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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】保持装置および搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20250106BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20250106BHJP
   B25J 15/04 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
B25J15/08 H
B25J15/06 A
B25J15/04 Z
B25J15/04 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021004553
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022109172
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平栗 一磨
(72)【発明者】
【氏名】柴 岳人
(72)【発明者】
【氏名】大庭 典之
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-071962(JP,A)
【文献】特開平08-239199(JP,A)
【文献】特開2011-000685(JP,A)
【文献】特開2020-079152(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0039699(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/16-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
前記支持部材に回動可能に支持され、保持対象物を保持する第1保持部を有する第1保持ユニットと、
前記支持部材に、前記第1保持ユニットの回動とは独立して回動することが可能となるように支持され、保持対象物を保持する第2保持部を有する第2保持ユニットと、
前記第1保持ユニット、および前記第2保持ユニットの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1保持部と前記第2保持部とが互いに離れていく方向を向いた状態で前記第1保持ユニットおよび前記第2保持ユニットを、前記第1保持部と前記第2保持部の間を通過する回転軸線を中心に、前記第1保持部、前記第2保持部を含み、かつ前記回転軸線と交差する面内で一体的に回動させることにより、前記第1保持ユニットおよび前記第2保持ユニットのいずれを保持対象物の保持に使用するかを切り替えるとともに、前記第1保持ユニットおよび前記第2保持ユニットの少なくとも一方を、前記支持部材に対して回動させることにより、前記支持部材に対する姿勢を変更するように制御する、保持装置。
【請求項2】
前記第1保持ユニットは、前記支持部材に対して一方向に回動するように動作し、
前記第2保持ユニットは、前記第1保持ユニットの動作とは独立して、前記一方向とは相対する方向に回動するように動作する、請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
支持部材と、
前記支持部材に回動可能に支持され、保持対象物を保持する第1保持部を有する第1保持ユニットと、
前記支持部材に前記第1保持ユニットとは独立して回動可能に支持され、保持対象物を保持する第2保持部を有する第2保持ユニットと、
前記第1保持ユニット、および前記第2保持ユニットの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1保持部と前記第2保持部とが互いに異なる方向を向いた状態で前記第1保持ユニットおよび前記第2保持ユニットを回動させることにより、前記第1保持ユニットおよび前記第2保持ユニットのいずれを保持対象物の保持に使用するかを切り替えるとともに、前記第1保持ユニットおよび前記第2保持ユニットの少なくとも一方を、前記支持部材に対して回動させることにより、前記支持部材に対する姿勢を変更するように制御し、
前記第1保持ユニットの姿勢変更時に前記第1保持ユニットを回動させる際に前記第1保持ユニットの姿勢変化に伴う前記第2保持ユニットの姿勢変化を相殺する向きに前記第2保持ユニットを前記支持部材に対して回動させることにより、前記第2保持ユニットの姿勢を矯正する第2回転駆動機構をさらに備える、保持装置。
【請求項4】
前記第1保持ユニット、および前記第2保持ユニットは、第1回転駆動機構によって、いずれかが保持対象物を保持するように切り替えられ、前記第1回転駆動機構の第1回転軸線と、前記第1保持ユニットの姿勢変更時の第2回転軸線とが、共通の軸線上に配置されている、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項5】
前記第1保持部と前記第2保持部とを、互いに異なる方向を向いた状態で、かつ前記支持部材に対して一体的に回動させ、前記第1保持ユニットおよび前記第2保持ユニットのいずれかで保持対象物を保持する、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項6】
前記第1保持ユニットの姿勢変更時に前記第1保持ユニットを回動させる際に前記第1保持ユニットの姿勢変化に伴う前記第2保持ユニットの姿勢変化を相殺する向きに前記第2保持ユニットを前記支持部材に対して回動させることにより、前記第2保持ユニットの姿勢を矯正する第2回転駆動機構をさらに備える、請求項1、請求項2、請求項1若しくは請求項2を引用する請求項4、請求項1若しくは請求項2を引用する請求項5、または請求項1若しくは請求項2を引用する請求項4を引用する請求項5に記載の保持装置。
【請求項7】
前記第1回転軸線から前記第1保持部の先端までの距離は、前記第2回転軸線から前記第2保持部の先端までの距離よりも長い、請求項4に記載の保持装置。
【請求項8】
前記支持部材は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
前記第1保持ユニットおよび前記第2保持ユニットは、前記支持部材の前記第1面に対向して配置され、
前記支持部材の少なくとも一部、前記第1保持ユニットの少なくとも一部、および前記第2保持ユニットの少なくとも一部は、前記第1面の法線方向から見て互いに重なり合って配置されている、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項9】
前記第1保持部と前記第2保持部とが前記第1面に平行な面内で互いに180°異なる方向を向いた状態において、前記第1保持ユニットの第1保持中心線と前記第2保持ユニットの第2保持中心線とは、同一直線上となる範囲に配置されている、請求項8に記載の保持装置。
【請求項10】
前記第1保持部と前記第2保持部とは、互いに点対称の位置にある、請求項9に記載の保持装置。
【請求項11】
前記第2保持部を回動させることにより、前記第2保持ユニットにおける前記第2保持部の姿勢を変更する第3回転駆動機構をさらに備える、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項12】
