(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】液状調味料のごま風味の増強方法、及び液状調味料
(51)【国際特許分類】
A23L 27/10 20160101AFI20250106BHJP
【FI】
A23L27/10 C
(21)【出願番号】P 2021003733
(22)【出願日】2021-01-13
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】江尻 麗子
(72)【発明者】
【氏名】池田 はるな
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/208396(WO,A1)
【文献】特開2007-028994(JP,A)
【文献】特開2015-177756(JP,A)
【文献】特開平09-000197(JP,A)
【文献】特開平08-089206(JP,A)
【文献】特開2013-111014(JP,A)
【文献】正井博之,特集・醸造飲食品の味・その2 食酢の味,醸協,日本醸造協会,1980年11月,75,888-892
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごま粉砕物を1~15質量%、糖類を固形物換算で5~40質量%含有し、酢酸換算酸度が0.3~2.5である液状調味料において、該酢酸換算酸度の5~70%が米酢由来の酢酸換算酸度となるように米酢を含有させる、該液状調味料のごま風味の増強方法。
【請求項2】
前記液状調味料が前記米酢以外の食酢を含有する、請求項1に記載の液状調味料のごま風味の増強方法。
【請求項3】
前記ごま粉砕物の平均粒子径が50~1000μmである、請求項1又は2に記載の液状調味料のごま風味の増強方法。
【請求項4】
ごま粉砕物を1~15質量%、糖類を固形物換算で5~40質量%、及び米酢を含有し、酢酸換算酸度が0.3~2.5である液状調味料であって、該酢酸換算酸度の5~70%が米酢由来の酢酸換算酸度である、ごま風味が増強された液状調味料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状調味料のごま風味の増強方法、及び、ごま風味が増強された液状調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
ごまはその香ばしい風味が好まれるため、すりごまや練りごまを配合した、ごまドレッシングやしゃぶしゃぶ用のごまだれなど、様々な液状調味料が開発されている。しかし、ごまの風味をより強くするために、液状調味料中のすりごまや練りごまの配合量を増やすと、ざらついた食感や、セット(ゲル化して流動性が無くなること)が生じやすくなるため、配合量を増やさずに風味を強化する方法が望まれていた。
【0003】
これまで、ごまを過剰に煎ることで生じる香気成分(ビニルフラン、チアゾール、及びジヒドロチオフェン)が配合された、ごま風味に優れた液状調味料(特許文献1)や、2-プロピオニルチアゾールを含有し、ごま風味を有する液体調味料用のフレーバー組成物(特許文献2)が報告されているが、汎用原料を利用する方法に対する要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開公報第2014/080524号
【文献】特開2008-154476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を鑑み、液状調味料のごま風味の増強方法、及び、ごま風味が増強された液状調味料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ごま粉砕物を含有する液状調味料について、米酢を配合し、かつ、該液状調味料中の酢酸換算酸度に占める米酢由来の酢酸換算酸度の割合を特定の範囲とすることで、ごま粉砕物に由来するごま風味が増強されることを見出し、本発明を完成した。具体的に、本発明は以下を提供する。
【0007】
(1)ごま粉砕物を1~15質量%、糖類を固形物換算で5~40質量%含有し、酢酸換算酸度が0.3~2.5である液状調味料において、該酢酸換算酸度の5~70%が米酢由来の酢酸換算酸度となるように米酢を含有させる、該液状調味料のごま風味の増強方法。
(2)前記液状調味料が前記米酢以外の食酢を含有する、(1)に記載の液状調味料のごま風味の増強方法。
(3)前記ごま粉砕物の平均粒子径が50~1000μmである、(1)又は(2)に記載の液状調味料のごま風味の増強方法。
