(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】防災システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20250106BHJP
G01H 11/08 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
G08B25/00 520A
G01H11/08 Z
(21)【出願番号】P 2020029578
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】増田 誠良
(72)【発明者】
【氏名】今井 大貴
(72)【発明者】
【氏名】高橋 未央
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 佳苗
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-234534(JP,A)
【文献】特開2014-044603(JP,A)
【文献】特開2011-242882(JP,A)
【文献】特開2015-153177(JP,A)
【文献】特開2017-063330(JP,A)
【文献】特開2018-125646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象領域を有する監視領域の防災処理を行う防災システムであって、
前記対象領域で異常が発生した場合に、自己が被支援対象者となりうる当該対象領域内のユーザに関するユーザ関連情報を含む音信号を収集する収音装置と、
前記収音装置が収集した音信号から取得した前記ユーザ関連情報に基づいて、前記対象領域における防災に関する防災関連情報を出力する制御手段と、
複数の前記対象領域の各々に設置される表示装置と、
を備え
、
前記表示装置は、前記制御手段が出力した前記防災関連情報を受信した場合に、当該防災関連情報に基づいて、前記被支援対象者の救助を支援するための救助支援画像を表示する防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災方法、及び防災方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音波を用いて通信する技術が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、従来の音波を用いて通信する技術を利用して防災を行うことが要望されていた。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、音信号に基づく通信を利用して対象領域の防災性を向上させることが可能な防災システム及び防災方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の防災システムは、複数の対象領域を有する監視領域の防災処理を行う防災システムであって、前記対象領域で異常が発生した場合に、自己が被支援対象者となりうる当該対象領域内のユーザに関するユーザ関連情報を含む音信号を収集する収音装置と、前記収音装置が収集した音信号から取得した前記ユーザ関連情報に基づいて、前記対象領域における防災に関する防災関連情報を出力する制御手段と、複数の前記対象領域の各々に設置される表示装置と、を備え、前記表示装置は、前記制御手段が出力した前記防災関連情報を受信した場合に、当該防災関連情報に基づいて、前記被支援対象者の救助を支援するための救助支援画像を表示する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の防災システムによれば、例えば、音信号に基づく通信を利用して対象領域の防災性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る防災システムを示す図である。
【
図11】
図8において避難経路を例示した図である。
【
図12】火災位置メッセージ画像を例示した図である。
【
図14】状態情報送信処理のフローチャートである。
【
図15】支援情報表示処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る防災システム、及び防災方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、本実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態は、概略的に、防災システム、及び防災方法に関するものである。
【0012】
「防災システム」とは、防災のために用いられるシステムであり、具体的には、対象領域における異常に関する防災のために用いられるシステムであり、例えば、音出力装置、収音装置、制御手段、携帯端末、又は表示装置等の要素を備える。
【0013】
「対象領域」とは、防災の対象となる領域であり、例えば、建物の内部の領域、建物の外部の領域、あるいは、その他の任意の領域等を含む概念である。「異常」とは、通常とは異なる状態であり、例えば、火災、ガス漏れ、地震等を含む概念である。
【0014】
「音出力装置」とは、音を出力する装置であり、例えば、建物等の任意の対象に設けられるスピーカ又はベースサウンダー等を含む概念である。「ベースサウンダー」とは、例えば、異常を警報する警報器を取り付けるためのベースに対して、当該警報器と共に取り付けられる機器であり、所定の音を出力する装置である。「音」とは、空気等の媒体を振動として伝わる波に対応する概念であり、具体的には、可聴領域の周波数にて伝わるもの、非可聴領域の周波数にて伝わるもの等を含む概念であり、例えば、警報音、音声、雑音、及び音信号等を含む概念である。
【0015】
「警報音」とは、例えば、警報目的で出力される可聴の音等を含む概念であり、また、「音声」とは、例えば、人の発声器官を通じて出力される可聴音、又は、人工的に生成されて出力される可聴音等を含む概念である。「雑音」とは、例えば、伝えることを目的とした音以外の音等を含む概念である。
【0016】
「音信号」とは、上記警報音や音声とは異なる概念であって、例えば、任意の装置間で所定のプロトコルにより情報を伝達するための音であり、つまり、伝達される任意の情報を含む音である。そして、この「音信号」についての任意の物理量(例えば、振幅、位相、又は周波数等)を用いて通信することが可能となるが、防災システムにおいては、この音信号を用いて行われる通信を適宜利用することとする(後述)。また、「音信号」の周波数として、非可聴音を用いることができる。
【0017】
「収音装置」とは、音を収集する装置であり、例えば、建物等の任意の対象に設けられるマイク等を含む概念である。なお、ここでの「マイク」は、例えば、マイク単体として実装してもよいし、あるいは、他の任意の装置(例えば、感知器等)に内蔵されるマイクとして実装してもよい。また、この「収音装置」とは、例えば、対象領域で異常が発生した場合に、当該対象領域内のユーザに関するユーザ関連情報を含む音信号を収集する手段等を含む概念である。「感知器」とは、監視領域における異常を検出する機器であり、例えば、煙感知器、熱感知器等の火災感知器、及びガス感知器等を含む概念である。
【0018】
「ユーザ関連情報」とは、ユーザに関連する情報であり、例えば、ユーザの属性を示す属性情報、及びユーザの状態を示す状態情報等を含む概念である。「ユーザの属性」とは、ユーザに備わっている性質や特徴であり、例えば、国籍、使用言語、障がいの有無、性別、年齢、血液型、出身地、子供連れであるか否か、また消防隊員や医療従事者であるか否か等を含む概念である。「ユーザの状態」とは、例えば、異常発生時又は異常発生後のユーザのあり様であり、例えば、避難中である状態、避難中でない状態、支援を必要とする状態、支援を必要としない状態、確認を要する状態、及び確認を要しない状態等を含む概念である。
【0019】
「制御手段」とは、収音装置が収集した音信号に基づいて、対象領域における防災に関する防災関連情報を出力する手段である。この制御手段の実装手法は任意であり、例えば、防災受信機(以下、単に「受信機」とも称する)又は総合操作盤等の任意の防災機器の少なくとも一部の機能として実装してもよいし、あるいは、防災機器以外の任意の装置(例えば、サーバ装置、及びクラウドコンピュータ等)の少なくとも一部の機能として実装してもよい。
【0020】
「防災関連情報」とは、対象領域における防災に関連する情報であり、例えば、異常を報知するための情報、避難を誘導するための情報、及び救助を支援するための情報等を含む概念である。
【0021】
「防災受信機」とは、例えば、監視領域を管理する機器であり、一例としては、火災、又はガス漏れ等の防災を行う機器等を含む概念である。「総合操作盤」とは、監視領域を総合的に管理する機器であり、例えば、監視領域を示す画像情報を表示したり、各種の連動制御をしたりする機器等を含む概念である。
【0022】
「携帯端末」とは、ユーザによって携帯される装置であり、例えば、音を出力したり受信したりする機能を有する装置であり、一例としては、スマートフォン、又はタブレット端末等を含む概念である。
【0023】
「表示装置」とは、情報を表示する装置であり、例えば、対象領域に設置されているデジタルサイネージ(電子看板)用の装置であり、一例としては、ディスプレイ装置、又はプロジェクタ等を含む概念である。
【0024】
そして、以下に示す各実施の形態では、「対象領域」が建物の内部の領域であり、「制御手段」が受信機の一部の機能として実装されている場合について説明する。
【0025】
[実施の形態の具体的内容]
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0026】
(構成)
まず、本実施の形態に係る防災システムの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る防災システムを示す図であり、また、
図2は、
図1の建物の3階の平面図である。
【0027】
図1の防災システム100は、
図1の建物における火災に関する防災を行うためのシステムであり、当該建物に適用される。当該建物は、例えば、3階建ての商業施設であり、また、当該建物の3階部分には、
図2に示すように、3つの階段(第1階段~第3階段)、5つの居室(1号室~5号室)、及び3つの廊下(第1廊下~第3廊下)が設けられている。なお、当該建物の1階部分及び2階部分にも、階段、居室、及び廊下等が適宜設けられているが、本実施の形態では、3階部分に着目して説明する。
【0028】
図1の防災システム100は、例えば、受信機1、感知器2、館内スピーカ3、中継装置4、館内マイク5、表示装置6、及び端末装置7を備える。なお、
