(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】冷蔵庫、および冷蔵庫の製造方法
(51)【国際特許分類】
F25D 23/06 20060101AFI20250106BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
F25D23/06 P
F25D17/08 304
(21)【出願番号】P 2021037468
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】加登 和政
(72)【発明者】
【氏名】森田 洋平
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-075937(JP,A)
【文献】特開2018-100808(JP,A)
【文献】特開2014-025604(JP,A)
【文献】特開昭61-083865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/06
F25D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍室と、前記冷凍室の上方に隣接する野菜室または冷蔵室と、を仕切る棚と、
前記冷凍室の後方のエバポレータと、
前記エバポレータの上方のファンと、を備え、
前記棚の下面の後部には
、後方に行くにつれて上方に上がっていく傾斜面が形成され、前記棚の下面の後部は該傾斜面によって上方に向けて凹ませた形状に構成されており、
前記ファンの上部は、前記
上方に向けて凹ませた形状内に配置されており、
前記
傾斜面の上方に位置する前記棚の上面には上方に突出する凸部が形成されており、前記凸部の内側にウレタンが充填される、冷蔵庫。
【請求項2】
前記ファンからの冷気が、前記
傾斜面に沿って冷凍庫内に吹き出される、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
上端が前記棚よりも下方に位置するように前記エバポレータの前方に取り付けられる第1のカバーと、
下端が前記第1のカバーの下端よりも上方に位置し、かつ、上端が前記
傾斜面の後方に位置するように前記第1のカバーの上部に取り付けられる第2のカバーと、をさらに備える、請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
冷凍室にジグを入れるステップと、
前記冷凍室と、前記冷凍室の上方に隣接する野菜室または冷蔵室と、を仕切る棚の下面の後部に
構成されている、前記棚の下面を上方に向けて凹ませた
形状に
、前記ジグを当接させるステップと、
前記冷凍室を囲う箱体および前記棚の内部にウレタンを注入して発泡をさせるステップと、
前記ジグを取り外すステップと、
前記冷凍室の後方にエバポレータを取り付けるステップと、
第1のカバーにファンを取り付けるステップと、
前記冷凍室の後方かつ前記エバポレータの前方に、上端が前記棚よりも下方となる位置に前方から前記第1のカバーを取り付けるステップと、
前記棚の前記
上方に向けて凹ませた形状内に下から挿入するように、前記第1のカバーの上部に、第2のカバーを取り付けるステップと、を備える冷蔵庫の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、冷蔵室や野菜室と、冷凍室とを有する冷蔵庫が知られている。たとえば、特開平9-113109号公報には、冷蔵庫が開示されている。特許文献1によると、野菜室の後方に熱交換器やファンモータが配置され、ファンモータから吐出された冷気は野菜室の後方の通路を通って冷凍室に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷凍室は最も温度が低い貯蔵室に設定されるため、冷気が効率的に供給されることが望まれる。一方で、野菜室は他の貯蔵室と比べて比較的高い温度に設定されることから、ファンモータからの冷気が野菜室と熱交換することは避けることが望ましい。