(4)ごま粉砕物を1~15質量%、糖類を固形物換算で5~40質量%、及び米酢を含有し、酢酸換算酸度が0.3~2.5である液状調味料であって、該酢酸換算酸度の5~70%が米酢由来の酢酸換算酸度である、ごま風味が増強された液状調味料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ごま粉砕物を含有する液状調味料において、ごま粉砕物に由来するごま風味を増強する方法、及び、ごま風味が増強された液状調味料が提供される。また、本発明によれば、ごま粉砕物の含量を増やすことなく、液状調味料のごま風味を増強することができるので、ごま粉砕物の含量を増やすことにより生じる、食感のざらつきや、セット(ゲル化して流動性が無くなること)の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0010】
〔ごま風味の増強方法〕
本発明のごま風味の増強方法は、ごま粉砕物を1~15質量%、糖類を固形物換算で5~40質量%含有し、酢酸換算酸度が0.3~2.5である液状調味料において、該酢酸換算酸度の5~70%が米酢由来の酢酸換算酸度となるように米酢を含有させる方法である。ここで、本発明において「ごま風味」とは、本発明における液状調味料を食したときの呼気に伴う感覚で、ごま粉砕物に由来するごま特有の風味を意味する。また、本発明において「ごま風味の増強」とは、前記液状調味料について米酢を含有しないもの(すなわち、ごま粉砕物含有量、糖類含有量、及び酢酸換算酸度が同等のもの)と比べて、官能的に、ごまの風味が明らかに強く感じられることを意味する。
【0011】
〔ごま粉砕物〕
本発明におけるごま粉砕物は、ごま種子を粉砕したものであれば特に限定されないが、例えば、ごま種子を粗く裁断した切りごま、すり潰して粉砕したすりごま、ペースト状となるまで粉砕した練りごま、又はこれらの混合物等が挙げられる。また、ごま粉砕物の原料として用いるごまは、白ごま、黒ごま、金ごま、茶ごま、あるいはこれらを焙煎した煎りごま等が挙げられる。本発明におけるごま粉砕物は、焙煎したごまを原料として用いることが好ましい。また、ごま粉砕物の一部に粉砕されなかったごま粒子を含有したものも、本発明のごま粉砕物に含まれる。
本発明中のごま風味の増強方法における液状調味料中のごま粉砕物の含有量は、好ましくは2~14質量%、より好ましくは3~13質量%、最も好ましくは4~10質量%である。ごま粉砕物の含有量が上記の範囲にあると、ごま風味の増強効果がより得られやすく、液状調味料の食感のざらつきや、セットの発生を抑制する効果もより得られやすい。
【0012】
本発明におけるごま粉砕物は、平均粒子径が好ましくは50~1000μm、より好ましくは100~900μm、最も好ましくは200~800μmである。また、本発明におけるごま粉砕物は、好ましくは、練りごま、及び/又はすりごまである。本発明における練りごまは、平均粒子径が好ましくは50~500μm、より好ましくは75~450μm、最も好ましくは100~400μmである。また、本発明におけるすりごまは、平均粒子径が好ましくは400~1000μm、より好ましくは450~900μm、最も好ましくは500~800μmである。各種ごま粉砕物の平均粒子径が上記の範囲にあると、ごま風味の増強効果がより得られやすい。
なお、本発明において平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%の粒径を意味する。また、レーザー回析・散乱式の粒度分布計として、例えば、日機装(株)製のMicrotracMT3300EX2を使用することができる。
【0013】
〔糖類〕
本発明における糖類は、特に限定されないが、例えば、砂糖、ショ糖、異性化液糖、果糖、ぶどう糖、麦芽糖、水飴、蜂蜜等、転化糖、乳糖、シロップ、オリゴ糖、糖アルコール類等や、これらの混合物が挙げられる。ここで、砂糖は黒糖等の含蜜糖、上白糖、三温糖等の分蜜糖を、異性化液糖は高果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖を、糖アルコール類はソルビトール、ラクチトール、還元パラチノース、マンニトール、還元澱粉糖化物(還元水飴)等を含む。本発明に使用する糖類は、砂糖、及び還元澱粉糖化物(還元水飴)が好ましく、砂糖が特に好ましい。
本発明中のごま風味の増強方法における液状調味料中の糖類の含有量は、固形物換算で、好ましくは7~35質量%、より好ましくは10~30質量%、最も好ましくは15~25質量%である。糖類の含有量が上記の範囲にあると、ごま風味の増強効果がより得られやすい。
