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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20250106BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20250106BHJP
   H03K 17/12 20060101ALI20250106BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20250106BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20250106BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H03K17/12
H03K17/08 C
H03K17/687 F
H01L23/12 Q
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021152688
(22)【出願日】2021-09-17
(65)【公開番号】P2023044583
(43)【公開日】2023-03-30
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】井口 知洋
(72)【発明者】
【氏名】水上 誠
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109768038(CN,A)
【文献】国際公開第2019/163343(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/010210(WO,A1)
【文献】特開2020-155501(JP,A)
【文献】特開2004-134460(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0099071(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H03K 17/12
H03K 17/08
H03K 17/687
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
第1の主端子と、
第2の主端子と、
出力端子と、
前記絶縁基板の上に設けられ、第1の接続領域を有し、前記第1の接続領域で前記第1の主端子に電気的に接続された第1の金属層と、
前記絶縁基板の上に設けられ、第2の接続領域を有し、前記第2の接続領域で前記第2の主端子と電気的に接続された第2の金属層と、
前記絶縁基板の上に設けられ、前記第1の金属層と前記第2の金属層の間に位置し、第3の接続領域を有し、前記第3の接続領域で前記出力端子に電気的に接続された第3の金属層と、
第1の上部電極と第1の下部電極と第1のゲート電極と第1の炭化珪素層を含み、第1のショットキーバリアダイオードを含み、前記第1の下部電極が前記第1の金属層に電気的に接続され、第1の方向に配列された複数の第1の半導体チップと、
第2の上部電極と第2の下部電極と第2のゲート電極と第2の炭化珪素層を含み、第2のショットキーバリアダイオードを含み、前記第2の下部電極が前記第3の金属層に電気的に接続され、前記第1の方向に配列された複数の第2の半導体チップと、
前記第1の上部電極と、前記第3の金属層を電気的に接続する第1の接続線と、
前記第2の上部電極と、前記第2の金属層を電気的に接続する第2の接続線と、
前記絶縁基板の上に設けられ、前記第1の金属層と前記第3の金属層との間に設けられ、前記第1のゲート電極と電気的に接続された第4の金属層と、
前記絶縁基板の上に設けられ、前記第2の金属層と前記第3の金属層との間に設けられ、前記第2のゲート電極と電気的に接続された第5の金属層と、
を備え、
前記第1の半導体チップの前記第1の方向に垂直で前記絶縁基板に平行な第2の方向に、前記第2の半導体チップが存在し、
前記第1の接続領域と前記第2の接続領域を結ぶ第3の方向と前記第1の方向とのなす角度が20度以下であり、
複数の前記第2の半導体チップの中で、前記第1の方向において前記第1の金属層に最も近い前記第2の半導体チップの前記第2の上部電極に接続される前記第2の接続線の伸長方向と、前記第2の方向のなす角度が20度以下である、半導体装置。
【請求項2】
複数の前記第2の半導体チップの中で、前記第1の方向において前記第1の金属層に最も近い前記第2の半導体チップの、前記第2の方向に、前記第2の金属層が存在する請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記第2の半導体チップの中で、前記第1の方向において前記第1の金属層に最も近い前記第2の半導体チップの、前記第2の上部電極と前記第2の接続線の接点の前記第2の方向に、前記第2の金属層が存在する請求項1又は請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
