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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20250106BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20250106BHJP
   B60Q 3/252 20170101ALI20250106BHJP
   B60Q 3/64 20170101ALI20250106BHJP
   B60Q 3/82 20170101ALI20250106BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250106BHJP
【FI】
B60J3/02 P
F21V33/00 130
B60Q3/252
B60Q3/64
B60Q3/82
F21Y115:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020200331
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022088080
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】599041329
【氏名又は名称】共和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原口 貴史
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-039634(JP,A)
【文献】特開2004-150850(JP,A)
【文献】特開平10-142008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/02
F21V 33/00
B60Q 3/252
B60Q 3/64
B60Q 3/82
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーと光源を備える車両用サンバイザであって、
板状のバイザ本体と、
前記バイザ本体内に設けられる光源と、
前記光源の表側に配設されて前記光源からの光が通過可能な導光板と、
前記導光板の表側に並設されるミラー板を有し、
前記導光板は、
前記導光板の裏面から前記導光板内に入射された光を前記導光板に沿って反射するように前記導光板の端面が前記導光板の裏面に対して傾斜する第1出射面と、
前記導光板内に入射された光を前記導光板の表面から前記導光板の裏面に向けて反射するように前記板表面に形成された第3出射面と、
前記導光板の裏面に形成された第2出射面を有し、
前記ミラー板は、
前記光源と前記導光板の前記第1出射面と前記第3出射面を表側から覆うラー領域と、
記ミラー領域の裏面に装着されてミラーを構成する反射膜と、
前記導光板の前記第2出射面を表側から覆う前記ミラー板の発光領域を有し
前記第2出射面は、前記導光板の端面である前記第1出射面で反射して前記導光板に沿って通過する光と、前記導光板の板表面である前記第3出射面で反射した光と、前記導光板の板表面を通過して前記板表面と対向する前記反射膜の裏面である第4出射面で反射し前記板表面から前記導光板に入射された光を表側に反射し、
前記ミラー板の前記発光領域の裏面には、直接的に密接されて前記導光板の前記第2出射面からの光を表側に拡散させる拡散部材が設けられている車両用サンバイザ。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用サンバイザであって、
前記導光板の前記第2出射面は、前記導光板の表面と平行な単一平面状のみで構成されている、車両用サンバイザ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用サンバイザであって、
前記拡散部材は、前記ミラー板の前記裏面に直接的に接触する平滑な表面と、光を拡散するように凹凸形状を備える裏面とを有する車両用サンバイザ。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用サンバイザであって、
