(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】スマートルービックキューブのウェイクアップ方法及びスマートルービックキューブ
(51)【国際特許分類】
A63F 9/08 20060101AFI20250106BHJP
【FI】
A63F9/08 502A
(21)【出願番号】P 2023094888
(22)【出願日】2023-06-08
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202310111212.6
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519129687
【氏名又は名称】広州淦源智能科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003650
【氏名又は名称】弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】江淦源
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第115518366(CN,A)
【文献】特開2009-063563(JP,A)
【文献】特表2019-526402(JP,A)
【文献】特表2009-512484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0080297(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110012530(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートルービックキューブに設けられた加速度計により、前記スマートルービックキューブのX軸、Y軸、及びZ軸の加速度値を検出する、ステップS10と、
前記スマートルービックキューブのいずれかの軸方向に加速度が発生することを検出した場合、加速度値を取得する、ステップS20と、
前記加速度値を予め設定されたウェイクアップ閾値と比較し、前記加速度値がウェイクアップ閾値よりも大きい場合、前記加速度計を介して前記スマートルービックキューブのマイクロ制御ユニットにウェイクアップ信号を送信する、ステップS30と、
前記マイクロ制御ユニットによってスマートルービックキューブのシステムを再起動することで、前記スマートルービックキューブは通常動作モードに入る、ステップS40と、
ステップS40の後には、
スマートルービックキューブのファームウェアプログラムを起動し、加速度計を起動する、ステップS50と、
加速度計の出力データレートを設定する、ステップS51と、
加速度計の測定範囲を設定する、ステップS52と、
加速度計のX、Y、Zオフセットを設定する、ステップS53と、
ウェイクアップ閾値を設定する、ステップS54と、
割り込みピンにウェイクアップ割り込み駆動を設定する、ステップS55と、
前記スマートルービックキューブがスリープモードに入ると、ステップS10を開始する、ステップS56と、
を含むことを特徴とする、スマートルービックキューブのウェイクアップ方法。
【請求項2】
前記ステップS30は、具体的には、
前記加速度値が予め設定されたウェイクアップ閾値よりも大きいと判断された場合、タイマーを開始し、取得された加速度値と予め設定されたウェイクアップ閾値を継続的に比較する、ステップS31と、
予め設定されたタイミング時間内にタイマーよって継続的に取得した加速度値が、予め設定されたウェイクアップ閾値よりも大きい場合、ウェイクアップ信号をマイクロ制御ユニットに送信する、ステップS32と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップS32では、具体的には、加速度計を介して加速度計の割り込みピンを有効にし、割り込みピンを介してHPフィルターを有効にし、HPフィルターを介してマイクロ制御ユニットを有効にして、スマートルービックキューブをウェイクアップすることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップS56は、具体的には、
ブルートゥース(登録商標)モジュールと端末装置との間の接続情報を取得する、ステップS561と、
前記ブルートゥース(登録商標)モジュールがいずれの端末機器にも接続されていない場合、加速度計によって検出されたスマートルービックキューブのX軸、Y軸、Z軸の加速度値を取得する、ステップS562と、
前記加速度値と予め設定された加速度活動閾値とを比較し、前記加速度値が予め設定された加速度活動閾値よりも小さい場合、前記スマートルービックキューブをスリープモードに入るように制御する、ステップS563と、
を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップS562では、具体的には、前記ブルートゥース(登録商標)モジュールがいずれの端末機器にも接続されていない場合、タイマーを開始し、ブルートゥース(登録商標)モジュールの接続状態を継続的に検出し、
予め設定されたタイミング時間内に前記ブルートゥース(登録商標)モジュールがいずれの端末機器にも接続されず、かつ加速度計によって検出されたスマートルービックキューブのX軸、Y軸、Z軸の加速度値がいずれも活動閾値よりも小さい場合、前記スマートルービックキューブをスリープモードに入るようにし、それ以外の場合、前記スマートルービックキューブを動作モードに維持することを特徴とする、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
ステップS51では、加速度計の出力データレートを200HZに設定し、高性能モードとして設定し、
ステップS52では、加速度計の測定範囲を±2gに設定し、低ノイズモードとして設定することを特徴とする、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記スマートルービックキューブが動作モードにある場合、
前記加速度計によりスマートルービックキューブのX軸、Y軸、Z軸の加速度値を検出し、前記加速度値に基づいて、ルービックキューブの姿勢状態を取得するステップS60をさらに含むことを特徴とする、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
中央に設けられたボールシャフト、6つのセンターブロック、8つのコーナーブロック、及び12つのエッジブロックを含む、スマートルービックキューブであって、
前記ボールシャフトに、マイクロ制御ユニット、HPフィルター、及び加速度計が設けられ、前記加速度計は、前記HPフィルターを介して前記マイクロ制御ユニットに接続され、
各回転軸に1つのセンターブロックが設けられ、隣接する2つのセンターブロックごとに1つのエッジブロックが設けられ、隣接する3つのエッジブロックごとに1つのコーナーブロックが設けられており、
前記スマートルービックキューブにおける加速度計とマイクロ制御ユニットによって、請求項1~
7のいずれか1項に記載のスマートルービックキューブのウェイクアップ方法を実現することを特徴とする、スマートルービックキューブ。
【請求項9】
コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムが実行されると、請求項1~
