(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】コンデンサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10D 1/68 20250101AFI20250106BHJP
H01G 4/33 20060101ALI20250106BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20250106BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20250106BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
H01L27/04 C
H01G4/33 102
H01L21/88 J
H01L21/90 B
(21)【出願番号】P 2020192608
(22)【出願日】2020-11-19
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】丸井 俊治
(72)【発明者】
【氏名】林 哲也
(72)【発明者】
【氏名】沼倉 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】倪 威
(72)【発明者】
【氏名】早見 泰明
(72)【発明者】
【氏名】田中 亮太
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0074349(US,A1)
【文献】特開2005-260163(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0199933(US,A1)
【文献】特開2002-184953(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0076894(US,A1)
【文献】特開2019-021898(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0019787(US,A1)
【文献】国際公開第2020/025995(WO,A1)
【文献】特開2005-175193(JP,A)
【文献】特開2001-257272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/33
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 21/822
H01L 23/522
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1主面及び第2主面と、第1主面に形成された溝と、を有する基板と、
少なくとも前記溝及び前記第1主面に交互に積層された少なくとも
2層の誘電層及び少なくとも
2層の導電層と、
前記第1主面上に形成された第1コンタクトホールに埋め込まれた第1電極であっ
て、少なくとも1層の導
電層に電気的に接続された前記第1電極と、
前記第1主面上に形成された第2コンタクトホールに埋め込まれた第2電極であって、前記第1電極に電気的に接続されていない前記導電層及び前記基板に電気的に接続された前記第2電極と、を備え、
前記第1電極に電気的に接続された前記導電層は、前記第1主面のうち、少なくとも前記第2コンタクトホールが形成された領域を除いた領域に配置され、
前記第2電極に電気的に接続された前記導電層は、前記第1主面のうち、少なくとも前記第1コンタクトホールが形成された領域を除いた領域に配置されている、
コンデンサ。
【請求項2】
前記第1電極が前記第1コンタクトホールを介して、前記少なくとも1層の導電層に電気的に接続している請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第2電極が前記第2コンタクトホールを介して、前記第1電極に電気的に接続されていない前記導電層及び前記基板に電気的に接続している請求項1又は2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記第1電極が前記第1コンタクトホールの側面において、前記少なくとも1層の前記導電層に電気的に接続されている請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記第2電極が前記第2コンタクトホールの側面において、前記第1電極に電気的に接続されていない前記導電層に電気的に接続されている請求項3に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記溝が前記基板の第2主面まで達している請求項1~5のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記第2主面にも、前記少なくとも
2層の誘電層及び前記少なくとも
2層の導電層が交互に積層されている請求項6に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記第1電極が、前記第2主面上に形成された前記第1コンタクトホールにも埋め込まれている請求項7に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記第2電極が、前記第2主面上に形成された前記第2コンタクトホールにも埋め込まれている請求項7又は8に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記基板が導電体である請求項1~9のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記基板が絶縁体である請求項1~10のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のコンデンサを製造する方法であって、
前記溝をドライエッチングで形成するコンデンサの製造方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載のコンデンサを製造する方法であって、
前記溝をウェットエッチングで形成するコンデンサの製造方法。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか一項に記載のコンデンサを製造する方法であって、