前記第1保持ユニットは、複数の挟持爪を有し、前記複数の挟持爪によって物品を挟持した状態で保持する挟持ユニットであり、
前記第2保持ユニットは、吸着パッドを有し、前記吸着パッドによって物品を負圧吸着した状態で保持する吸着ユニットである、請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項13】
前記支持部材は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
前記吸着ユニットは、前記支持部材の前記第1面に対向して配置され、
前記挟持ユニットは、前記吸着ユニットに対して前記支持部材が位置する側とは反対側に配置され、
前記吸着パッドに負圧を輸送する負圧供給配管は、前記支持部材の前記第2面に対向して配置され、前記吸着ユニットのうち、前記支持部材から露出する領域に設けられた開口部に接続されている、請求項12に記載の保持装置。
【請求項14】
前記負圧供給配管は、前記開口部から前記吸着パッドにかけて、前記吸着ユニットが回動する方向とは反対の方向に巻き回すように配置されている、請求項13に記載の保持装置。
【請求項15】
前記吸着ユニットは、吸着ユニット基材と、前記吸着ユニット基材に設けられ、前記負圧供給配管に連通する配管継手と、前記配管継手と前記吸着パッドとを接続する中継配管と、を有し、
前記中継配管の少なくとも一部は、前記配管継手と前記吸着パッドとの間の空間に螺旋状に配置されている、請求項14に記載の保持装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の保持装置と、
制御部によって制御されるように構成され、前記保持装置を移動させるアームと、
を備える、搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、保持装置および搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を保持する複数の保持ユニットを有するロボットハンドを備えたピッキングロボットが従来から知られている。この種のピッキングロボットは、複数の保持ユニットを使い分けることにより、多様な物品に対応することができる。このような保持ユニットが周囲の障害物と干渉しやすく、ロボットハンドの可動範囲が狭い、という課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-685号公報
【文献】特開2002-66861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、保持ユニットと周囲の障害物との干渉を抑制し、可動範囲をより広くすることが可能な保持装置および搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の保持装置は、支持部材と、第1保持ユニットと、第2保持ユニットと、制御部と、を持つ。第1保持ユニットは、前記支持部材に回動可能に支持される。第1保持ユニットは、保持対象物を保持する第1保持部を有する。第2保持ユニットは、前記支持部材に前記第1保持ユニットとは独立して回動可能に支持される。第2保持ユニットは、保持対象物を保持する第2保持部を有する。制御部は、前記第1保持ユニット、および前記第2保持ユニットの動作を制御する。前記制御部は、前記第1保持部と前記第2保持部とが互いに異なる方向を向いた状態で前記第1保持ユニットおよび前記第2保持ユニットを回動させることにより、前記第1保持ユニットおよび前記第2保持ユニットのいずれを保持対象物の保持に使用するかを切り替えるとともに、前記第1保持ユニットおよび前記第2保持ユニットの少なくとも一方を、前記支持部材に対して回動させることにより、前記支持部材に対する姿勢を変更するように制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態のピッキングロボットの模式図。
図2】実施形態のロボットハンドの側面図。
図3】実施形態のロボットハンドの正面図。
図4】ロボットハンドにおける複数のモータの位置を説明するための斜視図。
図5】複数の回転駆動機構を構成するギアの相互関係を示す斜視図。
図6】ベースプレートの正面図。
図7】挟持ユニットの正面図。
図8】吸着ユニットの正面図。
図9】負圧供給配管の配置を説明するための図。
図10】中継配管の配置を説明するための図。
図11】ユニット切り替え時のロボットハンドの動作を説明するための図。
図12】挟持ユニットの姿勢変更時のロボットハンドの動作を説明するための図。
図13】吸着ユニットの姿勢変更時のロボットハンドの動作を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の保持装置および搬送装置を、図面を参照して説明する。
実施形態の保持装置および搬送装置の説明には、XYZ直交座標系を用いる。Z軸方向は鉛直方向に対応し、+Z方向を上方と定義し、-Z方向を下方と定義する。X軸方向およびY軸方向は、水平面内において互いに直交する。水平面内において、後述する挟持ユニットの挟持爪が開閉する方向をX軸方向と定義する。水平面内において、挟持爪が開閉する方向と直交する方向をY軸方向と定義する。
【0008】
図1は、本実施形態のピッキングロボット10の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、ピッキングロボット10は、ロボットハンド11と、アーム12と、制御部13と、を備える。ロボットハンド11は、搬送対象となる保持対象物Pを保持する。アーム12は、ロボットハンド11を所定の場所に移動させる。制御部13は、ロボットハンド11およびアーム12を制御する。より具体的には、ピッキングロボット10の制御部13は、システム全体を統括制御するコントローラを有する。コントローラは、アーム12やロボットハンド11の行動を計画する計画コントローラと、カメラ情報などの認識処理を行う画像処理コントローラと、から構成される。なお、ロボットハンド11の構成については、後で詳しく説明する。
本実施形態のピッキングロボット10は、特許請求の範囲の搬送装置に対応する。本実施形態のロボットハンド11は、特許請求の範囲の保持装置に対応する。
【0009】
以下、ピッキングロボット10の構成および動作の概要を説明する。
ピッキングロボット10は、例えば物流用のピッキングロボットとして用いられる。ピッキングロボット10は、搬送元S1に様々な状況に置かれた多様な保持対象物Pを保持し、搬送先S2に移動させる。なお、ピッキングロボット10の用途は、物流用に限定されず、産業用、その他の用途等にも広く適用可能である。本実施形態のピッキングロボット10は、保持対象物Pの搬送を主目的とした装置に限定されず、例えば製品の組立等、他の目的の一部として物品の搬送または移動を伴う装置も含む。
【0010】
搬送元S1は、例えば各種のコンベア、パレット、コンテナ等であるが、これらに限定されない。搬送元S1には、寸法や重量が異なる複数種の保持対象物Pが任意の姿勢でランダムな位置に置かれている。本実施形態では、搬送対象である保持対象物Pの寸法は、例えば数cm角程度から数十cm角程度まで様々である。保持対象物Pの重量は、例えば数十g程度から数kg程度まで様々である。なお、保持対象物Pの寸法および重量は、上記の例に限定されない。
【0011】
搬送先S2は、搬送元S1と同様、例えば各種のコンベア、パレット、コンテナ等であるが、これらに限定されない。なお、搬送元S1および搬送先S2のコンテナは、保持対象物Pを収容可能な部材、例えば箱状の部材を広く意味する。
