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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20250106BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20250106BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20250106BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
G06F3/01 510
B60R16/02 630L
G06F3/0481
G09G5/00 510A
G09G5/00 510H
G09G5/00 550C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021083806
(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公開番号】P2022177503
(43)【公開日】2022-12-01
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】助川 諒
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0268840(US,A1)
【文献】特開2008-197934(JP,A)
【文献】特開2008-129689(JP,A)
【文献】特開2007-235335(JP,A)
【文献】特開2020-096239(JP,A)
【文献】特開2020-003956(JP,A)
【文献】特開2010-215194(JP,A)
【文献】特開2013-096736(JP,A)
【文献】特開平08-249110(JP,A)
【文献】特表2018-502531(JP,A)
【文献】特開2020-044956(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0229411(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102239465(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0231789(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/048- 3/04895
B60K 35/00 - 37/20
B60R 9/00 - 11/06
16/00 - 17/02
G01C 21/00 - 21/36
23/00 - 25/00
G09G 5/00 - 5/42
H04N 7/10
7/14 - 7/173
7/20 - 7/56
21/00 - 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の特定の座席に着座しているユーザである対象ユーザに対して画面を表示する表示システムであって、
前記対象ユーザに対して画面を表示し前記対象ユーザの画面上への操作を受け付ける、画面を表示する位置が可変なタッチパネルディスプレイと、
前記タッチパネルディスプレイへの画面の表示を制御する表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、表示する画面が鑑賞用のビジュアルコンテンツを含む画面であるかどうかを所定の基準に従って判定し、表示する画面が鑑賞用のビジュアルコンテンツを含む画面でないときに、比較的に前記対象ユーザに近い位置である操作適合位置に前記画面を表示し、表示する画面が鑑賞用のビジュアルコンテンツを含む画面である場合に、比較的に前記対象ユーザから遠い位置である鑑賞適合位置に前記画面を表示することを特徴とする表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の表示システムであって、
前記表示制御手段は、前記画面に含まれている鑑賞用のビジュアルコンテンツの解像度と表示サイズより求めた当該鑑賞用のビジュアルコンテンツの鑑賞に適した距離、前記対象ユーザから離れた位置を前記鑑賞適合位置として算定することを特徴とする表示システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の表示システムであって、