前記拡散部材は、前記ミラー板の前記発光領域の裏面に印刷された印刷塗膜である、車両用サンバイザ。
【請求項5】
請求項3に記載の車両用サンバイザであって、
前記拡散部材の裏面に、前記凹凸形状を覆って前記拡散部材の前記裏面を平面状にし、かつ着色材を含む平面状の印刷塗膜が設けられている、車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーを備えた車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車のコンビネーションメータ等に適用される照明が開示されている。この照明は光源と導光板を備えており、導光板は端部に反射面を有している。光源は、光軸から導光板側半分の光のみが反射面に反射するように配置されている。反射面で反射した光は、導光板内を進行し、導光板の底面におけるシボ面で反射しかつ拡散される。
【0003】
特許文献2には、車両用サンバイザのミラーユニットに備えられた照明が開示されている。この照明は、光源としてLEDを有しており、LEDは、ミラーを構成する導光板の側縁に隣接されている。しかし導光板は、薄いため、導光板の側縁にLEDを隣接させることは容易ではない。そこで導光板の裏側に特許文献1に記載の照明を適用することが考えられる。すなわち、ミラー用導光板の裏側に、照明用導光板を並設させる。照明用導光板は、底面のシボ面で光を反射しかつ拡散させる。拡散した光は、ミラー用導光板の発光領域に入射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3838187号公報
【文献】特開2011-183958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし照明用導光板とミラー用導光板の間には空気の層である隙間がある。隙間にはゴミが入り込むこともある。そのため隙間中の空気またはゴミにより光が遮られたり、望まない方向に偏光されたりする懸念がある。そこでミラーを構成するミラー板(導光板)の裏側に配置された光源を有し、光源からの光を好適な角度で発することができる構成を備えた、車両用サンバイザが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴によると、ミラーと光源を備える車両用サンバイザは、板状のバイザ本体と、バイザ本体内に設けられる光源を有する。光源の表側に光源からの光が通過可能な導光板が配設される。導光板の端面の1つは、導光板の裏面から導光板内に入射された光を導光板に沿って反射する第1出射面である。導光板の裏面には、導光板に沿って通過する光を表側に反射する第2出射面が形成される。導光板の表側にミラー板が並設される。ミラー板は、光源と導光板の第1出射面を表側から覆うミラー領域を有する。ミラー板のミラー領域の裏面には、ミラーを構成する反射膜が装着される。ミラー板は、導光板の第2出射面を表側から覆う発光領域を有する。ミラー板の発光領域の裏面には、拡散部材が直接的に密接され、拡散部材が導光板からの光を表側に拡散させる。
【0007】
したがって導光板とミラー板は厚み方向に重ねられている。これによって比較的薄い構造においてミラーと発光構造が構成される。拡散部材は、ミラー板の裏面に直接的に密接されている。したがって拡散部材とミラー板の間に隙間が形成されない。そのため隙間内の空気あるいは隙間に入り込んだゴミによって拡散部材を通過した光が遮られたり偏光されたりすることが無い。これによりミラー板の発光領域から発せられる光は、好適な角度で使用者側に拡散される。光源と導光板の第1出射面を反射膜によって覆う。そのため光源と導光板の第1出射面が直接、使用者の視界に入ることを避ける。これにより使用者がまぶしさを感じることを避けることができる。
【0008】
本開示の他の1つの特徴によると、拡散部材は、ミラー板の発光領域の裏面に形成された凹凸形状によって構成される。すなわち拡散部材は、ミラー板と別個の部材ではなく、ミラー板自体に形成されている。これにより車両用サンバイザの部品点数を少なくできる。またミラー板自体に拡散部材が形成されるため、ミラー板と拡散部材の間に隙間が形成されない。