図1の感知器2、館内スピーカ3、館内マイク5、及び表示装置6は、各階に複数個設けられているものが代表して図示されている。なお、防災システムを構成する各装置の電源は任意であるが、本実施の形態において、受信機1は、通常時は商用電源で動作すると共に自己搭載のバックアップ用蓄電池に充電しており、感知器2、館内スピーカ3、中継装置4、表示装置6は受信機1からの給電により動作するものとする。また受信機1は、商用電源の停電時にはバックアップ用蓄電池で動作すると共に感知器2、館内スピーカ3、中継装置4、表示装置6への給電を継続し、館内マイク5及び携帯端末7はそれぞれ電池電源で動作しており商用電源の停電時にも継続動作可能であるものとする。即ち、本実施の形態の防災システム100は、停電時にも所定の期間にわたり継続動作が可能である。
【0029】
(構成-受信機)
図3は、受信機のブロック図である。なお、受信機1については、公知の防災受信機と同様な構成については詳細の説明を省略し、本願に特徴的な構成のみ詳細に説明する。
【0030】
図1の受信機1は、防災受信機であり、具体的には、前述の制御手段であり、例えば、通信線L1を介して直接的に又は間接的に、感知器2、館内スピーカ3、館内マイク5、及び表示装置6との間で、通信可能となっている。受信機1は、例えば、
図3に示すように、通信部11、記録部12、及び制御部13を備える。なお、「防災システム」において、少なくとも「音出力装置(例えば管内スピーカ3)」と「携帯端末(例えば端末装置7)」との間、及び「携帯端末(例えば端末装置7)」と「収音装置(例えば館内マイク5)」との間の通信は「音信号」で行われることとし、これ以外の通信は有線による電気信号又は光信号、無線による電波信号又は光信号等を適宜用いることができる。
【0031】
(構成-受信機-通信部)
図3の通信部11は、外部装置(つまり、防災システム100に含まれる各装置)との間で通信を行う通信手段である。この通信部11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の通信回路を用いて構成することができる。
【0032】
(構成-受信機-記録部)
図3の記録部12は、受信機1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク等を用いて構成されている。ただし、フラッシュメモリ又はハードディスクに代えて又は共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(他の装置の記録部も同様とする)。
【0033】
記録部12は、例えば、地図情報データベース(以下、データベースを「DB」とも称する)121、設備特定情報DB122、及びユーザ特定情報DB123を備える。
【0034】
(構成-受信機-記録部-地図情報DB)
図3の地図情報DB121は、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」とは、例えば、防災システム100が適用される建物の内部の平面図を地図として特定する情報であり、例えば、
図2に示す平面図の如き地図を特定する情報である。そして、このような地図情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、任意の手法(例えば、メモリスティック等の記録媒体を用いて情報を入力する手法、あるいは、管理者が自己の端末から情報を送信して入力する手法等)を用いて受信機1に地図情報を入力した場合に、制御部13が当該地図情報を格納することとする(後述する設備特定情報も同様とする)。
【0035】
(構成-受信機-記録部-設備特定情報DB)
図4は、設備特定情報を例示した図である。
図3の設備特定情報DB122は、設備特定情報を格納する設備特定情報格納手段である。「設備特定情報」とは、防災システム100に含まれる各装置である各設備を特定する情報である。この設備特定情報は、例えば、
図4に示すように、項目「設備ID」に対応する情報と、項目「設備種別情報」に対応する情報と、項目「設備位置情報」に対応する情報とが相互に関連付けられている。
【0036】
項目「設備ID」に対応する情報とは、各設備を一意に識別するための設備識別情報(識別情報を「ID」とも称する)である。この設備識別情報は任意であるが、例えば、館内スピーカ3、館内マイク5、及び表示装置6各々に対して設備IDが設定されていることとし、この設備IDが記録されている。
図4では、例えば、
図2の館内マイク501~511各々を一意に識別する「IDm001」~「IDm011」、
図2の館内スピーカ301、302各々を一意に識別する「IDs001」、「IDs002」、
図2の表示装置601、602を一意に識別する「IDd001」、「IDd002」等が格納されている。なお、
図2の館内スピーカ303~311、及び建物の他の階(1階及び2階)の各設備の設備IDも格納されているが、
図4では説明の便宜上、図示が省略されている。項目「設備種別情報」に対応する情報は、設備の種別を特定する設備種別情報である(
図4では、館内マイク5を特定する「マイク」、館内スピーカ3を特定する「スピーカ」、及び表示装置6を特定する「表示装置」である)。項目「設備位置情報」に対応する情報は、各設備が設置されている位置を特定する設備位置情報である(
図4では、各設備が設置されている階数と、前述の地図情報が特定する地図上の位置とを特定する情報が格納されていることとし、例えば、3階の第1階段を特定する「3階-第1階段」等である)。
【0037】
そして、このような
図4の設備特定情報の最上段の情報においては、例えば、「IDm001」が識別する
図2の館内マイク501の種別が「マイク」であること、及び当該館内マイク501が設置されている位置が、建物の3階の第1階段であることが示されている。
【0038】
(構成-受信機-記録部-ユーザ特定情報DB)
図5は、ユーザ特定情報を例示した図である。
図3のユーザ特定情報DB123は、ユーザ特定情報を格納するユーザ特定情報格納手段である。「ユーザ特定情報」とは、端末装置7のユーザに関連する情報であり、例えば、ユーザの属性、ユーザの位置(詳細にはユーザが携帯する端末装置7の位置)、及びユーザの状態を特定する情報である。このユーザ特定情報は、例えば、
図5に示すように、項目「ユーザID」に対応する情報、項目「端末ID」に対応する情報、項目「属性情報」に対応する情報、項目「端末位置時間情報」に対応する情報、及び項目「状態情報」に対応する情報が相互に関連付けられている。
【0039】
項目「ユーザID」に対応する情報は、端末装置7のユーザを一意に識別するユーザIDである(
図5では、「IDu001」等)。項目「端末ID」に対応する情報は、ユーザが携帯する端末装置7を一意に識別する端末IDである。この端末IDは任意であるが、例えば、
図1の端末装置701~703に対して端末IDとして「IDt001」~「IDt003」が設定されて記録されていることとし、当該「IDt001」~「IDt003」等が格納されている。
【0040】
項目「属性情報」に対応する情報は、ユーザの属性を特定する属性情報である。この属性情報は任意であるが、例えば、ユーザが用いる言語と障がいの有無(障がいを有する場合は障がいの内容)とを特定する情報が格納されていることとし、
図5では、使用言語がA国語であり且つ障がいを有さないことを特定する「A国語,健常」、使用言語がA国語であり且つ歩行困難の障がいを有していることを特定する「A国語,非健常(歩行困難)」、及び使用言語がB国語であり且つ障がいを有さないことを特定する「B国語,健常」等である。
【0041】
項目「端末位置時間情報」に対応する情報は、各時間における端末装置7の位置(つまり、端末装置7を携帯するユーザの位置)を特定する端末位置時間情報である。この端末位置時間情報は任意であるが、例えば、端末装置7の位置と当該位置に端末装置7が存在した時刻とを特定する情報であり、
図5では、9時10分の位置が3階の1号室であったことを示す「3階-1号室-9時10分」等である。また、この端末位置時間情報については、端末装置7の位置が複数の時間帯において蓄積されている。
【0042】
項目「状態情報」に対応する情報は、ユーザの状態を示す状態情報である。この状態情報は任意であるが、例えば、避難中である状態を示す「避難中」、避難のために他人の支援を要することを示す「要支援」、及び確認を要することを示す「要確認」等である。
【0043】
そして、
図5のユーザ特定情報における最上段の情報においては、例えば、「IDu001」で識別されるユーザが携帯する端末装置7が「IDt001」で識別される端末装置701であること、及び当該ユーザが用いる言語が「A国語」であり当該ユーザが障がいを有さないことが示されている。また、この
図5の最上段の情報においては、例えば、前述の端末装置701(つまり、当該端末装置701を携帯するユーザU1)について、9時10分の位置が3階の1号室であり、9時11分の位置が3階の1号室であり、9時12分の位置が3階の第1廊下であり、9時13分の位置が3階の第2階段であることが示されている。また、この
図5の最上段の情報においては、例えば、当該ユーザが避難中である状態であることが示されている。
【0044】
なお、このようなユーザ特定情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、後述する位置情報送信処理及び状態情報送信処理を実行することにより格納される。
【0045】
(構成-受信機-制御部)
図3に戻って、制御部13は、受信機1を制御する受信機制御手段でもあり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(他の装置の制御部も同様とする)。特に、実施の形態に係る制御プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して受信機1にインストールされることで、制御部13の各部を実質的に構成する(他の装置の制御部も同様とする)。なお、この制御部13により行われる処理については、後述する。
【0046】
(構成-感知器)
図1の感知器2は、前述の火災感知器である。この感知器2の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、従来と同様にして構成されていることとし、建物の各階に複数個ずつ設けられている。
【0047】
(構成-館内スピーカ)
図1の館内スピーカ3は、前述の音出力装置である。この館内スピーカ3の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、受信した信号(ここでは電気信号とする)を音(つまり、警報音、音声(音声信号)、及び音信号)に変換する機能を有しており、また、建物の各階に複数個ずつ設けられている。ここでは、例えば、