【0012】
アーム12は、例えば6軸の垂直多関節アームから構成される。アーム12は、複数のアーム部材15と、複数の関節部16と、を備える。関節部16は、関節部16に連結されたアーム部材15同士を回動可能に連結する。なお、アーム12は、例えば4軸の垂直多関節アームから構成されていてもよいし、3軸の直交アームから構成されていてもよい。アーム12は、垂直多関節アームおよび直交アーム以外の構成によってロボットハンド11を所望の位置に移動させる機構であってもよい。図示を省略するが、アーム12は、各関節部16におけるアーム部材15のなす角度を検出するセンサ等を備える。
【0013】
図示を省略するが、ピッキングロボット10は、搬送元S1および搬送先S2の近傍に設置されたセンサをさらに備える。センサは、例えばRGB-Dセンサ、カメラ、接触センサ、距離センサ等で構成される。センサは、例えば搬送元S1に置かれた保持対象物Pに関する情報、搬送元S1または搬送先S2の状況に関する情報等を取得する。
【0014】
制御部13は、ピッキングロボット10の各部の管理および制御を行う。制御部13は、センサにより検出された種々の情報を取得し、取得した情報に基づいてロボットハンド11の位置および動作を制御する。制御部13は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを備えるマイクロコンピュータで構成される。制御部13は、例えばCPU等のプロセッサが、メモリまたは補助記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで実現される。制御部13の少なくとも一部は、LSI(LargeScale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。上述したように、制御部13のコントローラは、認識結果等を処理する画像処理コントローラを有し、画像処理コントローラの下にはカメラ等の認識系デバイスが紐付いている。また、計画コントローラは、アーム12を制御するコントローラと、ロボットハンド11を制御するコントローラと、から構成されている。
【0015】
以下、ロボットハンド11について説明する。
図2は、+X方向から見たロボットハンド11の側面図である。図3は、+Y方向から見たロボットハンド11の正面図である。本明細書において、各装置を+X方向から見た図を側面図と称し、各装置を+Y方向から見た図を正面図と称する。
【0016】
図2に示すように、ロボットハンド11は、ベースプレート20と、挟持ユニット21と、吸着ユニット22と、を有する。またここでは、ロボットハンド11は、後述の図3~5などにおいて図示される、第1回転駆動機構23と、第2回転駆動機構24と、第3回転駆動機構25と、第4回転駆動機構26と、を備える。各回転駆動機構23,24,25,26については、図3~5など、他の図面を用いて後で詳しく説明する。
本実施形態のベースプレート20は、特許請求の範囲の支持部材に対応する。本実施形態の挟持ユニット21は、特許請求の範囲の第1保持ユニットに対応する。本実施形態の吸着ユニット22は、特許請求の範囲の第2保持ユニットに対応する。
【0017】
ベースプレート20は、板状の部材で構成されている。ベースプレート20は、第1面20aと、第1面20aとは反対側の第2面20bと、を有する。ベースプレート20は、挟持ユニット21と、吸着ユニット22と、を支持する。挟持ユニット21および吸着ユニット22は、ベースプレート20の第1面20aに対向し、Y軸方向に並んで配置されている。ベースプレート20は、挟持ユニット21および吸着ユニット22の一方の側のみに配置され、他方の側には配置されていない。すなわち、挟持ユニット21および吸着ユニット22は、ベースプレート20によって両側から挟み込まれる形態ではなく、ベースプレート20に対して片持ち構造によって支持されている。
【0018】
吸着ユニット22は、ベースプレート20の第1面20aに対向して配置されている。挟持ユニット21は、吸着ユニット22に対してベースプレート20が位置する側とは反対側に配置されている。すなわち、これら2つのユニット21,22は、ベースプレート20の第1面20a側から吸着ユニット22、挟持ユニット21の順に配置されている。ベースプレート20の少なくとも一部、吸着ユニット22の少なくとも一部、および挟持ユニット21の少なくとも一部は、第1面20aと交差する、第1面20aの法線方向(Y軸方向)から見て、互いに重なり合う位置に配置されている。
以下の説明において、ベースプレート20、吸着ユニット22、および挟持ユニット21が重なり合う方向(Y軸方向)をロボットハンド11の厚さ方向と称する。
【0019】
挟持ユニット21は、挟持部28を有し、後述する挟持爪29を用いて保持対象物Pを側方から挟持する形態で保持する。挟持ユニット21は、ベースプレート20に対して第1面20aに平行な面内(XZ面内)で回動可能に支持されている。
本実施形態の挟持部28は、特許請求の範囲の第1保持部に対応する。
【0020】
吸着ユニット22は、吸着部31を有し、後述する吸着パッド32を用いて保持対象物Pを負圧吸着する形態で保持する。吸着ユニット22は、ベースプレート20に対して第1面20aに平行な面内(XZ面内)で回動可能に支持されている。
本実施形態の吸着部31は、特許請求の範囲の第2保持部に対応する。
【0021】
図2に示すように、ベースプレート20の第2面20bには、エジェクタ48および配管ガイド49が配置されている。エジェクタ48は、圧縮空気を用いて吸着パッド32の吸着力となる負圧を発生させる。配管ガイド49は、ベースプレートカバー44の一面44aにおいて後述する負圧供給配管50の位置をガイドする。図2では、負圧供給配管50の図示を省略する。
【0022】
以下、ロボットハンド11が備える回転駆動機構の概略について説明する。
ロボットハンド11は、挟持ユニット21および吸着ユニット22のうち、いずれのユニット21,22を保持対象物Pの保持に使用するかを保持対象物Pに応じて切り替える機能、挟持ユニット21の姿勢を変更する機能、吸着部31の姿勢を変更する機能、および挟持爪29を開閉する機能を有する。これらの機能を実現するため、ロボットハンド11は、回転駆動機構として、第1回転駆動機構23と、第2回転駆動機構24と、第3回転駆動機構25と、第4回転駆動機構26と、を備える。
【0023】
図3および図4に示す第1回転駆動機構23は、挟持ユニット21および吸着ユニット22のいずれのユニット21,22を使用するかを切り替える際、および挟持ユニット21の姿勢を変更する際の双方に兼用される。図4に示す第2回転駆動機構24は、挟持ユニット21の姿勢変更に伴う吸着ユニット22の姿勢変化を矯正する際に用いられる。図4に示す第3回転駆動機構25は、吸着部31の姿勢を変更する際に用いられる。第4回転駆動機構26は、挟持部28を構成する挟持爪29を開閉する際に用いられる。
【0024】
以下、説明を判りやすくするため、第1回転駆動機構23をユニット切り替え兼挟持姿勢変更機構23と称し、第2回転駆動機構24を吸着ユニット姿勢矯正機構24と称し、第3回転駆動機構25を吸着姿勢変更機構25と称し、第4回転駆動機構26を挟持爪開閉機構26と称する。
【0025】
各回転駆動機構を構成するモータの設置位置について、先に説明する。
