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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20250106BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B23/02 302Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023512564
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(86)【国際出願番号】 JP2021014722
(87)【国際公開番号】W WO2022215184
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】514058108
【氏名又は名称】株式会社FABRIC TOKYO
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森 雄一郎
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-047698(JP,A)
【文献】特開2017-215733(JP,A)
【文献】特開2015-026101(JP,A)
【文献】特開2018-136749(JP,A)
【文献】特開2020-091684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫製作業を含む製作作業により製作される製作物の前記製作作業を行う機械に対して設けられたセンサから前記製作作業に関する作業データを取得するデータ取得部と、
前記製作物を構成するパーツを収容するとともに製作ラインを移動する容器に付与されたパーツ識別情報であって、前記製作物を構成する前記パーツを識別する前記パーツ識別情報を読み取る識別情報読取部と、
前記作業データの分析を行う分析部と、
(1)前記分析に基づく分析情報と、(2)前記パーツ識別情報の読み取りに対応した前記パーツの到着時間情報と、(3)前記製作作業における作業内容を示す作業内容情報、または、前記製作作業に用いる前記機械を識別する機械識別情報、あるいは、前記製作作業を行う作業員を識別する作業員識別情報の少なくともいずれかと、を、互いに紐づけて表示が可能に作業員端末または管理者端末の少なくともいずれかに送信する情報送信部と、を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記分析部は、前記作業データを分析して前記製作作業のステータスを前記分析情報として生成する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記分析部は、前記作業データを分析して前記製作作業の異常を検出し、前記異常に基づく警告を前記分析情報として生成する、請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記センサは、電流センサである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記製作物を利用するユーザが使用するユーザ端末から送信された前記ユーザの感想を含むフィードバック情報を受信するユーザ情報受信部を備え、
前記情報送信部は、前記ユーザ情報受信部が受信した前記ユーザの感想を含むフィードバック情報を前記作業員端末に送信する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記作業データが、ミシン、アイロン、プレス機および裁断機のいずれか1つ以上の電力データである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
縫製作業を含む製作作業により製作される製作物の前記製作作業を行う機械に対して設けられたセンサから前記製作作業に関する作業データを取得するデータ取得ステップと、
前記製作物を構成するパーツを収容するとともに製作ラインを移動する容器に付与されたパーツ識別情報であって、前記製作物を構成する前記パーツを識別する前記パーツ識別情報を読み取る識別情報読取ステップと、
前記作業データの分析を行う分析ステップと、
(1)前記分析に基づく分析情報と、(2)前記パーツ識別情報の読み取りに対応した前記パーツの到着時間情報と、(3)前記製作作業における作業内容を示す作業内容情報、または、前記製作作業に用いる前記機械を識別する機械識別情報、あるいは、前記製作作業を行う作業員を識別する作業員識別情報の少なくともいずれかと、を、互いに紐づけて表示が可能に作業員端末または管理者端末の少なくともいずれかに送信する情報送信ステップと、をコンピュータが行うことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
縫製作業を含む製作作業により製作される製作物の前記製作作業を行う機械に対して設けられたセンサから前記製作作業に関する作業データを取得するデータ取得機能と、
前記製作物を構成するパーツを収容するとともに製作ラインを移動する容器に付与されたパーツ識別情報であって、前記製作物を構成する前記パーツを識別する前記パーツ識別情報を読み取る識別情報読取機能と、
前記作業データの分析を行う分析機能と、
