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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】リンク作動装置及び原点位置決め方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 21/54 20060101AFI20250106BHJP
【FI】
F16H21/54
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021028730
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022129875
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直彦
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105789892(CN,A)
【文献】特開2019-211048(JP,A)
【文献】特開平03-223687(JP,A)
【文献】特開2020-153494(JP,A)
【文献】特開2015-229198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 21/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球面リンク機構と、
原点位置決め部材とを備え、
前記球面リンク機構は、基端リンクハブと、先端リンクハブと、複数のリンクと、複数の中間リンクハブとを有し、
前記複数のリンクの各々は、第1端部リンク部材と、第2端部リンク部材と、中間リンク部材とを含み、
前記第1端部リンク部材は、前記第1端部リンク部材の一方端において、第1回転軸回りに回転可能に前記基端リンクハブに連結されており、
前記第2端部リンク部材は、前記第2端部リンク部材の一方端において、第2回転軸回りに回転可能に前記先端リンクハブに連結されており、
前記中間リンク部材は、前記中間リンク部材の一方端において第3回転軸回りに回転可能に前記第1端部リンク部材の他方端に連結されているとともに前記中間リンク部材の他方端において第4回転軸回りに前記第2端部リンク部材の他方端に連結されており、
前記基端リンクハブの中心軸線である第1中心軸線、前記第1回転軸及び前記第3回転軸は、第1球面リンク中心点において交わっており、
前記先端リンクハブの中心軸線である第2中心軸線、前記第2回転軸及び前記第4回転軸は、第2球面リンク中心点において交わっており、
前記複数の中間リンクハブの各々は、前記複数のリンクの各々の前記中間リンク部材に接続されており、
前記複数の中間リンクハブの各々は、前記第1球面リンク中心点及び前記第2球面リンク中心点を通る第5回転軸回りに回転可能に互いに連結されており、
前記原点位置決め部材は、前記先端リンクハブが原点位置にある際に前記複数の中間リンクハブのうちの2つ以上を前記第5回転軸回りに相互に回転不能にする、リンク作動装置。
【請求項2】
前記複数の中間リンクハブの各々は、連結部と、ビーム部とを含み、
前記ビーム部は、前記ビーム部の一方端において前記連結部に接続されているとともに前記ビーム部の他方端において前記中間リンク部材に接続されており、
前記連結部の中央には、前記第5回転軸の方向に沿って前記連結部を貫通している第1貫通穴が形成されており、
前記複数の中間リンクハブの各々の前記連結部は、前記第1貫通穴が相互に重なり、かつ前記第5回転軸回りに相互に回転可能に連結されており、
前記原点位置決め部材は、前記先端リンクハブが原点位置にある際に前記複数の中間リンクハブの各々の前記第1貫通穴に挿入される、請求項1に記載のリンク作動装置。
【請求項3】
前記複数の中間リンクハブの各々は、連結部と、ビーム部とを含み、
前記ビーム部は、前記ビーム部の一方端において前記連結部に接続されているとともに前記ビーム部の他方端において前記中間リンク部材に接続されており、
前記連結部の中央からずれた位置には、前記第5回転軸の方向に沿って前記連結部を貫通している第2貫通穴が形成されており、
前記複数の中間リンクハブの各々の前記連結部は、前記先端リンクハブが原点位置にある際に前記第2貫通穴が相互に重なり、かつ前記第5回転軸回りに相互に回転可能に連結されており、
前記原点位置決め部材は、前記先端リンクハブが原点位置にある際に前記複数の中間リンクハブの各々の前記第2貫通穴に挿入される、請求項1に記載のリンク作動装置。
【請求項4】
前記基端リンクハブには、前記第1中心軸線の方向に沿って前記基端リンクハブを貫通している第3貫通穴が形成されており、
前記先端リンクハブには、前記第2中心軸線の方向に沿って前記先端リンクハブを貫通している第4貫通穴が形成されており、
前記複数の中間リンクハブの各々の前記第2貫通穴、前記第3貫通穴及び前記第4貫通穴は、前記先端リンクハブが原点位置にある際に相互に重なる位置にあり、
前記原点位置決め部材は、前記先端リンクハブが原点位置にある際に前記複数の中間リンクハブの各々の前記第2貫通穴、前記第3貫通穴及び前記第4貫通穴に挿入される、請求項3に記載のリンク作動装置。
【請求項5】
前記複数の中間リンクハブの各々の前記連結部は、前記複数のリンクの外側に配置されている、請求項3に記載のリンク作動装置。
【請求項6】
前記第2貫通穴は、前記連結部の外周面に形成されているスリットである、請求項5に記載のリンク作動装置。
【請求項7】
前記原点位置決め部材は、前記球面リンク機構から着脱可能である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のリンク作動装置。
【請求項8】
