(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】ワイヤボンディングシステム、検査装置、ワイヤボンディング方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20250106BHJP
【FI】
H01L21/60 301Z
(21)【出願番号】P 2023523743
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2021019712
(87)【国際公開番号】W WO2022249262
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-11-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月17日に、「https://www.yamaha-motor-robotics-online-expo-2021.jp」にて公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】笠間 広幸
【審査官】西村 治郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-037926(JP,A)
【文献】特開2001-118880(JP,A)
【文献】特開2004-186591(JP,A)
【文献】国際公開第2015/122411(WO,A1)
【文献】特開平09-189531(JP,A)
【文献】特開平08-064629(JP,A)
【文献】特開平07-321132(JP,A)
【文献】特開平10-199915(JP,A)
【文献】特開2006-186087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品に対してワイヤボンディングによりワイヤが圧着された圧着ボール径に関する情報を取得する取得部
であって、前記圧着ボール径に関する情報は、ワイヤボンディング時における前記電子部品に対するワイヤの先端のボール部の押し付け量を含む前記取得部と、
前記取得部により取得した前記圧着ボール径に関する情報を記憶する第1記憶部と、
前記第1記憶部から読み出した前記圧着ボール径に関する情報に基づいて、ワイヤボンディングの品質を検査する検査部と
、
前記圧着ボール径に関する情報についての検査基準を設定する基準設定部と、
前記ボール部の押し付け量と前記圧着ボール径との相関を示す相関データを記憶する第2記憶部と、
を備え、
前記基準設定部は、予め設定された前記圧着ボール径の標準データに基づいて、前記第2記憶部から読み出した前記相関データを参照して、前記ボール部の押し付け量についての閾値を前記検査基準として設定し、
前記検査部は、前記取得部により取得した前記ボール部の押し付け量と、前記基準設定部により設定された閾値とを比較して、前記ワイヤボンディングの品質を検査する、
ワイヤボンディングシステム。
【請求項2】
前記検査部によるワイヤボンディングの品質の検査結果が所定条件を満たさない場合、ワイヤボンディングの品質の検査結果を報知する報知部をさらに備える、
請求項1に記載のワイヤボンディングシステム。
【請求項3】
前記報知部は、前記電子部品におけるワイヤボンディングの位置に関する情報と対応付けて、前記検査部によるワイヤボンディングの品質の検査結果を報知する、
請求項2に記載のワイヤボンディングシステム。
【請求項4】
前記基準設定部は、前記第1記憶部に記憶された前記圧着ボール径に関する情報の情報量が所定量以上となった場合、前記圧着ボール径に関する情報についての検査基準を設定する、
請求項
1に記載のワイヤボンディングシステム。
【請求項5】
前記基準設定部は、予め設定された前記圧着ボール径の標準データに基づいて、前記第2記憶部から読み出した前記相関データを参照して、前記標準データに対応する前記ボール部の押し付け量を特定し、前記特定したボール部の押し付け量を含む数値範囲を前記検査基準として設定し、
前記検査部は、前記取得部により取得した前記ボール部の押し付け量が前記検査基準として設定された数値範囲内にあるか否かに基づいて、前記ワイヤボンディングの品質を検査する、
請求項
1に記載のワイヤボンディングシステム。
【請求項6】
電子部品に対してワイヤボンディングによりワイヤが圧着された圧着ボール径に関する情報を取得する取得部であって、前記圧着ボール径に関する情報は、ワイヤボンディング時における前記電子部品に対するワイヤの先端のボール部の押し付け量を含む前記取得部と、
前記取得部により取得した前記圧着ボール径に関する情報を記憶する第1記憶部と、
前記第1記憶部から読み出した前記圧着ボール径に関する情報に基づいて、ワイヤボンディングの品質を検査する検査部と、
前記圧着ボール径に関する情報についての検査基準を設定する基準設定部と、
前記ボール部の押し付け量と前記圧着ボール径との相関を示す相関データを記憶する第2記憶部と、
を備え、
前記基準設定部は、予め設定された前記圧着ボール径の標準データに基づいて、前記第2記憶部から読み出した前記相関データを参照して、前記ボール部の押し付け量についての閾値を前記検査基準として設定し、