本発明の目的は、比較的大きな冷却機構を有しながら、下部の冷凍庫に効率的に冷気を供給することができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面においては、冷凍室と、野菜室または冷蔵室と、を仕切る棚と、冷凍室の後方のエバポレータと、エバポレータの上方のファンと、を備え、棚の下面の後部に、後上方に向かう斜面が形成されており、斜面の内側にウレタンが充填される、冷蔵庫が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、比較的大きな冷却機構を有しながら、下部の冷凍庫に効率的に冷気を供給することができる冷蔵庫が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施の形態にかかる冷蔵庫の正面図である。
【
図2】本実施の形態にかかる冷蔵庫の断熱箱体およびその内部を示す正面図である。
【
図3】本実施の形態にかかる冷蔵庫の断熱箱体およびその内部を示す右上方斜視図である。
【
図4】本実施の形態にかかる冷蔵庫の断熱箱体およびその内部を示す左下方斜視図である。
【
図5】本実施の形態にかかる冷凍室の内部を示す左上方斜視図である。
【
図6】本実施の形態にかかる冷蔵庫の(A)側面断面図と(B)側面断面斜視図と(C)側面斜視図である。
【
図7】本実施の形態にかかる冷蔵庫のVF棚の近傍を拡大して示した右側面断面図である。
【
図8】本実施の形態にかかる冷蔵庫のVF棚の右上方斜視図である。
【
図9】本実施の形態にかかる冷蔵庫のVF棚の右下方斜視図である。
【
図10】本実施の形態にかかる冷蔵庫の仕切りフレームの取り付け部の近傍を示す左上方斜視図である。
【
図11】本実施の形態にかかる冷蔵庫の製造方法を示すフローチャートである。
【
図12】本実施の形態にかかる補強部材を取り付けた状態の冷凍室の内部を示す左上方斜視図である。
【
図13】本実施の形態にかかる治具を示す右上方斜視図である。
【
図14】本実施の形態にかかる治具を冷凍庫に挿入し始めた状態の(A)右側面断面図と(B)右側面断面斜視図と(C)右側面斜視図である。
【
図15】本実施の形態にかかる治具を冷凍庫の奥まで挿入した状態の(A)右側面断面図と(B)右側面断面斜視図と(C)右側面斜視図である。
【
図16】本実施の形態にかかる治具を上昇させた状態の(A)右側面断面図と(B)右側面断面斜視図と(C)右側面斜視図である。
【
図17】本実施の形態にかかるエバポレータやエバカバーなどを取り付けている状態の(A)右側面断面図と(B)右側面断面斜視図と(C)右側面斜視図である。
【
図18】本実施の形態にかかる下エバカバーを示す正面斜視図である。
【
図19】本実施の形態にかかる上エバカバーを示す正面斜視図である。
【
図20】本実施の形態にかかるエバカバーを示す正面斜視図である。
【
図21】本実施の形態にかかるファンを取り付けたエバカバーを示す背面斜視図である。
【
図22】本実施の形態にかかるVダクトを示す正面斜視図である。
【
図23】本実施の形態にかかるVダクトを示す背面斜視図である。
【
図24】本実施の形態にかかるVダクトを取り付けている途中を示す左側面図である。
【
図25】本実施の形態にかかる仕切りフレームを取り付ける直前の冷凍室を示す左上方斜視図である。
【
図26】本実施の形態にかかる仕切りフレームを取り付けた直後の冷凍室を示す左上方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[第1の実施の形態]
<冷蔵庫の全体構成>
【0009】
先ず、第1の実施の形態にかかる冷蔵庫1の全体構成を説明する。
図1には、冷蔵庫1を正面から見た外観を示す。
【0010】
冷蔵庫1の外形は、主として断熱箱体90で構成されている。この断熱箱体90によって冷蔵庫1の貯蔵空間が形成される。断熱箱体90によって形成される貯蔵空間は、水平方向に延びる複数の仕切りによって、例えば、上段から順に、冷蔵室11と、野菜室12と、第1の冷凍エリア13と、製氷貯氷エリア14と、第2の冷凍エリア15と、に区分けされている。なお、以下では、第1の冷凍エリア13と、製氷貯氷エリア14と、第2の冷凍エリア15とを合わせて冷凍室20ともいう。
