる。第4工程は袋開口工程であって、吸盤19で包装袋15の袋口と包装袋15の底部折込部が開かれる。第5工程は固形物充填工程であって、カップ投入機20から包装袋15に具材が投入される。包装袋15が第4工程から第5工程へ移動中、包装袋15には袋口からヘラ21が挿入され、包装袋15の移動中に袋口が閉じることが防止される。
【0021】
第6工程は液体充填工程であって、充填ノズル22からソースと水が充填される。第7工程は底折工程であって、底折装置23で袋底を折り込み、包装袋15の充填物が袋底に沈みこませられる。同時に充填物がこぼれないように袋口が引っ張られる。第8工程は第1ヒートシール工程であって、後述するヒートシール装置30に備えられた一対の挟持体31で包装袋15の袋口近辺を挟持し、予熱を加えて袋口近辺の条件が均一にされる。同時に丸棒24で包装袋15を押えてエアー抜きされるとともに、後述するスクレーパで挟持体31のシール歯面が清掃される。第9工程は第2ヒートシール工程であって、第8工程に設けられたヒートシール装置30とは別のヒートシール装置の挟持体によって包装袋15の袋口が完全にシールされる。また、包装機10内で包装不良と判定された包装袋15がコンベア25で排出される。第10工程は冷却シール工程であって、トップシールの外観、強度を安定させるため、ヒートシール装置30でヒートシールされた袋口近辺が丸棒で冷却され、包装製品としてシュート27からコンベア28で包装機外へ排出される、
【0022】
なお、第6工程から第7工程にかけては、生産終了時、爪洗浄用温水ノズルでグリップ対13に温水が噴射され、グリップ対13の汚れが吹き飛ばされる。そして、吹き飛ばされて浮いた汚れが第7工程から第8工程にかけて爪洗浄用エアーノズルで吹き飛ばされる。
【0023】
本発明の第1実施例に係る包装機用ヒートシール装置30を
図4~
図6に示す。当該ヒートシール装置30は上記した包装機10の第1ヒートシール工程に設けられているもので、一対の挟持体31を備えている。一方の挟持体31はブラケット32でロッド33の先端部に固定され、他方の挟持体31はブラケット34でロッド35の先端部に固定されている。一方の挟持片31の、ブラケット32の反対側の面にはテーパ面31aとテーパ面31aから連続するシール歯面31bが形成されている。他方の挟持片31のブラケット34と反対側の面にもテーパ面31aとテーパ面31aから連続するシール歯面31bが形成されている。
【0024】
ロッド33は、機枠10Aに固定された軸受36と軸受37でロッド33の軸心方向に進退可能に支承されている。同様に、ロッド35は機枠10Aに固定された軸受38と軸受39で進退可能に支承されている。
【0025】
ロッド33の後端部にはリンクレバー40の一端が連結されている。このリンクレバー40の他端はリンクレバー41に一端に連結されている。リンクレバー41は軸42で機枠10Aに回動可能に組み付けられている。リンクレバー41の他端にはリンクレバー43の一端が連結され、リンクレバー43の他端にロッド35が連結されている。
【0026】
リンクレバー41にはベルトプーリ44が組み付けられている。一方、軸受37のケーシングにギヤボックス45が固定され、ギヤボックス45に第1アクチュエータとしてサーボモータ46が組み付けられている。ギヤボックス45にはベルトプーリ47が取り付けられ、ベルトプーリ44とベルトプーリ47の間にベルト48が張り渡されている。
【0027】
軸受36のケーシングには第2アクチュエータとして、ブラケット49でモータ50が取り付けられている。
図5及び
図6に詳細に示すように、モータ50の駆動軸には駆動ギヤ51が固定されている。一方、駆動ギヤ51に噛み合う従動ギヤ52が軸受36のケーシングに回転可能に組み付けられている。
図6に示すように、従動ギヤ52には一方の挟持体31のシール歯面31bに摺接する第1スクレーパ55と、第1スクレーパ55と別個の、他方の挟持体31のシール歯面31bに摺接する第2スクレーパ56がそれぞれブラケット54で取り付けられている。両スクレーパ55,56は