複数の前記第2の半導体チップの中で、前記第1の方向において前記第1の金属層に最も近い前記第2の半導体チップの、前記第1の金属層に近い方の端部の前記第2の方向に、前記第2の金属層が存在する請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の接続領域と前記第2の金属層の前記第1の金属層の側の端部との間の前記第1の方向の第1の距離は、複数の前記第2の半導体チップの中で、前記第1の方向において前記第1の金属層に最も近い前記第2の半導体チップの、前記第1の金属層から遠い方の端部と前記第2の金属層の前記第1の金属層の側の前記端部との間の第2の距離よりも大きい請求項1ないし請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2の接続領域と前記第2の金属層の前記第1の金属層の側の端部との間の前記第1の方向の第1の距離は、前記第2の接続領域と前記第2の金属層の前記第1の金属層と反対側の端部との間の前記第1の方向の第3の距離よりも大きい請求項1ないし請求項5いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の接続線の伸長方向と前記第2の方向のなす角度が20度以下である請求項1ないし請求項いずれか一項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイス用の材料として炭化珪素が期待されている。炭化珪素はシリコンと比較して、バンドギャップが3倍、破壊電界強度が約10倍、熱伝導率が約3倍と優れた物性を有する。この特性を活用すれば、例えば、高耐圧、低損失かつ高温動作可能なMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を実現することができる。
【0003】
炭化珪素を用いた縦型のMOSFETは、pn接合ダイオードをボディダイオードとして有する。例えば、MOSFETは誘導性負荷に接続されたスイッチング素子として用いられる。この場合、MOSFETのオフ時であっても、ボディダイオードを用いることで還流電流を流すことが可能となる。
【0004】
しかし、ボディダイオードを用いて還流電流を流すと、キャリアの再結合エネルギーにより炭化珪素層中に積層欠陥が成長し、MOSFETのオン抵抗が増大するという問題がある。MOSFETのオン抵抗の増大は、MOSFETの信頼性の低下を招く。
【0005】
ユニポーラ動作するショットキーバリアダイオード(SBD)を内蔵したMOSFETがある。バイポーラ動作するpn接合ダイオードに代えてSBDを用いて還流電流を流すことで、積層欠陥の成長が抑制され、MOSFETの信頼性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-155501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様の半導体装置は、絶縁基板と、第1の主端子と、第2の主端子と、出力端子と、前記絶縁基板の上に設けられ、第1の接続領域を有し、前記第1の接続領域で前記第1の主端子に電気的に接続された第1の金属層と、前記絶縁基板の上に設けられ、第2の接続領域を有し、前記第2の接続領域で前記第2の主端子と電気的に接続された第2の金属層と、前記絶縁基板の上に設けられ、前記第1の金属層と前記第2の金属層の間に位置し、第3の接続領域を有し、前記第3の接続領域で前記出力端子に電気的に接続された第3の金属層と、第1の上部電極と第1の下部電極と第1のゲート電極と第1の炭化珪素層を含み、第1のショットキーバリアダイオードを含み、前記第1の下部電極が前記第1の金属層に電気的に接続され、第1の方向に配列された複数の第1の半導体チップと、第2の上部電極と第2の下部電極と第2のゲート電極と第2の炭化珪素層を含み、第2のショットキーバリアダイオードを含み、前記第2の下部電極が前記第3の金属層に電気的に接続され、前記第1の方向に配列された複数の第2の半導体チップと、前記第1の上部電極と、前記第3の金属層を電気的に接続する第1の接続線と、前記第2の上部電極と、前記第2の金属層を電気的に接続する第2の接続線と、前記絶縁基板の上に設けられ、前記第1の金属層と前記第3の金属層との間に設けられ、前記第1のゲート電極と電気的に接続された第4の金属層と、前記絶縁基板の上に設けられ、前記第2の金属層と前記第3の金属層との間に設けられ、前記第2のゲート電極と電気的に接続された第5の金属層と、を備え、前記第1の半導体チップの第1の方向に垂直で前記絶縁基板に平行な第2の方向に、前記第2の半導体チップが存在し、前記第1の接続領域と前記第2の接続領域を結ぶ第3の方向と前記第1の方向とのなす角度が20度以下であり、前記第1の接続線の伸長方向と前記第2の方向のなす角度が20度以下であり、複数の前記第2の半導体チップの中で、前記第1の方向において前記第1の金属層に最も近い前記第2の半導体チップの前記第2の上部電極に接続される前記第2の接続線の伸長方向と、前記第2の方向のなす角度が20度以下である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の半導体装置は、絶縁基板と、第1の主端子と、第2の主端子と、出力端子と、前記絶縁基板の上に設けられ、第1の接続領域を有し、前記第1の接続領域で前記第1の主端子に電気的に接続された第1の金属層と、前記絶縁基板の上に設けられ、第2の接続領域を有し、前記第2の接続領域で前記第2の主端子と電気的に接続された第2の金属層と、前記絶縁基板の上に設けられ、前記第1の金属層と前記第2の金属層の間に位置し、第3の接続領域を有し、前記第3の接続領域で前記出力端子に電気的に接続された第3の金属層と、第1の上部電極と第1の下部電極と第1のゲート電極と第1の炭化珪素層を含み、第1のショットキーバリアダイオードを含み、前記第1の下部電極が前記第1の金属層に電気的に接続され、第1の方向に配列された複数の第1の半導体チップと、第2の上部電極と第2の下部電極と第2のゲート電極と第2の炭化珪素層を含み、第2のショットキーバリアダイオードを含み、前記第2の下部電極が前記第3の金属層に電気的に接続され、前記第1の方向に配列された複数の第2の半導体チップと、前記第1の上部電極と、前記第3の金属層を電気的に接続する第1の接続線と、前記第2の上部電極と、前記第2の金属層を電気的に接続する第2の接続線と、を備え、前記第1の半導体チップの第1の方向に垂直で前記絶縁基板に平行な第2の方向に、前記第2の半導体チップが存在し、前記第1の接続領域と前記第2の接続領域を結ぶ第3の方向と前記第1の方向とのなす角度が20度以下であり、前記第1の接続線の伸長方向と前記第2の方向のなす角度が20度以下であり、複数の前記第2の半導体チップの中で、前記第1の方向において前記第1の金属層に最も近い前記第2の半導体チップの前記第2の上部電極に接続される前記第2の接続線の伸長方向と、前記第2の方向のなす角度が20度以下である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の半導体装置の模式上面図。
