(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/263 20060101AFI20250106BHJP
E06B 3/58 20060101ALI20250106BHJP
E06B 3/68 20060101ALI20250106BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
E06B3/263 A
E06B3/58 A
E06B3/68 B
E06B5/16
(21)【出願番号】P 2020054550
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】北村 真吾
(72)【発明者】
【氏名】木田 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 富広
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-159729(JP,U)
【文献】実開昭62-146889(JP,U)
【文献】特許第4926953(JP,B2)
【文献】特開2014-129662(JP,A)
【文献】実開昭58-069688(JP,U)
【文献】実開昭57-159978(JP,U)
【文献】特開昭57-066288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B3/04-3/46
3/50-3/88
5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
上框と、下框と、面材と、溝部を互いに他方の縦框側にそれぞれ有する一対の縦框と、両端が前記一対の縦框に組み付けられる金属製の中桟と、を有し、前記枠体に取り付けられる障子と、を有する建具であって、
前記一対の溝部はともに、前記中桟を間に挿入可能な一対の側面部と、前記一対の側面部と直交して連結される底面部と、を有し、
前記中桟の両端は、前記一対の溝部にそれぞれ挿入されて配置され、
前記中桟の少なくとも一方の端面は、前記一対の縦框の一方の面に間を空けて配置され、
前記中桟の少なくとも一端と、一方の前記底面部の間には、筒状突起を有し熱により溶融軟化可能な樹脂ブロックが配置され、
前記一方の前記底面部には前記樹脂ブロックを挿入する為の組み付け孔があり、前記組み付け孔に前記筒状突起が挿入されるとともに、
前記筒状突起に対し、組付けねじが組み付けられ、前記筒状突起の外径は、前記組付けねじのねじ頭の外径より小さい、建具。
【請求項2】
上枠と、下枠と、溝部を互いに他方の縦枠側にそれぞれ有する一対の縦枠と、からなる枠体と、
両端が前記一対の縦枠に組み付けられる金属製の中桟と、
前記枠体および前記中桟に保持される面材と、を有する建具であって、
前記一対の溝部はともに、前記中桟を間に挿入可能な一対の側面部と、前記一対の側面部と直交して連結される底面部と、を有し、
前記中桟の両端は、前記一対の溝部にそれぞれ挿入されて配置され、
前記中桟の少なくとも一方の端面は、前記一対の縦枠の一方の面に間を空けて配置され、
前記中桟の少なくとも一端と、一方の前記底面部の間には、筒状突起を有し熱により溶融軟化可能な樹脂ブロックが配置され、
前記一方の前記底面部には前記樹脂ブロックを挿入する為の組み付け孔があり、前記組み付け孔に前記筒状突起が挿入されるとともに、
前記筒状突起に対し、組付けねじが組み付けられ、前記筒状突起の外径は、前記組付けねじのねじ頭の外径より小さい、建具。
【請求項3】
枠体と、
上框と、下框と、面材と、溝部を互いに他方の縦
框側にそれぞれ有する一対の縦框と、両端が前記一対の縦框に組み付けられる金属製の中桟と、を有し、前記枠体に取り付けられる障子と、を有する建具であって
、
前記一対の溝部はともに、前記中桟を間に挿入可能な一対の側面部と、前記一対の側面部と直交して連結される底面部と、を有し、
前記中桟の両端は、前記一対の溝部にそれぞれ挿入されて配置され、
