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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20250106BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20250106BHJP
   B60R 1/20 20220101ALI20250106BHJP
【FI】
G09G5/00 510X
G09G5/00 530D
G09G5/00 550B
G09G5/00 550C
G09G5/00 510A
G09G5/377 100
B60R1/20 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021178934
(22)【出願日】2021-11-01
(65)【公開番号】P2023067562
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】岡田 広樹
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-187631(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0209092(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00-5/42
B60R 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのディスプレイに異なる複数の画面を表示する表示システムであって、
前記複数の画面の各々を描画する描画手段と、
前記描画手段が描画した画面を配列して前記ディスプレイに表示する表示手段と、
黒画表示制御手段と、
少なくとも1つの画面を対象画面として、各対象画面について、当該対象画面に関わる異常を繰り返し検出し、異常が検出されなかったときに正常検出を前記黒画表示制御手段に出力する異常監視手段とを備え、
前記黒画表示制御手段は、異常監視手段から、正常検出が所定時間より短い時間間隔で出力されなくなった対象画面の黒画オンを前記表示手段にセットし、
前記表示手段は、黒画オンがセットされている対象画面ついては、当該対象画面の黒画表示を行い、
前記黒画表示制御手段は、異常監視手段から、正常検出が出力された対象画面の黒画オフを前記表示手段にセットし、
前記表示手段は、黒画オフがセットされている対象画面については、当該対象画面の黒画表示を行わずに当該対象画面を前記ディスプレイに表示し、
かつ、当該表示システムは、
各対象画面に対応する異常フラグを備え、
前記異常監視手段は、異常が検出されなかった対象画面に対応する異常フラグを第1の値にセットすることにより、当該対象画面の正常検出を前記黒画表示制御手段に出力し、
前記黒画表示制御手段は、各対象画面に対応するタスクを実行し、
各タスクは、対応する対象画面に対応する異常フラグの値を調べ、当該異常フラグが第1の値であるときに、対応する対象画面の黒画オフを前記表示手段にセットすると共に当該異常フラグに第2の値をセットし、当該異常フラグが前記第2の値であるときに、対応する対象画面の黒画オンを前記表示手段にセットする処理を、所定時間毎に繰り返し行い、
前記異常監視手段は、前記所定時間よりも短い時間間隔で、各対象画面に関わる異常を繰り返し検出し、異常が検出されなかった対象画面に対応する異常フラグを第1の値にセットすることを特徴とする表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の表示システムであって、
当該表示システムの稼働開始時に、前記各対象画面に、初期値として黒画オンがセットされることを特徴とする表示システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の表示システムであって、
前記表示手段は、黒画オンがセットされている対象画面ついて、当該対象画面上に黒画のレイヤを重ねて前記ディスプレイに表示することにより、当該対象画面の黒画表示を行うことを特徴とする表示システム。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の表示システムであって、
前記黒画表示制御手段は、少なくとも前記描画手段と前記異常監視手段と異なる動作基盤上で動作することを特徴とする表示システム。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の表示システムであって、