図2】実施形態の半導体装置の模式断面図。
図3】実施形態の半導体装置の等価回路図。
図4】比較例の半導体装置の模式上面図。
図5】比較例の半導体装置の問題点の説明図。
図6】実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中、同一又は類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0011】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する場合がある。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0012】
実施形態の半導体装置は、絶縁基板と、第1の主端子と、第2の主端子と、出力端子と、絶縁基板の上に設けられ、第1の接続領域を有し、第1の接続領域で第1の主端子に電気的に接続された第1の金属層と、絶縁基板の上に設けられ、第2の接続領域を有し、第2の接続領域で第2の主端子と電気的に接続された第2の金属層と、絶縁基板の上に設けられ、第1の金属層と第2の金属層の間に位置し、第3の接続領域を有し、第3の接続領域で出力端子に電気的に接続された第3の金属層と、第1の上部電極と第1の下部電極と第1のゲート電極と第1の炭化珪素層を含み、第1のショットキーバリアダイオードを含み、第1の下部電極が第1の金属層に電気的に接続され、第1の方向に配列された複数の第1の半導体チップと、第2の上部電極と第2の下部電極と第2のゲート電極と第2の炭化珪素層を含み、第2のショットキーバリアダイオードを含み、第2の下部電極が第3の金属層に電気的に接続され、第1の方向に配列された複数の第2の半導体チップと、第1の上部電極と、第3の金属層を電気的に接続する第1の接続線と、第2の上部電極と、第2の金属層を電気的に接続する第2の接続線と、を備える。そして、第1の半導体チップの第1の方向に垂直で絶縁基板に平行な第2の方向に、第2の半導体チップが存在し、第1の接続領域と第2の接続領域を結ぶ第3の方向と第1の方向とのなす角度が20度以下であり、第1の接続線の伸長方向と第2の方向のなす角度が20度以下であり、複数の第2の半導体チップの中で、第1の方向において第1の金属層に最も近い第2の半導体チップの第2の上部電極に接続される第2の接続線の伸長方向と、第2の方向のなす角度が20度以下である。
【0013】
図1は、実施形態の半導体装置の模式上面図である。図2は、実施形態の半導体装置の模式断面図である。図2は、図1のAA’断面である。図3は、実施形態の半導体装置の等価回路図である。
【0014】
実施形態の半導体装置は、パワー半導体モジュール100である。図3に示すように、実施形態のパワー半導体モジュール100は、1モジュールでハーフブリッジ回路を構成できる、いわゆる「2in1」タイプのモジュールである。パワー半導体モジュール100は、3個のハーフブリッジユニットが並列に接続されている。例えば、実施形態のパワー半導体モジュールを3個用いることにより3相インバータ回路を構成できる。
【0015】
図3に示すように、パワー半導体モジュール100は、正端子P(第1の主端子)、負端子N(第2の主端子)、交流出力端子AC(出力端子)、複数のハイサイドMOSFET11(第1の半導体チップ)、複数のローサイドMOSFET21(第2の半導体チップ)を含む。それぞれのMOSFETは、pn接合ダイオードに加え、ショットキーバリアダイオード(SBD)を内蔵している。SBDは、例えば、還流電流を流す機能を有する。
【0016】
複数のハイサイドMOSFET11は並列に接続される。複数のローサイドMOSFET21は並列に接続される。複数のハイサイドMOSFET11と複数のローサイドMOSFET21は、直列に接続される。
【0017】
図1ないし図3は、ハイサイドMOSFET11が3個、ローサイドMOSFET21が3個の場合を例示している。
【0018】
実施形態のパワー半導体モジュール100は、図1及び図2に示すように、正端子P(第1の主端子)、負端子N(第2の主端子)、交流出力端子AC(出力端子)、複数のハイサイドMOSFET11(第1の半導体チップ)、複数のローサイドMOSFET21(第2の半導体チップ)、樹脂ケース24、蓋26、金属ベース28、絶縁基板30、第1の金属層31、第2の金属層32、第3の金属層33、第1のゲート金属層36(第4の金属層)、第2のゲート金属層37(第5の金属層)、裏面金属層40、第1のゲート端子41、第2のゲート端子42、第1のボンディングワイヤ44(第1の接続線)、第2のボンディングワイヤ46(第2の接続線)、ゲートボンディングワイヤ48、封止樹脂50を備える。
【0019】
複数のハイサイドMOSFET11(第1の半導体チップ)のそれぞれは、第1のソース電極11a(第1の上部電極)、第1のドレイン電極11b(第1の下部電極)、第1のゲート電極11c、第1の炭化珪素層11x、第1のショットキーバリアダイオード11yを含む。
【0020】
複数のローサイドMOSFET21(第2の半導体チップ)のそれぞれは、第2のソース電極21a(第2の上部電極)、第2のドレイン電極21b(第2の下部電極)、第2のゲート電極21c、第2の炭化珪素層21x、第2のショットキーバリアダイオード21yを含む。