(1)前記分析に基づく分析情報と、(2)前記パーツ識別情報の読み取りに対応した前記パーツの到着時間情報と、(3)前記製作作業における作業内容を示す作業内容情報、または、前記製作作業に用いる前記機械を識別する機械識別情報、あるいは、前記製作作業を行う作業員を識別する作業員識別情報の少なくともいずれかと、を、互いに紐づけて表示が可能に作業員端末または管理者端末の少なくともいずれかに送信する情報送信機能と、を情報処理システムにて実現させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの好みにあった商品の提案が行われている。このような商品として、例えば衣類を製作するにあたり、裁縫工場の生産ラインのバランスを改善する技術がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-21755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
裁縫工場において、製作作業の最適化が望まれている。
【0005】
本発明は、裁縫工場の製作作業において、製作作業の最適化が可能な情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
センサから製作作業に関する作業データを取得するデータ取得部と、
製作物を構成するパーツを収容するとともに製作ラインを移動する容器に付与された識別情報を読み取る識別情報読取部と、
前記作業データの分析を行う分析部と、
前記分析に基づいて、前記製作作業を行う作業員に情報を送信する情報送信部と、を備える、情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、裁縫工場の製作作業の最適化が可能な情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る情報処理システム1の全体構成例を示す図。
図2】サーバ10のハードウェア構成例を示す図。
図3】サーバ10のソフトウェア構成例を示す図。
図4】ユーザ情報DB110に記憶される情報の構成例を示す図。
図5】注文情報DB111に記憶される情報の構成例を示す図である。
図6】作業内容/作業員DB112のデータセットの一例を示すテーブル。
図7】識別標識/パーツDB113のデータセットの一例を示すテーブル。
図8】作業データDB114に記憶される情報の構成例を示す図。
図9】本実施形態の情報処理システム1の処理の流れを説明する図。
図10】本実施形態の情報処理システム1の画面65に表示される作業リスト画面の一例を示す図。
図11】本実施形態の情報処理システム1の画面65に表示される作業状況確認リスト画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の一実施形態は、以下のような構成を備える。
【0010】
[項目1]
センサから製作作業に関する作業データを取得するデータ取得部と、
製作物を構成するパーツを収容するとともに製作ラインを移動する容器に付与された識別情報を読み取る識別情報読取部と、
前記作業データの分析を行う分析部と、
前記分析に基づいて、前記製作作業を行う作業員に情報を送信する情報送信部と、を備える、情報処理システム。
[項目2]
前記情報は作業情報であり、
前記情報送信部は、前記作業情報を前記製作作業において製作された製作物の識別情報とともに送信する、項目1に記載の情報処理システム。
[項目3]
前記分析部は、前記作業データを分析して異常を検出し、
前記情報送信部は、前記異常に基づいて、前記製作作業を行う作業員に前記情報を警告として送信する、項目1または2に記載の情報処理システム。
[項目4]
前記情報送信部は、検出された異常を、異常が検出された作業において製作された製作物の識別情報とともに送信する、項目3に記載の情報処理システム。
[項目5]
ユーザが使用するユーザ端末から送信された情報を受信するユーザ情報受信部を備え、
前記情報送信部は、前記ユーザ情報受信部が受信したユーザ情報とともに前記情報を送信する、項目1ないし4のいずれか1つに記載の情報処理システム。
[項目6]
前記情報送信部は、前記ユーザ端末に製作状況を送信する、項目5に記載の情報処理システム。
[項目7]
さらにユーザ情報送信部を備え、
前記ユーザ情報送信部は、前記製作作業を行う作業員から前記ユーザに対するメッセージを前記ユーザ端末に送信し、
前記ユーザ情報受信部は、ユーザからのメッセージを受信する、項目5または6に記載の情報処理システム。
[項目8]
前記情報送信部は、ユーザに関する情報を前記作業員に送信する、項目1ないし7のいずれか1つに記載の情報処理システム。
[項目9]
前記作業データが、ミシン、アイロン、プレス機および裁断機のいずれか1つ以上の電力データである、項目1ないし8のいずれか1つに記載の情報処理システム。
[項目10]
前記制作物が衣類である、項目1ないし9のいずれか1つに記載の情報処理システム。
[項目11]
前記識別情報は、前記パーツに関する情報と紐づけられる、項目1ないし10のいずれか1つに記載の情報処理システム。
[項目12]
前記作業データが、前記製作作業を行う作業員のデータと紐づけられる、項目1ないし11のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<システム構成>
図1は、本開示の一実施形態に係る情報処理システム(以下、「本システム」とも呼ぶ)の構成例を示す図である。本実施形態では、ユーザからの注文情報に基づいてオーダーメイドの衣類を製作物として製作する裁縫工場において、製作作業の最適化を行うものである。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム1は、例えば、サーバ10と、装置20と、センサ30と、識別情報読取手段50と、作業員端末60とを備える。サーバ10と、センサ30と、識別情報読取手段50と、作業員端末60とは、ネットワークNWを介して通信可能に接続される。なお、装置20が、これらの情報処理システム1を構成するサーバ10と通信可能であってもよい。また、オーダーメイドの衣類を注文するユーザが所有するユーザ端末70が、これらの情報処理システム1を構成する少なくともいずれかのサーバ10または作業員端末60と通信可能であってもよい。なお、本構成は一例であり、ある構成が他の構成を兼ね備えたり、他の構成が含まれてもよい。
