(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20250106BHJP
A47G 19/22 20060101ALI20250106BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20250106BHJP
A47J 41/00 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
B65D47/08 220
A47G19/22 D
A47J41/02 104A
A47J41/00 304A
(21)【出願番号】P 2021096336
(22)【出願日】2021-06-09
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】服部 修治
(72)【発明者】
【氏名】辻 颯人
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-193018(JP,A)
【文献】特開2013-173543(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103287697(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0148431(US,A1)
【文献】特表2022-505024(JP,A)
【文献】特開2002-087447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/08
A47G 19/22
A47J 41/02
A47J 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に飲料を貯留する飲料容器であって、
有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の上部を覆う蓋体と、
を備え、
前記蓋体は、
前記容器本体に取り付けられ、中央よりも前方に飲み口をもつ蓋部材と、
前記蓋部材に対して前後方向に移動可能な操作ボタンと、
前記飲み口を覆う閉鎖状態と前記飲み口を開放する開放状態との間で
、前記蓋部材および前記操作ボタンに対して回動する開閉部材と、
前記操作ボタンを、前方へ向けて付勢する弾性部材と、
を有し、
前記開閉部材は、
前記閉鎖状態のときに前記操作ボタンが挿入される開口
を有し、
前記開閉部材は、開放状態へ向けて付勢されておらず、
前記操作ボタンの前面は、上方へ向かうにつれて後方へ近づくように傾斜する傾斜面である、飲料容器。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料容器であって、
前記蓋体は、
前記開閉部材が前記閉鎖状態のときに、弾性変形しつつ前記飲み口を封止する栓パッキン
をさらに有する、飲料容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の飲料容器であって、
前記開閉部材は、前記操作ボタンの前記前面と接触する後面を有し、
前記後面は、上方へ向かうにつれて後方へ近づくように傾斜する傾斜面である、飲料容器。
【請求項4】
内部に飲料を貯留する飲料容器であって、
有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の上部を覆う蓋体と、
を備え、
前記蓋体は、
中央よりも前方に飲み口をもつ蓋部材と、
前記飲み口を覆う閉鎖状態と前記飲み口を開放する開放状態との間で回動する開閉部材と、
前後方向に移動可能な操作ボタンと、
前記操作ボタンを、前方へ向けて付勢する弾性部材と、
を有し、
前記開閉部材は、
前記閉鎖状態のときに前記操作ボタンが挿入される開口
を有し、
前記操作ボタンの前面は、上方へ向かうにつれて後方へ近づくように傾斜する傾斜面であり、
前記蓋体は、
前記開口を閉鎖する第1位置と、前記開口を開く第2位置との間で移動可能なシャッタ
をさらに有する、飲料容器。
【請求項5】
請求項4に記載の飲料容器であって、
前記シャッタは、凸部または凹部を有し、
前記開閉部材は、
前記シャッタが前記第1位置に配置された状態において、前記凸部と係合する第1凹部または前記凹部と係合する第1凸部と、
前記シャッタが前記第2位置に配置された状態において、前記凸部と係合する第2凹部または前記凹部と係合する第2凸部と、
をさらに有する、飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に飲料を貯留する飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料を内部に貯留する蓋付きの飲料容器が知られている。飲料容器は、有底筒状の容器本体と、容器本体の上部の開口を覆う蓋体とを有する。蓋体は、貫通孔である飲み口と、飲み口を覆う開閉部材とを有する。飲料容器のユーザは、開閉部材を開き、飲み口を介して飲料容器内の飲料を飲む。