【0021】
第1の金属層31は、第1の接続領域31xを有する。第2の金属層32は、第2の接続領域32xを有する。第3の金属層33は、第3の接続領域33xを有する。
【0022】
図1は、パワー半導体モジュール100から蓋26及び封止樹脂50を除いた状態の上面図である。
【0023】
金属ベース28は、例えば、銅である。例えば、パワー半導体モジュール100を製品に実装する際、金属ベース28の裏面には、図示しない放熱板が接続される。
【0024】
絶縁基板30は、金属ベース28の上に設けられる。絶縁基板30は、金属ベース28とハイサイドMOSFET11との間、金属ベース28とローサイドMOSFET21との間に設けられる。
【0025】
絶縁基板30は、金属ベース28とハイサイドMOSFET11、金属ベース28とローサイドMOSFET21を電気的に分離する機能を有する。
【0026】
絶縁基板30は、例えば、セラミックである。絶縁基板30は、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、又は、窒化シリコンである。
【0027】
絶縁基板30の表面には、第1の金属層31、第2の金属層32、第3の金属層33、第1のゲート金属層36、及び、第2のゲート金属層37が設けられる。第1の金属層31、第2の金属層32、第3の金属層33、第1のゲート金属層36、及び、第2のゲート金属層37は、例えば、銅である。
【0028】
絶縁基板30の裏面には、裏面金属層40が設けられる。裏面金属層40は、例えば、銅である。裏面金属層40は、例えば、図示しない半田層又は銀ナノ粒子層を用いて金属ベース28と接合される。
【0029】
樹脂ケース24は、金属ベース28及び絶縁基板30の周囲に設けられる。樹脂ケース24の一部は、金属ベース28の上に設けられる。樹脂ケース24は、ハイサイドMOSFET11、ローサイドMOSFET21、及び絶縁基板30を保護する機能を有する。
【0030】
樹脂ケース24の上には蓋26が設けられる。蓋26は、ハイサイドMOSFET11、ローサイドMOSFET21、及び絶縁基板30を保護する機能を有する。
【0031】
複数のハイサイドMOSFET11は、第1の金属層31の上に設けられる。複数のハイサイドMOSFET11のそれぞれは、第1のソース電極11a、第1のドレイン電極11b、第1のゲート電極11c、第1の炭化珪素層11x、第1のショットキーバリアダイオード11yを含む。第1のソース電極11aは第1の上部電極の一例である。第1のドレイン電極11bは、第1の下部電極の一例である。
【0032】
第1のソース電極11aは第3の金属層33に電気的に接続される。第1のソース電極11aと第3の金属層33は、例えば、第1のボンディングワイヤ44を用いて電気的に接続される。第1のドレイン電極11bは第1の金属層31に電気的に接続される。第1のドレイン電極11bは、例えば、図示しない半田層又は銀ナノ粒子層を用いて第1の金属層31に電気的に接続される。
【0033】
複数のハイサイドMOSFET11は、絶縁基板30に平行な第1の方向に配列される。
【0034】
複数のローサイドMOSFET21は、第3の金属層33の上に設けられる。複数のローサイドMOSFET21のそれぞれは、第2のソース電極21a、第2のドレイン電極21b、第2のゲート電極21c、第2の炭化珪素層21x、第2のショットキーバリアダイオード21yを含む。第2のソース電極21aは第2の上部電極の一例である。第2のドレイン電極21bは、第2の下部電極の一例である。
【0035】
第2のソース電極21aは第2の金属層32に電気的に接続される。第2のソース電極21aと第2の金属層32は、例えば、第2のボンディングワイヤ46を用いて電気的に接続される。第2のドレイン電極21bは第3の金属層33に電気的に接続される。第2のドレイン電極21bは、例えば、図示しない半田層又は銀ナノ粒子層を用いて第3の金属層33に電気的に接続される。
【0036】
複数のローサイドMOSFET21は、絶縁基板30に平行な第1の方向に配列される。
【0037】
封止樹脂50は、樹脂ケース24の中に充填される。封止樹脂50は、樹脂ケース24に囲まれる。封止樹脂50は、ハイサイドMOSFET11、ローサイドMOSFET21、及び絶縁基板30を覆う。
【0038】
封止樹脂50は、ハイサイドMOSFET11、ローサイドMOSFET21、及び絶縁基板30を保護する機能を有する。また、ハイサイドMOSFET11、ローサイドMOSFET21、及び絶縁基板30を絶縁する機能を有する。
【0039】
封止樹脂50は、樹脂を含む。封止樹脂50は、例えば、シリコーンゲルである。封止樹脂50には、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等、その他の樹脂を適用することも可能である。
【0040】
正端子Pは、絶縁基板30の一端の側に設けられる。例えば、図1では、正端子Pは、絶縁基板30の右側に設けられる。正端子Pは、配線接続穴を有する。
【0041】
正端子Pは、第1の接続領域31xで、第1の金属層31に電気的に接続される。第1の接続領域31xにおいて、第1の金属層31と正端子Pは、例えば、図示しない半田層又は銀ナノ粒子層を用いて接続される。
【0042】
正端子Pには外部から、例えば、正電圧が印加される。正端子Pは、金属で形成される。正端子Pは、例えば、銅である。
【0043】
負端子Nは、絶縁基板30の一端の側に設けられる。負端子Nは、正端子Pと、絶縁基板30の同じ側に設けられる。負端子Nは、配線接続穴を有する。
【0044】
負端子Nは、第2の接続領域32xで第2の金属層32に電気的に接続される。第2の接続領域32xにおいて、第2の金属層32と負端子Nは、例えば、図示しない半田層又は銀ナノ粒子層を用いて接続される。
