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特許7612438情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1171 20160101AFI20250106BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250106BHJP
   G07C 1/00 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
A61B5/1171 200
G06T7/00 510F
G07C1/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021013636
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022117117
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】519050923
【氏名又は名称】株式会社WDS
(74)【代理人】
【識別番号】100119758
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 保宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩之
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-018261(JP,A)
【文献】特開2016-105261(JP,A)
【文献】特開2013-206232(JP,A)
【文献】特開2018-173895(JP,A)
【文献】特開2002-329043(JP,A)
【文献】特開2020-086551(JP,A)
【文献】特開2020-042644(JP,A)
【文献】特開2021-009645(JP,A)
【文献】国際公開第2017/030188(WO,A1)
【文献】特許第6707702(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0157894(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06-5/22
G06T 7/00
G07C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の施設を利用する人物の顔画像データを記憶する記憶部と、
前記所定の施設を訪れた人物の顔を撮像する第1の撮像部と、
提示された二次元コードを撮像する第2の撮像部と、
前記第1の撮像部により撮像された顔画像データの特徴点と、前記記憶部に記憶されている人物の顔画像データの特徴点と、に基づいて同一人物であるか否かを判定する顔判定部と、
前記顔判定部が同一人物であると判定した場合、前記二次元コードを提示することを促すメッセージを表示部に出力するメッセージ出力部と、
前記メッセージ出力部が前記メッセージを前記表示部に出力した後、前記第2の撮像部により撮像された前記二次元コードに含まれる情報に基づいて、所定の処理を実行する処理実行部と、
前記所定の処理の結果を前記表示部に出力する出力部と、
を備え
前記記憶部は、前記所定の施設に利用するためのIDを記憶し、
前記二次元コードには、前記所定の施設を利用するためのID、が含まれ、
前記所定の処理は、前記所定の施設内の利用を許可するか否かの処理であり、
前記処理実行部は、前記記憶部に記憶されたIDと前記第2の撮像部により撮像された前記二次元コードに含まれるIDが一致した場合、前記所定の施設の利用を許可することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記所定の施設を利用する人物の体温を測定するサーモカメラをさらに備え、
前記処理実行部は、前記顔判定部が同一人物であると判定した場合、かつ前記サーモカメラにより測定された人物の体温が予め定めた所定の閾値以下の場合、前記所定の処理を実行することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
所定の施設を利用する人物の顔画像データを記憶している記憶部を備えた情報処理システムによる情報処理方法であって、
前記所定の施設を訪れた人物の顔を撮像する第1の撮像ステップと、
前記第1の撮像ステップにより撮像された顔画像データの特徴点と、前記記憶部に記憶されている人物の顔画像データの特徴点と、に基づいて同一人物であるか否かを判定する顔判定ステップと、
前記顔判定ステップにおいて同一人物であると判定された場合、二次元コードを提示することを促すメッセージを表示部に出力するメッセージ出力ステップと、
提示された前記二次元コードを撮像する第2の撮像ステップと、
