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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】車両用懸架装置
(51)【国際特許分類】
   B60G 3/00 20060101AFI20250106BHJP
【FI】
B60G3/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020072769
(22)【出願日】2020-04-15
(65)【公開番号】P2021088337
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0159912
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 大 元
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-100668(JP,A)
【文献】国際公開第2019/111534(WO,A1)
【文献】特開2007-030567(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0190682(US,A1)
【文献】国際公開第2018/134689(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0170140(US,A1)
【文献】特開2007-055409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00
B60G 3/00 - 3/28
B60G 7/00 - 7/04
B60G 17/015
B62D 7/00 - 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ付きホイールが装着されホイールボディ部と、
前記ホイールボディ部車体ボディの左右方向に回転させるような駆動力を前記ホイールボディ部に伝達して、前記ホイールボディ部と一緒に前記タイヤ付きホイールを回転せるステアリング駆動部と、
前記車体ボディの上側と下側に配置され、前記ホイールボディ部を支持する一対のブラケット部と、
前記車体ボディに配置され、前記車体ボディに前後方向の移動が可能となるように設置され、前記車体ボディと前記一対のブラケット部を連結し、前記ホイールボディ部の位置を上下方向へ変更できるように構成されホイール移動部と、を含み、
前記ステアリング駆動部は、前記一対のブラケット部のうちの一方に設置され、
前記ホイールボディ部は、前記一対のブラケット部に支持されるハウジング部と、前記ハウジング部に回転可能に設置され前記タイヤ付きホイールが装着されるホイール装着部とから構成されることを特徴とする車両用懸架装置。
【請求項2】
前記ホイールボディ部と前記ホイール移動部とに連結され、前記ホイールボディ部の上下挙動による衝撃を吸収する衝撃吸収部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。
【請求項3】
前記ホイールボディ部には、上下両側それぞれに支持部が延設され、
前記衝撃吸収部は、前記ホイールボディ部の上下両側の支持部それぞれに回転可能に装着される前記ブラケット部と、上下両側それぞれの前記ブラケット部及び前記ホイールボディ部の間に設けられ、前記ホイールボディ部を介して伝達される衝撃を吸収する弾性部と、から構成されることを特徴とする請求項2に記載の車両用懸架装置。
【請求項4】
前記ステアリング駆動部は、前記衝撃吸収部の前記ブラケット部に設置され、前記支持部に連結されて駆動力の伝達時に前記支持部を回転させることにより前記ホイールボディ部が回転するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の車両用懸架装置。
【請求項5】
前記ステアリング駆動部は、回転力を伝達するモータから構成され、上側の前記ブラケット部に設置され、前記ホイールボディ部の上側の前記支持部とギア噛合によって連結されることを特徴とする請求項4に記載の車両用懸架装置。
【請求項6】
前記車体ボディには、上下両側に離隔して配置され且つ前後方向に延伸された複数のガイド部が備えられ、
前記ホイール移動部は、一端が前記ガイド部に回転可能に連結され、他端が前記衝撃吸収部の前記ブラケット部に回転可能に連結され、長さが変更できるように構成されたリンク連結部が、前記ホイールボディ部の上下両側に複数設けられることを特徴とする請求項3に記載の車両用懸架装置。
【請求項7】
前記ガイド部は、前記車体ボディの上側及び下側それぞれで、前方及び後方それぞれに配置されるように多数構成され、