7のいずれか1項に記載の方法を実現することを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、知育玩具の分野に関し、特に、消費電力を低減するためにスリープ状態にあるスマートルービックキューブをウェイクアップするウェイクアップ方法、及び前記ウェイクアップ方法を実現できるスマートルービックキューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スマートルービックキューブは、内部に制御モジュール、センシング装置、及び通信モジュールなどの部品が設けられており、スマートルービックキューブの回転中にルービックキューブの回転状態を適時に記録できるため、携帯電話などのスマート端末デバイスに接続することにより、ルービックキューブ愛好家は、ルービックキューブの回転情報、ルービックキューブの復元情報、復元時間情報などのルービックキューブの情報を取得することができる。上記の部品はすべて、動作の要求を満たすためには電池を介して電力を供給する必要がある。スマートルービックキューブの電池は、操作のためにいつでも電力を補充することができないため、定期的に電池を交換するか、定期的に充電する必要がある。従って、電池の交換または充電の回数を減らすことができれば、ユーザーにより良い使用体験を与え、省エネと環境保護の目的を達成することもできる。
【0003】
調査の結果、スマートルービックキューブの実際の使用時間(すなわち、各機能モジュールがフルパワーで動作する必要がある時間)は限られており、ほとんどの時間には静止状態にあり、すなわち、フルパワーで動作する必要がない状態にあることが分かった。従って、電力の損失を可能な限り減らし、エネルギーを節約し、電池の使用時間を延長するという目的を達成するために、従来技術のスマートルービックキューブのほとんどはスリープ機能を提供しており、すなわち、一定時間内にルービックキューブがアイドル状態にあることを検出すると、スマートルービックキューブはスリープ状態に入って、ほとんどの機能モジュールは低消費電力またはオフ状態になるため、大量の電力を節約する。
【0004】
スマートルービックキューブがスリープ状態にある場合、スマートルービックキューブが動作モードに入る必要があることを適時に発見し、各機能モジュールをスリープまたはオフ状態からフルパワー動作モードに入るように適時にウェイクアップして、スマートルービックキューブの回転状態を適時に記録するためには、ルービックキューブの状態をリアルタイムで監視する必要がある。
【0005】
上記の目的を達成するために、従来技術によって提供されるスマートルービックキューブ製品では、通常、ルービックキューブの面を回転させることによって、ルービックキューブの制御モジュール(MCU:Microcontroller Unit マイクロ制御ユニット)をウェイクアップするものである。この方法はルービックキューブを適時にウェイクアップする効果があるが、ルービックキューブがスリープ状態にある場合、割り込み傍受のために6つの面に接続されたIO(Input/Output:入力/出力)ポートをリアルタイムで監視する必要がある。従来技術によって提供されるスリープ状態でのルービックキューブの傍受機能は電力消費が比較的高く、電池の通常動作時間に一定の影響を与える。同時に、回転によってスマートルービックキューブをウェイクアップする方法では、スマートルービックキューブは1つの面が回転によってウェイクアップされたことを検出すると、一定のウェイクアップ時間を必要とし、この期間にスマートルービックキューブの操作状態を適時に記録できず、ルービックキューブのユーザーに電源投入待ちの体験を与え、すなわち、ルービックキューブのユーザーに、ルービックキューブ製品を使用するたびに電源投入操作を実行する必要があるような体験を与え、スマートルービックキューブの真の知能化に対して不快な体験をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のスマートルービックキューブが抱えていた上記の技術的問題に対して、本発明の実施形態は、スマートルービックキューブのウェイクアップ方法を提供する。スマートルービックキューブの内部に加速度計を設置し、加速度計を介してスマートルービックキューブの3軸の加速度を検出することにより、スマートルービックキューブの3軸のいずれかの方向の加速度値が予め設定された値を超えると、スマートルービックキューブはスリープ状態から自動的にウェイクアップし、各機能モジュールは通常動作モードに入る。本出願の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアップ方法は、ルービックキューブがスリープ状態にあるときに監視によって消費される電力を削減し、従来技術と比較して、省エネの目的を達成することができる。同時に、ルービックキューブのユーザーがルービックキューブを手に取ると、スマートルービックキューブは、通常動作モードに入り始め、ルービックキューブのユーザーは何の動作も必要とせず、ルービックキューブのユーザーにより知能化された良い使用体験を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の実施形態は、
スマートルービックキューブに設けられた加速度計により、前記スマートルービックキューブのX軸、Y軸、及びZ軸の加速度値を検出する、ステップS10と、
前記スマートルービックキューブのいずれかの軸方向に加速度が発生することを検出した場合、加速度値を取得する、ステップS20と、
前記加速度値を予め設定されたウェイクアップ閾値と比較し、前記加速度値がウェイクアップ閾値よりも大きい場合、前記加速度計を介して前記スマートルービックキューブのマイクロ制御ユニットにウェイクアップ信号を送信する、ステップS30と、
前記マイクロ制御ユニットによってスマートルービックキューブのシステムを再起動することで、前記スマートルービックキューブは通常動作モードに入る、ステップS40と、
を含む、スマートルービックキューブのウェイクアップ方法を提供する。
【0008】
本出願の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアップ方法は、スマートルービックキューブのボールシャフトに加速度計を設けることにより、スマートルービックキューブがスリープ状態に入ると、前記加速度計によりスマートルービックキューブの3軸方向の加速度値を検出し、いずれかの加速度値がウェイクアップ閾値に達した場合、スマートルービックキューブが使用されることを意味し、スマートルービックキューブの状態を記録するために通常動作モードに入る必要がある。このとき、ウェイクアップ信号をMCU(micro control unit、マイクロ制御ユニット)に送信し、MCUによりシステムを通常動作モードに入るように制御し、すなわち、スマートルービックキューブの様々な機能モジュールを動作モードに入るように制御する。このとき、スマートルービックキューブに対するいかなる操作も適時に記録され、スマートルービックキューブに接続された端末装置にアップロードできる。スマートルービックキューブがスリープ状態にある場合、電池は加速度計に動作電力を供給するだけでよく、MCUも割り込みが導入された1つのポートの状態を監視するだけでよく、他の部分は電池の電力量を使用せずにスリープまたはオフ状態に入ることができ、スリープ状態でのスマートルービックキューブのエネルギー消費を大幅に削減でき、電池の動作時間を増加させ、ユーザーの使用体験を向上させることができる。同時に、ユーザーがスマートルービックキューブを手に取ることで、スマートルービックキューブに加速度が生じ、ユーザーがスマートルービックキューブを回転して使用するまでに一定の時間がかかり、これは、MCUが通常動作モードに入るのに十分な時間である。このとき、ユーザーがスマートルービックキューブを回転させると、スマートルービックキューブ内に設けられた様々なセンサが通常動作モードに入り、ユーザーの操作を通常どおりに検出して記録できるため、ユーザーにスマートルービックキューブがその操作をいつでも知能的に記録できる体験を与え、ユーザーの操作体験を向上させることができる。