図2に示すように、建物の3階の階段、居室、及び廊下に館内スピーカ301~311が設けられており、これらの各館内スピーカ301~311の不図示の記録部に自己を一意に識別する設備IDとして「IDs001」~「IDs011」が格納されていることとする。
【0048】
(構成-中継装置)
図1の中継装置4は、通信を中継する中継手段である。この中継装置4の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、受信機1と館内マイク5との間で信号を中継する(通信を中継する)ように構成されている。
【0049】
(構成-館内マイク)
図1の館内マイク5は、前述の収音装置である。この館内マイク5の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、音(つまり、警報音、音声、及び音信号等)を、ここでは電波信号に変換する機能を有しており、また、建物の各階に複数個ずつ設けられている。ここでは、例えば、
図2に示すように、建物の3階の階段、居室、及び廊下に館内マイク501~511が設けられており、これらの各館内マイク501~511の不図示の記録部に自己を一意に識別する設備IDとして「IDm001」~「IDm011」が格納されていることとする。
【0050】
(構成-表示装置)
図1の表示装置6は、前述の表示装置である。この表示装置6の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、通常時(火災発生時以外の時)は広告等を表示するデジタルサイネージとして機能するディスプレイであり、また、建物の各階に1個以上ずつ設けられている。ここでは、例えば、
図2に示すように、建物の3階の第1廊下及び第3廊下に表示装置601、602が設けられており、これらの各表示装置601、602の不図示の記録部に自己を一意に識別する設備IDとして「IDd001」、「IDd002」が格納されていることとする。
【0051】
(構成-端末装置)
図1の端末装置7は、前述の携帯端末であり、例えば、ユーザU1~U3各々に携帯される端末装置701~703を備える。
図6は、端末装置のブロック図である。この端末装置7の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、スマートフォンとして構成されており、一例としては、
図6に示すように、通信部71、マイク72、スピーカ73、タッチパッド74、ディスプレイ75、記録部76、及び制御部77を備える。
【0052】
(構成-端末装置-通信部)
通信部71は、外部装置との間で音信号以外により通信する通信手段である。
【0053】
(構成-端末装置-マイク)
マイク72は、音を集める収音手段であり、例えば、前述の集音装置と同様にして構成されている。
【0054】
(構成-端末装置-スピーカ)
スピーカ73は、音を出力する音出力手段であり、例えば、前述の音出力装置と同様にして構成されている。
【0055】
(構成-端末装置-タッチパッド)
タッチパッド74は、ユーザの指等で押圧されることにより、当該ユーザから各種操作入力を受け付ける操作手段である。このタッチパッド74の具体的な構成は任意であるが、例えば、抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のものを用いることができる。
【0056】
(構成-端末装置-ディスプレイ)
ディスプレイ75は、制御部77の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段である。このディスプレイ75の具体的な構成は任意であるが、例えば、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を用いることができる。なお、上記のタッチパッド74とディスプレイ75とを相互に重畳させてタッチパネルとして一体形成しても構わない。
【0057】
(構成-端末装置-記録部)
記録部76は、端末装置7の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。記録部76は、例えば、地図情報DB761を備えており、また、端末ID、及び属性情報が格納されている。
【0058】
(構成-端末装置-記録部-地図情報)
地図情報DB761は、地図情報を格納する地図情報格納手段であり、
図3の地図情報DB121と同様な地図情報が格納されている。そして、このような地図情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、任意の手法(例えば、メモリスティック等の記録媒体を用いて情報を入力する手法、あるいは、受信機1にアクセスして、当該受信機1の地図情報DB121の地図情報をダウンロードして入力する手法等)を用いて端末装置7に地図情報を入力した場合に、制御部77が当該地図情報を格納することとする。
【0059】
(構成-端末装置-記録部-端末ID)
記録部76に記録されている「端末ID」とは、前述したように、端末装置7を一意に識別するための情報である。そして、
図1の端末装置701~703の記録部76各々に、当該端末装置701~703の出荷時に、端末IDとして「IDt001」~「IDt003」が入力されて格納されていることとする。
【0060】
(構成-端末装置-記録部-属性情報)
記録部76に記録されている「属性情報」とは、前述したように、端末装置7を携帯するユーザの属性を示す情報である。そして、このような属性情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、タッチパッド74を介してユーザが自己の属性情報を入力した場合、制御部77が、当該入力された属性情報を格納することとする。ここでは、例えば、
図5で説明した形式の情報が格納されることとし、例えば、
図1のユーザU1~U3による入力に基づいて、端末装置701~703の記録部76各々には、属性情報として「A国語,健常」、「A国語,非健常(歩行困難)」、及び「B国語,健常」が格納されていることとする。
【0061】
(構成-端末装置-制御部)
制御部77は、端末装置7を制御する端末装置制御手段である。なお、この制御部77により行われる処理については、後述する。
【0062】
(処理)
次に、このように構成される防災システム100によって実行される防災処理のうち警報処理、位置情報送信処理、避難誘導処理、状態情報送信処理、及び支援情報表示処理について説明する。
【0063】
(処理-警報処理)
まず、警報処理について説明する。
図7は、警報処理のフローチャートであり(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)、
図8は、
図1の建物の3階の平面図である。なお、
図8においては、「2号室」で火災が発生している状態、及びユーザU1~U3が図示されている。なお、実際には、当該建物の3階には、ユーザU1~U3以外にも多数の他のユーザが存在するが、説明の便宜上、当該他のユーザの図示は省略し、ユーザU1~U3に着目して説明する。
【0064】
警報処理は、概略的には、対象領域の異常である火災について警報を行う処理である。この警報処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、防災システム100の各装置の電源をオンした場合に、繰り返し実行が開始されることとし、当該警報処理の実行が開始したところから説明する。また、この警報処理は、従来と同様な処理を適用することができるので、概要のみ説明する。
【0065】
図7のSA1において受信機1の制御部13は、火災が発生したか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、感知器2が火災を検知した場合に、当該感知器2自身を識別する感知器IDを含む発報信号(火災が発生したことを報知するための、ここでは電気信号)を受信機1に対して送信するように構成されていることとする。そして、受信機1の制御部13は、通信部11を介して発報信号を受信していない場合、火災が発生していないものと判定し(SA1のNO)、火災が発生したものと判定するまで、繰り返しSA1を実行する。また、通信部11を介して発報信号を受信した場合、火災が発生したものと判定し(SA1のYES)、SA2に移行する。
【0066】
ここでは、例えば、
図2の各階段、廊下、及び居室に感知器2が設けられていることとし、
図8に示すように、「2号室」で火災が発生した場合を例示して説明する。この場合、当該「2号室」に設けられている感知器2が、自己の感知器IDである「IDa005」を含む発報信号を送信し、受信機1の制御部13は、当該発報信号を受信して、火災が発生したものと判定する。
【0067】
図7のSA2において受信機1の制御部13は、火災警報信号を送信する。「火災警報信号」とは、火災を警報するための信号(ここでは電気信号)であり、例えば、火災位置情報を含む信号である。なお、「火災位置情報」とは、例えば、火災が発生した位置を示す情報であり、例えば、
図4の設備位置情報と同様な情報を用いる場合を例示して説明する。具体的には任意であるが、まず、前述の感知器IDと当該感知器IDが識別する感知器2が設置されている階数及び位置を示す情報とが相互に関連付けられている感知器位置テーブル情報が記録部12に記録されていることとし、SA1で受信した発報信号に含まれる感知器IDを取得し、前述の感知器位置テーブル情報を参照して、当該取得した感知器IDに関連付けられている情報を取得することにより、当該感知器IDが示す感知器2が設置されている階数及び位置を火災が発生した位置として特定する。次に、当該特定した階数及び位置を示す火災位置情報を含む火災警報信号を生成し、生成した火災警報信号を通信部11を介して館内スピーカ3に送信する。
【0068】
ここでは、例えば、まず、SA1で受信した発報信号に含まれる感知器IDである「IDa005」を取得し、前述の感知器位置テーブル情報を参照して、当該取得した感知器IDである「IDa005」に関連付けられている情報を取得することにより、当該「IDa005」が示す感知器2が設置されている階数である「3階」及び位置である「2号室」を火災が発生した位置として特定する。次に、当該特定した「3階」及び「2号室」を示す火災位置情報である「3階-2号室」を含む火災警報信号を生成し、生成した火災警報信号を通信部11を介して館内スピーカ3に送信する。
【0069】
一方、
図7のSB1において館内スピーカ3は、受信機1から送信された火災警報信号を受信する。ここでは、例えば、