【0011】
冷蔵室11には、左右に分割された観音開き式の冷蔵室扉11aおよび11bが設けられている。野菜室12には、引き出し式の野菜室扉12aが設けられている。第1の冷凍エリア13には、引き出し式の冷凍室扉13aが設けられている。製氷貯氷エリア14には、引き出し式の製氷室扉14aが設けられている。第2の冷凍エリア15には、引き出し式の冷凍室扉15aが設けられている。
【0012】
そして、本実施の形態では、引き出し式の各扉(すなわち、野菜室扉12a、冷凍室扉13a、製氷室扉14a、および冷凍室扉15aなど)には、その上端部に取っ手部31が設けられている。
【0013】
なお、以下では、扉が設けられている面を冷蔵庫の正面または前面と呼ぶ。そして、前面を基準にして、冷蔵庫1を通常の状態で設置した場合に存在する位置に基づいて、冷蔵庫1の各面を、上面、側面、背面、及び底面とする。また、冷蔵庫1を設置面に載置した状態で、冷蔵庫1を正面から見て左右の方向(上下方向と直交する横方向)のことを、冷蔵庫1(または、野菜室扉12aなど)の左右方向という。また、冷蔵庫1を設置面に載置した状態で、冷蔵庫1の上下の方向(左右方向と直交する縦方向)のことを、冷蔵庫1(または、野菜室扉12aなど)の上下方向という。また、冷蔵庫1の前面側から見て左側に位置する側を、冷蔵庫1の左側と呼び、冷蔵庫1の前面側から見て右側に位置する側のことを、冷蔵庫1の右側と呼ぶ。
<冷蔵庫の内部構成>
【0014】
次に、
図2から
図7を参照しながら、本実施の形態にかかる冷蔵庫1の内部構造について説明する。冷蔵庫1は、断熱箱体90の上下略中央部に、冷蔵室11と野菜室12とを仕切るためのRV棚21が設けられる。また、野菜室12と冷凍室20とを仕切るためのVF棚22が設けられる。
【0015】
VF棚22の前端部の下方には、冷凍室20の開放部を仕切るための仕切りフレーム23が取り付けられる。仕切りフレーム23は、扉13a,14a,15aが位置する、冷蔵庫1の正面部分に、水平方向に架設される細長いフレームである。仕切りフレーム23は、下方の第1の冷凍エリア13と、上方の製氷貯氷エリア14および第2の冷凍エリア15と、を区分けする。
【0016】
特に、本実施の形態においては、断熱箱体90やVF棚22の内部に注入されるウレタンの発泡後に、仕切りフレーム23が断熱箱体90やライナー94に対して固定されるものである。
【0017】
本実施の形態においては、第1の冷凍エリア13に配置されるケースを前後方向にスライドさせるためのレール96や、製氷貯氷エリア14に配置されるケースを前後方向にスライドさせるためのレールは、断熱箱体90のライナー94に直接形成されており、第2の冷凍エリア15に配置されるケースを前後方向にスライドさせるためのレール97は、ウレタン発泡前にライナー94に取り付けられる別部材で構成される。レール97は、断熱箱体90のライナー94よりも強度が高くなるように、ライナー94よりも厚く構成されたり、ライナー94よりも固い材質で構成されたりすることが好ましい。
【0018】
また、本実施の形態においては、仕切りフレーム23の下部には、第1の冷凍エリア13の扉13aの開閉を検知するための扉開閉センサ27が取り付けられる。扉開閉センサ27への電力線や信号線(
図10を参照。)は、断熱箱体90の外側の図示しない制御基板から、断熱箱体90のウレタン内を通って、扉開閉センサ27に接続される。特に、本実施の形態においては、ウレタン発泡後に、当該電力線や信号線を扉開閉センサ27に接続するように構成されている。
【0019】
本実施の形態にかかる冷蔵庫1に関しては、下段に設けられる冷凍室20の後方に、圧縮機41や、エバポレータ42や、ファン43などの冷却機構40が配置される。圧縮機41は、断熱箱体90の外部に配置され、エバポレータ42や、ファン43は、断熱箱体90の内側であって、エバカバー45よりも後方に配置される。エバカバー45に関しては、冷凍室20の背面の下部を覆う下エバカバー45Aと、冷凍室20の背面の上部を覆う上エバカバー45Bとが取り付けられる。