【0009】
同じ目的に基づいて、本出願は、中央に設けられたボールシャフト、6つのセンターブロック、8つのコーナーブロック、及び12つのエッジブロックを含むスマートルービックキューブであって、前記ボールシャフトに、マイクロ制御ユニット、HPフィルター、及び加速度計が設けられ、前記加速度計が、前記HPフィルターを介して前記マイクロ制御ユニットに接続され、各回転軸に1つのセンターブロックが設けられ、隣接する2つのセンターブロックごとに1つのエッジブロックが設けられ、隣接する3つのエッジブロックごとに1つのコーナーブロックが設けられており、前記スマートルービックキューブにおける加速度計とマイクロ制御ユニットによって、上記実施形態によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアップ方法を実現する、スマートルービックキューブを提供する。
【0010】
本出願の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブは、加速度計を設置し、組み込みプログラムを書くことによって、前記プログラムが実行されると、上記実施形態によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアップ方法を実現することができる。これにより、スリープモードでのスマートルービックキューブのエネルギー消費を節約できる。ユーザーにスマートルービックキューブがその操作をいつでも知能的に記録できる体験を与え、ユーザーの操作体験を向上させることができる。
【0011】
同じ目的に基づいて、本出願の別の実施形態は、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムが実行されると、第1の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアップ方法を実現することができる、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の実施形態における技術的手段をより明確に説明するために、以下では、実施形態の説明に使用する必要がある図面を簡単に紹介するが、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施形態であり、当業者であれば、創造的な労働を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
【0013】
【
図1】本発明の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブの構造模式図である。
【
図2】本発明の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブの部分分解構造模式図である。
【
図3】本発明の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブの部分分解構造模式図である。
【
図4】本発明の実施形態によって提供される加速度計とチップとの接続模式図である。
【
図5】本発明の実施形態によって提供される加速度計の内部構造の模式図である。
【
図6】本発明の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアッププロセスを示す模式図である。
【
図7】本発明の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアッププロセスにおける加速度計による検出の模式図である。
【
図8】本発明の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアップ方法の詳細なプロセスを示す模式図である。
【
図9A】本出願の加速度計が3軸加速度を介してルービックキューブの姿勢状態を取得することを示す模式図である。
【
図9B】本出願の加速度計が3軸加速度を介してルービックキューブの姿勢状態を取得することを示す模式図である。
【
図10】本発明の実施形態によって提供されるボールシャフトの全体構造模式図である。
【
図11】本発明の実施形態によって提供されるボールシャフトの断面模式図である。
【
図12】本発明の実施形態によって提供されるボールシャフトの分解構造模式図である。
【
図13A】本発明の実施形態によって提供されるセンシング装置の構造模式図である。
【
図13B】本発明の実施形態によって提供されるセンシング装置の構造模式図である。
【
図13C】本発明の実施形態によって提供されるセンシング装置の構造模式図である。
【
図14】本発明の実施形態によって提供されるマイクロ制御ユニットと電子感知ユニット、磁気位置決めユニットとの接続状態を示す模式図である。
【
図15】ルービックキューブの各面で使用されるホールセンサと磁石との接続模式図である。
【
図16】1つの面の回転を例として面回転時のホールセンサの出力値を説明する模式図である。
【
図17】ルービックキューブの回転状態とホールセンサの動作原理を示す模式図である。
【
図18】本発明の実施形態によって提供される回路基板固定座と組み合わされた回路基板の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的、技術的手段、及び利点をより明確にするために、以下に、本発明の実施形態における添付図面を参照して、本発明の技術的手段を、実施形態によって明確かつ完全に説明する。説明した実施形態は、本発明の一部の実施形態であって、全ての実施形態ではないことは明らかである。本発明の実施形態に基づいて、当業者が創造的な労働をすることなく得た他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に属する。
【0015】
本発明の説明において、第1、第2が記述される場合、単に技術的特徴を区別することを目的としており、相対的な重要性を示唆もしくは暗示するもの、記載された技術的特徴の数を暗示的に示すもの、または記載された技術的特徴の順序関係を暗示的に示すものと理解することはできない。
【0016】
本発明の説明において、別段の明確な定義がない限り、「設け」などの用語は広い意味で理解されるべきであり、当業者は、技術的手段の具体的な内容を参照して、本発明における上記の用語の具体的な意味を合理的に決定することができる。
【0017】