前記第2コンタクトホールが形成される領域の前記導電層を、ドライエッチングによって除去するコンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
導電性ポリシリコン層と誘電体層とが交互に堆積された層配列が基板中のポアの内部に埋設されたトレンチキャパシタが知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、ポアの内部に埋設された層配列が基板の最上面上に継続され、電極のための接触構造が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、各導電性ポリシリコン層と電極とを接続する部位(コンタクトホール)を導電性ポリシリコン層毎に基板の表面に設けている。このため、積層する導電性ポリシリコン層層の数が増えると、基板の表面に設けるコンタクトホールの数も増加してしまう。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑み成されたものであり、溝の内部に積層する導電層の数が増えてもコンタクトホールの数の増加を抑制することができるコンデンサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明の一態様に係るコンデンサにおいて、第1コンタクトホールに埋め込まれた第1電極に電気的に接続された導電層は、第1主面のうち、少なくとも第2コンタクトホールが形成された領域を除いた領域に配置されている。第2コンタクトホールに埋め込まれた第2電極に電気的に接続された導電層は、第1主面のうち、少なくとも第1コンタクトホールが形成された領域を除いた領域に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、溝の内部に積層する導電層の数が増えてもコンタクトホールの数の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式的な断面図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その1)。
【
図3】
図3は、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その2)。
【
図4】
図4は、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その3)。
【
図5】
図5は、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その4)。
【
図6】
図6は、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その5)。
【
図7】
図7は、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その6)。
【
図8】
図8は、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その7)。
【
図9】
図9は、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その8)。
【
図10】
図10は、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その9)。
【
図11】
図11は、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その10)。
【
図12】
図12は、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その11)。
【
図13】
図13は、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その12)。
【
図14】
図14は、
図1に示す半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である(その13)。
【
図15】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式的な断面図である。
【
図26】
図26は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる部分を含んでいる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0010】
(第1実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する。第1の実施形態に係る半導体装置は、基板1を備える。基板1は、互いに対向する第1主面1F及び第2主面1Rと、第1主面1Fに形成された溝2と、を有する。
図25Aの斜視図に示すように、基板1は、複数の櫛歯部41と櫛歯部41を支持する支持部42とからなる。
図1の断面図には、
図25Aに示す複数の櫛歯部41の断面構造を示している。溝2は、隣接する櫛歯部41の間に配置された空隙であり、溝2は基板1を貫通して第2主面1Rに到達している。基板1は、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、又は酸化ガリウム(Ga2O3)からなる単結晶基板である。基板1にはN型又はP型の不純物が高濃度にドープされ、後述する導電層と同様に基板1は導電体として用いられている。
【0011】
半導体装置は、少なくとも溝2及び第1主面に交互に積層された少なくとも1層の誘電層3及び少なくとも1層の導電層(4a~4c、7a、7b)を備える。第1実施形態では、5層の誘電層3及び5層の導電層(4a~4c、7a、7b)が、溝2の内部、第1主面1F及び第2主面1Rに交互に積層されている。導電層(4a~4c、7a、7b)は誘電層3によって互いに電気的に絶縁されている。5層の導電層(4a~4c、7a、7b)及び5層の誘電層3の各々は、第1主面1F、溝2の内部、及び第2主面1Rに連続して形成されている。溝2の内部に積層される誘電層及び導電層の数は、溝の幅及び誘電層及び導電層の厚さによって定まり、1~3層、又は5層以上であってもよい。
【0012】
以後、