【0020】
特に、本実施の形態の冷蔵庫1に関しては、
図6および
図7に示すように、冷凍室20の高さよりも高い位置にまで達するサイズの冷却機構40が搭載されている。より詳細には、冷凍室20の前部の上端すなわちVF棚22の下面の前半分よりも高い位置まで、上エバカバー45Bや、冷気の吹き出し口や、ファン43が配置される。言い換えれば、冷蔵庫1は、冷凍室20の前側の天井よりも、高い位置にまで達する比較的大きな冷却機構40を搭載する。
【0021】
そして、本実施の形態においては、
図7から
図9に示すように、エバポレータ42で冷やされた冷気がスムーズに冷凍室20に流れ込むように、冷凍室20の天井すなわちVF棚22の下面22Bの後部を上方に向けて凹ませた形状に構成している。より詳細には、VF棚22の下面22Bは、その後部の中央部に、後方に行くにつれて、上方に上がっていく傾斜面22Cが形成されている。換言すれば、VF棚22の下面22Bのうちの、ファン43からの冷気を冷蔵室11に送るダクトやファンやその近傍を上方に向けて凹ませている。
【0022】
このように、本実施の形態においては、比較的大きなサイズの冷却機構40を備えていながら、かつ野菜室のサイズを確保しつつ、エバポレータ42で冷やされた冷気をスムーズに冷凍室20に流れ込ませることができる。
【0023】
そして、さらに、本実施の形態においては、野菜室12の後方に取り付けられる、エバポレータ42で冷やされた冷気を冷蔵室11の上方まで送るためのVダクト51の下部の前面を、ウレタン充填部材で覆うことによって、Vダクト51の内部空間と、野菜室12との間の断熱性能を向上させている。より詳細には、本実施の形態においては、VF棚22の後部に凸部22Xを形成することによって、当該凸部22X内にまでウレタン25が充填されている。
【0024】
換言すれば、本実施の形態にかかるVF棚22は、左右中央部の、Vダクト51の直前において、上方に折れ曲がるように形成されている。つまり、VF棚22の、左右中央部の、Vダクト51の直前において、VF棚22の上面が上方に折り曲げられて凸部22Xが形成され、VF棚22の下面が上方に折り曲げられて傾斜面22Cが形成される。そして、傾斜面22Cによって、ファン43や、吹き出し口や、上エバカバー45Bを配置するためのエリアを確保しつつ、凸部22Xに充填されるウレタン25よってVダクト51の内部と野菜室12との断熱を実現している。
【0025】
より詳細には、Vダクト51内のRダンパ52のフラップ53が閉じられた状態において、当該フラップ53の上端と凸部22Xの上端とが同じ高さであるか、凸部22Xの上端の方が高い位置にあるか、フラップ53上端の方が高い場合であっても数mm程度だけ高いように構成されることが好ましい。換言すれば、フラップ53が閉じられた状態において、ファン43からの冷気が達するエリアの上端の近傍まで凸部22Xの上端が達することが好ましい。さらに換言すれば、冷蔵庫1の正面視において、VF棚22から上方に立ち上がった凸部22Xによって、フラップ53が閉じられた状態における、ファン43からの冷気が直接的に達するエリアの内の、VF棚22よりも高い部分がカバーされていることが好ましい。
【0026】
通常の冷蔵庫に関しては、Rダンパ52を閉じても、Rダンパ52またはフラップ53の下面まで、エバポレータ42で冷やされた冷気が流れてくるため、Vダクト51の下部が冷えすぎて、Vダクト51の正面に結露が生じやすくなってしまう。しかしながら、本実施の形態にかかる冷蔵庫1に関しては、上記の構成により、Vダクト51の下部が冷えることによる、野菜室12内の結露が生じる可能性を低減することができる。
【0027】
そして、本実施の形態にかかる冷蔵庫1に関しては、ウレタン発泡後に、冷凍室20に仕切りフレーム23を固定するために、以下のように構成されている。