【0009】
本開示の他の1つの特徴によると、拡散部材は、ミラー板の裏面に直接的に接触する平滑な表面と、光を拡散するように凹凸形状を備える裏面とを有する。したがってミラー板の裏面に拡散部材の平滑な表面を密接させると、ミラー板と拡散部材が接触する部分の面積がより広くなる。これにより、ミラー板と拡散部材が接する面において隙間ができるのをより確実に抑制できる。そのため、ミラー板の発光領域から発せられる光は、好適な角度で使用者側に拡散される。しかもミラー板と拡散部材の密接の強度が向上し得る。
【0010】
本開示の他の1つの特徴によると、拡散部材の裏面には、着色材を含む平面状の着色部材が設けられている。したがって導光板からの光は、着色部材を通過することで色が付される。これにより、ミラー板の発光領域から発せられる光の色を任意に設定できる。着色部材は、拡散部材の上流側に位置する。そのため着色部材を比較的小さな形状にすることができる。例えば、拡散部材の下流側に着色部材を配置する場合は、光が拡散されることを考慮して着色部材を拡大する必要がある。このような構造に比べて着色部材を比較的小さな形状にすることができる。
【0011】
本開示の他の1つの特徴によると、車両用サンバイザは、ミラー板の拡散部材の裏面に直接的に接触する第2の拡散部材を有する。第2の拡散部材は、拡散部材に接触する平滑な表面と、光を拡散するように凹凸形状を備える裏面とを有する。したがって導光板からの光は、第2の拡散部材によって拡散される。第2の拡散部材から出射した光は、ミラー板の拡散部材によってさらに拡散される。これによりミラー板の発光領域から発せられる光は、より広い角度で使用者側に拡散される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】車両内部の一部と車両天井に取付けられたサンバイザの斜視図である。
図2】ミラーユニットの蓋を開いた状態におけるサンバイザの斜視図である。
図3図2のIII-III線断面矢視図である。
図4】ミラーユニットの分解斜視図である。
図5】ミラー板の裏面斜視図である。
図6図4のVI―VI線断面矢視図である。
図7図2のVII―VII線断面矢視図である。
図8図7のVIIIにおける部分拡大図である。
図9】他の実施形態の図6に相当するミラー板と拡散部材の断面図である。
図10】他の実施形態の図6に相当するミラー板と拡散部材の断面図である。
図11】他の実施形態の図6に相当するミラー板の断面図である。
図12図11のXIIにおける部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の1つの実施形態について図1図8を用いて説明する。車両用サンバイザ1は、図1に示すように、車室内においてフロントガラス20の上辺に隣接する天井面21に装着される。車両用サンバイザ1は、板状のバイザ本体10と、バイザ本体10の片面に設けられたミラーユニット2を備える。バイザ本体10は、厚み方向に重ねられた平板状の第1シェル10aと、第2シェル10bを備える。バイザ本体10の表面には表皮10cが被せられる(図7参照)。
【0014】
図1に示すようにバイザ本体10には、支軸11とサポート軸13が装着される。支軸11は、略L字状の棒であって、横軸11aと縦軸11bを有する。横軸11aは長軸状でかつ直線状であり、バイザ本体10の上辺に回転可能に挿入される。縦軸11bは、横軸11aの先端から上方に、横軸11aに対して略直交して延出する。縦軸11bの先端がブラケット12に回転可能に装着される。ブラケット12は、車室の天井面21に取付けられる。
【0015】
図1に示すようにサポート軸13は、略円柱状であって、天井面21に固定されたフック23に取外し可能に保持される。サポート軸13がフック23に取付けられることで、バイザ本体10がサポート軸13と横軸11aを軸中心としてフロントガラス20に沿う使用位置Pと、天井面21に沿う格納位置Kとの間で回動する。またサポート軸13をフック23から取り外すことで、バイザ本体10は、縦軸11b回りに回動可能となる。これによりバイザ本体10はフロントガラス20に沿う使用位置Pと、サイドガラス22に沿うサイド位置Sとの間で回動する。