本発明者は、スマートルービックキューブの研究開発エンジニアとして、スマートルービックキューブのさまざまな実現手段を提供した。既存のスマートルービックキューブのウェイクアップ方法について深く研究した結果、既存のスマートルービックキューブがスリープ状態に入ると、ユーザーがスマートルービックキューブを手に取り、その1つの面を回転させるとき、スマートルービックキューブのMCUモジュールは、1つのウェイクアップトリガー信号を受信し、ルービックキューブを通常動作モードに入るようにウェイクアップする。従来技術によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアップ方法は、スマートルービックキューブが実際に使用中であることを正確に判断でき、スリープモードから通常動作モードに適時に入ることができるが、ユーザーがスマートルービックキューブを回転させるときに、特定の面を意図的に回転させるのではなく、任意の面をランダムに回転させる可能性があるため、ユーザーが任意の面を回転させたときにユーザーの回転操作を検出できるようにするために、スマートルービックキューブは、ウェイクアップ信号を適時に受信できるように、スリープ状態で6面のIOポートを検出する必要がある。このように、スマートルービックキューブは、スリープで監視するのに必要なエネルギー消費量が多く、ユーザーの使用体験が低下する。例えば、ボタン電池の場合、操作しなくても、数か月使用すると、電池を交換したり、充電したりしなければならない可能性がある。そうしないと、電池の電力が底をつき、すべての機能モジュールが電力不足で正常に作動しなくなる。一方、既存のスマートルービックキューブのウェイクアップ操作では、ウェイクアップトリガー信号を送信するために、ユーザーが1つの面を回転させる必要がある。一般にスマートルービックキューブのユーザーは、スマートルービックキューブを回転させる際に、スマートルービックキューブを起動するのではなく、スマートルービックキューブを操作して何らかの混乱や復元動作を行うことを考えている。しかし、既存のスマートルービックキューブは、ウェイクアップ過程で各機能モジュールをスリープ状態から通常動作モードに入るために起動するのに一定の時間を必要とする。この期間に、ユーザーの操作は、スマートルービックキューブにおける様々なセンサによって検出、記録されないため、ユーザーに、スマートルービックキューブの電源投入操作が必要となり、十分にスマートではないという使用体験を与える。
【0018】
そこで、本出願は、上記の問題を改善し、スマートルービックキューブのウェイクアップ方法を提供する。
【0019】
図1、
図2、
図3に示すように、以下では、典型的な3次ルービックキューブを例として、本出願の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブを詳細に説明する。本出願によって提供されるスマートルービックキューブは、6つの面を含み、各面は9つのキューブブロックを含み、6つの面は、6つのセンターブロック1、8つのコーナーブロック2、及び12つのエッジブロック3の合計26つのキューブブロックを含む。中心に位置し、回転中心として機能するボールシャフト4をさらに含む。センターブロック1は各面の回転軸に設けられ、その面にあるキューブブロックの回転の中心として、その位置は変化せず、1つの面のみに色またはパターンがある。エッジブロック3は、任意の2つのセンターブロックの間に埋め込まれたキューブブロックであり、その2つの面が異なる色またはパターンで構成されている。隣接する3つのエッジブロックごとに、コーナーブロック2によって接続される。ルービックキューブの初期状態では、各面の色は異なるが、同じ面の色は同じである。もちろん、異なるパターンを設けることで、各面を区別することもできる。そのプレイ方法としては、各面が異なる色またはパターンを含むことができるように、各面上のキューブブロックを乱し、最終的に初期状態に復元する必要があるものである。
【0020】
本出願によって提供されるスマートルービックキューブは、ボールシャフト4の内部に、マイクロ制御ユニット、加速度計、HPフィルター、ブルートゥース(登録商標)モジュール、電池モジュールが設けられている。電池モジュールは、マイクロ制御ユニット、加速度計、HPフィルター、ブルートゥース(登録商標)モジュールなどの各機能部品に電力を供給し、加速度計はHPフィルターを介してマイクロ制御ユニットに接続され、マイクロ制御ユニットはブルートゥース(登録商標)モジュールも接続されている。本出願の実施形態のボールシャフトは、上記の部品に限定されず、スマートルービックキューブの各面の回転及び回転角度を感知するためのセンサなどのスマートルービックキューブの機能を補完するためのセンサをさらに含んでもよい。本出願の実施形態によって提供される加速度計とマイクロ制御ユニットとの接続構造模式図は
図4に示す。加速度計は、主に物体の加速度値を検出するために使用され、現在、物体の3方向の加速度値を検出するための成熟した手段があり、飛行機、ドローン、スマート端末、インテリジェント加工及び製造設備などで成熟した応用がある。本出願の実施形態では、lis2dw12加速度計を使用して、スマートルービックキューブのX軸、Y軸、及びZ軸の3方向の加速度値を検出し、本出願によって提供される加速度計の内部構造の模式図は、
図5に示す。
【0021】
図6に示すように、本出願の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアップ方法は、
スマートルービックキューブに設けられた加速度計により、前記スマートルービックキューブのX軸、Y軸、及びZ軸の加速度値を検出する、ステップS10と、
前記スマートルービックキューブのいずれかの軸方向に加速度が発生することを検出した場合、加速度値を取得する、ステップS20と、
前記加速度値を予め設定されたウェイクアップ閾値と比較し、前記加速度値がウェイクアップ閾値よりも大きい場合、前記加速度計を介して前記スマートルービックキューブのマイクロ制御ユニットにウェイクアップ信号を送信する、ステップS30と、
前記マイクロ制御ユニットによってスマートルービックキューブのシステムを再起動することで、前記スマートルービックキューブは通常動作モードに入る、ステップS40と、
を含む。
【0022】
本出願の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアップ方法は、スマートルービックキューブのボールシャフトに加速度計を設けることにより、スマートルービックキューブがスリープ状態に入ると、前記加速度計によりスマートルービックキューブの3軸方向の加速度値を検出し、いずれかの加速度値がウェイクアップ閾値に達した場合、スマートルービックキューブが使用されることを意味し、スマートルービックキューブの状態記録するために通常動作モードに入る必要がある。このとき、ウェイクアップ信号をMCU(micro control unit、マイクロ制御ユニット)に送信し、MCUによりシステムを通常動作モードに入るように制御し、すなわち、スマートルービックキューブの様々な機能モジュールを動作モードに入るように制御する。このとき、スマートルービックキューブに対するいかなる操作も適時に記録され、スマートルービックキューブに接続された端末装置にアップロードできる。スマートルービックキューブがスリープ状態にある場合、電池は加速度計に動作電力を供給するだけでよく、MCUも割り込みが導入された1つのポートの状態を監視するだけでよく、他の部分は電池の電力量を使用せずにスリープまたはオフ状態に入ることができ、スリープ状態でのスマートルービックキューブのエネルギー消費を大幅に削減でき、電池の動作時間を増加させる。本出願によって提供される方法を使用すると、ボタン電池は、他の用途がない場合、スマートルービックキューブに3年間の電池電力量を提供できるため、ユーザーの使用体験を向上させる。同時に、ユーザーがスマートルービックキューブを手に取ることで、スマートルービックキューブに加速度が生じ、ユーザーがスマートルービックキューブを回転して使用するまでに一定の時間がかかり、これは、MCUが通常動作モードに入るのに十分な時間である。このとき、ユーザーがスマートルービックキューブを回転させると、スマートルービックキューブ内に設けられた様々なセンサが通常動作モードに入り、ユーザーの操作を通常どおりに検出して記録できるため、ユーザーにスマートルービックキューブがその操作をいつでも知能的に記録できる体験を与え、ユーザーの操作体験を向上させることができる。
【0023】
本出願によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアップ方法の好ましい実施形態では、ステップS30は、具体的には、