また、前記液状調味料が、液体状の糖類と固体状の糖類との両方を含有する場合は、液体状の糖類の固形物としての含有量と、固体状の糖類の含有量との合計が、所望の含有量となるように調整すればよい。なお、前記糖類が液体状の場合、乾燥減量法(105℃、4時間)により固形分を測定し、該液体状の糖類の固形物の含有量を求めることができる。
【0014】
〔米酢〕
本発明における米酢は、米もしくは玄米、またはそれらの加工品(糠、細米、粉米、破砕米など)を主原料として製造された食酢をいい、いわゆる市販の米酢のほか、玄米酢、糠酢も含まれる。本発明における米酢は、例えば、蒸米と麹と水でアルコールもろみを造り、これに酒精を加えて酢酸発酵して製造したもの、米麹で米を糖化したもろみを造り、を加えて酢酸発酵して製造したもの等が挙げられる。また、本発明における米酢は、米酢1L中に40g以上の米を使用して製造されたものが好ましい。
本発明における米酢は、該米酢の酢酸換算酸度(%)が、好ましくは1~15、より好ましくは3~10、最も好ましくは4~7である。なお、本発明における米酢の酢酸換算酸度は、下記の「酢酸換算酸度」に記載された測定方法で求めることができる。
【0015】
本発明のごま風味の増強方法において、本発明における米酢の含有量は、液状調味料全体の酢酸換算酸度に対して、米酢に由来する酢酸換算酸度の占める割合が、好ましくは10~65%、より好ましくは20~62%、さらにより好ましくは30~60%、最も好ましくは40~55%である。米酢に由来する酢酸換算酸度の割合が上記の範囲にあると、ごま風味の増強効果がより得られやすい。
なお、本発明のごま風味の増強方法において、本発明における米酢の含有量は、該米酢に由来する酢酸換算酸度の割合が所望の割合となるように米酢を含有すればよいが、好ましくは1~30質量%、より好ましくは3~25質量%、さらにより好ましくは4~20質量%、最も好ましくは5~15質量%である。
また、本発明のごま風味の増強方法において、本発明における米酢の含有量は、ごま粉砕物100質量部に対して、好ましくは40~1200質量部、より好ましくは70~600質量部、最も好ましくは100~300質量%である。
【0016】
〔酢酸換算酸度〕
本発明における酢酸換算酸度(%)は、米酢を含有する液状調味料について、以下の測定方法により求めた値である。
(酢酸換算酸度(%)の測定方法)
上記液状調味料を0.1~1gの範囲で採取し、水を加えて100mLとする。フェノールフタレインを指示薬として、力価既知の0.1N-水酸化ナトリウム溶液で滴定して微紅色が30秒間継続した時点を終点とし、下記式により求める。
酢酸換算酸度(%)=A×F×0.006005/B×100
A:0.1N-NaOH標準液の滴定量(ml)
F:0.1N-NaOH標準液の力価
B:試料採取量(g)
本発明中のごま風味の増強方法における液状調味料の酢酸換算酸度(%)は、米酢を含有した態様で、好ましくは0.5~2.0、より好ましくは0.6~1.6、最も好ましくは0.7~1.2である。酢酸換算酸度が上記の範囲にあると、ごま風味の増強効果がより得られやすい。
【0017】
本発明中のごま風味の増強方法における液状調味料は、米酢以外の食酢を含有することが好ましい。前記食酢は、具体的には穀物酢、果実酢、醸造酢(穀物酢、果実酢以外)、合成酢やそれらの混合酢が挙げられるが、日本農林規格で定義される穀物酢(米酢を除く)を使用することが好ましい。また、前記米酢以外の食酢は、該食酢の酢酸換算酸度(%)が、好ましくは1~15、より好ましくは3~10、最も好ましくは4~6である。なお、本発明における米酢の酢酸換算酸度は、上記の「酢酸換算酸度」に記載された測定方法で求めることができる。
本発明中のごま風味の増強方法における液状調味料中の米酢以外の食酢の含有量は、該液状調味料が所望の酢酸換算酸度であれば特に限定されないが、好ましくは1~40質量%、より好ましくは2~20質量%、最も好ましくは3~10質量%である。米酢以外の食酢の含有量が上記の範囲にあると、ごま風味の増強効果がより得られやすい。
また、本発明中のごま風味の増強方法における液状調味料は、全体の酢酸換算酸度が所望の酢酸換算酸度であれば、前記食酢以外にも酢酸や酢酸を含有する食品原料を含んでもよい。
【0018】