【0016】
図2,3に示すようにミラーユニット2は、開閉可能な蓋2bを有する。以下、バイザ本体10を使用位置Pに位置させて、使用者から見た状態を基準に上下、左右、表裏と方向を規定して説明する。バイザ本体10の片面(表面)には、第1シェル10aが厚み方向においてバイザ本体10の内部に向かって凹んだ、矩形状のミラー収容部10dが形成されている。ミラー収容部10dには、ミラーユニット2が嵌め込まれている。
【0017】
ミラーユニット2は、図4に示すように、矩形状のミラー枠2aを有する。ミラー枠2aの表側に蓋2bが開閉可能に装着される。ミラー枠2aの裏側には、順にミラー板3、リフレクタ6、ユニット台5が装着される。ユニット台5には、光源4が設けられる。蓋2bを閉じることで、ミラー板3を覆うことができる。図5に示すようにミラー板3の裏面に拡散シート7(拡散部材)が配設される。
【0018】
図4に示すようにユニット台5は、ベース5aを有し、ベース5aの中央に切欠き部5dが形成される。ベース5aの左右両側に基板5bが配設される。各基板5bには複数、例えば3つの光源4が配設される。光源4は、例えばLED(発行ダイオード)が用いられる。切欠き部5dの上側には、光源4の電源オン、オフを切り替えるためのスイッチ5cが配設される。
【0019】
図4,8に示すようにユニット台5には、導光板6aを備えたリフレクタ6が配設される。リフレクタ6は、ベース5aの左右両側に配置され、光源4が装着された基板5bを覆う。導光板6aは矩形状であり、基板5bを覆う。導光板6aの表面以外の面は、リフレクタ6に囲まれている。リフレクタ6は導光板6aの裏面と接する面に反射板6dを有している。
【0020】
図4に示すように導光板6aの表側には、扁平な板状のミラー板3が並設される。ミラー板3はミラー枠2aに取り付けられると共に、左右のリフレクタ6を覆う。これにより、左右の導光板6aが一枚のミラー板3に覆われる。ミラー枠2aには蓋2bの上辺が回転可能に取り付けられる。これにより蓋2bは図3に示すように上方に回転することで、ミラー板3を露出させる。
【0021】
ミラー板3は、例えばガラス製のハーフミラーが用いられる。図4に示すように、ミラー板3は左右方向の中央にミラーの役割を担うミラー領域3aを有し、左右両側に照明具の役割を担う発光領域3bを有する。図7,8に示すようにミラー領域3aは、光源4と導光板6aの第1出射面6bを表側から覆う。発光領域3bは、導光板6aの第2出射面6cを表側から覆う。ミラー領域3aの裏面には、ミラーを構成する反射膜8として銀膜が装着される。
【0022】
反射膜8は、図5に示すようにミラー板3の裏面から装着されている。具体的には、ミラー板3の裏面において、ミラー板3の左右方向両端部を除き、中央から左右両側に亘って銀膜が印刷により装着されている。ミラー板3の銀膜が装着された部分は鏡面となり、ミラー板3の表側から入射した光を反射する。すなわち、ミラー領域3aとして機能する。
【0023】
ミラー板3における発光領域3bの裏面3dには、図5,6に示すように拡散シート7が直接的に密接している。例えば、拡散シート7は、接着剤により、あるいは粘着両面テープによりミラー板3に取付けられる。拡散シート7は、平滑面7aと凹凸面7bを有する。平滑面7aは拡散シート7の表面として、ミラー板3の裏面に直接的に接触する。凹凸面7bは拡散シート7の裏面として、光を拡散するように凹凸形状を備える。凹凸形状は、左右方向に交互に並設され、上下方向に延設される。拡散シート7は導光板6aからの光を表側に角度を変更させることで光を表側に拡散させる。発光領域3bの裏面3dと拡散シート7の平滑面7aが接着されることにより、ミラー板3と拡散シート7は隙間が形成されることを抑制する。
【0024】