【0003】
従来の飲料容器については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の飲料容器では、開閉部材を回動させるためのヒンジにばねを取り付け、ばねの弾性力で、開閉部材を開放状態へ向けて付勢する構造が知られている。しかしながら、ばねの弾性力で開閉部材を回動させると、回動時の勢いで、開閉部材のパッキンに付着した飲料が飛散する場合がある。そこで、ヒンジに敢えてばねを取り付けず、ユーザが、手動で開閉部材を回動させることが考えられる。
【0006】
しかしながら、開閉部材が完全に閉鎖された状態では、ユーザは、開閉部材の下端部に手を掛けることができないため、開閉部材を掴みにくいという問題がる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、飲み口を覆う開閉部材を、ユーザが容易に掴んで回動させることができる飲料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の飲料容器は、内部に飲料を貯留する飲料容器であって、有底筒状の容器本体と、前記容器本体の上部を覆う蓋体と、を備え、前記蓋体は、中央よりも前方に飲み口をもつ蓋部材と、前記飲み口を覆う閉鎖状態と前記飲み口を開放する開放状態との間で回動する開閉部材と、前後方向に移動可能な操作ボタンと、前記操作ボタンを、前方へ向けて付勢する弾性部材と、を有し、前記開閉部材は、前記閉鎖状態のときに前記操作ボタンが挿入される開口を有し、前記操作ボタンの前面は、上方へ向かうにつれて後方へ近づくように傾斜する傾斜面である。
【0009】
本発明によれば、ユーザが操作ボタンを後方へ向けて押圧することにより、操作ボタンと開閉部材の係合が外れる。その後、弾性部材の反発力により、操作ボタンが前方へ移動することに伴い、操作ボタンの傾斜面に押されて開閉部材が回転する軌道に沿って上方へ持ち上げられる。したがって、ユーザは、持ち上げられた開閉部材を容易に掴んで、回動させることができる。
【0010】
また、前記蓋体は、前記開閉部材が前記閉鎖状態のときに、弾性変形しつつ前記飲み口を封止する栓パッキンをさらに有することが好ましい。この場合、ユーザが操作ボタンを押し、操作ボタンと開閉部材の係合が外れたときに、栓パッキンの弾性力により、開閉部材が持ち上げられる。これにより、操作ボタンの傾斜面を、開閉部材の下縁部に、より確実に接触させることができる。
【0011】
また、前記開閉部材は、前記操作ボタンの前記前面と接触する後面を有し、前記後面は、上方へ向かうにつれて後方へ近づくように傾斜する傾斜面であることが好ましい。このように、傾斜面同士を接触させることにより、操作ボタンと開閉部材とを摺動させながら、開閉部材をより滑らかに持ち上げることができる。
【0012】
また、前記蓋体は、前記開口を閉鎖する第1位置と、前記開口を開く第2位置との間で移動可能なシャッタをさらに有することが好ましい。これにより、操作ボタンの誤操作を防止できる。
【0013】
また、前記シャッタは、凸部または凹部を有し、前記開閉部材は、前記シャッタが前記第1位置に配置された状態において、前記凸部と係合する第1凹部または前記凹部と係合する第1凸部と、前記シャッタが前記第2位置に配置された状態において、前記凸部と係合する第2凹部または前記凹部と係合する第2凸部と、をさらに有することが好ましい。これにより、シャッタの位置を、第1位置または第2位置に維持できる。したがって、シャッタが意図せず移動することを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザが操作ボタンを後方へ向けて押圧することにより、操作ボタンと開閉部材の係合が外れる。その後、弾性部材の反発力により、操作ボタンが前方へ移動することに伴い、操作ボタンの傾斜面に押されて開閉部材が回転する軌道に沿って上方へ持ち上げられる。したがって、ユーザは、持ち上げられた開閉部材を容易に掴んで、回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】開閉部材を閉鎖状態としたときの蓋体の正面図である。
【
図3】開閉部材を閉鎖状態としたときの蓋体の縦断面図である。
【
図4】操作ボタンを押したときの蓋体の縦断面図である。
【
図5】操作ボタンから指を離したときの蓋体の縦断面図である。
【
図6】開閉部材を開放状態としたときの蓋体の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
<1.飲料容器の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る飲料容器1の縦断面図である。この飲料容器1は、お茶やミネラルウォーターなどの飲料(液体)を内部に貯留可能な、蓋付きのタンブラーである。飲料容器1のユーザは、飲料が貯留された飲料容器1をバッグなどに入れて持ち運び、必要に応じて、飲料容器1の後述する開閉部材23を開けて中の飲料を飲むことができる。