前記中桟の少なくとも一方の端面は、前記一対の縦框の一方の面に間を空けて配置され、
前記中桟の少なくとも一端と、一方の前記底面部の間には、筒状突起を有し熱により溶融軟化可能な樹脂ブロックが配置され、
前記中桟の一端と、一方の前記縦框は、組付けねじによって組み付けられ、
組付けねじには、ねじ頭とねじ山部の間に、ねじ山を有しない平坦部を有し、
前記一方の前記底面部には前記樹脂ブロックを挿入する為の組み付け孔があり、前記組み付け孔に前記筒状突起が挿入されるとともに、
前記筒状突起に対し、前記組付けねじが組み付けられ、前記筒状突起の外径は、前記組付けねじのねじ頭の外径より小さい、建具。
【請求項4】
上枠と、下枠と、溝部を互いに他方の縦枠側にそれぞれ有する一対の縦枠と、からなる枠体と、
両端が前記一対の縦枠に組み付けられる金属製の中桟と、
前記枠体および前記中桟に保持される面材と、を有する建具であって、
前記一対の溝部はともに、前記中桟を間に挿入可能な一対の側面部と、前記一対の側面部と直交して連結される底面部と、を有し、
前記中桟の両端は、前記一対の溝部にそれぞれ挿入されて配置され、
前記中桟の少なくとも一方の端面は、前記一対の縦枠の一方の面に間を空けて配置され、
前記中桟の少なくとも一端と、一方の前記底面部の間には、筒状突起を有し熱により溶融軟化可能な樹脂ブロックが配置され、
前記中桟の一端と、一方の前記縦枠は、組付けねじによって組み付けられ、
組付けねじには、ねじ頭とねじ山部の間に、ねじ山を有しない平坦部を有し、
前記一方の前記底面部には前記樹脂ブロックを挿入する為の組み付け孔があり、前記組み付け孔に前記筒状突起が挿入されるとともに、
前記筒状突起に対し、前記組付けねじが組み付けられ、前記筒状突起の外径は、前記組付けねじのねじ頭の外径より小さい、建具。
【請求項5】
前記中桟の他端は、他方の前記底面部に突き合わされて配置される、請求項1から4のいずれかに記載の建具。
【請求項6】
前記他方の前記底面部は、表面で前記中桟の他端と対向するとともに、裏面に前記縦框または前記縦枠に沿って延び、前記底面部の変形を規制する第1補強材を有する、請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記中桟の内部に、前記中桟に沿って延び、前記中桟の変形を規制する第2補強材をさらに有する、請求項1から6のいずれかに記載の建具。
【請求項8】
前記樹脂ブロックは、前記第2補強材に向けて延びるとともに前記第2補強材に嵌合して接続する金属製のブラケットを有する、請求項7に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中桟を有する障子が広く使用されている。障子が中桟を有することで、框のみで面材を保持する場合と比較して障子全体の強度が向上する。中桟は、障子を構成する一対の縦框の間に介在して構成される。特許文献1では、縦框の溝部に樹脂製のブロックを配置し、ブロックを介して中桟と縦框をねじ止めすることで、中桟が縦框に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルミなどの金属製のサッシは、加熱されることで部材が膨張して熱伸びすることが問題視されている。熱伸びが発生した場合には、接触している部材間で相互に力がかかるため、変形が生じることがある。特許文献1では、中桟が縦框に突き合わされて構成されているため、中桟が加熱されると熱伸びにより縦框を押し広げる向きに力を加えることとなり、縦框や中桟自身が変形することがある。
【0005】