図8に示すように導光板6aは、光源4からの光が通過可能な材料から形成される。例えばアクリル系樹脂が用いられる。導光板6aは、ユニット台5の中央側に端面を有し、端面は、ユニット台5の左右方向中央から端部側に傾く第1出射面6bを裏面に有する。第1出射面6bはユニット台5のベース5aに向くように傾斜している。第1出射面6bは光源4の光線と重なるように配置されている。第1出射面6bは導光板6aの裏面から導光板6a内に入射された光を導光板6aに沿って反射する。導光板6aは、第1出射面6bによって反射した光が導光板6aの表面から出射するようにパターンが形成されている。導光板6aの裏面はリフレクタ6の反射板6dと接している。導光板6aの裏面には、導光板6aに沿って通過する光を表側に反射する第2出射面6cが形成される。
【0025】
図3に示すように、ミラーユニット2には、蓋2bを開くとオンになり、蓋2bを閉じるとオフになるスイッチ5cが設けられる。スイッチ5cは、オンになることで、基板5bと車両の電源を電気的に接続し、電気的に切断する。車両の電源からの電線は、天井面21から支軸11内とバイザ本体10内を通ってスイッチ5cおよび基板5bに連結される。これにより、光源4に電力が供給されて光源4が発光する。
【0026】
光源4から発光した光は、図8に示すように、導光板6aの裏面から導光板6aに入射して、第1出射面6bにより反射する。第1出射面6bの反射光は導光板6aに沿って反射しながらまたは直接的に導光板6a内を進行する。発光領域3bから離間して光源4が配置されているため、光源4が発光した光及び第1出射面6bの反射光が直接使用者の視界に入るのを避けられる。導光板6a内の光は発光領域3bの裏側において第2出射面6cにより反射される。第2出射面6cの反射光は、拡散シート7を介してミラー板3の発光領域3bに入射する。
【0027】
図6を参照として、拡散シート7を通過する光は凹凸面7bにより拡散される。具体的には、導光板6aにおける第2出射面6cの反射光が、凹凸面7bの凹凸形状によって屈折、反射し、多方向に均一に拡散される。これにより、使用者側から見て第2出射面6cの反射光のパターンが隠れると共に、均一な明るさで発光される。
【0028】
図6,8を参照として、凹凸面7bにより拡散された光は、平滑面7aを介してミラー板3の裏面から発光領域3bに入射する。平滑面7aとミラー板3の裏面は密着されており空気層がない、またはほとんど形成されていないため、拡散された光は偏光することなく、発光領域3bの表面から好適な角度で出射する。これにより、発光領域3bは照明としての機能を発揮する。
【0029】
上述するように車両用サンバイザ1は、図2に示すように、板状のバイザ本体10と、バイザ本体10内に設けられる光源4を有する。ミラーユニット2は、図4,8に示すように光源4の表側に光源4からの光が通過可能な導光板6aが配設される。導光板6aの端面の1つは、導光板6aの裏面から導光板6a内に入射された光を導光板6aに沿って反射する第1出射面6bである。導光板6aの裏面には、導光板6aに沿って通過する光を表側に反射する第2出射面6cが形成される(図8参照)。導光板6aの表側にミラー板3が並設される。ミラー板3は、光源4と導光板6aの第1出射面6bを表側から覆うミラー領域3aを有する。ミラー板3のミラー領域3aの裏面には、ミラーを構成する反射膜8が装着される。ミラー板3は、導光板6aの第2出射面を表側から覆う発光領域3bを有する。ミラー板3の発光領域3bの裏面3dには、拡散部材(例えば拡散シート7)が直接的に密接され、拡散部材(拡散シート7)が導光板6aからの光を表側に拡散させる。
【0030】
したがって導光板6aとミラー板3は厚み方向に重ねられている。これによって比較的薄い構造においてミラーと発光構造が構成される。拡散部材(拡散シート7)は、ミラー板3の裏面に直接的に密接されている。したがって拡散部材(拡散シート7)とミラー板3の間に隙間が形成されない。そのため隙間内の空気あるいは隙間に入り込んだゴミによって拡散部材(拡散シート7)を通過した光が遮られたり偏光されたりすることが無い。これによりミラー板3の発光領域3bから発せられる光は、好適な角度で使用者側に拡散される。光源4と導光板6aの第1出射面6bを反射膜8によって覆う。そのため光源4と導光板6aの第1出射面6bが直接、使用者の視界に入ることを避ける。これにより使用者がまぶしさを感じることを避けることができる。
【0031】