図1に示すように、飲料容器1は、容器本体10と蓋体20とを備える。
【0018】
容器本体10は、飲料を内部に貯留する本体部品である。容器本体10の材料には、例えば、ステンレス鋼が用いられる。容器本体10は、有底筒状の外形を有する。すなわち、容器本体10は、円板状の底部11と、底部11の縁から上方へ向けて延びる略円筒状の側壁部12と、を有する。底部11および側壁部12は、それぞれ、二重構造となっており、内面と外面との間に真空層を有する。これにより、容器本体10の内部に貯留された飲料を保温または保冷することができる。
【0019】
側壁部12の外周面は、円錐台を倒立させた形状を有する。すなわち、側壁部12の外周面の径は、上方へ向かうにつれて徐々に大きくなる。容器本体10の上端部の外径は、容器本体10の下端部の外径よりも大きい。このように、側壁部12の外周面を、上方へ向かうにつれて徐々に拡径するテーパ形状とすることにより、ユーザが側壁部12の外周面を掴んだときに、ユーザの手から容器本体10が滑り落ちることを抑制できる。
【0020】
側壁部12の内周面は、第1内周面121、傾斜面122、および第2内周面123を有する。第1内周面121は、容器本体10の中心軸Aを中心とする円筒状の面である。第1内周面121の上端部付近には、貯留可能な飲料の上限を示す満水線124が形成されている。傾斜面122は、第1内周面121の上端部から、上方へ向かうにつれて半径方向外側へ広がる面である。傾斜面122の内径は、上方へ向かうにつれて徐々に拡大する。
【0021】
第2内周面123は、中心軸Aを中心とする円筒状の面である。第2内周面123は、傾斜面122の上端部から、上方へ向けて延びる。第2内周面123の内径は、第1内周面121の内径よりも大きい。第2内周面123には、雌ねじ13が形成されている。雌ねじ13は、螺旋状の溝である。
【0022】
蓋体20は、容器本体10の上部の開口を覆う部品である。蓋体20は、容器本体10の上部に対して、着脱可能である。ユーザは、容器本体10に蓋体20を取り付けた状態で、飲料容器1を持ち運ぶ。また、ユーザは、飲料を補充するときや、飲料容器1を洗浄するときには、容器本体10から蓋体20を取り外す。容器本体10に蓋体20を取り付けた状態において、蓋体20の一部分は、容器本体10の上部の開口に挿入される。
【0023】
図2は、蓋体20の正面図である。
図3~
図6は、蓋体20の縦断面図である。
図1~
図6に示すように、本実施形態の蓋体20は、下部材21、上部材22、開閉部材23、リングパッキン24、栓パッキン26、操作ボタン27、弾性部材28、およびシャッタ29を有する。下部材21、上部材22、開閉部材23、操作ボタン27、およびシャッタ29は、それぞれ、弾性変形しにくい合成樹脂により形成されている。
【0024】
下部材21は、蓋体20の下部を構成する略円筒状の部材である。容器本体10に蓋体20を取り付けた状態において、下部材21は、容器本体10の上部の開口に挿入される。下部材21の外周面には、容器本体10の雌ねじ13と螺合可能な雄ねじ210が形成されている。雄ねじ210は、螺旋状の突起である。蓋体20は、この雄ねじ210を、容器本体10の雌ねじ13に螺合させることにより、容器本体10に取り付けられる。
【0025】
上部材22は、下部材21の上側に位置する略円板状の部材である。上述した下部材21は、複数の爪部211を有する。爪部211は、下部材21の外周部から上方へ向けて延びるとともに、その先端が、半径方向外側へ向けて突出する。上部材22は、爪部211が係合可能な段差部221を有する。複数の爪部211は、段差部221に係合する。これにより、上部材22と下部材21とが固定されて、一体化される。
【0026】
下部材21および上部材22は、本発明における「蓋部材」の一例である。すなわち、本実施形態では、下部材21および上部材22の2部材で、「蓋部材」が構成されている。ただし、「蓋部材」は、単一の部材で構成されていてもよく、あるいは、3つ以上の部材で構成されていてもよい。下部材21および上部材22は、飲み口30を有する。飲み口30は、下部材21および上部材22を上下方向に貫通する貫通孔である。また、飲み口30は、下部材21および上部材22の中央よりも、前方(注出側)に位置する。
【0027】
開閉部材23は、上部材22の飲み口30を開閉するための部材である。開閉部材23は、飲み口30を覆う閉鎖状態と、飲み口30を開放する開放状態との間で、上部材22に設けられたヒンジ222を中心として回動する。なお、ヒンジ222には、ばねが設けられていない。したがって、開閉部材23は、ばねの弾性力で自動的に開くものではなく、ユーザが、手動で、閉鎖状態と開放状態との間で移動させる。
【0028】
開閉部材23は、天板部231と、天板部231の前端(閉鎖状態における前端)から下方へ向けて延びる前壁部232とを有する。前壁部232には、開口233が設けられている。開口233は、前壁部232を前後方向(閉鎖状態における前後方向)に貫通する矩形の貫通孔である。