本発明中のごま風味の増強方法における液状調味料は、料理への味付けを目的としたものであれば特に限定されないが、具体的にはドレッシング、タレ、ソース、又はその他これらに類する液状の調味料が挙げられる。本発明の液状調味料の好ましい態様としては、ドレッシングが挙げられるが、該ドレッシングが油相と水相とを含む場合は、乳化液状ドレッシングが好ましい。例えば、日本農林規格(JAS)において定義される「乳化液状ドレッシング」、「サラダクリーミードレッシング」等が挙げられる。
【0019】
本発明中のごま風味の増強方法における液状調味料は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、従来の液状調味料と同様の原料を配合できる。具体的には、ごま粉砕物、糖類、及び米酢の他に、醤油、食塩、スパイス、フレーバー等の呈味料、油脂、各種のエキス・抽出物、安定剤、着色料等の各種添加剤、粉砕した野菜や果実の固形分等が挙げられる。
【0020】
本発明中のごま風味の増強方法における液状調味料は、油脂を含有しても良い。前記液状調味料中の油脂は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、従来の調味料の油脂成分と同様のものが使用できる。具体的には、食用油、粉末油脂、油溶性のフレーバー、油溶性の乳化剤等が挙げられる。また、前記食用油は、大豆油、菜種油、コーン油、ヤシ油、パーム油、中鎖脂肪酸油、米油、ゴマ油、綿実油、ひまわり油、紅花油、亜麻仁油、シソ油、オリーブ油、落花生油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、えごま油、ボラージ油、小麦胚芽油、及び香味オイル(ハーブオイル、ガーリックオイル等)等から選択される1種の油脂又はこれらのうち2種以上を組み合わせた混合油脂が挙げられる。また、これらの油脂の分別油、硬化油、エステル交換油等を用いることもできる。また、前記の油脂を粉末化した粉末油脂を用いることもできる。
【0021】
本発明中のごま風味の増強方法における液状調味料は、油脂を含有する場合、該液状調味料中の該油脂の含有量は、好ましくは10~50質量%、より好ましくは15~45質量%、最も好ましくは20~40質量%である。また、前記液状調味料が水相と油相とを含有する場合、該液状調味料中の該水相の含有量は、好ましくは50~90質量%、より好ましくは55~85質量%、最も好ましくは60~80質量%である。
【0022】
〔ごま風味が増強された液状調味料〕
本発明のごま風味が増強された液状調味料(以下、本発明の液状調味料ともいう。)は、ごま粉砕物を1~15質量%、糖類を固形物換算で5~40質量%、及び米酢を含有し、酢酸換算酸度が0.3~2.5、且つ、該酢酸換算酸度の5~70%が米酢由来の酢酸換算酸度である。本発明の液状調味料は、米酢を含有しないもの(すなわち、ごま粉砕物含有量、糖類含有量、及び酢酸換算酸度が同等のもの)と比べて、官能的に、ごまの風味が明らかに強く感じられる。
本発明の液状調味料における、ごま粉砕物、糖類、及び米酢の好ましい含有量、並びに酢酸換算酸度の好ましい範囲、その他好ましい態様は、上記の本発明の「ごま風味の増強方法」の記載と同様である。
【0023】
[液状調味料の製造方法]
本発明の液状調味料は、通常の液状調味料の製造方法に従って製造できる。例えば、本発明における液状調味料の一つの態様である乳化液状ドレッシングの製造方法の場合、油脂及び油溶性原料以外の原料(ごま粉砕物、米酢、糖類、増粘多糖類、酢酸、食塩、水等)を加熱撹拌して原料を均一に溶解・分散して水相を調製する。攪拌は原料の均一な分散等がなされるものであればどのようなものでも実施することができ、例えば、プロペラ、ホモミキサー、ブレンダー、ディスパー、パドルミキサー、コロイドミル、連続ミキサー、スタティックミキサー、超音波等の攪拌機又は方法を用いることができる。次に油溶性原料を溶解した油脂(油相)を、上記で調製した水相に加えて混合乳化することによって乳化液状ドレッシングを得る。
【0024】
本発明の液状調味料は、ホットパック殺菌又はレトルト殺菌されていてもよい。液状調味料をホットパック殺菌する方法及びホットパックの材質等に特に制限はなく、従来公知の方法及び材質のものを用いることができる。ホットパック充填条件についても特に制限はなく、従来公知の条件でよく、例えば45℃以上の温度、好ましくは60℃以上の温度で行うことができる。また、本発明の液状調味料をレトルト殺菌する方法及びレトルト殺菌に用いる容器に特に制限はなく、従来公知の方法等を用いることができる。レトルト殺菌の方法としては、例えば120℃、30~60分等でよい。また、105~115℃の温度でのセミレトルト、130℃以上の温度のハイレトルト等であってもよい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0026】