拡散部材(例えば拡散シート7)は、図6に示すようにミラー板3の裏面に直接的に接触する平滑な表面(例えば平滑面7a)と、光を拡散するように凹凸形状を備える裏面(例えば凹凸面7b)を有する。したがってミラー板3の裏面に拡散部材(拡散シート7)の平滑な表面(平滑面7a)を密接させると、ミラー板3と拡散部材(拡散シート7)が接触する部分の面積がより広くなる。これにより、ミラー板3と拡散部材(拡散シート7)が接する面において隙間ができるのをより確実に抑制できる。そのため、ミラー板3の発光領域3bから発せられる光は、好適な角度で使用者側に拡散される。しかもミラー板3と拡散部材(拡散シート7)の密接の強度が向上し得る。
【0032】
拡散部材(例えば拡散シート7)は、図6に示すように接着によりミラー板3の裏面に直接的に密接される。したがって、ミラー板3と拡散部材(拡散シート7)は、互いに接する面において密着した状態となる。これにより、拡散部材(拡散シート7)がミラー板3から剥がれ難い構成とすることができる。
【0033】
図7,8に示すように、リフレクタ6と導光板6aがユニット台5の中央側の端面において同じ角度で傾斜することにより、第1出射面6bが形成されている(図8参照)。さらに第1出射面6bは光源4の光線と重なるように配置されている。したがって光源4を使用者の視界から隠しつつ、光源4が発した光を導光板6a内に入射することができる。
【0034】
ミラーユニット2は、図7に示すようにミラー板3と基板5bのそれぞれの平面が並行して配設されている。この構成により、バイザ本体10の厚みに依存することなくミラー板3と基板5bの配置を設定することができる。さらには、基板の実装面を広く使用することができる。そのため、光源4以外の電子部品も一枚の基板に実装することができると共に、部品点数、組付けの工数を減らしてコスト削減を図ることができる。
【0035】
本開示は、上述した実施形態で説明した外観、構成に限定されず、要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0036】
例えば、図11,12に示すように、ミラー板3の発光領域裏面3dに形成された凹凸形状によって拡散部材が構成されても良い。具体的には、ミラー板3の左右方向両端部は、反射膜を機械的に削り加工されることで凹凸形状が形成される(図12参照)。凹凸形状は、例えばレーザー加工により縞模様、格子状、シボ状等に形成される。ショットピーニングにより部分的に窪みを形成しても良い。すなわち拡散部材(発光領域裏面3dの凹凸形状)は、ミラー板3と別個の部材ではなく、ミラー板3自体に形成されている。これにより車両用サンバイザ1の部品点数を少なくできる。またミラー板3自体に拡散部材(発光領域裏面3dの凹凸形状)が形成されるため、ミラー板3と拡散部材(発光領域裏面3dの凹凸形状)の間に隙間が形成されない。
【0037】
図11に示すミラー板3は、拡散部材の裏面(発光領域裏面3dの凹凸形状)に直接的に接触する第2の拡散部材(例えば拡散シート7)を有する構成としても良い。第2の拡散部材(拡散シート7)は、表面と裏面が共に平滑面とされる。第2の拡散部材(拡散シート7)の裏面には、着色材を含む平面状の着色部材(例えば乳白色の素材)が印刷により設けられている。したがって導光板6aからの光は、着色部材を通過することで色が付される。これにより、ミラー板3の発光領域3bから発せられる光の色を任意に設定できる。着色部材は、第2の拡散部材(拡散シート7)の上流側に位置する。そのため着色部材を比較的小さな形状にすることができる。例えば、第2の拡散部材(拡散シート7)の下流側に着色部材を配置する場合は、光が拡散されることを考慮して着色部材を拡大する必要がある。このような構造に比べて着色部材を比較的小さな形状にすることができる。着色部材は印刷に代えて、シート状態で装着されても良い。
【0038】
第2の拡散部材(拡散シート7)は、図6に示すように拡散部材(拡散シート7)に接触する平滑な表面7aと、光を拡散するように凹凸形状を備える裏面7bとを有する構成としても良い。導光板6aからの光は、第2の拡散部材(拡散シート7)によって拡散される。第2の拡散部材(拡散シート7)から出射した光は、発光領域裏面3dに形成された凹凸形状によってさらに拡散される。これによりミラー板3の発光領域3bから発せられる光は、より広い角度で使用者側に拡散される。