前記検査部は、前記取得部により取得した前記圧着ボール径に関する情報に基づいて、前記基準設定部により設定された検査基準を参照して、前記ワイヤボンディングの品質を検査する、
検査装置。
【請求項7】
電子部品に対してワイヤボンディングによりワイヤが圧着された圧着ボール径に関する情報を取得する工程であって、前記圧着ボール径に関する情報は、ワイヤボンディング時における前記電子部品に対するワイヤの先端のボール部の押し付け量を含む取得工程と、
前記取得した前記圧着ボール径に関する情報を第1記憶部に記憶する工程と、
前記第1記憶部から読み出した前記圧着ボール径に関する情報に基づいて、ワイヤボンディングの品質を検査する検査工程と、
前記圧着ボール径に関する情報についての検査基準を設定する基準設定工程と、
前記ボール部の押し付け量と前記圧着ボール径との相関を示す相関データを第2記憶部に記憶する工程と、
を備え、
前記基準設定工程では、予め設定された前記圧着ボール径の標準データに基づいて、前記第2記憶部から読み出した前記相関データを参照して、前記ボール部の押し付け量についての閾値を前記検査基準として設定し、
前記検査工程では、前記取得工程で取得した前記圧着ボール径に関する情報に基づいて、前記基準設定工程で設定された検査基準を参照して、前記ワイヤボンディングの品質を検査する、
ワイヤボンディング方法。
【請求項8】
一又は複数のコンピュータに
、
電子部品に対してワイヤボンディングによりワイヤが圧着された圧着ボール径に関する情報を取得する処理であって、前記圧着ボール径に関する情報は、ワイヤボンディング時における前記電子部品に対するワイヤの先端のボール部の押し付け量を含む取得処理と、
前記取得した前記圧着ボール径に関する情報を第1記憶部に記憶する処理と、
前記第1記憶部から読み出した前記圧着ボール径に関する情報に基づいて、ワイヤボンディングの品質を検査する検査処理と、
前記圧着ボール径に関する情報についての検査基準を設定する基準設定処理と、
前記ボール部の押し付け量と前記圧着ボール径との相関を示す相関データを第2記憶部に記憶する処理と、
を実行させ、
前記基準設定処理では、予め設定された前記圧着ボール径の標準データに基づいて、前記第2記憶部から読み出した前記相関データを参照して、前記ボール部の押し付け量についての閾値を前記検査基準として設定する処理と、
前記検査処理では、前記取得処理で取得した前記圧着ボール径に関する情報に基づいて、前記基準設定処理で設定された検査基準を参照して、前記ワイヤボンディングの品質を検査する処理と、
を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤボンディングシステム、検査装置、ワイヤボンディング方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に実装された電子部品に対してワイヤの一端をボンディングし、リードフレームの電極に対してワイヤの他端をボンディングすることで、電子部品とリードフレームとの間にワイヤを配線するワイヤボンディング装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、ワイヤボンディングの品質の確認方法についてなお改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、ワイヤボンディングの品質の確認方法の利便性を高めることができるワイヤボンディングシステム、検査装置、ワイヤボンディング方法、および、プログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様におけるワイヤボンディングシステムは、電子部品に対してワイヤボンディングによりワイヤが圧着された圧着ボール径に関する情報を取得する取得部と、取得部により取得した圧着ボール径に関する情報を記憶する第1記憶部と、第1記憶部から読み出した圧着ボール径に関する情報に基づいて、ワイヤボンディングの品質を検査する検査部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様における検査装置は、ワイヤボンディングにより電子部品に対してワイヤが圧着された圧着ボール径に関する情報を第1記憶部から読み出し、読み出した圧着ボール径に関する情報に基づいて、ワイヤボンディングの品質を検査する検査部を備える。
【0008】
また、本発明の一態様におけるワイヤボンディング方法は、電子部品に対してワイヤボンディングによりワイヤが圧着された圧着ボール径に関する情報を取得する工程と、取得した圧着ボール径に関する情報を第1記憶部に記憶する工程と、第1記憶部から読み出した圧着ボール径に関する情報に基づいて、ワイヤボンディングの品質を検査する工程と、を含む。
【0009】