特に火災等の発生時には、金属製サッシは高温となりやすいため、建具の変形が生じやすい。建具が変形した場合には、枠体や部材間に隙間が発生することがある。防火の観点から、延焼を防ぐため建具の隙間は小さくすることが好ましい。したがって、火災による熱伸びが発生しても変形しにくい建具が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、枠体と、上框と、下框と、面材と、溝部を互いに他方の縦框側にそれぞれ有する一対の縦框と、両端が前記一対の縦框に組み付けられる中桟と、を有し、前記枠体に取り付けられる障子と、を有する建具であって、前記一対の溝部はともに、前記中桟を間に挿入可能な一対の側面部と、前記一対の側面部と直交して連結される底面部と、を有し、前記中桟の両端は、前記一対の溝部にそれぞれ挿入されて配置され、前記中桟の少なくとも一端と、一方の前記底面部は、間に前記中桟の熱伸び代を有して対向し、前記熱伸び代には、筒状突起を有する樹脂ブロックが配置される、建具を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の引き違い障子を示す図である。
【
図2】全長にねじ山を有するねじを使用した場合の中桟の上面および縦框の水平断面を示す図である。
【
図3】第1実施形態の中桟の垂直断面を示す図である。
【
図4A】第1実施形態の樹脂ブロックおよびブラケットを示す図である。
【
図4B】第1実施形態の樹脂ブロックおよびブラケットを示す図である。
【
図5】第1実施形態の中桟の上面および縦框の水平断面を示す図である。
【
図6】第1実施形態の組み付けねじを示す図である。
【
図7】第1実施形態の引き違い障子の縦框および枠体の水平断面を示す図である。
【
図9】第2実施形態の中桟の上面および縦框の水平断面を示す図である。
【
図10】第2実施形態の中桟の垂直断面を示す図である。
【
図11】第2実施形態の樹脂ブロックを示す図である。
【
図12】第2実施形態の樹脂ブロックの水平方向視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
図1に示すように、本開示の第1実施形態に係る建具100は、枠体10と、2枚の障子20,30と、を備える引き違い障子である。本実施形態において建具100は建築物の屋内外を仕切る窓を構成するが、建具100の適用場所や大きさは特に限定されない。建具100は、従来引き違い窓や引き違い戸が使用されている場所には、問題なく適用することができる。
【0009】
枠体10は、上枠11と、下枠12と、内障子20側の縦枠14と、外障子30側の縦枠13と、を四方枠組みすることによって構成される。枠体10は、内障子20および外障子30を枠内に保持可能な大きさに構成され、建築物の壁面の開口縁部に配置される。枠体10は、例えば高い強度を有するアルミなどの金属材料等によって構成されることができる。例えば本実施形態において、上枠11と、下枠12と、縦枠13および縦枠14は、アルミニウム押し出し形材である。
【0010】
2枚の障子20,30は、引き違い障子の建築物の屋内側に配置される内障子20と、建築物の屋外側に配置される外障子30である。2枚の障子20,30はいずれも、上框21,31と、下框22,32と、それぞれ縦枠14,13側の縦框23,33と、召合せ側の縦框である召合せ框24,34と、からなる一対の縦框と、縦方向に延びる一対の縦框の略中間位置に組付けられる中桟25,35と、これらの框および中桟25,35に囲まれて保持される面材26,36を有する。本実施形態において、各框および中桟25,35はアルミニウムで、面材26,36はガラスで構成される。2枚の障子20,30は枠体10に対してスライドすることにより開閉可能に構成され、さらにクレセント錠40によって施錠可能である。
【0011】
以下に説明する本開示の障子の構成は、内障子および外障子のいずれにも適用可能である。したがって記載を簡潔にするため、以下では内障子20のみに注目して本実施形態を詳細に説明する。
【0012】
図2に示すように、内障子20の中桟25は、上述のように一対の縦框24,23に組付けられる。一対の縦框23,24はそれぞれ、互いに他方の縦框24,23側に溝部1A,1Bを有し、中桟25の両端はそれぞれ溝部1A,1Bに挿入される。溝部1A,1Bはともに、中桟25を間に挿入可能な一対の側面部2A,2Bと、一対の側面部2A,2Bと直交して連結される底面部3A,3Bと、を有して構成される。中桟25の一端は、溝部1Aに挿入されるとともに底面部3Aと対向し、両者間に樹脂ブロック70が介在する。中桟25の他端は、溝部1Bの側面部2Bの間に挿入されるとともに底面部3Bと対向する。