前記鑑賞適合位置に前記画面を表示しているときに、前記画面上への操作を行おうとする対象ユーザのジェスチャを検出するジェスチャ検出手段を有し、
前記表示制御手段は、前記鑑賞適合位置に前記画面を表示しているときに、前記ジェスチャ検出手段が前記ジェスチャを検出した場合に、表示している前記画面の位置を、前記操作適合位置に移動することを特徴とする表示システム。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の表示システムであって、
前記鑑賞適合位置に前記画面を表示しているときに、表示している画面中の前記対象ユーザ操作受付用の表示オブジェクトを注視する前記対象ユーザの視線を検出する視線検出手段を有し、
前記表示制御手段は、前記鑑賞適合位置に前記画面を表示しているときに、前記視線検出手段が前記視線を検出した場合に、表示している前記画面の位置を、前記操作適合位置に移動することを特徴とする表示システム。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の表示システムであって、
前記対象ユーザの身体の幾何的計測を行う計測手段を有し、
前記表示制御手段は、前記計測手段の幾何的計測結果から求めた前記対象ユーザが手による操作を容易に行える位置を、前記操作適合位置として算定することを特徴とする表示システム。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載の表示システムであって、
前記表示制御手段は、表示する画面が手書き入力を受け付けるものである場合に、前記操作適合位置として、表示する画面が手書き入力を受け付けないものである場合よりも、より前記対象ユーザの顔に近くなる位置を算定することを特徴とする表示システム。
【請求項7】
請求項5または6記載の表示システムであって、
前記表示制御手段は、前記操作適合位置に画面を表示するときに、前記画面を表示する位置が対象ユーザから遠くなるほど大きくなるサイズで前記画面を表示することを特徴とする表示システム。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7記載の表示システムであって、
前記鑑賞用のビジュアルコンテンツを含む画面は、動画コンテンツを含む画面であることを特徴とする表示システム。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の表示システムであって、
当該表示システムは自動車に搭載された表示システムであり、
前記タッチパネルディスプレイは、前記画面を表示する位置を前記自動車の前後方向に可変であることを特徴とする表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルディスプレイを備えた表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルディスプレイを備えた表示システムに関する技術としては、自動車の座席に着座したユーザの姿勢を検出し、検出した姿勢に応じて、タッチパネルディスプレイをユーザの手が届く位置に移動する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-184024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車に搭載されたタッチパネルディスプレイは、ユーザ操作の受け付け以外にも、映画などの観賞用ビジュアルコンテンツの表示などにも用いられることが多い。
そして、このような観賞用ビジュアルコンテンツを表示しているときに、タッチパネルディスプレイの位置をユーザの手が届く位置とすると、距離が近すぎて観賞用ビジュアルコンテンツを快適に鑑賞できないことがある。
【0005】
そこで、本発明は、より快適にタッチパネルディスプレイを利用できる表示システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、ユーザに対して画面を表示する表示システムに、画面を表示し画面上への操作を受け付ける、画面を表示する位置が可変なタッチパネルディスプレイと、前記タッチパネルディスプレイへの画面の表示を制御する表示制御手段とを備えたものである。ここで、前記表示制御手段は、表示する画面が鑑賞用のビジュアルコンテンツを含む画面であるかどうかを所定の基準に従って判定し、表示する画面が鑑賞用のビジュアルコンテンツを含む画面でないときに、比較的に前記ユーザに近い位置である操作適合位置に前記画面を表示し、表示する画面が鑑賞用のビジュアルコンテンツを含む画面である場合に、比較的に前記ユーザから遠い位置である鑑賞適合位置に前記画面を表示する。