また、本発明の一態様におけるプログラムは、一又は複数のコンピュータに、電子部品に対してワイヤボンディングによりワイヤが圧着された圧着ボール径に関する情報を取得する処理と、取得した圧着ボール径に関する情報を第1記憶部に記憶する処理と、第1記憶部から読み出した圧着ボール径に関する情報に基づいて、ワイヤボンディングの品質を検査する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ワイヤボンディングの品質の確認方法の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係るワイヤボンディング装置の構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るワイヤボンディング装置の制御構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係るワイヤボンディング装置におけるワイヤボンディングの品質の検査結果の報知処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係るワイヤボンディング装置の制御構成を示す図である。
【
図5】ボール部の押し付け量と圧着ボール径との相関を示す相関データの一例を示す図である。
【
図6】第2実施形態に係るワイヤボンディング装置における検査基準の設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態に係るワイヤボンディング装置におけるワイヤボンディングの品質の検査結果の報知処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】一搬送ごとのワイヤボンディングの対象エリアの一例を説明するための図である。
【
図9】ワイヤボンディングの品質の検査結果の表示の一例を示す図である。
【
図10】第4実施形態に係る検査装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、第1実施形態に係るワイヤボンディング装置について説明する。
【0013】
図1に示すように、ワイヤボンディング装置10は、例えば、ステージ11と、XYテーブル12と、ボンディングヘッド13と、ボンディングアーム14と、キャピラリ15(ボンディングツールの一例)と、放電電極16と、クランパ17とを備える。
【0014】
ステージ11には、半導体チップ50を実装した基板51が載置されている。ステージ11には、基板51に形成されたリードフレーム(図示略)を加熱するヒータ(図示略)が内蔵されている。ヒータは、ワイヤボンディングの実行時にリードフレームを加熱する。
【0015】
XYテーブル12は、ボンディングヘッド13に連結されている。ボンディングヘッド13は、図示しない昇降機構を介して、ボンディングアーム14に連結されている。ボンディングアーム14は、ボンディングヘッド13から水平方向に突出するアームである。ボンディングアーム14の先端にはキャピラリ15が連結されている。キャピラリ15は、XYテーブル12によるボンディングヘッド13の水平方向への移動、および、昇降機構によるボンディングヘッド13の上下方向への移動に伴って、ステージ11に載置された半導体チップ50に対して水平方向および上下方向に相対移動可能に構成されている。
【0016】
ボンディングアーム14には、超音波振動子が内蔵されている。超音波振動子は、ワイヤボンディングの実行時に電圧が印加されることで、ボンディングアーム14の先端に連結されたキャピラリ15に超音波振動を付与する。
【0017】
キャピラリ15は、ステージ11に対して上下方向において対向しており、上下方向に貫通する貫通孔を有している。キャピラリ15の貫通孔には、金線などのワイヤ60が挿通されている。キャピラリ15の近傍には放電電極16が配置されている。
【0018】
放電電極16は、電圧が印加されることで、ワイヤ60の先端との間で放電を生じさせ、ワイヤ60の先端部を溶融してボール部61を形成する。
【0019】
クランパ17は、キャピラリ15の上方に設けられ、キャピラリ15の貫通孔に挿通されたワイヤ60を挟持可能に構成されている。
【0020】
そして、ワイヤボンディング装置10は、放電電極16への電圧の印加に伴ってワイヤ60の第1端に形成されたボール部61を半導体チップ50に押し付ける。そして、ワイヤボンディング装置10は、ワイヤ60の第1端を半導体チップ50に対してボンディングした後、キャピラリ15を移動してワイヤ60を湾曲させ、ワイヤ60の一部を基板51の端子に対して上下方向において対向させる。続いて、ワイヤボンディング装置10は、放電電極16への電圧の印加に伴ってワイヤ60の当該一部を基板51の端子に押し付ける。そして、ワイヤボンディング装置10は、ワイヤ60の当該一部を基板51の端子に対してボンディングした後、クランパ17によりワイヤ60を挟持した状態でキャピラリ15を上方に移動させることでワイヤ60を切断する。
【0021】
次に、ワイヤボンディング装置10の制御構成について説明する。
【0022】
図2に示すように、ワイヤボンディング装置10は、例えば、制御部110と、記憶部120とを備える。
【0023】
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部:circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めワイヤボンディング装置10のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでワイヤボンディング装置10のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0024】