前記原点位置決め部材は、前記球面リンク機構に保持されている、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のリンク作動装置。
【請求項9】
球面リンク機構と、
光源と、
前記光源からの光を受光する検出器とを備え、
前記球面リンク機構は、基端リンクハブと、先端リンクハブと、複数のリンクと、複数の中間リンクハブと有し、
前記複数のリンクの各々は、第1端部リンク部材と、第2端部リンク部材と、中間リンク部材とを有し、
前記第1端部リンク部材は、前記第1端部リンク部材の一方端において、第1回転軸回りに回転可能に前記基端リンクハブに連結されており、
前記第2端部リンク部材は、前記第2端部リンク部材の一方端において、第2回転軸回りに回転可能に前記先端リンクハブに連結されており、
前記中間リンク部材は、前記中間リンク部材の一方端において第3回転軸回りに回転可能に前記第1端部リンク部材の他方端に連結されているとともに前記中間リンク部材の他方端において第4回転軸回りに前記第2端部リンク部材の他方端に連結されており、
前記基端リンクハブの中心軸線である第1中心軸線、前記第1回転軸及び前記第3回転軸は、第1球面リンク中心点において交わっており、
前記先端リンクハブの中心軸線である第2中心軸線、前記第2回転軸及び前記第4回転軸は、第2球面リンク中心点において交わっており、
前記複数の中間リンクハブの各々は、前記複数のリンクの各々の前記中間リンク部材に接続されており、
前記複数の中間リンクハブの各々は、前記第1球面リンク中心点及び前記第2球面リンク中心点を通る第5回転軸回りに回転可能に互いに連結されており、
前記複数の中間リンクハブの各々は、連結部と、ビーム部とを含み、
前記ビーム部は、前記ビーム部の一方端において前記連結部に接続されているとともに前記ビーム部の他方端において前記中間リンク部材に接続されており、
前記連結部の中央からずれた位置には、前記第5回転軸の方向に沿って前記連結部を貫通している第2貫通穴が形成されており、
前記複数の中間リンクハブの各々の前記連結部は、前記先端リンクハブが原点位置にある際に前記第2貫通穴が相互に重なり、かつ前記第5回転軸回りに相互に回転可能に連結されており、
前記基端リンクハブには、前記第1中心軸線の方向に沿って前記基端リンクハブを貫通している第3貫通穴が形成されており、
前記先端リンクハブには、前記第2中心軸線の方向に沿って前記先端リンクハブを貫通している第4貫通穴が形成されており、
前記複数の中間リンクハブの各々の前記第2貫通穴、前記第3貫通穴及び前記第4貫通穴は、前記先端リンクハブが原点位置にある際に相互に重なる位置にあり、
前記光は、前記先端リンクハブが原点位置にある際に、前記複数の中間リンクハブの各々の前記第2貫通穴、前記第3貫通穴及び前記第4貫通穴を通過して前記検出器により受光される、リンク作動装置。
【請求項10】
原点位置決め方法であって、
球面リンク機構、原点位置決め部材及び駆動源を有するリンク作動装置を準備する工程を備え、
前記球面リンク機構は、基端リンクハブと、先端リンクハブと、複数のリンクと、複数の中間リンクハブとを有し、
前記複数のリンクの各々は、第1端部リンク部材と、第2端部リンク部材と、中間リンク部材とを含み、
前記第1端部リンク部材は、前記第1端部リンク部材の一方端において、第1回転軸回りに回転可能に前記基端リンクハブに連結されており、
前記第2端部リンク部材は、前記第2端部リンク部材の一方端において、第2回転軸回りに回転可能に前記先端リンクハブに連結されており、
前記中間リンク部材は、前記中間リンク部材の一方端において第3回転軸回りに回転可能に前記第1端部リンク部材の他方端に連結されているとともに前記中間リンク部材の他方端において第4回転軸回りに前記第2端部リンク部材の他方端に連結されており、
前記基端リンクハブの中心軸線である第1中心軸線、前記第1回転軸及び前記第3回転軸は、第1球面リンク中心点において交わっており、
前記先端リンクハブの中心軸線である第2中心軸線、前記第2回転軸及び前記第4回転軸は、第2球面リンク中心点において交わっており、
前記複数の中間リンクハブの各々は、前記複数のリンクの各々の前記中間リンク部材に接続されており、
前記複数の中間リンクハブの各々は、前記第1球面リンク中心点及び前記第2球面リンク中心点を通る第5回転軸回りに回転可能に互いに連結されており、
前記原点位置決め方法は、
前記原点位置決め部材により、前記先端リンクハブが原点位置にある際に前記複数の中間リンクハブのうちの2つ以上を前記第5回転軸回りに相互に回転不能にする工程と、
前記駆動源により、前記複数のリンクの各々に予圧を行う工程と、
前記複数のリンクに前記予圧が行われた状態で、前記複数のリンクの各々の位置、前記駆動源から前記複数のリンクの各々に加わっているトルク及び前記駆動源の動作量のうちの少なくともいずれかを出力又は記録する工程とをさらに備える、原点位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンク作動装置及び原点位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-119069号公報(特許文献1)には、リンク作動装置が記載されている。特許文献1に記載のリンク作動装置は、球面リンク機構と、原点位置決め部材とを有している。球面リンク機構は、基端リンクハブと、先端リンクハブと、複数のリンクとを有している。複数のリンクの各々は、第1端部リンク部材及び第2端部リンク部材と、中間リンク部材とを有している。
【0003】