図1に示す5層の導電層(4a~4c、7a、7b)を、基板1に近い側から順に、第1高電位導電層4a、第1低電位導電層7a、第2高電位導電層4b、第2低電位導電層7b、及び第3高電位導電層4cと個別に呼称する場合がある。
【0013】
半導体装置は、第1主面1F上に形成された第1コンタクトホール(15a、15b)に埋め込まれた高電位表面電極18(第1電極)と、第1主面1F上に形成された第2コンタクトホール(13a、13b)に埋め込まれた低電位表面電極19(第2電極)とを備える。高電位表面電極18は、少なくとも1層の導電層(4a~4c)及び基板1のうち少なくとも一方に電気的に接続されている。低電位表面電極19は、高電位表面電極18に電気的に接続されていない導電層(7a、7b)及び基板1に電気的に接続されている。実施形態では、高電位表面電極が第1電極に対応し、高電位表面電極が第2電極に対応する場合を示すが、逆であっても構わない。
【0014】
第1実施形態では、2つの第1コンタクトホール(15a、15b)が第1主面1F上に形成され、第1コンタクトホール(15a、15b)の側面及び底面に高電位表面電極18が形成されている。高電位表面電極18は、第1コンタクトホール(15a、15b)の底面において、第1高電位導電層4aに接触して電気的に接続され、第1コンタクトホール(15a、15b)の側面において、第2高電位導電層4b及び第3高電位導電層4cに接触して電気的に接続されている。
【0015】
同様に、2つの第2コンタクトホール(13a、13b)が第1主面1F上に形成され、第2コンタクトホール(13a、13b)の側面及び底面に低電位表面電極19が形成されている。低電位表面電極19は、第2コンタクトホール(13a、13b)の底面において、基板1に接触して電気的に接続され、第2コンタクトホール(13a、13b)の側面において、第1低電位導電層7a及び第2低電位導電層7bに接触して電気的に接続されている。
【0016】
低電位表面電極19(第2電極)に電気的に接続された導電層(第1低電位導電層7a及び第2低電位導電層7b)は、第1主面1Fのうち、少なくとも第1コンタクトホール(15a、15b)が形成された領域(9a、9b)を除いた領域に配置されている。すなわち、第1主面1F上の第1コンタクトホール(15a、15b)が形成された領域(9a、9b)に、第1低電位導電層7a及び第2低電位導電層7bは配置されていない。よって、第1コンタクトホール(15a、15b)の側面に、第1低電位導電層7a及び第2低電位導電層7bは表出せず、高電位表面電極18は、第1低電位導電層7a及び第2低電位導電層7bから電気的に絶縁されている。
【0017】
高電位表面電極18(第1電極)に電気的に接続された導電層(第1高電位導電層4a、第2高電位導電層4b及び第3高電位導電層4c)は、第1主面1Fのうち、少なくとも第2コンタクトホール(13a、13b)が形成された領域(6a~6c)を除いた領域に配置されている。すなわち、第1主面1F上の第2コンタクトホール(13a、13b)が形成された領域(6a~6c)に、第1高電位導電層4a、第2高電位導電層4b及び第3高電位導電層4cは配置されていない。よって、第2コンタクトホール(13a、13b)の側面に、第1高電位導電層4a、第2高電位導電層4b及び第3高電位導電層4cは表出せず、低電位表面電極19は、第1高電位導電層4a、第2高電位導電層4b及び第3高電位導電層4cから電気的に絶縁されている。
【0018】
誘電層3にシリコン酸化膜を用いることができる。これにより、高電圧での動作が可能となる。または、誘電層3に誘電率の高いシリコン窒化膜を用いてもよい。これにより、容量密度を向上させることができる。あるいは、各誘電層3としてシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜を用いてもよい。
【0019】
導電層(4a~4c、7a、7b)にポリシリコン膜が用いることができる。これにより、低圧CVD法を用いて、溝2の表面に沿って導電層(4a~4c、7a、7b)を均一に成長させることができる。または、導電層(4a~4c、7a、7b)に金属が用いてもよい。この場合、導電層(4a~4c、7a、7b)の等価直列抵抗(ESR)を低減することができる。
【0020】
図1に示す半導体装置のコンデンサとしての基本的な動作について説明する。高電位表面電極18に正の電圧を印加し、低電位表面電極19に負の電圧を印加する。これにより、高電位表面電極18に電気的に接続された導電層(4a~4c)に正電荷が充電され、低電位表面電極19に電気的に接続された基板1及び導電層(7a、7b)に負電荷が充電される。この時、誘電層3の内部で分極が起こり、静電容量が発生する。基板1及び2層の低電位導電層(7a、7b)に低電位電圧が印可され、3層の高電位導電層(4a~4c)に高電位電圧が印可されることにより、5層のコンデンサが並列に接続された構造になり、単位面積当たりの容量密度を大きく向上させることができる。
【0021】
高電位表面電極18及び低電位表面電極19を第1コンタクトホール(15a、15b)及び第2コンタクトホール(13a、13b)にそれぞれ埋め込むことで、高電位表面電極18及び低電位表面電極19を導電層(4a~4c、7a、7b)及び/又は基板1に纏めて電気的に接続させることができる。導電層(4a~4c、7a、7b)毎、又は導電層(4a~4c、7a、7b)及び基板1の各々に、コンタクトホール(15a、15b、13a、13b)を形成する必要がなくなるので、第1主面1F上に必要なコンタクトホールの数が減少する。よって、溝の内部に積層する導電層の数が増えても第1主面1F上に形成するコンタクトホールの数の増加を抑制することができる。そして、基板1の第1主面1F上に積層される導電層の面積を増やすことにより、コンデンサの容量密度を向上させることができる。
【0022】
高電位表面電極18に電気的に接続された高電位導電層(4a~4c)は、第1主面1Fのうち、少なくとも第2コンタクトホール(13a、13b)が形成された領域(6a~6c)を除いた領域に配置されているので、高電位表面電極18に電気的に接続された高電位導電層(4a~4c)を、第2コンタクトホール(13a、13b)に埋め込まれた低電位表面電極19から電気的に絶縁させることができる。一方、低電位表面電極19に電気的に接続された導電層(7a、7b)は、第1主面1Fのうち、少なくとも第1コンタクトホール(15a、15b)が形成された領域(9a、9b)を除いた領域に配置されているので、低電位表面電極19に電気的に接続された導電層(7a、7b)を、第1コンタクトホール(15a、15b)に埋め込まれた高電位表面電極18から電気的に絶縁させることができる。これによって、コンデンサを構成する高電位電極18及び高電位導電層(4a~4c)と、低電位電極19及び低電位導電層(7a、7b)との電気的絶縁を確保できる。