前記第2の撮像ステップにおいて撮像された前記二次元コードに含まれる情報に基づいて、所定の処理を実行する処理実行ステップと、
前記所定の処理の結果を前記表示部に出力する結果出力ステップと、
を備え
前記記憶部は、前記所定の施設に利用するためのIDを記憶し、
前記二次元コードには、前記所定の施設を利用するためのID、が含まれ、
前記所定の処理は、前記所定の施設内の利用を許可するか否かの処理であり、
前記処理実行ステップは、前記記憶部に記憶されたIDと前記第2の撮像ステップにおいて撮像された前記二次元コードに含まれるIDが一致した場合、前記所定の施設の利用を許可することを特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
所定の施設を利用する人物の顔画像データを記憶している記憶部を備えた情報処理システムが実行する情報処理プログラムであって、
前記所定の施設を訪れた人物の顔を撮像する第1の撮像ステップと、
前記第1の撮像ステップにより撮像された顔画像データの特徴点と、前記記憶部に記憶されている人物の顔画像データの特徴点と、に基づいて同一人物であるか否かを判定する顔判定ステップと、
前記顔判定ステップにおいて同一人物であると判定された場合、二次元コードを提示することを促すメッセージを出力するメッセージ出力ステップと、
提示された前記二次元コードを撮像する第2の撮像ステップと、
前記第2の撮像ステップにおいて撮像された前記二次元コードに含まれる情報に基づいて、所定の処理を実行する処理実行ステップと、
前記所定の処理の結果を出力する結果出力ステップと、
を前記情報処理システムに実行させ、
前記記憶部は、前記所定の施設に利用するためのIDを記憶し、
前記二次元コードには、前記所定の施設を利用するためのID、が含まれ、
前記所定の処理は、前記所定の施設内の利用を許可するか否かの処理であり、
前記処理実行ステップは、前記記憶部に記憶されたIDと前記第2の撮像ステップにおいて撮像された前記二次元コードに含まれるIDが一致した場合、前記所定の施設の利用を許可することを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像された人物の顔画像データを用いて人物を特定し、特定した人物に対して所定の処理を実行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指紋などの生体情報を用いて利用者を認証した上で、所定の処理を実行する情報処理システムが知られている。例えば、特許文献1には、指紋情報を用いた出退勤を管理するための出退勤管理システムの端末装置が開示されている。
【0003】
また、従来、カメラ等の撮像装置で撮像した顔画像データに基づいて人物を特定する方法が知られている。例えば、特許文献2には、施設内において複数の撮像装置で撮影された人物の顔画像を照合することにより同一人物を判定するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-251013号公報
【文献】国際公開第2018/180588号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コロナ禍の昨今では、非接触にて、利用者を認証しかつ所定の処理を実行することが望まれている。
【0006】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、非接触かつ簡単な構成にて、利用者を認証し所定の処理を実行することができる情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理システムは、その一態様として、
所定の施設を利用する人物の顔画像データを記憶する記憶部と、
前記所定の施設を訪れた人物の顔を撮像する第1の撮像部と、
提示された二次元コードを撮像する第2の撮像部と、
前記第1の撮像部により撮像された顔画像データの特徴点と、前記記憶部に記憶されている人物の顔画像データの特徴点と、に基づいて同一人物であるか否かを判定する顔判定部と、
前記顔判定部が同一人物であると判定した場合、前記第2の撮像部により撮像された前記二次元コードに含まれる情報に基づいて、所定の処理を実行する処理実行部と、
前記所定の処理の結果を出力する出力部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
また、本発明に係る情報処理方法は、その一態様として、
所定の施設を利用する人物の顔画像データを記憶しているAIカメラシステムを用いた情報処理方法であって、
前記所定の施設を訪れた人物の顔を撮像する第1の撮像ステップと、
前記第1の撮像ステップにより撮像された顔画像データの特徴点と、前記AIカメラシステムに記憶されている人物の顔画像データの特徴点と、に基づいて同一人物であるか否かを判定する顔判定ステップと、