第1端部リンク部材は、一方端において、第1回転軸回りに回転可能に基端リンクハブに連結されている。第2端部リンク部材は、一方端において、第2回転軸回りに回転可能に先端リンクハブに連結されている。中間リンク部材は、中間リンク部材の一方端において第3回転軸回りに第1端部リンク部材の他方端に連結されているとともに、中間リンク部材の他方端において第4回転軸回りに回転可能に第2端部リンク部材の他方端に連結されている。
【0004】
第1回転軸、第3回転軸及び基端リンクハブの中心軸線(第1中心軸線)は、第1球面リンク中心点において交わっている。第2回転軸、第4回転軸及び先端リンクハブの中心軸線(第2中心軸線)は、第2球面リンク中心点において交わっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-119069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基端リンクハブの中央には、第1中心軸線の方向に沿って基端リンクハブを貫通している第1貫通穴が形成されている。先端リンクハブの中央には、第2中心軸線の方向に沿って先端リンクハブを貫通している第2貫通穴が形成されている。特許文献1に記載のリンク作動装置では、原点位置決め部材を第1貫通穴及び第2貫通穴に挿入することにより、先端リンクハブの原点位置の位置決めが行われる。
【0007】
しかしながら、先端リンクハブの中央には、エンドエフェクタが取り付けられる。そのため、第1貫通穴及び第2貫通穴に原点位置決め部材を挿入して先端リンクハブの原点位置決めを行おうとすると、原点位置決め部材がエンドエフェクタと干渉することがある。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、先端リンクハブの原点位置決めに際してエンドエフェクタとの干渉を抑制することが可能なリンク作動装置及び原点位置決め方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係るリンク作動装置は、球面リンク機構と、原点位置決め部材とを備える。球面リンク機構は、基端リンクハブと、先端リンクハブと、複数のリンクと、複数の中間リンクハブとを有する。複数のリンクの各々は、第1端部リンク部材と、第2端部リンク部材と、中間リンク部材とを含む。第1端部リンク部材は、第1端部リンク部材の一方端において、第1回転軸回りに回転可能に基端リンクハブに連結されている。第2端部リンク部材は、第2端部リンク部材の一方端において、第2回転軸回りに回転可能に先端リンクハブに連結されている。中間リンク部材は、中間リンク部材の一方端において第3回転軸回りに回転可能に第1端部リンク部材の他方端に連結されているとともに中間リンクハブの他方端において第4回転軸回りに第2端部リンク部材の他方端に連結されている。基端リンクハブの中心軸線である第1中心軸線、第1回転軸及び第3回転軸は、第1球面リンク中心点において交わっている。先端リンクハブの中心軸線である第2中心軸線、第2回転軸及び第4回転軸は、第2球面リンク中心点において交わっている。複数の中間リンクハブの各々は、複数のリンクの各々の中間リンク部材に接続されている。複数の中間リンクハブの各々は、第1球面リンク中心点及び第2球面リンク中心点を通る第5回転軸回りに回転可能に互いに連結されている。原点位置決め部材は、先端リンクハブが原点位置にある際に複数の中間リンクハブのうちの2つ以上を第5回転軸回りに相互に回転不能にする。
【0010】
上記のリンク作動装置では、複数の中間リンクハブの各々が、連結部と、ビーム部とを含んでいてもよい。ビーム部は、ビーム部の一方端において連結部に接続されているとともに、ビーム部の他方端において中間リンク部材に接続されていてもよい。連結部の中央には、第5回転軸の方向に沿って連結部を貫通している第1貫通穴が形成されていてもよい。複数の中間リンクハブの各々の連結部は、第1貫通穴が相互に重なり、かつ第5回転軸回りに相互に回転可能に連結されていてもよい。原点位置決め部材は、先端リンクハブが原点位置にある際に複数の中間リンクハブの各々の第1貫通穴に挿入されてもよい。
【0011】
上記のリンク作動装置では、複数の中間リンクハブの各々が、連結部と、ビーム部とを含んでいてもよい。ビーム部は、ビーム部の一方端において連結部に接続されているとともに、ビーム部の他方端において中間リンク部材に接続されていてもよい。連結部の中央からずれた位置には、第5回転軸の方向に沿って連結部を貫通している第2貫通穴が形成されていてもよい。複数の中間リンクハブの各々の連結部は、先端リンクハブが原点位置にある際に第2貫通穴が相互に重なり、かつ第5回転軸回りに相互に回転可能に連結されていてもよい。原点位置決め部材は、先端リンクハブが原点位置にある際に複数の中間リンクハブの各々の第2貫通穴に挿入されてもよい。
【0012】
上記のリンク作動装置では、基端リンクハブに、第1中心軸線の方向に沿って基端リンクハブを貫通している第3貫通穴が形成されていてもよい。先端リンクハブに、第2中心軸線の方向に沿って先端リンクハブを貫通している第4貫通穴が形成されていてもよい。複数の中間リンクハブの各々の第2貫通穴、第3貫通穴及び第4貫通穴は、先端リンクハブが原点位置にある際に相互に重なる位置にあってもよい。原点位置決め部材は、先端リンクハブが原点位置にある際に複数の中間リンクハブの各々の第2貫通穴、第3貫通穴及び第4貫通穴に挿入されてもよい。
【0013】
上記のリンク作動装置では、複数の中間リンクハブの各々の連結部が、複数のリンクの外側に配置されていてもよい。上記のリンク作動装置では、第2貫通穴が、連結部の外周面に形成されているスリットであってもよい。
【0014】