前記リンク連結部は、前記車体ボディの上側で、前方及び後方それぞれに配置された上側の前記各ガイド部と上側の前記ブラケット部それぞれに連結され、前記車体ボディの下側で、前方及び後方それぞれに配置された下側の前記各ガイド部と下側の前記ブラケット部それぞれに連結されるように複数構成されたことを特徴とする請求項6に記載の車両用懸架装置。
【請求項8】
前記リンク連結部は、前記ブラケット部に回転可能に連結されるシリンダ部と、前記シリンダ部に対して引き出し/引き込み可能に設けられ、前記ガイド部に回転可能に連結されるピストン部と、から構成されることを特徴とする請求項6に記載の車両用懸架装置。
【請求項9】
前記ガイド部は、前記車体ボディにおける前後方向に延伸されたレール部と、前記レール部に連結され、前記レール部の回転時に前記レール部に沿って移動し、前記リンク連結部が回転可能に連結されるリンク移動部と、前記車体ボディに設置され、前記レール部に連結されて前記レール部を回転させるリンク駆動部と、から構成されることを特徴とする請求項6に記載の車両用懸架装置。
【請求項10】
前記ガイド部は、前記車体ボディの上側及び下側それぞれで、前方及び後方それぞれに配置されるように構成されることにより、前記レール部が前方及び後方それぞれに配置され、前方の前記レール部及び後方の前記レール部は、前記車体ボディに設置された軸受部を介してそれぞれ回転可能に連結されることを特徴とする請求項9に記載の車両用懸架装置。
【請求項11】
前記ホイールボディ部、前記ステアリング駆動部、及び前記ホイール移動部が前記車体ボディの前輪及び後輪それぞれに構成され、前記ステアリング駆動部及び前記ホイール移動部それぞれが個別に制御されることを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用懸架装置に係り、より詳しくは、タイヤ付きホイールの位置を変動させて様々な車両姿勢を実現することができる車両用懸架装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、車両の乗り心地及び車両内の騒音環境を改善するために、様々な懸架装置(サスペンション、Suspension)が開発されている。
懸架装置は、車軸をフレーム又はシャーシに連結し、走行中に路面から伝わる振動や衝撃を吸収して、自動車の乗り心地と安全性を向上させる役割を果たす自動車の主要構成部分の一つであって、ロアアーム、アッパーアーム、ナックル、ステップリンク、スプリング、ショックアブソーバー、ボールジョイントなどの部品から構成される。
【0003】
このような懸架装置は、スプリングやショックアブソーバーなどによって支持され、車体とホイールとの相対運動を機械的に適切に調和させる。また、懸架装置は、タイヤが地面に確実に接地するようにして、車両の高速走行時に車体が地面に密着するようにする。
【0004】
最近、車両の重量が減少すると共に、各ホイールの独立した制御ができるように構成された未来型自動車が開発されている。このような未来型自動車に従来型の懸架装置を適用した場合は、重量や製造コストなどが非効率的であり、また、各ホイールの独立した制御を行うのに無理がある。したがって、小型化する未来型自動車に適した懸架装置の開発が求められる。
【0005】
前述の背景技術として説明した事項は、本発明の背景に対する理解増進のためのものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来技術に該当することを認めるものと受け入れられてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0069555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであって、その目的は、各タイヤ付きホイールが独立して駆動され、各タイヤ付きホイールの位置を独立的に変動させることにより、車両の姿勢の制御が可能であって、車両の走行性能が向上する車両用懸架装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明に係る車両用懸架装置は、タイヤ付きホイールが装着されたホイールボディ部と、ホイールボディ部に車体ボディを左右方向に回転させるような駆動力を伝達して、タイヤ付きホイールがホイールボディ部と一緒に回転するようにさせるステアリング駆動部と、車体ボディに前後方向の移動が可能に設置され、上下方向に位置が移動できるように構成され、ホイールボディ部を支持するように連結されることにより、前後方向の移動及び上下方向の移動に伴ってホイールボディ部の位置を移動させるようにするホイール移動部と、を含む。
【0009】
ホイールボディ部は、ステアリング駆動部及びホイール移動部が設置されるハウジング部と、ハウジング部に回転可能に設置されタイヤ付きホイールが装着されるホイール装着部と、から構成されることを特徴とする。