【0023】
高電位表面電極18が第1コンタクトホール(15a、15b)を介して、少なくとも1層の導電層(4a、4b、4c)に電気的に接続している。本実施形態では、高電位表面電極18は、第1コンタクトホール(15a、15b)を介して、3層の導電層(4a、4b、4c)に電気的に接続している。高電位表面電極18は各第1コンタクトホール(15a、15b)を介して、複数の導電層(4a、4b、4c)に電気的に接続することができるので、コンタクトホールの数を削減することができる。
【0024】
低電位表面電極19が第2コンタクトホール(13a、13b)を介して、高電位表面電極18に電気的に接続されていない導電層(7a、7b)及び基板1に電気的に接続している。低電位表面電極19が各第2コンタクトホール(13a、13b)を介して、複数の導電層(7a、7b)及び基板1に電気的に接続することができるので、コンタクトホールの数を削減することができる。
【0025】
高電位表面電極18が第1コンタクトホール(15a、15b)の側面において、少なくとも1層の導電層(4b、4c)に電気的に接続されている。本実施形態では、高電位表面電極18が各第1コンタクトホール(15a、15b)の側面において、2層の導電層(4b、4c)に電気的に接続されている。1つのコンタクトホール(15a、15b)内に複数の導電層(4b、4c)との電気的な接続を容易に形成することができる。
【0026】
低電位表面電極19が第2コンタクトホール(13a、13b)の側面において、高電位表面電極18に電気的に接続されていない導電層(7a、7b)に電気的に接続されている。1つのコンタクトホール(13a、13b)内に複数の導電層(7a、7b)との電気的な接続を容易に形成することができる。
【0027】
溝2が基板1の第2主面1Rまで達している。基板1のトレンチ(溝)を基板1の裏面(第2主面1R)に達するまで形成することで、基板1の表面(第1主面1F)及び裏面(第2主面1R)に、構造が対称な誘電層3及び導電層(4a~4c、7a、7b)をそれぞれ形成することができ、誘電層3の応力に起因した基板1のそりを緩和することができる。
【0028】
基板1の第2主面1Rにも、少なくとも1層の誘電層3及び少なくとも1層の導電層(4a~4c、7a、7b)が交互に積層されている。これにより、基板1の表面(第1主面1F)及び裏面(第2主面1R)に、構造が対称な誘電層3及び導電層(4a~4c、7a、7b)をそれぞれ形成することができ、誘電層3の応力に起因した基板1のそりを緩和することができる。
【0029】
基板1が導電体である。基板1を導電層として使用することができるので、コンデンサの容量密度が向上する。もちろん、これに限らず、基板(1a、1b)は半導体であっても絶縁体であっても構わない。絶縁体であることで素子分離が容易になる。
【0030】
以下に、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。なお、以下に述べる半導体装置の製造方法は一例であり、これ以外の種々の製造方法により実現可能である。
【0031】
先ず、N型又はP型の不純物が高濃度にドープされた半導体基板(基板1)を用意する。Si基板を用いる場合、リン(P)、ヒ素(As)などの5価の元素の不純物を添加してN型半導体基板を製造し、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)などの3価の元素の不純物を添加してP型半導体基板を製造することができる。
【0032】
次に、
図2A及び
図2Bに示すように、基板1の第1主面1Fから第2主面1Rまで基板1の一部をエッチングすることにより溝2を形成する。
図2Aの断面図は、
図2BのAA切断面を示す。
図2Aの基板1は、
図2Bにおける、基板1の櫛歯部41に相当する。具体的には、まず、基板1の第1主面1Fにマスク材を形成する。マスク材としてはシリコン酸化膜を用いることができ、堆積方法としては熱CVD法やプラズマCVD法を用いることができる。次に、マスク材上にレジストをパターニングする。パターニングの方法としては、一般的なフォトリソグラフィ法を用いることができる。パターニングされたレジストをマスクにして、マスク材をエッチングする。マスク材は、
図2A及び
図2Bに示すように、溝2が形成される部分に開口を有する。エッチング方法としては、フッ酸を用いたウェットエッチングや、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングを用いることができる。次に、レジストを酸素プラズマや硫酸等で除去する。このようにして形成したマスク材を用いてドライエッチングによって、マスク材の開口から表出する基板1をエッチングし、溝2を形成する。
【0033】
次に、
図2A及び
図2Bに示すように、溝2の内面及び第1主面1F及び第2主面1Rを含む基板1の表面に、基板1を覆うように誘電層3を堆積する。誘電層3としてはシリコン酸化膜を用いることができ、堆積方法としては熱酸化法、熱CVD法を用いることができる。また熱CVD法を用いる際は減圧条件にすることによって溝2が深い場合にもカバレッジ良くシリコン酸化膜を堆積できる。
【0034】
次に、
図3に示すように、溝2の内面及び第1主面1F及び第2主面1Rを含む基板1の表面に、誘電層3を覆うように導電層(第1高電位導電層4a)を堆積する。ここでは導電層の例としてポリシリコン膜を用いる。ポリシリコン膜の堆積後に、950℃でPOCL3中にてアニール処理を施すことで、N型のポリシリコン膜が形成され、導電層に導電性を持たせることができる。ここでは導電層の例としてポリシリコン膜を用いるが、他にチタン(Ti)、アルミニウム(Al)等の金属膜および金属のシリサイド膜を用いることもできる。ポリシリコン膜の堆積方法としては減圧CVD法を用いることができる。以上の工程により、基板1の表面に、誘電層3と第1高電位導電層4aが順番に積層される。
【0035】
次に、