【0028】
図10を参照して、本実施の形態においては、仕切りフレーム23に、第1の冷凍エリア13の扉13aの開閉を検知するための扉開閉センサ27が取り付けられる。そして、冷凍室20のライナー94から、扉開閉センサ27に接続されるための電線28やコネクタ29が引き出される。より詳細には、断熱箱体90の冷凍室20のライナー94のうちの、仕切りフレーム23が取り付けられる箇所の後方から、電線28やコネクタ29が引き出される。本実施の形態においては、電線28やコネクタ29は、ライナー94に開けられた孔から出てから、レール97の前部に形成された引き出し口97Bから引き出される。
【0029】
ライナー94またはレール97に形成された引き出し口97Bの後方には、ウレタン発泡時に電線28やコネクタ29を収納するための収納部95Xが形成される。本実施の形態においては、収納部95Xの下面および背面は、第2の冷凍エリア15は、ライナー94に形成されたリブ95によって構成され、収納部95Xの上面はレール97の下面によって構成され、収納部95Xの前面はレール97の前部が下方に延設された延設部97Aの背面によって構成される。このようにして、冷凍室20の側面に凹部が形成されて、ウレタン発泡時に、当該凹部に電線28やコネクタ29が収納される。
【0030】
上述したとおり、レール97は、ライナー94よりも厚く成形されたり、ライナー94よりも固い部材で形成されたりしており、当該ライナー94の前面には、仕切りフレーム23を固設するためのビス孔97Cが形成される。
【0031】
そして特に、本実施の形態においては、電線28やコネクタ29の引き出し口97Bは、正面視において、仕切りフレーム23の右端部と重なる位置に形成される。つまり仕切りフレーム23を断熱箱体90に取り付けた状態において、冷蔵庫1の正面からは、引き出し口91が見えないように構成されている。
【0032】
また、電線28やコネクタ29の収納部95Xは、正面視において、仕切りフレーム23の端部と重なる位置に形成される。つまり仕切りフレーム23を断熱箱体90に取り付けた状態において、冷蔵庫1の正面からは、収納部95Xが見えにくいように構成されている。
【0033】
冷凍室20を構成するライナー94の前端部分のうちの、仕切りフレーム23の左右両端部が嵌められて固定される部分には、凹部91R,91Lが形成されている。
<冷蔵庫の製造方法>
【0034】
このような構成において、本実施の形態にかかる冷蔵庫1は、以下のようにして、組み立てられたり製造されたりする。
【0035】
図11を参照して、まず、電線28やコネクタ29を引き出し口97Bから引き出して、電線28やコネクタ29を収納部95Xに収納する(ステップS102)。本実施の形態においては、作業者は、電線28やコネクタ29が収納部95Xからはみ出さないようにテープで蓋をする
【0036】
次に、
図12に示すように、仕切りフレーム23を固定するための凹部91L,91Rに、補強部材24L,24Rを取り付ける(ステップS104)。補強部材24L,24Rを取り付けることによって、ウレタン発泡時に凹部23L,23Rの形状が崩れないようにしている。
【0037】
図13に示すような治具200を準備する(ステップS106)。治具200は、その上部202が、下部201に対して上下方向に摺動するものである。当該上部202には、後部に凸形状202Bが形成されている。凸形状202Bは、VF棚22の下面22Bの後部の凹部と同じ形状をしている。
【0038】
図14から
図15に示すように、冷蔵庫1の前方から、冷凍室20、すなわちVF棚22よりも下方の領域、に治具200を入れていく(ステップS108)。
【0039】
治具200を奥まで入れると、
図16に示すように、治具200の上部202を持ち上げる。これによって、治具200の後部の凸形状202Bが、
図7および
図9に示した、冷凍室20の後部の天井、つまりVF棚22の下面22Bの後部の傾斜面22Cや凹部に当接する(ステップS110)。
【0040】