【0013】
樹脂ブロック70は、中桟25の一端と、縦框23とを組付けるためのねじ穴を嵌合部73内に有し、中桟25の一端とともに縦框23にねじ止めされて組付けられる。樹脂ブロック70は、熱可塑性樹脂で構成され、火災の発生等で高温になった際には、溶融して軟化する。火災の発生時には同時に、金属製の中桟25は高温となり膨張して熱伸びする。したがって、高温となって軟化した樹脂ブロック70の位置に、熱伸びした中桟25が侵入することができる。すなわち、中桟25の一端と、底面部3Aの間に介在する樹脂ブロック70は、中桟25の熱伸び代となる。これにより、中桟25の熱伸び代を確保することで、熱伸びした中桟25が縦框23に突き当たって加える力を低減することができ、縦框23の変形を抑制することができる。
【0014】
中桟25の他端は、溝部1Bに挿入されるとともに、底面部3Bに突き合わされて配置される。これにより、中桟25が熱伸びする際に底面部3Bから力を受けるとともに、側面部2Aがガイドとなり熱伸び方向を規制するため、中桟25が熱伸び代に向けて熱伸びしやすくなる。
【0015】
底面部3Bは、表面で中桟25の他端と対向するとともに(
図2において右側の面)、裏面に縦框24に沿って縦方向に延びる第1補強材90を有する(
図2において左側の面)。
図2において縦框24は底面部3Bの裏面側に空洞部27を有する。第1補強材90は空洞部27の内部に配置され、縦框24に沿って縦方向に延び底面部3Bを補強して変形を規制する。第1補強材90は底面部3Bを補強して変形を規制するものであれば、
図2のような断面形状がコ字状のものに限定されない。第1補強材90は例えば、水平断面が矩形であってもよい。第1補強材90を構成する材質は特に限定されない。第1補強材90は例えば、ステンレスで構成される。これにより、底面部3Bが変形しにくくなるため、中桟25が底面部3Bから熱伸び代に向けて力を受けやすくなり、中桟25が熱伸び代に向けて熱伸びしやすくなる。
【0016】
中桟25の内部には、中桟25に沿って延びる第2補強材60を有する。
図3に示すように第2補強材60は、中桟25の上面および側面部に沿って垂直断面コ字状に形成され、中桟25を補強して変形を規制する。第2補強材60は中桟25を補強して変形を規制するものであれば、
図3のような断面形状がコ字状のものに限定されない。第2補強材60は例えば、水平断面が矩形であってもよい。第2補強材60を構成する材質は特に限定されない。第2補強材60は例えば、ステンレスで構成される。これにより、中桟25の強度が向上して反りにくくなり、中桟25が延びる方向以外へ変形を規制されているため、中桟25が熱伸び代に向けて熱伸びしやすくなる。
【0017】
樹脂ブロック70は、
図4Aおよび
図4Bに示すように、ブラケット80を組み付ける組付部71と、筒状の突起を有し、縦框23と嵌合して組付けられる嵌合部73を有して構成される。縦框23は嵌合部73と嵌合して組み付けるための組み付け孔を有し、嵌合部73は組み付け孔に挿入されて嵌合する。嵌合部73は筒状突起の内部にねじ穴を有し、縦框23と中桟25は嵌合部73の筒状の突起内部のねじ穴を介してねじ止めによって組み付けられる。
【0018】
図2に示す縦框23と中桟25の組み付けには、組み付けねじ78が使用される。組み付けねじ78は、ねじ頭75と、ねじ全長にわたって形成されるねじ山部77とを有する。組み付けねじ74は樹脂ブロック70の嵌合部73の筒状突起内部のねじ穴を介して縦框23と中桟25を組み付ける。これにより、縦框23の組付け孔を組み付けねじ74の径よりも大きく構成し、組み付けねじ78と組付け孔との間の隙間に樹脂の筒状突起が介在することで、高温時に樹脂の筒状突起が溶融してねじ山部77の移動代ができるため、中桟25の熱伸び時にねじ山部77が組付け孔に引っかかることがない。