当該表示システムは、自動車に搭載された車載の表示システムであることを特徴とする表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載される表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される表示システムとしては、横長のディスプレイに、複数の画面を横方向に並べて表示する表示システムが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-292812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車に搭載される表示システムにおいては、故障等の異常が発生したときに、当該異常に関わる画面を黒画表示する機能安全を実現することが好ましい。
【0005】
しかし、1つのディスプレイに複数の画面を表示する表示システムでは、ディスプレイのバックライトをオフすること等により、ディスプレイの表示画面の全面を黒画表示とすると、異常と関わらない画面や、機能安全の対象とならない画面まで黒画表示となってしまい好ましくない。
【0006】
異常に関わる画面の描画処理を行っている処理部に、当該画面として黒画を描画させれば、当該異常に関わる画面のみを黒画とすることができるが、画面の描画処理は通常ソフトウエア処理により実現されているため、機能安全の確実性において必ずしも充分ではない。
【0007】
また、異常を検出したときに当該異常に関わる画面を黒画表示する処理では、当該異常の検出を行う処理部自体に故障等が生じたときに、確実に、異常に関わる画面を黒画表示することができなくなる。
【0008】
そこで、本発明は、1つのディスプレイに複数の画面を表示する表示システムにおいて、故障等の異常が発生したときに、当該異常に関わる画面のみを確実に黒画表示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題達成のために、本発明は、1つのディスプレイに異なる複数の画面を表示する表示システムに、前記複数の画面の各々を描画する描画手段と、前記描画手段が描画した画面を配列して前記ディスプレイに表示する表示手段と、黒画表示制御手段と、少なくとも1つの画面を対象画面として、各対象画面について、当該対象画面に関わる異常を繰り返し検出し、異常が検出されなかったときに正常検出を前記黒画表示制御手段に出力する異常監視手段とを備えたものである。前記黒画表示制御手段は、異常監視手段から、正常検出が所定時間より短い時間間隔で出力されなくなった対象画面の黒画オンを前記表示手段にセットし、前記表示手段は、黒画オンがセットされている対象画面ついては、当該対象画面の黒画表示を行う。
【0010】
ここで、この表示システムは、前記黒画表示制御手段において、異常監視手段から、正常検出が出力された対象画面の黒画オフを前記表示手段にセットし、前記表示手段において、黒画オフがセットされている対象画面については、当該対象画面の黒画表示を行わずに当該対象画面を前記ディスプレイに表示するように構成してよい。
【0011】
また、この場合、表示システムは、当該表示システムの稼働開始時に、前記各対象画面に、初期値として黒画オンがセットされるように構成してよい。
また、この場合、表示システムは、前記黒画表示制御手段に、各対象画面に対応するタイマカウンタを備え、各タイマカウンタにおいて、対応する対象画面の正常検出が出力されたときと、所定値までカウントが進んだときにリセットされ、対応する対象画面の正常検出が出力されたときに対応する対象画面の黒画オフを前記表示手段にセットし、所定値までカウントが進んだときに対応する対象画面の黒画オンを前記表示手段にセットし、前記異常監視手段において、前記タイマカウンタが0から前記所定値までカウントするのに要する時間よりも短い時間間隔で、各対象画面に関わる異常を繰り返し検出し、異常が検出されなかったときに正常検出を前記黒画表示制御手段に出力するように構成してもよい。
【0012】
またはこの場合、表示システムは、各対象画面に対応する異常フラグを設け、前記異常監視手段において、異常が検出されなかった対象画面に対応する異常フラグを第1の値にセットすることにより、当該対象画面の正常検出を前記黒画表示制御手段に出力し、前記黒画表示制御手段において、各対象画面に対応するタスクを実行するものとしてよい。ここで、各タスクは、対応する対象画面に対応する異常フラグの値を調べ、当該異常フラグが第1の値であるときに、対応する対象画面の黒画オフを前記表示手段にセットすると共に当該異常フラグに第2の値をセットし、当該異常フラグが第2の値であるときに、対応する対象画面の黒画オンを前記表示手段にセットする処理を、所定時間毎に繰り返し行う。また、前記異常監視手段は、前記所定時間よりも短い時間間隔で、各対象画面に関わる異常を繰り返し検出し、異常が検出されなかった対象画面に対応する異常フラグを第1の値にセットする。