ホイールボディ部とホイール移動部とに連結され、ホイールボディ部の上下挙動による衝撃を吸収する衝撃吸収部をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
ホイールボディ部には、上下両側それぞれに支持部が延設され、衝撃吸収部は、ホイールボディ部の上下両側の支持部それぞれに回転可能に装着されるブラケット部と、上下両側それぞれのブラケット部及びホイールボディ部の間に設けられ、ホイールボディ部を介して伝達される衝撃を吸収する弾性部から構成されることを特徴とする。
【0011】
ステアリング駆動部は、衝撃吸収部のブラケット部に設置され、支持部に連結されて駆動力の伝達時に支持部を回転させることによりホイールボディ部が回転するように構成されたことを特徴とする。
ステアリング駆動部は、回転力を伝達するモータから構成され、上側のブラケット部に設置され、ホイールボディ部の上側の支持部とギア噛合によって連結されることを特徴とする。
【0012】
車体ボディには、上下両側に離隔して配置され且つ前後方向に延伸された複数のガイド部が備えられ、ホイール移動部は、一端がガイド部に回転可能に連結され、他端が衝撃吸収部のブラケット部に回転可能に連結され、長さが変更できるように構成されたリンク連結部がホイールボディ部の上下両側に複数設けられることを特徴とする。
【0013】
ガイド部は、車体ボディの上側及び下側それぞれで、前方及び後方それぞれに配置されるように複数構成され、リンク連結部は、車体ボディの上側で、前方と後方それぞれに配置された上側の各ガイド部と、上側のブラケット部と、のそれぞれに連結され、車体ボディの下側で前方と後方それぞれに配置された下側の各ガイド部と下側のブラケット部と、のそれぞれに連結されるように複数構成されることを特徴とする。
【0014】
リンク連結部は、ブラケット部に回転可能に連結されるシリンダ部と、シリンダ部に対して引き出し/引き込み可能に設けられ、ガイド部に回転可能に連結されるピストン部とから構成されたことを特徴とする。
【0015】
ガイド部は、車体ボディにおける前後方向に延伸されたレール部と、レール部に連結され、レール部の回転時にレール部に沿って移動し、リンク連結部が回転可能に連結されるリンク移動部と、車体ボディに設置され、レール部に連結されてレール部を回転させるリンク駆動部とから構成されることを特徴とする。
【0016】
ガイド部は、車体ボディの上側及び下側それぞれで、前方及び後方それぞれに配置されるように構成されることにより、レール部が前方及び後方それぞれに配置され、前方のレール部及び後方のレール部は、車体ボディに設置された軸受部を介してそれぞれ回転可能に連結されたことを特徴とする。
【0017】
ホイールボディ部、ステアリング駆動部、及びホイール移動部が車体ボディの前輪及び後輪それぞれに構成され、ステアリング駆動部及びホイール移動部それぞれが個別に制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記した構造を有する車両用懸架装置は、各タイヤ付きホイールが独立して駆動され、各タイヤ付きホイールの位置が個別に変動することにより、車両の様々な走行状況に最適化されたタイヤ付きホイールの位置制御が可能である。また、タイヤ付きホイールがリンク連結構造を介して車体に設置されることにより、堅牢性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用懸架装置を示す図である。
図2図1に示した車両用懸架装置を説明するための図である。
図3図1に示した車両用懸架装置を説明するための図である。
図4図1に示した車両用懸架装置を説明するための図である。
図5図1に示した車両用懸架装置を説明するための図である。
図6】本発明に係る車両用懸架装置の前輪と後輪の位置調整の実施例を示す図である。
図7】本発明に係る車両用懸架装置のホイールボディ部の位置調整の実施例を示す図である。
図8】本発明に係る車両用懸架装置のホイールボディ部の位置調整の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る車両用懸架装置について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用懸架装置を示す図であり、図2図5は、図1に示した車両用懸架装置を説明するための図であり、図6は、本発明に係る車両用懸架装置の前輪と後輪との位置調整の実施例を示す図であり、図7及び図8は、本発明に係る車両用懸架装置のホイールボディ部の位置調整の実施例を示す図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、本発明に係る車両用懸架装置は、タイヤ付きホイールHが装着されたホイールボディ部10と、ホイールボディ部10とタイヤ付きホイールHとが車体ボディ60の左右方向に一緒に回転するように、駆動力を伝達してホイールボディ部10とタイヤ付きホイールHとが回転するようにするステアリング駆動部20と、車体ボディ60に前後方向移動可能に設置され、上下方向の位置が変化するように構成され、且つホイールボディ部10を支持するように連結されることにより、前後方向の移動及び上下方向の可変動作に伴ってホイールボディ部10の位置を変動させるようにするホイール移動部30と、を含む。このように、本発明は、車体ボディ60に設置されたホイールボディ部10、ステアリング駆動部20、及びホイール移動部30から構成される。