【0045】
負端子Nには外部から、例えば、負電圧が印加される。負端子Nは、金属で形成される。負端子Nは、例えば、銅である。
【0046】
交流出力端子ACは、絶縁基板30の一端の側に設けられる。交流出力端子ACは、正端子P及び負端子Nと、絶縁基板30の同じ側に設けられる。交流出力端子ACは、配線接続穴を有する。
【0047】
交流出力端子ACは、第3の接続領域33xで第3の金属層33に電気的に接続される。第3の接続領域33xにおいて、第3の金属層33と交流出力端子ACは、例えば、図示しない半田層又は銀ナノ粒子層を用いて接続される。
【0048】
交流出力端子ACは、ハーフブリッジ回路の出力電流を出力する。交流出力端子ACは、金属で形成される。交流出力端子ACは、例えば、銅である。
【0049】
第1のゲート端子41は、ハイサイドMOSFET11の第1のゲート電極11cに電気的に接続される。第1のゲート端子41は、例えば、第1のゲート金属層36、及びゲートボンディングワイヤ48を用いて、第1のゲート電極11cに電気的に接続される。
【0050】
第2のゲート端子42は、ローサイドMOSFET21の第2のゲート電極21cに電気的に接続される。第2のゲート端子42は、例えば、第2のゲート金属層37、及びゲートボンディングワイヤ48を用いて、第2のゲート電極21cに電気的に接続される。
【0051】
第1の金属層31は、絶縁基板30の上に設けられる。第1の金属層31は、第1の接続領域31xを有する。第1の金属層31は、第1の接続領域31xで正端子Pに電気的に接続される。
【0052】
第2の金属層32は、絶縁基板30の上に設けられる。第2の金属層32は、第2の接続領域32xを有する。第2の金属層32は、第2の接続領域32xで負端子Nに電気的に接続される。第2の金属層32は、ローサイドMOSFET21の第2のソース電極21aに電気的に接続される。
【0053】
第3の金属層33は、絶縁基板30の上に設けられる。第3の金属層33は、第3の接続領域33xを含む。第3の金属層33は、第3の接続領域33xで、交流出力端子ACに電気的に接続される。第3の金属層33は、ハイサイドMOSFET11の第1のソース電極11aに電気的に接続される。
【0054】
複数のハイサイドMOSFET11のそれぞれの、第1の方向に垂直で絶縁基板30に平行な第2の方向に、複数のローサイドMOSFET21のうちの一つのローサイドMOSFET21が存在する。言い換えれば、ハイサイドMOSFET11は第2の方向において、ローサイドMOSFET21と隣り合って設けられている。
【0055】
第1の接続領域31xと第2の接続領域32xとを結ぶ方向を第3の方向と定義する。第3の方向は、第1の接続領域31xと第2の接続領域32xとを最短距離で結ぶ線分の方向である。第3の方向と第1の方向とのなす角度は20度以下である。
【0056】
例えば、図1において、第3の方向は第1の方向と平行である。第3の方向と第1の方向とのなす角度は0度である。したがって、複数のハイサイドMOSFET11は、第3の方向に配列される。また、複数のローサイドMOSFET21は、第3の方向に配列される。
【0057】
第1のボンディングワイヤ44の伸長方向と、第2の方向のなす角度は20度以下である。例えば、一つのハイサイドMOSFET11に複数の第1のボンディングワイヤ44が接続される場合、複数の第1のボンディングワイヤ44の内の少なくとも一本の第1のボンディングワイヤ44の伸長方向と、第2の方向のなす角度は20度以下である。複数のハイサイドMOSFET11の内の任意の一つのハイサイドMOSFET11に接続される第1のボンディングワイヤ44の伸長方向と、第2の方向のなす角度は20度以下である。
【0058】
第1のボンディングワイヤ44の伸長方向と、第3の方向のなす角度は70度以上90度以下である。例えば、一つのハイサイドMOSFET11に複数の第1のボンディングワイヤ44が接続される場合、複数の第1のボンディングワイヤ44の内の少なくとも一本の第1のボンディングワイヤ44の伸長方向と、第3の方向のなす角度は70度以上90度以下である。複数のハイサイドMOSFET11の内の任意の一つのハイサイドMOSFET11に接続される第1のボンディングワイヤ44の伸長方向と、第3の方向のなす角度は70度以上90度以下である。
【0059】
なお、第1のボンディングワイヤ44の伸長方向とは、例えば、第1のボンディングワイヤ44が第1のソース電極11aに接する位置と、第1のボンディングワイヤ44が第3の金属層33に接する位置とを結ぶ線分の方向である。
【0060】
例えば、半導体モジュール100が備える全ての第1のボンディングワイヤ44の伸長方向と、第2の方向のなす角度は20度以下である。図1では、半導体モジュール100が備える全ての第1のボンディングワイヤ44の伸長方向と、第2の方向のなす角度が0度の場合を示している。
【0061】
第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第2の方向のなす角度は20度以下である。例えば、一つのローサイドMOSFET21に複数の第1のボンディングワイヤ44が接続される場合、複数の第2のボンディングワイヤ46の内の少なくとも一本の第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第2の方向のなす角度は20度以下である。複数のローサイドMOSFET21の内の任意の一つのローサイドMOSFET21に接続される第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第2の方向のなす角度は20度以下である。
【0062】