【0007】
ここで、このような表示システムは、前記表示制御手段において、前記画面に含まれている鑑賞用のビジュアルコンテンツの解像度と表示サイズより求めた当該鑑賞用のビジュアルコンテンツの鑑賞に適した距離、前記ユーザから離れた位置を前記鑑賞適合位置として算定するように構成してもよい。
【0008】
また、以上の表示システムに、前記鑑賞適合位置に前記画面を表示しているときに、前記画面上への操作を行おうとするユーザのジェスチャを検出するジェスチャ検出手段を設け、前記表示制御手段において、前記鑑賞適合位置に前記画面を表示しているときに、前記ジェスチャ検出手段が前記ジェスチャを検出した場合に、表示している前記画面の位置を、前記操作適合位置に移動してもよい。
【0009】
また、以上の表示システムに、前記鑑賞適合位置に前記画面を表示しているときに、表示している画面中のユーザ操作受付用の表示オブジェクトを注視するユーザの視線を検出する視線検出手段をを設け、前記表示制御手段において、前記鑑賞適合位置に前記画面を表示しているときに、前記視線検出手段が前記視線を検出した場合に、表示している前記画面の位置を、前記操作適合位置に移動してもよい。
【0010】
また、以上の表示システムに、前記ユーザの身体の幾何的計測を行う計測手段を設け、前記表示制御手段において、前記計測手段の幾何的計測結果から求めた前記ユーザが手による操作を容易に行える位置を、前記操作適合位置として算定してもよい。
【0011】
また、以上の表示システムは、前記表示制御手段において、表示する画面が手書き入力を受け付けるものである場合に、前記操作適合位置として、表示する画面が手書き入力を受け付けないものである場合よりも、よりユーザの顔に近くなる位置を算定するように構成してもよい。
【0012】
また、以上の表示システムは、前記表示制御手段において、前記操作適合位置に画面を表示するときに、前記画面を表示する位置がユーザから遠くなるほど大きくなるサイズで前記画面を表示するように構成してもよい。
【0013】
また、以上の表示システムにおいて、前記鑑賞用のビジュアルコンテンツを含む画面は、動画コンテンツを含む画面としてもよい。
また、以上の表示システムを、自動車に搭載された表示システムとし、前記タッチパネルディスプレイを、前記画面を表示する位置を前記自動車の前後方向に可変なタッチパネルディスプレイとしてもよい。
【0014】
以上のような表示システムによれば、鑑賞用のビジュアルコンテンツを含まない画面は、比較的に前記ユーザに近い位置に表示されるので、ユーザの画面上への操作が容易となる。一方で、鑑賞用のビジュアルコンテンツを含む画面は、比較的に前記ユーザから遠い位置に表示されるので、ユーザは画面が近すぎることによるストレスなく、快適に鑑賞用のビジュアルコンテンツを鑑賞することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、より快適にタッチパネルディスプレイを利用できる表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る車載システムの配置を示す図である。
図3】本発明の実施形態において計測する位置を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る画面配置設定処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る操作適合配置算定処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る画面配置設定処理の処理例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る車載システムの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、自動車に搭載される車載システムへの適用を例にとり説明する。
図1に車載システムの構成を示す。
図示するように車載システムは、タッチパネルディスプレイ1、スピーカ2、車内カメラ3、入出力制御部4、画面配置設定部5、車内監視システム6、複数のソース装置7を備えている。
【0018】
ソース装置7は、AVプレイヤや放送受信装置やカーナビゲーションや、その他の装置であり、各ソース装置7は、入出力制御部4を介してタッチパネルディスプレイ1を、表示出力とユーザ操作の受け付けに用いながら各々動作する。