【0014】
本実施形態において、ネットワークNWは、例えば、インターネットである。ネットワークNWは、例えば、公衆電話回線網、携帯電話回線網、無線通信網、イーサネット(登録商標)等により構築される。
【0015】
サーバ10は、本実施形態に係る情報処理システム1において裁縫工場全体を管理するための管理装置として機能するコンピュータである。かかるサーバ10は、例えば、裁縫工場の管理者により直接的に管理されてもよいし、裁縫工場を経営する組織や、少なくとも1の裁縫工場にかかる情報処理システム1を提供するサービサーにより管理されてもよい。
【0016】
また、例えば、サーバ10は、ワークステーションまたはパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウドコンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0017】
装置20は、縫製工場において縫製のために使用される各種の装置である。装置としては、例えば、各種アイロン、CAM(自動裁断機)、プレス機、各種ミシン等の電力によって稼働する装置が挙げられる。
【0018】
センサ30は装置20に接続され、各装置20における製作作業に関する作業データを取得する。作業データは、装置20によって得られる電力データであり、例えば、ミシン、アイロン、プレス機および裁断機の電力データである。作業データは、装置20を使って製作作業を行う作業員のデータと紐づけられる。センサ30は、装置20の作業データを取得できるものであれば限定されないが、例えば、電流センサ、距離センサ、人感センサ等が挙げられる。例えば、センサ30が電流計測器等の電流センサの場合、装置20の電流分析を行うことで、装置20の稼働時間、稼働状況、作業員の作業レベル、作業によって得られた製品の数等の作業データを取得する。また、センサ30が距離センサや人感センサの場合、例えば、ミシンと作業員との距離を測ることでミシンの踏み込みデータを取得し、踏み込み回数、踏み込み時間等の作業データを取得する。取得した作業データはサーバ10に送信されて分析される。
【0019】
容器40は、製作物である衣類を構成する各パーツをそれぞれ収容するものであり、該パーツを収容した状態で製作ラインを移動する。製作物を構成するパーツとは、例えば、衣類の襟、袖、前身頃、後身頃等である。各容器40には、収容するパーツのID情報である識別情報が埋め込まれた識別標識41が付与される。パーツの識別情報はパーツに関する情報と紐づけられる。識別標識41は、例えば、RFタグ等の非接触タグ(ICタグ)である。識別標識41がRFタグの場合、各識別標識41は、例えば、アンテナ(図示せず)と、当該アンテナを介して識別情報読取手段50と交信する交信回路(図示せず)を内蔵したICチップ(図示せず)とから構成される。このICチップには、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびメモリ(いずれも図示せず)が内蔵され、メモリには識別標識41を一意に識別できるように定められた固有の情報(ID情報)が記憶される。
【0020】
識別情報読取手段50は、製作ラインを移動する容器40に付与された識別標識41に埋め込まれた識別情報を読み取る手段である。例えば、識別標識41がRFタグ等の非接触タグ(ICタグ)の場合、識別情報読取手段50はRFタグ対応スキャナやリーダライタ等の電波でタグをスキャンする読取装置である。識別情報読取手段50は、例えば、CPU、メモリおよびアンテナ(それぞれ図示せず)を介して識別標識41と交信するための交信回路(図示せず)と、Wi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)モジュール(図示せず)と、を備える。CPUは、メモリ内のプログラムを実行することで、交信回路およびアンテナを介して識別標識41からID情報を一括又は個別に取得し、Wi-Fiモジュールを用いてID情報をサーバ10へと送信する。なお、本実施形態では識別情報の読み取りにRFID(Radio Frequency Identifier)システムを用いるが、RFIDに限らず、バーコードを読み取る方式等の他の非接触の手段を用いてもよい。識別情報読取手段50は、例えば、各装置20や検品作業所に設置したり各作業員が所持し、必要に応じて使用する。
【0021】
作業員端末60は、作業員が製作ラインでの作業内容や作業状況を確認する端末である。かかる作業員端末60には、サーバ10やユーザ端末70とのコミュニケーションが可能なアプリケーション等がインストールされていてもよいし、該コミュニケーションを可能とするウェブサービスにアクセスするためのブラウザがインストールされていてもよい。例えば、作業員端末60は、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータまたはパーソナルコンピュータ等であり得る。
【0022】
また、作業員端末60は、例えば、作業内容を確認した作業員が、作業内容にあわせて割り振りを決め、作業内容毎に作業員を登録したり、自分の作業内容や作業状況を把握する。作業状況は、作業を行っている最中にリアルタイムで把握できるだけでなく、作業の終了後にも把握できるように設定される。また、作業員端末60は、異常が検出されたデータに基づいて、異常が検出された作業を行う作業員に警告を発する警告手段(図示せず)を備えることができる。警告手段は、例えば、異常が発生すると、作業員端末60の表示画面に注意喚起のためのアラートが表示されるようにしてもよいし、作業員端末60からアラート音を発するようにしてもよい。