【0022】
ホイールボディ部10には、タイヤ付きホイールHが装着され、タイヤ付きホイールHの装着のためのボルト締結孔13が設けられる。ボルト締結孔13の形成位置は、タイヤ付きホイールHのサイズに応じて決定される。このように、ホイールボディ部10にはタイヤ付きホイールHが回転可能に装着され、ホイールボディ部10は、ホイール移動部30を介して車体ボディ60に連結される。
【0023】
ここで、ホイール移動部30は、車体ボディ60に前後方向移動可能に設置され、且つ上下方向に変更できるように構成される。これにより、ホイール移動部30が車体ボディ60を前後方向に移動したときに、ホイールボディ部10の位置が前後方向に移動されることにより、ホイールベースの調節が可能であり、ホイール移動部30が上下方向に位置を変化させたときに、車体ボディ60が上方又は下方に移動されて車両姿勢が調節され得る。このように、ホイール移動部30を介して、ホイールボディ部10の位置が前後方向及び上下方向に調節されることにより、車両の様々な走行状況に合わせた、最適化された車両姿勢の制御が行われて走行性能が向上する。
【0024】
一方、ホイールボディ部10にステアリング駆動部20を設置することにより、ホイールボディ部10が車体ボディ60を左右方向に転向させるようにする。すなわち、ステアリング駆動部20は、動作の際にホイールボディ部10に駆動力を伝達してホイールボディ部10を車体ボディ60の左右方向に転向させるようにすることにより、ホイールボディ部10と一緒にタイヤ付きホイールHを回転させて車両が方向転換するようにする。
【0025】
このように、本発明は、車体ボディ60の各駆動輪それぞれに対して独立してタイヤ付きホイールHの制御及び位置の変動が可能であるようにすることにより、車両の様々な走行状況に対する最適化された走行性能が確保される。
【0026】
上記した本発明について具体的に説明すると、図2及び図3に示すように、ホイールボディ部10は、ステアリング駆動部20及びホイール移動部30が設置されるハウジング部10-1と、ハウジング部10-1に回転可能に設置され、タイヤ付きホイールHが装着されるホイール装着部10-2と、から構成できる。
【0027】
このように、ホイールボディ部10は、ハウジング部10-1とホイール装着部10-2から構成される。つまり、ホイール装着部10-2には、ボルト締めを介してタイヤ付きホイールHが装着でき、ホイール装着部10-2がハウジング部10-1に回転可能に設置されることにより、タイヤ付きホイールHの回転による車両走行が可能である。
【0028】
ハウジング部10-1にはステアリング駆動部20とホイール移動部30とが設置され、ハウジング部10-1は、ステアリング駆動部20によって左右方向に転向して車両の走行方向の転換が可能であり、ホイール移動部30によって車両の姿勢が調節される。ここで、ハウジング部10-1には、タイヤ付きホイールHの制動のための制動部又はタイヤ付きホイールHの回転のための駆動装置がさらに設置できるが、本発明は車両の懸架装置に関するものなので、ここでは省略した。
【0029】
このように、ホイールボディ部10は、タイヤ付きホイールHが装着されたホイール装着部10-2が、ハウジング部10-1に装着されて駆動輪として回転され、ハウジング部10-1の位置が調節されることにより、車両の様々な姿勢の制御が可能である。
【0030】
一方、ホイールボディ部10とホイール移動部30とに連結されて、ホイールボディ部10の上下動による衝撃を吸収する衝撃吸収部40をさらに含むことにより、車両の走行時に発生する衝撃が車体ボディ60へ伝達されるのを低減させる。このような衝撃吸収部40が、ホイールボディ部10及びホイール移動部30に連結されて設けられることにより、ホイールボディ部10は、衝撃吸収部40を介してホイール移動部30に連結される。
【0031】
詳細には、図2及び図3に示すように、ホイールボディ部10には、上下両側それぞれに支持部11が延設され、衝撃吸収部40は、ホイールボディ部10の上下両側の支持部11それぞれに回転可能に装着されたブラケット部41と、ホイールボディ部10の上下両側との間のそれぞれに設けられてホイールボディ部10を介して伝達される衝撃を吸収する弾性部42と、から構成できる。