図2の館内スピーカ301~311等は「火災位置情報」=「3階-2号室」を含む火災警報信号を受信する。
【0070】
図7のSB2において館内スピーカ3は、警報音及び警報音声を出力する。具体的には任意であるが、例えば、SB1で受信した火災警報信号に含まれる火災位置情報を取得し、取得した火災位置情報が示す位置を火災の発生地点として警報する警報音及び警報音声を出力する。ここでは、例えば、SB1で受信した火災警報信号に含まれる「火災位置情報」=「3階-2号室」を取得し、取得した「火災位置情報」=「3階-2号室」が示す「3階」及び「2号室」を火災の発生地点として警報する可聴(帯域)音の警報音及び警報音声として、「ウーウー」等警報音及び「3階の2号室で火災が発生しました」等の警報音声を、交互に繰り返し出力する。
【0071】
なお、受信機1から館内スピーカ3に送信する火災警報信号は、「火災位置情報」として例えば「3階の2号室で」に対応する電気信号と、警報音及び警報音声内容として例えば「ウーウー」及び「火災が発生しました」に対応する電気信号とを合成して生成した電気信号とし、館内スピーカ3はこの電気信号を音(警報音及び警報音声)に変換して例えば「ウーウー 3階の2号室で火災が発生しました」の警報音及び警報音声を出力するようにしてもよい。
【0072】
すなわちこの場合、例えば、受信機1は感知器2から受信した発報信号に基づいて「ウーウー 3階の2号室で火災が発生しました」の音声に対応する電気信号を生成し、内臓又は外付けの音響用アンプ等を介して館内スピーカ3を駆動し、当該「ウーウー 3階の2号室で火災が発生しました」の警報音及び警報音声を出力させるようにしてもよい。
【0073】
このように処理することにより、
図1の建物内のユーザは、当該警報音及び警報音声を聞くことにより、建物で火災が発生したこと、及び当該火災の位置を把握することが可能となる。これにて、警報処理を終了する。
【0074】
(処理-位置情報送信処理)
次に、位置情報送信処理について説明する。
図9は、位置情報送信処理のフローチャートである。位置情報送信処理は、概略的には、端末装置7の位置を示す情報を送信して受信機1側に格納する処理である。この位置情報送信処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、火災発生後の任意のタイミング(例えば、
図7のSB2で出力される警報音又は警報音声を聞いた後のタイミング等)に、ユーザが自己の端末装置7のタッチパッド74を介して所定操作(例えば、防災に関するアプリケーションを起動するための操作等)を行い、端末装置7の制御部77が当該所定操作を受け付けた場合に実行開始され、その後一定時間毎に繰り返されることとし、位置情報送信処理の実行が開始されたところから説明する。本実施の形態においては、各種の「音信号」は非可聴(帯域)音を用いるものとする。
【0075】
なお、これに限らず、例えば、
図7のSA2、SB1及びSB2において受信機1により警報音及び警報音声に加えて火災発生を示す「音信号」を館内スピーカ3から出力させることにより、この音信号をマイク72により受信(受音)した端末装置7が、自動で上記アプリケーションを起動して位置情報送信処理の実行を開始するようにしてもよい。
【0076】
また例えば、端末装置7で
図7のSB2で出力された警報音又は警報音声をマイク72により受信(受音)して、これを制御部77で解析処理して火災発生を認識したときに自動で上記アプリケーションを起動して位置情報送信処理の実行を開始するようにしてもよい。
【0077】
ここでは、例えば、
図8に図示されているユーザU1~U3が、タッチパッド74を介して所定操作を行うことにより、当該ユーザU1~U3の端末装置701~703にて位置情報送信処理が起動されるが、特に、端末装置701に着目して説明する。
【0078】
図9のSC1において端末装置7の制御部77は、位置特定用音信号を出力(つまり、送音)する。「位置特定用音信号」とは、端末装置7(つまり、端末装置7を携帯するユーザ)の位置を特定するための音信号であり、例えば、端末ID及び属性情報を含む信号である。具体的には任意であるが、例えば、端末装置7の制御部77は、自己の記録部76に記録されている端末ID及び属性情報を取得し、取得した端末ID及び属性情報を含む位置特定用音信号を生成し、生成した位置特定用音信号をスピーカ73を介して出力する。この場合、当該音信号は、端末装置7の周辺に存在する館内マイク5に到達することになる。
【0079】
ここでは、例えば、
図8の端末装置701の制御部77は、自己の記録部76に記録されている端末IDである「IDt001」及び属性情報である「A国語,健常」を取得し、取得した「端末ID」=「IDt001」及び「属性情報」=「A国語,健常」を含む位置特定用音信号を生成し、生成した位置特定用音信号をスピーカ73を介して出力する。この場合、当該音信号は、端末装置701の周辺に存在する館内マイク502に到達することになる。
【0080】
一方、
図9のSD1において館内マイク5は、SC1で出力された位置特定用音信号を受信する。具体的には任意であるが、例えば、SC1で出力された位置特定用音信号が到達した館内マイク5は、当該位置特定用音信号を受信(つまり、受音)する。
【0081】
ここでは、例えば、
図8の館内マイク502は、「端末ID」=「IDt001」及び「属性情報」=「A国語,健常」を含む位置特定用音信号を受信する。
【0082】
図9のSD2において館内マイク5は、位置特定用信号を電波信号として送信する。「位置特定用信号」とは、端末装置7(つまり、端末装置7を携帯するユーザ)の位置を特定するための信号であり、例えば、端末ID、属性情報、及び(館内マイク5自身を識別する)設備IDを含む信号である。具体的には任意であるが、例えば、館内マイク5は、SD1で受信した位置特定用音信号に含まれる端末ID及び属性情報を取得し、また、自己の不図示の記録部に格納されている自己を識別する設備IDを取得し、取得した端末ID、属性情報、及び設備IDを含む位置特定用信号を生成し、生成した位置特定用信号を、中継装置4を介して受信機1に送信する。
【0083】
なお、中継装置4を介して送信する具体的な内容は任意であり、通信を中継する公知の技術を適用することとする。そして、ここでは、中継装置4は、館内マイク5からの電波信号である位置特定用信号を、電気信号である位置特定用信号に変換して受信機1に中継送信する。
【0084】
また、ここでは、例えば、
図8の館内マイク502は、SD1で受信した位置特定用音信号に含まれる「端末ID」=「IDt001」及び「属性情報」=「A国語,健常」を取得し、また、自己の不図示の記録部に格納されている自己を識別する「設備ID」=「IDm002」を取得し、取得した端末装置701の「端末ID」=「IDt001」、これを携帯するユーザU1に関する「属性情報」=「A国語,健常」、及び自己の「設備ID」=「IDm002」を含む位置特定用信号を生成し、生成した位置特定用信号を、3階の
図1の中継装置4を介して受信機1に送信する。
【0085】
一方、
図9のSE1において受信機1の制御部13は、SD2で送信された位置特定用信号を受信する。具体的には任意であるが、例えば、SD2で送信されて中継装置4で中継された位置特定用信号を通信部11を介して受信する。
【0086】
ここでは、例えば、SD2で館内マイク502から送信されて3階の中継装置4で中継された、端末装置701の「端末ID」=「IDt001」、これを携帯するユーザU1に関する「属性情報」=「A国語,健常」、及び当該館内マイク502の「設備ID」=「IDm002」を含む位置特定用信号(ここでは電気信号)を通信部11を介して受信する。
【0087】
図9のSE2において受信機1の制御部13は、
図5のユーザ特定情報の各情報の内の端末位置時間情報等を格納する。具体的には任意であるが、例えば、SE1で受信した位置特定用信号に含まれている端末ID、属性情報、及び設備IDを取得し、
図5のユーザ特定情報を参照して、当該取得した端末IDが
図5の端末IDとして既に格納されているか否かに基づいて以下の第1の処理又は第2の処理を行う。
【0088】
===第1の処理(未だ格納されていない場合)===
図5のユーザ特定情報の項目「端末ID」において、SE1で受信した位置特定用信号に含まれている端末IDと一致するものが存在しない(つまり、受信機1にとって未知である)場合、第1の処理を行う。詳細には、SE1で受信した位置特定用信号に含まれている端末ID及び属性情報が、
図5のユーザ特定情報に未だ格納されていないので、
図5のユーザID、端末ID、及び属性情報を新たに格納した上で、端末位置時間情報を格納する。詳細には、例えば、まず、
図5の項目「ユーザID」において一意となるユーザID(つまり、未だ格納されていない任意のユーザID)を生成し、生成したユーザIDを
図5の項目「ユーザID」に、追加して格納する。次に、当該ユーザIDに対応する他の項目として、前述のように取得した端末装置7の端末ID及びこれを携帯するユーザUに関する属性情報(つまり、SE1で受信した位置特定用信号に含まれている端末ID及び属性情報)を格納する。次に、当該端末IDについて端末位置情報及び現在時間情報を特定した上で、対応する項目「端末位置時間情報」に格納する。なお、「端末位置情報」とは、端末装置7の位置(つまり、端末装置7を携帯するユーザの位置)を示す情報であり、例えば、
図4の設備位置情報と同様な情報を用いる場合を例示して説明する。また、「現在時間情報」とは、最新の特定時点(つまり、現在以前の直近に特定した時点)の時刻を示す情報である。ここでの処理について詳細には、
図4の設備特定情報を参照して、前述の取得した設備ID(つまり、SE1で受信した位置特定用信号に含まれている館内マイク5の設備ID)に関連付けられている設備位置情報を取得し、取得した当該設備位置情報を、前述の取得した端末装置7の端末位置情報として特定し、また、任意の手法(例えば、受信機1の不図示の計時手段(時計、タイマ等)の計時結果を参照する手法等)を用いて現在の時刻を取得し、取得した当該現在の時刻を特定する現在時間情報を特定した上で、これらの特定した端末位置情報及び現在時間情報を組み合わせた情報を、
図5の端末位置時間情報として格納する。次に、対応する
図5の状態情報の初期値として例えば「要確認」を格納する。
【0089】
ここでは、例えば、SE1で受信した位置特定用信号に含まれている端末装置701の「端末ID」=「IDt001」、これを携帯するユーザU1に関する「属性情報」=「A国語,健常」、及び館内マイク502の「設備ID」=「IDm002」を取得し、
図5のユーザ特定情報を参照して、当該取得した「端末ID」=「IDt001」が
図5の端末IDとして既に格納されているか否かに基づいて処理する。そして、