【0023】
ユーザ端末70は、衣類を注文するユーザが所有する端末である。かかるユーザ端末70には、サーバ10や作業員端末60とのコミュニケーションが可能なアプリケーション等がインストールされていてもよいし、該コミュニケーションを可能とするウェブサービスにアクセスするためのブラウザがインストールされていてもよい。例えば、ユーザ端末70は、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータまたはパーソナルコンピュータ等であり得る。
【0024】
次に、上記情報処理システム1の構成の詳細について説明する。
【0025】
<ハードウェア構成>
図2は、本実施形態においてサーバ10を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。コンピュータは、少なくとも、制御部11、メモリ12、ストレージ13、通信部14および入送信部15等を備える。これらはバス16を通じて相互に電気的に接続される。
【0026】
制御部11は、サーバ10全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、およびアプリケーションの実行および認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えば、制御部11はCPU等のプロセッサであり、ストレージ13に格納されメモリ12に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0027】
メモリ12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリまたはHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ12は、制御部11のワークエリア等として使用される。また、サーバ10の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)および各種設定情報等を格納する。
【0028】
ストレージ13は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ13に構築されていてもよい。
【0029】
通信部14は、サーバ10をネットワークに接続する。通信部14は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、Wi-Fi、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、近距離または非接触通信等の方式で、外部機器と直接またはネットワークアクセスポイントを介して通信する。
【0030】
入送信部15は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の情報入力機器、およびディスプレイ等の送信機器である。
【0031】
バス16は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号および各種制御信号を伝達する。
【0032】
作業員端末60やユーザ端末70を実現するコンピュータのハードウェア構成は、サーバ10を実現するコンピュータのハードウェア構成例と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0033】
<ソフトウェア構成>
図3は、本実施形態においてサーバ10のソフトウェア構成例を示す図である。サーバ10は、例えば、ユーザ情報受信部101、インタフェース表示制御部102、情報表示制御部103、作業データ取得部104、識別情報取得部105、作業データ分析部106、情報送信部107、ユーザ情報送信部108、ユーザ情報DB(データベース)110、注文情報DB111、作業内容/作業員DB112、識別標識/パーツDB113および作業データDB114を備える。ユーザ情報受信部101、インタフェース表示制御部102、情報表示制御部103、作業データ取得部104、識別情報取得部105、作業データ分析部106、情報送信部107およびユーザ情報送信部108は、制御部11がストレージ13に記憶されているプログラムをメモリ12に読み出して実行することにより実現され得る。また、ユーザ情報DB110、注文情報DB111、作業内容/作業員DB112、識別標識/パーツDB113および作業データDB114は、メモリ12およびストレージ13が提供する記憶領域の一部として実現され得る。なお、ユーザ情報DB110、注文情報DB111、作業内容/作業員DB112、識別標識/パーツDB113および作業データDB114は、サーバ10以外の1または複数のサーバが提供する外部の記憶領域の一部として実現されてもよい。
【0034】
ユーザ情報受信部101は、図1に示すユーザが使用するユーザ端末70から送信された情報を受信する機能を有する。ここで、ユーザ端末70から送信された情報は、上記のようなユーザに関する情報(ユーザ情報)の他、ユーザからの音声や動画、チャット等の手段によるメッセージであってもよい。
【0035】
インタフェース表示制御部102は、作業員端末60やユーザ端末70の画面に、例えば、対話形式のインタフェースを表示させる機能を有する。対話形式のインタフェースとは、例えばチャットアプリのように、本人と1人以上の他人とが対向し、吹き出しのオブジェクトによって互いの入力したテキストを、時系列に沿って表示するインタフェースであり得る。かかるインタフェースでは、サーバ10から送信される情報や、作業員により作業員端末60に対して入力された情報、ユーザによりユーザ端末70に対して入力された情報が表示される。サーバ10から送信される情報は、情報表示制御部103により表示される。作業員端末60やユーザ端末70に対して入力された入力情報は、サーバ10に送信されユーザ情報受信部101が受信する。サーバ10の各機能部は、かかる入力情報を取得して処理を行う。処理の結果得られる情報について、例えば情報表示制御部103が作業員端末60やユーザ端末70に表示することもある。