この状態で、断熱箱体90にウレタンが注入されて、発泡される(ステップS112)。
【0041】
ウレタン発泡後、治具200が断熱箱体から取り除かれる(ステップS114)。
【0042】
図17に示すように、冷凍室20の後端部に、エバポレータ42を取り付ける(ステップS116)。
【0043】
図17に示すように、下エバカバー45Aの上部の背面にファン43を取り付ける(ステップS118)。
【0044】
図17に示すように、下エバカバー45Aを冷凍室20の後端部に取り付ける(ステップS120)。
【0045】
図17から
図21に示すように、上エバカバー45Bを、下エバカバー45Aの上部の正面に取り付ける(ステップS122)。
図20および
図21を参照して、下エバカバー45Aと上エバカバー45Bとを合わせてエバカバー45ともいう。
【0046】
より詳細には、本実施の形態においては、下エバカバー45Aを冷凍室20の背面に取り付けた後に、上エバカバー45Bを取り付けるものである。本実施の形態にかかる上エバカバー45Bは、VF棚22の後部の傾斜面22Cよりも後方に取り付けられ、しかも上エバカバー45Bの上端部は、冷凍室20の天井よりも高い位置、すなわちVF棚22の下面22Bの前部よりも高い位置まで達するため、下エバカバー45Aを取り付けてから、VF棚22の下面22Bの後部の凹部に、上エバカバー45Bを取り付けるように構成している。
【0047】
そして、VF棚22の上面の後端部には、
図22および
図23に示すVダクト51が取り付けられる(ステップS124)。Vダクト51は、野菜室12の背面に取り付けられた状態で、下半分が上半分よりも前方まで飛び出している形状をしている。換言すれば、Vダクト51は、下部にいくほど前方に膨らんだ形状、すなわち上部にいくほど後方に凹んだ形状に構成されている。これによって、ファン43からの冷気をスムーズに冷蔵室11に向かうダクト通路51Yに流すことができる。
【0048】
特に、本実施の形態においては、Vダクト51の背面の下部には、突起51L,51Rが形成されている。
図24に示すように、作業者は、Vダクト51の前面の下端部51Xを、VF棚22の凸部22Xの背面に引っ掛けて、突起51L,51Rを、野菜室12の背面、すなわち断熱箱体90のライナー94に当接させた状態で、Vダクト51の上部を後方に押し込むことによって、当該突起51L,51Rを下方に摺動させていく。このとき、突起51L,51Rが支点となって、Vダクト51の上部にかかる力方向(後方)とは反対側の力(前方)が下端部51Xに発生する。したがって、下端部51Xが、VF棚22の凸部22Xの背面に確実に押し込まれる。このようにして、Vダクト51を野菜室12の背面に固定すると、Vダクト51がVF棚22の凸部22Xの背面に圧入されることになり、冷気漏れや断熱性の低下を防止できる。
【0049】
収納部95Xのテープを取り外して、電線28やコネクタ29を収納部95Xから取り出す(ステップS126)。
【0050】
コネクタ29を、仕切りフレーム23の扉開閉センサ27に接続する(ステップS128)。より詳細には、本実施の形態においては、
図25を参照して、仕切りフレーム23の端部にコネクタを通すための孔23Xが形成されている。作業者は、コネクタ29を孔23Xに通してから、扉開閉センサ27に接続する。したがって、余分な電線28やコネクタ29を仕切りフレーム23内に格納することができ、電線28やコネクタ29が使用者に視認されたり触れられたりすることを防止できる。
【0051】
扉開閉センサ27を仕切りフレーム23の下部に固定する(ステップS130)。
【0052】
図25から
図26に示すように、仕切りフレーム23の両端部を凹部91L,91Rの補強部材24L,24Rにはめ込む(ステップS132)。
【0053】
仕切りフレーム23の両端部を、ビスによって、レール97の前面のビス孔97Cにビス止めする(ステップS134)。
【0054】