図5の端末IDとして未だ「IDt001」が格納されていない場合、第1の処理を行う。詳細には、
図5のユーザIDにおいて一意となるユーザIDとして「IDu001」を生成し、生成した「ユーザID」=「IDu001」を
図5のユーザIDとして格納する。次に、前述の取得した「端末ID」=「IDt001」、「属性情報」=「A国語,健常」を、
図5の端末ID及び属性情報として格納する。次に、
図4の設備特定情報を参照して、前述の取得した「設備ID」=「IDm002」に関連付けられている設備位置情報である「3階-1号室」を取得し、取得した当該「3階-1号室」を端末位置情報として特定し、また、任意の手法(例えば、受信機1の不図示の計時手段(時計、タイマ等)の計時結果を参照する手法等)を用いて現在の時刻である「9時10分」を取得し、取得した当該現在の時刻を特定する「現在時間情報」=「9時10分」を特定した上で、これらの特定した「3階-1号室」及び「9時10分」を組み合わせた情報である「3階-1号室-9時10分」を、
図5の端末位置時間情報として格納する。次に、
図5の状態情報の初期値として例えば「要確認」を格納する。
【0090】
===第2の処理(既に格納されている場合)===
図5のユーザ特定情報の項目「端末ID」において、SE1で受信した位置特定用信号に含まれている端末IDと一致するものが存在する(つまり、受信機にとって既知である)場合、第2の処理を行う。詳細には、SE1で受信した位置特定用信号に含まれている端末ID及び属性情報が、
図5のユーザ特定情報に既に特定され格納されているので、
図5の端末位置時間情報を格納して蓄積する。詳細には、例えば、まず、
図5のユーザ特定情報の内の、前述の取得した端末ID及び属性情報(つまり、SE1で受信した位置特定用信号に含まれている端末装置7の端末ID及びこれを携帯するユーザUに関する属性情報)が格納されているデータセットを特定する。なお、「データセット」とは、
図5のユーザ特定情報における各項目が相互に関連付けられている情報であり、つまり、相互に関連付けられているユーザID、端末ID、属性情報、端末位置時間情報、及び状態情報の組み合わせであることとする。次に、前述の「第1の処理」の場合と同様にして、端末位置情報及び現在時間情報を特定した上で、これらの特定した端末位置情報及び現在時間情報を組み合わせた情報を、前述の特定した「データセット」における
図5の端末位置時間情報として格納して蓄積する。
【0091】
そして、
図9のSC1、SD1~SD2、及びSE1~SE2の処理を繰り返し行うことにより、端末装置701のユーザU1が、
図8の1号室、第1廊下、及び第2階段の順に移動した場合、例えば、繰り返しの特定により
図5の最上段の端末位置時間情報が順次追加蓄積されることになる。また、同様に、例えば、端末装置702のユーザU2が、
図8の3号室、第2廊下、第3階段の順に移動した場合、
図5の上から2段目の端末位置時間情報が順次蓄積されることになる。また、例えば、端末装置703のユーザU3が、
図8の5号室から移動しなかった場合にも、
図5の上から3段目の端末位置時間情報が順次蓄積されることになる。よって、この位置情報送信処理を実行することにより、端末装置7のユーザUの一定時間帯毎の所在位置が、
図5の端末位置時間情報に格納されることになる。これにて、位置情報送信処理を終了する。
【0092】
(処理-避難誘導処理)
次に、避難誘導処理について説明する。
図10は、避難誘導処理のフローチャートである。この避難誘導処理は、概略的には、ユーザに対して避難誘導を行う処理である。この避難誘導処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、火災発生後に前述の位置情報送信処理(
図9)を行うことにより、
図5のユーザ特定情報が格納された後に、繰り返し実行されることとし、避難誘導処理の実行が開始されたところから説明する。ここでは、例えば、
図8のユーザU1の避難誘導を行う場合を例示して説明する。
【0093】
なお、これに限らず、避難誘導処理は、火災発生に伴うアプリケーションの自動起動やこれに続く位置情報送信処理の自動実行後に連動して開始されるようにしてもよい。
【0094】
図10のSF1において受信機1の制御部13は、例えば、ユーザIDを自動選択する。具体的には任意であるが、例えば、
図5のユーザ特定情報を参照して、未だ選択されていないユーザIDを、避難誘導を行う対象のユーザを識別するユーザIDとして選択する。
【0095】
ここでは、例えば、
図5の「ユーザID」=「IDu001」が未だ選択されていないこととし、この場合、「ユーザID」=「IDu001」を、避難誘導を行う対象のユーザU1を識別するユーザIDとして選択する。
【0096】
ここで、選択順は任意であるが、例えば、火災発生場所に近い順、避難用出口から遠い順、またユーザID順、対応する設備ID順等に従って、順次選択されていないユーザIDを選択するようにしてもよい。
【0097】
図10のSF2において受信機1の制御部13は、火災位置メッセージ情報を生成する。「火災位置メッセージ情報」とは、火災が発生したこと及び火災が発生した位置を報知する情報である。具体的には任意であるが、例えば、
図5のユーザ特定情報を参照して、SF1で選択したユーザIDに関連付けられている属性情報を取得し、取得した属性情報に基づいてユーザの使用言語を特定し、また、
図7のSA2の処理と同様にして、火災が発生した位置を特定した上で、当該特定した位置を火災が発生した位置として報知する火災位置メッセージ情報を、前述の特定した言語で生成する。
【0098】
ここでは、例えば、
図5のユーザ特定情報を参照して、SF1で選択した「ユーザID」=「IDu001」に関連付けられている「属性情報」=「A国語,健常」を取得し、取得した「属性情報」=「A国語,健常」に基づいてユーザの言語として「A国語」を特定し、また、
図7のSA2の処理と同様にして、火災が発生した位置として「3階」の「2号室」を特定した上で、「3階の2号室で火災が発生しました」という火災位置メッセージ情報を、前述の特定した言語である「A国語」で生成する。
【0099】
なお、例えば、火災位置メッセージ情報の言語を固定し、これを受けた端末装置7側で自己の記録部7に登録されている属性情報の使用言語に変換するようにしてもよい。
【0100】
図10のSF3において受信機1の制御部13は、避難経路情報を生成する。「避難経路情報」とは、避難時に通行することを推奨する避難経路を示す情報である。
図11は、
図8において避難経路を例示した図である。具体的な処理は任意であるが、例えば、まず、
図5のユーザ特定情報を参照して、SF1で選択したユーザIDに関連付けられている属性情報を取得し、取得した属性情報に基づいて障がいの有無を特定する(「SF3の第1処理」と称する)。次に、
図5のユーザ特定情報を参照して、SF1で選択したユーザIDに関連付けられている端末位置時間情報を取得し、当該取得した端末位置時間情報の内の現在から直近の時刻に関連付けられている1個の情報を特定し、特定した1個の情報が示す端末装置7の位置を特定する(「SF3の第2処理」と称する)。次に、
図7のSA2の処理と同様にして、火災が発生した位置を特定する(「SF3の第3処理」と称する)。次に、「SF3の第1処理」~「SF3の第3処理」の処理結果に基づいて、最適な避難経路を特定し、特定した避難経路を示す避難経路情報を生成する(「SF3の第4処理」と称する)。
【0101】
「SF3の第4処理」については例えば、
図3の地図情報DB121の地図情報が示す地図において、「SF3の第2処理」で特定した端末装置7の位置、「SF3の第3処理」で特定した火災が発生した位置、避難用出口(建物の3階については、例えば、第1~第3階段)の位置、及び障がい者用集合場所(建物の3階については、例えば、第3階段)の位置を把握した上で、以下のように処理する。詳細には、「SF3の第1処理」において「属性情報」として「健常」が格納されており、障がいを有さないことを特定した場合、端末装置7の位置から避難用出口に至る避難経路であり、火災が発生した位置から遠ざかる方向へ向かう避難経路を特定して避難経路情報を生成する。また、「SF3の第1処理」において「属性情報」として「非健常」が格納されており、障がいを有していることを特定した場合、端末装置7の位置から障がい者用集合場所に至る避難経路であり、火災が発生した位置から遠ざかる方向へ向かう避難経路を特定して避難経路情報を生成する。
【0102】
ここでは、例えば、
図5の最上段の「端末位置時間情報」として「3階-1号室-9時10分」のみが格納されていることとして説明する。この場合、まず、「SF3の第1処理」において、
図5のユーザ特定情報を参照して、SF1で選択した「ユーザID」=「IDu001」に関連付けられている「属性情報」=「A国語,健常」を取得し、取得した属性情報に基づいて障がいを有さないことを特定する。次に、「SF3の第2処理」において、
図5のユーザ特定情報を参照して、SF1で選択した「ユーザID」=「IDu001」に関連付けられている端末位置時間情報を取得し、当該取得した端末位置時間情報の内の直近の時間に関連付けられている1個の情報として「3階-1号室-9時10分」を特定し、特定した1個の情報が示す端末装置7の位置として「3階」の「1号室」を特定する。次に、「SF3の第3処理」において、
図7のSA2の処理と同様にして、火災が発生した位置として「3階」の「2号室」を特定する。次に、「SF3の第4処理」において、
図11に示す避難経路R1を特定し、特定した避難経路R1を示す避難経路情報を生成する。
【0103】
図10のSF4において受信機1の制御部13は、避難用信号を電気信号として送信する。「避難用信号」とは、避難を誘導するための信号であり、例えば、火災位置メッセージ情報、避難経路情報、火災位置情報、端末位置情報、設備ID、及び端末IDを含む信号である。具体的には任意であるが、例えば、まず、SF2で生成した火災位置メッセージ情報を取得し、また、SF3で生成した避難経路情報を取得し、また、「SF3の第2処理」で特定した端末装置7の位置を示す端末位置情報を特定し、また、「SF3の第3処理」で特定した火災が発生した位置を示す火災位置情報を特定する。次に、
図4の設備特定情報を参照して、前述の特定した端末位置情報と一致する設備位置情報に関連付けられている「設備種別情報」=「スピーカ」の設備IDを取得し、
図5のユーザ特定情報を参照して、SF1で選択したユーザIDに関連付けられている端末IDを取得する。次に、前述の取得又は特定した火災位置メッセージ情報、避難経路情報、火災位置情報、端末位置情報、設備ID、及び端末IDを含む避難用信号を生成し、生成した避難用信号を通信部11を介して館内スピーカ3に送信する。なお、例えば、ここでの火災位置メッセージ情報、避難経路情報、火災位置情報、及び端末位置情報が、「避難を誘導するための情報」に対応する。