図4は、複数のモータの位置を説明するための斜視図である。
図4に示すように、ユニット切り替え兼挟持姿勢変更機構23を構成する第1モータ35は、ベースプレート20に設置される。吸着ユニット姿勢矯正機構24を構成する第2モータ36は、挟持ユニット21に設置される。吸着姿勢変更機構25を構成する第3モータ37は、吸着ユニット22に設置される。挟持爪開閉機構26を構成する第4モータ38は、挟持ユニット21に設置される。第1モータ35、第2モータ36、第3モータ37、および第4モータ38のそれぞれは、例えばサーボモータから構成される。
【0026】
図6は、ベースプレート20の構成を示す正面図である。
図3および図6に示すように、ベースプレート20の第2面20bには、ユニット切り替え兼挟持姿勢変更機構23の構成要素のうち、第1モータ35、第1シャフト41、第1ギア42、および第2ギア43が配置されている。第1シャフト41は、第1モータ35に連結されている。第1シャフト41は、第1モータ35の下方(Z軸方向)に延びている。第1ギア42は、第1シャフト41の下端に連結されている。第1ギア42は、第1シャフト41の軸線を中心として回転可能とされている。第2ギア43は、第1ギア42に噛み合う状態に配置されている。第2ギア43は、Z軸周りに回転する第1ギア42の回転をY軸周りの回転に変換する。本実施形態の場合、第1ギア42および第2ギア43は、ヘリカルギアから構成されているが、ギアの種類は特に限定されない。第1シャフト41、第1ギア42、および第2ギア43は、ベースプレートカバー44(図2参照)によって覆われている。
【0027】
図5は、複数の回転駆動機構を構成する各種のギアの相互関係を示す斜視図である。図5においては、複数のギアの位置関係を見やすくするため、ギア以外の部材の図示を適宜省略する。
図5に示すように、第2ギア43は、挟持ユニット21に固定された第2シャフト46に連結されている。これにより、挟持ユニット21は、第1モータ35が回転した際に第1シャフト41、第1ギア42、第2ギア43、および第2シャフト46を介してXZ面内で回転する。また、第2シャフト46の軸線は、ユニット切り替え時の挟持ユニット21および吸着ユニット22が一体に回動する際の第1回転軸線AX1であるとともに、挟持ユニット21が姿勢変更する際の第2回転軸線AX2である。すなわち、挟持ユニット21および吸着ユニット22の切り替え時の第1回転軸線AX1と、挟持ユニット21の姿勢変更時の第2回転軸線AX2とは、共通の軸線上に配置されている。
【0028】
図6に示すように、ベースプレート20の上部には、頂板52が設けられている。頂板52の上面には、力覚センサ53が配置されている。力覚センサ53は、挟持ユニット21または吸着ユニット22が任意の物体に接触した際に各ユニット21,22が受ける力を検出する。力覚センサ53の検出値は、制御部13に出力され、挟持ユニット21または吸着ユニット22の各部の制御に用いられる。
【0029】
ベースプレート20の第1面20aにおいて、第2面20bに配置された第2ギア43に対応する位置にベアリング55が配置されている。ベアリング55は、ベースプレート20に対して吸着ユニット22を円滑に回動させる。
【0030】
図7は、挟持ユニット21の構成を示す正面図である。
図7に示すように、挟持ユニット21は、挟持ユニット基材57と、挟持部28と、挟持爪開閉機構26と、第2モータ36と、を備える。挟持部28は、リンク部58と、複数の挟持爪29と、を備える。挟持ユニット21は、複数の挟持爪29によって保持対象物Pを挟持した状態で保持する。第2モータ36は、吸着ユニット姿勢矯正機構24の構成要素である。
【0031】
挟持ユニット基材57は、リンク部58、挟持爪開閉機構26、第2モータ36等の各部材を支持する。本実施形態の挟持部28は、リンク部58に連結された2つの挟持爪29を備える。なお、挟持部28は、3つ以上の挟持爪を備えていてもよく、挟持爪の数は特に限定されない。
【0032】
リンク部58は、2つの平行リンク59から構成されている。2つの挟持爪29の各々は、2つの平行リンク59の各々に連結されている。2つの挟持爪29は、リンク部58の動きにより、+Z方向に上昇しつつX軸方向に互いに間隔が開く方向に移動し、-Z方向に下降しつつX軸方向に互いに間隔が狭まる方向に移動することによって開閉する。
【0033】
挟持爪開閉機構26は、第4モータ38と、第3ギア61と、第4ギア62と、第5ギア63と、を備える。第3ギア61は、第4モータ38に連結されている。第4ギア62は、第3ギア61と噛み合っている。第5ギア63は、第4ギア62と噛み合っている。第4モータ38の駆動によって第3ギア61が回転すると、第4ギア62と第5ギア63とがXZ面内において互いに逆方向に回転する。2つの挟持爪29は、第4ギア62と第5ギア63とがいずれの方向に回転するかによって、開動作または閉動作のいずれかを行う。挟持爪開閉機構26は、挟持ユニットカバー64(図2参照)により覆われている。
【0034】
挟持爪29の上方には、変位センサ65が配置されている。変位センサ65は、挟持爪29が任意の物体に接触した際に挟持爪29が受ける力を検出する。挟持爪29の検出値は、制御部13に出力され、挟持ユニット21の制御に用いられる。このように、変位センサ65の値を制御部13に直接読み込ませる構成の他、ハンド制御専用のコントローラが、変位センサ65の値をモニターして、アイテムとの接触判定等を行う構成であってもよい。
【0035】
第2モータ36は、挟持ユニット基材57上において第4モータ38に対して-X方向に配置されている。図5に示すように、第6ギア66は、第2モータ36に対して+Y方向に配置されている。第6ギア66は、第2モータ36に連結されている。第6ギア66は、吸着ユニット22の後述する第7ギア67と噛み合っている。第6ギア66は、第2モータ36とともに吸着ユニット姿勢矯正機構24を構成する。
【0036】
図8は、吸着ユニット22の構成を示す正面図である。
図8に示すように、吸着ユニット22は、吸着リンク部69と、吸着部31と、吸着姿勢変更機構25と、第7ギア67と、を備える。吸着部31は、基台71と、複数の吸着パッド32と、を備える。吸着ユニット22は、複数の吸着パッド32によって保持対象物Pを負圧吸着した状態で保持する。
【0037】
吸着リンク部69は、第1面69aと、第1面69aとは反対側の第2面69bと、を有する。吸着リンク部69の第2面69bは、ベースプレート20の第1面20aに対向する。吸着リンク部69は、開口部69hを有する。開口部69hには、吸着パッド32の数に対応する数の配管継手73が設けられている。配管継手73は、後述する負圧供給配管50に連通する。複数の配管継手73と吸着部31との間の空間には、中継配管74が配置される。吸着リンク部69の第2面69bには、後述する複数の引き込み口79が設けられている。吸着リンク部69の内部には、配管継手73と引き込み口79とを連通させる負圧流路(図示略)が形成されている。
【0038】
吸着部31は、矩形状の基台71上に配置された4つの吸着パッド32を備える。吸着パッド32は、保持対象物Pの一面に接触して負圧によって保持対象物Pを吸着する。4つの吸着パッド32は、基台71の4つの角部の近傍に配置されている。したがって、4つの吸着パッド32は、矩形状に配置されている。なお、吸着パッド32の数は、4つでなくてもよく、特に限定されない。吸着パッド32の配置は、矩形状でなくてもよく、特に限定されない。
【0039】