【0036】
情報表示制御部103は、作業員端末60やユーザ端末70のインタフェースにサーバ10から送信される情報を表示する機能を有する。かかる情報は、例えば、衣類の注文内容を選択させるための情報、作業内容を選択させるための情報、縫製工場の作業員と連絡をとるための情報等であり得る。かかる情報は、例えば、インタフェース上において、吹き出し態様のオブジェクトとともに表示され得る。かかるオブジェクトは、例えば、作業員端末60やユーザ端末70に対する操作を受け付けるオブジェクトであってもよい。具体的には、かかる情報とともに「会話を開始する」等の文字が吹き出しオブジェクトに表示されている場合、かかる文字をタップする操作を行うことで、ユーザが縫製工場の作業員と会話するための情報が生成され、サーバ10に送信され得る。
【0037】
作業データ取得部104は、装置20における製作作業に関する作業データを取得する機能を有する。すなわち、作業データ取得部104は、装置20に接続されたセンサ30から送信される電力データ等、装置20における作業データを取得する。取得される作業データは製作作業/作業員DB112と照合して、作業データに関する情報(どの装置20を用いて、いつ行われている作業なのか、作業時間の長さはどれくらいなのか、どの作業員によって行われている作業なのか等)を判別し、その結果をリアルタイムで作業データ分析部106に送信する。
【0038】
識別情報取得部105は、識別情報読取手段50から送信される識別情報41を取得する機能を有する。すなわち、識別情報取得部105は、識別情報読取手段50から送信されたその容器40に収容されたパーツに関する情報を取得する。取得された識別情報は、識別標識/パーツDB113と照合して、その結果を作業データ分析部106に送信する。
【0039】
作業データ分析部106は、作業データ取得部104から送信された作業データに関する情報と識別情報取得部105から送信された識別情報41を分析する機能を有する。ここでは、取得している作業データを作業データDB114と照合し、作業データが登録されたデータと比較して時間がかかっているのか、無駄な作業はないのか、操作で異常は発生しているのか等を分析する。この過程により、作業内容、作業の熟練度、作業効率を判断したり、異常を検出することができる。例えば、ミシンを使った縫製作業であれば、ミシンを踏み込み過ぎて縫製でミスが発生していないか、装置20の稼働時間から装置20が故障していないかを検出する。また、識別標識/パーツDB113と照合し、誰がどの作業を行っているのかを特定することで、作業員の作業効率をはかることができる。なお、ここにおいて「異常」とは、作業データを作業データDB114に登録しているデータと比較して、所定の「ずれ」があった場合を呼ぶものとする。ずれの幅は、出来上がった製品に不備が発生するほどの大きなずれだけではなく、不備が発生する手前の、修正可能な程度の大きさとすることもできる。
【0040】
情報送信部107は、作業員端末60のインタフェースに表示させる情報を送信する機能を有する。すなわち、ユーザに関する情報やユーザ端末70から送信された情報を作業員端末60に送信する。例えば、注文情報DB111に記憶されたユーザに関する情報、ユーザからの注文内容に応じた製作ラインでの作業内容、ユーザ端末70から送信された音声や動画、チャット等によるメッセージを、各装置20や作業員が確認する作業員端末60等のモニタ(図示せず)等に送信する。ユーザ情報受信部101が受信したユーザ端末70から送信されたデータは、作業に関するデータ(作業場所、作業内容、作業員情報、作業予定日時等)とともに作業員端末60に送信する。また、情報送信部107は、作業データ分析部106で得られた作業に関するデータ(作業データ、識別情報、作業員情報、異常情報等)を、例えば、管理者や作業員端末60に送信する。作業内容は、例えば、注文内容である衣類を構成する各パーツを準備して容器40に収容する工程、容器40に収容されたパーツの識別情報が埋め込まれた識別標識41を準備する工程、パーツが収容された容器40を衣類を製作する縫製ラインに流す工程、縫製ラインにおいて各パーツを縫い合わせる工程、縫い合わされた衣類を仕上げる工程等の各工程が挙げられる。
【0041】
ここで、情報送信部107は、作業データ分析部106で得られたデータを、各作業に関する情報と紐づけられた状態で送信する機能を有する。これにより、各製作ラインでの作業に関する情報を管理者、作業員、ユーザが把握する。また、作業データ分析部106において異常が検出された場合、異常が検出されたデータに基づいて、異常が検出された作業を行う作業員端末60等に警告を発するように送信する。これにより、このまま作業を続けた場合、ミスを誘発する可能性があることを作業員に知らせる。また、作業データ分析部106を分析して異常が検出された場合、検出された異常情報を異常が検出された作業において製作された製作物の識別情報とともに送信し、管理者や作業員に送信する。これにより、製作ラインにおいて異常が発生した場合、その作業に関する情報を管理者や作業員が把握する。
【0042】