記憶部120は、不揮発性の記憶媒体であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)によって構成されている。記憶部120は、ワイヤボンディング装置10の制御や処理を実行するプログラムの他にも、制御や演算に用いられる様々なパラメータ値、関数、ルックアップテーブル等を格納している。プロセス情報121および検査基準122は、制御や演算に用いられるパラメータ値の一例である。
【0025】
プロセス情報121は、ワイヤボンディングの実行時に測定される情報である。プロセス情報121は、例えば、半導体チップ50の端子または基板51の端子に対してワイヤボンディングによりワイヤ60が圧着された圧着ボール径に関する情報を含む。圧着ボール径に関する情報は、ワイヤボンディングの品質を示す情報である。圧着ボール径に関する情報は、例えば、荷重、US電流、スパーク電圧、スパーク電流、ボール部61の押し付け量、観測情報を含む。荷重は、ワイヤボンディングの実行時にキャピラリ15から半導体チップ50の端子または基板51の端子に対して作用する荷重に関する情報である。US電流は、ワイヤボンディングの実行時に超音波振動子に流れる電流に関する情報である。スパーク電圧は、ワイヤボンディングの実行時に放電電極16に印加される電圧に関する情報である。スパーク電流は、ワイヤボンディングの実行時に放電電極16に流れる電流に関する情報である。ボール部61の押し付け量は、ワイヤボンディング時における半導体チップ50の端子または基板51の端子に対するワイヤ60の先端のボール部61の押し付け量に関する情報である。観測情報は、半導体チップ50の端子または基板51の端子に対するワイヤ60の圧着部位の画像情報を含む。
【0026】
検査基準122は、ワイヤボンディングの品質を検査する際に用いる情報であり、例えば、圧着ボール径に関する情報についての閾値である。
【0027】
制御部110は、例えば、取得部111と、検査部112と、報知部113とを備える。
【0028】
取得部111は、半導体チップ50の端子または基板51の端子に対してワイヤボンディングによりワイヤ60が圧着された圧着ボール径に関する情報を取得する。取得部111は、例えば、ワイヤボンディングの実行時に圧着ボール径に関する情報を取得したとき、取得した情報をプロセス情報121として記憶部120に格納する。
【0029】
検査部112は、記憶部120から読み出した圧着ボール径に関する情報に基づいて、ワイヤボンディングの品質を検査する。検査部112は、例えば、取得部111により取得した圧着ボール径に関する情報に基づいて、記憶部120に格納された検査基準122を参照して、ワイヤボンディングの品質を検査する。検査部112は、例えば、取得部111により取得した圧着ボール径に関する情報と記憶部120に検査基準122として格納された閾値とを比較して、ワイヤボンディングの品質を検査する。
【0030】
報知部113は、検査部112によるワイヤボンディングの品質の検査結果が所定条件を満たさない場合、ワイヤボンディングの品質の検査結果を報知する。報知部113は、例えば、ワイヤボンディングの品質が不良であるとの検査結果が検査部112により出力された場合、検査部112によるワイヤボンディングの品質の検査結果を報知する。
【0031】
次に、第1実施形態に係るワイヤボンディング装置10におけるワイヤボンディングの品質の検査結果の報知処理について、
図3に示すフローチャートを参照して説明する。
図3に示すフローチャートは、例えば、ユーザによりワイヤボンディングの品質の確認要求があった場合に開始される。
【0032】
図3に示すように、ワイヤボンディング装置10は、記憶部120にプロセス情報121として格納された圧着ボール径に関する情報を取得する(ステップS10)。
【0033】
次に、ワイヤボンディング装置10は、ステップS10において取得した圧着ボール径に関する情報が所定条件を満たすか否かを判定する(ステップS11)。ワイヤボンディング装置10は、圧着ボール径に関する情報が所定条件を満たすと判定した場合(ステップS11=YES)、ワイヤボンディングの品質の検査結果を報知することなく、
図3に示すフローチャートの処理を終了する。一方、ワイヤボンディング装置10は、圧着ボール径に関する情報が所定条件を満たさないと判定した場合(ステップS11=NO)、ワイヤボンディングの品質の検査結果を報知し(ステップS12)、
図3に示すフローチャートの処理を終了する。
【0034】
<第2実施形態>
第2実施形態以降では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0035】
図4に示すように、第2実施形態に係るワイヤボンディング装置10Aの制御部110Aは、例えば、取得部111、検査部112、および、報知部113に加え、基準設定部114をさらに備える。
【0036】