【0019】
また、タッチパネルディスプレイ1は、ディスプレイ11と、ディスプレイ11の表示画面上へのユーザのタッチを検出するタッチパネル12を備えている。
ここで、本実施形態では、タッチパネルディスプレイ1が、図2a、bに示すように、自動車の右後席の右側の車室側面に配置された、表示領域の水平方向(自動車の前後方向)に長いタッチパネルディスプレイ1である場合を例にとり説明を行う。
【0020】
車内カメラ3は、たとえば、図2a、bに示すように車室天井に配置され、右後席に着座したユーザのようすを撮影する。車内カメラ3は赤外線カメラであってよく、また、3次元位置計測が可能なステレオカメラであることが望ましい。
【0021】
図1に戻り、車内監視システム6は、車内カメラ3で撮影した映像から車内の各種状況を監視する。また、車内監視システム6は、右後席に着座したユーザの身体の幾何的計測を行う。この幾何的計測では、図3に示すように、ユーザの目の位置P1、ユーザの肩の位置P2、ユーザの腰の位置P3、ユーザの肘の位置P4、ユーザの手の位置P5を計測する。但し、腰の位置は、ユーザの体格に関わらずに座面に対しておおよそ同じ位置となるので、その同じとなる位置を予め腰の位置P3として設定し用いるようにしてもよい。
【0022】
また、車内監視システム6は、計測した各位置から、肩から肘までの長さと、肘から手までの長さと、肩から腰に向かう方向を算定する。
図1に戻り、画面配置設定部5は、入出力制御部4から画面配置設定要求を受けると、タッチパネルディスプレイ1に画面を表示する位置と表示画面のサイズとを、画面配置として入出力制御部4に設定する。この画面配置の設定の動作については後に詳述する。
【0023】
入出力制御部4は、各ソース装置7の出力画面のタッチパネルディスプレイ1への表示や、各ソース装置7の出力音声のスピーカ2への出力や、各ソース装置7のタッチパネルディスプレイ1を用いたユーザ操作の受け付けを制御する。
【0024】
ここで、入出力制御部4は、タッチパネルディスプレイ1に表示する画面をユーザ操作等に応答して切り替える際に、画面配置設定要求を発行し、画面配置設定部5から画面配置の設定を受ける。そして、画面配置設定部5から設定された画面配置に従ったタッチパネルディスプレイ1上の位置に、画面配置に従ったサイズで、切替後の画面を表示する。
【0025】
以下、画面配置設定部5が行う、入出力制御部4への画面配置の設定の動作について説明する。
図4に、画面配置設定部5が行う画面配置設定処理の手順を示す。
図示するように、画面配置設定処理において画面配置設定部5は、入出力制御部4から画面配置設定要求を受け取ったならば(ステップ402)、入出力制御部4に画面情報要求を発行することにより画面情報を取得する(ステップ404)。
【0026】
ここで、入出力制御部4は、タッチパネルディスプレイ1に表示する画面を切り替える際に画面情報要求を発行し、画面配置設定部5から画面情報要求を受け取ったならば、切替先の画面の情報を画面情報として入出力制御部4に提供する。画面情報は、画面のサイズ、画面に含まれるコンテンツの情報を含み、コンテンツの情報には、各コンテンツの種別や各種属性を含める。コンテンツの種別としては、動画、静止画、スライドショー、仮想操作子、テキスト、手書入力受付ボックスなどがある。また、コンテンツが動画や静止画やスライドショーである場合には、コンテンツの表示サイズや解像度をコンテンツの属性に含める。なお、入出力制御部4は、切替先の画面を出力するソース機器から、その画面の画面情報を知得する。ただし、切替先の画面の構造を解析して画面情報を知得するようにしてもよいし、各ソース機器が出力する画面の種類毎に予め画面情報を設定しておくようにしてもよい。
【0027】
次に、画面情報を取得したならば(ステップ404)、切替先の画面に観賞用ビジュアルコンテンツコンテンツが含まれるかどうかを、画像情報に含まれるコンテンツ情報から判定する(ステップ406)。観賞用ビジュアルコンテンツとは、鑑賞を目的とする視覚的コンテンツであり、ステップ406では、コンテンツ情報が、画面に動画が含まれていることを示している場合に、画面に観賞用ビジュアルコンテンツが含まれると判定する。ただし、表示サイズもしくが画面に占める割合が所定値より大きな動画が含まれている場合のみ、画面に観賞用ビジュアルコンテンツが含まれると判定するようにしてもよい。
【0028】