上記のリンク作動装置では、原点位置決め部材が、球面リンク機構から着脱可能であってもよい。上記リンク作動装置では、原点位置決め部材が、球面リンク機構に保持されていてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様に係るリンク作動装置は、球面リンク機構と、光源と、光源からの光を受光する検出器とを備えている。球面リンク機構は、基端リンクハブと、先端リンクハブと、複数のリンクと、複数の中間リンクハブと有する。複数のリンクの各々は、第1端部リンク部材と、第2端部リンク部材と、中間リンク部材とを有する。第1端部リンク部材は、第1端部リンク部材の一方端において、第1回転軸回りに回転可能に基端リンクハブに連結されている。第2端部リンク部材は、第2端部リンク部材の一方端において、第2回転軸回りに回転可能に先端リンクハブに連結されている。中間リンク部材は、中間リンク部材の一方端において第3回転軸回りに回転可能に第1端部リンク部材の他方端に連結されているとともに中間リンク部材の他方端において第4回転軸回りに第2端部リンク部材の他方端に連結されている。基端リンクハブの中心軸線である第1中心軸線、第1回転軸及び第3回転軸は、第1球面リンク中心点において交わっている。先端リンクハブの中心軸線である第2中心軸線、第2回転軸及び第4回転軸は、第2球面リンク中心点において交わっている。複数の中間リンクハブの各々は、複数のリンクの各々の中間リンク部材に接続されている。複数の中間リンクハブの各々は、第1球面リンク中心点及び第2球面リンク中心点を通る第5回転軸回りに回転可能に互いに連結されている。複数の中間リンクハブの各々は、連結部と、ビーム部とを含む。ビーム部は、ビーム部の一方端において連結部に接続されているとともにビーム部の他方端において中間リンク部材に接続されている。連結部の中央からずれた位置には、第5回転軸の方向に沿って連結部を貫通している第2貫通穴が形成されている。複数の中間リンクハブの各々の連結部は、先端リンクハブが原点位置にある際に第2貫通穴が相互に重なり、かつ第5回転軸回りに相互に回転可能に連結されている。基端リンクハブには、第1中心軸線の方向に沿って基端リンクハブを貫通している第3貫通穴が形成されている。先端リンクハブには、第2中心軸線の方向に沿って先端リンクハブを貫通している第4貫通穴が形成されている。複数の中間リンクハブの各々の第2貫通穴、第3貫通穴及び第4貫通穴は、先端リンクハブが原点位置にある際に相互に重なる位置にある。光源からの光は、先端リンクハブが原点位置にある際に、複数の中間リンクハブの各々の第2貫通穴、第3貫通穴及び第4貫通穴を通過して検出器により受光される。
【0016】
本発明の一態様に係る原点位置決め方法は、球面リンク機構、原点位置決め部材及び駆動源を有するリンク作動装置を準備する工程を備える。球面リンク機構は、基端リンクハブと、先端リンクハブと、複数のリンクと、複数の中間リンクハブとを有する。複数のリンクの各々は、第1端部リンク部材と、第2端部リンク部材と、中間リンク部材とを含む。第1端部リンク部材は、第1端部リンク部材の一方端において、第1回転軸回りに回転可能に基端リンクハブに連結されている。第2端部リンク部材は、第2端部リンク部材の一方端において、第2回転軸回りに回転可能に先端リンクハブに連結されている。中間リンク部材は、中間リンク部材の一方端において第3回転軸回りに回転可能に第1端部リンク部材の他方端に連結されているとともに、中間リンク部材の他方端において第4回転軸回りに第2端部リンク部材の他方端に連結されている。基端リンクハブの中心軸線である第1中心軸線、第1回転軸及び第3回転軸は、第1球面リンク中心点において交わっている。先端リンクハブの中心軸線である第2中心軸線、第2回転軸及び第4回転軸は、第2球面リンク中心点において交わっている。複数の中間リンクハブの各々は、複数のリンクの各々の中間リンク部材に接続されている。複数の中間リンクハブの各々は、第1球面リンク中心点及び第2球面リンク中心点を通る第5回転軸回りに回転可能に互いに連結されている。原点位置決め方法は、原点位置決め部材により、先端リンクハブが原点位置にある際に複数の中間リンクハブのうちの2つ以上を第5回転軸回りに相互に回転不能にする工程と、駆動源により、複数のリンクの各々に予圧を行う工程と、複数のリンクに予圧が行われた状態で、複数のリンクの各々の位置、駆動源から複数のリンクの各々に加わっているトルク及び駆動源の動作量のうちの少なくともいずれかを出力又は記録する工程とをさらに備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の態様に係るリンク作動装置、本発明の第2の態様に係るリンク作動装置及び本発明の一態様に係る原点位置決め方法によると、先端リンクハブの原点位置決めに際してエンドエフェクタとの干渉を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】リンク作動装置100の斜視図である。
図2】リンク作動装置100の正面図である。
図3】リンク作動装置100の側面図である。
図4図3のIV-IVにおける断面図である。
図5】リンク作動装置100の平面図である。
図6図5のVI-VIにおける断面図である。
図7】リンク作動装置100での原点位置決め方法を示す工程図である。
図8】リンク作動装置100Aの斜視図である。
図9】リンク作動装置100Aの正面図である。
図10図9のX-Xにおける断面図である。
図11】リンク作動装置100Aの平面図である。
図12図11のXII-XIIにおける断面図である。
図13】リンク作動装置100Bの斜視図である。
図14】リンク作動装置100Bの正面図である。
図15】リンク作動装置100Bの平面図である。
図16図14のXVI-XVIにおける断面図である。
図17図15のXVII-XVIIにおける断面図である。
図18】リンク作動装置100Cの斜視図である。
図19】リンク作動装置100Cの正面図である。