図4に示すように、基板1の第1主面1Fにシリコン酸化膜からなるマスク材5を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてマスク材5にパターニングする。パターニングされたマスク材5は、第2コンタクトホール(13a、13b)が形成される予定の領域6aに開口を有する。マスク材5を用いてエッチングを行い、マスク材5の開口から表出する第1高電位導電層4aを選択的にエッチングする。エッチング法は、異方性エッチング法を用いればよい。領域6aの第1高電位導電層4aが除去されて誘電層3が表出する。エッチング方向に指向性を持たせることによって溝2の側面に堆積された誘電層3及び第1高電位導電層4aをエッチングすることなく領域6aを形成することができる。
【0036】
この時、
図25Bに示すように、マスク材5の開口(領域6a)は、櫛歯部41の先端側の一部分51にのみ形成されている。よって、残りの櫛歯部41の付け根部分及び支持部を含む本体部52はマスク材5で覆われ、第1高電位導電層4aは除去されずに残される。これにより、
図25Cに示すように、溝2の側面に残された第1高電位導電層4aは、本体部52を介して互いに電気的に接続されている。
【0037】
次に、
図5に示すように、溝2の内面及び第1主面1F及び第2主面1Rを含む基板1の表面に、第1高電位導電層4aを覆うように誘電層3を堆積する。この時、誘電層3は、第2コンタクトホール(13a、13b)が形成される予定の領域6aにも形成される。
【0038】
次に、
図6に示すように、溝2の内面及び第1主面1F及び第2主面1Rを含む基板1の表面に、誘電層3を覆うように第1低電位導電層7aを堆積する。第1低電位導電層7aの材料及び堆積方法は、第1高電位導電層4aと同じである。
【0039】
次に、
図7に示すように、基板1の第1主面1Fにシリコン酸化膜からなるマスク材8を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてマスク材8にパターニングする。パターニングされたマスク材8は、第1コンタクトホール(15a、15b)が形成される予定の領域9aに開口を有する。マスク材8を用いてエッチングを行い、マスク材8の開口から表出する第1低電位導電層7aを選択的にエッチングする。エッチング法は、異方性エッチング法を用いればよい。領域9aの第1低電位導電層7aが除去されて誘電層3が表出する。エッチング方向に指向性を持たせることによって溝2の側面に堆積された誘電層3及び第1低電位導電層7aをエッチングすることなく領域9aを形成することができる。
【0040】
この時、第1高電位導電層4aと同様にして、マスク材8の開口(領域9a)は、櫛歯部41の先端側の一部分51にのみ形成されている。よって、櫛歯部41の付け根部分及び支持部42を含む本体部52はマスク材8で覆われ、第1低電位導電層7aは除去されずに残される。これにより、溝2の側面に残された第1低電位導電層7aは、本体部52を介して互いに電気的に接続されている。
【0041】
次に、
図2A、
図2Bに示した誘電層3の堆積、
図3及び
図4に示した導電層(第1高電位導電層4a)の堆積及びエッチング、
図5に示した誘電層3の堆積、
図6及び
図7に示した導電層(第1低電位導電層7a)の堆積及びエッチングを、繰り返し実施する。これにより、
図8に示すように、基板1から近い順に、第1高電位導電層4a、第1低電位導電層7a、第2高電位導電層4b、第2低電位導電層7b、第1高電位導電層4cが、誘電層3介して、基板1の表面に積層され、溝2は埋め戻される。2つの高電位導電層(4a、5b)は、基板1の第1主面1Fのうち、第2コンタクトホール(13a、13b)が形成される予定の領域(6a、6b)の除く領域に形成されている。2つの低電位導電層(7a、7b)は、基板1の第1主面1Fのうち、第1コンタクトホール(15a、15b)が形成される予定の領域(9a、9b)の除く領域に形成されている。
【0042】
次に、
図9に示すように、基板1の第1主面1Fにシリコン酸化膜からなるマスク材10を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてマスク材10にパターニングする。パターニングされたマスク材5は、第2コンタクトホール(13a、13b)が形成される予定の領域6cに開口を有する。マスク材10を用いてエッチングを行い、マスク材10の開口から表出する第3高電位導電層4cを選択的にエッチングする。エッチング法は、異方性エッチング法を用いればよい。領域6cの第3高電位導電層4cが除去されて誘電層3が表出する。
【0043】
次に、
図10に示すように、基板1の第1主面1F及び第2主面1R上に、層間膜11を堆積する。層間膜11はシリコン酸化膜を用いることができる。
【0044】
次に、
図11に示すように、基板1の第1主面1Fにマスク材12を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてマスク材12にパターニングする。パターニングされたマスク材12は、第2コンタクトホール(13a、13b)を形成するための開口を有する。マスク材12を用いて、マスク材12の開口から表出する層間膜11、誘電層3、第2低電位導電層7b、誘電層3、第1低電位導電層7a、誘電層3を順番にエッチングする。これにより、基板1が表出する第2コンタクトホール(13a、13b)が形成される。
【0045】
次に、
図12に示すように、基板1の第1主面1Fにマスク材14を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてマスク材14にパターニングする。パターニングされたマスク材14は、第1コンタクトホール(15a、15b)を形成するための開口を有する。マスク材14を用いて、マスク材14の開口から表出する層間膜11、第3高電位導電層4c、誘電層3、第2高電位導電層4b、誘電層3を順番にエッチングする。これにより、第1高電位導電層4aが表出する第1コンタクトホール(15a、15b)が形成される。
【0046】
次に、