図7に示すように、角型に形成され、硬質ゴムで出来ている。第1スクレーパ55と第2スクレーパ56は、従動ギヤ52の回転中心から半径方向に沿って放射状に配列されている。また、第1スクレーパ55と第2スクレーパ56は交互に配置されている。
【0028】
第1実施例に係るヒートシール装置30の構造は以上の通りであって、サーボモータ46を作動させると、
ロッド33にサーボモータ46のトルクがベルトプーリ47→ベルト48→ベルトプーリ44→リンクレバー41→リンクレバー40を介して伝達されるのでロッド33が進退する。同様に、ロッド35にはサーボモータ46のトルクがベルトプーリ47→ベルト48→ベルトプーリ44→リンクレバー41→リンクレバー43を介して伝達されるのでロッド35が進退する。ロッド33に連結された挟持体31とロッド35に連結された挟持体31は、サーボモータ46の回転方向と回転角を制御することにより
図5に示すシール位置または
図8及び
図9に示す清掃位置に設定される。
【0029】
図5に示すように、シール位置では一方の挟持体31のシール歯面31bが包装袋15の袋口近辺の外側の面に圧接し、他方の挟持片31のシール歯面31bが包装袋15の内側の面に圧接し、これにより袋口がヒートシールされる。
【0030】
図8に示すように、両挟持体31が清掃位置にあるとき、両挟持体31の間にはテーパ面31aによって先細りの隙間S1と、シール歯面31bによって先細りの隙間S1に連接する隙間S2が形成される。モータ50を作動させると、従動ギヤ52の回転に伴いスクレーパ55,56も回転し、
図9に示すように、スクレーパ55、56が順次、両挟持体31の間を通過する。そして、一方のスクレーパ55が通過するとき、ロッド35に連結した挟持片31のシール歯面31bに摺接し、他方のスクレーパ56が通過するときロッド33に連結した挟持体31のシール歯面31bに摺接する。そして、スクレーパ55,56の回転に伴いシール歯面31bの汚れ31c(
図6参照)がスクレーパで拭き取られて除去される。
【0031】
第1実施例に係るヒートシール装置30によれば、シール歯面31bに摺接するスクレーパ55,56をサーボモータ46で回転させて、シール歯面31bの汚れを除去するので、人手によることなくシール歯面31bを清掃できる。そのため、シール歯面31bの清掃時に手がシール歯面31bに触れて火傷する危険がなくなり安全性が向上する。
【0032】
シール歯面31bを清掃する場合、包装袋15は、給袋コンベア14によって順次搬送され、給袋装置の吸盤16で一袋ずつグリップ対13に受け渡し、グリップ対13で把持して間欠的に各工程へと移動される。給袋を中止し、包装袋15を把持していないグリップ対13がヒートシール工程に移動したとき、一対の挟持体31を清掃位置に設定してスクレーパ55,56を回転させる、あるいはヒートシール工程にシールの良否を検出するセンサを設け、シール不良が検出されたとき、スクレーパ55,56を作動させてシール歯面31bを清掃することにより、包装機10の運転を中断することなく、シール歯面31bを清掃できるので、包装機10の運転中断による生産効率の低下を防ぐことができる。
【0033】
スクレーパ55,56を回転させたとき、スクレーパ55,56が先細りの隙間S1を通って両シール歯面31bで区画形成される所定の隙間S2へとガイドされるので、スクレーパ55,56が所定の隙間S2に詰まって作動不良となるのを防止できる。
【0034】
サーボモータ46で進退するロッド33を支承する軸受36にモータ50、駆動ギヤ51、従動ギヤ52及びスクレーパ55,56を組み付けたので、ヒートシール装置30がコンパクトになり、ヒートシール装置30を狭いスペースに設置することが可能となる。
【0035】