また、表示システムがスライドショーの表示も行うものである場合には、動画が含まれている場合に加え、スライドショーが含まれている場合に、画面に観賞用ビジュアルコンテンツが含まれると判定してもよい。ただし、この場合も、表示サイズもしくが画面に占める割合が所定値より大きなスライドショーが含まれている場合のみ、画面に観賞用ビジュアルコンテンツが含まれると判定してもよい。
【0029】
また、表示システムが、写真などの観賞用の静止画の表示も行うものである場合には、表示サイズが所定サイズより大きく解像度が所定値より高い静止画が含まれている場合にも、画面に観賞用ビジュアルコンテンツが含まれると判定してもよい。
【0030】
または、各ソース機器が出力する画面の種類と、画面が観賞用ビジュアルコンテンツの提示用の画面であるかどうかの対応を登録しておき、当該対応が、切替先の画面の種類が観賞用ビジュアルコンテンツの提示用の画面であることを示しているときに、画面に観賞用ビジュアルコンテンツが含まれると判定するようにしてもよい。
【0031】
そして、切替先の画面に観賞用ビジュアルコンテンツが含まれない場合には(ステップ406)、操作適合配置算定処理行う(ステップ408)。
図5に、この操作適合配置算定処理の手順を示す。
図示するように操作適合配置算定処理では、まず、車内監視システム6が計測した肩の位置から、肩から腰に向かう方向に、肩から肘までの長さ分、進んだ位置を標準肘位置として算定する(ステップ502)。この標準肘位置は、ユーザが二の腕を身体に沿わせる標準的な姿勢をとっているときの肘の位置に相当する。ただし、車内監視システム6が計測した肘位置を、そのまま標準肘位置として算定してもよい。また、右後席がアームレスト付きの座席であり、アームレストに肘を乗せた姿勢や標準的な姿勢である場合には、車内監視システム6が計測したアームレスト上の肘位置を、そのまま標準肘位置として算定する。
【0032】
そして、標準肘位置の上下方向の位置から10cm上の上下方向の位置を基準上下位置として設定する(ステップ504)。この基準上下位置は、おおよそ、ユーザが二の腕を身体に沿わせる標準的な姿勢から、肘を少し上に上げたときの肘の上下方向の位置となる。
【0033】
また、標準肘位置の前後方向の位置から前方に向かう方向に、肘から手までの長さ分、進んだ位置から、後方に10cm戻った前後方向の位置を基準前後位置として設定する(ステップ506)。この基準前後位置は、おおよそ、ユーザが二の腕を身体に沿わせる標準的な姿勢から、肘を少し上に上げ、前方斜めに自然に手を伸ばしたときの手の前後方向の位置となる。
【0034】
そして、次に、取得した画面情報に基づいて、切替先の画面に手書入力受付ボックスが含まれているかどうかを判定する(ステップ508)。ここで、手書入力受付ボックスとは、ユーザの手書き入力を受け付ける画面上のエリアである。
【0035】
そして、手書入力受付ボックスが含まれていない場合には(ステップ508)、基準前後位置を前後方向の位置とし基準上下位置を上下方向の位置とする前後上下方向の位置に相当するタッチパネルディスプレイ1の表示領域中の位置を画面位置に設定する(ステップ510)。そして、ステップ512に進む。
【0036】
一方、手書入力受付ボックスが含まれている場合には(ステップ508)、車内監視システム6が計測している目の上下方向の位置が、タッチパネルディスプレイ1の上下方向の中央の位置より上であるかどうかを調べ(ステップ516)、上でなければ、基準前後位置を前後方向の位置とし基準上下位置を上下方向の位置とする前後上下方向の位置に相当するタッチパネルディスプレイ1の表示領域中の位置を画面位置に設定し(ステップ510)、ステップ512に進む。
【0037】
一方、目の上下方向の位置が、タッチパネルディスプレイ1の上下方向の中央の位置より上でなければ、(ステップ516)、基準前後位置を前後方向の位置とし基準上下位置の10cm上の位置を上下方向の位置とする前後上下方向の位置に相当するタッチパネルディスプレイ1の表示領域中の位置を画面位置に設定する(ステップ518)。ただし、基準上下位置の10cm上の位置が、目の上下方向の位置より上の位置となるときには、基準前後位置を前後方向の位置とし目の上下方向の位置を上下方向の位置とする前後上下方向の位置に相当するタッチパネルディスプレイ1の表示領域中の位置を画面位置に設定する
そして、ステップ512に進む。
【0038】
ここで、このように、画面に手書入力受付ボックスが含まれている場合に、含まれていない場合よりも、画面位置を10cm上の位置とするのは、手書き位置をより顔に近づけて、ユーザの手書き動作を容易化するためである。