【0013】
ここで、以上の表示システムは、前記表示手段において、黒画オンがセットされている対象画面ついて、当該対象画面上に黒画のレイヤを重ねて前記ディスプレイに表示することにより、当該対象画面の黒画表示を行うように構成してもよい。
また、以上の表示システムは、前記黒画表示制御手段を、少なくとも前記描画手段と前記異常監視手段と異なる動作基盤上で動作させることが好ましい。
また、以上の表示システムは、自動車に搭載された車載の表示システムであってよい。
【0014】
このような表示システムによれば、単一のディスプレイに複数の画面を配列して表示する表示システムにおいて、画面毎に黒画表示を行うことができる。
また、異常検出時ではなく、正常を所定時間より短い時間間隔で検出することができなくなったときに黒画表示を行うので、異常検出の機能自体に故障が発生した場合でも黒画表示が行われることとなり、機能安全の確実性を向上できる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、1つのディスプレイに複数の画面を表示する表示システムにおいて、故障等の異常が発生したときに、当該異常に関わる画面のみを確実に黒画表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る表示システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るディスプレイの配置を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る描画ユニットと表示ユニットの機能を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る黒画表示の制御動作を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る表示システムの構成を示すブロック図である
図6】本発明の第2実施形態に係る黒画表示の制御動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、第1の実施形態について説明する。
図1に、本第1実施形態に係る表示システムの構成を示す。
図示するように、表示システムは、第1映像ソース機器1、第2映像ソース機器2、データ装置3、表示制御システム4、ディスプレイユニット5を備えている。
表示制御システム4は、たとえば、SoC(System on a chip)として構成されたシステムであり、描画ユニット41、表示ユニット42、異常監視ユニット43、タイマカウンタ回路44を備えている。
【0018】
ディスプレイユニット5は、横長の大型の表示面をもった表示装置であり、たとえば、図2に示すように自動車のダッシュボード上に配置される。
第1映像ソース機器1は、たとえば、ビデオプレイヤ等であり、表示制御システム4の描画ユニット41は、たとえば、図3a1に示すような、第1映像ソース機器1から出力された映像を表す第1画面を生成する。
第2映像ソース機器2は、たとえば、自動車の後方のようすを撮影するカメラであり、表示制御システム4の描画ユニット41は、たとえば、図3a2に示すような、第2映像ソース機器2から出力された映像を表す第2画面を生成する。
【0019】
データ装置3は、たとえば、自動車の車速やエンジンの回転数等の各種状態を表すデータを表示制御システム4に出力し、表示制御システム4の描画ユニット41は、データ装置1から出力されたデータから、たとえば、図3a3に示すような、メータクラスタを模した第3画面を生成する。
【0020】
そして、表示制御システム4の表示ユニット42は、図3bに示すように、描画ユニットが生成した第1画面、第2画面、第3画面を横方向に並ぶように合成し、ディスプレイユニット5に表示する。
【0021】
ここで、第2画面、第3画面が、画面に関わる故障等の異常が発生しているときに黒画表示する機能安全対象の画面である。
次に、表示ユニット42は、図3c1に示すように、描画ユニット41が生成した第2画面の上に黒画のレイヤBLを重ねて表示する機能を備えており、黒画のレイヤBLを重ねて表示することにより第2画面は図3c2に示すように黒画表示となる。
【0022】
また、同様に、表示ユニット42は、図3d1に示すように、描画ユニット41が生成した第3画面の上に黒画のレイヤBLを重ねて表示する機能を、第2画面の上に黒画のレイヤBLを重ねて表示する機能と独立に備えており、黒画のレイヤBLを重ねて表示することにより第3画面は図3d2に示すように黒画表示となる。