複数のローサイドMOSFET21の中で、第1の方向において第1の金属層31に最も近いローサイドMOSFET21の第2のソース電極21aに接続される第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第2の方向のなす角度が20度以下である。すなわち、図1において、複数のローサイドMOSFET21の中で、最も下側にあるローサイドMOSFET21の第2のソース電極21aに接続される第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第2の方向のなす角度が20度以下である。
【0063】
第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第3の方向のなす角度は70度以上90度以下である。例えば、一つのローサイドMOSFET21に複数の第2のボンディングワイヤ46が接続される場合、複数の第2のボンディングワイヤ46の内の少なくとも一本の第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第3の方向のなす角度は70度以上90度以下である。複数のローサイドMOSFET21の内の任意の一つのローサイドMOSFET21に接続される第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第3の方向のなす角度は70度以上90度以下である。
【0064】
なお、第2のボンディングワイヤ46の伸長方向とは、例えば、第2のボンディングワイヤ46が第2のソース電極21aに接する位置と、第2のボンディングワイヤ46が第2の金属層32に接する位置とを結ぶ線分の方向である。
【0065】
例えば、半導体モジュール100が備える全ての第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第2の方向のなす角度は20度以下である。図1では、半導体モジュール100が備える全ての第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第2の方向のなす角度が0度の場合を示している。
【0066】
例えば、複数のローサイドMOSFET21の中で、第1の方向において第1の金属層31に最も近いローサイドMOSFET21の第2の方向に、第2の金属層32が存在する。すなわち、図1において、複数のローサイドMOSFET21の中で、最も下側にあるローサイドMOSFET21の第2の方向に第2の金属層32が存在する。
【0067】
例えば、複数のローサイドMOSFET21の中で、第1の方向において第1の金属層31に最も近いローサイドMOSFET21の、第2のソース電極21aと第2のボンディングワイヤ46の接点(図1中のC1及びC2)の第2の方向に、第2の金属層32が存在する。例えば、複数のローサイドMOSFET21の中で、第1の方向において第1の金属層31に最も近いローサイドMOSFET21の、第2のソース電極21aと第2のボンディングワイヤ46の接点の中で、最も第1の金属層31に近い接点(図1中のC2)の第2の方向に、第2の金属層32が存在する。
【0068】
例えば、第1の方向において第1の金属層31に最も近いローサイドMOSFET21の、第1の金属層31に近い方の端部(図1中のE1)は、第2の方向において、第2の金属層32が存在する。
【0069】
例えば、第2の接続領域32xと、第2の金属層32の第1の金属層31の側の端部との間の第1の方向の第1の距離(図1中のd1)は、複数のローサイドMOSFET21の中で、第1の方向において第1の金属層31に最も近いローサイドMOSFET21の、第1の金属層31から遠い方の端部と第2の金属層32の第1の金属層31の側の端部との間の第1の方向の第2の距離(図1中のd2)よりも大きい。
【0070】
例えば、第2の接続領域32xと第2の金属層32の第1の金属層31の側の端部との間の第1の方向の第1の距離(図1中のd1)は、第2の接続領域32xと第2の金属層32の第1の金属層31と反対側の端部との間の第1の方向の第3の距離(図1中のd3)よりも大きい。
【0071】
次に、実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0072】
炭化珪素を用いた縦型のMOSFETは、pn接合ダイオードをボディダイオードとして有する。例えば、MOSFETは誘導性負荷に接続されたスイッチング素子として用いられる。この場合、MOSFETのオフ時であっても、ボディダイオードを用いることで還流電流を流すことが可能となる。
【0073】
しかし、ボディダイオードを用いて還流電流を流すと、キャリアの再結合エネルギーにより炭化珪素層中に積層欠陥が成長し、MOSFETのオン抵抗が増大するという問題がある。MOSFETのオン抵抗の増大は、MOSFETの信頼性の低下を招く。
【0074】
ユニポーラ動作するショットキーバリアダイオード(SBD)を内蔵したMOSFETがある。バイポーラ動作するpn接合ダイオードに代えてSBDを用いて還流電流を流すことで、積層欠陥の成長が抑制され、MOSFETの信頼性が向上する。
【0075】
SBDを内蔵したMOSFETを複数個含むパワー半導体モジュールにおいても、それぞれのMOSFETのpn接合ダイオードの動作を抑制することが、パワー半導体モジュールの信頼性を向上させる観点から重要となる。
【0076】
図4は、比較例の半導体装置の模式上面図である。比較例の半導体装置は、パワー半導体モジュール900である。パワー半導体モジュール900の等価回路図は、図3と同様になる。
【0077】
パワー半導体モジュール900は、図4に示すように、複数のハイサイドMOSFET11が配列される第1の方向は、第3の方向に垂直な方向である点で実施形態のパワー半導体モジュール100と異なる。また、複数のローサイドMOSFET21が配列される第1の方向は、第3の方向に垂直な方向である点で実施形態のパワー半導体モジュール100と異なる。第3の方向は、第1の接続領域31xと第2の接続領域32xとを結ぶ方向である。