図20】リンク作動装置100Cの側面図である。
図21図19のXXI-XXIにおける断面図である。
図22図20のXXII-XXIIにおける断面図である。
図23図22の領域XXIIIにおける拡大図である。
図24】リンク作動装置100Dの斜視図である。
図25】リンク作動装置100Dの平面図である。
図26図25のXXVI-XXVIにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0020】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るリンク作動装置(以下においては、「リンク作動装置100」とする)を説明する。
【0021】
<リンク作動装置100の概略構成>
図1は、リンク作動装置100の斜視図である。図2は、リンク作動装置100の正面図である。図3は、リンク作動装置100の側面図である。図4は、図3のIV-IVにおける断面図である。図5は、リンク作動装置100の平面図である。図6は、図5のVI-VIにおける断面図である。
【0022】
図1図6に示されるように、リンク作動装置100は、球面リンク機構10と、原点位置決め部材20と、駆動源30とを有している。
【0023】
<球面リンク機構10の詳細構成>
球面リンク機構10は、基端リンクハブ11と、先端リンクハブ12と、複数のリンク13と、複数の中間リンクハブ14とを有している。
【0024】
基端リンクハブ11及び先端リンクハブ12は、例えば、平板状である。但し、基端リンクハブ11及び先端リンクハブ12の形状は、これに限られるものではない。以下においては、基端リンクハブ11の中心軸線を第1中心軸線とし、先端リンクハブ12の中心軸線を第2中心軸線とする。図示されていないが、例えば先端リンクハブ12には、エンドエフェクタが取り付けられる。
【0025】
複数のリンク13の数は、例えば、3である。但し、複数のリンク13の数は、4以上であってもよい。複数のリンク13の各々は、第1中心軸線を中心とする円周に沿う方向において、例えば、等間隔で配置されている。リンク13は、第1端部リンク部材13aと、第2端部リンク部材13bと、中間リンク部材13cとを有している。
【0026】
第1端部リンク部材13aは、第1端部リンク部材13aの一方端において、第1回転軸回りに回転可能に、基端リンクハブ11に連結されている。第2端部リンク部材13bは、第2端部リンク部材13bの一方端において、第2回転軸回りに回転可能に、先端リンクハブ12に連結されている。第1端部リンク部材13a及び第2端部リンク部材13bは、例えば、L字形状である。
【0027】
中間リンク部材13cは、中間リンク部材13cの一方端において、第3回転軸回りに可能に、第1端部リンク部材13aの他方端に連結されている。また、中間リンク部材13cは、中間リンク部材13cの他方端において、第4回転軸回りに可能に、第2端部リンク部材13bの他方端に連結されている。中間リンク部材13cは、例えば、L字形状である。
【0028】
第1回転軸、第3回転軸及び第1中心軸線は、第1球面リンク中心点で交差している。第2回転軸、第4回転軸及び第2中心軸線は、第2球面リンク中心点で交差している。そのため、基端リンクハブ11は第1球面リンク中心点を中心とする球面(第1移動球面)上を移動し、先端リンクハブ12は第2球面リンク中心点を中心とする球面(第2移動球面)上を移動する。すなわち、球面リンク機構10は、2つの球面リンク機構が組み合わされた構造になっている。
【0029】
複数の中間リンクハブ14の数は、複数のリンク13の数に等しい。中間リンクハブ14は、連結部14aと、ビーム部14bとを有している。連結部14aは、複数のリンク13の内側に配置されている。
【0030】
複数の中間リンクハブ14の各々の連結部14aは、第5回転軸回りに回転可能に、相互に連結されている。第5回転軸は、第1球面リンク中心点及び第2球面リンク中心点の双方を通過している。このことを別の観点から言えば、第5回転軸は、第1移動球面と第2移動球面とが交わる面(円形状を有する中間平面)の中心を通り、かつ中間平面に直交している。このことは、基端リンクハブ11及び先端リンクハブ12の位置・姿勢にかかわらず常に成立している。そのため、球面リンク機構10は、複数の中間リンクハブ14を有していない場合と同様の動作が可能である。
【0031】
連結部14aには、第1貫通穴14aaが形成されている。第1貫通穴14aaは、第5回転軸の方向に沿って連結部14aを貫通している。複数の中間リンクハブ14の各々の第1貫通穴14aaは、相互に重なっている。
【0032】
第1貫通穴14aaの内壁面には、第1溝14ab及び第2溝14acが形成されている。第1溝14ab及び第2溝14acは、第1貫通穴14aaの内壁面から第1貫通穴14aaの径方向外側に向かって延在している。第1溝14ab及び第2溝14acは、第1貫通穴14aaの中心に関して対称な位置にある。
【0033】
複数の中間リンクハブ14の各々の第1溝14ab及び第2溝14acは、先端リンクハブ12が原点位置にある際に、相互に重なるように形成されている。先端リンクハブ12は、第2中心軸線が第1中心軸線と同一直線上にあるとき(球面リンク機構10の折れ各が0°であるとき)に、原点位置にある。
【0034】
ビーム部14bは、ビーム部14bの一方端において連結部14aに接続されている。また、ビーム部14bは、ビーム部14bの他方端において中間リンク部材13cに接続されている。中間リンクハブ14(連結部14a及びビーム部14b)は、中間リンク部材13cと一体形成されていてもよい。
【0035】
<原点位置決め部材20の詳細構成>