【0019】
図5に示す縦框23と中桟25の組み付けには、組み付けねじ74が使用される。
図6に示すように、組み付けねじ74は、ねじ頭75と、ねじ山部77との間に、ねじ山を有しない平坦部76を有する。組み付けねじ74は樹脂ブロック70の嵌合部73の筒状突起内部のねじ穴を介して縦框23と中桟25を組み付ける。なお、
図5に示す形態においては筒状突起を有するが、組み付けねじ74が平坦部76を有することで、樹脂ブロック70が筒状突起部分を有しない場合でも、平坦部76は縦框23の組み付け孔に引っかかることがない。
【0020】
金属製のブラケット80は、断面コ字状の形状に構成され、樹脂ブロック70とともに縦框23に組付けられるねじ穴81と、第2補強材60に嵌合して接続する一対のガイド部82を有する。ブラケット80は樹脂ブロック70の嵌合部に嵌合して一体とされる。ガイド部82は、第2補強材60と嵌合する。これにより、中桟25の熱伸び方向をガイド部82に沿わせ、樹脂ブロック70すなわち熱伸び代へより確実に誘導する。さらに金属製のブラケット80は、樹脂ブロック70が火災による高温で溶融して軟化しても残存でき、中桟25の熱伸び方向を誘導し続けることができる。また、第2補強材60の荷重を受けることができる。
【0021】
建具100は、他にも変形を防ぐための補強材を有していてもよい。例えば
図7に示すように、外障子30も召合せ框34に空洞部を有し、第1補強材90を有する。召合せ框34はさらに、溝部4Bに水平断面L字状の第3補強材91を有する。これにより、召合せ框34が溝部4Bの開口部分が広がる向きに変形し、面材36を保持する力が小さくなり、面材36が落下することを防止できる。
【0022】
本開示の第1実施形態の建具100について説明した。建具100によれば、以下の効果が奏される。
【0023】
建具100は、枠体10と、上框21と、下框22と、面材26と、溝部1A,1Bを互いに他方の縦框24,23側にそれぞれ有する一対の縦框23,24と、両端が一対の縦框23,24に組み付けられる中桟25と、を有し、枠体10に取り付けられる障子20と、を有する建具であって、一対の溝部1A,1Bはともに、中桟25の端部を間に挿入可能な一対の側面部2A,2Bと、前記一対の側面部と直交して連結される底面部3A,3Bと、を有し、中桟25の両端は、一対の溝部1A,1Bにそれぞれ挿入されて配置され、中桟25の少なくとも一端と、一方の底面部1Aは、間に中桟25の熱伸び代を有して対向し、前記熱伸び代には、筒状突起を有する樹脂ブロック70が配置される。これにより、火災発生時に高温となった樹脂ブロックが溶融し、中桟の熱伸び代を確保することで、熱伸びした中桟が縦框に突き当たって加える力を低減することができ、縦框の変形を抑制することができる。
【0024】
一方の底面部3Aには、樹脂ブロック70を挿入する為の組み付け孔があり、前記組み付け孔に前記筒状突起が挿入されるとともに、前記筒状突起に対し、ねじ頭75とねじ山部77の間に、組み付けねじ78が組み付けられる。これにより、縦框の組付け孔を組み付けねじの径よりも大きく構成し、組み付けねじと組付け孔との間の隙間に樹脂の筒状突起が介在することで、中桟の熱伸び時にねじ山が組付け孔に引っかかることがない。
【0025】
中桟25の他端は、他方の底面部3Bに突き合わされて配置される。これにより、中桟25が熱伸びする際に底面部3Bから力を受けるとともに、側面部がガイドとなり熱伸び方向を規制するため、中桟が熱伸び代に向けて熱伸びしやすくなる。
【0026】
他方の底面部3Bは、表面で中桟25の他端と対向するとともに、裏面に縦框24または縦枠13に沿って延び、底面部3Bの変形を規制する第1補強材90を有する。これにより、他方の底面部が変形しにくくなるため、中桟が他方の底面部から熱伸び代に向けて力を受けやすくなり、中桟が熱伸び代に向けて熱伸びしやすくなる。
【0027】