前記加速度値が予め設定されたウェイクアップ閾値よりも大きいと判断された場合、タイマーを開始し、取得された加速度値と予め設定されたウェイクアップ閾値を継続的に比較する、ステップS31と、
予め設定されたタイミング時間内にタイマーよって継続的に取得した加速度値が、予め設定されたウェイクアップ閾値よりも大きい場合、ウェイクアップ信号をマイクロ制御ユニットに送信する、ステップS32と、
を含む。
【0024】
さらなる研究において、発明者は、本出願によって提供されるスマートルービックキューブのウェイクアップ方法を使用してスマートルービックキューブをウェイクアップする場合、いくつかの誤ウェイクアップの状況が存在し、その結果、ウェイクアップする必要がない場合でもスマートルービックキューブがウェイクアップされ、通常動作モードに入り、電池の電力量を浪費する状況もあることを発見した。分析の結果、この状況は主にいくつかの突発的な振動によって発生し、スマートルービックキューブは特定の方向に突然ウェイクアップ閾値をはるかに超えるという大きな加速度値を生成する。しかし、日常生活では、このような振動のほとんどは連続的ではなく、すなわち、突然大きな振動が発生するが、すぐに消える。ユーザーがスマートルービックキューブを手に取り、ルービックキューブを操作すると、連続的な加速度が発生する。従って、本出願の好ましい実施形態では、加速度計によってスマートルービックキューブの加速度値がウェイクアップ閾値よりも大きいことを検出した場合、タイミングのためにタイマーを開始し、一定時間内に加速度値がウェイクアップ閾値よりも大きいことを継続的に検出した場合、割り込みピンを有効にし、割り込みピンを介してMCUを有効にしてスマートルービックキューブをウェイクアップする。
【0025】
本出願では、スマートルービックキューブを通常動作モードに入るようにするための実現方法は、マイクロ制御ユニットによってスマートルービックキューブのシステムを再起動することである。好ましい実施形態では、ファームウェアシステムを再起動し、すなわち、ステップS40の後に、
スマートルービックキューブのファームウェアプログラムを起動し、加速度計を起動する、ステップS50と、
加速度計の出力データレートを設定する、ステップS51と、
加速度計の測定範囲を設定する、ステップS52と、
加速度計のX、Y、Zオフセットを設定する、ステップS53と、
ウェイクアップ閾値を設定する、ステップS54と、
割り込みピンにウェイクアップ割り込み駆動を設定する、ステップS55と、
前記スマートルービックキューブがスリープモードに入ると、ステップS10を開始する、ステップS56と、
をさらに含む。
【0026】
ソフトウエアの設計・実現としては、本発明の実施形態では、HPフィルターを使用してイベントを識別するためのウェイクアッププログラムを実現する。
図7、
図8に示すように、基本的なプロセスは次のとおりである。
ファームウェアプログラムを起動し、
加速計を起動し、加速度計を初期化し、
加速度計のODR(加速度計の出力データレート)を200Hzに設定し、高性能モードとして設定し、
加速度計のFS(測定範囲)を±2gに設定し、LOW_NOSIE(低いノイズ)モードとして設定し、
HPフィルターを有効にし、割り込みを有効にし、
加速度計のX、Y、Zオフセット値を設定し、
加速度計のウェイクアップ閾値を設定し、ウェイクアップ閾値の設定値は、試験データに従って設定することができ、本出願の一実施形態では、ウェイクアップ閾値を62.5mg(=2*FS/64)に設定する。
【0027】
加速度計チップの割り込みピンにウェイクアップ割り込み駆動を設定する。このとき、スマートルービックキューブは通常動作モードに入り、センサ、ブルートゥース(登録商標)モジュール、マイクロ制御ユニットなどの各機能モジュールはすべて通常動作モードに入る。
【0028】
スマートルービックキューブが動作モードにある場合、MCUはリアルタイムで検出し、スマートルービックキューブがアイドル状態にあるかどうかを判断し、これによって、スマートルービックキューブがアイドル状態にあるときにスリープモードに入り、電池の電力を節約する。スマートルービックキューブは、次の方法でスリープモードに入る必要があるかどうかを判断する。
【0029】
MCUは、スマートルービックキューブが端末装置に接続されているかどうかを検出する。スマートルービックキューブが通常動作モードである必要がある場合は、通常2つの状態がある。1つの状態では、ユーザーは、スマート端末(例えば、スマートフォン、タブレットなど)を介してスマートルービックキューブに接続し、スマートルービックキューブのデータを取得する、または携帯電話を介してスマートルービックキューブを操作し、例えば、スマートルービックキューブを設定する。もう1つの状態では、ユーザーはスマートルービックキューブを回転させて、スマートルービックキューブを操作する。
【0030】
本出願によって提供される好ましい実施形態では、MCUはブルートゥース(登録商標)モジュールをリアルタイムで監視しており、ブルートゥース(登録商標)モジュールがいずれのスマート端末とも接続していない場合、スマートルービックキューブがアイドル状態にある可能性があると判断し、このとき、MCUは加速度計の加速度値を読み取る。スマートルービックキューブの加速度値が活動閾値よりも大きい場合、スマートルービックキューブが操作されていることを意味し、スマートルービックキューブは通常動作状態に保たれる。スマートルービックキューブの加速度値が活動閾値よりも小さいことが検出された場合は、スマートルービックキューブが操作されておらず、アイドル状態にあることを意味する。スマートルービックキューブをスリープモードに入るように駆動することで、ほとんどの機能モジュールをオフまたは低消費電力状態にすることができる。
【0031】
本出願によって提供される好ましい実施形態では、スマートルービックキューブが端末装置に接続されておらず、検出された3軸のうちのいずれかの加速度値が活動閾値よりも小さい場合、タイミングのためにタイマーを開始し、ブルートゥース(登録商標)モジュールの接続状態と加速度計の加速度値を継続的に検出する。予め設定されたタイミング時間を超えると、スマートルービックキューブをスリープモードに入るように制御し、ブルートゥース(登録商標)モジュールまたは加速度値がスリープ条件を満たしていない場合、スマートルービックキューブの通常動作モードを維持し、再検出する。このように、ユーザーが短い休憩を取ったときにスマートルービックキューブが頻繁にスリープ状態になり、再起動することを回避できる。タイマーの時間設定は、1分に設定するなど、必要に応じて、または統計データに応じて設定できる。統計を通じて、スマートルービックキューブがスリープ状態から2分以内にウェイクアップされることが多いことが判明した場合は、2分に設定できる。スマートルービックキューブの活動閾値は必要に応じて設定でき、ウェイクアップ閾値と同じであってもよく、ウェイクアップ閾値と異なってもよい。
【0032】
スマートルービックキューブがスリープモードに入ると、システムはウェイクアップ検出状態に入り、すなわち、本出願の実施形態によって提供されるスマートルービックキューブを使用してウェイクアップ操作を実行する。加速度計によって測定された値が、一定期間連続してウェイクアップ閾値よりも大きい場合、すなわち、所定時間内に継続的に測定されたデータとレジスタ設定との差が設定された閾値を超えた場合、各X、Y、Zデータにウェイクアップ割り込み信号を生成する。WAKE_UP_THSレジスタのWU_THSフィールドは000010bに設定されているため、ウェイクアップ閾値は62.5mg(=2*FS/64)となり、デバイスをウェイクアップし、プログラムは正常に動作する。ここでの連続時間は、2秒に設定するなど、必要に応じて設定できる。前記時間はあまり短く設定できず、短すぎると、タイマーのタイミング効果が得られず、長すぎることもできず、長すぎると、ユーザーがスマートルービックキューブを操作している可能性があるが、スマートルービックキューブはまだ通常動作モードに入っていない。