【0039】
図11に示すミラー板3は、発光領域裏面3dの凹凸形状が、拡散部材として機能する。このように、ミラー板3の裏面に機械的に加工を施した場合、発光領域裏面3dに第2の拡散部材(拡散シート7)を装着しない構成としても良い。このほか、発光領域裏面3dの凹凸形状に着色材を含む平面状の着色部材(例えば乳白色、オレンジ等の素材)が印刷された構成としても良い。着色部材は、その他シート状態で装着された構成としても良い。
【0040】
図6,9に示す拡散シート7,30の裏面には、着色材を含む平面状の着色部材(例えば乳白色、オレンジ等の素材)が設けられていても良い。導光板6aからの光は、着色部材を通過することで色が付される。これにより、ミラー板3の発光領域3bから発せられる光の色を任意に設定できる。着色部材は、拡散シート7,30の上流側に位置する。そのため着色部材を比較的小さな形状にすることができる。着色部材の装着は、印刷による形成、シート状態での接着等、適宜選択できる。
【0041】
図6に示す拡散シート7は、平滑面7aがミラー板3に装着され、凹凸面7bがミラー板3と反対方向を向いている。これに代えて、図9に示す拡散シート30が設けられても良い。拡散シート30は、凹凸面30bがミラー板3の発光領域3bの裏面3dに接着される。平滑面30aがミラー板3と反対方向を向いている。これに代えて、図10に示す拡散シート31が設けられても良い。拡散シート31は、ガラスビーズなど光を反射する物質を含んだ素材31aから形成される。
【0042】
図6に示す拡散シート7は、接着剤によりまたは粘着テープを利用してミラー板3に装着される。これに代えて拡散部材は、インクジェット法、スクリーン印刷法によりミラー板3に印刷されても良い。これにより、拡散部材がミラー板3から剥がれ難い構成とすることができる。拡散部材は、単独でシート状でも良いし、ミラー板3の裏面に薄く印刷されても良い。
【0043】
図3に示すミラーは、ハーフミラーであって、光透過性材料から形成されるミラー板3と、光を反射する反射膜8を有する(図5参照)。これに代えて、通常のミラーをミラー領域3aに有していても良い。図3に示すミラー板3は、ガラスから形成されても良いし、例えばアクリル樹脂等の光が通過可能な材料から形成されても良い。図5に示す反射膜8は、ミラー板3に印刷された銀膜である。銀膜に代えて、アルミをミラー板3に蒸着等して装着しても良い。
【0044】
図2に示すバイザ本体10は、2枚のシェルを有して構成される。これに代えて、バイザ本体10は、発泡ビーズ等から一枚状に形成されても良い。
【0045】
図4に示す光源4は、LEDである。これに代えて、他の種類の光源を光源4として用いても良い。光源4の数や配置は、適宜変更できる。図4に示す導光板6aは、アクリル系樹脂で形成される。これに代えて、導光板6aはポリカーボネート、ガラス等、他の材料から形成されても良い。
【0046】
図8に示す第1出射面6bは、平面がベース5aに向くように傾斜した構成とされる。この傾斜角度は任意に設定される。第1出射面6bは、断面形状が直線である平面状とされる。これに代えて、第1出射面6bは、曲面状、屈折した形状等に形成されても良い。
【0047】
図8に示す導光板6aは、裏面に第2出射面6cが形成される。第2出射面6cは、例えばドットパターンを印刷する方法、溝を削る方法等、種々の方法が選択される。
【符号の説明】
【0048】
1 車両用サンバイザ
2 ミラーユニット
2a ミラー枠
2b 蓋
3 ミラー板
3a ミラー領域
3b 発光領域
3d 発光領域裏面
4 光源
5 ユニット台
5a ベース
5b 基板
5c スイッチ
6 リフレクタ
6a 導光板
6b 第1出射面
6c 第2出射面
7 拡散シート(拡散部材)
7a 平滑面(拡散部材の表面)
7b 凹凸面(拡散部材の裏面)
8 反射膜
10 バイザ本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12