【0078】
また、パワー半導体モジュール900は、図4に示すように、第1のボンディングワイヤ44の伸長方向と、第3の方向のなす角度が平行である点で実施形態のパワー半導体モジュール100と異なる。また、パワー半導体モジュール900は、図4に示すように、第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第3の方向のなす角度が平行である点で実施形態のパワー半導体モジュール100と異なる。
【0079】
パワー半導体モジュール900のスイッチング動作時に、複数のハイサイドMOSFET11に含まれるダイオード、又は、複数のローサイドMOSFET21に含まれるダイオードに流れる電流にばらつきが生じることが明らかになった。ダイオードに流れる電流のばらつきが大きくなると、ショットキーバリアダイオードが流せる電流量を超えることで、pn接合ダイオードが動作する場合があることが明らかになった。
【0080】
図5は、比較例の半導体装置の問題点の説明図である。図5は、パワー半導体モジュール900の模式上面図である。
【0081】
図5には、正端子PからMOSFETを通って負端子Nに至る3つの経路、すなわち、経路X9、経路Y9、及び経路Z9を点線矢印で示す。経路X9、経路Y9、及び経路Z9は、第1の接続領域31xから第2の接続領域32xに至る経路である。
【0082】
発明者による検討の結果、パワー半導体モジュール900のスイッチング動作時にダイオードに流れる電流のばらつきは、経路X9、経路Y9、及び経路Z9の長さのばらつきに依存することが明らかになった。
【0083】
例えば、3つの経路の中で、経路X9が最短経路、経路Z9が最長経路となる。最短経路である経路X9に存在するMOSFETのダイオードに流れる電流が最も大きくなる。また、最長経路である経路Z9に存在するMOSFETのダイオードに流れる電流が最も小さくなる。
【0084】
例えば、パワー半導体モジュール900が外部の誘導性負荷に接続されており、複数のハイサイドMOSFET11がオフ状態、複数のローサイドMOSFET21がオン状態で電流を流している場合を考える。この状態から、複数のハイサイドMOSFET11をオン状態、複数のローサイドMOSFET21をオフ状態に切り替える。この時、複数のローサイドMOSFET21が逆導通状態となり、ローサイドMOSFET21に内蔵されるダイオードに還流電流が流れる。
【0085】
この時、最短経路である経路X9に存在するローサイドMOSFET21のダイオードに流れる電流が最も大きくなる。また、最長経路である経路Z9に存在するローサイドMOSFET21のダイオードに流れる電流が最も小さくなる。
【0086】
経路X9に存在するローサイドMOSFET21のダイオードに流れる還流電流が、ローサイドMOSFET21に含まれる第2のショットキーバリアダイオード21yの許容電流範囲を超えると、pn接合ダイオードが動作する。pn接合ダイオードが動作すると、経路X9に存在するローサイドMOSFET21の信頼性が低下する。そして、パワー半導体モジュール900の信頼性が低下する。
【0087】
図6は、実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。図6は、パワー半導体モジュール100の模式上面図である。
【0088】
図6には、正端子PからMOSFETを通って負端子Nに至る3つの経路、すなわち、経路X1、経路Y1、及び経路Z1を点線矢印で示す。経路X1、経路Y1、及び経路Z1は、第1の接続領域31xから第2の接続領域32xに至る経路である。
【0089】
第1の実施形態のパワー半導体モジュール100は、比較例のパワー半導体モジュール900に対して、MOSFETの配列方向及びボンディングワイヤの伸長方向を変えることで、経路X1、経路Y1、及び経路Z1の長さのばらつきを抑制する。
【0090】
具体的には、複数のハイサイドMOSFET11は、第1の接続領域31xと第2の接続領域32xとを結ぶ第3の方向に沿って配列される。複数のローサイドMOSFET21も、第3の方向に沿って配列される。第3の方向と、複数のハイサイドMOSFET11及び複数のローサイドMOSFET21が配列される第1の方向とのなす角度は20度以下である。
【0091】
また、第1のボンディングワイヤ44の伸長方向と、第2の方向のなす角度は20度以下である。第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第2の方向のなす角度は20度以下である。
【0092】
実施形態のパワー半導体モジュール100は、上記構成により、経路X1、経路Y1、及び経路Z1の長さのばらつきが抑制される。このため、パワー半導体モジュール100のスイッチング動作時にダイオードに流れる電流のばらつきが抑制される。したがって、MOSFETに含まれるpn接合ダイオードの動作が抑制される。よって、パワー半導体モジュール100の信頼性が向上する。
【0093】
第3の方向と、複数のハイサイドMOSFET11及び複数のローサイドMOSFET21が配列される第1の方向とのなす角度は10度以下であることが好ましく、5度以下であることがより好ましく、0度であることが最も好ましい。上記角度が小さくなることで、経路X1、経路Y1、及び経路Z1の長さのばらつきが更に抑制される。
【0094】
また、半導体モジュール100の備える全ての第1のボンディングワイヤ44の伸長方向と、第2の方向のなす角度は20度以下であることが好ましい。また。半導体モジュール100の備える全ての第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第2の方向のなす角度は20度以下であることが好ましい。上記構成により、経路X1、経路Y1、及び経路Z1の長さのばらつきが更に抑制される。