【0023】
次に、表示制御システム4は、第2画面に対応するタイマカウンタ回路44と、第3画面に対応するタイマカウンタ回路44を備えている。
異常監視ユニット43は、第2画面に関わる第2映像ソース機器2や描画ユニット41の異常/正常を繰り返し検出し、正常が検出された場合には、第2画面に対応するタイマカウンタ回路44に正常検出を通知する。
【0024】
また、異常監視ユニット43は、第3画面に関わるデータ装置3や描画ユニット41の異常/正常を繰り返し検出し、正常が検出された場合には、第3画面に対応するタイマカウンタ回路44に正常検出を通知する。
【0025】
以下、このような表示システムにおける黒画制御の動作を説明する。
表示システムの起動時のディフォルト状態において、表示ユニット42には、第2画面の黒画レイヤオンが設定されており、第2画面の黒画レイヤオンが設定されているときに、表示ユニット42は、第2画面の上に黒画のレイヤBLを重ねてディスプレイユニット5に表示する。また、表示ユニット42は、第2画面の黒画レイヤオフが設定されているときには、描画ユニットが生成した第2画面をそのままディスプレイユニット5に表示する。
【0026】
また、同様に、表示システムの起動時のディフォルト状態において、表示ユニット42には、第3画面の黒画レイヤオンが設定されており、第3画面の黒画レイヤオンが設定されているときに、表示ユニット42は、第3画面の上に黒画のレイヤBLを重ねてディスプレイユニット5に表示する。また、表示ユニット42は、第3画面の黒画レイヤオフが設定されているときには、描画ユニットが生成した第3画面をそのままディスプレイユニット5に表示する。
【0027】
次に、各タイマカウンタ回路44の動作について説明する。
タイマカウンタ回路44は、カウント値TCNTを一定周期のクロックでカウントアップするカウンタであり、カウント値TCNTは、異常監視ユニット43から正常検出を通知されたときと、カウント値TCNTが値Thに達したときにリセットされる。
【0028】
また、タイマカウンタ回路44は、カウント値TCNTが値Thに達する前に、正常検出の通知によってリセットされたときに、表示ユニット42に、対応する画面の黒画レイヤオフを設定する。また、タイマカウンタ回路44は、カウント値TCNTが値Thに達してリセットされたときに、表示ユニット42に、対応する画面の黒画レイヤオンを設定する。
【0029】
ここで、異常監視ユニット43は、対応する画面に関わる異常/正常の検出を、タイマカウンタ回路44がカウント値TCNTを0から値Thまでカウントするのに要する時間よりも短い時間間隔で繰り返し行うように構成されている。
【0030】
機能安全対象の画面である第2画面と第3画面の黒画表示の制御の手順は同じであるので、以下、第2画面を代表例としてタイマカウンタ回路44の以上のような動作の具体例を図4に示す。
【0031】
図4に示すように、第2画面は、起動時にディフォルトで黒画レイヤオンとなって黒画表示となり、第2画面に対応するタイマカウンタ回路44のカウント値TCNTのカウントアップが開始される。
【0032】
そして、第2画面に対応するタイマカウンタ回路44のカウント値TCNTが値Thに達する前の時刻t1で、異常監視ユニット43から正常検出を通知されたならば、第2画面に対応するタイマカウンタ回路44のカウント値TCNTは0にリセットされ、第2画面の黒画レイヤオフに設定され、黒画表示が解除され描画ユニット41が生成した第2画面がディスプレイユニット5に表示される。
【0033】
そして、第2画面に対応するタイマカウンタ回路44が0からのカウント値TCNTのカウントアップを開始し、カウント値TCNTが値Thに達する前の時刻t2で、異常監視ユニット43から正常検出を通知されたならば、第2画面に対応するタイマカウンタ回路44のカウント値TCNTは0にリセットされ、第2画面の黒画レイヤオフが設定され、描画ユニット41が生成した第2画面のディスプレイユニット5への表示が維持される。
【0034】
そして、第2画面に対応するタイマカウンタ回路44が0からのカウント値TCNTのカウントアップを開始し、時刻t3で、異常監視ユニット43からの正常検出の通知を受けることなく、カウント値TCNTが値Thに達したならば、タイマカウンタ回路44のカウント値TCNTは0にリセットされ、第2画面の黒画レイヤオンに設定され、第2画面は黒画表示となる。
【0035】
そして、第2画面に対応するタイマカウンタ回路44が0からのカウント値TCNTのカウントアップを開始し、時刻t4で、異常監視ユニット43からの正常検出の通知を受けることなく、再度、カウント値TCNTが値Thに達したならば、タイマカウンタ回路44のカウント値TCNTは0にリセットされ、第2画面の黒画レイヤオンに設定され、第2画面の黒画表示が維持される。