【0104】
ここでは、例えば、「火災位置メッセージ情報」=「A国語の「3階の2号室で火災が発生しました」を示す情報」、「避難経路情報」=「避難経路R1を示す情報」、「火災位置情報」=「3階-2号室」、「端末位置情報」=「3階-1号室」、「設備ID」=「IDs002」、及び「端末ID」=「IDt001」を含む避難用信号を生成して送信する。
【0105】
一方、
図10のSG1において館内スピーカ3は、自己に対する避難用信号を受信する。具体的には任意であるが、例えば、SF4で受信機1から送信された避難用電気信号に含まれる設備IDを取得し、自己の不図示の記録部に格納されている設備IDと前述の取得した設備IDとを比較し、これらの設備IDが相互に合致している場合に、自己に対する避難用信号であるものとして受信する。
【0106】
ここでは、例えば、
図11の館内スピーカ302は、自己の記録部に「設備ID」=「IDs002」が記録されているので、前述の避難用信号を有効に受信する。また、館内スピーカ301、303~311は、当該避難用信号を有効に受信しないことになる。
【0107】
図10のSG2において館内スピーカ3は、避難用信号に応じた避難用音信号を送信(つまり、送音)する。「避難用音信号」とは、避難を誘導するための音信号であり、例えば、避難用信号(電気信号)に対応する火災位置メッセージ情報、避難経路情報、火災位置情報、端末位置情報、及び端末IDを含む信号である。具体的には任意であるが、例えば、館内スピーカ3は、SG1で受信した避難用信号に含まれる火災位置メッセージ情報、避難経路情報、火災位置情報、端末位置情報、及び端末IDを取得し、取得したこれらの情報を含む避難用音信号を生成して出力する。この場合、当該音信号は、館内スピーカ3の周辺に存在する端末装置7に到達することになる。
【0108】
ここでは、
図11の館内スピーカ302は、例えば、「火災位置メッセージ情報」=「A国語の「3階の2号室で火災が発生しました」を示す情報」、「避難経路情報」=「避難経路R1を示す情報」、「火災位置情報」=「3階-2号室」、「端末位置情報」=「3階-1号室」、及び「端末ID」=「IDt001」を含む避難用音信号を生成して送信する。この場合、当該音信号は、館内スピーカ302の周辺に存在する端末装置701に到達することになる。
【0109】
一方、
図10のSH1において端末装置7の制御部77は、マイク72を介して自己に対する避難用音信号を受信(つまり、受音)する。具体的には任意であるが、例えば、館内スピーカ3から出力されて自己のマイク72に到達した避難用音信号に含まれる端末IDを取得し、自己の記録部76に格納されている端末IDと前述の取得した端末IDとを比較し、これらの端末IDが相互に合致している場合に、自己に対する避難用音信号であるものとして有効に受信する。
【0110】
ここでは、例えば、
図11の端末装置701は、自己の記録部に「端末ID」=「IDt001」が記録されているので、前述の避難用音信号を有効に受信する。
【0111】
図10のSH2において端末装置7の制御部77は、火災位置メッセージ画像及び避難誘導画像を表示する。
図12は、火災位置メッセージ画像を例示した図であり、また、
図13は、避難誘導画像を例示した図である。「火災位置メッセージ画像」とは、前述の火災位置メッセージ情報を表示する画像であり、ここでは例えば、
図12に示すテキストメッセージによる画像である。「避難誘導画像」とは、ユーザに対して避難誘導を行うための画像であり、例えば、
図13に示すように、建物の所定フロアの平面図の画像において、火災画像G10、現在位置画像G11、及び避難経路画像G12が重畳されている画像である。「火災画像」G10とは、火災の発生位置を示すシンボルの画像であり、また、「現在位置画像」G11とは、現在の端末装置7の位置(つまり、これを携帯し、当該画像を視認するユーザの位置)を示すシンボルの画像であり、また、「避難経路画像」G12とは、ユーザに対して推奨される避難経路を示す矢印の画像である。
【0112】
具体的な処理は任意であるが、例えば、SH1で受信した避難用音信号に含まれる火災位置メッセージ情報に基づいて、火災位置メッセージ画像を生成する(「SH1第1処理」と称する)。また、SH1で受信した避難用音信号に含まれる避難経路情報、火災位置情報、及び端末位置情報に基づいて、避難誘導画像を生成する(「SH1第2処理」と称する)。「SH1第2処理」について詳細には、例えば、地図情報DB761の地図情報が特定する地図(当該端末装置7が位置する領域に対応する地図)において、避難経路情報、火災位置情報、及び端末位置情報の各情報に対応する避難経路画像、火災画像、及び現在位置画像を重畳させて避難誘導画像を生成する。次に、「SH1第1処理」及び「SH1第2処理」で生成した火災位置メッセージ画像及び避難誘導画像を、ディスプレイ75に表示する(「SH1第3処理」と称する)。ここでの表示手法は任意であるが、例えば、まず、火災位置メッセージ画像を表示した後に、タッチパッド74を介するユーザからの所定操作を受け付けた場合に、避難誘導画像に切り替えて表示するように構成してもよいし、あるいは、これらの各画像を1個の画面上に上下又は左右に並べて表示するように構成してもよい。
【0113】
ここでは、例えば、A国語が日本語であることとし、端末装置701の制御部77は、「SH1第1処理」において、SH1で受信した避難用音信号に含まれる「火災位置メッセージ情報」=「A国語の「3階の2号室で火災が発生しました」を示す情報」に基づいて、
図12に示すように、A国語である日本語の「3階の2号室で火災が発生しました」というメッセージが記載されている火災位置メッセージ画像を生成する。また、「SH1第2処理」において、SH1で受信した避難用音信号に含まれる「避難経路情報」=「避難経路R1を示す情報」、「火災位置情報」=「3階-2号室」、「端末位置情報」=「3階-1号室」に基づいて、
図13に示すように、3階の平面図の画像において、「火災位置情報」=「3階-2号室」に対応する位置に火災画像G10を重畳し、また、「端末位置情報」=「3階-1号室」に対応する位置に現在位置画像G11を重畳し、避難経路R1を示す避難経路画像G12を重畳した避難誘導画像を生成する。次に、「SH1の第3処理」において、
図12の火災位置メッセージ画像及び
図13の避難誘導画像を、ディスプレイ75に表示する。
【0114】
そして、ユーザU1は、自己の端末装置7のディスプレイ75に表示されるこのような各画像を視認することにより、火火災の発生位置、及び自己が避難するために移動するべき経路を把握することが可能となり、スムーズに避難することが可能となる。これにて、避難誘導処理を終了する。
【0115】
(処理-状態情報送信処理)
次に、状態情報送信処理について説明する。
図14は、状態情報送信処理のフローチャートである。この状態情報送信処理は、概略的には、ユーザの状態を示す状態情報を送信して格納する処理である。この状態情報送信処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、火災発生後に前述の避難誘導処理(
図10)を行うことにより、ユーザの端末装置7のディスプレイ75に
図12の火災位置メッセージ画像又は
図13の避難誘導画像が表示された後に、ユーザがタッチパッド74を介して所定操作を行った場合に、実行されることとし、状態情報送信処理の実行が開始されたところから説明する。ここでは、例えば、
図8のユーザU1が、所定操作を行って自己の状態情報を送信して格納する場合を例示して説明する。
【0116】
図14のSI1において端末装置7の制御部77は、スピーカ73を介して状態特定用音信号を出力(つまり、送音)する。「状態特定用音信号」とは、ユーザの状態を特定するための音信号であり、例えば、端末ID及び状態情報を含む信号である。具体的には任意であるが、例えば、ユーザが自己の端末装置7のタッチパッド74を介して、自己の状態を示す状態情報を端末装置7に入力することとし、この場合、端末装置7の制御部77は、当該入力された状態情報を取得し、また、自己の記録部76に記録されている端末IDを取得した上で、これらの取得した端末ID及び状態情報を含む状態特定用音信号を生成し、生成した状態特定用音信号をスピーカ73を介して出力する。この場合、当該音信号は、端末装置7の周辺に存在する1個の館内マイク5に到達することになる。
【0117】
ここでは、例えば、
図8のユーザU1が自己の端末装置701のタッチパッド74を介して、自己の状態を示す状態情報として「避難中」を端末装置7に入力した場合、端末装置701の制御部77は、当該入力された「状態情報」=「避難中」を取得し、また、自己の記録部76に記録されている「端末ID」=「IDt001」を取得した上で、これらの取得した「端末ID」=「IDt001」及び「状態情報」=「避難中」を含む状態特定用音信号を生成し、生成した状態特定用音信号をスピーカ73を介して出力する。この場合、当該音信号は、端末装置701の周辺に存在する1個の館内マイク502に到達することになる。
【0118】
一方、
図5のSJ1において館内マイク5は、SI1で出力された状態特定用音信号を受信(つまり、受音)する。具体的には任意であるが、例えば、SI1で出力された状態特定用音信号が到達した館内マイク5は、当該状態特定用音信号を受信する。
【0119】
ここでは、例えば、
図8の館内マイク502は、「端末ID」=「IDt001」及び「状態情報」=「避難中」を含む状態特定用音信号を受信する。
【0120】
図9のSJ2において館内マイク5は、状態特定用信号を電波信号として送信し、中継装置4はこれを受信して電気信号に変換して受信機1へ中継送信する。「状態特定用信号」とは、ユーザの状態を特定するための信号であり、例えば、端末ID及び状態情報を含む信号である。具体的には任意であるが、例えば、館内マイク5は、SJ1で受信した状態特定用音信号に含まれる端末ID及び状態情報を取得し、取得した端末ID及び状態情報を含む状態特定用信号を生成し、生成した状態特定用信号を、中継装置4を介して受信機1に送信する。なお、ここでは、
図9のSD2の場合と同様にして、状態特定用信号が受信機1に送信されることになる。
【0121】
ここでは、例えば、
図8の館内マイク502は、SJ1で受信した状態特定用音信号に含まれる「端末ID」=「IDt001」及び「状態情報」=「避難中」を取得し、取得した「端末ID」=「IDt001」及び「状態情報」=「避難中」を含む状態特定用信号を生成し、生成した状態特定用信号を、3階の
図1の中継装置4を介して受信機1に送信する。
【0122】
一方、