【0032】
つまり、ホイールボディ部10は、上下両側の垂直線上に形成された支持部11が、上側及び下側それぞれに更に延伸されることにより、支持部11を介して衝撃吸収部40に連結される。ホイールボディ部10は、支持部11を中心に回転してタイヤ付きホイールHを車両の転向方向に転回させるようにすることができる。このように、支持部11は上側の支持部11aと下側の支持部11bとから構成できる。
【0033】
衝撃吸収部40は、ホイールボディ部10の上下両側の支持部11それぞれが、回転可能に装着されるブラケット部41を備え、ブラケット部41は、ホイール移動部30を介して車体ボディ60に連結される。このようなブラケット部41とホイールボディ部10との間には、支持部11が貫通するように設けられる弾性部42が備えられることにより、ホイールボディ部10を介して伝達される衝撃が弾性部42によって吸収される。ここで、弾性部42はスプリングで構成できる。
【0034】
一方、ホイールボディ部10の上端と下端とには、それぞれ弾性部42が装着される着座部12を形成できる。これにより、ホイールボディ部10は、上側の支持部11aが上側のブラケット部41aに回転可能に連結され、下側の支持部11bが下側のブラケット部41bに回転可能に連結されることにより、ホイールボディ部10は、左右方向に回転してタイヤ付きホイールHの角度を変更させることができる。
【0035】
また、ホイールボディ部10の上側の着座部12aと上側のブラケット部41aとの間、及び下側の着座部12bと下側のブラケット部41bとの間それぞれには弾性部42が設けられることにより、路面から発生する衝撃が弾性部42を介して吸収され、車体ボディ60に伝達される衝撃が減少される。
【0036】
上述した衝撃吸収部40を介してホイールボディ部10、ステアリング駆動部20及びホイール移動部30は、連動関係を保持して連結され、これについては詳細に後述する。
車両の方向転換のためのステアリング駆動部20は、衝撃吸収部40のブラケット部41に設置され、支持部11に連結されて駆動力の伝達時に支持部11を回転させることによりホイールボディ部10が回転するように構成される。
【0037】
ステアリング駆動部20は、ブラケット部41に設置された状態で支持部11に連結され、ステアリング駆動部20が動作することによる駆動力の伝達時にホイールボディ部10が回転して車両が方向転換して走行するようにする。
【0038】
ここで、ステアリング駆動部20は、回転力を発生させるモータで構成され、ホイールボディ部10の支持部11とギア噛合によって連結される。これにより、モータの回転力の伝達時に、ギア噛合を介して連結された支持部11が回転する。このようなステアリング駆動部20と支持部11とには、ラックアンドピニオン構造又は減速機によるギア噛み合い構造など、様々な回転力伝達構造が適用できる。
【0039】
特に、ステアリング駆動部20は、上側のブラケット部41aに設置され、ホイールボディ部10の上側の支持部11aとギア噛合を介して連結できる。ステアリング駆動部20が下側のブラケット部41bに設置された場合には、路面の近くに位置することにより、外部要因によって容易に汚染及び破損されるおそれがあり、ステアリング駆動部20と支持部11とがギア噛合した部分に異物が混入して正確な動作が行われないおそれがある。したがって、ステアリング駆動部20は、上側のブラケット部41aに設置されて上側の支持部11aに連結されることにより、外部要因による損傷を最小限に抑えるようにされる。
【0040】
一方、タイヤ付きホイールHの位置変動構造について説明すると、図1に示すように、車体ボディ60には、上下に離隔し且つ前後方向に延伸されて配置された複数のガイド部50が備えられる。ホイール移動部30は、一端がガイド部50に回転可能に連結され、他端が衝撃吸収部40のブラケット部41に回転可能に連結される。長さが変更できるように構成されたリンク連結部31が、ホイールボディ部10の上下両側に多数設けられ得る。
【0041】
このように、ホイール移動部30に、一端がガイド部50に回転可能に連結され、他端が衝撃吸収部40のブラケット部41に回転可能に連結されたリンク連結部31が形成されることにより、ホイールボディ部10は、ホイール移動部30のリンク連結部31を介して車体ボディ60に設置され得る。
【0042】