【0033】
本発明は、加速計のX、Y、Z軸の値を取得することにより、スマートルービックキューブの姿勢を判断し、それによって、ルービックキューブを手に取ってウェイクアップする機能を実現し、ユーザーに認識しない起動モードを与え、スマートルービックキューブの設計がより人道的になる。次に、このようなウェイクアップ方法では、加速度計の割り込みピンの1つのIOポートのみに対して割り込み傍受を行う必要があり、従来技術のスマートルービックキューブがスリープ状態で各面のIOポートを傍受する方法と比較して、スリープモードでのスマートルービックキューブのIOポートの割り込み傍受を低減し、スリープモードでのルービックキューブの電力消費を大幅に削減できる。本発明では、ルービックキューブをこのように構成することで、ルービックキューブは、140mAhのボタン電池のみを使用するだけで、スリープ状態で最大3年間動作することができる。
【0034】
本出願によって提供されるスマートルービックキューブは、加速度計を使用する場合において、スマートルービックキューブが通常動作モードにあるときにも、3軸加速度を介してルービックキューブの姿勢状態に変換することができる。以下、
図9A、
図9Bを参照して、その実現原理を説明する。
【0035】
加速度計チップのX軸を前に、Y軸を左に、Z軸を上に合わせて右手の法則を用い、親指はジャイロスコープのX、Y、Z軸の正方向をそれぞれ指し、4本の指が指す方向・角度は正である。
ピッチ角θ=asin(-ax)
ロール角=atan(ay/az)
【0036】
加速度計を水平に置くと、すなわち、Z軸が垂直に上向きの場合、Z軸は1gの値(gは重力加速度)、X軸とY軸の両方向は0を読み取り、(0、0、g)として記録することができる。傾斜角は、例えば、
図9Bに示す傾斜角が現れた場合、常に重力を基準に生成された絶対データであることが分かる。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、さらに3軸加速度によりルービックキューブの姿勢状態に換算することができる。
【0038】
本出願の発明者は、スマートルービックキューブを組み立てる際に、構造が複雑であるという問題点を発見した。同時に、スマートルービックキューブの組み立て過程では、厳しいプロセスが要求され、6面のPCB基板を相互に接続する過程では、各PCB基板が互いに垂直になるように調整する必要があるとともに、各PCB基板間の接続には半田付けが必要であり、半田付け点が小さくて多い。これらはすべて、スマートルービックキューブの加工が煩雑になり、生産効率が低下し、生産コストが高くなる原因となる。
【0039】
既存のスマートルービックキューブに存在する問題を注意深く分析することにより、本出願の発明者は、スマートルービックキューブのセンサとボールシャフトを創造的に改善し、スマートルービックキューブ用のセンシング装置の構造を大幅に簡素化し、回路基板の使用を大幅に削減できるため、材料コストを大幅に削減することができるとともに、その組み立てに必要なプロセスの複雑さを大幅に低減し、スマートルービックキューブの組み立て加工の効率を高め、生産コストを削減することができる。
【0040】
図2、
図3に示すように、
図10、
図11も参照し、本出願によって提供されるスマートルービックキューブは、そのボールシャフト構造に重要な改良を加えた。本出願の実施形態によって提供されるボールシャフト4は、ボールシャフトハウジング41を含み、ボールシャフトハウジング41は、上半ハウジング411と下半ハウジング412を含み、上半ハウジング411と下半ハウジング412は、ネジ、バックルなどの手段によって着脱可能に接続されている。着脱可能に接続されている上半ハウジング411と下半ハウジング412により、ボールシャフトハウジング41の内部に形成された第2収容空間44内にセンシング装置5を内蔵することができる。
【0041】
ボールシャフトハウジング41上に、ボールシャフトハウジング41の球心を原点として三次元座標系を構築し、
図10に示すように(
図10では、各部分への影響を回避するために、座標系をボールシャフトの外側に移動した)、X軸の正方向に右回転軸421を設け、X軸の負方向に左回転軸422を設け、Y軸の負方向に前回転軸423を設け、Y軸の正方向に後回転軸424を設け、Z軸の正方向に上回転軸425を設け、Z軸の負方向に下回転軸426を設ける。各前記回転軸42に位置決めモジュール54が取り付けられ、位置決めモジュール54は回転軸42と共に回転する。前記ボールシャフトハウジング41の内部に、センシング装置5を収容するための第2収容空間44が設けられている。第2収容空間44内に、蓄電池46が装着可能な電池室45が設けられており、本出願の実施形態では、蓄電池46として、ボタン電池、具体的には、CR2032ボタン電池が使用され、前記電池は10時間持続可能であり、スマートルービックキューブを使用しない場合、待機時間は1年に達し、スマートルービックキューブの使用シナリオを満たすことができる。ボールシャフトハウジングの上半ハウジング411に電池カバー47が設けられ、電池カバー47は上半ハウジングに着脱可能に取り付けられている。電池カバー47を開けることにより、電池を交換するのに便利である。
【0042】
本出願によって提供される一実施形態では、図示のボールシャフトハウジング41の各回転軸方向に、回転軸取付穴が設けられ(
図11、
図12に示すように)、各回転軸42の下半部に挿通部が設けられ、回転軸とボールシャフトハウジングの取り付けは、挿通部を取付穴に挿入することによって実現される。挿通部とボールシャフトハウジングとの接続方式は、バックル接続であってもねじ接続であってもよいが、ここでは限定されない。本出願によって提供される実施態様では、上回転軸425に対応する取付穴は、上半ハウジング411に設けられ、下回転軸426に対応する取付穴は、下半ハウジング412に設けられている。左回転軸422、右回転軸421、前回転軸423、後回転軸424の取付穴は、2つの部分に分割され、半分は上半ハウジング411に設けられ、残り半分は下半ハウジング412に設けられている。上記の配置により、全体として各方向でよりバランスがとれ、スマートルービックキューブの保持や操作に役立つ。
【0043】
図11、
図12、及び
図13A~
図13Bに示すように、本出願によって提供されるスマートルービックキューブ用のボールシャフトは、ボールシャフトハウジング41内の第2収容空間44に設けられたセンシング装置5をさらに含む。図示のセンシング装置5は、主回路基板51と副回路基板52とを含む。前記主回路基板51に、マイクロ制御ユニット(図示せず)が設けられ、前記主回路基板51は、主回路基板の表側に設けられた第1回路基板面511と、主回路基板の裏側に設けられた第2回路基板面512とを含む。前記第1回路基板面51の中心を原点として、X軸の正方向を第1方向、X軸の負方向を第3方向、Y軸の正方向を第2方向、Y軸の負方向を第4方向とする平面直角座標系を構築する。各方向において、第1電子感知素子531、第2電子感知素子532、第3電子感知素子533、及び第4電子感知素子534が対応して設けられ、前記第2回路基板面512の中間領域に第5電子感知素子535が設けられ、各前記電子感知素子は、前記マイクロ制御ユニットと通信可能に接続されている。副回路基板52は、前記第1回路基板面511に平行なプリセット面に設けられ、前記プリセット面と前記第2回路基板面512は、それぞれ前記第1回路基板面511の両側に位置し、前記副回路基板52に、マイクロ制御ユニットと通信可能に接続された第6電子感知素子536が設けられている。