【0095】
また、第1のボンディングワイヤ44の伸長方向と、第2の方向のなす角度は10度以下であることが好ましく、5度以下であることがより好ましく、0度であることが最も好ましい。第2のボンディングワイヤ46の伸長方向と、第2の方向のなす角度は10度以下であることが好ましく、5度以下であることがより好ましく、0度であることが最も好ましい。上記角度が小さくなることで、経路X1、経路Y1、及び経路Z1の長さのばらつきが更に抑制される。
【0096】
複数のローサイドMOSFET21の中で、第1の方向において第1の金属層31に最も近いローサイドMOSFET21の第2の方向に、第2の金属層32が存在することが好ましい。すなわち、図1において、複数のローサイドMOSFET21の中で、最も下側にあるローサイドMOSFET21の第2の方向に第2の金属層32が存在することが好ましい。上記構成により、経路X1、経路Y1、及び経路Z1の長さのばらつきが更に抑制される。
【0097】
複数のローサイドMOSFET21の中で、第1の方向において第1の金属層31に最も近いローサイドMOSFET21の、第2のソース電極21aと第2のボンディングワイヤ46の接点(図1中のC1及びC2)の第2の方向に、第2の金属層32が存在することが好ましい。複数のローサイドMOSFET21の中で、第1の方向において第1の金属層31に最も近いローサイドMOSFET21の、第2のソース電極21aと第2のボンディングワイヤ46の接点の中で、最も第1の金属層31に近い接点(図1中のC2)の第2の方向に、第2の金属層32が存在することが好ましい。上記構成により、経路X1、経路Y1、及び経路Z1の長さのばらつきが更に抑制される。
【0098】
複数のローサイドMOSFET21の中で、第1の方向において第1の金属層31に最も近いローサイドMOSFET21の、第1の金属層31に近い方の端部(図1中のE1)の第2の方向に、第2の金属層32が存在することが好ましい。上記構成により、経路X1、経路Y1、及び経路Z1の長さのばらつきが更に抑制される。
【0099】
第2の接続領域32xと、第2の金属層32の第1の金属層31の側の端部との間の第1の方向の第1の距離(図1中のd1)は、複数のローサイドMOSFET21の中で、第1の方向において第1の金属層31に最も近いローサイドMOSFET21の、第1の金属層31から遠い方の端部と、第2の金属層32の第1の金属層31の側の端部との間の第1の方向の第2の距離(図1中のd2)よりも大きいことが好ましい。上記構成により、経路X1、経路Y1、及び経路Z1の長さのばらつきが更に抑制される。
【0100】
第2の接続領域32xと第2の金属層32の第1の金属層31の側の端部との間の第1の方向の第1の距離(図1中のd1)は、第2の接続領域32xと第2の金属層32の第1の金属層31と反対側の端部との間の第1の方向の第3の距離(図1中のd3)よりも大きいことが好ましい。上記構成により、経路X1、経路Y1、及び経路Z1の長さのばらつきが更に抑制される。
【0101】
実施形態では、並列に配置されるパワー半導体チップの数が3個の場合を例に説明したが、パワー半導体チップは、2個であっても、4個以上であっても構わない。
【0102】
実施形態では、パワー半導体モジュールが「2in1」タイプのモジュールである場合を例に説明したが、パワー半導体モジュールは、例えば、「4in1」タイプ又は「6in1」タイプなど、その他の回路構成であっても構わない。
【0103】
第1の接続線及び第2の接続線は、線状のボンディングワイヤであっても、リボン状のボンディングワイヤであっても構わない。また、第1の接続線及び第2の接続線は、電気的に接続する機能を有するのであれば、例えば、板状の導電体であっても構わない。
【0104】
実施形態では、正端子P等の端子の一部を金属層と直接接続する場合を例に説明したが、例えば、端子と金属層とを、例えば、ボンディングワイヤで接続しても構わない。
【0105】
実施形態では、正端子、負端子、及び交流出力端子が全て、パワー半導体モジュールの同一の端部に設けられる場合を例に説明したが、正端子、負端子、及び交流出力端子の配置位置は、上記配置に限定されるものではない。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
11 ハイサイドMOSFET(第1の半導体チップ)
11a 第1のソース電極(第1の上部電極)
11b 第1のドレイン電極(第1の下部電極)
11c 第1のゲート電極
11x 第1の炭化珪素層
11y 第1のショットキーバリアダイオード
21 ローサイドMOSFET(第2の半導体チップ)
21a 第2のソース電極(第2の上部電極)
21b 第2のドレイン電極(第2の下部電極)
21c 第2のゲート電極
21x 第2の炭化珪素層
21y 第2のショットキーバリアダイオード
30 絶縁基板
31 第1の金属層
31x 第1の接続領域
32 第2の金属層
32x 第2の接続領域
33 第3の金属層
33x 第3の接続領域
36 第1のゲート金属層(第4の金属層)
37 第2のゲート金属層(第5の金属層)
41 第1のゲート端子
42 第2のゲート端子
44 第1のボンディングワイヤ(第1の接続線)
46 第2のボンディングワイヤ(第2の接続線)
100 パワー半導体モジュール(半導体装置)
AC 交流出力端子(出力端子)
C1 接点
C2 接点
N 負端子(第2の主端子)
P 正端子(第1の主端子)
d1 第1の距離
d2 第2の距離
d3 第3の距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6