図13に示すように、基板1の第1主面1Fを覆うように、表面電極16を堆積する。この時、コンタクトホール(15a、15b、13a、13b)の底面及び側面にも、表面電極16が堆積される。表面電極16は、コンタクトホール(15a、15b、13a、13b)の底面及び側面に露出した、基板1及び導電層(4a~4c、7a、7b)に電気的に接続される。表面電極16の電極材料としては金属が一般的である。具体的には、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)を用いることができる。また、表面電極16はTi/Ni/銀(Ag)などの積層膜でもよい。金属膜の形成方法はスパッタ法、又は電子ビーム(EB)蒸着を用いることができる。なお、表面電極16は、分割される前の高電位表面電極18及び低電位表面電極19に相当する。
【0047】
次に、
図14に示すように、一般的なフォトリソグラフィ法によってマスク材17をパターニングし、パターニングされたマスク材17を用いてドライエッチングにより表面電極16の一部をエッチングする。これにより、表面電極16は、高電位表面電極18及び低電位表面電極19に分割される。
【0048】
マスク材17を除去することにより、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置が完成する。
【0049】
溝2をドライエッチングで形成することにより、高アスペクト比の溝2を形成することができる。
【0050】
溝2をウェットエッチングで形成してもよい。これにより、低コストで溝2を形成することができる。
【0051】
第2コンタクトホール(13a、13b)が形成される領域(6a~6c)の高電位導電層(4a~4c)を、ドライエッチングによって除去することにより、第2コンタクトホール(13a、13b)のサイズをより小さくすることができる。
【0052】
誘電層3を減圧CVD法で形成することができる。これにより、溝2の表面に沿って均一に誘電層3を成長させることができる。誘電層3を原子層堆積法(ALD)で形成してもよい。これにより、溝2の表面に沿って均一に誘電層3を成長させることができる。
【0053】
導電層(4a~4c、7a、7b)を原子層堆積法(ALD)で形成することができる。これにより、溝2の表面に沿って均一に導電層(4a~4c、7a、7b)を成長させることができる。導電層(4a~4c、7a、7b)を有機金属気相成長法(MOCVD法)で形成してもよい。これにより、溝2の表面に沿って均一に導電層(4a~4c、7a、7b)を成長させることができる。導電層(4a~4c、7a、7b)をメッキ成長で形成してもよい。これにより、等価直列抵抗(ESR)を低減させることができる。
【0054】
(第2実施形態)
図15を参照して、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成を説明する。第2の実施形態に係る半導体装置は、
図1に示した半導体装置と比較して、基板1の第2主面1R側にも、第1主面1F側の高電位表面電極18及び低電位表面電極19と同様な電極、すなわち高電位裏面電極22(第1電極)及び低電位裏面電極23(第2電極)を更に有する点が相違する。高電位裏面電極22に電気的に接続された導電層(第1高電位導電層4a、第2高電位導電層4b及び第3高電位導電層4c)は、第2主面1Rのうち、少なくとも第2コンタクトホール(20a、20b)が形成された領域(6d~6f)を除いた領域に配置されている。そして、低電位裏面電極23に電気的に接続された導電層(第1低電位導電層7a及び第2低電位導電層7b)は、第2主面1Rのうち、少なくとも第1コンタクトホール(21a、21b)が形成された領域(9c、9d)を除いた領域に配置されている。
【0055】
その他、基板1、第1高電位導電層4a、第1低電位導電層7a、第2高電位導電層4b、第2低電位導電層7b、及び第3高電位導電層4c、誘電層3、第1主面1F側のコンタクトホール(13a、13b、15a、15b)、高電位表面電極18及び低電位表面電極19は、
図1のそれらと同じであるため、再度の説明を割愛する。
【0056】
第2実施形態に係る半導体装置は、第2主面1R上に形成された第1コンタクトホール(21a、21b)に埋め込まれた高電位裏面電極22(第1電極)と、第2主面1R上に形成された第2コンタクトホール(20a、20b)に埋め込まれた低電位裏面電極23(第2電極)とを備える。高電位裏面電極22は、少なくとも1層の導電層(4a~4c)及び基板1のうち少なくとも一方に電気的に接続されている。低電位裏面電極23は、高電位裏面電極22に電気的に接続されていない導電層(7a、7b)及び基板1に電気的に接続されている。実施形態では、高電位裏面電極が第1電極に対応し、高電位裏面電極が第2電極に対応する場合を示すが、逆であっても構わない。
【0057】
第2実施形態では、2つの第1コンタクトホール(21a、21b)が第2主面1R上に形成され、第1コンタクトホール(21a、21b)の側面及び底面に高電位裏面電極22が形成されている。高電位裏面電極22は、第1コンタクトホール(21a、21b)の底面において、第1高電位導電層4aに接触して電気的に接続され、第1コンタクトホール(21a、21b)の側面において、第2高電位導電層4b及び第3高電位導電層4cに接触して電気的に接続されている。
【0058】
同様に、2つの第2コンタクトホール(20a、20b)が第2主面1R上に形成され、第2コンタクトホール(20a、20b)の側面及び底面に低電位裏面電極23が形成されている。低電位裏面電極23は、第2コンタクトホール(20a、20b)の底面において、基板1に接触して電気的に接続され、第2コンタクトホール(20a、20b)の側面において、第1低電位導電層7a及び第2低電位導電層7bに接触して電気的に接続されている。
【0059】
低電位裏面電極23(第2電極)に電気的に接続された導電層(第1低電位導電層7a及び第2低電位導電層7b)は、第2主面1Rのうち、少なくとも第1コンタクトホール(21a、21b)が形成された領域(9c、9d)を除いた領域に配置されている。すなわち、第2主面1R上の第1コンタクトホール(21a、21b)が形成された領域(9c、9d)に、第1低電位導電層7a及び第2低電位導電層7bは配置されていない。よって、第1コンタクトホール(21a、21b)の側面に、第1低電位導電層7a及び第2低電位導電層7bに表出せず、高電位裏面電極22は、第1低電位導電層7a及び第2低電位導電層7bから電気的に絶縁されている。
【0060】