【0044】
本発明の好ましい実施形態では、スマートルービックキューブの6つの回転軸にそれぞれ設けられた第1位置決めモジュール、第2位置決めモジュール、第3位置決めモジュール、第4位置決めモジュール、第5位置決めモジュール、及び第6位置決めモジュールをさらに含み、各電子感知素子は、それぞれその方向上の位置決めモジュール54で感知的に位置決めされている。本発明によって提供される実施形態では、電子感知素子は磁気センサであり、前記磁気センサは、ホール(Hall)素子、トンネル磁気抵抗(TMR)、異方性磁気抵抗(AMR)、巨大磁気抵抗(GMR)のうちの1つまたは複数の組み合わせを含むが、これらに限定されない。前記位置決めモジュール54はすべて磁気位置決めモジュールである。本出願によって提供されるセンシング装置では、主回路基板は、スマートルービックキューブのボールシャフトに取り付けられ、スマートルービックキューブの中心位置に位置する。そこで、電子感知素子である磁気センサも、スマートルービックキューブの中心位置に設けられ、磁気位置決めモジュールは回転軸に設けられている。回転軸に設けられた磁石などの磁気位置決めモジュールが回転すると、磁石の磁界方向も全体として回転し、このとき、磁界方向と磁気センサとの間の関係が変化し、この変化により磁気センサの感知起電力または感知電流の変化が生じる。この変化はマイクロ制御ユニットに伝達され、マイクロ制御ユニットは、電流または起電力の変化状況や傾向から回転軸の回転角度を判断することができる。
【0045】
図13A~
図13C、及び
図14~
図17に示すように、本出願の実施形態では、電子感知素子がホールセンサである場合を例として説明する。
図14、
図15に示すように、回路基板には、各回転軸方向に2つのホールセンサが設けられている。黄色面のホールセンサは
図15に示す図の裏側に設けられ、その設置位置は白色面に対応し、主回路基板51の第2回路基板面に設けられており、白色面のホールセンサは副回路基板52に設けられ、2つのホールセンサは、対応する回転軸上の磁気位置決めモジュールの磁界方向をそれぞれ検出し、検出された磁界方向に応じて感知電流または感知起電力を生成し、マイクロ制御ユニット(MCU)に送信する。従って、各面に対応する2つのホールセンサの初期状態が決定されると(ホールセンサの初期状態としては、スマートルービックキューブの状態をAPPに入力した際に、APPで得られたホールセンサと磁石の対応関係で決まる値である)、後続のキューブ面の回転は90度で回転し、ルービックキューブの1つの面をひねるたびに磁石を90度回転させ、各ホールセンサは0または1の信号をMCUに出力し、2つのホールセンサの組み合わせによって、合計4つの組み合わせ信号(00、01、10、11)になり、これらはそれぞれ磁石の4つの異なる磁界方向を表す。そこで、MCUは、受信した対応する回転軸上の一対のホールセンサからの信号の組み合わせに従って、ルービックキューブの回転角度を取得し、ルービックキューブの状態を更新する。
図16に示すように、ルービックキューブの1つの面の初期状態がHALL値01に対応する場合、キューブ面が反時計回りに90度回転すると、HALL値は00になり、キューブ面が時計回りに90度回転すると、HALL値は11になり、キューブ面が180度回転すると、HALL値は10になる。上記実施形態では、2値スイッチ型のホールセンサを例として説明したが、本出願の実施形態によって提供される技術的手段では、リニアホール素子を使用することもできる。リニアホール素子を感知電子素子として使用すると、出力信号をADC(アナログデジタル変換)変換した後、90度回転に限らず任意の回転角度の情報を得ることができる。
【0046】
図17に示すように、各キューブ面の初期状態が決定されると(すなわち、第1状態として定義されると)、回転する面に応じて、対応する面の2つのホールセンサの値が変化し、例えば、白色面が回転すると、白色面のホールセンサと対応する面の磁石の位置関係が変化し、白色面のホールセンサが、対応する値を生成してマイクロ制御ユニットに送信する。ホールセンサの値と磁石の位置との関係の説明は、上記の
図16の説明を参照されたい。このとき第2状態に対応する。
【0047】
ルービックキューブの1つのキューブ面を回転させ続けると、次の2つの状況が発生する。
【0048】
第1ステップで回転した面を回転させ続け、すなわち、片面が180度回転すると、片面回転メカニズムになり、片面の初期状態では、HALL値が01に対応すると仮定し、片面が自由に回転でき、Tps速度がhall取得速度よりも大きい場合、hallは90度回転の回数を捉えることができない。ルービックキューブの速度が低下し、MCUがHALL値を捉えできる限り、
図16に基づいて、ルービックキューブのHALL値から、片面の位置を逆推定して、ルービックキューブの状態を同期させる。これが第3状態となる。
【0049】
第1ステップとは異なる面を90度回転させる場合、対応する面の2つのHALL値の変化に基づいてどの面が90度回転しているかを判断し、第2状態での該面のHALL初期値、及び
図16に基づいて、回転方向を推定する。これが第4状態となる。
【0050】
第3状態と第4状態が更新された後、それらを初期状態とする。新しく決定された初期状態に対する各面の回転に基づいて、上記の手順を繰り返す。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、
図13A~
図13C、
図18に示すように、前記主回路基板51と副回路基板52は、一体接続された同一のFPC(Flexible Printed Circuit、フレキシブル回路基板)基板で構成され、前記主回路基板51と前記副回路基板52との間の回路接続は、予備の長尺状の接続構造522によって実現される。主回路基板51と副回路基板52は、同一のFPC基板上で加工することができる。主回路基板51の第1回路基板面511に、第1ホールセンサ、第2ホールセンサ、第3ホールセンサ、及び第4ホールセンサを取り付け、前記第2回路基板面512に第5ホールセンサを取り付けるとともに、副回路基板52に第6ホールセンサを取り付ける。FPC基板の柔軟性により、主回路基板51と副回路基板52との間の位置関係を容易に変更して、主回路基板と副回路基板を所定の位置に取り付け、それらの間の予備の長尺状の接続構造522によって回路接続を実現することができる。同一のFPC基板であるため、主回路基板と副回路基板との間の半田付けが不要となり、従来技術の異なるPCB基板間の半田付けによる接続工程を低減でき、スマートルービックキューブの組み立て速度を効果的に向上させることができる。
【0052】
同一のFPC基板で主回路基板と副回路基板を構成する好ましい実施形態では、本出願の好ましい実施形態は、回路基板固定座55をさらに提供する。
図18に示すように、前記回路基板固定座55の頂部に第1固定台551が設けられ、前記回路基板固定座55の底部に第2固定台552が設けられ、前記第1固定台551は前記第2固定台552と平行である。前記第1固定台551と第2固定台552との間に第1収容空間が設けられ、前記第1収容空間の前記第1固定台に近接する部分は、電池を収容するための電池室45として設けられ、前記第1収容空間の第2固定台部に近接する部分は、電子感知素子を収容するための電子部品収容室として設けられている。前記第2固定台の中央に、第5電子感知素子を収容するためのスルーホールまたはブラインドホールが設けられ、前記主回路基板は前記第2固定台に固定され、前記副回路基板は前記第1固定台に固定されている。第1固定台551から第2固定台552までの間に、複数のくり抜き部が設けられ、回路基板固定座55の構造強度を確保した上で、くり抜き構造を設けることにより、センシング装置を軽量化し、すなわち、ボールシャフトを軽量化することができるとともに、内部の空気の流れを強化し、電池から発生する熱をルービックキューブの外部に伝達することができる。