ユーザ情報送信部108は、ユーザ端末70のインタフェースに表示させる情報を送信する機能を有する。インタフェースに表示させる情報は、例えば、注文内容、縫製工場における製作状況、製作作業を行う作業員からユーザに対するメッセージである。これにより、ユーザは、衣類の製作を注文したり、注文した衣類の製作ラインでの作業状況や誰がいつ作業するのかを把握することができる。また、ユーザは作業員の作業の様子をリアルタイムで把握したり、作業員と会話することができる。なお、ユーザに送信される情報は、各DBに格納された各情報と紐づけられた状態で送信することができる。これにより、各製作ラインでの作業に関する情報をユーザが把握することができる。
【0043】
ユーザ情報DB110は、ユーザに関する情報を受け付けて管理するデータベースである。図4は、ユーザ情報DB110に格納されるユーザ情報の構成例である。例えば、ユーザ情報は、ユーザIDに紐づけて、ユーザの職種、姿勢の癖、体型、通勤形態、スポーツ経験、出張の多少、移動手段(車、自転車等)、衣服に関する好み(生地、色味、質感、着心地、サイズ感等)等、必要に応じて適宜登録する。ユーザ情報は、ユーザがユーザ端末70からユーザIDを新規登録する際に入力させてもよく、実店舗で店員が入力してもよく、その後随時更新可能とする。各項目の内容は、例えば、ユーザ端末70のインタフェース選択肢の中から選ぶ形式でもよいし、ユーザによる自由入力としてもよい。なお、ユーザに関する情報として、ユーザの画像、動画を登録するようにしてもよい。
【0044】
注文情報DB111は、ユーザからの注文情報を受け付けて管理するデータベースである。注文情報は、ユーザ端末70から入力してもよいし、実店舗で店員が入力してもよく、その後随時更新可能とする。各項目の内容は、例えば、ユーザ端末70のインタフェース選択肢の中から選ぶ形式でもよいし、ユーザによる自由入力としてもよい。注文情報をユーザ端末70から入力する場合は、例えば、インタフェース表示制御部102がチャットインタフェースをユーザ端末70の画面に表示させて、ユーザがユーザ端末70において、注文が可能なアプリケーションやブラウザを立ち上げた際に表示されるようにする。この場合、情報表示制御部103は、注文のためのオブジェクトをユーザ端末70の画面のインタフェース上に表示させ、そこから入力可能なように設定する。
【0045】
図5は、注文情報DB111に格納される注文情報の構成例である。注文内容は、インターネット上のネットショップや実店舗から送信される。注文情報として、衣類、例えば、衣服、帽子、手袋、靴等の商品IDごとに、カテゴリ、型(パターン)、色、素材等の商品の情報を記憶することができる。この際、カテゴリ、型(パターン)、色、素材に応じてIDを付与してもよい。また、商品情報にはタグ情報を含めることができる。タグ情報とは、商品の特徴を表す任意の情報であり、例えば「カジュアル」、「かっちり」、「コンサバ」等の商品の雰囲気を表す特徴、「ストレッチ」、「しわになりにくい」、「軽い」等の素材の特徴、「チェック」、「ボーダー」、「ストライプ」等の生地の模様の特徴、「暗め」、「明るめ」等の色の特徴等、適宜設定することができる。
【0046】
作業内容/作業員DB112は、製作ラインにおける製作作業の内容に関する情報と、作業員に係る情報との組からなるデータセットを格納するデータベースである。かかる2つの情報はそれぞれ紐付けられる。図6は、本実施形態における作業内容/作業員DB112のデータセットの一例を示すテーブルである。図6に示すように、作業内容に関する情報(例えば、作業内容、装置ID)と、作業員に関する情報(例えば、作業員名)とが、作業内容IDと作業員IDとの紐付けにより作業データが製作作業を行う作業員のデータと紐づけられ、組として管理される。また、一人の作業員が複数の作業を行う場合、例えば、作業員IDがW004の「○○花子」が、作業内容IDがJ002の「右袖縫製」とJ003の「左袖縫製」を行う場合、それぞれの作業内容IDに対して作業員IDが自動で装置に近づく事で作業員IDと作業内容IDが紐づいている。そのため、作業員IDでソートすれば、作業内容が複数ある場合でも、作業内容を抽出することができる。また、作業内容や作業員が変更になった場合は、内容が更新された状態での紐付けが可能である。作業員の登録は手動で入力してもよいし、作業員のIDカード等にRFタグ等の非接触タグを埋め込み、装置20に近づいたときに自動で登録されるようにしてもよい。
【0047】
識別標識/パーツDB113は、識別標識41と、容器40に付与された容器40に収容されたパーツのID情報である識別情報とを管理するデータベースであり、識別標識41とパーツに関する情報である識別情報との組からなるデータセットを格納するデータベースである。かかる2つの情報はそれぞれ紐付けられる。図7は、本実施形態における識別標識/パーツDB113のデータセットの一例を示すテーブルである。図7に示すように、容器40の識別標識41の標識IDと、パーツに関する情報(例えば、パーツの識別情報ID、パーツの識別情報)とが、例えば、標識IDとパーツの識別情報IDとの紐付けにより組として管理される。識別情報は、識別情報取得部105から送信される。ここで、パーツとは製作物を構成するものであり、例えば、製作物が衣類の場合、衣類を構成する襟、袖、前身頃、後身頃等である。
【0048】
作業データDB114は、製作ラインにおける各製作作業について、通常どの程度の時間がかかるものなのかのデータを登録して管理するデータベースである。図8は、作業データDB114に格納される作業データの構成例である。作業データは、作業内容IDに紐づけて、作業内容、使用装置名、取得可能データ(例えば、装置の電流値の遷移、時間)等、必要に応じて適宜登録する。例えば、作業内容IDが図6に記載のJ002の「右袖縫製」の場合、作業内容は「ミシンを使った縫製作業」となり、登録するデータは使用装置の番号、ミシンに接続されたセンサの電流値の遷移の様子(ミシンの踏み込みの強さ)、ミシンの踏み込みの回数、ミシンの稼働時間(作業時間)である。ここにおいて、DBに登録するデータは標準的な作業員のデータであってもよく、熟練者のデータを登録しておくこともできる。この場合、後述の作業データと登録したデータとを比較することで、どのように作業を行うと効率的なのか等を作業員に知らせて作業をアシストすることで、作業員が効率的な作業を取得することができる。また、作業データDB114に作業員の過去のデータを登録してもよい。この場合、所定の作業員がどのような作業を行うのか分析することでその作業員の作業傾向が把握でき、その作業員がミスを起こしやすいタイミングで警告を出して注意を促すことで、作業中のミスを事前に防ぐ。このように、これらの登録されたデータと、実際に作業を行っている作業データとを比較し分析することで、製作作業の最適化を可能とする。