【0039】
さて、このようにして、画面位置を設定し(ステップ510、518)、ステップ512に進んだならば、車内監視システム6が計測した目の位置と設定した画面位置との距離に応じて、タッチパネルディスプレイ1の表示領域に収まる範囲内で、距離が大きいほど大きくなるように画面サイズを設定する。
【0040】
そして、設定した画面位置と画面サイズを操作適合配置として設定し(ステップ514)画面配置設定処理に戻る。
図4に戻り、操作適合配置算定処理を行ったならば(ステップ408)、操作適合配置を画面配置として入出力制御部4に設定し(ステップ410)、ステップ402からの処理に戻る。
【0041】
一方、切替先の画面に観賞用ビジュアルコンテンツが含まれている場合には(ステップ406)、車内監視システム6が計測した目の位置と、画面に含まれている観賞用ビジュアルコンテンツの表示サイズや解像度の属性に応じて、観賞用ビジュアルコンテンツの鑑賞に適合したタッチパネルディスプレイ1の表示領域中の位置を画面位置として設定する(ステップ412)。観賞用ビジュアルコンテンツの鑑賞に適合した位置とは、たとえば、目と画面との距離が、観賞用ビジュアルコンテンツの縦のサイズのn倍となる位置とする。n倍のnは、解像度に応じて、観賞用ビジュアルコンテンツの解像度が低いほど大きくなるように設定する。
【0042】
そして、設定した画面位置とオリジナル画面サイズを画面配置として入出力制御部4に設定する(ステップ414)。オリジナル画面サイズとは、画面本来のサイズであり、表示される観賞用ビジュアルコンテンツの解像度や表示サイズが変化しないサイズである。
【0043】
そして、画面配置を設定したならば(ステップ414)、入出力制御部4からの画面配置設定要求の受信と(ステップ416)、操作ジェスチャの発生と(ステップ418)とを監視する。
【0044】
ここで、操作ジェスチャとは、右後席のユーザが、タッチパネルディスプレイ1に表示されている画面を操作しようとするジェスチャであり、ステップ418では、たとえば、車内監視システム6が計測している手の位置の、表示されている画面方向への所定距離以上の移動が発生したときに、操作ジェスチャが発生したと判定する。
【0045】
そして、画面配置設定要求を受信したならば(ステップ416)、ステップ404からの処理に戻る。
一方、操作ジェスチャが発生した場合には(ステップ418)、図5に示した操作適合配置算定処理を行って操作適合配置を算定し(ステップ420)、設定した操作適合配置を画面配置として入出力制御部4に設定し(ステップ422)、ステップ402からの処理に戻る。
【0046】
ここで、ステップ422で操作適合配置を画面配置として設定すると、入出力制御部4は、設定された画面配置に従って、表示している画面の位置やサイズを変更する。そして、この結果、ユーザが画面を操作する動作に応答して、表示されている画面が、よりユーザに近い、ユーザが操作を容易に行える位置に移動する。
【0047】
以上、画面配置設定部5が行う画面配置設定処理について説明した。
ここで、車内監視システム6において、車内カメラ3で撮影した映像から右後席に着座したユーザの視線を検出するようにし、画面配置設定処理のステップ418を、操作ジェスチャに代えて、または、操作ジェスチャと共に、表示している画面中のユーザ操作受付用の表示オブジェクトを注視するユーザの視線の発生を監視する処理としてもよい。
【0048】
ユーザ操作受付用の表示オブジェクトとは、画面の構成する要素である表示オブジェクトの内の、ボタンやキー等の仮想操作子や手書入力受付ボックス等の、ユーザ操作を受け付ける表示オブジェクトである。
【0049】
なお、ステップ418において操作ジェスチャに代えてユーザ操作受付用の表示オブジェクトを注視するユーザの視線の発生を監視する場合には、ステップ418において当該視線の発生が検出された場合にステップ420に進み、当該視線の発生が検出されなかった場合にステップ416に戻る。また、ステップ418において操作ジェスチャと共に、ユーザ操作受付用の表示オブジェクトを注視するユーザの視線の発生を監視する場合には、ステップ418において操作ジェスチャと当該視線の発生のいずれかが検出された場合にステップ420に進み、双方が検出されなかった場合にステップ416に戻る。
【0050】
以上、画面配置設定部5が行う、入出力制御部4への画面配置の設定の動作について説明した。