原点位置決め部材20は、板状である。原点位置決め部材20は、第1端20aと、第2端20bとを有している。第1端20a及び第2端20bは、原点位置決め部材20の長手方向における端である。第2端20bは、第1端20aの反対側の端である。
【0036】
原点位置決め部材20は、第1部分21と、第2部分22とを有している。第1部分21は原点位置決め部材20の第1端20a側の部分であり、第2部分22は原点位置決め部材20の第2端20b側の部分である。原点位置決め部材20の長手方向に直交する方向における第1部分21の幅は、原点位置決め部材20の長手方向に直交する方向における第2部分22の幅よりも大きい。原点位置決め部材20の長手方向に直交する方向における第1部分21の幅は、第1端20aに近づくにつれて、小さくなっている。
【0037】
原点位置決め部材20は、先端リンクハブ12が原点位置にある際に複数の中間リンクハブ14の各々の第1貫通穴14aa(より具体的には、第1溝14ab及び第2溝14ac)に挿入されることにより、複数の中間リンクハブ14が第5回転軸回りに相互に回転不能になる。
【0038】
複数の中間リンクハブ14が第5回転軸回りに相互に回転不能になると、基端リンクハブ11、先端リンクハブ12及び複数のリンク13の位置及び姿勢が固定されることにより、先端リンクハブ12が原点位置に固定される。なお、原点位置決め部材20は、複数の中間リンクハブ14のうちの少なくとも2つ以上を第5回転軸回りに回転不能にすれば足りる。
【0039】
<駆動源30の詳細構成>
駆動源30は、例えば、モータである。複数の駆動源30の数は、例えば、複数のリンク13の数に等しい。但し、複数の駆動源30の数は、2つ以上であれば、複数のリンク13の数より少なくてもよい。複数の駆動源30の各々は、複数のリンク13の各々の第1端部リンク部材13aを第1回転軸回りに回転させる。この回転量を変化させることにより、先端リンクハブ12の位置及び姿勢が変化される。
【0040】
<リンク作動装置100での原点位置決め方法>
図7は、リンク作動装置100での原点位置決め方法を示す工程図である。図7に示されるように、リンク作動装置100での原点位置決め方法は、準備工程S1と、原点位置決め部材挿入工程S2と、予圧工程S3と、記録工程S4とを有している。原点位置決め部材挿入工程S2は、準備工程S1の後に行われる。予圧工程S3は、原点位置決め部材挿入工程S2の後に行われる。記録工程S4は、予圧工程S3の後に行われる。
【0041】
準備工程S1では、リンク作動装置100が準備される。原点位置決め部材挿入工程S2では、第1に、駆動源30が第1端部リンク部材13aを第1回転軸回りに回転させる量を調整することにより、先端リンクハブ12を原点位置まで移動させる。原点位置決め部材挿入工程S2では、第2に、原点位置決め部材20が、複数の中間リンクハブ14の各々の第1貫通穴14aa(第1溝14ab及び第2溝14ac)に挿入される。これにより、複数の中間リンクハブ14の第5回転軸回りに回転不能となり、先端リンクハブ12が原点位置に固定される。
【0042】
予圧工程S3では、複数の駆動源30の各々が複数のリンク13の各々の第1端部リンク部材13aを第1回転軸回りに回転させるトルクを発生させることにより、複数のリンク13の各々に予圧が行われる。記録工程S4では、上記の予圧が行われている状態での複数の駆動源30の各々のトルクが記録又は出力される。
【0043】
記録工程S4では、複数の駆動源30の各々のトルクに代えて、複数の駆動源30の各々の動作量が記録又は出力されてもよく、複数のリンク13の各々の位置が記録又は出力されてもよい。この際に記録又は出力された複数の駆動源30の各々のトルク(複数の駆動源30の各々の動作量、複数のリンク13の各々の位置)は、リンク作動装置100の動作時における複数の駆動源30の各々の出力に反映される。これにより、リンク作動装置100の動作時における各回転対偶部のガタつきを抑制できる。
【0044】
<リンク作動装置100の効果>
リンク作動装置100では、原点位置決め部材20を複数の中間リンクハブ14の第1貫通穴14aaに挿入することにより、先端リンクハブ12の原点位置決めができる。そのため、リンク作動装置100では、先端リンクハブ12の原点位置決めに際して、原点位置決め部材20が先端リンクハブ12に取り付けられているエンドエフェクタと干渉することが抑制されている。
【0045】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るリンク作動装置(以下においては、「リンク作動装置100A」とする)を説明する。ここでは、リンク作動装置100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0046】
図8は、リンク作動装置100Aの斜視図である。図9は、リンク作動装置100Aの正面図である。図10は、図9のX-Xにおける断面図である。図11は、リンク作動装置100Aの平面図である。図12は、図11のXII-XIIにおける断面図である。なお、図8図12中では、駆動源30の図示が省略されている。図8図12に示されるように、リンク作動装置100Aでは、複数の中間リンクハブ14の各々の連結部14aに、第2貫通穴14adが形成されている。
【0047】
第2貫通穴14adは、第5回転軸の方向に沿って連結部14aを貫通している。第2貫通穴14adは、連結部14aの中心からずれた位置にある。複数の中間リンクハブ14の各々の第2貫通穴14adは、先端リンクハブ12が原点位置にある際に、相互に重なるように形成されている。
【0048】
リンク作動装置100Aでは、原点位置決め部材20が、先端リンクハブ12が原点位置にある際に、複数の中間リンクハブ14の各々の第2貫通穴14adに挿入される。これにより、複数の中間リンクハブ14が第5回転軸回りに相互に回転不能になる。なお、リンク作動装置100Aでは、原点位置決め部材20が棒状である。