前記顔判定ステップにおいて同一人物であると判定された場合、二次元コードを提示することを促すメッセージを前記AIカメラシステムの表示部に出力するメッセージ出力ステップと、
提示された前記二次元コードを撮像する第2の撮像ステップと、
前記第2の撮像ステップにおいて撮像された前記二次元コードに含まれる情報に基づいて、所定の処理を実行する処理実行ステップと、
前記所定の処理の結果を前記表示部に出力する結果出力ステップと、
を備えることを要旨とする。
【0009】
また、本発明に係る情報処理プログラムは、その一態様として、
所定の施設を利用する人物の顔画像データを記憶しているコンピュータを用いた情報処理プログラムであって、
前記所定の施設を訪れた人物の顔を撮像する第1の撮像ステップと、
前記第1の撮像ステップにより撮像された顔画像データの特徴点と、前記コンピュータに記憶されている人物の顔画像データの特徴点と、に基づいて同一人物であるか否かを判定する顔判定ステップと、
前記顔判定ステップにおいて同一人物であると判定された場合、二次元コードを提示することを促すメッセージを出力するメッセージ出力ステップと、
提示された前記二次元コードを撮像する第2の撮像ステップと、
前記第2の撮像ステップにおいて撮像された前記二次元コードに含まれる情報に基づいて、所定の処理を実行する処理実行ステップと、
前記所定の処理の結果を出力する結果出力ステップと、
を前記コンピュータに実行させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、非接触かつ簡単な構成にて、利用者を認証し所定の処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係るAIカメラシステムの物理的構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係るAIカメラシステムの外観の一例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係る情報処理システムにおいて、AIカメラシステムが施設を利用する利用者を顔情報に基づいて認証し、サーバが利用者により提示された二次元コードに基づいて所定の処理を実行する場合の情報処理システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
<情報処理システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理システム10の概略構成図である。情報処理システム10は、AIカメラシステム1が施設を訪れた人物(以下、利用者ともいう)を顔情報に基づいて認証し、認証に成功した場合には、利用者が提示した二次元コードに基づいてサーバ2が所定の処理を実行する情報処理システムである。情報処理システム10では、情報処理システム10を構成する機器に触れることなく、利用者の顔情報及び利用者が提示した二次元コードだけに基づいて、所定の処理を実行することができるので、コロナ禍において感染防止を実現しつつ、所望の処理を実行することができる情報処理システムである。
【0014】
ここで、施設とは、公共施設や私的施設のいずれでもよく、一の施設内において一又は複数のAIカメラシステム1が設置されている。また、利用者が提示した二次元コードとは、例えば、利用者が携行しているスマートフォンなどの情報処理端末に予め記憶されている二次元コードである。二次元コードには、例えば、マトリックス式のQRコード(登録商標)が好適であるが、QRコード(登録商標)に限定されるものではない。他の二次元コードでも適用可能であり、マトリックス式の他の種類の二次元コードやスタック式の二次元コードでもよい。また、所定の処理とは、例えば、コンサート会場におけるチケットの確認処理(以下、「チケット確認処理」と略す)、勤怠システムにおける出退勤管理処理(以下、「出退勤管理処理」と略す)などの処理が含まれる。
【0015】
情報処理システム10は、図1に示すように、施設に設置されたAIカメラシステム1と、施設に設置されたサーバ2と、を備える。AIカメラシステム1とサーバ2とは、有線又は無線の構内通信網の通信ネットワーク3を介して、それぞれ相互に通信可能に構成されている。なお、本実施の形態では、同一の施設内にAIカメラシステム1とサーバ2とを設置する構成として説明するが、これに限定されない。AIカメラシステム1とサーバ2を異なる施設に設置する場合には、例えば、インターネット網、公衆網などからなる通信ネットワーク3を介して両者を通信可能に構成してもよい。
【0016】
AIカメラシステム1は、顔画像データを用いて施設内への入館を管理するコンピュータシステムであり、AI(artificial intelligence;人工知能)機能を搭載するカメラを備えている。AIカメラシステム1は、少なくとも演算機能及び制御機能を備えた中央演算装置(CPU)、プログラムやデータを格納する機能を有するRAM等からなる主記憶装置(メモリ)を有する電子的な装置から構成されている。また、AIカメラシステム1は、主記憶装置の他、ハードディスクなどの補助記憶装置を具備していてもよい。