吸着姿勢変更機構25は、吸着リンク部69上に配置された第4モータ38を有する。吸着部31は、第4モータ38の回転に伴い、吸着リンク部69に対してXZ面内で回動する。第4モータ38の回転軸線は、吸着部31の姿勢変更時の第3回転軸線AX3である。
【0040】
吸着リンク部69の第1面69aには、第7ギア67が固定されている。第7ギア67は、吸着リンク部69の第1面69aにおいて、吸着部31が設けられた側と反対側(-Z方向)の端部に配置されている。上述したように、第7ギア67は、挟持ユニット21上の第2モータ36に連結された第6ギア66と噛み合い、吸着ユニット姿勢矯正機構24を構成する。
【0041】
図5に示すように、第7ギア67の内側には、挟持ユニット21に固定された第2シャフト46が挿通される。第2シャフト46と吸着ユニット22との間には、ベアリング55(図6参照)が配置される。
【0042】
図2に示すように、ベースプレート20、吸着ユニット22、および挟持ユニット21は、ロボットハンド11の厚さ方向に重なり合っている。そのため、ロボットハンド11の厚さ方向(Y軸方向)における吸着リンク部69の位置と挟持ユニット基材57の位置とは、互いに異なる。すなわち、吸着リンク部69は、挟持ユニット基材57よりも+Y方向に位置している。また、吸着部31は、吸着リンク部69に対して-Y方向に配置されている。
【0043】
上記の構成により、挟持部28と吸着部31とがベースプレート20の第1面20aに平行な面内(XZ面内)で互いに180°異なる方向を向いた状態において、挟持ユニット21の第1保持中心線H1と吸着ユニット22の第2保持中心線H2とは、Z軸方向に平行な同一直線上に配置されている。なお、第1保持中心線H1は、Z軸に平行な直線であり、かつ、挟持ユニット21の2つの挟持爪29の開閉方向(X軸方向)の中心および1つの挟持爪29の幅方向(Y軸方向)の中心を通る直線と定義する。第2保持中心線H2は、Z軸に平行な直線であり、かつ、Z軸方向から見た吸着ユニット22の4つの吸着パッド32が配置された矩形の中心を通る直線で定義される。以下、挟持部28と吸着部31とが互いに180°異なる方向を向いた状態における挟持爪29の先端と吸着パッド32の吸着面との間の距離を、ロボットハンド11の長さLと定義する。
【0044】
以下、吸着パッド32に負圧を供給するための経路について説明する。
図9は、負圧供給配管50の配置を説明するための図である。
図9に示すように、エジェクタ48には、複数の圧縮空気導入配管76と複数の負圧供給配管50とが接続されている。圧縮空気導入配管76は、アーム部材15および関節部16に沿って配置され、ガイドローラ77によって位置が規制された状態で複数本に分岐し、各々がエジェクタ48に接続されている。圧縮空気導入配管76および負圧供給配管50の本数は、吸着パッド32の数に対応する。本実施形態の場合、圧縮空気導入配管76および負圧供給配管50の本数は、ともに4本である。
【0045】
複数の負圧供給配管50は、配管ガイド49によってベースプレートカバー44の一面44aに沿って下方(-Z方向)に延び、湾曲して上方(+Z方向)に延びている。複数の負圧供給配管50の湾曲部の下端は、ベースプレートカバー44の下端と同等の位置、またはベースプレートカバー44の下端よりも高い位置に配置される。圧縮空気導入配管76および負圧供給配管50は、例えば螺旋状に巻回された樹脂製のスパイラルチューブから構成される。これにより、圧縮空気導入配管76および負圧供給配管50は、各部の動作に応じて伸縮が可能である。なお、圧縮空気導入配管76および負圧供給配管50は、他の形態のチューブから構成されてもよい。
【0046】
図6に示すように、ベースプレート20の下部において、X軸方向の第1ギア42が設けられた側と反対側には、角部が矩形状に切り欠かれた切欠部20kが形成されている。そのため、ベースプレート20の下部の幅は、ベースプレート20の上部の幅に比べて狭い。一方、図8に示すように、吸着リンク部69は、上下方向にわたって同一の幅に形成されている。これにより、図9に示すように、+Y方向から見て、吸着ユニット22とベースプレート20とが重なった状態で、吸着リンク部69の一部は、ベースプレート20から露出する。吸着リンク部69のうち、ベースプレート20の切欠部20kから外部に露出する領域には、複数の引き込み口79が設けられている。負圧供給配管50は、引き込み口79に接続されている。
【0047】
図9は、挟持ユニット21を使用し、吸着ユニット22を使用しない状態を示し、吸着ユニット22は、吸着部31が鉛直方向上方(+Z側)を向いた姿勢である。この姿勢において、負圧供給配管50は、配管ガイド49側から引き込み口79側に向けて、反時計回りに巻回され、引き込み口79に接続されている。そのため、ユニット切り替え時に、吸着ユニット22を時計回りに回動させる必要がある。これにより、負圧供給配管50は、曲がった状態から延びた状態に支障なく変形できる。すなわち、負圧供給配管50は、引き込み口79側から吸着パッド32側にかけて、吸着ユニット22が回動する方向とは反対の方向に巻き回すようにして配置されている。
【0048】
以上の構成において、圧縮空気導入配管76から導入される圧縮空気は、エジェクタ48によって負圧空気に変換される。負圧空気は、負圧供給配管50を介して引き込み口79に供給され、吸着リンク部69の内部に形成された負圧流路を介して配管継手73に供給される。
【0049】
図9では図示を省略するが、負圧供給配管50に加えて、各モータに信号を送信する電気配線についても、負圧供給配管50と同様、ベースプレート20の第2面20b側を引き回される構成となっている。
【0050】
図10は、中継配管74の配置を説明するための模式図である。図10においては、中継配管74の配置を見やすくするため、中継配管74、吸着パッド32、および配管継手73のみを図示する。
図10に示すように、複数の吸着パッド32と複数の配管継手73との間の空間には、複数の中継配管74が設けられている。中継配管74は、吸着パッド32と配管継手73とを接続する。中継配管74は、吸着リンク部69の負圧流路から供給される負圧空気を吸着パッド32に輸送する。中継配管74は、吸着パッド32と配管継手73との間の空間に螺旋状に配置されている。本実施形態では、中継配管74の全体が螺旋状に配置されているが、中継配管の一部が直線状に延びていてもよい。
【0051】
図10において、XY平面上に並ぶ複数の吸着パッド32のうち、+X,-Y側に位置する吸着パッド32を第1吸着パッド32Aとし、+X,+Y側に位置する吸着パッド32を第2吸着パッド32Bとし、-X,+Y側に位置する吸着パッド32を第3吸着パッド32Cとし、-X,-Y側に位置する吸着パッド32を第4吸着パッド32Dとする。X軸方向に並ぶ複数の配管継手73を、-X側から+X側に向けて順に、第1配管継手73A、第2配管継手73B、第3配管継手73C、および第4配管継手73Dとする。複数の配管継手73が並ぶ列は、第1吸着パッド32Aと第4吸着パッド32Dとが並ぶ列よりも、第2吸着パッド32Bと第3吸着パッド32Cとが並ぶ列に近い。
【0052】
+X側に位置する第1吸着パッド32Aおよび第2吸着パッド32Bのうち、複数の配管継手73が並ぶ列までの距離が相対的に長い第1吸着パッド32Aは、第1中継配管74Aを介して第1配管継手73Aに接続されている。複数の配管継手73が並ぶ列までの距離が相対的に短い第2吸着パッド32Bは、第2中継配管74Bを介して第2配管継手73Bに接続されている。+Z方向から見て、第1中継配管74Aは、時計回りに大きな径で巻回されている。第2中継配管74Bは、時計回りに第1中継配管74Aよりも小さな径で巻回されている。