つまり、複数のリンク連結部31が、上側のガイド部50a及び上側のブラケット部41aに連結されるように上側に設けられたリンク連結部31と、下側のガイド部50及び下側のブラケット部41とに連結されるように下側に設けられたリンク連結部31と、から形成され、各リンク連結部31は、長さが変更できるように構成される。このように、ホイールボディ部10は、上下両側のリンク連結部31を介して車体ボディ60に設置され、ホイールボディ部10の位置が変更される時に各リンク連結部31の長さを変更してあそびを吸収することにより、ホイールボディ部10の位置変動によるあそびが吸収されて円滑な動作関係を保つことができる。
【0043】
ここで、リンク連結部31は、ブラケット部41に回転可能に連結されるシリンダ部31-1と、シリンダ部31-1に対して引き出し/引き込み可能に設けられ、ガイド部50に回転可能に連結されるピストン部31-2と、から構成できる。
【0044】
つまり、リンク連結部31は、シリンダ部31-1に対してピストン部31-2が引き出された場合には長さが長くなり、シリンダ部31-1に対してピストン部31-2が引き込まれた場合には長さが短くなるように構成される。また、シリンダ部31-1とピストン部31-2とがそれぞれブラケット部41とガイド部50とに回転可能に連結されることにより、ホイールボディ部10の位置変動によるあそびが吸収される。このようなリンク連結部31は、シリンダ部31-1の内部に流体が内蔵される油圧式、又はシリンダ部31-1にスプリングが内蔵される機械式で構成され、衝撃吸収及び車体ボディ60の支持機能が付加されるようにすることができる。
【0045】
一方、図1及び図4に示すように、ガイド部50は、車体ボディ60の上側と下側でそれぞれ前方と後方にそれぞれ配置されるように複数構成され、リンク連結部31は、車体ボディ60の上側で前方と後方にそれぞれ配置された上側の各ガイド部50と上側のブラケット部41にそれぞれ連結され、車体ボディ60の下側で前方と後方にそれぞれ配置された下側の各ガイド部50と下側のブラケット部41にそれぞれ連結されるように多数構成され得る。
【0046】
このように、ガイド部50は、上側前方のガイド部50a、上側後方のガイド部50b、下側前方のガイド部50c及び下側後方のガイド部50dの複数が構成され、リンク連結部31は、上側前方のガイド部50aと上側のブラケット部41aに連結される上側前方リンク連結部31a、上側後方のガイド部50bと上側のブラケット部41aに連結される上側後方リンク連結部31b、下側前方のガイド部50cと下側のブラケット部41bに連結される下側前方リンク連結部31c、及び下側前後のガイド部50dと下側のブラケット部41bに連結される下側後方リンク連結部31dで構成できる。
【0047】
このようにホイールボディ部10を中心に上下両側に複数のリンク連結部31が設けられ、ホイールボディ部10は、上下両側のリンク連結部31を介して車体ボディ60の上下両側に備えられたガイド部50に連結されることにより、ホイールボディ部10が車体ボディ60に丈夫に設置され得る。また、各ガイド部50に連結された各リンク連結部31の位置が移動されることによってホイールボディ部10の位置が前後方及び上下方に移動されることにより、さまざまな走行状況で最適化された車両の姿勢制御を取ることが可能である。
【0048】
一方、図4及び図5に示すように、ガイド部50は、車体ボディ60における前後方向に延伸されたレール部51と、レール部51に連結されてレール部51に沿って移動し、リンク連結部31が回転可能に連結されるリンク移動部52と、車体ボディ60に設置され、レール部51に連結されてレール部51を回転させるリンク駆動部53と、から構成できる。
【0049】
このように、ガイド部50は、レール部51、リンク移動部52、及びリンク駆動部53から構成され、レール部51は、車体ボディ60の前後方向に延びたスクリューで構成され、リンク移動部52は、レール部51に螺合されてレール部51の回転時にレール部51に沿って移動することができる。
【0050】
ここで、レール部51は、車体ボディ60に設置されたリンク駆動部53によって回転される。また、リンク移動部52は、レール部51が貫通する貫通孔52a、及びリンク連結部31の連結のためのボールベアリング連結部52bが設けられ得る。一方、リンク連結部31にボール部32が設けられてボールベアリング連結部52bに挿入されることにより、リンク連結部31は、リンク移動部52に回転可能に連結され得る。
【0051】
このようなレール部51、リンク移動部52及びリンク駆動部53は、車体ボディ60の上側前方、上側後方、下側前方、及び下側後方のそれぞれに備えられることにより、上側で前後方それぞれに設けられるリンク移動部52及び下側で前後方それぞれに設けられるリンク移動部52の位置に応じて、ホイールボディ部10に連結された上下両側のリンク連結部31は角度及び長さを変化させて、ホイールボディ部10の位置を移動させることができる。
【0052】