【0017】
図2は、AIカメラシステム1の具体的な物理的構成の一例を示す図である。AIカメラシステム1は、例えば、AI機能を有し、撮像した人物の顔画像データ及びAIカメラシステム1に記憶された顔画像データの特徴点をリアルタイムに抽出可能なカメラ101と、カメラ101から出力された顔画像データの特徴点を解析し、解析した特徴点に基づいて人物を特定するエッジコンピュータ102と、施設内を利用可能な利用者の顔画像データやカメラ101が撮像した画像データを記憶する外部記憶装置103と、を備えていてもよい。
【0018】
ここで、顔画像データの特徴点とは、例えば、瞳、鼻孔、口端、眉、目などの顔特徴点を意味し、顔画像データの特徴点を抽出する方法は公知の技術に基づく。また、抽出された顔画像データの特徴点に基づいて人物を特定する方法は公知の技術に基づく。
【0019】
AIカメラシステム1は、上述した複数の装置がネットワーク接続されたシステム構成のほか、物理的に一つからなる装置で構成されてもよく、施設内の同一の場所にすべてが設置されていてもよいし、施設内の複数の場所に分散して設置されていてもよい。
【0020】
図3は、AIカメラシステム1の一例の外観図である。図3に示したAIカメラシステム1は、立位姿勢の人物の顔画像を撮像するため、スタンドに設置されており、カメラ101に撮像された顔画像をAIカメラシステム1のディスプレイに表示している様子を示している。
【0021】
AIカメラシステム1は、撮像した人物の顔画像データと、AIカメラシステム1内に記憶している人物の顔画像データと、を比較し、同一人物であるか否かの判定を行い、同一人物であると判定した場合(以下、ユーザ認証に成功した場合ともいう)には、二次元コードの提示を促すメッセージを出力する機能を有する。また、AIカメラシステム1は、二次元コードが提示された場合、撮像された二次元コードに含まれる情報とともに所定の処理の依頼をサーバ2に送信する機能、及びサーバ2から受信した所定の処理の結果を出力する機能を有する。
【0022】
AIカメラシステム1は、機能的には、図1に示すように、撮像部11と、記憶部12と、通信部13と、出力部14と、制御部15と、を具備する構成である。
【0023】
撮像部11は、利用者の顔画像データを撮像する機能、及び利用者により提示された二次元コードを撮像する機能を有する。ここで、二次元コードは、利用者が携行する情報処理端末に予め格納されているものとする。例えば、所定の処理がチケット確認処理の場合、二次元コードには、当該施設において実行されるコンサートにおいて該利用者に発行されたチケット情報(チケットを一意に識別可能なチケットIDを含む)が含まれている。また、例えば、所定の処理が出退勤管理処理の場合、二次元コードには、当該施設を利用可能な利用者を一意に識別可能なIDとともに出退勤の種類(例えば、通常出勤、途中出勤、通常退社、途中退社など)を示す情報(以下、出退勤種類情報という)などが含まれている。出退勤の種類は、勤務形態の多様性に基づいて利用者自らが選択できるものであり、利用者が当日、該当する出退勤の種類に対応した二次元コードを選択して提示する。
【0024】
記憶部12は、情報処理システム10においてAIカメラシステム1側が実行するためのアプリケーションプログラム16を記憶している。また、記憶部12は、施設を利用することが可能な人物の顔画像データ17を予め記憶している。例えば、所定の処理がチケット確認処理の場合には、当該施設において実行されるコンサートのチケットを購入した人物の顔画像データが予め記憶部12に記憶されている。また、例えば、所定の処理が出退勤管理処理の場合には、当該施設に入館可能な人物の顔画像データが予め記憶部12に記憶されている。
【0025】
通信部13は、通信ネットワーク3を介してサーバ2と種々の情報のやりとりを行う。詳しくは、通信部13は、利用者に提示された二次元コードに含まれる情報とともに所定の処理の依頼をサーバ2に送信したり、サーバ2から所定の処理の結果を受信したりする。
【0026】
出力部14は、例えば、ディスプレイなどの画像表示部やスピーカなどの音声出力部なで構成されている。例えば、顔画像によるユーザ認証に失敗した場合、ユーザ認証に失敗した旨のメッセージを出力したり、顔画像によるユーザ認証に成功した場合、二次元コードの提示を促すメッセージを出力したり、所定の処理の結果を出力したりする。
【0027】
制御部15は、アプリケーションプログラム16の実行により、顔画像データを用いたユーザ認証を行う。詳しくは、撮像部11が撮像した人物の顔画像データの特徴点が記憶部12に記憶された顔画像データの特徴点と一致した場合には、同一人物であると判定する。顔画像データを用いたユーザ認証に成功した場合には、撮像部11が撮像した二次元コードに含まれる情報(以下、二次元コード情報という)を取得し、取得した二次元コード情報とともに所定の処理の実行をサーバ2に依頼する。