このように、本実施の形態にかかる冷蔵庫1に関しては、比較的大きなサイズの冷却機構40を備えていながら、かつ野菜室のサイズを確保しつつ、エバポレータ42で冷やされた冷気をスムーズに冷凍室20に流れ込ませることができたり、Vダクト51の正面が冷えすぎることを防止したり、Vダクト51を取り付けやすくしたり、仕切りフレーム23に扉開閉センサ27を取り付けることが可能になる。
[第2の実施の形態]
【0055】
上記の実施の形態においては、仕切りフレーム23を固定する凹部91L,91Rを、ライナー94よりも冷凍室20の庫内側に取り付けるものであったが、仕切りフレーム23を固定する凹部91L,91Rはライナー94よりもウレタン側に取り付けるものであってもよい。
[第3の実施の形態]
【0056】
あるいは、レール97がさらに前方まで延設されて、補強部材24L,24Rと一体化されていてもよい。
[第4の実施の形態]
【0057】
上記の実施の形態においては、冷凍室20の上に、野菜室12が設けられるものであった。しかしながら、上記の各種の技術は、冷凍室20の上に、冷蔵室11が設けられる冷蔵庫1にも適用することができる。冷蔵室11と冷凍室20とを仕切るRF棚に関して、上面の後部に凸形状を設けてウレタンを充填したり、下面の後部に傾斜や凹部を設けてファンや上エバカバーや吹き出し口などを配置したりしてもよい。
[まとめ]
【0058】
上記の実施の形態おいては、冷凍室と、野菜室または冷蔵室と、を仕切る棚と、冷凍室の後方のエバポレータと、エバポレータの上方のファンと、を備え、棚の下面の後部に、後上方に向かう斜面が形成されており、斜面の内側にウレタンが充填される、冷蔵庫が提供される。
【0059】
好ましくは、ファンからの冷気が、斜面に沿って冷凍庫内に吹き出される。
【0060】
好ましくは、エバポレータの前方に取り付けられる第1のカバーと、第1のカバーの上部かつ斜面の後方に取り付けられる第2のカバーと、をさらに備える。
【0061】
上記の実施の形態おいては、冷凍室にジグを入れるステップと、ジグの後部を、冷凍室と、野菜室または冷蔵室と、を仕切る棚の下面の後部の後上方に向かう斜面に当接するまで上昇させるステップと、冷凍室を囲う箱体および棚の内部にウレタンを注入して発泡をさせるステップと、を備える冷蔵庫の製造方法が提供される。
【0062】
好ましくは、製造方法は、ジグの後部を下げてからジグを取り外すステップと、冷凍室の後方にエバポレータを取り付けるステップと、第1のカバーにファンを取り付けるステップと、冷凍室の後方かつエバポレータの前方に第1のカバーを取り付けるステップと、第1のカバーの上部かつ斜面の後方に、第2のカバーを取り付けるステップと、をさらに備える。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施の形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 :冷蔵庫
11 :冷蔵室
11a :冷蔵室扉
12 :野菜室
12a :野菜室扉
13 :第1の冷凍エリア
13a :冷凍室扉
14 :製氷貯氷エリア
14a :製氷室扉
15 :第2の冷凍エリア
15a :冷凍室扉
20 :冷凍室
21 :RV棚
22 :VF棚
22B :下面
22C :傾斜面
22X :凸部
23 :仕切りフレーム
23L :凹部
23R :凹部
23X :孔
24L :補強部材
24R :補強部材
25 :ウレタン
27 :扉開閉センサ
28 :電線
29 :コネクタ
31 :取っ手部
40 :冷却機構
41 :圧縮機
42 :エバポレータ
43 :ファン
45 :エバカバー
45A :下エバカバー
45B :上エバカバー
51 :Vダクト
51L :突起
51R :突起
51X :下端部
51Y :ダクト通路
52 :Rダンパ
53 :フラップ
90 :断熱箱体
91 :引き出し口
91L :凹部
91R :凹部
94 :ライナー
95 :リブ
95X :収納部
96 :レール
97 :レール
97A :延設部
97B :引き出し口
97C :ビス孔
200 :治具
201 :下部
202 :上部
202B :凸形状