【0029】
リングパッキン24は、容器本体10と蓋体20との間から飲料が漏れ出すことを防止するためのシール部材である。リングパッキン24は、中心軸Aを中心とする円環状である。また、リングパッキン24は、弾性伸縮可能なエラストマーにより形成される。
【0030】
リングパッキン24は、下部材21の上述した雄ねじ210よりも下側の位置に固定される。容器本体10の雌ねじ13に蓋体20の雄ねじ210を螺合させると、リングパッキン24は、容器本体10の内周面に接触する。より具体的には、リングパッキン24が、第1内周面121と傾斜面122との境界部に、弾性変形しつつ密着する。これにより、第1内周面121の上端部とリングパッキン24との間の隙間が封止される。
【0031】
栓パッキン26は、開閉部材23を閉鎖状態としたときに、飲み口30を封止するためのシール部材である。栓パッキン26は、弾性伸縮可能なエラストマーにより形成される。
図3に示すように、栓パッキン26は、固定部31およびリップ部32を有する。
【0032】
固定部31は、開閉部材23の下面(閉鎖状態における下面)に固定される。より具体的には、固定部31は、開閉部材23の下面に、接着剤で固定される。これにより、開閉部材23と栓パッキン26とが、一体化されている。開閉部材23と固定部31の接着面は、凹凸形状となっている。これにより、接着面の面積が増加するため、開閉部材23に対して固定部31を強固に固定できる。
【0033】
リップ部32は、弾性変形可能な薄肉状の部分である。リップ部32は、固定部31の下端部の周縁部から、外側かつ下側へ向けて突出する。開閉部材23を閉鎖状態にすると、栓パッキン26のリップ部32が、飲み口30の縁部に接触する。より具体的には、飲み口30の縁部の上面は、飲み口30へ向かうにつれて徐々に縮径する傾斜面となっている。リップ部32は、この傾斜面に、弾性変形しつつ密着する。これにより、飲み口30が封止される。
【0034】
操作ボタン27は、開閉部材23を開くときに、ユーザが押圧する部材である。操作ボタン27は、下部材21および上部材22に対して、前後方向に移動可能となっている。操作ボタン27は、
図3および
図6に示す突出位置と、
図4に示す退避位置との間で、前後方向に移動する。突出位置は、退避位置よりも前方(注出側)に位置する。また、操作ボタン27の前面271は、前後方向に対して傾斜した面となっている。より詳述すると、操作ボタン27の前面271は、上方へ向かうにつれて後方へ近づくように傾斜する傾斜面となっている。
【0035】
弾性部材28は、操作ボタン27を、前方へ向けて付勢するための部材である。弾性部材28には、例えば、前後方向に伸縮可能なコイルばねが使用される。ただし、コイルばねに代えて、板ばねやゴムなどを、弾性部材28として使用してもよい。弾性部材28は、自然長よりも前後方向に圧縮された状態で、操作ボタン27と上部材22との間に介挿される。したがって、弾性部材28の弾性反発力によって、操作ボタン27は、常に前方(突出位置側)へ向かう圧力を受ける。
【0036】
ユーザが、開閉部材23を、
図6に示す開放状態から閉鎖状態へ向けて回動させると、
図5のように、開閉部材23の前壁部232の下縁部が、操作ボタン27の前面271に接触する。そして、操作ボタン27は、前壁部232に押されることによって、一旦後方へ移動する。その後、開閉部材23が閉鎖状態に到達し、前壁部232の開口233と操作ボタン27が重なると、操作ボタン27は、弾性部材28の反発力で再び前方へ突出し、前壁部232の開口233に挿入される。これにより、
図3のように、開閉部材23と操作ボタン27とが係合して、開閉部材23が閉鎖状態に維持される。
【0037】
一方、開閉部材23を、
図3に示す閉鎖状態から開くときには、ユーザが、
図4に示すように、開口233に露出した操作ボタン27の前面271を、後方へ向けて押圧する。これにより、操作ボタン27を、突出位置から退避位置へ移動させて、開閉部材23と操作ボタン27の係合を解除する。このとき、弾性体である栓パッキン26が、圧縮された状態から自然状態へ復元する。この栓パッキン26の弾性力により、開閉部材23が、閉鎖状態から僅かに持ち上がる。これにより、開閉部材23の前壁部232の下縁部が、操作ボタン27の前面271の前方に配置される。
【0038】
その後、ユーザが、操作ボタン27から指を離すと、操作ボタン27は、弾性部材28の反発力で、退避位置から再び前方へ突出する。そうすると、
図5のように、操作ボタン27の前面271が、開閉部材23の前壁部232の下縁部に接触する。そして、操作ボタン27の前方への移動に伴い、開閉部材23の前壁部232が、操作ボタン27の傾斜した前面271に沿って、上方へ移動する。その結果、開閉部材23が、さらに持ち上がる。したがって、ユーザは、持ち上げられた開閉部材23を容易に掴むことができ、掴んだ開閉部材23を、
図6の開放状態へ、容易に回動させることができる。
【0039】