【0028】
サーバ2は、所定の処理を実行するコンピュータである。サーバ2は、少なくとも演算機能及び制御機能を備えた中央演算装置(CPU)、プログラムやデータを格納する機能を有するRAM等からなる主記憶装置(メモリ)を有する電子的な装置から構成されている。また、サーバ2は、主記憶装置の他、ハードディスクなどの補助記憶装置を具備していてもよい。
【0029】
サーバ2は、機能的には、図1に示すように、記憶部21と、通信部22と、制御部23と、を具備する構成である。
【0030】
記憶部21は、情報処理システム10においてサーバ2側が実行するためのアプリケーションプログラム24を記憶している。また、記憶部21は、所定の処理に関連するデータ25を記憶している。データ25は、所定の処理を実行する前に予め記憶部21に登録されているデータ、又は所定の処理を実行した後に登録されるデータである。例えば、所定の処理がチケット確認処理の場合には、利用者がチケットを購入した後、データ25は、利用者の顔画像データ、及び発行されたチケットのチケット情報などを含む。利用者の顔画像データは、例えば、購入時にスマートフォンなどで自撮りした利用者の顔画像データまた、例えば、所定の処理が出退勤管理処理の場合には、データ25は、当該施設を利用する利用者全員の勤怠データであり、所定の処理を実行することにより、利用者ごとの出退勤の時刻や出退勤の種類に関する情報を含んだ勤怠データが記憶部21に登録される。
【0031】
通信部22は、通信ネットワーク3を介してAIカメラシステム1と種々の情報のやりとりを行う。例えば、二次元コード情報を含む所定の処理の実行依頼をAIカメラシステム1から受信したり、所定の処理の結果に関する情報をAIカメラシステム1に送信したりする。
【0032】
制御部23は、アプリケーションプログラム24の実行により、所定の処理を実行する機能を有する。例えば、所定の処理がチケット確認処理の場合には、受信した二次元コード情報に含まれるチケットIDが記憶部21に記憶されたチケット情報のチケットIDと一致するか否かを判定し、一致した場合には、購入者が購入したチケットの真正性が確認されたので、処理結果としてチケットが確認された旨のメッセージをAIカメラシステム1に送信する制御を行う。また、例えば、所定の処理が出退勤管理処理の場合には、受信した二次元コード情報に基づいて、該当する利用者の出退勤の時刻とともに出退勤の種類に関する情報を含んだ勤怠データを記憶部21に登録し、処理結果として、出退勤の種類に基づく勤怠データが登録された旨のメッセージをAIカメラシステム1に送信する制御を行う。なお、出退勤の時刻には、サーバ2が所定の処理の依頼を受信した日時を設定する。
【0033】
なお、アプリケーションプログラム16は、AIカメラシステム1の上述したメモリなどの主記憶装置やハードディスクなどの補助記憶装置に格納されており、アプリケーションプログラム24は、サーバ2の上述したメモリなどの主記憶装置やハードディスクなどの補助記憶装置に格納されているものである。そして、アプリケーションプログラム16及び24は、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標)Disc)などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録することも、通信ネットワークを介して配信することも可能である。
【0034】
<情報処理システムの動作>
次に、図4を用いて、情報処理システム10の動作について説明する。図4は、AIカメラシステム1が施設を利用する利用者を顔情報に基づいて認証した上で、利用者が提示した二次元コードに基づいてサーバ2が所定の処理を実行する場合の情報処理システム10の動作を示すシーケンス図である。
【0035】
AIカメラシステム1は、施設に入館しようとする人物の顔画像を撮像し(ステップS10)、撮像した顔画像データの特徴点を抽出する(ステップS20)。
【0036】
次に、AIカメラシステム1は、予め記憶部12に登録された顔画像データ17の特徴点を取得し(ステップS30)、撮像した顔画像データの特徴点と予め記憶部12に登録された顔画像データ17の特徴点を比較し、一致するか否かを判定する(ステップS40)。撮像した顔画像データの特徴点と予め記憶部12に登録された顔画像データ17の特徴点が一致した場合には(ステップS40:YES)、顔画像によるユーザ認証に成功したので、二次元コードの提示を促すメッセージを出力する。例えば、AIカメラシステム1の表示部に「QRコード(登録商標)をカメラに提示してください」などのメッセージを表示してもよいし、スピーカを介して「QRコード(登録商標)をカメラに提示してください」などの音声を出力してもよいし、上述したメッセージ表示及び音声出力の両方を実行してもよい。