【0053】
-X側に位置する第3吸着パッド32Cおよび第4吸着パッド32Dのうち、複数の配管継手73が並ぶ列までの距離が相対的に短い第3吸着パッド32Cは、第3中継配管74Cを介して第3配管継手73Cに接続されている。複数の配管継手73が並ぶ列までの距離が相対的に長い第4吸着パッド32Dは、第4中継配管74Dを介して第4配管継手73Dに接続されている。+Z方向から見て、第4中継配管74Dは、反時計回りに大きな径で巻回されている。第3中継配管74Cは、反時計回りに第4中継配管74Dよりも小さな径で巻回されている。
【0054】
すなわち、X軸方向において同じ位置にある2つの吸着パッド32のうち、複数の配管継手73が並ぶ列から相対的に遠い位置にある吸着パッド32に接続された中継配管74は、大回りに巻回されている。複数の配管継手73が並ぶ列から相対的に近い位置にある吸着パッド32に接続された中継配管74は、小回りに巻回されている。また、+X側に位置する2つの吸着パッド32に接続された中継配管74と、-X側に位置する2つの吸着パッド32に接続された中継配管74とは、逆回りに巻回されている。
【0055】
以下、ロボットハンド11の動作について説明する。
最初に、挟持ユニット21および吸着ユニット22のいずれのユニットを使用するかを切り替える際の動作について説明する。
図11は、ユニット切り替え時のロボットハンド11の動作を説明するための図である。
図11に示すように、ユニット切り替え時には、挟持部28と吸着部31とが互いに180°異なる方向を向いた姿勢を維持したまま、挟持ユニット21と吸着ユニット22とは、ベースプレート20の第1面20aに平行な面内(XZ面内)で一体となって回動する。このとき、挟持ユニット21の第1保持中心線H1と吸着ユニット22の第2保持中心線H2とは、同一直線上に配置される。
【0056】
ユニット切り替え時には、制御部13は、第1モータ35を位置制御状態、第2モータ36をサーボロック状態、第3モータ37をサーボロック状態、第4モータ38をサーボロック状態、にそれぞれ制御する。なお、位置制御状態は、位置指令信号によって例えば挟持ユニット21等の移動対象を所定の位置に位置決めするように各モータの回転を制御する状態である。サーボロック状態は、例えば外力等によりモータが回転する方向に力が作用しても停止位置が保持される状態である。
【0057】
第1モータ35が回転すると、図5に示すように、挟持ユニット21は、第1シャフト41、第1ギア42、第2ギア43、および第2シャフト46を介してベースプレート20の第1面20aに平行な面内(XZ面内)で回動する。このとき、第2モータ36は、サーボロック状態にあり、停止状態が保持されている。そのため、挟持ユニット21上の第2モータ36に連結された第6ギア66は、吸着ユニット22の第7ギア67と噛み合った状態で静止している。そのため、第6ギア66と第7ギア67との位置関係、すなわち、挟持ユニット21と吸着ユニット22との位置関係は変化しない。これにより、吸着ユニット22は、挟持ユニット21に対して180°異なる方向を向いた姿勢を維持したまま、挟持ユニット21と一体になってベースプレート20の第1面20aに平行な面内(XZ面内)で回動する。
【0058】
第1モータ35が位置制御状態にあるため、例えば挟持ユニット21を使用する場合には、制御部13は、第1モータ35の回転を、挟持ユニット21の第1保持中心線H1が鉛直方向下方を向き、吸着ユニット22の第2保持中心線H2が鉛直方向上方を向いた位置で停止させる。次に、吸着ユニット22を使用する場合には、制御部13は、第1モータ35の回転を、吸着ユニット22の第2保持中心線H2が鉛直方向下方を向き、挟持ユニット21の第1保持中心線H1が鉛直方向上方を向くまで、挟持ユニット21および吸着ユニット22を一体に180°回動させた位置で停止させればよい。
【0059】
ユニット切り替え時に挟持ユニット21および吸着ユニット22を一体に回動させる際には、第3モータ37がサーボロック状態にあるため、図11に示すように、吸着部31の姿勢は吸着リンク部69に対して傾いていない状態が維持される。また、第4モータ38がサーボロック状態にあるため、2つの挟持爪29が閉じた状態が維持される。
【0060】
次に、挟持ユニット21の姿勢を変更する際の動作について説明する。
図12は、挟持ユニット21の姿勢変更時のロボットハンド11の動作を説明するための図である。
挟持ユニット21の姿勢変更時には、制御部13は、第1モータ35を位置制御状態、第2モータ36を位置制御状態、第3モータ37をサーボロック状態、第4モータ38をサーボロック状態または位置制御状態、にそれぞれ制御する。
【0061】
上述したように、挟持ユニット21は、第1モータ35によって回動する。そのため、第1保持中心線H1が鉛直方向下方を向いた姿勢を0°として、第1保持中心線H1が例えば-90°~+90°の範囲を向くように、第1モータ35によって挟持ユニット21を回動させることにより、挟持ユニット21の姿勢を変更することができる。ところが、上記のユニット切り替え時と同様、仮に第2モータ36をサーボロック状態に制御していたとすると、挟持ユニット21の姿勢変更に伴って吸着ユニット22の姿勢も変化する。
【0062】
そこで、本実施形態の場合、挟持ユニット21の姿勢変更に伴って吸着ユニット22が姿勢変化しないように、制御部13は、以下のようにして吸着ユニット22の姿勢を矯正する制御を行う。具体的には、図12における時計回りを正の角度、反時計回りを負の角度とすると、第1保持中心線H1が-θの方向を向くように挟持ユニット21を回動させるとともに、吸着ユニット22を+θだけ回動させる。これにより、吸着ユニット22は、姿勢が変化することなく、吸着部31が鉛直方向上方を向いた状態が維持される。すなわち、吸着ユニット22を、挟持ユニット21の姿勢変化に伴う吸着ユニット22の姿勢変化を相殺する向きにベースプレート20に対して回動させる。
【0063】
挟持ユニット21の姿勢変更時に挟持ユニット21を回動させる際には、第3モータ37がサーボロック状態にあるため、吸着部31の姿勢は吸着リンク部69に対して傾いていない状態が維持される。また、第4モータ38がサーボロック状態にある場合には、挟持ユニット21は、2つの挟持爪29が閉じた状態を維持したまま姿勢変更する。第4モータ38が位置制御状態にある場合には、挟持ユニット21は、2つの挟持爪29が所定の位置まで開いた状態で姿勢変更する。
【0064】
次に、吸着ユニット22の姿勢を変更する際の動作について説明する。
図13は、吸着ユニット22の姿勢変更時のロボットハンド11の動作を説明するための図である。
吸着ユニット22の姿勢変更時には、制御部13は、第1モータ35をサーボロック状態、第2モータ36をサーボロック状態、第3モータ37を位置制御状態、第4モータ38をサーボロック状態、にそれぞれ制御する。
【0065】
吸着部31は、第3モータ37によって回動する。そのため、吸着ユニット22の第2保持中心線H2が鉛直方向下方を向く姿勢を0°として、第2保持中心線H2が例えば-90°~+90°の範囲を向くように、第3モータ37によって吸着リンク部69に対して吸着部31を回動させることにより、吸着部31の姿勢を変更することができる。