【0036】
そして、第2画面に対応するタイマカウンタ回路44が0からのカウント値TCNTのカウントアップを開始し、第2画面に対応するタイマカウンタ回路44のカウント値TCNTが値Thに達する前の時刻t5で、異常監視ユニット43から正常検出を通知されたならば、第2画面に対応するタイマカウンタ回路44のカウント値TCNTは0にリセットされ、第2画面の黒画レイヤオフに設定され、黒画表示が解除され描画ユニット41が生成した第2画面がディスプレイユニット5に表示される。
【0037】
結果、表示システムの起動後、異常監視ユニット43によって第2画面に関わる各部の正常が検出されるまで、第2画面の黒画表示が維持され、正常が検出された後に、描画ユニット41が生成した第2画面のディスプレイユニット5への表示が開始される。そして、その後は、異常監視ユニット43によって第2画面に関わる各部の正常が、タイマカウンタ回路44が0からカウント値TCNTまでカウントアップするのに要する所定時間より短い時間間隔で検出されている間は、描画ユニット41が生成した第2画面のディスプレイユニット5への表示が継続し、異常監視ユニット43によって第2画面に関わる各部の正常を所定時間より短い時間間隔で検出することができなくなったならば、第2画面の表示は黒画表示に遷移し、黒画表示が異常監視ユニット43によって第2画面に関わる各部の正常が検出されるまで維持される。
【0038】
以上、本発明の第1実施形態について説明した。
以上のように本第1実施形態によれば、単一のディスプレイユニット5に複数の画面を並べて表示する表示システムにおいて、画面毎に黒画表示を行うことができる。
また、異常検出時ではなく、正常を所定時間より短い時間間隔で検出することができなくなったときに黒画表示を行うので、異常検出の機能自体に故障が発生した場合でも黒画表示が行われることとなり、機能安全の確実性を向上できる。
【0039】
また、タイマカウンタ回路44は、表示制御システム4に、独立動作可能なハードウエアとして搭載することができ、このようにすることにより、より確実な機能安全を実現することができる。
【0040】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
図5に、本第2実施形態に係る表示システムの構成を示す。
本第2実施形態に係る表示システムは、表示制御システムの構成のみが、図1に示した第1実施形態に係る表示システムと異なる。
図示するように、本第2実施形態に係る表示システム4は、第1サブシステム410と第2サブシステム420を備えている。
第1サブシステム410と第2サブシステム420は、ハイパーバイザー上の異なる仮想マシンもしくは異なるCPU上に構築されたシステムである。
第1サブシステム410は、第1実施形態で示した描画ユニット41、表示ユニット42を備えている。また、第1サブシステム410は、第2画面に対応する異常監視タスク4101と第3画面に対応する異常監視タスク4101を実行する。
【0041】
そして、第1実施形態と同様に第2画面と第3画面が機能安全対象の画面であるものとして、第2サブシステム421は、第2画面に対応する黒画レイヤ制御タスク4201と、第3画面に対応する黒画レイヤ制御タスク4201を実行する。
【0042】
機能安全対象の画面である第2画面と第3画面の黒画表示の制御の手順は同じであるので、以下、第2画面を代表例として、その黒画表示の動作について説明する。
第2画面に対応する異常監視タスク4101は、表示システムの稼働中、図6aに示すように、第2画面に関わる第2映像ソース機器2や描画ユニット41の異常/正常を繰り返し検出し(ステップ602)、正常が検出された場合に異常フラグを0に設定する(ステップ604)処理を繰り返し行う。
【0043】
第2画面に対応する黒画レイヤ制御タスク4201は、図6bに示すように、表示システムが起動したならば、異常フラグを1にセットする(ステップ652)。そして、異常フラグが0かどうかを調べる(ステップ654)。
【0044】
そして、異常フラグが0であれば、第2画面の黒画レイヤオフを設定し(ステップ656)、異常フラグを1にセットし(ステップ658)、異常フラグが0でなく1であれば、第2画面の黒画レイヤオンを設定し(ステップ660)、異常フラグを1にセットする(ステップ658)。
【0045】
そして、ステップ658で異常フラグを1にセットしたならば、所定時間(たとえば、15ms)の経過を待ち(ステップ662)、ステップ654からの処理に戻る。