基準設定部114は、記憶部120Aにプロセス情報121として記憶された圧着ボール径に関する情報の情報量が所定量以上となった場合、圧着ボール径に関する情報についての検査基準122を設定する。基準設定部114は、例えば、ボール部61の押し付け量と圧着ボール径との相関を示す相関データ123を記憶部120Aから読み出し、読み出した相関データ123を参照して、ボール部61の押し付け量についての閾値を検査基準122として設定する。
【0037】
検査部112は、例えば、取得部111により取得したボール部61の押し付け量と基準設定部114により検査基準122として設定された閾値とを比較して、ワイヤボンディングの品質を検査する。
【0038】
図5は、ボール部61の押し付け量と圧着ボール径との相関を示す相関データ123の一例を示している。同図に示すように、ボール部61の押し付け量と圧着ボール径との間には正の相関があり、ボール部61の押し付け量が大きいほど、圧着ボール径が大きくなる。
【0039】
基準設定部114は、例えば、予め設定された圧着ボール径の標準データに基づいて、記憶部120Aから読み出した相関データ123を参照して、標準データに対応するボール部61の押し付け量を特定し、特定したボール部61の押し付け量を含む数値範囲を検査基準122として設定する。
【0040】
検査部112は、例えば、取得部111により取得したボール部61の押し付け量が検査基準122として設定された数値範囲内にあるか否かに基づいて、ワイヤボンディングの品質を検査する。
【0041】
次に、第2実施形態に係るワイヤボンディング装置10Aにおける検査基準122の設定処理について、
図6に示すフローチャートを参照して説明する。
図6に示すフローチャートは、例えば、プロセス情報121が取得される毎に開始される。
【0042】
図6に示すように、ワイヤボンディング装置10Aは、圧着ボール径に関する情報の情報量が所定量以上であるか否かを判定する(ステップS20)。ワイヤボンディング装置10Aは、圧着ボール径に関する情報の情報量が所定量以上である場合(ステップS20=YES)、ボール部61の押し付け量と圧着ボール径との相関を示す相関データ123を記憶部120Aから読み出す(ステップS21)。次に、ワイヤボンディング装置10Aは、圧着ボール径の標準データに基づいて、相関データ123を参照して、標準データに対応するボール部61の押し付け量を特定する(ステップS22)。次に、ワイヤボンディング装置10Aは、先のステップS22において特定したボール部61の押し付け量を含む数値範囲を検査基準122として設定し(ステップS23)、
図6に示すフローチャートを終了する。
【0043】
図7に示すように、ワイヤボンディング装置10Aは、記憶部120Aにプロセス情報121として格納された圧着ボール径に関する情報を取得する(ステップS30)。次に、ワイヤボンディング装置10Aは、記憶部120Aにプロセス情報121として格納されたボール部61の押し付け量を取得する(ステップS31)。次に、ワイヤボンディング装置10Aは、先のステップS31において取得されたボール部61の押し付け量が検査基準122として設定された数値範囲内であるか否かを判定する(ステップS32)。ワイヤボンディング装置10Aは、ボール部61の押し付け量が検査基準122として設定された数値範囲内にはないと判定した場合(ステップS32=NO)、ワイヤボンディングの品質の検査結果を報知し(ステップS33)、
図7に示すフローチャートを終了する。一方、ワイヤボンディング装置10Aは、ボール部61の押し付け量が検査基準122として設定された数値範囲内にあると判定した場合(ステップS32=YES)、ワイヤボンディングの品質の検査結果を報知することなく、
図7に示すフローチャートを終了する。
【0044】
<第3実施形態>
第3実施形態に係るワイヤボンディング装置10の報知部113は、半導体チップ50の端子または基板51の端子におけるワイヤボンディングの位置に関する情報と対応付けて、検査部112によるワイヤボンディングの品質の検査結果を報知する。
【0045】
第3実施形態に係るワイヤボンディング装置10は、基板51を間欠的に搬送しつつ、基板51に対するワイヤボンディングを実行する。
図8に示す例では、基板51の搬送方向を第1方向とし、基板51の搬送方向と交差する方向を第2方向とするとき、第1方向及び第2方向に並列された基板51の群が一搬送ごとのワイヤボンディングの対象エリアとなる。
【0046】
図9は、第3実施形態に係るワイヤボンディング装置10におけるワイヤボンディングの品質の検査結果の表示の一例を示す図である。同図に示す例では、ワイヤボンディング装置10の報知部113は、各々の半導体チップ50に対して実行されたワイヤボンディングの品質の検査結果を、各々の半導体チップ50が実装された基板51の位置と対応付けて表示部200に表示している。この例では、ワイヤボンディング装置10の報知部113は、各々の半導体チップ50に対して実行されたワイヤボンディングの品質の検査結果を、ワイヤボンディングの品質が高い順に、「標準」、「警告」、「異常」として表示部200に表示している。
【0047】
<第4実施形態>
図10に示すように、第4実施形態に係る検査装置300は、例えば、制御部310と、記憶部320とを備える。
【0048】