【0049】
<処理の流れ>
続いて、本発明の一実施形態に係る情報処理システム1及び、これを用いた情報処理方法の処理の流れの一例について説明する。図9は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
【0050】
まず、サーバ10からの指示により、注文情報に応じて製作する衣類に対応する作業内容が選択され、製作ラインでの作業内容が作業員端末60の画面65等に表示される(S201)。注文情報は注文情報DB111から読み出される。
【0051】
次に、作業内容を確認した作業員が、内容にあわせて割り振りを決め、作業内容毎に作業員を登録する(S202)。作業員の登録は、例えば、作業員端末60のインタフェース選択肢の中から選ぶ形式とすることができる。この場合、例えば、インタフェース表示制御部102が作業員端末60の画面に作業内容を表示させて、作業員が作業員端末60において、作業内容を選択し、登録できるようにする。情報表示制御部103は、作業内容を登録するためのオブジェクトを作業員端末60の画面のインタフェース上に表示させ、そこから入力可能なように設定する。
【0052】
作業員の登録が完了すると、管理者端末や作業員端末60の画面65に作業リスト画面が表示される。図10は、管理者端末や作業員端末60の画面65に表示される作業リスト画面の一例を示す図である。図10に示すように、画面65には、作業リスト画面651が表示され、登録が完了した作業内容、装置および作業員のリストが表示される。この作業リスト画面651が更新された場合には、更新後の内容が表示される。
【0053】
作業内容に応じて、注文内容である衣類を構成する各パーツを生地の裁断により準備し、容器40に収容する(S203)。収容されたパーツの識別情報が埋め込まれた識別標識41を容器40に付与し、その識別標識41に対応する識別情報を登録する(S204)。各パーツが収容された容器40を衣類を製作する縫製ラインに流し、ミシンによる縫製の工程や、アイロンがけによる仕上げの工程が施される(S205)。この工程において、各装置20に容器40が到着すると、識別情報読取手段50により識別標識41の識別情報が読み取られ、容器40に収容されたパーツがいつどの時間に到着したのかが識別標識/パーツDB113に登録される。
【0054】
図11は、管理者端末(図示せず)や作業員端末60の画面65に表示される作業状況確認リスト画面の一例を示す図である。図11に示すように、画面65には、作業状況確認リスト画面652が表示され、作業状況が表示される。かかるリストには、パーツが到着した時間、作業状況、作業内容、装置、担当者の名前が表示される。パーツの到着時間は、識別情報読取手段50により識別標識41の識別情報を読み取られることにより取得された情報である。パーツの到着時間において、まだ到着していない場合には「未着」である旨が表示される。ステータス(作業状況)としては、例えば、作業が終了、現在作業中、作業がまだ行われていないことを示す、「終了」、「作業中」、「登録済」等が表示される。
【0055】
これらの作業データが識別情報取得部105により取得される(S206)。取得された作業データは作業データ分析部106に送信され、作業内容/作業員DB112や識別標識/パーツDB113と照合し、誰がいつどの作業をしているのかを特定する。また、作業データと作業データDB114とを照合することにより、作業データが分析される(S207)。これらの結果は情報送信部107より送信され、管理者端末や作業員端末60等に送信され、作業状況確認リスト画面652に表示される(S208)。これにより、現在の作業状況の把握が可能となる。ここで、異常が発見される場合には、図11の作業状況確認リスト画面652において示すように、その作業のステータスの文字色を変えたり、文字を点滅して表示したり、アラート音を発するように設定する。これにより、作業状況確認リスト画面652を見ただけで、異常の発生状況を把握できるようにする。なお、ステータスにおいて、図11のように作業中であることが目立つように作業中653を表示してもよい。この作業状況確認リスト画面652は更新され、ステータスが更新された場合には、更新後のステータスが表示される。
【0056】
以上、本発明の一実施形態に係る情報処理システムによれば、どの製品がいつ、どの装置を使って作業が行われているのか等の作業状況を容易に把握することができる。また、例えば、現在の作業状況が作業データDB114に登録されているデータと比較してどれだけずれているのかをリアルタイムで把握することで、今行っている作業状態、例えば、通常よりも遅れている、ミスが起きた状況と似ている等を把握することができる。これにより、例えば、この状態で作業を続けるとミスを発生する可能性があることを予測し、作業員に対して注意喚起することでミスを事前に防ぐことができる。このように、ミスを事前に防ぐことで製作作業の無駄をなくし、裁縫工場の製作作業の最適化が可能な情報処理システムを提供することができる。
【0057】