中桟25の内部に、中桟25に沿って延び、中桟25の変形を規制する第2補強材60をさらに有する。これにより、中桟の強度が向上して反りにくくなるため、中桟が熱伸び代に向けて熱伸びしやすくなる。
【0028】
建具100は、中桟の一端25と一方の底面部3Aとの間に配置され、樹脂ブロック70は、第2補強材60に嵌合して接続する金属製のブラケット80を有する。これにより、中桟の熱伸び方向をブラケットの一部に沿わせ、熱伸び代へより確実に誘導できる。さらに金属製のブラケットは、樹脂ブロックが火災による高温で溶融して軟化しても残存でき、中桟の熱伸び方向を誘導し続けることができる。また、第2補強材60の荷重を受けることができる。
【0029】
<第2実施形態>
以上、本開示の第1実施形態について説明した。次に、本開示の第2実施形態について説明する。本開示の第2実施形態に係る建具200は、固定窓である。すなわち建具200は、第1実施形態に係る建具100と比較して、框を有せず、開閉できないように構成される。また、樹脂ブロック170の形状が異なり、ブラケットおよび第1補強材を有しない。
【0030】
図8に示すように、本開示の第6実施形態に係る建具200は、枠体110と、窓部120と、を備える固定窓である。本実施形態において建具200は建築物の屋内外を仕切る窓を構成する、建具200の適用場所や大きさは特に限定されない。
【0031】
枠体110は、上枠111と、下枠112と、縦枠113と、縦枠114と、を四方枠組みすることによって構成される。枠体110は、中桟125および面材126を枠内に保持可能な大きさに構成され、建築物の壁面の開口縁部に配置される。枠体110は、例えば高い強度を有するアルミなどの金属材料等によって構成されることができる。例えば本実施形態において、上枠11と、下枠12と、縦枠13および縦枠14は、アルミニウム押し出し形材である。
【0032】
建具200は、中桟125と、枠体110および中桟125に囲まれて保持される面材126を有する。本実施形態において、枠体110および中桟125はアルミニウムで、面材126はガラスで構成される。建具200は開閉不能な固定窓であり、建築物の意匠性および採光の目的で設置される。
【0033】
図9に示すように、中桟125は、上述のように一対の縦枠113,114に組付けられる。一対の縦枠113,114はそれぞれ、互いに他方の縦枠114,113側に溝部101A,101Bを有する。溝部101A,101Bはともに、中桟125を間に挿入可能な一対の側面部102A,102Bと、一対の側面部102A,102Bと直交して連結される底面部103A,103Bと、を有して構成される。中桟125の一端は、一対の側面部102Aの間に挿入されるとともに底面部103Aと対向し、両者間に樹脂ブロック170が介在する。中桟125の他端は、側面部102Bの間に挿入されるとともに底面部103Bと対向する。
【0034】
樹脂ブロック170は、中桟125の一端と、縦枠113とを組付けるためのねじ穴を筒状突起の内部に有する嵌合部173に有し、中桟125の一端とともに縦枠113にねじ止めされて組付けられる。樹脂ブロック170は、熱可塑性樹脂で構成され、火災の発生等で高温になった際には、溶融して軟化する。火災の発生時には同時に、金属製の中桟125は高温となり膨張して熱伸びする。したがって、高温となって軟化した樹脂ブロック170の位置に、熱伸びした中桟125が侵入することができる。すなわち、中桟125の一端と、底面部103Aの間に介在する樹脂ブロック170は、中桟125の熱伸び代となる。これにより、中桟の熱伸び代を確保することができる。
【0035】
中桟125の他端は、溝部101Bに挿入されるとともに、底面部103Bに突き合わされて配置される(不図示)。これにより、中桟125が熱伸びする際に底面部103Bから力を受けるとともに、側面部がガイドとなり熱伸び方向を規制するため、中桟が熱伸び代に向けて熱伸びしやすくなる。
【0036】
中桟125の内部には、中桟125に沿って延びる第2補強材160を有する。