制御部310は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部:circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め検査装置300のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで検査装置300のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0049】
記憶部320は、不揮発性の記憶媒体であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)によって構成されている。記憶部320は、検査装置300の制御や処理を実行するプログラムの他にも、制御や演算に用いられる様々なパラメータ値、関数、ルックアップテーブル等を格納している。プロセス情報321および検査基準322は、制御や演算に用いられるパラメータ値の一例である。
【0050】
制御部310は、例えば、取得部311と、検査部312と、報知部313とを備える。
【0051】
取得部311は、半導体チップ50の端子または基板51の端子に対してワイヤボンディングによりワイヤ60が圧着された圧着ボール径に関する情報をワイヤボンディング装置10から取得する。取得部311は、例えば、ワイヤボンディングの実行時に圧着ボール径に関する情報をワイヤボンディング装置10から取得したとき、取得した情報をプロセス情報321として記憶部320に格納する。
【0052】
検査部312は、記憶部320から読み出した圧着ボール径に関する情報に基づいて、ワイヤボンディングの品質を検査する。検査部312は、例えば、取得部311により取得した圧着ボール径に関する情報に基づいて、記憶部320に格納された検査基準322を参照して、ワイヤボンディングの品質を検査する。検査部312は、例えば、取得部311により取得した圧着ボール径に関する情報と記憶部320に検査基準322として格納された閾値とを比較して、ワイヤボンディングの品質を検査する。
【0053】
報知部313は、検査部312によるワイヤボンディングの品質の検査結果が所定条件を満たさない場合、ワイヤボンディングの品質の検査結果を報知する。報知部313は、例えば、ワイヤボンディングの品質が不良であるとの検査結果が検査部312により出力された場合、検査部312によるワイヤボンディングの品質の検査結果を報知する。
【0054】
なお、上記各実施形態は、以下のような形態にて実施してもよい。
【0055】
上記第2実施形態においては、検査基準122は、必ずしも、予め設定された圧着ボール径の標準データに基づいて特定したボール部61の押し付け量を含む数値範囲である必要はなく、例えば、取得部111により取得した圧着ボール径の統計データに基づいて特定したボール部61の押し付け量を含む数値範囲であってもよい。また、検査基準122は、上述のように特定したボール部61の押し付け量よりも高い数値範囲や、上述のように特定したボール部61の押し付け量よりも低い数値範囲であってもよい。また、検査基準122は、必ずしも数値範囲である必要はなく、例えば、上述のように特定したボール部61の押し付け量を基準として設定される上限値、下限値、または、上限値と下限値との組み合わせであってもよい。
【0056】
上記第2実施形態において、相関データ123は、必ずしも、ボール部61の押し付け量と圧着ボール径との相関を示すデータである必要はなく、例えば、検査部112がスパーク電圧に基づいてワイヤボンディングの品質を検査するのであれば、スパーク電圧と圧着ボール径との相関を示すデータを相関データ123としてもよい。
【0057】
上記第1~第3実施形態において、ワイヤボンディング装置10、10Aに含まれる機能ブロック構成を、ワイヤボンディング装置10、10Aと外部の装置との間で分散して有するワイヤボンディングシステムとして構成してもよい。
【0058】
以上、上記各実施形態に係るワイヤボンディング装置を、ワイヤ60によって半導体チップ50の端子と基板51の端子とを電気的に接続する場合を例に挙げて説明した。これに代えて、上記各実施形態に係るワイヤボンディング装置を、例えば、ワイヤ60によって半導体チップ50の端子とリードフレームの端子とを電気的に接続することで半導体モジュールを構成する場合にも適用可能である。また、上記各実施形態に係るワイヤボンディング装置を、例えば、ワイヤ60によって半導体チップ50の端子など、任意の電極上にバンプを形成する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
10、10A…ワイヤボンディング装置、11…ステージ、12…XYテーブル、13…ボンディングヘッド、14…ボンディングアーム、15…キャピラリ、16…放電電極、17…クランパ、50…半導体チップ、51…基板、60…ワイヤ、61…ボール部、110、110A、310…制御部、111、311…取得部、112、312…検査部、113、313…報知部、114…基準設定部、120、120A、320…記憶部、121、321…プロセス情報、122…検査基準、123…相関データ、200…表示部、300…検査装置、322…検査基準。