図14のSK1において受信機1の制御部13は、SJ2で送信された状態特定用信号を受信する。具体的には任意であるが、例えば、
図9のSE1の場合と同様にして、SJ2で送信されて中継装置4で中継された状態特定用信号を通信部11を介して受信する。
【0123】
図9のSK2において受信機1の制御部13は、
図5のユーザ特定情報の各情報の内の状態情報を格納する。具体的には任意であるが、例えば、SK1で受信した状態特定用信号に含まれる端末ID及び状態情報を取得し、
図5のユーザ特定情報において、当該取得した端末IDが格納されているデータセット(つまり、
図5において、相互に関連付けられているユーザID、端末ID、属性情報、端末位置時間情報、及び状態情報の組み合わせの情報)を特定し、特定したデータセットの状態情報として、前述の取得した状態情報を上書きして格納する。
【0124】
ここでは、例えば、SK1で受信した状態特定用信号に含まれる「端末ID」=「IDt001」及び「状態情報」=「避難中」を取得し、
図5のユーザ特定情報において、当該取得した端末IDが格納されているデータセットとして
図5の最上段のデータセットを特定し、特定したデータセットの状態情報として、前述の取得した「避難中」を上書きして格納する。これにて、状態情報送信処理を終了する。
【0125】
(処理-支援情報表示処理)
次に、支援情報表示処理について説明する。
図15は、支援情報表示処理のフローチャートである。この支援情報表示処理は、概略的には、消防隊員等による救助活動等の支援を行う処理である。この支援情報表示処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、
図10の避難誘導処理と同様にして、
図5のユーザ特定情報が格納された後に、繰り返し実行されることとし、支援情報表示処理の実行が開始されたところから説明する。ここでは、例えば、
図5に図示されているユーザ特定情報が格納されていることとし、
図8の3階における救助を支援する場合を例示して説明する。
【0126】
図15のSL1において受信機1の制御部13は、建物の階数を選択する。具体的には任意であるが、例えば、
図1の建物の1階~3階の内で直近の所定時間以内(例えば、5分~10分等)に未だ選択されていない階数を選択する。ここでは、例えば、「3階」を選択する場合を例示して説明する。選択順は任意であるが、例えば最初に火災発生階、次に火災発生階に近い順、存在するユーザ数の多い順、又は、存在するユーザ(ユーザID)の属性情報や状態情報に関連付けた優先度の高い順(例えば避難困難度が高い順)、各階における施設の利用形態に関連付けた優先度の高い順(例えば火災延焼可能性が高い順)等に選択するようにしてもよい。
【0127】
図15のSL2において受信機1の制御部13は、救助支援画像を生成する。
図16は、救助支援画像を例示した図である。「救助支援画像」とは、消防隊員による救助の支援を行うための画像であり、例えば、
図16に示すように、建物の平面図の画像において、火災画像G20、救助対象画像G21、G22が重畳されている画像である。「火災画像」G20とは、火災の発生位置を示す画像であり、また、「救助対象画像」G21、G22とは、救助の行う必要があるユーザの位置(具体的には、当該ユーザが携帯する端末装置7の位置)及び救助が必要な理由を示す画像である。なお、「救助を行う必要があるユーザ」を定める手法は任意であるが、本実施の形態では、例えば、
図5の状態情報において「要支援」及び「要確認」等の所定の情報が格納されているユーザ、及び
図5の蓄積されている端末位置時間情報から判断して逃げ遅れている可能性があるユーザを、「救助を行う必要があるユーザ」とする場合を例示して説明する。
【0128】
具体的な処理は任意であるが、例えば、救助を行う必要があるユーザの位置を特定する処理、及び火災が発生した位置を特定する処理、を行った後に救助支援画像を生成する処理を行う。
【0129】
===救助を行う必要があるユーザの位置を特定する処理===
救助を行う必要があるユーザの位置を特定する処理については、例えば、
図5のユーザ特定情報を参照して、端末位置時間情報として、現在の時間に対する直近の時間の位置がSL1で選択された階数が格納されているデータセットを特定する(「SL2の第1処理」と称する)。ここでは、例えば、
図5のユーザ特定情報を参照して、端末位置時間情報として、現在の時間に対する直近の時間の位置がSL1で選択された「階数」=「3階」が格納されている
図5の1段目~3段目のデータセットを特定する。
【0130】
次に、「SL2の第1処理」で特定したデータセットにおいて、状態情報として所定の情報(例えば、「要支援」)が格納されているデータセットが存在する場合、当該データセットを特定し、特定したデータセットの端末位置時間情報を参照して、当該データセットが示す直近の時間の端末装置7の位置を、「要支援」となっているために救助を行う必要があるユーザの位置として特定する(「SL2の第2処理」と称する)。ここでは、例えば、
図5の1段目~3段目のデータセットにおいて、2段目のデータセットの状態情報として所定の情報(例えば、「要支援」)が格納されているので、当該データセットが示す直近の時間である「9時13分」の端末装置7の位置である「第3階段」を、「要支援」となっているために救助を行う必要があるユーザの位置として特定する。
【0131】
次に、「SL2の第1処理」で特定したデータセットであって「SL2の第2処理」で特定されていないデータセットにおいて、端末位置時間情報として、所定時間(例えば、2分~3分等)以上前の時刻から直近の時刻までの間に同じ位置を示す情報が格納されているデータセットが存在する場合、当該データセットを特定し、特定したデータセットの端末位置時間情報を参照して、当該データセットが示す直近の時刻の端末装置7の位置を、逃げ遅れているために救助を行う必要があるユーザの位置として特定する(「SL2の第3処理」と称する)。ここでは、例えば、
図5の残りの1段目及び3段目のデータセットにおいて、3段目のデータセットの端末位置時間情報として、所定時間(例えば、2分~3分等)以上前の時間から直近の時刻までの間に同じ位置を示す情報が格納されているので、当該データセットが示す直近の時刻である「9時13分」の端末装置7の位置である「5号室」を、逃げ遅れているために救助を行う必要があるユーザの位置として特定する。
【0132】
次に、「SL2の第1処理」で特定したデータセットであって「SL2の第2処理」又は「SL2の第3処理」で特定していないデータセットにおいて、状態情報として所定の情報(例えば、「SL2の第2処理」とは異なる「要確認」)が格納されているデータセットが存在する場合、当該データセットを特定し、特定したデータセットの端末位置時間情報を参照して、当該データセットが示す直近の時刻の端末装置7の位置を、「要確認」となっているために(つまり、ユーザが自己の状態情報を入力する所定操作を行えないことを考慮して)救助を行う必要があるユーザの位置として特定する(「SL2の第4処理」と称する)。ここでは、例えば、
図5の残りの1段目のデータセットにおいて、状態情報として所定の情報(例えば、「要確認」)が格納されているわけではないので、「要確認」となっているために救助を行う必要があるユーザの位置は特定しないことになる。
【0133】
===火災が発生した位置を特定する処理===
火災が発生した位置を特定する処理については、
図7のSA2の処理と同様にして、火災が発生した位置を特定する(「SL2の第5処理」と称する)。ここでは、例えば、火災が発生した位置として「3階」の「2号室」を特定する。
【0134】
===救助支援画像を生成する処理===
救助支援画像を生成する処理については、
図3の地図情報DB121の地図情報に基づいて、SL1で選択された階の平面図の画像を生成し、当該平面図の画像において、「SL2の第2処理」~「SL2の第4処理」で特定した位置にシンボル及び救助が必要な理由のテキスト情報を表示することにより「救助対象画像」を重畳し、また、「SL2の第5処理」で特定した位置に「火災画像」を重畳することにより、救助支援画像を生成する。
【0135】
ここでは、例えば、
図3の地図情報DB121の地図情報に基づいて、SL1で選択された階である「3階」の平面図の画像を生成し、当該平面図の画像において、「SL2の第2処理」で特定した「第3階段」の位置に、シンボルと理由である「要支援」のテキスト情報を含む救助対象画像G21を重畳し、また、「SL2の第3処理」で特定した「5号室」の位置に、シンボルと理由である「逃げ遅れ」のテキスト情報を含む救助対象画像G22を重畳し、また、「SL2の第5処理」で特定した「2号室」の位置に火災画像G20を重畳することにより、
図16の救助支援画像を生成する。
【0136】
図15のSL3において受信機1の制御部13は、救助支援用信号を電気信号として送信する。「救助支援用信号」とは、例えば、消防隊員による救助の支援を行うための信号であり、例えば、救助支援画像、及び設備IDを含む信号である。具体的には任意であるが、例えば、
図4の設備特定情報を参照して、「設備種別情報」=「表示装置」に関連付けられている設備IDの内の、SL1で選択した階数が格納されている設備位置情報に関連付けられている設備IDを取得し、取得した設備ID及びSL2で生成した救助支援画像を含む救助支援用信号を生成し、生成した救助支援用信号を通信部11を介して表示装置6に送信する。なお、例えば、ここでの救助支援画像が、「救助を支援するための情報」に対応する。
【0137】
ここでは、例えば、
図4の設備特定情報を参照して、「設備種別情報」=「表示装置」に関連付けられている設備IDの内の、SL1で選択した「階数」=「3階」が格納されている設備位置情報に関連付けられている設備IDである「IDd001」及び「IDd002」を取得し、取得した「設備ID」=「IDd001」及び「IDd002」及びSL2で生成した
図16の救助支援画像を含む救助支援用信号を生成して送信する。
【0138】
一方、
図15のSM1において表示装置6は、自己に対する救助支援用信号を受信する。具体的には任意であるが、例えば、
図10のSG1の場合と同様にして、受信機1から送信された救助支援用信号に含まれる設備IDを取得し、自己の不図示の記録部に格納されている設備IDと前述の取得した設備IDとを比較し、これらの設備IDが相互に合致している場合に、自己に対する救助支援用信号であるものとして受信する。
【0139】
ここでは、例えば、
図8の表示装置601、602は、自己の記録部に「設備ID」=「IDd001」、「IDd002」が記録されているので、前述の救助支援用信号を受信する。また、他の階(1階及び2階)の表示装置6は、救助支援用信号を受信しないことになる。
【0140】