一方の挟持体31のシール歯面31bに摺接する第1スクレーパ55とは別個の第2スクレーパ56を他方の挟持体31のシール歯面31bに摺接させるので、スクレーパ55,56の寿命が長くなり、長期にわたり清掃機能を発揮できる。
【実施例2】
【0036】
本発明の第2実施例に係る包装機用ヒートシール装置60を
図10に示す。上記第1実施例に係る包装機用ヒートシール装置30では、第1アクチュエータとしてサーボモータ46を用いたが、
図10に示す第2実施例に係るヒートシール装置60のように、第1アクチュエータとして、2個のエアシリンダ61,62を設け、エアシリンダ61,62のロッド63を、リンクレバー64を介してリンクレバー41に連結して構成することもできる。また、第2アクチュエータとしてモータ50を設けたが、ロータリーアクチュエータのように回転機構を有する他の手段を用いても良い。
なお、第2実施例の他の構成は第1実施例の包装用ヒートシール装置30と同じであるので、同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
【実施例3】
【0037】
本発明の第3実施例に係る包装機用ヒートシール装置70を
図11に示す。上記第1実施例に係る包装機用ヒートシール装置30では、サーボモータ46とリンクレバー41とをベルトプーリ44、ベルトプーリ47、ベルト48を介して駆動連結しているが、
図11に示す包装機用ヒートシール装置70ではサーボモータ46とリンクレバー41をリンクレバー71とリンクレバー72で駆動連結している。
なお、第3実施例の他の構成は第1実施例の包装用ヒートシール装置30と同じであるので、同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
上記第1、第2及び第3実施例では、スクレーパ55,56として角形のものを用いたが、
図12に示すように、スクレーパ58にスリット58aを入れたもの、あるいは
図13に示すように、短冊形のスクレーパ59を複数枚重ねあわせたものを用いることで、より清掃機能を高めることができる。
【0039】
上記第1、第2及び第3実施例において、包装機10の稼働中に給袋を停止する回数を任意に設定し、給袋停止中に両挟持体31を清掃位置に設定すれば、自動的に所定の回数、シール歯面31bが清掃されるので、シール歯面31bが汚れることによるシール不良をより一層未然に防止できる。
【0040】
また、包装機10のいずれかの工程で包装袋15に不良が発生したとき、両挟持体31を清掃位置に設定するようにすれば、例えば給袋工程で包装袋15を掴着又は釈放するためのグリップ対13に受け渡せなかったとき、あるいはシールチェッカー等の検査装置から包装袋15に不良が発生したことを知らせる信号が出力されたとき等、包装機10のいずれかの工程で包装袋15に不良が発生したとき、自動的にシール歯面31bが清掃されるので、シール歯面31bが汚れることによるシール不良をより一層防止できる。
【0041】
また、スクレーパの55,56の回転回数及び回転方向を任意に設定可能にすれば、より効果的にシール歯面31bの汚れを除去できる。
【0042】
上記第1、第2及び第3実施例では、スクレーパ55,56をモータ50で回転させて両挟持体31の間の所定の隙間S2を通過させているが、モータ50に代えてエアシリンダ等の他のアクチュエータをスクレーパ55,56の移動手段に用いれば、
図14に示すように、スクレーパ55,56を左右方向へ直線的に移動させることも、また
図15に示すように、左右及び上下方向へ直線的に移動させることも可能となる。
【符号の説明】
【0043】
10…ロータリー包装機
13…グリップ対
15…包装袋
30…ヒートシール装置
31…挟持体
31a…テーパ面
31b…シール歯面
31c…汚れ
33,35,63…ロッド
36…軸受
46…サーボモータ
50…モータ
51…駆動ギヤ
52…従動ギヤ
55…第1スクレーパ
56…第2スクレーパ
58,59…スクレーパ
60…ヒートシール装置
70…ヒートシール装置
S1,S2…隙間