ここで、異常監視タスク4101は、対応する画面に関わる異常/正常の検出を、黒画レイヤ制御タスク4201のステップ662で経過を待つ所定時間よりも短い時間間隔で繰り返し行うように構成されている。
【0046】
このような、黒画レイヤ制御タスク4201の動作によれば、第2画面の黒画表示は、次のように制御される。
すなわち、第2画面は、起動時にディフォルトで黒画レイヤオンとなって黒画表示となる。また、起動時に黒画レイヤ制御タスク4201によって異常フラグが1にセットされる(ステップ652)ので、異常監視タスク4101によって第2画面に関わる各部の正常が検出され、異常フラグが0にセットされるまで、黒画レイヤオンがセットされ続け(ステップ660)、第2画面の黒画表示が維持される。
【0047】
一方、異常監視タスク4101によって第2画面に関わる各部の正常が検出され異常フラグが0にセットされると(ステップ654)、黒画レイヤオフがセットされ(ステップ656)、黒画表示が解除され描画ユニット41が生成した第2画面がディスプレイユニット5に表示される。
【0048】
異常フラグは、黒画レイヤオフがセットされた後(ステップ658)に1にセットし直され(ステップ658)、所定時間の経過を待って(ステップ662)、再度、異常フラグの値に応じた黒画レイヤオフのセット(ステップ656)と黒画レイヤオンのセット(ステップ660)が行われる。
【0049】
したがって、所定時間の経過(ステップ662)の間に、異常監視タスク4101によって第2画面に関わる各部の正常が検出され異常フラグが0にセットされないと、黒画レイヤオンがセットされ(ステップ660)、第2画面の黒画表示が行われる。
【0050】
一方、所定時間の経過(ステップ662)の間に、異常監視タスク4101によって第2画面に関わる各部の正常が検出され異常フラグが0にセットされた場合には、黒画レイヤオフがセットされ(ステップ656)、描画ユニット41が生成した第2画面のディスプレイユニット5への表示が維持される。
【0051】
結果、表示システムの起動後、異常監視タスク4101によって第2画面に関わる各部の正常が検出されるまで、第2画面の黒画表示が維持され、正常が検出された後に、描画ユニット41が生成した第2画面のディスプレイユニット5への表示が開始される。そして、その後は、異常監視タスク4101によって第2画面に関わる各部の正常が所定時間より短い時間間隔で検出されている間は、描画ユニット41が生成した第2画面のディスプレイユニット5への表示が継続し、異常監視タスク4101によって第2画面に関わる各部の正常を所定時間より短い時間間隔で検出することができなくなったならば、第2画面の表示は黒画表示に遷移し、異常監視タスク4101によって第2画面に関わる各部の正常が検出されるまで維持される。
【0052】
以上のように、本第2実施形態によれば、単一のディスプレイユニット数の画面を並べて表示する表示システムにおいて、画面毎に黒画表示を行うことができる。
また、異常検出時ではなく、正常を所定時間より短い時間間隔で検出することができなくなったときに黒画表示を行うので、異常検出の機能自体に故障が発生した場合でも黒画表示が行われることとなり、機能安全の確実性を向上できる。また、異常検出を行う異常監視タスク4101と、黒画表示の制御を行う黒画レイヤ制御タスク4201とを、ハイパーバイザー上の異なる仮想マシンもしくは異なるCPU上に構築された異なるサブシステム上に搭載したので、より確実な機能安全を実現できる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の実施形態では、表示ユニット42において、画面に黒画レイヤを重ねて表示することにより、画面の黒画表示を行ったが、画面の黒画表示は他の手法により行ってもよい。たとえば、表示ユニット42において、描画ユニット41から出力される画面を構成する画素のRGBなどの色を表す画素データをマスクして黒の画素データを出力することにより、画面の黒画表示を行っても良い。
また、以上の実施形態は、表示制御システム4が、複数のディスプレイユニット5の表示を行うものである場合についても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…第1映像ソース機器、2…第2映像ソース機器、3…データ装置、4…表示制御システム、5…ディスプレイユニット、41…描画ユニット、42…表示ユニット、43…異常監視ユニット、44…タイマカウンタ回路、410…第1サブシステム、420…第2サブシステム、4101…異常監視タスク、4201…黒画レイヤ制御タスク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6