高電位裏面電極22(第1電極)に電気的に接続された導電層(第1高電位導電層4a、第2高電位導電層4b及び第3高電位導電層4c)は、第2主面1Rのうち、少なくとも第2コンタクトホール(20a、20b)が形成された領域(6d~6f)を除いた領域に配置されている。すなわち、第2主面1R上の第2コンタクトホール(20a、20b)が形成された領域(6d~6f)に、第1高電位導電層4a、第2高電位導電層4b及び第3高電位導電層4cは配置されていない。よって、第2コンタクトホール(20a、20b)の側面に、第1高電位導電層4a、第2高電位導電層4b及び第3高電位導電層4cに表出せず、低電位裏面電極23は、第1高電位導電層4a、第2高電位導電層4b及び第3高電位導電層4cから電気的に絶縁されている。
【0061】
図15に示す半導体装置のコンデンサとしての基本的な動作について説明する。高電位表面電極18及び高電位裏面電極22に正の電圧を印加し、低電位表面電極19及び低電位裏面電極23に負の電圧を印加する。これにより、高電位表面電極18及び高電位裏面電極22に電気的に接続された導電層(4a~4c)に正電荷が充電され、低電位表面電極19及び低電位裏面電極23に電気的に接続された基板1及び導電層(7a、7b)に負電荷が充電される。この時、誘電層3の内部で分極が起こり、静電容量が発生する。この時、基板1及び2層の低電位導電層(7a、7b)に低電位電圧が印可され、3層の高電位導電層(4a~4c)に高電位電圧が印可されることにより、5層のコンデンサが並列に接続された構造になり、単位面積当たりの容量密度を大きく向上させることができる。
【0062】
図15に示すコンデンサによれば、第1実施形態と同様な作用効果が得られるとともに、以下の作用効果も得られる。
【0063】
高電位裏面電極22が、基板1の第2主面1R上に形成された第1コンタクトホール(21a、21b)にも埋め込まれている。基板1の両面(1F、1R)に高電位電極が設置されることにより、コンデンサ(半導体装置)をモジュール等へ容易に実装できるようになる。基板1の両面にコンタクトホール(15a、15b、13a、13b、21a、21b、20a、20b)を形成することで基板1の単位面積当たりコンタクトホールの数を増やすことができ、ESRを低減できる。
【0064】
低電位裏面電極23が、基板1の第2主面1R上に形成された第2コンタクトホール(20a、20b)にも埋め込まれている。基板1の両面(1F、1R)に低電位電極が設置されることにより、コンデンサ(半導体装置)をモジュール等へ容易に実装できるようになる。基板1の両面にコンタクトホール(15a、15b、13a、13b、21a、21b、20a、20b)を形成することで基板1の単位面積当たりコンタクトホールの数を増やすことができ、ESRを低減できる。
【0065】
以下に、図面を参照して、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。なお、以下に述べる半導体装置の製造方法は一例であり、これ以外の種々の製造方法により実現可能である。
【0066】
先ず、N型又はP型の不純物が高濃度にドープされた半導体基板(基板1)を用意し、
図16に示すように、基板1の第1主面1Fから第2主面1Rまで基板1の一部をエッチングすることにより溝2を形成する。次に、溝2の内面及び第1主面1F及び第2主面1Rを含む基板1の表面に、基板1を覆うように誘電層3を堆積する。
【0067】
次に、
図17に示すように、溝2の内面及び第1主面1F及び第2主面1Rを含む基板1の表面に、誘電層3を覆うように導電層(第1高電位導電層4a)を堆積する。
【0068】
次に、
図18に示すように、基板1の第1主面1F及び第2主面1Rにシリコン酸化膜からなるマスク材5を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてマスク材5にパターニングする。パターニングされたマスク材5は、第2コンタクトホール(13a、13b、20a、20b)が形成される予定の領域(6a、6d)に開口を有する。マスク材5を用いてエッチングを行い、マスク材5の開口から表出する第1高電位導電層4aを選択的にエッチングする。エッチング方向に指向性を持たせることによって溝2の側面に堆積された誘電層3及び第1高電位導電層4aをエッチングすることなく領域(6a、6d)を形成することができる。
【0069】
この時、
図25Bに示すように、マスク材5の開口(領域6a)は、櫛歯部41の先端側の一部分51にのみ形成されている。よって、本体部52はマスク材5で覆われ、第1高電位導電層4aは除去されずに残される。これにより、
図25Cに示すように、溝2の側面に残された第1高電位導電層4aは、櫛歯部41の本体部52を介して互いに電気的に接続されている。
【0070】
次に、
図19に示すように、溝2の内面及び第1主面1F及び第2主面1Rを含む基板1の表面に、第1高電位導電層4aを覆うように誘電層3を堆積する。この時、誘電層3は、第2コンタクトホール(13a、13b、20a、20b)が形成される予定の領域(6a、6d)にも形成される。
【0071】
次に、
図20に示すように、溝2の内面及び第1主面1F及び第2主面1Rを含む基板1の表面に、誘電層3を覆うように第1低電位導電層7aを堆積する。
【0072】
次に、
図21に示すように、基板1の第1主面1F及び第2主面1Rにシリコン酸化膜からなるマスク材8を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてマスク材8にパターニングする。パターニングされたマスク材8は、第1コンタクトホール(15a、15b、21a、21b)が形成される予定の領域(9a、9c)に開口を有する。マスク材8を用いてエッチングを行い、マスク材8の開口から表出する第1低電位導電層7aを選択的にエッチングする。エッチング方向に指向性を持たせることによって溝2の側面に堆積された誘電層3及び第1低電位導電層7aをエッチングすることなく領域(9a、9c)を形成することができる。
【0073】
この時、第1高電位導電層4aと同様にして、マスク材8の開口(領域9a)は、櫛歯部41の先端側の一部分51にのみ形成されている。よって、本体部52はマスク材8で覆われ、第1低電位導電層7aは除去されずに残される。これにより、溝2の側面に残された第1低電位導電層7aは、本体部52を介して互いに電気的に接続されている。
【0074】
次に、
図16に示した誘電層3の堆積、
図17及び
図18に示した導電層(第1高電位導電層4a)の堆積及びエッチング、