図10に示すように第2補強材160は、中桟125に沿って垂直断面L字状に形成され、1中桟25を補強して変形を規制する。第2補強材160は中桟125を補強して変形を規制するものであれば、
図10のような断面形状がL字状のものに限定されない。第2補強材160は例えば、水平断面が矩形であってもよい。第2補強材160を構成する材質は特に限定されない。第2補強材160は例えば、ステンレスで構成される。これにより、中桟の強度が向上して反りにくくなり、中桟が延びる方向以外へ変形を規制されるため、中桟が熱伸び代に向けて熱伸びしやすくなる。
【0037】
樹脂ブロック170は、
図11に示すように、嵌合部171と、筒状の突起を有し、縦枠113と嵌合して組付けられる嵌合部173と、を有して構成される。縦枠113は嵌合部173と嵌合して組み付けるための組み付け孔を有し、嵌合部173は組み付け孔に挿入されて嵌合する。嵌合部173は筒状突起の内部にねじ穴を有し、縦枠113と中桟125は嵌合部173のねじ穴を介してねじ止めによって
図12に示すように組付けられる。嵌合部171は、中桟125または第2補強材160に嵌合される。
【0038】
本開示の第2実施形態の建具200について説明した。建具200によれば、以下の効果が奏される。
【0039】
建具200は、上枠111と、下枠112と、溝部101A,101Bを互いに他方の縦枠114,113側にそれぞれ有する一対の縦枠113,114と、からなる枠体110と、両端が一対の縦枠113,114に組み付けられる中桟125と、枠体110および中桟125に保持される面材126と、を有する建具であって、一対の溝部101A,101Bはともに、中桟125の端部を間に挿入可能な一対の側面部102A,102Bと、前記一対の側面部と直交して連結される底面部103A,103Bと、を有し、中桟125の両端は、一対の溝部101A,101Bにそれぞれ挿入されて配置され、中桟125の少なくとも一端と、一方の底面部101Aは、間に中桟125の熱伸び代を有して対向し、前記熱伸び代には、筒状突起を有する樹脂ブロック70が配置される。これにより、火災発生時に高温となった樹脂ブロックが溶融し、中桟の熱伸び代を確保することで、熱伸びした中桟が縦枠に突き当たって加える力を低減することができ、縦枠の変形を抑制することができる。
【0040】
以上、本開示の第1,第2実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。上記実施形態を適宜変更・改良したものも、本開示に含まれる。
【0041】
本開示の変形例は例えば、第2実施形態において第1実施形態と同様にブラケットや第1補強材を有していてもよいし、第2補強材や樹脂ブロックの形状はL字でなくコ字状等に形成されてもよい。他にも、中桟の一端のみでなく、両端に樹脂ブロックを配置して構成してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1A、1B…溝部、2A、2B…側面部、3A、3B…底面部、4A、4B…溝部、5A、5B…側面部、6A、6B…底面部、10…枠体、11…上枠、12…下枠、13…縦枠、14…縦枠、20…内障子、21…上框、22…下框、23…縦框、24…召合せ框、25…中桟、26…面材、30…内障子、31…上框、32…下框、33…縦框、34…召合せ框、35…中桟、36…面材、40…クレセント錠、50…中桟屋外側、51…中桟屋内側、60…第2補強材、70…樹脂ブロック、71…組付部、73…嵌合部、74…組み付けねじ、75…ねじ頭、76…平坦部、77…ねじ山部、78…組み付けねじ、80…ブラケット、81…孔部、82…ガイド部、90…第1補強材、91…第3補強材、101A,101B…溝部、102A…側面部、103A…底面部、110…枠体、111…上枠、112…下枠、113…縦枠、114…縦枠、125…中桟、126…面材、150…中桟屋外側、151…中桟屋内側、160…第2補強材、161…上端部、162…水平部、170…樹脂ブロック、171…嵌合部、173…嵌合部