ここで、ガイド部50は、車体ボディ60の上側及び下側それぞれの前方及び後方それぞれに配置されるように構成されることにより、レール部51が前方及び後方それぞれに配置され、前方のレール部51a及び後方のレール部51bは、車体ボディ60に設置された軸受部61を介してそれぞれが回転可能に連結される。
【0053】
図4に示すように、レール部51は、前方及び後方それぞれに配置されることにより、リンク移動部52を介して前方のレール部51aに連結されるリンク連結部31と、リンク移動部52を介して後方のレール部51bに連結されるリンク連結部31と、の前後両方の位置をそれぞれ変動させることができる。
【0054】
つまり、前方のレール部51aに設けられたリンク移動部52と後方のレール部51bに設けられたリンク移動部52とが、リンク駆動部53によって互いに遠ざかる方向に移動された場合には、各リンク移動部52に連結されたリンク連結部31間の角度が増大し、各リンク移動部52が互いに近づく方向に移動された場合には、各リンク移動部52に連結されたリンク連結部31間の角度が減少する。このように、上下両側のリンク連結部31は、上下両側の前後方それぞれに配置されたリンク移動部52の移動位置に応じて角度が変化することにより、ホイールボディ部10の位置を変動させて車両の姿勢を変化させる。
【0055】
一方、前方のレール部51a及び後方のレール部51bは、車体ボディ60に設置された軸受部61に連結されて支持されることにより堅牢性が確保され、それぞれが軸受部61を介して回転可能に連結されて全体のパッケージが縮小される。
【0056】
一方、ホイールボディ部10、ステアリング駆動部20及びホイール移動部30は、車体ボディ60の前輪及び後輪それぞれに形成され、ステアリング駆動部20及びホイール移動部30それぞれが個別に制御され得る。これにより、図6に示すように、車体ボディ60の前輪及び後輪に設けられるタイヤ付きホイールHの位置は、それぞれが異なるように調節されることにより、様々な走行状況に合わせて様々な走行性を提供することができる。
【0057】
上述した本発明に係る車両用懸架装置は、次のとおりに、ホイールボディ部10を含むタイヤ付きホイールHの位置を変動させることができる。
すなわち、図4に示すように、初期状態では、車体ボディ60の各リンク駆動部53が作動されていないことにより、上側前方リンク連結部31a、上側後方リンク連結部31b、下側前方リンク連結部31c及び下側後方リンク連結部31dの初期位置が維持されてホイールボディ部10は、初期位置を保つ。
【0058】
一方、図7及び図8に示すように、車両の姿勢を上方制御するか或いは下方制御する場合には、上側前方のガイド部50aに連結された上側前方リンク連結部31a、上側後方のガイド部50bに連結された上側後方リンク連結部31b、下側前方のガイド部50cに連結された下側前方リンク連結部31c、及び下側後方のガイド部50dに連結された下側後方リンク連結部31dそれぞれを調整することにより、各リンク移動部52の位置に連動して各リンク連結部31の角度及び長さを変化させることにより、ホイールボディ部10の位置が変動される。
【0059】
これにより、図7に示すようにホイールボディ部10が下側後方に移動するようにするか、或いは図8に示すようにホイールボディ部10が上側前方に移動するようにすることができ、ホイールボディ部10の位置は、各ガイド部50のリンク移動部52の位置の調整を介してリンク連結部31の角度及び長さを変化させることによって変動させることにより、車両の走行状況に適したホイールボディ部10の位置を最適化することができる。
【0060】
上述した構造を持つ車両用懸架装置は、タイヤ付きホイールHが独立して駆動され、各タイヤ付きホイールHの位置が個別に変動することにより、車両の様々な走行状況に最適化されたタイヤ付きホイールHの位置制御が可能である。また、タイヤ付きホイールHがリンク連結構造を介して車体に設置されることにより、堅牢性が確保される。
【0061】
以上、本発明の特定の実施形態について図示及び説明したが、本発明は、以下の特許請求の範囲によって提供される本発明の技術的思想を逸脱することなく、多様な改良及び変化を加え得ることは、当該技術分野における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【符号の説明】
【0062】
10 ホイールボディ部
10-1 ハウジング部
10-2 ホイール装着部
11 支持部
12 着座部
20 ステアリング駆動部
30 ホイール移動部
31 リンク連結部
31-1 シリンダ部
31-2 ピストン部
40 衝撃吸収部
41 ブラケット部
42 弾性部
50 ガイド部
51 レール部
52 リンク移動部
53 リンク駆動部
60 車体ボディ
61 軸受部
H ホイール及びタイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8