このような画面配置設定部5の動作によれば、画面が鑑賞用ビジュアルコンテンツを含んでいないときには、図6a、bに示すように、画面500は、ユーザ近くのユーザが自然な動作で操作できる位置に表示される。
【0051】
ここで、図6aは、画面が手書入力受付ボックスを含んでいないときの画面の配置を示し、図6bは、画面が手書入力受付ボックス501を含んでいるときの画面の配置を示している。図示するように、画面が手書入力受付ボックス501を含んでいるときには、画面の位置は少し顔に近づいた位置となり、ユーザの手書き入力が容易化される。
【0052】
次に、画面が鑑賞用ビジュアルコンテンツを含んでいるときには、図6c、dに示すように、画面500は、ユーザから少し離れたユーザの鑑賞用ビジュアルコンテンツの鑑賞に適した位置に表示される。
【0053】
ここで、図6c、dは、画面に同じ表示サイズの鑑賞用ビジュアルコンテンツが画面中の同じ位置に含まれていた場合について示しており、図6cは、鑑賞用ビジュアルコンテンツの解像度が高いときの画面の配置を示し、図6dは、鑑賞用ビジュアルコンテンツの解像度が低いときの画面の配置を示している。図示するように、画面に含まれる鑑賞用ビジュアルコンテンツの解像度に応じて、ユーザから画面までの距離が、その解像度の鑑賞用ビジュアルコンテンツの鑑賞に適した距離となるように、解像度に応じた異なる位置に画面は配置される。なお、上述のように、鑑賞用ビジュアルコンテンツを含む画面の配置は、鑑賞用ビジュアルコンテンツの解像度に加え表示サイズにも依存して設定される。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明した。
このように本実施形態によれば、鑑賞用ビジュアルコンテンツを含まない画面は、比較的にユーザに近い位置に表示されるので、ユーザの画面上への操作が容易となる。一方で、鑑賞用のビジュアルコンテンツを含む画面は、比較的に前記ユーザから遠い位置に表示されるので、ユーザは、画面が近すぎることによるストレスなく、快適に鑑賞用ビジュアルコンテンツを鑑賞することができる。
【0055】
ところで、以上の実施形態は、1つのタッチパネルディスプレイ1を自動車の右後席の右側の車室側面にのみ設けた場合について示したが、タッチパネルディスプレイ1の個数や配置は種々の態様とすることができる。
【0056】
たとえば、タッチパネルディスプレイ1を、左後席の左側の車室側面に設けてもよいし、タッチパネルディスプレイ1を右後席の右側の車室側面と左後席の左側の車室側面のそれぞれに設けるようにしてもよい。
【0057】
または、たとえば、図7a1、a2に示すように、自動車の右後席と左後席の間に、表示領域の垂直方向(自動車の前後方向)に長いタッチパネルディスプレイ1を設けてもよい。
【0058】
この場合も、画面が鑑賞用ビジュアルコンテンツを含んでいないときには、図7b1、b2に示すように、画面500を、ユーザ近くのユーザが自然に操作できる位置に配置されるよう、タッチパネルディスプレイ1に表示する。また、図7b2に示すように、画面が手書入力受付ボックス501を含んでいるときには、図7b1に示す画面が手書入力受付ボックス501を含んでいないときよりも、タッチパネルディスプレイ1を利用しているユーザ側に左右方向について少し寄せて表示し、ユーザの手書き入力を容易化する。
【0059】
また、画面が鑑賞用ビジュアルコンテンツを含んでいるときには、図7b3、b4に示すように、画面500を、図7b1、b2に示した鑑賞用ビジュアルコンテンツを含んでいない場合よりもユーザから離れた、ユーザの鑑賞用ビジュアルコンテンツの鑑賞に適した位置に表示する。また、画面に含まれる鑑賞用ビジュアルコンテンツの解像度や表示サイズに応じて、ユーザから画面までの距離が、その解像度と表示サイズの鑑賞用ビジュアルコンテンツの鑑賞に適した距離となるように、解像度や表示サイズに応じて異なる位置に画面を表示する。
【0060】
また、以上の実施形態では、タッチパネルディスプレイ1の表示領域内の画面の表示位置を異ならせることにより画面の配置を異ならせたが、これは、タッチパネルディスプレイ1自体を移動することにより、画面の配置を異ならせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…タッチパネルディスプレイ、2…スピーカ、3…車内カメラ、4…入出力制御部、5…画面配置設定部、6…車内監視システム、7…ソース装置、11…ディスプレイ、12…タッチパネル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7