【0066】
吸着部31の姿勢変更時に吸着部31を回動させる際には、第1モータ35がサーボロック状態にあるため、挟持ユニット21の姿勢は、第1保持中心線H1が鉛直方向上方を向いたまま変化しない状態が維持される。このとき、第2モータ36がサーボロック状態にあるため、ベースプレート20に対する吸着リンク部69の姿勢は変化しない状態が維持される。なお、第2モータ36を位置制御状態にして、ベースプレート20に対する吸着リンク部69の姿勢を調整してもよい。また、第4モータ38がサーボロック状態にあるため、挟持ユニット21は2つの挟持爪29が閉じた状態を維持する。
【0067】
以下、本実施形態のロボットハンド11およびピッキングロボット10の効果について説明する。
まず、比較例のロボットハンドとして、挟持ユニットと吸着ユニットとを備え、挟持ユニットおよび吸着ユニットの各々が姿勢変更機能を有するロボットハンドを想定する。
比較例のロボットハンドにおいては、ユニット切り替え時に挟持ユニットおよび吸着ユニットを一体的に回動させるための第1回転軸線と、挟持ユニットの姿勢変更時に挟持ユニットを回動させるための第2回転軸線と、吸着ユニットの姿勢変更時に吸着ユニットを回動させるための第3回転軸線と、がロボットハンドの長さ方向に沿って互いに異なる位置に配置される。第1回転軸線は、第2回転軸線と第3回転軸線との間に位置する。
【0068】
比較例のロボットハンドの場合、ロボットハンドの長さは、第1回転軸線から第2回転軸線までの距離と、第1回転軸線から第3回転軸線までの距離と、第2回転軸線から挟持ユニットの先端までの距離と、第3回転軸線から吸着ユニットの先端までの距離と、を合わせた長さとなる。比較例のロボットハンドの場合、ロボットハンドの長さが長くなりやすい。ロボットハンドの長さが長いと、ロボットハンドを移動させる際に他の障害物と干渉しやすい、という問題が生じる。
【0069】
この問題に対して、本実施形態のロボットハンド11は、挟持ユニット21および吸着ユニット22をベースプレート20に対して一体的に回動させることによりユニットの切り替えを行うとともに、挟持ユニット21をベースプレート20に対して回動させることにより挟持ユニット21の姿勢を変更するユニット切り替え兼挟持姿勢変更機構23を備える。制御部13は、挟持部28と吸着部31とが互いに異なる方向を向いた状態で挟持ユニット21および吸着ユニット22を回動させることにより、挟持ユニット21および吸着ユニット22のいずれを保持対象物の保持に使用するかを切り替えるとともに、挟持ユニット21および吸着ユニット22の少なくとも一方を、ベースプレート20に対して回動させることにより、ベースプレート20に対する姿勢を変更するように制御する。
【0070】
この構成によれば、挟持ユニット21および吸着ユニット22と周囲の障害物との干渉が抑制されるため、可動範囲をより広くすることが可能なロボットハンド11を実現できる。
【0071】
さらに、図5に示すように、ユニット切り替え時の第1回転軸線AX1と、挟持ユニット21の姿勢変更時の第2回転軸線AX2とが、ロボットハンド11の長さ方向において共通の軸線上に配置されている。
【0072】
すなわち、比較例のロボットハンドにおいては、ユニット切り替え、挟持ユニットの姿勢変更、および吸着ユニットの姿勢変更の3つの動作を実現するための3つの回転軸線がロボットハンドの長さ方向における3個所に配置される。これに対して、本実施形態のロボットハンド11において、ユニット切り替え、挟持ユニットの姿勢変更、および吸着ユニットの姿勢変更の3つの動作を実現するための3つの回転軸線AX1,AX2,AX3は、図4に示すように、ロボットハンド11の長さ方向における2個所に配置される。
【0073】
これにより、本実施形態の場合、ロボットハンド11の長さは、第1回転軸線AX1および第2回転軸線AX2から第3回転軸線AX3までの距離と、第1回転軸線AX1および第2回転軸線AX2から挟持ユニット21の先端までの距離と、第3回転軸線AX3から吸着ユニット22の先端までの距離と、を合わせた長さとなる。このようにして、本実施形態のロボットハンド11の長さを、比較例のロボットハンドの長さに比べて短くすることができる。
【0074】
本実施形態の構成によれば、ロボットハンド11の長さを短くできるため、ロボットハンド11を移動させる際の障害物との干渉のおそれを少なくすることができる。また、本実施形態の構成によれば、ロボットハンド11の可動範囲を比較例のロボットハンドの可動範囲に比べて広くすることができる。また、本実施形態の構成によれば、ロボットハンド11の小型化に際して各ユニットの構成を簡素化する必要がないため、挟持ユニット21および吸着ユニットと22の機能を十分に発揮させることができる。
【0075】
また、本実施形態のロボットハンド11は、挟持部28と吸着部31とを、互いに異なる方向を向いた状態で、かつベースプレート20に対して一体的に回動させ、挟持ユニット21および吸着ユニット22のいずれかで保持対象物を保持する。
この構成によれば、挟持ユニット21および吸着ユニット22のいずれかで保持対象物を保持するかを、円滑な動作によって切り替えることができる。
【0076】
ユニット切り替え時の回転軸線と、2つのユニットのうちの一方のユニットの姿勢変更時の回転軸線とを共通の軸線上に配置する場合、本実施形態の構成に代えて、ユニット切り替え時の第1回転軸線と吸着部の姿勢変更時の第3回転軸線とを共通の軸線上に配置することも考えられる。
【0077】
本実施形態のロボットハンド11は、挟持ユニット21として平行リンク59を用いた挟持爪29の開閉構造を採用している。そのため、挟持ユニット21の姿勢変更時の第2回転軸線AX2から挟持ユニット21の先端までの距離は、吸着部31の姿勢変更時の第3回転軸線AX3から吸着部31の先端までの距離よりも長い。これにより、本実施形態のように、第1回転軸線AX1と第2回転軸線AX2とを共通の軸線上に配置した場合、第1回転軸線AX1と第3回転軸線AX3とを共通の軸線上に配置するよりも、ロボットハンド11の長さを短くできる効果が大きくなる。
【0078】
本実施形態のロボットハンド11は、挟持ユニット21の姿勢変更時に挟持ユニット21の姿勢変化に伴う吸着ユニット22の姿勢変化を相殺する向きに吸着ユニット22を回動させ、吸着ユニット22の姿勢を矯正する吸着ユニット姿勢矯正機構24を備える。
この構成によれば、挟持ユニット21の姿勢を変更する際に挟持ユニット21の姿勢変化に連動して吸着ユニット22の姿勢が変化することを抑制できる。これにより、挟持ユニット21の姿勢を傾けた状態で挟持ユニット21を使用する際に、吸着ユニット22が姿勢変化して障害物に干渉することを抑制できる。
【0079】
本実施形態のロボットハンド11において、挟持ユニット21および吸着ユニット22は、ベースプレート20の第1面20aに重なり合って配置されている。
このように、挟持ユニット21および吸着ユニット22が片持ち構造によってベースプレート20に支持された構成によれば、ロボットハンド11の厚さを薄くすることができる。また、ロボットハンド11の長さ方向(Z軸方向)から見たロボットハンド11の投影面積を小さくできる。これにより、ロボットハンド11の障害物との干渉が抑えられ、可動範囲を広くすることができる。また、片持ち構造の他の利点として、例えばロボットハンド11が箱の隅に置かれた物品を取りに行く場合、ベースプレート20が設けられた側と反対側、すなわち、挟持ユニット21側を箱の内面に向けてロボットハンド11を移動させればよい。これにより、ベースプレート20が箱の内面と干渉しにくく、保持対象物Pを効率良く保持することができる。