特に、本実施形態の開閉部材23は、下縁部の後面234が、前後方向に対して傾斜した面となっている。より詳述すると、開閉部材23の下縁部の後面234は、閉鎖状態において、上方へ向かうにつれて後方へ近づくように傾斜する傾斜面となっている。そして、操作ボタン27の前面271は、開閉部材23の当該後面234に接触する。このように、傾斜面同士を接触させることにより、操作ボタン27に対して開閉部材23の前壁部232を、滑らかに摺動させることができる。したがって、操作ボタン27に対して前壁部232を摺動させながら、より滑らかに開閉部材23を持ち上げることができる。
【0040】
シャッタ29は、開閉部材23の開口233を閉鎖するための部材である。シャッタ29は、略矩形の板状部材である。シャッタ29は、開閉部材23の前壁部232に、上下方向にスライド移動可能な状態で、保持されている。シャッタ29は、開口233を閉鎖する第1位置と、開口233を開く第2位置との間で、移動可能である。シャッタ29を第1位置に配置すると、操作ボタン27の前面271が、シャッタ29に覆われる。この状態では、ユーザは、操作ボタン27に触れることができない。したがって、操作ボタン27の誤操作を防止できる。一方、シャッタ29を第2位置に配置すると、開口233が開かれて、操作ボタン27の前面271が露出する。この状態では、ユーザは、操作ボタン27を押して、開閉部材23を開くことができる。
【0041】
また、
図2に示すように、シャッタ29は、左右の端縁に、一対の微小な凸部291を有する。一方、開閉部材23は、一対の微小な第1凹部235と、第1凹部235よりも上側に設けられた一対の微小な第2凹部236と、を有する。シャッタ29が上述した第1位置に配置されると、第1凹部235に凸部291が係合する。これにより、開閉部材23が、第1位置に維持される。また、シャッタ29が上述した第2位置に配置されると、第2凹部236に凸部291が係合する。これにより、開閉部材23が、第2位置に維持される。
【0042】
なお、シャッタ29は、凸部291に代えて、微小な凹部を有していてもよい。その場合、開閉部材23は、シャッタ29が第1位置に配置された状態においてシャッタ29の凹部と係合する第1凸部と、シャッタ29が第2位置に配置された状態においてシャッタ29の凹部と係合する第2凸部と、を有していればよい。
【0043】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0044】
上記の実施形態では、栓パッキン26が、環状のリップ部32を飲み口30の周囲に接触させることにより、飲み口30を封止するものであった。しかしながら、栓パッキン26は、半球状の突起を飲み口30に接触させることにより、飲み口30を封止するものであってもよい。
【0045】
また、上記の実施形態では、開閉部材23の下縁部の後面234が、傾斜面となっていた。しかしながら、開閉部材23の当該部分は、傾斜面でなくてもよい。すなわち、開閉部材23の下縁部の後部の角に、操作ボタン27の前面271が接触する構造であってもよい。
【0046】
また、上記の実施形態の蓋体20は、操作ボタン27の誤操作を防止するために、シャッタ29を有していた。しかしながら、シャッタ29以外の方法で、操作ボタン27の誤操作を防止してもよい。例えば、蓋体20に、操作ボタン27の前後方向の移動を停止させるロック機構を設けてもよい。
【0047】
また、上記の実施形態では、容器本体10の外周面が、上方へ向かうにつれて徐々に拡径するテーパ形状であった。しかしながら、容器本体の外周面は、ストレートな円筒状の面であってもよい。
【0048】
また、上記の実施形態では、容器本体10の内周面が、第1内周面121、傾斜面122、および第2内周面123を有していた。しかしながら、容器本体の内周面は、傾斜面を有さない、ストレートな円筒状の面であってもよい。
【0049】
また、上記の実施形態の飲料容器1は、容器本体10の上部の内周面に雌ねじ13を設け、当該雌ねじ13に、蓋体20に設けられた雄ねじ210を螺合させる方式(内ねじ式)であった。しかしながら、飲料容器は、容器本体の上部の外周面に雄ねじを設け、当該雄ねじに、蓋体に設けられた雌ねじを螺合させる方式(外ねじ式)であってもよい。
【0050】
また、上記の実施形態の飲料容器1は、蓋体20を有するタンブラーであった。しかしながら、飲料容器は、ステンレスマグであってもよい。
【0051】
また、飲料容器の細部の形状については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 飲料容器
10 容器本体
11 底部
12 側壁部
20 蓋体
21 下部材
22 上部材
23 開閉部材
24 リングパッキン
26 栓パッキン
27 操作ボタン
28 弾性部材
29 シャッタ
30 飲み口
222 ヒンジ
231 天板部
232 前壁部
233 開口
234 後面
235 第1凹部
236 第2凹部
271 前面
291 凸部
A 中心軸