【0049】
リンク作動装置100Aでは、基端リンクハブ11に第3貫通穴11aが形成されており、先端リンクハブ12に第4貫通穴12aが形成されている。第3貫通穴11aは、基端リンクハブ11の中心からずれた位置に形成されている。第4貫通穴12aは、先端リンクハブ12の中心からずれた位置にある。先端リンクハブ12が原点位置にある際に、第3貫通穴11a及び第4貫通穴12aは、複数の中間リンクハブ14の各々の第2貫通穴14adと重なる位置にある。先端リンクハブ12が原点位置にある際に、原点位置決め部材20は、複数の中間リンクハブ14の各々の第2貫通穴14adに加え、第3貫通穴11a及び第4貫通穴12aに挿入される。
【0050】
リンク作動装置100Aでは、先端リンクハブ12が原点位置にある際に、原点位置決め部材20が複数の中間リンクハブ14の各々の第2貫通穴14adに挿入されることにより、複数の中間リンクハブ14が第5回転軸回りに相互に回転不能になる。そのため、リンク作動装置100Aでは、先端リンクハブ12の原点位置決めに際して、原点位置決め部材20が先端リンクハブ12に取り付けられているエンドエフェクタと干渉することが抑制されている。
【0051】
また、リンク作動装置100Aでは、先端リンクハブ12が原点位置にある際に、原点位置決め部材20が複数の中間リンクハブ14の各々の第2貫通穴14adに加えて第3貫通穴11a及び第4貫通穴12aに挿入される。そのため、リンク作動装置100Aでは、原点位置決め部材20による先端リンクハブ12の原点位置決めが、さらに強固に行われることになる。なお、第4貫通穴12aは先端リンクハブ12の中心からずれた位置にあるため、先端リンクハブ12の原点位置決めに際して、原点位置決め部材20は、先端リンクハブ12に取り付けられているエンドエフェクタと干渉しにくい。
【0052】
(第3実施形態)
第3実施形態に係るリンク作動装置(以下においては、「リンク作動装置100B」とする)を説明する。ここでは、リンク作動装置100Aと異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0053】
図13は、リンク作動装置100Bの斜視図である。図14は、リンク作動装置100Bの正面図である。図15は、リンク作動装置100Bの平面図である。図16は、図14のXVI-XVIにおける断面図である。図17は、図15のXVII-XVIIにおける断面図である。図13図17に示されるように、リンク作動装置100Bでは、連結部14aが複数のリンク13の外側に配置されている。リンク作動装置100Bでは、連結部14aが環状である。
【0054】
リンク作動装置100Bでは、第2貫通穴14adが、連結部14aの外周面にスリット状に形成されている。リンク作動装置100Bでは、第2貫通穴14adが、連結部14aの外周面から連結部14aの径方向内側に延在している。
【0055】
リンク作動装置100Bでは、原点位置決め部材20が板状である。リンク作動装置100Bでは、原点位置決め部材20が、先端リンクハブ12が原点位置にある際に、複数の中間リンクハブ14の各々の第2貫通穴14adに挿入される。これにより、複数の中間リンクハブ14が第5回転軸回りに相互に回転不能になる。
【0056】
上記のとおり、リンク作動装置100Bでは、先端リンクハブ12が原点位置にある際に、原点位置決め部材20が複数の中間リンクハブ14の各々の第2貫通穴14adに挿入されることにより、複数の中間リンクハブ14が第5回転軸回りに相互に回転不能になる。また、リンク作動装置100Bでは、連結部14aが複数のリンク13の外側に配置されている。そのため、リンク作動装置100Bでは、先端リンクハブ12の原点位置決めに際して、原点位置決め部材20が先端リンクハブ12に取り付けられているエンドエフェクタと干渉することが抑制されている。
【0057】
(第4実施形態)
第4実施形態に係るリンク作動装置(以下においては、「リンク作動装置100C」とする)を説明する。ここでは、リンク作動装置100Aと異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0058】
図18は、リンク作動装置100Cの斜視図である。図19は、リンク作動装置100Cの正面図である。図20は、リンク作動装置100Cの側面図である。図21は、図19のXXI-XXIにおける断面図である。図22は、図20のXXII-XXIIにおける断面図である。図23は、図22の領域XXIIIにおける拡大図である。図18図23に示されるように、リンク作動装置100Cでは、球面リンク機構10が格納部材15をさらに有している。格納部材15は、基端リンクハブ11に取り付けられている。
【0059】
リンク作動装置100Cでは、複数の中間リンクハブ14のうちの1つの中間リンクハブ14を第1中間リンクハブとし、複数の中間リンクハブ14のうちのその他の中間リンクハブ14を第2中間リンクハブとする。リンク作動装置100Cでは、第1中間リンクハブの連結部14aが、軸部14cを有している。軸部14cは、第5回転軸の方向に延在する筒状である。
【0060】
第2中間リンクハブの連結部14aは、軸部14c回りに回転可能に軸部14cに取り付けられている。これにより、複数の中間リンクハブ14の各々の連結部14aは、第5回転軸回りに相互に回転可能になっている。なお、軸部14cと第2中間リンクハブの連結部14aとの間には、回転抵抗低減部材16が配置されている。これにより、軸部14cと第2中間リンクハブの連結部14aとの間の回転抵抗が低減されている。回転抵抗低減部材16は、例えば、転がり軸受又は滑り軸受である。
【0061】