[ごま酢調味料の製造]
表1~5の配合に従って、水に各原料を投入し、十分に撹拌してごま酢調味料を製造した。なお、表中の原料は下記を使用した。また、各種ごま原料の平均粒子径は、MicrotracMT3300EX2(日機装(株)製)を用いて測定した。
〈練りごま〉商品名:なめらかねりごま金、(株)真誠製、平均粒子径305μm
〈すりごま〉商品名:金すりごま、(株)真誠製、平均粒子径686μm
〈米酢〉商品名:純粋米酢、マルカン酢(株)製、酢酸換算酸度4.5
〈醸造酢-1〉商品名:MHV-310、(株)Mizkan製、酢酸換算酸度10.0
〈醸造酢-2〉上記「醸造酢-1」を水で希釈して酢酸換算酸度4.5に調製したもの
〈砂糖〉商品名:上白糖、三井製糖(株)製
〈キサンタンガム〉商品名:ファインガムFR、ツルヤ化成工業(株)製
【0027】
[ごま酢調味料の風味評価]
ごま酢調味料の風味評価は、専門パネリスト5名によって、各ごま酢調味料2mLを口に含んだ後の風味について、以下の評価基準に従って専門パネリスト全員の総意で評価した。評価結果を表1~5に示す。
(評価基準)
◎:対照例よりもごまの風味が強く感じられる
○:◎よりは劣るが、対照例よりもごまの風味が強く感じられる
×:対照例と同等のごまの風味が感じられる、又は米酢に由来する風味が強く、ごまの風味がぼやけており好ましくない
なお、実施例1、実施例2、及び比較例1は対照例1と、実施例3、実施例4、及び比較例2は対照例2と、実施例5、実施例6、及び比較例3は対照例3と、実施例7、実施例8、及び比較例4は対照例4と、実施例9、実施例10、及び比較例5は対照例5と、実施例11、実施例12、及び比較例6は対照例6と、実施例13、実施例14、及び比較例7は対照例7と、実施例15、実施例16、及び比較例8は対照例8と、実施例17は対照例9と、並びに実施例18は対照例10との比較で評価した。
【0028】
表1~5中の「酸度」は、ごま酢調味料全体の酢酸換算酸度、「米酢/酸度」は、ごま酢調味料全体の酢酸換算酸度に占める、米酢に由来する酢酸換算酸度の割合(%)を表す。なお、酢酸換算酸度は、原料である米酢と醸造酢の酢酸換算酸度から算出した。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
表1~5に示すように、ごま粉砕物を2.0又は10.0質量%、糖類を固形物換算で10.0又は30.0質量%含有し、全体の酢酸換算酸度が0.5又は2.0であるごま酢調味料において、該酢酸換算酸度の9.9~60.1%が米酢由来の酢酸換算酸度となるように米酢を含有するごま酢調味料は、米酢を配合しないごま酢調味料(対照例)と比べて、ごまの風味が明らかに増強されたものであった。
【0035】
[乳化液状ドレッシングの製造]
表6の配合に従って、油脂以外の原料を十分に撹拌して水相を調製した。次に、油脂を、前記水相に投入しながら卓上ホモミキサーで5000rpm、10分の条件で乳化を行い、乳化液状ドレッシング(実施例19、対照例11)を製造した。なお、表中の原料は上記「ごま酢調味料」で使用した原料と、下記を使用した。
オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム:商品名 エマルスター500、松谷化学工業(株)製
油脂:商品名 日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製
【0036】
[乳化液状ドレッシングの風味評価]
乳化液状ドレッシングの風味評価は、上記「ごま酢調味料の風味評価」に記載の方法と同様にして行った。評価結果を表6に示す。
【0037】
表6中の「酸度」は、乳化液状ドレッシング全体の酢酸換算酸度、「米酢/酸度」は、乳化液状ドレッシング全体の酢酸換算酸度に占める、米酢に由来する酢酸換算酸度の割合(%)を表す。なお、酢酸換算酸度は、原料である米酢と醸造酢の酢酸換算酸度から算出した。
【0038】
【0039】
表6に示すように、ごま粉砕物を7.0質量%、糖類を固形物換算で20.0質量%含有し、全体の酢酸換算酸度が0.9である乳化液状ドレッシングにおいて、該酢酸換算酸度の44.8%が米酢由来の酢酸換算酸度となるように米酢を含有する乳化液状ドレッシングは、米酢を配合しない乳化液状ドレッシング(対照例)と比べて、ごまの風味が増強されたものであった。