図15のSM2において表示装置6は、救助支援画像を表示する。具体的には任意であるが、例えば、SM1で受信した救助支援用信号に含まれている救助支援画像を取得し、現在表示されている広告の代わりに又は当該広告と共に、当該取得した救助支援画像を表示する。
【0141】
ここでは、例えば、
図8の表示装置601、602は、
図16の救助支援画像を表示する。なお、この場合、3階を訪れた消防隊員は、
図8の表示装置601、602に表示されている
図16の救助支援画像を視認することにより、火災の発生位置及び救助を行う必要があるユーザの有無又は当該ユーザの所在を把握することができるので、消火活動及び救助活動を効果的に行うことが可能となる。これにて、支援情報表示処理を終了する。
【0142】
なお、このような表示装置6での館内情報表示に代えて、又はこれに加えて、例えば、消防隊員が携帯する端末装置7の属性情報として消防隊員である旨を登録しておき、この携帯端末7に対し受信機1から館内スピーカ3を介して当該携帯端末7に音信号として救助支援用信号を送信し、当該携帯端末7で同様の館内情報表示を行うようにしてもよい。
【0143】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、館内マイク5が収集した音信号に基づいて、対象領域である建物における防災に関する防災関連情報を出力することにより、例えば、音信号に基づく通信を利用して対象領域の防災性を向上させることが可能となる。
【0144】
また、音信号による通信には無線LANやWi-Fi等の、電波によるネットワークを必要とせず、このようなネットワーク用の電波が届かない場所であっても信号の送受信が可能であり、また、本実施形態にあっては防災システムの各装置は商用電源の停電時にも所定期間動作可能であり、高い防災性を維持することが可能になる。更に、音信号による通信は電波規格の制限も受けないので、規格互換性の問題がなく、例えば各国で容易に防災システムを構築し運用することができる。
【0145】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0146】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0147】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、上述した実施の形態において受信機1で行う処理の一部を他の装置で行ってもよい。また、例えば、受信機1と携帯端末7とのデータベースの両方に保持している同一データの一部又は全部を、何れか一方で管理するようにしてもよい。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。
【0148】
(状態情報の入力について)
また、上記実施の形態の
図14のSI1において、端末装置7のタッチパッド74を介して状態情報を入力することを支援する機能を設けてもよい。例えば、所定の候補から選択して入力するように構成してもよい。具体的には、例えば、ユーザがタッチパッド74を介して所定操作を行った場合に、状態情報と入力する候補の情報である候補状態情報をディスプレイ75に複数個表示し、当該複数個の候補状態情報の内の1個以上の候補情報がユーザによって選択された場合に、当該選択された候補状態情報に対応する状態情報が端末装置7に入力されるように構成してもよい。
【0149】
(人数の表示について)
また、上記実施の形態では、
図16において、建物の平面図の画像に対して、火災画像及び救助対象画像を重畳して表示する場合について説明したが、これに限らない。例えば、各居室の在室状況として、各居室に存在するユーザの人数を重畳して表示するように構成してもよい。このように構成する場合、
図5の端末位置時間情報における現在に対する直近の時間の位置を示す情報に着目して、各居室に存在するユーザの人数を計数し、計数した人数を救助対象画像に表示するように構成してもよい。また、この人数に応じて
図10のSF3において生成する避難経路情報を最適化してもよい。たとえば、移動していないユーザが密集している場合には、避難経路が塞がれていると判定して、その場所を避ける避難経路情報を生成するようにしてもよい。
【0150】
(救助対象画像について)
また、上記実施の形態では、救助対象画像を表示装置6又は消防隊員が携帯する端末装置7に表示する場合について説明したがこれに限らない。例えば、受信機1が館内スピーカ3を介して、救助支援用信号を音信号に含めて任意の端末装置(例えば、ユーザが携帯する端末装置7)に対して出力し、当該端末装置が当該音信号を受信し、受信した音信号に基づいて救助対象画像を自己のディスプレイに表示するように構成してもよい。
【0151】
(端末装置の位置について)
また、上記実施の形態では、館内マイク5の設置位置に基づいて、端末装置7の位置(つまり、ユーザの位置)を特定する場合について説明したが、これに限らない。例えば、端末装置7に対してGPS受信機の如き現在位置特定手段が設けられていることとし、当該現在位置特定手段を利用して端末装置7の位置を特定するように構成してもよい。
【0152】
(逃げ遅れについて)
また、上記実施の形態では、端末装置7の位置に基づいて、ユーザが逃げ遅れていることを特定する場合について説明したが、これに限らない。例えば、端末装置7に自己の振動状態を計測する振動計測手段を設けた上で、この振動計測手段の計測結果を受信機1側で把握し、当該把握した計測結果に基づいてユーザが逃げ遅れていることを特定するように構成してもよい。例えば、所定期間にわたって所定強度以上の振動が認められない場合にはユーザが動けない状態と判定して、「要支援」としてもよい。
【0153】
(ユーザの状態の推定について)
また、少なくとも火災時には館内スピーカ3から端末装置呼び出し用の音信号を所定周期で送信し、これに対し端末装置7のアプリケーションが自動応答するように構成し、応答結果に基づいてユーザの状態を推定してもよい。例えば、自動応答がある(端末装置7が存在する)にもかかわらずユーザの所定操作がない、或いは当該端末装置7が移動(振動)しない場合は、利用者が動けない状況にあると推定してもよい。
【0154】
(ユーザの音声又は雑音について)
また、館内マイク5が、周辺のユーザの音声又は雑音を収音し、受信機1が、当該収音した音声又は雑音に基づいて、避難経路情報を生成するように構成してもよい。具体的には任意であるが、例えば、収音した音声又は雑音に基づいて、建物の各地点での混雑状況を推定し、推定した混雑状況を考慮して避難経路情報を生成してもよい。
【0155】
(通信の中継について)
また、ユーザが携帯する端末装置7が、音信号による通信を中継するように構成してもよい。
【0156】
(リアルタイム処理について)
また、上記実施の形態の
図9の位置情報送信処理を比較的短周期(例えば、10秒周期等)で行うように構成することにより、
図5の端末位置時間情報の分解能を向上させることにより、端末装置7の現在の位置をリアルタイム(つまり、比較的短い時間間隔)で把握し、把握した端末装置7の位置と、前述の特定した
図11の避難経路R1とを比較することにより、端末装置7が避難経路R1に沿って移動しているか否かを判定し、避難経路R1に沿って移動していないものと判定した場合に、当該端末装置7に対して避難経路R1からそれている旨の警報を出力されるように構成してもよい。
【0157】
(可聴及び非可聴について)
また、上記実施の形態の各音信号については、可聴の音信号を用いてもよいし、あるいは、非可聴の音信号を用いてもよい。また、例えば、警報音又は警報音声等に音信号を重畳させて館内スピーカ3から送信するようにしてもよい。
【0158】
(館内マイクについて)
また、
図1の館内マイク5を通信線L1を介して受信機1と有線通信するように構成してもよい。
【0159】
(音信号の送信について)
受信機1からの制御により館内スピーカ3から送信される音信号は、受信機1でこれに対応する電気信号を生成し、適宜の音響用アンプ等を介して館内スピーカ3を駆動して出力するようにしてもよい。
【0160】
(他の構成について)
また、
図1の建物にベースサウンダー(前述)を設けた上で、館内マイク5の機能を感知器2に実装したり、あるいは、館内スピーカ3の機能を当該ベースサウンダーに設けたりしてもよい。
【0161】
(特徴について)
また、上記実施の形態の特徴及び変形例の特徴を任意に組み合わせてもよい。
【0162】
(付記)
付記1の防災システムは、対象領域で異常が発生した場合に、当該対象領域内のユーザに関するユーザ関連情報を含む音信号を収集する収音装置と、前記収音装置が収集した音信号に基づいて、対象領域における防災に関する防災関連情報を出力する制御手段と、を備える。
【0163】
付記2の防災方法は、対象領域で異常が発生した場合に、当該対象領域内のユーザに関するユーザ関連情報を含む音信号を収集する収音装置を含む防災システムの防災方法であって、制御手段が、前記収音装置が収集した音信号に基づいて、前記対象領域における防災に関する防災関連情報を出力するステップ、を含む。
【0164】
(付記の効果)
付記1に記載の防災システム及び付記2に記載の防災方法によれば、収音装置が収集した音信号に基づいて、前記対象領域における防災に関する防災関連情報を出力することにより、例えば、音信号に基づく通信を利用して対象領域の防災性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0165】
1 受信機
2 感知器
3 館内スピーカ
4 中継装置
5 館内マイク
6 表示装置
7 端末装置
11 通信部
12 記録部
13 制御部
71 通信部
72 マイク
73 スピーカ
74 タッチパッド
75 ディスプレイ
76 記録部
77 制御部
100 防災システム
121 地図情報DB
122 設備特定情報DB
123 ユーザ特定情報DB
301 館内スピーカ
302 館内スピーカ
303 館内スピーカ
304 館内スピーカ
305 館内スピーカ
306 館内スピーカ
307 館内スピーカ
308 館内スピーカ
309 館内スピーカ
310 館内スピーカ
311 館内スピーカ
501 館内マイク
502 館内マイク
503 館内マイク
504 館内マイク
505 館内マイク
506 館内マイク
507 館内マイク
508 館内マイク
509 館内マイク
510 館内マイク
511 館内マイク
601 表示装置
602 表示装置
701 端末装置
702 端末装置
703 端末装置
761 地図情報DB
G10 火災画像
G11 現在位置画像
G12 避難経路画像
G20 火災画像
G21 救助対象画像
G22 救助対象画像
L1 通信線
U1 ユーザ
U2 ユーザ
U3 ユーザ