リンク作動装置100Cでは、先端リンクハブ12が原点位置にある際に、原点位置決め部材20が、第2貫通穴14adに挿入される。これにより、複数の中間リンクハブ14が第5回転軸回りに相互に回転不能になる。なお、原点位置決め部材20は、先端リンクハブ12が原点位置にある際に、第2貫通穴14adに加えて、軸部14cに挿入されてもよい。
【0062】
リンク作動装置100Cでは、原点位置決め部材20が、握把部23を有していてもよい。リンク作動装置100Cでは、先端リンクハブ12が原点位置にある際に握把部23を上方に持ち上げることにより、原点位置決め部材20が第2貫通穴14ad及び軸部14cに挿入される。
【0063】
リンク作動装置100Cでは、原点位置決め部材20が、格納部材15に格納されている。すなわち、リンク作動装置100Cでは、原点位置決め部材20が球面リンク機構10に保持されている。但し、原点位置決め部材20のうちの第2貫通穴14ad及び軸部14cに挿入される部分及び握把部23は、格納部材15の外部に位置している。
【0064】
上記のとおり、リンク作動装置100Cでは、先端リンクハブ12が原点位置にある際に、原点位置決め部材20が複数の中間リンクハブ14の各々の第2貫通穴14adに挿入されることにより、複数の中間リンクハブ14が第5回転軸回りに相互に回転不能になる。そのため、リンク作動装置100Bでは、先端リンクハブ12の原点位置決めに際して、原点位置決め部材20が先端リンクハブ12に取り付けられているエンドエフェクタと干渉することが抑制されている。
【0065】
また、リンク作動装置100Cでは、原点位置決め部材20が球面リンク機構10(格納部材15)に保持されている。そのため、リンク作動装置100Cでは、原点位置決め部材20の紛失及び落下が抑制されている。
【0066】
(第5実施形態)
第5実施形態に係るリンク作動装置(以下においては、「リンク作動装置100D」とする)を説明する。ここでは、リンク作動装置100Aと異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0067】
図24は、リンク作動装置100Dの斜視図である。図25は、リンク作動装置100Dの平面図である。図26は、図25のXXVI-XXVIにおける断面図である。図24図26に示されるように、リンク作動装置100Dは、光源40と、検出器50と、架台60とを有している。しかしながら、リンク作動装置100Dは、原点位置決め部材20を有していない。
【0068】
リンク作動装置100Dでは、球面リンク機構10及び検出器50が架台60上に配置されている。リンク作動装置100Dでは、連結部14aが複数のリンク13の外側に配置されている。リンク作動装置100Dでは、連結部14aが環状である。
【0069】
光源40は、光41を発生させる。光源40は例えばレーザ発振器であり、光41はレーザ光である。複数の中間リンクハブ14の各々の第2貫通穴14adは、先端リンクハブ12が原点位置にある際に、相互に重なっている。光41は、先端リンクハブ12が原点位置にある際に、複数の中間リンクハブ14の各々の第2貫通穴14adを通り、検出器50に照射される。他方で、先端リンクハブ12が原点位置にないと、光41は、複数の中間リンクハブ14の各々の連結部14aにより遮られ、検出器50に照射されない。
【0070】
検出器50は、光41が照射されることにより、光41が照射されていることを示す信号を出力する。検出器50は、例えば、フォトダイオードである。そのため、検出器50からの出力信号に基づき、先端リンクハブ12が原点位置にあることが検出される。
【0071】
連結部14aには、エンコーダ14aeが設けられている。先端リンクハブ12が原点位置にある際に、エンコーダ14aeの値が記録される。また、リンク作動装置100Dが動作している際のエンコーダ14aeの値と先端リンクハブ12が原点位置にある際に記録されたエンコーダ14aeの値との比較を行うことにより、リンク作動装置100Dの動作中における先端リンクハブ12の位置を決定することができる。
【0072】
リンク作動装置100Dでは、複数の中間リンクハブ14の第2貫通穴14adに光41を通すことにより、先端リンクハブ12の原点位置決めができる。そのため、リンク作動装置100では、先端リンクハブ12の原点位置決めに際して原点位置決め部材20を用いる必要がなく、原点位置決め部材20が先端リンクハブ12に取り付けられているエンドエフェクタと干渉することが抑制される。
【0073】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0074】
上記の実施形態は、球面リンク機構を有するリンク作動装置に特に有利に適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 球面リンク機構、11 基端リンクハブ、11a 第3貫通穴、12 先端リンクハブ、12a 第4貫通穴、13 リンク、13a 第1端部リンク部材、13b 第2端部リンク部材、13c 中間リンク部材、14 中間リンクハブ、14a 連結部、14aa 第1貫通穴、14ab 第1溝、14ad 第2貫通穴、14ae エンコーダ、14b ビーム部、14c 軸部、15 格納部材、16 回転抵抗低減部材、20 原点位置決め部材、20a 第1端、20b 第2端、21 第1部分、22 第2部分、23 握把部、30 駆動源、40 光源、41 光、50 検出器、60 架台、100,100A,100B,100C,100D リンク作動装置、S1 準備工程、S2 原点位置決め部材挿入工程、S3 予圧工程、S4 記録工程。
図1
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