【0053】
同一のFPC基板で主回路基板と副回路基板を作成する最大のメリットは、2つの回路基板が同一の基板であるため、両者の回路接続に半田付け作業が不要であることである。プロセスの複雑さをさらに軽減し、より優れた組み立て効果を実現することができる。
【0054】
しかし、現在FPC材料の価格が比較的高価であることから、今後科学技術や材料技術の発展に伴い、FPC基板を使用する手段が主流になる可能性はあるが、現在としてはコストが高い問題がある。そこで、本出願は、別の実施形態を提供する。
【0055】
本出願によって提供される第2の実施形態では、主回路基板51にハードPCB基板が使用され、副回路基板52にフレキシブル回路基板FPC基板が使用される。本出願によって提供されるセンシング装置では、本体部分が主回路基板51及びその上に設けられた電子感知素子、マイクロ制御ユニット上にあるため、本体部分に、技術が成熟し、比較的安価なPCB基板が使用され、配置位置及び方向を変更する必要がある副回路基板には、FPC基板が使用される。PCB基板とFPC基板は、予備の長尺状の接続構造を介して接続され、PCB基板は長尺状の接続構造の間で半田付けされ、2つの回路基板間の固定と回路接続を実現する。
【0056】
それに対応して、本出願は、第2の回路基板実施形態において、対応する回路基板固定座をさらに提供し、前記回路基板固定座の頂部に第1固定台が設けられている。前記第1固定台と前記回路基板固定座の底部との間に第1収容空間が設けられ、前記第1収容空間の前記第1固定台に近接する部分は、電池を収容するための電池室として設けられ、前記第1収容空間の回路基板固定座の底部に近接する部分は、電子感知素子を収容するための電子部品収容室として設けられている。前記副回路基板は前記第1固定台に固定され、前記主回路基板は前記回路基板固定座の底部に固定され、前記第1固定台は前記主回路基板と平行である。第1の実施形態によって提供される回路基板固定座と比較して、本実施形態によって提供される回路基板固定座には、第2固定台を設ける必要がない。PCB回路基板自体が平坦な硬質基板であり、その上に設けられた様々な部品を完全に支えることができ、回路基板固定座に固定する際に安定した形状を維持することができるためである。
【0057】
本出願によって提供される別の好ましい実施形態では、
図12に示すように、回路基板固定座55の底部の下、すなわち、PCB基板または第2固定台552の下部に、アンテナ固定座62が設けられ、アンテナ61はアンテナ固定座62に固定されている。アンテナ固定座62とアンテナ61は、全体として下半ハウジング412の内部に位置している。このように、センシング装置全体が上半ハウジングに配置されている場合、アンテナとアンテナ固定座は、ボールシャフト内部の構造関係をバランスさせることができる。アンテナ61の一実施形態はブルートゥース(登録商標)アンテナであり、アンテナ61は、マイクロ制御ユニットに回路接続されている。本出願によって提供されるスマートルービックキューブでは、マイクロ制御ユニットがアンテナを介して外部の端末装置(例えば、携帯電話、タブレット、サーバ)に接続でき、それによって、端末装置は、スマートルービックキューブ上で検出されたルービックキューブの回転状態データを容易に取得することができる。同時に、端末装置は、アンテナ61を介して制御コマンドをマイクロ制御ユニットに送信することもできる。
【0058】
本出願によって提供されるスマートルービックキューブの全体的な組み立てプロセスは次のとおりである。まず、設置・設計要件に従って、マイクロ制御ユニット及び各電子感知ユニットを、主回路基板51の第1回路基板面511、第2回路基板面512、及び副回路基板52にそれぞれ取り付ける。この過程では、すべての面にPCB基板が設けられているわけではないため、各回路基板間の垂直関係を正確に調整する必要がなくなり、成熟した電子部品実装プロセスを使用でき、各部品間の接続安定性を向上させるだけでなく、調整の面倒な作業を軽減することもできる。同時に、主回路基板にPCB基板が使用され、副回路基板にFPC基板が使用される場合、それらの間の回路接続は半田付けによって実現される。そして、組み立てられた回路基板を回路基板固定座55に取り付ける。センシング装置の全体的な実装と固定を実現する。組み立てられたセンシング装置全体と、アンテナ61、アンテナ固定座62などの他の構成要素を上半ハウジングまたは下半ハウジングに取り付けた後、上半ハウジングと下半ハウジングとを結合してボールシャフトを形成する。ボールシャフトに回転軸を取り付け、最後に各キューブブロックを設計の要求に応じて各面に取り付けることで、スマートルービックキューブの全体的な組み立てを実現する。
【0059】
本出願によって提供されるスマートルービックキューブの動作原理は次のとおりである。ルービックキューブの1つの面を回転させると、その面に対応する回転軸が回転し、回転軸によって回転軸にある磁石を回転させ、磁石の磁界方向を変化させ、磁界方向の変化は、対応するホールセンサに作用して、対応して変化する電流または起電力を生成し、前記電流または起電力をマイクロ制御ユニットに送信し、マイクロ制御ユニットは、電流または起電力の変化から回転軸の回転角度を取得できる。マイクロ制御ユニットは、ブルートゥース(登録商標)アンテナを介してスマート端末に接続され、取得された各面の回転状態をスマート端末に送信し、それと同時に、マイクロ制御ユニットは、アンテナを介して端末装置から送信された制御コマンドを受信できる。
【0060】
上述した実施形態の様々な技術的特徴は、任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするために、上述した実施形態における様々な技術的特徴の可能なすべての組み合わせについて説明することはしないが、矛盾がない限り、これらの技術的特徴の組み合わせは、本明細書に記載されている範囲内であるとみなすべきである。
【0061】
当業者であれば、上述した技術的手段及び構想に従って、他の様々な対応する変更及び変形を行うことができ、これらの変更及び変形は、本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0062】
1...センターブロック、2...コーナーブロック、3...エッジブロック、4...ボールシャフト、41...ボールシャフトハウジング、411...上半ハウジング、412...下半ハウジング、42...回転軸、421...右回転軸、422...左回転軸、423...前回転軸、424...後回転軸、425...上回転軸、426...下回転軸、44...第2収容空間、45...電池室、46...蓄電池、47...電池カバー、5...センシング装置、51...主回路基板、511...第1回路基板面、512...第2回路基板面、52...副回路基板、522...長尺状の接続構造、531...第1電子感知素子、532...第2電子感知素子、533...第3電子感知素子、534...第4電子感知素子、535...第5電子感知素子、536...第6電子感知素子、54...位置決めモジュール、55...回路基板固定座、551...第1固定台、552...第2固定台、61...アンテナ、62...アンテナ固定座。