図19に示した誘電層3の堆積、
図20及び
図21に示した導電層(第1低電位導電層7a)の堆積及びエッチングを、繰り返し実施する。次に、第1実施形態と同じ方法により、第1主面1F及び第2主面1R上の第2コンタクトホール(13a、13b、20a、20b)が形成される予定の領域(6c、6f)に開口を有するマスク材を用いて、第3高電位導電層4cを選択的にエッチングする。
【0075】
これにより、
図22に示すように、基板1から近い順に、第1高電位導電層4a、第1低電位導電層7a、第2高電位導電層4b、第2低電位導電層7b、第1高電位導電層4cが、誘電層3介して、基板1の表面に積層され、溝2は埋め戻される。2つの高電位導電層(4a、5b)は、基板1の第1主面1F及び第2主面1Rのうち、第2コンタクトホール(13a、13b、20a、20b)が形成される予定の領域(6a~6f)の除く領域に形成されている。2つの低電位導電層(7a、7b)は、基板1の第1主面1F及び第2主面1Rのうち、第1コンタクトホール(15a、15b、21a、21b)が形成される予定の領域(9a~9d)の除く領域に形成されている。
【0076】
次に、
図23に示すように、第1実施形態と同じ方法により、第1主面1F上に、第1コンタクトホール(15a、15b)及び第2コンタクトホール(13a、13b)を形成し、コンタクトホール(15a、15b、13a、13b)の底面及び側面に、高電位表面電極18及び低電位表面電極19をそれぞれ形成する。
【0077】
次に、
図24に示すように、第1主面1F側の高電位表面電極18及び低電位表面電極19と同様にして、基板1の第2主面1R側に、第1コンタクトホール(21a、21b)及び第2コンタクトホール(20a、20b)を形成し、コンタクトホール(21a、21b、20a、20b)の底面及び側面に、高電位裏面電極22及び低電位裏面電極23をそれぞれ形成する。以上の工程を経て、
図15に示した第2実施形態に係る半導体装置が完成する。
【0078】
第2実施形態に係る半導体装置の製造法によれば、第1実施形態と同様な作用効果が得られる。
【0079】
(第3実施形態)
第1実施形態及び第2実施形態では、溝2が基板1の第1主面1Fから第2主面1Rまで貫通している例を示したが、
図26に示すように、溝24は貫通していなくてもよい。第3実施形態において、溝24は、側面及び底面を有し、導電層(4a~4c、7a、7b)及び誘電層3は、側面のみならず底面にも積層される。
図26に示す第3実施形態においても、半導体装置は、少なくとも溝24及び第1主面1Fに交互に積層された少なくとも1層の誘電層3及び少なくとも1層の導電層(4a~4c、7a、7b)と、第1主面1F上に形成された第1コンタクトホール(15a、15b)に埋め込まれた高電位表面電極18(第1電極)であって、少なくとも1層の導電層(4a~4c)及び基板1のうち少なくとも一方に電気的に接続された高電位表面電極18と、第1主面1F上に形成された第2コンタクトホール(13a、13b)に埋め込まれた低電位表面電極19(第2電極)であって、低電位表面電極19に電気的に接続されていない導電層(7a、7b)及び基板1に電気的に接続された低電位表面電極19と、を備える。高電位表面電極18に電気的に接続された高電位導電層(4a~4c)は、第1主面1Fのうち、少なくとも第2コンタクトホール(13a、13b)が形成された領域(6a~6c)を除いた領域に配置されている。低電位表面電極19に電気的に接続された低電位導電層(7a、7b)は、第1主面1Fのうち、少なくとも第1コンタクトホール(15a、15b)が形成された領域(9a、9b)を除いた領域に配置されている。第3実施形態の構造にすることによって、配線(18、19)の製造プロセスが基板1の表面(第1主面1F)側だけになり、プロセスコストの大幅な低減が可能となる。
【0080】
(その他の実施形態)
この他、上記実施形態では、基板1が導電体である場合を説明したが、基板1が絶縁体であっても構わない。基板が絶縁性を有することで素子分離を容易に行うことができる。
【0081】
導電層としてN型のポリシリコン膜を用いて説明したが、P型のポリシリコン膜を用いてもよく、その他に半導体材料を用いてもよい。さらに、導電層として、金属などの他の導電性のある材料であってもよい。例えば、導電型のポリ炭化ケイ素(SiC)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、アルミニウム(Al)でもよい。
【0082】
導電層、誘電層、マスク材のエッチングプロセスはドライエッチングを用いて説明したが、例えば、フッ酸、熱リン酸を用いたウェットエッチングであってもよい。
【0083】
図1及び
図15に示した断面構造は、実施形態に係る半導体装置(コンデンサ)の単位構造(セル構造)であって、同様な構造を、基板1の主面(1F、1R)に平行な方向に繰り返えすことができる。例えば、
図25Dは、コンデンサの単位構造が、櫛歯が伸びている方向に2回繰り返した構造を示している。
図25Dに示すコンデンサの単位構造は、第1コンタクトホール(15a、15b)が形成される予定の領域(9a)を有する3つの櫛歯と、第2コンタクトホール(13a、13b)が形成される予定の領域(6a)を有する3つの櫛歯(41a、41b)と、いずれのコンタクトホールも形成される予定のない1つの櫛歯と、支持部(42a、42)とからなる。もちろん、この単位構造は、櫛歯が伸びている方向のみならず、支持部(42a、42)が伸びている方向に繰り返すこともできる。
【0084】
上述の実施形態は、本発明を実施する形態の例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、これ以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
1 基板
1F 第1主面
1R 第2主面
2 溝
3 誘電層
4a~4c 高電位導電層
6a~6f 第2コンタクトホールが形成された領域
7a、7b 低電位導電層
9a~9d 第1コンタクトホールが形成された領域
13a、13b、20a、20b 第2コンタクトホール
15a、15b、21a、21b 第1コンタクトホール
18 高電位表面電極(第1電極)
19 低電位表面電極(第2電極)
22 高電位裏面電極(第1電極)
23 低電位裏面電極(第2電極)