【0080】
本実施形態のロボットハンド11において、挟持部28と吸着部31とが互いに180度異なる方向を向いた姿勢において、挟持ユニット21の第1保持中心線H1と吸着ユニット22の第2保持中心線H2とは、同一直線上に配置されている。
この構成によれば、挟持ユニット21および吸着ユニット22のいずれを使用する場合であっても、挟持爪29または吸着パッド32の位置を制御する際の座標系を共通に使用することができる。これにより、挟持爪29または吸着パッド32の位置制御に係わる制御部13の負担を軽減することができる。
【0081】
さらに、挟持部28と吸着部31とは、同一直線上に配置され、かつ、挟持部28と吸着部31とを180度回動させて機能を切り替えたとしても、回動させる前に位置していた一方のハンド(例えば挟持部28)と、回動後に位置する他方のハンド(例えば吸着部31)の先端位置が同じになっている。すなわち、挟持部28と吸着部31とは、互いに点対称の位置にある。例えばハンド全長を500mmとし、ユニット切り替え時の第1回転軸線AX1が一方のハンドの先端から250mmの位置にあったとすると、挟持部28と吸着部31とを180度回転させても、アーム12とロボットハンド11との接続位置から見て挟持爪29の先端または吸着パッド32の先端位置は、常に500mm先に位置している。
この構成によれば、アーム12からみたロボットハンド11の先端位置が、挟持時でも吸着時でも同じであるため、システムとして、現在どちらの機能であるかを意識することなく、位置制御の演算処理ができる。これにより、制御部13の負荷を軽減できる。
【0082】
本実施形態のロボットハンド11は、吸着部31を回転させることにより、吸着ユニット22における吸着部31の姿勢を変更する吸着姿勢変更機構25をさらに備える。
この構成によれば、吸着ユニット22を使用する際に、吸着パッド32を様々な姿勢や位置に置かれた保持対象物Pの一面に正対させることができ、保持対象物Pを確実に保持することができる。
【0083】
本実施形態のロボットハンド11において、吸着ユニット22は、ベースプレート20の第1面20aに対向して配置されている。吸着パッド32に負圧を輸送する負圧供給配管50は、ベースプレート20の第2面20bに対向して配置され、吸着ユニット22のうち、ベースプレート20の切欠部20kから外部に露出する領域に設けられた引き込み口79に接続されている。さらに、負圧供給配管50は、引き込み口79側から吸着パッド32側にかけて、吸着ユニット22が回動する方向とは反対の方向に巻き回すように配置されている。
この構成によれば、吸着ユニット22がベースプレート20の第1面20aに沿って回動する際に、負圧供給配管50が吸着ユニット22とベースプレート20との間に挟まれたり、吸着ユニット22の回動に伴って過大な力で引っ張られたりして損傷するおそれが少なく、負圧供給配管50の信頼性を高めることができる。
【0084】
本実施形態のロボットハンド11において、吸着パッド32に負圧を輸送する中継配管74は、配管継手73と吸着パッド32との間の空間に螺旋状に配置されている。
仮に中継配管74が配管継手73と吸着パッド32との間の空間に直線状に配置されていたとする。この場合、吸着部31の姿勢が変化した際に中継配管74が座屈するおそれがある。これに対して、本実施形態の場合、中継配管74が螺旋状に巻回されているため、吸着部31の姿勢が変化した際に、中継配管74は、変形可能な範囲内で吸着部31の姿勢変化に従って変形する。これにより、中継配管74の座屈を抑制できる。
【0085】
本実施形態のピッキングロボット10は、上記の効果を奏するロボットハンド11を備える。
この構成によれば、ピッキングロボット10は、例えば搬送元S1の箱の中に様々な姿勢や状況で置かれた多様な保持対象物Pを保持し、搬送先S2に効率良く搬送することができる。
【0086】
上記実施形態のロボットハンド11は、一対の平行リンク59を有し、2つの挟持爪29の各々が上下動しつつ開閉する平行リンク型の挟持ユニット21を備える。この構成に代えて、実施形態のロボットハンドは、2つの挟持爪が水平方向にのみ移動する平行グリッパ型の挟持ユニットを備えていてもよい。この場合、上記実施形態とは逆に、吸着部の姿勢変更時の第3回転軸線から吸着部の先端までの距離は、挟持ユニットの姿勢変更時の第2回転軸線から挟持部の先端までの距離よりも長くてもよい。この場合、ユニット切り替え時の第1回転軸線と、吸着ユニットの姿勢変更時の第3回転軸線と、を共通の軸線上に配置する構成を採用してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、挟持および吸着の2つの保持機能を組み合わせたロボットハンド、いわゆるハイブリッドハンド方式のロボットハンドの一例を挙げた。この構成に代えて、例えば挟持のみ、吸着のみというように、同一機能の複数の保持ユニットを備えるロボットハンドに本発明を適用してもよい。
【0088】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、ロボットハンド11は、挟持ユニット21と、吸着ユニット22と、制御部13と、を持つ。挟持ユニット21は、ベースプレート20に回動可能に支持される。挟持ユニット21は、保持対象物Pを保持する挟持部28を有する。吸着ユニット22は、ベースプレート20に挟持ユニット21とは独立して回動可能に支持される。吸着ユニット22は、保持対象物Pを保持する吸着部31を有する。コントローラは、挟持ユニット21、および吸着ユニット22の動作を制御する。制御部13は、挟持部28と吸着部31とが互いに異なる方向を向いた状態で挟持ユニット21および吸着ユニット22を回動させることにより、挟持ユニット21および吸着ユニット22のいずれを保持対象物Pの保持に使用するかを切り替えるとともに、挟持ユニット21および吸着ユニット22の少なくとも一方を、ベースプレート20に対して回動させることにより、ベースプレート20に対する姿勢を変更するように制御する。
これにより、挟持ユニット21および吸着ユニット22と周囲の障害物との干渉を抑制し、可動範囲をより広くすることが可能なロボットハンド11を実現できる。
【0089】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態およびその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
10…ピッキングロボット(搬送装置)、11…ロボットハンド(保持装置)、12…アーム、13…制御部、20…ベースプレート(支持部材)、20a…第1面、20b…第2面、21…挟持ユニット(第1保持ユニット)、22…吸着ユニット(第2保持ユニット)、23…ユニット切り替え兼挟持姿勢変更機構(第1回転駆動機構)、24…吸着ユニット姿勢矯正機構(第2回転駆動機構)、25…吸着姿勢変更機構(第3回転駆動機構)、28…挟持部(第1保持部)、29…挟持爪、31…吸着部(第2保持部)、32…吸着パッド、50…負圧供給配管、73…配管継手、74…中継配管、79…引き込み口、AX1…第1回転軸線、AX2…第2回転軸線、H1…第1保持中心線、H2…第2保持中心線、P…保持対象物。
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