【0037】
次に、AIカメラシステム1は、利用者が提示した二次元コードを撮像し(ステップS60)、撮像した二次元コードに含まれる情報、つまり二次元コード情報を取得し(ステップS70)、取得した二次元コード情報を含む所定の処理の実行依頼をサーバ2に送信する(ステップS80)。
【0038】
サーバ2は、所定の処理の実行依頼を受信すると(ステップS90)、二次元コード情報に基づいて所定の処理を実行し(ステップS100)、所定の処理の結果をAIカメラシステム1に送信する(ステップS110)。例えば、所定の処理がチケット確認処理の場合には、受信した二次元コード情報に基づいてチケットの確認を行う。また、例えば、所定の処理が出退勤管理処理の場合には、受信した二次元コード情報に基づいて出退勤データを作成し、作成した出退勤データを記憶部21に登録する。
【0039】
AIカメラシステム1は、所定の処理の結果を受信すると(ステップS120)、所定の処理の結果を出力部14に出力する(ステップS130)。例えば、所定の処理が出退勤管理処理の場合には、表示部に「チケットを確認しました」などのメッセージを出力し、第1の処理の場合には、所定の処理が第2の処理の場合には、表示部に利用者が選択した出退勤種類情報とともに「出退勤データが登録されました」などのメッセージを出力する。
【0040】
以上、本実施の形態の情報処理システム10によれば、施設を訪れた利用者の顔画像データと利用者が提示した二次元コードに基づいて、ユーザ認証を行うとともに所定の処理を実行するので、利用者が情報処理システム10の構成機器に触れることなく、ユーザ認証を行なった上に所定の処理を実行することができる。すなわち、情報処理システム10は、非接触かつ簡単な構成にて、利用者を認証し所定の処理を実行することができるので、本実施の形態によれば、昨今のコロナ禍において新型コロナウイルスの感染防止に大いに役立つ情報処理システムを提供することができる。
【0041】
また、所定の処理がチケット確認処理の場合には、情報処理システム10は、チケット購入者の顔画像をチェックして本人確認を行うことができるので、チケットの転売を防止することができる。すなわち、チケット購入時に撮影された購入者の顔画像をチェックでき、かつチケット購入時に取得したチケットを確認できるので、利用者自らがチケットを使用しているかどうか、つまりチケットが転売されていないかどうかを確認することができる。なお、顔画像データは、チケット購入後、AIカメラシステム1の記憶部12に予め登録されているものであり、また、チケットは、購入時に二次元コードとして発行され、利用者の情報処理端末に記憶されているものである。
【0042】
なお、上記実施の形態の情報処理システム10では、利用者の顔画像データをAIカメラシステム1の記憶部12に予め記憶させる構成を採用したが、利用者の顔画像データの特徴点のデータだけを記憶部12に予め記憶させるようにしてもよい。この場合には、AIカメラシステム1において、予め記憶部12に記憶された顔画像データの特徴点を抽出する工程を省略することができるのでAIカメラシステム1が記憶するデータのデータ容量を小さくすることができ、AIカメラシステム1側の処理負担を軽減することができる。
【0043】
また、上記実施の形態の情報処理システム10では、所定の処理をサーバ2が実行するようにしたが、AIカメラシステム1が所定の処理を実行してもよい。すなわち、サーバ2がなく、AIカメラシステム1だけで構成される情報処理システム10としてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態の情報処理システム10において提示される二次元コードは、利用者が携行する情報処理端末に記憶された二次元コードとして説明したが、これに限定されない。例えば、所定のカードや紙に印字された二次元コードでもよい。
【0045】
また、上記実施の形態のAIカメラシステム1は、サーモカメラを備えるようにしてもよい。すなわち、利用者の顔画像によるユーザ認証とともに、サーモカメラによる利用者の体温測定を行ってもよい。サーモカメラにより計測された体温を表示部に出力するとともに利用者の体温が予め定めた閾値以下の場合に施設への入館を認め、所定の処理を実行するようにしてもよい。新型コロナウイルスの施設内への感染防止に寄与するものである。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができ、そのような変形や変更を伴うものもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0047】
1 AIカメラシステム
2 サーバ
3 通信ネットワーク
10 情報処理システム
11 撮像部
12,21 記憶部
13,22 通信部
14 出力部
15,23 制御部
16,24 アプリケーションプログラム
17 顔画像データ
25 データ
図1
図2
図3
図4