また、異常が発生した場合、すなわち、製品不備が見つかった場合のトレースを行うことにより、いつ異常が発生したのかを容易に把握できる。また、異常発生時に行われた作業で得られた製品に不備がある可能性が高く、異常が発生した場合には早期に不良品を検出することが可能となる。したがって、本実施形態に係る情報処理システムによれば、裁縫工場の製作作業における異常を早期に検出することができる。
【0058】
さらに、本発明の一実施形態に係る情報処理システムによれば、作業データから異常を検出する他に、作業を行った作業員の熟練度を把握できるため、適切な人員配置や作業の最適化が可能となる。また、作業データから作業員の作業の傾向、例えば、作業時間の経過とともにミシンを強く踏み込む傾向がある作業員に対しては、そのような作業データを事前に登録しておくことで、強く踏み込む傾向がある時間の前に注意喚起し、ミスを防ぐこともできる。本実施形態によれば、このような注意喚起も、事前に作業データを登録することで作業員に合わせて設定可能となる。
【0059】
<他の実施形態>
上記実施形態において、ユーザが使用するユーザ端末70から送信された情報が完成した衣類に関する情報とし、そのユーザからの情報を上記の作業に関する情報とともにサーバ10にフィードバックするようにしてもよい。例えば、製品がユーザの手元に届いた後に、ユーザ端末70から送信された情報をユーザ情報受信部101が受信し、この情報を作業情報と紐づけた状態で作業員端末60に送信し、作業員が把握する。この完成した衣類に関する情報は、製品の不備に限らず、製品のこの点が気に入った等の感想とすることもできる。このようにすることで、ミスの把握だけでなく、作業員の作業意欲の向上をはかることができる。
【0060】
また、上記実施形態において、情報送信部107がユーザ端末70に製作状況を送信するように設定することもできる。例えば、いつ製作を行う予定であるかをユーザ端末70に事前に通知し、ユーザの希望により衣類を仕立てる日時を調整して、ユーザに視聴可能な日時を予約してもらう。この予約時間にあわせて、生地の裁断、縫製、仕上げの各工程を行い、その様子をユーザ端末70の画面に表示させて、ユーザが視聴可能とする。これにより、ユーザに製作に関心をもってもらい、完成後の衣類に愛着を持ってもらうことができる。ここで、ユーザ端末70の画面に対話形式のインタフェースを表示させて、各工程において作業している作業員とチャットや、実際に会話しながら視聴できるようにすることもできる。このように設定することで、ユーザは自分が注文した衣類がどのようにして製作されるのかを把握することができるし、作業員は製作している衣類を着用する人をイメージしながら作業することができる。このように、ユーザと作業員が対話可能とすれば、ユーザのリクエストに即座に応えることもできるし、作業員からの質問に応えてもらうことで、よりユーザが満足できる衣類の製作が可能となる。これにより、ユーザが想定していた製品とのずれを無くして顧客満足度の高い製品の提供を可能とし、作り直しの回数を減らすことで、より製作作業の最適化が可能となる。
【0061】
さらに、情報送信部107が、作業に関する情報だけでなく、ユーザに関する情報も作業員端末60に送信して画面65に表示させて、作業員へ顧客のカルテを提供することで、従来の数字上だけでない顧客をイメージしながら縫うことができる。これにより、例えば、筋肉質のユーザや華奢な体型のユーザ等、体型にあわせて縫製を調整することで、よりユーザに最適な、より顧客満足度の高い製品の提供が可能となる。これによっても裁縫工場の製作作業の最適化が可能となる。
【0062】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0063】
例えば、本実施形態では、装置20に接続されたセンサ30によって、各装置20における製作作業に関する作業データを取得したが、作業データは、装置20に接続されたカメラによって取得された画像データであってもよい。
【0064】
また、本実施形態では、サーバ10は1台のコンピュータであるものとしたが、これに限らず、複数台のコンピュータに機能部や記憶部を分散させるようにしてもよい。たとえば、サーバ10の各記憶部をデータベースサーバが備えるようにし、サーバ10はデータベースサーバにアクセスするようにしてもよい。また、各機能部を複数のコンピュータに分散させて備えるようにすることもできる。
【0065】
また、図9の処理は、本実施形態の情報処理システムによる処理の一例を示したものであり、本願発明を限定する意図ではない。図9の処理に含まれる各工程は、図中に示される順序と異なる順序で実行するようにしてもよいし、一部の処理を並列に実行するよういしてもよいし、一部の工程を省略するようにしてもよいし、他の工程を追加してもよい。
【0066】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0067】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【符号の説明】
【0068】
1 情報処理システム
10 サーバ
11 制御部
12 メモリ
13 ストレージ
14 通信部
15 入送信部
16 バス
20 装置
30 センサ
40 容器
41 識別標識
50 識別情報読取手段(識別情報読取部)
60 作業員端末
65 画面
70 ユーザ端末
101 ユーザ情報受信部
102 インタフェース表示制御部
103 情報表示制御部
104 作業データ取得部(データ取得部)
105 識別情報取得部
106 作業データ分析部(分析部)
107 情報送信部
108 ユーザ情報送信部
110 ユーザ情報DB
111 注文情報DB
112 作業内容/作業員DB
113 識別標識/パーツDB
114 作業データDB
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11